ちっちゃな雪使いシュガー

 というアニメがあるのです、ととーとつに宣言してみる。
 ご存じない方が圧倒的多数だと思います。関東ローカルらしいし。
 初心者のために簡単なストーリーを紹介。人間の女の子と妖精の話。以上。

 あまりに簡単すぎるのでもっと補足してみる。ええと、妖精がいるのです。人間の目には見えないのです。だけど、主人公の女の子、サガの目にだけは見えるのです。
 とだけ説明していると、なんだか、「ああ、妖精だわ。お花畑に、妖精さんが見える。うふふふふふふふふふふふふふふふふふ」という物語のようですが、それはかなり的を射た見解だと思います。
 その理由のひとつに、髪型があります。妖精が見える女の子サガと、妖精のシュガー。このふたり、髪型がそっくりなのです。これはきっと、妖精がサガの人格を投影した存在であることを示しているのでしょう。サガとシュガーの性格が正反対なのも、多重人格のケースではよくあることですね。
 たぶん番組後半の展開はこういう感じになるのではないでしょうか。妖精が見えるとつい口走り、正気を疑われて精神病院に監禁されたサガ。しかし妖精の世界には危機が迫る。ぜひとも自分が救わねばならぬ、そう思い詰めたサガは病院から脱走する。執拗に追いかける医者たち。友人も助けてはくれない。たったひとり、逃げ続けるサガ。ダーク、警察、ハカイダーの三者に追われる身となったジローに、はたして安息の地はあるのだろうか?
 ちょっと別な番組がまざりました。

 このアニメでは、妖精はこの地球の天候を操作する役目を果たしているのです。そしてなぜか、妖精は調味料とか香辛料の名前をもっているのです。
 見習い雪使いシュガー
 見習い太陽使いソルト
 見習い風使いペッパー
 雨使いジンジャー
 雪使いターメリック
 見習い雷使いバジル
 見習い氷使いシナモン

 というのが、これまでに判明した妖精の名前です。太陽使いってすごいな。ギリシャ神話のアポロンみたいなのだろうか。それとも痛快麻雀劇画「風の雀吾」に登場する無天児のように、太陽を呼び寄せて地上のあらゆるものを焼き尽くすというハタ迷惑な特技を持っているのであろうか。
 たぶん今後、こういう妖精も登場するのではないかと思われます。
 スコール使いニョクマム
 台風使いクミン
 竜巻使い八角
 砂嵐使いパプリカ
 地震使いタマリンド
 雪崩使いバニラ
 ブリザード使いコチジャン
 磁気嵐使いパクチー
 太陽風使いしょっつる
 超新星使いキャラウェイ
 ビッグバン使いカレー

 そして地球は妖精最終戦争の舞台となり、天変地異で荒廃した地球を見捨てて旅立った人類はコロニーを建設。
 また別の番組がまざりました。

 で、主役格の妖精シュガーは、見習い雪使いなのです。まだ見習いなので、とても旅人を凍らせて殺したり、生き残った若い男に「ここで見たことを決して他人には話さないでください」と脅迫するような霊力はありません。ちらほらと風花を舞わせるのがやっとのことです。その方が人間にとってはいいんですけどね。
 ふしぎなことに他の妖精はみな羽根をもっているのに、シュガーだけは持っていないのです。これも「シュガー=サガのアルターエゴ説」のひとつの論拠なのですが、ひょっとするとシュガーの先祖が竜の一族と婚姻したために失われたのかもしれません。
 立派な雪使いだった母親の遺志をつぐべく、シュガーは雪使いを志したらしいのです。しかし見習いですから、長老様のもとで厳しい修業を積まなければなりません。なにしろ雪使いですから、あかぎれとかしもやけとかできることでしょう。そのあとで水仕事をすると、切れるように痛いのです。気持ちが挫けることもあるでしょう。「俺はかあちゃんの雪人形じゃねぇ!」と叫んで家出することもあったのでしょう。
 またちょっと別な番組がまざりました。

 というわけでのんべんだらりとここまで書いてきたのですが、ここで重大な告白をしなければならない。
 私、このアニメ、まだ見たことがないのです。
 先週見ようと思ったのですが、「水曜2時20分から」と聞いたのを、水曜日の深夜番組だと思いこんでしまい、一日間違えて見そびれてしまったのです。火曜の深夜だったのね。
 はたして私がこのアニメを見る機会は訪れるのか、それはアニメの神様だけが知る。
 見てもいないアニメの話をこんなにも書き綴れるとは、なんと厚顔無恥な人間なのでありましょうか。
 そういえばその昔、「機動戦士ガンダムZZ」を一回も見たことがないくせに、その登場人物エルピープルのファン同人誌を出したこともありました。
 歴史は繰り返す。もしくは人間進歩せず。


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