瞼のマレークラブ
(前頁より)



マレー・クラブには物悲しいフィナーレがある。
アムステルダム駐在の大岩君がロンドンに出張してきた。
「先輩、音に聞くマレー・クラブに一度連れて行ってくださいよ」
というようなことになって、二人はこの古びたビルを訪れた。

ところが、ビルの扉にはでっかい南京錠が掛かっていた。
貼り紙には「マレー・クラブはクローズしました」と書かれてあった。
「ナンタルチア! 潰れたのか!」
南京錠は斜にぶら下がり、無言で運命を語る。




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