英語学習相談

本講座では、英語学習上生ずるいろいろな疑問・質問などの対処法を扱います。他のコーナーと併用して、大いに役立ててください。


1.単語・熟語がなかなか憶えられません。

単語・熟語を憶えるのは確かにきつい作業です。しかし、以下のようなポイントを押さえれば、相当効率的な学習が可能です。よく読んで、実際に応用してみてください。

(1)単語は接頭辞・接尾辞に注目する

単語の基本的な構造は、「接頭辞(もとの語の意味や働きを変える)+語根(意味上最小の単位)+接尾辞(もとの語の品詞を変える」です(勿論例外も多数ありますが)。例えば、internationalであれば、接頭辞はinter(「相互、間」)、語根はnation(「国」)、接尾辞はal(名詞を形容詞にする)となります。これで「国際的」という意味になるのはどうしてか、お分かりだと思います。ですから、もしinternationalの意味が分からないとしても、この3要素についての知識があれば、かなり精度の高い予測が出来るのです。これらについては、いろいろな参考書に載っていますから、是非参照してください。推薦書を幾つかあげておきます。

高木義人「TOEFL対策必修単語集」

風早寛「速読英単語(必修編・上級編)」増進会出版社

名和雄次郎「LDOCE2000活用英単語」桐原書店

島岡丘「英単語飛躍増殖辞典」創拓社

(2)グループ別にまとめる

知識というのはネットワークになっていますので、一語一語ばらばらに憶えていくよりは、同じようなものをまとめてネットワーク化し、整理してから憶えるようにする方が能率が上がります。これは心理学の記憶実験からも明らかなことです。単語を、同じ品詞・意味の似ているもの・形の似ているもの、といった具合に分けて憶えるようにしましょう。特に熟語の場合は、この方法が有効です。これに関しては以下の本を薦めます。

風早寛「解体英熟語」増進会出版社

田中茂範「英単語ネットワーク(動詞編・前置詞編・形容詞編)」アルク

田中茂範・川出才紀「動詞がわかれば英語がわかる」ジャパンタイムズ

(3)発音しながら繰り返し書く

オーソドックスな方法ですが、馬鹿にせずに実行すれば、効果はあるはずです。視覚と聴覚の双方を用いる訳ですから、記憶の負担を軽減できますし、発音を憶える上でも役立ちます

(4)単語帳・単語カード:作るのなら例文入りで

「単語を憶える」というと、単語帳や単語カードの使用を連想するでしょうが、作成に費やした労力の割に、意外に効果が上がらないと感じたことはありませんか? これは単語・日本語訳・発音記号を書くだけでは、使い方がよく分からず、実際に使うときに役に立たないことが多いからです(単語テストのためだけの勉強、ということであればこれだけでも十分でしょうが)。その単語が実際にどのような使われ方をしているのかをすぐ思い出せるよう、単語帳や単語カードを作る際は、例文も添えてみてください。そして例文ごと憶えるように心掛けてください。一見負担が増えて大変そうですが、こうする方が結局は、エネルギーの節約になるのです。また同じ理由で、単語集(でる単)も例文付きのものを使う方が効果的です。上述の各書も、例文がきちんと載っています。

(5)英英辞典を使う

「単語を英語で憶える」というのが英語学習者の理想像です。とはいっても身構えてしまう程難しいことではありません。最近は英語学習者向けの優れた辞典が多くありますので、是非、試しに一度使ってみてください。英和辞典だけでは分からない語のニュアンスや、分かり難い同じような単語との識別についてもよく分かるようになります。(1)でとりあげた「LDOCE2000活用英単語」は高校2年程度の英語力で理解出来る入門英英辞典でもあり、特におすすめです。また、LDOCEこと「Longman Dictionary of Contemporary English」(英英辞典の引き方を具体的に解説した小冊子付きの、「ロングマン現代英英辞典」となっているものが便利)も、平易な単語2000語のみで意味を説明しているので、比較的とっつきやすいといえるでしょう。


2.英語資格試験(英検・TOEFLなど)の準備はどうすればよいでしょうか?

英検は学習の進展に応じ、5級から1級まで10種類近く設定されています。また、TOEFLは米国などの大学・大学院への留学に必要な英語力を測定することを主目的としており、高得点ほど有利になります(目安は550点以上)。

英検は例えば、「高等学校修了程度(2級)」などといったレベルの目安がありますが、学校での学習のみではやや不十分な面が多いようです(本来はそんなことはないはずなのですが)。そこで、対策本などを利用して補強する、ということが必要になってきます。

書店に数多くの対策本がありますが、好みで選んでよいと思います。手に取ってみて、気に入ったものを選んでください。まず全般的な級別の対策本(発音・文法の問題から2次試験問題までひととおり載っているもの)から選び、続いて級別の単語・熟語集、2次試験用の問題集、そして後は好みと必要に応じてその他各種の問題集を購入する、ことを薦めます。勿論、試験とは直接関連のない一般の参考書類も大いに役立ちますので、併用しましょう。

推薦図書(準1級の例)

植田一三「英検準1級10日間突破英文法」明日香出版社(この本は、旺文社などのスタンダードな対策本ではあまり詳しく解説されていない英検必出の文法事項が分かりやすく、詳細に解説されていますので、特におすすめです。TOEFL対策にも使える内容です。安価なのも魅力!)

英語学習上、基礎となり必要となるのはまず「語彙力」です。単語や熟語を多く知っていれば、それだけ意味をとりやすくなります。またこういった試験での成績優秀者は例外なく、こうした力の持ち主です。ですからこの面にも十分留意してください(そのためにも、上述の1.を改めてよく読んでください)。またこのことと並行して、「推測力」を高めることも必要です。これがあれば、読解の問題や聞き取りの問題の際に大変役立ちます。このことに関して詳しくは、英語学習法(1)英語学習演習のコーナーをごらんください。

こういった資格試験はあくまでも「手段」であって「目的」ではありません。「目的」を達成するための1つの一里塚として考えるべきものです。試験向けの学習だけでは偏った学習方法が身についてしまい、後々それが災いして苦労しますので気をつけてください。


*開講にあたり、英語学習上の疑問・質問などを募集します。効率的な学習法に関して、或いは文法や語法についてなど、どのようなことでも構いません。下記宛お寄せください。

bm3m-yg@asahi-net.or.jp

 

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