アニメ・ぷにぷに波浪注意報

眞寒はどうか MaChilled と発音してください。

 私立・聖ぷにぷに女子学院は、ぷにぷにの娘どもが集う至福の園。ぷにぷにを目指す娘たちと別の意味でぷにぷにを目指すエロオヤヂにとって、憧れの的となっている。
 この学園を牛耳っているのは。茶川眞寒。理事長、茶川龍之助の孫娘であり、生徒会長でもある。彼女のつくりあげた鉄の規律が、聖ぷにぷに女子学院を至福の園に保っているといっても過言ではない。
 どのくらい鉄の規律かというと。
「さくらこさん、残念だけどあなたには退学していただかねばなりませんわ」
「せ、生徒会長、なぜ、なぜ退学なんですか?」
「あなたのお肌はもうぷにぷにではありません。ぷにぷにでない人は、この学園にいる資格がございませんわ」
「そ、そんな……うっうっ」
「ほら、あなたの涙、川のように流れている。ぷにぷにの涙は、つやつやのお肌の上を珠のようにこぼれないといけませんことよ」
 とまあ、こんな按配である。

 そんな学園に転校生が現れた。名を誣菜優希という。
 転校生は若くぷにぷにで可愛らしく、全校の人気(と、学園内外をうろうろしているエロオヤヂの人気)を一身に集める勢いなのは、アニメのお約束である。
 そしてまた、転校生が現れる前は学園のクィーンだった生徒会長の嫉妬を買ってしまうのも、これまたお約束なのである。
「ふん、なによあんな下司の下層階級の娘なんか。きぃ。くやしいから嫌がらせしてやりますわ。そうだ、上履きに画鋲を入れてやりますのことよ」
 という、これもお約束の嫌がらせ。
 しかし、優希が上履きにそのウランちゃんのようにくびれのない足を入れたとたん、画鋲がおそろしい勢いで飛び出し、物陰からうかがっていた眞寒の肩口を壁に縫いつける。
 ああなんということでしょう。優希のぷにぷにの張りのあるお肌は、画鋲さえ刺さることができず、つるんと滑って飛び出してしまったのであった。

 なおも眞寒は優希に恥をかかせる機会を求める。
「そうだ、新入生歓迎の夜会のとき、あいつの頭から豚の血を浴びせてやりますのことでございますわよ」
 と、これもどこかの映画からパクってきたような陳腐な企画。
 夜会当日、優希は晴れ着のイブニングドレスで登場する。なにしろぷにぷにに加えてつるぺたなため、ドレスが胸にひっかかってくれず苦労しながら歩む優希。と、そこで突然、天井に仕掛けられたバケツがひっくり返る。滝のような豚の血が、優希の頭からざんぶりと。
 しかしああなんということでございましょう。ぷにぷにの珠の肌の上を豚の血は痕跡も残さず流れ去るのみ。数分後、何事もなかったように深紅のドレスで笑い踊る優希。ちょっと赤毛になってましたが、そこがまた可愛いと世間の評判。その横でなぜか猛り狂った雄豚の大群に追われて逃げ惑う眞寒。

「こうなったら最後の手段でござりますでござりますわよ。毒入りの林檎で毒殺してやるでごわすですわよ。これってむかし読んだ本に出てきましたのことですわ。たしか、待ったなしの少女、いや、マッコウ撃ちの少女でしたっけ」
 実は頭が悪いのかもしれない眞寒だが、物事はてきぱきと進める。イタリアはトスカーナに伝わるという幻の毒薬、トファナ水をとりよせる。これを秋田からわざわざ取り寄せた千秋という美味なる林檎に仕込み、猫撫で声で優希のもとへ。
「誣菜さん、美容にはくだものが一番でごぜえますでござりますことよ。とっても激美味な林檎をおひとついかが?」
 疑うことを知らない優希(こいつもばかなのかもしれない)は林檎をひとかけ食べるや、アッといってバッタリ倒れる。ほくそえむ眞寒。七人のエロオヤヂは泣く泣く、優希のなきがらをどこかに運んでいく。どこへ行くのだ。何をするつもりなのだ。

 ところがエロオヤヂのひとりが無理な突入を試み、その衝撃で優希の口から林檎のかけらがぽろりと。息を吹き返す優希。しかし微量の毒が成長ホルモンの分泌を促したものか、たちまちボン、キュッ、ボーンのナイスバディに成長してしまう。
 これではいずれにせよ、聖ぷにぷに女子学院にはいられない。ナイスバディ・ジュニアハイスクールに転向、いや転校してゆく優希。泣きながらハンカチを振る学友。その横で、年齢詐称が発覚して退学処分になった眞寒も泣いている。さようなら優希。君のことは忘れないよ。最終回。DVD化を待て。


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