2008年10月から3月まで、研究休暇を利用して台湾に住みました。淡江大学にて研究室をいただき非常にお世話になりました。以下は気付いたことのメモ。
社会の特徴
台湾は多民族国家で、日本や韓国とは、社会の特徴がまったく異なる。台湾人(ホーロー人本省人)、客家人、中国本土系の人(外省人)、原住民(ポリネシア系の人)がいます。多文化社会なので、お互い価値観が違うため、台湾人としての常識や、マナーや習慣を設定して他人に押しつけてくるようなことはない。日本人のように礼儀に関してうるさいことを言おうとしても、そもそもお互いに、あうんの呼吸や価値観は通じない。
日本よりも不平等は大きいが、韓国ほどではない。もちろん中国やアメリカの不平等は大きい。台湾には貧しい原住民がいる。中国語が苦手なため読み書きができないと条件の良い仕事はない。また地主や大金持ちも多い。農地改革もあったし相続税もあるが、日本ほど徴税システムが整備されておらず、うまく機能していなかったようだ。台湾五大財閥と言われる金持ちの家族もいる。しかし資産の不平等は把握が難しいことも事実。台湾人も低学歴な人は標準語の中国語(普通語、北京語)は苦手である。台湾人が使う言葉は普通語とはかなり違い、日本語と韓国語の距離に近い違いがある。台湾語はホーロー語とも言われ、東南アジアの華僑の多くが使う言葉。客家語は古代中国の北方言語に近く、まったく異なる言葉である。
教育熱心で、受験競争も厳しく、都会では小学校3年生くらいから塾通いが始まる。しかし韓国ほどの受験戦争ではない。大学進学率は9割近くになり、大学を卒業しても仕事がない人も多い。中小企業中心の社会で、大企業への就職にはあまりこだわらない。徴兵制は1年。初任給は2万2千〜5千元前後。大学生の時給は95元前後。300円以下。
人柄の特徴
台湾人は性格がおとなしい。情に厚くあまり怒らない。その意味では日本人と気が合うが、日本人の方が性格は凶暴で争いを好む。街に野良犬がいても気にしない。昼は暑いので夜型の人が多い。大学生は夜7時くらいからテニスなどクラブ活動を始め、11時頃までやっている。酒はあまり飲まない。
価値観
自由でマナーやルールに関してあまりうるさいことは言わない。上下関係の序列や目上などは気にしないので日本と異なる。何をしても自由である。細かいことは気にしないが時間や規則にルーズでおおざっぱな部分がある。しかし遅刻はそれほど激しいわけではない。タクシーの運転マナーはかなり悪い。バスは韓国よりはましだが良くはない。女性の立場が強く働く女性も多い。しかし田舎の家では、男尊女卑で年寄りの男は台所仕事をまったくしない。そもそも女性もあまり料理をせず安い食堂で食べることが多い。
日本イメージ
親日的な人が多いが、中国本土系の人など、日中戦争で祖先の土地を失い命からがら台湾まで逃げてきた人もいるし、蒋介石時代に反日教育を受けた世代もいる。そもそも多くの日本人は、日中戦争が何年間あったかさえ知らないので、日本の教育にも問題があることは確か。台湾人から見ると、日本はとても豊かで技術の進んだ国。日本文化といえばアニメや秋葉原のマニア文化のイメージが最近は強い。健康的というよりは、不健全なイメージである。あとは電気製品や自動車のイメージ。
住むときに気をつけるべきこと
バイクの排気ガスで空気がきたない。マスクを用意するべき。歩道がでこぼこなので、歩きやすい靴が必要。水道の水の質はあまりよくないが、歯を磨く程度ならば問題は無い。旧正月の時はほとんどの店が閉まるが、中秋節などはそうでもない。台北の治安は東京とあまり変わらないが、夜に人気のないところへ行くのは避けた方がよい。人がいないところの治安は悪い。強盗や自動車泥棒も多い。台風シーズンに旅行すると交通機関がよく止まる。真夏は暑すぎて蚊が少ないが、それ以外の時期は多い。10月も35度をこえる日があり、体力を消耗しやすい。湿気がとても多い。ごきぶりや野良犬も多い。
淡江大學の地図
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