くだらな日記2014


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8月23日(土)
 恥ずかしながら生まれて初めて、まともにブルースリーの映画を続けて見た。
 おお、このテーマは筋少のあの曲のメロディじゃん、あのシーンはホイ3兄弟のあの映画のあのシーンでパロられとったな、などと今さらな発見をしたが、ちょっと気になったことがある。
 司馬遼太郎「人間の集団について ベトナムから考える」は、1973年春にベトナムを訪問した記録だが、その中にベトナムで見た武侠映画の話が出てくる。
 その映画が、どうも「ドラゴン怒りの鉄拳」に思えてしかたがない。
 司馬氏が紹介する映画の概要を列挙してみよう。
・香港制作の武侠映画
・舞台は清朝末期の列強支配時代の中国
・主人公は中国拳法の達人
・悪役はジュードーの奥義に達した日本人
・悪の代貸しは白系ロシア人
 これにあてはまる、ベトナムで公開されていた映画をご存じならご教示いただきたい。

 さてこの映画が「ドラゴン怒りの鉄拳」だとすると、司馬氏の記述におかしなところがある。
 司馬氏によると、「高倉健的主役が隠忍自重、がまんにがまんを重ねてついに立ち上がり、大悪玉の一家に乗り込み、大乱闘のあげくやっつける」そうなのだが、「怒りの鉄拳」のブルース・リーはぜんぜん隠忍自重していない。挑発されるとすぐに敵道場に乗り込んで大暴れし、師範代に軽率なことはするなと叱られているくらいだ。
 この「隠忍自重」は、そのあと氏がアジア的性質として紹介している「アモク」(普段は温和な集団が突如として凶暴になり殺戮を行う)に繋げたくて創作した属性ではあるまいか。

 さらに香港の会社が、アメリカ、イギリス、ドイツ、ソ連、イタリア、フランス等の列強を悪役にすると抗議が来るのを恐れ、文句を言わなさそうな日本を悪役にした、というくだりも疑問がある。
 ブルース・リーの映画では、「ドラゴン危機一髪」の悪役はタイ人の麻薬密輸組織、「ドラゴンへの道」ではイタリアのギャング(おそらくマフィア)、「死亡遊戯」では国籍不明の多国籍暴力プロモーション組織、「燃えよドラゴン」ではおそらく中国人がボスの麻薬密輸組織兼武闘団体、と悪役の国籍はバラバラ。これらの映画は1973年春の時点では日本未公開だが、「危機一髪」と「道」は香港でなら公開されているし、たぶん「鉄拳」を上映するような環境でなら見られたはず。そもそも、ナチス親衛隊やらマフィアのボスやらが世界中の映画で数万回は悪役を務めているというのに、別にドイツもイタリアも抗議しないもんなあ。


5月15日(木)
 あなたはマイティジャックを知っているか。
 と大上段に構える必要もないな。単に私が最近ビデオを見ただけのことだ。
 1968年4月放映というから、ウルトラセブンの放映中だな。ウルトラシリーズがTBSだったのに対し、こちらはフジテレビ。
 水陸空万能戦艦のマイティジャック号を主人公に、怪獣や巨大ヒーローの出てこないアダルトな特撮番組を目指した野心的な試みであるらしい。
 で、そのアダルト指向はどこに現れているかというと。
 マイティジャックの隊員はなにかというと煙草を吸う。隊長と敵のボスは葉巻だ。その喫煙率、優に屈強な男達に匹敵する。
 副隊長の趣味がゴルフ、というか表向きの職業がゴルファー。
 仕事中にはコーヒー、夜はガウンを着てブランデーでくつろぐ。ナイトクラブでは裸の女性の踊りを見ながらウィスキーのロックを傾ける。敵に勝利するとシャンパンで乾杯。
 という、まあ、「子供が考えた大人の趣味」を絵に描いたような描写であるわけだ。

 ちなみにマイティジャック号の隊員の制服は一定ではない。
 ブレザーみたいな地味な普通の服と、いかにも隊員という感じの派手な柄のタイツがある。
 なんでも隊長を演じた二谷英明が派手なタイツを着るのを嫌がったという話だが、隊員を演じた天本英世も、ブレザー姿しか確認できていない。天本氏が二谷氏に便乗したのか、それともタイツ拒否は天本氏の主張だったのか、微妙なところだ。タイツ姿の天本英世というのも、いっぺん見てみたかったような見たくないような。

 そういう皮相な面だけではなく、ストーリーも大人向けになっていることは認めなければならない。
 秘密組織Qの作戦は、ショッカーや死ね死ね団のような子供だましではなく、それなりにまともである(魚介類全滅タンパク源根絶作戦みたいなのもあるが)。敵の謀略も1時間番組だけあって、たっぷり書き込まれている。
 ストーリーの面白さは「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」に負けているが、じっくり書き込んだ完成度ではそれらに勝るのではないだろうか。
 問題は、そういう大人向けのちゃんとしたストーリーでは、マイティジャック号の活躍の余地がないことだ。結局、最後に登場して敵基地を派手にぶっこわすだけの役柄になってしまっている。そういやウルトラセブンも時々、ストーリー上登場の余地がなくって、最後に敵の星や宇宙船を破壊するだけの役ってのもあったなあ。
 もうひとつの問題は隊員の人選かなあ。天本英世は悪の博士のイメージが強すぎるし、終盤に登場した睦五郎は敵の殺し屋かヤクザの若頭にしか見えない。二谷英明もあまり人相がよろしい方ではない。

 ちなみにこの番組、大人向けにしたものの大人は見ず、子供には見限られて、あえなくワンクール打ち切り。後番組には子供向けに路線変更して、二谷・天本・睦の悪役顔隊員をリストラした30分番組「戦え!マイティジャック」が放映されたが、「地味だけど面白いストーリー」の番組が「地味でとってつけたような適当ストーリー」の番組になってしまってはどうにもならんわな。
 まあ視聴率に関しては、裏に「巨人の星」「キイハンター」「素浪人月影兵庫」という視聴率30%超えの化け物人気番組が存在したのも原因のひとつだが。


3月9日(日)
 「ヒトラー紀行もの」とでも名付けたいような本を2冊読んだ。
 「ヒットラーの通った道」(永峯清成)はオーストリアからベルリンまで、ヒトラーの生涯に滞在した場所を追いかけていくもの。「てめーの考えなぞ誰も読みたくねーから!」と言いたくなるようなところを読み飛ばして観光ガイドブックとして読めばいい本。
 「ヒトラーのウィーン」(中島義道)はヒトラーが青春を送ったウィーンに絞って、ヒトラーの人格形成を追うもの。「嘘をついているのではなく自分でそう思い込んでいる」「過去を饒舌に語ることによって自分の過去を創造している」ヒトラーの精神分析は、なんだか「いじめられっ子がなぜヘイトスピーチをするようになったか」を分析する安田浩一の在特会ルポを彷彿とさせるものがある。
 


1月31日(土)
 近所のローソン100で、アップル100%のジュースを2本買ってきた。
 これを焼酎のペットボトルに注ぎ入れた。
 甘みがちょっと足りないかなと思い、白砂糖を150グラムほど追加した。
 風味をつけるために、パン用のイースト菌を2グラムほど投入した。
 そのままガーゼでフタをして台所の奥に放置しておいた。
 2週間ほどして味見してみた。
 なんということだ、すっかり甘みが消えている。
 ガーゼで気は抜けているが、やや炭酸が残っている。
 アップルワインのような味になってしまっている。
 これは駄目だ。すっかり腐敗してしまったにちがいない。
 でも、もったいないので飲んでしまった。

 つい3日ほど前にも、グレープ100%ジュースを3本買ってきて同じ処置をしてるんだよなあ。
 1日ほど盛んに泡が出ていたが、今は落ち着いている。
 これも同じように腐敗しちゃったのかなあ。失敗したかなあ。赤ワインみたいになっちゃったのかなあ。楽しみ、いや残念だなあ。


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