2014年度〜



 「土曜授業」拡大阻止!

  縮小・廃止をめざす!













「平和憲法を守ろう」 2014.1.1








文字起こし
TV朝日 報道ステーション 2016年3月18日 
独ワイマール憲法の”教訓” なぜ独裁がうまれたのか?
古舘伊知郎


先日、元八広小分会 鈴木さんから標記のファイルが送られてきました。
当時一番民主的と言われたワイマール憲法の下で、いかにヒトラーがファシズム権力をとるに至ったかを、日本の現在と合わせて論じたものです。
文字で読むと放送(あるいは録画再生)時よりもいっそう理解が進みます。

鈴木さんは旅行前の慌ただしい中で文字起こしと編集をなさいました。
そのため誤変換なども残っています。
旅行から戻られたら完全なものをいただきのせます。

おもな訂正は以下です。
誤→正

p.5 p.10 非情に→非常に

p.6 「ここにキルがありました」→「ここに器具がありました」

p.7 遡上→俎上

p.9 「書かれたある点。」→「書かれてある点。」

どうぞご一読ください。



本の紹介


『作文名人への道』
   今井成司・田中定幸・榎本豊
本の泉社 2015年4月 1800円+税

榎本豊さん 国分一太郎「教育」と「文学」研究会・日本作文の会・綴方理論研究会・豊島作文の会などで精力的に活動
ホームページ「えのさんの綴り方日記」
http://www.yunochika.net/index.php?FrontPage



第497回豊島作文の会例会通信
◆日時・場所 5月23日(土)午後2時〜
豊島区立池袋本町小(元文成小) 東武東上線下板橋駅下車。徒歩3分ほど。
  会場校へのアクセスは、「えのさんの綴方日記」の豊島作文の会5月例会参照

提案1 『作文名人への道』(本の泉社)の活用の仕方。
提案者 榎本 豊(この本の執筆者の一人)



  「すみだ春秋」
        長谷川政國さん著
        積文堂 1944円(1800円+税)
 墨田ゆかりの詩人たちがつむぐ水土への郷愁。言問の路地の吟遊詩人 辻征夫への追慕。


 長谷川さんは長年墨田区教職員組合の書記長をしてこられた方です。墨田教組の機関紙「週刊墨教組」(今読まれているこれです)に「すみだ春秋」と題して墨田区にゆかりのある詩、俳句や短歌を紹介しながら、そこに行き交う人々のありさま(風情)を絶妙な言葉で表現されています。今でも新年号などに記事を寄せていただいています。
 この度、今まで書き続けた作品を1冊の本にまとめられました。
 区教委は、葛飾北斎と勝海舟を「墨田区の有名人」として「売り出し」ていますが、長谷川さんが取り上げている文人はすみだをこよなく愛した人々です。すみだの人情が風情がじわ〜と伝わってきます。
 スカイツリーができて、街並みがどんどん変わってきている墨田の街です。あなたの知らない墨田がこの本の中にはあります。是非手に取って読んでみてください。
 




子どもたちのいのちと未来のために学ぼう
放射能の危険と人権

 
福島県教職員組合
    放射線教育対策委員会
  科学技術問題研究会編著
明石書店2012年7月25日
800円


イラストブック
放射線になんか、まけないぞ!
木村真三監修 坂内智之文 柚木ミサト絵 2011年12月 太郎次郎社 1200円 

 私たちは、何に、どう気をつけて、生活していけばいいの?──子ども自身が学べる日々の注意点と、放射線の基礎知識。大人も迷う除染の進め方や「数値」とのつきあい方。子どもと大人が一緒に学べる、みんなで考えるための本。坂内さんは福島の小学校教員。


https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/FGF/FukushimaUniv_RadiationText_PDF.pdf
放射線と被ばくの問題を
考えるための副読本
 〜“減思力”を防ぎ,
  判断力・批判力を育はぐくむために〜

  福島大学 放射線副読本研究会
 文科省の誤魔化し・「安心神話を直截に批判している。




2012年3月11日
原発いらない福島県民集会
福島県郡山市



私たちの組合は、
あなたやあなたのお子さんが
生活する場所の放射線量を
測定します

ご連絡ください


「墨田区の
放射線量測定は
全ての場所で50cm・5pで行い、
子どもたち・区民の安全のために

除染すべきだ」
と考え、交渉しています

私たちは
学校完全週5日制
週休完全2日制に反する
「土曜授業」に反対します。



週刊墨教組 No.1754号         2015.6.24

戦争をする国にさせるな!
  武力で平和はつくれない
   会期内強行採決は阻止された
 「安保関連法案」=戦争立法=「解釈改憲」を許さない!
廃案をめざして、九五日間の闘いを! 


 一九四七年、新しい中学校ができたとき、文部省は「あたらしい憲法のはなし」という教科書をつくり次のように書いた。

「日本の国は、二度と戦争をしないように、兵隊も軍隊も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないことにしました。…日本は正しいことをほかの国よりさきに行ったのです。世の中に正しいことぐらい強いものはありません。」と

 しかし、昨年末の総選挙の結果を受けて安倍首相は、国民の信託を得たとばかりに、暴走のスピードをあげ、日本を戦争ができる国にするための安全保障関連法案をすべて成立させようとしている。その法案の問題点を多くの教員に知ってもらいたい。

その一
 「武力攻撃事態法を改正して、集団的自衛権を行使することは違憲である!」
 武力行使はすなわち戦争である。武力行使の新三要件(日本の存立が脅かされ、国民の生命が根底から覆される明白な危険がある場合など)とともに「他に適当な手段がない場合」を明記することで歯止めをかけているとしているが、具体的な基準がなく、条文化されても政府が判断できてしまう。

その二
 「自衛隊法を改正して、在外邦人の警備・救出することは違憲である!」
 テロリスト等による拘束された邦人の救出を想定しているが、自衛隊の投入は現実的ではない。

その三
 「PKO法を改正して、国連PKO活動で武器使用基準を緩和して活動を拡大することは違憲である!」
 平和協力活動の名の下に、より危険度の高いミッションを求められるとともに、戦後初 めて自衛隊が他国民の命を奪う状況になるだろう。

その四
 「重要影響事態確保法を新設して、日本の平和と安全に資する活動で米軍やともに活動する他国軍を後方支援することは違憲である!」
 周辺事態法を廃止し、新たに重要影響事態確保法を新設しようとしている。これまで朝鮮半島有事を想定した周辺から、地理的制限をなくし全世界に拡大し、支援対象も米軍だけではなく他国軍に拡大している。地球の裏側まで自衛隊が派遣される。
その五
 「国際平和支援法によって、外国軍の後方支援のため自衛隊の海外派遣をいつでも可能とすることは違憲である!」 
これまでの非戦闘地域から「現に戦闘が行われていない現場」に変更される。停戦地域でも活動しなければならなくなり危険度は増大する。また、自衛隊の海外派遣について、国会が「例外なく」事前承認を義務づけようとしているのに対して、自民党はあくまで「努力規定」にすべきと主張している。これでいつでも可能となる。さらに特定秘密保護法により情報が隠されかねない。

 このまま見過ごしてしまえば、戦後日本は初めて、日本人が戦闘行為によって他国民を殺し、また日本人も殺されるという日が来ることになる。私たちはいま、戦後日本の歴史において、これまでになく重要な岐路に立っている。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、戦争法に反対し、憲法を守るとりくみをなんとしても繰り広げなければならない。

偽装歴史教科書を排除しよう
 さて、四年に一度の中学校教科書採択の夏がやってくる。今年採択される教科書は二〇一九年まで区立中学校で使用されることになる。教科書なんてどこの出版社も同じなんて考えていると大変なことになってしまう。
 歴史教科書には、侵略戦争を認めず、従軍慰安婦もなかったこととして、政府にとって都合の悪い歴史的事実を載せない教科書が二社ある。安倍首相と「日本教育再生機構」の人たちは、政治的介入をしてまでこの教科書を全国に普及させようとしている。戦争法成立に向けた気運を教育現場に持ち込んでいるのだ。
 教科書採択に現場の教員の声を反映させなくてはならない。展示会に出向き意見を書こう。子どもたちが史実に基づき多面的に学び合える教科書を採択するよう意見を書いてもらうよう働きかけよう。平和を愛する子どもたちを育てる教科書にするために。

教科書展示会
場所 教科書センター(生涯学習センター内)
期間 6/19〜7/3


戦争への道をゆるさない 6.23東京集会 決議
 平和憲法の下で築かれた平和と民主主義を根底から覆し、この国を「戦争の出来る国」に作り変えようとする安倍政権は、5月15日、安全保障関連法案「平和安全法整備法案」「国際平和支援法案」を国会に提出した。
 自衛隊を世界のどこへでも派遣し、海外での武力行使を可能にするこの法案は「平和」「安全」という表現を使い、あたかも平和維持の法案のように見せかけているが、本質は、昨年の7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定、今年4月27日の日米ガイドラインの再改定の集大成であり、戦争への道を開くことになる「戦争法案」そのものである。
 国会で政府は、自衛隊が海外での武力行使を行っても「自衛隊員のリスクが増大することはない」、多くの憲法学者が集団的自衛権は違憲であるとし、憲法審査会においても憲法学者3人全員が違憲としながらも、「まったく違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいらっしやる」など、誤魔化しの答弁を繰り返している。国会を軽視し国民を愚弄するものである。
 安倍政権は、会期を延長しても法案を成立させるとしている。戦争への道を開き、憲法違反のこの法案の本質を隠したまま、数の力で「戦争法案」を成立させようとする安倍政権の暴走を今ここで止めなければ、いつか来た道を再び歩むことになる。二度と過ちを繰り返してはならない。再び戦争への道を歩んではならない。
 今日6月23日は、沖縄県民にとっては、太平洋戦争における20万人以上の犠牲者の霊を慰め、恒久平和を願う特別な日「慰霊の日」である。その沖縄で辺野古新基地建設が進められている。名護市長選挙、沖縄県知事選挙をはじめ、すべての選挙で辺野古新基地建設反対の意思が示されたにも関わらず、安倍政権は沖縄県民の民意を黙殺し、反対運動を弾圧し「粛々と」新基地建設を進めている。私たちは、民主主義を真っ向から否定し独裁的政治手法をとる安倍政権と対決する沖縄の闘いに連帯する。
 この国の平和と民主主義が、最大の危機を迎えている今こそ、安倍政権の暴走、独裁を止めなIナれば、再び暗黒の時代、悲惨な戦争の時代を迎えることになる。私たちは、安倍政権の暴走を止め、平和と民主主義を守り、戦争をさせない運動を全力で進めるものである。

オスプレイ配備
  ・辺野古新基地建設反対
6.29東京東部反戦集会
6月29日 18時30分〜
錦糸公園
沖縄現地からのアピール、各地域からのアピール
集会終了後デモ行進を亀戸まで行います
主催 沖縄の闘いと連帯する東京東部集会実行委員会
「公共」=「平和」の名の下、戦争のために人々の幸せ=人権を踏みにじる戦争法案は、沖縄への処遇に現実化されています。私たちは両者を一体のものとして反対していきます。



週刊墨教組 No.1753号         2015.5.8

平和といのちと人権を!
  五・三 憲法集会
   〜戦争・原発・貧困・差別を許さない〜


横浜みなとみらい臨港パークで、「平和といのちと人権を! 五・三憲法集会」が開かれました。主催者側の情報によると集まった人数は三万人に達したとのこと。平和憲法を守ろうとする人々の意識の表れでしょう。
 メインステージで話が始まりました。
 雨宮処凜さんは貧困問題を訴えていました。
 大江健三郎さんは、小説家の死に触れていました。原発問題、核戦争につながる危機を心配していました。大江さんは強い口調での話を
集団的自衛権、積極的平和主義を述べている安倍は、議員達や国会や公の場で説明していない。未来に向かって、悔いを残さないようにしよう!今こそこのビラの価値を認めよう!今、一番大切に思っている言葉は、このビラの中にある。
私たちは、「平和」と「いのちの尊厳」を基本に、日本国憲法を守り、生かします
集団的自衛権の行使に反対し、戦争のためのすべての法制度に反対します
脱原発社会を求めます
平等な社会を希求し、貧困・格差の是正を求めます
人権をまもり、差別を許さず、多文化共生の社会を求めます”
という言葉で締めくくられました。
 山本太郎さんは、上空から今日の集会の様子を映す役割でした。ヘリコプターに乗る前に、憲法一二条の自由の表現について、憲法の保持、秘密保護法反対を唱えました。戦後とは、次の戦争が始まるまでのこと。戦後をずっとこのまま守るため、憲法を守っていこう!と力説しました。
 澤地久枝さんは、軍需産業で儲けている人達に反対していました。特に、それと結ぶ安倍政権に反対していました。
 樋口陽一さんは、憲法学者であるが、菅原文太さんとのつながりを話しました。文太さんの政治に関する遺言を紹介しました。
 政治とは、国民を餓えさせない、安全な食べ物を食べさせる、絶対に戦争をしないということ、人権と平和はそこに住む人間のもの、沖縄も本土もそこに住む人間のもの、勝手に売りとばさないでくれ、と言っている。国民主権の意味に通じる。「日本をとり戻そう」という勝手なスローガンをやめさせよう! 憲法に手をつけることはやめさせる。
と語りました。
 香山リカさんは、格差が広がって、自信を失っている若い人達が多い。うそのヒーローにだまされないように助言した。九条、原発、在日、生活保護、アイヌ民族などへのヘイトスピーチがあったり、社会の教科書に手がつけられようとしていたりと、基本的人権を脅かされている。憲法を生かし切れていない。使い切っていない。きちんと使おう!と訴えていました。
 落合恵子さんは、絶望と神のいう希望について、まだあきらめてはいないと言っていました。人権とは、足を踏ませない、足を踏まない。ということ。次々に人の足を踏んでいる安倍政権。メディアに手をつけている。Noという声、民主主義は瀕死だ。福島は一二万人が家に帰れない。沖縄では基地問題が「粛々と」行われている。他者の傷みを顧みない。私たちの「粛々と」は他者の傷みがわかるということ。ゴールデンウィークに七億円かけて議員が渡航している。その渡航費用は血税が使われている。自衛権は積極的戦争主義である。井上ひさしの言葉であるが、「小林多喜二が言っている。絶望するにはいい奴が多すぎる、希望をもつ奴に悪い奴が多すぎる。」絶望から希望へつなげましょう。つなげる人はこの会場にいるみんなです。若い人の未来に責任があるのです。と力強く声を上げていました。

 呼びかけ人の言葉は以上です。次に、政党挨拶が続きました。
 民主党の長妻氏が、戦争への危機感をつのらせていました。米軍と自衛隊は海外に武力行使はしないと宮沢前総理は言っていた。現在、売国奴・非国民という言葉がネット上にあふれている。これは七〇年前に似ているのではないか。実際、メディアの政府批判が粛正されている。となげかけていました。
 共産党の志位氏は、安保法制について、国民を守るなんてことはない、平和破壊につながる。攻撃することができるPKO改定があやしい、自衛隊の武装使用許可ができることになる。と説明しました。
 社民党の吉田氏は、平和憲法を生かすことが大事。憲活運動をしていこう、婚活、就活ではなくて、憲活運動!と言っていました。
 最後に、沖縄から高里鈴代氏が話されました。辺野古基地の反対をしている。政府の行動にカヌーで抗議している。座り込みをしている。首相はアメリカに沖縄の声を伝えない。日本国憲法制定から四三年、沖縄は復帰したくて、復帰したくてしかたなかった。日米間の密約があって復帰した。差別なく、本当の意味での平和憲法であれば、辺野古基地を認めてはいけない。国会前に行ってください。みんなの力ではね返そう。と訴えていました。
 今日は三万人超えた人が集まりました。



榎本豊さんの著作
「作文名人への道」紹介


 榎本さんは、ながく墨田教組の執行委員として力を尽くしてくださっただけでなく、一九八七年から「はじける芽」を月一回連載してくださいました。「はじける芽」は、具体的な子どもの作品に評注を加える形で「作文」について論じられていました。今でも、そのいくつかは墨田教組のホームページでも、榎本さん自身のホームページ「えのさんの綴り方日記」でも、読むことができます。

 榎本さんの中心課題は、「子どもたちにひとまとまりの文章を書けるようにすること」、「そのために子どもたちの文章表現指導を誰にでも出来る一般化理論の構築」です。

 国語教科書の「作文教材」が次々に「〜文を書こう」という形になってきています。そこでは「作文」が気の利いたキャッチコピー・人目を引くポップ・粋なプレゼンの練習になってきています。いわば「実用文章」の書き方です。榎本さんはそれを、「教科書から『作文』という言葉がなくなり、『報告文』『意見文』『随筆』などの単元があるが、子どもたちの書きたい意欲をそそるような編集になってはいない。書く題材の選定が、あらかじめ決められてしまっている。どの子にも、発達段階に即して、書く手順が示されていない。子どもたちの書いた作品例が乏しい。」と断じています。
 本来の作文とは、子どもが事実と自身に向き合うための活動です。書くことが自己認識になるような文章を作ることです。

 本書では、つぎのような「作文の書き方のコツ」が紹介されています。
☆「思ったこと」は、思った通りに書く。→思ったことを書く力。
☆「ある日の出来事」は、出来事の始まりから順に書く。→事実を書く力。
☆「長い間にわたった出来事」は、ことがらをえらび経過にそって書く。→経過を書く力。
☆「知らせたいこと・考えたこと」は、説明するように書く。→説明風に書く力。
☆「必要なこと」を説明したり、事実=具体例を入れて書く。→事実を入れて書く力。
 どれも「あたりまえ」のように見えますが、教科書や凡百の作文テクニック本と違うのは、この一つ一つがどのようにしたら身に付けられるのか、とても詳しく述べられているところです。まさに、「これまでに日本の子どもたちが書いてきた作文をもとに考え出した」コツだからです。さらにそこから「〜文」へは「何を」「どんな組み立て」で「どう書く」かが、豊富な子どもたちの作文と視点で展開されています。

 本書は、これまでたくさんの実践を載せてきた榎本さんが初めて編集段階から参画したものです。「作文というと、苦手という子どもたちが大変多い。…この本を読めば、悩みがふきとんで、書いてみたくなる本を出版することにした」「 高学年の子ども向けに書いたものである。作文の苦手の子どもは、中学生になって読んでみても、参考になるところがたくさんあるように編集した。」とありますが、書くことが苦手な大人(そもそも指導案以外にひとまとまりの文章と言えるものを書いたことがあるだろうか!?)にも有効でした。
 もちろん、私たち教師としては、直接子どもたちに語りかける本書から、教師のあるべき立ち位置と姿勢を見出すことができます。
 ぜひご自身が購入されるだけでなく、学校図書としても購入されることをお勧めいたします。

『作文名人への道』
   今井成司・田中定幸・榎本豊
本の泉社 2015年4月 1800円+税

榎本豊さん 国分一太郎「教育」と「文学」研究会・日本作文の会・綴方理論研究会・豊島作文の会などで精力的に活動
ホームページ「えのさんの綴り方日記」
http://www.yunochika.net/index.php?FrontPage


第497回豊島作文の会例会通信
◆日時・場所 5月23日(土)午後2時〜
豊島区立池袋本町小(元文成小) 東武東上線下板橋駅下車。徒歩3分ほど。
  会場校へのアクセスは、「えのさんの綴方日記」の豊島作文の会5月例会参照

提案1 『作文名人への道』(本の泉社)の活用の仕方。
提案者 榎本 豊(この本の執筆者の一人)
◆大学生になってもまともな文章が書けない
作文というと、苦手という子どもたちが大変多い。それは、書く時間が保障されていないからである。題材・構成・記述・推敲・交流と言う指導過程があるのに、なかなか思うように保障されていない。教科書に配列されている『書く』単元を読むと、参考作品も乏しく、あらかじめ題材が決められていて、子ども自身が題材を自由に選ベない仕組みになっている。子どもにとって最も大切な『表現意欲』がそがれたものを書く程つまらないものはない。
そこで、この本を読めば、悩みがふきとんで、書いてみたくなる本を出版することにした。
高学年の子ども向けに書いたものである。作文の苦手の子どもは、中学生になって読んでみても、参考になるところがたくさんあるように編集した。
今回は、この本の活用の仕方を、具体的に提示して、皆さんと一緒に考えたい。
 学期はじめで、大変忙しいが、この例会に出て、1年間の『表現指導』のあり方が、参考になるように提起したい。
◆なお、当日この本を扱いますので、すでに購入の方は、持参下さい。なお、当日参加の方には、割引販売の予定。



墨田区教職員組合
第70回定期総会

5月27日(水)
 3:00〜
すみだ女性センター
第2会議室

私たちの活動の基本を論議し確定しましょう!


週刊墨教組 No.1752号         2015.4.13


「子どもの貧困」に立ち向かう
   私たちがすぐに行うべきこと

 区内のある学校では給食費未納金額が数十万円にもなっている、という話を聞きました。社会の格差拡大が確実に進行していることを感じます

「貧困」の拡大
 厚生労働省が三年に一回実施する国民生活基礎調査によると「子どもの貧困率」は、二〇一二年時点で過去最悪の一六・三%。国が発表している「子どもの相対的貧困率」は年々悪化し、今、子どもの六人に一人、およそ三〇〇万人が、国が基準としている貧困ライン=i一人世帯一二二満円未満)以下で暮らしています。
 一クラスに六人はいることになります。

政府の「貧困」対策
 政府は「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、「子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう貧困対策は極めて重要」と強調し、保護者に対する学び直しやひとり親家庭に対する支援、奨学金の拡充など計約四〇項目を重点政策として示しました。それにより、超党派の議員立法として昨年六月に成立した「子どもの貧困対策推進法」にまとめられ、有識者の提言を踏まえ、内閣府や文科省、厚労省が具体的な施策を検討していくとのことです。実効性のある具体的な施策を期待します。

関係の「貧困」
 また、一見経済的には子どもの育ちが保障されているように見えても、家庭内やクラス内での関係性が損なわれ傷ついている子どもたちがたくさんいます。子どもにとって地域や家庭、学校で自分が大切な存在であると認められていると感じられることが必要です。それは、家族や教員、友だち、地域の人たち等、他の人たちの承認なくして育つものではありません。それは、互いに育て合うものなのです。

教育の「貧困」
 しかし、現在、経済競争力をつけることばかりが生きる力の育成であるという教育観がはびこり、教育現場では過度に競争主義と成果主義が求められ、学力をはじめ数値的な目標を達成することを教育の目標とする動きがでてきています。
 そのような教育観や取り組みからは、しんどい暮らしの中を生きざるを得ない子どもやさまざきな立場の子どもの育ちを保障することは難しいと考えます。

劣悪な日本の子どもの権利
 国際的にみても、国連の子どもの権利委員会は、日本には包括的な児童の権利法が存在しないこと、日本の教育システムが過度に競争的で子どもたちのストレスが強いこと、不登校の子どもが多く、学校においていじめと暴力がはびこっていることを政府に勧告しています。※1
 「子どもの権利条約」を日本は一九九四年に批准しているにかかわらず、子どもの権利に関する取り組みは消極的と言わざるをえません。

劣悪な日本の教員の権利
 四月三日に閣議決定された「残業代ゼロ法案」(労働基準法改正案)は、「高度プロフェッショナル制度」の導入と「企画業務型裁量労働制」の拡大を大きな柱としています。「Business Journal」は、「この二つの実現は経済界の長年の悲願だった。しかし、経営者には莫大な利益をもたらすが、どこから見てもサラリーマンには不利益どころか、長時間労働による健康被害を引き起こしかねない極めて“有害”な仕組みなのだ。」と断じています。
 私たちの教育労働現場は、何十年もの間、四%※2と引き換えに一切の残業代を支払われない「有害」な就労形態をとりつづけているわけです。ものすごい先取りでありました。
 そして、二〇一三年のOECD調査で、日本の教員が最長勤務時間であるとの結果が出されました。※3
 飲食店の過酷な深夜労働に対する批判には少しの対応がなされたようですが、この実態には何の対策も練られようとはしていません。まさに「天は自ら救うものを救う」です。
 このような劣悪な状況に身を置く教員に、子どもたちの教育はゆだねられているのです。

私たちが行うこと
 私たちはもっと一人一人の子どもに目を向けていく必要があります。クラスの中で気になる子がいれば、きちんと向き合い、家庭や地域でどのような生活をしているのか、クラスの中で友だちとどのような関係をもっているのか等、その子とその子をめぐる人々のことをしっかりと看取っていくことが大切です。そして課題解決に向けて真摯に取り組むことが必要です。
 そのためには、私たちに余裕がなくてはなりません。無駄な仕事や形式的なこと、体面をつくろうためのことに時間や労力を割かれてはなりません。自分で教材を作り授業を創ることができなくてはなりません。
 これが私たちのめざす真の教育であり、真の教育労働運動だと考えます。

※1 国連「子どもの権利委員会」の
日本政府に対する提案と勧告 2010年5月

22. 本委員会は、貴締約国が教育を重要視し、その結果極めて高い識字率を誇っていることに留意するものの、本条約の原則および規定、特に、本条約第3条、第6条、第12条、第29条および第31条に照らし、極度に(highly)競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達上の障害(developmental disorder)にさらされていること、および、教育制度が極度に競争的である結果、余暇、スポーツ活動および休息が欠如していることを懸念する。本委員会は、さらに、不登校の数が膨大(Significant)であることを懸念する。
23. 本委員会は、本条約第29条に従い、人権教育を学校の教育課程に導入するために貴締約国によって取られた措置が不十分であることを懸念する。
24.  本委員会は、学校において重大な暴力が頻発していること(the frequency and level of violence in schools)、特に、体罰が広く用いられていること、および、生徒間のいじめに関するケースが膨大に(numerous)存在していることを懸念する。本委員会は、体罰を禁止する法律が存在し、かつ、いじめの犠牲となった子どものための電話相談などの措置が取られているにも関わらず、現在の措置が学校における暴力を防止するために不 十分であることに留意し、それを懸念する。

※2
 教職調整額の4%という支給率は昭和41年の「教職員の勤務状況調査」の残業時間の長さ(約8時間)を基準に設定されたが、その後勤務時間が増加している(平成18年調査で約35時間)にもかかわらず、見直しはされていない。

※3 日本の教員、勤務時間が最長
 OECDが中学調査
2013年、週53.9時間
日本経済新聞 2014/6/25
 日本の教員の平均勤務時間は週53.9時間となり、参加国・地域中最も長く、平均(38.3時間)の1.4倍だった。内訳をみると「指導(授業)に使った時間」は17.7時間で平均(19.3時間)より短いが、部活動などの「課外活動の指導」が長かった。


アースデイパレード&キャンドルナイト
 アースデイ東京2015 Yes, Peace!をみんなで表現しよう
アースデイ東京2015では、キャッチコピーの“Yes, Peace!”を掲げて、
開催1日目の4月18日(土)に2つの企画を行います。みなさまの参加をお待ちしています!

●[13:45集合 出発14:00]
 みんなで街に繰り出そう!『アースデイパレードin渋谷』
 集合場所:代々木公園野外ステージ 
 ※ケヤキ並木南側(渋谷区役所前交差点付近)からの参加も歓迎!
コース:代々木公園〜渋谷駅〜宮下公園〜原宿駅〜代々木公園(徒歩約1時間)
●[18:00点灯セレモニー〜20:30]
 戦後70周年“祈り”のキャンドルナイト
場所:キャンドルドーム(野外ステージ付近)を中心とするアースデイ東京2015会場内
今年のアースデイ東京は公園内にとどまらず、街に繰り出します!
 今年のキャッチコピー“Yes,Peace!”を合言葉に「エネルギー」「食と農」「経済」の3テーマにわかれてみんなで渋谷・表参道を練り歩きます。出展者も来場者も一人ひとりが自分自身の“Yes, Peace!”なソーシャルメッセージを発信します。
 途中参加・途中合流も大歓迎。渋谷駅に帰る道すがらの参加でも大丈夫です。家族で、友達同士で、もちろんお一人でも! 道行く人を代々木公園に招きつつ、アースデイ東京を盛り上げましょう。
 また、2015年4月18日は、EU、米国、カナダ、中南米など世界各地の市民社会が協力して、人びとの暮らしや命、地球環境よりも大企業の「利潤」が優先される自由貿易・投資協定にNOをいうグローバル・アクション・デーです。世界の人びとと一緒にアースデイ東京でも声をあげましょう!
主催 アースデイ東京2015実行委員会 パレードチーム アジア太平洋資料センター(PARC)/こどもみらい測定所/TOKYO油田2017(潟ーズ)/レイキセラピー協会/アースデイ with マイケル/パルシック/国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)/MCAN White BLOCK a.k.a. 首都圏反原発連合/ママデモ/農業生産法人 日本豊受自然農/日本ホメオパシー医学協会/パワーシフト・キャンペーン/国際青年環境NGO A SEED JAPAN/アニマルライツセンター/ファストフード世界同時アクション・東京実行委員会 ほか(2015年4月7日時点/順不同)TEL:03-5209-3455 E-mail:office@parc-jp.org


週刊墨教組 No.1751号         2015.2.15

『辻征夫詩集』が岩波文庫から刊行
  言問小学校卒業の路地の吟遊詩人
    谷川俊太郎・茨木のり子についで三人目


 辻征夫は、時として、やさしくなつかしい、陽だまりのような詩を書いた。

  宿題

すぐにしなければいけなかったのに
あそびほうけてときだけがこんなにたってしまった
いまならたやすくできてあしたのあさには
はいできましたとさしだすことができるのに
せんせいはせんねんとしおいてなくなってしまわれて
もうわたくしのしゅくだいをみてはくださらない
わかきひに ただいちど
あそんでいるわたくしのあたまにてをおいて
げんきがいいなとほほえんでくださったばっかりに
わたくしはいっしょうをゆめのようにすごしてしまった

   *

 辻征夫という「おそるべき純度の詩人」(小沢信男)がいた。
 言問小学校を卒業した。生涯、向島という水土への郷愁をうたいつづけた不世出の抒情詩人だった。その詩が、ついに、岩波文庫で読めるようになる。
 二月十七日、『辻征夫詩集』が、谷川俊太郎の編集によって、岩波文庫から刊行される。
 現代詩の書き手としては、谷川俊太郎、茨木のり子についで三人目となる。
 新刊案内には、つぎのように記されている。

やさしくて、茫洋として、卑下もせず、自慢もしないー。単行本未収録作品を含めた全作品から七〇篇を精選した。現代抒情詩の第一人者辻征夫(一九三九ー二〇〇〇)のエッセンス。自筆年譜を収録。       (対談・解説=谷川俊太郎)

   *

(隅田川は夜明けに
小川のせせらぎのようなかすかな
音をたてて流れる
わたしはそれをなんどかきいたことがある)

 この清冽な四行は、「隅田川まで」という詩のなかにある。
 それにしても、辻の身体の奥深くすみずみまで浸透した、向島という水土がはぐくんだ隅田川への郷愁!

  吾妻橋

吾が妻という橋渡る五月かな
(昭和二十年代のはじめ
裏の家に住む元芸妓が
若かった母にいっている
そばにいる幼児は 彼女の眼に入らない
それがね 奥さん おどろくじゃないの
吾妻橋で浮浪児がおままごとをしているのだけれど
女の子が 男の子の あそこをいじっているのよ
それをアメリカ兵が大笑いしながら見ているの
おおいやだ そうじゃありませんか 奥さん

半世紀が過ぎて いま春雨に傘をさして
さして読まれもせぬ詩を書く男が橋を渡る
かつてこの川のほとりで 流れ寄る櫛を見て
吾が妻よ と呟いた男があったとかー
枕橋を過ぎ 長命寺の裏を通って
昭和二十年三月十日にも焼けなかった
路地の迷路に 男は消える)

 言問の路地の吟遊詩人の面目躍如。
 辻は、詩について「私どもの仕事では、少年時代の夢がすべてなのである」という決意を書きとめている。
 じっさい、辻ほど、時を溯り、少年時代の自分自身を再見するために、くりかえしまぼろしの水土/向島に帰還しつづけようとした詩人はいない。


   *

  アルバムの余白に

ぼく
六年B組の
(屋上からグライダーを飛ばすのが好きだった)
あの
ぼくです

お元気ですか
先生 なんて
死んだひとには失礼だけど
それでも
お元気ですか 先生
もしも御無理じゃなかったら
ちょっとぼくのこころにひびいてきてよ
ほら
よく言ってくれたじゃない
つよく!
あかるく!
とかなんとかさ

ながい月日がたったけど
(ヒューズがとんだり電池が切れたり)
ぼく 依然として
六年B組の
あの
ぼくです

 ―長崎の被爆者だった楠本謹八先生いまやなし。
   私は昨年、先生より一歳年長になってしまった。

 「楠本謹八先生」は言問小学校の教員であり、辻は彼の教え子であった。
 辻は、やさしかった「楠本謹八先生」について、「まちのうた・向島」で、つぎのように回想している。

 向島にはまた昔も今も花柳界があって、小学校の同級には後に芸者になった子供が何人かいた。なかに一人、親元を離れて使い走りをしながら、踊りや三味線を仕込まれている子がいたが、よく教室で居眠りをしていた。あるとき眠りながら踊りの手振りをしたことがあって、私たちは声をあげて笑いかけたが、そのとき眠らせておいてあげなさいと私たちを制したのは、いま思えば二十三歳の青年教師だったのだ。長崎から来た人で、楠本謹八先生といったが、四十二歳で他界した。

   *

  挨拶 ー結婚に際して

いくこよ
おれのあたまのなかは
いつもいつも夕焼けなんだ
夕日が八輛乃至十輛連結で
次から次に沈んで行く……
いくこよ
おれを夏または秋の
日暮れの
燃える空だと思え
やがて来る(だろう)
おれの夜には
星はおまえが輝やかせよ

 三三歳の時、北海道出身の遠藤郁子と結婚。
さきごろ、おのづかゆきおさん(辻征夫の同級生・辻の詩に登場する『あつみ鮨』の御主人)のはからいで、お会いした郁子さんは、右の詩そのままの人。墨堤の葉桜をゆらす「颯颯の初夏の風」のような人でありました。
 やがて、長女葉子、次女咲子誕生。姉妹につぎのような詩を書いている。

  川

ぼく すなわちきみの父は
隅田川の ほとりでうまれ
きみの母は 石狩川のほとりでうまれた
そしてある日(寒い寒い冬だったが)
きみがついにうまれてきたのは
ぼくの三十代の 暗闇で
二つの川が唐突に結びついたからだろう
むろんこれはこころの地理学だから
どんな「高等地図」にも
記されてはいないけれども

  桃の節句に次女に訓示

なくときは
くちあいて
はんかちもって
なきなさい
こどもながらによういがいいと
ほめるおじさん
いるかもしれない
ぼくはべつだん
ほめないけどね

ねむるときは
めをとじて
ちゃんといきして
ねむりなさい
こどもながらによくねていると
ほめるおじさん
いるわけないけど
とにかくよるは
ねむりなさい

   *

 辻征夫は、優しく信義に厚く、仲間を大切にしたという。彼ほど、その人柄と作品が愛された詩人は稀である。
 だが、うそ寒いこの時代にあって、辻征夫は、絶滅に瀕した「抒情詩人」という役割を、本気で一身にになった。「捨身」「いのちがけ」(小沢信男)で、詩に真向った。辻にとっての抒情詩の詩作とは、心中深く「荒ぶるもの」を宿し、凄まじくも孤独な、命を削る作業であった。死は、しずかにしのびよっていたのである。
 「萌えいづる若葉に対峙して」という詩は、つぎのようにしめくくられている。

 血まみれの抒情詩人がここにいて
 抒情詩人はみんな血まみれえと
 ほがらかに歌っているのですよ

 向島という水土/人情、そして、言問学校が生んだ現代日本最高の不世出の抒情詩人の詩集『辻征夫詩集』(本体価格五六〇円)が、岩波文庫から刊行される。
(長谷川政國)




週刊墨教組 No.1750                   2015.1.22

「教え子をふたたび戦場に送るな」
  道徳の教科化に反対する

 一月一〇日、東京教育文化研究所主催の学習会「道徳の教科化がねらうもの」に参加しました。池田賢市さん、大森直樹さんは、近代日本教育の中に「道徳」を位置づけ、現在の動きは「修身の復活」であることを説かれました。
 安倍政権下で、平和と民主主義も社会保障も働く者の立場も崩壊されようとしています。そして、教育も言うまでもありません。教育現場では道徳の教科化問題が差し迫っています。

「修身」のめざしたもの
 戦前、教科「修身」で子どもたちは、「教育に関する勅語の趣旨に基づき」評価されました。
 教育勅語に示された十一の徳目のうち最も重要な道徳的価値とされたのは「一旦緩急あれば義勇公に奉し以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」でした。意味は、「徴兵の発令を受けた時は必ず喜んでこれに応じるべきで、決して逃亡して戦地に赴くことを避けることがあってはなりません」です。さらに、「正真の男子にありては、国家の為に死すより愉悦なることなかるべきなり」と解釈され吹聴されていました。すなわち戦前の道徳は評価されていました。
 しかし、戦後、教科「修身」は教育勅語失効とともになくなりました。道徳として復活するのは、一九五八年、国が学校教育法施行規則を改正して「道徳の時間」を特設した時からです。以後、道徳は存続しますが、評価することはありませんでした。

なぜ道徳を評価しようとするのか
 道徳の教科化は一次と二次安倍政権下で成立した十五の教育法を分析すると明らかになります。十五教育法には三つのねらいがあります。
@グローバルエリートの育成 
Aノンエリートへの愛国心教育 
B教育の民営化への対応
 道徳の教科化は、Aノンエリートへの愛国心教育を目指すものといえます。
 「安倍政権が道徳教育と愛国心教育を重視しているのは、軍事力を強化する施策との関連もあるが、格差拡大と能力主義がもたらす人々の不満が体制への批判に発展することに危機感を抱き、体制を維持するイデオロギーの役割を両者に期待しているからだ。」(大森直樹「子どもが道徳を評価されるとき」『世界』)
 しかも、グローバルエリートの育成による子どもたちの分断に対処するためにも、民間委託の進展に対応した内容統制確保の要求に応じるためにも、道徳の教科化が安倍政権にとってはそれなりの整合性をもったものとして強く求められているのです。

今の時代の危機を直視すべき
 未来に起こるかもしれない戦争や政府による教育決定権の拡大による学校の荒廃への道をさらに加速させるものとして「道徳の教科化」を捉える必要があります。私たちは子どもたちに、「徴兵の発令を受けた時は必ず喜んでこれに応じるべきで、決して逃亡して戦地に赴くことを避けることがあってはなりません」というようなことを決して教えたくはありません。教えてはなりません。
 今の安倍政権の歩みは、一〇〇年以上前、戦争に向かって歩み始めた時代によく似ています。私たちは長く「教え子をふたたび戦場に送るな」のスローガンのもとにたたかってきました。「道徳の教科化」の問題の大きさをもっと多くの人たちに知らせるべきです。そして議論を重ね、世論に訴え、「道徳の教科化」の形骸化を目指すべきだと考えます。さもないと大変な時代を迎えるかもしれません。


小さき声のカノン―選択する人々 /
Little Voices from Fukushima
鎌仲ひとみ監督作品
渋谷シアター・イメージフォーラム等にて、
3月7日公開開始
はじめはみんな、泣き虫なフツーのお母さんだった。 福島、そしてチェルノブイリ後のベラルーシ。お母さんたちは、“希望”を選択した。
保養団体を応援するチャリティチケットを販売中 詳しくは
http://kamanaka.com/canon/へ


沖縄の民意を無視するな!辺野古に基地はつくらせない!
※シンボルカラーは青です。青い服、青い布、何でもいいので美しい海の青い色で国会を囲みましょう。
1月25日(日) 14時〜15時半
国会周辺 
(国会正門向かいの通りから集まります)
 最寄り駅(国会議事堂前、永田町、霞ヶ関)
 選挙の結果を見ても沖縄の民主主義は機能しています。今問われているのは日本 「本土」の市民の人権感覚と民主主義ではないでしょうか。辺野古にも高江にも基地はつくら せないという私たちの抗議の意志を目に見える形で明らかにしましょう。


安倍政権の暴走に反対する
1.26国会前行動

 安倍政権は、憲法の根幹に関わる平和主義の大転換につながる安全保障問題についてすら、可能な限り焦点化を避け続け、国民を欺こうとしています。私たちは、今通常国会において安倍政権の不当性を明らかにするとともに、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回と関連法の「改正」案の成立阻止等にむけた闘いにとりくみます。
 1月26日(月)18時30分〜20時
 衆議院第二議員会館〜参議院議員会館前

※戦争をさせない1000人委員会(平和フォーラム)は、衆議院第二議員会館前となります。
主催 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(戦争をさせない1000人委員会/解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)



奨学金って何が問題なの?
   〜若者の貧困を考える〜
講師 大内 裕和さん(中京大学)
1月30日(金)午後6時半〜
日本教育会館9階 901会議室

 都高教・東京教組共催
 大学生・短大生専門学校生のほぼ半数が奨学金を利用し、その8割が日本学生支援機構の奨学金を利用しています。これは「貸与型」であり、さらに無利子の「第一種奨学金」の利用者の約3倍の学生は、有利子の「第二種奨学金」を利用しているのが現状です。こうした状況に加えて、深刻な若者の雇用状況により、奨学金の返済が出来なくなり、延滞する若者が増えています。奨学金は、返済が遅れた場合には延滞金が生じ、その利率は昨年度まではなんと年率10%、今年度からは年率5%です。こうして、社会の入り口から若者に多額の借金を背負わせていることになります。



危機感を持って「自民党改憲案」を読む
〜秘密法・集団的自衛権と自民党案〜
 お話ししてくださる方  清水雅彦さん
   日本体育大学教授(憲法学)
   戦争をさせない1000人委員会事務局長代行
1月31日(土) 午後2時〜4時半
日本教育会館 2階 東京教組会議室

参加費  1000円
主催:子どもと女性の人権を考える東京の会



日朝教育交流のつどい
  今こそ朝鮮学校との交流をすすめましょう!
 〜朝鮮学校は、どんな学校だか知っていますか?
     まず子どもたちの学ぶ姿を見てください!〜
2月15日(日) 10時〜15時半頃
東京朝鮮第一初中級学校

 荒川区東日暮里3-8-5 TEL 03-3807-3635
 JR三河島駅下車徒歩10分 日暮里駅より徒歩15分



週刊墨教組 No.1749                   2015.1.1

すみだ春秋42

 周縁にまず回り込みうしろより
    足音ひそめ来たる改憲


  不審死という最期あり引き出しを改めらるる
  焉りはかなし

 昨年の『現代短歌』三月号に掲載された小高賢の「よきものの」十三首のうちの最後の一首である。
 この雑誌が発行されたとき、小高賢は、地上の人ではなかった。二月十日に脳出血で急逝していたのである。
 小高賢は、一九四四(昭和一九)年、「東京下町」生まれ。中和小学校、竪川中学校。両国高校を卒業していて,終生、墨田の人であった。
 年譜には、中和小学校の時、学校から引率されて映画『二十四の瞳』をみて、戦争をいけないと思ったとある。また、竪川中学校のときに、「勤評反対運動で先生たちがデモをしているのをみていた」とある。東京の勤評闘争を、理論と運動の両面で主導したのは元墨田教組委員長の若き内田宜人さんであった。
 第五歌集『本所両国』(二〇〇〇年刊)は若山牧水賞を受けている。


 小高賢の本名は、鷲尾賢也といい、講談社の伝説的な編集者だった。元連合会長の鷲尾悦也は六歳上の兄である。
 社会思想史を学び、丸山真男に親しんだ小高賢は、兇暴かつ危険きわまりない安倍政権にたいし、旗幟を鮮明にする。
 前述の「よきものの」のなかには、身体を賭して鋭く社会と時代をみつめた、古拙愚直ともいえる詠みぶりの、つぎの三首がある。

  周縁にまず回り込みうしろより足音ひそめ来たる改憲

  もはやわれしりぞかざると決意する妻をいざない茱萸坂通い

  こうなれば言わざるを得ぬ目をそそぎうるさきほどに抗議を

 昨年末には小高賢遺歌集『秋の茱萸坂』(砂子屋書房)が刊行されている。
 「茱萸坂」は国会議事堂南側の坂。小高賢は反原発デモや特定秘密保護法反対デモに参加していた。
 小高賢は、社会と時代への深切な思念を、『秋の茱萸坂』という歌集名に、こめた。

   *

 極右化する安倍ファシズムの暴走がとまらない。
 昨年七月一日に集団的自衛権行使容認が閣議決定された。これからは、狡猾な関連法案が続々と提出されることになる。
 金に目がくらんだ財界と和合して、武器輸出禁止三原則はとりはらわれた。現実に、底なしの解禁が加速している。これが、安倍晋三が唱える「積極的平和主義」の実体だ。
 ふりかえれば、一九九八年の墨田教組の教研集会では、辺見庸さんに「周辺事態法」について話していただいた。
 あれから、この国は、<戦争する国>めざして、なんとはるかな地点に到ってしまったことか。
 辺見さんは、小高賢と同じ一九四四(昭和一九)年生まれ。脳出血にみまわれたが、絶対に抵抗はやめない。
 その辺見庸さんの『反逆する風景』(一九九五年刊)が、鉄筆文庫から復刊された。
 この本には、二〇一四年九月二七日付けの「遺書」という書き下ろしの新稿がおさめられている。「遺書」の末尾は、九つの箇条書きでしめくくられているが、そのなかの六つを引用する。
 
  一、現自民党政権はかならず、ひとびとにかつてない災厄をもたらす。
  一、死んでも憲法第九条をまもりぬくこと。憲法第九条がすでにズタズタになっていても、再生させること。
  一、新しい戦争がくる。あるいは、新しい戦争がすでにきた。
  一、また核爆発がある。
  一、原爆投下直後のヒロシマ、ナガサキを、いまいちど切実に、切実におもうこと。ことばはそこから練りなおされなければならなかったのだ。
  一、希望はない。絶望をふかめること。

(長谷川政國)



道徳の教科化がねらうもの
講師 池田賢市さん(中央大学)
大森直樹さん(東京学芸大学)
2015年1月10日(土)13:00〜14:30
日本教育会館 東京教組会議室
   都営新宿線・三田線 メトロ半蔵門線 神保町駅下車4分
JR 水道橋下車15分
主催:東京教育文化研究所

女性教職員のための冬の学習会
1月12日(月・祝日) 13時〜16時30分
日本教育会館 7階 703号室
内容:@ 私たちをとりまく課題
〜秋闘の結果:給与制度問題など〜 講師 東京教組執行部 
A もう一度「LGBT」 
B ミニ学習会
・権利○×クイズ・教科書チェック(国語)・道徳副読本チェック
   C 職場交流    
主催:東京教育文化研究所

奨学金って何が問題なの?−若者の貧困を考える−
大変なことになっている!奨学金問題
「知らないで」進学指導することはできない奨学金の「明と暗」
講師 大内裕和さん(中京大学教授)
1月30日(金)18:30〜20:00
日本教育会館 9階901号室
東京都高等学校教職員組合・東京教組共催

危機感を持って「自民党改憲案」を読む
〜秘密法・集団的自衛権と自民党案〜
お話ししてくださる方  清水雅彦さん
   日本体育大学教授(憲法学)
戦争をさせない1000人委員会事務局長代行
1月31日(土) 午後2時〜4時半
日本教育会館 2階 東京教組会議室
参加費  1000円
主催:子どもと女性の人権を考える東京の会



週刊墨教組 No.1748                   2014.12.8

私たちの毎日は、一つ一つが大切な営みだ
 けっして卑下すまい!
 けっして萎縮すまい!


大切なことを忘れてはならない

 選挙だ! クリスマスだ! 大雪だ! と騒いでいる間にも、「大切なこと」は静かな喜びや悲しみ、怒りを伴いながら日々刻々と漂っていきます。私たちはそこから目をそむけてはいけないのです。わたしにとって「大切なこと」は何なのか…それが「わたしがなんであるか」を規定します。
 「秘密保護法」に反対する地道な闘いは、一年継続されました。福島原発の責任を問い一切の原発再稼働を拒否する官邸・国会正門前金曜行動はもう四年目になります。

政治に教育を語られたくない
 政治は教育に期待します。確かにまっとうな政治はまっとうな教育によって強化されます。旧教育基本法は憲法と教育に対して、絶対的な信頼を表明しています。しかし、新教育基本法は教育を政治の具にする=利用主義に彩られています。
 政治は、うまくいかないと教育を非難しますが、多くの場合、教育の失敗は社会の崩れの結果であり、社会の崩壊は政治の貧困の結果なのです。私たちは「萎縮」する必要はありません。「うちわと言えばうちわと言えるような物(いじめと言えばいじめと言える…けれど「いじめ」ではない)」「収支が合わない報告書(算数程度の数観念の欠落)」「SMクラブで政治の話をすること(恥知らず)」…私たちの教育はこんな政治・社会の中でなされているのです。
 池澤さんの論考は、政治家の語るものではない本来の「道徳」が持っている力を甦らせてくれます。



(終わりと始まり)
桃太郎と教科書
知的な反抗精神養って 池澤夏樹
朝日新聞2014年12月2日
 前衆議院議員の義家弘介さんが産経新聞でぼくの文章を論じてくださった。
 ぼくが書いたのは「狩猟民の心」というエッセーで、平成10年度から14年度まで高校の教科書「国語I」(筑摩書房)の教科書で使われた。義家さんは、これは子供たちに供するにふさわしくない内容だと言われる。
 以下、最初はぼくの文の引用――
 《日本人の(略)心性を最もよく表現している物語は何か。ぼくはそれは「桃太郎」だと思う。あれは一方的な征伐の話だ。鬼は最初から鬼と規定されているのであって、桃太郎一族に害をなしたわけではない。しかも桃太郎と一緒に行くのは友人でも同志でもなくて、黍(きび)団子というあやしげな給料で雇われた傭兵(ようへい)なのだ。更(さら)に言えば、彼らはすべて士官である桃太郎よりも劣る人間以下の兵卒として(略)、動物という限定的な身分を与えられている。彼らは鬼ケ島を攻撃し、征服し、略奪して戻る。この話には侵略戦争の思想以外のものは何もない》
 (ここからが義家さんの意見)〈わが国では思想及び良心の自由、表現の自由が保障されている。作者が作家としてどのような表現で思想を開陳しようとも、法に触れない限り自由である。しかし、おそらく伝統的な日本人なら誰もが唖然(あぜん)とするであろう一方的な思想と見解が、公教育で用いる教科書の検定を堂々と通過して、子供たちの元に届けられた、という事実に私は驚きを隠せない。
 例えばこの単元を用いて、偏向した考えを持つ教師が「日本人の心性とは、どのようなものであると筆者は指摘しているか。漢字4字で書きなさい」などという問題を作成したら一体どうなるか。生徒たちは「侵略思想」と答えるしかないだろう。〉
    *
 ううん、困ったな。
 あのエッセーでは「伝統的な日本人なら誰もが唖然とする」という、そこのところが言いたかったのだが、理解していただけなかったらしい。ぼくは子供たちに唖然としてほしいのだ。
 ぼくにも反省はある。
 「日本人の(略)心性」というのは間違いだった。悲しいことながら、本当は「人間の心性は」と書くべきであった。
 二十年以上前に「狩猟民の心」を書いた時は、これは自分のオリジナルな発見だと得意になった。世間の桃太郎イメージを逆転できる!
 しかしずっと前に同じことを明治期の偉人が言っていたのだ――
 「もゝたろふが、おにがしまにゆきしは、たからをとりにゆくといへり。けしからぬことならずや。たからは、おにのだいじにして、しまいおきしものにて、たからのぬしはおになり。ぬしあるたからを、わけもなく、とりにゆくとは、もゝたろふは、ぬすびとゝもいふべき、わるものなり。もしまたそのおにが、いつたいわろきものにて、よのなかのさまたげをなせしことあらば、もゝたろふのゆうきにて、これをこらしむるは、はなはだよきことなれども、たからをとりてうちにかへり、おぢいさんとおばゝさんにあげたとは、たゞよくのためのしごとにて、ひれつせんばんなり。」
 福沢諭吉が自分の子供のために書いた『ひゞのおしへ』である。現代語訳が慶應義塾大学出版会から出ている。
 桃太郎のふるまいは「ただただ欲のための仕事にて、卑劣千万」なのだと諭吉さんは言う。ぼくが書いたことはぜんぜんオリジナルではなかった。
 侵略と言って悪ければ進撃と言えばいいか。
    *
 日本で最初に作られた長篇アニメに「桃太郎の海鷲」という作品がある。モノクロで三十七分(ネットで探せば見られる)。海軍省の指揮のもと、芸術映画社が作った。テーマは真珠湾攻撃で、実際、アニメとしてずいぶんよくできている。飛行シーンや細部のくすぐりなど宮崎駿を先取りしていると言ってもいい。
 桃太郎が空母に残って激励するばかりで部下を戦闘地域に送るあたりは史実の反映かもしれない……というのは深読みが過ぎるか。
 もう一つ例を挙げようか。
 日本新聞協会広告委員会が開催した「2013年度新聞広告クリエーティブコンテスト」で最優秀賞に選ばれ、東京コピーライターズクラブの2014年度TCC最高新人賞を受賞した作品。鬼の子が泣いている絵の上に「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」というつたない子供の字のコピーがある。
 教育というのは生徒の頭に官製の思想を注入することではない。そんなことは教師出身の義家さんは先刻ご承知のはず。一つのテーマに対していかに異論を立てるか、知的な反抗精神を養うのが教育の本義だ。ぼくの桃太郎論を読んだ生徒が反発してくれればくれるだけ、ぼくは嬉しい。




強行採決から1年 「秘密保護法」施行するな!12・6集会 集会宣言
我々は萎縮しない!
  秘密保護法廃止まで闘い続ける!
 安倍政権が市民の大きな反対の声を無視して秘密保護法を強行採決した屈辱の12月6日の一周年がめぐってきた。そして政府は、よりによって「世界人権デー」の12月10日に「21世紀最悪」とも評されるこの悪法を施行しようとしている。
 秘密保護法の下では、なにが秘密にされるか分からない。ちゃんと秘密が指定されていることを確認する手続きがない。まともな第3者機関もない。そして何よりも「政府に不都合なことを秘密にしてはいけない」という当然のことがこの法律の中には書かれていないのだ。そして秘密を漏えいした公務員だけでなく、これを取得し、あるいはしようとしたジャーナリスト・市民にも最高懲役10年の重刑が予定されている。
 内外の現代史をひもとけば、隣国への敵意を煽る誤った情報によって戦争が始められた事例には事欠かない。秘密保護法は集団的自衛権の行使容認、憲法改悪と一体となった、戦争をはじめるための政策の一環である。
 安倍首相は、秘密保護法は普通の市民生活には無関係だと述べた。本当に無関係だろうか。政府が自らに都合の悪い重要な情報が秘密にできるなら、原発事故が起きても、正確な情報は市民に提供されないまま、無用な被曝を強いられ、誤った戦争に市民は賛成してしまうだろう。安倍首相の述べる「普通の市民生活」とは、主権者として知る権利を放棄し、真実を暴いていくようなジャーナリズムと市民の活動を断念するところに成立するものだ。
 施行の時期が近づくにつれ、市民の間には基地や原発の監視活動を今までどおり継続していて大丈夫かという危機感が高まっている。適性評価制度の対象とされる公務員や情報提供を求められる医師の間にも懸念が深まっている。この法律が成立したことにより、政府の指定する特定秘密に触れる可能性のある活動には一定の危険性が生じている。政府情報に迫るジャーナリスト、原発や基地の監視を続けている市民活動家、武力紛争地域で人道支援活動に取り組む国際協力NGOなどには、これまで政府から得られた情報が得られなくなるなどのさまざまな影響が生じてくる可能性がある。秘密保護法は共謀や独立教唆、煽動まで取り締まっているので、特定秘密に触れるところまで行かなくても、嫌疑をかけられる危険がある。しかし、我々が萎縮して、これまで遂行できていた市民活動を断念してしまうようなことは政府側の思うつぼだ。
 法律が制定されたあとも、我々はこの一年間粘り強く廃止運動を全国で続けてきた。署名活動に取り組み、国際シンポジウムを開催し、運用基準などに関する政府のパブコメにも多くの意見を提出した。2014年7月、国連自由権規約委員会は、規約19条にもとづいて、秘密指定には厳格な定義が必要であること、制約が必要最小限度のものでなければならないこと、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰から除外されるべきことを求めた。忘れっぽいとされる日本の社会の中で、このような運動は画期的なものである。我々の施行反対の声に応えて、衆議院解散前の国会に、共産党、社民党などによる秘密保護法廃止法案、民主党などによる施行延期法案が提出された。自民党の中からも秘密保護法に対する懸念の声がようやく高まっている。
 衆議院の解散により、時ならぬ総選挙が闘われている。我々は、安倍政権の一年前の暴挙をしっかりと心に刻み、この選挙で、秘密保護法の制定に手を貸した政党と国会議員に厳しい審判を下さなければならない。我々は、解散総選挙により国会の「監視機関」すら機能しない中で強行される12月10日の施行を許さない。そして、我々は、この法律の威嚇に萎縮することなく、秘密保護法の廃止を求めて闘い続けることをここにアピールする。
2014年12月6日



“熱と光”すみだフェスタ2014
つながろう!辺野古に!
    沖縄差別を許さない墨田の集い
 12月11日(木)午後6:30〜
 墨田区社会福祉会館3階
主催 部落解放墨田区民共闘会議
上映 『海にすわる〜辺野古600日間の闘い〜』
2006年/47分/琉球朝日放送制作
ディレクターは『標的の村』監督の三上智恵さん
 1995年の米兵少女暴行事件に端を発した沖縄県民の怒りが、普天間基地の県内たらいまわし問題にからめ捕られていく過程に疑問をぶつけながら、日々の辺野古報道にあたった地元ローカル局のカメラは、徹底して追い込まれながらも必死に抗う県民の側に立つ。まさに『標的の村』(2013)の原点。
ゲスト青木初子さん
(部落解放同盟東京都連品川支部)
 沖縄名護市出身の青木初子さん。「もう黙っていられない!」と手書きの横断幕を手に、東京駅や有楽町駅頭に立ち、道行く人へ辺野古新基地建設反対を訴え続けている。
沖縄の声を聞き、つながろう!
 安倍政権の暴走が止まりません。安倍は、アメリカと一緒に戦争がしたくて、彼が蔑視している中国や朝鮮を叩きたくて、しょうがないのです。そのためには軍事力拡大―辺野古新基地建設が欠かせないと考え、なりふり構わぬ暴力でもって、辺野古の海を奪おうとしているのです。戦中・戦後ずっと「捨て石」にされ、日・米に苦しめられてきた沖縄の人々の怒りは沸点に達しています。10年以上も海に座り続けてきたおじい・おばあ達の思いがどこにあるのか。その思いを踏みにじる日本政府が、どんなことを行なってきたのか、私たちは知らなければなりません。そしてこれ以上の沖縄差別を許さない!の声を、本土で墨田で大きくしていくことが、正念場を迎えている辺野古の闘いを支える力になると思います。ご参加ください!



12月13日(土)13時〜 デモ出発14時
代々木公園ケヤキ並木渋谷側
 2011年3月に起きた福島原発の事故はいまだに収束されず、避難者への補償・支援など、未解決なことが山積しています。そんな状況下で政府は、避難計画も立たず火砕流の危険性など多くの問題を抱える鹿児島県の川内原発の再稼働を無責任に急いでいます。
 2013年9月15日、国内で唯一稼働していた福井県の大飯原発4号機が定期検査のため停止して以来、日本には稼働中の原発はありません。電力消費量が多いとされる夏も原発の発電なしで乗り切ったことは、原発がなくても電気は足りているということを証明しています。
しかし政府は利権を持つ人、命より経済的な利益を 重視する人のために、その再稼働に躍起になっているのです。原発のために、私たちの生命の尊厳が損なわれたり、平和な暮らしが脅かされたりする必要は一切ありません。
川内原発再稼働反対を焦点に、全原発の再稼働反対と全原発の廃止、エネルギー基本計画の転換、原発輸出反対など、デモで集まり意思を可視化し訴えましょう!


週刊墨教組 No.1747                     2014.11.16


二〇一四年 賃金確定闘争
 物価上昇に追いつかないが…

月例給、一時金は勧告通り!十五年ぶりの年内精算へ!
    
公民較差分五二一円〇・一三%引き上げるとともに、
    
特別給(賞与)についても〇・二五月引き上げ、年間四・二〇月
  月例給と地域手当の配分変更
    来年度から、地域手当一八%→二〇%により、
      月例給平均一・七%「最大三・四%」引き下げ
        これに伴う、退職手当への波及は、
         調整額単価を上乗せし、総体としての支給水準を維持!

厳しい闘いの中、都側の提案を大幅に押し戻す!
☆昇給制度の見直しは、三号昇給(一号分カット)の分布率を撤回させ、
    実施時期を一年先延ばし!
☆勤勉手当の成績率について、拠出割合の当初提案を半減させる!

 今秋闘は、都側が人事委員会勧告に盛り込まれた「給与制度の見直し」「監督職制度の見直し」だけではなく、「昇給制度の見直し」や「勤勉手当の成績率の見直し」などを、矢継ぎ早に提案してきたため、非常に厳しい闘いとなりましたが、都側提案を大幅に押し戻しました。
 一三日の統一行動は中止しました。今後、私たちの側の力を強くし、これ以上の不利益をこうむらないようにしていかなければなりません。
 主な事項は以下の通りです。

昇給制度の見直し
 「昇給制度の見直し」として「職員の能力・業績の発揮度合いに応じて一から積み上げていく加算型の昇給制度を構築する」との考え方から、昇給区分を昇給なしから六号昇給までの七段階にした上、現行では「業績評価における第一次評定の総合評定が『D』の職員」とされていた三号昇給について「五%の付与率を設定する」という当初提案となっていました。つまり、二〇人に一人は必ず一号分奪い取るという提案です。
 粘り強い交渉によって、主幹・主任以下の教育職については、現行と同じ「業績評価における第一次評定の総合評定が『D』の職員」とさせ、「五%の付与率」は設定させないことになりました。また、実施時期についても、二〇一六年の四月一日からと、一年間先延ばしさせることができました。

勤勉手当の成績率
 昨年度から全職員に適用となった「勤勉手当の成績率」について、都側は、人事委員会勧告による一時金の改定分(〇・二五月)が全て勤勉手当となるため、拠出月数(成績率の原資)を改定すると提案してきました。これについて、撤回させることはできなかったものの、右下表のように当初提案を大幅に押し戻しました。
 また、勤勉手当の成績率がブラックボックス化していることから、「成績率の加算額について、職員が各自の状況を確認できる措置を講じ、職員の制度理解をさらに深める取り組みをすすめていく」とされました。

本給と地域手当の見直し
 本給の引き下げと、地域手当の見直しは勧告通りとされましたが、異動保障(八年間)について改善をさせました。
○区部・多摩公署から島しょへの異動→現行七・二%を九%に増額

退職手当の調整額単価の改定
 本給の引き下げに伴う退職手当への波及については、調整額の単価を現行一ポイントあたり一〇〇〇円から一〇七五円に改定し総体としての支給水準を維持させました。

監督職制度の見直し
 新三級職(課長代理級)について、事案決定権を島嶼提案よりも大幅に制限させたほか、現四級職からの切り替え方法について「同額直近上位方式」とした上で、「新三級の最高号俸を超える場合は、差額に相当する額を給与として支給」することになりました。また、統括課長代理(仮称)認定制度が創設されることになりました。

非常勤制度の見直し
 総務省の通知により、これまで特別職とされてきた非常勤職員は「地方公務員法第一七条に規定される一般職」となります。問題となっていた「兼業・兼職」については、「弾力的な運用」とされました。また現職と同様に、職員団体等執行機関の運営のための職免が認められる他、年休について「常勤の任用年数を通算」とされました。これにより、現在一年目の年休が一〇日となっていますが、五年目と同様一六日になります。

その他の事項
◇パワーハラスメント対応について、「来年度以降順次相談窓口を設置することを検討するなど、環境整備に努めること」及び「管理監督職向けセミナーを実施すること」が合意されました。
◇子どもの看護休暇の改善
 看護の対象となる子の年齢を「九歳に達する日以後の最初の三月三一日までの間にある子」から「中学校就学の始期に達するまでの子」と改善されます。
◇育児または介護を理由とする時差勤務を導入(今後、任命権者と協議)
◇一五年四月一日より、「配偶者同行休業制度」が導入されます。
◇永年勤続表彰の対象となる期間の除算期間から、「育児休業・介護休業の期間を除外」となります。

労働組合を強くしよう
 現場での協力・協働によって公教育を担う教職員に、このようなベンチャー企業顔負けの昇給制度など必要ないはずです。
 私たちにとって必要なのは、競争的に人よりも高い給料を獲得することではなく、安心して共働して教育労働をする=はたらくことです。
 一人の力ではこれは絶対に実現しません。
 組合の目的は、わたし/あなたの賃金を上げる(下げさせない)ことではありません。
 わたし=あなた一人の賃金をあげる程度のことなら、それほど難しくはありません。勤勉・努力・抜け駆け・足払い・卑屈・胡麻擂り…によってできます。これはむしろ、当局によって「推奨」されている方法でもあります。
 組合は、「わたしたち=あなたたち」の賃金を上げることをまず目的とします。給与制度が「わたしたち=あなたたち」すべての賃金を上げるものでないとしたら、その制度自体を問題とします。組合があればできるかは請け合えませんが、けっして一人ではできないことだと断言できます。
 さらに組合は「わたしたち=あなたたち」の内実を拡大していきます。たとえば教員組合から教職員組合へ。非正規雇用という「保護されない労働」がある限り「正規雇用」の労働条件は向上しません。「保護されな労働」の撤廃はどんな善良な個人であっても、一人の力でなしうることではありません。
 「わたし/あなた」が「あなた/わたし」を踏みつけにして幸せになってはいけないという倫理を、私たちは持っています。組合に入っているということはその証でもあります。
 「万国の労働者よ、団結せよ」 資本が国境を軽々と越える今、二〇〇年近く語られているこの言葉の条件は整い、実現が喫緊の課題となっているのです。わたしたち=あなたたちは働く者の力を集めて、より良いわたしたち=あなたたち=子どもたちの、社会をつくっていかなくてはなりません。「賃金闘争」はその第一歩です。
 組合に結集し、共に新しい未来を拓くために闘いましょう。



沖縄県民の意思=辺野古移設反対を受けとめる!!
東京が沖縄でないということは、沖縄を差別していいということではない

知事選で辺野古新基地の断念を!工事強行するな!
11月22日、首相官邸前に大結集しよう!
NO!辺野古新基地 埋め立てるな!政府へ迫る11月連続行動
11月22日(土)14:00〜15:00
国会記者会館前路上

(東京メトロ千代田線・丸ノ内線「国会議事堂前」駅出入口3すぐ)
<主 催>辺野古への基地建設を許さない実行委員会

 11月16日の沖縄県知事選挙で、辺野古反対を公約にした翁長雄志氏が仲井真現知事に10万票の差をつけて初当選しました。
 すぐさま政府・安倍政権は、「仲井真弘多知事が埋め立てを許可したので、手続きに基づいて粛々と進める」(菅官房長官)と言い、この選挙後にも、辺野古新基地建設の「事実上の埋め立て」となる、仮設桟橋に着手すると報道されています。長さは陸上部約30メートル、海上部約70メートルの計約100メートルで、砕石と金属製資材などを使うとしているのです。「仮設」という名目で、今現在、中断して終わっていないボーリング調査や工法の変更申請のための知事承認などと関係なく準備を進めています。海上はもちろん、資材を搬入するときの入り口となるキャンプシュワブのゲート前でも緊迫し始めています。
 一方で、基地建設の作業場をキャンプシュワブ内につくるため、アスベストがあることが判明した建物の解体工事を10月29日からおこなおうとしていました。周辺住民への説明会を開かず、ましてや安全性への疑問にすら具体的に答えることなく強行することに反発を強め、同ゲートでの座り込みも始まっています。
 そこで、辺野古への基地建設許さない実行委員会は、この辺野古新基地建設強行を許さず、辺野古現地のたたかいに結集するとともに、連携して政府への行動を強めなくてはならないと、「辺野古新基地NO!埋め立てるな!
政府へ迫る11月連続行動」を呼びかけています。11月22日の官邸前行動は、知事選勝利を受けて多くの人たちで訴えることが大切な行動となりますので、ぜひ参加をお願いします。



沖縄・辺野古の海埋め立て反対!11.30新宿行動
11月30日(日)14時 新宿アルタ前広場
15時デモ出発



アジェンダ・ブロジェクト講演会
 11月30日(日) 14時 
 国分寺労政会館
中央線国分寺駅南口5分
「安倍のウォープラン」の危険な正体
 集団的自衛権で
米軍事同盟はどう変わるのか
講師 前田哲夫さん 資料代600円

 内閣の「解釈」によって平和憲法を「停止」させ、「戦争する国」へ日本社会をつくりかえようとする安倍政権の危険なたくらみをこのまま許してはなりません。今私たちは何をすべきなのか?講演会を通して考えていきます。



今、改めて「敗戦」の意味を考えよう!
 11月30日(日)午後2時〜4時半
 エル・ソフィア3階第3・4会議室

      東武伊勢崎線梅島駅3分
講演 戦争裁判は何を裁き何を裁かなかったのか
講師 内海愛子さん
 恵泉女学園大学名誉教授 「朝鮮人BC級戦犯の記録」「戦後補償から考える日本とアジア」「スガモプリズン―戦犯たちの平和運動」「キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡」ほか 
DVD上映 「右傾化の源流―A級戦犯を聞く」
 1956年文化放送「マイクの広場 A級戦犯」で放送。4人のA級戦犯の発言が大きな波紋を呼んだ。最近DVD化されたもの。新聞うずみ火編集部制作。(35分)

 今、日本は、一歩一歩戦争に近づいているような危険を感じます。もとはと言えば、戦争への反省のなさが原因ではないでしょうか。遠くは、反省のない植民地支配の記憶が、差別を温存し、他者に優しくない日本社会の空気を煽っています。
 日本の歴史の原点である「戦争裁判」をテーマに日本の歴史を検証します。
主催 映画を見て考えるパラムの会
参加費1000円学生以下500円



「秘密保護法」実施するな!
  12.6大集会
日比谷野外音楽堂
 13:50〜15:30
銀座デモ 16:00〜

 秘密保護法の強行採決から1年がたちました。しかし、秘密保護法に対する批判は収まりません。全国で195の県議会、市町村議会で同法の廃止や慎重な運用を求める決議が出ています。秘密保護法の施行に向けた運用基準などに対するパブコメには、異例ともいえる約2万4千件の意見が寄せられました。自民党総務会でも、秘密保護法と運用基準への批判が続出しました。ついに自民党の中からも批判が出るに至りました。
 安倍政権は、この問題だらけの秘密保護法を12月10日に施行しようとしています。知る権利、取材・報道の自由を否定する秘密保護法は、戦争への道につながります。今こそ「施行反対」の声を大きく上げましょう。
主催:新聞労連 平和フォーラムなど



週刊墨教組 No.1746                     2014.11.4

「すみだと組合の歴史」
  〜 「すみだ春秋」を読みながら〜
長谷川政國さんのお話

秋の教研一〇月二二日(水)すみだ女性センター


 墨田教組を強くしたのは、内田宣人さんである。現在八八才になっている。「戦争と文学」という本では、内田さんの「土屋文明」という本を紹介している。内田さんとしては、書き切った感がある。「戦後情念史」を内田宣人さんが書き、長谷川さんはその本のあとがきを書いている。墨田教組の歴史を話すには、内田さんのことが中心になる。「すみだ春秋」には、墨田を舞台とした短歌や詩を載せている。今日は、「戦後情念史」のあとがきと、「すみだ春秋」の作品から話を進める。

一.内田照子さんの短歌から
 夫を支える妻の情愛がわかる作品を紹介する。
勤評反対闘争史一冊の本となりて夫職退きぬ
ストありて捜索受けし早朝のいくたび思う夫職退きて
晩年のピカソ自画像のごとくにて哀しくおかし夫の寝顔は
書斎より夫のしわぶきの聞こえくるかたみの闇に触るることなく
社会主義潰えし後の夫老いぬ窓辺に淡き凌霄花は
又一人運動の友逝きしとう夫の日教組遠くなりゆく
 凌霄花とは、「ふうせんかずら」のことである。からみつくのが特徴なので照子さんが夫をからみつくように細やかに支えているのがわかる。
 また、「友」というのは、大野昭之さんのことで、都教組内五四人の離党声明に代表として名を出した五人のうちの一人であった。

二.「六〇年安保を労働者はいかに闘ったか」について書いた句
 六〇年代安保闘争を考える上で、都教組委員長、共産党の竹内基浩の東京地評、東京共闘の動向は大きな意味をもっていた。全学連をつくった人で、二人は親友であった。共産党の方針と違ったことをやっているので、情況は大変きびしかった。
志を支えしは組織のゆえならずかすかな信義に苦しみ拠りき

三.墨田教組の三人と
一三〇〇人の組合員
 一九五七年、内田宣人は委員長、徳野武夫は会計部長、金井栄一は副委員長になった。徳野さんは弁慶のように内田さんに寄り添い、美男で寡黙な金井さんは黙々として内田さんにつきしたがった。
 一九五八年、墨田教組は都教組の一支部一三〇〇人の組合員をかかえていた。内田さんは都教組の執行部をやめて、墨田に戻ってきた。週刊墨教組を書いていた。都職員組合運動を労働運動の階級的本道にのせるべく死力をつくした。苦悩と疲労は深かったが、戦後をまっとうに生き切ろうとする1人であった。
かく過ぎし戦後何なりし衣食あふれかく浮簿なり派兵論議も

四.週刊墨教組と「すみだ春秋」
 週刊墨教組は出せる範囲でいいと言ったのに、小山さんは「続ける」と言った。榎本さんに「はじける芽」を書いてもらった。毎週書いてくれた。長谷川さんが頼んで、いやだと言わない人は三人、榎本さん、菊岡さん、巻幡さん。長谷川さんはすみだ生まれの詩人を書こうと思った。江戸時代の歌人など書いたが、あまり評判がよくなかった。だから、現代の人を載せた。大岡信、これが「すみだ春秋」の始まりであった。
 しかし、一茶の句
世の中は地獄の上の花見かな
に比べれば、完璧性がないかなと思う。

すみだの情景を詠んだ詩
 「東京挽歌」大岡信
散りそめた桜の下を
ぼくらは歩く
みな腐るのだあなたも
春の奥には
春のむくろ
そこから花はまた天に噴き
高速道路の花見客は
地獄へのんのん走ってゐる
夕紅葉まで到りつくがに

五.作品紹介
・ 〈幽霊船長〉と「橋上の人」― 河原晉也、鮎川信夫 「川は闇の底を、いざるように流れていた」
 幽霊船長とは、一九八六年一〇月に死んだ「荒地」の詩人鮎川信夫のことである。河原は鮎川を師匠とあおいだ門下生である。河原は言問橋に佇み、隅田川の水面から首都高へ、さらに白鬚橋方向へ眼差しを注いだ。そこに、明滅する幽明の光景をしかと見た、その光景こそ「橋上の人」の詩句ではなかったか。

・ 木の実ナナー 絵本「虹色の街」と田村隆一
 田村隆一は、日本で詩だけで飯を食っていた。木の実ナナは向島小梅がルーツである。本名を池田鞠子(まりこ)といい、一九四六年(昭和二一年)七月生まれで、「鳩の街」ピジョン・ストリートに住んでいた。まりこは「あいの子」といわれ、いじめられていた。お姉さん達は心優しくて、可愛がってくれたという。ナナという名はエミール・ゾラの「ナナ」から来ている。岡村は「唄−木の実ナナに」という詩を「陽気で悲しい恋の唄」としたためた。
 水のそばで育った人、水土の人、木の実ナナといえる。

・ 辻征夫―向島を舞台に悪童の純愛地獄篇
 墨田中学校傍の「あつみ鮨」に辻征夫の本が並べてあった。戦後の教育人楠本謹八先生の言問小の教え子達がしたたかに育っていったのである。「これはいにしえの嘘のものがたりの」を収めた辻征夫詩集は、高見順賞を受けた。
 川にたくして作品を作った、これも水土に育った人といえる。
 週刊墨教組に辻征夫の詩を載せたのを、原さんが印刷してくれた。

・ 「鮎川信夫全詩集」について
 詩人独特の感性がある。鮎川信夫の姿から隅田川を愛していたのがわかる。

・ 元委員長小山拓二さんは孫に辻征夫の「みずはつめたい」を読んであげるそうだ。「ねむるのはねむいから…」という所でお孫さんは黙って見るそうだ。

・ 小沢昭一さんの句の紹介
 両国・向島・隅田川・墨堤が出てくる。

・ 「すみだ春秋」の表紙について
 藤牧義夫「まくら橋」桜・梅・花びら黄色が特徴

 この週刊墨教組にも墨田教組にも、長い歴史があり、時代と私たち自身を見つめながら歩んできた。これからも微なりとはいえ、歩み続けようと長谷川さんのお話をうかがいながら思いを強くした。





日本作文の会 秋の研修会
「書く・読む・つながる」力を育てる

   ―ベテラン教師から若い先生へのメッセージ―

 今、教科書の中には、「綴方」という言葉はもちろんですが、「作文」という文字がなくなり、「ひとまとまりの文章」を書く機会が減り、「作文力」の低下が問題になっています。文学作品の「読み」についても課題となっています。
 今回の3本の提案は、こうした課題を切り開くための、おおきな問題提起をしてくれるものと思っています。教育の実践のありかたを「考え」「深め」「交流」できる機会にしたいと思います。
 教科書の作文を、どのように実践したかという、若い人に是非参加して、頂きたい実践ばかりです。知り合いの方をおさそいの上、ご参加ください。
11月15日(土)  9時30分〜4時30分(受付開始9時〜)
豊島区立池袋本町小学校(旧文成小学校) 豊島区池袋本町4-36-1
   池袋駅乗り換え、東武東上線「下板橋」駅下車 北口から徒歩2分 
  会場への地図は、
「えのさんの綴方日記」の第8回国分一太郎「教育」と「文学」実践研究会参照。
報告1 2年生の作文指導〜一年間のできごとをふりかえって〜 
富山 悦子(豊島作文の会)
報告2 「言葉」「文字」に注目して読もう
  〜言葉の意味よりも「言葉がそこに書いてある」ということに目を向けた読みを〜
       今井 成司(東京作文教育協議会)
報告3 「綴り、読み合う学級づくり」〜「We‘ll change」を合い言葉に〜
藤田 美智子(福島県元公立中学校教員)
参加費 1,000円(資料代として登録会員は無料 会員の年会費2,000円)



手と足を もいだ丸太に してかへし
    ―鶴彬の生涯ー

 1938年(昭和13年)9月14日、一人の若者が病院のべッドに手錠でくくられたまま29年の生涯を閉じた。その人の名は”鶴彬”、反戦川柳詩人である。彼はこの前年に治安維持法違反で検挙され、1938年の8月に留置場でただ一人赤痢にかかり豊多摩病院に移されたのであった。
 鶴彬は18才の若さで「川柳は抑圧されている民衆の新しい詩でなければならない。」と主張し、川柳革新運動のただ中に入って行く。そして国を上げて戦争へ戦争へと進んでいくなかで反戦川柳を詠っていく。《次ぎつぎ標的になる移民の募集札》《増税の風におののく生命の日》 《胎内の動きを知るころ骨がつき》 見事に時代の矛盾を抉った民衆の叫びである。治安維持法違反の最高刑が死刑に改定されても鶴彬の川l柳に対する若き思いは怯まなかった。他の川柳人が「健全なる国民精神を表現する十七字、軍国の栄誉を讃え、皇軍の偉容を記念し得る十七字を作る努力をせよ」と主張し、それが激流になるなかでも《万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た》 《手と足をもいだ丸太にしてかへし》と詠いつづけた。これに激怒した同じ川柳界の人が特高に告発したのである。
 私達は今、この研ぎすまされた目と、強靭な精神と、清らかなる感性を持った一人の若者の生涯を描き出そうとしている。そして今を生きている私達は現代の何を見、何を感じるのだろうか。
日時 11月6日(木)19時〜
11月7日(金)14時〜・19時〜
11月8日(土)14時〜・19時〜
11月9日(日)14時〜
場所 TACCS1179
 新宿区上落合1−17−9 3950−5718
 西武新宿線下落合下車
脚本 グループ演劇工房・協働者演出 菅原司
料金 大人前売3000円・当日3200円(学生は200円引き)


週刊墨教組 No.1745                     2014.10.15

東京都人事委員会勧告出される!
月例給はなんと一五年ぶり
特別給は七年ぶりの「引き上げ」(ただし競争主義的)
・・・しかし、物価上昇率を考えれば、実質「賃下げ」!!
しかも、来年度からの「給与制度の総合的見直し」を勧告!
 
大幅賃下げを強いる勧告!
勧告反対=大幅賃上げをめざそう!!


マイナス勧告ではないが物価上昇に追いつかない
 東京都人事委員会は一〇月九日、東京都職員の給与を、公民較差分五二一円〇・一三%引き上げるとともに、特別給(賞与)についても〇・二五月引き上げ、年間四・二〇月とすることを、都知事と都議会に勧告しました。勧告によれば、東京都職員の給与は四〇万四二四六円(平均年齢四一・三歳)で、民間給与を五二一円(〇・一三%)下回っており、これを解消するとしています。例月給の引き上げは、なんと一五年ぶりのことです。また、特別給(賞与)については、民間の水準(四・二一月)との較差〇・二六月を解消するため、国人勧(〇・二〇月引き上げ)を上回り〇・二五月引き上げることを勧告しました。特別給の引き上げは、七年ぶりのことであり、二〇〇九年以来五年ぶりに年間四月を回復することになります。

特別給{ボーナス}の引き上げ分は勤勉手当に
 しかし特別給の引き上げ分は、国と同様「勤勉手当」に配分されるとされています。つまり、競争主義を加速させる原資に充てられます。七月から一二月までの間に育休や病休を取得した人は減額されてしまいます。

「給与制度の総合的見直し」
 さらに、この給与改定は来年の三月までで、国に追随した「給与制度の総合的見直し」も勧告に盛り込まれています。人事委員会という第三者機関の役割を投げ捨て、国と都に追随する不当な勧告です。この「給与制度の見直し」が実施されれば、来年四月からは、若年層を除いて給与が再び引き下げられてしまうことになります。
 給与制度の総合的見直しについて、私たちは反対の声を上げてきました。しかし今回、東京都人事委員会は、国に準じて「地域手当の引き上げ(一八%→二〇%)に合わせて、来年四月一日から給料月額を引き下げる」ことを勧告しました。引き下げ率は平均一・七%ですが「(行政職)一級二級は、昇給カーブ是正等のため一部強めに引下げ(最大三・四%)」となっており、今回のプラス勧告によっていったん増えた給料月額が、若年層を除いて再び引き下げられてしまい、しかも地域手当の増額分を上回って、来年の四月からは実質的に「大幅賃下げ」となってしまうことになるのです。

緩和措置すら行わない
 さらに、人事院勧告では「激変緩和措置」として「三年間に限り減給保証を行う」とされていたのに対し、東京都人事委員会は「都が主体的に制度改正に対応し、早期に構造改革の成果を発揮していく観点から、平成二七年四月一日から単年度で実施」するとしたうえ、「配分変更に当たり、国が行った現給保障等の措置は実施しない」とまで勧告したのです。これは、都側の構想に追随し、我々労働者の要求を無視した、極めて不当で政治的な勧告と言わざるを得ません。
 さらに、先月都側が都労連に示していた「人事制度見直しの基本的考え方」に示されていた行政職の「三・四級職を統合し、新三級職として課長代理(仮称)を設置する」ことが、そのまま報告に盛り込まれていることも、見逃すことはできません。このように、労使協議も始まったばかりにもかかわらず、労使交渉事項に介入して、報告を行ったことは、東京都人事委員会が、公平な「第三者機関」としての責務を放棄したことにほかならず、到底許されることではありません。

労働現場の要求を無視
 人事委員会勧告は、労使交渉事項に介入する一方、労働側が求めていた「育児・介護の両立支援」「メンタルヘルス対策」「パワハラ対策」などについては、「引き続き協議を進めていく」などの考えを示すにとどまり、実効性のある対応策を示していません。高齢層の介護や青年層の子育て支援は、多忙を極める学校現場において喫緊の課題であることは明らかです。さらに、多くの県や政令市で、パワハラの定義や防止のためのガイドラインが作られているにもかかわらず「検討を進める」との報告だけで済ますことは、東京都人事委員会は「パワハラを容認している」と言わざるを得ません。

断じて認めることはできない
 わずかな、それも実質的には賃下げである「賃上げ」、しかも半年後には流し去られてしまうような「賃上げ」を認めることはできません。安倍氏は物価上昇と同時に賃金上昇を口にしています。しかしそれは口先だけのようです。これまでのように「戦後最長の好景気」にもかかわらず賃金が停滞した時代をもとめているようです。
 まず賃上げを! そこで労働者がどのような消費行動をとるのか…、えらそうな「アベノミクス」論議はその後のことです。
 
闘わずして待遇改善なし
 組合は十一月初旬を山場に、「労使交渉による決定」を基本に、都で働く多くの仲間と共に秋闘勝利に向けて闘う体制を確立し、都当局と交渉を強化していきます。欺瞞的な人事委員会勧告に対して共に闘いましょう。闘わなければ、さらなる改悪が強行されることになります。
 組合員のみなさん、今行われている批准を圧倒的に成功させ、闘う体制を確立しましょう。
 組合員でない方は、自らの権利と社会的な労働を守るために、組合に加入してください。
 若い方、あなた方の未来はながい。この仕事を続けていくのならば、一〇年先・二〇年先を想像し、自らの生と生活を切り拓くために、共に闘いましょう。

※1 地域手当を引き上げると、給料総額は一定ということから、給料月額から相当分が引き下げられます。今の手取り総額は変わりませんが、給料月額を基準とした、退職金・年金などは減額されます。

10月23日(木)午後7時 
東京教組賃金学習会 
東京教組会議室にて開催
 「東京都人事委員会勧告の特徴と今後の課題」 都労連副委員長 菅谷 知由さん

東京地公労 都庁前総決起集会
11月7日(金) 午後4時半開会
都庁第二庁舎前広場
集会(議長挨拶・単組決意表明他)
 〇5時20分頃デモ出発




墨田教組秋の教研
すみだと組合の歴史
講師 長谷川政國さん
元墨田教組書記長
「すみだ春秋」著者
10月22日(水)15時〜
すみだ女性センター
第2会議室
みなさん、ふるってご参加ください。



学校に自由と人権を! 10・25集会
今こそ子どもたちを戦場に送るな!
講演「子どもとおとな…平和でつながろう」
池田香代子さん
 ・紙芝居「王様を縛る法」と発言
 ・「君が代」訴訟の現代会と今後の展望
 ・国連勧告・ジュネーブ報告
10月25日(土) 18時30分開会
連合会館大会議室(御茶ノ水駅・新御茶ノ水駅・淡路町駅・小川町駅)
資料代500円



東京朝鮮第5初中級学校主に会主催第36回バザー
アンニョン・フェスティバル
10月26日(日)11時〜15時
東京朝鮮第五初中級学校校庭
 11:45〜 学生たちの公演
 14:00〜 抽選会
韓国雑貨販売・手作りキムチ・オリジナルブレンド七味
料理コーナー チヂミ・チャプチェ・炭火焼肉.韓国風のりまき



「子どもと女性の人権を考える東京の会」第50回学習交流会
 憲法をめぐる国会情勢について
〜秘密保護法と集団的自衛権の問題点を中心に〜
お話ししてくださる方  福島みずほさん(社民党副党首・参議院議員)
11月 8日(土) 午後2時〜4時半
日本教育会館 2階 東京教組会議室  
都営新宿線・三田線 メトロ半蔵門線 神保町駅下車4分 JR 水道橋下車15分
参加費  1000円 
 集団的自衛権行使容認が閣議決定され、さらに川内原発再稼働や秘密保護法についてのパブリックコメントに多くの反対意見がありながら無視されていくなど、私たちの声が政府に届かないいら立ちがあります。また福島の現状が表に出にくくなって原発再稼働の動きが加速する、日本軍「慰安婦」問題がなかったかのような大宣伝がされるなど、人権や平和がおろそかにされ、戦争への道をひたひたと歩んでいる危機感が募ります。憲法を護るための多くの行動が提起され、反対のデモが盛り上がっても、報道での扱いは小さく、また新聞社バッシングの嵐の中で真実が遠ざかるのではと懸念されます。
 こんな状況の中、「子どもと女性の人権を考える東京の会」の記念すべき第50回は、ご存じ福島みずほさんにお話しいただきます。日本の行く先が大きく変わる情勢の中で、安倍政権に対する国会の動き自体が見えにくく、阻む力が感じられません。数の力で押し切ろうとする国会で、「秘密保護法」「集団的自衛権」などの多くの問題が、どう議論され、今後どんな展望があるのかについてお話しいただきます。そして女性党首として長く運動してこられた「女性の人権」についても、お聞きしたいと思います。

 曲がり角を超えたという認識の上で、今後を考えましょう。
 今後、道徳教育などの学校現場への攻撃も迫っています。危機感を持って学習し行動したいと思います。地域で共にがんばっている女性や、もちろん男性も、保護者の方にも声をかけ、ぜひ多くの方の参加をお願いいたします。
 <主 催>子どもと女性の人権を考える東京の会
<事務局>東京教組女性部 ?03−5276−1311


週刊墨教組 No.1744                     2014.9.29

東京教組沖縄スタディーツアー報告
 沖縄と向き合う 
    〜辺野古から見えてきたもの〜


 東京教組が毎年開催している沖縄スタディツアーに参加した。沖縄の基地は戦争前夜であるということを実感させられた。そして、そこに集う人々の反戦の意志の強さと、この美しい沖縄を子どもたちに残したいという溢れる気概を感じた。沖縄の人々の思いを共有できた充実したスタディツアーになった。

辺野古埋め立て反対
 仲井真知事が防衛省の辺野古埋め立て申請を許可したことにより、米軍普天間飛行場移設に向けた工事が始まっていた。辺野古沿岸部の埋め立て海域に、海底ボーリング調査で足場として使う「スパット台船」を設置して作業している様子を真直に見ることができた。
 反対住民の声を無視して行われる作業は、何重にも警備隊体制がひかれていた。アメリカの基地を日本という国が守っている。日本政府が守ろうとしているのは私たちではない。
 その作業に対してたくさんの人々がキャンプシュワブのゲート前で座り込んで反対の抗議行動をとっていた。トラックが砂利を運んでくるたびに、トラックに詰め寄って抗議の声を上げた。私たちの命を守るための怒りの声を上げた。

軍・警察を守る民間「警備会社」
 その抗議行動に対し、第一線でガードしていたのが警備会社アルソックだった。八人ぐらいが横一列にまるでの壁のように立っていた。トラックが来たらトラックを安全に誘導して基地内に入れていた。反対派の行動に対して「近づくと危ないですから、離れてください。」とやわらかいが心の入っていない声で、抗議している人たちに向かって「忠告」していた。トラックが入ったら、また一列に整列して無表情のまま無言で立っていた。その後ろにパトカーがとまり警察官らしき人や機動隊員がその様子を遠巻きに見ていた。さらに高くなったところに監視カメラが設置してあった。厳重すぎる警戒である。海での作業現場でも陸から一人で海を見つめ監視しているアルソックの職員がいた。彼もまた直立不動のまま立っている。それにしてもなぜアルソックの職員がそこにいるのか? 米軍の基地の守りの第一線に日本の民間企業がいる。

反対することが難しくみえるが
 カヤックに乗っての海での抗議行動に対しても過剰すぎる警備艇や警戒船を出動させて警備している。まるで弱い者いじめの構図そのものである。
 戦争ができる国への足掛かりをしている日本政府のやり方を見た。
 「国益」のために尊い命を奪われた沖縄の人々の魂は、「平和の礎」のある碑の中に記されている一人一人の名前の中に、ガマの中の暗闇の中に、そしてそこに無造作に置かれている遺品の中に、ある。対馬丸で犠牲者となった子どもたちの写真の中で、なぜこの子どもたちが犠牲になったのかの真実に向き合い、戦争の悲劇を二度と繰り返してはいけないという強い願いをしっかり受け止めることができた。

教え子に「殺せ」と言えるか
 今を東京で暮らす私にとっては辛過ぎる現実を突きつけられた。沖縄の人たちの平和に暮らしたいという願いをさらにさらに踏みにじろうとしている政府のやり方、そして日本に住んでいる人々一人一人を戦争に巻き込もうとしている政府の暴走を止められるのは私たち国民一人ひとり。
「二度と教え子を戦争に送るな!!」
 日中戦争・太平洋戦争に敗戦した後たてた教師の誓いを、今こそもう一度捉え直していかなければならない時期が来ている。


すべての原子力=核 発電所を廃炉に!
  川内原発を再稼働させない行動を!!


さよなら原発大集会
 九月二三日、亀戸中央公園で開かれた「川内原発再稼働するな! フクシマをわすれない! さよなら原発全国大集会」は、デング熱感染のために当初予定されていた代々木公園を急きょ変更したにもかかわらず、一万六千人が集まりました。私たちも組合の旗を持って参加しました。

多くの方が参加
 組合員はもちろん、すでに退職された方々にもたくさんお会いしました。また、組合員ではない学校現場の方の顔も多く見受けられました。「なぜあの方が?」とちょっと失礼なことが頭をよぎりましたが、考えてみれば当然のことでしょう。
 どの世論調査でも、原子力=核発電所の安全性に納得せず、少なくとも現時点で核発電を再開させることは早い、と考える人は五五%から八〇%いるのです。学校関係者だけが「再稼働賛成派が多い」わけはないからです。

再稼働をもくろむ勢力
 しかし、状況は予断を許しません。なにしろ、政府は、電気を大量に使って金儲けをする人たちの代表であり、その電気は、じゃぶじゃぶと税金を使って核発電をすると限りなく儲かる仕組みになっているからです。「潜在的核保有国」という「強い日本」も作れるからです。
 小渕経済産業相は福島で、「福島の人々の感情を思えば第一だけでなく福島第二発電所も廃炉にしなくてはならない」というようなことを言ったようです※1。この人にとって、福島は「特別扱い」です。日本の枠外です。「福島でだけは廃炉」は「福島以外では再稼働」を裏に秘めているかのようです。この方に「日本という国民国家」=統体(それがよいか悪いかは別にして)はありません。支配すべき福島・鹿児島・東京…という「植民地」があるだけです。「分割して統治せよ!」 典型的な分断支配・植民地支配の常套手段です。

私たちはフクシマとつながっている
 フクシマと私たちは切り離されません。福島で通用することは日本中どこでも通用しなくてはなりませんし、他の地域で行われることは福島でも行われなければなりません。
 「この道路では窓を開けず・車外に出ず・換気もしないでください」という道路が開通したとしても、それは道路とは言えません。まやかしの「開通」をした国道六号常磐自動車道の延長上に水戸街道はあります。

意思表明の義務
 国民の多くの意思が政治家によって踏みにじられる時、主権者たる人民は「主権」を行使しなくてはなりません。それが義務です。 

※1 …小渕経産相は廃炉を決めるのはあくまで事業者としつつも、会見で「福島のみなさまのお気持ちというものを考えた時に、その他の県の状況とはやはり大きく違うものがあると考えています。ですので、なかなか2F(福島第二原発)の再稼働ということになると、これはやはり大変難しいものがあるのではないかと考えています」と述べた。…
日本テレビ系(NNN) 9月25日(木)19時21分配信

墨田教組秋の教研
すみだと組合の歴史
講師 長谷川政國さん
  元墨田教組書記長
  「すみだ春秋」著者
10月22日(水)15時〜
すみだ女性センター第2会議室

週刊墨教組 No.1743                 2014.8.28

墨田教組六月教研集会報告
   ホームレスの人たちの人権を守る 
 本音で語り合える実践を!


頻発する「襲撃」
 数年前から、墨田区内の中学生たちが河川敷のホームレスの人たちを襲撃するという事件が続いている。小学生がホームレスの人に石を投げるという事例もある。
 明らかになっただけでも、@荒川河川敷(中学生ぐらいの六人)A隅田川際交通公園(中学生くらいの四人) B隅田川河川敷(台東区側、男女二人)C荒川河川敷(本区の中学生四人)の四件が今年の春休み中に、三月二二日(土)に荒川河川敷サッカー場で本区中学生サッカーチームにより、四月一二日(土)・一三日(日)二日間では隅田川高速線下等で三件起きてしまった。すべてが本区の生徒、卒業生と明らかにされたわけではないが、襲撃事件が頻発している現状が明らかにされた。
 被害者からの情報によると、堤防の上から大きなブロックを落とされ小屋がつぶれたこと、蛍光灯や陶器を投げつけられること、「働け乞食野郎」「おまえら死んじまえ」「働かないなら死ね」等と言葉を浴びせられたことが明らかになった。

墨田区への申し入れ
 このままでは、ホームレスの人たちが、「夜も安心して眠ることができない」「命も奪われかねない」(事実、二〇〇五年に墨田区内の公立公園で、都立高校生によって静かな人柄のホームレスの人が殺された事件が起きている)と山谷労働者福祉会館活動委員会が墨田区教育委員会に被害の現状とその対策を申し入れた。活動委員会の人たちは「夏休みは区内児童生徒による襲撃を教育委員会が責任をもってなくすこと」を強く求めた。こうして、区内すべての小中学校で、ホームレスの人たちの人権を守る取り組みが行われた。

授業づくりに向けて
 次の点をしっかり押さえる必要がある。
@ホームレスの状態は、わたしもあなたも家族も友だちも、だれにでも、時を選ばず、その「努力」如何にかかわらず起こることで、決して他人事ではないこと。
A人を襲撃することは、決して許されない人権侵害であること。
Bホームレスについての偏見を解消し、その人たちへの差別、攻撃をなくし、理解や共生を考える意識を育てること。
C「ホームレスいじめ」の問題を考えるとともに「クラスのいじめ」についても考え合い、あらゆる差別やいじめをなくす意識を高めること。
Dクラス、学校、地域で居場所のない子どもたちに関心を向け、孤立させず、見て見ぬふりをしないで何ができるか考え合うこと。

なぜ攻撃するのか
 いじめは、いじめをする子といじめられる子、それを面白がっている子たち、そして最も多い見て見ぬふりをする子たち、四重構造と言われている。
 ホームレス襲撃についても、全く同じ構造をしている。実際に襲撃する子どもたちは少数だが、野宿者を差別したり無関心でいる人たちは大変多い。この社会の意識が実はいじめの問題を根底で支えている。すなわち、路上襲撃とクラスのいじめの問題は直結している。
 大人も子どもも、自分に生きる価値を見いだせなくなったときやつらくてどうすることもできなくなったときに、いらいらし誰かを攻撃することがある。親なら我が子に八つ当たりしたり、上の子は下の子に手をあげたりすることがある。強い者にやり返すことができない子どもたちは、弱く、手を出しやすく、見つからないところでストレスを発散するようになる。いじめと同じで路上襲撃も、周りの空気を読み、弱くて排除されている者を攻撃するようになる。路上襲撃はまさに現在の社会意識の反映であろう。

排除しない・切り捨てない教育を
 日々の授業の中で、教員も子どもたちも、本音で語り合えるような実践が必要である。時には意見をぶつけ合ったり、時には弱音をはいたり、排除されている子があればみんなで支え合えるように考え合ったりする。教室の中では、誰も排除されたり切り捨てられたりする子を出さない。
 ホームレスの人たちの人権を守る取り組みを進めていくことから、さまざまな人権課題を見据え、一人ひとりの存在を大切にして、人と人をつなぐ人権教育の実践を進めていきたいと思う。



子どもたちに伝えたい
     路上生活者の声

こんにちは。私たちは、みんなが暮らす墨田区やそのまわりの地域の公園や河川敷で、テントや小屋を立てて生活している者です。私たちは、みんないろいろな事情があって、河原や公園で生活していますが、毎日空き缶や新聞集めの仕事に出たり、日雇いの仕事をしたりしながら、仲間と力を合わせてがんばって生きています。
 ところが、今年の春から夏になってから、私たちのまわりで、野宿する仲間たちが少年たちに襲撃されるということが起こっています。墨田区のいろいろな場所で、少年たちのグループが、小屋やテント、人に向かって石を投げる。花火を打つ、壁に穴が開くほどの強さで小屋を蹴る、また人に対する直接の暴力も残念ながら起こっています。このことについて、私たちは地域で活動する人々やいろんな団体とも相談し、まずはこの問題についてみんなに考えてほしいという気持ちから、このビラを一緒に作りました。
 小屋や人に石を投げたり花火を打つことについて、やった人は軽いいたずらのつもりだったかもしれない。でも、テントは、私たちの家だし、石が当たればけがもします。そんなことをした少年たちに、私たちは怒っているし、自分の仲間たちの身を守らなければなりません。みんなも、自分の家に石を投げられたらどんな気持ちがするか考えてみてほしい。
 墨田区では、2000年ころに一人、2005年に一人、野宿する人が未成年の子どもたちに殺されるという事件が起こっています。私たちは決して忘れることはできません。野宿する仲間への襲撃の話を聞くたびに、殺された仲間たちのことを思い出すし、貧しい人たちへの暴力を何としても止めたい。今私たちは、学校やいろいろな団体と連絡をとり、何ができるか相談をしています。
 それでも、何より私たちは、みんなと話してみたい。もしかしたら、学校で教わらないようなおもしろい話がみんなとできるかもしれないし、生徒のみんなが、今どんなことを考えて生きているかも聞いてみたい。そういう場ができないか相談しているところです。
 それからもう一つ、公園や河原で生活している人は、私たちのほかにも、東京、大阪、日本中にたくさんいます。皆も大人になったとき、急に会社がつぶれたり、病気やけがをしたりしてお金がなくなったら、そうなることもあるかもしれません。そういう今の世の中のことについて、友だち同士や先生やお父さんお母さんと、ぜひ話し合ってみてほしい。
 それが、私たちからみんなへの頼みです。

墨田区の河川敷や公園で暮らす住民
山谷労働者福祉会館活動委員会




川内原発再稼働やめろ!
0830再稼働反対★国会前大集会
2014年8月30日(土)17:00?20:00?

国会議事堂正門前?(官邸前での抗議はありません)
【主催】首都圏反原発連合?【協力】さようなら原発1000万人アクション/原発をなくす全国連絡会/脱原発世界会議/経産省前テントひろば/再稼働阻止全国ネットワーク

*アクセス「国会議事堂」最寄り駅:地下鉄有楽町線「桜田門駅」、地下鉄丸ノ内線、千代田線「国会議事堂前駅」、地下鉄丸ノ内線・千代田線・日比谷線「霞ヶ関駅」、地下鉄有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」
*雨天決行、悪天候の場合は中止。HPにて詳細をご確認ください。
「川内原発再稼働反対!」「全ての原発再稼働反対!」「全ての原発即時廃止!」の声を国会議事堂前で可視化しましょう!
真夏の夜の大抗議集会にご参加ください!
原子力規制委員会は川内原発について、新規制基準を満たす「審査書案」を公表し、これを機に、政府や九州電力は再稼動を進めようとしています。しかし、噴火や火砕流の危険、ずさんな非難計画など問題は山積みであり、再稼動は絶対に許せません。
この計画は、多くの脱原発を望む人々の運動や世論の突き上げで、当初の予定よりも難航しており、再稼働は秋以降と報道されています。私たちは3.11以降初めての、「稼働中の原発ゼロ」の夏を迎えます。原発ゼロで夏を乗り切ったという前例ができる事は、今後の脱原発世論を、更に肯定していくのに十分たるものになるでしょう。
安倍政権が、原発ゼロの世論を無視し、間接民主制が機能していないうえは、私たちの意志を原発再稼働の抑止力にするべく、「川内原発再稼働反対!」「全ての原発再稼働反対!」「全ての原発即時廃止!」の声を国会議事堂前で直接可視化し、政府につきつけましょう!真夏の夜の大抗議集会にご参加ください!
▼お知らせ 下水道工事のため2014年10月上旬より約2年間、金曜官邸前抗議及び国会前大集会などで「国会前抗議エリア」としてきた場所が使用できなくなります。今後は代替のエリアを検討しますが、従来の「国会前抗議エリア」での大集会は、このサマー・スペシャルが最後になる予定です。これに伴い今回の大集会では、反原発運動を支えてきた参加者の皆さんに、多く登壇頂けるよう企画しています。



戦争させない・9条壊すな!
9.4総がかり行動
9月4日(木)18:00〜
 日比谷野外音楽堂
 デモ:銀座・東京駅方面


「集団的自衛権」行使容認反対!
憲法違反の閣議決定を撤回させよう!
自衛隊の海外派兵・武力行使反対!
戦争関連法案成立を阻止しよう!
日米防衛ガイドライン改定絶対反対!
憲法破壊の安倍政権を退陣させよう!
アピール:落合恵子さん、雨宮処凛さん、香山リカさん ほか 報告:全国での取り組みなど
主催:戦争させない1000人委員会、解釈で9条壊すな!実行委員会
 安倍政権は7月1日、「集団的自衛権」行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定しました。これは憲法9条の理念を破壊し、「戦争する国」へと日本のありかたを変えるもので、「立憲主義」・「平和主義」の原則を無視した暴挙です。世論の圧倒的多数も、反対意思を明確にしています。
 今後安倍政権は、この閣議決定に沿って、実際に戦争できるようにするための関連法案を準備し、国会に提出する方針です。また、今秋に予定される「日米防衛協力ガイドライン」の見直しにも反映させるとしています。
 私たちは、憲法違反の閣議決定の即時撤回を求めるとともに、戦争関連法案制定を阻止することをめざします。安倍政権がすすめる憲法破壊・人権破壊・生活破壊と対決し、がんばっている全国のすべての人々がともに力を合わせて、総がかりで安倍政権を包囲し、退陣・政策転換をかちとりましょう。




関東大震災91周年
韓国・朝鮮人犠牲者追悼式
9月6日(土)15時〜荒川河川敷木下川橋西

  京成八広駅下車5分
 関東大震災から91年。今年も9月がめぐってきます。
 当時、「朝鮮人が暴動をおこす」などの流言蜚語がとび、それを信じた人たちによって、 関東一円で数千名の朝鮮人が殺害されました。かつて、荒川に架かっていた旧四つ木橋周辺は、軍隊が出動して機関銃で撃ったこともあり、多くの犠牲者を出した場所の一つです。事件の後、その地には花や線香が手向けられたといいます。そうした、地域の方々の思いがあったので、追悼式33回目を迎えることができるのだと思います。
 どうぞ、皆様の追悼する気持ちをお寄せください。ご一緒しましょう。

13時 上映会《八広小音楽室》
「隠された爪跡」
1983年呉充功監督
「追悼碑誕生」
 2010年河童のいる川製作委員会
14:30 追悼の花束作り
《荒川河川敷》
15時 追悼式
 追悼の歌:趙博
17時 ほうせんかの夕べ《吾嬬の里》
 歌:趙博 交流会(参加費2千円)
 料理飲み物用意します。
※「吾嬬の里」は墨田区八広4-35-17の八広地域プラザ、駅より8分ほどです。






週刊墨教組 No.1742                 2014.8.6

権利アンケートの結果から見えてきたもの・・・
  それは過酷な労働実態
 労働条件改善は労働組合の責務
        労働者自身の意志


 権利アンケートへのご協力ありがとうございました。全都レベルでの結果は東京教組から近々出されますからご参照ください。今回は、墨田区のアンケート結果から見えてきたものをお知らせします。私たちの墨田での仕事が少しでもまっとうな仕事になるよう、私たちは最大限の努力をします。墨田に働くみなさんも、おかしいことはおかしい、と声を上げ、共により良い労働条件・労働環境・教育条件をめざしていきましょう。

低い年休消化率
 年次有給休暇は一年に二〇日間あります。労働者が人間としての尊厳を保ちながら元気に働くために、労使で決めた与えられた日数です。それでは足りないからと期間限定の夏休五日が付与されています。昔の「盆休み」に対応したものです。
アンケートによれば、この夏休はほとんどの人が五日間取得できています。が、年休についての取得率は、平均すると一〇日=五〇%です。半分は自分の元気回復の手段を捨てているようなものです。平均ですからこの一〇日すら取得できずに働いている人たちもたくさんいます。
 生理休暇にいたっては取得者が四%しかいませんでした。生理休暇があるということすら知らないでいるということもわかってきました。
・生理休暇を気がねなく堂々と取れるようにした。管理職がこの休暇のことをよく知らずに説明してあげたことがあった。(以下、字下げゴシック体はアンケートの記述より)

悲惨な長時間勤務
 日本の教員が長時間労働をしていることは、先日のOECD調査報告でも国際的に明らかにされました※1。墨田でも、勤務時間については、ほとんどの人たち(回答者の九二%)が「決められた勤務時間以上の時間」を働き、「休日にも学校に行って仕事をしている」(回答者の七八%)という実態が数字上からも明らかになりました。
 このことから、当然のことながら、「疲れている」と答えている人が七〇%に上っています。次のような切実な声があがっています。
・長時間勤務を何とか取り締まってほしい。
・勤務時間がのびるのが当たり前のようになってきていて、調整等の申請がしにくい。
・勤務時間について、長時間過重労働が常態化しています。事業者である教育委員会は労働時間の適正な把握をする義務があると思うが、行われていません。過労が原因と思われる突然死やストレスによる精神疾患での休職灘が増加している中、早急に対応してもらいたいです。
・とにかく授業以外の仕事の削減だと思う。みんなに削減の意思がないと。
・とにかく勤務時間に終わらない。物理的にどう努力しても限界。
・体調を崩さない限り休めない。
・休むと仕事が山積みしてたまっていくので限界まで働いている。

当事者が声を上げていく
 長い勤務時間を、目の前の子どもたちのためにではなく、上から降りてくる文章の作成のために費やしている私たちにとって、文科省の「実態が浮き彫りになった」は笑止ですが、早急な対策をとるよう強く働きかけていきます。と同時に、どのようにしたらいいのかは私たち当事者である現場の教職員が一番分かっています。その声を上げて十分に反映させなければなりません。

再任用問題は、これから退職する
すべての人々の問題
 その他の意見の中に、再任用の方の意見がありました。再任用にかかわる問題は再任用で働いている方と今年度退職する方の問題ではありません。今の条件が来年の前提に、来年の実態が再来年の前提に…なります。つまり、これから退職するすべての人々の問題です。あなたは将来、どのような形で無年金期間を暮していきたいでしょうか。
・年金の支給開始が六一歳になりました。無収入期間をなくすために、希望者全員の再任用での雇用が保障させるよう努力してきました。再任用職員が増えてきているのも確かなことです。権利アンケートの中に五〇歳代の要求項目の中の実務的な部分ではプール軽減、宿泊引率の免除、体育軽減とつながっていきます。五〇歳代の要求を基に考えると、六〇歳代はもっと切実だと思います。しかし、実態は、再任用フルの人は定数一とカウントされて、学級担任等を持たされています。今までと全く何にも変わらない仕事量です。違うのは大幅に削減された給料です。精神力で一〜二年は持ちこたえられても・・・。早急に再任用制度に伴う労働条件の整備をお願いします。


※1
 経済協力開発機構(OECD)は、加盟国など世界34の国と地域の中学校にあたる学校の教員に勤務や指導環境を調査した。日本の教員の仕事時間は1週約54時間で、参加国平均の約38時間を大幅に上回った一方、指導への自信が参加国・地域の中で最も低いことが分かった。調査結果では、1週間の勤務時間は加盟国平均の38.3時間に対し、日本は53.9時間で最長だった。授業とその準備などに費やす時間はほぼ変わらないものの、部活など課外活動指導7.7時間(平均2.1時間)、事務作業5.5時間(同2.9時間)など、授業以外に費やす時間が飛び抜けて高かった。授業の時間は17.7時間で平均の19.3時間より短かった。
 文部科学省は「幅広い業務が重なり子どもたちの指導に集中できず、能力開発も十分行えずにいる実態が浮き彫りになった。教員を増やすなど体制の充実を図っていきたい」と話しています。(NHKニュース「日本の教員 勤務時間最長 自己評価低い」より 2014/06/25 18:11)



路上生活者の人権を守る
 六月教研集会と区・学校のとりくみ

 六月墨田教研集会は、「路上生活者の人権を守る」のテーマで、山谷労組連の方をお呼びして、学習会をしました。路上生活者に対する子どもたちの「襲撃」の実態、路上生活者の人権を守るのに押さえておかなければならないことは何か、学校でどのような取り組みをしなければならないかについて学びました。詳しくは次号でお知らせします。
それと並行する形で、区教委も人権研修でホームレスの人たちの人権についての研修会がありました。その結果を受けて区内での取り組みがありました。新聞記事で紹介します。

路上生活者の姿知ろう
 東京・墨田、全区立小中で「特別授業」
     日本経済新聞 2014年7月30日

 若者が路上生活者(ホームレス)を襲う事件をなくそうと、東京都墨田区は全ての区立小中学校で、路上生活者について学ぶ取り組みを6月に始めた。野宿生活を送る人を「ゲスト教師」として招いた学校もある。
 東京スカイツリーからほど近い墨田区立曳舟小学校。夏休み直前の7月10日、6年生約60人が待つ教室に都内で野宿生活を続ける男性2人がやって来た。ひとりは74歳の「加藤さん」、もうひとりは「小山さん」と呼ばれる66歳の男性だ。
 路上生活者らを支援する民間団体「山谷労働者福祉会館活動委員会」の向井宏一郎さん(42)が2人に質問する形で授業が始まった。
 加藤さんはもともと漁師だったが、ビル建設の仕事に転じ鉄骨を組み立て続けてきた。小山さんは土木作業のベテラン。2人とも仕事が見つからなくなり、住居費を払えなくなった。今は空き缶回収が主な仕事で、収入は一日歩き回って千円前後だという。
 教室がざわめいたのは小山さんが住む小屋の中の写真を見せたときだ。「すげえ」「猫がいる」。近くに猫を捨てる人が後を絶たず、見捨てられないという小山さんは8匹の猫を飼っている。餌代は空き缶回収の稼ぎの「半分だね」。
 向井さんが静かに語りかけた。「こういう人たちへの暴力が起きてしまっている。石を投げられたらどんなに恐ろしいか想像してみて。この人たちは、不安で寝られなくなるんだよ」
 路上生活者への襲撃事件は各地で発生し、加害者が墨田区の中学生と判明したケースも一昨年、昨年と続いた。路上生活者らが墨田区教育委員会などに要請を重ね、襲撃が起きやすい夏休み前にこうした取り組みが実現した。小学5、6年生と中学の全学年が対象だが、これまでに路上生活者本人を招いたのは曳舟小だけ。ほかはビデオなどを使って路上生活者の姿を教えている。
 墨田区教委指導室の岡本賢二・統括指導主事は「これまでは近づくな、かかわるなと『遠ざける』指導をしてきたが、襲撃事件が起きた。路上生活をしている人たちを正しく理解することが大切だと考え、方向転換した」と説明する。ただ効果が生まれるかどうか、「検証はこれから」(岡本さん)という。〔共同〕


本の紹介
  「すみだ春秋」
        長谷川政國さん著
        積文堂 1944円(1800円+税)
 墨田ゆかりの詩人たちがつむぐ水土への郷愁。言問の路地の吟遊詩人 辻征夫への追慕。


 長谷川さんは長年墨田区教職員組合の書記長をしてこられた方です。墨田教組の機関紙「週刊墨教組」(今読まれているこれです)に「すみだ春秋」と題して墨田区にゆかりのある詩、俳句や短歌を紹介しながら、そこに行き交う人々のありさま(風情)を絶妙な言葉で表現されています。今でも新年号などに記事を寄せていただいています。
 この度、今まで書き続けた作品を1冊の本にまとめられました。
 区教委は、葛飾北斎と勝海舟を「墨田区の有名人」として「売り出し」ていますが、長谷川さんが取り上げている文人はすみだをこよなく愛した人々です。すみだの人情が風情がじわ〜と伝わってきます。
 スカイツリーができて、街並みがどんどん変わってきている墨田の街です。あなたの知らない墨田がこの本の中にはあります。是非手に取って読んでみてください。
 一般の書店にはあまりおいていないかもしれませんが、ネットなどでは簡単に手に入ります。
 墨田教組は、特別に長谷川さんにお願いして、1500円でお頒けすることにしました。組合扱いは少部数ですので、早めに書記局までご連絡ください。



東京教組東部夏季教研
8月21日(木) すみだ女性センター
10時開演 第1会議室
「教室で語ろう『3.11』の記憶」
〜 防災平和マップ作りを通して〜
講師 阿部桂佑さん(江戸川教組)

13時半開演 第2会議室
「ホームレス襲撃」
〜 その実態と原因〜
講師 向井宏一郎さん
  山谷労働者福祉会館活動委員会



週刊墨教組 No.1741              2014.7.7

集団的自衛権行使容認は、暴力ゲームへの道
  解釈壊憲陰険違憲
     姑息な閣議決定を覆そう!


 安倍内閣は与党公明党の協力を得て、七月一日、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行いました。これは、憲法の精神を踏みにじる暴挙です。クーデターです。
 私たちは、六月三〇日、錦糸町駅頭で集団的自衛権行使を認めない署名活動を行い、七月一日より連日の官邸前抗議行動に参加しました。これからも、暴力に依ることなく世界の平和を求めて行く人々と連帯して、この国が誤った道をたどらないように、私たちと私たちの子どもたちが「力の論理」に飲み込まれないよう、「教え子を戦場に送らない」よう、「死ね」とも「殺せ」とも言わないよう、力を尽くしてまいります。
 心あるみなさんも、「あの時あなたは何をしていたのか!」と、未来の焼け跡の中で指弾されぬよう、歴史の汚点を拭い去る行動を進めようではありませんか。まだ間に合います。 


http://www.anti-war.info/information/1407011/

声明 戦争をさせない1000人委員会は
 「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に反対します


 日本国憲法は、前文に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と謳い、第9条には「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めました。

 この条文は、アジア・太平洋戦争における、アジア諸国民2000万人、日本国内で310万人ともいわれる多数の犠牲の上にたつものです。また、900万人以上の戦死者を出した第一次世界大戦の反省から63か国間で締結されたパリ不戦条約第1条の「締約国は、国際紛争解決のため、戦争に訴えないこととし、かつ、その相互関係において、国家の政策の手段としての戦争を放棄することを、その各自の人民の名において厳粛に宣言する」と通底するものです。その意味で、日本国憲法の平和主義は、全世界が求める理想に立脚するものと言えます。この憲法のもと、私たちは、他国に直接に銃を向け、傷つけ合う不幸だけは味わうことなく、戦後69年を過ごしてきました。

 しかし、今日、安倍政権は、「集団的自衛権」の行使は憲法上許容されていないとする、これまでの憲法解釈を逸脱する閣議決定を行いました。「集団的自衛権」行使は限定的であるなどと言っていますが、政府の用意した想定問答集には今回盛り込まれなかったはずの「集団安全保障」も憲法上許容され得るとしているように、その狙いは明らかです。「集団的自衛権」を行使するということは、中立の立場を捨て敵対国になることであり、戦争に参加すること以外のなにものでもありません。そして、これまで行われてきた多くの戦争が、「集団的自衛権」の行使として正当化されてきたことを、見逃すことはできません。

 この間、安倍政権は、単に憲法の破壊だけではなく、人権の破壊、生活の破壊を行ってきました。その安倍首相の言う、「国民の生命と財産を守る」ために、これからどれだけの人々が傷つき、犠牲となることを強制されるのでしょうか。誰かに犠牲を押しつける社会を、もう私たちは許してはなりません。いまこそ憲法の理念を、それを弄ぶ権力者から、私たち自身の手に取り戻さなくてはならないのです。

 私たち「戦争をさせない1000人委員会」は今回の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に対し、怒りを込めて抗議するとともに、憲法破壊・人権破壊・生活破壊の安倍政権と真っ向から対決し、全力で闘っていく決意をあらためて表明します。ひとりひとりの命を大切にする社会の実現のために、すべてのみなさんに、私たちとともに、立ち上がることを呼びかけます。

 2014年7月1日 戦争をさせない1000人委員会



女性教職員のための夏の講座
7月19日(土)  10時30分〜16時30分

日本教育会館  703会議室

  主催 東京教育文化研究所
働き方を見直そう  〜アンケートの集計から〜
講演 女性がいきいきと働くために
 〜『女性全体の底上げを伴う女性の活躍』とは〜
 講師 元連合総合男女平等局長 中島圭子さん

ほかに、職場交流・ミニ学習会


2014年度 全人教教育課題別研究会 〜創る・つながる・きり拓く〜
テーマ 教育の創造〜子どもの現実から学び、未来をきり拓く教育を

 主催 : (公社)全国人権教育研究協議会 東京都同和教育研究協議会
 後援 : 東京都教育委員会 東京都 江東区教育委員会 江東区
7月25日(金) 10:00〜16:30
江東区総合区民センター レクホール、第4・5 会議室

      江東区大島4-5-1 ?03-3637-2261

全体講演 「人権教育と部落問題学習への展望」
  講師 川元祥一さん(作家・ルポライター)

午後、実践報告 

            参加資料代 2,000 円


東京教組 学習会
3.11後の岩手から考えること
 考えなければいけないこと
 講師 安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)
7月23日(水)18:30〜20:00

東京教組会議室(日本教育会館2階)

 あれから3年が経つ。被災地岩手の現状はどうなっているか。今踏みにじられようとしている憲法の「生存権保障」について考えていきたい。TBSテレビ『サンデーモーニング」でもおなじみの安田さんに、フォトジャーナリストとして被災地としてかかわってきた中で感じたこと、思ったこと、考えなければならないことについてお話しいただく。

東京教組東部夏季教研
8月21日(木) すみだ女性センター
ホームレス襲撃 実態と原因・戦争が「できた」国の真実
 詳細次号


週刊墨教組 No.1740 2014.6.6


憲法改悪阻止! 戦争を行わせない!
    二〇一四年度運動方針、予算を決定
  墨田教組 第六九回定期総会
  教員の「ロボット化」に抗する!
墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続ける


 五月二八日に第六九回墨田教組定期総会が参加者多数により、曳舟文化センターで開催されました。墨田の組合を大切に守り続けたいという思いの詰まった総会でした。

職場の問題点を出し合う
 議事の中で、特に次のことが集中して論議されました。
・区の行っている個人学力プロフィールについて、一回の学力テスト結果がその子どもの学力であると言いきっている点や、実施の在り方についての不満。
・職員会議が上意下達の場になっている。話し合うという会議の場ではなくなりつつある。
・勤務の長時間化は常態化し、勤務時間を超えて仕事をすることが当たり前になっていることで慢性的な疲労状態に陥っている。
・今年から銀行の業務を引き受けるということで過酷さが増してきている。
・非常勤教員の数が今年は減り、時間講師の希望が増えた。今まで問題として言ってきた非常勤教員の勤務時間や勤務内容に副校長の仕事を手伝うということが入った。「何でも屋」として使おうとしていることが露見してきている。
 他にも、職場の問題点を鋭く突く意見がたくさん出されました。

自分から発する教育実践を
 今回の総会での話し合いから見えてきたものは、教育労働の質を悪化させようとする権力者の圧力です。自ら思考し自分に責任を持った教育の実践を変質させようとしています。管理職・「上級職」が決めたことをやっていればよい、その方が楽だという教員を作り出しているように思えてなりません。あるいは、上からの締め付けの多さと、膨大で些末な仕事をこなさざるを得ない日常に、自ら思考する余裕までも奪われてしまった結果なのかもしれません。
 言われるままの「実践」を積み重ねることで、いつの間にか、自分自身の「信念」までが、権力者にとって都合のよい「操り人形」を演じることにねじ曲げられているのではないでしょうか。
 子どもの人権を守りいじめを根絶し・・・ということも学力向上と同レベルで上から押しつけのようにおりてきています。相反するような中身を同レベルで子どもたちに教えていかなければならないおかしさを感じても、上から降りてきているアンケートに答えるためにやらされていて、どうすることもできなくなってきつつあるように思われます。

子どもは国のためにあるのではない
 教育は、「お国のためにあるのではない」という論は「常識」ではなくなりつつあります。「教育はお国のためにあるものだ」と急展開で変えられようとしています。今の安倍政権のやり方を見ていると、いつか来たあの道を歩み始め「お国のために命をささげる」教育をする時期も目前に来ているのではないでしょうか。「二度と教え子を戦場に送るな」という先輩たちの言葉が、重く聞こえてきました。

権利を実現することが労働組合の責務
 私たちは教育労働組合として、子どもたちの権利と労働者である私たちの権利を守るためにこのまま流されていってはいけない。現実をしっかり見据え、仲間たちとともにやれることをやり、安心して働ける職場づくりをしていかなければいけないと固く決意した総会でした



「風評被害」の言葉で、事実を隠してはならない!
福島第一「核分裂力発電所」事故が、「風評」ではない「事実」だ!


突出する子どもの甲状腺がん
 二月七日に福島県の第一四回県民健康管理調査検討委員会が開かれたました。そこで、福島第一原発事故当時十八歳以下の人の甲状腺がん診断(約二七万人受診終了)で「悪性ないし悪性の疑い」となった人が七五人になったことが発表されました。通常小児甲状腺がんは百万人に一人と言われています。桁違いの割合です。
 しかし、この数字を前にしても、原発推進派の人たちや政府は、放射能との因果関係はないとしています。

「風評被害!」で黙らせる
 それどころか、除染が終わったということで、自宅復帰を進め始めています。福島はもう安全だ。原発での放射能被害はもう大丈夫だと言わんばかりです。それだけでなく、健康や放射線量についての不安を発信すると、「風評被害だ!」と罵声を浴びせます。そうして福島の問題を闇に葬り去ろうとしています。
 しかし、このような「気休め」はこの三年間、何度となく破綻しています。二〇一一年三月、飯館村に大量の放射性物質が降ったことは「風評」でした。五月まではメルトダウンは「風評」でした。しかし、福島第一原発が事故をおこしたことも、多量の放射性物質が拡散したことも、放射線には低線量でも健康被害をもたらす可能性があることも事実です。けっして「風評」ではありません。「安全神話」という「虚偽」(だから文科省副読本「わくわく原子力ランド」は回収されました)を流して作り続けた「核分裂力発電所」で、東京電力と政府が事故を起こし、害をなしたのです。これが根本の被害の原因です。そして今、地下水すらままならないほどの「under」ならざる「uncontrolled」状態なのです。「風評被害だ!」などと偉そうなことは言えません。

六十年前の事実
 一九五四年にビキニ環礁水爆実験で、第五福竜丸が被爆をして大きな被害を出したということは知っている人も多いだろうと思います。実は、その時にビキニ環礁で第五福竜丸と同じようにマグロ漁船が一〇〇〇隻近くいたという事実は隠されたままです。そして、その時被爆した人たちの多くが四〇代、五〇代でがんで亡くなっているという事実もまた同じです。彼らのことを追求した映画「放射線を浴びたX年後」があります。※1
 国は、これらの事実を受け止めはしませんでした。弱い者がいつも無言のまま泣き寝入りをさせられてきています。被害にあった人が一刻も早く死んでくれるのを待っているとしか思えない行動をいつもとっています。まさに「黙殺」です。

歴史に学ぶ
 振り返れば、広島や長崎の原爆被曝者への原爆手帳の交付や水俣病患者認定にしても。何十年もかかっています。その間たくさんの人がなくなっていて訴えることもできない状態になっているのです。そして、そのどこにでも、「騒ぎ立てると『風評被害』が起こる」「町の評判が悪くなる」という脅し文句が必ず貼りついています。第五福竜丸の大石又七さんは、故郷に住めず、「事件」を隠し(口にすることを圧せられ)、東京の人混みに紛れて生きていかなくてはなりませんでした。水俣病患者の鋭い怨の糾弾に対立したのは会社だけでなくチッソ労働者・水俣市民でもありました。
 私たちはもっと事実を知り、本当に責任を取るべきところはどこなのかを追及していかなければなりません。そろそろ、歴史に学ぶ知恵をもってもよいころです。そうしなければ、私たちの命が脅かされ、私たちが命を脅かす日が必ず来ます。※2
 私たちは、福島のことをもっと知らなくてはならないし、より賢い市民を育てる教育現場においてどんなことが起ころうとしているのかということも見落としてはいけないと思います。
 教育現場で起こりそうな危ない話は、区教委に対しても交渉を強め、事実を調べ、掲載します。

「5.11 女たち・いのちの大行進」で歌われた歌

♪光のほうへ
 いのちの平和に 原発はいらない
 いのちの平和に 原発はいらない

 いのちの平和に 戦争はいらない
 いのちの平和に 戦争はいらない

 いのちの平和に 差別はいらない
 いのちの平和に 差別はいらない

 みんなで歩こう 光のほうへ
 あなたと私で 世界を変えよう


※1 「放射線を浴びたX年後」
 83分ドキュメント 2012年公開
 監督 伊東英朗
1954年南の海で水爆実験が行われた。被爆マグロは破棄され、漁師たちは病に倒れた。その後、二〇〇万ドルと引き換えに、すべての魚が日本の食卓に上がった! セシウム、機密文書、もろく砕けた人骨…見えてきたのは、X年後の驚くべき実態だった・・・。現在も全国各地で劇場上映・自主上映が行われている。日程等は映画公式ホームページはhttp://x311.info/

※2 戦争の歴史に戻れば、破滅的な大陸侵略戦争における大日本帝国陸軍のスローガンは、「暴支膺懲」でした。軍服の好きな安倍氏がこのころの軍人とほとんど違いがないのは、この国の「進歩のなさ」、何事からも「学ばない」という情けなさを如実に表しています。核兵器で何十万人もの「国民」を瞬時にして殺されても、70年後には「笑っていれば大丈夫」という知性といい勝負です。




週刊墨教組 No.1739 2014.4.21

「学習状況調査」「個人学習プロフィール」は、直ちにやめるべきだ
      「愛」が足りない 
      方策も足りない
  崩壊は明らか―2―


わかってくると腹立たしい?
    アンケートの誤用
 一般に真実に近づくと人は喜ばしく思うものですが、誤った「思い込み」が強すぎると、真実は不快なものになります。すみだ教育研究所は、二〇一三年九月一八日付文書「『墨田区学習状況調査』の結果について」「第四 意識調査と学習状況との関連」(この章に全体十一ページ中二ページを割いています)はその最たるものです。
 
 「五年生以上の墨田の子どもたちは全国の児童生徒よりも『理解している』と答えているが、実際の学習調査の正答率は低い!」=「意識と結果の不整合」と不愉快を顕にしています。「これからの課題」として「学習状況調査の結果等の客観的資料を活用することがより重要となってくる」※1とは「テストできてないんだから理解してないってところに○つけろよ」と言っているようなものです。結果を押し付けるだけなら「意識調査」なんかやる必要はありません。

そもそも設問が無理
 しかもこの設問にはかなり無理があります。
 質問は「最近、学校の勉強が難しくなったんたと、感じることはありますか」です。回答の選択肢は当然「最近難しいと感じることがある/ない」を両極とすると思われます。が、なんと「全部理解している」〜「分からないままのことが多い」となっています。そもそも、「不整合」は「意識と結果」の間にではなく「質問と回答選択肢」の間にあるのです。
 しかも「最近」と時を限定していますから、「前から難しかったなあ」と思う子はどこを選んだらよいのでしょうか。まことに「アンケートは難しい」のです。

「普段からこつこつと学習」する
  ってどんなこと?
 学生の頃、社会調査法で、「アンケートは危険」「質問に答えたからと言って何事かを調べられたと思ってはいけない」と何度もいわれたことを思い出しました。悪い見本が目の前に出てきたのです。
 「普段から」「こつこつ」というのはいったい回答者にとってどのようなイメージでしょうか。「あなたは普段からこつこつと仕事をしていますか」と聞かれたら、私たちはどんな場面を思い浮かべるでしょう。まあ、仕事中にさぼったりしないで、また仕事をためないように少しずつ着実に片づけていくことだろうかな…と思います。もちろん別の場面を思い浮かべても構いません。意識調査というのはそんなものです。少なくとも、家での「持ち帰り残業」時間を持ち出されるとは思いません。
 ところが、墨田の子どもは、「こつこつ学習している」と答えているけど、「全国との実際の学習時間等の開きは大きい」と断罪されています。「こつこつ」を「家での勉強時間」に等置して子どもたちをなじります。
 墨田の子どもはすみだ教育研究所にあまり愛されていないように見受けられます。
 そもそも、子どものアンケートなどというものは不正確なのです。※2 それを基にあまりいじくりまわしてもしょうがないのです。
 
手詰まり?=打つ手なし
 「教育委員会の点検・評価結果報告書」(平成24年度対象)という文書があります。その中の「平成24年度の事業の実施状況【授業改善の取組への支援】@区学習状況調査を実施し、その結果に基づき各学校が授業改善の取り組みを進めた」を見ると、この事業「区学習状況調査」が九年間おこなわれても完全な手詰まり状態であることが明らかです。
 「点検・評価」ですから、そこには、「成果」「課題」「平成25年度以降の取組み」が述べられています。
 なんとそのどの項目にも「PDCAサイクル」がのべられています。※3 そしてそれだけなのです。
 「PDCAサイクル」は魔法の解決策ではありません。単なる手法です。「どうやって勉強するの?」の問いに「鉛筆」と答えているようなものです。内容がありません。「PDCAしか書けない」ということは、打つ手もないし、研究所ももうやる気をなくしてしまっているのではないかと思われます。

崩壊した事業は直ちにやめよう
 そしてそれは明らかに良いことです。すみだ教育研究所は、この九年間の「学習状況調査」で何が測られたのか、「個人学習プロフィール」はどのように経時的に分析するのか、を明らかにするとともに、自己の状況を真摯に顧みて、この「事業」を撤回するように求めます。


※1
  「『分かる』から『できる』へと学習内容を確実に定着させるための学習指導の充実が課題であるとともに、学習状況調査の結果等の客観的資料を活用することがより重要となってくる」

※2
 ある教員が、意識調査の10日ほど後に同じような調査をしたら、半分は回答が異なっていたという実験があります。もし興味のある方は是非追試をされるといいと思います(といっても、だれも追試していないのは「そんなの当たり前」だからかもしれません。時間の無駄か…)

※3 
成果 @ーア 計画(P)→取組(D)→分析(C)→見直し(A)のサイクルを1年間に2回実施することにより、次年度まで待つことなく改善措置を実施できた。※4
課題 @ーア PDCAサイクルの徹底を図ることが必要である。
平成25年度以降の取組み @引き続き区学習状況調査を活用したPDCAサイクルの徹底を図っていく

※4 私たちは、学期・保護者会・単元・週…あるいは日々行っておりますが…。

青土社「現代思想」4月号
 特集「ブラック化する教育」

「教育再生」の再生のために

 大内裕和・斎藤貴男・佐藤学
「俺のとは違うなあ」
 岡崎勝
「なぜ英語教育は混迷するのか」
 大津由紀雄
「『私たちの道徳』の『私たち』とはだれなのか?」三宅晶子
など、批判の視点が明らかに!
※ただし私たちは、「ブラック」という語で「非人間」「反人権」「悪徳」を批判することを、良しとはしません。



週刊墨教組 No.1738               2014.4.14

「学習状況調査」「個人学習プロフィール」に整合性はあるか?
崩壊は明らか  
  説明できなければ、直ちにやめるべきだ!


経時的判断はできない
 「個人学習プロフィール」の大きな目的の一つが「児童・生徒一人一人に応じた、一貫性・連続性のある、きめ細かな指導に役立てるため、経年で調査結果を記録する本プロフィールを引き続き実施していく」であることは、何度も言明されています。しかし、テスト自体が「問題が変わったから去年とは比較できない」ものであったこともあります。評定の段階も四段階から三段階へと変わりました。評価の基準値も平均値→中央値→目標値ととても「基準」とは言えない変わりようです。カッティングポイントも±10ポイント→25%タイル(四分位数)→±5ポイントとかわりました。そして何より、相対評価から絶対評価に変わったりもしているのです。まったく「一貫性」も「連続性」もないものです。例えば、一昨年までのBと二〇一三年度からのBはまったく意味が違うのです。これらを「個人学習プロフィール」に「経年で調査結果を記録」しても、「きめ細かな指導に役立てる」ことはできようがありません。
 すみだ教育研究所は、年毎の評定をどのようにみて「きめ細かな指導に役立てる」のか、その具体的な手法を説明すべきです。

相対評価からの撤退は
「個人学習プロフィール」の無意味化
 何度もいうように、相対評価と絶対評価はまったく性格も目的も違うものです。往時の文部省・教育行政は隠然と相対評価を押し付けていましたから、相対評価の排除は、六〇年代から八〇年代の教育運動の大きな柱の一つでした。オールAをつけて処分された教員もいます。できたものはできたと評定されるべきだという発想は、初め各校の「通知表」で実現し、やがて学習指導要領改訂によって指導要録においても、一九九一年「観点別学習状況」が、二〇〇一年「評定」も絶対評価となりました。「学力観」の変更によるのです。
 そんな中で、すみだ教育研究所は二〇〇五年、「相対評価の復活」を華々しく打ち上げたのです。さて、二〇一三年度から、この壮大な目的は維持されているのでしょうか? それともこの目的は取り下げたのでしょうか? 二〇一四年三月六日すみだ教育研究所文書は「個人学習プロフィール 主な変更点」とありますが、これは「決定的な変更点」、あるいは「相対評価にこそ意味がある」※1としていたすみだ教育研究所にとっては、「致命的な変更点」といわざるをえません。

そもそも、何をはかっていたのか
 以上のことは、これまでずっと言い続けていたことですが、一歩踏み込んで、いったい九年間、何をはかってきたのか、を問わざるをえません。評価も評定も変わっているのでこれを基に九年間を振り返ることはできません。この九年間、あり続けたのは「目標値」です。仕方ありません、これにそって考えなければなりません。幸いに、二〇一三年度からも、それ以前も、ほぼ同じような定義がなされています。※2 以前あった「協議」はなくなったのか?などというつまらない突込みはやめにして、まあ、わからなさ加減において同じようなものだと理解します。市販テストに赤で「期待得点八四点」と書いてあるようなもの…程度の理解でよろしいでしょうか。

乱高下する「目標値」
 ところが、実際の観点毎の目標値を見ると、おかしなことに気づきます。ベネッセ目標値は、時に三〇点台※3だったりします。三人のうち二人はできなくても「おおむね満足」=いいという問題を出すことは妥当でしょうか? さすが大手学習企業。先ほどの安直な例で言えば「市販テストの期待得点」が三〇点だということです。ほとんどの教員はこのようなテストは採らないでしょう。
 しかもこの「目標値」は、同一観点同一学年でも年度ごとに大きく揺らいでいます。表1は「算数:数学的考え方:六年」のここ五年間の結果です。「目標値」は、三一・七から五〇・〇(五七・八)の幅でした。
 また、「個人学習プロフィール」でのようにある学年を追いかけていっても、「まあだいたい学年が進むにつれて目標値も区平均正答率(区平均到達度)も達成率も下がるみたい」ぐらいしかわかりません。表2




曖昧なものを基盤に?
 「上げていくことが重要」とされていた「達成率」は、この「目標値」を基準として出されます。妥当性があるのでしょうか。表をじっと眺めていても何も浮かんできません。そうこうしている間に、二〇一三年度「達成率」は姿を消してしまいました。「達成率」の目標は達成されたのでしょうか? とはいえ、「D・E層の児童生徒数が全体の四〇%以下」という二〇一三年度からの新たな目標の「D・E層」は「目標値マイナス五ポイント未満」の子どもたちですからここでも「目標値」が君臨しています。※4
 私たちには、「達成率」や「到達度」を解釈し対策を立てるより、「目標値」を疑った方が建設的であるように思われます。

「全国平均正答率」の登場
 九年目にして初めて「全国」が登場しました。「学力向上三か年計画」の二つの目標が「区平均正答率が全国平均値(ママ)以上」とあるのです。広い視野を獲得したということでしょうか? でも、結果は「比べてみたらあんまり違わなかった」程度です。しかし、有意差の確度も出さずに単純に二つの平均値を比較するのはあまりに「統計学的リテラシー」に欠けると言わざるをえません。「研究所」ですから当然持っているでしょうから、出さなくてはなりません。
 「全国平均正答率」の唯一の意味は、次のところにあります。それは目標値の相対化に益するということです。
 小5国語「話す力・聞く力」は目標値五三・三%に対して全国平均正答率四九・八%です。仮に正規分布しているとすれば全国の半分以上の子が目標値に満たないということになります。早急に全国的対策を立てるべきでしょうか。目標値の妥当性が疑われましょうか。私たちはその目的のために、先の表の空欄を埋めること=ベネッセ時代のすべての観点の「全国平均正答率」と、二〇一三年度の「達成率」を公開することを要求します。

誤った学力観はやめよ
 一回のテストで指導法を考えたり、懲罰のように機械的にプリントをあてがったりすることは直ちに止めなければなりません。日々の授業の中で「不十分なところ」はわかります。それに対しては多様な教育活動を展開すること、これがまっとうな教員の仕事です。すみだ教育研究所・墨田区教育委員会はこれを邪魔せず、それを支える条件をこそ整えなければなりません。(続く)

※1 2011年度要綱 
1「個人学習プロフィール」の概要(2)指導要録との関係 ア.評価について
 指導要録に記録する「観点別学習状況」は…「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」です。一方、「個人学習プロフィール」に記録する「評価」は、学習到達度調査を受検した児童・生徒の中央値を「基準値」として、受験した当該学年のすべての児童・生徒の中での相対的な位置づけにより評価するものであり、「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)」です。集団に準拠した評価に関する情報は、児童・生徒が自己の適性を知る手がかりとなったり、学習に取り組む動機付けを得たり、将来の進路を考えていく際の情報として活用したりすることで、指導に生かすことが期待されます。
 学校では、目標に準拠した評価を柱とする中で、目的に応じて集団に準拠した評価を活用し、児童・生徒を多面的に評価し、指導に生かすことが求められています。

※2 目標値とは
2013年(H.25)東書時代
 学習指導要領に示された内容について標準的な時間をかけて学んだ場合、設問ごとに正答できることを期待した児童・生徒の割合を示したもの。出題形式や解答形式によって算出され、プレテストなどによって補正されている。
 なお、観点ごとの目標値は、設問ごとに設定された目標値から算出されている。

2012年(H.24)ベネッセ時代
本調査の「目標値」については、同一問題・類似問題の全国調査・他地区の実施データ等を参考に、問題作成関係者及び調査専門スタッフが、出題した学習内容や問題の形式、難易度等を考慮し、協議の上設定しています。

※3 2011年度 小学校算数 数学的な考え方 6年

※4 2013.9.18「『墨田区学習状況調査』の結果について」すみだ教育研究所4ページでは、「目標値」を中心に、Cを10%・BからDを78%としていますが、これは明らかに間違いでしょう。これだと「D・E層」の子どもたちは永遠に45%ですから。すみだ教育研究所はよくこういうミスをおかすように思われます。



ジュリー=沢田研二は忘れない!

 2014年3月11日、沢田研二は新しいミニ・アルバム「三年想いよ」を発表しました。他に「櫻舗道」「東京五輪ありがとう」「一握り人の罪」で、作詞はすべて沢田研二。罪は「一握り人」だけにあるとは言えませんが、しかし、今こそ、「一握り人」に罪をおかさせてはならないときであります。youtubeなどで試聴できますが、ぜひ購入されることを訴えます。また7月17日葛飾シンフォニーヒルズで公演があります。チケットは4月12日から発売されていあます。詳しくは公式ホームページhttp://www.co-colo.com/index.htmで。

一握り人の罪 
 作詞/沢田研二 作曲/大山泰輝
昔海辺の小さな
 寂れかけた村に
東電が来て
 原発速く作りたいと
国の肝入り工事は
 直ぐに道路を通し
海岸や丘を削って
 反対意見は軽んじ
機動隊投入

東電も信じた
受け入れ側も信じた
安全神話鵜呑みに
一握り人の罪

海が命の漁師は
海が死ぬのを怖れた
村はいびつに裂かれた
一握り人の罪 嗚呼無情

いつか原発廃炉に
除染は何年先
東電は未来型エネルギーに
 無関心か

国もただこまぬくだけ
被災地に 僕たちに
復興延々と進まず 国は荒むよ
僕らに還して 国を

原発に壊れた町
原発に疲れた町
神話流布したのは誰
一握り人の罪

原発に怯える町
原発に狂った未来
繰り返すまい明日に
一握り人の罪 嗚呼無情

はーいろ はいろ
 輪の中 はいろ
はーいろ はいろ 
 みな はいろ
はいろ はいろ みなはいろ
30年経ったら みなはいろ



週刊墨教組 No.1737               2014.4.1

異動関係特集

墨田にいらした 皆さんへ
  ようこそいらっしゃいました
    心から歓迎いたします


私たちの組合ー墨田区教職員組合
 私たちの組合ー墨田区教職員組合(墨田教組)・東京都公立学校教職員組合(東京教組)墨田支部は小さな組合ですが、六十年以上にわたる厳しい闘いの歴史を持ち、それなりの実績と位置を墨田の教育の中に持っています。墨田は教職員の権利を含む労働条件が比較的よく守られ、確保されているとの評価を受けています。また、「ひとりの子も切りすてない教育」のスローガンを掲げて進めてきた教育活動・教育運動の面でも先進的なとりくみが進められています。これらは、私たちの組合の運動・とりくみの結果であると自負しています。

自立的・原則的に運動を進める墨田教組
 私たちの組合は一貫して政治党派の思惑・もくろみとは無縁なところで自立的かつ原則的に闘い、とりくむ立場を堅持してきました。自分たちの組合の方針やとりくみを政治党派等、組織の外から持ち込むのではなく、自分たちの討議を通じて自分たちで決定してとりくむ立場を守ってきました。それが大衆組織である教職員組合として最も大切なことと考えてきたからです。私たちはそうした立場をこれからも堅持しながら、さまざまな課題にとりくんでいこうと決意しています。

私たちとともに! 墨田教組に加入してください。
 私たちは,皆さんを私たちの組合に迎え、皆さんとともに引き続き政治党派の思惑とは無縁なところで、自立的・原則的に運動を進め、墨田・東京・日本の教職員労働者と子どもの権利・利益を守り、未来を切り拓いていきたいと願っています。
ご理解とご協力をお願いします。