クラスわけ

 乳児期を過ぎた双子の親達の間でよく出てくる話題の1つにクラ ス分けの話がある.2人を同じクラスにすべきか,分けるべきか. かく言う私も双子の父親として2人のクラス分けについて悩んだこ とがあるので,1事例として書いてみたい.

 ことの始まりは,保育園入園である.我が娘,有希奈,安寿奈は 保育園に2年間通ったが,この保育園は各年齢に1クラスしかなかっ たため,当然同じクラスである.入園おめでとうと書かれた看板の 前で恒例の記念写真を写し,娘達の保育園生活は始まった.

 しかしである.入園後,有希奈はなんとなく元気がない.どうや ら,有希奈は安寿奈の影に隠れるような感じで,保母さんが有希奈へ 話かけても安寿奈が変わって答えてしまう,という状況のようだ. 友達の輪にも安寿奈はすんなりと溶け込んだが,有希奈は今一つな じめず,やはり安寿奈の後ろに隠れる感じらしい.  もともと有希奈には内弁慶のところがあったが,それが更に強調 されている.安寿奈という隠れ蓑の存在が悪く働いているようだし, まわりの子供達も,2人を一緒のものとして扱っていて,なかなか 状況は好転しそうもなかった.

 ただ,不登園に至るほどではなく,一応は保育園にも行きたがる ので,2人の表情の差を気にしつつ保育園に通わし続けた.その後, 年長になるころから,まわりも2人を区別できるようになり,少し ずつ有希奈の様子も変わってきたが,それでもやはり有希奈が気に かかる2年間だった.

 さていよいよ小学校入学である.通常双子の場合,クラスを同じ にするか分けるかを学校から聞かれるらしく,我が家の場合も学校 から連絡が来た.さあ,ここが思案のしどころだ.隠れ蓑である安 寿奈がいなければ,有希奈はのびのび振る舞えるか? いないこと が原因で,却ってまわりとつながりを持てなくなってしまわないか?

 いろいろ悩んだ末,結局クラスを分けて貰うことにした.好転し てくれるほうに賭けたのである.

 その結果,有希奈は見違えるように元気になった.どうやら,別 のクラスになったことで,双子の1人,ではなく,「有希奈ちゃん」 として扱かわれることが嬉しいらしい.学校のことを楽しそうに話 す姿は感動的だったし,まわりからも有希奈ちゃんは明るくなった ね,と言われたりと,これまでのできごとが嘘のようだった.

 別々のクラスでいいことは他にもある.テストなどでも2人がま わりに比べられることがない.また,成績や,行事の際の役割の違 いなどについてもクラスの違いというクッションがあるため,親と しても2人を直接比べなくて済むことは気が楽だ.

 その後,3年,5年でクラス代えがあったが2人はずっと別々の クラス.特に問題もなく,今日も明るく学校に通っている.

トップへ戻る   「双子と年子」にへ戻る