英語と日本語の母音


 日本語に母音は5つしかありません。これは世界の数ある言語の中でもかなり少ないらしいです。英語ではいくつなのでしょうか?ジーニアス和英辞典の発音記号表には30の母音が表記されています。英語の母音がいくつあるかは言語学者によっても多少意見が違うらしいのですが、日本語よりずっと多いのは確かでしょう。
 母音が少なければ、子音との組み合わせのバリエーションも少なくなるのは道理。当然、表現力も低くなってしまうのではないでしょうか?それを示すように、日本語には同音異義語が多数存在します。

例えば、「ひく」という言葉。
引く 惹く 弾く 轢く 挽く
IMEで簡単に色んな意味の「ひく」が出てきます。

同音異義語が存在するのに、その意味の違いはどうやって判断するのでしょうか?それはやはり文脈などの状況から聞き手が推測することになるでしょう。
こういったことが原因の一つとなり、日本人は状況によって言葉の意味を判断することに慣れているのだとも思います。
英語にも同音異義語はもちろんありますが、あると言いながらその例が頭に浮かんでこないほどで 日本語の場合とは比較にならないほど少ないと思われます。例が頭に浮かんでこないのは私の勉強が足りないせいもあるでしょうが。

 日本語の母音に比べて英語の母音が違うところは、大雑把に言えば変化する音があるということです。日本語の母音は発音の最初と最後の音は同じです。しかし英語は変化する音が母音に含まれる為に 日本語よりずっと多くの母音が使われています。

例えば次のような母音です。
ei, ai, au, ou
これらは母音の組み合わせとして在るのではなく、それぞれが一つの母音です。母音の組み合わせと思い続けていると、他の変化する母音を聞き取るのに苦労します。実際私自身苦労しているのですが。

 英語の子音はリスニングを重ねると比較的聞き取ることが容易になります。
しかし、母音はリスニングを重ね、語彙数が増えるとむしろ聞き取りが難しくなるような気がします。何故かというと、英語に慣れた人は多少聞こえない母音があっても 文脈からその意味を判断してしまうからです(これは日本人が苦手と言われる LRBVなどにも言える事でしょう)。
つまり英語では全く違う別々の音なのに、日本語の同音異義語のように聞き手の判断で意味を理解してしまい、音を区別するという作業をしなくなってしまうのです。

 では、英語の母音をちゃんと聞き分けられるようになるにはどうしたらいいのでしょうか?私には「それぞれの違いを意識してリスニングを続ける」という方法しか思い付きません。


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