常神半島小西屋カニ食いツアー

毎年、11月末から12月はじめの週末、福井県若狭湾にある常神半島に、蟹を食いに行きます。常神半島は、北陸自動車道敦賀インターから、国道27号線で敦賀市内を抜け、通称「梅街道」から三方五湖を右に見ながら、曲がりくねった細い岬道をうねうねと岬のほぼ先端までいったところに「小西屋別館」があります。

 

小西屋の前から見た夕日。小西屋から夕日を見る
波が牙むく強風だったり、時雨たり、晴れたり、雪だったり(といっても常神半島が雪で閉鎖されることはまれですが…)、いかにも気まぐれな若狭湾の冬。

常神半島の道は夕日があたるので、運転手以外は、夕日が照り映える若狭の海が見られます。冬場は、4時までに半島の道にたどり着きたいものです(日が暮れると曲がりくねった真っ暗な道を走ることとなります)。 

 

 

小西屋の通称「蟹づくし」コースの料理

突き出し、蟹刺しと洗い アオリ烏賊の活け造りと茹で蟹 鯛やヒラメの活け造り
蟹刺しと洗い アオリ烏賊
     
焼き蟹(3人に2匹の割合) 蟹すき(1人1匹甲羅つき) 蟹すきの一番おいしい食べ方


気をつけましょう!小西屋の蟹を全部食べ尽くせる人は、間違いなく「大食い」です。普通の人間には、まず無理です。6人で、都合16匹ですよ!
実は、この写真のほかに、最後に定番の「蟹雑炊」がつきます。初めて訪れたとき、茹で蟹を食べたがために、雑炊を泣く泣く断念した失敗に懲り、最近は、茹で蟹を「お持ち帰り」にしてもらいます(発泡スチロールの箱と氷まで用意していたけます)。

お造りでは、「ひらめ」「真鯛」「イシダイ」「あおりイカ」などが、その日の漁(定置網漁)次第で出てきます。
活け造りというと、歯ごたえはよいものの、味は淡白で、旨味が少ないのではないかと正直なところ思うのです。ふぐ刺しも1日くらい寝かせて出すのが良いと言いますし、鯛なども〆てから時間を追ってアミノ酸が増えてくるということです。
とはいうものの、出される活け造り(食ってる最中に跳ねる奴もいて、「残酷だ」という意見もうなづけます)の中には、必ず「大当たり」があります。
あるときはヒラメが圧倒的な美味さで全員を黙らせ、「真鯛がないのですみません」と言いながら出されたイシダイがよだれ垂れ流し状態を招いたりするわけです。

焼き蟹は焼き加減がなかなか難しく、焼きすぎると苦味が出て、水分が飛んで「パサッ」としてしまいます。ぜったい焦してはなりません。

蟹すきは、色が変わったらすぐ食べろ、といわれていますが、足に比べて甲羅(蟹味噌)は日のとおりがやや悪いので、鍋に少し湯を継ぎ足し、たっぷりと茹でましょう。アツアツより少しさめたほうがおいしいので、あせらずに「肩」の身を全部味噌の中に落として、しょうゆと熱燗の酒を加え、ぐるぐるにかき混ぜて食べましょう。

朝ご飯を

何の変哲もなさそうですが、味噌汁に注目!
前日のヒラメと鯛の「アラ汁」なのです。美味いよ。
ご飯もここ3年ほどは「鯛めし」が定番となりました。おこげがあったりなんとも美味しいのです。余った分はおにぎりで持ち帰り可能です。
また「朝ごはんに梅干が欠かせない」と言う人には、地元名産の梅干がたっぷり出ます。
三方五湖周辺は、「梅街道」の名がつくとおり梅の大産地。大粒で種が小さく、結果、大変な肉厚。
内緒の話ですが、かつて和歌山の梅が不作のとき、ここの梅が送られ、和歌山産「南高梅」の大半はここの梅だったらしいのです。ちょっと産地詐称の疑惑が持ち上がるかもしれない本当の話です。

寄り道編

若狭湾に行く場合には、時間だけを考えれば名神高速から北陸道を走るのがベストですが、いつもたいてい、東海北陸自動車道白鳥インターから、山越えして福井県に入り、九頭竜川沿いに越前大野市へ出ます。ここでそばを食い、買い物するのです。
まず、非常に美味しいお酒を造る南部酒造で、花垣という銘柄の酒。
ここの大吟醸は、「華やかな香り」「柔らかな飲み口」「すっきりしたのど越し」という稀有なバランスを実現した銘酒です。
亭主は、花垣に較べてどうか、という評価を日本酒の吟醸・大吟醸に下しています。ちなみに、JALのファーストクラスの機内酒として供されているそうです。
越前大野は、有名な永平寺から程近いので、つらい禅修行のあとは、そば食って酒飲めば、「悟りが開く」かもしれません。

大野市の中心、七間(しちけん)通にある南部酒造と店内

蟹を食った翌日は、日本海魚市場のお土産買い以外は、通過点の扱いを受けていた敦賀市内を少しぶらぶら。
気比(けひ)神社。小西屋の大将に「社格としては北陸随一、伊勢神宮と同等」と教えてもらって、行く気になったものです。確かに、天皇陛下御行幸の立札がある、立派な社殿であります。

さらに帰り道の昼ごはんは、ここのところ決まって、琵琶湖の北端、滋賀県木ノ本町にある「すし慶」です。
ここの名物は「鯖の棒ずし」。
京都の「いずう」という棒ずしの有名店がありますが、すし慶のは、シャリの中に実山椒が仕込まれています。これが実にさわやかな効果を発揮します。鯖は大ぶり肉厚で、しめた酢の味も程よく、山椒の苦手な人は鯖に引かれて、しめ鯖がいまいちと言う人が山椒の力で、不思議に食えると言う代物です。
各地のデパ地下にも特別出店することがあるので、運よく見かけたときにはご賞味いただきたい。ただし1本3000円以上するので、「気合だー!」ということで買うように。

鯖の棒ずし 特上寿司


次は、三重県尾鷲に行って幻の高級魚「くえ」でも食うか