ロンドン憶良の年頭雑感







回顧と展望

戦争とテロの脅威

 アメリカ大統領選挙以来、世界の潮流が変化したのではないかと、
危惧しましたが、予感は当っていました。

 イスラエルとパレスチナの紛争は、世界のあちこちに飛び火して、
民族・宗教の抗争から、富める国と最貧国の対決の様相を呈するよ
うになりました。

 アメリカはテロ支援国としてイラクや北朝鮮などを強い姿勢で非難
し、核兵器や生物兵器、化学兵器の根絶を図ろうとしています。
 これらの国々が、民族主義や社会主義を標榜しながら、実態は独
裁政権であることが、事態の解決を混乱させているようです。

 英国は、歴史的民族的背景から米国を支援していますが、欧州諸
国は、ブッシュ大統領の姿勢や米国の「おらが天下」意識に、辟易し
て少し距離をおいているように見えます。

 これまで中東紛争には直接介入していなかった日本は、アラブ諸
国からもその中立性を評価されてきました。しかし今回のイラク攻撃
作戦にはイージス艦を派遣しました。これは従来の後方支援とは異
なり、米国の情報戦略に直接組みこまれたことを意味します。

 これまでは日本を敵視していなかったイラク政府は、今回明らかに
敵意を表明しました。これは、日本もテロの対象国になったということ
です。バリ島の惨事は他人事ではなくなりました。


北アイルランド問題

 殆ど最終段階に達していた和平交渉が、またまた挫折しました。
民族、宗教の対立の根深さを感じるとともに、一部の狂信的右派や
左派の行動には、何処の国も振りまわされているように見えます。
引き続きその経緯をまとめ、今後の推移を冷静に見たいと思います。


アジアを訪ねて

 昨年は香港から乗船し、世界自然遺産の北ベトナム・ハロン湾の
風景を堪能しました。両国はかっては英仏の植民地でした。

 ここ数年来、アジア諸都市を訪れています。観光や歴史の探訪と
同時に、欧米列強や日本の植民地政策の爪跡、更には元バンカー
としての視点から、各国の近代化や問題点も垣間見ています。
 列強の侵略政策に屈しなかったタイも印象深いものがあります。
 大英帝国時代のアジアにおける植民地政策の功罪は、余りにも大
きいテーマですが、日本の近代史とも関係が深いので、漸次、掲載
したいと思っています。

 「有言不実行」とならないよう、昨年来持ち越しの課題を消化したい
と考えています。


2002年の年頭雑感

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