「レ・ミゼラブル」97年〜98年公演 キャスト


「レ・ミゼラブル」は、毎日毎公演ごとに変わるキャストの組み合わせも楽しみでした。特に長期公演だった今回は俳優さん一人一人に愛着が湧いてしまったものです。アンサンブル一人一人にまで注目できるというのもこのミュージカルの最大の魅力なのではないでしょうか。

ジャン・バルジャン   ジャベール   コゼット   マリウス   エポニーヌ   ファンティーヌ
アンジョルラス   テナルディエ   テナルディエの妻   ガブローシュ 
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ジャン・バルジャン

鹿賀 丈史
10年前の初演からずーっとジャンバルジャンを演じていらっしゃいます。しかも、初期の頃はジャベールと掛け持ちだったとか・・・ 苦悩の演技が上手いだけに、彼のジャベールを見てみたかったです。とにかく、3人のバルジャンの中で一番苦悩色の強い方でした。だから余計に泣けるんですよね。とくに、「独白」部分は最高でした。

滝田栄
鹿賀さんとおなじく、初演からずーっとジャンバルジャンを演じていらっしゃいます。また、ジャベールもやっていらっしゃったそうです。3人のバルジャンの中で体格的にも風貌もバルジャンに近かった滝田さん。見ていてとてもパワフルだったのが印象的です。凱旋では一度もみれなくて残念。

山口祐一郎
劇団四季の看板人気俳優さんだったのが、突然退団して97年公演からジャンバルジャンで登場した時は本当に驚きました。始めの頃は、歌は3人の中で一番素晴らしかったのですが(特にオリジナルキーで歌うところはトリハダモノ)演技力が物足りなかった感がありました。が、回を重ねる毎にすごくよくなってきて、もう涙なくしては見られないバルジャンになっていました。(ただ、よく歌詞を間違えて作詞王と呼ばれてました(笑))

ジャベール

村井国夫
村井さんは89年の名古屋公演からジャベールを演じていらっしゃいます。が、もはや私の頭の中ではジャベール=村井国夫という公式が成り立ってしまうほど。とにかくこの方のはまり役です。あの胡散臭いところが(笑)イメージぴったり。歌もなかなか迫力あるし、自殺の場面で嘲笑するところなんか特に好きでした。

川ア麻世
村井さんを誉めちぎっている私ですが、ジャベールのナンバーを聞いて好きになれたのは麻世さんのおかげなのです(笑) 97年公演からの参加。とにかく、歌は上手いしなんといってもあのオーバーアクション(笑) ずいぶん賛否両論ありましたが、私はあのオーバーアクションに見事に引き込まれた一人です。ただ、この方もよく歌詞を間違えたそうで祐一郎さんと共に作詞王と呼ばれていました(笑)

加納竜
村井さんが某ミュージカルに出演中のみの参加でした(笑)←97年公演。私は幸運にも、2回加納さんを見ることができましたが、言葉をひとつひとつ丁寧に歌ってきたという感じでした。これがかなり賛否両論あったんですけど、私はそんなに気になりませんでした。感情たっぷりに歌い上げた「自殺」は迫力あったと思います。

コゼット

純名里沙
宝塚退団後の初舞台、97年公演からの参加でした。宝塚時代から純名さんの歌声はとても評判がよかったのですが、透き通るようなソプラノは本当にきれいでした。それに、かわいい!あの愛らしさはコゼットぴったり。ちょっと元気がいいイメージもありましたがはまり役だったのではないでしょうか。バルジャンとの別れで本当に泣いて歌っていたのがこちらの涙を誘いました。

早見優
97年公演からの参加。正直、この人がコゼットをやると聞いた時は本当に驚きました。あのソプラノをどうやって歌うのか・・・イメージもちょっと合わないのでは・・・と。事実、97年公演は声も苦しそうでしたし、コゼットという役をつかみきっていない感じがしました。が、98年公演では声も随分出てきたし、はかないコゼットの感じが出ていてまさに急成長でした。

マリウス

石井一孝
3年前からファンである石井さん。マリウス役は94年にはじめて演じた時からとても思いいれがある時いていたのでとても楽しみにしていました。とにかく石井さんのマリウスはかっこいい!それに、まっすぐな性格がよく出ていてとても好感が持てました。歌声も回を重ねる毎にとてもよく出ていたし、感情面の表現も最後のほうはとってもよかったです! 演技派の石川禅さんの影響を受けたのでは?といわれているのですが、実際はどうだったのでしょうか(笑)

石川禅
94年公演ではアンサンブル参加だった石川禅さん。97年公演からマリウス役に抜擢でした。始めは、石井マリウスを中心に見るつもりだったのですが、「アニーよ銃を取れ」で禅さんを見てからすっかりファンになってしまい禅さんも随分見ました。とにかく感情表現がうまい!実に人間臭いマリウスでした。石井マリウスと違うところはエポニーヌとの関係。特に彼女が死んだ後の石川マリウスはいつまでも後を引いていて涙を誘いました。

エポニーヌ

島田歌穂
初演からずっとエポニーヌを演じている島田さん。CD版も全部島田さんだったので私の頭の中ではすっかりエポニーヌ=島田歌穂というイメージが定着してしまいました。実際に島田歌穂さんを見て、やはり「さすが・・・」と思ってしまいました。もう、頭の先から足の先までエポニーヌでした。とくに、マリウスへのかなわぬ恋心の表現は泣けました。

本田美奈子
97年公演からの参加。島田エポニーヌよりも本田エポニーヌのほうが見る回数が多かったので、美奈子さんも好きになってしまいました。マリウスへの接し方がなんだかとてもかわいくて。でも、反面シャープさもあったし安定した演技力を見せてくれました。死の間際のエポニーヌの演技には毎回涙が止まりませんでした。

ファンティーヌ

岩崎宏美
初演以来10年ぶりの岩崎ファンティーヌだそうです。その風貌はファンティーヌのイメージにぴったりでした。特に母性が上手く出ていましたが、個人的にはチョットものたりない感じでした。感情表現もやや、地味かなぁというように思われたのですが・・・。ただ、ファンティーヌの死の場面は本当の涙を毎回見せてくれて泣けました。

鈴木ほのか
初演から91年までコゼットを演じていたというほのかさん。私もはじめ彼女がファンティーヌをやると聞いた時はなんだかイメージが湧きませんでした。が、いざ見てみると何とも感情豊かで泣けるファンティーヌだったのです。とくに、「夢やぶれて」の熱唱はとても印象的でした。恋心への憧れも出ていてとてもよかったです。

アンジョルラス

岡幸二郎
94年公演に引き続いてのアンジョルラス役です。岡さんは背も高いし、色気もあるし、とにかくかっこいいアンジョルラスでした。統率力も抜群で、常に皆より上をいっている感じがありました。(ちょっとナルシスト気味(笑))始めはあまり共感できるものはなかったのですが、千秋楽近くでは涙ながらの演技を見せてくれたりしてとても感動しました。岡さんのファンも、これでかなり増発したとか(笑)

森田浩貴
94年はアンサンブル参加でしたが、97年公演からアンジョルラス役に抜擢された一人です。この「レ・ミゼ」公演のなかで一番成長率が高いのが森田さんではないでしょうか。初期の頃はとにかく本当に悩んでいたようでアンジョルラスの輪郭がはっきりしなかったのですが、回を重ねる毎にどんどんよくなっていって・・! 常に学生達と同じ視線にたち、彼らの話を聞き、厳しいながらも優しい森田アンジョルラスが大好きでした。だから、彼の「死のう!」のひとことは本当に痛々しくて涙が出ない日はなかったですね。

テナルディエ

斉藤晴彦
初演からずーっとテナルディエを演じている斉藤さん。歌はあまり上手いとは言えないのですが、アドリブたっぷりの斉藤テナルディエは本当に楽しかったです。あの妙に悪どいところの表現もさすが。ガなり声でチョット歌詞が聞き取れない部分がありましたが、雰囲気そのものがテナルディエしてましたので最終的にはあまり気になりませんでした。

山形ユキオ
山形さんは97年からの参加。声優さん時代の山形さんから知っているのですが、今ではすっかり舞台俳優さんです。ミスサイゴンのトゥイ役も興奮していてすごかったのですが、このテナルディエも怪しくてよかったです。独自のテナルディエ色が出ていたし、歌も上手かったと思います。年齢的にはちょっと若かったんですけど(笑)

ナルディエの妻

森公美子
97年公演からの参加でしたが、大阪公演を最後にされたのがとても残念。パワフルな体格に、パワフルな歌声、意地悪なんだけどモリクミさんのキャラクター上どこか憎めないテナ夫人。本当に上手かったと思います。モリクミさんが出てくるだけで観客の笑いを誘ってましたし(笑)とくに、宴会乞食でのダンスはとても豪快で最高に楽しかったです。

夏木マリ
97年公演からの参加。夏木さんは3人のなかで唯一ずっと出演されたテナ夫人でした。モリクミさんとは打って変わって細い夏木さんですが、その風貌はとても怪しくて面白かったです(笑) なんだかいかにも「悪い人」というのを徹底的にあらわしていたと思います。いつかの舞台挨拶で「わたしはモリクミではありません」といって笑いを誘っていました(笑)

前田美波里
97年公演の9月末からの参加でした。前の二人がかなりコミカル路線を意識して演技する中、前田さんはあくまでも自然体の演技をしていたと思います。だから、宴会乞食のシーンではサラサラ〜ッと踊りを披露しているのが逆に新鮮に見えました。ただ、ちょっと演技が上手すぎて物足りない感じもしてしまいました。凱旋公演ではずいぶんその考えも変わりましたが。

ガブローシュ

浅利陽介
本当に上手かった!あのちっちゃい体で大きな舞台を駆け巡り、ガブローシュの生意気さをよくあらわしていたと思います。強さが前面に現われていたガブローシュでとてもよかったです。

有光良太
有光くんもなかなかよかったです!ただ、初期のほうしか見られなかったので浅利くんに比べると多少弱かったような感じがしました。もう一度見てみたかったな。

宇野まり絵
女の子のガブローシュだったのですが、女の子ということがわからないくらいガブローシュになりきっていてとても上手かったと思います。とくに、バリケードの外へ飛び出すところなんて涙を誘いました。

北尾亘
98年凱旋公演から参加です。北尾くんで思い出すのはミス・サイゴンのタム役。もうこんなに大きくなったのだなあ・・・などと感慨深く見てしまいました。それに、演技が上手い!とくに、死に望む演技は本当に巧かったです!

山下知子
夜バージョンのガブローシュです。彼女も生意気さを前面に出していてとても上手かったと思うのですが、なんだかちょっと消化不足という感じがしました。

鈴木輝美
98年凱旋公演からの参加の夜バージョンガブローシュです。一度しか見られなかったのですが、なかなかよかったです。生意気なガキ(^^;)という色がよく出ていたと思います。

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