Phil Foglio

〜Magicの最終兵器ダンナ編〜

 Phil Foglio。なぜStrongholdに絵を描かない?「What's New?」でうっかり描いてしまったVolrath様のお茶目さが会社の気にくわなかったのか?それはさておきMagicを好くも嫌うもすべてはこのお方のカードをどう見るか、という時期がわたくしにはありました。白状しますと最初のスターターに入っていた師匠のイラストにはがっくし来てしまったんですね。「なにこれぇ〜〜〜」みたいな。それがだんだんヨクなってしまったのはなんでしょう、やっぱりIce Age版の「硫黄泉/Sulfurous Springs」あたりからでしょうか。いやいやアライアンスで最初に引いてしまった「Unlikely Alliance」にラヴを感じてしまったのがきっかけなんでしょうか。今となってはどうでもいいような気もします。最近ではPortalで「挑発/Taunt」っつー傑作を描いてくれましたね。ああ、その調子でいつまでもいつまでも魔導師のどつき合い&トーナメントデッキ品評会なデュエルの場をおポンチに捏造しておくれ!というわけでラヴと共にお送りします、こちらはダンナ編。やっぱこの夫婦は切り離して語れません。南米文学風にしてみましたので脚注は全部本文に織り込みました。どこが南米かは聞かないでくださいね。嘘でもいいから「ガルシア・マルケス?」とか呟いてくれると俺的にはおっけーです。

 

 ほーほっほっほ、お前さんPhil Foglioについて知りたいのか。まぁ悪いことは言わんから奴には関わらん方が身のためだな。なんせ奴のオヤジさんはついうっかりとAlamogordoでの最初の原子爆弾の爆発を目撃しちまうくらいの粗忽もんじゃからな。なにアラモゴードを知らん?これだから今時の若いもんは・・・原爆っつったって木の股から産まれたわけぢゃないんだぞ。どっかのおっちょこちょいが世界を革命しようとしたら剣の代わりにイデの木の実が出てきての、そいつが発動したからそらもう大騒ぎぢゃった。儂はそん時海兵隊にいたんでよお知らんがな。別に光を見ながらイタした訳でもないんだろうがな、そのことで Phil自身の因果律もおおいに影響を受けたらしいな。まぁよくある宇宙の悪意っつう奴だ。奴は生意気にもNewYorkで育ったんじゃが、そこでは意味のあることをなんにも言わなくてもえらい早口でいつまででも喋っていられるってえタレントを身につけたんじゃ。おかげで株価が一時傾いて金融恐慌が起こりかかったらしいがな。無論、これは大都会で強く賢く生きていくためには欠かせない才能なんだがそういうことを聞きたいわけぢゃないんだろ?絵をかくのは元から好きだったらしいが、奴としては当時からいっちゃんいかしててcoolでgeekな Computer業界に就職する心つもりでいたんだな。まぁ今時のお前さんらがうっかりゲーム業界なぞ行って死ぬほど後悔するのとおんなじじゃな。わしに言わせれば男子一生の仕事といえば農夫か木こりか漁師以外考えられんのじゃが、世も末じゃな。一つ奴がうっかりしていたことには、あの業界は小難しい数学必須だったってことで、まぁ奴は親父さんの失望なんぞお構いなしにとっとと「あーてぃすと」への進路を固めちまった。奴が就職していたらきっとMacintoshとかAmigaとかCommodoreとかSinclairとかMSXとかBASIC MASTERとか霊子チップとかHAl9000とかマザーコンピュータ・ハレルヤとか妙ちきりんな機械が山ほど出てきてあっつう間に人類リセット&再インストールな話になっちまったからまぁ世の中には良かったんじゃな。儂はそう踏んどるが。もっともこいつは昔の話で、コンピューターが 七面倒臭い数学を全部てめえでやってくれちまうようになる前の話しだな。聞くところによりゃ今じゃ コンピューターが絵ぇまで描いてくれるそうぢゃな、そんならいっそ代わりにカードテキストの翻訳もしてくれると「目かくし」だの「精神ドリッパー」だのよりはまともな日本語版がリリースできると思うんじゃがな、まぁこれも余計な事ぢゃったかな。hehehe。奴はなんでも Chicago Academy of Fine Artsっていうえらく格式が高くて歴史のある大学に通っていたらしいが、ああいうすっとぼけた絵師を世に出したのを気に病んだんぢゃな、Philが卒業すると後を追うように潰れてしまった。奴は「俺様とは関係のないことでありおり侍り」なんつったらしいがな、わざわざそんなことを強調するのは真犯人しかやらんこっちゃな。実に多くの有能な人材がおんなじょうに堕落していったんぢゃが、奴も大学在学中にSFのファンダムというやつにはまってな、よせばいいのにファンジンの主要な編集人になっちまった。人民寺院なんかよりよっぽど質が悪いんでな、連邦政府はSFを法で禁じた。うん、知らんのも無理もないの、あの法律は儂らイルミナティがもみ消してしまったからな。ほほほ、こいつは秘密だったか。まぁなんであれSFなんざ読んだり書いたりするようになったら人生終わったも同然なんじゃが、奴は駄目おしにヒューゴー賞のベストアマチュアアーティスト部門賞を1977年、78年の2期連続で受賞してしまった。ヒューゴー賞を知らん?しらん方がいいぞ、知ってると飲みの席で変態呼ばわりされるからの。ネビュラ賞と並ぶアメリカSF界の大賞ぢゃ。こんなこと知っとるともうまっとうな人生とはおさらばだぞ、あんたもな。学校を潰してからというもの、奴は本のカヴァーワークやらアレやらコレやらの仕事を渡り歩き、しまいにはコミック業界に身を寄せることになったんだな。そこでRobert AsprinのMythAdventuresをコミック化したり、StarblazersやDynamo Joe、DCのHis Monsterなんかの脚本に関わったりしたんじゃ。Starblazersって「宇宙戦艦ヤマト」の米国版ぢゃないかって?お前さん、アレだな、あの「Oh!Ta-kku」とかいう連中なんか?まぁ人がどんな趣味を持とうが儂の知ったことぢゃないがな。男だったら海軍に入るくらいのことはしてもらいたいもんぢゃな。まぁいい、ライター稼業までやってる奴はだ、ダチのNick Pollttaと組んでIllegal Aliensなんて作品も発表してる。なぁんて書いててもこれを今嘘臭い翻訳でWWWにあげようとしてるこいつだってわかっとらんのだ。1989年にぃ、Philは自前の出版社をぶち上げる。憎まれっこがアレって奴なんじゃが、Palliard Pressという名前のそこで発表されたのが例の悪名高いXXXenophile、こいつはまずコミックで発表されてEisner賞とやらにノミネートされて世の青少年に多大な悪影響を与えた。ああいうのは儂くらいの年にならんと意味がよお分らんのではないかな。まぁ枕元に置くには重宝する本ぢゃよ。ふぉっふぉっふぉ。なに、見たことがない?どっかの店で売れ残りのスターター一箱でも買ってみたらええんぢゃ。未成年のお子様はいかんぞ。そんな金があるなら聖書を買え。ほかにはBuckGodot--Zap Gun For Hireやらを出したそうなんじゃが、こんなのは勿論目くらましでな、今はXXXenophileのトレカが流行りぢゃな。 XXXenophileのトレカについては例によって「最初は冗談だったんだ」なんぞとぬかしておられますが、儂の寝室には「XXXenophileすんごいのバージョン」のαテスト版アンカットシートが飾ってあっての、お蔭で今年76の婆さんが483人目のガキを作った。効果覿面という奴だがの、いつか新婚の若夫婦を泊めてやったら次の朝には二人とも絵の前でひからびておったな。あやうく雑巾だと勘違いして捨ててしまうところだったが、ナニをしていたのやら。あー?何の話だったかの、まあ奴の話ももうじき終わりぢゃ。今は「浜辺の魔法使い」とかいういかれた名前の会社でいんちきくさい残業をしまくっているらしいの。「What's New?」なんてマンガがDragon MagazineからThe Duelistに移籍になって、その頁だけは役員会も見なかったことにしてくれているらしい。Magic: the Gatheringってえ、資本主義礼賛カードゲームでこれまた御意見無用な絵をばんばん描いとる。ほかにはRoborallyってえ、お目目ぱっちりのロボットが駆けずり回るカードゲームを作ったらしいの。これをやればお子様は運命論への信仰と浮き世の物事のはかなさ、ついでにコンピュータープログラムの基礎まで覚えられるというふれ込みじゃ。オヤジさんも草葉の陰で身悶えしとるじゃろうな。

 わしはちょっと疲れたでな、少し休ませてもらうよ。婆さんに茶でも淹れてもらって、ついでにPhilのニョーボの話でも聞くといい。

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やってみるとマルケスってよりR・A・ラファティになってしまいましたな。まぁいいでしょう。ラファティというのはSF作家さんですが、アメリカ伝統の「ばか話」の正当な後継者なんで読んで損はないでしょう。

(6月7日追記:Phil Foglio名義の書籍/コミックのリストはここでゲットできます。amazon.com、便利です)

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