ただ必要な電源電圧としてはカソードバイアス分の電圧と(簡易型とする為に固定バイアスにはしない)
フルスイング時の電圧降下等を考慮して270V程度になると思います。またCSPPではバイアスが深く
なっても音が悪くなる事はありませんから、カソード抵抗は250V時の抵抗値よりもすこし多めにしてお
きます。これで出力段はあっさり決まったのですが問題はドライブ段で、CSPPでは大きなドライブ電圧
が必要ですし、終段の利得は2以下なので、二段アンプとなるとアンプゲインのほとんどを前段で稼がねば
なりません。という訳で、前段の球は本来なら利得の取れる五極管が良いのですが、音質を考えて三極管を
使うのならば、μの大きな12AX7Aしかありません。さらに大きなドライブ電圧を得るために、前段の
電源は別に高電圧電源を用意する必要があります。
以上の点を踏まえて様々な球と回路で試作して見たのですが、たどり着いた回路は古典的位相反転回路で
した。現在では、まず採用される事はない回路ですが歪率特性は意外と良好ですし、実際の音についても数
日間試聴していましたが、三極管ドライブが功を奏したようで私の耳では悪くないのです。
ただ一点だけ改良していて、下側のカソードパスコンを無くし軽い自己帰還が掛かるようにして、その分
の下側への分圧比を変更しています。上下の動作が違ってしまうのですが、どういう訳か手持ちのどの銘柄
の球を挿しても歪率が下がるので、下側のパスコンは無しとしました。
という訳で以下のような回路になりました。
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