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●「マジックラブ・チャイルド」 ●松苗あけみ ●ぶーけコミックス ●全1巻 ●集英社 ●「ハロー・グッドバイ」「春だからめざめたみたい」 |
松苗あけみ先生を初めて知った作品が、この「マジックラブ・チャイルド」でした。健気なポーニィに、思わず涙せずにはいられなかったあの頃。松苗先生にも、もう一度そんな漫画を描いてもらえたら嬉しいのですが……ちょっと期待薄です。もちろん最近の作品もおもしろいですよ(<フォロー)。
三流奇術士のジェン・ホリーズは、7年前のイブの夜に最愛の女性であるダイアナに捨てられてしまった。ジェンの子供を身ごもったダイアナは、彼の一流奇術士になるという夢の負担にならないようにと、友人のベッシーだけに真相を話し、自ら身を引いて失踪してしまったのだ。そんなこととは露知らず、自暴自棄になりロンドンのステージを追われてしまったジェン。そして7年の歳月が流れた今も、ジェンは田舎町を渡り歩きマジックを見せては日々の糧を得る、そんな生活を続けていた。 |
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ある町の孤児院に呼ばれて、子供たちにマジックを披露していたジェンは、ダイアナの娘であるポーニィと出会ってしまう。ポーニィは名前もわからない大事なパパがどこにいるのかと、魔法使い(奇術士だが)のジェンに尋ねるが、ジェンは自分の子供だと知ってそこから逃げ出そうとする。ところが誤解からジェンはポーニィを誘拐するハメに……。
ポーニィを連れロンドンに戻ってきたジェンは、今はクラブの支配人を任されてるベッシーの元へ居候することになる。一緒に暮らすうちに徐々に心を通わせるジェンとポーニィだが、そんな生活は長くは続かなかった。ジェンを愛していたベッシーは、彼の夢への重荷となるからとポーニィの養子の話を持ちかけ、ジェンはそれを承諾してしまう。二人の気持ちが微妙にすれ違い、ポーニィはジェンたちの昔からの知り合いであるデビッド家の養子になってしまう。
7年前捨てられたダイアナが忘れられず、母の語る素敵な父親が忘れられない、そんなジェンとポーニィ。血の繋がりではなくダイナアが結ぶ心の繋がりが、二人を本当の親子として結び付けていく。現実がどんなに二人を隔てようとしても……やっぱり泣ける話です。それにしても、ベッシーには幸せになってもらいたいなあ。
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松苗あけみ(まつなえ・あけみ)
デビュー作/「やくそく」1977年(リリカ)
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