ヤマハ・カスタムモデルの元となったギターがこのL-31です。それまでヤマハのギターの最高機種はFG-2000とFG-1500 でしたが、1974年にヤマハのフラグシップモデルとしてこのL-31が発売され、その後1977年まで3年間生産されました。L-10とL-15はL-31の後に発売となっています。また一連のカスタムシリーズが発売されましたが、ヤマハのLシリーズのコンセプトはこのL-31が作ったと言えるのではないでしょうか。 FGシリーズとLシリーズは明確にコンセプトが異なるように思います。73年に発売されたFG-1000が表板、裏板にアバロン貝で装飾され、デザイン面ではこのギターの原型になっています。 しかし、FGシリーズは弦長が636mmとギブソンと同じショートスケールであり、テンションが少し弱めで柔らかい音という印象です。FG-500も同様の性格でどちらかというとギブソンに近い音です。 ところが、Lシリーズでは弦長が651mmになり、よりテンションが強くなった分、高音の弦の響きがきらびやかになったように思います。その意味ではLシリーズはマーチンの音に近くなってきました。しかし低音の響きはマーチンより良く出ています。 |
このギターの購入に至った経緯ですが、FG-500がハカランダを使ったギターで音も気に入っていたため、しばらくの間69年以前のマーチンのギターを物色していた頃がありました。 しかしハカランダのマーチンは非常に高価で、手に入れることは困難でした。 L-10やL-15はハカランダですが、D-28を購入する時に何本か弾いたところ、あまりピンと来ませんでした。 そうこうしている内に、どこかでL-31を弾かせてもらったところすばらしい音と演奏性でしたので気に入ったのですが、価格はハカランダマーチンよりは少し安いものの、かなりの価格でした。 インターネットで物色していたところ、大阪のギター屋さんでキズは多そうでしたが、少し安めのL-31を見つけたので悩んだ末購入することにしました。 こんなに高価なギターを通販で購入するのは初めてで、今思うとよく冒険したものだと思ってしまいます。 購入した結果ですが、 1.タバコの匂いがギターとケースに充満していた。 2.6弦の3フレットだけ音が響かない。 3.ギター内部を見ているとブレーシングが再接着されている。(これは説明にあったと思います) 4.音はすばらしく、音量も大きい。高音弦の音は鈴鳴り、低音はイメージ通り。 やはり、少し安めでも店で売れ残っていたのは訳ありでした。 1.についてはケースから取り出して大掃除と匂い消し。ケースは外で日光浴で匂い消し。 1年くらい後でようやく匂いも消えました。 2.の症状は弦高が低いせいかもと思いサドルにスペーサを入れて見ましたが、少し良くなった程度。 フレットをよく観察してみると、フレット浮きと思われる箇所を発見しました。 原因はそれしかないと確信して、フレット交換を決意。 近くの有名楽器店で交換費用を聞いてみると、それだけで断念する値段でしたので、神田のカワセ楽器に問い合わせたところ、非常にリーゾナブルな価格でした。 敢えてカワセ楽器の名前を出してしまいますが、仕上がりもきれいでパーフェクトな仕事をしてくれ、有名楽器店より安い修理費用でやってくれます。 そして、フレット交換修理から戻ってきたL-31は改めてすばらしい音に感動しました。 音量は私の持っているギターの中で一番。音はD-45と良い勝負。さだまさしのギターの音と同じ。 |
D-45と同じようにアバロン貝の装飾で大変豪華なギターです。 使い込んだギターなので新品のきれいさではありませんが、持っているだけで満足するようなギターです。 FG-1000も同様の装飾で低音の鳴りも大好きですが、L-31は高音のシャリーンという音がすごいです。 |
ヘッド形状は後期なのでバルタン型に変更されています。 ペグはゴトー製の510ゴールドに交換されていますが、このペグの性能は素晴らしいため、これでいいです。 ネックの状態も非常に良く、サドルの高さもオリジナルと思われ、フレット交換のおかげで高い演奏性と安心感を得ることができました。弦高は12フレット6弦2.4mm、1弦2mm弱で安定しています。
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