浅草は万人の浅草である。
浅草にはあらゆるものが
生のままほうり出されている。
人間のいろんな欲望が、裸のまま踊っている。
あらゆる階級、人種を
ごったまぜにした大きな流れ。
明けても暮れても果しのない、
底の知れない流れである。
浅草は生きている。… …


川端康成『浅草紅団』より