2013年度



 「土曜授業」拡大阻止!

    縮小・廃止をめざす!











週刊墨教組 No.1737               2014.4.1

異動関係特集

墨田にいらした 皆さんへ
  ようこそいらっしゃいました
    心から歓迎いたします

私たちの組合ー墨田区教職員組合
 私たちの組合ー墨田区教職員組合(墨田教組)・東京都公立学校教職員組合(東京教組)墨田支部は小さな組合ですが、六十年以上にわたる厳しい闘いの歴史を持ち、それなりの実績と位置を墨田の教育の中に持っています。墨田は教職員の権利を含む労働条件が比較的よく守られ、確保されているとの評価を受けています。また、「ひとりの子も切りすてない教育」のスローガンを掲げて進めてきた教育活動・教育運動の面でも先進的なとりくみが進められています。これらは、私たちの組合の運動・とりくみの結果であると自負しています。

自立的・原則的に運動を進める墨田教組
 私たちの組合は一貫して政治党派の思惑・もくろみとは無縁なところで自立的かつ原則的に闘い、とりくむ立場を堅持してきました。自分たちの組合の方針やとりくみを政治党派等、組織の外から持ち込むのではなく、自分たちの討議を通じて自分たちで決定してとりくむ立場を守ってきました。それが大衆組織である教職員組合として最も大切なことと考えてきたからです。私たちはそうした立場をこれからも堅持しながら、さまざまな課題にとりくんでいこうと決意しています。

私たちとともに! 墨田教組に加入してください。
 私たちは,皆さんを私たちの組合に迎え、皆さんとともに引き続き政治党派の思惑とは無縁なところで、自立的・原則的に運動を進め、墨田・東京・日本の教職員労働者と子どもの権利・利益を守り、未来を切り拓いていきたいと願っています。
ご理解とご協力をお願いします。



週刊墨教組 No.1736                2014.3.20

墨田教組二〇一四年度予算要求に区教委回答
  大半は「要望に添い難い」が、
     あきらめない!

 昨夏、墨田教組が区教委に提出した二〇一四年度予算要求への回答が、三月十一日、庶務課長から手渡されました。
 例年のごとく、その要求のほとんどは受け入れられませんでしたが、それが職場の切実な要求であることに違いはありません。毎年虚しさをいだきつつも出し続けることによって、その切実さが伝わり、「要望に添う」との回答が出ることを期待しています。
 仮説実験授業研究会板倉聖宣氏の説くように 「力積impulse=他の物体の運動量をどれだけ変化させるか」は「力の大きさ×力が働く時間」ですから。あきらめません。

実現された(そうな)こと
 一人で扱うこともままならない導入当初ならともかく、すでにこれだけPCが普及した中で、一人が待っているという小学校パソコン教室の定数20台を40台にするよう、私たちは毎年要求し続けてきました(※裏面要求抜粋V―2)。今年は、「パソコン教室の児童用パソコンについて計画的に設置していく。PCの更新の際に40台を配置している」となりました。「要望がある学校」だけではないようです。
 電子黒板についても、「改善に努めている」として、より使いやすく工夫することを約束しています。

各校でできること
 私たちは、妊娠中の教職員が横になれる場所を確保するなど、より一層の配慮することを求めました(※6―F)。これに、区は「各学校で工夫してほしい」と回答しました。
 また、放射線測定器配置の予算措置(※12)に対しても、「学校配布予算で対応されたい」でした。区としては予算措置しないが、やる気がないわけではない、学校がやることにおいて反対はしないという意味でしょう。
 私たちの労働条件は最終的には私たち自身が守るしかありません。各職場でできることをやっていこうではありませんか。

理解されていないもの
 「要望に添い難い」ものの中には、「要望に賛成(理解できる)が、予算的に為し難い」ものも「要望そのものに賛成できない」というものもあります。それはそれで、引き続き「要望」し続けるしかありませんが、「要望」自体を理解していないのではないかというものもあり、これは困ったことです。

無明の個人学習プロフィール
 「『昨年度と比べることはできない』ものを年次的に記載することは無意味である」(※5―C)の回答が、「児童・生徒一人一人に応じた、一貫性・連続性のある、きめ細かな指導に役立てるため、経年で調査結果を記録する本プロフィールを引き続き実施していく」というものでした。まったくかみ合っていません。
 私たちとしては、週刊墨教組一七一九号(二〇一三・八・二四)などで詳しく述べたように、相対評価が絶対評価になったり、評価の基準がこれまでの四段階から三段階に変化したりしているんだから、「一貫性・連続性」なんてないじゃないのと言っているのです。去年はBだった子には「手立てと評価」を書かなければならなかったのに、今年のBは「平均的な子」なのです。これをどう「一貫性・連続性」あるもののように「通約」していくのか、連続性があると言うのならどうやって『昨年度と比べることはでき』るもののように加工するのかを問うているのです。美辞麗句はあっても実務がありません。
 私たちは、引き続き、区教委・墨田教育研究所の自分自身に対する無理解を説きつつ、「学習状況調査」「個人学習プロフィール」の撤回を求めていきます。


※ 墨田教組予算要求抜粋
4. 小・中野外体験活動、中学校「移動教室」実施にあたっては、各学校が当初の趣旨にそった内容での実施が可能になるよう、さらに予算を増額すること。。
A放射線量が高く除染作業中の栃木県以外の行先・施設を確保すること。
5.偏った「学力」重視の施策をやめること。予算化しないこと
C「個人学習プロフィール」はただちにやめること。
…「昨年度と比べることはできない」ものを年次的に記載することは無意味である。
6.働くものの安全・健康を最優先に、次のことを直ちに行うこと。
F妊娠中の教職員により一層の配慮すること。
・横になれる場所を確保すること。
・体育軽減には非常勤教員ではなく非常勤講師を充てること。
・通勤軽減が実際にできるよう人員等を配置すること。
12.子どもたちの暮らすすべての場所の放射線量を測定すること。基準値を超える場合には速やかに放射性物質を子どもたちの生活する場所から除去すること。「天地返し」・「上下入替え」・「敷地の隅に置く」などは危険である。
 子どもたちの生活の在り方から、測定の基準値をすべて50cm・5cm以下にすること。
 理科教育の面から中学校には最低学級数の放射線測定器配置の予算措置すること。
 また、放射線から身を守る教育を行うこと。そのために、小学校においても複数の測定器配置の予算措置し、継続して測定できるようにすること。
V.学校施設設備の改善充実に向けて
2. 児童用パソコンの数は、小学校においても、要望がある学校には、1人1台配置すること。また機種の更新時にはソフト購入費を増額すること。
3. 電子黒板を全学級に計画的に配置すること。



新しい放射線副読本 文科省より出される

http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1344729.htm
小学生のための放射線副読本
中学生・高校生のための放射線副読本
 文部科学省では、放射線副読本の見直しを進めてきましたが、このたび、その冊子が完成し、公表することとなりましたので、お知らせします。
 本冊子は、平成26年度から使用できるよう、配布を希望した全国の小・中・高等学校、特別支援学校等に配布することとしています。(文科省HP)

福島第一原発事故に詳しい
 二〇一四年二月二八日、文科省が「新しい放射線副読本」を公表しました。二〇一一年九月に出された三冊(「放射線について考えてみよう」)は、「スイセンから放射線が出ていること」を教えるための副読本でした。今回のものは、副題こそ「放射線について学ぼう」と、前回のものと似ていますが、立ち位置はずいぶんと違います。
 前回のものは「はじめに」で、自身を「放射線について解説・説明した副読本」としていましたが、今回のものは、「共に社会に生きる一員として、この事故に向き合い、これからどのようにしたらよいかを考えるきっかけになることを願っています」を目的としています。「福島第一原発事故そのものについては、前回のものは、「はじめに」に八行触れられるだけで本文には一切出てきませんでした。が、今回のものでは、事故後の経緯も含めて六ページにわたって述べられています。

「向き合い」が不十分
 もちろん、「再稼働」を胸に秘めた政権の文科省が発行主体ですから、「安全神話の再興」もほの見えてきます。
 例えば、「地震と津波によって…事故が起こりました」(p.2)とありますが、何よりも福島第一原発そのものの立地・安全対策・原子炉そのものの構造・対応…も、大きな原因です。「放射性物質が…東日本の広い地域に飛び散りました」(p.3)では、海洋にもより多くの放射性物質が落ちたことや大気にも大量に含まれていること、現在に至るも放射性物質は飛び散っているということが隠されてしまいます。
 「どんな被害があったの?」では、被曝の可能性がまったく触れられていません。「風評被害や差別があった」と同列に論じていますが、切り離すべきです。「風評被害だ」としてより安全を求める問題提起を切り捨てる口実になっていた(いる)ことも忘れてはなりません。そして、原発事故こそ最大の「人権侵害」だということはけっして外してはならないことです。
 その他、除染の問題、食品の安全基準や検査の問題、現実の再稼働へ向かう「未来への出発」を危うくする政策の問題など、そのままにしておいてはいけない部分もたくさんあります。
 第2章でも、子どもが一番知っておかなければならないこと=「子どもほど影響を受けやすい」が、小学生版には出ていません。中・高校生版では述べられているのにです※。原発事故当時(その後も?)の、「愚民に真実を知らせるとパニックに陥る」という発想が基にあるのでしょうか?
※ 高線量被曝が原因で将来がんになる可能性は、大人よりも子供の方が高いことが知られています。一方、低線量被曝による影響の度合いが、大人と子供でどれだけ違うかははっきりとはわかっていません。(中高版p.12)

不十分な点は「現実」がフォローする
 前回のものがあまりにひどすぎたので、文科省副読本と聞くと嫌悪感をいだいてしまいますが、今回のものを「打ち捨てておく」、あるいは「お土産にする」のはもったいないでしょう。
 不十分な点は現実を見れば小学生でもわかります。例えば、「除染を行っています」については、「除染できない」「除染してもまた放射性物質が来てしまう」「除染しても子どもを持つ家庭は帰還を望まない」…。というニュースでも流されている現実をふまえればその実相がうかがえ、考えることができます。
 「正確な情報を基に行動する」という項がありますが、そうではなかったがゆえに無用の被曝を受けた飯舘村などの具体的な例をはっきりと述べるべきです。
 文科省が述べるごとく、まさに向き合うのは現実なのです。


週刊墨教組 No.1735             2014.3.3

全原発停止を永遠に!!
    「再稼働」・「新設」・「輸出」…など人の道に反する
福島の子どもたちに避難の道を
   社会的発言は私たちの責任! 
フクシマを忘れない!


「核発電容認」などない
 「あの日」から三年、「経済」の論理に立つ「避難区域解除」・政権の一部による「原発をベースロード電源に」論=根強い原発依存が「復興」しています。神話の復興です。安倍氏の進軍ラッパはヨハネ黙示録のラッパです。
 都知事選では、原発反対を中心にした二候補は、総計でも升添氏に及びませんでした。舛添氏は、「私が都知事となった暁には、都が大株主である東京電力の原子力発電所再稼働を進め、夜も煌々と明るい東京を作っていきます!」…とは言っていませんでした。安倍自公連立政権(端的に安部氏独断?)の再稼働路線にもっとも近い田母神氏は、二位でも三位でもありませんでした。この都知事選の結果をもって、原発が容認されたと認識することに何の道理もありません。
 十四万人の人々が故郷を追われ、「仮の生活」を送っています。彼らは被害者です。被害者が十分な手当てを受けずに宙ぶらりんの生活を強いられています。これは企業犯罪であり、国家犯罪です。

道理をひっこめない
 誰が考えても無理なことが、通ってしまうことがあります。それは、知らされないときです。原発は「安全上」、「特定秘密」に属するかもしれません。そうすれば、バルブが開いていたことも汚染地下水が溢れていることも知らされないかもしれません。仮に知りえたとしても共感がなければ道理になりません。そして共感が作られても行動がなければ無理が押しとおっていきます。
 民主主義は「代議制民主主義の選挙行動」だけに矮小化されてはなりません。その前提である、一人一人の自立した市民が「知り・考え・行動する」が、実現されていなければなりません。もしそれがないのなら、つくっていかなくてはなりません。
 私たち市民が、社会的責任を負う職業人が、その責任を果たさなければなりません。
 三月八日(土)から十五日には、各地で大きな集会が開かれます。共に行動し発言していきましょう。



原発いらない!3・11福島県民大集会
3月8日(土) 11時00分

会場  ユラックス熱海(郡山メイン会場) 

  いわき市文化センター(いわき会場)
  福島県教育会館(福島会場)
メイン会場郡山会場は混雑が予想されます。 可能な限り、東北地方の方は「福島会場」、関東地方の方は「いわき会場」への参加をお願いいたします。
集会順序(予定)
10:00 開場 11:00 アトラクション
13:00 県民大集会
15:00 デモ行進 ※福島・いわき会場のみ


3月9日(日)原発ゼロ☆大統一行動
〜福島を忘れるな!再稼働を許すな!
〜日比谷野音・国会議事堂周辺

<<第一部>>日比谷野外音楽堂
13:00〜 大集会 

14:00〜 巨大請願デモ/国会大包囲 
主催:首都圏反原発連合/さようなら原発1000万人アクション/原発をなくす全国連絡会
●大集会登壇者(敬称略/順不同)
坂本龍一(音楽家) 名木昭(福島県内の全原発の廃炉を求める会・呼びかけ人)
鈴木薫(NPO法人いわき放射能市民測定室たらちね・事務局長) 早川篤雄(福島県楢葉町宝鏡寺住職/福島原発避難者訴訟原告団・団長) 中村きくえ(八幡浜・原発から子どもを守る女の会) 石地勝(原発反対福井県民会議・事務局次長)

<<第二部>> 15:30〜17:00 国会前大集会
  主催:首都圏反原発連合 

3月15日(土)フクシマを忘れない!
  さようなら原発3.15脱原発集会
 日比谷野音・銀座デモ


12:30 開場 13:00 オープニングライブ 真相の噂(コントグループ)、岡大介(カンカラ三線)
13:30 開演 司会:木内みどりさん
福島からの報告 武藤類子さん(ハイロアクション福島)
呼びかけ人アピール 内橋克人さん 大江健三郎さん   鎌田慧さん 澤地久枝さん
アピール 秋山豊寛さん(ジャーナリスト)
被曝労働の報告 なすびさん(被ばく労働を考えるネットワーク)
原発再稼働の現地(福井)報告
14:30 デモ出発(銀座方面)

福島原発事故から三年。この三年間、目には見えず匂いもないものに、故郷を追われ、蝕まれ、おびえる日々を過ごしてきました。人々の輝かしい未来を幻想してつくられた原子力発電は、大きな負債を未来に背負わす化け物であることを、今や多くの人々は確信しています。原発は人がつくり出したものであり、この化け物と対峙しつづけることは、私たち自身と未来に対する責任です。力強く呼びかけていきましょう!脱原発の声を。



二〇一四年度予算発表さる
 新味なし 誤った「学力向上策」を維持
  教育をむしばみ、より深刻な事態を招かないか!?
現場の声にしっかり耳傾けよ!!

 区は二月一〇日、平成二六年度予算案を発表しました。
 新規事業は「色付き食器・カラートレイの導入を内容とする学校給食アレルギー対策」「地域文化資源の掘起し すみだ郷土文化資料館『探訪・向島−地域文化の再発見』」などです。

「学習到達度調査」に反対する
 この八年間続いてきた、誤った「学力向上」策は、来年度も続けられます。教育の現場に生きる私たちはずっとこの施策に反対してきました。
 第一に、これがただ一度のペーパーテストを軸としており、「教育」・「学力」を矮小化するからです。
 第二に、「個人学習プロフィール」が学校現場にまったく無用のものだからです。
 第三に、「学力向上」という掛け声のもと、子どもたちが望まない形で「学習」を強いられるからです。

「いじめ」助長か?
 もう九年目になろうというこの悪政策が、より深刻な教育破壊をもたらしているのではないかと心配しています。単純な「能力主義」、恥ずかしげもなく繰り広げられる「点数主義」、薄っぺらな「テストのための学習」…。
 子どもたちの内にどのような「学習」観ができているでしょうか? ともに力を合わせて社会を築いていくという「連帯」は形成できるでしょうか? 真の意味で個性は尊重されているでしょうか?

 「いじめ」とは、人間関係の在り方の根本を過つところに始まります。「学力向上」策だけでなく、「能力別少人数クラス」制度は「差別の顕現化」ではないでしょうか。そもそも教職員自身が「人事考課制度」で露骨な能力主義を強いられているのですから、「徳」などというものからほど遠くさせられているではありませんか。   この項続く



東京教組緊急学習会 「安倍政権の教育政策の全体像」
 「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍政権は、「アベノミクス」の幻想を振りまき、高い支持率と圧倒的な国会勢力を背景に、「戦争のできる国づくり」に突き進んでいます。「道徳の教科化」「教科書検定基準の改正」「学習指導要領解説の改訂」「教育委員会制度の改正」などの政策が、矢継ぎ早に実行されようとしています。個々の政策だけを見るのではなく、全体像をどのようにとらえるのかが重要となっています。
  3月6日(木)  19:00〜20:15  
  東京教組 会議室(日本教育会館2階)
  講師   大森 直樹さん(東京学芸大学准教授)
         「安倍政権の教育政策の全体像
〜今現場で何に力を入れるべきか〜」




週刊墨教組 No.1734                      2014.2.7

「戦争のできる国」にはしない
反戦平和のとりくみを
  
 東京大空襲を知り、つたえよう

 
今年もまた三月一〇日がやってきます。一九四五年三月一〇日、墨田・江東を中心とした東京下町は、米軍のB29による無差別絨毯爆撃で火の海と化し、一夜にして十一万五千人の尊い命が焼土に埋もれたのでした。東京大空襲は、広島・長崎の原爆とともに、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材と言えるでしょう。下町の街かどに安置されたお地蔵さんや追悼碑に、花を供える方々も年々高齢化し、空襲の傷跡もほとんど無くなりました。しかし、私たちはあの「地獄の炎」を決して忘れません。
 「教育基本法」が改悪され、憲法改悪が現実の課題として目前に迫っています。「大日本帝国」をも含めて原始時代からのこの列島の出来事を「美しい国」と一括りにし、都合の良い部分だけを「復古」しようとする総理は、今「絶好調」です。「特定秘密保護法」で情報統制をし、集団的自衛権行使できるよう戦争に向かってまっしぐらです。一年間総理としてもったことを靖国の「英霊」に報告しに行きました。
 敗戦から六九年、「戦争の事実」とそれに加えられた真摯な反省が、かき消され、歪曲され、否定されようとしている今日、「東京大空襲」を自ら学び、子どもたちへ語り継ぐことは、私たち教員の課題と責務です

過去を忘れてはならない
  過去を知らなくてはならない
 私たちにほんの少しの想像力があれが、六九年前、この墨田の夜が炎上し、その中で多くの「ヒト」がもがきながら死んでいったことを理解できるでしょう。私が毎朝通勤する通りにも六九年前の熱さとおびただしい死が幻視されます。それは「聖徳太子」の時代のことではないのです。極めて近い過去なのです。過去にあった戦争を恐れ、今戦争に向かうものを怖れているだけでは、「彼ら=死者」を遠ざけるだけです。そして私たちは振り返らない過去を繰り返すことになります。そうならないために、私たちはその夥しい無念の死者と、そして過酷な生を生きる生き残った人々と「つながる」必要があります。その生と死を「つぐ」必要があります。

辺野古移設反対 沖縄とつながる
 日米安保条約に基づいて、沖縄に驚くほどの軍隊と施設が置かれています。かつてここからはベトナムに多くの兵員や兵器を送り込まれ、また「共産圏」との最前線と位置づけられてきました。冷戦構造が終わったとはいえ、新たな戦争をアジアで繰り広げるアメリカは、沖縄という「安価な」軍事基地を手放そうとはせず、日本を巻き込んで再編強化しています。普天間基地県外移転を公約に当選した参議院議員が次々と変節し、仲井真県知事は国の振興策や交付金=「札束で県民の心を買う手法」を「驚くべき立派な内容」と讃えて、辺野古移設への門を開けました。しかし、現地名護市長選では、基地化絶対反対の稲嶺市長が引き続き支持されました。
 普天間基地・辺野古移設・オスプレイ配備・危険な訓練…戦争につながるものを、人々は拒否したのです。地上戦で多くの住民が殺され、「主権回復」によってアメリカ統治を強いられた沖縄に、私たち墨田のものは東京大空襲を知り悼むことなくして、つながることはできません。

教え子を再び戦場に送らない
 軍隊とは「他者を殺したり傷つけたりすることを国によって認められ賞揚される集団」です。いかなる口実があろうとも「殺す・傷つける」という行為を私たちは否定します。それは人権の放棄です。「○○国の脅威」「領土問題」「在外邦人保護」「テロとの戦い」など、どのような理由をつけようとも、それは戦争の言い訳にもなりません。日本のアジア侵略もアメリカのイラク「制裁」アフガン「駐留」(という名のテロリズム)」も「正義の戦争」でした。「殺す」ことを肯定したときには、あらゆる口実が湧き出てくるのです。
 なによりも、まず、平和を。子どもは「お国のため」にあるのではありません。
 私たちの先達は、戦後、教育が国家の僕とされ・教員が軍国主義の手先となったことの反省を元に日教組を結成しました。そして、平和を希求して、「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンが生まれました。これからも政治状況がどう変わろうとも、その精神を受け継がなければなりません。自分たちの職場で、『二度と戦争をさせない』とりくみを進めなければなりません。

原発事故は「戦争」状態
 ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ環礁…核分裂の災禍を三度も四度も受けながら、とうとう日本は破局的な原発事故を起こしてしまいました。これまで原発労働者を含む主に緩慢な死傷が、密かに進行してきました。広島型原発37個分の放射性物質を放出した事故により、今、東日本を中心に大量の死傷の可能性が現実のものとして厳と存在します。
 日本国はこの事故の責任者を裁こうとはしません。災厄をもたらす放射性物質は「無主物」として扱われ電力会社は免罪されています。まさに「他者の死傷を国によって認められた者」です。人のもたらした大量の死傷という意味で、これはまさに「戦争」です。そして「安全・大丈夫・収束・統制下にある」というデマゴギーも、多くの人々が、「言いたいことを言えない」状態もまた「戦争」と同じです。
 私たちは福島の放射性物質による被害の実態をとらえ、子どもたちが自分の頭で考え選択できるような学習を積極的に用意しなければなりません。

「英霊」を利用する者は
 「英霊」とは「『死者の霊』の美称。狭義では、戦死者(の霊)を指す」とあります(新明解国語辞典)。
 安倍氏や「靖国」に行った多くの代議士が口にする「英霊」は、もっと狭いもののようで、「靖国に『まつられ』ているのが『英霊』」のようです。靖国神社で「祭神」とされるのは、政府側軍人・軍属・準軍属の死者、傷病後の死者、戦犯裁判での死刑者です。
 とすると、空襲・原爆による被害者や餓死者、軍人・軍属・準軍属でも死ななかった者は、「英霊」ではないということになります。「英霊」は今の日本の礎になったというのですから、非「英霊」死傷者は「平和な日本の礎」にも何もならなかったということになります。
 「靖国」参拝代議士は「靖国祭神」=「英霊」認識を批判されると「国のために戦った彼らの死が『犬死』だと言うのか!」と激高します。ということは、「英霊」以外は『犬死』と認識しているのでしょう。私たちは墨田のあちこちの路地で川で家で、その身を燃やし胸を焦がして亡くなったたくさんの死者を知っています。
 そして同時に私たちは知っています。多くの「英霊」は「英雄的な死」を死ななかったということも。餓死・輸送船の沈没死・傷病による遺棄・彷徨・自死・自死を強いられたに等しい突撃…惨めな死を強いられたということを。
 「英霊」も「英霊」でない者も、どちらも強いられた死であり惨めな死、まさに「犬死」です。「英霊」があるから今の日本があるのではありません。日本とアジアの多くの死者が全く無意味に死んだ=「犬死したのだ」という、「生き残った者」の悲しい認識こそが、戦後の平和主義を支えてきたのです。それだけが、彼らの死を悼む道だったのです。
 そのように死んだ者を、「英霊」などと持ち上げて「戦争ができる国家」のために利用することは、死者を二度殺すことです。許しがたいことです。

組織的な平和教育のとりくみ
 墨田教組は、反戦平和教育の重要な課題として位置づけ組織的にとりくみを進めてきました。一九八八年からは、特に「三月十日」をひとつの節目に設定し、墨田の全学校で反戦平和教育の実践が行われることをめざし、墨田教組として統一的にとりくみを進めてきました。三月十日の前後には、特設授業や全校児童集会等、様々な形で平和教育のとりくみが各学校で実践されています。このとりくみは、東京大空襲で壊滅的被害を受けた墨田におけるという意味で、地域に根ざした教育の一環でもあります。
 また、墨田区も「平和メッセージ」や「折鶴」によるモニュメントづくりにとりくんでいます。すみだ郷土文化資料館には東京大空襲の常設展示もあり、また研究も進んでいます。講師紹介など学校からの相談にものってくれます。私たちは、「戦争を拒み平和を希求する」人々と手を携えて進んでいきます。
 私たちは、今年も三月十日を節目とした平和教育特設授業のとりくみを進めます。



平和教育教材パネル 1945年 東京大空襲

 かつて東京都教職員組合(分裂前)は、東京大空襲の惨禍を二度と繰り返さないように、この写真パネルを企画発行し全分会(学校)に配りました。写真は警視庁に委嘱された報道写真家石川光陽氏によるものです。東京大空襲の記録写真は彼が撮影した僅かなものに限られていました。※1
 この写真は貴重で空襲の実相を如実につたえるものです。多くの書籍にも掲載されていますが、これだけの大きさ(A3版25枚)にしたものはありませんでした。
 各校では、3月10日を節目にした実践の中で、授業で使われたり廊下に掲示したりされるなど、さまざまな使われ方をされています。
 しかし、時間も経ち、各校にあるはずのこの写真パネルの存在が朦朧としたものになってきてもいるようです。もし見当たらない場合は、一度、社会科資料室なり「旧い物いれ場」などを探してみられることをお勧めします。
 また、組合事務所にもありますのでお貸しすることもできます。※2

※1 2011年夏、東京への空襲を記録した583枚の写真ネガが見つかりました(NHK「東京大空襲583枚の未公開写真」2012年3月)。この番組を録画したDVDも組合にあります。

※2 アニメ「首都炎上」など、東京大空襲の学習に役立つビデオ・DVDも多数あります。ご照会ください。



朝日新聞 論壇時評)
戦争の傷痕 すべて解決済みなのか 作家・高橋源一郎
2014年1月30日05時00分

 安倍晋三総理大臣が去年の暮れ、現役総理としては7年ぶりに靖国を参拝し、大きな波紋を呼んだ。それから、ほんの少し前、新たにNHKの会長になった人が、「従軍慰安婦はどこの国にもあった。解決した話なのに、韓国はなぜ蒸し返すのか」と発言し〈1〉、これもまた大きな問題になろうとしている。
 だが、わたしにとって、もっと大きな出来事は、1月12日深夜、テレビで、監督大島渚の半ば伝説と化したドキュメンタリー「忘れられた皇軍」〈2〉が半世紀ぶりに、放映されたことだった。
 その夜、テレビの画面を見た人たちは、半世紀前と同じように、目をそむけるか、あるいは、視線を釘付けにされたかのいずれかだったろう。
 そこに登場していたのは「元日本軍在日韓国人傷痍(しょうい)軍人会」の12人だ。日本の軍人として戦った彼らは、戦争によって手や足や視力を失った。なのに、戦後、韓国籍になった彼らには、軍人としての恩給は支給されなかった。日本政府に訴える彼らに政府は「あなたたちは韓国人だから韓国政府に陳情せよ」といい、韓国政府に訴える彼らに政府は「その傷は日本のために受けたものだから日本政府に要求せよ」という。だから、彼らは、その無残な体を見せつけるように、街頭に現れ、日本人に直接訴えたのだ。

 「眼(め)なし、手足なし、職なし、補償なし」という旗をかかげ、募金をつのる異形の者たちに、戦後18年、急激に復興しつつあったこの国の人たちが向ける視線は冷ややかだ。つかの間の慰安を求めて、安い酒を飲んでも、彼らの口をついて出るのは日本の軍歌だった。

 番組の後段、片手と両眼を失った元日本人軍属、ジョ・ラクゲンは自らサングラスをとる。国家と歴史に翻弄(ほんろう)された男の、潰れた眼から涙がこぼれる。
 彼がもし戦死していれば、靖国に「英霊」として祀(まつ)られただろう。だが、生き残った者には金を払わないのである。

 最後にナレーションは、ほとんど叫ぶようにこういう。
 「日本人たちよ、わたしたちよ、これでいいのだろうか? これでいいのだろうか?」
 その問いは、この半世紀の間に答えられたのか。問題は、すべて「解決済み」なのだろうか。
    *
 ニューズウィーク日本版が繰り返し載せた「靖国」に関する論考〈3〉からは、内向きで感情的な議論になりがちな、この問題を、冷静にとらえようとする「外側の視線」が感じられた。
 「劇場化する靖国問題」の筆者たちは「今の日本には『2つの靖国』が存在している」と書く〈4〉。それは、「中国と韓国がむき出しの感情をぶつけ、結果的に外交の道具と化した『ヤスクニ』」、そして「外国からの批判に惑わされ、日本人自身が見失ってしまった慰霊の場としての靖国」だ。
 それぞれの国内事情から「ヤスクニ」を外交カードとして使わなければならない中国や韓国、また、それに対抗するうちに、「慰霊」の場としての靖国を忘れそうなこの国。
 日本遺族会会長であり、父をソロモン沖で失った尾辻秀久参院議員は「苦い思いをかみしめ」ながら、この混乱は、日本人が自らの過去と向かい合ってこなかったツケだ、という。合祀(ごうし)されたA級戦犯たちの問題がいつまでもくすぶり続けるのは、日本人自身の手で彼らの責任を問わなかったからではないか、と〈5〉。
 わたしの親しい週刊誌記者が、ある時、「嫌韓」や「反中」記事なんか書きたくないが、売れるから仕方ないといったことがあった。だが、メディアには、冷静さを取り戻そうとする動きもある。
 週刊現代の特集は「『嫌中』『憎韓』『反日』 何でお互いそんなにムキになるのか?」〈6〉。「憎しみの連鎖」が続く現状を「常軌を逸している」とし、それぞれの国の事情を取材しつつ、日本人の根底にある「差別意識」に触れる。
 「憎しみに気をとられるな」という声が聞こえる。社会に溢(あふ)れる「憎しみ」のことばは、問題を解決できない社会が、その失敗を隠すための必須の品なのだ。
    *
 最後に、わたしの個人的な「靖国」について書いておきたい。
 父親のふたりの兄はアッツ島とフィリピンでそれぞれ「玉砕」している。大阪に住んでいた祖母は、上京すると靖国に詣でた。そんな祖母に、わたしの父親はこういって、いつも喧嘩(けんか)になった。
 「下の兄さんの霊が、靖国になんかおるもんか。あんだけフランスが好きだったんや、いるとしたらパリやな」
 では、その、わたしの伯父は「英霊」となって靖国にいるのだろうか、それとも、パリの空の下にいるのだろうか。
 父は、兄たちが玉砕したとされる日になると、部屋にこもり、瞑目(めいもく)した。それが、父の追悼の姿勢だった。もちろん、父は祖母の靖国行きを止めることもなかった。「忘れられた皇軍」兵士、ジョ・ラクゲンは父と同い年だ。
 伯父の霊は、靖国にもパリにもいないような気がする。「彼」がいる場所があるとしたら、祖母や父の記憶の中ではなかっただろうか。その、懐かしい記憶の中では、伯父は永遠に若いままだったのだ。「公」が指定する場所ではなく、社会の喧噪(けんそう)から遠く離れた、個人のかけがえのない記憶こそ、死者を追悼できる唯一の場所ではないか、とわたしは考えるのである。

 〈1〉籾井勝人(もみいかつと)NHK新会長の発言(記事「従軍慰安婦『どこの国にも』」=本紙26日付)
 〈2〉大島渚監督「忘れられた皇軍」(日本テレビ・ノンフィクション劇場=1963年放送)
 〈3〉「靖国参拝はお粗末な大誤算」ニューズウィーク日本版1月14日号、特集「劇場化する靖国問題」同1月28日号
 〈4〉前川祐輔・深田政彦「劇場化する靖国問題」ニューズウィーク日本版1月28日号
 〈5〉尾辻秀久参院議員の発言(記事〈4〉で紹介されたもの)
 〈6〉「『嫌中』『憎韓』『反日』 何でお互いそんなにムキになるのか?」週刊現代1月25日・2月1日合併号
    ◇
 たかはし・げんいちろう 1951年生まれ。明治学院大学教授。初のルポ作品である近著「101年目の孤独」では、子どものホスピスなど内外の様々な場を訪ね歩いた。



墨田教組 
2014年度行事予定 
  確実に予定に組み入れてください。
  例年と異なりますのでご注意ください。

 
組合総会 5月28日(水)
       5月第4週
教研集会 10月22日(水)
      10月第4週



週刊墨教組 No.1733                        2014.1.30

人事考課制度は学校の協働を崩す悪制度
  
恣意的・差別的「業績評価」を許さないために
     自分たちの権利は自分たちで守る


勤勉手当にまで拡大された「業績評価」
 今年度の勤勉手当から、成績率が適用されることになりました。その基礎資料となったのが昨年度末の「業績評価」です。冬のボーナスの額までが、半年以上前の「業績評価」に左右されるのです。
 これまで工夫されてきた「業績評価」に対する抵抗は極めて重要です。例えば、「業績評価」を必ず開示させること。「私」に対する情報も隠される状態…「特定秘密保護法」を髣髴とさせる状況です。許せません。制度として獲得されたものは「面倒」「人付き合い」を越えて実現していかなくてはなりません。

「D・C評定」には理由がいる
 校長は「C」を一定割合「つけなければならない」ようです(伝聞)。しかし、「C」をつけるにはそれなりの「理由」が必要です。二〇一〇年一〇月に確定した大嶽裁判東京高裁判決によれば、「C以下の評価をするについては、その根拠として相当な事実が存在することが必要であり…評価権者側においてその存在について主張立証責任を負う」としています。
 また、年度末にふりかえって「まあ、あいつはCだな…」ではだめです。その時々に「C」である事由を見つけ「指導」し、にもかかわらず「改善」されなかったという事実を「立証」しなくては「C」にはできないのです。もちろん、面接のときに、「そういえばこんなミスがありましたよね」と「思いついた」だけでも駄目なのです。

管理者の望む「自己申告」はしない
 しかし、「とっても便利な方法」があります。それは、「本人が私はCだった」と、「自己申告書」で「自己採点(自己評価)」自己評定する場合です。これによって「具体的事由」は「本人がそう言っているから」となります。本人が言ってるんじゃあ仕方ないか…。
 「謙譲の美徳」や、「これだけへりくだったらAをつけてくださるだろう」なんていう「日本的阿吽の呼吸」は全く無効です。「業績評価―自己申告」なんて制度にはそんな発想はありません。図々しく押しが強くうまく付け入った方が勝ちというのがこの制度の肝です。問題は、この図々しさを同僚を押しのけて一人で行うのか(?陀多!)、共に働く者が協同して行うのか、です。もともとが悪しき制度です。労働組合は後者をとります。

あなたをCにしようとする校長と
仲良くする必要はない
 校長の中には自己評価に対して、「え〜、あなたみんなAなの〜?! 自信ありすぎ〜〜〜!!」と嫌味を言う方がいるかもしれません(確実にいるでしょう)。「全部B? Cだって『普通』の中なんだから少しはつけたら?」とも言うでしょう。
 反論は簡単です。「私は私なりに精いっぱいやりました。(あなたみたいな管理職と一緒に我慢強く仕事する)自分で自分をほめてあげたい。それに、私は校長のように『評価者訓練』を受けていません。あなたは公正な評価ができるかもしれませんが受けていない私にそれを求めるのは無理です。『自己評価をしろ』とあるので『自己評価』をしているのです。それとも、あなたが私の『自己評価』に介入してもいいと、『評価者訓練』で指導されたのですか?」  
 何と言われても、絶対に自分で「自己評価」に「D・C」をつけてはなりません。それはこの悪制度を認め、支える役割を果たします。
 この件に関して、校長の不審な行動があれば組合にご連絡ください。区教委に交渉しつつ、この制度をより害の少ないものにしていきます。



原子力発電という マインドセットに
   いつまで縛られるのか


丹沢山に泊まる
 冬は東京からも富士山がよく見える。その手前に横たわる低い山並みが丹沢山塊だ。左手、ぐいと持ち上がっているのが江戸時代から庶民が詣でた大山。そこを始点に北に尾根を連ね、丹沢山・最高峰の蛭が岳あたりが富士山に重なる。右手に大室山が見えているのだろうが、この辺りになると道志の山々とも重なって判然としない。しかし、降雪直後には山襞の陰影が強まり、妙に気を引く。
 これだけ墨田から見えているのだから、丹沢山塊からも墨田が見えるのだろうか。勇気を奮って、冬の休みに丹沢山にでかけた。

祭りだ 祭りだ!

 今豆太は見た。ろくな勇気もないのに、モチモチの木の後ろに灯りがともっているのを。後ろどころではない、それこそ辺り一面だ。どんちゃん騒ぎ! しかも、毎日が「カミサマ」のお祭りだ〜。浮かれ騒いで、東京五輪まで〜〜!!(さしあたりはソチ冬季オリンピック?)

深夜電力の怪
 南の小田原から横浜・川崎・東京・千葉・関東平野…見渡す限り、近くの山と木に遮られていないところは光の海だ(写真)。この光の渦は本当に必要なのだろうか。「深夜電力は安い」「オール電化いいですよ〜」…出力を微調整できない原子力発電の宿命が、深夜電力を安くし夜の光の渦を生んだ。その原発が一基も動いていないのに、どうして深夜電力は安く夜は煌々としているのだろうか。実質経営破綻しているのに、夜の電気を安く提供する東電は「信義に厚い」のか、ただ「親切」なのか、それとも月の光で発電できるようになったのか…。(やはり「親切」なのだろう。電力九社は二〇万円ほどずつあちこちの代議士のパーティー券を買っているという。これは「何の問題もない」ことだそうだ)。

「非電化」という選択肢
 二十年以上前から「非電化」の家庭用機器を追求する発明家藤村靖之は、アインシュタインの言葉「ある問題を引き起こしたのと同じマインドセット(心の枠組み)のままで、その問題を解決することはできない」を引用して、「非電化」を次のように位置づけている。
 「収入が増えれば幸せになるというマインドセット、エネルギーとお金を使わなきゃ幸せになれないというマインドセット。そんなものに対する『別の選択肢』と考えた時、その『エネルギーとお金を使わなければ幸せになれない』という考えの象徴的な存在が電気だ、と見えてきたんです。そしたら、『非電化』ということばがポンと出てきた」(高橋源一郎『一〇一年目の孤独』岩波書店二〇一三)
 
原発というマインドセット
 二〇一一年福島原発事故に那須の自宅=非電化工房で藤村は遭遇する。その後も線量が高い村に留まり地域住民とともに講習会や放射線計測、除染研究などを実施するNPO法人「那須希望の砦」を主宰する藤村は、原発に対しても根源的な問いを放つ。
 「原発事故を引き起こしてしまった今、私たちはいまだにその危機を引き起こしたのと同じマインドセットで、問題が解決できるかのように思い込み、振舞っている。原発が駄目なら太陽光発電で…」と。
 大量生産=大量消費・「エネルギーとお金」・「電気→原発」という、これまで主流であったマインドセットを続けるのか否か、私たちは重要な選択を迫られている。



映画会へのお誘い
 スクリーンに叩きつける、伝えきれない沖縄
ドキュメンタリー映画「標的の村」

三上智恵監督作品 91分
 アメリカ軍基地が74%もある沖縄、やんばるの森に囲まれた高江の住民は、オスプレイ用のヘリパット建設に反対し、毎日座り込んだ。国が住民を訴えた。前代未聞のスラップ裁判(力に任せ恫喝する裁判)。2012年、オスプレイ配備が公表され、県民の怒りに火が付き、普天間基地は一時完全に封鎖された。沖縄県民の思いが詰まっているドキュメンタリー映画。沖縄が、なぜ、だれと闘っているのかその真実に迫る。
2月8日(土)
 13:30開場 14:05〜上映 
 15:50〜16:30交流会 
ゲスト水沢澄江さん
会場 エル・ソフィア 3階第1学習室
東武伊勢崎線梅島駅徒歩3分
参加費1000円(学生以下500円)
主催 映画を見て考えるパラムの会
 ※この会には多くの元墨田教組組合員・墨田区教員が関わっています。


東京退女教 学習会
講演 沖縄 現地からの報告
講師 島洋子さん

 琉球新報東京支社報道部長
2月8日(土)13:30開会
日本教育会館9階901号室
  地下鉄神保町駅3分
主催 東京都退職女性教職員の会


狭山事件の再審を求める東京集会
2月25日(火)18時半〜
台東区民会館ホール
東武線・地下鉄浅草駅7分
狭山弁護団報告
冤罪当事者からのアピール
家族からの訴え


3.8―3.15はNO NUKES WEEK
8日(土)原発のない福島を!県民大集会
9日(日)原発ゼロ☆大統一行動〜福島を忘れるな!再稼働を許すな!〜日比谷野音・国会議事堂周辺
15日(土)フクシマを忘れない!さようなら原発3.15脱原発集会 日比谷野音・銀座デモ




週刊墨教組 No.1732                  2014.1.9

教科書検定基準一部「改正」告示案の
 パブリック・コメントに応募しよう!!

 二〇一三年十二月二五日、文科省は「義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準の改正案」(資料1・2)を発表し、パブリック・コメントの募集を開始しました。このパブリック・コメントを経て1月中に告示をし、来年度の中学校用教科書の検定から適用するとしています。
 教科書については、これまでもゆがんだ検定がなされたり、行政が特定の出版社の採用を邪魔するという事態が続いています。
 今回の「改正」は、教科書改革プランが示されてから開かれた審議会総会はわずか2回であり、委員からは「国定教科書につながるものになることが危惧される」との意見も出されており、十分な議論が尽くされているとは言えません。
 また、今回の検定基準の一部改正案は、「バランスがとれた教科書をめざす」としながら、専門的見地や他国の見解なども同時に載せるといった視点はありません。「判例や政府見解がある場合にはそれに基づいた記述がされていること」とすれば、時の政府見解がストレートに反映されることになります。これでは「国定教科書」といわざるをえません(資料3 子どもと教科書全国ネット21声明参照)。
 私たち学校で働く者がまず当事者として、「パブリック」として、「コメント」を発しようではありませんか。

このパブリック・コメント全体については→http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000672&Mode=0
応募は、
・郵送(〒100-8595霞が関3-2-2文部科学省初等中等教育局教科書課宛)
・FAX(6734-3739)
・電子メール(pckentei@mext.go.jp)により、
「検定基準改正案への意見」として、氏名・性別・年齢
・職業(在学中の場合は学校段階)・住所・電話番号・意見を記します。

 提出期限が2014年1月14日必着と非常に詰まっています。




資料1    教育諸学校教科用図書検定基準及び      
高等学校教科用図書検定基準の改正案について


1. 改正の趣旨
 「教科書検定の改善について(審議のまとめ)」(平成25年12月20日教科用図書検定調査審議会)を踏まえ、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成21年3月4日文部科学省告示第33号)及び高等学校教科用図書検定基準(平成21年9月9日文部科学省告示第166号)(以下、「検定基準」という。)について、所要の改正を行う。
2. 改正の概要
 検定基準のうち、社会科(地図を除く)固有の条件(高等学校検定基準にあっては地理歴史科(地図を除く)及び公民科)について、以下の改正を行う。
@ 未確定な時事的事象について記述する場合に、特定の事柄を強調し過ぎていたりするところはないことを明確化する。
A 近現代の歴史的事象のうち、通説的な見解がない数字などの事項について記述する場合には、通説的な見解がないことが明示され、児童生徒が誤解しないようにすることを定める。
B 閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。
3. 施行期日
 公布の日から施行し、平成28年度以降の使用に係る教科用図書の検定から適用する。


資料3 【声明】
近隣諸国条項を骨抜き・無効化し、
 政府による教科書統制を極限まで強める
  文部科学省の検定基準改悪案に反対する
2013年12月25日  子どもと教科書全国ネット21

 …検定基準改定案は、教科書の内容を政府が隅々まで統制し、事実上の「国定教科書」づくりをめざすものである。さらに、歴史の事実を教科書から消し去り、歴史をわい曲する内容を教科書に書かせ、政府に批判的な内容は教科書から排除することをめざす重大な改悪案である。…以下、この検定基準改定案の主な問題点を指摘する。

1.検定基準の改定案は歴史の事実を教科書から削除し、歴史のわい曲を正当化するものである
 自民党・教育再生実行本部「中間取りまとめ」と教科書検定の在り方特別部会の「中間まとめ」、自民党の衆議院選挙・参議院選挙の公約では、「多くの教科書が自虐史観で偏向している」と主張してきた。社会科の検定基準改定案がターゲットにしているのは、「自虐史観や偏向」した記述であり、対象にされているのは、南京大虐殺(南京事件)や日本軍「慰安婦」、強制連行、植民地支配など日中15年戦争、アジア太平洋戦争時の日本の侵略・加害の記述である。そのことは、次の事実を見ただけでも明らかである。
 2013年9月に文部科学副大臣になった西川京子議員は、13年4月10日の衆議院予算委員会で、南京事件はなかったということは自分たち「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(「教科書議連」)の調査で明らかになった、また、「慰安婦」は当時は合法だった売春の話であり政治的にも歴史学的にも決着していない問題である、それらを教科書に載せるのは「自虐史観」「偏向」だと主張した。また、安倍晋三首相は、野党議員時代の2012年4月10日、自民党文教部会と「教科書議連」の合同会議に出席し、「自分が総理のときに『いわゆる従軍慰安婦の強制連行はなかった』と国会で答弁した、何故それを無視して『慰安婦』を教科書に載せているのか」と文科省担当者を叱責した。
 こうした点から見れば、この検定基準は、「南京事件はなかった」や「『慰安婦』は売春婦」などというのも少数説として存在するから両論併記でそれも書け、ということである。さらに、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)の自由社版教科書や日本教育再生機構・「教科書改善の会」の育鵬社版教科書、日本会議の明成社版『最新日本史』などは、検定申請時に「南京事件なかった」という趣旨のことを書いて、検定で修正させられてきたが、今後はその記述を認めるようにするということである。
 歴史の事実を教科書から削除し、歴史をわい曲する内容を教科書に書かせるものであり、明らかに近隣諸国条項に違反する。

2.検定基準改定案は「近隣諸国条項」を骨抜き・無効化するものである
 検定基準の「近隣諸国条項」(「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」)は、近現代史について、日本と近隣アジア諸国との関係について国際理解と国際協調を深める立場で書くことを求める条項である。さらに、日本の侵略・加害について歴史的事実であれば検定で削除・修正を求めないという検定基準である。
 安倍首相や下村文科相をはじめ、自民党は「近隣諸国条項を見直す」と主張し、選挙公約にも掲げてきた。しかし、この条項は、1982年に文部省が教科書検定で日本の侵略戦争・加害の事実をわい曲していることがアジア諸国に知られ、中国・韓国をはじめアジア諸国から抗議され、外交問題になった。この時、宮沢喜一官房長官(当時)は、「アジアの近隣諸国との友好、親善を進める上でこれらの批判に十分耳を傾け、政府の責任において是正する」という談話(「宮沢談話」)をだし、外交問題に決着をつけた。そして、この談話に基づいて追加された検定基準が近隣諸国条項である。近隣諸国条項は日本政府のアジア諸国への国際公約であり、日本国民への公約でもある。
 下村文科相は、今回の検定基準改定では、「近隣諸国条項」の見直しはしていないと述べている。しかし、検定基準改定案は、この近隣諸国条項を骨抜き・無効化し、実質的に廃止するものである。
 安倍政権・自民党がこの近隣諸国条項の見直しを行おうとしていることに対して、アジア諸国、とりわけ韓国・中国からの批判があり、見直しを行えば外交問題に発展することは明らかである。そこで安倍政権は、見直しを先送りして、近隣諸国条項を骨抜き・無効化する検定基準を別に定めて、実質的な見直し(廃止)を行うものである。これは、明文改憲がすぐにはできないので、解釈改憲や国家安全保障基本法の制定などで、事実上9条改憲を行おうとしていることと同じ手法である。きわめて姑息で悪質なやり方であり、断じて許すわけにはいかない。

3.政府見解を書かせ、教科書を政府の広報誌に変え、事実上の「国定教科書化」をめざすものである
 検定基準改定案は、教科書に政府見解や最高裁判所の判例に基づいて書くよう求め、教科書を政府の広報誌に変えようとしている。これは、領土問題について「固有の領土論」や「尖閣諸島は領土問題ではない」などの政府見解を書かせることをねらうものである。さらに、例えば、日本軍「慰安婦」について、第1次安倍政権は「慰安婦の強制連行はなかった」と閣議決定したので、これを教科書に書け、さらに、1965年の日韓基本条約で解決済みというのが政府見解であるから、これを教科書に書けということである。TTPや消費税、社会保障や労働法制などでも政府見解を書かされることになる。歴史・社会科だけではなく、原発やジェンダー平等教育、家庭科や国語の教材などで、政府の見解と異なるものは排除されることになりかねない。政権が変わるたびに教科書の内容が変わることになり、政府の見解がすべて正しいとは限らないのに、特定の見解を教科書に書かせて子どもたちに押しつけるのはもはや教育ではない。これは「教化」であり、子どもたちをマインドコントロールするものである。これは、事実上の「国定教科書」を狙うものである。
 旭川学力テスト事件の最高裁大法廷判決(1976年5月)は、「政党政治の下で多数決原理によってされる国政上の意思決定は、さまざまな政治的要因によって左右されるものであるから」、教育は「本来人間の内面的価値に関する文化的営みとして、党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきでない」として、「子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制することは、憲法26条、13条の規定上からも許されない」と述べている。この検定基準案は、この最高裁判決にも違反するものであり、断じて許されないものである。

4.教育基本法の愛国心条項で教科書を統制することは許されない
 全ての教科書について、「教育基本法や学習指導要領の目標などに照らして重大な欠陥があれば検定不合格とする」という「審査要項」追加は、教科書発行者を威嚇する究極の検定強化の制度である。下村文科相は、「重大な欠陥があれば、個々の内容を審査しないで不合格にする」と説明している。安倍政権が強行成立させた特定秘密保護法は「何が秘密かは秘密」という悪法であるが、この要項もそれと同じ構造である。何が「重大な欠陥か、それは秘密」として理由を明示されないまま不合格にされる。文科相や文科省、政府・自民党が「自虐史観」「偏向」と見なせば、個々の内容の審査抜きで「重大な欠陥」として容易に不合格にできる「一発不合格制度」であり、教科書発行者に与える委縮効果は絶大であり、発行者はどこまでも「自己規制」して、政府の意図通りの教科書をつくることになる。
 検定申請時に、「教育基本法の趣旨を反映させた工夫点をより詳しく説明する」書類を教科書発行者に提出させる、というのは、教科書発行者に「愛国心教科書」「道徳教科書」作成を強制するためである。2009年3月に文科省が教科書発行者に出した「教科書の改善について(通知)」によって、教科書は教育基本法との「一致」が求められ、社会科だけでなく全ての教科書について、教育基本法第2条の「愛国心」「道徳心」「伝統文化」など5つの条項が教科書のどの記述、内容、教材と「一致」しているかを検定申請時に提出する編修趣意書に書くことが求められている。その結果、教科書の画一化が進み、教科書発行者は「愛国心教科書」「道徳心教科書」づくりを求められている。
 こうした事実があるにもかかわらず、あえてこのようなことを要求する意図は明白である。自民党と安倍政権は、日本の侵略・加害について、歴史の事実を書いた教科書を自虐史観、偏向だと攻撃し、そうした歴史の事実の記述をなくして教科書を「正常化」しなければ、愛国心が育たない、子どもが自国の歴史に誇りが持てない、などと主張している。教育基本法や学習指導要領を根拠に、不合格で脅して、教科書から歴史の事実を消し去ろうとするものであり、教育をゆがめるこのような動向は絶対に容認できないものである。

5.改定に向けた手続き上の問題点
 検定基準改定案は、パブリックコメントの募集を経て新検定基準として告示されるのは早くても1月下旬になる。まず対象となる中学校教科書は、2014年の検定申請(通常は4月、今年は5月)に向けて編集中であり、それも最終段階にある。この時期に検定基準を改定するというのは、試合が開始されてすでに終盤にさしかかったところでルールを変更することに等しい。新検定基準の告示後からでは間に合わないとして、すでに原稿の修正(自己規制)をはじめた発行者もあるという情報もある。教科書検定は、小学校、中学校、高等学校と年度を追って順次行われるので、通常、新検定制度の適用は小学校教科書検定前に、編集作業に十分間に合う時に行われてきた。今回、中学校教科書の検定からルールを変更するというのも異例のことである。このような拙速な改定を強行してまで教科書・教育への国家統制強化を急ぐことは許すことができない。

 以上のように、検定基準改定案は、近隣諸国条項を骨抜き・無効化し、教科書発行者を委縮させて自己規制を強制し、教科書の国家統制強化によって、政府の思い通りの教科書―事実上の「国定教科書」をめざすものである。それは、政権党と政府の見解と異なる見方・考え方を子どもの耳目から遮断し、国家の支配者の見解だけを子どもたちの頭脳に注入しようとするものであり、憲法が保障する思想・表現・学問の自由を侵害し、子どもの学習し成長発達する権利を侵害する重大な憲法違反である。これは、安倍政権が進める「教育再生」の名による教育破壊であり、憲法改悪と一体の「戦争する国」の人材づくりをめざすものであり、怒りをもって抗議すると共に、直ちに撤回することを要求するものである。






週刊墨教組 No.1731                    2014.1.1

「我慢」は背徳
          発言しよう!

 反戦 反核 反差別 護憲
 憲法に基づいた教育を!
 憲法改悪反対!
 フクシマを忘れない
  全原発即時廃炉!
 「土曜授業」反対!


すみだ春秋 41


辻征夫は捨身の人であった。
     小沢信男『捨身なひと』



   宿題

          辻征夫

すぐにしなければいけなかったのに
あそびほうけてときだけがこんなにたってしまった
いまならたやすくできてあしたのあさには
はいできましたとさしだすことができるのに
せんせいはせんねんとしおいてなくなってしまわれて
もうわたくしのしゅくだいをみてはくださらない
わかきひに ただいちど
あそんでいるわたくしのあたまにてをおいて
げんきがいいなとほほえんでくださったばっかりに
わたくしはいっしょうをゆめのようにすごしてしまった

 辻征夫は、向島という水土/人情、そして言問学校が手塩にかけてはぐくんだ路次の吟遊詩人、現代日本最高の不世出の抒情詩人であった。
 うそ寒いこの時代にあって、「血まみれの抒情詩人がここにいて/抒情詩人はみんな血まみれえと/ほがらかに歌っているのですよ」とうたい、絶滅に瀕した「抒情詩人」という役割を、本気で一身にになった詩人であった。
 二〇〇〇年一月一四日、脊髄小脳変性症に起因する病により急逝。享年六十。

      *

 小沢信男、一九二七年生まれの文学老年。「詩も書けば小説も書けば童話も書けば芝居も書けば、とにかくなんでも書いて、ゆくとして可ならざるなき大才人」。大御所でもちょっとも威張らない。「墨田区の生涯学習センターの一室を借りて例月の句会を催している」。
 一見、ヘロヘロヘナヘナの文体、だが、そこに貫かれる、たぎり、ほとばしる筋金入りのアナーキーな反骨。
 小沢信男『捨身なひと』(晶文社)が刊行された。
 帯の惹句は、「かくもチャーミングな男たちの心意気!花田清輝、中野重治、長谷川四郎、菅原克己、辻征夫―ひとつの時代を共に生きた作家・詩人たちの息づかいを今に伝える貴重な証言。」
 五人のうち、後輩は辻征夫だけ。
 詩人辻征夫をまるごと受けとめ、深くわかり、心をくだいて文章にしたのは、小沢信男をおいてほかにいない。その全容が読めるようになったのだ。何たる僥倖。
 小沢は、初対面の際の辻について、「昼寝から覚めてきたようなボッとしたやつだった」と書いているが、現代詩文庫『辻征夫詩集』を買い、「この昼寝男が、おそるべき純度の詩人であることを悟った」のだった。
 現代最高の詩の目効きと現代日本最高の詩人の出遇いの絶景というべきか。
 まず、「畏敬の先輩、敬愛の後輩」にみる人物描写の的確さに驚嘆。

 花田清輝は肩が盛りあがり、眼光炯々、突進するヴィクター・マチュアのようで、酒を好まず、おお怖わ。やむをえざるとき以外は、なるべく近づかないようにしていました。
 辻征夫は撫で肩で、目尻も下がり、寝ぼけたアル・パシーノのようで、呑んべえで、彼がいるだけでそこらが、なんとなく明るくなるのでした。

 凡百の辻征夫論が束になっても、つぎの文章には、とてもかなわない。

 辻征夫は捨身の人であった。
 彼が遺した十余冊の詩集を読んでいけば、おのずと感得されるでしょうが、一言よけいな説明をすれば、自身が詩人でしかありえない運命に捨身であった。人間がこの世に生きてあることのいわくいいがたい味わいを、言葉を織ってさながらにつかみ取る。いのちがけの繊細な作業かもしれなくて、紙と鉛筆のその冒険に、彼はいさぎよく勇敢でした。

 辻征夫まるごと、「捨身」「いのちがけ」でくくってしまう途轍もない力業は、だれにでもまねできる芸当ではありません。
 それは、いったい、どこから出来するのか。

  *

 小沢信男の来歴をさかのぼれば、二十代なかばで、すでにして、晩年の辻征夫の詩とみまがう、見事な詩を書いているではないか。



 旗について

 あの丘の上の療養所では、死者がでるたびに、屋上に白旗をたてた。それをば見るや麓の火葬場ではやおら準備をととのえてお迎えにのぼってくる仕組になっていたが、そのための通信用にすぎないその小旗は、とりもなおさず、先刻息をひきとった屍体の上にたてられていた。またそれは、いつの日にかぼくらの上に突っ立てられるやもしれぬ、おもえば物騒な代物であったのだが、それだけ、そんなこととはかかわりなげに、青空に小さくひらひらしているさまは、むしろ痛快といえるくらいな鮮やかさで、ぼくらの眼にしみいった。

 みごとな詩にたまたま出逢った時、ぼくは、あの白い小旗が、頭の中でひらひらするのを感じるのだ。それらの詩は、いずれも緊張した美しさでうたいあげられていた。魂を喰いやぶる憂悶や痛恨やとの、果たし合いの場にこそ、詩は火花をちらすものらしかった。そして、その骸の上にたてられ、韻律の風によみがえる白い小旗ではなかろうか……
 みんな挽歌であった。ぼくはそのたび、ぼくも奮いたって書きたい気持になるのだった。日頃ひたすらおのれの感情の看病人で暮らしていたぼくは溜息をついて思うのである。おまえはどうやらおのれの中の醜さに密着しすぎているようだ、らちもない昨日の感傷などはむしろ締め殺してやるがいいのだ。その上に小さな白旗を立ててさっさと忘却の火葬場に送りこむべきであった。そうしてやがてぼくが消えてなくなる時、一連の敗北の歌の織りなす白旗が、矮小なりしわが人生などをのりこえて、すずやかに飜ってくれるであろうか。



 この詩を収めた詩集『赤面申告』(一九七五年)の跋で、長谷川四郎は、つぎのように書いている。

 …小沢信男はこれらの詩をつくったにちがいありません。親しみのある言葉しか出てこなくて私はとても好きです。親しみのある言葉は、悲しみのある言葉です。私には、そうです。わが身、世にふるうちに、そうなってしまったのです。それだけに、たまゆらの喜びは生き生きとして。
 少し恥かしそうで、少し冗談くさく、といったような、そんなふりを小沢信男はしているように思いませんか。けれども、そこから眉をしかめた真顔がのぞいているのです。

 この言葉は、辻征夫の詩にそっくりあてはまる。
 親和し、交響する辻と小沢の詩。
 弱年にして、詩から離れた小沢は、「捨身」「いのちがけ」で詩に真向う辻征夫に、かつてのおのれの分身を見、見果てぬ夢を託したのかもしれません。
 小沢信男、まぎれもなく、捨て身の人である。

      *

 「わが生涯の決算の書でもあるような」『捨身のひと』は、九月に急逝した伝説の編集者、中川六平に献じられている。
 中川六兵は、東京堂神田神保町店での売り上げを気にかけていたという。
 十二月三週目現在、『捨身のひと』は、堂々二位にランクインしている。一位でないのが、含羞をたたえて、いかにも、おくゆかしい小沢信男にふさわしい。
 しめくくりは、長谷川四郎詩集『さまざまな歌』(一九六五年)巻頭の「花火の歌」。
 小沢信男よ、いつまでも若く、苛烈な花火を打ち上げつづけよ!


花火よ花火
遠い花火
消えようとして
消えるまえに
ますます光り
ますます現われ
ドドンと一発
音はまだ
きこえてこない
消えようとして
消えるまえに
ますます光り
ますます現われ
少しばかり
ぼくは生きた
 
(長谷川 政國)  






愛を強いる支配 ここは、DV国家なのか 
作家・高橋源一郎 朝日新聞 論壇時評 2013年12月19日

 …秘密の内容や罰則適用について拡大解釈が危惧されている「特定秘密保護法」が、強い反対の下、可決・成立した。この法律の問題点については、多くのメディアが詳細に論じている。たとえば、秘密情報の専門家として佐藤優は、特定秘密に該当する情報は国民のものではなく官僚のものになる、と警告し、外岡秀俊は秘密保全に関する法の歴史をたどり直す。
 この法案に反対する約2千人の学者たちの代表が記者会見を行った、その映像をユーチューブで見ることができる。中でも、わたしは、平田オリザのこんなことばに強い印象を受けた。
 「最近、わたしは大阪のある行政職員から封書をいただきました。なぜ封書かというと、大阪の職員は、メールは検閲される可能性があると、萎縮してしまっているのです。……このいやな感じは、東京にいるとわからないと思います。(特定秘密法の成立とは)それが国政で当たり前になるということです」
 維新の会の政治家がトップを務める大阪の状況は、この法案とは、厳密にいうなら関係がない。けれども、平田は関係がある、と示唆するのである。
 今年になって目立ったのは、様々な社会的「弱者」がバッシングを受けたこと、「従軍慰安婦は戦争につきもの」という政治家や、「子どもが生まれたら会社を辞めろ」という女性評論家が現れたこと、そして、新しい政権が、強硬な政策を次々と打ち出し、対話ではなく力でその政策の実現を図ろうとしていることだった。さらに不思議なのは、力を誇示する政治家たちが、同時に力とはおよそ正反対な「愛(国心)」ということばを叫ぶことだった。
 誤解を恐れずにいうなら、わたしには、この国の政治が、パートナーに暴力をふるう、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)の加害者に酷似しつつあるように思える。彼らは、パートナーを「力」で支配し、経済的な自立を邪魔し、それにもかかわらず自らを「愛する」よう命令するのである。
 平田が紹介した大阪職員は、「外部への発信」が「パートナー」に知られることを極度に恐れている。それは、DVでもっとも典型的な症候に他ならない。

 わたしは、いま毎日、「特定秘密法」全文と、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(通称「ツワネ原則」)の(膨大な)英和対訳全文を持ち歩き、しょっちゅう読んでいる。妙な言い方だが、とても面白い。
 前者で特徴的なのは、そこで使われている日本語が奇妙であることだ。いわゆる法律用語で書かれた文章のいくつかはまったく意味がわからない。
 詳しい人たちの話を聞くと、通常の日本語では考えられないような意味になったりするらしい〈6〉。日本語でないとしたら、それは何語なのだろう。ほとんどの日本人に意味がとれないことばで書かれた「重要」法案とは何なのだろう。
 一方、国家の安全保障と情報の権利に関して、長い討議の果てにできた「ツワネ原則」は、全ての人間に「公権力が保有する情報」にアクセスする権利があることを、民主主義社会の根幹であるとしていて、知る権利の価値を軽んじる「特定秘密法」の考え方と鋭く対立する。だが、「原則」で、わたしがもっとも感銘を受けたのは、「わかる」ことだ。およそ、ことばを理解することができる者なら誰でもわかるように「原則」は書かれている。「ツワネ原則」(の文章)は読むものすべての心を明るく、励ます。

 …DV被害者へのアドバイスの多くは、こんな一文で終わっている。わたしがいま書くべきことは、実はそれと同じなのかもしれない。
 ……自分を責めてはならない。明るく、前向きな気持ちでいることだけが、この状況から抜け出す力を与えてくれるのである。



女性教職員のための冬の講座
 2014年1月13日(月・祝日) 13時〜16時30分
  日本教育会館7回703号室 千代田区一ツ橋2−6−2
私たちをとりまく課題 職場交流
 〜秋闘の結果:高齢期雇用 人事給与制度問題など〜
  講師 東京教組執行部 
講演 3・11後を生きる
環境市民運動から「お任せ民主主義を問い直す
 講師 辻よし子さん「川原で遊ぼう会」代表     
 主催  東京教育文化研究所   TEL 03−5276−1306

国連・人権勧告の実現を!
1・25集会
 1月25日(土)
13:30〜14:45
 代々木公園野外ステージ 渋谷区代々木神園町2-1
アトラクション:
大熊ワタルとジンタらムータ
発言:田中宏さん
 (一橋大学名誉教授・
  のりこえネット共同代表)
人権問題にかかわる団体からのアピール


子どもと女性の人権を考える東京の会
 第48回学習交流会
 2014年2月1日(土)午後2時〜4時半
 日本教育会館 2階 東京教組会議室
講演:秘密法と集団的自衛権
 〜秘密保護法案・
  国家安全保障基本法案・
  自民党改憲草案は
つながっている〜
 講師:海渡 雄一さん
  (脱原発弁護団全国連絡会共同代表・
    日弁連秘密保全法制対策本部副本部長)




週刊墨教組 No.1730                     2013.12.19

栃木県の放射線量を考える あわの移動教室・ハイキング 日光体験学習
 確実な計測と冷静な判断が必要(2)

これまでの経過
 九月に墨田教組は横根山周辺の放射線量を測りました。墨田区の基準値より高いところもありました。学務課に連絡したところ、なるべく早く学務課としても調査しようと約されました。
 一一月一日、学務課は横根山周辺の線量を計測し、基準値以下であると組合に連絡してくれました。私たちもひとまず安心しました。これらの経緯と九月計測数値は一〇月三〇日「週刊墨教組」一七二七号でお知らせしました。
 多くの方から、線量を測ることが重要だ、もし線量が高いのならば別の場所を探すべきだ、あるいは線量を下げる努力をするべきだとの声が寄せられました。ありがとうございます。
 もう一つ多かった意見は、どうして二つの線量が違うのかというものでした。学務課長も一一月初旬時点で、どうしてこの線量の違いがあるのか不思議に思うと感想をもらしていました。もちろん私たちもそう思いました。

二台の線量計で二度目の計測
 墨田教組執行委員会は前委員長と元書記長(以下、「二人」)に再度の計測を依頼しました。また、九月の数値が組合の線量計の個性により高くなったかもしれない可能性もあるので、線量計をもう一台借り、二台で測ることにしました(クリアパルス社Mr.GammaA2700型 HORIBA社PAー1000 Radi)。
 以下、二人の測定結果と執行委員会で話し合ったことを報告いたします。

概要
 測定日は一一月二日、晴れ。足尾・奥日光の山々が間近に見える。若干冷たい北風の中、ハイランドロッジから林道を横根山登山口・象の鼻・見晴らし台・井戸湿原と回って計測した。
 象の鼻では〇.五という九月時点の数値は出ず〇.二四以下であった。しかし、その他の場所では〇・二四を超える数値が出た(裏面地図参照)。
 九月墨田教組計測(以下「@」)・一一月学務課計測(以下「A」)・一一月墨田教組計測(以下「B」)の数値を表にした。@とBはほとんど同一地点である。Aは学務課から計測場所・計測状況の写真を見せていただいたが、地点までは記憶・特定できないので、ほぼその近所とみてほしい。また@は一m、AとBは五〇pの高さで計測したものである(ただし、Bの場合、一mでも測った地点もあるが、ほとんど五〇pと同じであった。また、今回借りたRadiは組合のMr.Gammaより〇・〇三μSv/hほど高い数値が出るので、数値は主に組合のMr.Gammaのものを使った)。


表1 横根山周辺の放射線量 単位?Sv/h
場所・地点 9/19
@
11/1
A
11/24
B
登山口北側斜面 0.55 0.36
登山口南側斜面 0.34 0.20
横根山山頂 0.21 0.21
井戸湿原標柱 0.38 0.26
井戸湿原木道 0.18 0.23
見晴らし台手前 0.34 0.32
見晴らし台 0.37 0.25
熊笹の木道 0.29 0.18 0.28
象の鼻砂利 0.62 0.19 0.10
象の鼻展望台 0.30

それぞれの場所について
象の鼻
 大変に不思議な現象である。Aは柵の外側で測ったものというから、@Bと比較できないが、@とBはあまりに違いすぎる。砂利を取り換えた形跡はないし洗ったりしたとも思われない。まったくわからない。
 考えられることを列記すれば、九月に象の鼻の真下で除染作業をしていたこと。ブルドーザーが表土を剥いでいた。谷からの風が吹いていたから放射性物質の着いた土埃が舞い上がってきていたのかもしれない。あるいは九月から一一月までの間に降った激しい雨で砂利や砂利の下の土についていた放射性物質が流されたのではないか・・・。
 あくまで素人考えであるから、データをちゃんととって今後、専門家に考えてもらいたい。
 現時点では、「『象の鼻で集合する時、子どもたちを砂利に座らせてはならない』と断定的に言うことはできない」ということが言えよう。もちろん「座らせても大丈夫だ」とも言えない。要は「安全性も危険性も確かめられなかった」ということだ。
笹の木道
 「土壌汚染」(中西友子NHKブックス二〇一三)によれば、二〇一一年三月にあった植物の葉にはセシウムが当たった分だけ保持され、秋の落葉まで高い放射線を出していたという。そのセシウムは枯葉と共に地上に落ちそこで土に付着し定着する。植物は、根から土のセシウムを体内に吸い上げることはほとんどないという。だから二〇一二年以降新しく生えた葉にはセシウムはほとんど付いていないということだ。
 しかし、クマザサの場合、茂っている葉は、すべて毎年枯れて落ちるわけではない。今ある熊笹の葉には二〇一一年三月に茂っていた葉もあり、まだセシウムが付着していると考えられる。また、クマザサの葉は地上から五〇pぐらいの高さにある。それらの理由により、回りに熊笹の生えている木道や登山道の線量は高いのではないか。
 熊笹を刈れば簡単に線量を下げられるだろう。木道は地面より高くなっているからその分有利である。
登山道入口の北側斜面
 横根山に行くときは通らないが、方塞山からつなぐときには通らざるを得ない。その下も全員が通る。ここは確実に除染すべきだ。

継続した計測を
 区環境課が行った今秋の線量調査では、錦糸中学校砂場で〇・五μSv/hという驚くべき値が出ています(二〇一三年一〇月二四日測定)。放射性物質は動きます。隠れたり出てきたりします。あわのでも、こまめに計測を継続すること、計測結果から必要な対策をとることが、これからも必要だと考えます。これが、あわので学習する墨田の子どもたちと粟野に暮らす子どもたち・人々、前日光を訪れる人々を守る方途です。


錦糸中学校砂場の線量測定値推移(μSv/h)
平成23年 7月1日 0.10  8月29日 0.08
平成24年 1月18日 0.20  5月28日 0.09 
11月8日 0.50(砂の上下入替えで0.15に)
平成25年 10月24日 0.50(砂の上下入替えで0.11に)



日本の奨学金はこれでいいのか!
奨学金という名の貧困ビジネス

奨学金問題対策全国会議編
伊東達也・岩重佳治・大内裕和・藤島和也・三宅勝久著
あけび書房2013年10月 1600円
 有利子「奨学金」が「貧困ビジネス」である論理と「まさに『債鬼』というべき容赦ない取り立て」の実態を説く好著。




主催:首都圏反原発連合 協力:さようなら原発1000万人アクション / 原発をなくす全国連絡会 /脱原発世界会議 / 経産省前テントひろば / 再稼働反対阻止全国ネットワーク
12:30開場 
13:00〜14:00 集会(日比谷公園野外音楽堂)
15:00 国会包囲
15:30〜 17:00 大抗議






週刊墨教組 No.1729         2013.12.1

 許しがたい九年連続賃金削減
   「アベノミトクス」の実態がこれだ
二〇一三年 賃金確定闘争
  厳しい闘いの中、都側の提案を押し戻す!
☆再任用は、年金支給開始年齢に達する年度までの間は、
     希望者全員の雇用を確認
☆短時間勤務は、職員の個別事情を踏まえて、
     必要と認められる場合には、短時間勤務の職に任用

具体的な場面で押し戻すための闘いが必要!!


 今秋闘は、都側が「高齢期雇用制度」などの課題について、都側の提案に固執したため、厳しいものでした。解決は十五日にずれ込みましたが、早朝行動は中止。その後、徐々に都側からの具体案が出されています。再任用短期を希望される場合には「必要と認め」させる必要があります。私たちの側の力を強くし、これ以上の不利益をこうむらないようにしていかなければなりません。
対都賃金闘争 到達点と課題
賃金、一時金
○ 例月給827円削減 2013年12月1日から実施
 所要の調整」は、再任用職員も含め、12月の期末手当で実施
 ※「所要の調整」…4〜11月分を公民較差827円/を月×月数を一律でとる。
〇年末一時金は、条例通り、12月10日に支給
 正規職員  期末手当1.375月+勤勉手当0.675月=2.05月
 再任用職員 期末手当0.8月+勤勉手当0.325月=1.125月
  *勤勉手当の「成績率」については、夏季一時金と同様。

高齢期雇用制度について
○採用方法について
・従前の勤務実績に基づく選考により能力実証を経たうえで再任用
 当該更新直前の任期における勤務実績が良好である場合に任期を更新。ただし、公的年金の支給開始年齢に達する年度までの間は、地方公務員法第28条の規定に基づく分限免職事由に該当する場合を除き、採用または任期を更新
○任用方法
・フルタイム職への任用 ただし、職員の個別事情を踏まえて必要があると認められる場合には、短時間勤務の職に任用。「再任用採用選考募集」については、制度が確定したことから、意向調査を行う。
○再任用職員への成績率の適用…次年度の6月期支給の勤勉手当から導入。
 手当における加算額(全体の原資は、下位からの6%を含む)
 @行政系係長級以上の職員→0.03月 A教育職員のうち主幹教諭→0.02月 B一般教職員→0.01月
 一般職員と合わせて労使で運用実態の検証(2015年度)
○再任用職員の諸手当、2014年度から新たに追加
@特地勤務手当及び特地勤務手当に準ずる手当ならびにへき地手当及びへき地手当に準ずる手当を支給。
A島しょ赴任職員に係る帰住旅費の支給対象事由に、再任用任期満了に伴う退職を新たに追加(14年度末の退職者から)
 今年度から業績評価について相対評価を実施する。

パワーハラスメント対策その他
@パワーハラスメント対応について、労使で意見交換を実施
Aボランティア休暇 対象となる地域に、都内島しょを追加
B育休代替制度 学校栄養職員が育児休業を請求した場合、職員の配置換えその他の方法によって育児休業者の業務を処理することが困難であると認められるときは、臨時的任用を実施
C非常勤・臨時職員の制度改善
 ・専務的非常勤職員に対し育児休業制度が導入
 ・臨時職員の処遇改善として、現在賃金に含めて支給されている、 通勤費相当分について、1日当たり440円を上限として、賃金とは別に交通費として支給される。また、通勤費を除いた賃金単位が、通勤費込みの賃金単位まで引き上げられる。
D結核休養制度の廃止(平成25年12月31日をもって廃止)
  経過措置実施:平成25年12月31日において結核休養の承認を受けて療養していた者が、平成26年1月1日以降も、引き続き結核性疾患のための療養する必要があると認められる場合は、勤続年数に応じた普通休養期間を上限として承認


下がり続ける賃金
 例月給は公民較差があるとして八二七円減額されます。毎年毎年の減額は許しがたいものです。しかも、退職金削減・勤勉手当への成績率導入と、私たちの給料は確実に減らされています。労働者を貧困化させて経済的社会的に「弱者」にし、隷属を強めて言いなりにさせようとする意図が明らかです。「安倍氏のおこぼれ」を待つようなさもしい真似はしてはなりません。
 なお、従前より国から迫られている「七・八%給与削減問題」については、都は「やらない」という態度を崩していません。

無年金期間は原則全員採用
 都側は、採用方法について、新規・更新ともに「従前の勤務実績等に基づく選考」と主張してきました。これは、今年から、定年退職者でも何年間か年金がまったく出ない(今年度退職者は一年間)という新たな事態をまったく無視するものです。しかも「従前のもの」は「勤務実績等に基づく」と言いながら、かなり恣意的なものでした。それを適用されたら、まったくの収入のない人々が恣意的に生み出されてしまうことになります。
 そもそも、年金の先送り(「逃げ水」のごとき年金!)に対しては、「定年延長」という形で対応すべきものとされていました。当然です。
 私たちは、再任用の義務化に値する希望者全員の雇用の保障を要求して激しく闘いを進めてきました。その結果、「公的年金の支給開始年齢に達する年度までの間は、…採用または任期を更新」となりました。実質、希望者全員が採用されることになりました。
 但し書きで、「地方公務員法第28条の規定に基づく分限免職事由に該当する場合を除き」とあります。実際に分限免職はほとんど行われていないようですが、地公法には「勤務実績が良くない場合」を事由の一つにのせています。今後、拡大解釈をさせないようにしなければなりません。
 また、再任用職員にまで成績率を適用しようというのは、高齢者に対する礼儀知らずの吝嗇としか言いようがありません。

再任用短期を残させた
 都側は、再任用はフルタイムだけとしていました。六〇歳を超えて、しかも大幅に給料を減らされて、若者とも同じ仕事をするフルタイム勤務は正直きついものがあります。少なくとも「誰もができるもの」とは言えません。だからこそ六〇歳定年で年金が出たのです。それをなくしたのですから、短時間勤務を含め多様な選択を可能とする制度にするのは当然のことです。都はしぶしぶ「ただし」をつけて、短時間勤務を認めました。「必要があると認めさせる」ように働きかけを強めていきます。権利というのは、闘いとらなくてはなりません。

再任用採用選考の「意向確認」
 都教委は十一月二七日付で、「平成25年度再任用職員(教育職員)採用選考の一部変更に伴う意向確認の実施について」(通知)を、各地教委に送付しました。
 それによると、再任用選考申し込みに関する意向確認を、申し込みをしなかった人を含め選考対象者全員に対し「意向確認書」によって行うとしています。また、この意向確認によって、@勤務形態を変更する、A上位職層へ申し込みを変更する、B新たに再任用に申し込む場合は、「再任用申込書(新)」を提出することとされています。さらに、意向確認書の提出にあたっては、所属長等が「本人の意向を十分にご確認いただきますようお願いします」と記されています。
 また、各地教委による「面接」については、@再任用未申込者(非常勤のみ申し込み者を含む)が新たに再任用を申し込む場合、A再任用申込者が上位職層へ申し込みを変更する場合、に限って「面接を行う」とされており、勤務形態の変更などについては、面接の必要がないとされています。
 地教委から都教委への書類提出の締め切りは十二月十二日(木)ですから、学校から地教委への締め切りは、これより早くなります。対象となる方がいる場合、新たな仕組みで急なことですから、管理職が間違えないよう注意が必要です。



熱と光”すみだフェスタ2013
「SAYAMA 見えない手錠をはずすまで」
上映会
12月5日(木)PM6:30より
 墨田区社会福祉会館3Fホール

 みんなで心待ちにしていた映画がついに完成した。部落解放墨田区民共闘会議は、12月5日18時30分“熱と光”すみだフェスタ2013の企画として『ドキュメンタリー映画SAYAMA見えない手錠をはずすまで』の上映会を墨田区社会福祉会館3階ホールで開催する。当日、石川一雄さん、石川早智子さんのアピールも予定している。墨田では今年6月に狭山事件の再審を求める墨田集会で金聖雄(キムソンウン)監督の講演会を行い、予告編DVDも上映してきた。
 金聖雄監督はこの映画は「50年 殺人犯というレッテルを背負いながら泣き、笑い、怒り、日々を凛と生き抜く夫婦の物語!」だと言う。そして「今も“殺人犯”という罪は晴れていないのが現実です。『冤罪』など決してあってはならない、しかしそんな中にあっても一歩ずつ自分の人生を生き抜いてきたのです。そのあきらめない姿は、凛として美しく、時として人々に感動を与える」と語る。
 狭山事件の再審は今、最大の山場を迎えている。この映画はまだ狭山事件を知らない人々にもぜひ見てほしい映画である。ひとりでも多くの人々に映画を見ていただき上映会を成功させたい。



「秘密保護法」廃案へ! 12・6大集会
──キケンすぎる! 自由のない国にするな!──
12月6日(金)

 午後6時?6時30分 プレトーク
 午後6時30分?7時15分

  (終了後、国会請願デモ&銀座デモ)
日比谷野外音楽堂
主催/「秘密保護法」廃案へ! 実行委員会
 「特定秘密保護法案」の廃案まで、あと一歩です。
 10月25日に国会に提出された法案は、そのあまりにも危険な本質が知られるに連れ、各方面から反対の声がどんどん上がり続けています。
 今、全国の大半の新聞が社説で廃案を求めており、法曹界、言論人に加え宗教界、演劇人など、続々と反対声明が発せられています。安全保障と情報の権利に関する国際基準から大きく逸脱しているとして、海外からも非難ごうごうです。ニューヨークタイムズなどのメディア、日本外国特派員協会、国連専門家、人権NGOが日本政府を厳しく批判しています。
 この法律ができたら、ジャーナリスト、市民運動はもとより、国会議員も処罰の対象となり、裁判も秘密のまま行われます。官僚は情報をいくらでも闇に葬ることができます。情報にかかわる人は周辺も含めて監視され続けます。この国は、国会も司法も手が出せない、官僚独裁の監視国家になってしまうのです。
 政府・与党は密室協議を重ねて、みんなの党、日本維新の会と修正合意しましたが、内容はよりひどくなり、国会での大臣答弁は二転三転するばかり。それでも政府・与党は強行採決を狙っています。
 圧倒的多数の市民の声を「廃案!」の一点に結集させ、稀代の悪法「秘密保護法案をつぶすために、再び政府と国会に私たちの声をぶつけましょう!
日本出版者協議会ホームページよりhttp://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/126-d99a.html



国連・人権勧告の実現を!12.14集会
12月14日(土)

18時45分〜(開場18時15分)

明治大学リバティタワー 6階1063号室
  JR線・東京メトロ丸の内線御茶ノ水駅徒歩3分
基調報告 「国連人権勧告と日本」 
荒巻重人さん(山梨学院大学教授)
報告 ・日本軍「慰安婦」問題
    ・朝鮮学校無償化排除問題
    ・福島被災者についてのグローバー勧告
    ・沖縄、アイヌ問題
    ・国際社会から見た日本の人権状況
資料代 500円
主催 「国連人権勧告の実現を!」実行委員会
共催 社会思想史研究会



年内トドメの大抗議!!!
1222 再稼働反対★国会大包囲
日時:2013年12月22日(日)

主催:首都圏反原発連合
協力:さようなら原発1000万人アクション / 原発をなくす全国連絡会 /
脱原発世界会議 / 経産省前テントひろば / 再稼働反対阻止全国ネットワーク

内容:
○12:30 開場
○13:00〜 14:00 集会(日比谷公園野外音楽堂)
○15:00 国会包囲
○15:30〜 17:00 大抗議

※上記タイムスケジュールは予定です。
※詳細は決まり次第webにアップします。
http://coalitionagainstnukes.jp/?p=3811




週刊墨教組 No.1728 2013.11.7

「福島を忘れない」
 墨田教組 秋の教研集会
ドキュメンタリー映画監督
  湯本雅典さんの講演
墨田は 忘れない!


 
一〇月二三日(水)、すみだ女性センターで墨田教組秋の教育研究集会が開かれました。ドキュメンタリー映画監督湯本雅典さんに、「福島を忘れない」と題して講演していただきました。
 湯本雅典さんは、東京都の公立学校教員を二六年行い自主退職。映像の自主制作と「じゃがいもじゅく」という学習塾を行い、学校がかかえるいろいろな問題を、学校の外から捉え、社会に返していきたいと活動されています。今は主に、震災後の福島・福島の学校現場を取材し、四本のDVD作品を世に問うています。※1

 この日は、これまでの取材からわかった学校現場の現状や教育現場での取り組みについてお話しいただきました。

子どもたちは戻ってこない
 はじめに、原発から二〇キロ圏内の双葉地区の小中学校の授業再開の状況について資料を提示されました。その内容は衝撃的なものでした。
 まず、震災後の児童生徒数の変化です。震災前六三九七人いた双葉地区の児童生徒は、原発事故後、学校が休校となってしまったため、全国各地へ避難することとなります。震災後の二〇一二年には七八五人の子どもたちが再開した学校に戻ってきましたが、二〇一三年には七三五人となっています。震災前の約一一%の子ども達しか戻ってきていません。そして年を経て増えることはないのです。
 また、原発から六〇キロ以上の距離にある郡山市内の小学校でも、三分の一の子どもが避難していった学校もあるということが報告されました。

激烈な勤務
 そして、休校により子ども達が全国各地にばらばらになる一方で、その学校に所属していた教員が強制的に「兼務配置」させられたことも紹介されました。
 教職員は、震災後の一週間は自宅待機でしたが、その後すぐ呼び出されることとなります。中には、避難先から長距離通勤を強いられた教員も少なくありません。そして、家族は、それぞれの職場・学校のためにばらばらとなりました。そんな状況が「兼務配置」を命じられた教職員の体力的・精神的負担となります。さらに、「兼務」として配置された学校では、在籍校にいつ呼び戻されるかわからないという理由から、「学級担任」がもてないでいます。そのために、やりがいを感じられず、自分の存在意義を見失いかける教職員もいるといいます。

教職員組合のはたらき
 福島県教組は、労働組合の原則として、そのような過酷で厳しい労働条件の改善の取り組みに力を入れています。その様子も湯本さんは細やかに取材されています。「兼務」教員の長距離通勤が改善されたり、希望地への異動が考慮されたりした実績もあるといいます。

福島を忘れない=福島を知り続ける
 今回の講演で強く感じたのは、現場の教職員が、自分自身も被災しながらも、個々の子ども達の課題を見極めた関わりに徹しているということです。あらゆる手段を使ってそのことを追求しています。だからこそ、「兼務」「長距離通勤」など、労働条件の「劣悪さ」には怒りを覚えます。
 二つ目は、湯本さんの、「とにかく、福島を忘れない! 忘れさせない!」という思いの強さです。
 湯本さんが福島へ足を運び、避難した人・留まった人・教員・組合…たくさんの福島県民と対話し、取材し、明らかとなった現場の事実の重みです。福島出身の者でなければ伝えられないことや、伝わらないこともあるかもしれませんが、福島出身ではない者が訴えることで伝わることもあると思います。
 福島以外の人が、福島県の外で福島を思い、福島のために行動すること=墨田の私たちが墨田の地で福島を思い、墨田と福島のために行動すること。この地道な活動が、大きなうねりを作り、全国へ広がっていき、本当の意味で「福島をわすれない」反原発の流れを日本中・世界中に生み出していくと思いました。

湯本雅典さん 福島関連四作品
http://7colors.org/yumoto




週刊墨教組 No.1727                 2013.10.30

栃木県の放射線量を考えよう
 あわの移動教室・ハイキング 日光体験学習
    確実な計測と冷静な判断が必要


 墨田区教育委員会学務課は、九月二日に今年二度目の計測をあわの自然学園で行っています。今、区ホームページに掲載されている横根山周辺の放射線量値は四月二六日のものです。※1
 九月一九日木曜日、我が組合の前委員長は、足尾より粕尾峠を経て前日光牧場周辺に登り、多くの学校がハイキングに行く横根山ー井戸湿原ー見晴らし台ー象の鼻コースの放射線量を計測してきました。その値は、四月のものと大きく異なっていました。
 五か月の間にこのハイキングコース周辺に集まったのか、あるいは機器の性能・計り方の違いによるものか、定かではありませんが、組合は翌週早々、学務課長にこの事実を伝えました。学務課長からは、もし事実であるとすればコース変更なども考えなくてはならない、早急に現地職員に計測を依頼する旨、返事をいただきました。
 その後、現地での調査によると後述するような値は出ていないというお話をうかがい、一安心しましたので、私たちの調べた数値を参考値として公表することにいたします。その上でどうしてこういう数値が出たのか、もう一度慎重に計測するなど、私たちの組合でも責任をもって粟野の放射線量を調べようと考えています。


栃木県の放射線量
 二〇一一年三月、福島第一原子力発電所事故により、数度にわたって、東京にも放射性物質の雲(プルーム)がやってきたことは、みなさんすでによく知っていることです。三月二一日、強い北風に押され、一度は海に出てから鹿島灘で陸地に上がり西南に流れました。これが千葉・東京東部を汚染したプルームです。もう一つは、三月一五日です。東南風に乗って、原発周辺の人々が避難中だった飯館村を通り、福島盆地に出ます。風が北東風に変わりますが、西側の吾妻・那須・男鹿・奥日光の山並みを越えられず、その山々を擦るように阿武隈川=中通りを南下します。関東平野に出る最後の「壁」が前日光の山々でした。
 栃木県では、例えば日光市の五四の学校・保育園が除染実施の対象になり五三校が、農地・牧草地では、除染予定数二八一〇〇〇〇u中八一〇〇〇〇u(三二%)が除染実施されています(二〇一三年六月末時点)。http://josen.env.go.jp/zone/details/tochigi_nikko.html
 あわの自然学園がある鹿沼市では、二つの学校・保育園が除染実施の対象になり昨年度前にすべてが除染されています(学園にいちばん近い上粕尾小学校もその一つでした)。農地・牧草地では、除染予定数三七一〇〇〇uのすべてが発注されています。二〇一三年六月末時点の実績数は〇ですから、まさに夏が除染の最中だったのでしょう。

学務課の努力
 区教委学務課は、昨年度四月より、これまでになく高い関心を持ち、年に一度、あるいは半年に一度程度、あわの自然学園・日光野外体験活動の宿舎・ハイキングコースで放射線量を測り、学務課ホームページ上に公表しています。最新のものは、「検査日平成25年9月11日 賄いの検査結果(あわの自然学園)」「検査日平成25年9月27日 キャンプファイヤー用薪の焼却灰の検査結果」です。
 その結果については、これまでも「週刊墨教組」上に紹介し、必要なものは批判も加えてきました。※2
 しかし、学務課のこの間のとりくみ・発表された線量値を見る限り、今年を含む二年間の安全は確保されていると考えられました。

私たちの得た数値(地図参照)
 それは驚くべきものでした。最も高い値が〇・六二μSv/h(象の鼻展望台前の砂利道の真ん中)。しかも区の計測と違って、高さ一mでです。※3 林道では〇・一三μSv/hという値も出ています(足尾では〇・〇七μSv/hほど)ので、計器が大幅にくるっているとも思えません(放射性物質は移動しますし計測には誤差がつきものです。私たちは「悪意ある計測」以外のすべての数値を「認める」ものです)。

パッチワークの丘?
 左の写真を見てください。今年、横根山周辺ハイキングに行った皆さんは、目にしているでしょうが、これは北海道ではありません。九月の前日光牧場です。色が変わっているところは、空間線量を下げるために土をはがし「天地返し」工事をしているところです(写真は、実際よりも違いを強調してあります)。
 傷だらけの前日光牧場の写真を見ると心が痛みます。原発事故・原発に対して憤りを覚えます。除染して空間線量を下げ、再び以前のような広さで放牧したいということは、原発事故以前の生活を取り戻すことです。私たちは墨田の子どもたち(人々)も栃木・福島の子どもたち(人々)も等しく、放射線の危険を受けない、事故以前の生活を取り戻すことを強く願っています。


線量計で皆が計測すること
 私たち組合はかねてより区に対して、区の予算で各校に線量計を配置し定期的に学校内外の線量を計測するように、またそのスキルを教職員が身につけるようにと提言してきました。
 どの学校も年に一回はあわの自然学園に行きます。そこで片手間にでも測っていれば、より正しい数値がはっきり出てきたはずです。現に、複数の教職員から、実は粟野の線量は区の公表値より高いのではないかとの声=「風評」を聞いているのです。また、除染しているところだけが線量高くて今歩いているところは大丈夫かという声もあります。

事実を共有して冷静な判断を
 今私たちが訴えたいことは、線量は高いのかどうか、それを正確に計測することです。そして学校教職員・児童生徒・保護者・区民に公表して情報を共有化することです。そのうえで、私たちはどうしたらいいかを彼らとともに考え判断することが必要です。
 原発事故は終わってもいないし解決してもいません。安倍首相が言うように、コントロールなどされていないし放射性物質の「自由」な動きは制限もされていません。


※2 例えば、2013.6.30週刊墨教組1715号「墨田区教委に緊急提言 私たちの課題は何か(2)」。竹の線量は食品基準値内とはいえ、わざわざ、口に入れる物を作る意味があるのか、別のことはできないのかという疑義を呈してきました。
2013.1.8週刊墨教組1696号「「原発安全」政権ができても放射線量は減らない 福島からは今でも十六万人以上が追われている 今年こそ脱原発・反核を実現しよう がっかりしている時ではない 情報を集めること・危険を避けること 私たちは「ダダ漏れ」に慣れてはならない」では栃木全体の線量を紹介しました。
2012.3.20週刊墨教組1666号では「放射線量が高いことから、栃木県以外の行先を確保すること」を訴えました。
2011.7.20週刊墨教組1636 号では「規準底抜け?! 0.29μSv/時なのに「直ちに健康に影響のあるレベルではありません」」では墨田区の除染基準0.24Sv/hを超えるのに安全であるとはダブルスタンダードではないかと難じました。

※3 空間線量は距離の二乗に反比例しますが、隅田公園のように均質にばらまかれているところでは、高さが増えればカウントする面積も増えるため、1m高でも50p高でも線量はほとんど変わりません。しかし、ミニホットスポットのように放射性物質が偏在しているところでは、一般に1m高よりも50p高-5p高での方が高い値になります。しかし、ポイントを外すと逆転してしまいます。その点から、鹿沼市の基準が1p高で1μSv/hであるのは、限りなく多くの場所を計測しない限り放射性物質を見逃しやすいと言わざるを得ません。国基準(墨田区の計測方法も同じ)での計測も同時に行ってほしいと思います。




週刊墨教組 No.1726                  2013.10.20
二〇一二 秋季賃金確定闘争勝利!
東京都人事委員会勧告は 不当!!
  例月給八二七円の引き下げ
再任用制度棚上げ
九年連続引き下げを許すな!


 東京都人事委員会は一〇月一七日、東京都職員の給与を、公民較差マイナス八二七円、〇・〇二%引き下げることを、都知事と都議会に勧告しました。勧告によれば、東京都職員の給与は四〇万七五九九円(平均年齢四一・五歳)で、民間給与を八二七円(〇・〇二%)上回っており、これを解消するとしています。例月給の引き下げは、九年連続となります。また、一時金については、三・九五月で民間の水準(三・九七月)とほぼ均衡している(おい!少ないだろ!!)ため、改定なしとしました。

任用・給与制度見直しを引き続き継続
 勧告には、「任用・給与制度の見直し」として、次の四点が盛り込まれました。
〇再任用職員への成績率の適用が必要
〇分限処分における降給の導入が適当
〇この間の改革の検証を踏まえ、人事制度の抜本的改革の発展・進化が重要
〇技術系職種に対する採用試験の新たな取組に向けた検討を速やかに実施
 勧告は、都の給与制度が「相当程度適正化した」と、これまでのとりくみを評価し、さらに「都政が転換期を迎えていること」や「採用をめぐる諸条件の変化、都政課題の高度化・複雑化、雇用と年金の接続など様々な環境の変化」を理由に「この間取り組んできた改革をさらに発展・進化させる必要がある」としています。
 しかしこれは、我々労働者の要求を無視し都側の構想に追随した、極めて政治的な勧告と言わざるを得ません。人事委員会は、公平な「第三者機関」としての責務を放棄しています。

闘わずして待遇改善なし
 組合は十一月初旬を山場に、「労使交渉による決定」を基本に、都で働く多くの仲間と共に秋闘勝利に向けて闘う体制を確立し、都当局と交渉を強化していきます。
 例月給切り下げ反対、人事考課制度の抜本的改善、高齢者雇用制度改善等の要求実現に向けて、共に闘いましょう。闘わなければ、さらなる改悪が強行されることになります。
 組合員のみなさん、今行われている批准を圧倒的に成功させ、闘う体制を確立しましょう。
 組合員でない方は、労働基本権回復を目前とした今、労働者の権利と社会的責任を果たすために、組合に加入してください。
 若い方、この仕事を続けていくのならば、一〇年先・二〇年先を想像し、自らの生と生活を切り拓くために、共に闘いましょう。

10・13 さようなら原発1000万人アクション
No Nukes Day 原発ゼロ☆統一行動
-福島を忘れるな・再稼働を許すな-

 一時からの日比谷公会堂での講演集会から、経産省前を含む周辺のデモンストレーション、そして夜の首相官邸前・国会正門前抗議集会に四万人が参加しました。私たち墨田教組も小さな旗を掲げて行動しました。
 デモの出発は、かなり前の方だったにも関わらず二時間近く待たされ、終了点に戻ってもまだ出発できない人々がたくさんいました。
 安倍首相が如何に「統制下にある」と力み返ってみせても、雨が降れば汚染水はあふれるのです。再稼働をもくろんでも福島第一原発の核燃料はどこにあるかわからないのです。十五万人の人が故郷に帰ることができないのです。なかったことにすることはできません。あることに目をふさぐことはできません。



http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3333.html
2013-10-15(11:52) みんな楽しくHappyがいい♪より
肥田舜太郎さんの講演(抄)
 今の医学はまだ、放射線の被害を正しく診療する能力もありません。治療法は全くわかりません。そのまんま68年間経過をしてきたわけです。
 日本の医師が沢山生き残った被爆者を、一生懸命診察をし、治療をし、苦労をして研究をするならば、68年経った今日、今福島で起こっている放射線被害は、今よりももっともっと正しく診断ができ、どうしたらいいかという方向もおそらく分かっているに違いありません。
 アメリカは新しい爆弾のモルモットとして日本人を使ったばかりでなく、診療のための研究を妨害してきました。被害を受けて68年間、まだ今日でもそのために死んでいく被爆者がまだ今もいます。そういう状態を作ったことに何の責任も取らず、「あの爆弾を落としたことは正しかった」というふうに開き直っています。

 日本はあの原爆を受けて68年経ちました。そして、原子炉をつくった企業は、戦争が終わっても核兵器で、核の原子炉で金儲けができるように電気を起こして、その機械を日本に売り付け、日本にはなんにも知らない日本人が54基の原発をつくりました。もしもうひとつ事故を起こしたら、日本はおそらく滅びるでしょう。
 福島の放射線は、今もまだおんなじように出続けているんです。止める方法が無い。一日も早く止めて欲しい。北海道の端まで、九州の端まで放射線は流れていきます。それで日本中に被ばく者が毎日毎日作られているんです。そしてその中からもうすでに病人が出始めています。これを日本の医者は、誰も今、診て、診療をすることも、治療をすることも、どうしたらいいかを教えることもできません。誰にも知識が無い。
 そういう状態に、なんで私たちは戦争が終わって68年も経って、なんでそんな情けない状態に我慢しなければいけないのか。このことを日本人はもっともっと真剣に考えなくてはいけないと思います。
原発をつくったのはみなさんです。「俺は知らないよ」という事は言えない。あなたの子どもさん、お孫さん、ひ孫さんに、今出ている始末を預けてみなさんは死んでいく。こんなことは許されていいわけはない。
 みなさんは死ぬまでに福島の火を止め、日本中の原発の火を止めて、皆さんの少なくても ひ孫、玄孫の方がその後始末をしなくてもいいようにして死んでいかなければいけません。
 皆さんの中に、もう、後30年位しか生きていないという方もおられるでしょう。まだ50年はたっぷり生きているという方もおられる。何年生きていようと、生きている間に今の原発の火を全部止めて死ぬ。これが今生きている日本人のみなさんの責任である。

 同時に、日本の国に持ち込まれているアメリカの核兵器を1発残らず持って帰ってもらう。そして、68年も経った今の日本にアメリカの軍事基地が無くてはならない理由はなんにもありません。

 私たちは、私たちの大事な命を大切に生きていきたい。子どもも孫も曾孫も玄孫も、全ての人間がしゃべることを怖がらずに生きていく日本を作りたい。
 どうか今日を境に、遠くの方で起こっている不幸な出来事と思わないで、ここに来ているみなさんはほとんど、私からみればもう被ばく者になっている。そうでしょ。
 3年になる間、毎日毎日降ってくる放射線の、空気も吸ってない、水も飲んでない、食べ物も食べてないという人はこの中に1人もいない。みなさんは知らずに、放射線のもう、粒を(身体の)中に持ち込んでいる。ゆっくりと、時間をかけて、この放射線はみなさんの身体を壊します。「いやだ」と言ってもなんと言ってもこれはしょうがない。だから、白血病が起きる、癌が起きる、
最近のチェルノブイリの発表では、あらゆる病気が普通の人よりもたくさん起きる。そういうふうに発表されています。恐ろしいことにこの4月。ロシアが初めてウクライナの名前ではなくてロシア政府の名前でチェルノブイリの被害の28年目を報告しました。
 驚きました。その中に書いてある汚染した地域に住んでいた、住んでいる、ロシアの国民はどこの村であろうと、どこの町であろうと、その人口の7割が病人であり、健康な人は3割しかいない。そういう発表をされています。税金を担う人がもういなくなっている。被ばく者はそういう運命をたどるんです。どうかみなさん、もっともっと神経を太くしてチェルノブイリの事実を勉強して下さい。

 そして今福島に残っている、いまさっきお話を受けた、大変沢山の方が今苦しんでいます。その実情を自分の身や自分の心に当てはめて、日本国全部がよってたかって、放射線の影響が全くない状態に一日も早くする事が、今生きている人間の責任なんだと、そう思って、お帰りになったら、今晩から、明日から、原発を無くす運動のために行動をする。考えたりしゃべったりするだけじゃなくて、なんらか有益な行動をする。身体を動かす。この事を今日、お約束をして帰っていただきたいと思います。


もう黙ってはいられない ★10・26集会 ★
 安倍「教育再生」と改憲に抗して
 10月26日(土) 13時開会〜17時
 亀戸文化センター カメリア9階(JR総武線亀戸駅北口)
 ★ 講演 大内裕和さん(中京大学教授)

  ★ 報告都教委の教育改悪を現場から撃つ
  ・「日の丸・君が代」強制 ・教科書問題 ・生活指導統一基準と学力スタンダード
   ・自衛隊駐屯地での宿泊防災訓練  ★ 行動提起
  主催:2013年9月都教委包囲・首都圏ネットワークhttp://houinet.blogspot.jp/


2012年12月の第2次安倍右翼政権の発足以来、とんでもないことが、この国の内外で起こりつつあります。
 福島原発事故の収束はそっちのけで、原発再稼働に血道をあげ、こともあろうに原発の“輸出”に邁進しています。
「成長戦略」と称して、労働基準法をはじめとするあらゆる労働者保護規制を無効にし、資本家がいちばん金儲けのしやすい国にしようとしています。ブラック企業を放置どころか、国が率先してすべての労働をブラック化しようとしています。
 しかし、安倍政権の最大のねらいは、「経済」の陰に隠れて着々と進めている“戦争の出来る”国づくりです。
 “国家機密法”と“集団的自衛権の解禁”は、そのための地ならしであり、実質的な憲法改悪です。憲法の明文規定の改悪は、もうすぐそこまで来ています。
 そして、“戦争のできる国”づくりの中軸となるのが、教育制度と教育の内容の改悪です。安倍内閣のもとで着手されている「教育再生」は、権力者の思うがままの“戦争のできる国民”づくりを目指しています。教育基本法改悪の真のねらいがいよいよ明らかになってきました。

 “戦争のできる国民”づくり−「教育再生」は、東京に加え、大阪などでも先行実施されています。
 「日の丸・君が代」の強制がその始まりでした。東京ではこの夏ついに、都立高校の“宿泊防災訓練”として自衛隊駐屯地での事実上の軍事教練が一部で行われました。
 「生活指導統一基準」や「学力スタンダード」、それに国に先行して実施するとしている高校での“道徳教育”、これらはすべて、企業と国家に奉仕する“戦争のできる国民”を“規格品”として作り出そうとするものです。
 権力が学校の中に土足で平然と入り込むようになってきました。
 事態の進行を、このまま見過ごしていて良いのでしようか。もう黙ってはいられまぜん。疑問の声を出し合って、何をすべきか、皆で考え、行動しましよう。

パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2 今、東京の教育と民主主義が危ない!!http://wind.ap.teacup.com/people/7954.htmlより



週刊墨教組 No.1725 2013.10.8

区教委からメンタルヘルスについての通知
 メンタルヘルスは大切      だが
もっと大事なことは協働の職場づくりだ


 八月三〇日、墨田区教委から「管理職及び教職員のメンタルヘルスについて」という通知が区立幼稚園・小中学校長あてに出されました。ほとんどの職場では管理職から文書が配られ、丁寧な説明が行われたと思います。
 区教委が事態を重く受け止め、真摯に事態を改善しようという姿勢はこの文書から伝わってきます。
 「上司や同僚と気軽に相談できる人間関係を構築する」「良好な職場環境を醸成する」「精神的・身体的負担が大きいことを踏まえ」「必要な支援を迅速に行う」「校務の効率化」「正規の勤務時間外における業務量の縮減」「教職員が安心して病気の治療に専念できる支援を行う」など、「躊躇することなく」行うことが語られています。
 まったくその通りだと私たちも思います。

 これを阻むものは二つあります。
 一つは現場の「忙しさ」です。職場によっては、この通知が配られただけ、あるいは、「見ておいてください」と言われただけのところがあるようです。管理職が「周知」の意味も分からず、この問題の重さにも気づかないほど「忙しい」のです。自分を振り返るだけの余裕もないのです。原因が解決を遠ざける原因になってしまっているのです。

 もう一つは、制度に由来する問題です。人事考課制度・成績率導入など、労働者同士を個人で、あるいは部署・学校単位で競わせる新自由主義的人事管理手法が、この通知と明らかに矛盾するのです。
 これまで私たちが言ってきたように、職場に競争と分断をもちこめば、教職員は孤立し、自分一人で困難に立ち向かわなければなりません。有能でなければ成績を落とされる労働者は「気軽に相談できる」わけがありません。「積極的に教職員から悩みを聞き取」ることが評定の資料集め=査問ととらえられないとも限りません。
 時にめげてしまうことの蓋然性も当然高くなります。中高年の大人の自死がこの国では高い水準で持続しているのです。
 締め付けと競争、無駄な仕事に翻弄されている私たちは、互いに支えあって日々の労働をするのですが、「互いに支えあ」うことには限界があります。元凶である「締め付けと競争、無駄な仕事」を共に壊していかない限り、事後的なメンタルヘルスがどんなに厚くても、限りなく「教職員の変調」は再生産されるでしょう。私たちは〈なかま〉〈ゆとり〉〈決定権〉回復・創造が不可欠であると考えます(墨田教組ホームページ「人事考課制度導入阻止」参照)。
 組合の職場調査によれば、「勤務がきつい」という声は圧倒的です。OECD内にあっても、安い長い低い荷重勤務は明らかです。※1
 月二回の変則的な労働「土曜授業」の存在、組合として交渉さえ門前払いされている「土曜授業」の存在も私たちの仕事を苦しいものにしています。

 私たちは、今回の通知の意図を実現するためにも、教職員同士でも、管理職とも、労働安全衛生委員会でも、教育委員会とも、「躊躇することなく」「『おかしい』と感じること」について、論議しより良い職場をつくることを目指します。

               25墨教指第796号 平成25年8月30日
区立幼稚園長様 区立小・中学校長様 
          墨田区教育委員会  教育長 

     管理職及び教職員のメンタルヘルスについて(通知)

 このことについて、日頃より取組の充実を図っていただいているところですが、今般、区立学校の管理職が自宅で死亡する事案が発生しました。墨田区教育委員会は、教職員の尊い命が失われたことを重く受け止め、より一層のメンタルヘルス対策の徹底が重要であると考えております。
 つきましては、下記について改めて貴職下 教職員に周知するとともに、管理職自らメンタルヘルスに努め、再発防止を図るようお願いします。

1 日頃から教職員同士であいさつや声かけを積極的に行うなど、職場において悩みなどを話しやすい雰囲気づくりに努め、上司や同僚と気軽に相談できる人間関係を構築するとともに、良好な職場環境を醸成すること。
2 日頃から教職員相互の状況に気を配り、表情や言動等の変化を感じたら声をかけるなど、同僚等の不安や悩みのサインを見逃さないようにすること。
3 特に新規採用者や着任して1年目、新たな校務分掌を受けもつなど、急激な環境の変化や初めて経験することが多い教職員は、経験が豊かであっても精神的・身体的負担が大きいことを踏まえ、日頃から当該の教職員の相談にのるなどして日常的に健康観察を行うこと。
4 職場での教職員の仕事ぶりに目を配り、行き詰まっているところがあれば積極的に教職員から悩みを聞き取り、必要な支援を迅速に行うこと。
5 教職員等の言動に「おかしい」と感じることがあった場合は、躊躇することなく管理職や校内のメンタルヘルス担当者に連絡するなど、早期に組織的に対応すること。また、必要に応じて専門医への受診を勧めること。
6 会議や行事の見直し等による校務の効率化を図り、正規の勤務時間外における業務量の縮減を進めるとともに、一部の教職員に過重な負担がかかっていないか常に業務量の配分に留意すること。
7 不調を感じながらも周囲に迷惑がかかることを避けて休暇取得を躊躇したり、悩みを抱え込んだりするケースが多いことから、教職員の変調に気付いたら躊躇せず早めに対応し、教職員が安心して病気の治療に専念できる支援を行うこと。
        〔担当〕墨田区教育委員会事務局指導室 統括指導主事

 

※1 教師の教育水準の転落に加えて、教師の待遇の転落についても触れておこう。二〇〇〇年から二〇一〇年にかけてOECD加盟国のほぼすべてが教師の給与を大幅に上昇させたのに対して、日本とフランスとスイスの教師だけが給与を下落させており、しかも日本の教師の給与の下落率は最悪の九%である。一九八〇年代まではトップであった。文科省調査に見るように、週当たりの労働時間は平均五二時間に達しており、教職調整額が四%与えられているとはいえ、それを超える超過勤務の手当が支給されていないことを顧慮すると、実質的な待遇に関しても世界最低レベルに落ち込んでいるといえよう。」「教育の専門家としての自立性についても同様である。教科書の採択件、カリキュラムの決定権、学校財政の決定権、教員人事の決定権などどの指標をとっても他の諸外国と比べて著しく制限されている。…日本の学校と教師は逆にいっそう官僚的統制が強化され、抑圧的で息苦しい教職生活を送っている。」佐藤学・勝野正章「安倍政権で教育はどう変わるか」32〜33ページ岩波ブックレット2013年6月




主催・国分一太郎「教育」と「文学」研究会
 共催・綴方理論研究会

 じぇじぇじぇじぇじぇ。今度は竜巻か、落雷か。異常気象の恐ろしさ。これが「異常」でなく、「通常」になってしまったら。汚染水のたれ流しと、気象の変化が気になる毎日です。いかがお過ごしでしょうか。

 日ごろから、本会にご支援、ご協力をいただきありがとうございます。暑い夏でしたが、7月20・21日に東根で開かれた第9回分一太郎「教育」と「文学」研究会では、比較的過ごしやすい中で、佐藤籐三郎さんの講演などもあり、充実した会を開くことができました。たくさんの方々のご協力に感謝申しあげます。
 今、教科書の中には、「綴方」という言葉はもちろんですが、「作文」という文字がなくなり、「ひとまとまりの文章」を書く機会が減り、教育の現場では、「作文力」の低下が問題になっています。書く力に「格差」も出て来ています。
 今回の3本の提案は、こうした課題を切り開くための、おおきな問題提起をしてくれるものと思っています。この研究会を充実させ、教育を考え、生活綴方を「伝え」「深め」「交流」できる機会にしたいと思っております。知り合いの方をお誘いの上、ご参加ください。なお会場は、昨年の場所とは違っております。お確かめになっておいで下さい。
国分一太郎「教育」と「文学」研究会会長・田中 定幸
綴方理論研究会代表・乙部 武志
1.日 時 2013年11月2日(土)
 9時30分〜4時30分(受付開始9時〜)
2.場 所 豊島区立文成小学校
   東武東上線「下板橋」駅下北口徒歩2分
3.内 容 
午前<報告1>? 会話に着目した文章表現の指導
−相手の言葉、自分の言葉を大切に−
梶谷 陽子(横須賀・逗子作文の会)
午後<報告2> ? 「詩で思いの丈を書こう」 
  ―街の公民館「詩のひろば」17年間をまとめる― 
片桐 弘子(豊島作文の会)
午後<報告3>
? 『読み合いの授業をどう考え、どう授業をしたか』
―2分の1成人式の一環として―
小美濃 威(杉並区立八成小学校)
4.参加費 1,000円(資料代として登録会員は無料)
会員の年会費2000円
5.その他  ・研究会終了後、懇親会を予定しています。懇親会にご出席の方は、事前に電話等で、連絡下さると、大変助かります。遠来の方で、宿泊される方は、各自でお取り下さい。

《報告者から》
□梶谷陽子(かじたに・ようこ)
 言葉が足りない子、言葉を被害妄想的に聞いてしまう子、子供同士のトラブルにはこんなことから始まってなかなか修正がきかなくなっていることがあるようです。
 今回のように会話に気を付けて取り組んでいくことで、周囲の人の考えをより多く知り、自分の言葉を大切にしていくのではないだろうかと考えました。より早い段階で自分だけの話ではなく、友達や周りの人の話を意識して聞き、判断するようになることは、学習・生活を含めた学校生活を送る中では子どもたちにとって大きな助けになると思います。
 教師になってから、書くことは意識して取り組んできました。しかし、低学年を何回かもつうちに、なかなか書く力がつかないと思うこともありました。会話というひとつのことに注目して指導することで、子どもたちは書くことの手段をひとつ手に入れ、作文では子どもたちの生活が生き生きとしてきました。2年生での取り組みの経過を報告させていただきます。

□片桐弘子(かたぎり・ひろこ)
 教師になることが夢であった私は、指導の方法も分からないままに、私の子ども時代のように、受け持った子どもたちにすぐ、日記帳を持たせ、作文や詩を書かせました。その当時読んだ『作文と教育』の生活綴方史・長野県に「長野県の作文教育全盛時代」が、私の小中学校時代とぴったり重なることに驚きました。「私の中に信州の作文教育の先生方の血が流れている……」などと格好づけて思い続けて来た気がします。
 豊島作文の会や理論研、作文の大会等々で学び実践してきました。
 退職後、公民館で講座を任されたときは、「教室ではない」負い目と不安がありましたが、長いこと続きました。教室とは異なった面白さもありました。国分先生の*『日本の児童詩』をテキストにしました。多くの方々から批判や応援をいただきました。「17年間をまとめ」切ってはいないと思いますが、報告させていただきます

□小美濃 威(おみの・たけし) 30年以上に渡る現役生活が終わりました。その間ずっと書く事、読み合うことを大切にしてきました。特に人間、とりわけ家族と友達、中でも友達のことを数多く扱ってきたように思います。桃井第五小学校での4年間は科学的概念の完成期と言われる3、4生を続けて担任してきました。
報告する実践は、朝日新聞の「花まる先生」(2013.3.31)で取り上げられたものです。4年生のまとめとして「この10年間で1番心に残ったことを書こう」という指導題目をたてて取り組みました。
東京教研、全国教研で提案し、朝日新聞社から取材の話があったとき、一度は断ろうと思いました。しかし、今、生活を書く事が軽視されている時代に、多くの仲間を励まし、国民への訴えかけができるまたとない機会と考え直し引き受けることにしました。その時のDVDと授業記録を中心に提案させていただきます。








週刊墨教組 No.1724                    2013.10.3

二〇一三 秋季賃金確定闘争勝利! 
 減らし続けた賃金・一時金を引き上げよ!
 年金繰り上げ=福祉切り捨て=労働条件悪化を許さない!
  秋闘を闘い抜こう!


○ 本年の人事院報告のポイント
月例給、ボーナスともに改定なし 制度改正も求めず「報告」のみ
@月例給の較差について、給与改定・臨時特例法に基づく給与減額支給措置による減額前の較差を算出し、併せて減額後の較差も算出
・較差は七六円(△〇・〇二%)と極めて小さく「俸給表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難」であることから改定を見送る。
A公務の期末・勤勉手当(ボーナス)の支給月数(三・九五月)は、民間と均衡しており、改定なし
Bただし、特例法による給与減額措置が終了となる、来年四月以降の給与については、「本年の報告による民間準拠による給与水準が確保される必要がある。」とし、内閣と国会に対して、「勧告制度の意義・役割に深い理解を示し、民間準拠による適正な給与を確保するよう要請」
C給与制度の総合的な見直しについて報告
 見直しの内容
 〇民間の組織形態の変化への対応  
 〇地域間の給与配分の在り方
 〇世代間の給与配分の在り方    
 〇職務や職務実績に応じた給与


不当な人事院勧告
 以前にお知らせしたように、今年の人事院は八月八日、内閣と国会に対し、二〇一三年度の国家公務員給与について、@月例給は較差が小さく、一時金についても均衡しているとして改定を見送るとともにA減額支給措置終了後に、給与制度の総合的な見直しを実施できるよう準備に着手すること、を柱とする報告を行いました。今回は、給与改定が見送られただけでなく、制度改正も求めていないため、例年のような「勧告」ではなく、「報告」にとどまりました。

五〇歳代後半層〜六〇歳代を敵視
 「世代間の給与配分の在り方」では、これまでも引き下げられてきた、「五〇歳台、特に後半層の水準の在り方」について「給与カーブの見直しに向けた必要な措置について検討」するとしています。これ以上どのような切り下げを行おうというのでしょうか。
 人事院は、「国家公務員の給与の在り方に関する懇話会」を四月から月一回程度開催し、今年度中に、意見のとりまとめを行う予定としています。
 一方、雇用と年金の接続については、「閣議決定を踏まえ、各府省において現行の再任用を活用した雇用と年金の確実な接続を図る必要」という報告をしていますが、「公的年金が全く支給されない民間雇用者の実態を把握したうえで検討」するとし、具体的な給与については、触れていません。

地方公務員給与をめぐる情勢
 自民党は、「年間二兆円の公務員総人件費削減」「地方公務員の、給与の適正化や定員削減などを推進し、総人件費を抑制する」としています。 地方の自主財源である地方交付税交付金を、いわば「人質」として行っている「国による地方公務員給与の抑制」は、八月末現在で月例給・一時金ともに削減しないとしたのは、六都県にとどまっています。他の府県では、国並み又は、幾分削減率を圧縮した形での削減が行われることとなりました。一時金については、五県が削減を行うとしています。
 東京都では、六月の都議会議員選挙の結果、新たな勢力分野となった都議会で、都職員の給与について、どのような方向での論議となるか、注目していかなくてはなりません。

雇用と年金の接続
 都側は、九月三日の都労連との小委員会交渉において、雇用と年金の接続にかかわって「高齢雇用制度の見直し」に関する「基本的な考え方」を示しました。内容は、
@任用方法は、フルタイムを基本とし、退職時の職級または下位の級に再任用する。申し込みの際、短時間勤務の希望と理由を合わせて聴取する。短時間勤務の職設置の必要性について、都労連要求も踏まえ、職員の意向の実態も参考にしながら検討、協議を進める。
A採用方法は、従前の勤務実績を採否基準とした選考で、更新の場合も同様。採否基準については、希望者全員雇用の要望についての意見もさらに伺いながら、理解を進めていく。
B成績率の適用は不可欠。
C二〇一三年度(平成二五年度)の業績評価から相対評価を実施。
D給与水準は、人事委員会勧告を踏まえて対応すべき。
Eその他の事項は、現行制度を基本に考える。
というものです。
 これに対し都労連は、冒頭で都側が示した内容は、都労連要求に十分応えない不満な内容であり、納得できるものではないと表明し、さらに、労使協議中の極めて異例かつ不当な選考募集であることを指摘しました。その上で、短時間勤務の必要性と希望者全員の雇用確保等について労使協議を進めることを前提に選考募集の実施は了解するとしました。こうしたことを受けて、総務局から九月九日に「平成二五年度再任用職員採用選考の実施について」(通知)がだされました。教育関係の再任用選考は、例年約一か月遅れの一〇月初旬に通知されており、今年度も、同様のスケジュールで進むものと想定されます。
 東京教組は、すでに五月一七日、都高教とともに「教職員にかかる雇用と年金の接続に関する要請書」を提出し、希望者全員の採用と無年金期間に対応した制度構築を要求しました。今回、都全体の「高齢期雇用制度」の基本的な考え方が示されたことを受け、教育における雇用と年金の確実な接続を求めて、闘いを進めていくとともに、定年退職を迎える組合員へ、制度改正の情報提供を進めていきます。

非常勤教員の労働条件改善を
 昨年度末、非常勤教員が異動する際、むちゃな勤務条件(持ち時数)を提示されて辞めざるを得なかった例があります。
 非常勤教員は、今のところ、勤務校・勤務内容について、選択の幅が非常に狭く、管理職の恣意に対しては個人で対応しなくてはならない状況があります。いわば「無権利状態」です。
 退職後の無年金状態が一年・二年…と増えていく中では、働くことは生存と直結します。その状態では、管理職の恣意がまかり通ることになってしまいます。
 私たちは、区教委に対して、小学校でも持ち時数を十一時間を一つの目安とすること、校長との間で勤務条件の折り合いがつかない場合には、区教委・組合などの中立的機関が間に入ることなどのルールを確立することを要求しています。

秋季闘争を共に闘いましょう
 一〇月八日(火)以降、週後半には東京都人事委員会の勧告が出される模様です。
 東京都の生活実態に応じた賃金と一時金の確定、雇用と年金の確実な接続や、福祉関連要求の実現などが課題となると考えられます。
 東京地公労は、国人勧を受けて、八月一二日に構成組織委員長クラスによる要請行動を行いました。東京教組は、学校現場の喫緊の課題である「多忙化解消」と「実効性のあるパワーハラスメント対策」について、現場の声や実態を伝えながら要求しました。交渉の山場である一一月初旬〜中旬に向けた闘いが始まります。墨田教組・東京教組は、都労連に連帯し、東京地公労に結集してこの秋の賃金確定闘争を闘っていきます。共に闘いましょう。

墨田教組秋の教研
10月23日(水)

午後3時より
 女性センター 第二会議室にて
福島を忘れない
 湯本雅典さんのお話とDVD上映


湯本さんは、原発事故以来、福島に通い福島の子どもたちと教員に寄り添って「わたしたちは忘れない 福島 避難区域の教師たち」「子どもたちと生きるために 福島の教師たち」などのDVD作品を作っています。湯本さんは言います。「あれから2年が過ぎましたが、福島は何も変わっていません。この悲しい事実が意外と知られていないのです。「復興」のためには、困難な現実と向かい合うことが必要だと思います。しかし、すでに福島原発事故は終わったかのように扱われているのが実情です。」 最新作は「「何も変わらない中で -2013年・春・福島」。福島の現状を忘れないために、墨田で日本で世界で放射線被ばくを許さないために、ぜひご参加ください。


No Nukes Day 原発ゼロ☆統一行動
-福島を忘れるな・再稼働を許すな-
10月13日(日) 13:00〜
日比谷公会堂
13:00〜集会、14:00〜デモ

主催:首都圏反原発連合
共催:さようなら原発1000万人アクション/原発をなくす全国連絡会 協力:脱原発世界会議/経産省前テントひろは?/再稼働阻止全国ネットワーク
○17:00〜19:00 国会前大集会(主催:首都圏反原発連合)
憲法改悪反対!
国家主義的「教育再生」を許さない!
10.18教育の未来を考える首都圏市民集会
10月18日(金)18:00〜20:00
日本教育会館8F第2会議室(入場無料)
〜日本外交と政治のあり方を考える〜
講師:孫埼享さん
憲法改悪を許さない!
学校に自由と人権を!10.19集会
10.23通達から10年
―「日の丸・君が代」強制反対!10.23通達撤回!−
憲法改悪を許さない!学校に自由と人権を!10.19集会
10月19日(土)17:30〜20:00
星陵会館ホール

資料代:500円
講演:「国がのぞむ子どもたち」 石坂啓・漫画家
ミニライブ:朴保(パク・ポー)・ロックボーカリスト
講演:「日本国憲法『改正』がもたらす教育の危機」
 中嶋哲彦・名古屋大学大学院教授
特別報告:「10.23通達から10年の訴訟」弁護士、他

 主催:実行委員会(10・23通達関連裁判全都原告団・13団体)
子どもと向き合う私たちは、
 いかに「いじめ」と立ち向かうか
  ―いじめ防止対策推進法が施行されて―
10月24日(木)18:30〜20:30
日本教育会館8F 第2会議室
1.いじめ対策の法律化をめぐる学校と家庭のこれから
―第三者機関委員、大阪大谷大学 桜井智恵子
2.いじめにどう向き合うか
―弁護士の立場から     坪井節子
3.学校と地域をつなぐために

―保護者の立場から     長嶋由佳

主催:日本教育会館 後援:国民教育文化総合研究所 入場無料(先着順)



週刊墨教組 No.1723           2013.9.29

 九月十四日 再稼働反対!
 さようなら原発大集会in亀戸開かれる
亀戸中央公園に九千人が集まる


 今、日本では一基の原子力発電所も動いていません。九月十五日、大飯原子力発電所(福井)四号機が停止したからです。柏崎原子力発電所再開申請交渉は大きなニュースになっても、この大きな事実はひっそりと隠されています。

 九月十四日の集会では、各地の方々、主催者からの発言がありました。その後、押上と錦糸町の二コースに分かれてデモ行進をしました。(以下、東京新聞より)
 東京電力福島第一原発事故の後、福島市から東京都練馬区に娘二人と自主避難した二瓶さんは「事故で福島の友人らとの絆を壊された。福島市渡利地区では今も除染を繰り返している」と原発事故への怒りをにじませた。
 福井県内で原子力発電に反対する市民団体幹事の松永さんは「大飯は停止するが、原発直下に活断層があるかないかで専門家たちが議論している。市民の一部は、どちらが正しいか悩んでいる。もし大地震があれば大変な事故が起きるとの前提で再稼働を阻止したい」と訴えた。
 大江さんは、安倍晋三首相が東京五輪の招致演説で福島第一原発の汚染水の問題を「コントロールされている」と述べ、その後、東電側が「コントロールされていない」と言ったことに触れた。「首相のうそが日本の評価にどう跳ね返るか、それを引き受けていくのも次の世代に生きる人間。それを考え続けないといけない」と述べた。
 ルポライターの鎌田慧(さとし)さんは「十五日は原発がゼロになる記念すべき日。絶対にこれ以上、再稼働を認めないという決意の日だ」と呼びかけた。


憲法を改悪させてはならない

めちゃくちゃな言説が流通する時代に警戒を


「改憲」本気か?

 「自民党草案」があまりに稚拙で没論理なため、憲法「改正」は悪い冗談だと大方は思っているようです。私たちもそう思いますが、「ありえないこと」が次々起こる今の世です※1。七月衆院選挙前にも主張しましたが、私たちは、この動きをきちんと批判するだけでなく、今の憲法の良きものを「実現」するよう、慎重に行動すべきです。

批判できる
 相手が相手ですから、それを批判する書物も多く、それほど「難しい」論理を要求されません。さしあたり、伊藤真弁護士の著作を一冊読めばよいでしょう※2。読めば、この草案程度のものに対する批判は自分でもできるようにしておかないといけないだろうと思わされますし、実際できるようになります。後はいかに自分の身の回りの現実と絡めて理解し説明できるようにするかがひとつの課題です。
 そしてもう一つは、学校できちんとした憲法教育をすることです。教室で、社会科学習の中だけでなく、朝の会でも総合的学習の時間でも子どもたちの疑問に答え考える機会を設けることです。

歴史を踏まえない「草案」
 私たちはまず、その前文にあらわれた「歴史性の欠如」=「時代(現在)をふまえない空論」を指摘します。やたら「日本」「日本」と言うわりに、「今ここで」なぜ「改正」が必要かが述べられていませんから、宙に浮いた「理想の空論」「頭からひねり出した願望」にとどまっています。

あいまいな「日本」
 時代的限界はあるものの、現憲法での「日本国」は明確でした。それは「敗戦を迎えて何とかやり直そうとする国」でした。
 しかし、草案の「日本国」はあいまいです。「長い歴史と固有の文化を持ち」とありますが、だいたいどこでもこんなものは持っています。「国民統合の象徴である天皇を戴く国家」はいただけません。そんな時代はあったのでしょうか? 「長い歴史」は戦後六〇数年なのか、近代の一五〇年なのかそれとも「神武」起源から? 「長い」のであればいっそ縄文までいってしまおうか…? 歴史性=現代を見据える視点のかけらもありません。

「歴史は歴史家に」!?
 その理由は、歴史についての「判断は歴史家に委ねる」との発言に由来します。自ら歴史に責任を持つことを放棄しています。無責任だからこそ、日本の戦争責任を認めた村山談話と従軍慰安婦問題で日本軍が関与していたことを認めた河野談話をも「見直す」と言えるのです。「大東亜戦争万歳」の立場に立てるのです。歴史性を飛ばしてしまうので、歴史を自由に歪曲できるのです。その上に、彼の理想とする幻の永遠の「日本」=「新憲法」!!※3があるのです。

夢は闇に開く
 「先の大戦による荒廃や幾多の大災害」 東京都慰霊堂のように、人災も天災もいっしょくたにしています。そして「先の大戦」は「荒廃」をもたらしただけのようです。この歴史認識から言えば日本は「被害者」のようです。
 「幾多の大災害」にちょっとだけリアリティー・現代性はあります。しかし「乗り越え」と続くと、さていつの大災害のことだろう…関東大震災か天明の浅間山大噴火か…と考えてしまいます。まさか阪神淡路大震災や東日本大震災を「乗り越え」ているとは認識していないでしょう。
 「今や国際社会において重要な地位を占めており」…こういうのを夜郎自大といいます。「謙譲という日本的美徳」なんてのは「伝統」でもなんでもなかったようです。
 「諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する」…「アメリカの属国」という評価が世界では一般的とも言われています。
 歴史も現在も踏まえない「頭からひねり出した空論」ですから、何でも言えます。
 
憲法を実現する
 現憲法下ですら問題は山のようにあります。が、それは法の不十分性によるのであって憲法を「安倍氏の夢物語」に変えれば解決するものではありません。いえ、確実に逆方向に進みます。問題を解決し、憲法「改正」に抗するために私たちは確実に表現し行動していかなくてはなりません。ともに学び、声を上げていきましょう。

※1 「汚染水はコントロールされている」「私を右翼の軍国主義者というなら呼んでかまわない」「ナチスの手口に学ぶ」・・・などの言説がほとんど批判されないままに流れていく。オリンピックより前にやることがあるだろうなんて言うと「非国民」と返ってくる。「解雇自由特区」…。「東京オリンピック記念でちょうどいいから憲法も変えようか」なんて冗談が本気になりかねない「ノリ」です。

※2 伊藤真さんのホームページ・著作
自由民主党「日本国憲法改正草案」について013/03/8 ver5 http://www.jicl.jp/jimukyoku/images/20130131.pdf
自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!
 合同出版1,300円2013年7月
護憲論者の伊藤真と、改憲論者の小林節が、憲法改正に対する意見は違っていても、憲法は国家をしばるものという点において意気投合! 立憲主義宣言! (合同出版サイトより引用)
憲法問題 なぜいま改憲なのか 
 PHP研究所 760円2013年7月
 憲法の本質を歴史的な観点からわかりやすく解説。96条には民主主義ならではの危険を避ける意図があること、9条が変わるとどうなるかについても言及。(PHP研究所サイトより引用)
赤ペンチェック 自民党憲法改正草案
 大月書店 1,000円2013年5月
条文毎に「草案」と「現行憲法」を対比させ、変更部分を赤字で表示。次にチェック問題を載せ、特に着目すべき部分を明かにします。そして、なぜ変えるのかを自民党の「日本国憲法改正草案Q&A」より示した上で、伊藤真が問題点にするどく斬りこみ、解説します。赤ペン片手に自民党草案の問題点を、あなたがチェック!(大月書店サイトより引用)



自由民主党 日本国憲法改正草案(前文)

 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
 日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定※3する。

大日本帝国憲法上諭
朕祖宗の遺烈を承け萬世一系の帝位を踐み朕か親愛する所の臣民は即ち朕か祖宗の惠撫慈養したまひし所の臣民なるを念ひ其の康福を攝iし其の懿コ良能を發達せしめむことを願ひ又其の翼贊に依り與に倶に國家の進運を扶持せむことを望み乃ち明治十四年十月十二日の詔命を履踐し茲に大憲を制定し朕か率由する所を示し朕か後嗣及臣民及臣民の子孫たる者をして永遠に循行する所を知らしむ
國家統治の大權は朕か之を祖宗に承けて之を子孫に傳ふる所なり
朕及朕か子孫は將來此の憲法の條章に循ひ之を行ふことを愆らさるへし
朕は我か臣民の權利及財産の安全を貴重し及之を保護し此の憲法及法律の範圍内に於て其の享有を完全ならしむへきことを宣言す
帝國議會は明治二十三年を以て之を召集し議會開會の時を以て此の憲法をして有効ならしむるの期とすへし
將來若此の憲法の或る條章を改定するの必要なる時宜を見るに至らは朕及朕か繼統の子孫は發議の權を執り之を議會に付し議會は此の憲法に定めたる要件に依り之を議決するの外朕か子孫及臣民は敢て之か紛更を試みることを得さるへし
朕か在廷の大臣は朕か爲に此の憲法を施行するの責に任すへく朕か現在及將來の臣民は此の憲法に對し永遠に從順の義務を負ふへし
御名御璽 明治二十二年二月十一日

日本国憲法前文
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。



週刊墨教組 No.1722                      2013.9.9

「東京は福島とは違う」
 このオリンピック招致活動はフクシマの固定化・切り捨て・差別によって成り立っている!

9月14日(土)
亀戸中央公園

再稼働反対!さようなら原発大集会 in亀戸
東京東部で初めて開かれるこの集会に、
ぜひ多くの方が参加し、
  脱原発・反原発・福島支援の意志を貫きましょう!!


 福島原発事故は一向に「収束」されません。にも拘らず、「原発セールス」にいそしむ安倍首相の姿勢は「エコノミックアニマル」(旧い!!)を髣髴とさせるものです。二四時間働け!!(ワタミ)。
 レベル3の汚染水漏れは世界中で非難と軽侮の対象になっていますが、オリンピック招致に比べればこの日本では非常に軽いものです。事故解決に政府が前面に出るといって安心するものは誰一人としていません。今までの無責任がたたっています。
 「東京にオリンピックが招致できたら、被災地に聖火を走らせたい」とわが猪瀬都知事は語りました。フクシマも被災地です。一八〇〇msvでも4時間以内に走り抜ければ「直ちに健康に影響はありません」・「大丈夫」です。
 いっそ、オリンピックを招致して、それを人質に原発事故問題とフクシマの苦悩を解決する…といった倒錯したことさえ考えてしまいます。しかし、私たちの道はそうではありません。
 東京東部で初めて大きな集会が予定されています。私たち東京東部は、柏・松戸など千葉北西部(チーバ君の鼻)とともに、二〇一一年三月の放射線雲の影響を大きく受けています。私たちは、福島の原発をどう害の少ないものにしていくか・福島の人々の安全をどう確保するのかとともに、被害を受けた私たち自身がそれをきちんと被害として認識していき子どもたちにどうそれを伝え認識させてていくかという作業・教育をつくっていかなくてはなりません。そして、六〇年以上になる日本の原発=核政策に「NO!」を表明し続けましょう。
 多くの方が、より多くの方を誘って、この「さよなら原発亀戸大集会」に参加されることを望みます。
 当日は墨田教組の旗も出ますので、必要な方は目印にしてください。

紹介 
福島・原発事故と教育を検証する最新書籍
「福島から問う 教育と命」 中村晋 大森直樹 岩波ブックレット879 2013年8月
「資料集 東日本大震災と教育界 法規・提言・記録・声」 大森直樹 明石書店2013


有利子奨学金は「悪質ローン」だった!!?(3)


理不尽な借金
 「奨学金ガイド」によれば、第二種有利子奨学金は月当たり三万円から十二万円までの選択があるようです。かりに八万円を四年間貸与されるとすると、総額は三八四万円ですが、利子が三%ですから返還総額は五一七万円になり、毎月二万一千円ずつ二〇年間払い続けます。十二万円借りれば三万二千円です。さらに大学院に行って十五万円奨学金を受けたらいったいどんなことになるのか…。考えるだに恐ろしいことです(支援機構パンフレット参照)。
 今急に「私(あなた)がこれを二〇年間でこれを支払え」と言われたら、それは大変な負担です。住宅ローンと違って「得るもの」はありません。しかも「私」と違って、初めて働くのですから、わずかの貯蓄もありません。これが、「マイナスからの出発」です。
 
困難な返還
 朝日新聞声欄に次のような投書がありました※1。「牧歌的な奨学金制度や学生生活から遠く離れているという現実」をとらえるかどうかが、もう一つの投書者(返済なんて簡単だし返済しないのは無責任という投書者)との判断の差になります。「(昔は)月額返済は600円になる。大卒初任給が2〜3万円」とすると、返還金の割合は二〜三%です。それに対して二〇〇三年で試算すると一〇%になります※2。
 そしてまた、卒業しても年収二〇〇万円以下の職にしか就けない方も二〇%います※3。この方たちが奨学金を受けていたらその返済は極めて困難なものとなります。

蟻地獄の延滞金利率一〇%
 学生支援機構はそれほど無慈悲ではありません。低収入(年収三〇〇万円以下)の場合、願い出によって奨学金返還を一時猶予する制度があります。「年収200万円以下の人は…」なんて関係ないではないか!? しかし猶予は、どんな場合も(返還免除にならない限り)五年間しか認められません。五年間だけの「慈悲」です。
 それ以降は、仮に年収がなくても返済を求められます※4。


※1 朝日新聞 声 「奨学金返済、若者に厳しい 」
 団体職員 榑松佐一(愛知県57)
 「奨学金制度 回収が生ぬるい」という投書(10日)があった。昭和40年代に無利子奨学金を貸与された方だからこそ理解できないのではないか。
 当時月3千円で4年間借りた場合元金は14万4千円。無利子20年返済だと月額返済は600円になる。大卒初任給が2〜3万円だったとしても無理な金額ではない。郵便貯金の定期利息は約5%、元金を貯金しておけば20年後には38万円になった時代である。
 現在、ゆうちょ銀行の利息は0・03%程度に対し奨学金の多くは有利子で利率は最高3%である。月10万円を借りると元金だけで480万円、毎月2万円もの返済が20年続く。正社員になれたとしても容易な額ではない。年収200万円以下の仕事しかない人が返済できなくなるのは必然だ。
 「借金してまで大学に行かなくても」という方もいるかもしれないが、高卒の就職募集枠は大変小さくなっている。若者のせいにして「回収が生ぬるい」とするのは、疑問に思う。 http://digital.asahi.com/articles/TKY201307230443.html?ref=comkiji_txt_end

※2 月八万円貸与、毎月二万一千円返還の場合。大卒初任給を二十一万円とする(統計局ホームページ/第19章 労働・賃金 19−44−a 新規学卒者の産業,学歴,男女別平均初任給額 − 月額(昭和43年〜平成15年)による)。

※3 ウイキペディア「就職氷河期」より
 今回発表された速報値によると、2013年3月に大学を卒業した卒業者において、就職(正規・非正規合わせて)した人は卒業者のうち67.3%。大学院や専修学校、海外への学校への入学など進学をした人は13.0%。一時的な仕事に就いた人は3.0%、進学も就職もしていない人(就職浪人や資格取得のための勉強、花嫁修行や結婚による専業主婦化など)は13.6%となっている。
 そのうち「就職者」の中で「非正規就業(フルタイムの契約社員、派遣社員)」に該当する人、一時的な仕事に就いた人(パート、アルバイト)、進学も就職もしていない人を合わせて、「安定的な雇用に就いていない人」の率を算出すると、20.7%となる。この値は前年度から新たに算出されたものだが、その前年度値は22.9%で、2.2%ポイント減少している。

※4第二種奨学金≪利息付き≫ 約束の返還期日を過ぎると、延滞している割賦金(利息を除く。)の額に対し、年(365日)あたり10%の割合で返還期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金が課されます。




週刊墨教組 No.1721 2013.9.2

東京教組東部夏の教研

参院選後の教育課題  奨学金問題から考える
 大内裕和さん講演要旨
署名活動は、
職場だけでなく、
家庭・親戚・友人・知人・地域…でとりくんでください!

重要な教育課題
 一九八四年の臨時教育審査会以来、教育の「自由化・個性化」改革のため、教員と子ども・保護者の分断支配という戦法のもと「組合バッシング」「教員バッシング」が行われてきた。情報共有が難しい中、「職場での横のつながり」「地域とのつながり」を回復させるためには共通の関心となるものが必要である。それが、今「奨学金問題」である。

奨学金問題とは
 「最近の若い先生は貧しい」という言葉を聞く。奨学金の返済のためである。教育職に就いた場合の奨学金返済免除の制度は一九九八年に廃止された。大学の講義でも奨学金問題については大きな反応があり、学生が主体となり「愛媛大学 学費と奨学金を考える会」が結成される(二〇一〇年)など現在の大学生にとって切実な問題となっている。二〇一一年に東京新聞でも取り上げられ、関心は広がっている。

増える有利子「奨学金」
 奨学金制度は現在「日本学生支援機構」(独立行政法人)が主体であり、無利息の「第一種奨学金」と利息付き(最高三%)の「第二種奨学金」に分けられている。一番の問題点は一九八四年に日本育英会法全面改正で有利子枠(第二種奨学金)が設けられた事である。学費を引き上げる一方で、一般財政の無利子枠は拡大せず、民間資金で運用する有利子枠は一〇年間で一〇倍に拡大させ、二〇〇八年の比率は二六:七四と圧倒的に有利子枠が多い。無利子枠は二〇〇九年には希望者の七八%が不採用になっている。高校卒業時の一定以上の成績と親の一定以下の年収という基準が守られていない。

困難な返済
 奨学金の返済が困難な理由としては、第一種奨学金ですら返済額が毎月一万五千円内に設定され、自宅通学の国立大生は現役でも卒業後一四年かけて返済し三七歳までかかること、第二種奨学金においては月十万円を借りた場合、すぐに返済し始めても四三歳までかかることである。さらに、延滞には一〇%の延滞金がかかり、延滞発生後の返済はまず延滞金の支払いにそのお金が充当されるため、一〇%の以上のお金が出せなければ半永久的に延滞金を支払い続け元本にはたどりつけないことである。自分の奨学金を払い終わらないうちに子どもが大学生になることもありうる。

上昇する学費・減少する所得※1
 大学の学費は上昇し続け、国立大と私大の差は年々縮まっている。(一:一・八)
 対して世帯年収は一九九〇年代後半から減少し続け、年収に占める学費(仕送りなども含む)の比重は上昇し負担は増すばかりである。全大学生中、奨学金受給者の割合は二〇一〇年に五割を突破し、修士課程で五九・五%、博士課程で六五・五%である。
 「高卒で就職をすれば」という意見もあるが、高卒生への求人数は最低水準で二〇一〇年で一七・二%(東京七・〇九%)である。就職できないから大学や専門学校へ進学という「強いられた」ものになって来ている。

名ばかり「奨学金」
 「四大卒」の就職率も七七・九%で「正規」とは名ばかりのものも多い。パート・アルバイトの率は四二・八%で奨学金の返済滞納者は年々増加している。祖父母が年金の中から孫の奨学金を返済している例もある。裁判所からの「支払い督促」も二〇一一年には一万件を超え、二〇〇四年の五〇倍にも拡大している。もはや奨学金は奨学金としての機能を果たしていない。奨学金という名の「悪質ローン」である。

給付型を目指して
 問題点として
@適格者が無利子奨学金を得ていない。
A将来は返済不安から借りることを抑制している。
B卒業後の返済の困難さ(人生設計を左右する)が挙げられる。
 改善の方向として
@一定年収以下の場合、特に返済猶予五年の上限を撤廃し、本人の年収を基準とすること。
A有利子奨学金を無利子奨学金にすること。
B給付型奨学金を導入することが挙げられる。
 現在、奨学金制度改善に向けての運動が広がりつつある。奨学金に対する世代間ギャップはあるが、教育にかかる費用を考えることは、人とのつながりをつくるものである。組合も重要な運動課題の一つとしてこの奨学金問題をしっかりとりくんでいくべきである。


※1 学費と所得
 有利子だろうがなんだろうが、学生が奨学金を求めるのは、収入である保護者・学生本人が自由に使うことのできる金と、支出である学費(含む生活費)の差による。収入が減り、学費が上がれば当然「支援のための奨学金」が必要になる。
 所得はこの一〇年以上、下がりっぱなしです。それに対して学費(グラフは初年度納入金)は、私立大学・国立大学ともに定常的に上がり続けています。ことに国立大学の上昇率は大きく、とても「国立」と呼ぶにふさわしくありません

※2。家計における比率も一時期の私立大学のそれを超えるほどです。
 「有利子奨学金は大学の授業料値上げを支援している」と言われるのもあながち大げさな「言いがかり」とは言えません。

※2 2003年の値は1979年を基にすると、年収1.2倍に対し、私立大学学費2倍、国立大学学費3.6倍、年収における学費の割合は私立が1.6倍、国立は2.9倍です。
  1986年を基にすると、年収1.1倍に対し、私立大学学費1.4倍、国立大学学費2倍、年収における学費の割合は私立が1.2倍、国立は1.8倍です。




東京新聞2013年8月29日 http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013082902000172.html
奨学金返済額1100万円も

 返済に苦しむ人が増え続け、社会問題化している奨学金。研究者を目指す大学院生が、厳しい生活実態や将来への不安を語ってくれた。「貸与型」から返済不要な「給付型」への転換など、制度改善を求めて今年三月、法律家や教育関係者らが奨学金問題対策全国会議を設立したが、国の財政難の中、解決への糸口すら見いだしにくい。 (白井康彦)
院生の厳しい生活実態 学業多忙 バイトできず
 東海地方の理科系大学院一年の男性(25)は現在、学費や生活費を全て奨学金で賄う。父親の勤め先の会社の経営状態がよくなく、仕送りに頼れない。「この状況で大学院に進学することの苦しさを、日々実感しています」と打ち明ける。
 四年で卒業した大学も、通学中の大学院も国立。学費と入学金の合計は九年間で約五百四十万円。生活費の借り入れもあり、奨学金(一部は利子3%)の返済予定額は約一千百万円になる。大学時代はアルバイトで生活費を補った。「今は実験や勉強で忙しくて時間がありません。バイトをしている人もいるそうですが、研究に十分には集中できないはず」
 一カ月の食費は一万二千円ほど。朝食は食パン二枚と、インスタントコーヒー一杯。昼食は、冷凍保存しておいたおにぎり二個とふりかけ、インスタントみそ汁。夕食はスーパーの閉店間際の割引で買った食材で作ったおかず一品と、冷凍保存しておいたご飯。「私より食費を削り、一カ月一万円未満の人もいます」
 教科書や教材は専門性が高く値段が高い。図書館で借りることが多いが不便だ。卒業後は多額の「借金」を二十年間で分割返済しなくてはならないのに、将来収入が十分に確保できる保証もない。「理系では、大学院に進まなければ専門性を生かした活躍ができにくい社会構造になってきました。お金がある人しか安心して学べないのは、あまりにもおかしいと思います」
◆制度改善求める意見書を
   全国会議会長が地方議員に訴え
 男性のような事例は珍しくはない。大学などの学費はひと昔前に比べると格段に高く、暮らしぶりに余裕がない世帯も増え続けている。奨学金利用額は膨らみがちで、就職先が低収入の非正規労働だった場合は返済が難しくなる。今は大学生の約半分、大学院生の約六割が何らかの奨学金を利用しており、返済が滞っている卒業生は全国で約三十三万人に上る。
 このため奨学金問題対策全国会議などが、返済困難者の救済制度充実や、給付型奨学金を国としてつくること、学費抑制などを国に働きかけている。二十四日には名古屋市内で、奨学金問題をテーマにした地方議員の勉強会があり、全国会議の大内裕和会長(中京大国際教養学部教授)が「多くの地方議会で、制度改善を求める国への意見書を採択してほしい」と訴えた。
 文部科学省は日本学生支援機構が大学生らに貸与している奨学金の無利子枠や、返済困難者向けの救済策を拡大する方針だが、同機構の給付型奨学金制度の創設は見送る方針。これに対し、大内会長は「深刻な状況なので、微々たる前進としか言えない」と話した。




週刊墨教組  No.1720                            2013.8.26

知らなかった!
        東京教組東部夏の教研 大内裕和さん
        「参院選後の教育課題ー奨学金問題から考える」
有利子奨学金は 「悪質ローン」だった!!

「私たち」の常識

 今三〇代半ば以上の者にとって、大学での奨学金とは、借りた分だけ返せばよく、特に教育職に就けば返還を免除されるものでした。だから奨学金を受けていても教職に就く限りほとんど考えることのないもの・ありがたかったなと思い出すだけのものでした。
 ところが一九九八年には返還免除制度がなくなりました。さらに、翌九九年には上限年利率三%の有利子の「第二種奨学金」制度が始められました。第一種(無利子)奨学金希望者は年々増えていますが、採用枠を増やさずほぼ四〇万人弱で据え置かれたままです。そのため、第二種(有利子)奨学金貸与者はどんどん増えています(二〇一二年度には一三四万人)。

賃金は生活と労働のため
 私たち労働組合の大きな仕事に「賃金闘争」があります。労働能力の対価として受け取るのが賃金です。これは単に消費したものの補填だけにとどまらず、自分と家族の労働能力の再生産費も含みます。すべての労働者がよりよく働くためにもより豊かに生きるためにも、私たちはより高い賃金を要求しているのです。

マイナスからの出発
 しかし、第二種奨学金を貸与されて社会に出た人は、給料を手にする前からすでに「借金」を背負っていることになります。賃上げどころではありません。本来の賃金すら保証されないということは、安心して生活も労働もできないということを意味します。

大内さんの決意
 そのような「マイナスの出発」をしなければならないのは、彼らが何か「悪いこと」をしたからだろうか? いや、そうではない。彼らは貧しいけれども大学での教育を受けたいと考えただけである。貧しいことがこの国では「悪」であるのか! これでは奨学金という名の教育ローン・サラ金ならぬ学生を食い物にした悪徳金融ではないか! 
 八月二二日東京教組東部夏の教研集会で中京大学の大内裕和さん(二〇一二年度から・それ以前は松山大学)はそう憤ります。
 これは、教育の機会均等に反することです。大内さんは精力的にマスコミにも働きかけ、新聞・テレビなどでこの問題を訴えています。また、フェイスブックなどでも情報を発信しています。※1
 
私たちも全力でとりくみます。
 現在すでに返済を迫られている方々が同僚であるならば、その苦痛を軽くし、安んじて労働と生活ができる方策を、共に模索していかなくてはなりません。
 また、私たちの目の前にいる子どもたちは、三年後あるいは六年後に、この「奨学金」問題に直面します。今何もしなければ、一五年間続いてきた制度・拡大してきた制度は簡単には直りません。本来の奨学金に戻すように強く働きかけなければなりません。
 大内さんは、衆参議長あてに「真に学びと成長を支える奨学金制度を求める請願書」を出すための署名を始めています。用紙と趣旨説明などは次号と共ににお送りします。ご協力ください。
 私たちはこの問題に全力でとりくんでいきます。


※1 奨学金返済に苦しむ若者
 (毎日新聞「記者の目」2013年05月23日)

NHK教育テレビ ハートネットTV シリーズ貧困拡大社会 大学は出たけれど・・・ ―急増する奨学金の滞納― 2013年5月21日 http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/summary/2013-05/21.html

大内裕和さんフェイスブック
https://www.facebook.com/people/Hirokazu-Ouchi/100004931949077




人事院勧告(国人勧)
月例給・ボーナスともに、改定を見送る
 人事院は8月8日、内閣と国会に対し、2013年度の国家公務員給与について、@月例給は較差が小さく、一時金についても民間と均衡しているとして、ともに改定を見送るとともに、A7.8%減額支給措置終了後に、給与制度の総合的な見直しを実施できるよう準備に着手すること、を柱とする報告を行いました。今回は、給与改定が見送られただけでなく、制度改正も求めていないため、例年のような「勧告」ではなく、「報告」にとどまっています。
 東京都人事委員会による勧告は10月に予想され、11月初旬の山場にむけ厳しい闘いとなることが想定されます。
 東京の生活実態を反映した賃金と一時金の確定、50歳台賃金減額反対、雇用と年金の確実な接続、福祉関連要求の実現などが課題となると考えられます。




多摩地区5教職員組合・夏の教研
8月30日(金)18:00〜
国分寺労政会館3階第3会議室
JR中央線「国分寺駅」南口下車 徒歩5分
憲法改悪をとめよう
ー自民党改憲案を斬るー
講師 坂口正二郎氏(一橋大学法科研究科教授)

憲法は今その誕生以来最大の危機を迎えています。自民党改憲案の何が問題なのか、憲法が改悪されると国家と個人の関係がどう変わっていくのか、お話をうかがいます。
坂口さん著書
立憲主義と民主主義 (現代憲法理論叢書)日本評論社2001年
公共性――自由が/自由を可能にする秩序 (自由への問い 第3巻)岩波書店 2010年他


いっしょに考えませんか?
憲法のこと 私たちの未来のことを!
2013年8月31日(土)
14:00〜 ジュスティスさんの歌
14:40〜16:40
 古関彰一さん講演
「憲法九条はなぜ制定されたのか

ー憲法の歴史から現在の人権を問うー」

 古関さん(獨協大学教授)は憲法の誕生について、研究されてきました。憲法が生まれるには、たくさんの人の思い、努力がありました。新しい憲法は、よその国にはないようなすばらしい内容が盛り込まれました。九条です。
 当時の人々の思いや、やり残したこと、とくにそれが今の日本にとってどんな意味を持っているのか、古関さんに語っていただきます。私たちが今どうしたらいいのか、きっと指し示していただけることと思います。みんなで学びましょう。
著書 「日本国憲法の誕生」(岩波現代文庫)「『平和国家』日本の再検討」(岩波書店)他
ジャスティスさんの歌 アイ・自由・平和・命の歌が主なレパートリー。「水の歌」は白神山地源流の水がキラキラと輝き流れる様子を歌っています。「この国の向かうところは」他。
足立区L.ソフィア 3階第3・4会議室
足立区梅田7-33-1 東武伊勢崎線梅島駅下車3分
主催:映画を見て考える・パラムの会


関東大震災90周年
 韓国・朝鮮人犠牲者追悼式とほうせんかの夕べ
2013年 9月7日(土)
場所:荒川河川敷

 1923(大正12)年9月関東大震災の時、「朝鮮人が暴動を起こす」などの流言飛語が飛び、荒川の給与次橋当たりでも日本の軍隊や民衆によって多くの朝鮮人が殺害されました。異郷の地で追い詰められ、殺害された人たちの恐怖と無念は察するに余りあります。「追悼する会」はこの事件を風化させないことが現在に生きるものの責任と考えて活動を続けてきました。荒川の河川敷での追悼式は32回目となります。多くの方々のご協力で、犠牲者を悼み、多民族がともに幸せに生きられる社会をめざして追悼碑を2009年に建立することができました。
 今年は90周年に当たり、追悼式に続けて「ほうせんかの夕べ」を行うことにしました。日本人と韓国・朝鮮人の和解と相互信頼の力を感じ、発信していく場にしていきましょう。ご一緒してくだされば幸いです。 犠牲者たちの無念な思いを悼みつつ、差別のない平和な社会への実現に向けた集いになりますように。ご案内致します。
 14:30 追悼のオブジェ作り(
先着250名様のみ参加出来ます)
 15:00 追悼式  
  追悼の歌:李松子/メッセージ:辛淑玉ほか
 15:30 ほうせんかの夕べ
   歌:李政美・朴保/プンムルぺ ウリト
 17:20 交流会
(河川敷のまま、会場の設定を変えて行います)
☆ 雨天時は、旧木下川小学校 体育館で行います。
☆13:00〜14:10 上映会 八広小学校2階音楽室
 「隠された爪跡」
   (1983年呉充功監督・貴重な証言や映像が!)
 「追悼碑誕生」 (2010年河童のいる川製作委員会作)    http://moon.ap.teacup.com/housenka/


9/10 原発ゼロノミクス
「原発は火力より高い」金子勝さん講演会
9月10日(火)18:30〜20:30
日比谷コンベンションホール(大ホール)
 日比谷図書文化館 B1

・原発ゼロノミクス趣旨説明
・講演 金子勝氏 (慶應義塾大学経済学部教授)

・会場質疑
・「原発ゼロノミスト」呼びかけ 明日香寿川氏 (東北大学 東北アジア研究センター 教授)
 9月15日、大飯原発の定期点検入りにともない、日本でふたたび、原発稼働がゼロとなります。
原発を止めていると、その分火力発電の燃料費がかかるから、再稼働したほうが経済的、という論が聞かれますが、本当にそうでしょうか。
 新規制基準(これも不十分)に適合させるための追加費用は莫大です。
 「原発は火力より高い」。再稼働コスト、燃料費、不良債権など、原発に関するコストを、金子勝さんの新著とともに改めて考えます。
※超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は、国内の原発計50基を直ちに廃炉にした場合、会計上生じる特別損失は計4兆5千億円、廃炉にせず再稼働に必要な安全対策などにかかる費用は計2兆7千億円で、電力会社の負担の差額は計1兆8千億円になるとの試算を公表しています
【資料代】 1000円 (eシフトブックレットVol.4 つき)
ブックレットなし 500円
【主催】 eシフト、原発ゼロノミクス・キャンペーン、
緑茶会
【連絡先】 eシフト事務局 (FoE Japan内)
    03-6907-7217   info@e-shift.org
http://e-shift.org/?p=2769


週刊墨教組 No.1719                     2013.8.24

アベノミクスで、
  私達のくらしは「豊か」になるの?
 女性部夏の講座から学んだこと


当たり前のこと
 理性を働かせないで、感情だけで社会を動かしていく。これが今の日本の姿だと思いませんか。
「歴史的教訓を生かして、理性を働かせ、互いの違いを認め合いながら、社会を創っていく。」
そんなこと分かりきっているのに、その言葉が妙に新鮮に聞こえてきました。

アベノミクスの甘言
 アベノミクスの甘言、雇用を安定させ、景気をあげることで、年収を140万円増やすと言っているが、私達の賃金は毎年削られていっている。しかし、新聞やニュースで、景気が回復してきているということを聞くとどこか期待をしてしまう。
 雇用にしても、「ジョブ型」=「限定」正社員構想をかかげ、雇用の拡大を測ると言っている。そして、先日、完全失業率が減ったといわれ、景気回復に着実に向かっているように報道されているが、内実は、非正規雇用者、低賃金労働者を増やしているだけで、雇用の安定には繋がっていない。「女性の活用」といい、「育児休暇を三年保障する」という。働き盛りの三年間を家庭におくことで、「保育所問題」(実は三歳までの保育が一番お金がかかる)を解消しようとしている。お金のかかる保育や介護は家庭に押しつけ、福祉予算を削っている。企業に勤めるものにとって三年間休職をするとどうなるか? 三年間育休が保障されている私達の職場でも三年間取る人は少ない。
 円安、株高、オリンピック・・・「あの感動をもう一度」と幻想だけを振りまいているアベノミクス。現実を見ていくとそれが欺瞞だということがはっきりわかります。

「繁忙期政策」に馴らされて
 私達の労働は、能力・業績・働き方・長時間労働による労務管理で雇用全体が差別化されてきています。その差別化の中で、それぞれを、生きるために四六時中働かせる。考える時間を奪い、自由を奪うのです。これを「繁忙期政策」というそうです。
 一日のうち八時間は休養・八時間は労働・残りの八時間は自分のために使うというのが、今の私たちが心に思い浮かべる「理想の形」です。それを今の自分の生活時間と比べてみてください。自由に「自分のため」に使える時間はどのくらいありますか?
 アベノミクスは労働者から自由を奪うことで、「もの言わぬ労働者」を作ろうとしています。

劣悪な職場労働環境
 今また安倍政権により浮上してきた「ホワイトカラーエグゼンプション=労働時間規制の適用除外=支払われることのない無定量労働」は、学校現場はすでに行われています。「繁忙期政策」ももうできあがっているといっても過言ではないでしょう。
 職員会議で、意見を言う人の数がぐんと減ってきました。管理職の「先生」が決めてきたことに、おかしいと思っても黙々と従って「がんばって」いる若い教員が増えてきたように思います。これに成績率が導入されて、ますます職場の中が分断されてきています。表面的にはニコニコしていても本当の敵がどこにいるのかも考えず、感情に流されて日々生活していませんか。
 労働が買いたたかれています。機械のようにならないと生きていけない。そして、若者たちを絶望の淵に追いやっています。あなたの代わりはいくらでもいるのよと。
 〈人にやさしくなれない職場・お互いが大事になれる繋がりのない職場〉こんな職場では、人間が肉体、精神の限界を超えてしまいます。社会の貧困・子どもたちの貧困、現状と繋がっていくためにどうすればよいのでしょうか。少し冷静になって考えてみたらやるべきことはたくさんあると思います。

現実を見つめる
 教育とは、子ども達の人格に触れることです。ところが、教員は自分の人格を上から介入されて、それを辛いと感じないところで働かされています。そんな教員は、子どもの人権にも鈍感になってしまいます。
 いじめ・体罰が社会問題化され、子どもの自尊感情や自己肯定感を育てようと、研修会では言われます。もう十年も前から言われ続けています。九月からは「いじめ対策主任」なるものが設置されます。…それが、壊れかけた社会・人間関係・人格の「つっかえ棒」にでもなりうるとでも思っているのでしょうか。
 大切なことは、アベノミクスのトリックにはまらないこと。解決の第一歩は現実を見つめること。そこから見えてくるものに対して、正しい情報をつかんで、声をあげていくことではないでしょうか。


偽文部科学省告示 (ァ)の表現は(ィ)を真意とするものとする。
 (ァ)憲法改正は、ナチスの手口を学んだらどうかね。 
 (ィ)憲法改正は、ナチスのやり方を悪い例として教訓化すべきだ。


用例
 表現 いじめは、都教委の手口を学んだらどうかね。
 真意 いじめは、都教委のやり方を悪い例として教訓化すべきだ。

 留意点 「誤解を招いたことは遺憾だ」「私が都教委及びいじめに係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである」と付け加えること。

練習 次の表現の真意を推し量れ。
  「個人学習プロフィール」は、ベネッセの手口を学んだらどうかね。

参考
 手口:犯罪・悪事などのやり方(新明解国語辞典第五版)
 手口:悪しき例(超迷解麻生語辞典大誤版)



「一貫性・連続性のある」「個人学習プロフィール」?!
 なあんだ、ほとんど変わっていないじゃないか
  ページ立ても、体裁も…でも…
 実施要綱を読む


 七月になってすみだ教育研究所から「個人学習プロフィール」実施要綱が説明会で提示されました。当然各学校ではこれに関わる全員(つまり全教職員)に配布されたことと思います。何しろ墨田区教委の「最重要課題」ですから。
 要綱は、ちょっと見ると、学習状況調査を「請け負う」会社(「委託業者」)が変わった(ベネッセから東京書籍へ)というのに、昨年の実施要綱とページ立ても、体裁もほとんど変わっていないものでした。なぜこれが年度が始まって三カ月以上たった七月ぎりぎりまで出されなかったか、ちょっと見ると不思議に思えます。

「一貫性」など微塵もない
 思い返してみれば、「個人学習プロフィール」における「評価の基準」ほど変化したものはありません。
 発足当初は、「平均値を『基準値』とする」でした。相対評価に対する全くの無知から始まったのです※1。ですからうまく割り振りがいかないと平気でそのルールを崩しました※2。しかしさすがに誰かが気がついたのでしょう、何年かすると「中央値を『基準値』とする」と変わりました。それでも、A(D)のカッティングポイントを「10ポイント*以上上(下)回ったもの」としていました※3。これでは「相対評価」ではなくなります。「相対評価」にしたければ四分位数でも使えばいいことです。
 私たちは「個人学習プロフィール」が「相対評価」などというものを基軸にしていることを激しく批判してきたのですが、すみだ教育研究所は「相対評価の純化」のあゆみを続けました(しかも不十分に)。私たちとしては不本意でした。

今年度実施要綱
 ところが、今年、すみだ教育研究所は「相対評価」を止め、「絶対評価」にしました。私たちとしては「相対評価」を非難してきましたが、それは「絶対評価にしろ」と言っているのではなく、「相対評価」などに高い価値を置いているような「個人学習プロフィール」も「学習到達度調査」も止めろと主張していたのです。それでもすみだ教育研究所にしてはずいぶん思い切った変更ではありませんか。あれほど「相対評価がいい」と頑なに言い続けてきたのですから。
 私たちは実施要綱を一昨年度のものと対照しながら読んでいきました。あれ?何も変わっていない! 一ページ目は年月日以外の変更はありません。全五ページ約二百行中変更があったのはわずか十六行ほどです※4。さすが「一貫性」!
 
「相対評価」の放棄
 「1『個人学習プロフィール』の概要 (2)指導要録との関係 ア.評価について」で、「個人学習プロフィールに記録する『評価』も…領域別評価(絶対評価)になります」とあります。「領域別評価(絶対評価)」はちょっと意味がわかりません。「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」と書けばいいところですが、後で述べるように、なかなかそうは書けません。
 それでも明確に、「これまで、『個人学習プロフィール』に記録する『評価』は、学習到達度調査を受検した児童・生徒の中央値を『基準値』として、受験した当該学年のすべての児童・生徒の中での相対的な位置づけにより評価するものであり、『集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)』でした。しかし、」と述べています。

「絶対評価」になるとどうなる?
 大変なことが起きます。昨年度までは、
「集団に準拠した評価に関する情報は、
児童・生徒が自己の適性を知る手がかりとなったり、
学習に取り組む動機付けを得たり、
将来の進路を考えていく際の情報として活用したりすることで、
指導に生かすことが期待されます。」※8
 格調高く志もまっすぐ(彼らなりに)。これが全部吹っ飛んでしまいました。自己の適性を知る手がかり・学習の動機付け・将来の進路を考える際の情報が得られなくなってしまうのです※5! 
 吹っ飛んだ分、「絶対評価」にして何かメリットがあるかというと…それは書かれていません。「残念」です。すみだ教育研究所においても「個人学習プロフィール」をやる意味がいよいよなくなってきたのです。

指導要録との異質性薄れて
 もう一度章立てを見てください。「1『個人学習プロフィール』の概要 (2)指導要録との関係」とあります。(1)が「『個人学習プロフィール』の目的」ですから、「指導要録」を非常に意識していることが読み取れます。なぜでしょうか?
 「学校では、目標に準拠した評価を柱とする中で、目的に応じて集団に準拠した評価を活用し、児童・生徒を多面的に評価し、指導に生かすことが求められています」 絶対評価の指導要録だけではだめで「個人学習プロフィール」=「相対評価」を使わなければ「多面的に評価」できないと言っているのです。
 ということは・・・困った! 今年は「目的に応じて集団に準拠した評価を活用」できないんだから一面的になっちゃう!!
 もう一つ、すみだ教育研究所が推す「個人学習プロフィール」の存在意義は、指導要録との際立った異質性でした。評価の仕方と記載時期が異なるというところを強調しています。

指導要録            絶対評価   学年末記載
「個人学習プロフィール」   相対評価   年度途中記載

 だから、「1『個人学習プロフィール』の概要 (2)指導要録との関係 イ.記載事項について」では、
「学校では、指導要録と『個人学習プロフィール』を、二律背反ではなく、互いに補完し合うものとして扱うことが求められます。」
と、「二律背反」なんて言葉を使って格調高く宣言していたのです。絶対評価と相対評価の両輪論です。それでしつこく指導要録の説明をしてくれていたのです(私たち現場の教員にとってはいまさら「すみだ教育研究所」が「勉強」したことを書かれてもありがたみはなかったのですが)。
 今年度はどうなっているでしょうか。
「学校では、指導要録と『個人学習プロフィール』を、互いに補完し合うものとして扱うことが求められます。」
嗚呼…。時期の「補完」しかない…。
 先に述べた今年の「個人学習プロフィール」は「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」と書けないのは、「何だ、『個人学習プロフィール』も指導要録も『絶対評価』で同じなんだ…」とはっきりと思われたくないからです。

変更理由が情けない
 それでは、いったいなぜあれほど力瘤入れていた「相対評価」を下ろして「絶対評価」に変えたのでしょうか。私たち墨田教組の「鋭い追及」に耐えられなくなったからでしょうか!?
 その理由は 「1『個人学習プロフィール』の概要 (2)指導要録との関係 ア.評価について」にあります。
 「平成25年度から区学習状況調査における評価がいわゆる『絶対評価』に変更になったことに伴い、個人学習プロフィールに記録する『評価』も区学習状況調査の評価基準に準拠することとします。」 あらららら… しかし、ちょっと待って! 「区学習状況調査における評価」を「いわゆる『絶対評価』に変更」したのは、すみだ教育研究所ではないのでしょうか? 「変更になった」とあります。テスト会社が変わったので「変更になった」だけ=すみだ教育研究所・墨田区教委の意思なんて一つも入っていないのでしょうか? それは丸ごと投げかわしいことです。
 「相対評価だと一人ひとりの子どもの頑張りが見えない」「相対評価では努力しても評定が上がらない」…という意見があったのは風の便りに聞いています。しかし、今明らかにされなければならないのは、「平成25年度から区学習状況調査における評価がいわゆる『絶対評価』に変更」したのは何故なのか、すみだ教育研究所・墨田区教委はどういう理由であんなに「利点」の多い「相対評価」を止めたのか、もっとわかりやすく言えば、これまでの相対評価の反省をした上でなければ「絶対評価」に変えられないでしょうということです。

廃棄まであと一歩
 墨田の教育現場の「個人学習プロフィール」に対する「冷淡な態度・無関心」は確実にすみだ教育研究所を「個人学習プロフィール」廃棄の方向に押しやっています。教員はそう毎年毎年、無駄なことをしてはいられないのです。夏休みの半日だって惜しいのです。
 先に引用した昨年度までの文言「学校では、目標に準拠した評価を柱とする中で、目的に応じて集団に準拠した評価を活用し、児童・生徒を多面的に評価し、指導に生かすことが求められています」=「絶対評価を主にして相対評価も適宜使って多面的に評価し、指導に生かせよ」は、次のように置き換えられています。
 「学校では、単元ごとや学期末等の評価と比較して指導に生かすことが求められています。」※7 うわぁ、なんかすごく身近! 「個人学習プロフィール」と「指導要録」の織りなす壮大な世界から、「普段の評価」という「せこい」日常と「比較」するように求められているのです※7。昨年度までは「単元ごとや学期末等の評価」は歯牙にもかけられませんでした。でも、指導要領のことも書けないからと致し方なく出されてしまったのでしょう。だから、この部分以外にこの文言は出てきません。
 私たちは主張してきました。「年一回のテストでその子の『プロフィール』をおしはかることはできないですよ」「七月に結果が出るまで『具体的な教育活動や指導体制、指導方法、教材の工夫など』を考えないで三か月間やっていると思っているのかい?」「『個人学習プロフィール』と普段のテストの相関関係は高い」「『指導と評価の一体化』からは全く無意味」・・・。
 すみだ教育研究所はほんの一文ですが、私たちの「日常の教育活動」を「認め」ざるをえませんでした。「個人学習プロフィール」廃棄まであと一歩です。


※1 単純化して4人の得点が(10・9・8・3)であったとしたら平均は30÷4で7.25。すると3人が上位・1人が下位となる。

※2 例えば、2年国語言語事項 これにはBがありません。「区の平均値」は89.0点です。ところが、92.3点(1問間違えた!)子は平均到達度以上でもあるのにCとされています(2010年度)。

※3 A:「基準値」を上回る児童・生徒のうち、10ポイント*以上上回ったもの ●「基準値」が90%を超えるときなどは、10ポイントではなく5ポイントなどとすることもある。

※4 内6行は3(3)「個人学習プロフィール」の電子化について これは毎年「すさまじい進歩」があるから当然変更されるでしょう。昨年度は、それまで印字されたものをゴム印で転記していたものが、パソコンに転記できるようになった! 今年度は何と、毎日のようにたくさんのICT資料がやってくるようになった! きっと来年度は、すみだ教育研究所内で各学校のデータ入力と分析・手だてが講じられるようになるだろう。これが真の「事務処理の効率化」です。

※5 そもそも「相対評価」だとどうしてこれらのものが得られるのかよくわかりません。「君ねえ、国語言語事項の相対評価Dなんだからさ」に続けて、「適性はね、…」「将来はさ…」と「指導に生かす」ことを期待されていますが、絶対になりたくない教員の姿です。「あなた下から3番なんだからもっと勉強しなくちゃ!」 こんなものしか想像できないのはきっと私がさもしい教員だからでしょう…。

※6 これもちょっとすみだ教育研究所、勉強不足で、「評価即指導」なんて論があるのにはまだ達していないよう。

※7 2013年度要綱 1「個人学習プロフィール」の概要(2)指導要録との関係 ア.評価について
これまで、【「個人学習プロフィール」に記録する「評価」は、学習到達度調査を受検した児童・生徒の中央値を「基準値」として、受験した当該学年のすべての児童・生徒の中での相対的な位置づけにより評価するものであり、「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)」で】した。しかし、平成25年度から区学習状況調査における評価がいわゆる『絶対評価』に変更になったことに伴い、個人学習プロフィールに記録する「評価」も区学習状況調査の評価基準に準拠することとします。具体的には、A・B・Cの3段階により評価される領域別評価(絶対評価)になります。
 学校では、単元ごとや学期末等の評価と比較して指導に生かすことが求められています。
  ※ 【】内は2011年度要綱の引き写し 

※8 2011年度要綱 1「個人学習プロフィール」の概要(2)指導要録との関係 ア.評価について
 指導要録に記録する「観点別学習状況」は…「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)」です。一方、「個人学習プロフィール」に記録する「評価」は、学習到達度調査を受検した児童・生徒の中央値を「基準値」として、受験した当該学年のすべての児童・生徒の中での相対的な位置づけにより評価するものであり、「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)」です。集団に準拠した評価に関する情報は、児童・生徒が自己の適性を知る手がかりとなったり、学習に取り組む動機付けを得たり、将来の進路を考えていく際の情報として活用したりすることで、指導に生かすことが期待されます。
 学校では、目標に準拠した評価を柱とする中で、目的に応じて集団に準拠した評価を活用し、児童・生徒を多面的に評価し、指導に生かすことが求められています。

第49回市民文化フォーラム8・15集会
  日本国憲法をとらえ直す
発題者:鵜飼哲(一橋大)辛淑玉(人材育成コンサルタント)
  内海愛子(恵泉女学園大)中島岳志(北海道大)
8月15日(木)13時半〜16時半
日本教育会館8階第1会議室
    新宿線・半蔵門線神保町駅3分
    東西線竹橋駅。三田線神保町駅5分
 参加費一般1000円・大学生500円・高校生以下無料


 96条改定は憲法を簡単に変えるための魔法の杖。ナチスの授権法にも近い。憲法は時の権力者[政治的多数派]の思いのままになる。憲法の基本問題を現在の危機的状況をふまえたうえで、その存在意義ととともに再確認したい。様々な現場において憲法がはたす機能とそれが直面している諸問題を当事者としての視点から討論する。民主主義を守るための方法を憲法の基本理念に立ち戻りながら構想し、共有したい。 
下町脱原発学習会
「被曝量が少なければ悪影響はない!」
     本当ですか???
低線量被曝の危険
子どもたちの未来を見据えて
 「年20mSv/yは人体の影響はほとんどない」「(100mSv/yを基準として)これ以下の被曝は問題ない」専門家やマスコミのコメントが続きます。
 しかし、放射線はわずかな線量でも確率的に健康に影響を与える可能性があると聞きます。溶け落ちた核燃料、汚染水汚染、3〜40年続く廃炉作業、福島原発を抱え、本当のところを知りましょう。
8月8日(木)18:30〜
亀戸文化センターカメリアプラザ
   5階第2研修室
  JR総武線・東武亀戸線亀戸駅北口より西へ2分
崎山比早子さん
放射線被曝研究の第一人者
元放医研主任研究官・高木学校・衆議院特別委員会で参考人として「放射線の健康への影響について」意見陳述
主催 さよなら原発一千万人署名江東実行委員会





週刊墨教組 No.1718                     2013.7.25

権利アンケートから見えてきたもの
 権利を実現するために
    悪しき時代にあらがおう


 権利アンケートへのご協力ありがとうございました。忙しい中たくさんの方が協力してくれました。その中から見えてきたことを報告します。

とりにくい休暇
 年休(年次有給休暇※1)所得日数が一〇日未満の人が六〇%以上でした。夏休(夏季休暇※2)も五日間全部とれない人が一二%もいました。宿泊行事の相殺(時間外勤務の調整※3)が取れなかったと回答した人も二〇%もいました。取れない理由の一番は「多忙のため」でした。
 生理休暇※4については、取りづらいというだけではなく、そういう権利があることさえ知らない人が多いということがわかりました。

過重な時間外労働
 勤務時間の面でも、九〇%以上の人が、いつもオーバーワークをしていて、休憩すら取れていないという実態が確認できました。それどころか、(勤務のない)休日にも職場に行って仕事をしているという人が、六〇%にも上っていました。かなりの過重な「ボランティア=不払い」労働であるということが数字の上で明らかになりました。
 健康状態が良好と答えた人が七%に対して疲れていると答えた人が六一%でした。
余裕のない労働は人としての尊厳を奪う
 勤務の日常的なオーバーワークが常態化してきており、会議そのものを退勤時間近くから設定することに対しても無感覚になっているという状況があります。働き過ぎによって、教職員のストレスがたまり、そのことによる体調不良、職場での協力協働の体制も崩れてきているのではないでしょうか。自分の仕事をこなすのに精一杯でとてもとなりの人のことまでは、・・・。
 かつて、退勤時間が四時だったころ、職員室にも教室にも笑いと話題が溢れていました。「今とは時間の流れがちがう」「古き良き時代のできごとさ」と過去に葬ってしまっていいことでしょうか?

人権のないものに教育はできるか
 一人ひとりの子どもたちの個性を大事にする教育をする前に私たち教員の人間としての尊厳を奪われているのです。そんな私たちに、子どもたちの人権を守って、個性豊かな教育ができるのでしょうか?
 このままでは、教員と教育が壊れていきます。そこを狙って、戦前の「国定教育」に戻そうとする論が復活しているのです。
 教員が自己のヒトとしての働く誇りを捨て、思考停止していくならば、ロボットのように子どもたちを「教育」していく日はそう遠くはないように思えます。どうしてそうなっているのか、そうならないために「今」を検証し批判し軌道修正していく必要があります。

働く者の権利を実現しよう
 自由記述欄には、「無駄な書類作成が多過ぎる」「パソコンに縛られて気が付いたら九時近くなっていた」「研究発表校となるとさらに忙しさに拍車がかかっていっている」など叫びにも似た声が寄せられていました。どの学校の誰もが思い当たることです。そこのところをもっと分析して、本当にやるべき仕事を全力でやっていけるようになるといいなと思います。

※1 年次有給休暇
 労働基準法第39条に年次有給休暇付与が定められています、これは労働者が身体および精神的に休養がとれるよう法律が保障した休暇です。Wikipediaには次のような記述があります。
低い有給休暇取得率の原因と対策
 日本は最低賃金の低さ、労働時間の長さ、有給休暇・休日の日数のどれをとっても先進国中、最低の部類であり労働水準に関しては未だ発展途上である。
 厚生労働省の「平成16年就労条件総合調査の概況」によれば、1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除いたもの)は、労働者1人当たり平均18.0日であるが、そのうち実際に労働者が取得した数はその半分にも満たない8.5日であった。この要因としては、日本では休暇消化を容易にするための人員構成が「経営効率化や人材育成の面で無駄が多い」として導入に反対している経営者が多いうえ、労働者の側にも有給休暇の取得をためらわせる様々な事情が絡んでいるためではないか、と言われている。
 職場の雰囲気や事業主・経営者など使用者側の意向などの理由により、労働者の権利として法的に認められているはずの有給休暇の取得をためらわせたり取得しづらい労働環境などは労使交渉で解決するべきものであるが、労働者が有給休暇を申請したときに有給休暇を取得できる状況であるにもかかわらず使用者側が有給休暇の取得を認めない場合は使用者側の労働基準法違反として労働基準監督署へ相談、申告したり告訴する手段もある。
 厚生労働省は日本の労働者における有給休暇の取得率の低さを問題視し、うつ病や過労死、過労自殺に繋がる大きな要因であると危惧しており、労働時間の短縮や有給休暇の取得を事業主に促進する取り組みを定めている「労働時間等の見直しガイドライン」の改正を公示し、2010年4月1日から適用された。ただしこれは努力義務のみ定めたもので強制力はない。

※2 夏季休暇
日数は5日間です。新採者や産・育休代替者等臨時的任用職員もこの期間在職していれば付与されます。複数の雇用期間があってもあわせて5日です。ただし、再任用短時間勤務職員は4日、非常勤教員と再雇用職員16日勤務者は3日です。
一部に「夏季休業中に限ってとれ」という管理職がいますが、利用できる期間は条例で決められています。
 利用する単位は原則として5日間連続ということになっています。しかし、連続利用が困難な場合は1日単位でも利用できます。半日単位や時間単位の利用はできません。このようなとり方をした場合でも1日分を使ったことになります。都は、年休やリフレッシュ休暇と連続し概ね1週間以上の長期休暇として利用するよう、指導しています。

※3 時間外勤務の調整(相殺)
 教員は超過勤務手当を措置されていないので、給特法の中では超勤を行った場合は事後に当該時間数を相殺(調整)することが確認されています。
(学校行事に関する業務)に関して時間外勤務をさせた場合には、原則として実施した週に調整するものとするが、やむを得ない場合には、実施した週を含む4週間を通じて、1週間の勤務時間が38時間45分になるよう調整するものとする。
 なお都教委は従来から「調整に当たっては、一日は調整日とすることができる。この場合出勤簿は『調整』と記入する」という指導をしています。また、修学旅行の場合のモデルとして図を例示しています。管理職の中には、実際の超勤時間に関わらずこのモデル通りの時数しか調整しないと言う方がいます。これは単なるモデルですから、実際に行われた超勤はその実時間が調整されるべきです。

※4 生理休暇
 生理日の勤務がいちじるしく困難な女子職員が請求した場合には、生理休暇という特別休暇が認められます。休暇の性格上医師の診断書などは必要ありません。
 勤務が困難な状態であるかぎり日数に制限はありませんが、1996年4月から、給与85が保障されるのは1回につきひきつづく(週休日などを含む)2日までと改悪されました。3日目以降は病休扱いになります。給与以外でも、2日までは、これを行使したことによる不利益はありません。
 生理休暇は日を単位として承認されます。午後など半日や時間で生理休暇を利用することも可能ですが、1日と数えます。


山本太郎氏とともに
  希望を支える 私たちは一人ではない


参院選はおわる
 参議院議員選挙の歴史的に極めて重要な軸は「憲法」と「原発」でした。が、この二つに巧みに煙幕を張りこれをぼやかした政権党は見事に「大躍進」をはたしました。選挙が終わったとたんに「実は汚染水が海に漏れていた」なんて言う「とんでもないニュース」が公表されます。
 「与党圧勝」は十五万人の福島の人々が故郷から追われ「仮」の生活を強いられていることよりも、「アベノミクスで経済活性化」の方を重要と考えるのですから、経済が経世済民であるという視点はありません。「強欲(銭ゲバ)資本主義圧勝」です。これは原発を五四基も作ってしまったこの半世紀の日本の論理であり今に始まったことでない…と思ってしまうところが悲しい。

憲法は実現されなければならない
 私たちは福島の問題を経済の問題ではなく人権の問題として、憲法の問題として捉えます。憲法については、私たち墨田教組は、長きにわたり憲法改悪の動きを注意深くうかがい、国民主権・基本的人権・平和主義の実現を目指してきました。「教育の憲法」といわれた教育基本法が改悪されようとした時も、私たちは精力的に反対運動を展開してきました。東京教組東部による夏季教研で講演いただく大内裕和さんにはその頃、国会前でよくお会いしました。激しく鋭いアジテーションに勇気づけられました。
 自民党憲法改正草案は、野党時代に作られたものだからかなり「杜撰」とも言われていますが、いやしくも公党が策定したものです。私たちは、その内容を把握・理解し、批判していきます。

脱原発へ
 福島県自民党は県内全原発廃炉を訴えています。応援したいものです。しかし、自公政権は、長期的方針はいずれ決めるとあいまいにしつつ、ひたすら再稼働と海外輸出をめざしています。福島県自民党の訴えをどう受け止めているのかは曖昧なままです。
 多くの政党、候補者は脱原発を訴えました。しかし、あまりに分散してしまい当選は果たせませんでした。かつて「大躍進」した政権党はようやく「脱原発」と弱弱しくつぶやきましたが、この二年間の迷走と裏切りとにより完全に見放されました。脱原発の結集軸になることなど望むべくもありませんでした。
 
十二%は確実に脱原発
 山本氏はその中で六六万票を得て当選しました。投票総数は五七〇万票。全都投票者の十二%が山本氏に票を入れました。各区市町村別でみても、どの市区町村もおよそ十一〜十三%の枠内です。地域的偏りはありません。地域の利害、地域の特殊性を代表しているわけではないということです。
 順位(「学力テスト」でみな大好きな)で言えば、五人区東京で山本氏は四位でした。が次の市区町村では二位でした。
目黒区・世田谷区・渋谷区・杉並区・三鷹市・三宅村・御蔵島村・小笠原村
 墨田区で山本氏は、丸川氏(自民)二十%・山口氏(公明)十七%に次ぐ十二%を獲得して三位です。投票者の八人に一人は脱原発を第一に考える人です。

都民とともに希望を
 山本氏は選挙戦の中でTPPについても語りましたが、それはどの政党のTPP反対論のアピールより弱いだろうと失礼ながら考えます。山本氏は「タレント」ですが「タレント候補」ではありません(タレント性だけで売れるほどのタレントではありません…失礼)。
 彼の存在はまさに反原発そのものです。反原発だけです。
 かつて自称頑迷老人を行政の長として選出し続けてかなり嘲笑されていた東京都民ですが、山本氏を選出したことによって極めて高い評価を受けています。福島の安全と正義を、遠く離れた一般的に「利害関係が特にある」とは言えない東京の住民が、脱原発と福島を第一に考える山本氏を高く推したということは称賛されるべきことです。希望です。私たちはいたずらに絶望することなく、都に住む人々とともに、山本氏とともに希望を広げていこうと考えています。

下町脱原発学習会
「被曝量が少なければ悪影響はない!」
     本当ですか???
低線量被曝の危険
子どもたちの未来を見据えて
 「年20mSv/yは人体の影響はほとんどない」「(100mSv/yを基準として)これ以下の被曝は問題ない」専門家やマスコミのコメントが続きます。
 しかし、放射線はわずかな線量でも確率的に健康に影響を与える可能性があると聞きます。溶け落ちた核燃料、汚染水汚染、3〜40年続く廃炉作業、福島原発を抱え、本当のところを知りましょう。
8月8日(木)18:30〜
亀戸文化センターカメリアプラザ

   5階第2研修室

  JR総武線・東武亀戸線亀戸駅北口より西へ2分
崎山比早子さん
放射線被曝研究の第一人者
元放医研主任研究官・高木学校・衆議院特別委員会で参考人として「放射線の健康への影響について」意見陳述
主催 さよなら原発一千万人署名江東実行委員会

東京教組東部夏季教研
 市田真理さん
  「第五福竜丸」が今問いかけているもの
 大内裕和さん
  参院選後の教育課題
8月22日(木)
9時半〜16時
すみだ女性センター2階

    東武線「とうきょうスカイツリー駅」徒歩7分
  京成・都営浅草・半蔵門線「押上駅」A3徒歩5分
 市田さんは都立第5福竜丸展示館学芸員・中央大学兼任講師。元乗組員大石又七さんが高齢を押して核兵器・原発廃棄を訴えるあゆみに寄り添って核の脅威・放射能汚染の恐怖を啓発している。
 大内さんは中京大学教授。教育基本法改悪をなした安倍=自民党政権の「復活」によっておこる教育「再生」の嵐の本質と、私たちがそれにどう有効に対していくかを教示いただく。諦めないで前に進んでいくための学習会です。どなたもご参加ください。



週刊墨教組 No.1717 2013.7.10

憲法を実現しよう
 これ以上悪くさせないため

 憲法がないがしろにされている世界は、東京では「リアル」に観察できます。東京都教育委員会の一〇・二三通達から今に至る一〇年に及ぶふるまいです。立たせ歌わせ罰し黙させ…。憲法では「検閲」はしてはいけないのですが、「公の秩序」=「おらが秩序」に反するので、「採択するな」と「決議」しました。まさに王たるにふさわしいふるまいです。

「二重検定おかしい」都立高教師ら反発 実教出版日本史
2013年6月28日 東京新聞朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013062802000112.html

 東京都教育委員会が、実教出版の高校日本史教科書について「都教委の考え方と異なる」と指摘し、都立校で使用すべきではないとの見解を示した問題。国の検定を通った特定教科書を名指しで排除する異例の手法に、教育現場などから怒りや反発の声が上がった。(中山高志)
 都教委が二十七日の定例会で議決した見解は、今年の教科書採択の対象となる実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」について「国旗国歌をめぐる『自治体で強制の動きがある』という記述が、都教委の考え方と異なる」と問題視。「都立高校などで使用することは適切でない」と結論づけた。
… 同様に都立高校で日本史を教える鈴木敏夫さん(64)も「国が検定を通し事実と認めた記述を都教委が否定し、その教科書を使わせないのは『二重検定』に当たる」と批判する。
 実教出版の編集責任者は「事実であれば大変残念」と言うにとどめたが、出版労連教科書対策部の吉田典裕部長(54)は「憲法が保障する出版の自由の侵害」と強く反発する。
 一方、都教委高校教育指導課の江本敏男課長は「各校で教科書選定作業を適切にやってもらうことが狙い。採択権を持つ都教委が、採択の具体的な考え方を示すことはあり得る」と説明している。
 教科書は、使用する前年にそれぞれの高校が選び、その報告を基に教委が採択する。教委は通常、高校については学校の選択を尊重して追認している。
 都教委が「不適切」とした二つの教科書のうち「日本史A」は昨年も採択対象だった。都教委は都立二百三十三校のうち、採択に当たる十七校に「実教版は都教委の考え方とは相いれない」などと非公式に連絡し、結果として全校が実教版以外を選択した。もう一冊の「日本史B」も対象に含まれる今年は、都教委が昨年より露骨に踏み込んで公の見解を出した形で、採択にかかわる都立校は延べ百九十四校に上る。

◆教委の職権乱用
 高嶋伸欣琉球大名誉教授(社会科教育)の話 教科書検定を通った記述が、自らを批判する内容になっているからといって、選定をやめるよう通知するのは教育委員会の権限を越えている。見解の相違があるなら、選定した高校に対し誤解のない指導をするよう伝えればよく、職権乱用だ。昨年は高校に電話で懸念を伝えたが、メンツのために正式な通知にしたのではないか。高校の教科書は無償ではなく、家庭が負担するので、不適切な採択方法に異議を申し立てる保護者もいるかもしれない。


■「平成26年度使用都立学校用
 教科書についての見解」■

 都教育委員会は、各学校において、最も有益かつ適切な教科書が使用されるようにしなければならない責任を有しており、教科書の採択に当たっては、採択権者である都教育委員会がその責任と権限において適正かつ公正に行う必要がある。
 平成26年度使用高等学校用教科書のうち、実教出版株式会社の「高校日本史A(日A302)」及び「高校日本史B(日B304)」に、「国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」という記述がある。
 平成24年1月16日の最高裁判決で、国歌斉唱時の起立斉唱等を教員に求めた校長の職務命令が合憲であるとみとめられたことを踏まえ、都教育委員会は、平成24年1月24日の教育委員会臨時会において、都教育委員会の考え方を、「入学式、卒業式においては、国旗掲揚及び国歌斉唱について」(別添資料)にまとめ、委員総意の下、議決したところである。
 上記記述のうち、「一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」は、「入学式、卒業式等においては、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導することが、学習指導要領に示されており、このことを適正に実施することは、児童・生徒の模範となるべき教員の責務である。」とする都教育委員会の考え方と異なるものである。
 都教育委員会は、今後とも、学習指導要領に基づき、各学校の入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されるよう、万全を期していくこととしており、こうした中にあって、実教出版株式会社の教科書「高校日本史A(日A302)」及び「高校日本史B(日B304)」を都立高等学校において使用することは適切ではないと考える。
 都教育委員会は、この見解を都立学校等に十分周知していく。
 都教育委員会は、委員総意の下、以上のことを確認した。
 平成25年6月27日 東京都教育委員会

「根津公子の都教委傍聴記(6/27)〜教科書選定に介入、気に入らない教科書は排除」よりhttp://www.labornetjp.org/news/2013/0627nezu


福島の人権は守られているか?
   当たり前のことを当たり前に言おう

子どもたちの甲状腺異常

遅い検査
 福島県民健康管理調査の二〇一一・二〇一二年度分結果が出たことは、先々号で紹介しました。よりわかりやすくするために、左表をつくりました。
 Aが福島県の子どもの数です。今年度(三年目)は会津が中心ですから、Bは主に被曝の多かっただろう浜通り・中通りでの一次検査をした子どもたちです。この表には出てきませんが、検査対象者の二〇%弱はまだ未検査です。一次検査の結果、D「B・C判定者」が「二次検査」を受けます。〇・六%です。が、そのうち、E「二次検査終了者」は約三分の一だけです。これは三年目というのに遅いと言わざるを得ません。
 
い発現率
 G「悪性」=甲状腺癌が見つかった子はこれまでに十二人です。検査した子どもの〇・〇〇六八%で、これは「一〇〇万人に六八人」ということになります。これまで子供の甲状腺癌は「一〇〇万人に一から二人」「一〇〇万人に三から五人」などと一般的に言われています(「不確定なのは、「学者の怠慢」だけとは言えません。「インフルエンザの感染率」などと違って、そう滅多に起こらないことだからです。むしろそのことの方が重大です)。それに比べても「桁違い」の数です。Iは、福島全域の子どもたちではこの程度の甲状腺癌になるかもしれないという数です。先に述べたように、残りの多くは線量の低い地域ですからこれより少なくなるでしょう。でも、今の「一〇〇万人に六八人」がそれによって薄まることはありません。

恥ずべき「解釈」
 検査を急ぐこと、追加の検査や対策を早急に行うこと…が、今必要です。ところが、行政はなんやかんやと「解釈」をほどこして、「なかったこと」にしようと努力します。
「チェルノブイリでは四〜五年経ってから甲状腺癌が見つかった(から原発事故影響以前だろう)」「機器の性能が良くなったから発現率が上がった」「乳児が多く発症したチェルノブイリ事故とは明らかに様相が異なる」「最新の超音波機器を用いて専門医が実施したうえでの発見率。想定の範囲ではないか」等々
 そうかもしれませんが、そうでないかもしれません※1。おそらく誰も確定的な事は知らないでしょう。
 しかし、「わからない」ことをもって「安全側を排除する」根拠にすることは許されません。恥ずべきことです。

※1多様に解釈される例
岡山大学大学院津田敏秀教授、「検査によって多く見つかる傾向があるとはいえ、(十二人は)明らかに多発と言える。事故後に発症したがんが、検診によって早い時期に見つかった可能性もある。原発事故との関係を念頭に、対策を強化するべきだ」


危険を十分認識しつつも
 避難する権利を認めない仙台高裁判決

判断@「郡山で暮らすことは危険だ」
 ふくしま集団疎開裁判は、六月四日、仙台高裁判決が出されました。それは非常に「奇妙な」判決だと言います。ホームページから抜粋します。
 まず裁判所は、次のように「裁判所の判断」を下します。
(1)、郡山市の子どもは低線量被ばくにより、生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される、
(2)、除染技術の未開発、仮置場問題の未解決等により除染は十分な成果が得えられていない
(3)、被ばくの危険を回避するためには、安全な他の地域に避難するしか手段がない
 もう完全な勝訴です。今の状況で郡山で公教育を行うのはよくないのです。

恥ずべき「判断」A
 ところが、主文は「却下」です。いったいどういう手を使ったのでしょうか。
・「子どもたちの生命・健康は、現在直ちに不可逆的な悪影響を及ぼす恐れがあるとまでは証拠上認め難い。」
・子どもたちが住んでいる郡山市は線量高い。「学校外においても、日夜間断なく相当量の放射線にさらされいることにな」っているんだから、学校を1mSv/y位下のところにしろなんてことを言う権利はないよ。
・「現に、郡山市の学校施設で教育を受けている生徒がおり」
・「子どもたちは、自主避難すれば、避難先の市町村の学校が受け入れてくれるから、それで放射線障害から解放されるという目的は十分に達成できるはずである」
 それは詐欺としか言いようのない恥ずべき「論」です。
 私たちはこれはおかしいと言い続けます。どうかみなさんも、このこと、あのこと…つまり福島のあらゆることを、あなたなりのやり方で人々に伝え続けてください。それが、福島の・私たちの人権を守ることです。
8月22日(木)東京教組東部地区
夏の教研集会(墨田教組含む)
すみだ女性センター

講演 大内裕和さん(中京大学教授)
『教育基本法改正論批判―新自由主義・国家主義を越えて』(白澤社、2003年)

高橋哲哉共著『教育基本法「改正」を問う―愛国心・格差社会・憲法』(白澤社2006年)
政治状況とのかかわりを的確にとらえ、私たちの進む方向を示唆してくれます。どなたもおいでください。




週刊墨教組 No.1716                 2013.7.3

沈黙の福島 職員室の沈黙


沈黙を強いられる福島

 福島では、放射線・被曝について語るのは、「難しい」ことのようです。それについての判断を一言もらせば、それは直ちに現実と衝突し、自己を切り裂き、人と人との関係が直ちに引き裂かれるからだといいます。もちろん、口に出さなくてもこの悲劇は起こります。だから、言わない(ようにする)・考えない(ことにする)。収束していないのに「収束」と宣言され、放射線管理区域にあてにならない「除染」の約束だけで暮らす人々が、「日常」を生きるためには「沈黙」を強いられるのです。
 原発事故を「たいしたことではなかった」と思えばいい、それを「無かった」ことにすればいい…。

職員室の沈黙
 六月末、成績率によるボーナスが支給されました。
 明細票のどこを見てもいくら減らされたか分かりません。一律、〇・〇一月分「拠出」されたということも出てきません。もちろん、徴収額は号数によって違うので同額ではありません。昨年は計算に入っていた扶養手当がなくなったということもこの票からはわかりません。
 つまり、「勤勉手当への成績率導入」のことを校長から説明されていない方にとっては、昨年度の明細票と比べるか、自分で計算するかしなければ、「何もなかったように」ボーナスを手にしているのです。

中位は無視されたか?
 先日の区教委との話し合いで、「給料に関することだから、上位・下位だけではなく、全員に告知して欲しい」と要請しました。それを受けて、指導室長は全員に告知するのが望ましいと各学校長に指示したようです(「望ましい」ではなく「必ず全員に告げること」であるべきだと思いますが)。各校で校長たちは、全教職員に成績率のランクを告知したでしょうか? 言っても言わなくても金額に変化があるわけではない…と、サボッた管理職もいるようです。そう、放射線量について、言っても言わなくても線量が変化するわけではないのと同じように。
 室長の「望ましい」ことはどこまで行われたでしょうか。ぜひ、各学校での実態を知らせて欲しいと思います。

沈黙を破る
 沈黙が不愉快の表現であったとしても、沈黙は反撃の基盤にはなりません。沈黙の下では何が行われたかわからないからです。沈黙は破られなければなりません。何も進みません。始まりません。
 来年度は、今年上位にならなかった四〇%の方が上位になるべきです。
 三年後にこの制度についての検討会があります。この制度が教員のモチベーションをあげ、やる気を起こさせるものに繋がっているのかどうか? を検証するのです。その基礎データは、今年・来年・再来年、誰が上位・中位・下位であり、それで「やる気になったか」です。
 「わたし」の情報は「個人情報」ですから、他の何人も公言することはできません。しかし、「わたし」の情報を私が言えないとしたら、私は「わたし」の主体ではありません。 

 福島の人々が声をあげるのが難しければ、私たち東京の人間が言えばいいのです。福島という「実感」も「体験」もいらないでしょう。私たちも十分に放射線の恐怖と害に襲われていますし、「沈黙を強いられる屈辱・職員室の沈黙」を経験しているからです。


高市発言はすごい!  人より金 政より経

 どのような被害者がいるという事実認識を正確にはもっていなかったことがはっきりわかります。驚くべきことです。
 しかし、それ以上に高市発言の「すごい!」ところは、「原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働中のコストは比較的安い」の部分です。今直ちに廃炉にすると、廃炉費用をすぐに払わなくてはならないが、稼働させていればそれを「とりあえず」支払わなくても済む。むしろ金を生む。たとえ危険性があってもだ…。「最大限の安全性」は「絶対安全」と同じように「想定外」に裏切られるでしょう。
 「いつか」廃炉になる時には莫大なお金がかかることはわかっているけれども、それは「今」であってはならない。とりあえず「先送りする」。これまでの原発の基本路線を、恥ずかしげもなく、あからさまに見せてくれたところが何よりすごいところです。

■高市氏発言の要旨
(東京新聞)
 【十七日】日本に立地したい企業が増えているが、電力の安定供給が不安要因だ。原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働中のコストは比較的安い。東日本大震災で悲惨な爆発事故を起こした福島原発も含めて死亡者が出ている状況にない。そうすると、最大限の安全性を確保しながら(原発を)活用するしかないのが現状だ。火力発電も老朽化し、コストがかかる。安いエネルギーを安定的に供給できる絵を描けない限り、原発を利用しないというのは無責任な気がする。(神戸市での講演で)


憲法を実現しよう   これ以上悪くさせないために

 憲法が「国を縛るもの」だとすれば、国・政府・権力をもつ者は、権力の専横に歯止めをかける立憲主義の憲法から逃れることが、永遠の夢でしょう。人類の「長い歴史と固有の文化」のなかで「独裁」を実現したものは強力な権力を「自国民」に行使しました。
 権利を守るためには、闘わなくてはなりません。「黙っていても権利が守られる」という時代ははるかかなたに過ぎたのです。声を出し、行動し、何よりも表現しなくてはならない時代になったのです。
 「職員室の沈黙」も「沈黙の福島」も、憲法違反状態の現れです。誤った「秩序」はただされなければなりません。人権は守られなければなりません。現憲法を生かし実現していかなければなりません。
 憲法が踏みにじられた様は、東京では教育界において「リアル」に観察できます。(以下、次号に続く)



米国で原発の廃炉相次ぐ 老朽化や「シェール革命」で採算悪化
 全米104基の原発がついに100基を切る水準にまで減ってきた
 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 全米の原発は電力の約2割を生産しているが、天然ガスが急速に延びてきて、2006年には2割と、原発と同水準だったものが現在ではもう3割に達している。その反面、原発は廃炉になるものが次々に現れている。
○廃炉が決まった原発
 ドミニオン社のキウォーニー原発(ウィスコンシン州)2012年10月22日
 デューク・エナジー社のクリスタルリバー原発(フロリダ州)2013年2月5日
 サンオノフレ原発2、3号機2013年6月9日
の廃炉が決定された。…今後も増える話は無く、2019年にエクセロン社のオイスタークリーク原発(ニュージャージー州)を廃炉にすることが既に決まっている。
 理由の一つは採算性の悪化である。数年前には原発の老朽化に伴う廃炉に対して、新設原発で埋める方針だった。それを米国の「原子力ルネッサンス」などと称していた。およそ「原発の復興」にはほど遠く、元から廃炉になる出力分を補填する程度の規模しかなかったのであるが、それに対しても採算性に問題が生じてきた。理由の一つには福島原発事故以後の規制強化、安全対策の見直しにあるだろう。さらにシェールガスの生産増大に伴う天然ガス価格の低下で、コストが増大する一方の原発に対して、天然ガス火力の価格が急激に低下したことでも拍車が掛かった。
 採算性を失った典型例はキウォーニー原発で、もともと40年を超えて運転するための認可手続きを終えて10年延長された後に売りに出されていたが、買い手が付かずに廃炉が決定された。
 費用をかけて安全性の向上をしても買い手が付かなかったのである。
 クリスタルリバー原発は格納容器にひび割れが発見され、2009年から運転を止めていた。その補修にかかる費用を考えると採算に合わないことが明らかとなり廃炉を決めている。

第9回 国分一太郎「教育」と「文学」研究会
山形県東根市 さくらんぼタントクルセンター
7月20日(土)13:30 わが町ひがしね一太郎
 映像で見る国分一太郎/作品の朗読と音楽
 特別報告「生活綴方の光を現代へ」 ―「明日を紡ぐ若者たち」
を上梓してー 安孫子哲郎(元山形県高校教諭)
 17:00〜 墓参・交流会
7月21日(日) 9:00 研究報告・分科会
 「見つめる 気づく つながる」〜1ねんせいのつづりかた〜
 渡辺由佳
 国分一太郎学芸大学講義から学ぶ―3―生活綴り方擡頭までの諸問題ー
田中定幸(国分一太郎教育と文学研究会)
 「明日へジャンプ・聞き書きで」〜2年生・ここまでの成長を確かめる
榎本典子(豊島作文の会)
 「『いつもあること』を説明風に書く指導にとりくんで」 
佐川紀子(綴方理論研究会)
 13:00 記念講演・全体会
  「ずぶんのあだまで考えろ」―私が「山びこ学校」で学んだこと―
佐藤藤三郎(無着成恭の「山びこ学校」の卒業生)
研究会参加費1000円 宿泊代11500円(交流会費用・昼食代を含む)
問い合わせ・参加希望の方はЁax 048-256-1559まで
宿泊希望の方は7月6日(土)までに
http://blog.goo.ne.jp/sadayuki1945/e/ce42e28ca13a0a5d6f3da7299a9891da

女性教職員のための夏の講座
 2013年7月21日(日)
     10時30分〜16時30分
 日本教育会館  7階 703会議室
     千代田区一ツ橋2−6−2
@ 見直そう! 私たちの働き方   
A 「誰でもわかる『アベノミクス』の真実」    講師 中野麻美さん(弁護士)
B DVD「対談 女性たちにとっての日本国憲法」
ベアテ・シロタ・ゴードンさんと土井たか子さんが語る 日本国憲法の現在とこれから
  主催  東京教育文化研究所
私たちは、健康で働きやすい職場を作るためには、今女性教職員のおかれている職場環境がどうなっているのかを知り、学ぶことが重要と考えています。…弁護士の中野麻美さんに「アベノミクス」と労働者の現実についてお話していただきます。
 また例年行っている権利要求アンケートの集約結果の発表、DVD「対談 女性たちにとっての日本国憲法」でベアテ・シロタ・ゴードンさんと土井たか子さんの対談の視聴も行います。
 二学期にむけて元気に過ごすためにも、女性教職員の課題を共有化し交流を深め、英気を養いましょう。


週刊墨教組 No.1715            2013.6.30

六月四日 墨田教組執行委員会
  墨田区教委に緊急提言
 私たちの課題は何か (2)

放射線から子どもを守る
私たちが今でも悔しく深い反省をもって思い出すのは、二〇一一年三月のことです。あの時、今では誰でも知っていますが、東京にまでヨウ素・セシウムの雲がやってきていたのです。福島原発で重大な事故があったらしいことはニュースでもわかっていましたし、メルトダウンという言葉も出ていました。しかし、「政府発表=直ちに影響はない云々」に、確信がもてないまま執行委員会として放射線への対応をとれなかったことです。雨に濡れて平気で遊んでいる子に、凛とした教育を学校という組織でできませんでした。私たちはそれをやらせなければならなかったのです。その時、福島では、寸断された連絡網の中、教職員組合から放射線除法が流されていたと言います。

学務課の計測
 昨年度着任された学務課長は、前向きに放射線被曝から子どもたちを守ろうとしているようにみうけられます。私たち墨田教組や放射能から子どもを守る会の方々、地域の保護者からの要望もあり、放射線量計を購入されたそうです。四月には自ら、粟野・日光について学務課として独自に線量を測りに出向かれました。その結果は誰でも見られるようにと、教育委員会学務課のページに公開されています※1。
※1
http://www.city.sumida.lg.jp/kakuka/kyouikuzi/gakumu/info/housyasen.html
区のトップページからの「放射線関連情報>放射線量等の測定結果」ではなく、「各課のページ 教育委員会事務局 学務課 お知らせ 小学校の宿泊行事実施場所における空間放射線量等の測定結果についてお知らせします 」

 給食についても昨年度同様に測定を続けます。ヤゴ採りについては、要望があった学校にはその前後に測定に出かけたとのことです。放射性物質からの悪影響が子どもたちにないよう、測定・対策を練っています。

福島も放射線も忘れない
 放射線は、「見えない・におわない」ので、そこにあってもまったくわかりません。「ない」ことにしてしまうのも簡単なことです。しかし、一度放出された放射性物質は、何十年も何百年もそこに漂っています。風に吹かれて私たちの周りをぐるぐると回って、決して消滅などしないのです。
 福島の子どもたちに体調変化・体調不良が出始めています。※2 このことも政府はないことにしようと躍起になっています。私たちは福島の出来事を決して忘れてはいけません。放射性物質がもたらす害について、もっと知っておく必要があります。「フクシマに対する差別」とは、将来のことではありません。今まさに私たちが知らないこと・福島の人々が被曝の不安を考えないようにさせていることです。そして私たちの使う電気を作る場所を危険だからと福島に押し付けたことです。

被曝の不安のない未来をつくる
 今、墨田区は、区として線量を測定しています。「みえない・におわない」放射線は測定して初めてわかるものです。逆に言えば、原発を推進しようとするには、放射線の心配をさせないようにする、測定しないことにすればいいということになります。測定は重要です。
 私たちは、目の前にいる子どもたちの未来をより豊かで不安のないものにするために、無知であってはなりません。無力感をいだいてさぼってはなりません。
 数十年後かに、私が教えた〇〇ちゃんも□□ちゃんも癌で死んでしまった…それはあの時の放射能が原因だった…あの時、声をあげていれば…という後悔を絶対にしてはなりません。たとえ今は小さな声でも、大きくしていかなければなりません。

竹箸作り用竹の検査結果(あわの自然学園)
セシウムCs-134,Cs-137合算値 82.41 Bq/kg
鹿沼市放射能対策室に検査を依頼いたしました。竹については国の基準値が定められておりませんが、食品の基準値が100Bq/kgであること、竹は食品ではなく、体内に取り込む訳ではないことから、竹箸作りに使用することに問題はないと判断いたしております。(学務課ホームページ)

 学務課ホームページに載せられている竹の線量は高いけれども、区の判断は「問題はない」です。それはそれで一つの選択です。しかし私たちがこれをどう評価するかはまた別の問題です。3年前に粟野の竹の線量を測ることはなかったでしょうからどれほど増えたのかはわかりません。でも、おそらくこれほどは高くなかっただろうと想像します。確かに食べ物の基準値は100Bq/kgで箸をバリバリ食べるわけではありません。でも、そもそも基準値は子どもの場合1/10ほどであるとの意見もあります。また、その竹を使う活動をわざわざしなければならないのか…という、数値ではない活動への判断もあります。
 区は情報を公開しました。「区がいいと言っているからやっていいんだ」という立場は、これほどすべてが不確実になっている時にあまりに傲慢で怠慢です。私たちは、子どもたちの教育と未来に責任をもつ者として、この情報をもとに、学校・保護者・子どもであるべき活動を判断しなくてはなりません。


提言C予測される巨大地震・深刻化しつつある福島原発事故に対応して、児童・教職員の安全を図るための施策を緊急に行うこと。
・各学校が児童生徒・保護者に対応できるように、必要な機材(空間放射線量計)を配置すること。また必要な知識を備えること。
・さらにきめ細かく各学校で継続的に放射線量を測定・調査し公開すること。区内にある雨水利用施設にある汚泥の放射能量を計測し、雨水利用システムへの信頼を回復すること。
・区としての明確な基準値を、すべて50cm・5p計測で0.25μSv/hとし、基準値を超えた場合には放射性物質を子どもたちの暮らす場から除去すること。
・放射線量の高い地域での移動教室・宿泊学習・校外学習を控えるために、新たな施設を探すこと。
・原発事故からの安全教育・脱原発教育を進めること。
・これまでと違った災害の想定(例えば放射能雲の再来)・避難訓練の在り方など、学校での対応を具体的に決めるために、まず、区教委としての防災対策を策定すること。
・脱原発の視点から電気使用量の削減を図ること。



※2「福島の子ども、12人甲状腺がん」の謎 がん発見率は定説の85〜170倍、なのに原発事故と無関係?http://toyokeizai.net/articles/-/14243 6月9日 東洋経済オンライン
■12人の子どもが甲状腺がんの診断、別途15人が疑い
2011年3月の原発事故時に0〜18歳だった子どもを対象に実施されている福島県による甲状腺検査で、これまでに12人が甲状腺がんと診断された。12人とは別に、甲状腺がんの疑いのある子どもも、15人にのぼっている。これは、6月5日に福島県が開催した「県民健康管理調査検討委員会」(星北斗座長)で報告された。…「通常、小児甲状腺がんが見つかるのは100万人に1〜2人程度。…
■がんの発見率は、定説の100倍以上にも
だが、今回の調査で甲状腺がんが見つかった子どもの数は「100万人に1〜2人」どころか、その85〜170倍にものぼる。…鈴木教授は記者会見での「(甲状腺がんは)多発と言えるのではないか」とのフリージャーナリストの質問に対して、「最新の超音波機器を用いて専門医が実施したうえでの発見率。想定の範囲ではないか」と述べているが、実際のデータは「100万人に1〜2人」という従来の説明からは、かい離がかなり大きいようにも見える。
11年度からの2年間では、約17万5000人の子どもが超音波検査(一次検査、11年度4万0764人、12年度13万4735人)を受けており、そのうち5.1ミリメートル以上のしこり(結節)が見つかったことなどで精密検査(二次検査)の対象となった子どもは、1140人(11年度分205人、12年度分935人、2つの表参照)にのぼる。そのうち、すでに二次検査を受けた421人から27人が「甲状腺がんまたはその疑い」とされた(11年度11人、12年度16人、)。
もっとも、12年度検査分では、二次検査対象者が935人なのに、実際に二次検査を実施したこどもは255人であり、検査の実施率はまだ3割にも満たない。今後、二次検査の進捗とともに、甲状腺がんと診断される子どもがさらに増加する可能性が高い。
■謎に包まれる被曝状況
環境疫学を専門とする岡山大学大学院の津田敏秀教授は、「検査によって多く見つかる傾向があるとはいえ、(12人は)明らかに多発と言える。事故後に発症したがんが、検診によって早い時期に見つかった可能性もある。原発事故との関係を念頭に、対策を強化するべきだ」と指摘している。



非常勤教員の労働条件を守る
 区教委は責任を果たせ


非常勤教員をこき使わせない
 この間の区教委の対応をみると、小学校の非常勤教員の労働条件については「その非常勤教員と各学校の管理職との間で決めるべきだ=区教委は関知しない」という立場をとっているように思えます。持ち時数・勤務内容・・・は校長と当該教員との間で十分に話し合えという立場です(誤解であればいいのですが)。
 私たちはこれと全く違った考えを持ちます。いやしくも公教育の場です。正規職員の労働が管理職と教員一人ひとりとの間で労働内容・労働条件が決まるのではないように、再任用教員・非常勤教員の場合も「標準的な労働条件」がなければなりません。
 もちろん、まだ都の段階でも完全に「標準化」されているとはいえないことは確かです。制度自体が始まったばかりですし、さらに「退職すると一切の年金が出ない期間がある」という未曽有の事態がこれから始まるのですから。しかし、労働は余技ではないのです、生活です。だからこそ、標準化が必要です。ルールが必要です。

労働組合は不利益に抗う
 私たち労働組合は、働く者の不利益に対して徹底的に抗し、その正当な処遇を回復するという目的を予め義務として織り込まれています。
 ですから、私たちは、組合員であると否とに関わらず、非常勤教員がその職務内容を超えて働かされるとき、あるいは他の標準的な非常勤教員の労働条件と差が大きい時には、労働条件の問題として区当局と交渉しなければなりません。区教委は、直接に墨田区の教育に責任をもつ使用者として、非常勤教員の労働内容・労働条件に明確な責任をもつ必要があります。個々の管理職が「おかしなこと」になっていればなおさらです。
 非常勤教員の方の勤務内容で、明らかにおかしいところ・疑問に思うところがありましたら、墨田教組書記局にお知らせ・ご照会ください。私たちは闘います。


提言 1.職場労働環境の改善
(1) 気もち良く働くことができる職場
@ 合意形成を大切にし、職員の意欲を引き出す学校運営の推進
 ◇「一方的指示命令、権限行使(要はパワハラ)がリーダーシップ」と考えている校長・副校長が少なからず存在する。基本は人権感覚の欠如。非常勤教員に18コマ/週の音楽専科を提示するなど、管理職の非常識な言動はその資質を疑う。
 ◇学校の最終的責任は校長にあるとしても、職員会議・教職員の合意形成を軽視する傾向が強い。担任・担当・講師の配置・どのような行事を行うか、「土曜授業」回数すら多くの教員の意見を聞かないで決定してしまう。学校の活気と自主的判断力はなくなっている。
A「病気休暇」、「病気休職」者、「若年退職」者増に対する実効ある対策
 区教委あるいは労働安全衛生委員会はどの程度実態把握し、原因究明・対策の検討をしているか説明されたい。
B業績評価・人事構想=異動についての恣意的で手抜きで不誠実な対応をやめさせること。校長の業績評価が相対評価であるがごとき発言を聞くが、その蒙を啓くか根拠を明らかにされたい。
 また、今年度から一般教員にも始められる勤勉手当への成績率導入にあたっては、教職員のモラルアップと職場の活性化という趣旨が実現するよう、偏った人選することのないこと、年度末の業績評価と同一ではないということを周知されたい。



※ 都教委・東京教組の見解・解釈
学習・教科指導(補習・補講等含む)
※小学校を除き標準持時数を週11時間とする。ただし、持ち時数の上限を定めるものではない。
解釈:小学校の場合、授業を持つ基準は、とくに決められていませんが、中学校に準じ、月16日勤務者は、週11時間標準でよいと都教委は言っています。しかし、それ以上の授業は持てないということではありません。

※資料 東京教組 再任用職員部・再雇用職員部ニュース256号より
 非常勤教員の持ち時数が専任教員よりも多く、1週21時間も持たされているということがあります。また、管理職の無知や現場教員の無理解で、夏休み中のプール指導や日直やクラブ・委員会の指導や社会科見学の実踏の命令など、身分上できないことをさせられていることなどもあるそうです。理不尽なことに対してはあきらめないで闘うことが大切です。
 日直・クラブ・委員会・プールなど、非常勤教員はやらなくても良い仕事ですが、やらされている方がいるようです。…5年連続の転勤の厳しい現実もあります。通勤・仕事内容・職場の様子が毎年違うことは退職後の仕事としてはきつすぎると思いました。




週刊墨教組 No.1714             2013.6.10

六月四日 墨田教組執行委員会
 墨田区教委に緊急提言
 私たちの課題は何か (1)


 六月四日、私たち墨田区教職員組合執行委員会は、墨田区教育委員会との意見交換会を行いました。教委側は、庶務課長・学務課長・指導室長・教育研究所長が出席されました。
 私たちは総会・拡大委員会・職場アンケートなどで明らかになった緊急課題を中心に意見を述べ、区教委側との意見交換を行いました。会の性格上、内容の子細については詳説できませんが、私たちの課題について以下に確認しておきます。

ICTは道具である
 墨田区教委は一貫して、「ICT導入の目的は教職員の負担軽減と個人情報の保護」としてきました。これに違背するような運用があれば私たちは是正するよう要求し、より便利にできるところがあれば提言もしてきました。残念ながら、「学びの扉」は「小回りの利かない」ソフト(?)なのでなかなか改善はされませんが、かろうじてエクセルなどでの補完もなされてきました。しかし、保健業務などでまだまだ「主旨」に反する「負担増大」があります。あきらめたら固定化されます。言い続ける・管理職に言い続けさせる必要があります。
 一部学校管理職にはこの区教委の「趣旨」が徹底していなくて、何が何でもその全てを使わせようとする方がいないわけではありません。このような発想は明らかに誤りですから、事例があれば組合にご連絡ください。
 
実施要綱がない!?
 もう調査も終わり、一か月もすれば個人票がやって来ようというのに「実施要領」が出ていないというのは、全く理解しがたい事態です。「どうでもいい」という現場の風潮が教育研究所に伝染してしまったわけでもありますまいに…。冗談はさておき、実施要綱が「出ない」ことにはそれなりの理由が考えられます。それは今回の変更がこの調査・個人学習プロフィールの根幹に触れるものだからです。

「相対評価」が「肝」
 今回の変更は業者がかわっただけ・相対評価が絶対評価に変わっただけ…では済まされないことです。なぜならば、昨年度までの学習状況調査実施要綱には次のようにあります。
「『個人学習プロフィール』に記録する『評価』は、…平均到達度を『基準値』として、…相対的な位置づけにより評価するものであり、『集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)』です。集団に準拠した評価に関する情報は、児童・生徒が自己の適性を知る手がかりとなったり、学習に取り組む動機付けを得たり、将来の進路を考えていく際の情報として活用したりすることで、指導に生かすことが期待されます」。
 つまり「相対評価が要」なのです。

存在意義はどこへ?
 私たちは、年一回のペーパーテストである「学習状況調査」など下らないと嘲笑すると同時に、相対評価であることに徹底的に批判してきました。相対評価は、文科省レベルでもかなり前に無意味であるとされていたものだからです(彼らは狡猾にも「かつて文部省は相対評価をやれと言ったことはない」とうそぶいたほどです)。ですから「相対評価が正しい」と意味を見出して押し出したその蛮勇には驚いたものです。「文科省の論理」でも対応してみましたが、すみだ教育研究所には今まで通じませんでした。
 それを崩すということはこの調査そのものの無効性を宣言することになります。そして、「集団に準拠した評価に関する情報」がなくなるのですから、「児童・生徒が自己の適性を知る手がかり」「学習に取り組む動機付け」「将来の進路を考えていく際の情報として活用」など「指導に生かすことが」できなくなるわけです。せっかく指導要録だけじゃあ不足だって見栄を切って見せたのに…。
 相対評価をとったことは間違いだったという総括が必要な事態なのです。それほど大きいことなのです。

「学力向上」とは
 「学力」があのテストで測られたものだ…とするのはあまりにも干からびていて悲しいことです。モノ作りから生き方人との付き合い方…なども「学力」には含まれるでしょう。
 それが「向上」するための社会的家庭的条件は何か、それを私たちはどのように支えるか、「向上」するために学校はどうでなければならないか、今のピラミッド型権力関係は有効か・授業の「工夫」は今のままでいいのか、「改善」すべきはどのような方向か、そもそも子どもたちの自己ならびに生きることへの「肯定的姿勢」はどのようにしたら獲得できるのか…を現場の目線で検討しなければなりません。「学習状況調査=個人学習プロフィール」によってではなく。

「長いスパンで見守る」?
「『個人学習プロフィール』を次年度の学校・学年、学級・教科担当等に引き継ぎ、児童・生徒を長いスパンで見守り、校種を超えた一貫性・連続性のある指導を実施」
 すでに昨年度の段階で「ベネッセの方針で問題がかわったからそれまでのものと比較できない」というようなことが言われていました。
 業者が変わり、テストが変わり、評価が変わり…。いったい何を見守ったらいいのでしょう。

直ちに廃止を!
 「学習状況調査」は、個人の中に力能を蓄積することだけではなく、子ども同士・子どもと大人・物や事との豊かな関わりである「教育」、ペーパーだけでは測れない幅広い「学力」を矮小化するものです。
 百歩譲っても、ここで明らかにされたことぐらいは普段の学習のなかで教員は十分に把握しています(結果の出る七月までの四か月間をその把握なしで過ごすことは考えられません)。また、ある「点数主義者」は普段の「テスト」が「学習状況調査」と高い相関関係にあることを証明しています。
 いずれをとっても、「学習状況調査=個人学習プロフィール」がまったく無用なことを指し示しています。

2.教育環境の改善(墨田教組緊急提言より)
(1)区の教育施策について
@教育研究所の施策について
◇「教育」・「学力」を矮小化する「学習状況調査」を実施しないこと。委託業者が変わったことによる調査内容・調査形態・・評価基準の変更について詳らかにされたい。
◇「個人学習プロフィール」は学校現場の実態にあっていない。要録や校内・校間の現行文書・情報交換で十分である。コンピュータ文書の手書き入力転載はあまりに非「ICT化」的。
◇「学力向上」という掛け声のもと、子どもたちが望まない形で「学習」を強いられることのないようにすること。

A「学校ICT化」にあたって、その趣旨に反し未だ学校現場の事務時間縮減を果たしていない。
◇「ICT化」のために無駄で余計な時間が使われており、その趣旨に反する。時数計算などこれまでのやり方の方がずっと短時間で行われる。
◇NEC学びの扉は非常に不便で融通の利かないソフトである。NECへの「丸投げ」の帰結だ。現場の意見に対応できるようNECと契約を更改するか、サードパーティーを導入すべきである。
◇公開されるべき情報はより多くの教職員・学校関係者が情報を入手できるよう、従来通り黒板や掲示板を積極的に使うこと。教職員・学校関係者の間に情報格差がないように措置すべきだ。
◇ICT支援員が入力しなくなったために、児童情報は統一性を失いデータベースとして機能しがたくなっている。入力業務は、個々の判断ではなく専門的な支援員により統一した書式で行わなくてはならない。支援員の増員を図ること。
◇「ICT化」に必要なものは何か、不要なものは何かを直ちに調査し、組合と相談・協議して改善策を明確にすること。


http://kiikochan.blog136.fc2.com/みんな楽しくHappy?がいい♪
反原発と憲法改悪阻止の二つのテーマだけで柔らかく結び付く
落合恵子さん6/2つながろうフクシマ!さようなら原発集会発言

 南海トラフの巨大地震をはじめとして、近いうちに巨大な地震がやってくると、連日のようにメディアは私たちに報道しています。その巨大地震と原発の存在がなぜ別個に語られる国なんでしょう? ハリケーンだってそうです。テロが怖いというならば、原発の存在そのものを問いかけるところから始めればいいじゃないですか。この国は"相変わらずの国策"をそのまま続けています。まるで3.11など無かったかのように。だから私たちは忘れない。だから私たちは心に刻みます。

 防衛費を増やしながら、福祉を削りながら、事前の防災ばかり呼びかけながら、原発はそのまま。だから、もっとたびたび私たちは抗議をしましょう。もっとたびたび声を荒げていきましょう。原子力発電はもとよりです。この国を覆い尽くす"原発的な体質と構造"を破壊するまで変わらない国なのです。
 福島の人々の苦しみを放置したまま、トルコに原発を売り、さらにインドをはじめとして海外の国々を訪れているこの国の"死の商人"と"死の輸出"を私たちは容認することは、決して決して、できません。
 2万人以上の人々が、家に、故郷に帰る事が出来ず、福島にいらっしゃる。その事からも目をそらす"薄っぺらなおがくずみたいな内閣"に私たちは、なにも、何も共感するものはありません。心からの怒りと理不尽に対する許し難い思いを込めて、ここにもう一度約束をしましょう。私たちは福島と繋がります。私たちは全ての原発立地の、沢山いらっしゃっていますが、人々と繋がっています。

 憲法が保障した生存権。基本的人権。主権在民。福島の人々にありますか!?奪っておいて、「よくも よくも」という気持ちがあります。私たちの痛み、そこから始めていきましょう。
 まずは選挙。前回の選挙で棄権をした多くの人々を、如何に次の選挙に呼び戻すか。この事が大きなテーマの一つだと思います。呼び戻す事が出来たら流れは確実に変わります。なかなか、なかなかその道が見えないのですが、心から呼び戻していきましょう。その方法を、できる事全てをやりませんか。

 そして同時に、違いは違いです。過去にどんな事があった事も知っていますが、そこで別れるのではなく、とにもかくにもこの時代を超えていくために、いくつかのテーマで私たちは柔らかく結び付く事がもう出来ないのですか? 出来る筈です。幼い頃に遊んだ「むすんでひらいて」の遊びを思い出して下さい。ネットワークという言葉を、私は時に、編み物のネットワークに変えたりします。「むすんでほどく」「ほどいてむすぶ」を私たちはできる筈だと思います。
 たとえば、反原発と憲法改悪阻止の二つのテーマだけで、もっと柔らかく結び付く事は可能な筈なのです。違っていいのです。他の部分は違っていたって良いじゃないですか。私たちはある地方に、そこに暮らす人々に、命と安全と安心に対する犠牲を強いたまま生きてきた痛みと反省がとても強くあります。だからこそ、だからこそ結び付きたいのです。

 「人」あっての発展です。「子どもの未来」あっての繁栄です。「開発」という名の「発展」という名の拝金、お金を拝む。「拝金」という名の堕落と破壊とまやかしの繁栄にもう一度私たちはまっすぐに、別れを告げていきましょう。
 そしてこの鎖から私たち自身を解き放つことができるのは、やっぱり一人一人の私たち自身であるという誇りをもう一度、素手で握りしめていきましょう。私は私に問いかけます。準備は出来てるかい?「何があろうと、どんなハメ方があろうと、私は私を売らないぞ!」この約束を一人一人が自分としていくことが大切だと思います。

 私たちには権力はありません。福島第一原発事故の後、私はずーっと対峙してきた権力が欲しいと心から思いました。「そしたら子どもを家族を学校を地域社会をそのまま別のところに移転させることも出来るのに」と。でも私たちには権力はありません。それに対抗するものがなにか?といえば、私たちには愛する者たちがいるということ。誕生前の命も含め、血の縁だけではなく、私たち自身の共感と友情がここにあるということです。
 あの人たちが欲得で結び付くのなら、私たちはもう一度、痛みへの想像力と共感で結びつこうじゃありませんか。



週刊墨教組 No.1713              2013.6.5

フクシマを忘れない! 
未来に向かって危険の根を断つ
 被曝させるな! 脱原発を実現しよう


 六月二日、首都圏反原発連合・「さよなら原発一〇〇〇万署名」市民の会・原発をなくす全国連絡会の三団体が呼び掛けた行動には、六万人が参加しました。私たち墨田教組も多くの知友とともに、芝公園での集会・東電前抗議・日比谷公園までのデモ・国会包囲行動に参加しました。

フクシマは始まってもいない
 事故から三年目を迎えてもフクシマは全く解決もしていないし解決の方向も見いだせないでいます。原子炉も汚染水も避難者も補償も「除染」も人々の健康も…何もかもです。全く闇の中です。政府がやったことは、人を減らさないように放射線量の基準を緩くしただけでした(二〇一三・三・二五朝日新聞)。被害住民に満足な補償もできないでいるのに、その元凶である原子力発電所を外国に売ろうとしています。まさに「死の商人」です。
 国は厚労省前のテントを「公共の福祉に反する」として撤去・賠償請求しています。フクシマの住民の家を奪い土地を追い満足な賠償もしないままにです。なぜここに抗議のテントがあるのかさえわきまえない、問題をどの順番で解決しなければならないのさえ理解できない暴挙です。まるで事故など無かったかのようにです。

原発が必要な理由はこじつけ
 稼働している原発が二基だけでも十分「アベノミクス」で株価は上がったではありませんか。そして稼働している原発が減ってもいないのに「アベノミクス雰囲気プチバブル」はピョッとはじけたではありませんか。要は原発と経済は関係ないのです。困るのは原発で儲けてきた/これからも儲けたい電力会社とその「滴」を受け取っている周辺の人々だけです。彼らには絶望の淵に置き去りにされている「避難者」/福島の姿は見えません。
 東京新聞は「ことし一月、五輪招致委員会は国際オリンピック委員会(IOC)に詳細な開催計画書『立候補ファイル』を提出した。電力に関する項目では『東京では、既存の配電システムで、二〇年東京大会で発生する(電力の)追加需要に対応することができる』と明記した」と報じています。にもかかわらず安倍政権は急速に原発依存・再稼働へ舵を切ろうとしています。まるで事故など無かったかのように。

どんな形であれ、被曝を避ける
 私たちが今一番しなくてはいけないことは二つです。一つは漏れてしまった放射性物質による被曝をできるだけ避けること(避けさせること)。避難したい人には避難を保障させなければいけないでしょうし(例えば、ふくしま集団疎開裁判・福島の子ども保養プロジェクト「沖縄・球美の里」など)、そこに住みたいのならば線量を下げさせなければなりません。「除染」はゼネコンを設けさせるためにあるのではありません。
 私たちは、署名・カンパ・ボランティア・人々に知らせる…などでこれらの活動を応援します。

未来に向かって危険の根を断つ
 見て聞いて話そう・行動しよう・選挙に行こう
 そしてもう一つの課題は原発の即時停止・廃炉です。憲法と同じ重みで、私たちと未来の、生存と人権の根幹にかかわります。昨年の衆院選で自由民主党が「勝った」のは、小選挙区制度の必然と民主党の無責任・腰砕け・裏切り、政治への諦めによるものです※1。私たちは二度と同じ轍を踏みません。
 原発はその発足時から「トイレのないマンション」という解決不能の課題を背負っていました。今の事態はその時から何も変わっていません。なるべくしてなったと言わざるを得ません。私たちは原発を作るべきではなかったのです。すでに遅いのですがしかし、「廃棄すると金がかかるから稼働する」などという情けない論理には今こそ断を下さねばなりません。全原発の停止・廃炉は、たとえ金曜官邸前行動への参加者が減っても、今でも日本社会に住む者の多数意見です※2。
 原発を積極的に推進する政党はほんのわずかです。選挙に幻想を持つ必要はありませんが、一歩でも二歩でも、脱原発・反核の方向に進めることはできます。まず選挙に行くこと、多くの知り合いに声をかけ、選挙に行くことを呼び掛ける(何でこんなことしなくちゃいけないんだ…なんて思わずに)ところから運動を始めましょう。それが行動の第一歩です。

※1 制服向上委員会は「悪魔 NOだっ! 民主党」を歌っています。教員免許状維持も含め、自公復権に道を開く「悪魔の所業」でした。

※2 日経新聞5月27日朝刊アンケート 経済再生に欠かせないとみられる原発の再稼働も「賛成」は30%にとどまり、「反対」が52%と過半数を占めた。自民党支持層でも再稼働には賛成38%、反対46%。「アベノミクス」と呼ばれる安倍内閣の経済政策を評価する人をみても、49%が再稼働に反対し、賛成の37%を上回った。



墨田教組教研集会
6月26日(水)3時半より
会場 墨田教組事務所(法恩寺裏)
講演 憲法を変えさせてはいけない
ー自民党「壊憲」草案はここがまちがっている―
講師 森本孝子さん
「平和憲法を守る荒川の会」共同代表
元墨田教組女性部長(緑小分会)

 沖縄で福島で、そして労働の現場で憲法が踏みにじられています。その集大成が、自民党「改憲」草案です。そこでは憲法が「国家権力の横暴から人民(国民)を守る」ものから、「国家権力が国民をしばる」ものに変質させられています。憲法を梃子に私たちは何とか教育の右傾化・子どもたちの臣民化を押しとどめてきました。しかし、七月参院選で自民が圧勝すれば、その憲法すら打ち捨てられてしまいます。
 森本さんは、自民党改憲草案の問題点を、それがどのような背景から出て来るのか、帰結するものは何かを一つひとつ具体的にお話し下さいます。
 多くのみなさんが参加されることを期待します。



いっしょに考えませんか?
 憲法のこと 私たちの未来のことを!
「映画 日本国憲法」上映会
ジャン・ユンカーマン監督 記録映画/78分/2005年
あなたにはこの宝物が見えますか。<世界から見た私たちの憲法>
世界でも稀有なる憲法を持つ日本人に
『チョムスキー9.11』『老人と海』のジャン・ユンカーマン監督が贈る世界の声
黒澤いつきさん講演 
 明日の自由を守る若手弁護士の会
「国家をしばる法」から「国民をしばる法」へ
―自由民主党改憲草案のねらい―
6月29日(土)
14:00〜 映画上映開始
15:30〜 講演 〜16:30
L.ソフィア 3階第3・第4会議室
 足立区梅田7-33-1 東武伊勢崎線梅島駅3分
主催 映画を見て考える・パラムの会




【署名募集中!】私たちは国連「健康に生きる権利」特別報告者の勧告を歓迎します/日本政府は勧告を受け入れて/原発被害者の「生きる権利」を
 昨年11月に来日し、福島原発事故後の人権状況を調査した国連「健康に対する権利」の特別報告者のアナンド・グローバー氏が、5月27日(現地時間)から開催される国連人権理事会(ジュネーブ)で調査内容を報告し、日本政府に対する勧告を発表しました。追加被ばく量1mSv以上の地域での健康調査の実施や、1mSvを下回るまでは帰還を強いるべきでないことなどを盛り込み、原発被害者の「健康に生きる権利」を具体的に示した価値ある内容です。
 多くの市民が、このグローバー勧告を支持し、日本政府に勧告の実施を求めていることを内外に示すため、下記のアピールの賛同(団体および個人)を募集しています。
 外務省、関係各省(復興庁、原子力災害対策本部、環境省、厚労省など)および国連特別報告者アナンド・グローバー氏にお送りしたいと思います。ぜひ加わってください!
 個人賛同はこちらから
  https://fs222.formasp.jp/k282/form2/
   2次締切:6/10午後22時 
   3次締切:6/24午後22時

【共同アピール】
私たちは国連「健康に生きる権利」特別報告者の勧告を歓迎します。
日本政府は勧告を受け入れてください。
原発被害者の「生きる権利」を保障してください。
抜本的な政策の見直しを行ってください。

 原発事故は終わっていません。多くの原発事故被害者が、故郷を奪われ、放射能被ばくによる健康への不安の中での生活が強いられています。多くの避難者が、避難先での生活の再建ができずに苦しんでいます。
 日本政府は「年20mSv」を基準とした避難政策を採用しました。これにより、多くの被害者が、「自主的避難」の名のもとに、賠償のあてもない避難を強いられました。さまざまな事情から避難したくても避難できずに高い汚染地域での生活を強いられている方々もたくさんいます。
 現在、年20mSvを下回ると判断された地域は避難解除が進められています。
 たとえば伊達市小国地区などの特定避難勧奨地点は昨年12月に、住民に何ら説明がなく、いきなり指定が解除になり、その3か月後には賠償も打切りになりました。このように避難住民たちは「兵糧ぜめ」により、帰還を迫られている状況なのです。この点は、国連特別報告者の報告の通りです。
 また、福島県県民健康管理調査に対しては、調査の対象が狭く、内容も不十分で、情報開示にも問題があることを多くの住民、専門家や弁護士が指摘してきました。これらの点の多くは、国連特別報告者の報告に含まれています。
 さらに、昨年6月に制定された原発事故子ども・被災者支援法の基本方針は未だ策定されておらず、実施されていないことは国連特別報告者による報告の通りです。
 今回の国連特別報告者アナンド・グローバー氏がまとめた報告書は、原発被害に苦しむ多くの人々と、多くの支援者の声をもとに作成したものです。
 私たちはこれを支持し、歓迎します。
 私たちは、日本政府がこの報告に真摯に耳を傾け、現在までの避難、賠償、健康対応に係る政策を抜本的に見直すことを求めます。とりわけ、この勧告に従い、追加被ばく線量1mSvを下回るまで、帰還が強制されないこと、賠償を継続すること、また、少なくとも追加被ばく線量1mSv以上の人々を対象とした健康調査を行うことを求めます。
 また、原発事故子ども・被災者支援法の基本方針を速やかに策定すること、追加被ばく量1mSv以上の地域を支援対象に含めること、実施に当たって事故被害者の意見を真摯に聞き、取り入れることを求めます。
 さらに、原発事故の収束作業員および除染作業員の長期的な健康管理に関して、被ばく量によらず国が責任をもって取り組むことを求めます。

◆呼びかけ団体:国際環境NGO FoE Japan/ヒューマンライツ・ナウ/ピースボート/地球の子ども新聞/福島老朽原発を考える会/福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)/原発事故子ども・被災者支援法市民会議/子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク/子どものための平和と環境アドボカシー(PEACH)/グリーン・アクション/被ばく労働を考えるネットワーク/全国労働安全衛生センター




週刊墨教組 No.1712                  2013.5.26

二〇一三年度「土曜授業」日数
「後は教育いじりしかない」安倍政権の「暴風雨」に備えよう!


「土曜授業」3年間の日数推移
区分 2013年度 2012年度 2011年度 2013年度−2012年度 2013年度/2012年度(%)
小中学校 平均値 13.2 15.1 11.0 -1.8 87.9
中央値 13.0 15.0 11.0 -2.0 86.7
分散 1.43 1.08 0.17 0.77 32.8
小学校 平均 12.9 15.0 11.0 -2.1 86.1
中央 13.0 15.0 11.0 -2.0 86.7
分散 0.83 0.42 0.21 0.49 21.1
中学校 平均 13.9 15.3 10.9 -1.3 91.8
中央 14.0 15.0 11.0 -1.0 92.3
分散 2.29 2.57 0.08 1.02 39.4
日数別校数 2012年度との比較
日数 2013年度 2012年度 2011年度 増減日数 校数 比率 校数
小中学校 10 0 0 2 2 0 110位下 0
11 1 0 33 1 0 105位下 0
12 7 0 0 0 4 100位下 4
13 19 3 1 -1 5 95位下 5
14 4 4 0 -2 20 90位下 20
15 3 21 0 -3 7 85位下 3
16 1 6 0 -4 0 80位下 4
17 1 2 0 75位下 0
18 0 1 0 70位下 0
19以上 0 0 0


区教委、早々に公表

 墨田区教育委員会は四月早々、ホームページに今年度の「土曜授業」日数を公開しました。http://www.city.sumida.lg.jp/kakuka/kyouikuzi/sidou/info/doyoujyugyou.html
 これまでなかったことで、情報公開にかける情熱は評価できます。しかし、重要な要素である時間数は載せられていません。区教委は当然各校の「土曜授業」の時数を把握しているはずですから、これもきちんと公表するべきです。昨年と比べてどのように総時間が増減したかはとても重要です。例えば12年度最頻日数15日がすべて3時間で、13年度最頻日数13日がすべて5時間であるとしたら、日数は減っても時数は20時間増です。
 区教委にとっては「何日かが重要」かもしれません。墨田ではいったいどのような「土曜授業」がなされているのか、それはどう変わってきたのか…は、区民も教職員も知っておく必要があります。組合が交渉しなくてはならない領域です。
今年度の傾向
 個々の学校の日数については上記区ホームページをご覧ください。ここでは、昨年度と比較しての全体の傾向について述べます。
 日数は昨12年度に比べ平均値中央値とも、小学校で2日、中学校で1日減らしています。
 散らばり具合は前年度と同様、中学校の方が分散しています。しかし、小学校の分散も大きくなってきています。区教委はそんなものはないと言い、各職場ではよく校長の発言で出てくる所謂「校長会(ブロック?)の縛り」からの脱却(?)傾向がうかがえます。
 最大値は中学校で17日1校、小学校16日1校でした。昨12年度は、中学校18日1校17日2校、小学校16日4校でした。最大値においても日数縮減は明らかです。
 そんな減少傾向の中、昨年度と比較して日数が減じていないのは4校でした。そのうち、1校は12年度も13日と少なかったのでここでは問題にしません。2校は15日でどちらも中学校でした。残る1校は小学校で二年続けて16日です。この学校は二年続けてこのような判断をくだしたのでしょう。その判断の根拠や決定の仕方を聞いてみたいものです(風説によれば広報誌の影響は大きいとも言われていますが…)。

学校が責任をもつ
 教育は法にはしばられるが
    政府からは独立している
 教育課程は各学校が各学校の児童・生徒・教職員・地域・その他さまざまな要因を勘案しながら決めるものです。「土曜授業」も単に回数や時間数で多ければ/少なければ、良い/悪いというものでもありません。学校には学校の考えがあるからです。
 私たちは、今年度の各学校の考えが良いのか悪いのか、また決め方に瑕疵はなかったか、実践しながら評価し、来年度の教育課程を構想しなくてはなりません。
 また、たとえ安倍政権が「『美しい日本』の『伝統』は週六日制だ」と考えても、それは教育を縛りません。参院選の結果如何に関わらずです。縛らせてはなりません。
 学校週五日制は法によって決められていることです。この法が変えられない限り、学校は週五日制です。ですから、法を変えさせない方策も私たちはとる必要があります。


非常識が席巻する日本社会 職場から「常識」を打ち立てよう!

憲法改悪を阻止しよう
 96条改悪 手続きを緩くしてこそっと変えようとしています。「政局」なんてもので憲法を論じるのは憲法の占める位置・役割を読み違えています。彼らに私たちをしばる憲法を「押し付けられ」てはなりません。
「保守本流こそ『護憲』だった」
ノンフィクション作家 保阪 正康さん
…どんな憲法も、いずれは変えるときが来ます。ただし、いつ、誰が、どのように変えるのかが問題です。私は最低100年は変えるべきではないと考えます。あの戦争を反省し、当時の人たちが勝ち取ったこの憲法は、そう簡単に変えるべきではないからです。…今の憲法が続いている時間の長さは、戦後の私たちの反省の長さでもあります。私たちは、かつての帝国主義的なもの、軍国主義的なものは自己批判し反省した。そうしてあの戦争、あの時代の過ちを国際社会の中で清算し、サンフランシスコ講和条約のもとでこういう国をつくってきたんだと。…
2013.5.23朝日新聞

「慰安婦」=性奴隷の正当化は
「フウゾク」礼賛から
 橋本氏の「他所もやってるのに僕だけ怒らないでよ!」は一番卑怯な子ども(と言っても1年生の今頃にはもう恥ずかしくていわなくなるが)の言いぐさです。先ず自分に一番近い所で責任をとって、そして他所を批判するのが常識人のやり方でしょう。

筆洗  東京新聞 2013年5月16日 
<黒竜江に近い駐屯地に/遅い春が来たころ/毛虱(けじらみ)駆除の指導で慰安所に出向いた><オンドルにアンペラを敷いた部屋は/独房のように飾り気が無く/洗浄の洗面器とバニシングクリームが/辛(つら)い営みを語っていた>
▼陸軍の衛生兵として、旧満州の慰安所で薬を配って歩いた経験を基にした河上政治さん(92)の「慰安婦と兵隊」という詩である。十数年前に読み強く心に残った。続きを紹介したい。
▼<いのちを産む聖なるからだに/ひとときの安らぎを求めた天皇の兵隊は/それから間もなく貨物船に詰め込まれ/家畜のように運ばれ/フィリッピンで飢えて死んだ>▼<水銀軟膏(なんこう)を手渡して去るぼくの背に/娘の唄(うた)う歌が追いかけてきた>。女性の出身地は分からない。薬を届けて帰ろうとした河上さんの耳に、彼女が口ずさんでいる歌が飛び込んできたのだろう
▼<わたしのこころは べんじょのぞうり/きたないあしで ふんでゆく/おまえもおなじ おりぐらし/いきてかえれる あてもなく/どんなきもちで かようのか/おまえのこころは いたくはないか>
▼性の営みという最も私的な領域まで管理、利用されるのが戦争だ。「慰安婦制度は必要だった」と明快に言い切る政治家には、兵士を派遣する立場の視点しかない。自らが一兵士として列に並び、妻や娘が慰安婦になる姿など想像できないのだろう。

ジャック・プレルの歌に学ぶ 高校数員 東京都54
 シャンソンの名曲「さあ続け」をご存じだろうか。軍の売春宿に丸裸で並ばされ、上官に「続け!」とせかされる兵隊を歌ったものだ。みじめな経験で、それが元でまともに女性を愛することができなくなったと怒り、「続け!」と促す声こそ「国家の声」であり、もう決して言いなりにはならないぞ、と結んでいる。
 これはフランスの歌手ジャック・プレルがコンサートの演目として得意にしていた曲だ。表情豊かに歌う様子はインターネットの動画サイトでみられる。特殊な反戦歌などではなく、従軍慰安婦制度が国家のおぞましい側面だとのメッセージは自然体で支持された。
 翻って某国の政局である。政治家が従軍慰安婦制度を正当化する発言をしたが、こうした政治家たちはこれまでも国家権力の強圧的側面をことさらに美化してこなかっただろうか。彼らに国の未来を託して本当に大丈夫か。私たちはしっかり見届ける必要がある。
2013.5.23朝日新聞 声



脱原発をめざす女たちの会
6月1日(土) 13:30〜16:30
日本教育会館 3階ホール 地下鉄神保町駅徒歩3分
 福島では甲状腺ガンの子どもが3名、その疑いのある子どもが7名いることが明らかになりました。子どもたちの健康を心配し、県外へと避難する親たち。迷いながら、避難先から福島へ子どもと共に帰る親たち。現政権は、再稼働を進め、新たな原発建設や原発輸出さえ政策として打ち出してい ます。日本と世界の未来・子どもを守るには、脱原発しかありません。私たち市民は、原発推進の社会・政治に後戻りをさせてはなりません。脱原発の取り組みを、共に、いっそう広め、強めていきましょう。
講演「原発という犠牲のシステム ?なぜ脱原発なのか」 高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)
パネル・ディスカッション「被曝から子どもを守ろう」 山田真さん(小児科医師) 仲里歌織さん(「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」弁護士) 菅野久美子さん(福島から東京へ、そして岡山へ) 鹿目久美さん(福島から相模原へ) 二瓶和子さん(自立支援ワークグループ「Snow Drop」)
国会報告 参加費:1000円

6.2 NO NUKES DAY (ノー ニュークス デイ)
●6.2つながろうフクシマ!さようなら原発集会
場所 芝公園
(地下鉄「御成門」「芝公園」「赤羽橋」2分、「大門」5分、JR「浜松町」12分



週刊墨教組 No.1711                2013.5.17

これは説明できない…ぼったくりの実態
 退職金減額に続く賃金削減
勤勉手当への成績率導入に立ち向かう
   あなたはいつまで黙っていられるのか!?


廃すべき「勤勉手当」
 ボーナス(特別給、期末・勤勉手当)には「期末手当」部分と「勤勉手当」部分とがあります。当局は一貫して「勤勉手当」部分を増やそうとし、組合は反対してきました。「期末手当」の在職期間を出すための除算期間の除算割合は、懲戒停職・無断欠勤などは「勤勉手当」同様の一〇割(一日休めば一日を引く)ですが、病気休職・育児休業では五割、病気休暇では二割です。
 それに対して、「勤勉手当」ではこれらもみな一〇割でカウントします。さらに支給割合も、きつくなっています。一〇〇%支給は「期末手当」が一五〇日以上で「勤勉手当」では一七五日以上、五〇%支給は「期末手当」が六〇日以上九〇日未満で「勤勉手当」では八〇日以上一〇〇日未満です。※1
 特別給は何ら特別ではない、月給料の未払い部分であるという立場を私たちはとりますから、「勤勉手当」は許しがたい形態です。

さらに悪制度に
 すでに何度も報じたように、行政系と教育管理職にだけ行われていた勤勉手当への成績率導入が、とうとう今度のボーナスから、一般教員にも適用されることになりました。私たちはずっと反対し続け、抗議活動も行ってきました。非組合員のみなさんにも署名等で協力を募りました。しかし力及びませんでした。
 すでに通知は一月に出ており、六月ボーナスに向けて作業が始まる段階であるにもかかわらず、職場では校長からの説明も十分にはないようです。当然です。すでにこれをやられている校長自身がけっしていいとは思っていないからです(いい制度だと思っている方は正直に告白しましょう、私は?陀多だと)。第二に、複雑で曖昧すぎて説明しようがないからです。そして何より、説明したとたんに教員がみなやる気をなくし、職員室に怨嗟の声があふれることを知っているからです。

恥ずべき「成績率導入」
 成績率の導入の問題点はまず第一に、「四〇%の教員は勤勉で残りはそれほど勤勉ではない」という臆断を導入したことです。これは全く職場の実態に合っていませんし、金をぶら下げて「勤勉」を調達しようという発想がさもしいものです。

扶養手当分を外す
   給与制度の質的変更
 第二に、給与制度の質的変更をこっそりと行っているところです。「金をぶら下げたら働くだろう」という発想に立っても、その原資(の一つ)を「扶養手当」にするということは全く違う話です。必然性がありません。
 試算(下表)によれば、平均的号給の配偶者と子一人扶養の方の場合、以前よりも二万円の減額です。減額率は〇・〇六=六%! なんと下位者の懲罰拠出率ではありませんか!
 これは、昨年度半ばから急きょはじめられた住宅手当縮小と同様の切り捨てです。給料の性格を、生活給から職能給にかえていこうとするものです。給料は「労働力商品の再生産費である」という原則から、社会保障が不十分な中では、職能給化に反対せざるを得ません。勤勉手当という自分たちが勝手にできる(と思い込んでいる)部分で扶養手当を抜くことは、姑息です。

共に力を合わせる者同士から奪わせる
 第三番目に、都当局がケチだということです。四〇%の「上位者」にはいくばくかの上乗せがあるのですが、さてそれが給料のあるいは本来の勤勉手当の何%にあたるのかわかりません。それは、「原資」が全員からの「拠出金年間〇・〇二月」とこれまで勤勉手当に算入されていた「扶養手当(はね返り含む)」、「下位からの減額分六%」だからです。出たとこ勝負です。
 四〇%以外の「勤勉でない」教員は減らされて当然という、任意ではない強制的な「拠出金」などというものは〇・〇二月分の賃下げに他なりません。
 職場で共に力を合わせる者同士から奪わせるのですから、いったい何を考えているのか私たちにはわかりません。そのような人間をつくることを理想としているようにしか思えません。職場破壊の元凶です。

悪制度に牙をむかせないために
 教育管理職・行政系職員ではどのように成績率を決めているのでしょうか? 急にモラルが上がったとも、毎回落とされて剣呑な顔をしている方もいないようです。
 一体どのようにすれば、職場を崩壊させないでおけるのか、職員の「共働」を維持していけるのか、一人ひとりの教職員が経済的不利益を得ないようにできるのか、方法を考えるべきです。
 従前の「特別昇給(昇給短縮)」は「君、がんばってるから給料早く上げてあげるね」というので他人の給料を奪いませんでした。それでも同じ者ばかりが短縮される「君」であっては結果的に回ってこない者から「奪う」ことになってしまうので、何年かに一度は必ず全員に回るように工夫してきました。今回はもっとえげつない制度です。だからこそ、「三〇%にあたる職員数について教育長に対して校長推薦を実施する」校長は真摯に教職員と話し合い、職場の当面の合意を取り付けるべきです。
大事なことは、一人ひとりの教員が不利益を受けないこと、不平等な扱いを受けないことです。共にこの悪制度に立ち向かっていきましょう。

※1 例えば、半年の日数が180日だとして、90日間懲戒停職を受けたとすると在職期間は180日−90日×10割=90日です。60%が支給されます。
 これが病気休職だと、180日−90日×5割=135日です。90%が支給されます。
 しかし、勤勉手当の方は、どちらも10割の除算割合です。病気休職の場合でも勤務期間は90日で支給割合は50%です。

※ 学校職員の勤勉手当における成績率の対象の拡大について 平成25年1月22日付都教委教育長比留間発文書」には、6留意事項(2)に次の一文があります。
「成績率制度は、昇給決定制度と対象者が異なるので注意してください」
 これは「業績評価と一致しなくてもいい」いう意味です。対象者も違えば推薦者も異なります。校長が推薦する三〇%は、業績評価で一列に並べた上位三〇%でなくてもいいということです。勤勉手当への成績率導入は職員のモラルアップのためにありひいてはそれが職場を活気あるものにするというシナリオに乗っています。もし、業績評価でも+二ないし一号俸昇給を受け、勤勉手当でも全く同じ者が受けるのであれば、わざわざ新たに校長が推薦する必要はありません。このシナリオを実現するためにも、校長は、同じ人間だけを優遇するということのないような職場づくりをしていかなくてはならないのです。

学校職員の勤勉手当における成績率の対象の拡大について 
 平成25年1月22日付都教委教育長比留間発文書 抜粋・メモ


※以下、主幹教諭(指導教諭)を「主幹教諭」
主任教諭、教諭、栄養教諭、実習助手等を「教諭等」と表す

対象が拡大:教育管理職のみ
 →すべての一般学校職員(再任用職員を除く)
 ※休職者等は前年度末に定期評価がされていないので「対象外」とされる。

成績率の段階
 主幹教諭 最上位10%・上位30%・中位と下位60%
 教諭等   上位40%・中位と下位60%

成績率段階の決定方法
「基準日(=2013年3月31日))現在における成績率適用者(2013年度末定年退職者・再任用者を除く)」について、〜「教育長が決定する」

下位:前年度定期評価の第1次評価(校長評価)の総合評価が「D」で、かつ最終評価(=教育庁評価)の総合評価が「1」である職員
←自動的に決定される。
上位:40%程度の者について
※主幹の場合は、40%からさらに10%を決定する
中位:(上位+下位)以外の者

成績率の原資
主幹教諭 年間0.04月※+扶養手当(はね返り含む)+下位からの減額分6%
  ※2013年度は主幹も0.02月
教諭等  年間0.02月+扶養手当(はね返り含む)+下位からの減額分6%

所属課長(以下「校長」)推薦実施について
 校長は校長推薦対象者の30%にあたる職員数について教育長に対して校長推薦を実施する。
職員への通知最上位・上位・下位には段階を告知。
←中位には知らん顔。手抜きだ。





憲法問題連続学習会
5月22日(水)

  18:30〜20:30

連合会館2階 大会議室

千代田区神田駿河台3−2−11千代田線新御茶ノ水駅0分JR御茶ノ水駅・淡路町・小川町駅も5分以内
講演
 「私と憲法」鎌田慧さん
 「オスプレイと日本国憲法」
    飯島滋明さん
主催 フォーラム平和・人権・環境


狭山事件の再審を求める市民集会
5月23日(木)
  13時30分〜

日比谷野外音楽堂
内容

狭山弁護団報告
冤罪当事者からのアピール
石川一雄さんアピール
基調報告など
主催 市民集会実行委員会


3.11から2年
…東日本大震災と学校について考える
  日本教育会館 第44回夜間公開講座
5月24日(金)

  18:00〜20:30
日本教育会館8階 第1会議室
講師 大森直樹さん(東京学芸大学)

伊藤書佳さん(編集者・ライター)
主催 日本教育会館 附設教育図書館
後援 国民教育文化総合研究所


脱原発をめざす女たちの会
 6月1日(土) 13:00〜16:30

 日本教育会館 3階ホール



6.2つながろうフクシマ!
さようなら原発集会
 6月2日(日)

12時半〜14時集会
14時15分からデモ行進
 芝公園23号地
詳細次号







週刊墨教組 1710号            2013.4.24

現実を見据えて夢を語ろう
 教育をめぐる状況を一人ひとりがとらえるために


不安な現実を不安として見据える
 「福島地方震度4…」とニュースがながれる度に、あの崩れ落ちた壁( 今ではきれいに張り替えられています) とひしゃげて傾いた鉄骨を思いうかべます。五階にある燃料プールが倒壊しないか、どこにあるかわからない炉心がもっとひどいことにならないかと不安になります。
 本号裏面にあるように、私たちはここで止まってしまうようです。不安になり、とりあえずひどいことにはならなかったからよかった…そしてまた次の回に同じ不安を抱き…何度目かの「正直」に遇った時に私たちは悔やみます。ああ、あの時に現実を見据えて不安を解消していたらと。
 教育をめぐる状況もこれと同じではないでしょうか。

経済の回復? 労働者の貧困化
 「アベノミクス」でどうやら日本経済の景気は回復しているそうです。その証拠に円が高くなり株価が上がり高級品の売れ行きがよくなり、一部の企業では賃金の引き上げがあったそうです。
 …それは本当でしょうが、「私の真実」ではありませんし多くの人々の真実でもありません。私(たち)は株を持っていないし宝飾品を買っていません。賃金は上がっていません。国家公務員に続き地方公務員の七・八%給与削減が「アベノミクス」政権により「要請」されています。
 「史上最長の好景気」だった一〇年前、私たちは全くその実感も実質も受けていませんでした。その頃の一〇年間に私たちの給料は一〇万円減らされてきました。労働者の貧困化は資本制社会の必然です。「賃金をあげてデフレ克服」なんてハナから思っていないのです。
 子どもたちの貧困・子どもたちの育つ社会全体の貧困が進行しています。私たちはこれに対応していかなくてはなりません。
 「復活した安倍氏」の教育政策は実に稚拙だと笑うべきものですが、放擲前の「教育基本法改悪」に明らかなように非常に危険なものです。私たちはこれに対峙していかなくてはなりません。

学校現場の格差は公教育の崩壊
 学校は教職員の均質性が崩され、非常勤・支援員・介助員・臨時的〜…など非正規の人々が作られています。正規教員の内部も主幹・主任・三級・非常勤・・・等々に階層化されてきました。それぞれに給料の体系が異なります。学校職場は完全に「格差職場」です。これにさらに「格差の内部化」が始められています。「同じ職種内の格差導入」です。勤勉手当成績率導入は、同じ職種内で互いの賃金を奪わせ合う制度です。格差を内部化させる制度です。資本主義の厳しい歴史の中でも労働者同士に「勤勉」をめぐって金を奪い合わせるのは稀有な形態であろうと思われます。実にいじましくも卑屈を強要する制度ではありませんか。
 格差の内部化はさらなる格差の拡大をもたらすでしょう。行きつく先は、一割ほどの正規教員( 管理職・「『長期蓄積能力型』となる中核正社員」|以外を全て有期雇用契約、昇給無し、退職金・企業年金なしという処遇という(日経連「新時代の『日本的経営』」(一九九五提案 )です。公教育とて例外ではありません。しかしそれは、公教育の破壊だと言わざるを得ません。
 この「やってられない」現実を見据えて、私たちは「共働」としての学校職場をつくっていかなければなりません。

夢を語ろう
 私たちは非常に厳しいかなり悲惨な局面に立たされています。しかし、この悲惨な局面を知り自覚したものだけが新しい夢を語ることができます。現状を共有しましょう。そして解決の方向= 夢を語り合いましょう。



あの事故を他人事のように思ってはいけない
今、本当のことを知る努力をすることが大切だ
  ことは私たちの命にかかっている
 「宇都宮健児(前日弁連会長)・
  井戸川克隆(前双葉町町長)未来を語る」に参加して

 
 二〇一三年四月六日(土)大雨洪水注意報が出され、外出を控えるように天気予報士が呼びかけるなかで開かれた講演会でした。前双葉町の町長さんの話が聞きたくて、暴風雨をおして出かけました。ホールの前はたくさんの人であふれていました。
 井戸川前町長は、情報の遅れと、「公表」という名で流された虚報によって避難の経路を間違えてしまったことを深く反省された上で、福島での被害実態を話されました。とくに印象に残ったのは、随所で次のような内容を繰り返し言われていたことです。

 「福島での被害実態や真実を、政府やメディアは隠して教えなかった。そのために、たくさんの人々が危険にさらされているという実態。だから、今、本当のことを知る努力をすることが大切なんだ。」
 「私たちが『事実』を知る時には、その事態が相当動いていて取り返しのつかない諦めにも似た状況になっていることが多い」

 この言葉から、私たちはあらためて.三・一一の後、原子力発電所が爆発した時のことを思い出します。
 東京にも放射能が降ってくるという情報が流れたでしょうか? 
 校庭で遊ばせてはいけなかった時期に遊ばせてしまった後、実は東京にもたくさんの放射能が降っていた事実を知らされた時のことを。
 その事実を私たちはどう受け止めたでしょうか?
 そして、今は忘れたかのように生活していないでしょうか?

 今もなお、福島の原子力発電所からは、放射能が漏れているということと、私たちのまわりに降り注いだ放射能は、風に吹かれながら場所を変えてたまっているという事実をどこまで認識できているでしょうか?
  五年生が行く粟野では放射の線量が高いのに、今すぐには影響は出ないという虚言を信じるしかない私たちです。生活空間での一ミリシーベルトまでが二〇ミリシーベルトにまで引き上げられ、福島での生活を強いられている人たちがいるという事実を私たちはどう考えたらいいのでしょうか。これらの事実を真剣に考えて行動をとらなければいけない立場に私たちはいます。
 井戸川さんは続けて力説されます。

 「『国や自治体は公然と嘘をつく』ということを私たちは繰り返し経験しているのに、どうして何も感じないのか? 嘘を信じたほうが楽に暮らせるからなのだろうか? 当事者になって初めて全てが分かるのでは、遅すぎる。ことは私たちの命にかかっているのだから。」
 「福島では、健康被害が深刻になってきている。通常は百万人に一人といわれている甲状腺がんがすでに二人発症しており、可能性ありが十人もいるという。驚くべきことに、これに対して、放射能との因果関係はないと言っている専門家がいる。その専門家は、『にこにこしていたら発症しない』と言っている。この言葉をあなたは信じますか?
 住むことができない場所に福島県民を戻そうとして、新たな除染という名のビジネスを立ち上げている。除染神話で子どもたちが福島に縛りつけられ、また、連れ戻されている。人の悲劇をビジネスにしてはいけない。あの事故を他人事のように思ってはいけない。」

 井戸川さんと宇都宮さんの話はつきることがなく、また、会場からの質問もたくさんあり、もっと時間がほしいと感じました。
 暴風雨による自宅待機を勧めるメディアの報道の中、「フクシマを忘れない」人たちがこんなにたくさんいてこの会場に足を運んでいる、この人たちに私たちは連帯していかなければいけないと強く思いました。



 福島・沖縄の怒りとつながり、国際連帯で改憲と戦争をはばもう!
4.28全国集会4月28日( 日、沖縄デー) 午後1時から
ハイライフプラザいたばしJR埼京線板橋駅西口1分/ 都営三田線新板橋駅2分/ 東武東上線下板橋駅7分
沖縄から:水島満久さん( 元全駐労マリン支部副委員長)
「カギを握る基地労働者の闘い。沖縄闘争の課題と展望」(仮)
福島から:柴口正武さん(福島県教組副委員長・前双葉支部長)
国会報告:西川重則さん/ 基調提起/ 若者から ほか資料第500円主催:とめよう戦争への道! 百万人署名運動
 安倍首相による憲法改悪(=戦争への道)を絶対に許さない! そのために4.28集会を開催します。福島・沖縄の怒りとつながって、労働者民衆の国際連帯で、改憲と戦争を阻もうという集会です。
 4.28 は「沖縄デー」。サンフランシスコ講和条約発効の1952年4月28日は、沖縄が基地の島として売り渡された日でした。この歴史をくつがえそうと、4.28は反戦反基地の日として闘われてきました。
 ところが安倍政権は、その4月28日に「主権回復の日」を開催することを決めました。「沖縄を侮辱する暴挙だ!」と怒りが噴出しています。
 安倍政権は原発を推進し、改憲と戦争に突き進んでいます。これを阻むのは私たち労働者民衆の闘いです。ぐらぐらなのは実は彼らなのです。改憲阻止の課題と展望を一緒に考えましょう。


 「安倍教育政策NO !平和と人権の教育を!ネットワーク」スタート集会
安倍政権は「強い日本」をつくるために「教育再生」が必要と、教育を大きく変えようとしています。その大きな柱は、「道徳教育の徹底」と「厳罰主義」、そして教育内容の管理統制の強化です。子どものための教育ではなく、国家のための教育。平和主義・基本的人権を骨抜きにし、憲法改悪へとつながるものです。これに反対して、「安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワーク」を立ち上げ、そのスタート集会が行われます
 4月26日(金) 18時開場 18時半開演
 文京区民センター 3A 会議室
発言予定者 俵義文さん(子どもと教科書全国ネット21事務局長)/上原公子さん(元国立市長)/ 中島哲彦さん(名古屋大学教授)/ 勝野正章さん(東京大学准教授)/ 小笠原彩子さん(弁護士)/ 堀尾輝久さん他 (資料代 700円)


 4月27日メーデー中央メーデー前段集会に参加しよう!
東日本大震災と福島原発事故から2 年余りが経過しました。東北の被災地では、復興計画を立案策定する人材の不足、安定的・持続的な雇用の確保が課題となっています。さらに、震災から得た教訓を風化させてはならいことはもちろん、被災地域と被災者の生活の安定安心につながる新しい産業の育成や、雇用の創出に向けたとりくみが求められています。連合は、第84回メーデー中央大会を、「メーデーは働く人たちが主役。声を一つに仲間を集めて、安心して暮らせる未来をみんなでつくろう!」をスローガンに、4月27日に代々木公園で実施します。東京地公労は明治公園に結集し、中央メーデー結集デモをおこない、代々木公園で開催される連合を中心とした「第84回中央メーデー」に合流することを決定しています。全職場で参加体制を確立し、積極的な参加をお願いします。
4月27日(土)明治公園 集合 午前8時15分集会  午前8時35分〜9時00分結集デモ出発  午前9時00分(青山コース)午前10 時00分 代々木公園到着予定主催 2012年東京地公労メーデー実行委員会
 


週刊墨教組 No.1709 2013.4.8

新執行部確立! 踏みとどまって新たな転換点にしよう!
墨田教組第68回定期総会を成功させよう!!
 4月24日(水) 3時より
 すみだ女性センター第3会議室


 学校、教職員をめぐる情勢は、日々厳しくなり、復古安倍政権復活により、さらに困難な状況が予想されます。差別賃金・ボーナスによる教職員の分断、「違憲教育基本法」新指導要領を元としたアナクロ=子どもたちの学びを分断する新自由主義教育、土曜授業復活が目論まれています。
 これに、抗すべき教職員は、業績評価による「査定昇給」や職務職階制によって分断され、多忙化により社会的課題にかかわる時間もなく、学校と子どもを守るべき教員の協力・共働は、危機にさらされています。
 それでも私たちは、私たちの良心と労働と生活を守り、子どもたちが生き生きと活動できる教育を創造する組合を目指して、下記により、定期総会を行います。全ての組合員が参加して、第68回定期総会を成功させるように、確実なとりくみをお願いします。
 総会は過半数の参加により成立します。ぜひ早目に成立するよう定時参加をお願いします。
 残念ながら何年も前から対区労使交渉以外の組合活動は時間内に行えなくなりました。総会は「有給休暇」で参加していただきます。その場合校長が、有給休暇の使用目的を聞いたり「組合活動なら取らせない」などということはできません。そのような事例がありましたら直ちに組合にお知らせください。

 議案書の一部は3月12日(金)までに各職場にお送りします。ご検討ください。


「フクシマの絶望」を打ち破るものは
     忘れないこと・あきらめないこと
    現実を見据えること
 フクシマは訴える

苦悩するフクシマ
 ハイロアクション福島の武藤類子さんは二〇一一年九月一九日さようなら原発五万人集会で、次のように訴えました。

すばやく張りめぐらされた安全キャンペーンと不安のはざまで、引き裂かれていく人と人とのつながり。
地域で、職場で、学校で、家庭の中で、どれだけの人々が悩み悲しんだことでしょう。 
毎日、毎日、否応無くせまられる決断。
逃げる、逃げない?
食べる、食べない?
洗濯物を外に干す、干さない?
子どもにマスクをさせる、させない?
畑をたがやす、たがやさない?
なにかに物申す、だまる?
様々な苦渋の選択がありました。

 二年経ってもこの裂け目は癒されていません。いや、もっとひどく深刻になっているように私には思えます。

まるでなかったかのように
・・・忘れさせる者
 苦悩のフクシマでできることは、目をつむること、見ないようにすること、考えないようにすること・・・だけだとも言われます。そうすれば「直ちに影響はない」のだそうです。
 オリンピックで復興だ…と言えば互いに向き合うことなく、私たちはフクシマを忘れて、「未来」を見つめていられます。福島第二原発を廃炉にせよという県の意思に安倍首相は「県民・地域住民の理解がなければ再開できない」と廃炉を棚上げにしました。有耶無耶のうちにいずれ窮境にあるフクシマに金にものを言わせて「理解」させようと考えていることは見え見えです。彼が取り戻したい「強い日本」とは原発を五四基も作り続けてきた日本です。
 「まるでなかったかのように」させる政府・マスコミ・国民の圧力はフクシマに沈黙を強います。私たちに忘却を命じます。

現実を直視せよ
 しかし、現実は違います。決して三・一一以前の福島ではありません。会場あづま総合体育館は福島駅の西、吾妻連峰に向かう一〇kmほどのところにあります。集会後、公園を流れる阿武隈川支流荒川に沿って下っていきました。線量計を出すと、きれいな芝生でも土手でも何の変哲もない道路でも、0.3μSv/hを超えてしまいます。芝生の上では親子が遊んでいました。何の変哲もない道は何の変哲もない人が歩いていました。あの日、この吾妻安達太良連峰の山腹を雨雲は北から南に向かって雨と放射性物質を落としながら進んでいったのです。彼らは住む地を汚染させられ、沈黙を強いられ、そして忘れ去られています。それが現実です。

フクシマの怒り
 南相馬市小高区に住んでいた高校生高野さんは、「この三年間、学び舎も仮住まいを転々とし、今未来が見えないのです」 「もっとも怖いのは福島が忘れられ、また同じような事故が起こること。放射線量を計るモニタリングポストが町に設置されるなど、自分たちが住んでいるのは異常な世界。その異常な環境に慣れてしまうことがないように、事実の発信に努めていきたい。」と語りました。
 県森林組合連合会鈴木さんは、「 『どうせ』『やっぱり』と国は私たちをあきらめさせようとする。そんな国の中で信念を貫いて生きることは困難なことだが、この事故を経験した私たち福島県民だからこそそれができる。私たちが作ったこの国を、私たちは変えることができる。」と力強く訴えました。それは、「森林は負の遺産になった」という絶望と「将来、福島出身というだけで差別される人、障害を持って生まれてきた子どもたち」の可能性(今のまま私たちがいたずらに時を過ごせば確実にそうなってしまうでしょう)を踏まえた決意です。

集会は訴える
 呼びかけ人13人の一人、清水修二福島大教授は「福島県内では避難するかしないかで人心分断が生まれ、今また帰還するかしないかで分断が生まれている」と県民の裂け目を認めたうえで、「福島では県議会自民党から共産党まで一致して福島原発の廃炉を決議し、知事も原発のない福島県を目指すと表明した」事実を県民の結集軸にしようと語りました。「異様なことを異様なこととして認識し、斥ける=過去に遡って修復する」、「あきらめない、変える」の第一歩は「福島原発廃炉」への集中です。

共通する我々
 私たちもまたフクシマと同じ状況ではないでしょうか。線量は事故前は0.07でしたが今は0.1と確実に上昇しています。実はどうなるかわからない将来に怯えているのです(低線量被曝なんて科学的通説なんてないのですから。今が臨床実験の最中なのです。「実験動物」が確たる知識を持っているわけがありません)。だからこそ黙して語らず事故など無かったかのように忘れようとしています。
 突破口の一つはこれです。「原発のない福島を実現するために心を一つにしてがんばりましょう」という端的な集会の訴えに応えることです。
 「東北は長く中央に虐げられてきたが、豊かな自然にはぐくまれた自由さも持ち合わせてきた。これ以上私たちはバラバラにされない、尊厳を奪われない、つないだ手を離さないの3つを心において歩いていきましょう」武藤類子さんが閉会宣言で言った「私たち」の中に私やあなたは入るでしょうか? それとも、黙し、東電・政府の「何もなかったように」に黙々と従いフクシマを見ないために目をあげない人間、次の世代に警鐘を鳴らさない人間になるのでしょうか。
 私たちの置かれた現実を直視しましょう。あきらめず、原発廃炉を実現していきましょう。その途を職場・教室で切り拓いていきましょう。

呼びかけ人吉岡棟憲さん(曹洞宗・円通寺住職)
 人間らしく生きるためには人権・平和・環境が必要だが、原発事故は美しい福島を破壊し人々を引き裂いた。国・東電は責任をとろうともせず事故の風化を狙っているが決して認められない

清水修二さん
「福島県内では避難するかしないかで人心分断が生まれ、今また帰還するかしないかで分断が生まれている。しかし、福島では県議会自民党から共産党まで一致して福島原発の廃炉を決議し、知事も原発のない福島県を目指すと表明した。こんな県は福島だけであり、県内の原発を再び動かすという選択肢はない。先日、東京の集会に参加する機会があったが、東京でも原発の電気は使いたくないという声が出ているのは大きな変化。脱原発は民意であり、原発を止めることはできる」

篠木弘さん(JAふたば代表理事専務)
 警戒区域では、牛や豚が鳴き声を上げながらさ迷っていた。この残酷な光景は忘れない。東電は私たちを無視しているかのようだ。多くの福島県民が動かなければ物事は解決できなかった。これまでも私たち県民が森を守ってきた。収束もしていない福島原発で懸命に働く作業員もまた被災者であることを決して忘れてはならない。復興と言われているが、真の復興とは原発をゼロにすることから始まる。

鈴木邦彦さん(県森林組合連合会)
 私たちは森林から恵みを受け、森林を未来に受け継いでいく財産だと思っていたが3.11でそれは根本的に変化した。森林の除染は、やりすぎると山崩れのおそれがあるとして除染計画もできず、森林は負の遺産になった。山で生きていきたいという私たちの希望を奪った東電にそのことを認識してほしい。
 こんな大きな犠牲を払ってまで追い求める豊かさとは何か。コンセントにプラグをつなげば電気を使える便利さの向こうに犠牲がある。私たちは電力会社にだまされてきたことを知ったが、だまされていると知りつつ豊かな生活を捨てられないのも人間だ。しかし、将来、福島出身というだけで差別される人、障害を持って生まれてきた子どもたちと出会ったときに、それでも今までの豊かな生活を続けたいといえるのか、考えなければならない。
 「どうせ」「やっぱり」と国は私たちをあきらめさせようとする。そんな国の中で信念を貫いて生きることは困難なことだが、この事故を経験した私たち福島県民だからこそそれができる。私たちが作ったこの国を、私たちは変えることができる。


発言は「報告:『原発のない福島を!県民大集会』に7000人(レイバーネット日本)」より
http://www.labornetjp.org/news/2013/0323hokoku


歓送迎会へのお誘い
 2013年度が始まり、みなさん、忙しくお過ごしのことと思います。人がかわり時が移ってもってもかえてはならないものがあります。なにがなんでも変えなくてはならないものもあります。職場の闘いが墨田区教職員組合の闘いです。
 そのような日々を過ごした私たちの仲間がこの4月に、退職・区外転勤という形で墨田から去っていきました。ごくろうさまでした。私たちはみなさんが今この墨田にいらっしゃらないことを深く悲しみます。そして、心から「ごくろうさま」ともうしあげたい。また、新たに墨田区にいらした方にはじっくりとお話をしたい、共にこの墨田で闘いを続けていただきたい・・・。
 そんな思いで「歓送迎会」を行います。各職場・部での会を予定されているかもしれませんが、どうぞこの会に合流してください。
 参加される方は、担当執行委員・墨田教組事務局に4月16日までにご連絡ください。

墨田区教職員組合歓送迎会
 とき 4月24日(水)
総会後  5時より
 ところ 曳舟


週刊墨教組 No.1708          2013.4.1

2013年度人事異動情報










「平和憲法を守ろう」 2014.1.1