墨田区八広 


週刊墨教組 No.1543         2008.3.18

業績評価は
   公平・公正・客観的で
      納得が得られるもの

   デタラメな「評価」は許さない


 教育職員に関わる、二〇〇七年度業績評価の第一次評価(絶対評価)が希望者に開示され、今、「開示面接」の段階に入っています。「開示面接」の期間は、三月二八日までとなっています。都教委は、「教育職員の人材育成、能力開発に資すること」を開示の目的としています。しかし、自分の評価を知って、「ヤル気を無くした」、「腹立たしい」など「校長に対する怒りや不満」が組合に寄せられています。デタラメの最たるものは、「評価基準」を職員に一切示さず、「評価」を行った校長がいることです。都教委は、「面接を通して十分な意見交換を行い、共通理解を深めるように」と校長に指示していますが、「評価基準」が示されていないなかで、評価内容に関して共通理解など成立する訳がありません。これは、デタラメの一例に過ぎません。デタラメな「評価」を許してはなりません。

開示面接では「職務実績記録簿」を
 本人に開示すべきだ
 都教委は、「客観的事実に基づいて評価する」、「教育職員の職務遂行状況を十分に把握し、その記録を整備した上で、評価する」ことを校長に指示しています。「評価が公平・公正・客観的で納得が得られるもの」となるためには、当然の措置です。しかし、職員の「職務実績記録簿」を校長が作成しているかどうかが疑わしいケースが昨年度見られました。「C」評価は、校長等による指導・助言がなされ、その結果に基づいて評価されるものと考えられます。都教委の指示では、「職務実績記録簿」には、「指導・助言の内容、年月日、結果」が記録されていなければなりません。評価に関して共通理解を深めるには、「職務実績記録簿」を本人に開示するのは当然です。

苦情を申し出る
 評価結果だけでなく、開示の際の校長の対応も「苦情」の対象になります。
☆苦情の申し出は、「二〇〇七年度教育職員評価結果に係わる苦情申出書」に苦情の内容を記入した上で、区教委人事主幹課長等(指導室長)に提出する。「苦情申出書」は面接の際に校長から説明がある。
☆苦情の申し出期間は、二〇〇八年四月一四日〜四月二五日まで
☆苦情の申し出は、組合の関与が認められています。
 苦情を申し出た場合、本人と校長から「事情聴取」が区教委でなされます。直接区教委に「苦情」を申し出ることができるのです。



「高齢者雇用法」の改正主旨は
 希望者全員に退職後の雇用が保障されること


 都教委人事部から、「再任用・再雇用及び非常勤教員採用選考」の実施結果が組合に情報提供されました。その結果から判断すれば、希望者全員が採用されてはいません。不当にも不採用者が出ています。不採用者は「自己責任」で職を探さなければなりません。
 「公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが重要な課題」が基本のはずです。






反貧困フェスタ2008
―貧困をどう伝えるか― 時 3月29日(土)
   10:00〜16:00
 場所 千代田区立神田一橋中学校

 都営新宿線神保町駅A1出口4分

 昨年6月、教研集会で、ホームレス総合相談ネットワーク事務局長、湯浅誠さんに、「現代日本の貧困」という演題で記念講演をしていただきました。
 増加し全国に拡散しつつある困窮者やホームレスの人々にたいする社会的扶助を権利として確立することや、自立のためのサポートなどのさまざまな湯浅さんの活動をうかがいました。そして、新自由主義の下、労働者の低賃金化、無権利化、貧困化の進行のすさまじさをあらためて認識しました。
 その湯浅さんが事務局長をなさっている「反貧困ネットワーク」(代表:宇都宮健児さん)が、3月29日に、体育館をふくむ10室と校庭を使って、大規模なフェスタを神田で行います。亀戸ひまわり診療所も医療相談やレントゲン検診のブースを持って参加しています。
 多くのみなさんが参加し、あらゆる場で、「反貧困」の教育が実践されることを望みます。(詳細は、http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/festa2008.htmlあるいは書記局へ)

貧困問題って 何? (パンフレットより)
 貧困問題の実態が「見えない」「伝えられていない」ために、自己責任論が横行し、無理解にもとづく報道・政策が後を絶ちません。反貧困ネットワークはこのたび、日本社会に広がる貧困の多様な実態を伝えるために、多くの諸団体と協力して「反貧困フェスタ2008」を開催します。
 「そうだったのか!」「な〜るほど」と目からウロコの企画、楽しみながら貧困問題を学ぶ企画が満載のお祭りです。多くの方のご来場を心よりお待ちしております。校庭には、屋台、フリーマーケット、各種相談会などが出店します。どうぞお気軽にお立ち寄りください。



週刊墨教組 No.1542         2008.2.25

私たちの声で「婦人科検診」が改善
 二〇〇八年度から「こころとからだの元氣プラザ」で実施の方向


 
墨田教組は、女性部による「婦人科検診についての職場アンケート」の結果に基づき、二〇〇八年度予算要求の重点課題の一つとして、「婦人科検診」の改善を区教委に強く求めてきました。二〇〇八年度の墨田区予算案がプレス発表されたことを受け、二月二一日、加藤委員長と女性部三役(巻幡部長、林・福田副部長)は、「婦人科検診」に関する区教委の改善案ついて庶務課教職員係と事務折衝を行いました。区議会で予算案が審議中であり、「決定ではない」ことを前提に、改善案の説明を受けました。その骨子は次の五点です。

・「区民検診枠内」から教職員独自の「婦人科検診」に改める。
・診療機関を、区の指定する区内の病院・医院から「こころとからだの元氣プラザ」(飯田橋)に改める
・検診期間は七月〜九月。
 申し込んだ方に、「元氣プラザ」から日にちが指定される。変更は可能。
・受診は隔年ではなく、希望すれば毎年一回受けられる。検診内容は資料参照
・結果は郵送する。

「受診」は労働者の権利

 受診が隔年であったり、「人間ドッグでの受診」ということもありますが、「婦人科検診」の受診率が低いのが現状です。その主な原因は、「区民検診」として実施されてきたことにあると考えられます。
 「健康診断という感じの病院ではなかった。設備が整っていなくて不安になった。とてもいやな思いがした。待ち時間が長い。結果を聞きに行かなければならない。」等、職場のアンケート結果から判断できます。今回、提示された改善案で、職場の要求がすべて解消できるものではありません。
 元気で働き続けられるということが、私たちが一番に大切にしなければいけないことです。近年様々な病気の早期発見による治癒力アップが確証されています。自分の体は自分が守る以外はありません。今回の改正で、少しは婦人科健診が受けやすくなったのではないかと思います。女性教職員の皆さん、都合をつけて受診しましょう!

病気休暇・休職者を増やすな!
 都教委は、教職員の健康保持のために具体的な施策を示しています。しかしその具体化は、各地教委に任されています。墨田区の場合、「教職員の健康診断」は学務課、「婦人科検診」は庶務課が担当となって実施されています。
 「健康を保持」することは、私たち労働者の権利であり、労働安全衛生法に基づいて、教職員の健康保持のための具体的な施策を実施することは、区教委の義務なのです。文科省・都教委は、「労働安全衛生対策に万全を期すよう」に各地教委に指示しています。「教職員の健康、職場環境」等について、職場の生の声を反映させていく場が必要であり、その場は法にもとづくものであるべきです。
 墨田教組は、労働安全衛生法にもとづく「衛生委員会」の設置を強く要求しています。
 病気休暇や休職を余儀なくされる教員がこれ以上増えることがあってはなりません。






戦争の記憶を 風化させないために
   平和授業の とりくみを 進めよう


 今年もまた三月一〇日がやってきます。一九四五年三月一〇日、墨田・江東を中心とした東京下町は、米軍のB29による無差別絨毯爆撃で火の海と化し、一夜にして十一万五千人の尊い命が焼土に埋もれたのでした。東京大空襲は、広島・長崎の原爆とともに、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材と言えるでしょう。下町の街かどに安置されたお地蔵さんや追悼碑に、花を供える方々も年々高齢化し、空襲の傷跡もほとんど無くなりました。しかし、私たちはあの「地獄の炎」を決して忘れません。
 「教育基本法」が改悪され憲法をも改悪されようとしています。敗戦から六三年、「戦争」とその反省が歴史のかなたに追いやられようとしている今日、「東京大空襲」を自ら学び、子どもたちへ語り継ぐことは、私たち教員の課題と責務です

侵略戦争に加担してはならない
 イラクへの三万人の増派が強行された二〇〇七年、空爆回数が一四四七回といわ、二〇〇六年の二二九回の約六倍に増えています。空爆下のイラクでは、女性や子どもたちが、一般市民が無差別空爆で日々虐殺されているのです。東京大空襲下の墨田と空爆下のイラクの人々は、同じ「生き地獄を体験」しているのです。ブッシュは、一般教書演説で「米軍増派は一年前には想像できなかった成果をあげた」と破廉恥にも豪語しています。侵略と虐殺を正当化させてはなりません。断罪し糾弾し、航空自衛隊派兵など絶対に侵略戦争に、加担してはならないのです。

教え子を再び戦場に送らない
 なによりも、まず、平和を。
 子どもは「お国のため」にあるのではありません。
 私たちの先達は、戦後、日教組を結成しました。そして、平和を希求して、「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンが生まれました。これからもその精神を受け継がなければなりません。自分たちの職場で、『二度と戦争をさせない』とりくみを進めなければなりません。

組織的な平和教育のとりくみ
 墨田教組は、反戦平和教育の重要な課題として位置づけ組織的にとりくみを進めてきました。一九八八年からは、特に「三月十日」をひとつの節目に設定し、墨田の全学校で反戦平和教育の実践が行われることをめざし、墨田教組として統一的にとりくみを進めてきました。三月十日の前後には、特設授業や全校児童集会等々様々な形で、平和教育のとりくみが各学校で実践されています。このとりくみは、東京大空襲で壊滅的被害を受けた墨田におけるという意味で、地域に根ざした教育の一環でもあります。私たちは、これらの立場に立って、今年も三月十日を節目とした平和教育特設授業のとりくみを進めます。


週刊墨教組 No.1541         2008.2.21

開示を求める!
 デタラメな「評価」、差別昇給を許すな!
 「評価は公平・公正・客観的で納得がえられるもの」 
    開示請求期間 三月三日〜三月七日



 都教委は、「平成十九年度 東京都区市町村立学校教育職員定期評価本人開示実施要領」を区教委を通じて校長に配布し、「開示」について、教職員に周知徹底することを指示しています。「人事考課制度は人材育成、能力開発が目的」と都は再三説明してきましたが、この制度に対する職員の不満は強く、職員のモラールダウンを招く結果になっていることが指摘されてきました。人事考課制度は、私たちの労働条件である昇任・昇格・昇給・異動等にリンクしています。組合は人事考課制度を「交渉事項」として、その改善を強く要求してきました。その結果、昨年度から「第一次評価」だけは開示されることになりました。しかし、区内相対評価である第二次評価は、今年度も不当にも非開示です。不満ですが、人事考課制度を暴走させないためにも、業績評価の開示を要求し、不当な評価、昇給を是正させましょう。

「開示申請書」は全員に配布 
 昨年度、私たちの調査では、都教委の指示に反して、校長が「開示申請書」等を配布しなかった学校が複数あります。その学校の校長は、開示がよっぽど嫌なのでしょう。「開示申請書」と「……開示の実施について」(資料)を開示の希望有無に係わらず全教育職員に配布することになっています。その際、当然、校長から説明がなされることになります。机上に配布して説明をしない(できない)校長もいるようですが、説明を求めましょう。都教委は開示の目的を「本人開示は、教育職員の人材育成、能力開発に資することを、目的としています」と述べています。説明をしない校長は、職務放棄と言わざるを得ません。

「デタラメ評価」を許すな!
 二〇〇〇年度に、人事考課制度が強行導入されて以来、都は組合の開示要求に対し、その必要性は認めるものの、その実行を拒んできました。拒む背景には、「開示にたえられない評価」が少なからずあったものと思われます。
 校長は職員に対し、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示さなければなりません。その基準に照らし、校長は各職員に指導助言を行うことになっています。少なくとも、中間面接(一〇月)ではそのことがなされていなければなりません。しかし、昨年度、ある学校では、評価基準を提示せず、しかも中間面接では指導助言の類は一言も発言せず、総合評価には「C」をつけたという愚行が報告されています。「デタラメな評価」がなされたのです。こうした「評価」により、昇給や異動が決められることを許してはなりません。



資料 要領別紙1
全教職員配布


平成19年度 東京都区市町村立学校教育職員

定期評価本人開示の実施について

東京都区市町村立学校教育職員の人事考課に関する規則第15条第3項に基づき、定期評価の結果について本人開示を行います。
 本人開示は、評価項目ごとの評価結果を教育職員が認識することで、優れている点についてはさらに伸ばし、十分でない点については今後改善していく契機となるとともに、校長及び副校長が教育職員の人材育成を進めていく基礎とするものです。開示の際には、評価者である校長と被評価者である教育職員とが、面接を通して十分な意見交換を行い、共通理解を深めるようにしてください。
 教育職員の人材育成、能力開発を一層推進していくため、平成18年度から、開示を希望する教育職員全員に対し、第一次評価(絶対評価)の結果を開示しています。
 なお、開示された評価結果を継続的に人材育成に活用していく観点から、「業績評価結果を踏まえて実施する教育職員の指導育成」については、定期評価本人開示と合わせて実施する。
 また、人事考課制度の信頼性を高め、教育職員の人材育成、能力開発を一層推進する観点から、開示された評価結果に係る苦情相談の仕組みを設けています。

1 本人開示の目的
 本人開示は、教育職員の人材育成、能力開発に資することを目的としています。

2 開示の対象者
 開示を希望する教育職員は、定期評価の開示を申請することができます。
 ※ ただし、平成20年3月31日現在、条件付採用期間中の教育職員は除きます。

3 開示及び開示面接の手順
(1)全教育職員に開示申請期間前に、「平成19年度教育職員定期評価本人開示の実施について」及び、「平成19年度教育職員定期評価本人開示申請書」が配布されます。
(2)開示を希望する場合は、「平成19年度教育職員定期評価本人開示申請書」に必要事項を記入の上、必ず直接本人が校長に提出してください。
(3)開示申請期間は以下のとおりです。
 平成20年3月3日(月)から3月7日(金)まで
(4)開示通知の際に、校長から「平成19年度教育職員定期評価本人開示通知書」及び「平成19年度教育職員定期評価本人開示面接申請書」が配布されます。
(5)校長との面接を希望する場合のみ、「平成19年度教育職員定期評価本人開示面接申請書」に必要事項を記載の上、必ず本人が校長に提出してください。
※ 開示通知を受けた者のみが、開示面接を申請することができます。
4 苦情相談
 定期評価本院開示を受けた教育職員については、開示された当該年度の評価結果(面接による開示を受けた者に限る)及び開示面接の際の校長の対応について苦情を申し立てることができます。詳しくは、開示面接の際に校長から説明します。
5 その他
 開示面接に当たっては、校長のほか、原則として、副校長が立ち会います。


資料2 本人開示実施要綱より

T、開示必須の教育職員
ア 07年度の業績評価の第一次評価の総合評価が「D」のすべての教育職員(2008年4月1日の昇給が、3号昇給(1号ダウン))
イ 07年度の業績評価結果を踏まえ、校長が、特に指導育成の必要があると判断した教育職員
については、2008年3月10日(月)から3月14日(金)までの期間に、校長が面接をして評価を本人開示します。
 その際、「07年度の問題点を明確に示し、改善に向けて今後とりくむべき具体的内容を対象教育職員との共通認識をはかり明確にする」とされています。
 校長が記入した「2007年度教育職員定期評価本人開示通知書」により通知する。評価結果に基づき昇給区分が下位になる教育職員の場合は、あわせて、昇給への反映について説明します。
 校長は、被開示者に苦情相談制度の趣旨及び申し出方法を説明するとともに、「2007年度教育職員評価結果に係る苦情相談制度について」及び「2007年度教育職員評価結果に係る苦情申出書」を交付します。

U、開示を希望する教育職員(資料1参照)
 開示の実施期間は、2008年3月10日(月)から3月31日(月)まで
 開示面接期間は、2008年3月10日(月)から4月11日(金)まで
 07年度内に実施することが原則です。
  4月となり、異動してしまった場合は、前任校で開示面接を行います。
  4月で校長が退職してしまった場合でも、前任校で開示面接を行います。

V.苦情相談制度
 評価結果だけでなく、本人開示の際の校長(開示者)の対応も対象となります。
 苦情の申し出期間は、08年4月14日(月)から4月25日(金)まで
 4月に異動した場合の苦情の申し出先は、前任校の地区教育委員会となります。
 苦情を申し出ることを希望する教育職員は、「2007年度教育職員評価結果に係る苦情申出書」に苦情の内容を記入した上で、地教委人事主幹課長等に提出します。
 苦情の申し出は、原則として勤務時間内に行うこと
 苦情の申し出は、組合(職員団体)の関与が認められることが、確認されています。


組合で取り扱っています
「全国学力テストとPISA2006」
1部500円で販売

 「PISAの学力調査」は何を調査しているのか。本当に「学力低下はあったのか。「読解力」には「朝読書」・数学的リテラシーには「100マス計算」、そして今、理科の詰め込み?という対応は正しいのか。
 筆者は言う。
「読解力の何たるかも知らず、日本の学びの弱点も分析できs図に教員の勤務条件を悪化させる形でテスト体制強化へと短絡した教育行政に約束されている道は、更なる「学力低下」と社会分裂しかない」
 文科省やメディアの一面的な情報に歪められることなく、「PISA調査」「学力」を考えていきましょう。
 書記局に、残部があります。1部500円で販売しています。








週刊墨教組 No.1540         2008.2.13

 墨田区教委二〇〇八年度予算案における主要事業
  学校教育法の「改正」による学校評価システムの構築
  学力向上「新すみだプラン」の推進 小学校高学年に「読解力向上」副教材作成等
  学校管理業務の民間委託(緑小・柳島小・曳舟小・両国中)
  校舎・体育館の耐震強化の推進、トイレ改修(洋式化・ドライ化)
  小学校校庭の芝生化
  中学校部活動等大会(都大会)参加者交通費等の補助
  幼小中一貫教育の推進



 墨田区の二〇〇八年度予算案における教育委員会の主要事業に関し、二月十三日、区教委から説明を受け、若干の意見交換を行いました。主要事業に関するプレス発表部分は資料の通りです。墨田教組が要求したものが部分的に予算化されているものの、事業の中止を強く求めた「学力向上『新すみだプラン』」に対する増額、学校管理業務の民間委託など事業の具体化にあたり、今後、監視と是正を求めるものも予算化されました。


教育委員会及び学校の評価システムの構築
 昨年六月に強行改悪された学校教育法の具体化です。「学校は、学校評価を行い、その結果に基づき、学校運営の改善を図ることにより、教育水準の向上に努めることとする」「学校は、保護者等との連携協力を推進するため、学校運営等の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。」このことを受けて、教育委員会事務局として統一した評価システムを作成するとのことです。また、地方教育行政法の改悪、「教育委員会は、事務の管理及び執行状況の点検・評価を行い、議会に提出する。」により、評価システムを早急に構築しなければならなくなりました。教育委員会に対する議会の圧力が増すことで、教育委員会の独立性が弱められることを危惧します。

学力向上「新すみだプラン」の推進
 区独自の「学力調査」に加え、@「読解力向上」副教材の作成(小学校高学年)、A家庭学習用教材、B「個人学習プロフィール」のモデル実施等が内容です。

学校管理業務の民間委託
 来年度から、緑小・柳島小・曳舟小・両国中について、学校管理業務を民間委託することを区教委は明らかにしています。民間業者への業務委託は、人材派遣ではなく、「請負契約」で行われます。給食調理業務の民間委託と同様に、「請負契約」上の法的制限を受けます。具体化にあたり、そのしわよせが教員に及ぶことがないように、組合は区教委と交渉を行います。





 児童・生徒とのかかわりに生きがいをもつ教員が多いのは当然
  不人気な「管理職」・管理職に欠員が生じる恐れ
  指導主事を含め資質・能力の面で大きな課題


 教育庁人事部は、「教育管理職等の任用・育成のあり方検討委員会第一次報告について」をホームページでも公表しています。「第二章 教育管理職等の選考・育成をめぐる現状の問題点」では、校長・副校長の退職者の増加と受験者数の減少により、「欠員が生じる恐れがある、合格者の資質・能力の面で課題が生じる」ことを明らかにしています。都教委は、この間、地教委・校長を通じ、なりふりかまわず受験者数を増やそうとしてきました。しかし、現状は受験者の大幅な減少です。都教委の危機意識は相当なものと推察できます。受験者の大幅な減少の原因を、「教員の意識の変化」としていることは間違いであり、都教委・地教委による管理体制強化の結果、「管理職に魅力がなくなった」ことにこそ原因があるのです。
 都教委は、再任用校長を増やすことで、何とか欠員が生じないように、現状を繕うようです。何と嘆かわしいことか!
 都教委の強権的な体質に、多くの教諭が「NO!」の意志を表明しているのです。


資料

アンケート結果

主幹・教諭「受験をしない理由」  
@ 児童・生徒とかかわる時間が減るから
五六%
A 自らの教育理念や力量が管理職として不十分と考えるから 四一%
B 精神的なストレスが多いから 三三%
C 勤務の時間的な拘束が長くなるから
三二%
D 今の制度では、管理職の教育理念で学校経営ができるとは思わないから 二〇%
管理職等 「受験率低下の要因」
@ 副校長は雑務が多く教育そのものにかかわる仕事が少ないと感じるから 七一%
A 副校長は勤務時間が長いから 五二%
B 給与面などの処遇面が、職務内容や職責の実体に見合わないから 四七%



                                   平成20年1月10日 教育庁
教育管理職等の任用・育成のあり方検討委員会
第1次報告について

「これからの教育管理職・指導主事の選考・育成制度について」



教育管理職選考・任用に関する現状の問題点(第2章)
1 学校管理職の選考・育成をめぐる現状の問題点
(1)学校管理職要員の不足
管理職の大量退職時期を迎え、今後、管理職要員の大量任用が必要となる。
現行制度における推計では、再任用校長を配置しない限り、平成20年度から小学校副校長に欠員発生
(2)受験者数の減少傾向
  ア 有資格者数の減少
    有資格年齢層(44歳〜55歳)の減少、主幹選考受験者数の減少
  イ 受験率の低下
   ※受験率【小学校】(受験者数/有資格者数) 
4.5%(平成12年度)→2.6%(平成19年度)
   副校長の魅力低下(職務内容、勤務時間、処遇)…アンケート調査結果より

2 指導主事の選考・育成をめぐる現状の問題点
(1)指導主事に求められる資質・能力








【現在の指導主事は必要な資質・能力を備えているか(アンケート結果)】
備えている 31.4% < 備えていない 68.6%
【必要な資質・能力が十分とは言えない理由】
・指導主事在職年数の短さ(平均3年)
・ジョブローテーションの一環という意識
・選考において教科指導等の専門性が考慮されていない
・学校現場での体験が不十分
(2)受験率の低下による合格倍率の低下
合格倍率の低下により、競争性が失われてきており、選考制度として危機的状況。
  ※合格倍率 7.8倍(平成12年度)→1.4倍(平成19年度)
  ※受験率(受験者数/有資格者数) 5.6%(平成12年度)→1.3%(平成19年度) 
【受験率低下の原因(アンケート結果)】
 ・管理職候補期間の配属先が不明確
 ・指導主事の職に魅力を感じない
 ・指導主事候補者を発掘・育成する仕組や活動(研究会など)が不十分



 





週刊墨教組 No.1539         2008.2.1

職場の協力・協働を崩す

 
差別昇給=査定昇給に反対!

 都教委は、「平成二〇年度教育職員等の昇給の実施について」、「平成二〇年度教育職員等の勤務成績に基づく昇給における昇給者の推薦について」を通知しました。その特徴的な内容は次の五点です。
 @ 勤務成績区分「最上位」、「上位」、「標準」、「下位」の決定
 A 勤務成績に基づく昇給の決定
 B 校長推薦は在職人員の二〇%。(一未満の端数は切り捨て)
 C「業績評価等に基づいた」推薦により都教委が決定
   ・校長推薦者のうちから「最上位」と「上位」者を決定
   ・教育庁全体の枠から校長推薦による「上位」者数を減じて得られる数の範囲内で、校長推薦者以外の者から局推薦を行い、成績「標準」者から「上位」を決定(区分「教諭」の最上位数は五%、上位数は二五%となる)
 D 校長、副校長、主幹・指導主事、教諭、の四区分
 ※在職人員とは平成一九年度に業績評価が実施された教育職員等で基準日(四月一日)に在職する者の数から最高号級者、平成一九年度中に退職が予定されている者を減じた数。

 業績評価に向けて職場では最終の面接が始まります。昨年度より、副校長の評価は廃止となり、第一次評価者は校長だけとなっています。昨年度より、五段階だった絶対評価は、四段階(A・B・C・D)に改められています。この結果、今まで以上に校長権限が強められたものとなっています。この業績評価に基づき、六号昇給(最上位)・五号(上位)・四号(標準)・三号(下位)が決まっていきます。絶対評価であるから、職員全員が「求められる水準」をクリアーする場合、「C」「D」の該当者がいないこともあり得ます。しかし、都教委は、そういう事は在り得ないとし、総合評価において誰かに必ず「C」評価をつけるよう区教委を通じて指示しています。「評語『C』もう一歩」と都教委は解説しています。校長は、「C」評価に該当する職員には、校長が年度当初に示した「求められる水準」に達していないことを具体的に示し、指導していなければなりません。「求められる水準」を示さず、日常的に具体的な指導もせずに「C」評価をつけることはありえません。しかし、業績評価の開示から「ありうる」ことが明らかになっています。デタラメな評価が行われているのです。昨年度、業績評価の開示を求めた職員は以外と少ないです。開示数が多くなれば、「デタラメな評価」がもっと明らかになると考えられます。
 六号昇給・五号昇給は約三〇%の方が該当しています。公平なら、少なくとも四年に一度は全員が該当する割合なのです。
 今年度最後の面接です。納得のいかない評価は、校長に是正を要求するつもりで、校長と面接し、校長の言動を必ず記録に残すようにしましょう。

抜擢昇給・成績主義に反対する
 学校は、特に協力・協働が礎になっている職場です。職員間の競争がなじまない職場なのです。しかし、査定昇給制度は、個々を競わせ評価し、処遇するという競争原理の徹底を給与制度面からから推し進めようとするものです。また、上位下達による学校運営を貫徹しようとするものです。「競争」は人間的な感情、関係、いとなみ、感覚の頽廃、つまり人間の内面の頽廃を導き出さざるを得ません。だからこそ私たちは成績主義に反対してきました。管理職が充足できなくなりつつある現状、主幹が充足できない現状は、都教委による管理強化に反対する学校職員の意志の反映です。実に喜ばしいことです。あくまでも成績主義に反対し、反抗していきましょう。

第1回拡大委員会 
日時 2月8日(金)午後5時半より
場所 墨田教組会議室
議題 @人事考課制度に反対するとりくみ
A2008年度執行委員定数について
B反戦平和教育について
Cその他 (東京教組役員選挙、人事異動について等)
 お忙しい時期ですが、定足数がありますので、タクシー等利用されて定刻にご参集ください。



卒業証書
 保護者からの申し出があれば西暦年号記載


区教委は
 一月一〇日開催の校長会で
 卒業生の全保護者への周知を指示
 卒業証書の生年月日や発行年月日の年号記載にあたり、「元号」で表記するか、「西暦」で表記するかに関し、墨田区・墨田区教委の基本的な方針は、次の四点です。
1.元号使用が原則
2.保護者からの申し出があれば西暦記載が可能
3.外国籍の子どもについては、生年月日、発行年月日、氏名の表記について確認し、保護者からの希望があれば、その意志を尊重する。
4.このことについて、卒業生の全保護者に周知する。

 この方針は、思想信条の自由等の人権を尊重する立場、さまざまな価値観や文化を有する多様な人々と共生する墨田を築くという立場に基づいて明らかにされたものです。

 昨年度は、小学校一三〇人強、中学校五〇人強の卒業生に西暦記載の卒業証書が発行されています。人権尊重や国際理解教育は、具体的な実践こそが大切です。昨年度、保護者への周知がなされたか、疑わしい学校があります。「保護者への周知」がすべての学校でなされ、児童・生徒、保護者の意志が尊重されるとりくみを強めていきましょう。


2月11日(月)に日朝教育交流のつどい
今年は34回目

 朝鮮学校と日本の学校の教師たちは、差別・偏見の根絶をめざし相互の理解を確かなものとすることを願って、「日朝教育交流のつどい」を続けてきました。今次の「つどい」は、都高教・東京教組・朝教同(在日朝鮮人教職員同盟)の三者が実行委員会を構成し開催するものです。
 以下のような案内が来ています。多数ご参加ください。
2008日朝教育交流のつどい
朝鮮学校との交流をすすめましょう
 近年、「国際交流」の重要性を指摘する声が急速に高まり、各学校でも国際交流授業のとりくみがすすんでいます。
 日本にはさまざまな外国籍の人が生活していますが、その中で圧倒的多数を占めるのは朝鮮・韓国籍の人たちです。朝鮮学校は終戦と同時に、異国に暮らしながらも子どもたちに母国の言語・文化を学ばせたいという強い親の願いから、全国各地に自分たちの手で創られました。東京には現在、朝鮮学校が小・中・高・大学あわせて11校あります。そこには在日3世・4世・5世の子どもたちが母国の言語・文化を学ぶために通っています。
 私たちは、歴史的事実を認識した上での朝鮮学校との交流が重要であるとして、「日朝教育交流のつどい」を毎年開催し、今年で34回目となりました。「まず、お互いに知り合うことから始まる」を合言葉に積み重ねてきた「日朝教育交流のつどい」です。今回は、足立区興野の東京朝鮮第四初中級学校で開催します。日朝教育交流が当たり前のものとして広がり、さらに発展させていくために多くの方の参加をお願いします。

とき 2008年2月11日(月)
10時30分〜14時30分
ところ 東京朝鮮第四初中級学校
 足立区興野1―18―12
 JR北千住駅西口下車―東武バス西新井大師行き01で15分
 東武鉄道西新井大師駅下車―東武バス北千住行き01で7分
興本センター前で下車
主催 第34次日朝教育交流のつどい実行委員会

受付 10:20〜10:50
授業参観・校内見学 10:50〜11:35
交流会 食文化にふれよう! 
 いろいろな種類のキムチ作り
11:45〜13:00
昼食 13:40〜13:40
芸術公演 13:40〜14:00
全体会  14:00〜14:30
実行委員長・校長・足立区教育長挨拶
東京朝鮮第二初級学校校長による特別報告




週刊墨教組 No.1538      2008.1.7

反戦 反核 反差別 護憲
 憲法に基づいた教育を!
 憲法改悪反対!



安心して働ける仕事先というものが
      失くなっているのではないのか。


 
つげ義春が、こういっている。
 「井川さんの詩を拝見すると、物語がいくらでも浮かんでくるのがふしぎです。私はもうマンガを描く元気がないのにストーリイが浮かんできます。」

  日暮れの町で

       井川博年
勤め帰りの町角で
アルバイト姿の娘を初めて見た。

娘は店の制服を着て帽子を被り
私を見つけると澄まして
 イラッシャイマセ
といった
濃い口紅が似合っていなかった
それを見るとなんだか
胸がいっぱいになった

私はあわてて隠れるように
その場を離れ物陰から
娘と先輩が働く所を眺めた。
お客がきてケーキを頼むと
娘はぎこちなくでもきちんと包んで
 アリガトウゴザイマス
といった

はらはらしながら見ていた私も
合わせて
 アリガトウゴザイマス
といっていた。

 『幸福』(二〇〇六年)所収。
 辻征夫は、かつて井川に宛てた手紙に書いている。「きみの不幸中の唯一の幸福は生活と詩が手をとりあっているということだ。しかも、それを美しく歌う能力をきみが持っているということだ。」
 辻征夫は、向島という水土/人情、そして言問学校が手塩にかけてはぐくんだ、不世出の抒情詩人である。
 辻は、一九三九年浅草で生まれ向島で育った。二〇〇〇年一月十四日、脊髄小脳変性症に起因する病により急逝した。

 辻の無二の親友である井川は、友の死にふれて、ありのままに、こう書いたのだった。
 「小生昔から、啄木のことを思えばいつどこでも泣けるという特技を持っていたが、これからはこれに加えて、辻征夫のことを思えばどんな所でもいつでも泣ける、という別技を加えました。よろしければいってください、どこでも泣いてご覧にいれます。」

   

 ふりかえれば、日経連が一九九五年に出した『新時代の「日本的経営」』という文書は、経済界の労働力政策が新自由主義へと転換したことを明確に示したものだった。そこでは、長期蓄積能力活用型グループ、高度専門能力活用型グループ、雇用柔軟型グループと労働者が三つに分類されていた。大競争時代に対応したコスト削減を目的とした露骨な労働力の差別化政策が打ち出されたのである。コイズミ・アベというバカ殿のおかげで、新自由主義は累乗的に加速し、社会や職場を劣化させてしまった。

 井川博年は、「ぼくの作品は語彙に乏しく、詩に必要な飛躍したイメージと力強さに欠け、過去の出来事を再生しているだけであろう。しかし、ぼくは一貫して「情けない詩」を書こうとつとめてきたのである。」と告白したことがある。
 しかし、ありのままの「情けない詩」が、新自由主義を哀しく糺すのだ。
 詩集『幸福』は、つぎの詩でしめくくられている。

   何時の日か

 考えてみると、私の生涯の問題は、すべて「住まい」と「仕事」にあったのだ。社会に出てからも、私の一番の関心はこの二つであったが、今後もそうであろう。
 住まいについて言えば、田舎の家を出てからは、私はずっと都会で暮らし、その間下宿生活や借間暮らしをしてきた。結婚してからも二人で六畳一間のアパートに住み、子供が生まれてからは、二間や三間のマンションを転々とした。アパートといい、マンションといっても借間に違いはない。そして、ついに私は、自分の家を持つことなく終わりそうである。私はそれでもいい。家など無くとも良いと思っている人間だから。一人だけなら三畳一間でも押入れのベッドでも文句はいわない。しかし、私の妻は借家で生まれた「家なき子」である。妻だけでなく子供たちもまた、最後までここが父の家だ、というのを知らぬまま終わってしまうのか、そのことが私をかなしくさせる。すべては私の至らぬせいである。
 仕事もそうである。学校を出てから十代で働き、色んな所を見たし色んな職業にも就いた。思い出しても冷汗の出るような日々であった。その中で私は運良く何とか生きて来れた。あの当時の何もできない私を、よく雇ってくれた、と思わざるを得ない。何も言わずに私を採用し、給料を出し、仕事を覚えさせてくれた、会社とそうした会社の上司たちの事を今思うと泣きそうになることがある。私はそれらの会社で一から仕事を覚え、人とのつき合い方から酒の呑み方、挨拶の仕方まで教わったのである。その社会の学校の中から一生を託するに足る仕事というものを知り、覚え、そうして妻子を養って来れたのである。
 しかし私の子供らはどうであろう。どこに彼らを受け入れてくれる会社、、彼らを温かく見守って、社会の一員としての責任を果たさせてくれる仕事先があるのか。そういう会社がどんどん失くなっているのがわかるだけに、私は心配である。今のこの国には、能力の劣るもの、正直だけが取り柄、健康だけが取り柄のような彼ら若者を受け入れる会社、彼らが安心して働ける仕事先というものが失くなっているのではないのか。彼らが安んじる住まいも、また失いのではないのか。
 今から一三三〇年前、中国の詩人杜甫は、長い放浪の旅の中、四川省の成都の茅ぶきの家で次のような詩を書いた。「茅屋為秋風所破嘆」。その最後の部分、

安ずこにか得ん広き廈の千万間
大いに天下の寒しき士を庇いて倶に歓ばしき顔し
風雨にも動かずして山の如く安きを得ん
嗚呼何の時か眼前に突兀として此の屋を見ば
吾が盧は独り破れて凍死を受くとも已に足らえり

杜甫の嘆きは現代でも有りすぎるほど有る。私もまた願わずにはいられない。私の子供たちの上にも、良い「住まい」と良い「仕事」がありますように  。幸いもともと私の家などはないのだから、独り破れてもかまわない。そうして年をとって仕事がなくなれば、凍死を受くとも可なりではないか。


                  (長谷川 政國)


週刊墨教組 No.1537 2007.12.10

改悪教育基本法の実働化に抗して


 「戦後レジームからの脱却」、「美しい国創り」を掲げ、内閣の目標を「憲法改正」に置いた阿部内閣により、昨年一二月一五日、「教育基本法」の改悪が自・公与党により強行された。勢いづいた阿部は、「戦争がやれる国」づくりへ突き進んだものの、「教育基本法の改正」・「憲法改正」が選挙では争点として重視されず、参議院選挙に大敗北した。阿部内閣の目標や政治姿勢が有権者から支持が得られなかったのだ。阿部は遁走せざるを得なくなってしまった。阿部路線が破産したのです。
 有権者の信任が得られていない「改悪基本法」に基づいて、学校教育の国家統制がさらに強まることが予想できます。「歴史教科書をめぐる沖縄の闘い」は、今後の闘いの展望を切り拓きました。全国の仲間と連帯して、闘いを続けましょう。

2008年度予算要求を提出
 あわせて職場環境の改善について改善を求める
 墨田教組は、10月26日、2008年度教育予算に関わる要求を提出し、職場の実態や要求根拠を説明し、早期実現を強く求めました。

T.重点要求
1. 子どもの人権を守り、確かな教育を実現する。
@1クラスの子どもの数を区独自に30人以下にするよう教員を配置すること。
A 諸外国からの転入者・入学者の学習保障のために、該当児童・生徒からの教育要求や、要求に対する学校対応の実態を把握し、具体的な施策に対し予算措置を行うこと。
・区南部の小学校と、中学校に日本語学級を設置すること。
・「日本語ができない児童・生徒に対する通訳介助」措置の期間は、教育的な配慮から、実態にあわせて措置すること。 
・保護者との意志疎通のため、通訳を区として確保すること。また、保護者宛文書を翻訳するシステムを区でつくること。
・入学確認書、入学通知書における児童・生徒・保護者名は、本名を記載すること。
B児童・生徒、教職員の安全確保の観点から、耐震補強工事を早急に行うこと。また、新たに調書した結果について保護者や教職員に明らかにすること。
C「給食費等の未納」について、区としての解決策を講ずること。
D数値目標による目標管理の押し付けを行わないこと。
E「学校管理員」の民間委託を行わないこと。
F児童用更衣室を全校に確実に設置・整備すること。

2.「学校選択の自由化」には、墨田教組は基本的に反対である。
しかし、実施にあたっては次のことを要望する。
@ 施設等教育条件の平等化を改修も含め実施すること。
A 「教育課程は学校が決める」ことから、各学校が決定した教育課程を円滑に実施するために、さらに財政的配慮を行うこと。
B各学校の募集人数は教室数等を考慮し、教育条件の低下をまねかない範囲とすること。
C児童生徒・保護者に負担を強いる新たな統廃合は実施しないこと。(小中連携を含め、統廃合計画に伴う教育効果を明らかにすること)

3. 小・中野外体験活動、中学校「移動教室」実施にあたっては、各学校が当初の趣旨にそった内容での実施が可能になるよう、予算を増額すること。
@希望する小学校には、区で責任をもって施設を確保し、斡旋すること。(他区・他県の施設を利用しなければならず、時期などで悪条件の中で実施せざるをえない)
A予算を増額し、保護者負担の軽減をはかること。(準要保護児童への補助金の増加を理由に利用施設等、各学校の独自性が損なわれている現実の改善)
B交通費を増額すること。(少規模中学校ではバス代が不足するところもある。小学校では支給額を越える実施期間がある)
C中学校での「スキー教室」実施にあたり、生徒管理上、教員のスキー経費を設けること。(現状は、業者に負担させている現実の改善)
D宿泊行事における、付き添い看護師の職務内容について、学校現場の要望を考慮すること。また、派遣看護師の職務内容について学校現場に周知徹底すること。

4.学力調査は予算化しないこと。 また、文科省による「学力テスト」は実施しないこと。「競育改革」を助長するテスト結果の公表については行わないこと。
 (偏った「学力」重視は、児童・生徒の人格形成に弊害をもたらしている。また、業者が個人のプライバシーを取得することになり、プライバシー保護の視点からも問題である)

5.「労働安全衛生法」にもとづく「衛生委員会」を設置すること。また、働くものの安全・健康を最優先に、次のことを直ちに行うこと。
@「メンタルヘルス」、「メンタルヘルスケア」に関し、具体的な施策を講ずること。
A病気休暇・病気休職の実態把握、原因究明、対策の検討を行うこと。(最近急増している)
B管理職による「病人」に対する横暴な態度、病気回復に反する行為を是正・指導すること。
C教職員の健康保持について、事業の充実改善を図ること。
D「人間ドッグ」を「定期健康診断」「『婦人科』検診」に代える場合、服務上「出張」扱いにすること。
E定期健康診断二次検診の内容を充実すること。
F定期健康診断判定DEFGを「二次検診」の枠内と考え、通院を服務上「出張」扱いにすること。
G休憩時間を確実に保障するために各職場に「休憩室」を設置すること。

6.小規模な施設改善要求についても区教委で把握し、教育環境整備の面から早急に対応すること。

7.夏季プ−ルを早期に社会教育事業に移行させること。

8.周年行事の簡素化をはかるよう校長への指導を強め、PTA・町会にも同趣旨を申し入れること。また、5年行事をやめ10年行事一本にすること。

9. パワーハラスメントの定義を定め、防止のための具体的な施策を講じること。



週刊墨教組 No.1536 2007.11.26


闘ってこそ生活は守れる
 闘ってこそ労働条件を改善できる
 教員給与の抜本的な改悪を阻止しよう


 〇七賃金確定闘争は、都当局が頑なに自らの主張に固執し、解決に向け困難を極めました。しかし、「労働条件は労使合意で自主解決」の立場を双方が尊重する中、内容的には不満な部分を残しつつも、労使が妥協することで決着しました。
 都は、今年度、全国に先駆けて教員の人事制度を大幅に改悪することを主張してきました。これに対し、東京教組・都教組・都高教など教育関連七組合は、東京都人事委員会に繰り返し要請を行い、「新たな職『主任職』」の給料表新設の勧告を阻止しました。また、行政職と比べて、教員の給料は高すぎるとして、都は大幅な賃金ダウンを示唆してきました。このことについても、阻止することができました。「教員の人事制度については、給料表、諸手当を含めた教員給与と任用のあり方について、平成二〇年度の給与改定交渉期までに結論が得られるように引き続き協議」とさせました。しかし、都は独自の教員給料表を作成することが可能となっている今、大幅な賃金ダウンを含む、抜本的な制度の改悪を、強行しようとしています。〇八年度は一層厳しい状況になることが予想されます。賃金・労働条件は交渉事項です。今から、強固な闘いにとりくむ必要があります。闘わなければ生活は守れないのです。


再雇用制度、成績率、病気休職制度等

@定年退職後の継続雇用は、原則として「再任用制度」に一本化。経過措置として今後二年間、一七・一八年度末定年退職者、勧奨退職者は一六日再雇用も可能。現一三日再雇用者で「真にやむを得ない事由」のあるものは一三日再雇用可能。選考実務、再任用配置にあたって一定の配慮を行う。
A成績率の対象者は次席まで。原資は勤勉手当〇.〇二月及び扶養手当相当分を拠出、所属課長推薦三〇%を導入。
B現業賃金は、引き続き協議、今年度は現行方針により給料表作成。
C病気休暇・休職の有休期間の見直しは、二〇年四月以降新たに休暇、休職に入る職員から適用。
D育児短時間勤務制度については一月都議会での条例改正に向け、年内に解決を図れるよう引き続き協議
E福祉関連
・病気休暇の時間単位取得の対象を肝炎、ガン治療まで拡大
・子どもの看護休暇を小学校三年生まで拡大
・三〇日以上の病休取得後の勤務軽減の新設
・昇給決定における育児休業、部分休業の欠勤等扱いの改善
・退職手当の育児休業取得除算割合の改善


資料


退職手当の除算割合の見直しについて
1 趣旨
  仕事と子育ての両立を支援する観点から、育児休業取得期間に係る退職手当の除算割合について見直しを行う。
2 内容
  育児休業取得期間に係る除算割合は、全期間1/3とする。
 〔現行:子が1歳に達した日の属する月まで⇒1/3、以後の期間⇒1/2〕
3 実施時期
  平成20年4月1日以降の退職者に適用

退職手当の調整額単価の見直しについて
1 趣旨
  退職手当の調整額単価については、地域手当支給割合の整数単位改定に合わせて段階的に改定することとしているが、今回、本給と地域手当との配分割合を変更するための小数点改定が行われることに伴い、調整額単価の見直しを行う。
2 内容
  地域手当支給割合14.5%時点における退職手当の調整額単価を、415円とする。
3 実施時期
  改定された給与条例の施行日(地域手当支給割合の改定日)から実施


再雇用職員及び専務的非常勤職員の
年次有給休暇の付与日数の見直しについて

1 趣旨
  職務能率の一層の向上に資するため、再雇用職員及び専務的非常勤職員の年次有給休暇の付与日数について、下記のとおり見直しを行う。。
2 内容
  再雇用職員及び専務的非常勤職員の年次有給休暇の付与日数は、下記のとおりとする。
(1)再雇用職員(月16日勤務)


(2)専務的非常勤職員
 専務的非常勤職員(週所定勤務日数4日)については、再雇用職員の年次有給休暇の付与日数に準じて見直しを行う。
3 実施時期
  平成20年4月1日


病気休暇及び病気休職制度の見直しについて
1 趣旨
  ノーワーク・ノーペイの原則、国及び他団体との制度的均衡、また、制度の適正な運用を図っていく観点から、病気休暇及び病気休職制度について所要の見直しを行う。
2 内容
(1)病気休暇制度
給与を減額しない日数は、1回について、引き続く90日を限度とする。
(2)病気休暇制度
ア 休暇期間が満1年に達するまでは、給料及び扶養手当、地域手当、住居手当及び寒冷地手当てのそれぞれの100分の80を支給する。
イ 病気休職から復職した後、1年以内に、再び同一の疾病により勤務に就くことができなくなった場合の休職期間は、前回の病気休職期間と通算し、3年を超えない範囲内において休養を要する程度に応じ、個々の場合について、任命権者が定める。
 なお、前回の病気休職期間が更新されている場合は、最初に休職した日から病気休職期間を通算する。
3 実施時期
  平成20年4月1日
※上記2(1)については、平成20年4月1日以降、新たな病気休暇を承認された場合に適用する。
※上記2(2)アについては、平成20年4月に1日以降、新たに病気休暇となった場合に適用する。
※上記2(2)イについては、平成20年4月に1日以降の休職発令(更新を含む)から通算の対象とする。

病気休暇を時間単位で取得できる要件の拡充について
1 趣旨
  一定の期間にわたり定期的に医療行為を受ける必要がある職員について、当該医療行為を継続しながら職務に従事することが可能となるよう、真にやむを得ないと認められる場合に時間を単位として病気休暇を承認することができる要件を拡充する。
2 内容
  時間を単位として病気休暇を承認することができる要件に、
「1日の正規の勤務時間の一部において、おおむね1月以上の期間にわたり週1回以上の頻度により次に掲げる定期的な医療行為を受ける必要があり、真にやむを得ないと認められるとき
(1)B型肝炎及びC型肝炎に対するインターフェロン治療並びにこれに準ずるもの
(2)がんに対する抗がん剤、放射線による治療及びこれに準ずるもの」
を加える。
3 実施時期
  平成20年4月1日

勤務の軽減措置に係る対象者の拡大について
1 趣旨
  職員の健康管理の観点から、病気休暇が終了し勤務に就くことになった一定の職員を勤務の軽減措置の対象者に加える。
2 内容
  30日以上の病気休暇の期間が終了し勤務に就くことになった職員について、疾病または負傷の再発防止及び早期かつ円滑な職場への復帰等に資すると任命権者が認める場合、当該職員の申請に基づき、以下の期間及び付与単位により勤務の軽減措置を承認することができるものとする。
(1)期間
 勤務に就くことになった日から引き続く1月以内の必要な期間(日単位)
(2)付与単位
 1時間単位とし、2時間以内の必要な時間
3 実施時期
  平成20年4月1日





週刊墨教組 速報版  2007.11.15

都労連、労使合意で自主解決を重視
 再雇用制度見直し、実態的に阻止
 勤勉手当への成績率、適用対象職員を行政職次席まで拡大
 加算額の提案を圧縮
 一時金〇.〇五月増
 年末一時金二.一二五月分十二月一〇日に支給(条例通り)
 マイナス勧告二〇〇八年一月実施
 「所要の調整」(マイナス差額)実施(三月期末手当で実施か)
 病気休暇・休職制度の改悪 二〇〇八年四月から適用

十一・十五統一行動は  中止


 二〇〇七年度の賃金確定闘争は、政府の「総人件費削減」政策に追随した、不当な勧告に加え、
@業務職給料表(現業系職員)の見直し、
A勤勉手当への成績率、上位区分の対象・加算額・適用対象職員等を拡大、
B再雇用制度の見直し、
C病気休暇・休職制度の見直し、
を画策し、今交渉での解決に固執する都当局と都労連との厳しい鍔ぜり合いの中で、きわめて難航しました。この四項目は、いずれも、給与水準の引き下げ、勤務条件の改悪、高齢者雇用制度からの除外等、私たちの生活を破壊していく不当な内容です。都財政は大幅な黒字決算となることが予想されています。財政事情が好転していることから、私たち都の職員の要求に応え、当然、都当局は労働条件を改善すべきです。しかし、都当局は、国の圧力に屈し、都職員の労働条件改悪を提案してきたのです。こうした点から、都労連は「見直し」提案の断念を求めて交渉を強化してきました。交渉はきわめて難航しましたが、労使の信頼関係をもとに、労使協議を尽くし、労使合意で自主解決を図る立場から双方が歩み寄り解決することで合意に達し、一五日五時三〇分に最終団交に入りました。実力行使を中止することを決定しました。
 都側の最終回答骨子は次の通りです。

・二〇〇八年一月から勧告給料表で実施
・一時金は〇.〇五月増、年間四.四五五月。〇.〇五月増は勤勉手当。
 年末一時金、条例どおり二.一二五月分、一二月一〇日に支給
・「所要の調整」は実施
・成績率の拡大、
 ◆適用対象者を行政系の「次席」まで拡大。提案された行政系「主任」、 教員の「主幹」までの拡大は阻止
 ◆加算額は提案を圧縮(勤勉手当増分〇.〇五月→〇.〇二月)
・再雇用制度の見直し、実態的に阻止
 ◆既退職者すべてに「再雇用」を適用、但し、月一六日勤務
  〇八年度は、月一三日勤務を残す
 ◆教員には、非常勤制度を新設 日勤講師として月一六日勤務
・病気休暇・休職制度の見直し
 ◆〇八年四月から新たに取得する人から適用
 ◆時間単位の病気休暇を拡大(抗ガン剤・放射線治療、肝炎のイ ンターフエロン投与)
・業務職給料表の見直しを提案させず


賃金・労働条件は交渉事項であり、労使合意が不可欠
 人事委勧告に加え、都側の新たな四項目の提案、の一括実現に都側は固執しました。これに対し、都労連は、「地域手当の本給繰り入れ」、「人事考課制度を労使交渉で抜本的に見直す」、「教員給与は現行水準と体系を基本に改善」、「五五歳以上の昇給抑制措置の撤廃」、「高齢者雇用制度の改善」、「メンタルヘルスケアに関する要求」など提出した要求の実現を強く求めました。また、賃金・労働条件は労使協議事項であり、労使合意が不可欠であることから、四項目提案ついて、都労連は「態度と要求」を提出し提案内容の撤回を求めてきました。しかし、都側が自らの主張を一切譲らず協議が成立しない状態が続いてきましたが、労使合意で決着させることを重視し、不満な内容を含みますが都労連は妥結することにしました。
 細部までの妥結内容を把握できていません。
詳しくは、十一月三〇日(金)開催の分会長会で報告いたします。



週刊墨教組 No.1535 2007.10.31

 闘い無くして生活は守れない
  都当局新たな提案
    病気休暇及び病気休職制度の改悪を許すな!
    一般職への成績率導入拡大阻止


 二〇〇七年度賃金改善・人事効果制度の見直し・福利厚生諸要求・再雇用制度廃止反対等の要求実現を求め、賃金確定闘争を、東京教組は実力行使を背景に闘いを強化しています。国・都の人件費削減政策に屈した都人事委勧告の実施をめぐり、また、「病気休暇及び病気休職制度の見直し」、「一般職員に係わる勤勉手当の成績率の見直しについて」の新たな都当局による提案阻止を加えて本格的な交渉が始まっています。労働条件は、労使交渉で決めるのが法的な大原則です。闘い無くして生活は守れません。

高齢層にたいする意図的な攻撃
  不当な昇給カーブのフラット化
 今年度の都人事委員会勧告は、公民較差△三〇九円、△〇.〇七%、地域手当の支給割合を一.五%引上げ(十三%→一四.五%)たために、較差分と合わせて、給料月額を平均約一.四%程度引き下げるというものです。しかし国は初任給を二〇〇〇円引き上げているので、都人事委は初任給を同額引き上げの勧告を出さざるをえなくなりました。その原資を確保するため、昇給カーブのフラット化を推進し、初任給付近(〇.〇%)〜高齢層(△一.七%)という苦肉の策を弄したのです。
 地域手当は国との制度的な均衡を図るため、昨年度から導入されたものです。都人事委員会は昨年度の勧告の中で「地域手当と給料月額の配分変更であり<給与水準は民間に均衡させながら本給を引き下げ>」としています。つまり、「地域手当の引き上げ分について本給を引き下げ、総額は変わらないものとする」という考え方です。実際昨年度の勧告は、全ての級で地域手当分を引き下げ、公民較差分をフラット化して引き下げたものでした。しかし今年度の勧告は、地域手当分までフラット化し、高齢層の給与を意図的に引き下げています。

「病気休職者」の切り捨て提案
 都当局は、病気休暇・病気休職者に対する給与保障、雇用継続について条件の切り下げを提案した。現在、都の三〇日以上の病気休暇者のうち五二%が「精神疾患」を理由としており、深刻な状況にあります。教育庁福利厚生部厚生課は、二〇〇六年四月に「東京都立教職員のこころの健康づくり計画」を策定し、その具体化を実施しています。しかし、メンタルヘルスケアーを必要とする教職員は増加傾向にあります。墨田区も例外ではありません。悪質な人権意識が欠如した管理職の対応もあり、「精神疾患」を理由として病気休暇・休職に入っている教職員の職場復帰には時間を必要とするのが実態です。今回の都の提案は、「東京都立教職員のこころの健康づくり計画」に反するだけでなく、「病気休暇・病気休職者」を退職に追い込むものであり、断じて認めることはできません。

都の改悪提案
・有給病気期間
現行一八〇日 → 九〇日限度
・病気休職の有給期間
現行二年 → 一年に短縮

一般職員への勤勉手当の成績率導入を許すな!

 「成績率」が係長級に導入されて五年、都側は「人事給与制度として定着している」とした上で、適用する職員の範囲の拡大をうちだしています。成績率の基準は「業績評価の結果」です。業績評価が職員の信頼を得ていない中で、勤勉手当の支給に較差を持ち込むことは許すことはできません。


資料

「一般職員に係る勤勉手当の成績率の見直しについて(案)」より
1 趣旨 
 職員のモラールアップ及び組織の活性化を図るため、一般職員に係る勤勉手当の成績率について、上位区分の対象、加算額、適用対象職員等を拡大する。

2 内容

(1) 成績率の適用対象者 教育職員は主幹まで

(2) 成績率の段階 (現行は上位・中位・下位の3段階)

段階 決定方法 成績率の原資及び配分割合 配分割合
最上位 適用対象者の10%程度 現行の一律1%拠出に加え、勤勉手当0.05月分(年間)及び算定基礎額となっている扶養手当(はね返り含む) 最上位:上位=2:1
上位 適用対象者の40%程度の者から、最上位を除いた者 同上
中位 最上位、上位及び下位以外の者 同上
下位 全ての総合評定(1次および相対)で最下位の者 上に加えて、さらに5%拠出


3 実施時期
 平成20年6月に支給する勤勉手当から適用する。




投稿

   きねがわ特別企画展 ご参加ください!
     「産業・教育資料室 きねがわ」開設3周年記念行事


  「産業・教育資料室 きねがわ」が廃校になった旧木下川小学校の一室にできあがったのは、2004年10月20日のことでした。それ以来、今までに全国から2000名を超える方々が、この小さな資料室を訪れました。この資料室は、多磨全生園「ハンセン病資料館」、品川の「お肉の情報館」に続く、東京における3番目の「人権博物館」としての意味を持っていることが高く評価されています。
 近隣の小学校が毎年のように、社会科見学のコースとして学習に利用したり、小中高の先生方や、初任者の人権研修の場として、また、人企連(東京人権啓発企業連絡会)、同宗連(「同和問題」にとりくむ宗教教団東京地区連帯会議)の方々が毎年のように人権研修の場として利用しています。昨年は、大阪・大東市の転入教職員の人権研修の場として30名程の団体で来られたので、1泊2日の研修計画の手伝いもさせてもらいました。
 今夏は、第13回日韓合同授業研究会が東京で開かれ、日韓合同授業研究に取り組む韓国の先生方、朝鮮学校の先生方、日本の先生方も「産業・教育資料室 きねがわ」を訪れ、地域の皮産業の歴史や、木下川小で一貫して取り組まれてきた同和教育の歴史から学び合いました。
 個人で来られる方も多く、韓国から平和博物館を設立しようとしている方は、資料室の資料、展示に関心を持つと共に、この資料室が地域の卒業生や保護者、さまざまな地域の方々の協力によって作られていることに驚きを示し、自国での平和博物館設立に参考にしていきたいと話されました。堺市からは、やはり行政に頼らず独自に教科書資料館を設立した方が訪ねて来られ、その熱い思いと、手作りの博物館の持つ意味に、逆に教えられることも多くありました。「リバティおおさか(大阪人権博物館)」にも、木下川の革作りの様子や、ここでの展示が映像で紹介されています。「産業・教育資料室 きねがわ」の展示の持っている質は、決して「リバティおおさか」に勝るとも劣らないと皆自負しています。
 「産業・教育資料室 きねがわ」も設立後3年間の間に、さまざまな方が訪れて下さり、この資料室が木下川の住民と他地域の人々との交流の場となり、また人権学習の発信の場となっていることを誇りに思います。
 資料室も開設後、間もなく3周年を迎えることになります。そこで、来る11月11日(日)に、3周年記念行事として『きねがわ特別企画展』を催すことになりました。
 当日は、木下川でできる皮革製品を展示し、なかなか手に入りにくい一枚革も特別価格で斡旋する予定です。また、幼児から大人まで参加できる革での小物作りのコーナーも開設されます。
 特別記念講演として皮革技術センター所長、今井哲夫さんより「豚皮鞣しの過去と現在」、貴重な映像を使った講演も予定されています。また、1960年代の貴重な木下川地域の8ミリ映像や、姫路の白なめし革づくりの技術も放映致します。
 午後2時からは、会費制の祝賀会も予定されています。できれば、開設3周年を地域の人と一緒にお祝いしましょう。
 多くのみなさんに参加していただきたいと思います。

きねがわ特別企画展

−産業・教育資料室「きねがわ」
         開設3周年記念行事−


│東京都墨田区 │ 旧 木下川小学校内
2007年11月11日(日) A.M.10:00〜P.M.2:00

 主催 : きねがわ資料委員会
 131−0042    東京都墨田区東墨田2−15−13

 A.M.10:00〜 P.M.2:00 体 育 館 │
 特 別 展 示   木下川でできる皮革製品 │
 木下川で鞣される皮は日本や世界に誇れる技術を持ちます。豚皮だけでなく、爬虫類、山羊・・と様々な革が地域の多くの工場から出品されます。
 
 特 別 催 し 
 革で小物づくり
幼児からおとなまで参加できます。
無料のコーナーと有料のコーナーがあります。
 一 枚 皮 販 売 
現地ならではの特別な価格で斡旋します。

A.M.11:30〜 P.M1:00    職 員 室
 特 別 講 演    「豚皮鞣しの過去と現在」
     講師 皮革技術センター所長 今井哲夫さん
 映像: 「きねがわの風景」(1960年当時)「白なめし革づくりの技術」

P.M.2:00〜 P.M.3:30    職 員 室

 記 念 祝 賀 会  産業・教育資料室「きねがわ」開設3周年を地域の人とお祝いします。





週刊墨教組 No.1534 2007.10.23

秋季確定闘争勝利
 職場労働環境の改善 健康破壊を許すな!
 「安全衛生委員会」の設置を強く求める


 秋季確定闘争では、賃金要求の他に労働環境改善についても都に要求を提出し、解決を求め、交渉を行っています。財団法人社会生産本部・メンタルヘルス研究所が、七月三一日、「『メンタルヘルスの取り組み』に関する自治体アンケート調査結果」を発表しています。その表題は「自治体でも『心の病』が増加傾向〜背景に職場での助け合いやコミニュケーションの減少〜」となっています。民間企業だけでなく、公務の職場でも「心の病」が増加傾向にあります。能力・業績主義や上意下達による管理強化が「心の病」を増加させている、と指摘する精神科医もいます。特に、都の教員の「心の病」による病気休暇・休職は増加しつつあります。墨田でも、昨年、「心の病」が主な原因となって二〇代の教員が退職せざるを得ない状況が生じています。墨田区教委は、特に若い世代に「心の病」が重くのしかかっている深刻な現実を重要視すべきです。そして、責任者として、解決に向けた方策を早急に策定し、具体化すべきです。

文科省の労働安全衛生に係わる通達
 労働安全衛生法が一部改正され、二〇〇六年四月一日から施行されています。改正内容は「メンタルヘルス対策」が主です。メンタルヘルスケアーが深刻な社会的な課題となっているのです。この改正を受けて、文科省は、二〇〇六年四月三日付けで、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」の通達を都道府県知事・教育長等宛に出しています。(インターネットで検索できます)改正法の規定は二〇〇八年四月一日から適用されることから、体制を整えることを指示しています。
 その内容項目は、次の四点からなっています。
1.長時間労働者への医師による面接
  指導の実施(資料1)
2.労働時間の適正な把握について
3.労働安全衛生体制の整備について
4.労働安全衛生に係わる教育について
             (資料2)

「東京都立学校教職員の
     こころの健康づくり計画」
 労働安全衛生法の改正を受け、都教委は、二〇〇六年四月五日づけで「健康づくり計画」を明らかにし、具体化な施策を示しています。その前文は「教職員の病気休職者の六割以上が精神疾患である状況から、総合的なメンタルヘルス対策を進めるため、上記計画を『平成一七年度都立学校安全衛生委員会』(一七.三.一七開催)にて了承を受け、平成一八年三月策定した。基本方針とこころの健康づくり計画より構成。」となっている。そして、都教委は、市区町村立の学校職場についても、同趣旨の「健康づくり計画」を策定するよう、はたらきかけている。「健康づくり対策の具体的な進め方」では、「安全衛生委員会の活用」を重要視しています。

区立学校職場に
「安全衛生委員会」の設置を強く求める
 組合は、「安全衛生委員会の設置」を区教委に強く求めてきました。昨年まで、区教委は、「引き続き検討課題とする」との回答に止めています。墨田の学校職場では、病気休暇・休職者、体調不調者が増加の傾向にあります。しかし、責任者である墨田区教委は、その解決のための具体的な方策は明らかにしていません。メンタルヘルスケアーが必要な教員に対し、悪罵を浴びせ、病気休暇に追い込む管理職が存在しています。労働安全衛生法・文科省通達・都の「健康づくり計画」をも無視し、管理職としての自らの責任を放棄しても平然としている輩がいるのです。区教委は、速やかに「墨田区立学校職員のこころの健康づくり計画」と「安全衛生委員会」を設置すべきです。

資料1 各学校における方策
(1)学校における会議や行事の見直し等による校務の効率化を図るとともに、一部の教職員に過重な負担がかからないように適正な校務分掌を整えること。
(2)日頃から、教職員が気軽に周囲に相談したり、情報交換したりすることができる職場環境を作ること。特に管理職は、心の健康の重要性を十分認識し、親身になって教員の相談を受けるとともに、職場環境の改善に努めること。
(3)教職員が気軽に相談できる体制の整備や、心の不健康状態に陥った教職員の早期発見・早期治療に努めること。
(4)一般の教職員に対して、心の健康に関する意識啓発や、メンタルヘルス相談室等の相談窓口の設置について周知を図るなどの取組を推進すること。併せて、管理職に対してメンタルヘルスに対処するための適切な研修を実施するよう努めること。
資料2 
 改正法の附帯決議第9号(別添3参照)において、「企業間競争の激化や働き方の多様化が進む中で、労働者の協力・参加の下で行う事業者の自主的な安全衛生 活動の役割が一層重要となることを踏まえ、その促進に向け格別の配慮を行うとともに、学校教育の場においても労働安全衛生の必要性について指導の徹底を図 ること」とされたことを踏まえ、各学校の設置者におかれては、働く人の健康の保持増進は、職場の安全管理や健康管理と共に、心身両面にわたる総合的、積極 的な対策の推進が図られることで成り立つこと、さらに、この対策では、ストレスに対する気付きへの援助、リラクゼーションの指導などメンタルヘルスケアが 重要視されていること等について、各学校で適切な指導がなされるようお願いします。


2007年度
秋季年末闘争勝利!
総決起集会
日時 11月7日(水)
    午後4時開会
場所 都庁第二庁舎前




「韓国全教組と交流する教職員・市民の会」に参加して

(一) はじめに

 八月一五日にあわせての韓国行きは今回で三回目になる。教育現場への管理強化が強まり、国家主義が台頭する中で、それに抵抗することの困難さに悩んでいたころ、韓国の全教組との交流をメインにした旅に誘いを受けて行ったのが始まりだった。現地での民主労総を中心とした八・一五集会や、各現場での労働者の厳しい闘いの現状をつぶさに見たり、いろいろな人との交流を通したりして、とても大きな力をいただいて帰ることができた。
 八・一五は日本では敗戦記念日だが、韓国では日本の侵略から解放された「光復節」というお祝いの日だ。ソウルの市庁舎は、毎年趣向をこらした装飾が施されるが、今年は韓国の国花である「むくげ」の花が市庁舎全面を飾っていた。国を挙げてのお祝いとともに、民主労総のように、今の労働運動の焦点になっている闘いを推進する決意や連帯の場として位置づけるところもある。
 また、靖国が焦点になるこの時期、去年は小泉靖国公式参拝のニュースが現地新聞の全面に書かれ、日本人としてそのことに対する韓国の人々の矢のような視線を感じるのではないかと思ってはらはらしたが、今年は、安倍首相の公式参拝はなく、閣僚としての参拝は、高市早苗のみということを現地テレビのニュースで知った。高市さんという人は、ずいぶん挑戦的な人だなとへんに感心したりした。

(二)闘う現場訪問
 八・一五は、天候にも恵まれ、活気ある集会やデモが展開された。今年は、「イーランド闘争」がメインになっていた。フランス資本下、多数の店舗を展開する企業が、白紙の雇用契約書に捺印させ、雇用期間はあとで記入していつでも解雇できるようにするなど、現地の労働者は使い捨てというようなやり方をしている。これに対して、生活をかけた労働者の闘いは、店舗占拠で、当事者の交渉参加を要請するなど、激しさを増していた。委員長に対しては逮捕状が出され、民主労総の会館に逃げ込んだ委員長を、民主労総全体で守っているという緊張感の中で、委員長から話を聞いた。事務室の壁には、血文字で書かれた決意の旗が掲示されていたが、日本の労働運動とはずいぶん違う展開に驚く。
 今年春、一応の決着をみた「韓国山本」の闘いも、そして遡れば、だいぶ前になるが「韓国スミダ」の闘いも含めて、日本資本や欧米資本は、韓国労働者に対して突然の解雇通知を含めて、自国の労働者には到底そこまでできないだろうというような仕打ちをしている。ここには、明らかに民族差別があるということを感じてしまうのは私だけだろうか。
 また、去年訪問したKTX女性労働者の闘いも継続していた。もとスチュワーデス達が、国の威信をかけたKTX乗務員として、二年後の正規雇用を約束されて契約したのに、それを反故にされた怒りの闘いは、非正規雇用の闘いの象徴ともなっていたものだ。鉄道労組は、この間、彼女たちの闘いもあり、左派が執行部を取り、公社社長の退陣要求を決定するなど、戦闘的な闘いを展開していた。四七人の処分者が全国の駅を廻り団結と連帯を強める行進団を結成し、全国踏破を完了したばかりだった。長い間の厳しい闘いを支えるのは、仲間の信頼感なのだろう。処分者を見捨てたりするどこかの組合とは違うなあと、感動する。

(二)全教組前執行部との交流
 残念だったのは、今回私が一番お会いしてお礼を言いたかった、全教組の執行部が、昨年の選挙で負けてしまったということだった。日本の人事考課・業績給導入と同じような「等差性給与」の導入に対して、連日一万人の座り込みを百日間もやりとおして、現場が疲れてしまったというのが敗因のようだ。現在は女性執行委員長(なんと、軍隊慰安婦にされたハルモニたちを支援する水曜集会で、私たちの前に座り、敷物を下さった方がその人だった)下の体制に交代している。
 でも、前執行部副委員長のイ・ヒョジュさんはとても元気で、事務所転居のあわただしい中を私たちに会ってくださった。いろいろな人と面会しているので、忘れてしまったかもしれないが、去年、少数での訪問にもいやな顔ひとつせず、「教育基本法改悪反対全国集会」に委員長派遣(実際には闘いの最中のため、メッセージのみになったが)も受けてくださったことは、忘れられない。残念ながら、「教育基本法」は改悪され、さらに具体化する法も三法が通ってしまっているが、このメッセージをいただけたことが私にとってどれほど元気付けられ、現場での闘いを進める力になったことかと思うと、絶対にお礼を言いたいと思ったことが、今回参加の大きな目的の一つだった。
 民主労総の闘いは、日本の労働運動からしたら、すごいと思うのだが、それでも右傾化しているということで、今、進歩的改革を目指す人達が連帯して会を結成し、活動をしているということだった。さらに、前述した水曜集会はちょうど一五日に重なったため、すごい人だったが、そこに一二月に行われる大統領選挙の候補者が参加して、ハルモニたちの人権を守るためにどう活動するかという発言をし、それに対する拍手の大きさでどの候補がいいかのバロメーターにするということが行われた。大統領選挙はアメリカと同じようなシステムで直接選挙制である。
 翻って日本ではどうだろう。先ごろ行われた参議院選挙では、年金や金の問題をめぐるあまりの与党の杜撰さに少し民意が叛旗を翻したかと思ったが、それにしても投票率の低さには驚く。八月には「つくる会」につながる埼玉県の上田知事が再選されたが、なんと三〇%以下の投票率である。政治に参加する姿勢がこんなにも違うことに唖然としてしまう。先ずは、間接選挙であれ、参加することへのアピールや選挙の争点を明確にする指摘が大事なのかもしれない。そして、どこにも入れたくない、どこへ入れても同じだという無関心さや諦め感への挑戦が大事なのではないだろうか、そして、もちろん受け皿になる議員や政党を作る、育てるための努力も必要だろう、などと考えてしまった。 

(四)四・一九革命記念館
 集会参加や交流のあと、有志で四・一九記念館と非武装地帯見学の見学をした。
 四・一九革命記念館には、日本に留学し東大で勉強する一方、女性ユニオンでインターンとして勉強し、韓国帰国後フェミニズム新聞「イルダ」の記者をしているチョ・イ・スンミさん(この名前には両親どちらもの姓を名乗る彼女の思いが現れている)に案内してもらった。正式名は「四・一九民主墓地管理所」というらしい。あまり日本人の来訪者が多くないのか、日本語のパンフが置いてなかったので、訳してみたがあっているかどうか。通称「四・一九革命記念館」と言われている。イ・スンマンが自分を恒久的な大統領にするために選挙で不正を行ったことがきっかけで、学生を中心に民主化運動が高まり、一九六〇年、軍による弾圧の中で三百人以上の死者を出し、結局、イ・スンマンは大統領を退いたという「事件」犠牲者の墓地になっているところだ。ソウル郊外にあり、静かで広く、とても整備された美しい所だった。独裁政治や軍事政権に抵抗した人々への手厚い思いが、今の韓国民主化運動につながっているのだろうと思う。

(五)非武装地帯見学
 翌日は、現地ツアーを利用しての非武装地帯見学。板門店ツアーもあるが、八・一五近辺はツアーはできないということで、残念ながら変更した。でも、このツアーもとても印象に残るものだった。
 バスには三十人くらいの日本人観光客が乗り、「脱北者」の女性が同乗して、ときおり解説に加わった。今は短縮されたがそれでも七年もの兵役があり、その女性も兵士だったという。そうしないと、生きる手立てがないそうだ。日本語ぺらぺらの早口ガイドさんから解説を受けながら、「北」が掘ったという第三トンネル(三つある中で三番目に発見されたトンネル)に行った。トロッコに乗って暗い中を進み、帰りは上り坂を徒歩に挑戦したが結構きつかった。観光地としてかなり整っていて、半分に分かれた球を両側から一つにしようと支えている子どもたちの像が心に残った。朝鮮戦争休戦後、捕虜の交換をしたという橋、南北に分けられ同じ民族なのに自由に行き来することもできない状況下、「北」にいる親族の墓参りの代わりに墓参するところもあり、心が痛む。そこから望遠鏡でのぞくと、板門店や開城の工業団地が見えた。韓国・アメリカ・日本の資本が投下され、産業開発が進められているところだ。
 統一に向けては、京義線という鉄道が開発され、その最北の駅「トラサン」には、税関までできている。ブッシュとキム・デジュンが共に枕木を置いてこの鉄道の開発に参加したときの写真が大きく飾られていたが、日本ではあまり知られていないのではないだろうか。すでに、南北統一に向けての様々な動きが進められているのだが、どんな形で統一が実現するのか、難しいところだろう。
 民主労総の副委員長であるホ・ヨングさんは、韓国の民主労働党の目指す社会主義と「北」の労働党の目指す社会主義の調整がポイントになるだろうというようなことをおっしゃっていた。社会主義を目指すというような社会の指針について、日本では語られることがあるだろうか。新自由主義は資本主義の新たな搾取の形であり、それに対抗できるのは社会主義的な政策でしかないだろうと思うが、いまや、社会主義という言葉を聴くことも珍しくなったような気がする。自由という言葉によって何かだまされているのではないか、自由とは誰が誰に対して行使する権利なのか、を間違えないようにしたいものだと思う。
 ツアーの最後、昼食を食べているときに「脱北者」という青年が歌を歌ってくれた。ギターや小さな二胡のような楽器を弾きながら何曲か歌ってくれたが、私の大好きな「イムジン河」も歌ってくれた。でも私の好きさと彼らが歌う思いの違いは大きいに違いない。今も、「北」で別れた親戚や友人のことを思うと胸が痛むということだ。お父さんが大阪生まれの在日であるということだった。近いうちにCDを出す話が進んでいるということだったが、二人の「脱北者」に接し、しかも一人は在日の人と知って、現代史の中での在日問題や戦後の帰還問題について、また共和国に住む人たちのことについての学び直しをしなければと痛切に思った。

(六)終わりに
 たくさんの方々にお世話になった旅だった。日本から一緒に行った地域の方や墨田の解放同盟の方たち、そして、通訳をしてくださった方。そして何よりも韓国での様々な出会いを通して「おもてなしの国」の名のとおり、道で迷っているとすぐ声をかけてくれたり、言葉がうまく通じないのに、いろいろ声をかけて親切にお世話してくれたりした人たちのことも忘れられない。一二時過ぎまで飲み明かすのが付き合いというのには、飲めない私は付き合えなかったが、初めて会う人にもそれほどに心を開いてくれるのだ。皆様に心から感謝したい。そして、その心にお答えするのは、これから私たちが日本でどんな運動を展開するか、ということだろうと思う。
 私は定年退職したので教職員組合は一応卒業になったが、地域で有志の人たちと「平和憲法を守る荒川の会」という活動を始めた。「テロ特別措置法」が焦点化されているが、現実には千葉の自衛隊習志野基地にはパトリオットミサイルの配備が予定され、また埼玉県入間基地に配備予定の迎撃ミサイルが代々木公園や晴海ふ頭などに配備される話が進んでいると言う。さらに、「テロ特措法」を簡単に通すために、国会での承認事項をはずしてしまうという案も出ていると言う。シビリアンコントロールまで無視され、現実先行で憲法がないがしろにされていることを許してしまっていいのだろうか。政治に対する関心の低さをいいことにやりたい放題ともいうような状況に対して、ごまめの歯軋りと言われようが抵抗しなくてはいられない。教育現場での厳しさもあまり世間に知られてはいないことが退職して地域活動をしてよくわかった。教育問題は即、憲法問題でもあることを訴えると同時に、できることを始めようと思う。 


余談・・・韓国映画やドラマ紹介(今回の旅に関連するもの)
 2006年に放映された韓国ドラマ「ソウル1945」は、71話という長編ですが見ごたえがある内容でした。日本の侵略末期からの朝鮮における抗日闘争、そして、解放後の独立へ向けた動きや朝鮮戦争、休戦までの社会背景を軸に、四人の男女の恋愛や人生を描いたドラマです。当時の実写フィルムや実在の人物に良く似たキャスティング、何より南部労働党や北の共産党の動きを肯定的な視点で描いており、マスメディアレベルでこのようなものが出され、その年のKBSドラマ大賞を取っているということを考えると、韓国社会の統一に対する思いが伝わる感じがして興味深かったです。
 今、日本でも放映されている「朱蒙」(全81話)が雄大な建国神話に基づく古代史であることとあわせ、古代史・現代史を楽しみながら学べると思います。(「朱蒙」は「物語韓国史」(金 両基著 中公新書)とあわせてみると面白いです)

A四・一九革命については「大統領の理髪師」といういい映画があります。ソン・ガンホ扮する理髪師が出産しそうな妻をリヤカーに乗せて連れて行く途中、学生たちのデモに巻き込まれたり、理髪師が不正選挙に協力したりする場面が出てきます。軍事政権下で抑圧された社会や庶民の生活を良く描いています。
B「キルソドム」という、イム・グォンテク監督の少し古い映画があります。この作品は、朝鮮戦争によって行方がわからなくなった自分の息子を探す話ですが、離散家族問題を実写フィルムを使い、よく描いています。息子の仕事に対する差別的な問題もあわせて考えさせられます。
C昨年日本で上映された「台風(テップン)」は、チャン・ドンゴン主演と言う人気俳優先行のふれ込みでしたが、クァク・ギョンテク監督の父が「北」の出身であり、この映画を通して「脱北者」の問題を考えてもらいたいというメッセージがこめられている作品です。この作品にもう一人の主演をしたイ・ジョンジェがこの年の映画スタッフが決める賞の大賞を受賞しています。
D京義線の開通にまつわる話を描いた最近の映画「韓半島」(去年の訪問時に上映されていましたが、日本ではまだ上映されていません。)は、鉄道の認可をめぐり、日本が朝鮮皇帝に押させた印があるゆえ日本に認可権があるということに対して、その印の真偽をめぐり、チョ・ジェヒョン扮する国学者がそれを偽者と暴くのですが・・・という話(アン・ソンギが大統領役)です。
E今年12月に日本で上映予定の「ユゴ(有故)」は面白そうです。パク・チョンヒ大統領暗殺の真相に迫るものですが、かなりのクレームがつき、カットされたシーンも多くあるようで、話題作です。「シュリ」や「八月のクリスマス」でおなじみの、ハン・ソッキュ主演です。



週刊墨教組 No.1533 2007.10.18

怒 景気は上向き?
 
三年連続の例月給マイナス勧告
  ボーナスは〇.〇五月引き上げ  
地域手当引き上げ、フラット化により、高齢層本給引き下げ一.七%
  新しい職「主任教諭」に関する給料表は見送り


 一〇月一二日、東京都人事委員会は都知事と都議会議長に対し、都職員の給与等の勧告・報告を行った。国は六年ぶりに若年層に限定したものの月例給の増額を勧告した。しかし、都人事委は、例月給の引き下げ(〇.〇七%)に加え、地域手当の支給割合の引き上げ(一三%から一四.五%)に伴う本給引き下げ、しかも昇給カーブのフラット化により、高齢層は最大一.七%の引き下げ勧告を行った。ボーナスは、官民較差が〇.〇六月であり、〇.〇五月増額、四.五〇月とした。今年の民間の賃金水準は、連合調査によると、平均賃上げ率で一.八六%、ボーナスの民間の支給月数は、〇.〇七月増の年間五.〇二月となっており、民間の増加傾向が正確に反映されていない不当な内容である。都人事委員会が、政府の「総人件削減」政策に追随した結果の勧告であると言わざるを得ない。
 労働条件は労使交渉で決めるものです。二〇〇七年度賃金確定闘争が今後具体的に展開されます。全力をあげてとりくんでいきましょう。勧告・報告の骨子は次の五点です。

1.官民給与のマイナス較差
  (〇.〇七%=三〇九円)を是正。
  地域手当の支給割合の引き上げ(一三%から一四.五%)に伴う引き下げ分と合わせて、給料月額を引き下げ
※引き下げにあたっては、月例給の引き下げとあわせて昇給カーブのフラット化の推進。初任給付近〇.〇%〜高齢層一.七%引き下げ。《資料》
2.ボーナスは〇.〇五月引き上げ、四.五〇月とする。
※引き上げ分〇.〇五月は勤勉手当の増額とする。勤勉手当〇.九五月→     一.〇〇月
3.四月からこの改定の前日までの公民較差相当分を解消するため、所要の調整を行うこと。
4.教員の給与
  新たな職務の級を含む教育職員給料表について、国の見直し内容等に留意しつつ都の行政給料表(一)との対応を基本とする方向で、来年の勧告を目途に検討。
5.その他
・仕事と子育ての両立支援
 「育児のための短時間勤務制度」の導入に向けた準備を進めていくことが必要。
・職員の健康維持
  職員の精神疾患の早期発見及び回復後の職場復帰に向け、総合的なとりくみを推進していくことが必要。


地域手当の支給割合の引き上げは給料の引き下げ
 国に追随し、平成二二年度までに段階的に引き上げ一八%とするとしています。今年度は、一三%から一四.五%に引き上げ。地域手当の算出式(※資料2)から、支給率が大きくなっても、給料月額の引き下げ幅が大きくなると実質的には給料の引き下げになります。また、本給が引き下げられることは、退職金の引き下げになります。

賃金引き下げ、高齢者イジメを許すな
 「景気は上向き傾向が継続」と政府は発表している。なのに、私たちの給料は連続の引き下げが勧告された。フラット化の推進と称し、高齢者の給料月額を一.七%も引き下げる。しかも、再雇用制度を廃止し、再任用一本に制度改悪を強行しようとしている。再任用の選考においては「ふるいにかけ」、不採用者が生じることを示唆している。社会の動向である高齢者雇用促進に逆行する施策である。許せない。
 今後、組合は十一月中旬を山場に、「労使交渉による決定」を基本に都当局と交渉を強化していきます。教員賃金改悪反対、例月給・ボーナスの改善、地域手当の本給繰り入れ、人事考課制度の抜本的改善、再雇用制度廃止阻止・高齢者雇用制度改善等の要求実現に向けて、共に闘いましょう
 

《資料》


資料2
地域手当=(給料月額+扶養手当+教職調整額)×手当率
教職調整額は、給料月額の四%(二%、一%の人もいます)






週刊墨教組  2007.10.10  第1532号


校長の恣意による強制異動を許すな!
 個々の教員の希望実現に向けてとりくみを強めよう


 「校長の人事構想に基づくきめ細かな異動を行う」という異動方針に見られるように、校長の人事構想が基本になり、「本人の希望や事情」が軽く扱われることが危惧されます。東京教組の集約によると、「退職直前の強制異動や二時間に及ぶ超距離通勤、介護などの事情を無視した異動、学校の半数以上が異動、本人に何にも知らせず強制的に異動」等が事例として報告されています。校長の不誠実な対応や恣意による結果の強制異動です。
校長の対応に問題があれば、組合に相談してください。私たちはあくまでも「強制異動」強化に反対し、抵抗し、さまざまなとりくみをすすめていきます。

校長の不誠実な対応を許すな

 都教委は、「校長は中間面接時において、人事構想を明らかにし本人から異動に関する意見・事情をじゅうぶん聞き、校長としての対応を説明するべきではないか?」との組合の問いに、「中間面接時において、校長は個々の教員に人事構想に基づいて十分な説明をするとともに、教員から、異動に関する意見を聞き、相互理解に努めるべきと考える」と答えています。墨田区常盤指導室長は、校長への説明でこの内容を徹底すると明言しています。このことは、異動に関し、「本人と校長との意見があわない場合、相互理解に努めるべき、双方が納得するまで話し合うべき」との意です。校長の不誠実な対応は許されないのです。都教委が、校長に示した「人事構想調書」の記入例(資料)の一部を抜粋し、掲載しました。本人にきちんと人事構想を説明し、働く意欲をさらに高めていくのが誠実な校長です。





週刊墨教組 No.1531 2007.10.2

八年度定期異動作業始まる
  個々の教員の希望実現に向けてとりくみを強めよう
  異動は労働条件


 二〇〇三年に改悪された「教員の定期異動実施要綱」は、異動の方針1にある、「…校長の人事構想に基づくきめ細かな異動を行う」ことで明らかなように、校長の具申権を拡大したことが特徴です。校長の学校経営を最優先としたものです。私たちにとって異動は労働条件の大きな変更です。新たな職場で意欲をもって働くには、何よりも個々人の事情が配慮され、個々人の異動希望が実現されることが条件です。私たちは、あくまでも強制異動に反対する立場を堅持し、異動作業が進行させられる中で、個々の教員の希望実現に向けてのとりくみを強化していきます。

異動作業
 日程が都教委から示されています。(資料)※一部墨田区教委の異動作業日程を加筆
十月十九日〜二六日頃 校長ー地教委ヒアリング
  校長は人事構想を区教委に示し、具申書を区教委に提出します。ヒアリングは、小学校から行政順に実施。都合により校長間で順番を変更することがあります。各学校のヒアリング日程は校長から職員に知らされる場合が多いです。二六日頃以降も個々の事情でヒアリングが続けられることもあります。
  校長は、ヒアリングの日程に間に合わせるように、自己申告書の提出を求めます。
十一月二九日異動検討結果地教委連絡
  「異動するかどうか」の結果が都教委から区教委へ連絡されます。例えば、次のようなケースです。必異動対象者で、現任校に引き続き勤務を希望している人。現任校三年未満で異動を希望したい人。現任校に引き続き勤務したいが、校長が異動させたい人。異動を希望しているが校長が異動させたくない人。異種学校間異動等
十一月三〇日 異動検討、再検討受付
  前日の結果に対して、再度、都教委に異動検討を具申・内申する。(敗者復活戦) 
十二月十四日 第一回内示予定(地教委)
  都教委から地教委に個々人の異動カードが順次配分されます。
二月下旬 本人内示 ※昨年度は三月上旬
三月中旬 面接解禁 ※昨年度と同じ
 
希望実現に向けて 
 自己申告書裏面、 異動について 【自己の異動についての意見】欄。
@この欄に異動についての個々人の意見や事情、異動希望地区を明確に書きます。
A次に、個々人の事情を校長に具申させるとりくみになります。
校長「具申」の具体的な方法は、校長が作成する「異動申告書」の【異動に関する意見と理由】欄に個々人の事情と校長としての要望・意見を書くこと。区教委のヒアリングの際にその事情・要望を出すことです。そこに向けてのとりくみが大切です。
 都教委は、組合に対して「区市町村教育委員会を通じて校長に対して、本人が事情等特に申し出た事項については異動申告書の校長所見欄、異動に関する意見欄に記載するように周知する。また、本人の異動について、その有無も含めて本人に伝えるよう周知する」と答えています。墨田区常盤指導室長は、校長への説明で、この内容を徹底することを加藤委員長に明言しています。
 この二つのとりくみについて組合は誰からの相談にも誠実に対応します。

希望実現に向けて、
都・区教委へのとりくみ
 組合は、各学校や個々人の事情・希望を把握し、その実現をめざして都・区教委に対するとりくみを強化していきます。そのためにも、具体的、綿密に組合と相談すると共に、「異動カード」を組合に提出してください。それらにより、事情・希望を把握し、その希望実現に向けて、組合としてのとりくみを強力に進めます。



広島原水禁大会に参加して


「静か」な盛り上がり
 今回墨田からは二人が参加した。二人とも他の時期に広島を訪れたことはあったが、夏のこの時期は初めてであったし、もちろん原水禁大会への参加も初めてであった。
 広島に着いた時は、大きな大会が行われる雰囲気が無く、そのことが意外であり夏の暑い日差しだけを強く感じていた。四日には、平和公園前で東京からの参加者で独自の集会がもたれ、その後各地域の参加者が一体となり「折鶴平和行進」と名付けられたデモを行いながら開会会場に向かう。広島県立体育館に入り、開会開始を待ちながら会場内を眺めながら、以前はもっと参加者が多かったのではないだろうかなどと漠然と思っていた。
 すると、何度も参加している東京からの参加者が、「今回は参加者が多い。」と話していた。憲法「改正」を目指した改憲手続法制定、教育基本法の改悪、米軍再編、イラク派兵継続、「原爆投下はしょうがない」久間防衛大臣発言と続く安倍内閣の動きがあり、中越沖大地震で東京電力柏崎刈羽原発が「想定外」の被害を受け、新潟県民のみならずヒヤリとさせられた最近の状況が、やはり危機意識となって表れているのだろうと思わされた。
全体会
 最初に地元のヒューマンソンググループによるオープニングステージがあり、会場参加者も一体となり手話を交えた歌「花」を歌い、大会が始まった。各地からの折鶴の献納。その数の多さに私は感動していた。主催者挨拶・来賓挨拶の後、海外来賓を代表して昨年結成されたITUC(国際労働組合総連合)カマラン平等局長の挨拶があり、「広島・長崎一九四五年八月の記録」上映された。
 広島県被団協理事長の坪井直さんのお話が続いた。当時二十歳で登校途中に爆心地から約一キロの路上で被爆し、約四十日間意識不明だったと言う。以来十回の入院、何度も危篤状態になりながらそれを乗り越え、幾つものガンや慢性再生不良貧血症などに今なお苦しめられていると言う。しかし、声に力を込め、原爆の恐ろしさを語り世界平和を訴えるその姿からは、八二歳を迎えているとは思えない迫力を感じさせられた。活動は国内に留まらず、アフリカの地下核実験現場まで厳しい行程を耐えて行った話も後で聞いた。
 平和アピールでは、四月に銃撃された伊藤前長崎市長の死を悼み、前防衛大臣の核兵器使用容認発言への怒りも含まれていた。全体会は、参加者全体の「原爆許すまじ」の歌で幕を閉じた。

分科会
ヒバクシャを生まない世界に2
 ―交流・討論編―
 原爆訴訟・在外被爆者と被爆者援護法
 五日には、午前中に七つの分科会が開催された。
 私は、韓国・朝鮮被爆者の問題を知りたくてこの分科会を選んだ。以前広島を訪れた時、朝鮮人被爆者の追悼碑が平和公園の外にしか設置できなかったことを知り、ショックを受けていた。(その後追悼碑は、公園内に移設されたが)
在韓被爆者の賠償裁判闘争
 「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」会長の市場淳子さんの講演があった。会は全被爆者の一割以上を占める朝鮮人に対して何の援助も無い状態を変えるための活動を続けている。
 一九五七年に「原爆医療法」ができ、被爆者健康手帳の交付・被爆者の無料健診と治療が開始された。しかし、一九六五年の日韓条約では在韓被爆者の賠償問題には一切触れられていないため、一九六七年に韓国原爆被害者協会が設立され、日本政府に賠償と援護を求める運動が始まった。一九六八年に「原爆特別措置法」が制定され、被爆者手当ての支給が始まるが、在韓・在朝被爆者には支給されない。一九七八年在韓被爆者ソンジンドゥさんが最高裁で勝利し、在韓被爆者も日本に来れば日本滞在中のみ被爆者法の適用が受けられるようになる。そして、二〇〇二年クァククィフンさんの大阪高裁勝訴により、日本で被爆者手帳の交付を受け、手当て受給権を得た在外被爆者は居住国に帰国後も手当て支給を受けられるようになる。二〇〇七年韓国やブラジルから行った被爆者健康手帳の申請を認めるよう求める裁判で係争中。
来日申請の非現実性
 日本政府は、援護を受ける前提となる被爆者手帳の交付について、在外被爆者が来日して申請しなければならないとしている。そのため、病苦にあえぐ被爆者が、依然として無援助状態に置かれている。在外被爆者のうち手帳交付を受けた者は三五二五人(二〇〇四年末現在)で、居住国は三十数カ国に及ぶが、この統計に朝鮮民主主義人民共和国は含まれない。国交の無い在朝被爆者は、海外における手帳交付を日本政府が認めない限り、被爆者援護法の適用による問題解決は非現実的である。市場さんは、「在韓国・在朝鮮・在中国の被爆者は、原爆被害そのものよりも、日本のアジア侵略と戦後の放置によって受けた被害のほうが甚大であると言う感情を持っている。
日米の戦争責任
 また、アメリカの被害者の約半数はアメリカ国籍であるが、アメリカ政府は自国の被爆者の訴えも完全に無視し、今日も原爆投下の正当性を主張し続けている。日本政府も戦後アメリカに原爆投下の責任を追及したことは一度もない。結局、日本のアジア侵略の責任も、アメリカの原爆投下の責任も不問にされたまま、戦後六二年の年月が流れ、その間、アメリカの核の傘に守られた日本の被爆者だけには幾ばくかの援護策が日本政府によってなされてきたものの、周縁の被爆者は全員切り捨てられてきたのである。なかでも在朝被爆者は一番外側に置かれ、未だに何の援護策も受けられずにいる。このような在外被爆者問題を解決するためには、日本とアメリカの戦争責任を同時に問う視点を持つ必要がある。」と締めくくられた。
厳しい原爆症認定
 広島被団協理事長の坪井直さんからの話も聞くことができた。原爆症認定では、申請を却下された被爆者がその取り消しを求めた集団訴訟で国の敗訴が続いている。直前の七月三十日にも熊本地裁で国の却下処分を取り消す判決が出た。被爆者援護法では、被爆者に被爆者健康手帳を交付し、手帳を持つ被爆者に、健康診断、医療費支給、原爆症認定、被爆者手当支給、介護手当支給、葬祭料支給を行うことが認められている。原爆症認定されると医療特別手当が支給される。しかし、原爆症認定は非常に厳しく、認定されている被爆者は、全被爆者の一%以下に過ぎないと言うのには全く驚いた。坪井さんは、被団協も在外被爆者と連帯して運動を進めていくと話された。「見直し」の実現を
 この日の夕方、坪井さんを含む被爆者七団体の代表と会った安倍首相は、原爆症の認定のあり方について、専門家の意見を聴きながら見直しを検討させる考えを説明した。しかし、訴訟への対応については「見直しと訴訟は別」と言っているし、見直しの時期については、柳沢前厚生労働大臣は「一年以内のできるだけ早い時期」と述べたそうだが、最近の厚労省のごたごたを見るとき作業が進展するのか心配になる。
上原原発を考えるつどい
 五日の午後は、新潟中越沖地震で原発への不安が一層増したので、原発の問題の今を知りたくて現地報告と交流に参加した。「自然を守る会」会長の高島美登里さんから長島の反対運動と自然環境についての報告があった。
「究極の楽園」
 中国電力による上関(かみのせき)原発建設計画は一九八二年に発表された。原発予定地「長島」は「究極の楽園」とも言われるほど希少生物の宝庫であると言う。天然記念物に指定されているナメクジウオ、スナメリクジラなども上関の長島とその周辺に広がる周防灘には残っていると言う。また予定地とわずが4キロ先にある祝島の間の海は、瀬戸内海でも屈指の好漁場である。地元祝島島民の力強い反対で、二十年以上にわたって建設は阻止されている。
 上関原発計画では、敷地面積の約半分は海を埋め立て、炉心直下に埋め立ての境界線があるという。先の刈羽原発の地震による「想定外」の被害を思い起こし、地元島民ならずとも不安を覚えるだろう。
原発に依存しない暮らしを
 日本各地の原発建設予定地はほとんどは過疎地で、原発誘致は苦渋の選択なのかもしれない。しかし、住民の対立と自然破壊などを引き起こす。現在各地の原子力施設で事故や故障が発生しているように、原発が絶対安全とは言えないだろう。国内の各原発施設には、処理できない核廃棄物が貯まり続けている。原発の近くに住む人々は、常に不安を抱いて暮らさなければならない。
 私達の「快適な」生活は電力に支えられているといっても過言ではない。電力消費地に住む私達は、原発地元に無関心でいて好い訳がない。狭い日本で原発事故があれば影響は全国に及ぶだろう。
 今年は記録的猛暑が続いた。刈羽原発の運転がストップしたままで、電力不足が心配された。CMで繰り返し節電が叫ばれた。で、一番電力を消費する時期を乗り越えられた?そうならば、ストップしたままで、あるいは無しでこの先もいけないだろうか。私達一人ひとりが生活を見直すことで原発を一つ一つストップさせられたらいいな。単純な素人考えと自覚しつつ、このレポートを書きながらしばしエアコンを止めてみた。

八月六日 平和記念式典
 広島は、この日被爆62年の原爆の日を迎えた。平和記念公園で行われた平和記念式典には、今年は核保有国のロシアを含む、過去最多の四二カ国の駐日大使や参事官が参列した。式典が始まり、原爆死没者名簿が納められた。この一年に亡くなったり、死亡が確認されたりした被爆者は、五二二一人。今なお原爆の被害が続いていることを改めて思う。
明確な反核・反戦の意志
 秋葉市長は平和宣言のなかで「時代に遅れた少数の指導者達が、未だに、力の支配を奉ずる二十世紀前半の世界観にしがみつき、地球規模の民主主義を否定するだけでなく、被爆の実相や被爆者のメッセージに背を向けているから」核拡散が加速し、人類は滅亡の危機に瀕していると言い、また「国際法により核兵器廃絶のため誠実に努力する義務を負う日本政府は、世界に誇るべき平和憲法をあるがままに遵守し、米国の時代遅れで誤った政策にははっきり『ノー』と言うべきです。」と述べている。
 後で配られた新聞社の特報を手にし、平和宣言をきちんと読み直し受け止めていかなければならないと思ったり、子ども代表の『平和への誓い』を子どもたちに伝えたいと思ったりした。
多様で豊かな参加者
 式典には四万人が参列(市発表)とあったが、未明からお参りをする遺族の方等も多いし、式典が終わってからも多くの人が集まってくる。もっと多くの人がこの日平和公園に集まったのだ。ここではボランティアによって、冷たいお絞りや飲料水がいただける。その心遣いが嬉しいが、ボランティアの多くが高校生などの若い人が多いのも嬉しくなる。幾つかの慰霊碑を巡り公園内を歩く。あちこちで歌や読み聞かせ、紙芝居、楽器演奏など様々な形で、個人でグループで、平和や反核などを訴えるパフォーマンスが見られた。朝鮮人被爆者の追悼碑の前では、韓国からの宗教者のグループの祈りが続いていた。
平和を守り平和を求める
 爆心地「島外科」を通り、袋町小学校平和資料館に行く。被爆当時救護所となり、多くの被爆者が消息を知らせる伝言を書いた壁が残されている。壁の文字は、それを書いた時はその人がそこにいたことを静かに伝える。原爆によって多くの人が地獄の苦しみを経験し、今なお苦しんでいることを忘れてはならない。そして、日本の侵略によってアジアの人たちをどれだけ苦しめてきたか、加害の視点も忘れてはならない。平和を守る、平和を求めるためには何をするのか、出来るのか、考え続けていかねばならないとズシンと思わされた夏になった。







週刊墨教組 No.1530 2007.9.26


都の提案は「高齢者雇用促進」に逆行
「再雇用制度の見直し」、交渉は継続
都当局、採用選考を強行 


 組合は、都当局が、「九月末までに解決」と一方的に交渉期限を区切って提案した「再雇用制度の見直し」案に対し、撤回を求め、交渉を続けてきました。しかし、交渉中にもかかわらず、都当局は時間切れとして、「再任用・再雇用採用選考」を修正提案内容(資料)で実施することを組合に通告しました。これに対し、組合は、「交渉を継続する」ことを都当局と確認し、秋季年末賃金確定闘争と結合させ、今後も撤回を求めて、闘いを強化していきます。行政職について、九月末から、来年度の「再任用・再雇用」の募集が始められます。教員については、例年一〇月半ばから十一月初旬にかけて募集がなされます。異動申告の時期に入ります。疑問や不安を感じる方は、是非組合に連絡ください。

都の提案は「高齢者雇用促進」に逆行
 年金の満額受給年齢の引き上げに対応して、国は「高齢者雇用法」を改正し、民間企業に対し、何らかの雇用を確保する義務を負わせています。〇七人事院勧告では、「公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが重要な課題となっている」と、高齢者雇用について重要視しています。しかし、都の提案は、@希望する全員が、再任用に採用される保障がなく、採用されなかった職員は五年間収入がなくなり、自己責任で職を探さなければなりません。とりわけ、教員の場合、再任用を希望しても再任用として採用されないケースが増えています。A退職後、様々な理由で再雇用を選択される方が特に教員の場合、多くなっています。再雇用制度は、長年培ってきた経験と知識、技術等を発揮し、退職後の生活の安定と生きがいを得ることに適した雇用形態です。各職場でも再雇用職員は貴重な戦力として位置づいています。廃止ではなく、再雇用制度の改善こそが今求められているのです。

都の人件費抑制攻撃を許すな
 今回の再雇用制度の見直しは、教員の大幅な賃金引き下げと一体となってすすめられている人件費抑制攻撃です。再任用職員の賃金は、現職時の賃金と比較すると大幅に低くなります。「再任用は低賃金」の雇用です。定年退職者が大幅に増加する学校現場では、希望者全員を再任用として雇用すると、職場では高齢者が増加していきます。「年齢バランス」を教員組織の重要な要素としてきた都教委にとって好ましいことではありません。当然、「適正な選考」として「ふるい」にかけられ、不採用者がでます。校長・副校長も同様です。都は退職後の雇用を保障しない考えです。「マンパワー不足」対策で採用される人数は、極一部です。
 再雇用職員は、「正規教員」ではありませんから、定数外です。学校現場では、プラスアルワァーとして貴重な戦力となっています。再雇用職員は定数外ですから、義務教育国庫負担制度の対象外であり、賃金は全額都の持ち出しとなっています。再雇用職員が増えることは、都当局にとって、人件費の増額になるのです。
 退職後の雇用を保障させる点においても、今年度の秋季年末賃金確定闘争は大きな意味をもっています。今年度の闘いは、今後の賃金の方向を決める重要な闘いです。





高校の歴史教科書検定の「集団自決」修正指示の撤回を求める
九月二九、 沖縄で「撤回を求める」県民集会

 九月一四日、文科省・国会への要請の後、「沖縄戦の歴史歪曲を許さない!」全国集会が開かれました。墨田の教職員の方々にも協力を得た「撤回を求める」署名が提出されました。昨年(〇六年)の検定までは、修正・削除の検定意見はついていません。〇七年三月に公表された検定で突如「検定意見」が付された。そして、教科書調査官=文科省主導で「検定意見」が付されたことが明らかになりました。戦争好きな、無責任阿部が首相になったことを背景に、検定に圧力がかけられた結果の「修正」指示と考えられます。このことに関し、特に沖縄では怒りが頂点に達し、県議会が、全四一市町村が「修正指示の撤回を求める」意見書を採択しました。中村教育長、中山教育委員長も集会に参加する予定であり、中村教育長は、校長研修の場で、県立学校校長の全員参加と学校職員の集会への参加を要望しました。

沖縄県教組からの呼びかけ

各県単組の皆さんへ

「集団自決」に関する教科書検定意見撤回を求める決議採択について(お願い)
 各県における組合活動に敬意を払うと共に、本県の組合活動にご支援をいただいていることに感謝申し上げます。
 さて、文科省による教科書検定の結果、来年から使用予定の高校日本史の教科書から、沖縄戦の「集団自決」に関する箇所で、日本軍の関与を示した記述が、すべての教科書(今回の検定では、5社7冊)から削除されたことは、平和フォーラムからの署名や日教組第95回定期大会での特別決議などを通してご承知かと思います。
 ただ、ちほぷしや全国紙などに目を通すとき、今回の歴史教科書検定で何が行われたのか、全くと言っていいほど何も取り上げられていないことに愕然とするとともに、今こそ沖縄から、沖縄戦において日本軍の強制・誘導・命令によって「集団自決」(強制集団死)が引き起こされた事実を明らかにし、全国に発信していかねば、この歴史教科書検定問題が沖縄県だけの問題になりかねないとの危惧の念を抱いています。

 今、沖縄県では、マスコミ各社が連日特集を組み、体験者の新たな証言を掲載し、報道しています。これまで口をつぐんできた体験者たちが、今、政府・文科省の動きを止めなければ歴史が繰り返されるとの危機感から、思い起こすのもつらい記憶を証言し続けています。そのような中、様々な団体、個人が、思想信条を越えて、「集団自決」に関わる筆舌に尽くしがたい歴史的事実を、教科書から削除したり改ざんさせてはならないと、声を挙げ立ち上がっています。

 これまで、沖縄からは、6.9県民大会実行委員会や行政6団体が、教科書検定意見の撤回を求めて、文部科学省に要請や抗議に行きました。しかし、文科省は、「教科書審議会が決めたことに、文科省はなんら指示できません」との答えを繰り返すばかりでした。それは、教科書審議会があたかも、中立・公正・公平な独立機関であり、たとえ行政でも、口出しできないし、すべきではないというもっともらしい言い分にも聞こえました。

 ところが、教科書検定制度の中身が明らかになるにつれ、教科書審議会の中立・公正・公平性は崩れています。今回問題になった教科書審議会の「検定「検定意見書(日本軍の関与記述の修正・削除を求めた)」が、実は、文科省の役人である教科書調査官が、教科書審議会へ降ろした「検定意見書」と同じだったことがわかりました。つまり、文科省が作ったシナリオ(調査意見書)通りに、教科書審議会に検定意見書を書かせたという、自作自演も明らかになっています。

 では、今なぜ、06年の検定まで教科書に書かれてきた「集団自決」への日本軍の関与記述に、修正・削除の検定意見がついたのでしょうか。文科省がその根拠の一つとしているのは、05年8月に始まった、「大江さんと岩波書店が訴えられている裁判」です。原告側を支援しているのは「新しい歴史教科書を作る会」です。しかも、教科書審議会の中に「新しい歴史協教科書を作る会」とのつながりのある人がいることもわかりました。裁判は現在係争中の一個人の民事訴訟(名誉毀損)であり、これをもって、日本軍の関与記述に修正・削除を求めている教科書審議会の検定意見書は、明らかに拙速かつ部分的です。文科省自身が係争中で不確定な事象を確定的に扱うことをこれまでの検定では禁止しており整合性すらありません。

 安倍政権になったとたんに、軍隊の過ちを消し去ろうとしていますが、政権が変わろうとも教科書にある事実の削除や改ざんを許してはなりません。「集団自決」に日本軍が関与したことは、沖縄県史をはじめ各市町村史に記された体験者の証言・記録からも明らかです。歴史教育とは、子どもたちに歴史の真実を伝え、そこから導かれる教訓を子どもと大人が真摯に受け止め、共に将来の智恵とする営みではないでしょうか。

 これまで縷々述べてきましたが、この歴史教科書検定意見書の問題を沖縄県だけの問題にしない為にも、各単組で「教科書検定意見書撤回を求める決議」を挙げてもらえないでしょうか。この問題は、従軍慰安婦に日本軍の関与はなかった発言や日本軍による南京虐殺は捏造発言などとも符合します。私たちは、この取り組みを通して、全国の仲間と連帯し、憲法改悪阻止運動の輪を大きく広げていきたいと考えています。
 児童・生徒に真実の歴史を学ぶ権利を!!
沖縄県教職員組合
沖縄県高等学校障害児学校教職員組合






週刊墨教組 No.1529 2007.9.13

協力・協働の破壊を許すな!
   「鍋ぶた型」組織で良い
   新たな職=「主任教諭職」の給料表勧告を行うな!


 国に先駆けて、学校・学校教育の権力統制まっしぐらの都教委は、六月二八日開催の教育委員会で「主任教諭」等の設置を可能にする都立学校の管理運営に関する規則の改悪を強行し、全地教委に圧力を加え、同趣旨の規則改悪を強行させています。墨田区教委は、八月六日に規則改悪を行いました(資料1)。このことにより、現行の教諭を「教諭」と「主任教諭」に分化することが可能となりました。「職」は「その職に応じた給料表」とセットになって成立するものです。現在、「新たな職の給料表」は存在しません。一〇月初旬の勧告に向け、組合は、東京都人事委員会に対し、「新たな職の給料表」を勧告しないように要請を続けています。

「鍋ぶた型」組織で良いではないか

 学校教育は、協力・協働が礎になっている職場です。従来、学校組織は管理ラインの校長・教頭とスタッフの教員等という単層のシンプルな組織でした。いわゆる「鍋ぶた型」組織です。民間においても、相談・提案業務を行う企業においては一般的な組織形態として機能しています。
 墨田区教委の管理運営規則では「職員会議」は必置になっています。区教委は、学校運営に関して、「学校を運営していくためのさまざまな事案については、職員会議等で協議された上で、決定していくことが大切。合意形成をつくる場として職員会議はあり、運営上重要な機能・役割をもっている。校長の独断専行・権限の振り回しは許されない」と表明しています。教育委員会の自主性、自立性の立場から、墨田区の学校運営に関し、区教委の考えを表明したものです。
 一方、都教委は、校長→副校長→主幹→「主任教諭」→「教諭」とのラインによる学校教育の権力支配を貫徹しようとしています(資料2)。私たちは、あくまでも協力・協働を礎にした学校を求めます。上意下達は、教員の創意工夫、組織の活力を奪います。このことは、公教育の破壊であり、愚行と断言できます。

新たな職=「主任教諭職」の給料表新設は
   教員給与水準の引き下げにつながる

 「行政系と比べて教員の給料は高い」が都の主張です。いかにして教員の給与水準を下げるか、そのことが都の最重要課題です。行政系と教員の職を関連づけると、「教諭(主事)→主任教諭(主任)→主幹(係長)→副校長(課長補佐)→校長(課長)→統括校長(部長)」と位置づけられます。都は教員の年収が、課長補佐級職員の年収を上回ることを問題だと言っています。「主任教諭職の給料表」の新設は、「教諭の給料表」を下げることにつながるのです。このままでは、多くの教員の給料が下げられるのです。「主任教諭職の給料表の新設」を許してはなりません。

都の主張
◆教員の八五%を占める二級職である教諭の年収は、採用時の給料級のままであっても、行政系の課長補佐級まで昇任する職員の年収をほぼ一貫して上回る水準となっている。
◆主任教諭と教諭へ職の分化を行った上で、それぞれの職に応じた適切な処遇を(給与)を実現する。
◆職責・能力・業績をより一層重視する観点から、現行の教育職員給料表について構造的な見直しを行う必要がある。



資料1 墨田区立学校の管理運営に関する規則の一部を改正する規則(案)新旧対照表

改正後 改正前
 (統括校長)
第5条の2 学校に、教育委員会が別に定める基準に基づき、特に重要かつ困難な職を担う校長の職として、統括校長を置くことができる.
 (主幹)
第6条の3 〔略〕
2〜4 〔略〕
5 主幹は、第7条第1項に規定する教務主任、生活指導主任又は同条第3項に規定する進路指導主任を兼務する。ただし、特別の事情により、これらの主任を兼務しない
 場合の取扱いについては、教育委員会が別に定める。
6 〔略〕
 (主任教諭及び主任養護教諭)
 6条の4 学校に,特に高度の知識又は経験を必要とする教諭の職として、主任教諭を置くことができる
2 学校に、特に高度の知識又は経験を必要とする養護教諭の職として、主任養護教諭を置くことができる。
〔新設〕


第6条の3 〔略〕
2〜4 〔略〕
5 主幹は、次条第1項に規定する教務主任、生活指導主任又は同条第3項に規定する進路指導主任を兼務する。ただし、特別の事情により、これらの主任を兼務しない場合の取扱いについては、教育委員会が別に定める。
6 〔略〕
〔新設〕

付 則 この規則は、平成20年4月1日から施行する。

資料2  2 学校の組織的課題解決能力の向上
 学校の組織的課題解決能力を一層向上させるためには、実践層である教諭が学校組織の一員として、主幹の進行管理の下、より適切な校務を分担していくことが大切である。このため、主幹を補佐し学校運営に積極的に貢献することを、実践層の中心となる主任教諭の重要な役割の一つとして明確にした。
 『主幹の補佐』とは、管理職の経営方針を主幹を通じて受けとめて、具体化するだけではなく、現場の情報や提案を主幹を通じて管理職に上げる双方向の役割である。この役割を強化することによって、教職員間の意志疎通と共通理解が深まり、学校の組織的課題解決能力が一層高まるものと期待している。
 …教員の職の分化が目指すもの 東京都教育長人事部作成冊子より…


『主任職』設置反対、
新給料表の勧告を許さない 
9.25全都教職員総決起集会


教職員に差別・分断をもたらし、教職員の協力・協働を壊す、また給与水準の引き下げを狙う主任教諭制度の導入を認めることはできない!

 
日時 9月25日(火)
    午後4時30分〜5時30分
 場所 都庁第2庁舎前前
 主催 教育関係7単組

 (東京教組・都高教・都障労組・都校職組・
  都教組・都障教組・アイム’89)





脱原発
 驚くことばかり、自ら事実のありようを知ろう


 「現地が語る。柏崎原発で何が起きているか!」をテーマに、八月三一日、脱原発下町ネットワーク主催の学習会が行われました。七月一六日に起こった新潟県中越沖地震による東京電力・柏崎刈羽原発のトラブルは、地震王国日本列島での原発の安全性を根本的に揺るがすものとなっています。東電は(日本政府も)想定外として被害状況をありのままに表していません。原発事故は起こったら手の打ちようがないことは、チェルノブイルではっきりしています。事実が事実としてすべてが明らかにされない今、私たちは自らの手で「情報」を収集し、原発が内包している危険性を常に知ることが大切です。

「柏崎・刈羽」原発
 七基の原発は、@〜C号炉が柏崎市、D〜F号炉は刈羽村にあります。CとD号炉の間の地盤が軟弱とのことで、両自治体に分散しています。これが名の由来です。また、原発に因るお金が両自治体に落ちるしくみにもなっています。この地は「糸魚川ー静岡構造線」(右資料 「原子力資料情報室」 ホームページより)の直近に在り、四つのプレートの境界付近に位置しています。中学一年生理科で「地震」を学習しますが、学習を終えれば中学一年生でもこの地が原発には極めて危険な場所であること指摘することができます。この地に原発を建設することを強引にすすめたのが故田中角栄首相と言われています。安全を軽視した政治がらみの建設とも考えられます。

東電による「想定外…想定外…想定外」
 原発の耐震設計は、「発電用原資炉施設に関する耐震設計審査指針」にもとづいておこなわれるとのこと。耐震設計審査指針は一九七八年に原子力安全委員会が制定したもので、一九八一年に小さな改訂がおこなわれ、二〇〇六年には全面的な見直しがおこなわれています。@号炉は一九七七年に設置許可をうけており、旧指針にもとづく審査すらうけていません。A〜F号炉は旧指針にもとづいて設計許可を得たとのこと。地震を起こす断層と揺れを想定し(原発近くの日本海底に在る気比断層)、原発を設計するにあたり最大地震S1、もう一つ究極的な地震として設計用限界地震S2に耐えられるように設計するとのこと。しかし、今回の地震では、揺れが設計値をはるかに越えた。耐震設計の前提の根拠が事実によって否定されたのです。

設置許可は無効、東電は設置許可を返上すべき
 原発敷地前の日本海海底に四つの断層を東電は確認しています。しかし、「一つの断層を除き残り三つの断層は今後動く可能性はない、動く可能性のある断層は短い」と東電は判断し、活断層の評価対象からはずした経過があります。しかし、今回動いたと思われる断層は動かないと判断した断層であり、その断層の長さが公表されたものより長いと東電資料からも考えられます。残りの断層も、活断層であると考えられています。原発敷地内では、隆起や沈降によると思われる道路の波打つようなうねり、陥没・液状化・地割れ等が写真で明らかにされました。敷地内には、いくすじも断層があります。これらの断層が動いた可能性もあります。設計許可の前提が崩れたのです。
 原発は緊急停止したときに炉の冷却が必要であり、冷却水を循環させるために火力発電で電気を得ています。その燃料タンクの安全が確保されていないことを理由として、柏崎市長は、消防法にもとづき燃料タンクの緊急使用停止命令をだしました。市長が原発を止めることができる手段のひとつが消防法によるものだったのです。
 私たちは、東京電力の電気を使用しています。危険な原発による電気を利用していたのです。東電の電気を利用している者として、原発の安全性を見極めることを考えさせられた学習でした。
 

脱原発下町ネットワーク
 チェルノブイル原発事故を契機に結成された組織です。原発事故の被害を受けたキエフの子どもたちの医療支援を続けています。墨田教組もこのネットワークの活動に賛同しています。診療のため日本に招待したキエフの子どもたちと堤小や立花小の児童が交流したこともあります。







週刊墨教組 No.1528 2007.8.28

総人件費削減を許すな!

  二〇〇七人事院勧告
  ボーナスは〇.〇五月増
  月例給は若年層に限定し、六年ぶりの増額〇.三五%


 人事院は八月八日、政府と国会に対し、「月例給の官民較差(〇.三五%)・ボーナスの引き上げ(〇.〇五月分)・子等に係わる扶養手当の引き上げ・給与構造改革の一環としての専門スタッフ職俸給表の新設」など、国家公務員の給与改定について勧告・報告を行いました。昨年、人事院は、政府の総人件費削減政策に屈し、官民比較方法の見直し強行により、月例給とボーナスの改定を見送りました。今年度は、僅かばかりの賃金増額が勧告されたことは、民間労働組合の春闘結果が反映したものです。公務員連絡会は、政府に対し、勧告通り、閣議決定・給与法の改定を早急実施するように強く要求しました。
 勧告の主要点は次の五点です。
1.官民給与の較差(一、三五二円、〇.三五%)初任給を中心に若年層に限定した改定
2.ボーナス〇.〇五月分の増額(年間四.四五月分→四.五〇月分)
3.扶養手当における子等に係わる支給月額を五〇〇円引き上げ
(各六、〇〇〇円→各六、五〇〇円)
4.専門スタッフ職の俸給表の新設
5.能力・実績に基づく人事管理の推進

賃金・労働条件の改善は
闘いにより獲られる
 公務員連絡会(日教組、自治労を含む)は、〇七人勧期の取り組みを、@給与水準の改善勧告の実現、A非常勤職員の処遇改善、B所定勤務時間の短縮などを重点課題に設定し、運動を強化してきました。結果として、六年ぶりにベア勧告が行われ初任給・若年層の俸給表が改定されたこと、ボーナスについても最小単位ではあるものの月数増の勧告が行われたことは、一定の成果です。また、要求に照らして不十分ですが、報告の中で、非常勤職員の処遇改善については、「給与の実態把握に努めるとともに、職務の実態に合った適切な給与が支給されるよう、必要な方策について検討」、所定勤務時間の短縮については、「来年の勧告を目途に、勤務体制の等の準備を行った上で民間準拠を基本とした勤務時間の見直し」を示唆したことは、従来より一歩踏み出したものです。
 一方、一時金の配分において、勤勉手当を成績上位者に重点配分したこと、自宅に係わる住居手当の「廃止も含め見直しに着手する」ことを示唆するなど、問題点も勧告にもり込まれています。
 人事院は、本来、労働基本権制約の代償機関であり、中立・公正な第三者機関であるべきです。しかし、特に昨年度の勧告から、政府の「総人件費削減」方策を受け入れ、露骨に具体化してきました。公務員の賃金・労働条件決定制度としての人事院勧告制度は、本年の勧告でも限界を露呈しています。公務員連絡会は、団体交渉による賃金・労働条件の決定制度とそのもとでの賃金闘争の構築を急務の課題としています。賃金改善を含め、労働条件の改善は、闘いでしか獲られません。政府文科省、東京都は、今年度教員給与制度の大幅な改悪を企図しています。闘わなければ労働条件は切り下げられます。
 闘いましょう!






国家公務員に育児を支援する 新たな勤務制度・「育児短時間勤務」導入
  東京都にも、早期の導入を!


 八月一日から国家公務員に「育児のための短時間勤務制度」が導入されました。これは、小学校就学の始期に達するまでの子どもを養育する職員は、一か月前までに請求すれば、週二〇時間〜二五時間の短時間勤務を行うことができる制度です。
 この制度は、公務員連絡会がワーク・シェアリングやワーク・ライフ・バランスの観点から本格的な短時間勤務制度の要求を掲げ、当面の課題として育児と介護について短時間勤務の実現を求めてきた結果、二〇〇六年に人事院が修学等休業制度と合わせ「意見の申出」を行い、本年五月に国家公務員育児休業法が改正されたことで実現したものです。
地方公務員についても、組合との協議を経て、条例が改正され導入が可能となります。 
育児休業との比較
@ 勤務時間に応じた収入(全額支給すべき)
A 休業後の職場復帰への不安解消
B 夫婦が勤務時間をずらすことで同一期間に短時間勤務制度を利用できること
などのメリットが考えられます。 
 男性の育児休業取得は、一%程度にとどまっています。男女が共に育児支援の仕組みをどのように活用していくか、選択肢を拡げることにより意識改革を図っていくことが大切です。特に、後補充などの条件整備をして、制度の活用を促進していく必要があります。制度導入を第一歩とし、制度の定着を図りつつ、給与等を含め今後改善を図っていく必要があります。


資料 国家公務員

       

育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
1.育児休業制度及び育児短時間勤務制度の運用に当たっては、代替要員の確保など、育児休業等の取得しやすい職場環境を整えるとともに、男性職員の取得率向上に努めること。
2.職業生活と家庭生活の両立支援という法の趣旨にかんがみ、民間企業における実態等を踏まえ、育児休業を取得する職員に対する経済的援助の在り方について、引き続き検討を行うこと。
3.育児短時間勤務を理由として、職員が不利益な取扱いを受けることのないよう、制度の周知徹底を図ること。
4.いわゆる常勤的非常勤職員の職務内容、勤務条件等の勤務実態について早急に調査すること。
5.育児短時間勤務制度の趣旨に則り、地方公共団体における育児短時間勤務制度の運用について、必要な助言及び情報提供に努めること。




週刊墨教組 No.1527 2007.7.18

「勤続疲労」から自分をとり戻す
  生きるために働く、働くために生きるのではない!
 夏季休業を有意義に過ごそう



「忙しい・疲れる」、休憩がとれない。こうした環境から、少しは解放されるのが夏季休業です。夏季休暇五日間と年休を使って、職場としばらく縁を切ることも保障された権利です。また、自主的な研修に意欲的にとりくめるのも夏季休業期間です。「研修の取り扱い」が改悪されて六年目になります。組合は、自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみをすすめています。民間の教育団体が主催する研究会への参加も当然保障されるべきです。最低、「キヤリアプラン」で申告した「研修」については、参加が保障されるのは当然です。

教育公務員特例法二一条(旧十九条)・二二条(旧二〇条)
      条文は何ら変更されていない
 
 研修
二一条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
 2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
研修の機会
二二条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
 2 教員は授業に支障がない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。(以下略)
 
 教員の研修のあり方は、一般の公務員の研修(国公法七三条、地公法三九条)の扱いと異なって、教育公務員特例法(以下教特法)で特別に規定されています。創造的な教育活動を営むには、日常不断の研修(研究と修養)活動が必要不可欠であることを教特法二一条で保障しているのです。
 一般の公務員の研修は、その規定から明らかなように勤務能率増進上のいわばその手段として他律的に課せられたものです。しかし、教員の研修は、その職務遂行上不可欠なものとしてあり、他律的に課せられるものではなく、自主的、自発的、主体的におこなわれるべきものです。また、二二条2項で、いわゆる承認研修の機会を保障しています。
 研修問題を考える場合、、先ずこの点を押さえておく必要があります。

前回の変更点は二点
@ 教員の自宅を研修場所とすることは、原則として認めない
A 研修承認願、研修報告書の様式を変更する

 様式変更についての区教委の態度

 様式の変更は、研修願・研修報告の書式整備を通じて、教員の自主的、自発的に行うべき「研修」を教育行政として奨励しようとすることが趣旨である。個々の教員の自主的、自発的な「研修」を規制するものではなく、そうした意図もない。


自宅での研修
 文部科学省は、二〇〇二年七月四日、「夏季休業期間等における公立学校の教育職員の勤務管理について」を各都道府県教育委員会へ通知しました。
 この通知について、そのとき、一部マスコミが「『自宅で研修』認めず」との見出しでとり上げ、あたかも文部科学省が「自宅での研修」を一切認めないかのような報道をしました。これは全くの歪曲です。
 文部科学省は、「研修を自宅で行う場合」「自宅で研修を行う必要性の有無等について適正に判断すること」と述べているのです。


「原則」の意味
 二〇〇二年度に区から出された通知文には、6―(1)―ウ、「研修場所については、研修内容からみて妥当な場所であり、合理的かつ必然的な理由を有すること。なお、教員の自宅を研修場所とすることは、原則として認めないこと。」とあります。
 後段部分「教員の自宅を研修場所とすることは、原則として認めないこと」にあります。
 行政用語として「原則として」は、「例外」があることを意味しています。「原則として認めない」とは、「認める場合がある」ことです。
 その例として、区教委は、自宅にある蔵書、パソコン等の機材(ソフト)の利用を挙げていました。
 研修をするにあたって、研修の成果がよりあがることが期待できるとすれば、それで十分な理由になると考えられます。
自主的研修を実現しよう 
 区教委は教特法を遵守する立場にあり、区教委には研修の機会を保障する責務があります。区教委が研修内容・方法に介入することはありません。私たちはあくまでも自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみを、粘り強くすすめていく必要があります。

校長・副校長が共に不在?
 長期休業中に「管理職が二人とも学校にいないってこと、許されるの」という問い合わせが度々組合にあります。学校教育法二八条Bでは、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」となっています。職員が勤務しているのに、監督者が不在であることはあってはならないのです。副校長の休暇・出張等は校長が許可しています。校長の休暇・出張等は指導室長が許可しています。管理職二人が共に、職場に不在な状態を指導室長が認めることは有り得ないものです。管理職二人が共に、職場に不在な日があれば、記録をとっておきましょう。



再雇用制度の廃止に反対する 緊急要請署名を



 四月二六日、都側は都労連にたいして「定年退職後の継続雇用は、再雇用制度を廃止し、再任用制度に一本化する」原則を二〇〇八年四月から適用したい考えを示しました。
 再任用は定数内です。再雇用は定数外です。退職教職員を安上がり労働者として「活用」しようとする今回の再雇用制度の見直しは、断じて認めることはできません。
 私たちは、そこで働く教職員の希望が尊重される制度こそが必要と考えます。希望する退職者が全員雇用される制度を求めます。要求実現をはかるため、都教委への要請署名をできるだけたくさん集めようではありませんか。
 夏季休業中ではありますが、早急に要請署名を職場で行い、書記局までお送りください。



紹介


「過労死をなくそう!龍基金」
第1回中島賞授賞式

記念講演 「過労死を生む日本の会社」

  佐高信さん(中島賞選考委員・作家)
日時 8月4日(土)
午後5時(開場4時半)〜8時
場所 すみだ産業会館サンライズホールD
錦糸町南口丸井デパート8階
参加費無料
主催 「過労死をなくそう!龍基金」
協賛 「週刊金曜日」

 「過労死をなくそう!龍基金」(中島晴香代表)は、過労死の撲滅を目的に2006年12月に発足しました。中島代表の夫、富雄さんは外食大手「すかいらーく」で働いていましたが、2004年8月15日、過労死で亡くなりました。中島賞は、過労死の根絶や労働者の地位向上に貢献した団体や個人を、毎年、富雄さんの命日付近に表彰する基金の継続事業です。
 今年はその記念すべき第1回の授賞式です。選考委員である佐高信さんの講演や交流会もあります。
 ふるってご参加ください。

8・15と日本国憲法
ーいまこそ主権在民をー


基調講演 「8・15と日本国憲法」
  奥平康弘(憲法学者)
パネルディスカッション「憲法と改憲手続法」
  パネリスト 阿部知子・落合恵子・
福島みずほ・小森陽一
  コーディネーター 市野川容孝(東大教員)

日時 8月15日(水)
午後1時〜4時半
場所 日本教育会館3F大ホール
地下鉄新宿線・三田線・半蔵門線神保町駅より徒歩4分
参加費 一般1000円 大学生500円 高校生以下無料
主催 市民文化フォーラム

 教育基本法が改悪され、改憲手続法が成立した。権力が国民を支配するための「改憲」が一歩進んだことになる。
 新たに世界の平和と人権尊重を模索する人々が徐々に増大しつつあるのに、現行憲法を放擲しようとするこの動きは、それにまったく逆行している。
 私たちは憲法を自らのものとするために、主権在民・民主主義を貫くために、一人ひとりに何ができるかを共に考えたい。権力の傲慢と誤りにたいして常に「ノー」を発信するネットワークを大きくしたい。心ある市民の参加を訴える。


都庁包囲Action
 処分・処分と暴走する都教委をとめよう!!


日時 8月27日(月)
午後4時〜6時
場所 都庁通り・第二庁舎前

内容 要請・抗議行動  
その後、集会(6時半〜)
参院選挙後の情勢下で、
私と私たちに求められる闘い
呼びかけ 都教委包囲・首都圏ネット

 都教委の暴走をとめよう! 物言わぬ教職員になるのをやめよう! 子どもたちを犠牲にさせない! 子どもたちや私たちの未来のために、都教委を糾弾し、教育政策の変更を迫って、都教委を包囲しよう!



関東大震災84周年、
朝鮮人殉難者追悼式のご案内

 暑い夏がやってきました。今年も忘れてはいけない、あの9月1日の関東大震災時の悲劇を再び繰り返さない誓いを立てながら、追悼式に参加したいと思います。

日時 9月1日(土)午後3時より
場所 荒川河川敷木根川橋下手 (京成線「八広」駅下車徒歩5分)
主催 グループ ほうせんか
関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会




週刊墨教組 No.1526 2007.7.10

政治の流れを変えよう
 改憲・「戦争をする国」にNO!
 「違憲教育基本法」の実体化NO!
 教員給与のダウンNO!


 参議院選挙は、六月一二日に公示され、七月二九日に投票が行われる。小泉を引き継いだ安倍自・公政府は、アメリカへの従属を強め、「戦争ができる国」へ向かって、まっしぐらにつきすすんでいる。安倍は、自らの任期中の「憲法改正」を宣言し、「現行憲法と一体である教育基本法」を改悪し、「国民投票法」を数の暴力で強行成立させた。今回の参議院選挙は、その延長線上にある「憲法改正」にイエスかノーかが最大の争点である。

戦争大好き安倍にNO!を
 昨年一二月には、防衛庁を防衛省に格上げし、海外での自衛隊の活動を容易にした。そして、六月にはイラク特措法が自・公の常套手段である強行採決により二年延長された。イラク戦争はアメリカによる明白な軍事侵略である。アメリカによるイラク支配は失敗し、イラクは内戦状態に入っている。各国は軍隊を引き上げているにもかかわらず、安倍はアメリカ軍を支え続けている。
 さらに、安倍は、現憲法下でも集団的自衛権を行使しようとしている。安倍が検討を依頼した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、従来の政府解釈を変更し、「アメリカに向かう弾道ミサイルを日本のミサイル防衛システムで迎撃することを可能」とする提言を行う方針を決めた。安倍は、アメリカが起こした戦争にこの国を参戦させようとしているのだ。許せない!

国による教育支配を許すな
 「憲法が国民を守る、憲法が国家を縛る」という「立憲主義」がより強く貫かれているのが現行憲法です。この憲法と一体となっているのが四七教育基本法です。
 「やらせ」タウンミーティングを「国民の声」として、昨年一二月に成立させた「教育基本法」では、「国家及び社会の形成者としての必要な資質」を第二条教育の目標で規定しています。国家権力をもって「国民に必要な資質」を強制するのです。国が個人を縛るのです。正に憲法違反です。そして、国が教育を支配することを具体的に表したものが教育関連三法です。
@教員を縛る免許更新制、「指導が不適切な教員」の認定。
A子どもの心を縛る学校教育法の改悪、それは義務教育の目標に新たに「国と郷土を愛する態度」「規範意識・公共の精神」定めたこと。
B国が地方自治体の教育委員会を縛る地方教育行政法の改悪、文部科学大臣が地方自治体の教育委員会に是正を指示することができる。
 国家権力による教育支配を許してはなりません。
 
大幅な賃金ダウン
 「骨太方針二〇〇六」では、教員給与は一般公務員の給与より四%高いとして、人材確保法に基づいて措置された本給と義務教育教員等特別手当について、〇七年度から二.七六%を削減するとしていましが、削減の具体化は来年度実施とされ、一年先送りにされました。今年度は、削減と教員給与制度の改悪が一体となって強行されようとしています。
@教員の給与は一般公務員より高くする必要はない、
A職責に応じた給与制度への改悪
がその具体化です。
 東京では、新たな職として「主任教諭・統括校長」の新設が強行決定されました。一般教諭・主任教諭・主幹・副校長・校長・統括校長の七種の職になります。それぞれの職に見合った給与とするなら、七段階の給料表になります。人件費の削減が前提なら、それぞれの給与に格差を生じさせるには、下位の「教諭」の給与を下げるしかないのです。このままでは、大幅な賃金ダウンになります。退職金、年金にもはね返ります。
 民間も含め、労働者の賃金の抑制を基本方針とする新自由主義に「NO!」の一票を投じましょう。


差別昇給に反対する
 業績評価に基づく査定昇給、七月給料で差額精算
 二〇〇六年度の業績評価に基づく査定昇給の差額精算が七月給料で実施されます。昇給月は四月ですが、教員の業績評価の期間が四月〜三月となっているため、他職種の都職員とは異なり、決定が遅れ、七月に精算されます。校長は、二月に在職職員数(主幹、新採等除く)の二〇%の人数を推薦しています。(端数は切り捨て)主幹は区単位で推薦されます。区教委は三月に校長による推薦者を含め、小・中別に三〇%の人数を都に推薦しています。都はプラス二号給五%・プラス一号給二〇%、合計二五%以内の人数で該当者を決めています。該当者に伝達される辞令では、「六号給昇給、五号給昇給、二号給昇給(五五歳以上)」となっています。組合は、「公正・公平な昇給」を要求しています。該当者が二五%なら、四年に一回は該当するように要求しています。しかし、都教委は業績評価による抜擢を強く指導しています。推薦者の変更を校長に強く求める場合もあるようです。学校職場は、協力・共働を最も大切にしている職場です。特定の人に片寄った昇給は、協力・共働を破壊するものであり、差別昇給です。



ご案内 
今年の夏は、シンミョンのマダン劇で熱くなろう!!
 ― 韓国光州から初来日、「立ち上がる人々」全国上演―


 通称「光州事件」と呼ばれている、韓国現代史の中でも最も悲劇的な事件は、1980年5月18日から27日にかけて発生した。1961年5・16軍事クーデターを通じて4・19民主革命を抑圧して登場したパク・チョンヒは軍事独裁政治の下、民衆を苦しめ続けていた。そのパク・チョンヒが腹心の部下に暗殺され、一時「ソウルの春」という民主化ムードが流れたが、チョン・ドファンが再び粛軍クーデターによって政権を取ると、民主化の動きは徹底的に弾圧されていった。
 そうした動きの中で、5月18日、光州市で大学を封鎖した陸軍空挺部隊と学生が自然発生的に衝突したことから始まった闘争は、やがて市民も加わり、空挺部隊の一斉射撃に対抗して市民側もバリケードを築き、銃を持って闘うというようにエスカレートしていった。光州市は市民の自治によって秩序を維持していくが、政府は全土に戒厳令を敷き、鎮圧命令を下し、市民の指導部を逮捕・射殺するという痛ましい結果になった。
 この事件は国内の情報を操作していた政府によって正確には知らされず、暴徒による「暴動」「不順な背後勢力の操縦で発生した内乱」などと規定され、光州市民は長い間罪人のように生活しなければならなかった。そして、同年8月、この事件の指導者として、キム・デジュンに内乱予備罪等を理由とする死刑判決が下された。しかし、ミニコミで少しずつ知らされる真実を通し、民主化に向けた粘り強い人々の闘いによって、ついに1988年、軍事政府を倒して、初めて文民政権が発足する。そして、この事件を「5・18光州民主化運動」と呼ぶことになり、以後韓国ではこの用語が使われている。
 また、1995年に発足したキム・ヨンサン政権では、「5・18民主化運動」に関する特別法が制定され、光州市民や関係者の名誉回復が実現し、補償金なども与えられた。そして、1997年にチョン・ドファンとノ・テウに対して実刑判決が下されたが、後に、キム・デジュン大統領によって特別赦免、釈放された。今でも、空挺部隊の導入や発砲命令の責任者は誰か、アメリカ軍はどのような役割をしたのか、など不明な点もあるが、この光州民主化運動が、多くの人々の尊い命や闘いによってもたらしたものの延長上に、今日の韓国民主化の闘いもあるといえるだろう。

 と長い説明をしてしまったが、この光州の民主化運動をマダン劇「立ち上がる人々」という演目で演じる劇団、「シンミョン」の25人が、この夏、7月末から8月末まで、日本で初公演をすることになった。今の日本の情勢を考えるとき、とても意義ある公演だと思う。皆さん、この夏は、シンミョンの人々と一緒に熱くなりませんか。
PS.チラシには「シンミョン」の紹介のある統一マダンが、7月29日(日)となっていますが、安倍政権の強引な国会延長により、参議院選挙が29日になったため、やむなく、
28日(土)同時刻同場所で開催します。
よろしくお願いします。

ちなみに、光州民主化運動を取上げた韓国ドラマ「砂時計」と映画「ペパーミント・キャンディー」(今年、カンヌ映画祭でチョン・ドヨンが主演女優賞を取ったが、その映画「蜜楊」のイ・チャンドン監督作品)、そしてパク・チョンヒ時代を描いた映画「大統領の理髪師」は必見です。
 この演劇のチケットは1枚2000円(賛同人募集1口3000円です。)全国公演のどこでも使えます。東京では8月16・17日(新宿)18日(木場公園)、19日(荒川三河島)で行われます。チラシをご覧になり、ご希望の方は、下記までご連絡ください。    森本 孝子(元一吾小)
     пEFAX03−3819−0467

7/28(土)東京前夜祭
 ※「立ち上がる人々」本公演ではありません
16時開場17時開演
 会場 三河島 旧真土小学校
 JR常磐線三河島駅徒歩2分
東京公演
8/16(木)・17(金)
 19時開場19時半開演
会場 新宿韓国料理「大使館」駐車場
 JR山の手線新大久保徒歩7分・西武新宿線新宿駅あるいは
 大江戸線東新宿駅徒歩5分
8/18(土)
 19時開場19時半開演
会場 木場公園多目的広場
 東西線木場駅徒歩7分・都営新宿線菊川駅13分
 大江戸線清澄白河駅徒歩15分
8/19(日)
 18時開場18時半開演
会場 三河島 旧真土小学校
 JR常磐線三河島駅徒歩2分
※広島・大阪・京都・名古屋公演もあります




週刊墨教組 No.1525 2007.7.2

墨田区教委
「新たな墨田区立学校適正配置等実施計画(素案)」を発表
一〇年間、三段階で実施 
小・中学校は地域コミュニティの中心的存在 
小・中の連携強化?


区教委は、「今後も児童・生徒数の減少傾向が続く」との予測を前提に、「改めて今後の区立学校適正配置等の考え方について」、二〇〇五年八月に墨田区立学校適正配置等審議会に対し諮問を行い、審議会から二〇〇六年二月に先記答申を受けました。この答申に基づき、区教委は実施計画の検討を行い、六月二二日、「新たな墨田区立学校適正配置等実施計画(素案)」を議会に報告しました。今後、各地元からの意見を聴き、九月〜十月には実施計画原案を発表するとしています。

学区域の子どもは
学区域の小・中学校で学ぶ
 今回の「統廃合案」の特徴は、@中学校を軸に複数の小学校をブロック化する、A町会・自治会の区域が複数の小学校にまたがっている現状を改善し、学校と地域とのつながりを重視した通学区域に見直す、Bブロックにより生まれる学校群が、義務教育修了までの一貫した指導を行うことの三点と考えられます。墨田区では学校選択制の導入により、「通う学校が異なることから、同地域内での子と子、親と親の繋がりが弱くなった」、「地域コミュニティと学校との関係が希薄になった」ことが指摘されてきました。
 墨田教組は、学校選択制導入が、「地域に根ざした教育」を後退させる要因になると批判してきました。今後具体的に実施される「統廃合」が、「地域の子どもは、地域の学校で学び、地域で共に育つ」こととして結実しないなら、保護者・子ども・地域に負担を強いる、単なる「学校の合理化」であると言わざるを得ません。

資料


5 通学区域の変更
(1)基本的条件
@小学校の場合
・学校と地域とのつながりを重視した通学区域とする。
・児童の通学の負担を考慮して、通学距離はおおむね1km以内とする。
・小学校から中学校への進学先は同じ中学校とする。
A中学校の場合
・中学校の通学区域は、複数の小学校通学区域を合わせた区域とする。
・生徒の通学の負担を考慮して、通学距離はおおむね1.5km以内とする。
B小学校・中学校共通
・住民基本台帳上の児童・生徒数の推移を見ながら、原則12〜18学級となるようにする。
・地域再開発の状況等住環境の変化を考慮する。
・既存の統廃合校の区域は極力尊重する。
(2)経過措置(略)
6 学校の統廃合(略)

7 通学区域のブロック化
 中学校の通学区域を再編した上で、中学校を軸に複数の小学校をブロック化する。ブロック化により生まれる学校群が地域の教育力を生かしつつ、義務教育終了までの一貫した指導を行うことにより、すみだの子どもたちに実り豊かな教育を提供していく。また、近年の新たな教育課題(学習内容の理解度や学習意欲の低下、小1プロブレム、中1ギャップ等)の解消にもつながる。
(1)ブロックの構成
・ブロック数は、8ブロックとする。
・1ブロックは、1校の中学校と2〜3校の小学校で構成する。
(2)8ブロックの考え方
 住民基本台帳上の児童・生徒数の推移、通学区域拡大に伴う児童・生徒の通学の負担や既存の学校施設の状況等を総合的に勘案し、8ブロックとした。


教員免許更新制を実体化させるな!
   国家権力による教育支配
   選別による教員の排除=「免職」


 公立学校の教員は、他職種の公務員と同様に、地方公務員法(二七条・二八条)で地位が守られ、容易に「免職」になりません。そこで、自民・公明与党は、「教員免許を剥奪」することで、政府・教育行政に異を唱える教員を容易に排除することを可能としたのです。「不適格」の基準は、文科省・地教委が決めるのです。都教委は、卒業式・入学式等での「君が代」強制に抵抗した教員に処分を乱発しています。さらに、被処分者は「再雇用職員」として雇用せず、実質的に職を奪ってもいます。法で教員を威圧して学校教育が良くなることは断じてありません。学校教育は荒廃するだけです。

 「適格性の基準」?
 教員免許状が「終身有効」となったのは、一九〇〇年三月三一日の教員免許令(勅令)からです。終身有効とするには、それなりの理があるのです。二〇〇二年の中教審答申において、教員免許更新制導入の可能性の検討では、「免許状授与時に人物等教員としての適格性を全体として判断していないことから、更新時に教員としての適格性を判断するという仕組みは制度上とり得ない」とまとめられている。つまり、免許状授与時に適格性の判断する客観的な基準を作成することが困難なのです。国会での審議でも、伊吹文科大臣は「適格性の基準」を明らかにできなかったのです。後日文科省が示すそうです。ふざけるな。

 資質の向上
 広辞苑では、「資質:うまれつきの性質。質性。天性」となっています。「教員の資質の向上を目的とする」とは「人間改造」をするとでもいうのでしょうか。教員の専門的な能力を向上させるには、教員一人ひとりに適した内容の「講習」が必要になるのです。そうした「講習」が準備できるのか、それとも教員それぞれが「大学での講習」を探すのか。その場合、講習修了認定の基準はどうするのか。毎年一〇人に一人が一〇万円の講習を受けるとすると、受講料だけで一〇〇億円を越す(東京新聞)と試算されています。結局は、安上がりな講習になるのです。画一的な講習内容になるのです。「教員の専門的な能力の向上」など期待できないのであり、労多くして功少なしです。




週刊墨教組 No.1524 2007.6.21

「教育関連3法案」の強行採決に抗議する

 現憲法では、国家権力による国民への支配統制を大きく制限している。しかし、「教育関連3法案」は、「個」より「公」を優先させる自民党「新憲法草案」に沿ったものであり、教育を政治的に支配するためのものです。
 自民・公明与党は、「数の暴力」で「教育関連3法案」を一九日の文教科学委員会で、二〇日の参議院本会議で強行採決しました。教育関係者、教育研究者等から地方・中央公聴会において、これらの法案が「教育現場にどのような変化をもたらし、何の目的でそれを推進するのかが不明である」との指摘が多々出されました。また、採決に際し、二二項目の付帯決議を必要としたことは、法案が欠陥だらけであることをも明らかにしています。「3法案」は、現在学校現場が抱えている様々な教育課題の解決とは無縁のものであり、無用な不安や混乱を生じさせるだけのものです。

国家権力による「心」の支配
 学校教育法の義務教育の目標に、「我が国と郷土を愛する態度を養う」との「愛国心」表記が盛り込まれました。「公」の考えを、本来「私」に属する「心」に刷り込みたいのです。アメリカへの従属を強力にすすめる安倍にとって、「心」も「アメリカ化」されることが不安なのでしょうか。
 現憲法でも「集団的自衛権」の行使を解釈で可能とする安倍は、アメリカ軍と自衛隊が一体となって、世界中で戦争をすること想定しているのです。「アメリカのために死ぬ」のではなく「日本のために死ぬ」とすり替えたいのです。「死」を国家権力で決めるのです。
 「心」はいかなる権力からも自由であるのです。画一的な「公」の考えを押し付ける「心の教育」の強化には反対です。「あなたの愛は、国が決める」NO!

業績評価と連動する教員免許更新制度

 「教員免許の有効期間は一〇年。免許更新制度を導入する。二〇〇九年度から更新制度が始まる。具体化にあたっては今後文科省が細案を決める。」旨が不当にも決められました。免許更新制度は「教員の資質向上」を目的としているのですから、「業績評価が低い教員」が厳しい状況に置かれることは容易に想像できます。
 私たちの業績評価は、昨年度から「A・B・C・D」の四段階に改悪されました。都教委は「B・C」は「普通」と説明しているようですが、「B」と「C」の違いは、資料の文言で明白です。また、一次評価は絶対評価ですが、都教委は「『C・D』該当者は必ず存在する」と校長への指導を強化しています。いずれ、各職場では約三〇%の方が「C・D」と評価されることが予想されます。公正・公平・納得性が保障されない評価はデタラメ評価です。根拠が客観的な事実で示されない評価はデタラメです。免許更新制度がスタートしてからでは遅いのです。不当な評価を許すことはできません。

資料 評価基準

第3表の3      評価基準     【教諭】
評価項目 評価要素            評語
           
【A]優秀 【B】良好 【C】もう一歩 【D】奮起を期待
評語の理解

着眼点
当該要素について、求められる水準を概ね充たしている。着眼点に示す行動が概ねとられている.職務を遂行する上で、大きな誤りはなく、支障をきたすことはない。  当該要素について、求められる水準には「もう一歩」の段階であり、努力が必要である.着眼点に示す行動がとられないことがやや多い。職務を遂行する上で、時には支障をきたすことがある。
学習指導 能力 児童・生徒理解、指導計画の作成、知識・技能の保有・活用、課題発見・解決能力、先見性 専門的な知識・技能を活用し、直面した学習指導上の課題に対して、適切な指導計画を作成し、解決方法を見いだすことができる。 専門的な知識・技能の活用が「もう一歩」であり、時には適切な指導計画の作成に支障をきたすことがある。課題解決の方法を見いだせないことがある.
情意 児童・生徒理解の意欲、課題解決の意欲、研修意欲、創意・工夫、家庭・地域との連携 児童・生徒理解に努め、家庭と連携して、課題解決に取り組んでいる。向上心を持ち教材の研究及び開発に努め実践に生かしている。 児童・生徒理解が十分ではなく、必要な知識・技能の習得の意欲・態度にやや欠けるところがあり、従前からの指導方法の改善が十分でないことがある。
実績 指導計画の実施・評価の状況、指導内容・教材の工夫、児童・生徒の変容、教育目標の達成  (略) 校長の経営計画に沿って指導計画を実施し、学習指導の目標をほぼ達成することができた。 校長の経営計画こ沿った指導計面の実施が、時には十分でないことがあり、学習指導の目標達成には「もう一歩」であった。  (略)
生活指導・進路指導 (略)
学校運営 能力 意義や背景の理解、児童・生徒理解、応対・折衝力、校務処理、企画力、学校経営案作成、同僚に対する指導・助言 運営上の課題や分掌上の職務、役割を理解し、家庭や関係機関等に適切に対応して校務を処理することができる。 運営上の課題や分掌上の職務、役割の理解が「もう一歩」であり、時に家庭や関係機関等への対応が十分ではないことがある。
情意 経営参加意欲、課題解決の意欲、責任感、協調性、情報収集、家庭・地域との連携、研修意欲、公平な姿勢・態度 責任を持って職務を遂行し、同僚や保護者等との協力や意思の疎通を図るとともに、向上心を持ち研修に努め実践に生かしている。 協力や意思の疎通が「もう一歩」であり、時に摩擦を起こしたり、責任を回避して最後までやり遂げないことがある。自己を向上させるための努力にやや欠けるところがある。
実績 学校経営案の実施・評価、教室環境の確保、渉外・広報の成果、分掌の成果、教育目標の達成 学校経営方針に沿って、学級運営や分掌上の職務を支障なく遂行した。分掌した校務を改善し、学校運営に貢献した。 経営参加意識がやや不足し、学校経営方針に沿った職務遂行が十分でないことがあり、学校運営への貢献が「もう一歩」であった。
特別活動その他 (略)





夏季一時金
 二.〇七五月を六月二九日に支給
 経験年数を基準とした加算制度の廃止反対!


 
都当局は、六月十四日、夏季一時金について、次のように回答しました。

現行の条例・規則どおり、
期末手当一.六〇月分、勤勉手当〇.四七五月分、合計二.〇七五月分
 再任用職員は、
 期末手当〇.七五月分、勤勉手当〇.二七五月分、合計一.〇二五月分を
六月二九日に支給する。

 この回答は、「夏季一時金二.五カ月分を、六月二九日までに支給すること」「支給に当たっては、全額期末手当とすること」という私たちの要求水準からはほど遠いものです。また、一時金「支給対象・割合・加算制度」改善要求についても、「制度を改正するのは極めて困難との結論に達した」と回答し、これまでの主張を繰り返し、さらに、経験年数を基準とした教員の加算制度廃止を強行しようとしています。私たちは私たち自身の生活を維持するために、今後も、闘いを続けていきます。

加算制度の廃止反対
 教員の加算制度について、「経験年数を基準とした加算制度の存続は困難である」、新たな職の設置やそれに伴う給与制度を検討する中で引き続き協議すると、都当局はあくまで廃止しようとする姿勢を示しています。これは「教員の職の分化(主任職設置)」を前提に見直しを図るもので、断じて容認できないものです。
 これは単なる「支払い金」の問題ではありません。現場で他の教職員と協働しながら経験をつむことを重く見るか、都の敷いた「職」の階段を登ることを優位とするかという問題です。都が強行している後者の考えと制度が破綻していることは、先号で指摘したとおりです。それを金の力で何とかしようとする悪あがきのひとつがこの「加算制度の廃止」です。

闘わなければ権利は守れない
 @一時金の支給対象・割合・加算制度、A夏季休暇の日数増などについては、引き続き協議事項として、秋季年末闘争の中で、要求実現を求めていきます。今年度は、抜本的な教員給与制度の改悪提案が予想されます。私たちは私たち自身の生活を維持するために、今後も、闘いを続けていきます。

*夏季一時金支給額(標準)の計算は、以下の通りです。
 基礎ベース(給与月額+教職調整額+調整手当)×二.〇七五月分
*扶養家族のいらっしゃる方は扶養手当、一定の職務経験年数に達している方は職務加算が、基礎ベース額に加わります。
*一時金の教員への職務加算は、経過措置として、本年度は以下の通りです。
 ・大卒三〇年以上 六%(以前は十%) 
 ・大卒十二年以上 四%(以前は五%) 



休息時間は廃止、休憩時間は原則四十五分、
        ただし新宿本庁舎勤務職員は一時間
学校現場は、勤務時間の実質延長を阻止


資料


平成19年6月14日

 休息時間・休憩時間の見直しについて(案)
1 趣旨
国との均衡の観点から休息時間を見直すと共に、十分な休憩時間を確保し職務能率の一層の向上を図る。
2 内容
(1) 休息時間 廃止する。
(2) 休憩時間   
 《原則》
○勤務時間が6時間を超える場合は45分とする。
○勤務時間が8時間を超える場合は1時間以上とする。
 ただし、第一本庁舎、第二本庁舎及び都議会議事堂(以下「新宿本庁舎」という。)に勤務する職員は以下のとおりとする。
○勤務時間が6時間を超える場合は1時間とする。
○勤務時間が8時間を超える場合は1時間以上とする。
 なお、新宿本庁舎に勤務し、次に掲げる事由に該当する職員から申出があり、かつ、公務の運営に支障がないと認められる場合には、原則により取り扱うこととする。
 (該当事由)
 a  小学校就学の始期に達するまでの子のある職員が当該子を養育する場合
 b  小学校に就学している子のある職員が当該子を送迎するため、その住居以外の場所に赴く場合
 c  要介護者を介護する職員が要介護者を介護する場合
 d  妊娠中の女性職員が通勤に利用する交通機関の混雑が著しく、職員の健康維持及びその胎児の健全な発達を阻害するおそれがある場合
(3) 交替制勤務等職員に係る経過措置
  職務の性質により特別の勤務形態によって勤務する必要のある職員の休息時間及び休憩時間については、当分の間、なお従前の例による。
3 実施時期
   2008年1月1日
4 その他
  再雇用職員及び専務的非常勤職員の取扱いは、正規職員に準じることとする。





週刊墨教組 No.1523    2007.6.13

二〇〇七年度教研集会
六月二十七日(水) 午後三時開会
墨田教組会議室
記念講演は
湯浅誠さん
(ホームレス総合相談ネットワーク事務局長)
 演題 「現代日本の貧困」




貧困の加速化
 貯蓄のない所帯は、七十年代から八十年台後半にかけて、五パーセント前後で推移していました。それが、二〇〇五年には二二.八%にまで急激に上昇しています。保有していた貯蓄を食いつぶしている家庭が増えているということです。自己破産申し立て件数も、九五年の四万件から、二〇〇三年には二四万件と増えています。
 東京都のホームレスも九十年代末から二〇〇〇年頃にかけて、三千人から六千人に倍増し、現在は、さらに急増していると予想されます。
 OECD調査によれば、日本の貧困率は十五.三%で、一位メキシコ、二位アメリカ、三位トルコ、四位アイルランドについで、加盟国中五位です。


社会的所得再分配システム
 小泉前首相が国会で述べた言葉が印象に残ります。「格差はどこの社会にもあり、格差がでることは悪いことではない」「成功者をねたんだり、能力ある者の足をひっぱたりする風潮を慎まないと社会は発展しない」。
 かりにこの考えを認めたとしても、格差が固定化されることを是認したり、貧困の解決をサボることが正当化されたりするわけではありません。大切なことは、社会を維持するために、富める者から富を貧しい者に移して社会全体としての統体性を維持するという仕組みが、しっかりと出来ているかどうかの問題です。


富者を優遇 貧者を冷遇
 一九八六年、所得税の最高税率は七十%でした。それ以前には最高税率が八十%の時期もありました。
 それが、今や三七%にまで下がっています。税収を維持するためには、その分を他の者の税率を上げなければなりません。つまり、高所得者を優遇し、低所得者に不利な制度導入をしたのです。
 社会保険料も所得分配システムを構成する重要な要素です。ここでも、高額所得者の方が、相対的に負担が少なくなりました。
 たとえば、国民年金は、一人が支払う額は一律に一万三八六〇円と定額になっています。所得の多い少ないは、考慮されないのです。また、ここ十年以上は、社会保険料の大幅アップ、負担の増額が行われ、給付の削減が連続的にとられてきています。少子高齢化を迎え、ある程度やむを得ないという側面もありますが、所得格差を拡大するという意味で、深刻な状況をもたらしています。

格差に居直る強権政治
 「格差のなにが悪いのか」「格差が拡大してもいいではないか」と首相はじめ指導者層がそう主張しはじめたという点も見逃せません。当時幹事長であった安倍総理も、この考えを引き継いでいると考えられます。
 一昨年、郵政民営化の総選挙で大勝した小泉純一郎政権を引き継いだ安倍総理は、多数決の論理を悪用して、次々と悪法を強行採決しています。

墨田でも貧困化が進む
 国民の暮らしは良くなるどころか、益々厳しくなり、厳しい生活を強いられている層が、徐々に、そして、間違いなく増えています。
 墨田の学校でも、給食費や教材費が滞りがちな家庭があります。生活保護・準要保護を受けていても、生活は厳しいのです。さらには、生活保護すら受けられない家庭も出てきています。
 二〇〇五年七月、墨田区で、ホームレス襲撃事件が起き、両国高校定時制生徒が逮捕されています。その後もこの種の事件は、全国的に広がり後を絶ちません。路上生活者を生ある人間と見られない価値観が広がっています。

「貧困」は社会全体で
解決されなくてはならない
 今回講演をして頂く湯浅氏は、ホームレスの側に立って、具体的な支援活動をされている方です。最近書かれた本から引用します。

 「本当に困ったとき、あなたは生活を立て直すためのありとあらゆる努力をしてみるだろう。しかし、それでもどうにもならないときどうする。まず、自分自身が『生活困窮者』であることを認め、『生活保護』という制度を活用しよう。そのためには、あなたが『生活困窮者』であることを福祉事務所に認めさせなければならない。
 ところが福祉事務所は、あの手この手を使って、あなたが『生活困窮者』であることをなかなか認めようとはしない。では、どうするか?」(『本当に困った人のための「生活保護」申請マニアル』湯浅誠著作・同文館出版)
 「さる、六月九日(土)野宿生活者を支援してきた全国ボランティア団体が、東京で初めて一堂に会して、『ホームレス新全国ネットワーク』を発足させた。これまでの活動の中心が、東京大阪などの大都市圏だったが、ホームレスの居住地が地方都市にも広がり、『自立支援センター』の見直しや、相談窓口の拡大を求めて、国に提言することを決めた。」〔六月九日(土)朝日新聞・夕刊〕
 
二極化が進行する中で
   私たちにできることは何か
 湯浅さんは、増加し全国に拡散しつつある困窮者やホームレスの人々にたいして、権利としての社会的扶助を確立すること、自立のためのサポートなど、さまざまな活動を行っています。
 困窮者やホームレスの人々、そして貧困の現状はどのようになっているのか、実際に現場で支援している生の声を、直接お聞きすることにしました。
 「被差別の側に立ちきる」実践の深化のために、私たちにできることは何かをさぐりたいと考えています。


教育関連三法案を廃案に!

 国会会期末(六月二三日)に向け、教育関連改悪三法案の成立阻止の運動は緊迫した状況に入っています。当初、六月一四日の文教科学委員会での強行採決が予想されていましたが、国会内外が一体となった阻止運動の盛り上がりにより、法案の採決を阻止しています。国会での審議は極めて不十分であり、地方公聴会でも法案に対する疑問ばかりが出されています。自民・公明与党は、参議院選挙を有利に進めるために、「教育」を政治的に利用しているのです。自らの教育政策の破綻を、学校現場に責任転嫁しているのです。許せない。


「免許剥奪」は失職
国会での審議は、極めて不十分です。いいかげんです。私たち教員にとって、教員免許が更新されなければ、直ちに「失職」に繋がるのです。生活が破綻するのです。

・なぜ、教員免許だけに一〇年の有効期限をつけるの?
・現職教員だけが対象なの?
・特別免許(社会人採用)は更新しなくてもよいの?
・免許更新費用は誰が出すの?
・三〇時間の講習は、いつ・どこで受講するの?
・講習参加は、年休?命令研修?
・講習内容は未定?
・一〇年研修は継続するの?
・ペーパーティーチャーは更新が必要なの?

 どの項目も、未だ国会審議で明らかにされていません。
 「講習の実施」は物理的に不可能なことは明らかです。そこで人事考課制度とリンクさせ、対象教員を差別・選別し、「講習」を可能にすると思われます。都教委の意に従わない教員、校長の方針に意義を唱える教員等を「不適格教員」・「指導力不足教員」としてレッテルをはり、「免許剥奪」を手段に、職場から追放しようとするのです。
 教員免許法改悪案の目的は、学校教育法改悪案・地方教育行政法改悪案と関連させてみるなら、「教員の資質向上」が目的ではなく、政府ー教育委員会ー校長ー副校長ー主幹ー「主任教諭」ー教諭の上意下達体制による「学校教育」の政府支配にあるのです。「教員給与の見直し」と関連させてみるなら、免職も含め、「成績主義」の推進による差別賃金(教員給与の二極化)を民間並に徹底することです。
 こんなことを許してはなりません。

教育関連三法案改悪阻止!
国会前座り込み行動
場所 参議院議員会館前
日時 6月19日(火)
午後4時〜5時
主催  日教組東京4単組





週刊墨教組 No.1522      2007.6.7

恥を知れ 都教委!
 
不人気な「主幹」、集まらない「主幹」

「主任教諭」設置に向けてつじつま合わせ
 生涯一教師として
 児童生徒と接することに生きがいをもつ教員が
 いかに多いか



 都教委は、五月二四日、「主幹の任用・配置」等の見直しを発表しました。
 当初、都教委が描いた「主幹」設置による学校運営組織に見合う「主幹」数が集まらないこと、「主任教諭」新設に向けてのつじつま合わせを迫られたことが見直しの要因と推察できます。「有能な人材」が集まらないことは、管理職も例外ではありません。この間、都教委は、地教委や校長を通じ、なりふりかまわずに「管理職」・「主幹」の受験者数を増やそうとしてきました。しかし、校長は再任用で補充しなければならなくなっています。自ら描いた人事政策の破綻に対する都教委の危機意識は相当なものと推察できます。

破綻した「主幹の配置」
 「主幹」制度は、学校運営組織を経営層(校長、副校長)・指導監督層(主幹)・実践層(教諭等)の三層構造に再編成し、上命下服型による管理体制強化を意図したものです。それは、「管理あって教育なし」という状況をさらに進めるものであり、私たちは断固反対してきました。この立場は今も同じです。
 都教委は、「主幹の配置計画」として、小・中学校については五年程度(〜平成一九年度)で定められた数の主幹を配置するとしていました。しかし、現状はそうはなっていません。「無能主幹」あり、「主幹配置ゼロ」の学校もあり。一昨年度、墨田の小学校では、「主幹の受験数がゼロ」でした。
 大多数の教員は、「主幹」制度をよしとしていないのです。都教委・地教委による管理体制強化に「NO」の意志表示をしているのです。
 都教委の意図は破綻しているのです。無様なあがきです。



資料 「主幹」の現状  5月24日都教委発表資料より
1.配置状況
○ 配置計画に基づき、学校へ段階的配置を行っているが、選考受験者数の減少により、配置計画の達成が遅れている。(小学校、中学校)
○ 配置数実績(2007年度現在) (単位:人)



2.選考実施状況
○ 選考受験者数、倍率がともに低下している。
○ 選考実施状況推移



改善に向けた具体的方策
(1) 選考の見直し
(2007年度選考から実施)
○ 受験資格年齢下限を2歳引き下げ、36歳から受験可能とする(現行38歳以上)
○ 受験資格の「都教職経験10年以上」を「教職経験10年以上(ただし、都経験3年目以上)とする。
○ 教育管理職B選考の受験対象を主幹のみとする(2008年度選考から実施)
(2) 異動基準の見直し
(2008年4月1日付異動から実施予定)
○ 現任校昇任者の在職可能期間を昇任後3年から5年に延長する。
(3) 設置数の見直し
(2008年度から実施予定)
○ 現在の校種ごとに一律の主幹設置数について、管理スパンを考慮し、学校規模等に応じた適切な設置数に見直す。
小学校・中学校 学級数に応じた設置数とする。





少なくとも三人が苦情申し出
デタラメな「評価」を許すな!
「勤務実績簿」を本人に開示せよ!

勤労意欲を低下させる人事考課



「人事考課制度は人材育成、能力開発が目的」と都は再三説明してきましたが、この制度に対する職員の不満は強く、「指導育成」どころか、職員のモラールダウンを招く結果になっていることが指摘されてきました。二〇〇六年度(昨年度)から、第一次評価(絶対評価)が希望する職員全員に開示されました。墨田では、ほとんどの学校で開示請求がなされました。その結果、「平成十八年度教育職員定期評価」・「開示面接」に納得できず、「苦情申し出」を申請した教員が墨田区内では少なくとも三人存在しています。業績評価は、昇任・昇格・昇給・異動等にリンクしています。「教員免許更新制」が導入されると「勤務実績」が更新の一要素になると言われています(文科省答弁)。人事考課制度を暴走させてはなりんせん。

「職務実績記録」を本人に開示すべき
 人事考課制度が強行導入されて以来、七年目して希望者全員に「開示」が実施されました。都は開示の必要性は認めてきたものの、その実行を拒んできたのは、「開示にたえられない評価」が少なからずあったからと思われます。特に教育系は課題が多いことが指摘されてきました。都教委は、二〇〇四年一〇月に、「教育職員の職務実績記録について(通知)」を出し、「職務実績及び指導・指示の結果等をより的確に把握」することを指示してきました。「職務実績記録」には、@教育職員の実績・行動(年月日時刻)、A校長等の指導・指示等、B結果等が記載されなければなりません。さらに都教委は、「業績評価実施要領」でも、「客観的事実に基づいて評価する」、「教育職員の職務遂行状況を十分に把握し、その記録を整備した上で、評価を実施することは言うまでもない。」と指示しています。評価が開示に耐えられるには、評価が公平・公正・客観的で納得性を得られるものであることが当然だからです。
 改善に向けた職員との共通認識を図るには、口頭での説明に固持するのではなく「職務実績記録」を本人に開示することが必要です。特に、評価項目、総合評価が「C・D」とされた場合、本人の納得がなければ、改善は期待できないのです。納得が得られない評価はマイナスペナルティを押しつけたに過ぎず、「不信・怒り・恨み」を増殖させるだけです。
 「職務実績記録」が作成されていないとするなら、デタラメ評価と断ぜざるを得ません。

評価「C」は「普通」でない
 「A」優秀、「B」良好、「C」もう一歩、D「奮起を期待する」
 評価が四段階に変更されたことにともなって、評価「C」は「普通」と説明した校長がいます。「C」を必ずつけなければならないことから、職員の反感を得ないためのごまかしなのか。「業績評価実施要領」の評語(資料)の説明を見るなら、「C」は「普通」ではなく「B」が、「普通」と考えるのが妥当です。

都教委が「C」「D」を強制?
 第一次評価は「絶対評価」です。絶対評価では、職員全員が、「求められる水準」をクリアーする場合があってもよいはずです。評価「C」、「D」の該当者がいないことも有り得るのです。しかし、都教委は区教委を通じて、校長に総合評価においても必ず「C」をつけるように指示したと思われます。評価の変更を命じられた校長が、全都で少なからず存在することが明らかになっています。
 都教委は、どのような集団でも、「求められる水準」を設定した場合、集団に属する個々の達成度合いは、統計学的な真理?なのか、正規分布状にバラツクと決めつけているのです。かって中学三年生が高校受検に際し、教科評定が相対評価だったとき、「5」(7%)、「4」( %)、「3」( %)、「2」( %)、「1」(7%)と都教委は決めていました(絶対評価になっても、概ねこのような分布になると都教委は指導を強化している)。教員の業績評価がS・A・B・C・Dでの五段階のとき、それぞれの評価該当者数は同様な考えに基づいて示されていたと考えられます。昨年度から、評価がA・B・C・Dの四段階に変更され、それぞれに該当する割合を都教委が示していると考えられます。四段階への変更は、職員に対する差別・選別の強化です。校長に対しては、全員がクリアーできるような「低い水準を設定するな」と発破をかけているのです。職員を競争させ、「免許更新制」で「免許を剥奪」し、「分限免職」として切り捨てていくのが人事考課制度なのです。

第一次:評語の説明
評語「B」良好
○求められる水準を概ね充たしている。  
○着眼点に示す行動が概ねとられている。
○職務を遂行する上で、大きな誤りはなく、支障をきたすことはない。
○日常の指導・助言で十分足りる。
○管理職や他の教員の援助をほとんど必要としない。

評語「C」もう一歩
○求められる水準には「もう一歩」の段階であり、努力が必要である。  
○着眼点に示す行動がとられないことがやや多い。
○職務を遂行する上で、時には支障をきたすことがある。
○日常の指導・助言では不十分な時がある。
○管理職や他の教員の援助がないと、職務を遂行できないときがある。



教育関連三法案改悪阻止!
  国会前集会
場所 参議院議員会館前
日時
 6月12日(火)
午後4時半〜5時半

6月14日(木)
 午後5時〜6時






週刊墨教組 No.1521        2007.5.28

アメリカ軍と一体となって
戦争をする国への変容を許すな!
 「教育関連三法案」を阻止しよう



 教育関連三法案(資料1)が、五月一八日、衆議院本会議で、自民・公明の賛成多数で可決された。現在、参議院で審議が始まっている。自民・公明与党は、何がなんでも六月上旬の成立を強行しようとしている。現憲法は、国家権力による国民への支配統制を大きく制限している。しかし、自民・公明両党は、現憲法と一体であった教育基本法を、「我が国と郷土を愛する態度」等二〇の徳目を学校・社会・家庭教育で強制し、国が人づくりを支配できる「教育基本法」に改悪した。現憲法と相反する違憲教育基本法と言える。この違憲教育基本法を具体化させるのが教育関連三法案です。地方自治体の教育委員会、学校組織、教員を「国家権力に必要な人づくり」を率先して遂行させることを目的とした法案です。このような法案を成立させてはなりません。

「集団的自衛権の研究」と教育関連三法案
 「戦後レジームからの脱却」と言いつつ、アメリカへの従属をより強化してきたのが小泉・安倍である。何が脱却か。五・一四「国民投票法」、五・一五「イラク駐留延期法」、五・二三「在日米軍再編促進法」の強行採決。防衛庁を防衛省に格上げし、海外派兵を容易にし、現憲法の解釈で「集団的自衛権」の行使が可能とする戦争好きな安倍。アメリカ軍と自衛隊が一体となって、世界中で戦争をするのが「集団的自衛権」の行使である。どう解釈しても、現憲法では、「集団的自衛権」の行使はできない。しかし、九条が改憲されていないにもかかわらず、「戦争ができる国の実体化」を図ろうとしているのが安倍である。アメリカ軍と一体となって戦争をするための精神的支柱として「我が国と郷土を愛する態度」が必要となる。こうした状況の中で、教育関連三法案をみるなら、この法案は「すすんで戦場に赴く人」づくりを目的としたものと言わざるを得ない。

憲法九条(戦争の放棄、
  戦力及び交戦権の否認)
@日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
A前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


資料1 政府「教育関連三法案」の概要(日教組新聞2007.4.27より)
教員免許法
◆免許更新制の導入
 ・普通免許状及び特別免許状に10年間の有効期限を定める。
 ・有効期限満了時、申請により更新することができる。
 ・講習を終了できなかったものの免許状は、その効力を失う。
 ・教員が分限免職処分を受けたときは、その免許状は効力を失う。
◆指導が不適切な教員の人事管理の厳格化
 (教育公務員特例法)
 ・教育や医学の専門家や保護者等の意見を聞いて、「指導が不適切な教員」の認定、また研修終了時の認定を行う。
 ・研修終了時の認定において、指導が不適切であると認定した者に対して、免職その他の必要な措置を講ずるものとする。
学校教育法
◆各学校種の目的及び目標の見直し等
 ・「改正教育基本法」の理念を踏まえ、新たに義務教育の目標を定めるとともに、幼稚園から大学までの各学校種の目的・目標を見直す。
 〔規範意識・公共の精神〕
 〔国と郷土を愛する態度〕
◆新しい職の設置
 ・幼稚園、小・中学校等に、副校長、主幹教諭、指導教諭という職を置くことができることとする。
◆学校評価及び情報提供
 ・学校は、学校評価を行い、その結果に基づき、学校運営の改善を図ることにより、教育水準の向上に努めることとする。
 ・学校は、保護者等との連携協力を推進するため、学校運営等の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。
地方教育行政法
◆国の責任の果たし方
 ・生徒等の教育を受ける権利が明白に侵害されている場合、文部科学大臣は、地方自治法の「是正の要求」を行うことができる。
 ・緊急に生徒等の生命・身体を保護する必要が生じ、他の措置によってはその是正を図ることが困難な場合、文部科学大臣は教育委員会に対し「指示」できる。
◆教育委員会体制の充実
 ・教育委員会は、事務の管理及び執行状況の点検・評価を行い、議会に提出する。
 ・文部科学大臣及び都道府県教育委員会は、委員の研修等を進める。
◆教育の地方分権の推進
 ・県費負担教職員の同一市町村内の転任については、市町村教育委員会の内申に基づき、都道府県教育委員会が行う。





労働基準法の遵守
完全週休二日、週四〇時間勤務
「土曜補習教室」へ強制的に従事させられない


 勤務時間の割り振り変更により、週休日(土・日曜日)に勤務をする場合、@完全週休二日、A週の勤務時間は四〇時間が適用されるのは当然です。これは、労働者保護の観点から労基法・東京都勤務条例で決められています。昨今、学校公開や運動会(体育祭)等の学校行事、土曜補習教室実施により、週休日に勤務を余儀なくされるケースが増加しています。勤務時間の割り振り変更は、労働条件の変更であり、校長が一方的に決められことではありません。労使の同意が必要です。週休日に学校行事を実施する場合は、年間の行事予定を決める際に、週休日の変更も同時に決めています。無計画に突発的に週休日の変更をすることは許されません。六月から、小・中学校で「土曜補習教室」が実施されます。週休日の変更により土曜日に四時間の勤務をする場合、その週の別の日に週休日を変更するのが大原則です。週四〇時間勤務だからです。「長期休業中にしか、割り振り変更ができない」というのは過ちです。また、土曜補習教室に強制的に従事させることも過ちです。「土曜補習教室」の実施に際し、組合と墨田区教委とが確認した内容を再掲載します。新たに墨田に来られたみなさん、わからないままに、校長に半ば強制的に「土曜補習教室」に従事させられていませんか。

資料1  区教委との確認

墨田区教育委員会  
教育長 久保 孝之 様    2005.5.31.
墨田区教職員組合 委員長 加藤 宗三郎
土曜補習教室事業について
 土曜補習教室事業の実施に当たっては、(1)週の勤務時間40時間、週休2日制という学校職員の勤務条件を維持する(2)児童・生徒にとっての学校五日制の趣旨を逸脱するようなことがあってはならない、の2点が原則であり、その立場に立って、実施する。 
 その立場から次の諸点に確実に留意、実施すること。
(1)@教員が指導員として当たる場合(校長が勤務を割り振る場合)、本人の理解と納得のもとに行う。
 A土曜教室の指導に当たる教員には「勤務時間の特例」を設定することになるがその割り振りにあたっては、当該教員の意向を聞いて行う。
 B土曜教室実施日の勤務時間の割り振り(出退勤時間・休憩時間等)は、事業時程の関係から月〜金曜日と土曜日とで異なる設定とすることができる。
(2)@実施校が運営する土曜補習教室への参加者は、児童生徒が希望し、その保護者が同意した者に限定されるものである。したがって、必ず参加申し込み書を提出させ、それに基づき参加者名簿を作成して行うこと。
  参加申し込み書を提出し、名簿に記載した児童生徒にのみ参加を承認する(思いつき的に参加してくる者の参加は認めないこと)。
  なお、この申し込み書と参加者名簿に記載があるものが、学校管理下にあるものであり、事故ある場合の「日本スポーツ振興センターの『災害共済給付制度』申請」を行う等の基礎となる。
 A補習教室事業の時程設定は、児童・生徒の実態も勘案し、実施校が独自に決定する(月〜金曜日と異なる時程となることも有り得る)。
 Bこの教室の参加者は、何らの経費負担を必要としない。ただし、教材として市販教材を使用する場合は、その経費は参加者の保護者に負担させるものとする。
(3)土曜補習教室の指導員は、実施校に勤務する教員、地域住民、保護者、及び教職志望の大学・大学院生等とするが、下記の点に留意すること。
 @「実施校に勤務する教員」には、校長・副校長が当然含まれる
 A各校二名分の指導員手当が予算化されているので、その活用に努めること。その活用に当たっては、当該学校の保護者はできるだけ避け、教員免許状取得者や人材育成の観点からも教職志望者を指導員として採用、手当を支給することが望ましい。
 B指導員には、「守秘義務」(職務上知り得た秘密を外部にもらしてはならない義務)があることを明確にし、教員以外については、誓約書を提出させること。          以上



教育関連三法案改悪阻止!
 東京4単組総決起集会
日時 6月4日(月) 午後6時〜8時
会場 日本教育会館8階
内容 講演 尾木直樹さん(教育評論家)
情勢報告 日教組
主催 日教組東京4単組
(東京教組、都高教、都障労組、都校職組)

6・5教育関連三法案阻止!
中央集会
日時 6月5日(火) 午後6時〜8時
会場 社会文化会館5階
内容 情勢報告 請願デモ等
主催 日教組





週刊墨教組 No.1520        2007.5.21

戦争ができる国への変容を許すな!
 「改憲手続き法」=「国民投票法」の強行可決糾弾!


 自民・公明与党は、五月一四日、参議院本会議において、改憲手続き法案=国民投票法案を数の暴力で強行可決しました。現憲法においても「集団的自衛権の行使は可能」とする戦争賛美の安倍は、「戦後レジームからの脱却」を全面に「改憲」を参議院選挙の争点にすることを強く主張しています。「戦争をする国づくり」へと一直線に進むことを宣言したのです。こうした暴挙を許してはなりません。私たちの先達は、戦後、日教組を結成し、平和を希求して「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンを生みました。そして、「二度と戦争をさせない」さまざまなとりくみを進めてきました。国家が犯しうる「悪」の最も凝縮されたものが戦争です。戦争の痛苦の体験のもとに人々は憲法九条の規定を選びとったのです。戦後日本の規範としての戦争否定の姿勢を、私たちは絶対に放棄してはならないのです。

「国民投票法」は「壊憲法」
 現憲法の九六条は、国家権力が容易に改憲ができないための歯止めです。立憲主義の具体的な姿として、国家権力の暴走を制御する装置として現憲法の九六条は機能してきました。しかし、強行可決された「国民投票法」は「過半数の賛成」を「有効投票総数の過半数」と規定し、改憲要件を極めて緩和した内容となっています。「国民投票法」により国家権力が容易に改憲できるようになったといえます。

公務員や教員の運動を制限
 「護憲」を運動方針としている自治労と日教組は、全国の隅々までその組合員を擁しています。自民党等にとって、改憲を行うには、護憲運動を封じ込めることが改憲の必要条件となります。それ故に、政治戦略として、自治労と日教組に圧力を加えることを目的として、「公務員と教育者の『地位を利用』した運動の禁止」を「国民投票法」に盛り込んだのです。国家権力が、憲法で保障された労働組合の方針を「国民投票法」で規制するというのです。公務員と教育者の基本的人権を制限するというのです。「ふざけるな」。私たちは憲法改悪阻止のため、あらゆるとりくみをすすめます。

改憲により労働基本権も危うくなる
 「富国強兵」は、国家への絶対服従と犠牲を労働者に強いることで遂行された。そして、人々は、悲惨な戦争体験を経て、平和憲法を得、労働者は労働基本権を得た。労働者は国家への絶対服従から解放されたのです。しかし、一握りの大企業の利潤追求のために、再び「戦争をする国」へと変えられようとしているとき、憲法で保障されている労働基本権も危険にさらされるのです。憲法第一三条(個人の尊重)、二五条(生存権)、二七条(勤労の権利)、二八条(勤労者の団結権)が危険な状態になるのです。利潤の拡大には、労働条件など国が規制する法律や団結を守る法律は、邪魔になるのです。規制緩和と称して、労働時間の規制をなくし、時間外労働の手当なしに何時間でも働かせる法案(ホワイトカラー・イグゼンプション)が当然のように語られるのです。「戦後レジームからの脱却」は、労働者の権利をも剥奪していくのです。戦時体制に向かうには、労働者の生活や権利もかってと同じように制約を強いられることになるのです。働く者の権利や生活を守るには現憲法を変えさせてはなりません。


女性部定期総会
5月23日(水)
   3時より
すみだ女性センター
女性組合員全員が参加できる態勢をつくりましょう。

休憩・休息の見直し、
「主任職」設置反対 
5.22全都教職員総決起集会
 休息時間を廃止し、休憩時間を60分にすることは、結果的に勤務の拘束時間を15分延長するというものであり、昨今の勤務時間短縮の流れに逆行したものです。そして、事実上の勤務時間の延長にほかなりません。学校現場の現状を無視したこのような提案は、到底認められるものではありません。
 また「教員の職のあり方検討委員会」報告にあった「主任教諭」についても、設置を決定しようとする構えです。上意下達による管理強化と教員給与水準の切り下げにつながる、「主任教諭」の設置についても容認することはできません。

日時 5月22日(火)
 午後4時30分〜5時30分
場所 都庁第2庁舎前
主催 教育関係7単組 (東京教組・都高教・
都障労組・ 都校職組・都教組・都障教組・アイム'89)





定年年齢の延長をすべき!
 「再雇用制度の廃止」は、
絶対に認めることはできない!


 四月二六日、都側は都労連に対し、「再雇用制度の見直しに係る基本的な考え方」(以下「考え方」という、左に掲載)を提示しました。
 都の提案は、再雇用制度がどういう経緯で始まったのか、それはどのような役割をもっているのかということを一顧だにしない内容です。その内容は、働くということの意味をまったく理解できない、きわめて一方的で働く者の権利剥奪のための「考え方」の提示です。
 都側の提案を、わたしたちは絶対に認めることはできません。

「マンパワー不足」はどうして?
 「考え方」は、大量退職→「大幅なマンパワー不足」といっていますが、都の職員の年齢構成上、そもそも、大量退職は周知の事実でした。そのことに対する対策を講じてこなかったのは都当局です。

「パワー」削減、パワー(強権)発動
 都職員の「パワー」を削減することにパワー(強権)を発動してきた人の言う「マンパワー不足」というのは、いったいどういうことでしょうか?
 新規採用者が少なくなったのは、東京都の職員に魅力がなくなったからではないでしょうか。東京の学校教育にあまりにも魅力がないからではないでしょうか。
 あの手この手の東京都の職員採用選考に応募者が少ないのには、原因があるのです。採用選考への応募者の「大幅な拡大が困難」な状況は当分続くのは当然です。

再雇用制度とは
 再雇用制度は、一九八五年三月に制度化されました。設置要綱では「職員の定年等に関する条例(一九八四年東京都条例第4号)の適用を受ける職員で、定年に達したことにより退職した者、又は勧奨を受けて退職した者が退職後五年間、選考の上、任用される制度です。
 その目的は次のようになっています。
 「この再雇用制度は・・・働く意欲があって、豊かな経験や知識を持つ退職者を非常勤の職員として採用し、・・・その経験や知識を発揮していただき、行政サービスの向上に努めるものです。
 また、これと共に、退職された人々の退職後の生きがいと生活の安定をも目的としております。」
 これは、八五年から導入された地方公務員の定年制にあたって始められたものです。

生涯設計としての再雇用
 「退職後の生きがいと生活安定」は、働く者の心の安定でもあります。
 退職金削減、年金受給年齢の延長など、実に勝手な施策によって、退職後のわたしたちの生活設計は、「見えない」状態となっています。展望が描けない状態となっているのです。
 退職後の継続雇用を「再任用制度」に一本化することは、不安定な状態に私たちを置きます。
 再任用を希望した者が全員採用されるとは限らないということです。とくに教員は、現在の再任用制度では、きわめて少数しか任用されていません。任用除外者がこのままでは多数になるのです。

「安上がりの労働者」創出を許さない
 再任用職員は定数扱いです。再任用職員が増えればそれだけ新規採用職員が減らせます。新規採用が困難だから再任用をというのは見せかけであって、人件費の削減が目的であることはまちがいありません。
 再任用者を「定年前と同様の本格的な職務」に従事させるならば、再任用ではなく、定年年齢の延長で対応すべきです。
 定年制という年齢による強制退職制度の下で、「マンパワー不足の解消」をするには、安上がりの労働者の創出を目的とした今回の提案を認めることはできません。

 私たちは、働く者の生活と希望が尊重されることを求め、「再雇用制度の廃止」に断固反対していきます。

再雇用制度の見直しに係る都側の基本的な考え方

1 見直しの背景
(1)平成19年度末から本格化する大量退職により、大幅なマンパワー不足に直面
(2)今後の雇用情勢を考えると、新規採用の大幅な拡大は困難
(3)一方で、職の性格等から、再雇用では常勤職員の職務を担うことが不可能
(4)今後は、定年前と同様の本格的な職務に従事する「再任用職員」の活用が不可欠

2 見直しの方向性 
(1)「再任用制度」を基本とした継続雇用
 ○退職後の継続雇用は、今後、「再任用制度」に一本化
 ○再雇用は、再任用可能期間終了後、満65歳に達する年度の年度末までの間に限って任用(月16日勤務のみ)
(2)勧奨退職者の取扱
 ○勧奨退職後の再雇用は、満60歳に達する年度の年度末までの間に限って任用(月16日勤務のみ)

3 見直し時期  平成20年4月1日から原則適用



週刊墨教組 No.1519
2007.5.1


二〇〇七年度運動方針、予算を決定
墨田教組 第六二回定期総会
違憲教育基本法の実体化を許さず!
墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続ける



 第六二回定期総会が、四月二五日、すみだ産業会館で開催されました。改憲の手続き法である「国民投票法案」が参議院で審議が始まり、違憲教育基本法の実体化を企図した教育三法案が上程されている中、教職員組合の責務として、法案の成立を阻止する意志を確認しました。
 総会は三時一五分に副委員長の開会宣言、「緑の山河」斉唱後、議長に を選出してすすめられました。
 役員紹介の後、執行部を代表して委員長が挨拶。

教師は労働者である
 「ひとりひとりの組合員の支えと、様々な闘いにより、墨田区教職員組合は六十年の歴史を刻みつつあります。墨田教組は独自の路線を築き上げ、労働組合としてその立場を確立してきました。確かに組織は小さくなりましたが、墨田教組は存在しているのです。また、この墨田の地で、様々な地域共闘に参加し、墨田の労働運動も支えてきました。他の労働組合の闘いから多くのことを学んでもきました。その闘いをひとつ紹介させてください。労働運動が厳しい状況下にある中で、今年二月、画期的な勝利が報告されました。全逓郵便局のAさんの闘いです。一九七九年、年末から正月にかけて全逓による全国闘争が展開されました。この闘いに対し、当局は一組合員である郵便局のAさんに対し、不当にも懲戒免職処分を下しました。それ以後、『処分撤回、現職奪還』が、約二八年間にわたり、自立・自闘で闘い続けられました。連合が結成され、墨田区労連が解散し、地域支援も弱体する中での、闘いでした。全逓本部が労使協調の推進を図り、被免職者を切り捨てる中、微力ながらも、墨田教組も支援を続けてきました。闘いは裁判闘争に入り、今年の二月、最高裁で画期的な勝利判決が確定しました。『懲戒免職処分の取り消し』『現職復帰』が確定したのです。『不当なことは不当』と訴え続けての勝利でした。ありふれた言葉ですが、『正義は必ず勝つ』のです。Aさんの闘いは、私たち墨田教組にも勇気を与えてくれました。
 教育基本法が改悪され、いま、憲法改悪が強引に進められいます。改憲の手続き法である『国民投票法案』が衆議院を通過し、いま参議院で審議がはじまりました。現憲法九六条は、改憲の手続条件を厳しくしています。
 国民の自由と権利を保障し、国家権力の暴走を制御する装置として機能してきました。しかし、現在参議院で審議されている『国民投票法』の内容は、現憲法九六条を空洞化し、改憲条件を極めて緩和するものとなっています。この『国民投票法案』が成立するなら、自民党は『新憲法草案』に基づき、憲法九条のみならず、次々と憲法を改悪するでしょう。 状況は大きく変化しつつ、一層厳しくなるでしょう。働いて賃金を得ることは、戦前の教師も戦後の教師も同じです。日教組綱領にある『教師は労働者である』意味は、『闘ってこそ教師は労働者といえる』ということです。厳しくても、『不当なことは不当』として、全国の仲間と固く連帯し、この墨田の地で、教職員労働組合としての機能と責任を果たし続けようではありませんか。ともにがんばりましょう。」と呼びかけました。

 来賓として東京教組委員長、区議の激励の挨拶の後、議事に入り、書記長が二〇〇七年度運動方針案を提案。提案を受け、七人の方が討論に立ちました。いずれも自分や職場の闘い・とりくみを具体的に紹介しつつ、方針案を補強する立場から意見を述べ、人事考課制度に対する怒りとさらなる闘いの決意を表明し、ともにとりくみ、闘いを呼びかけるものでした。
 四時三〇分に討論打ち切り、運動方針案に対する挙手採決が行われ、圧倒的多数の賛成で可決・決定されました。その後、決算・監査報告が承認され、続いて予算案について審議がなされ、採決で可決・決定されました。次に「規約第三三条の改定」が副委員長から提案、挙手採決が行われ、可決・決定され議事は終了。副委員長が「総会宣言」を提案、採択を経て、委員長の団結ガンバロー三唱を最後に閉会しました。



総会宣言


 私たちは、第六十二回、墨田区教職員組合定期総会を開催し、真摯な討議を経て、二〇〇七年度運動方針を決定した。
 戦争ができる「美しい国」をつくるための国民を育成しようとする違憲教育基本法は、「教育三法案」として、今徐々に実体化されようとしている。さらに、戦後の大枠を形作ってきた平和憲法さえも葬られようとしている。東京では石原が三選され、教育改悪の流れはますます勢いがついている。残念ではあるが、私たちはこういう状況にいることを認識しよう。

 教育現場では、矢継ぎ早に「改革」が強行されている。
 昇任・昇格・昇給と人事異動がリンクされている「人事考課」制度、ピラミッド型命令系統を確立しようとする「副校長」「主幹」・「主任職」設置策動、「日の丸・君が代」強制による「思想・信条の自由」の剥奪、子ども達の「学力」を上げると称する区・都・国の学力テスト・・・。
 これらの「改革」はその掲げる目的すら実現できないでいる。
 民間でマイナス効果が検証された頃導入された「人事考課」制度は、モラールの向上とは反対に、職場に不信感と、腹立たしさと、苛立ちだけを生んだ。
「主任」制度の欠陥と、「いじめ」を根本的に解決すると国に先行して導入された「主幹」は、恥も外聞もなく受験申し込み期限延長・受験資格基準緩和におよんでも、各校に配置できない状態である。命令=服従関係による学校づくりは、批判と反対の封殺を目論んでも、その初めから躓いている。教育が自立と協力・共働によってなされるのであるから、それは当然の結果である。
 私たちは知っている。「学力低下」を叫んでいるのはほんの一部であることを。多くの人々は、ペーパーテストで測る「学力」や、アンケートでわかる程度の「やる気」:ではないものを子ども達が獲得してほしいと願っていることを。
 にもかかわらず、この的外れでうんざりさせられる「改革」は強行されている。教育に対して嫌気とあきらをもたせること、誰もが、むなしさと無力感を抱くこと、それが新自由主義教育「改革」の真の目的であるとさえいえる。それは、営々と積み上げてきた教育と職場の破壊そのものだ。私たちはこの破壊を許してはならない。

 職場の中にあって、私たちは今も、「自由」を比較的多くもっている。
 私たちは、「出世」・「高給」・「高い評定」・・・ではないものを、仕事の中心におく道を選んだ。
 私たちには、ともに墨田の教育と職場をつくっていこうとする仲間がいる。私たちは私たち自身の日々の行為、職場で理不尽なことを理不尽と言い、おかしいことをおかしいと言う、その一つ一つの行いにより、組合を組合として機能させている。そのことによって、仲間が自分の意志を表現し、自分の心を捻じ曲げないで働ける条件を作り出している。

 二〇〇六年九月東京地裁「君が代」判決、北海道教委の処分撤回、犬山市教育委員会の学力テスト不参加・・・、まだ良識が壊滅したわけではない。絶望するときではない。
私たちも、一つの良心として、良識の証としてあろうではないか。四七年教育基本法の目的、人格の完成をめざして、「一人の子も切りすてない」教育を推進していこうではないか。憲法を護り生かしていこうではないか。
 
 行く手がどんなに荊の道であったとしても、前を向き、仲間と団結し、連帯して、自立的・原則的に闘いぬいていくことをここに宣言する。

二〇〇七年四月二十五日
墨田区教職員組合 第六十二回定期総会



組合歓送迎会
6月8日(金)6時より
組合会議室で

今年新たに転入された方、また、退職された方をお迎えし、新たな出発を期して、歓送迎会を行います。参加される方は事前にお申し込みください。





週刊墨教組 No.1518    2007.4.20



「戦争ができる国」への変容を許すな!
 「改憲手続き法案」=「改憲要件の緩和」を阻止しよう!


 教育基本法の改悪を強行した自民・公明与党は、石原の都知事選圧勝に勢いを得て、四月十三日に衆議院本会議で改憲手続き法案=国民投票法案と「在日米軍再編特措法案」を強行採決しました。改憲の目的の一つは、現行憲法九条の破棄=「集団的自衛権の合憲化」等、「戦争ができる国」へとこの国を変えることです。戦争賛美の安倍は、四月二七日に予定されているブッシュとの会談を控え、現行憲法下でも、「集団的自衛権の行使」を可能にする解釈改憲の「研究」を指示しました。「集団的自衛権の行使」を強く求める戦争好きブッシュへの手土産が必要なのでしょう。「美しい国」の実像は、米軍と自衛隊が一体となって武力行使ができる国なのです。「戦争ができる国」づくりは急ピッチですすめられています。反戦・護憲運動の再構築が今、正に必要となっているのです。

「改憲手続き法案」は
    改憲要件の緩和がねらい
 二〇〇五、一〇、二八日に決定された自民党の「新憲法草案」は、現行憲法の本質である立憲主義を否定したものであることは以前に明らかにしました。立憲主義とは、国家権力を制限して、国民の自由と権利を保障するための憲法に基づいて政治を行うことです。現憲法の九六条は、国家権力が容易に改憲ができないための歯止めであり、国家権力の暴走を制御する装置として機能してきました。今、衆議院で可決された「改憲手続き法案」では「過半数の賛成」を「有効投票総数の過半数」と規定しています。これは自民党の「新憲法草案」を基に作成されたものであり、改憲要件を緩和することにねらいがあるのです。しかも、公務員や教員の運動を制限し、基本的人権にも制限を加えています。改憲手続き法案が成立するなら、政府与党は、緩和された改憲要件をもとに、個人の自由と権利を否定し制限する改憲をくりかえすにちがいありません。そして、国民に責任と義務を強制する規範を押し付ける改憲をくりかえすにちがいありません。「改憲手続き法案」を成立させてはなりません。

※ 憲法九六条 @ この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、 これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際に行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 

改悪教育基本法体制はまだできあがってはいない!
 「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」で中心となって活動された大内さんからメールが届きました。墨田教組夏の合宿に来ていただき、親しく教育基本法についてあるいは公教育の役割についてお教えいただいたのがつい昨日のように思い出されます。しかし、時に利あらず。教育基本法は改悪され、「国家を形成する個人」ではなく、まったく別の「国家のための個人」が国家によって形成しようとされています。
 焦燥感・無力感・敗北感をもつのは当然です。しかしそこに安んじてはいられない、なぜならば権力の意図するところは、教育現場の労働者に、焦りと無力と敗北を押しつけようとするものだから・・・・。大内さんのメールを読むとそこに安んじていてはいけないと思わされます。紹介いたします。


「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の
活動に参加されたすべての皆さんへ
                2007/03/18 大内裕和



 2004年4月24日以来、約2年半以上、2003年夏の名古屋合宿からですと約3年半の間、皆さんには大変お世話になりました。「呼びかけ人」という役割は、まだ30代半ばで研究者としても「かけ出し」だった当時の私にとっては、とてつもない「大役」でしたが、他の呼びかけ人の皆さん(小森陽一さん、高橋哲哉さん、三宅晶子さん)と、八尋麻子さん、中村元彦さんをはじめとする事務局の皆さんに助けられて、何とか最後までやりとげることができました。皆さんに心から感謝しています。

 私の運動は2002年の夏、愛媛の公立六年一貫中学で「つくる会」教科書が採択され、秋に中央教育審議会の中間報告を読んで教育基本法改悪の内容を知り、これを国会で通されたら「もう間に合わない」という切羽詰まった感覚からスタートしました。2002年12月に白澤社から教育基本法「改正」問題について著書を書くことを依頼され、それから必死で執筆を進めました。それまで教育基本法について一度も文章を書いたことがありませんでしたから、教育研究者としてはとても大胆な試みでした。でも「何とかしなければ」という気持ちでした。
 2003年6月に『教育基本法改正論批判』を出した前後から、私は教育基本法改悪反対の講演を行うようになりました。その過程で8月の市民運動が企画した名古屋合宿の「呼びかけ人」を引き受けてほしいという話がありました。私はともに運動に参加してくれる協力者を心から求めていましたから、二つ返事で引き受けました。この合宿で、教育基本法改悪反対に熱意をもつ全国の人々と知り合うことができ、そして「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」スタートのきっかけとなった2003年12月23日の「教育基本法改悪反対!12・23全国集会」を開催することが決まったのです。
 3年半の間に私は本当に多くのことを学ばせていただきました。改悪反対運動のために全国各地を講演でまわることになりましたが、現在の教育現場がいかに厳しい状況にあるのかを直接知ることができました。そのなかでも現場を何とかしようと苦闘している多数の教職員、保護者、市民がいるのを知ることができたことは、とても貴重な経験でした。多くの尊敬と信頼のできる皆さんと出会えたことは、私にとってかけがえのない財産です。
 運動のなかで、私はその方たちにどれだけ励まされたか知れません。講演や集会で私は、現場で苦闘している皆さんを応援することを最も意識して発言を続けてきました。
 「心の底から訴えた言葉は相手に伝わる」ということをこの運動を通して何度も経験できたことは、言論活動を仕事の一つにしている私にとって、今後も大きな意味をもつことになると思います。現場教職員と保護者、市民、子どもたちを励まし、教育現場にとって意味のある言葉を生み出していくことをこれからの自分の最大の課題として取り組むつもりです。
 残念ながら教育基本法は改悪されてしまいましたが、昨年の12・15国会前集会や12・22のメッセージでも述べましたように、闘いはこれからです。「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の運動を通してつくられてきた
 教職員組合、市民運動など各地のネットワークを生かしていくことが重要です。
 安倍政権の狙いは、まずは改悪教育基本法の実体化であり、その次にはこの通常国会で「改憲手続き法」がすでに激しい攻防に入っていることからもわかるように、間違いなく憲法の改悪でしょう。この流れを阻止する闘いに、私も自分なりに今後も関わっていくつもりです。
 2007年1月24日に出された教育再生会議第一次報告をもとに、改悪教育基本法を実体化させるための教育関連三法案が、3月中にも国会に提出されると報道されています。
 まずはこの関連法案との闘いが重要です。
 私は『現代思想』2007年4月号(3月27日発売)で、教育基本法改悪、全国学力テストなど近年の教育改革、そして教育再生会議などについてジャーナリストの斎藤貴男さんと対談しました。また教育再生会議第一次報告の内容を全般にわたって分析し、批判した「格差と排除の教育マニュアル―教育再生会議第一次報告批判」という文章を書きました。
 読んでいただき、教育関連三法案成立阻止の運動にぜひ生かしていただければと思います。

 改悪教育基本法の実体化→憲法改悪の流れを阻止するためには、皆さんと力を合わせることが今後も必要です。これまで3年半の間、本当にありがとうございました。そして今後もどうぞよろしくお願いいたします。



週刊墨教組 No.1514    2007.1.30

墨田区教委二〇〇七年度予算案における主要事業

 小中学校への学校支援指導員、年間通して配置
 校舎・体育館の耐震強化、アスベストの撤去
 特別教室等の冷房化
 中学校七校、六十周年合同式典 
 小学校にもスクールカウンセラーの配置(週四時間)
 幼小中一貫教育の研究
 「若手教員指導支援室」の設置
 学力向上「新すみだプラン」の推進、増額


 墨田区の二〇〇七年度予算案における教育委員会の主要事業に関し、組合は、一月二九日、区教委から説明を受け、若干の意見交換を行いました。主要事業に関するプレス発表部分は資料の通りです。墨田教組が要求したものが部分的に予算化されているものの、事業の中止を強く求めた「学力向上『新すみだプラン』」に対する増額など事業の具体化にあたり、今後、監視と是正を求めるものも予算化されました。

小中学校への学校支援指導員、
       年間通して配置 
 昨年度事業化された「学校支援指導員」の配置が、十一ヶ月(八月を除く)に拡大されています。人件費の増額が難しい中、事業の拡大がなされています。指導員の確保や年間を通した活用計画など年度内に準備が必要となります。

アスベスト完全撤去
 アスベストにボール等の跡がついている所もあり、アスベストが損傷、劣化し、児童生徒・職員がアスベストを吸い込む危険な状況にあります。アスベストは「時限爆弾」と称されるように、吸い込んでから一五〜二〇年後に肺ガンや悪性中被腫等を発病する恐れがあります。飛散防止処置・撤去・撤去後の処置と作業にはかなりの日数がかかります。児童と職員の安全を確保することを第一に、各職場でアスベストを吸い込まない対応策を考えることが大切です。
 三寺小(廊下)、業平小(校庭トイレ)、東吾嬬小(給食室)、立花小(階段)、小梅小(階段 基準変更により新規)、本中(階段)、立花中(給食室)、墨田中(体育館への階段)、二中(給食室)

七カ年計画で校舎・体育館の耐震強化
 今年度は、二葉小の校舎、二寺小の校舎・体育館。寺中の校舎

中学校七校、六十周年合同式典
 組合は、周年行事の簡素化を要求し続けてきました。区長を含めた来賓等の式典への参加回数減だけに終わらせず、合同式典を機会に周年行事の簡素化が図られることを要求します。

特別教室の冷房化
 視聴覚室、図工室、美術室、家庭科室、理科室、少人数教室、技術科室

学力向上「新すみだプラン」の推進、増額
 国の「学力テスト」が予算化された中、都教委は「学力テスト」を止め、「意識調査」だけを実施することに変更しています。しかし、墨田区教委は、予算を増額し、事業の拡大を図っています。その拡大内容は「学習カルテの作成」となっています。詳細は未定ですが、個々の児童・生徒の何年間の「テスト」結果を「個人票」とするものと考えられます。「個人票」が更なる「学力」偏重に向かうことは明らかです。また、児童・生徒ひとりひとりの「学力データー」を業者が取得することになり、個人情報保護の面からも問題です。

小学校校庭の芝生化
 校庭の芝生化には課題があります。例えば、芝生への犬・猫等侵入防止対策。糞があれば除去と消毒が必要。芝生の維持管理のための地域の協力等。都は〇九年度までに全都の小・中学校の三〇%を芝生化する方針。〇七年度は七〇校を予算化。墨田は一校。様々なメンテナンスを保障させることを受け入れの条件にすべきです。

「若手教員指導支援室」の設置
 子どもと接し、互いの実践で同僚と意見交換できること。研究の自由。これらのことが保障されることが、教員が育つ条件と考えています。若手教員を学校現場から引き離し、「官製研修」浸けにすることには反対です。新採での退職、若手教員の病気休暇の増加を墨田区委は直視すべきです。

1月29日付プレス発表 墨田区教育委員会関係予算案

単位:千円
(教育委員会) 本年度 前年度 増減
1 隅田小学校の改築
  校舎改築工事(19〜20年度)
473,533 13,390 339,630
2 両国中学校の改築
  既存校舎を取壊し、外構整備
244,610 1,679,669 937,569
3 梅若小学校屋内運動場の改築
  実施設計、既存校舎解体
350,820 11,780 339,040
4 小中学校のトイレの洋式化
   各階トイレの洋式化
42,750 70,110 △ 27,360
5 特別教室の冷房化 (新) 66,103 0 66,103
6 小学校校庭の芝生化
小学校1校(北部地区)
34,500 0 34,500
7 旧学校施設の開放 44,667 47,098 △ 2,431
8 校舎・屋内運動場の耐震強化
   小学校 校舎2校 屋内運動場1校
   中学校 校舎1校
454,700 13,000 441,700
9 小中学校のアスベスト除去
  小学校5校、中学校4校
78,200 56,300 21,900
10 区立学校適正配置の推進
  第一吾嬬小学校と立花小学校の統合 (新)
  新統合実施計画の策定
72,938 1,047 71,891
11 区立中学校開校60周年合同記念式典の開催 (新) 1,000 0 1,000
12 新すみだ教育指針の策定 522 280 242
13 幼小中一貫教育の研究
  学習指導資料の作成
1,590 400 1,190
14 学力向上「新すみだプラン」の推進  (拡)
  学習カルテの作成
42,585 34,959 7,625
15 若手教員の指導・支援 (新)
  「若手教員指導支援室」の設置
3,918 0 3,918
16 通級型特別支援学級の設置 (新)
  小学校1校(柳島小学校)
18,436 0 18,436
17 全幼稚園・小中学校への(学校)支援指導員の配置 (拡) 80,101 35,500 19,756
18 外国籍等児童・生徒の支援 (新) 17,800 0 17,800
19 いじめ・不登校防止対策 (拡)
  「いじめ安心サポート室」の設置
34,382 14,626 19,756
20 コンピューター教育の推進 255,345 275,242 △ 19,897
21 児童・生徒のための食育推進 (新)
  食育講演会・講習会の実施
2,200 0 2,200
22 認定こども園(幼保総合施設)の検討 (新) 2,300 0 2,300
23 いきいきスクール(仮称)〜放課後子ども教室〜の実施 (新)
  小学校1校(モデル実施)
3,600 0 3,600
24 すみだ地域学セミナーの開催 (新) 4,500 0 4,500
25 図書館と学校図書館の連携推進 (拡)
  小・中学校10校
22,181 4,140 18,041
26 生涯学習センターの管理運営等
  教育相談、視聴覚ライブラリー、科学教室
  NPO法人「すみだ学習ガーデン」事業費
367,675 364,117 3,558
27 PFI手法による総合体育館の整備
  墨田区体育館を改築(22年4月オープン予定)
11,781 15,175 △ 3,394
28 総合型地域スポーツクラブの設立支援
  両国中学校地区(19年4月設立予定)
3,856 3,617 239
29 屋内プール体育館の補修 35,000 0 35,000




週刊墨教組 No.1513    2007.1.19

二〇〇七年度文科省予算案の概要

 教育基本法が改悪され、政治が教育に露骨に介入してくることが予想されます。財務省は、二〇〇七年度政府予算について原案内示をしました。また、都教育庁も来年度事業案を明らかにしています(都については次号で詳述します)。国会、都議会状況から判断すれば、それぞれの原案が可決されることになるでしょう。参議院選や統一選、知事選を意識した事業も予算化されています。 その具体化にあたり、組合は監視とささやかであっても抗っていきます。

教員給与財源の縮減は〇八年度に検討
 閣議決定されている「基本方針二〇〇六」では、教員の給与は一般公務員より高いとし、〇七〜十一年度までの間に給与月額の二.七六%(国庫負担分約四三〇億円、地方交付税八六〇億円)を削減すると記しています。予算案でその具体化を記していないことについて、財務省は、「人材確保法による教員給与の優遇分につき、二.七六%の縮減のみならず優遇分全体(七.二六%)を、教員給与のメリハリ付けと合わせ、〇八年度に一括して見直すことを大臣間で合意」と説明。賃下げと成績主義の強化を示唆しました。対国に対する賃金闘争の大きな課題となります。

全国学力調査六六億円
 〇七年四月に全国の小6・中3を対象とした「学力調査」のための経費として新規事業として六六億円を予算化しています。国が露骨に各学校を「序列化」し、各学校に介入しようとしているのです。改悪教育基本法の具体化の第一番でしょう。すでに実施されている区・都の「学力調査」は「序列化」と「学力」偏重等によるマイナスとして学校教育に現れています。
 「学力調査」は民間委託で実施されます。児童・生徒の個々の「学力」情報を企業が得るのです。「○○ゼミ」の形で勧誘され、さらなる「儲けの場」として学校教育が利用される恐れが多々生じるのです。墨田の子どもの「学力」情報を、三重に企業が得ていると言えます。「学力調査」は、企業にとって、個人情報の取得という、うま味のある事業なのです。
 「学力向上」なる美辞麗句はカモフラージュにすぎません。こうした視点から、組合は区教委に「学力調査」の中止と「国の協力要請」を断るように申し入れをしました。

放課後子ども教室設置五〇億円
 全国の小学校一万箇所を対象に、厚労省の放課後児童クラブと一本化し、余裕教室を活用した子どもの居場所や学びの場を設置するとしています。全国的に見れば、「学童クラブ」が普及していないことから、同様のものを小学校に設置することになるのでしょう。主旨からすれば、「生涯学習」の位置付けになるとことから、設置される学校では、当然教員はノータッチになります。都も約五億六千万円計上していることから、墨田でも設置される小学校がでるかもしれません。

その他
◇定数措置、特別支援教育・食育指導三年間で一五一〇人措置
◇いじめ問題対策六二億円
◇理数教育の充実七九億円
◇学校評価の推進八億円
〇六補正予算
◇校舎の耐震化対策
 小中学校一一三六億円 
◇いじめ対策(スクールカウンセラーの配置)三一億円









労働時間の短縮を求める

   勤務時間の改悪を許すな!
   休憩六〇分、昼にとれない

 休憩・休息時間の見直しに係わる人事院規則が「改正」され、二〇〇六年四月から、国家公務員の勤務時間では、休息時間が廃止され、休憩時間が六〇分とされた。総務省は、地方公務員法二四条五項「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるにあたっては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」を根拠に、各自治体に同様の改定実施するように指導した。これを受け、都当局は「休息時間の廃止及び休憩時間の見直し」を組合に提案した。〇六年賃金確定闘争の中で、この提案については「速やかに解決できるよう引き続き協議」でまとまった。都は、勤務時間の変更を、二〇〇七年度四月から実施するには、二月都議会で改定しなければならず、時間がないとして組合に解決を強く求めています。

拘束時間の一五分延長に反対
 現行休息時間は、午前・午後に各一五分、休憩時間は四五分、合計七五分となっています。提案されている休息時間の廃止と休憩時間六〇分では、一五分の差が生じます。結果的に拘束時間が一五分延長されるおそれがあります。現在、勤務時間が、八時一五分始業〜一七時退勤となっている職場は、休憩時間が六〇分に拡大されるとすると、退勤が一七時一五分となります。
 都の教育関係七単組は、勤務時間の短縮を求めて署名のとりくみをしています。この要求の根拠は、民間との均衡です。都区人事委員会は、都の民間事業所の所定労働時間に関し、都の公務員の勤務時間より週で一時間三〇分、一日あたり一五分短いとの調査結果を明らかにしています。都は、公民均衡の観点から、私たちの労働時間の短縮をすべきです。一五分の拘束時間延長は言語道断であり到底認められません。

本来、休憩時間は昼に割り振るもの
 民間も含め、多くの職場では、勤務時間の中間にあたる昼に休憩時間を設けています。これは、長時間継続勤務による健康被害や疲れによる職務能率の低下を避けるためです。学校職場では休憩時間の趣旨を生かした形で活用できていません。
 児童・生徒が学校にいる間は、休息・休憩が事実上取得できない現場の実態があります。都当局は、こうした学校職場の改善を先ず行うべきです。

第1回拡大委員会
1.日時  2月9日 (金) P.5:30〜
2.場所 墨田教組会議室
3.議題 
 @人事考課制度に反対するとりくみ
 A反戦平和教育について
 B2007年度執行委員定数について
 C教基法改悪後の闘いについて
 D2007年度区予算について  
 Eその他(東京教組役員選挙、人事異動について等)

改悪教育基本法の実体化を許すな!
    日教組東京4単組 1.29集会

                      
都高教 都障労組
                          
     都校職組 東京教組

 教育基本法「改正」案の成立は許してしまいましたが、わたしたちの闘いはこれで終わったわけではありません。改悪教育基本法の実体化である関連法の整備を許さないとりくみを強めていきます。
 教基法改悪反対の大きな流れを作ってきた大内裕和さんの講演があります。墨田教組も、教基法の改悪後の闘いを創り出してゆく今、決意を新たにしてこの集会に参加します。できるだけ多くの方の参加を呼びかけます。

1、日時 1月29日(月) 午後6時00分〜8時00分
2、場所 日本教育会館8F 第2会議室(地下鉄神保町下車)
3、内容 講演 大内裕和さん
       「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」呼びかけ人の一人

週刊墨教組 No.1512    2007.1.1

茨木のり子の詩を読みかえす

 茨木のり子が地上から去った。
 あとには、個人の尊厳がひかりかがやく詩が残された。
 いまひとたび、彼女の詩は読みかえされなければならない。

 詩集『倚りかからず』のなかに、つぎの詩がある。


   鄙ぶりの唄

それぞれの土から
陽炎のように
ふっと匂い立った旋律がある
愛されてひとびとに
永くうたいつがれてきた民謡がある
なぜ国歌など
ものものしくうたう必要がありま  しょう
おおかたは侵略の血でよごれ
腹黒の過去を隠しもちながら
口を拭って起立して
直立不動で歌わなければならないか
聞かなければならないか
   私は立たない 坐っています

演奏なくてはさみしい時は
民謡こそがふさわしい
さくらさくら
草競馬
アビニョンの橋で
ヴォルガの舟唄
アリラン峠
ブンガワンソロ
それぞれの山や河が薫りたち
野に風は渡ってゆくでしょう
それならいっしょにハモります

  ちょいと出ました三角野郎が
八木節もいいな
やけのやんぱち 鄙ぶりの唄
われらのリズムにぴったしで


 初出は、「櫂 号」(一九九四年十月)である。
 「櫂」は、川崎洋が茨木とはじめた同人詩誌で、大岡信や谷川俊太郎らが参加していた。
 この詩集は、書き下ろしの十二篇と、「櫂」に掲載された旧作三篇とで編まれている。
 詩集『倚りかからず』は、一九九九年十月に発行された。八月には、国旗国歌法が成立していた。
 「鄙ぶりの唄」を詩集に採ることで、詩人の社会的責任を自覚していた茨木は、つつましくもくきやかに時代への抵抗を示したのだった。

   *

 『詩ってなんだろう』という「詩の見取り図を書」いた本が、二〇〇一年十月に出版されている。
 「たんか」という項には、つぎの三首を「選び、配列し」ている。


あきののに さきたるはなを 
ゆびおりて かきかぞうれば 
ななくさのはな    山上憶良

わがきみは ちよにやちよに 
さざれいしの いわおとなりて 
こけのむすまで

かすみたつ ながきはるひを 
こどもらと てまりつきつつ 
このひくらしつ      良寛


 そして、つぎのような考え方を述べている。


たんかは、はいくよりながい。五、七、五、七、七のおとのくみあわせ。
こえにだしてよんでみると、いみはよくわからなくても、きもちがいい。
たんかも、はいくもにほんにむかしからある、詩のかたち。


 言葉と詩史についての無知・無恥と権力になびくずるがしこい居直り。
 著者は、谷川俊太郎である。


  *

 中田英寿は、自由な風にふかれて旅をつづけている。
 かつて中田は、「君が代はダサい」といって、世間から、したたかにたたかれたことがあった。
 それ以後の中田は、無表情に「君が代」を口パクでやりすごすようになった。中田の深い屈辱は、映像からも読みとれた。
 「君が代」をめぐる情況は、すでにファシズムそのものだったのである。
 二〇〇二年十月、その中田を、書き下ろしの詩で、毅然として讃えたのは、茨木のり子だった。



  球を蹴る人
    ーN・Hにー

二〇〇二年 ワールドカップのあと
二十五歳の青年はインタビューに答え て言った
「この頃のサッカーは商業主義になりすぎてしまった
 こどもの頃のように無心にサッカーをしてみたい」
的を射た言葉は
シュートを決められた一瞬のように
こちらのゴールネットを大きく揺らした

こどもの頃のサッカーと言われて
不意に甲斐の国 韮崎高校の校庭が
ふわりと目に浮かぶ
自分の言葉を持っている人はいい
まっすぐに物言う若者が居るのはいい
それはすでに
彼が二十一歳の時にも放たれていた

「君が代はダサいから歌わない
試合の前に歌うと戦意が削れる」
〈ダサい〉がこれほどきっかりと嵌った 例を他に知らない
やたら国歌の流れるワールドカップで
私もずいぶん耳を澄ましたけれど
どの国も似たりよったりで
まっことダサかったねえ
日々に強くなりまさる
世界の民族主義の過剰
彼はそれをも衝いていた

球を蹴る人は
静かに 的確に
言葉を蹴る人でもあった