大豊四番記

「最近NHK総合でも再放送されだした韓国ドラマの『太王四神記』、BSHiだとそろそろ終盤なんだけど、だんだん面白くなってきたな。邪気眼的には」
「なんなんだ、そのイヤな付け加えは!」
「だいたい歴史ドラマって、日本じゃ戦闘シーンがいちばんの見せ場じゃん」
「まあ、関ヶ原の合戦とか壇ノ浦の平家滅亡とか五稜郭の土方歳三戦死とか、そういう場面がいちばん人気があるよね。わーっと殺し合いで決着がつくってのは、勝つにせよ負けるにせよ、なんか爽快感があるよね」
「でも韓国人ってのは武よりも文を重んじるからなのか知らないけど、謀略とか策略とかそういうのが見せ場なんだよね、戦に強いよりも謀略に強いほうが王の条件だという。だから戦闘シーンはほとんどなくて、ほとんど陰謀とか内通で高句麗が勝つんだよな」
「まあ、お国柄というか、日本じゃそういうタイプの毛利元就とか北条早雲とか、あんまり人気ないよな」
「松永久秀なんか、別の意味で人気があるけどな。信長が家康に紹介するとき、『この仁は東大寺焼き討ち、主君殺し、将軍殺し、人としてなしがたいことを3度もやった人物でござる』と言ったら、松永久秀がすかさず、『あんたかて延暦寺焼き討ち、ドクロ杯、将軍追放、やってることは同じでんがな!』とツッコんだという」
「そんなツッコミ入れたらその場で殺されるよ! まあ松永久秀は最後が壮絶な自爆だったんで目立った感じがあるよね」
「久秀は築城の名人だから、ちゃんと自爆スイッチもあらかじめ作っておいたんだよな」
「なんでそんなもん作るんだよ!」
「自爆スイッチこそ、男〜のロ〜マ〜ン!」
「ポポロクロイス物語のガミガミ大王かよ! いちいち古くてしかもマイナーなネタを説明させるなよ! 太王四神記はどこいったんだよ!」
「人間のすべての努力を超えて強いのが四神の神器なんだよね。これがもう超絶的に強い。人間の力や知恵ではどうにもならないくらい強い。朱雀の力ひとつで、一万の軍勢もなぎたおすという、まさに邪気眼設定」
「まあ、あれはああいうドラマだと言われればそれまでだけど、四神の力、強すぎるよな。朱雀の力を持ってるだけで、背中に矢が刺さっても元気に走り回ってるし、弓は引けるし、翌朝には回復するし」
「まったくだよな。ラーメンマンだってブロッケンJr戦の傷が回復するのに3日かかったんだぞ!」
「そういう古いネタはもういいよ!」
「でも超絶的な力といえば、青龍の守り主だってそうだよな」
「これからNHK総合を楽しみに見ようって人もいるかもしれないのに、構わずネタバレかよ!」
「いいんだよ。どうせだれも読んでないから。ええと、あの青龍の守り主の住む城……姫路城だっけ?」
「関彌城だよ! なんでチュシンの話の舞台が兵庫県になるんだよ!」
「ええと、その城主……篤姫だっけ?督姫だったっけ?」
「だから、篤姫はなんの関係もない薩摩藩出身の将軍の嫁! 督姫は姫路城の、しかも城主の嫁だろ! 関彌城のチョロだよ!」
「チョロって、なんか野球漫画でよく出てくる、セカンドで1番のチビッコで、盗塁だけが能ってイメージがあるけど」
「お前の勝手なイメージはどうでもいいよ!」
「あいつが槍を一振りしただけで、青龍の力で十万の軍勢が壊滅するんだもんな」
「もうね、真面目に剣とか弓とか持ってる兵隊さんが可哀想だよな」
「あと、邪気眼的に見逃せないのは火天会の長老だよな」
「ヨン様演ずる大王の、邪魔ばっかりしている奴ね」
「実はあの長老、2千年前に火の鳥の血を飲んでしまったので、死のうにも死ねない身体になってしまったというから、邪気眼を通り越してもはや厨設定だよな」
「それは手塚治虫先生の『火の鳥』だろ! あの長老は朱雀の力の一部を盗んだんで不死になっちゃったんだよ!」
「番組が終わってもまだまだ生き続けて、人類が絶滅してもまだ生き続けて、人類の次に知的生物になった『ナメクジ四神記』にも出演するんだよな」
「それじゃ、まるっきり『火の鳥』だろうが!」
「しかもそろそろ、スジ肉の黒朱雀パワーが目覚めかけて世界が壊滅寸前っていうから、もう邪気眼全開!」
「スジニだよ! でも邪気眼の連中って、とにかく黒が好きだからな」
「いっそのこと黒朱雀に対抗して、黒玄武とか黒青龍とか出せばいいのにな」
「玄武はもともと黒だよ! 黒青龍って朝青龍の悪口みたいだよ!」
「記者会見で『僕は憎まれ者ですから、サタンですから』って言ったら、記者が『サタンじゃあ、仕方ないな』って言ったという」
「その記者連中はデビルマンの映画を作ったバカ監督かよ!」
「最後に黒白虎が出てきて、『お前、黒なのか白なのかハッキリしろよ!』っていじめられたりしてな」
「黒白虎ってもうワケがわかんねーよ!」
「たぶんこんなの。○○○○○●○○●○○●○○」
「それはタイガースの星取り表だろ!」
「黒白虎がそのうち黒パワーに覚醒して、●●●●●●……」
「不吉な予言するんじゃねーよ!」


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