古代ロマンノート04

2017年8月

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08/01/火
本日は六本木の日本脚本家連盟で著団協の総会。会長の出久根さんの代理で出席。会長の代理だから議長をつとめる。決算と予算を承認するだけの会なのだが、当面の著作権の問題についてさまざまな意見が出た。話は尽きないという感じた。会議が早く終われば自宅に帰るつもりでいたのだが、長びいたのでそのままマッサージのために新宿に向かう。マッサージに行くには時間が余っているので紀伊國屋に行って『柿本人麻呂』を買う。『白村江』の続篇として『壬申の乱』を考えている。人麻呂は主要登場人物の一人になる。まだ資料を読む段階。夏休みに仕事場でじっくり資料を読みたい。『歎異抄』は草稿は完成していて、プリントに赤字を入れている段階。赤字の入力もほぼ終わって、付録の部分を読めばいいのだが、そこが少し甘い。かなり手を入れないといけない。ちょうどよい時間になったのでマッサージ。肩が凝っているのが自分でもわかった。両肩が前に出ていると言われた。マッサージを受けると楽になるのだが疲れる。本日は仕事は進まず。

08/02/水
大学。大学院の授業は最終回は休みにしたのだが、来たい人は来ていいと言っておいたら2人来た。ひたすら雑談をした。それから学部長会議。本日は小雨だが久し振りに猛暑ではなかった。昨日のマッサージの疲労がまだ残っている。

08/03/木
授業はもうないのだが、学生たちの宿題の締切。早めに研究室に入って雑用。それから宿題の作品を読み始める。半分くらいは読んだ。あとは自宅にもって帰る。日曜、月曜のオープンキャンパスがあるので、そのあたりで成績の入力をしないといけない。歎異抄の赤字入力も終わっていないので、明日、明後日が忙しくなる。

08/04/金
本日と明日は休み。妻が実家に帰ったので一人で過ごす。やるべきことは、歎異抄の仕上げと、学生の宿題の添削指導。どちらも月曜日には仕上げないといけない。歎異抄は研究室のプリンターで全文をプリントする。その翌日、仕事場に移動するので、それ以後はプリンターが使えなくなるので、月曜日には赤字入力が完成していないといけない。学生の宿題は成績をつけて入力しないといけないので、これもリミットがある。月曜日には入力を終えたい。日曜と月曜はオープンキャンパスで、学部の紹介と模擬授業がある。そのあいまにすべての作業をしないといけない。おまけに月曜にはインタビューのアポも一件入っている。本日はとにかくパソコンにはりついて入力作業に集中した。

08/05/土
世界陸上が始まった。ヨーロッパの夜というのはこちらでは明け方なので、そこまでは起きていられない。昨夜は早めに寝たのだが、一万メートルのファラーのレースは、リアルタイムで見たかったなと思う。本日は100メートルがあるが、明日はオープンキャンパスで早起きしないといけないので、寝ないといけない。さて、歎異抄は最後の「あとがき」まで赤字を入れた。あとは入力作業だが、無理をせずに、明日の夜に入力完了を目指す。明後日もオープンキャンパスなので、そこでプリントすればいいだろう。最初から読み返すのが楽しみだ。

08/06/日
日曜だが出勤。オープンキャンパス。学部の説明2回と、模擬授業1回。猛暑でキャンパスを歩くだけでくたくだになる。それでもアキ時間に、期限ギリギリに提出したらしい学生の宿題を見て、パソコンで成績を入力。昨夜、完成した歎異抄の第一草稿をプリント。もう一度読み返して完了としたい。夜、妻が戻ってきた。仕事が片付いていてよかった。

08/07/月
オープンキャンパスの2日目。ウィークデーなので来場者が減るかと思ったが、母親といっしょに来る高校生が多く、昨日と同じで、教室は満杯だった。2日目の午後となると人も少なくなり、模擬授業の聞き手も少なくなったが反応はよかった。OA入試に来てくれそうな感じがした。今日も説明会2回、模擬授業。アキ時間には年度末の文集作成の準備で、短歌の先生からいただいた作品を入力した。さらにすべてが終わってから、夕刊フジの取材を受ける。取材する人は本棚の前で話をする作家の写真が必要なので、研究室で取材を受けることにしている。白村江を読んでくださった取材者なので、模擬授業の疲れも忘れて、ひたすら語り続けた。とにかくこれで、すべてのスケジュールが終わった。明日にでも仕事場に移動したいところだが、台風のようすはどうだろうか。風雨が強いようなら延期するかもしれないが、荷物は作っておきたい。

08/08/火
台風は過ぎたようなので、予定通りに荷物を車に積み込んで出発。途中で2度休憩、浜松SRから外に出て、途中でスーパーに寄って買い物もしたので、6時間ほどかかってしまったが、無事に浜松に到着。強い風が吹き抜けているのだが、生ぬるい風だし風の音がうるさいので、窓を閉めてエアコンをかけた。疲れたので早めに寝る。

08/09/水
昨夜早く寝たので6時に目が覚める。少し仕事。歎異抄の最終原稿をプリントして読み進めている。ゲラでは校正に集中したいので、文章の手直しはこれで最後にする。まだまだ修正点が多い。こういうものは、何度やっても果てがないのかもしれない。仕事場ではのんびり過ごしたかったのだが、急に孫が一人来ることになった。四日市の次男のところの長男が一人で電車で来るという。四日市から近鉄、名古屋で国鉄に乗り換えて、豊橋の次の新所原から天竜浜名湖線で都築で下りる。無事に到着した。しようがないのでプールにつれていく。仕事場は別荘地の中にあるのでプールやテニスコート、ヨットのマリーナなどがある。テニスもヨットもやらないので、ただあたりを散歩するだけ。プールは自分の子どもが小学生の時が最後で、それ以外は海にも行っていないので、泳ぐのは30年ぶりだが、ちゃんと泳げた。高校の時に半年だけ水泳部にいて、夏の合宿までは毎日泳いでいた。泳ぎ方は忘れないものだ。走るとすぐに息が切れるのだが、泳ぐのはわりと平気だ。仕事は少しだけ。これではなかなか先に進まない。こちらはもう休みに入っているのだが、大学はまだ動いていて、稟議書などがメールで飛び込んでくる。雑用でかなりの時間がつぶれる。大学内のメールはクラウド上にあるので、手元に参考書類がなくても、過去のメールを見れば出てくるのだが、大学の研究室のパソコンも入れ替えたばかりで保存文書がすぐには出ない状況になるので、必要な文書は事務に頼んで送ってもらったりする。とにかく浜松にいても大学の仕事はできる。

08/10/木
孫はまだいる。本日は近くの鍾乳洞につれていった。静岡県にも鍾乳洞はある。日本列島は到るところで海底が盛り上がってカルスト地形を作っている。竜ヶ岩洞(りゅうがしどう)という鍾乳洞だが、ここには仕事場を開設した当初に行った。それから次男が社会人になってまだ独身といった時に、何かの拍子に2人で行った。それ以来だから20年ぶりくらいか。この孫がいつまでいるのか、まだわからない。次男の仕事が忙しくて、お盆の予定が立たないようだ。次男の次男がまた忙しくて、嫁さんがかかりきりになっていて、余った長男の方がこちらに派遣されたということだ。まあ、こちらもひまではあるのだが、歎異抄の仕上げは、お盆明けには済まして送信しておきたい。全体の半分くらいまで読み進んでいる。『壬申の乱』の資料も読み込んでいる。今回は持統女帝が主人公になる。天智天皇がマザコンだったのに大使、こちらはファザコンの話。ファザコンなのに弟をそそのかして父を殺す。そのシーンはすでに『白村江』のエンディング近くに書いてある。今回はもう一度、ヒロインの幼少のころから語り治すことになるので、同じシーンは違う視点から描くことになる。時間を少しずらして、前作が描かなかった時代に突入していく。持統女帝が死ぬところまで書くので、奈良遷都の直前くらいまでの話になるだろう。律令制度の確立ということが話の基本になるのだが、それでは小説としてはおもしろくないので、女の執念みたいなものを描きたい。古代ロマンとしては、神功皇后をずっと考えている。夫の仲哀天皇が死ぬまでの話。それから新羅に攻めていく話。帰ってきてから子息の応神天皇を支えて国を統一するまでの話。3部作になる。構想をまとめてプレゼンテーションするところから始めないといけない。そのことを思うとやや気持がひるんでいる。『歎異抄』は数日後には完成する。その後は、『小説って何だろう』みたいな感じのものを書く。いま大学でやっている必修の講座「小説の歴史」を本一冊にまとめようと思っている。90分授業15回ぶんを本1冊にするのは難しい。90分話せば90枚くらいにはなるので、4回ぶんで本1冊になってしまう。これをどのようにダイジェストするか。まあ、やってみないとわからない。中身がつまりすぎるとつまらなくなる。冗談ばっかりのスカスカの話の方が、読み物としてはおもしろくなる。そのあたりの調整が難しいが、試行錯誤しながらまとめていきたい。その仕事が終わるまでに、次の仕事を決めないといけない。並行して編集者との交渉が必要だ。いまは猛暑なので、9月になってから始動したい。

08/11/金
もうこちらは夏休みモードに入っており、曜日の感覚がなくなっているのだが、世の中は祭日らしい。緊急の仕事が入って夏休みがなくなりそうだった次男が、この3連休は休めるということで、急遽、車で四日市を出発した。嫁さんと孫(次男)も同行。すでに孫(長男)はこちらに逗留している。午後、次男が到着。さっそく孫たちを連れてプールへ行ってくれたので、静寂が戻ってきた。早朝に起きたので、歎異抄の口語訳の部分の赤字入力を開始。修正はあまりないのでどんどん進む。午後には完了。後半の付録の部分のチェックを進める。夜には完了。この部分を明日、入力すれば、すべての作業が完了する。お盆明けに送付すると担当者には約束しているのだが、まだ余裕がある。並行して『壬申の乱』の資料を読んでいる。といっても、すでに『白村江の戦い』で続篇の伏線を貼っているので、主要な展開は決まっている。資料を読んでいまさらストーリーを変更することはできないのだが、確認のために資料を読んでいる。『白村江』では魅力的な人物として描けた大海人が、続篇では影がうすくなりそうだ。続篇は持統女帝の魅力が圧倒的で、女の怖さみたいなものが前面に出る。母親が自殺する場面が前半の山になる。だがそこから小説を始めると怨念が強すぎるので、讃良姫が祖母の斉明天皇の宮につれてこられるところから話を始めたい。まだ神さまが少し宿っている斉明天皇と、神宿る間人皇女、そして予言者の額田女王という、神宿る巫女トリオとの出会いが、少女時代の讃良に決定的な影響を与える。神宿る少年タケルとの交流と、神秘的な雰囲気で話を進めていく。壬申の乱は作品の中央に置く。従って三分の一くらいまでのところは、前作と時間がダブッている。同じ時間の流れを異なる視点で見ていく。斉明女帝の衰えていくところなども克明に描きたい。父の天智帝の冷酷さを、娘の目から見ていく。すぐにでも書き始めたいのだが、ここは我慢をして、神功皇后の方に取りかかりたい。こちらは資料は不要だ。いちおう古事記はもってきているのだが、想像力で新たな神話を語るというスタンスで臨みたい。夜は次男一家とにぎやかな食事。リゾートの感じになってきたが、こちらは阿弥陀さまが頭の中に鎮座しているので、まだリラックスするわけにはいけない。

08/12/土
午前中に入力完了。付録の部分をかなり削ったのですっきりした。これですべての作業が終わった。夕食は西気賀のレストラン。正月に全員がばらばらの注文をして店主を疲れさせたので、事前にメニューを揃えて注文する。ここの店主は、仕事場のある別荘地が開設された35年前に、別荘地のレストランの料理長だった。すぐに独立して、西気賀の駅舎に店を開いた。ずいぶん長いつきあいだ。頭の中から阿弥陀さまと親鸞が急速に抜けていく。今度は壬申の乱の持統女帝かと思っていたのだが、神功皇后のことを考えていると、すらすらと筆が進んだ。大昔に書いた『角王』三部作の第三巻、『ヤマトタケル』のエンディング近くの文章をほぼコピーして入力してあった。その前後の文章も順番を少し変えて使えそうだ。ヒロインのオキナガ姫の誕生まで、一気に書けそうだ。この作品は三部作になる。第一巻はナカツ王子と出会い、そのナカツ王子が死ぬまでの物語だ。敵となるのは、イザナギと、配下の神々やツチグモと呼ばれる怪しい生き物たち。。味方となるのはムナカタ三女神と、スミノエ三男神。それから大臣タケシウチと子息のサチ彦。いま考えている登場人物はその程度だ。書くのにスピードが必要なので、この夏休みに一冊くらい書いてしまいたい。『小説って何だろう』は3学期が始まってから、授業を進めながら中身について考えたい。

08/13/日
孫たちは朝からプール。自宅で昼食の後、四日市に帰っていった。といっても途中で蒲郡の水族館に寄ったようで、帰りついたと報告があったのは深夜だった。この仕事場ではのんびりするはずであったが、着いた次の日には孫が一人、電車を乗り継いでやってきたので、落ち着かない日々だった。これで明日からはのんびりできる。昨日、歎異抄が完全に終わったので、今日は何をするか何も考えていなかった。とりあえず『壬申の乱』の資料を読んでいるが、パソコンを開けたついでに、『神功皇后』の入力を始めた。まだ『ヤマトタケル』のエンディングの部分をなぞっているだけだが、どんどん入力が進んでいく。こういうものは考えていても仕方がないので、パソコンの前に座ればどんどん入力していきたい。夜は妻と二人きりになった。孫がいるとテレビをつけられない。ふだんはテレビをつけっぱなしてにして、ニュースを見ている。テレビがないと社会から取り残された感じがする。週末なので一週間ぶんの情報をまとめた番組がある。知らないニュースがいくつかあった。ネットでニュースの目次くらいは目に入っているはずだが、動画で見せるテレビは情報量が多い。ただここは浜松なので、お昼はローカル番組が多く、東京の情報が少ない。どうやら東京は涼しい日が続いているようだが、こちらは猛暑が続いている。あと一週間はこちらにいる。

08/14/月
朝から妻と二人きりだ。静かだ。少し寂しい気もする。しかしこれが日常だ。どこにも出ずにひたすらパソコンに向かう。『神功皇后』少し進んだ。天智天皇から持統女帝にかけての時代なら、傍証となる資料や研究書があるので参照できるが、神功皇后は完全に神話の時代なので、古事記と日本書紀の他には、客観的資料が何もない。朝鮮半島には好太王碑というものがあるが、神功皇后は神話の登場人物なので、もはやファンタジーの世界だ。すべてを自由に空想して話を展開するしかない。そこがおもしろいといえるのだが、不安でもある。とにかくどんどん書いていって、おかしいと感じたら書き換えればいい。そういう試行錯誤をしながら前に進んでいきたい。まだ何も進んでいない。状況設定を書いただけだ。まだヒロインも生まれていない。角王三部作を踏まえているので、このヒロインにも角がある。そのあたりを魅力的な文章で表現したいと思っている。

08/15/火
この浜松の仕事場は人里から隔離された別荘地の中にあるので、どこへ行くにも車が必要だ。だから毎日、車に乗る。東京都心の混雑した道路と違って、どこに行くのも快適だ。本日は気賀のしまむらへ。快適なドライブで気分がいい。さて、まだお盆なので大学は動いていないが、イーブックの担当者は出社したようで、最終回の原稿を受け取ったという返事が返ってきた。4年間、月に2回の連載で、最低5枚の原稿なので、500枚は書いた。芥川賞受賞作についてのコラムで、ほぼすべての作品に言及した。書いているこちらも勉強になった。文学の流れみたいなものが見えてきた。自分が芥川賞をもらったのは40年前のことで、だから自分を基準に、いつか作家になりたいと思いながら素人として読んでいた受賞作と、自分が受賞したあとの、後輩の作品を読んだのと、読み方がきれいに二つの分かれている。そのことがおもしろかった。本日はずっとパソコンの前にいて、「神功皇后」について書いていた。まだ書き始めて数日だが、第一章が終わった。全部で10章くらいになるか。500枚くらいで仕上げたい。

08/16/水
お盆が終わった。今日は志都呂イオンへ行った。ウナギの池があったような湿地帯をつぶして建造された巨大な戦艦のような構造物だ。歩き回るといい散歩になる。妻が買い物をしている間、本屋に行っていたのだが、新刊単行本の棚が極端に縮小されていた。かわりに文庫とラノベが増えた。文房具の棚も広がった。要するに子ども相手ということだろう。このあたりは田んぼの中に中型書店がいくつもあるのだが、品揃えはどこも同じで、雑誌と文庫ばかりで、単行本はほぼ皆無といっていい。田舎の人は単行本を買わないのだろう。浜松でもアマゾンで買い物をすると1日で届くので、本屋に行って買う人はいないのかもしれない。ショッピングモールの本屋は広大なスペースがあるのに、子ども相手の商売しかしていない。地方文化が壊滅的になっているのかな。本屋の前に椅子があったので、ノートを出して「小説って何だろう」の出だしの部分をメモした。いくらでも書けそうだが、ユーモアをまじえて書くのは意外に難しい。教室では学生の顔があるので、笑いをとれているかどうかは瞬間的にわかる。文章を書いている時はそういう反応がないので、筆がのびていかない。まあ、あせらずに、アキ時間にこつこつ書いていこう。

08/17/木
この仕事場を建ててくれた大工さんが来た。家の管理もしてもらっているので、滞在する度に一度は現れる。昼ご飯を食べに人気のハンバーグの店に行ったのだが駐車場に入れず、有名なうなぎ屋に行ったがここも入れず、困って三ヶ日に戻ろうとしていると、いつも前を通るだけだった魚屋が食堂をオープンしたらしいことがわかって、そこに入ったらいい店だった。魚屋としては有名な店なのだが、NHKの大河ドラマの人気をあてこんで、食堂を併設したのだ。メニューははうなぎの養殖、天然中、天然大の3種と、さしみ定食というもので、まあ、養殖で充分だろう。あとはひたすらパソコンを叩いていた。仕事は調子よく進んでいる。

08/18/金
今日は妻がどこかへ行きたいというので、磐田ららぽーとというところに行ってみた。遠州豊田パーキングに隣接しているので、時間的には志都呂イオンよりもはるかに近い。ただ高速なのでドライブの愉しさがない。まあ、いい散歩だ。駐車場は屋内にある。途中で豪雨が降ってきたが、屋内の駐車場は安心だ。仕事は進んでいる。バルセロナのテロ。ランブラス通りというのは、わたしも歩いたことのある道だ。長男が住んでいるのはサラゴサという内陸部だが、犯人の一人が逃げた地中海沿いの街のすぐ近くのリゾート地に滞在していたので、少し心配した。家族のラインがあるので妻が書き込むと、すぐに長男から返信があって無事を確認。こういうものがあると便利だ。四日市の次男一家は北陸から和歌山へ大旅行しているらしい。こちらはひたすら仕事をしている。

08/19/土
こちらは仕事場ではひたすら仕事をしている。大学と文芸家協会は動き始めたようでメールが届く。それでも世の中は週末になっているようだ。来週にはこちらも東京に帰る。まだしばらく公用はないので自分の仕事に集中したい。本日はひときわ猛暑。テレビを見ていると東京はずっと涼しいらしい。東京にいても集合住宅に閉じこもっていれば寒暖はあまり関係がない。この仕事場は木造家屋なので外気の影響が大きく、猛暑は困る。昨夜の夜中、ものずこい豪雨になった。まだ起きて仕事をしていた。木造家屋だから雨の音もすごい。季節感がわかっていいという気もする。

08/20/日
今年はこの仕事場に、2週間ほど滞在することができた。正月とお盆にしか滞在できないのだが、今年はうまくスケジュールがとれた。ここに来て、歎異抄口語訳を完成させることができた。古代ロマン神功皇后も100枚くらい書いた。いい感じだ。このペースであと一ヵ月ほどで草稿ができそうな気もするが、まだ試行錯誤の段階なので、作品が完成するかどうかもわからない。今年は24日の木曜日に大学の三鷹サテライトでの講座が入っている。そこまでは休みなのだが、次男のところの孫1が火曜から東京に来ることになっていて、もしかしたら明日の朝、こちらに来ていっしょに車で東京に向かうという可能性もあったのだが、火曜に新幹線で一人で来ることになったので、わたしと妻は、明日の間に東京に戻ればいいことになった。このように予定が未定のままでいるのは、老人2人にとってはややつらい状況なのだが、四日市の嫁さんの孫のご意向を優先するしかない。こちらは黙々とスケジュールを調整するばかりだ。イーブックの連載が終わったので、当面に仕事はない。壬申の乱の資料を読みながら、神功皇后を進めていきたい。

08/21/月
東京に戻る。まず浜松の根洗のファーマーズマートというところで野菜と果物を買う。それからキ田テクノという工業団地の中を通ってフルーツパークの横の新東名浜松SRから高速に乗る。藤枝パーキングで休憩。藤枝というと小川国夫さんのことを思い出す。もう10年以上も前のことだが、藤枝で小川さんの講演の前座をつとめさせていただいたことがある。まだ新東名はできていない。旧東名を妻の車で三ヶ日インターで藤枝に向かった。講演のあとの二次会は寿司屋の二階だった。小川さんのファンの集いみたいなところだった。小川さんの人気ぶりがわかった。小川さんには何度かあったのだが、いっしょに呑んだのはその時だけだと思う。学生時代、河出の担当編集者に教えられて、駿河台下の東京堂の小川さんのサイン会に並んで、サインをしてもらった。その時、担当編集者がそばにいて、わたしを紹介してもらった。半生記近い昔の話だ。わたしは小川国夫を、埴谷雄高とドストエフスキーの次に尊敬している。わずかでも言葉を交わすことができてよかった。藤枝パーキングはすいていていいところだった。新東名はその先の静岡からSRが3つ続くのだがどこも混んでいる。旧東名に入って、あしたかパーキングで休み、海老名SRで弁当を買い、給油をした。御茶ノ水の周辺によいガソリンスタンドがないので、なるべく高速内で満タン状態にしておく。めったに車に乗らないのだが、何か緊急のことがあれば車があれば夜中でも移動できる。野菜を買ったり、高速でも3度休んだので、7時間くらいかかったが、渋滞もなく御茶ノ水に帰りついた。パソコンを設定し、仕事場までもっていった資料を片づけ、郵便物を整理し、とにかく仕事ができる状態になったが、本日は自分の仕事は休みだ。結果として、明日と明後日は休みとなるので、ゆっくりと疲れをとりたい。

08/22/火
四日市の孫1が来て、昼食のあと、妻が川口に連れていった。何かのトレーニングがあるらしい。妻が新幹線に迎えにいったのだが、嫁さんからメールで、八重洲地下街の散髪屋に連れていけと指令が出たらしい。夜、仕事を終えた次男が来る。こちらは新幹線の中からわたしに指令で、熱闘甲子園を録画しておけとのこと。ジジババ使いの荒いやつらだ。浜松で3章まで書いていた神功皇后を読み返したら、2章から3章にかけてが、少しだれていることに気づいた。3章を4章として、新たな3章を入れることにした。緩急ということが必要で、緩ばかりではよくないのだ。

08/23/水
次男と孫は昨日と同じ川口へ。こちらはひたすら仕事。『文芸思潮』が届いている。ここには全国同人誌の作品のナンバー1を決める「まほろば賞」の候補作が出ている。わたしは選考委員なので、とりあえず候補作に目を通した。いつも思うことだが、芥川賞よりレベルが高い。候補者の平均年齢が思いきり高いせいだろう。候補者6名のうち、わたしより年上が3名、ほぼ同世代(正確に言うと1歳年下)が2名、若い人が1名ということで、文章がうまい。文学に取り組む姿勢が決まっている。とくに高齢者の3名は、来年あたりに死ぬかもしれないという気持で書いているのではないか。わたしはまだそういう心境になっていない。あと10年は生きるだろうと思っていて、執筆計画も10年先くらいまでを考えている。とりあえず6篇を読んで、自分なりに評価を決めた。まだ選考会の日程については編集部から連絡がないので、先のことになるかもしれない。この文芸誌は年に2〜3回くらいしか出ないので、それほど急がなくてもいいのだろう。

08/24/木
わたしの夏休みは昨日で区切りがついた。本日はまず大学の三鷹サテライトで講座。語り慣れたテーマなので楽しく語れた。終わって三鷹から八王子乗り換えで新横浜へ。メンデルスゾーン協会の理事会。いつもは神保町でやるのだが、いつもサロンコンサートをやってもらっている室内楽のメンバーが駅ビルでミニコンサートをやるというので、とりあえずそのコンサートを見ることになった。横にロビーのようなところがあり、ビールが飲めるので、のんびりビールを飲みながら演奏を聴く。終わって飲み続けながら会議。終わって新幹線で帰る。これは便利だ。新横浜駅のホームから35分で自宅に帰り着いていた。妻、次男、孫1は、孫1が受けていたパフォーマンスの発表会。こちらの方が先に帰りついた。猛暑。久し振りに仕事をしたので、ぼうっとしている。とくにサテライトの講座は、一回きりの講演なので、時間内にきっちり終わらせる必要があり、いつも綱渡りなのだが、今回もうまくいった。八王子経由で新横浜というのはちょっとした旅行だったのが、のんびりと移動できた。三鷹から新宿乗り換えで渋谷に行き、東横線で菊名、それから横浜線というコースの方が時間的には早いのだが、3回乗り換えはきつい。帰りも新幹線を使わないと、菊名乗り換えで東横線で、渋谷から地下鉄だが、これも途中で一回乗り換えなので、3回乗り換えが必要だが、新幹線なら東京駅で中央線に乗り換えるだけだ。料金は1480円で、これで3回乗り換えが避けられるなら安いものだ。

08/25/金
今日は文藝家協会でオーファン委員会。わたしが委員長をつとめている。著作権者不明の著作物を円滑に利用できるようにするための一種のボランティア活動なのだが、多くの人々が集まってベストを尽くして議論に参加していただいている。こんなふうに、目先の利益にとらわれずに、見識をもって対応してくださる人々がこれだけいるということに、毎回、感動を覚える。今日はとりわけ暑かった。最短のコースをたどって文藝家協会に往復したのだが、とても疲れた感じがする。次男と孫1は大宮の鉄道博物館に行ったようだ。夜はわれわれの集合住宅に隣接したソラシティーというビルの地下広場にある和食の店で食事。金曜日なのでとても騒がしい印象だったが、こうして日々がすぎていくのだなという気がする。自分の子どものころは、こんなに豊かな雰囲気ではなかった。いまの自分は、自分の努力でここまで来たという自負をもっているのだが、4人兄弟の末っ子だったので、自宅に本が大量にあった。それがいまの自分を培ったのだと思っている。ドストエフスキー全集も、漱石全集も、自宅にあった。プルーストの「失われた時を求めて」も、カフカ全集も、自宅にあった。そんな環境で育った人は少ないだろう。自分の父も母も、教育は受けていない。母は小学校中退だ。それでも、兄や姉が文学好きだったことで、自宅に本があるという環境があった。そのことにとりあえず感謝したい。わたしはいまの自分を、自分らしい生き方だと感じているし、ここに来るまでにそれなりの努力はしてきたと思っているのだが、中学、高校時代に自宅に本がなかったら、いまの自分はない。学校の図書室よりも、自宅の書庫の方が充実していた。そんな家に生まれたからこそ、いまの自分があるのだと思っている。さて、今日のオーファン委員会で、公用はしばらく休み。週末から来週にかけてはまた休みになる。いま自宅にいる次男と孫も、週末には帰るのだと思う。猛暑は何かとかならないのかと思うが、外に出る仕事はないので、自分の仕事に集中できると思っている。

08/26/土
次男と孫1は近くの科学技術館に行った。こちらはひたすらパソコンに向かう。いままでのところをいろいろと入れ換えている。ヒロインの神功皇后を早く登場させたいので、サチ彦を追っていたストーリーを中断する。ヒロインは謎めいた感じで登場させたい。

08/27/日
次男と孫は早朝に帰っていった。もう一人の孫のコンクールがあったようだ。それまでは帰ってくるなと嫁さんに言われていて、長い逗留となった。わが妻が疲れ果てていた。こちらはようやく古代ロマンの調子が出てきた。まだ出版社との交渉をしていないのだが、あてはある。具体的に半分くらいまでの構想ができてから交渉したいと考えている。まだ試行錯誤がかなり続くのではないかと考えていたのだが、ようやく昨日の真夜中あたりに、全体の構成が見えてきた。問題は仲哀天皇の死をどのように描くか。日本書紀と古事記では違う展開になっているので、どちらでもないオリジナルのストーリーにしないといけない。日本書紀の暗闇の中で琴が響くという話は魅力的なのだが、あまりに哀しすぎる。ヤマトタケルの子息なのだから、もう少しかっこよい死に方にしたい。それと、敵の設定なのだが、黄泉軍と黄泉醜女、黄泉鬼などがぞろぞろ出てくるとおもしろいと思う。ただこいつらの弱点っ何なのだ。日本書紀にはツチグモというのもよく出てくる。とにかく人間の戦いではなく、魔界との勝負ということになるだろう。だんだん古代ロマンらしくなってきた。

08/28/月
近所の医者に行って薬をもらう。あとはパソコンに向かって執筆。ホームページのポータルをしばらくいじってなかったので、少し入れ換える。このホームページはiPadなどでは文字化けするので何とかしたいと思っているのだが、先延ばしにしている。ひまになったらやりたい。自宅でちょっとした調べ物をする時はiPadをわたしも使っている。スマホはiPhoneではないので自分のホームページも見られるのだが。さて、いま書いている古代ロマンは、神功皇后の話なのだが、タイトルは「卑弥呼戦記」という通しタイトルをつけたいと思っている。この巻はクマソとの戦いで終わる。中心となるのは朝鮮半島にわたってからなのだが、これが書けるかどうかはわからない。とりあえず仲哀天皇が亡くなって、神功皇后が政権を執るところまでで完結させたい。が、そこまでの段階では、あまり戦は起こらない。神々との交渉、すなわちウケヒ(誓約)というものがテーマになる。現実の戦争も、交渉によって決まるところも多いので、戦闘シーンがなくてもいいのだが、それでロマンらしい展開になるか、やってみないとわからない。とにかく神々がたくさん出てくる話になる。大学からいろいろとメールが来るようになった。が、今週金曜までは、わたしの休みは続いている。先週は三鷹のサテライトまでは行ったのだが、大学にはまだ足を踏み入れていない。

08/29/火
本日は大学の雑務に忙殺されていた。学部長の仕事はたくさんある。自宅にいてもメールに添付された書類が次から次へと送られてくる。たまっていた書類を片づけて、すっきりとした。夕方はマッサージに行った。ひさしぶりだ。このところずっとパソコンに向かっていたので肩が凝っている。よく仕事をしていると思う。仕方がない。パソコンを打たないと作品が先に進まない。とにかく本日で雑用はすべて片付いたので、明日からは自分の仕事に集中できる。古代ロマンのおよそのストーリーが頭の中で完成した。しばらく思考慧錯誤が続くだろうと考えていたのだが、意外に早く構想がまとまった。あとはゴールに向かって一気に行けるだろう。

08/30/水
今月も明日が月末となった。大学は夏休みがあって、今年は浜松の仕事場にも2週間ほど行けたし、自分の仕事に集中することができた。大学の仕事の一部でもあるのだが、武蔵野大学出版界から『こころにとどく歎異抄』という本を出す。軽い入門書といったものではなく、しっかりと原典を読み込んだもので、もちろんわかりやすい解説をつけているのだが、読み応えのある内容になっている。こんなものをいつか書く日があるとは思っていなかったのだが、『親鸞』を書いた勢いでこういう仕事もすることになった。自分の人生にとっても、なかなかいい仕事ができたいと思っている。そして、ようやくこのノートのタイトルでもある「古代ロマン」を書き始めた。とにかく作品を完成させてから全体の構想を練りたい。神功皇后の話で、3部作になる。仲哀天皇が死ぬまでが第1巻、新羅との闘いが第2巻、応神天皇が生まれてからが第3巻ということになる。神功皇后は、つい最近まで、女帝と考えられていた。まぎれもなく女帝だといっていい。しかも神秘的なヴェールに包まれている。これをしっかり書ききりたい。どうでもいいことだが、サウジアラビアがアラブ首長国に負けたらしい。何だ、それは、という気がする。サッカーというものにそれほど関心をもっているわけではないのだが、アメリカン・フットボールの終盤の順位争いの計算や予想を毎年やるので、Wカップのアジア枠を争う順位の計算にも興味をもっていた。最後の2試合を残した段階で、日本は首位にはなっているが、勝ち点1差で追うオーストラリアとサウジアラビアの直接対決2試合を残している。この2チームは残り1試合は、下位のチームとの対戦なので、勝利の勝ち点3が計算できる。そこで日本はどちらかに勝つしかない。引き分け2試合だと勝ち点が2増えるだけなので、他チームが下位チーム勝って勝ち点3をとると抜かれてしまうのだ。しかし強豪国を相手に勝つのは難しい。両チームとも日本と引き分ければ2位以内がほぼ確定するから、引き分け狙いで引いてくるだろう。無理に攻めて逆襲で先取点をとられると、ほぼ絶望という状態になる。というようなことは誰でも考えるところだが、明日の試合に先立って行われたサウジ対アラブ首長国の試合で、サウジは負けてしまったのだ。これで日本は、サウジに引き分ければ2位が確定する。ということは、明日のオーストラリア線は、負けてもいいということになる。もちろん勝てばWカップ出場が決定するのだが、引き分けでも負けでも同じということなので、何だか気の抜けた試合になるかもしれない。まあ、どうでもいいことだが。夜中、何となく柔道の試合も見ている。一昨日、昨日と、男女とも優勝した。世界選手権はオリンピックと違って、2名出場できるので、気が楽になるということがあるのかもしれない。昨日の女子は日本人同士の決勝戦だった。まあ、仕事をしながらテレビをつけているので、画面を見ているわけではないのだが。アメリカのFootballはまだ始まらない。来週の木曜日が開幕戦か。日本では金曜日の朝だろう。今年もジャイアンツとスティーラーズを応援したい。去年、新人2人が大活躍したカウボーイズは今年はどうだろうか。スーパーボウルで大逆転負けしたファルコンズはショックから立ち直れないのではないか。ダークホースとしてバッカニアーズとブロンコスを応援したい気もする。嫌いなのはペイトリオッツとパッカーズだ。負けを期待しながら見たい。

09/31/木
スポーツは好きなので、サッカーの試合を見てしまった。若手が活躍して2対0の快勝だった。引き分けだと敵地のサウジアラビアで引き分け以上が求められるので苦しいところだった。最終戦はさらに若手を起用すれば、快勝できるのではないか。オーストラリアは最終戦はタイ戦なので、2対0で勝てるだろう。サウジは日本に勝つしかないのだが、1点差の勝利では、オーストラリアがタイに3点差で勝つと3位に落ちる。しかし地元だから、とにかく日本に勝つことが求められる。オーストリアがタイ相手に点差をつけられないようだと、とにかく日本に勝てばいいということになる。日本はもうW杯出場が決まっているので、あとは若手に活躍の機会を与えるということだろう。まあ、どうでもいいことではあるが。8月が終わった。今月はよくがんばったと思う。月半ばに予定通り歎異抄を完成させた。古代ロマンも順調に進んでいる。来週、編集者と会う約束をした。ほぼプランが固まってきたので、口頭でプレゼンテーションできるだろう。明日、大学に行くので、研究室のプリンターでできているところまでプリントしてみたい。



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