「土曜授業」拡大阻止!
縮小・廃止をめざす!


週刊墨教組 No.1709 2013.4.8

新執行部確立! 踏みとどまって新たな転換点にしよう!
墨田教組第68回定期総会を成功させよう!!
 4月24日(水) 3時より
 すみだ女性センター第3会議室


 学校、教職員をめぐる情勢は、日々厳しくなり、復古安倍政権復活により、さらに困難な状況が予想されます。差別賃金・ボーナスによる教職員の分断、「違憲教育基本法」新指導要領を元としたアナクロ=子どもたちの学びを分断する新自由主義教育、土曜授業復活が目論まれています。
 これに、抗すべき教職員は、業績評価による「査定昇給」や職務職階制によって分断され、多忙化により社会的課題にかかわる時間もなく、学校と子どもを守るべき教員の協力・共働は、危機にさらされています。
 それでも私たちは、私たちの良心と労働と生活を守り、子どもたちが生き生きと活動できる教育を創造する組合を目指して、下記により、定期総会を行います。全ての組合員が参加して、第68回定期総会を成功させるように、確実なとりくみをお願いします。
 総会は過半数の参加により成立します。ぜひ早目に成立するよう定時参加をお願いします。
 残念ながら何年も前から対区労使交渉以外の組合活動は時間内に行えなくなりました。総会は「有給休暇」で参加していただきます。その場合校長が、有給休暇の使用目的を聞いたり「組合活動なら取らせない」などということはできません。そのような事例がありましたら直ちに組合にお知らせください。

 議案書の一部は3月12日(金)までに各職場にお送りします。ご検討ください。


「フクシマの絶望」を打ち破るものは
     忘れないこと・あきらめないこと
    現実を見据えること
 フクシマは訴える

苦悩するフクシマ
 ハイロアクション福島の武藤類子さんは二〇一一年九月一九日さようなら原発五万人集会で、次のように訴えました。

すばやく張りめぐらされた安全キャンペーンと不安のはざまで、引き裂かれていく人と人とのつながり。
地域で、職場で、学校で、家庭の中で、どれだけの人々が悩み悲しんだことでしょう。 
毎日、毎日、否応無くせまられる決断。
逃げる、逃げない?
食べる、食べない?
洗濯物を外に干す、干さない?
子どもにマスクをさせる、させない?
畑をたがやす、たがやさない?
なにかに物申す、だまる?
様々な苦渋の選択がありました。

 二年経ってもこの裂け目は癒されていません。いや、もっとひどく深刻になっているように私には思えます。

まるでなかったかのように
・・・忘れさせる者
 苦悩のフクシマでできることは、目をつむること、見ないようにすること、考えないようにすること・・・だけだとも言われます。そうすれば「直ちに影響はない」のだそうです。
 オリンピックで復興だ…と言えば互いに向き合うことなく、私たちはフクシマを忘れて、「未来」を見つめていられます。福島第二原発を廃炉にせよという県の意思に安倍首相は「県民・地域住民の理解がなければ再開できない」と廃炉を棚上げにしました。有耶無耶のうちにいずれ窮境にあるフクシマに金にものを言わせて「理解」させようと考えていることは見え見えです。彼が取り戻したい「強い日本」とは原発を五四基も作り続けてきた日本です。
 「まるでなかったかのように」させる政府・マスコミ・国民の圧力はフクシマに沈黙を強います。私たちに忘却を命じます。

現実を直視せよ
 しかし、現実は違います。決して三・一一以前の福島ではありません。会場あづま総合体育館は福島駅の西、吾妻連峰に向かう一〇kmほどのところにあります。集会後、公園を流れる阿武隈川支流荒川に沿って下っていきました。線量計を出すと、きれいな芝生でも土手でも何の変哲もない道路でも、0.3μSv/hを超えてしまいます。芝生の上では親子が遊んでいました。何の変哲もない道は何の変哲もない人が歩いていました。あの日、この吾妻安達太良連峰の山腹を雨雲は北から南に向かって雨と放射性物質を落としながら進んでいったのです。彼らは住む地を汚染させられ、沈黙を強いられ、そして忘れ去られています。それが現実です。

フクシマの怒り
 南相馬市小高区に住んでいた高校生高野さんは、「この三年間、学び舎も仮住まいを転々とし、今未来が見えないのです」 「もっとも怖いのは福島が忘れられ、また同じような事故が起こること。放射線量を計るモニタリングポストが町に設置されるなど、自分たちが住んでいるのは異常な世界。その異常な環境に慣れてしまうことがないように、事実の発信に努めていきたい。」と語りました。
 県森林組合連合会鈴木さんは、「 『どうせ』『やっぱり』と国は私たちをあきらめさせようとする。そんな国の中で信念を貫いて生きることは困難なことだが、この事故を経験した私たち福島県民だからこそそれができる。私たちが作ったこの国を、私たちは変えることができる。」と力強く訴えました。それは、「森林は負の遺産になった」という絶望と「将来、福島出身というだけで差別される人、障害を持って生まれてきた子どもたち」の可能性(今のまま私たちがいたずらに時を過ごせば確実にそうなってしまうでしょう)を踏まえた決意です。

集会は訴える
 呼びかけ人13人の一人、清水修二福島大教授は「福島県内では避難するかしないかで人心分断が生まれ、今また帰還するかしないかで分断が生まれている」と県民の裂け目を認めたうえで、「福島では県議会自民党から共産党まで一致して福島原発の廃炉を決議し、知事も原発のない福島県を目指すと表明した」事実を県民の結集軸にしようと語りました。「異様なことを異様なこととして認識し、斥ける=過去に遡って修復する」、「あきらめない、変える」の第一歩は「福島原発廃炉」への集中です。

共通する我々
 私たちもまたフクシマと同じ状況ではないでしょうか。線量は事故前は0.07でしたが今は0.1と確実に上昇しています。実はどうなるかわからない将来に怯えているのです(低線量被曝なんて科学的通説なんてないのですから。今が臨床実験の最中なのです。「実験動物」が確たる知識を持っているわけがありません)。だからこそ黙して語らず事故など無かったかのように忘れようとしています。
 突破口の一つはこれです。「原発のない福島を実現するために心を一つにしてがんばりましょう」という端的な集会の訴えに応えることです。
 「東北は長く中央に虐げられてきたが、豊かな自然にはぐくまれた自由さも持ち合わせてきた。これ以上私たちはバラバラにされない、尊厳を奪われない、つないだ手を離さないの3つを心において歩いていきましょう」武藤類子さんが閉会宣言で言った「私たち」の中に私やあなたは入るでしょうか? それとも、黙し、東電・政府の「何もなかったように」に黙々と従いフクシマを見ないために目をあげない人間、次の世代に警鐘を鳴らさない人間になるのでしょうか。
 私たちの置かれた現実を直視しましょう。あきらめず、原発廃炉を実現していきましょう。その途を職場・教室で切り拓いていきましょう。

呼びかけ人吉岡棟憲さん(曹洞宗・円通寺住職)
 人間らしく生きるためには人権・平和・環境が必要だが、原発事故は美しい福島を破壊し人々を引き裂いた。国・東電は責任をとろうともせず事故の風化を狙っているが決して認められない

清水修二さん
「福島県内では避難するかしないかで人心分断が生まれ、今また帰還するかしないかで分断が生まれている。しかし、福島では県議会自民党から共産党まで一致して福島原発の廃炉を決議し、知事も原発のない福島県を目指すと表明した。こんな県は福島だけであり、県内の原発を再び動かすという選択肢はない。先日、東京の集会に参加する機会があったが、東京でも原発の電気は使いたくないという声が出ているのは大きな変化。脱原発は民意であり、原発を止めることはできる」

篠木弘さん(JAふたば代表理事専務)
 警戒区域では、牛や豚が鳴き声を上げながらさ迷っていた。この残酷な光景は忘れない。東電は私たちを無視しているかのようだ。多くの福島県民が動かなければ物事は解決できなかった。これまでも私たち県民が森を守ってきた。収束もしていない福島原発で懸命に働く作業員もまた被災者であることを決して忘れてはならない。復興と言われているが、真の復興とは原発をゼロにすることから始まる。

鈴木邦彦さん(県森林組合連合会)
 私たちは森林から恵みを受け、森林を未来に受け継いでいく財産だと思っていたが3.11でそれは根本的に変化した。森林の除染は、やりすぎると山崩れのおそれがあるとして除染計画もできず、森林は負の遺産になった。山で生きていきたいという私たちの希望を奪った東電にそのことを認識してほしい。
 こんな大きな犠牲を払ってまで追い求める豊かさとは何か。コンセントにプラグをつなげば電気を使える便利さの向こうに犠牲がある。私たちは電力会社にだまされてきたことを知ったが、だまされていると知りつつ豊かな生活を捨てられないのも人間だ。しかし、将来、福島出身というだけで差別される人、障害を持って生まれてきた子どもたちと出会ったときに、それでも今までの豊かな生活を続けたいといえるのか、考えなければならない。
 「どうせ」「やっぱり」と国は私たちをあきらめさせようとする。そんな国の中で信念を貫いて生きることは困難なことだが、この事故を経験した私たち福島県民だからこそそれができる。私たちが作ったこの国を、私たちは変えることができる。


発言は「報告:『原発のない福島を!県民大集会』に7000人(レイバーネット日本)」より
http://www.labornetjp.org/news/2013/0323hokoku


歓送迎会へのお誘い
 2013年度が始まり、みなさん、忙しくお過ごしのことと思います。人がかわり時が移ってもってもかえてはならないものがあります。なにがなんでも変えなくてはならないものもあります。職場の闘いが墨田区教職員組合の闘いです。
 そのような日々を過ごした私たちの仲間がこの4月に、退職・区外転勤という形で墨田から去っていきました。ごくろうさまでした。私たちはみなさんが今この墨田にいらっしゃらないことを深く悲しみます。そして、心から「ごくろうさま」ともうしあげたい。また、新たに墨田区にいらした方にはじっくりとお話をしたい、共にこの墨田で闘いを続けていただきたい・・・。
 そんな思いで「歓送迎会」を行います。各職場・部での会を予定されているかもしれませんが、どうぞこの会に合流してください。
 参加される方は、担当執行委員・墨田教組事務局に4月16日までにご連絡ください。

墨田区教職員組合歓送迎会
 とき 4月24日(水)
総会後  5時より
 ところ 曳舟


週刊墨教組 No.1708          2013.4.1

2013年度人事異動情報


週刊墨教組 No.1707          2013.3.25

原発廃炉を訴えるフクシマに
  呼応する墨田の教育・運動を!
 何年も何十年もかかる作業だ
    じっくりとりくもう!!

フクシマは分裂させられた
 大量の被曝があり、県知事が原発は二度と稼働させないと宣言したその時に、私たちは何をしただろうか。あの時、もっと大きく、もっと広く「そうだ!」と声をあげていれば、今の福島(分断された福島)はなかっただろう。フクシマは脱原発・反原発の「聖地」になったろう。
 しかし、私たちの反原発・脱原発の声・動きは小さすぎたのだ。原発推進派による巻き返しは成功した。
 この街には、重苦しい沈黙がただよった。住み続けることと被曝の危険から逃れることは原発が再稼働され原発が認められる限り解決されないジレンマとなったのだ。
 被害を訴えることは「風評」を広げることだと難じられ、農産物を作って生活することは「放射能の拡散」と糾される。そして、信じがたい高線量の街に人々は毎日を生きている。

フクシマは再び訴える
 フクシマは苦しい胸の内を語った。フクシマが分裂させられたことも語った。将来子どもたちが「差別」されるかもしれないとまで語った。
 フクシマの悲劇をつくったのが都市の電化生活だとすればフクシマを「救わなければならない」のもまた電化生活を味わった都市だ。あなた(わたし)だ。
 二十万人が百分の一?!などと揶揄されている金曜官邸前国会周辺抗議行動だってないよりましだ。あなた(わたし)が思い立てばすぐに参加できる場所だ。東京はフクシマでよりい声をあげやすいだろう。フクシマでより表現しやすいだろう。それなのになぜ声をあげないのか。
 あなた(わたし)に福島県民の声(宣言)が届いたならば(マスコミは届けない)、反原発の意思を表明しよう。フクシマの声に応える教育をつくろう。


集会宣言
 歴史的な地震・津波・原発事故の大災害から、早や2年の月日が流れました。地震と津波による2万に近い犠牲者の御霊(みたま)に、あらためて哀悼の意をささげます。
 一方、世界史に残る原発事故が引き起こした大規模な被害は、福島県にとどまらず東日本の広い範囲に及んだことが明らかになっています。そして計り知れない犠牲と損失を生んでいるこの災害は、今もなお進行中であり、いつ終息するとも知れない深刻な状況が続いています。         
 原発事故がまだ終わっていないということは、私たち福島県民にとっては疑いようのない現実です。けれども国民一般の意識の中で、福島原発炎害はすでに過去の出来事になりつつあるのではないかとの懸念を、私たちは抱かざるを得ません。
「放射能では誰も死んでいない」というのは、正しくありません。避難の途中で、あるいは避難生活の中で命を落とした人は、自殺した人を含め、きわめて多数にのぼっています。福島県の「震災関連死」の数が突出して多く、1,300人にも及んでいるのは、紛れもなく、放射能による避難やストレスが原因です。
 県民の多くは依然として低線量放射線被ばくへの不安から解放されていません。政府の指示によって避難を余儀なくされた人、および自主的に避難した人の数は県内外に合計16万人。この数字はなかなか減る気配がありません。2年に及ぶ避難生活は、肉体的にも精神的にも多くの人々を追いつめています。帰還の見通しが立たず移住という選択をせざるをえない人、あるいは故郷に帰る希望をもちつつも、それがいつになるか分からない状態の中で悩み、苦しんでいる人が何万人もいます。賠償金に依存した生活が長引くことによる弊害も出始めています。避難者と、避難先の住民の問で生まれている心理的な摩擦も無視できません。
 現在、膨大な国家予算を投入して復興に向けた事業が行われています。しかしこの2年間で、福島県は復興の足元を固め、再生の道を確実に歩み始めたかといえば、必ずしもそうは言えません。放射能汚染という現実が、どうしても復興の前途に立ちはだかります。生活の安全と産業再生のためには放射能の除染が必須ですが、その除染作業への信頼が揺らいでいます。除染廃棄物の中間貯蔵施設の立地選定も緒についたばかりです。
 しかしながら、前代未聞の諸因難に直面しつつも、福島県内の多くの個人、組織、団体は、懸命になって事態打開のために努力しています。被災した町村はそれぞれの復興計画を練り上げています。福島県と農協はコメの全量全袋検査を実施するなど、県内産農産物の信頼回復に全力を挙げています。至難と言われる森林の除染、そして林業の再生のため、森林組合は懸命な努力を重ねています。県内の漁業はいまだに操業自粛が続いていますが、試験操業をしながら再開の道を探っています。風評被害に苦しんでいる観光業もNHK大河ドラマを機に起死回生を囲っています。生協は「子ども保養プロジェクト」で放射線被ばくからのストレスを軽減するため活動しています。また被災し避難している住民自身やボランティアも頑張っています。ばらばらになった住民が相互に支えあい、仕事を起こし、コミュニティの絆を維持する活動が各地で立ち上がっています。
 福島県内のこうした因難な現状、そして県民の苦闘に対し、国の行政は、果たして真剣に目を向けていると言えるでしょうか。東京電力は賠償請求に真撃に対応し、加害責任者としての義務を果たしていると言えるでしょうか。また国の政治は、このような災害を招いた原子力事故を二度と起こさないという、使命感と決意に燃えていると言えるでしょうか。
 いま目の前にある生活上の苦境をどう粟り越えるかということもさることながら、いまここにある原発をどうするか、これこそ、私たち県民が考えずにおれない重大問題です。事故を起こし破壊に至った4基の原子炉は、今後起こりうる大地震に果たして耐えうるのか、いつ本当に安全な状態に落ち着くのか、それさえまだ分かっていません。事故現場ではきょうのこの日も、高い放射線を被ばくしながら、多くの労働者が作業に従事していることを、私たちは忘れてはなりません。
 そして問題は第一原発5・6号機、および第二原発の1−4号機の扱いです。県知事と県議会はともに、県内10基の原発すべての廃炉を求めています。これは多くの県民の気持ちを率直に反映したものです。しかし東京電力はこれを受け入れていないどころか、再稼働を当然の前提としているかのように、6基の原発の保守管理をすすめています。
 総選挙の結果、「原発いらない」の声は、国政には届きにくくなりました。けれども福島県民は、断じて「福島県の生き方」を譲るわけにはいきません。福島県と地元自治体は確かにかつて原発を誘致した経緯があります。原発の立地と運転による経済的利益があったのも事実です。しかし取り返しのつかない今回の大災害の中で、原発を抱え込むことのリスクが遠方もなく巨大であり、金銭的利益と天秤にかけることなど到底できないことを身をもって知りました。原発を誘致したのは間違いだったと、私たちは今はっきりと断言することができます。また全回に向けてそう声を上げることこそ、被災県としての使命ではないでしょうか。
「原発のない福島を!」「安心して暮らせる福島を!」これは福島県民の願いであり、心の叫びです。世界史の中で特別な位置におかれたというべき福島が、しっかりと再生に向けた道を歩むために、原発依存からの脱却=原発との訣別はまさに出発点であり、大前提でなければなりません。
 県内外に避難している県民のみなさん、避難せず踏みとどまっている県民のみなさん、役場ごと避難、あるいは避難者を受け入れている自治体の首長やスタッフのみなさん、さまざまな分野で悪戦苦闘している産業界のみなさん、ばらばらになった生徒たちの教育の行く末を案じている教育界のみなさん、そして子どもたちの健康被害や社会的差別を心配せずにおれないお父さんやお母さんたち、本当に「原発のない福島を」実現するために、お互いに支えあい、心を1つにして、頑張りましょう。
 2013年3月23日   原発のない福島を!県民大集会


週刊墨教組 No.1706          2013.3.21

これでは墨田の学校の「危機」は救えない
 二〇一三年度区予算・予算要求回答から

 週刊墨教組13・2・19でふれたように、来年度区予算が発表されました。3月1日、執行委員会は庶務課長から若干の説明を受けました。すでに校長会でも説明されており、みなさんすでにご存じのことと思います。来年度予算要求の回答も同時に出されました。
 番号や・付きの文がが二〇一三年度予算要求における組合側の要求で、←以下ゴシック体が区教委回答です。

教育委員会事務局関係予算 (  )は引用者補 単位:万円
事項 本年度 前年度 増減
1 学校施設の非構造部材点検調査【新規】
 (躯体以外の天井や壁、付属の棚などすべて)
612.0 0.0 612.0
2 屋内運動場等天井補強工事【新規】
 24年度最終補正額11237.9万円
 第三吾嬬小学校他3校・両国屋内プール
  (調査は桜堤中以外全校)
4107.6 0.0 4107.6
3 緑幼稚園の移築 25〜26年度建設工事等 16214.0 4500.0 11714.0
4 吾嬬第二中学校の改築【新規】 実施設計 6338.9 0.0 6338.9
5 トイレの改修 ドライ化 等
 錦糸小学校2期工事「北棟」
3187.6 11530.3 -8342.7
6 太陽光発電照明灯整備
 避難所に指定されている学校等に3か年で整備
 25年度 中学校10校(一中以外)
 (マンホールトイレ 
      中和・菊川・八広・立吾・三吾・文花中)
1680.0 6250.0 -4570.0
7 区立学校適正配置の推進
 吾嬬第一中学校・立花中学校の統合準備
  校舎改修整備等 26年4月統合予定
 統合新校桜堤中学校 25年4月開校
20781.5 186528.2 -165746.7
8 いじめ・不登校防止対策【拡充】
 スクールカウンセラーの増配置
 スクールソーシャルワーカー増配置
 教育心理検査の実施
 アドバイザーによる支援や助言
 (有識者会議の答申を受けて)
5547.2 2887.2 2660.0
9 幼小中一貫教育の推進【拡充】
 一貫教育巡回指導員の配置
  南・北各地域に1名ずつ配置(非常勤職員)
 中学校重点ブロックの指定
 (幼小中一貫教育フォーラム・研究推進ブロック)
2460.5 2656.5 -196.0
10 学力向上「新すみだプラン」の推進【拡充】 
 学校・家庭・地域の教育力の向上
 子どもたちの「確かな学力」育成
  放課後学習クラブ・長期休業中の学習クラブの実施
 (3か年計画 「夏休みすみだチャレンジ教室」をいくつかの学校で開く。地域人材・教育支援人材を育成し。スクールサポート NPO法人とも連携)
4528.6 5381.2 -852.6
11 東京大空襲・平和学習資料の作成【新規】
 東京大空襲体験画写真撮影委託
  東京大空襲体験画貸出し用キット作成
 東京大空襲体験インタビュー映像撮影・編集製作
  (担当は生涯学習課)
255.0 0.0 255.0
12 第68回国民体育大会の開催
 デモンストレーションとしてのスポーツ行事
  ラジオ体操、フットサル 9月29日
 本大会の実施
  ハンドボール大会 10月3日〜10月7日
6788.1 2007.4 4780.7
・放射性物質の測定・監視
 公園・児童遊園、保育園・幼稚園、小中学校等での
                            定期測定
 小中学校のプール測定、小中学校・保育園等の
                      給食食材定期測定
618.3


いじめ対策の心理主義
 スクールカウンセラーもアドバイザーも特に反対はしません。が、いじめ対策は起こる前に行うのが基本です。子どもたちのトラブル・軋轢は一つの社会だから当然あります。それをなくすわけにはいきません。しかし「うまく解決させる」ことはできます。それが育てるということでもあります。しかし、今、その条件は非常に厳しくなっています。時間のなさ・余裕のなさがじっくりこの問題を解決していこうとすることをむずかしくさせます。子どもも親も教員もです。
 あやまった「学力向上」もこれに拍車をかけます。個々人の「学力」が年1度の「学習状況調査」で測られ、「継続的に把握」される。一元化された価値の下では多様性は認められません。あえて「学力」という言葉を使うならば、モノ作りの技・手先の器用さ・アイディアの豊かさ・・・までも「学力」にふくめなければ、非常に薄っぺらな暗記主義に戻ってしまうでしょう。
 多様性を認めないところに「いじめ」は発生します。

困難を抱える子どもたちへ支援を
A 諸外国からの転入者・入学者の学習保障のために、実態を把握し、具体的な施策に対し予算措置を行うこと。
←実態把握に努め、必要な予算措置をしている。
・「日本語ができない児童・生徒に対する通訳介助」措置の期間は、教育的な配慮から、実態にあわせて措置すること。
←実態に合わせて派遣している。
・現在日本語加配校には“原則として 通訳介助はしない”とのことだが、加配校の現状を見た場合それは現実的ではない。必要なところに措置すべきである。
←実態に合わせて派遣している。
・保護者との意思疎通のため、通訳を区として確保すること。また、保護者宛文書を翻訳するシステムを区でつくること。
←保護者対応として、すみだ国際学習センターを通訳・翻訳業務の窓口として必要に応じて派遣、必要文書の翻訳等を行っている。
・日本語教育を必要としている児童・生徒は増え続けている。早急に小中学生日本語学級を設置すること。
←今後の検討課題とする。
 「実態に合わせて派遣している」と回答していますが、まったく十分ではありません。「国際都市墨田」をめざすなら、そこに暮らす子どもたちの国際性を十分に認め活かすべきです。
 また、インクルーシブ教育を実現するためにも支援員・介助員も必要です。労働条件を改善し、できれば正規職員で…と私たちは主張しましたが、もちろん断られました。しかし、「実態に合わせて派遣」することがあるのですから、たとえ「肢体不自由」児・生徒でなくても、必要であれば「派遣」するのでしょう。そうしないことには「いじめ」も「学級の荒れ」も「学力」も解決しません。。

学習状況調査は目的を達成!?
 私たちは(私たちだけは)8年間続いたベネッセ「丸投げ」学習状況調査=個人学習プロフィールの問題点を指摘し廃止を求めてきました
5.偏った「学力」重視の施策をやめること。予算化しないこと
@業者による「学習状況調査」は予算化しないこと。業者が個人のプライバシーを取得することになり、プライバシー保護の視点からも問題である。また、区教研各部会の「分析」も含めて、業者への情報収集協力につながる。業者の不手際については原因・対応を詳しく教職員に説明すること。
←児童・生徒の学習状況の把握と授業改善という調査の趣旨を踏まえ、実施する。なお、実施にあたっては、個人情報の管理を厳正に行っていく。また、調査にあたって必要な情報は適宜提供する。
A文科省による「学力テスト」は抽出であっても実施しないこと。
←25年度は悉皆(全校)で実施される。
B「教育改革」を助長するテスト結果の公表については、校長への相対的位置の示唆を含めて行わないこと。テストに由来する「風評」は区教委が責任をもって是正すること。
←結果の公表に当たっては、学校名を記載した一覧表示は行っていない。
C「個人学習プロフィール」はただちにやめること。
 たった一度のペーパーテストでは「学力」は測れず、それを積み重ねても誤った個人データを蓄積するだけである。教職員は児童生徒をこのように一面的にではなく全体的に見て指導するべきである。
 「昨年度と比べることはできない」ものを年次的に記載することは無意味である。
←児童・生徒一人ひとりに応じた、一貫性・連続性のある、きめ細かな指導に役立てるため、経年で調査結果を記録する本プロフィールを引き続き実施していく。

相対評価に反対する
 学習状況調査=個人学習プロフィールは「相対評価であること」が最大の売りでした。四分位などという統計用語が飛び交いました。要は順位付けです。そうすると子どもたちは自分の相対的な位置がわかり学習に励むというのです。競争社会にふさわしい発想です。かつて相対評価の評定配分に反する「オールA評価」をした教員が処分されるという事件がありました。今はありません。評価が「絶対評価」だからです。相対評価が大切とする当時の区教委は30年遅れだったのでしょうか? 先取りの「新〜」なのでしょうか?

経年観察ができるのか?
 「一貫性・連続性」を強調するから「個人学習プロフィール」はあるのでしょう。かつて一度だけ、前年の学習状況と並べて今年の学習状況が保護者に提示されてことがあります※1。しかし今では今年の分だけです。その理由は、ベネッセの都合で昨年度と比較できない問題に変わったからだというのです。そしてもっと可笑しいのは「昨年度と比較できなくても年次記録をする」(週刊墨教組2012.10.5)というものです。嗚呼…、学びの扉から情報が流れてきて自動的に判定し、要録成績から自動的に○△がつき、電子判子が押され我々が一切関知しなければいいのになあ…。これこそ「無駄な仕事は機械にさせる」「ICT化」の神髄!
 まして今年はどうやら委託業者が変わるらしいのです。どうして変わるのか、どこに変わるのか、どのような内容になるのか・・・については、新年度四月十五日説明会までに公表されるそうです。
 「個人学習プロフィール」という経年観察を目的にしたデータは、引き継がれるのでしょうか? それとも新たに始めるのでしょうか? 問題がかわっても前年度の比較ができないのに丸投げ業者がかわっても意味のある比較ができるのでしょうか? それとも比較できなくても「一貫性・連続性のあるきめ細かな指導に役立てるための経年調査結果を記録することは意味がある」のでしょうか? 
 とりあえず一言、通知表と要録、校内コミュニケーションでいいんじゃねえ!?

※1 私の記憶は「4年前に一度だけ」なのですが、二度だったという人もいます。三回あったよという方もいます。その時低学年だったのかな…とも思います。まあ、そんなものです。すみだ教育研究所に尋ねたら・・・・・、よく知らないとのことでした。まあ、そんなものです。

「体力向上」で休み時間をつぶさないで
D時間の無駄である「体力テスト」を行わないこと。不意打ちの「ランク付け」は児童生徒の心を大きく傷つけた。児童生徒一人ひとりに「ランク付けデータ」を配るのであれば、事前に希望をとること。体力向上を目差すならば、校庭の広さを含めて施設の改善を行い、魅力的な運動の条件を整備し、体を動かす時間的余裕を生み出すように区教委としても工夫すること。
←体力向上は重要な教育課題であり、その実態を客観的に把握するための「体力テスト」実施は必要であると考える。
 児童生徒への結果配布方法については、都が改善を図っている。

 「とのご乱心」以前の回答でよかったと正直思っています。ここで「休み時間を中心に毎日60分の体力向上」などと回答されたら、呼び水の責任は避けられません。2月末時点で、区には何の連絡も来ず、したがって何の対応も考えていないということでした。

きめ細かい放射線量測定は各校で
13 子どもたちの暮らすすべての場所の放射線量を測定すること。基準値を超える場合には速やかに放射性物質を子どもたちの生活する場所から除去すること。「天地返し」・「上下入替え」・「敷地の隅に置く」などは危険である。
 子どもたちの生活の在り方から、測定の基準値をすべて50 cm・5cm以下にすること。
  理科教育の面から中学校には最低学級数の放射線測定器配置の予算措置すること。
 また、放射線から身を守る教育を行うこと。そのために、小学校においても複数の測定器配置の予算措置し、継続して測定できるようにすること。
←必要に応じて対応している。施設管理者として学校で対応できるものは対応されたい。 処理は「基準に基づいて適切に対応している」
 予算措置は、「学校配布予算で対応されたい」
と素っ気ないものでした。
 喉元過ぎれば忘れてしまえるほどの軽い事態ではありませんか。この2年間墨田の子どもたちがそれまでの2〜3倍の線量の環境にいるということを考えれば、福島第1原発での事故は「収束」などしておらず、放射性物質の塊がどこにあるかもわからないまま何億ベクレルの放射性物質を出し続けているという事実を知れば、首都圏に巨大地震が来た時にぼろぼろの福島第1原発はじめ各地の原発が耐えられるかという心配を持てば、そしてこの社会が遭難した人々に対して非常に冷たい社会であるということ
を考えれば、「学校配布予算で対応されたい」はあまりに無責任です。
 各校にきちんと放射線量測定器を配置し、できるだけ多くの教職員に計測の仕方と正しい解釈の仕方を伝授すれば、次の「想定外の事態の事態」(考えたくはありませんが)に前回より有効に対応できるでしょう。致し方ありません。各校は区教委の言うように「学校配布予算で対応」するしかありません。


沖縄と日本を語る会
―玉城義和(沖縄県民大会実行委員会事務局長)さんを迎えて―

1月27日のオスプレイ配備反対東京集会は、党派を超えて上京した130名の市町村長、議長、県議による県民大会実行委員会が壇上に並び、オール沖縄としてオスプレイ配備、普天間県外移設を訴えました。
一方、デモ行進では,「オスプレイで尖閣を守れ」などのプラカードや日の丸を掲げた多数の右翼が、沖縄の代表団に「非国民」などの罵声を浴びせたのです。
沖縄と本土の落差、これに極まれりという状況に対して、玉城さんは、沖縄の思い、日本のこれからの方向性について、私たち東京に働くものとじっくり語り合いたいと日程を割いてくださいました。
沖縄問題は日米問題であり、オール沖縄と日本が語り合い、日本の「自主性」「平和主義」「民主主義」深化の課題として共に考えていくために、この「語る会」を企画しました。 ふるってご参加ください。

2013年4月2日(火)午後3時〜5時(参加費・無料)
交流会 午後5時30分〜(参加費・3000円予定)
場所:東京教組会議室(日本教育会館2階)
主催:東京教組 共催:日退教 東京退女教 オキナワ STUDY TOUR実行委員会 
☆ 事前申し込みは必要ありません。当日会場へ直接おいでください。 
☆ 交流会から参加もできます。交流会の会場は「泰南飯店」(日本教育会館2階)です。
☆ お問い合わせ 東京教組 林 03-5276-1311 ttutokyo1311@oak.ocn.ne.jp



DVD ドキュメンタリー映画
「子どもたちと生きるために
 福島の教師たち」
製作・ナレーター 湯本雅典
協力 川俣町立山木屋中学校・福島県教職員組合
  価格 2000円 発売 2013年2月
  40分/16:9/NTSC/DVD・VIDEO  予告編は下
http://www.youtube.com/watch?v=NCgk0JSVy_g

私は、東京都の小学校教員を2006年に自主退職し、現在は自主制作で主に福島の映画を撮り続けております。
この度は、新作映画「子どもたちと生きるために 福島の教師たち」(40分)のご紹介をさせていただきます。

震災後1年半がたち、福島の学校はどうなったのか?
警戒区域内では、避難区分の改編が行われ一部立ち入りができるようになっても相変わらず子どもたちの避難生活は続いています。南相馬市小高区の中学生は、「納得できねえ」と叫び続けています。
 避難区域外では、「復興」が叫ばれ震災前と同じ状況が作られていきます。屋外活動制限の解除、プールの解禁など。教師たちは、子どもたちに「これからどう生きていくのか」を一緒に考える立場に立ち、実践を始めます。
 そのひとつが「放射線教育」
 しかし素朴に考えてみると、原発事故がなければ「放射線教育」の授業など必要なかったことなのです。それは、いわば「おしつけられた」加重業務。教師たちは、まったく経験のない「放射線教育」にのぞみます。この厳しさは、県外の人間にはわからないことではないかと思うのです。
 僕は、多くの教師と接する中で福島の教師たちは子どもたちに、「なんて優しいんだろう」と素直に思いました。少なくとも僕の出会った教師たちは、みんなとても優しかったです。
なぜなんだろう? 一緒に見て感じ、考えていただけたらと思います。
ご注文は直接湯本雅典せんへ(下記ホームページ)
http://7colors.org/yumoto/
https://lolipop-dp53005922.ssl-lolipop.jp/yumoto/form.htm
墨田教組事務所にご連絡いただいてもけっこうです。 」
      
「子どもたちといきるために」の感想
『子どもたちを放射能から守れ』『わたしたちは忘れない』『子どもたちと生きるために 福島の教師たち』、3本を続けて観ました。どれも丁寧に作られている印象を持ちました。ひとりひとりのことばをしっかり聴かせてくれて、良かったと思います。
『子どもたちを放射能から守れ』を撮影しておられたとき、私自身もよく院内集会などに行っていました。福島から子どもたちがバスで来て、文科省や保安院の役人たちに厳しい質問を投げかけていたのを忘れることができません。そんな記憶がありながら、このDVDの中でなされている文科省の役人の返答、山下俊一のことばには、再び怒りが噴きあがってきました。ここで言われていることが、今では全く通用しないこと、そしてそれに対する謝罪がないことに、言葉の軽さと無責任さを感じました。子どもたちに対してこんな軽い言葉を発してよいものなのでしょうか。
今もこの時の不安と恐れを福島の親と子どもたちが抱いていることを、このDVDを観て、確認していきたいと思います。
『わたしたちは忘れない』で、初めて福島の先生たちの姿を見せていただいた気がします。被災者でありながら、子どもたちを必死に守ろうとしながら、行政と教育委員会の現場を考慮しない配置に、何ということかという言葉が出てきてしまいました。兼務校への遠距離通勤ということも、メディアでは全く報道されませんし、このDVDで初めて知ることができました。日教組は何をしているのでしょうか。
『子どもたちと生きるために 福島の教師たち』で撮影されていた「放射線教育」は、福島だけでなく、どこの県でも行われなければいけないものだと思いました。そのことを気づかせてくれたことは大きいことだと思いました。(東京都小平市)

 自ら被災者である教員が、自らのギリギリの生活をかけて、今地道ではあるが、真の教育の取り組みをしておられる事がよくわかった。
曰く子どもが、「これからの生き方を自分で考えられるようになるため」 DVDを多くの人達と一緒に観られる場を考えていきたいですね。(滋賀県草津市)

 原発の今後を国はあいまいにしたままで、現場の教師にこの問題の教育をさせることの無責任さを痛感します。
福島の先生方の苦悩は察するにあまりがあります。島根の先生が「竹島の日」とやらに竹島をどうまもるかの授業をさせられていました。先生も生徒も途方にくれているようにTV画面でみうけられました。
福島の先生方は、それぞれ子どもに寄りそって前をむいておられます。子どもの生きる力を信じておられるからこそ、前向きになねるのかなと思いました。それでもやっぱり尊い仕事だと思います。がんばってください。子どもに大丈夫だよと言ってあげてください。(兵庫県)


週刊墨教組 No.1705          2013.3.18

管理職の専横はゆるさない
  職場で働く者は
  団結しなくてはならない

校長の過誤
 異動・新年度人事の時期です。この間、学校は人事考課制度=業績評価制度により、「校長専横」が強まってきています。明らかな担任決定のミスや不本意な措置が増えてきています。その結果は、「学級崩壊」であったり教職員の負担過重であったりです。そのすべてが校長の責任とは言いませんが、その多くが校長の過誤による例を私たちは複数知っています。

職場情報のオープン化で
 あるいはそれは、「職場慣行」に違背するかもしれません。あるいは職場の中の「弱い方」をより一層苦しめることになるかもしれません。あるいは、一人ひとりのプライバシーを侵すものになるかもしれません。しかし、私たちは、「聞く耳持たない校長の専横」に対抗するものとしては、「職場情報のオープン化」しかないと考えます。ちょうど「土曜授業」で各校の論議状況を共有することによって拡大を阻んだように。
 より良い対案を出す、予測される困難を共有しそれに対処する確約をさせる。何よりも我々が決定する。教職員の「共働」は管理職の「専横」よりつよいものです。

職場は分断されている
 しかし、現実の職場はどうでしょうか。都当局の意図的な職場破壊※1は一定、功を奏しています。
 かつての管理職と教員と主事という単純な構造から、「様々な職種」の方が「さまざまな形態で働く」ようになってきました。支援員・介助員・講師・非常勤教員・再任用教員・・・と極めて複雑です。私たちは自分のことすらよく知らないのに、学校で働く方の勤務内容・制限・給与…をよく知りません。企業が自社社員だけでなくさまざまな派遣・請負・アルバイト等々で成り立っているうちに「労働者」という像がぼけていったのと同じです。
 そして、この傾向はさらに複雑化・暗箱化していくことでしょう。正規教員を非正規教員で代替していくだけでなく、正規の不正規化をも目論んでいます。※2
 それでもまだ私たちは、「〜校の教職員」という意識、「共働」意識をもっています(それをまた阿漕な校長は利用もするのですが…)。私たちはこれをより拡大していかなくてはなりません。それが私たちにかかる火の粉を振り払う唯一の、そして確実な道だからです。
 
非常勤教員の待遇
 小学校非常勤教員は「年間一九二日勤務する」という規則があるだけで、持ち時数は標準も示されていません。中学校が週十一時間程度であるのであれば、おのずから小学校でも同程度の持ち時数になるでしょう。現に多くの学校でそのように行われています。
 ところが、時数が示されていないことから、「十八時間やれ」と命じる校長が現れました。四日しか出てこないところで十八時間やろうとすればすべての午前中と二日間の五校時が授業になってしまいます。学級担任・専科以上の密度です。多教科・多学年学級にわたることを考えればその負担は想像を絶します。

共に職場をつくるものとして
 植民地における人民の分断は被統治者の反目・利害対立を引き出し、支配者の専横を可能にします。無責任とあいまいさの中、フクシマでは食べる―食べない、住む―逃げるの「対立」におしこめまいた。また学校も例外ではありません。「そりゃあ非常勤の方には十二時間よりも十八時間持ってもらった方がいい」という「素朴」な「利」は職場全体の「害」として降りかかってきます。次はあなたの番かもしれません。何しろ「専横」を認めてしまったのですから。
 私たちは、自身も含め非常勤教員や様々な職種の方々が、自他の利害・考え・状況を率直に話し合える勇気を持つこと、他人に対する想像力という「広さ」を作っていくことをめざします。共に共に良い職場を実現していきましょう。



※1 職員会議という教職員がその考えを出し合い行動を決める場で全員の意思を問うことを禁ずる。企画委員会など一部の教職員で物事を決めていく。校長―副校長―主幹―主任―教諭というヒエラルヒーを作り、上意下達だけがコミュニケーション手段とする。「共に働く者」という意識を壊す。来年度のボーナスからは「同じ身分」と思っていた者同士に金を奪わせ合う。
※2 私立高校の教員の30%を超える部分が非正規であるという文科省調査結果が出ている(2012年10月13日朝日新聞)。「アベノミクス有識者会議」は産業競争力を高めるために「労働力の流動化」=「解雇の自由」を求めている。正規労働者の非正規化だ。労働の劣悪さと不安定さは資本をより全能にする。(2013年3月7日朝日新聞)



よくばりじいさんの話
むかしむかしあるところにおじいさんがいました。おじいさんにはきになることがありました。それは、じぶんのかっているとりのちょうしがわるくなり、かわりのとりをさがさなければならないことです。しかしこのとりは、「オンセンカ?」というしゅるいのとりで、じぶんがうたうだけではなくおじいさんのむらのことりたちにもじょうずにさえずりをおしえてあげられるとりでした。なかなかそんなとりのかわりはみつかりません。どうしようかとなやんでいたときにみみよりなはなしがまいこんできました。それはいまはちょっととしをとってしまったけれどむかしその「オンセンカ?」であったとりがやすいねだんでてにはいるというはなしでした。ただこのとりはやすいぶんおどったりないたりするじかんはみじかくしかできません。だからおじいさんはほんとうはああありがたや、あなたのおかげでことりたちにうたがおしえられる、さんぶんのいちのことりにだけでいいからうちにきておしえてください・・・といわなければならなかったのです。でもそこがおそろしいところ。うまいはなしによくばりごころがめばえたのでしょうか、なんと、はんぶんのことりのめんどうをみろ!といったのです。なにをかんちがいしたのか、ほかのいきものたちにかっこいいところをみせたかったのか、はてまたもうひとりのじいさまにそそのかされたのか・・・むかしばなしですからわかるわけはありません。とりはそんなにたくさんはむりだ、へらしてくれとたのみましたが、ちょっとへらそうとしただけでした。それでは「オンセンカ?」とかわらないととしとったとりはこのはなしをことわりました。じいさまはよくをはってたくさんなかせようとしてかわりのとりをてにいれられなくなってしまったのです。それだけではありません。としとったとりにとってことわるということはとりをやめなければならないということでもあったのです。このとりがほしいなとおもっていたおおくのひとのねがいも、もうすこしうたおうかなとおもっていたこのとりのねがいもつぶしてしまったのです。まだまだよいこえでなけるとりでしたのに・・・。さてこのむらのかわりのあたらしいとりはみつかったでしょうか。もしかしたらこのよくばりじいさんが、としとったとりのかわりにはんぶんのことりたちにうたをうたわせることになったかもしれません(あり得ませんが昔話ですからこうなっています)。

おまけ 
このよくばりじいさんたちはよくばりですからものあつめがしゅみでもありました。しほんしゅぎのえーとすであるこれくたーです。あるときはやりやまいでやすんだしょくいんがびょうききゅうかをとりました。するとこれはいいちゃんすだ、しんだんしょがしゅうしゅうできるぞとおおよろこびました。そこでしょくいんがしょほうせんなどもってきてもゆるさず、しんだんしょをだせしんだんしょをだせとせめたてたのです。つうじょうたんきのびょうききゅうかでしんだんしょをださせることはありません。でもいじわる、いやいやよくばりですからほしかったのでしょう。どうやら「びょうきでやすむときはねんきゅう」とかんちがいしているようなので、ふたりのじいさん、かんちがいびょうききゅうかをとってしんだんしょをこうかんしたらよかったのに・・・とひとびとはいいましたとさ。


福島にいこう!県民大集会に参加を
  2013年3月23日(土) 11:00〜
  福島市 あづま総合体育館
 (福島県福島市佐原字神事場1あづま総合運動公園内)
呼びかけ
 2011年の3・11の震災および原発事故により、福島県と県民はかつてない困難な状況におかれ、16万もの県民が今もなお避難生活を強いられています。
 このような状況の中、県内の多くの市町村議会、福島県議会は、県内すべての原発の廃炉を決議し、県知事もまた国と東京電力に10基すべての廃炉を求めています。 そして、脱原発のため、また事故前の日常を取り戻すために、市民団体、生産者団体等、様々な団体がそれぞれの要求に基づき運動を展開しています。
 もうすぐ2年になろうとする今、地域住民の分断・離散、低線量被ばくによる不安等々に加え、避難の長期化に伴い、生活の再建や復興、避難区域の再編成等の更なる困難な状況も生まれてきています。その一方で、全国的な関心の薄れと風化、なかなか進まない賠償・補償、風評被害や放射能差別、原発の再稼働等々、福島県民の願いの叶わない現実があります。
今年3月、震災・原発事故から2年目を迎えるにあたり、福島県・県民の現状や課題、願いや要望を全国に訴え、国や東京電力の一層の取り組み強化を求めるため全国民にこれを発信していく必要があります。
 残念ながら、福島の自治体と民意は総体として、これまで原発を受け入れてきた経緯があります。このことを悔恨の思いで振り返るとともに、あらためて福島県内に原発はいらないことを確認し、集会の趣旨・訴えに賛同する県内すべての団体・県民の意思を結集する場として、「原発のない福島を!県民大集会」を開催します。県内各地から多くの県民の皆さんに参加をお願いします。
また、全国からの支援をお願いします。
さらには、県内各地で同じ思いで取り組みを進めている人々に対して、」私たちの県民大集会と連帯することを呼びかけます。
 集会順序(予定)
 10:00 開場 11:00 第一部 アトラクション 
    霊山太鼓(伊達市)  会津彼岸獅子
    いわきじゃんがら踊り
 13:00 第二部 県民大集会〜 15:00
    主催者あいさつ   来賓あいさつ
    県民からの訴え   集会宣言
主催 集会実行委員会  
呼びかけ人
 青木千代美 県女性団体連絡協議会会長
 小渕 真理 アウシュヴィッツ平和博物館館長
 片岡 正彦 弁護士
 菅野  豊 県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長
 國井 常夫 県森林組合連合会代表理事会長
 熊谷 純一 県生活協同組合連合会会長
 清水 修二 福島大学教授
 庄條 徳一 県農業協同組合中央会会長
 野崎  哲 県漁業協同組合連合会会長
 藤野美都子 県立医科大学教授
 武藤 類子 ハイロアクション福島
 山崎 捷子 国際女性教育振興会福島県支部相談役
 吉岡 棟憲 曹洞宗 円通寺住職
後援 福島民報社、福島民友新聞社、朝日新聞福島総局、毎日新聞福島支局、福島テレビ、福島中央テレビ、テレビュー福島、福島放送、ラジオ福島、ふくしまFM

・福島県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を自然エネルギー等の再生可能エネルギーの研究・開発拠点とすること。
・放射能によって奪われた福島県の安全・安心を国と東京電力の責任で実現すること。とくに子どもたちを放射能から守ること。
・原発事故に伴うすべての賠償の実現と、県民の生活と雇用の保障を実現すること。


週刊墨教組 No.1704          2013.3.13

全原発即時停止→廃炉
福島の子どもたちに避難の道を
教育は社会の中で行われ
教員は社会に働きかけねばやっていけない
 社会的発言は私たちの責任!

 「あの日」から二年、日々のお笑い番組の洪水の中に、「節目だから…」と送られる特番、翌日からは一年間誰にも見向きさせないような番組、制作者の意図はそれなりに評価されるのだけれども局全体としては単なるアリバイだろう…と思われるような番組、の波が過ぎていきました。
 暮れの選挙の結果は無残で、3/10請願デモに対応した国会議員は実にわずかで頼りないものでした。
 だからこそ、社会の出番です。市民の出番です。社会的勢力が責任を果たさなければなりません。

 私たち墨田区教職員組合は、決して「節目記念」行動ではない人々が作る集会に参加してきました。
 2/23「子どもたちを被曝から守ろう! 新宿デモ」 線量の高い福島から自主避難した子どもたちが補償を求めて起こした裁判の支援です。アルタ前での集会から、繁華街の路地も含む賑やかなデモでした。若い人が多くこころづよい。
 3/9「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」 明治公園に一万五千人が集まりました。目標一千万の署名も八百万を超えています。広瀬隆氏も激しいアジテーションをしていました。
 3/10 原発ゼロ☆大行動 毎週金曜日官邸前・国会抗議行動を呼びかける首都圏反原発連合(組合の教研集会に来ていただいた「たんぽぽ舎」も構成団体の一つ)主催。日比谷野音は満員で入場制限。四万五千人が行動しました。

 3月23日(土)には、「原発のない福島を!県民大集会」が福島市で行われます。東京に住む私たちも参加する意義の大きい集会です。


教育と司法はだれのもの?
「学校に言論の自由を!」裁判控訴審判決抗議集会

東京高等裁判所は、2月7日非常勤教員の不採用撤回を求めて闘っている土肥信夫さんの裁判で、公訴棄却という判決を下しました。土肥さんは、翌8日最高裁に上告をしましたが、裁判の報告と控訴審判決に抗議する集会が、行われることになりましたので、紹介いたします。
2013年3月16日(土)
  18:30〜  開場18:00
渋谷区千駄ヶ谷区民会館

 渋谷区神宮前1−1−10Tel03−3402−7854
土肥元校長の裁判を支援する会主催者あいさつ
発言予定 吉峰啓晴さん(主任弁護士)
 斎藤貴男さん(ジャーナリスト)         浪本勝年さん(立正大学教授) 土肥信夫さん




「朝鮮学校はずしにNO!
 すべての子どもたちに学ぶ権利を!全国集会

 昨年の総選挙で返り咲いた安倍政権は、発足後すぐさま「高校無償化制度」から朝鮮学校を排除する方針を打ち出し、国会での審議を経ることもなく「省令」を「改正」しました。これは、国同士の対立関係を理由として子どもの学習権を侵害するもので、国際人権規約や子どもの権利条約に違反する「人権侵害」「民族差別」です。
 また東京都、埼玉県、宮城県、神奈川県、大阪府、大阪市、水戸市、福岡市などの自治体では、朝鮮学校や保護者への補助金が停止されてしまいました。保護者は、他の日本の住民と全く同率の税金を負担しているにもかかわらず、子どもの通う学校には、補助がないという、不条理かつ深刻な事態です。東京に朝鮮学校は10校ありますが、子どもを通わせている保護者の負担は、大変厳しいものとなっています。この問題は、日本の民主主義と人権感覚が問われる問題です。日本社会には、朝鮮学校への無知と無関心がはびこるばかりでなく、心無い人たちによる憎悪と暴力が、朝鮮学校とそこの通う子どもたちに向けられています。
 今こそ、差別反対と人権の保障を求める声を大きく上げるべきではないでしょうか。東京教組は、これまでも「日朝教育交流」などにとりくんできました。朝鮮学校に対する差別反対を訴える集会に多くの方が参加されることを訴えます。
 2013年3月31日(日)
 午後1時〜午後3時
 日比谷野外音楽堂

内容 呼びかけ団体挨拶・ゲスト登壇・韓国からのメッセージ・朝鮮学校父母アピール 朝鮮学校高校生アピール・集会アピール採択



週刊墨教組 No.1703          2013.2.25

子どもの「休み時間」を奪うな
 都教委「総合的な子供の基礎体力向上方策(第2次推進計画)」を発表
  「1日60分の遊び・運動時間の確保」
  「だるまさんが転んだ」から「ダブルダッチ」まで?


 「との!お戯れを!!」。これではますます子どもたちは学校が嫌いになってしまいます。
 墨田区の狭い校庭に全員が出て遊び始めたら、まあ怪我人だらけになって「体力」どころではなくなるだろうなあ…。体育授業は算入されるかここに載せた情報ではわからないが、中休みと昼休みを合わせても六〇分にならない日がある。五分休みは廊下を走って「体力向上」か…。ぼうっとすることからものすごく大事なことまで大人も子どもも休み時間ってけっこういろんなことをやっているけどそれは不必要なことだったのかもしれない…。と、馬鹿馬鹿しいことばかりが頭に浮かんできます。
 「体力向上」をそれほど必要ないと考える方はもちろん、「必要だ」と考える方もこんな「方策」を認めてはなりません。現場の実態をや子ども・大人の過ごし方を全く顧慮しないプランだからです。そして、「姿勢教育や基本的な行動様式・集団行動の適正実施」とありますから、おそらく行き着く先は「八千代の集団走※1」でしょう。オリンピック招致に向けて「スポーツ」に力を入れているというポーズの一つとして策定されているのでしょうが「スポーツ」の精神に真っ向から反します。
 「始める時期などは各教委が決める」と報じられています。まさか墨田区教委は子どもたちから休み時間を取り上げたりはしないとは思いますが、都の戯言を真っ正直に増幅した過去※2があるから危険です。
 「教育庁文書」と「マスコミ情報」ではかなり内容に差があります。私たちは、直ちに区教委に情報提供を求め、休み時間を取り上げないように交渉を進めます。職場でも、このプランの問題点を明らかにし反対の論理を作り、管理職からも反対意見を区教委に表明させるようにしてください。



http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/02/20n2l700.htm
「総合的な子供の基礎体力向上方策(第2次推進計画)」について
平成25年2月21日 教育庁

 都教育委員会では、長期的に低下している子供の体力を向上させるため、平成21年7月に「子供の体力向上推進本部」を設置し、平成22年7月に「総合的な子供の基礎体力向上方策(第1次推進計画)」を定めました。「第1次推進計画」に基づく様々な取組を推進してきたことを踏まえ、このたび、「総合的な子供の基礎体力向上方策(第2次推進計画)」として、下記のとおり取りまとめましたのでお知らせします。

1 推進計画
第1次推進計画
期間 平成22年度〜24年度
目標 「3年後には全国平均値、10年後には昭和50年代の水準にまで向上させる。」

第2次推進計画
期間 平成25年度〜27年度
目標 「心と体を鍛える活動的な生活(アクティブライフ)の実践」

第3次推進計画
期間 平成28年度〜30年度

2 概要(別紙のとおり)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/02/DATA/20n2l700.pdf



resemomホームページ  
2013年2月22日(金) 17時30分
http://resemom.jp/article/2013/02/22/12312.html

 1日60分の遊び、
 持久走やダブルダッチなどで体力向上を…
東京都教育庁が方策を発表


 東京都教育庁は2月21日、「総合的な子供の基礎体力向上方策(第2次推進計画)」について発表した。第2次推進計画の期間は平成25年度〜平成27年度とし、目標を「心と体を鍛える活動的な生活(アクティブライフ)の実践」として掲げている。
 東京都教育委員会では長期的に低下している子どもの体力を向上させるため、平成21年7月に「子供の体力向上推進本部」を設置し、平成22年7月に「総合的な子供の基礎体力向上方策(第1次推進計画)」を定めた。「第1次推進計画」に基づく様々な取組を推進してきたことを踏まえ、「総合的な子供の基礎体力向上方策(第2次推進計画)」として取りまとめた。
生涯の各年代において、基礎体力が必要であること、また運動・スポーツは、精神・身体の健康に対して効果を発揮することがわかっている。現在の子どもの運動習慣・生活習慣としては「日常生活の身体活動量が減少」「運動する子供としない子供の二極化」「50%以上の子供が1日2時間以上テレビを視聴」となっている。また、体力・運動能力の現状としては「全体として、全国平均値より低い水準」「取組開始後、向上傾向が顕著」「全国に比べ、巧緻性・持久力が低水準」(ボール投げ・20m シャトルラン)となっており、まずは意識の変革が必要と第1次推進計画では体力低下問題に対する意識を向上させた。
 次の段階となる第2次推進計画として、意識の変容から発展させ行動変容、すなわち、身体活動量を増加させるため、第2次推進計画のテーマを「心と体を鍛える活動的な生活(アクティブライフ)の実践」と掲げ取り組んでいくことになる。体力向上に向けた具体的取組みとして、小学校における1日60分の遊び・運動時間の確保、脳と体を調整するコオーディネーショントレーニングの全校実施、持久力を高める5分間走や縄跳び(ダブルダッチ)の実践という具体的な内容のほか、「早寝早起き朝ごはん」運動や、週に1回「ゲームをしない日」運動の普及・啓発など10項目におよぶ。
 昔は当たり前だった「外で遊ぶ」ということがだんだん難しくなる今日、子どもたちの体力、ひいては精神・身体の健康を守っていくのは私たち大人の役割だ。 《田邊 良恵》



小学校 外遊び義務です 都教委方針、毎日60分
2013年2月22日 東京新聞朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022202000125.html
 児童に体力をつけさせようと、屋外で体を動かす遊び時間を設ける試みが東京都内の公立小学校で始まる。二〇一三年度から三年間かけて各校で段階的に取り入れる。外遊びは、鬼ごっこやだるまさんが転んだなどの伝承遊び、縄跳びのほか、ドッジボールなどのスポーツをすることが考えられている。
 東京都教育委員会が区市町村教委を通じて近く各校に求め、始める時期などは各教委が決める。「外遊びの義務化」で、都内の一部で行っている例はあるものの都道府県レベルで一斉に行うのは珍しい。
 最近の子どもたちは、塾通いやゲームの普及などで外で遊ぶ児童が少なくなったとされる。このため休み時間や放課後に教員が主導し、毎日計六十分間、外遊びをする。
 昨年四〜七月の統一体力テストでは、都内の小学生はほぼ全国平均値だったが、ハンドボール投げや反復横跳びなどの全身運動、二十メートルの走りを繰り返すシャトルランなど持久力が求められる種目は全体に低かった。
 担当者は「運動量を増やすことで子どもの生活を活発にし、体力や運動能力を高めたい」としている。
◆先生側が研究して
 元小学校教員で、「現代っ子」の造語をした教育評論家阿部進さんの話 今の子どもは放っておくと一人遊びになってしまい、先生が仕掛けないとなかなか集団で体を使って遊ぶことがない。遊びを義務化するのもしかたないだろう。先生自体も若いと、自分が夕方遅くまで友達と外遊びした経験がないので、その楽しさを知らない。ただ遊びの時間をつくっただけでは、遊び方が分からないので、先生の側が研究して楽しい遊びを示し、子どもたちに伝えないとだめだ。※3






※1「八千代の集団走(業間体育)」というものが40年以上前からある。休み時間にクラスが列を乱さず校庭を走る。全国公開などでこれを見せられると、反応は賛美と拒絶に二分する。私などは軍事教練・分列行進訓練としか思えない。子どもは大っ嫌い。http://www.yachiyo.ed.jp/eyachihiga/kenkyu/h18%20%E7%B4%80%E8%A6%81%EF%BD%83%EF%BD%84/%e6%a5%ad%e9%96%93%e4%bd%93%e8%82%b2/gyoukan-jissi-index.htm

※2 都「土曜授業は月二回までは可能」→墨田区「二年後には年二二回」! 幸い多くの教職員の努力によっておしとどめ、縮小する方向で進んでいる。が、初年度十一回実施を阻止していたら今の苦しみはなかっただろうと、無念。

※3 阿部進はブログ自己紹介欄に「全国子ども居場所問題協議会会長。横浜こども支援協会会長。いってみれば『昔の原っぱ、だがしや、を今風につくろうよ』という旗振りジイサン」と記す。だとすれば、学校での居場所をそれなりに作っている子どもたちを「体力向上」にかりたてるこの案に反対すべきだ。PTAの攻撃に対して敢然と漫画「ハレンチ学園」を擁護してから40年、「規制」を肯定するジイサンになり下がった。





週刊墨教組 No.1702       2013.2.19

二〇一三年度予算発表さる
 誤った「学力向上策」を「拡充」
   「最下位」なんてどうでもいい…けれど、
それ以上の深刻な事態が起こらないか!?
現場の声にしっかり耳傾けよ!!


 区は二月一二日、平成二五年度予算案を発表しました。詳細は今後の区教委からの説明を受けてから報告しますが、まず、情報(誰にでもとれる情報ですが)をお知らせします※1。
 新規事業「東京大空襲・平和学習資料の作成」は遅きに失したとの感は否めませんが、すみだ郷土文化資料館との連携が期待されます。
 しかし、どうしても「学力向上」の誤った路線(「すみだ教育研究所」のなすことはすべてマイナスだと考えた方がいいでしょう)を維持するので、私たちと墨田の子どもたちは来年度も困難を前提にしなくてはなりません。だから、少しでもその悪影響から私たちや子どもたちを守る工夫をしなくてはなりません。新しい?、いや、かつて墨田で行われていた「まっとうな教育」を再建するべきです。
 「学力向上」について区は大いなる誤りを続けています。昨年十二月区教委は、「施策評価シート」※2なるもので、何やら「数値」を出して自己評価しています。「がんばったあなたの自己評価はAかB」ですが、これはいただけません。

※1「予算概要」「平成25年度予算発表資料」
2−4−2 いじめ防止対策の充実 55,472千円
 いじめや不登校など、学校における児童・生徒の心理的な状況に由来する問題行動が重大な社会問題となっている。そこで、墨田区では、児童・生徒による問題行動の予防及び早期発見・解決を図るため、各学校のカウンセリング機能の充実を中心とした、学校の問題対応能力の一層の向上を図る。

2−4−3 学力の向上に向けて 69,891千円
 墨田区では、いわゆる「小1問題」や「中1ギャップ」などの問題を解消するため、すみだらしい「幼小中一貫教育」のあり方について実践的研究に取り組んでいる。また、子どもたちに「確かな学力」を身に付けてもらうため、「開発的学力向上プログラム」を立ち上げ、様々な施策を展開してきた。
 平成25年度は、幼児から小学生・中学生に至る11年間を見通した系統的・継続的な学習・生活指導を区立全小・中学校において展開する。また、学校・家庭・地域の総合的な教育力を向上させるための取組「学力向上『新すみだプラン』」及び「学力向上を図るための3か年計画」に基づき、夏休み期間中の補習教室を実施するなど、児童・生徒の学力向上を図る。

☆見えない不安を解消し、有事にも対応できる資源環境づくり
 ・放射性物質の測定・監視 6,183 千円
  公園・児童遊園、保育園・幼稚園、小中学校等での定期測定
  小中学校のプール測定、小中学校・保育園等の給食食材定期測定

5 豊かな人間性を持った子どもたちが健やかに育つしくみをつくる
・区立学校適正配置の推進 207,815 千円
吾嬬第一中と立花中の統合準備、実施計画の中間改定等
・吾嬬第二中学校の改築【新規】 63,389千円 実施設計
・緑幼稚園の移築 162,140 千円
緑2-6-1(旧平和荘跡地)、幼稚園整備工事(25年度〜26年度)
・学校施設の非構造部材の点検【新規】 6,120千円
・屋内運動場等天井補強工事【新規】 153,455 千円
(うち24 年度最終補正額112,379千円を含む)
第三吾嬬小・隅田小・立花吾嬬の森小・両国中、両国屋内プール
・児童・生徒のいじめ防止対策【拡充】 55,472 千円
スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの増配置、教育心理検査の実施、
いじめ問題アドバイザーの設置等
・幼小中一貫教育の推進【拡充】 24,605千円
「一貫教育推進員」全校配置、「一貫教育巡回指導員」配置、重点ブロックの指定等

7 区立学校の適正配置の実施
 (1)向島中学校と鐘淵中学校を統合し、旧堤小学校跡地に桜堤中学校を開校する。(平成25年4月)
 (2)吾嬬第一中学校と立花中学校の統合準備(校舎改修整備)を行う。(平成26年4月統合)

11 東京大空襲・平和学習資料の作成【新規】 2,550千円
東京大空襲体験画写真撮影委託
東京大空襲体験画貸出し用キット作成
東京大空襲体験インタビュー映像撮影・編集製作

※2
3.目標と現状(実績)についての分析
指標の推移・施策の課題や問題点について記述
都教委の学力調査、区の学力調査などから、知識・技能を活用して思考し表現する力の育成に課題があることが分かった。また、従前横ばいで推移していた学力の指標の実績値が前年度を下回ることとなったことから、工夫改善の必要がある。
教員研修の重点課題を問題解決能力の育成に置き、教員の指導力向上に努めている。また、研究指定校のあり方を検討し、教材研究や指導方法の工夫に努めるよう求めている。

4.今後の施策の運営方針
施策の戦略的方向性(選択肢に○をつける)
@.優先的に資源投入を図る。 2.現状維持
3.現状維持だが、より効率的な運営を図る。 4.資源投入の縮小を図る。
【上記の判断理由】
・児童・生徒の学力向上は区教委の最重要課題として取り組む必要がある。
・課題に対する対応の方向性は定まったので、さらに内容等を深めることで効率的な運営に努める。
【今後の具体的な方針】
・学力向上「新すみだプラン」により、「学校教育力の向上」・「家庭教育力の向上」・「地域の教育力の向上」の3つを柱として事業展開していく。
・学力低位層が多く見られる学校を重点支援校として支援を強化していく。

5.部内各課で実施しているこの施策に係る事務事業 (単位:千円)
・教職員研修事業(教職員研修費) 指導室 1,734 現状のまま継続
・小学校英語活動推進事業(国際理解教育の推進事業費) 指導室 44,206 拡充する
・学力向上「新すみだプラン」推進事業 すみだ教育研究所45,594 改善・効率化し継続
・幼小中一貫教育推進事業 すみだ教育研究所14,812 改善・効率化し継続

 拡充する:効果が高く、拡充によるさらなる効果拡大も期待できる。
 改善・効率化し継続:効果が高く、手段の見直しでさらに効果拡大が期待できる。
 現状のまま継続:効果は高いが、拡充しても効果拡大までは期待できない。
 見直しの上縮小・統合:効果は高くないが、継続する理由がある。
 休止・廃止:効果は高くなく、継続する客観的な理由に乏しい。


http://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/zaisei/yosan_gaiyou/ta104346037.html「区政に関するデータ・資料財政予算概要平成25年度 「予算概要」「平成25年度予算発表資料(概要)」に全文があります。
資料2はhttp://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/suisin/gyousei_hyouka/hyouka.files/hixyoukakextuka24.pdf




第32回 再び許すな東京大空襲!

追悼碑巡り 江東・墨田
とき 3月10日(日)午前10時半

  集合 都営新宿線菊川駅A1出口
追悼碑巡り順

 空襲写真展 森下町会会館
 八百霊地蔵尊
  森下五丁目の戦災犠牲者800余名追悼のため建立
 菊川橋夢違地蔵尊
  菊川橋周辺約3000名といわれる殉難者追悼のため建立
 榎稲荷の立川地蔵尊
  立川4丁目犠牲者4515名追悼のため建立


よびかけ
 1945年3月10日、東京下町を火の海と化し、10万人以上の生命を奪った東京大空襲から、68年が過ぎようとしています。人類は、第二次世界大戦で、原爆投下をはじめ、戦争の脅威を強く感じ取ったはずです。
 しかし世界各地では軍事衝突、空爆など戦争が続き、多くの民衆や子供たちが犠牲になり、核兵器をはじめ軍拡が続き、沖縄をはじめ軍事基地が増強され続けています。
 また2011年3月11日の地震・津波と原発事故から2年が経ちます。しかし、今なお復興は進まず、放射能の脅威は続いています。文明の進歩と反比例するように、生命や人権がどんどん軽視されているのです。
 私たちは、地球上から、戦争とあらゆる武器が無くなる日まで、東京大空襲の真相を明らかにし、告発し続けようと訴えてきました。
 今年の1月16日、大阪高裁は、大阪空襲訴訟に対する控訴審で大阪地裁同様に原告団の「請求」を棄却しました。この間の東京大空襲訴訟など4つの裁判の中で、最も空襲被災者の思いを踏みにじった不当判決でした。国は45年前の最高裁大法廷の枠組である「国の存亡にかかわる非常事態では、国民のすべてが、その生命・身体・財産の犠牲をひとしく受忍しなければならなかつた」と、相変わらず言い続けています。2009年12月14日の東京大空襲訴訟判決において「各種の援護措置を受けている旧軍人軍属との不公平」を心情的に理解し「一般戦争被害者に対しても救済や援護を与えるのが国の責務」とした段階から後退を続けているのです。
 「戦時災害援護法(仮称)」の制定にむけ、政権交代下で議連も設立されましたが、100万円の見舞金の段階で中断し、安倍政権に移行し、新たな反動攻勢も始まっています。
 しかし、私たちは決してくじけません。今年も恒例の「追悼碑巡り」を3月10日(日)に実施します。午前10時に都営地下鉄菊川駅に集まり、今も残る空襲の爪痕を歩きます。私たちは多くの皆様の取り組みと連携し、ともに東京大空襲を告発し続けます。そして、次の世代を担う子どもたちに「空襲と戦争の恐ろしさ・平和の尊さ」を伝えます。戦災傷害者・アジアの人々に補償を行い、不戦の誓いを拡げ、平和憲法を守るために、行動します。
 今後とも皆さまのご支援・ご賛同をよろしくお願いします。 2013年2月     再び許すな東京大空襲!反戦平和の集い実行委員会




子どもたちを被曝から守ろう!
2.23新宿デモ
2月23日(土) 13:00〜 新宿東口アルタ前広場 14:30〜15:20 デモ

◎オープニングの発言 井戸謙一(志賀原発差止判決の元裁判長・疎開裁判の弁護団)井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会代表)福島からの声−>吉田邦博さん(南相馬 安心安全プロジェクト代表) 安部ともみさん(南相馬から山形に自主避難) 長谷川克己さん(郡山から静岡に自主避難) 避難受入先からの声−>榎本健二さん(新潟県魚沼市 新潟雪だるまの会)
       http://fukusima-sokai.blogspot.jp/


週刊墨教組 No.1701           2013.2.13

「人事考課制度」に抗する
   デタラメな「評価」、
差別昇給・差別勤勉手当を許さない!
  業績評価本人開示は私たちの権利
 職場をつくる闘いの義務
  開示申請期間 は三月一日(金)〜七日(木)
   開示期間 は三月七日〜十三日・二九日
 開示内容に問題があれば、面接申請→校長からの説明→苦情制度


「本人開示」申請をしよう
 都教委は、「平成二三年度東京都区市町村立学校教育職員定期評価本人開示の実施について」を区教委を通じて校長に配布し、「開示」について、教職員に周知徹底することを指示しています。「人事考課制度は人材育成、能力開発が目的」と都は再三説明してきましたが、この制度に対する職員の不満は強く、職員のモラールダウンを招く結果になっていることが指摘されてきました。人事考課制度は、私たちの労働条件である昇任・昇格・昇給・異動等にリンクしています。組合は人事考課制度を「交渉事項」として、その改善を強く要求してきました。その結果、二〇〇七年度から「第一次評価」だけは開示されるようになりました。しかし、「特別昇給」に直接関係する第二次評価(相対評価)は、いまだ不当にも非開示です。不満ですが、人事考課制度を暴走させないためにも、業績評価の開示を要求し、説明を校長に求め、不当な評価、昇給を是正させましょう。

職場全員の「開示」が理想
 「開示」は希望者だけですが、毎年多くの方が開示希望をし、問題のある評価には苦情の申し出を行っています。その結果、評価の修正が行われた事例もあります。校長が自分に対して恣意的評価をつけていないか確認するのです。それだけではありません。、職場の全教職員が「開示」請求しそれがオープンにされれば、次の具体的策を職場に見出すこともできます。人事考課制度=業績評価制度はもともと不当なものです。その不当なものでどのような評価をつけられてもそれはその人の「はずかしさ」ではありません。できるだけ多くの教職員が業績評価「開示」請求するよう呼びかけていきましょう。人事考課制度の問題点は明白になっています。さらにこの制度を葬り去るために、開示を進めましょう。

「開示申請書」も全員に配布 
 「開示申請書」と「定期評価本人開示の実施について」を開示希望の有無に係わらず全教育職員に配布することを校長は指示されています。さすがに以前のように「握りつぶす」管理職はいないようです。
 しかし未だに、稀ではありますが、「開示申請書」を机上に置いておくだけで何ら説明をしない、「校長を信用できないのか」と言わんばかりの態度で接する、開示申請をしたときにきっと不愉快そうな顔をするだろうと想像させる…という対応が報告されています。こういう校長にこそ、開示を強力に全教職員で進めていかなくてはなりません。
 また、手続きがきちんと決められていますから、それに沿わない形をとると(とらされると)無効にされてしまいます。「定期評定本人開示申請書」は「必ず本人が所属長に提出」とありますから、副校長に託したりしてはなりません。

開示によって開かれた勝利判決
 二〇一一年、東京高裁において完全勝訴した「世田谷業績評価裁判の第一歩は「開示申請」です。
 大嶽さんは、業績評価の権限を握った管理職による、特に若い教員へのパワハラの横行を弾劾しています。そして、業績評価裁判の勝利にとどまることなく、教育行政による管理統制の根幹をなす業績評価制度を撤廃させ、学校に自由を取り戻すために、勝利判決を活かした職場の闘いを呼びかけています。人事考課制度の問題点は明白になっています。さらにこの制度を葬り去るために、開示を進めましょう。
 都教委は、開示申請者数が減ったのは制度が成熟したからだというようなことを言っているようですが、それはまったく違います。開示が第一次評価(校長)だけであること、「苦情相談」※2をする四月にはもう評定が下されてしまうという点、世田谷のように裁判にまで行かなければ、非違があっても校長への「指導」にとどまるだけだという制度上の欠陥があるからです。しかし厭うていてはなりません。当然の権利として、自分のことは自分で知らなくてはならないという義務として、開示申請を行いましょう。

「デタラメ評価」を許さない
 校長は職員に対し、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示さなければなりません。その基準に照らし、校長は指導助言を各職員にすることになっています。少なくとも、中間面接(一〇月)ではそのことがなされていなければなりません。しかし、昨年度、ある学校では、評価基準を提示せず、しかも中間面接では指導助言の類は一言も発言していないにもかかわらず、総合評価には不当にも「C」をつけた校長がいます(世田谷業績評価裁判の校長もそうでした)。
 今年度も、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示していない校長がいます。「デタラメな評価」がなされている可能性が大です。校長は、二月末のヒアリングに際し、「勤務成績に基づく昇給における昇給者の推薦名簿」(特昇名簿)を区教委に提出します。「人事考課制度」に抗するためにも、「公平な推薦」、「開示」・「説明」を求めていきましょう。

勤勉手当「成績率」の基礎ともなる
 来年度の勤勉手当で「成績率が全職員に適用」されることになってしまったことについては、先々号で述べました。
 二〇一二年秋闘では同時に労使間で次の三点が確認されています。
・毎年度の苦情相談事例について、人事制度検討会を活用し、労使で具体的に検証
・相対評価の配分率等の開示
・評定者訓練の充実
 また、成績率の適用にあたっては「運用実態の検証」として、「組織の活性化や職員一人ひとりのモチベーション向上にも資するよう制度運用に配慮」「全職員適用後三年目に、その運用実態について労使で再検証」することも確認されています。
 しかしこれだけを待っていてはこの制度はなくなりません。業績評価制度が私たちにとって耐えがたいものであるだけでなく、当局の「建前」に比べても不当であることが立証される必要があります。それは職場に働く教職員の行動が不可欠です。有耶無耶にしてはなりません。開示請求のとりくみの重要性が例年にも増して大きいのです。
 この制度を葬り去るためにも、開示を進めましょう。

※1  世田谷業績評価裁判控訴審
 @不当評価と昇給延伸を容認した東京都人事委員会の判定の取り消しと、A違法不当な評価による損害賠償(昇給延伸による損害と慰謝料)の両方を命じた2010年5月の東京地裁判決を不服とする東京都と世田谷区の控訴は、2011年10月26日東京高裁において棄却された。
 賃金上の不利益を伴う以上は「C以下の評価をするについては、その根拠として相当な事実が存在することが必要であり、上記不利益との関係において評価の相当性が争われる場合においては、評価権者側において、その存在について主張立証責任を負うと解すべきである」と、はっきりと評価権者側に立証責任を負わせている。

※2 苦情相談制度
1.苦情対象事項は、次の通りです。
@ 本人開示された2012年度の評価結果(面接による開示を受けたものに限る) →開示を請求していなければ、苦情相談の対象にならない。
A 開示面接の際の校長(開示者)の対応
2.苦情の申し出期間
 2013年4月10日(水)から4月23日(火)までの期間
3.苦情申し出について
 苦情を申し出ることを希望する教育職員は、「教育職員評価結果に係る苦情申出書」に苦情の内容を記入した上で、地教委指導室(課)長等に提出する。
*教職員が異動した場合は、苦情相談の受け付けは、旧所属の教育委員会となります。




3月の反原発集会

「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」
3月9日(土)11:00〜

会場:東京・明治公園

 11:00開場 以後ライブ・リレートーク・リクルマイ

 14:00〜15:00 集会
<集会発言者>内橋克人さん・大江健三郎さん・落合恵子さん・鎌田慧さん・澤地久枝さん・広瀬隆さん。福島から(調整中)
 15:15 パレード出発
    主催:さようなら原発一千万署名 市民の会

福島第一原発事故から丸2年、
    集会・デモ・抗議であらためてたたみかけよう!!
 2013年3月10日(日)
 日比谷公園野外音楽堂、永田町霞が関一帯

 13:00?集会 〈場所:日比谷公園野外音楽堂〉
 14:00?デモ出発 〈場所:日比谷公園 集合・出発(予定)〉
 17:00?19:00国会前集会 〈場所:国会議事堂正門前〉
  その他各省庁前にて抗議
 主催:首都圏反原発連合
協力: さようなら原発1000万人アクション / 脱原発世界会議 / 原発をなくす全国連絡会 / 経産省前テントひろば / 再稼働反対!全国アクション この日は北九州・大阪・名古屋などでも抗議が行われます。全国同時大規模アクション!!

つながろうフクシマ!さようなら原発講演会講演会
 3/11月 18:30〜 品川キュリアンで
講演 内橋克人さん 大江健三郎さん 坂本龍一さん+後藤 正文さん(ASIAN KUNG-FU )対談 澤地久枝さん 清水修二さん 吉岡斉さん

原発のない福島を!県民大集会
 3/23土 11時〜15時
 福島市あづま総合体育館 
東京教組からもバスが出る予定

毎週金曜日、官邸・国会・経済産業省前等の集会は続いています。



呼びかけ

2013年を「原発ゼロ元年」へ!
 東日本大震災および東京電力福島第一原発事故から、丸2年が経とうとしています。
 私たち首都圏反原発連合は、あの過酷事故を二度と起こさず、家族や家や土地を失う人を二度と出さないことを強く望み、同じ思いを共有するみなさんの声を、誰の目にも見えるかたちにすることに全力を挙げてきました。
 昨年末の衆議院議員選挙では原発推進を明言する自民党が大勝し、状況は悪化したかのようにも見えます。しかし、国民のおよそ8割が原発に反対しているという事実には変わりがありません。であるならば、今度は自民党政権に向けて、その声を届けることに全力を尽くすのみです。
 政府、電力会社および経済界は、地震の直後から「再稼働しなければ電力が足りない」と盛んに喧伝してきました。しかし昨年の7月以降、実際に稼働した原発は全50基の内わずか2基であり、それすらも本当に必要とは言いがたいことが明らかになっています。2011年と比較しても稼働した原発の数がはるかに少なかった2012年は、「原子力は電力の3割を担う」という前提そのものが大きく崩れ去った年でした。
 また、現在唯一稼働している大飯原発の下には、活断層が連動することがほぼ確定的となりました。こうした事実の積み重ねが、原発廃止の主張の正しさをきっちりと裏づけ、実証する結果となっています。
 2013年、原発ゼロにむけて決定的な一歩を記すために、原発即時停止の大きな声を一緒に安倍政権に届けましょう!!





墨田教組 2013年度行事予定 
   確実に予定に組み入れてください。
 組合総会 4月24日(水)  4月第4週
 女性部総会 5月22日(水)  5月第4週
 教研集会 6月26日(水)  6月第4週
 教研集会 10月23日(水) 10月第4週



週刊墨教組 No.1700          2013.2.4


反戦平和のとりくみを
    東京大空襲を知り、つたえよう


 今年もまた三月一〇日がやってきます。一九四五年三月一〇日、墨田・江東を中心とした東京下町は、米軍のB29による無差別絨毯爆撃で火の海と化し、一夜にして十一万五千人の尊い命が焼土に埋もれたのでした。東京大空襲は、広島・長崎の原爆とともに、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材と言えるでしょう。下町の街かどに安置されたお地蔵さんや追悼碑に、花を供える方々も年々高齢化し、空襲の傷跡もほとんど無くなりました。しかし、私たちはあの「地獄の炎」を決して忘れません。
 「教育基本法」が改悪され、憲法改悪を目論む国会議員が多数を占めるようになりました。「大日本帝国」をも含めて「美しい国」と一括りにし、復古しようとする総理が蘇りました。敗戦から六八年、「戦争」とその反省が歴史のかなたに追いやられ、歪曲されようとしている今日、「東京大空襲」を自ら学び、子どもたちへ語り継ぐことは、私たち教員の課題と責務です

過去を忘れてはならない
  過去を知らなくてはならない
 私たちにほんの少しの想像力があれが、六八年前、この墨田の夜が炎上し、その中で多くの「ヒト」がもがきながら死んでいったことを理解できるでしょう。私が毎朝通勤する通りにも六八年前の熱さとおびただしい死が幻視されます。それは極めて近い過去なのです。過去にあった戦争を恐れ、今戦争に向かうものを怖れているだけでは、「彼ら=死者」を遠ざけるだけです。そして私たちは振り返らない過去を繰り返すことになります。そうならないために、私たちはその夥しい無念の死者と、そして過酷な生を生きる生き残った人々と「つながる」必要があります。その生と死を「継ぐ」必要があります。

オスプレイ配備反対・基地の廃棄
 日米安保に基づいて、沖縄に驚くほどの軍隊と施設が置かれています。かつてここからはベトナムに多くの兵員や兵器を送り込まれ、また「共産圏」との最前線と位置づけられてきました。冷戦構造が終わったとはいえ、新たな戦争をアジアで繰り広げるアメリカは、沖縄という「安価な」軍事基地を手放そうとはせず、日本を巻き込んで再編強化をしようとしています。普天間基地移転は民主党政権は茶番劇で、新たな政権は「固定化」で済まそうとしています。オスプレイ配備・危険な訓練を、沖縄の人々は満腔の怒りをもって拒否しています。
 私たちは1月27日、沖縄県内全41市町村長・議長・県議一五〇人を迎えて行われた日比谷野音集会・銀座デモに参加しました。今の戦争をほっておいて東京大空襲を悼むことはできません。

教え子を再び戦場に送らない
 いかなる口実があろうとも「殺す」という行為を私たちは否定します。「○○国の脅威」「領土問題」「在外邦人保護」「テロとの戦い」など、どのような理由をつけようとも、それは戦争の言い訳にもなりません。日本のアジア侵略もアメリカのイラク「制裁」アフガン「駐留」(という名のテロリズム)」も「正義の戦争」でした。「殺す」ことを肯定したときにあらゆる口実が湧き出てくるからです。
 なによりも、まず、平和を。子どもは「お国のため」にあるのではありません。
 私たちの先達は、戦後、教育が国家の僕とされ・教員が軍国主義の手先となったことの反省を元に日教組を結成しました。そして、平和を希求して、「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンが生まれました。これからも政治状況がどう変わろうとも、その精神を受け継がなければなりません。自分たちの職場で、『二度と戦争をさせない』とりくみを進めなければなりません。

原発事故は「戦争」状態
 核分裂の災禍を三度も四度も受けながら、とうとう日本は破局的な原発事故を起こしてしまいました。これまで原発労働者を含む主に緩慢な死傷が、密かに進行してきました。広島型原発37個分の放射性物質を放出した事故により、今、東日本を中心に大量の死傷の可能性が現実のものとして厳と存在します。人のもたらした大量の死傷という意味で、これはまさに「戦争」です。そして「安全・大丈夫・勝っている」というデマゴギーも、また多くの人々が、「言いたいことを言えない」状態もまた「戦争」と同じです。
 今、各地で文科省「放射線の話」で「放射線安心教育」を展開しようとしています。私たちは、「わくわく原発ランド」を使わなかったように、「このような冊子を使わないでしょう。しかし、それだけでは不十分です。その実態をとらえ子どもたちが自分の頭で考え選択できるような学習を積極的に用意しなければなりません。

組織的な平和教育のとりくみ
 墨田教組は、反戦平和教育の重要な課題として位置づけ組織的にとりくみを進めてきました。一九八八年からは、特に「三月十日」をひとつの節目に設定し、墨田の全学校で反戦平和教育の実践が行われることをめざし、墨田教組として統一的にとりくみを進めてきました。三月十日の前後には、特設授業や全校児童集会等々様々な形で、平和教育のとりくみが各学校で実践されています。このとりくみは、東京大空襲で壊滅的被害を受けた墨田におけるという意味で、地域に根ざした教育の一環でもあります。
 また、墨田区も「平和メッセージ」や「折鶴」によるモニュメントづくりにとりくんでいます。すみだ郷土文化資料館には東京大空襲の常設展示もあり、また研究も進んでいます。講師紹介など学校からの相談にものってくれます。私たちは、「戦争を拒み平和を希求する」人々と手を携えて進んでいきます。
 私たちは、今年も三月十日を節目とした平和教育特設授業のとりくみを進めます。


 戦後60年の05年3月。墨田区の都慰霊堂で法要に出席した陶芸家の三橋俊治(69)(三鷹市)は、1枚のチラシを受け取った。狩野の展覧会が港区の六本木ヒルズで開かれているという。
 会場で1枚の絵にくぎ付けになった。隅田川を埋める死体の手前に、男性に背負われた小さな子供。あの日、狩野が「幻か」と思った光景を描いた作品だった。「これは私です」。三橋は狩野に語りかけた。涙がとめどなくあふれた。

 あの夜、父は火勢を逃れるため、4歳の三橋を背負って川に飛び込み、係留用のクイにつかまった。満潮で水かさが増し、父が三橋を守るため、しがみつこうとしてきた人たちをけ落としたことを後年、知った。
 「自分は間違って助かったのではないか。みんなと一緒に死ぬべきではなかったかと長い間、悩んでいた」と三橋は言う。だが、この絵と出会って、封印していた記憶を人前で語るようになった。「狩野さんの絵のように、私は文章で空襲の体験を残したいと考えているんです」と話す。

 狩野も言う。「つらい体験を話せない気持ちはよく分かる。でも、僕は歴史の一コマにならないよう、訴え続けようと思います」
 狩野と三橋は、将来に向けてメッセージを送り続けている。(敬称略。石川純 36歳)
(2010年3月8日 読売新聞)



署名協力のお願い
<福島原発事故に関し、厳正な捜査・起訴を求める署名>

署名趣意書より
 福島原発の事故は16万人がいまだに家を追われ過酷な避難を余儀なくされ、亡くなった人たちもいる巨大な事故です。人が作った物(原発)によって人々が甚大な被害を受けながら、政府も自治体も東京電力も誰一人刑事責任を追及されていません。福島原発告訴団は、こうした不公平・理不尽さに危機感を抱き、加害者である国や東京電力、原発を安全と宣伝してきた学者の刑事責任を問うため、2012年3月に発足し、6月に福島県内被害者・避難者1324人による第一次告訴、11月に全国の被害者1万3千人余を集めた第二次告訴を行いました。
 この告訴・告発を検察がどのように取り扱うのかに世界が注目しています。
 巨大な事故を引き起こした政府や企業が何の責任も問われなければ、法治国家としての土台は崩れ去り、日本社会の信頼は損なわれることになるからです。私たちはこの国の主権者として、国の捜査権限が公権力と癒着した企業犯罪を裁くために正しく行使されることを求め、社会正義と人々のいのちが最優先の価値とされる日本社会を構築することを目指すものです。
 福島・東京各地方検察庁に対して、「告訴・告発を真摯に受け止め被告訴人に対し強制捜査を含む厳正な捜査・起訴を行うこと」を要請する署名です。
 福島原発告訴団http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2013/01/blog-post_17.html
 
 墨田教組では各職場に署名用紙をお送りします。必要なら増し刷りして職場・地域・家族での署名にご協力ください。
 下記でネット署名もできます。紙署名と重複しないようにご注意ください。
https://docs.google.com/spreadsheet/viewform?formkey=dG1JOE5UbUtFNHBIY3dVQndVS1NvRGc6MQ&theme=0AX42CRMsmRFbUy0zODZjNDJiNy03M2Q4LTRmYWItYTNiMy05OTM4NDgwYmM3MTY&ifq



東京地検包囲行動
2月22日(金)
 16:00〜 東京地検前
 17;30〜 東電本社前
 18:30〜20:00 国会・官邸前金曜行動に合流
東京地検に私たちの「本気」を伝えるために



週刊墨教組 No.1699           2013.2.4

勤勉手当の成績率導入、教諭まで拡大さる
  隣で働く仲間から奪い合わせる最悪制度
職場の「共働」を破壊させるな!
撤回めざして全職場から闘いを!! 
今年度末業績評価が基礎資料となる
ガンバッタあなたの自己採点(自己評価)は「A」か「B」


 差出人不明・日時不明の文書「職員(教員)の皆さんへ 職員への成績率の導入について」が出回っています。詳細に説明された職場もただ配っただけの職場もあるようですが、どう説明されても理解できません。職員の誰がこの形で「努力やがんばりにきめ細かく応え」てくれと言ったのでしょうか? 「業績を適切に反映できるように」というが、私たちの「業績」なんていうものは個人に還元されるようなものではなく、職場や区・都・全国の教職員・人々の協働によって成り立っているものです。
 そもそも、すでにこの「奪い合い制度」が施行されている管理職に聞けばいいのです。「あなたは『努力やがんばりをきめ細かく応え』てもらっていてうれしいか?」と。校長は、「良い」と答えれば「そうか、あなたは人から奪わないと報われたと感じない人なのだ」と軽蔑されるし、「良くない」と言えば「ではなぜあなたは反対しないのだ、『部下』に拡大するのを止めようとしないのだ」とその勇無きを指弾されるでしょう。
 しかし、私たちは校長に肯定も否定もすることができない難問を投げかけることはしません。なぜなら、彼らは、「先行する被害者」だからです。私たちにこれを拒否するだけの力がなかったように、彼らにも力がなかったからです。まだ「勤勉手当(ボーナス)」において「私たちに害をなした者」ではないからです。共にこの非人間的な制度を撤回させる人々だからです。

下劣な制度
 この制度が極めて下劣であることは誰もが理解していることです。
 第一に、共に力を合わせて職場・学校を創るべき同僚が、互いに「個人の業績の対価」を求めて奪い合うという意味において。ボーナス明細が渡された後の職員室の「いや〜な雰囲気」が想像されます。「ああっ、盗られた!」「しょうがないなあ…」などとおどけられる者はまだいいかもしれません。そっと場を外れなければならない方が四〇%いるのです。その心中や如何? あるいは四〇%だから、「やったあ!盗ったぞ」となるかもしれません。あるいは、この件に関して誰も何も言わないかもしれません。職場はいよいよ物言えぬ「外面の場」になっていきます。反対の声をあげましょう。
 第二に、「原資」と称して、人のボーナスを取り上げて勝手に配分するところです。「みなさんのやる気を出すために目の前に金をぶら下げますが、それは管理職のポケットから出ています」とでも言うのならまだしも、私たちが受け取るべき金を「拠出」させられるのです。他人の財布に手を突っ込むな!
 第三に、ギャンブル性が高いこと。これまでも「やる気を出させる制度」として「特別昇給」「特別手当」制度がありました。それらは、昇給短縮・手当支給で定率・定額でした。いわば「宝くじ一等〇億円」のようなものです。今回の制度では(詳しくわかりませんが)、奪われる金額(割合)とランク付けされる人数(割合)は明示されていますが、さてそれでは「上位の者が受け取る金額(割合)(『加算額』と書いてあるが、以下『分捕り金』という)はどれほどなのか?は書かれていません。これは、「上位・中位・下位」の個人が確定してから決まるのでしょう。「下位者」から6%奪うのですから、その「下位者」の給料が何級であるかによって「奪う額」が変わります。「拠出金」総額がわかり、それを上位者の分捕り金として配ることができるからです。つまり、額も率も事前に知ることはできないのです。
 いやあ、どきどきします。できれば給料表の高い方が「下位者」になりますように…。そしてもし「率」ならば、給料表が私より低い方が「上位者」に多くいますように…。
 「宝くじ」がいいとは思いませんが、これは「ルーレット」「賭場」と同じルールです。教育公務員は堅い商売だと思って就いたのですが…。
 第四に、「賭場」「ルーレット」であれば、インチキがない限り私の分捕り金は「賽の目」「玉の気分」に委ねられます。このシステムでは分捕り金・フンダクラレ金は「評定者の目」「王の気分」によって決められます。校長が決める賭場です。「さあ、はったはった」…。
 サイコロで決めてもらった方がより良いかもしれません。あるいは「サイコロで決まるように決めてもらった方が良い」というべきです。校長の決断は重大です。

年度末「業績評価」は極めて重要
 その基礎資料となる今年度末の「業績評価」は極めて重要です。「私」に対する業績評価は必ず開示させましょう。それが制度です。
 その前に、「自己申告書」の「自己採点(自己評価)」があります。
 「謙譲の美徳」や、「これだけへりくだったらAをつけていただけるだろう」なんていう「日本的阿吽の呼吸」は全く無効です。「業績評価―自己申告」なんて制度にはそんな発想はありません。図々しく押しが強くうまく付け入った方が勝ちというのがこの制度の肝です。
 校長は「C」を一定割合「つけなければならない」ようです。しかし、「C」をつけるにはそれなりの「理由」が必要です。大嶽裁判判決によれば、「C以下の評価をするについては、その根拠として相当な事実が存在することが必要であり…評価権者側においてその存在について主張立証責任を負う」としています。
 また、年度末にふりかえって「まあ、あいつはCだな…」ではだめです。その時に「C」である事由を見つけ「指導」したにもかかわらず「改善」されなかったという事実を「立証」しなくては「C」にはできないのです。

自分で「C・D」つけたらだめ
 しかし、「とっても便利な方法」があります。それは、「本人が私はCだった」と自己評定する場合です。これによって「具体的事由」は「本人がそう言っているから」となります。本人が言ってるんじゃあ仕方ないか…。
 校長の中には自己評価に対して、「え〜、あなたみんなAなの〜?! 自信ありすぎ〜〜〜!!」と嫌味を言う方がいるかもしれません(確実にいるでしょう)。「全部B? Cだって『普通』の中なんだから少しはつけたら?」とも言うでしょう。※1 
 反論は簡単です。「私は私なりに精いっぱいやりました。(あなたみたいな管理職と一緒に我慢強く仕事する)自分で自分をほめてあげたい。それに、私は校長のように『評価者訓練』を受けていません。あなたは公正な評価ができるかもしれませんが受けていない私にそれを求めるのは無理です。『自己評価をしろ』とあるので『自己評価』をしているのです。それとも、あなたが私の『自己評価』に介入してもいいと、『評価者訓練』で指導されたのですか?」  
 何と言われても、絶対に自分で「自己評価」に「D・C」をつけてはなりません。
 この件に関して、校長の不審な行動があれば組合にご連絡ください。区教委に交渉しつつ、この制度をより害の少ないものにしていきます。
※1 以下、伝説です。ーかつて墨田区教委は多くの教職員の業績評価をB以上にして都に具申していたようだ。が都から突き返されてCをつけざるを得なくなった。翌年、職員の業績評価をB以上にして区に出していた多くの校長は今のような嫌味を区に言われたそうな。校長は職員の「あら探し」と「(いじめても良い)弱い者」を探し始めたと。そして今、自分が区に言われたのと同じ嫌味を言って教員にCをつけさせようとしているー  ほんとかな?「心ならずも・無責任の連鎖」というべきものです。唯一、「C・D」をつけた教職員の心だけ確実に実現します。責任を全うできます。自ら「C・D」をつけるかそれを拒否するか、責任を他者に転嫁することは私たちにはできないのですから。

紹介
部落解放墨田区民共闘会議 第20回総会
2月18日(月) 午後6:30〜
墨田区社会福祉会館
7時より記念講演
 海野敦彦さん(小学校教員)
 皮革と油脂の学習
  「よみがえった黒べえ」を教材として
交流会もあります。

福島に寄り添う2.22集会
  福島から避難したお母さんのお話を聞く集い
     ー放射能から子どもを守りたいー
 福島原発事故の収束の兆しが見えない中、多くの母親が我が子を放射能から守るため避難生活を余儀なくされています。家族との別居、経済基盤の崩壊、子どもの教育や健康問題などその生活は困難を極めています。自主避難化強制避難下でも分断があります。2月の学習会では東京に母子避難してこられた「ましこりか」さんにおいでいただき、避難ママたちのお話をしていただきます。
 2月22日(金) 18:30〜
 亀戸文化センター(カメリアプラザ)6階第3研修室
江東区亀戸2-19-1 亀戸駅北口2分
 お話 ましこ りかさん
   「つながろう!放射能から避難したママネット」代表
 主催:さよなら原発一千万人署名江東実行委員会

狭山事件の再審を求める東京集会
 部落差別にもとづく冤罪「狭山事件」は、2013年5月1日で、事件発生からちょうど50年目という節目の年を迎えました。再審を求める闘いは今年2013年とりくみの正念場であり、最大の山場を迎えると考えられます。血痕反応検査報告書をはじめとした重要な証拠の開示、事実調べの実現など再審に向けたとりくみを強化しなければなりません。
 これまで足利事件や布川事件で再審無罪の確定と、昨年の東電女性社員殺害事件で再審が決定するなど冤罪や裁判制度に対する関心も高まっています。また、冤罪を防止し誤判を正すための「公正な証拠開示」と「取調べの可視化」に関する法律を求めるとりくみとも連動し、狭山再審の世論を一層盛り上げていくことが重要となります。
 全都をあげたとりくみとして東京集会が開催されます。集会への参加を呼びかけます。
2月20日(水) 18時30分から
台東区民会館ホール 台東区花川戸2−6−5
  東武・東京メトロ浅草駅下車 徒歩7分
 主催者あいさつ、狭山弁護団報告、
 冤罪当事者からのアピール、家族からの訴えなど

学校生協協賛東北復興支援企画にご協力ください
@被災地生産の商品を購入することにより、東北で働く人々の支援の一助とする
A売り上げの10%を福島の子どもたちに送る。
2月25日まで行っています。詳しい商品チラシなどが必要であれば、墨田教組か東京教組にご連絡ください。



週刊墨教組 No.1698      2013.1.28


卒業証書
 保護者からの申し出があれば西暦年号記載
     ー卒業生の全保護者へ周知ー

 卒業証書の生年月日や発行年月日の年号記載にあたり、「元号」で表記するか、「西暦」で表記するかに関し、墨田区・墨田区教委の基本的な方針は、次の四点です。
1.元号使用が原則
2.保護者からの申し出があれば西暦記載が可能
3.外国籍の子どもについては、生年月日、発行年月日、氏名の表記について確認し、保護者からの希望があれば、その意志を尊重する。
4.このことについて、卒業生の全保護者に周知する。

 この方針は、思想信条の自由等の人権を尊重する立場、さまざまな価値観や文化を有する多様な人々と共生する墨田を築くという立場に基づいて明らかにされたものです。

人権尊重や国際理解は、
具体的な実践が大切
 多くの小・中学校では、従来から各校ごとにお知らせや保護者会などで、当該児童・生徒や保護者に「西暦記載も可能である」ことを知らせてきました。
 区教委は、定例校長会で「卒業証書の元号使用について」墨田区・区教委の基本的な考え(上記四点)を例年明らかにしています
 人権尊重や国際理解教育は、具体的な実践こそが大切です。昨年度、保護者への周知がなされたか、疑わしい学校があります。「保護者への周知」がすべての学校でなされ、児童・生徒、保護者の意志が尊重されるとりくみを強めていきましょう。


地方公務員退職金削減「騒動」
  「駆け込み退職」は「無責任」か
  制度に則って行動することを非難するのは自己矛盾
三月末までの勤務を「強制」することは犯罪だ


各地で「駆け込み退職」
 連日、地方公務員退職手当削減による「駆け込み退職」のニュースが新聞などに載っています。珍しくこれに対する報道各社・投稿の論調は、五分五分?
 昔、教師は「聖職」か「労働者」かという論争がありました。なんとなく誰も話題にしなくなりましたが、初めから「教員は労働者」に決まっています。ほとんどの教員はその仕事を毎月の給料と交換して生きているからです。もし、「労働者ではない」というのなら、時に給料を受け取らない・・・ぐらいのことをしなくてはなりません。

「無責任」なのは制度設計
 埼玉県の教員は、退職手当条例変更により、三月退職だと「月給約四〇万円とすれば退職金が約一五〇万円の減額となる。1月末で退職すれば、2?3月分の月給約八〇万円を除いても約七〇万円多くもらえる」というのです。
 人を働かせる時に、給料(労働の対価)を支払わなくていいことは「資本主義社会」にあっては、ありえません。今「駆け込み退職する教員・警察官は職業倫理が足りない」と主張する者は、ここが全くわかっていないのです。
 今回の「駆け込み」という事態において、誰も不正をしていません。ルールに則って行動しています。それで「不都合」が生じるのなら、責任は制度設計者にあります。教員。警察官は人がいいから 百万ぐらい退職金が減ってもガタガタ言わないだろう・・・とナメたところに責任があります。

これは犯罪だ
 人を只で働かせることはできません。まして、「二か月働いたら労働者が使用者に八〇万支払え」などということはありえません、こんなことを強制すること・「無責任だ」と非難することは犯罪です。年度内に退職金引き下げをした自治体は「犯罪企業」「ブラック企業」に成り下がっています。
 ところで、私たち東京の教職員は、「駆け込み」すらできないように縛られています。※1。埼玉では、二か月働かなければ給料分の八〇万が受け取れず、東京は三月まで二か月働いて退職金八〇万減額です。東京の今年度退職者の二・三月の労働とは一体何でしょう。「巧妙でアコギな制度設計」です。


 ※1 ◇東京都は条例で縛り
 総務省は全国の自治体に国と同様の引き下げを求めたが「自治体が条例で定めるので時期は求めにくい」(自治行政局)と実施時期の要請はしなかった。
1月1日から退職金を引き下げた東京都では、教職員らの「駆け込み退職」は起きなかった。都職員は84年施行の条例で、60歳を過ぎた最初の年度末まで働くと「定年退職」、その前に辞めると「自主退職」になると定めている。両者は退職金の支給額が異なり、35年以上勤務した場合の差額は給与の約9カ月分。今回の引き下げで、今年度の退職金は約80万円減額されたが、それを差し引いても定年まで勤め上げた方が受け取れる額は多くなる計算だ。都人事部は「条例は団塊世代が年度途中に大量退職するのを防ぐ趣旨があったと思われる」と話している。【石丸整、清水健二】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130125-00000138-mai-soci

2013年
 子どもの権利条約カレンダー
 月毎に世界各国の子どもの写真
 墨田教組名入り  
 電話・ファックス番号入り
分会に1部ずつお届けしました。
分会で活用してください。
なお、ご希望の方には
  一部1000円でお分けします。


転載 パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2
 今、東京の教育と民主主義が危ない!!
 東京都の元「藤田先生を応援する会」有志による、教育と民主主義を守るブログです。http://wind.ap.teacup.com/people/7120.html#readmore 2012/12/12
<2012年>東京都教育管理職選考結果データと考察 

 Y暴走する都教委
 ◆ 12年前の制度「改正」の大失敗、傷口さらに深く   教育管理職倍率1.1倍、過去最低。受験者数も過去最低、10年前の5分の1。
 【教育管理職】
 2002年には、2000人を上回っていた受験者数が、とうとう500人を割ってしまった。06年の「半減」も話題になったが、今年はそのまた「半減」。倍率も過去最低で1.1倍台。
 とりわけ当時鳴り物入りで導入された「A選考」は、受験者数が10年に100人を割ったと思ったら、今年はあっという間に18人まで激減。去年から推薦制を追加して校長に無理矢理推薦させて辛うじて受験者数を確保している状態だ。
 導入から12年一貫している衰退傾向は、制度設計の間違いが覆い隠しようもなく露呈しているとしか言いようがない。現場の実態と乖離した制度であることは明らかだ。
 《教育管理職選考》
 A選考(若手登用)行政管理職又は学校管理職の候補者を選考
 B選考(中堅登用)原則として学校管理職の候補者を選考
 C選考(ベテラン登用)即任用する学校管理職を選考(応募者数減を補うため06年から導入)

【校長職】
 08年から受験者が1,000人割れ、低倍率の傾向は変わらない。
 いかに、団塊の世代退職期とは言え、かつて10倍前後の高倍率だったことが嘘のような不人気ぶりだ。給料半額の「再任用校長」が中学校から増えているそうだが、教育の質への影響が懸念される。
【主幹級職】
 不人気校の入試並みの、定員割れ・二次募集が08年から続いている。導入時最初の2年間を除いては、倍率が1.1倍を超えたことがない。
 慢性的な欠員状態。完成予定年度は、小中学校が07年、高校が09年だったが、充足率は6割〜7割にとどまったままである。
 自発的に主幹になろうとする者(区分A)が年々減少して、校長の推薦(区分B)で不足分を補ってきたが、08年からはその数が逆転していた。10年は区分Bが全員合格。11年からは区分自体が消えてしまった。
 受験対象年齢を下げたり、小中の必置主幹数を減らしたり、二次募集をかけたり、校長推薦制を導入したり、あの手この手のテコ入れも、根本的な不人気状態には焼け石に水でしかない。
 東京都の制度設計の誤りは、10年経って益々顕著になってきている。他府県は、この実態からよく学ぶべきである。

 ◆ 管理職任用制度が大幅に改正(※1)されたのが、2000年選考からだった。
 ※1『教育管理職任用制度の改正について』(平成11年6月10日 一一教人勤第四七号)
 現行の二系列の選考は、選考合格後、それぞれの系列間での人事交流が少ないため、教頭・校長選考合格者は、学校の慣例・慣行等にとらわれずに幅広い視野に立って問題解決を図る能力が十分培われにくく、指導主事選考合格者は、学校の実情を踏まえた経営指導が十分に行われにくい等の問題がある。また、教育現場と都教委の相互理解が不十分となりやすく、教育行政の施策の企画・立案やその浸透がスムーズにおこなわれにくい等の問題がある。
 そのため、現行の二系列の選考制度を教育管理職選考として一本化し、比較的に若い層を対象としたA選考と中堅層を対象としたB選考を設け、受験機会の拡大を図るとともに、選考合格後管理職として任用されるまで、A選考は五年間、B選考は二年間ジョブ・ローテーションや管理職候補研修を行うことにより、管理職としての資質を身につけるとともに、適材適所の人材配置をより一層推進していく。
 『教育管理職任用制度の改正について』(平成11年6月10日)
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/kohyojoho/reiki_int/reiki_honbun/g1012494001.html
 現場のニーズとかけ離れた「上から目線」の「改革」がこの頃から顕著となり、2003年の「10・23通達」から現場の雰囲気は激変していく。教育管理職選考へ自発的に応募する者の数が目に見えて減り始めた。
 そもそもが、制度設計の誤りだから、小手先の手直しも焼け石に水で、何年経っても改善の兆し無く、逆に年を重ねる毎に応募者数・受験倍率とも坂道を下る如く右肩下がりの低下の一途をたどってきた。
 2002年から導入されて、未だ未充足が続く「主幹制度」の失敗も明らかである。
 こんな無残な人事政策上の「失敗」は、都政史上稀であろう。

 あきれたことに、昨年11月に公表された『これからの人事制度の基本的方向』は、これまでの誤りを根本的に正すどころか、懲りもせず失敗してきた既定路線をさらに強化する硬直しきった内容でしかなかった。案の定、今年の教育管理職選考試験も沈みきったままで、このままではこの先10年、さらに深みにはまっていくことは避けられそうもない。

 現場のニーズは、「上意下達」(受験者を上司が推薦ないし任命する)や「利益誘導」(上に厚く下に薄い賃金体系)にはないのに、今以上にその方向を強化しようとしている。これでは逆効果で、さらに傷口を深めることにしかならない。
 それでは正しい解決の道はどこにあるのか。それは、下からの自発的活力、現場のモチベーションを回復させることである。現場のモチベーションは、「上意下達」や「利益誘導」ではなく、「信頼」と「自由」と「協働」とからしか生まれない。
 「階層制の細分化」「人事考課制度」「挙手採決禁止」「10・23通達」など2000年前後から一方的に導入してきた、現場への不信感に根ざす上意下達の権力行政や個人間の競争を煽るような政策が停滞の根源であり、それを改めない限り、モチベーションの向上、学校組織の活性化、能力・資質の向上はありえない。
 教員のインセンティブは、「賃金」や「昇進」ではなく、子どもの成長・人格形成に寄与できた時の喜びにあることに教育行政担当者が気付かない限り、悲惨な人事政策の失敗は果てしなく続き、その弊害は公立学校に学ぶ子どもたちに及んでいくだろう。





週刊墨教組 No.1697         2013.1.15

弾圧したのは 歴代「美しい政府」ではなかったか!?
朝鮮高等学校を「高校無償化」制度から排除する理由は
 一〇〇%政治的!!
朝鮮高校の無償化も実現しよう!


 新政権は、朝鮮学校を高校無償化の対象から外す方針を決めました。あまりにも「政治的」な決定です。というよりも、「「政治」を口実にした「差別助長」的な決定というべきでしょう。
 私たちは、この地に暮らす全ての子どもたちが「日本政府」(=ここに暮らす私たち全ての大人)の援助を十分に受けて育っていくことを願っています。

 歴史的に政治に翻弄されてきた彼らが、今また差別を強いられています。
 私たちは、二月に開催される墨田朝日友好親善の集いをはじめ、教育交流の集いに参加しています。
 多くのみなさんが、「アムネスティ声明」を精読され、朝鮮高校無償化の行動を起こされることを訴えます

http://www.amnesty.or.jp/news/2013/0110_3737.html
アムネスティ 日本支部声明 2013年1月10日
朝鮮学校の子どもたちに
  無償化制度を適用すべき
 去る2012年12月28日、下村博文文部科学大臣は記者会見において、拉致問題に進展がないことおよび在日本朝鮮人総聯合(朝鮮総連) との関係を理由に、朝鮮高級学校 (以下、朝鮮学校) をいわゆる「高校無償化」制度(注1)の適用から除外すると表明した。アムネスティ・インターナショナル日本は、今回の決定が、「政治的判断に基づき、特定のマイノリティ集団に対して教育の権利を制限する」という、日本も批准している複数の国際人権条約に違反する差別的政策であることに強い懸念を表明する。

 2010年3月に関連法が成立して以来、民主党政権下において、朝鮮学校への無償化適用は政治的判断により実施時期を先延ばしにされてきた。今回の政府の決定案によれば、朝鮮学校の指定の根拠自体を削除する省令改正等を実施するとしている。

日本政府は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)13条2項(c)に基づき、高等教育の無償化によって、すべての人びとに教育の機会を均等に保障するという国際法上の義務を負っている (注2)。日本政府は、社会権規約2条2項に基づき、自国内のすべての人びとに対し、教育の権利を無差別および平等に保障しなくてはならない(注3)。拉致問題や外交関係上の問題、および朝鮮総連との関係という政治的事情に基づいて、子どもの教育に対して差別的取り扱いをすることは許されない。

日本国内における高等教育の無償化は、朝鮮学校と同じ、学校教育法上の「各種学校」に属するいわゆる「外国人学校」やインターナショナルスクールに対しては、すでに無償化の適用が行われている。にもかかわらず、国際法において正当化され得ない政治的理由に基づき、朝鮮学校への適用を除外する今回の決定は、社会権規約第2条および第13条に違反し、人種差別撤廃条約が禁止する、民族的な出身に基づく「人種差別」にあたると考えられる 。

国連の人権諸機関は、日本政府に対し、マイノリティ集団の教育の権利に対する差別的な取り扱いについて繰り返し懸念を表明してきた。

 とりわけ、人種差別撤廃委員会が2010年に実施した日本審査の総括所見において、委員会は、子どもの教育に差別的影響を与える行為として、、「締約国に居住する外国人、韓国・朝鮮出身者の子孫および中国出身者の子孫のための学校が、公的支援、助成金、税の免除に関して差別的な取り扱いを受けていること」、「高校教育無償化のために現在提案されている立法提案から朝鮮学校を除外するという政治家発言」を明記して懸念を表明している。(パラグラフ22 の(d)、(e))

人種や皮膚の色、民族的な出身、あるいは政治的意見やその他の意見などにかかわらず、人権を無差別および平等に保障することは、日本政府に課せられた国際人権諸条約の中核的な義務である。下村文科大臣は、朝鮮学校への無償化適用について、「国民の理解が得られない」と発言しているが、人権の保障は、「国民の理解」の有無にかかわらず履行しなければならない国家の重大な義務である。日本政府はむしろ、すべての人びとの人権が保障される社会の実現に向け、社会全体の理解を促進しなければならない。

 日本政府は、人権諸条約の理念と原則を十分に理解し、各委員会からの勧告を真摯に受け止め、朝鮮学校を高校無償化の対象に含め、ただちに無償化を実施すべきである。

 また同時に、社会権規約13条に基づき、すべての人びとに対する高等教育の無償化を差別なく実現するという観点から、現時点で無償化の対象となっていない教育機関(例えば、「各種学校」とされていない「外国人学校」やフリースクール、NPOが運営する学校など)に通う子どもたちも対象に含めるべきである。

背景情報
特定の国家との外交関係を理由として、自国内のマイノリティ集団に属する子どもたちの教育の権利について差別的取扱いを行う決定は、国際法上の人権保障義務に違反するものである。

社会権規約委員会は、その一般的意見8(注4)において、国連決議に基づく経済制裁のような場合でも、関係各国は子どもを含む一般の人びとの経済的社会的および文化的な権利を保障する義務を負うと指摘している 。さらに同委員会は、一般的意見13(注5)において、高等教育に対する権利について、「いかなる禁止事由による差別もなく、法律上も事実上も、すべての者にとって、特に、最も脆弱な集団にとってアクセス可能でなければならない」と指摘し、高等教育は個々人の能力に応じて均等に与えられるべきであるとして、政治的理由に基づく差別的取扱いを認めていない。

 また、子どもの権利委員会、自由権規約委員会からも、それぞれ2010年、2008年に同様の懸念が表明され、日本政府に対して朝鮮学校を含む外国人学校への公的支援の拡充など、具体的な是正措置を勧告している (注6)。

特に、子どもの権利条約は、その第2条において差別を禁止し、子どもや保護者の人種や皮膚の色、政治的意見やその他の意見などにかかわらず、 いかなる差別もなしに条約に定める権利を尊重し確保することを締約国に要請している。

今回の決定は、こうした人権条約の規定や国際人権機関からの勧告を無視し、マイノリティ集団の教育についての差別的取扱いを公然と行うものであり、人種差別撤廃条約が禁止する「人種的憎悪及び人種差別の正当化・助長」(4条)に該当する疑いが強い。
(注などは省略しました 引用者)

注1:正式には公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律

注2:社会権規約第13条2項(c)「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」

注3:社会権規約第2条2項「この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。」

注4:一般的意見第8 「経済制裁と経済的、社会的及び文化的権利の尊重との関係」
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/CESCR_GC_06-08j.pdf

注5:一般的意見第13 「教育に対する権利(規約13条)」
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/CESCR_GC_13-14j.pdf

注6:
・自由権規約委員会 総括所見(2008年)
パラグラフ31「締約国は、国庫補助金の増額並びに他の私立学校への寄付と同様の財政上の優遇措置を朝鮮学校への寄付に適用することによって、朝鮮学校に対する適切な財政的支援を確保すべきであり、また朝鮮学校の卒業資格を即大学受験資格として認めるべきである。」

・子どもの権利委員会 総括所見(2010年)
パラグラフ72「委員会は,中華学校、韓国・朝鮮人学校及びその他の出身の児童のための学校が不十分な補助金しか受けていないことを懸念する。」
パラグラフ73「委員会は、締約国に対し,外国人学校に対する補助金を増額し,大学入学試験へのアクセスが差別的でないことを確保するよう慫慂する。」

http://www.amnesty.or.jp/news/2010/0311_1138.html
日本:朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象に

2010年3月11日 [NGO共同声明] 国・地域:日本 トピック:子どもの権利
内閣総理大臣 鳩山由紀夫 様
文部科学大臣 川端 達夫 様

<NGOと市民の共同要請>
私たちは朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象とすることを求めます



紹介 映画『バレンタイン一揆』


 「バレンタインデイ…下らない」 オジサンおばさんは平気でそっぽを向く。「GIRI」「習慣」「慣習」の名の下うんざりとチョコレートをかきまわしている人(子)がいるかもしれない。もちろんウキウキしていたって構わないのだが…。
 それにかかわりなく、この時期のチョコレートは年間売り上げの12%を占めます。そして、その裏にはウキウキでもウンザリでもソッポでもない、リアルな行為があります。
 「バレンタイン一揆」 3人の女性の一人Fさんは、私の旧くからの友人の娘さんです。若い世代が私たちができなかったことをすることを見るのはうれしいことです。
 私たちも彼女らと同じように、これを機会に「過酷な児童労働」・「過酷な収奪」について考え、子どもたちに話すのもいいかもしれません。
 多くのみなさんに見ていただき、「バレンタイン一揆」を各所で打ち上げてもらいたいと思います。


作品紹介
 それは、児童労働の問題と出会い、悩み、闘った、日本の女の子たちの物語。
ガーナで児童労働の問題を知った、日本の普通の女の子3人は、動き出す。バレンタインに、チョコレートを通して、世界の問題について考えること。フェアトレードでつくられたチョコレートをちゃんと買うこと。それこそが、バレンタインにすべき、大切なことなんだ、と。そして、みんなでフェアトレードのチョ コレートを買う「バレンタイン一揆」というイベントを企画。
2月11日、「バレンタイン一揆」当日、彼女たちの想いはみんなに届いたのか・・・。
映画「バレンタイン一揆」に出演する3人の若者たちは、2011年11月に開催されたカカオ生産地の児童労働について学び、ガーナのカカオ生産地域を訪問する代表者を選ぶ「ACEユースアカデミー」で出会いました。これは、日本の高校生や大学生がガーナのカカオ生産地を訪ね、児童労働の現状を理解し、ガーナの子どもや若者との交流を通じ、世界で必要な取り組みを考え、実践することを目的とした「ユースがつなぐ、日本とガーナ」プロジェクトの一環で実施しました。
「ACEユースアカデミー」に参加し、代表者として選ばれた3人は、2012年1月7日から15日にかけて、ガーナのカカオ生産地域を訪問するツアーに出発しました。彼女たちはガーナで何を見て、何を感じたのでしょうか。
1997年、学生5人で立ち上げ、期間限定NGOとして活動をはじめたACE。知識も経験もない若者がアクションを起こし、色々な人の協力を得ながら、多くの人へ児童労働の問題を伝えてきました。そんなACEの活動の初心を大切にするため、多くの人に児童労働をより身近に感じてもらい、 児童労働をなくすためのアクション(行動)の一歩を踏み出してもらうために、彼女たちの取り組みを設立15周年記念ドキュメンタリー映画として広めていこうと考えました。



『バレンタイン一揆』
〜2013/1/25渋谷アップリンクで上映中
料金一般¥1,500 / 学生¥1,300(平日学割¥1,000) / シニア・UPLINK会員¥1,000
バレンタイン一揆実行委員会ホームページ
http://ace-fair-trade-cho2012.jimdo.com/
http://www.uplink.co.jp/movie/2012/4258


フェアトレードとは
会社が儲けるために安く買いやすく売るのではなく、生産者に正当な価格で取引すること
 わたしたちが普段やす〜く買っているチョコレート。その安さの裏には、カカオ農園で働くひとたちの貧困があります。
 貧困や児童労働は 遠い国で起きている関係のないこととして捉えがちですが、 私たちは消費者としてこの問題にかかわっています。
 だからこそ今、みんなでフェアトレードチョコレートを買いに行きましょう!!!!!




週刊墨教組 No.1696                     2013.1.8

「原発安全」政権ができても放射線量は減らない
 福島からは今でも十六万人以上が追われている
 今年こそ脱原発・反核を実現しよう
がっかりしている時ではない
 情報を集めること・危険を避けること
 私たちは「ダダ漏れ」に慣れてはならない


区内幼小中学校線量計測
 昨年末、墨田区ホームページに十一月に行われた区内幼小中学校線量計測の結果が出ていました。八広幼稚園の芝生と錦糸中学校の砂場で基準値を超えたため、「除染」「天地返し」が行われたとのことです※1。雨水タンクの底にたまった土は「一般廃棄物として安全に処理できる基準は八〇〇〇Bq/kg以下となっています」とどうもそのままのようです。ひどい話です※2。
 調べるたびに線量の高い場所が見つかります。それは当然のことでしょう。二〇一一年三月に墨田区に降った放射性物質は、水で流され風で吹き飛ばされたもの以外は定着して微妙に動き拡散し集積しているのですから。それに、他所から「水で流され風で吹き飛ばされたもの」がやってきているのですから。
 砂場以外は50cm高で測っているから基準値を超える所は少ないですが、砂場と同じように5cmで測れば、さらに次に述べる鹿沼市の基準(1cm高で計測)を適用すればもっとたくさんのホットスポットが見つかるでしょう。ホットスポットの発見は、「放射性物質をその場から取り除く」ことにつながります。私たちが強く主張していることです。


粟野の汚染
 栃木県内の汚染はかなりひどいもののようです。二〇一一年七月粟野で〇・二八μSv/hと初めてホームページに載せられた昨年夏より、私たちは区教委に「どうしてこの数値が『健康に影響がない』のか」、「ダブルスタンダードではないか」「栃木県での移動教室・体験活動を見直すように」と申し入れてきました※3。その後、私たちが見た範囲では区のホームページにあわのの線量は掲載されていませんでした。
 二〇一二年四月、「鹿沼市除染計画」が出されました。その七〜九ページ「航空機モニタリングの結果・空間放射線量測定結果」では上粕尾地区の高い線量が記録されていました。
 二〇一二年十一月二八日には鹿沼市ホームページ上に「観光施設の除染状況について」※4が、十二月六日には「鹿沼市除染計画第二版」が相次いで掲載されました。そこでは上粕尾地区の広範な範囲が「除染実施対象地域」※5とされる高線量地域であることがわかります。

※4・5 鹿沼市立小中学校・観光施設の除染状況
http://www.city.kanuma.tochigi.jp/12,20210,136,493.html
http://www.city.kanuma.tochigi.jp/9,20110,142.html

※3 放射線量が高いことから、栃木県以外の行先を確保すること。

←区教委回答「放射線量については日光方面を環境省が調査を実施したが基準値内であり、実施については放射線の影響はないと公表しているため、変更の予定はない。」

 日光市による10月放射線マップ※Aでは、日光市街から中禅寺湖にかけてほとんどが0.2μSv/h以上で、その半分ほどは0.3〜0.4μSv/hです。他区の施設を「使わせてもらっている」ために生じる「不具合」も起こっています。胸を張って「日光に行こう」とは言えません。各校は知恵を出すべきです。

 あわの自然学園も、七月に中庭・駐車場を二回ずつ測った結果は区ホームページに出ています。栃木県の調査によれば、上粕尾は0.3μSv/hを超えるところも多いようです※B。より細やかな測定はしていないのでしょうか。

 また、この間主張している清掃工場や最終処分場への社会科見学についても「わざわざ危険と思われるところに子どもを連れて行かない」という原則から慎重に検討すべきです。

※A 地表から50cmの高さ 路上や歩道などアスファルト舗装上 2011年10月測定http://www.city.nikko.lg.jp/kankyou/gyousei/jishin/documents/rdmap.pdf

※B 西北部における空間放射線量調査測定結果(H23.11.17〜22) http://www.city.kanuma.tochigi.jp/resources/content/17201/sehokubu-sokuteiti.pdf

週刊墨教組 No.1666 2012.3.20



区教委学務課は注視している
 昨年末、たまたま話す機会があった学務課に栃木県の状況を質してみました。ここに載せたような詳しい資料は提示できなかったのですが、およそ以下のような話をされました(聞き書きですから不正確です。詳しくは直接ご照会ください)。

 環境保全課から線量計を借りて、四月と八月に粟野に行った。施設・ハイランドロッジ・ハイキングコースの井戸湿原や象の鼻を回り、線量を計測した。墨田区の基準である五〇cm高で〇・二五μSv/hを超える所はなかった。
 あわの自然学園には簡易型線量計を置き管理人さんが定期的に計測している。裏の雨樋で〇・四μSv/hを計測したが直ちに除染した。
 日光方面は、五〇〇mメッシュで見ると。葛飾の施設がある西の方は低い。東部・霧降高原から鬼怒川にかけては高いようだが、江戸川の施設は計測したら大丈夫だった。戦場ヶ原もデータをとっている。線量が高くなれば、コースを変更したりすることも考えられる。
(二〇一二・十二・二六)

 私たちは昨年度よりもずっとていねいな調査・計測が行われていることに、また突然の電話にもかかわらずよどみなく話されたことに敬服しました。と同時に、このような貴重な情報が現場に流れてこないことを残念に思いました。


私たちは責任ある当事者だ
 スピーディー情報を出せばパニックに陥ると握りつぶした二〇一一年三月の政府は世界中から非難されています。この手はもう誰もとることはできません。二〇一二年三月の区教委回答時点と比べて、一年後の今はより細やかな計測と情報の公表が進んでいます。葛飾区宿泊施設の線量についても二〇一二年九月時点で新たな情報を報じました※6。あまり話題にもならなかったようですがいいのでしょうか?
 一年前の「放射線量については日光方面を環境省が調査を実施したが基準値内であり、実施については放射線の影響はないと公表しているため、変更の予定はない。」という回答が、これらの情報の前で十分とは思えません。より詳しくより正確に情報を集め分析し、墨田区教委と各学校が判断すべきです。私たちは子どもたちの健康安全に責任をもっている当事者です。

※6 他人の褌を使っていると、
    情報はなかなか手に入らない
   葛飾区日光林間学園の放射線量
http://www.city.katsushika.lg.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/014/562/nikko-9.29.pdf
 不覚にもこのような資料があることに気がつきませんでした。校長や当該学年には当然周知されていたのでしょうが…。
 除染されていて今は安全なのがわかりま…いやいや、墨田の基準は50cm高での値ですからはっきり基準以下とは言い切れません。
 この資料は9月29日に作られたとされていますから、除染はそれ以前になされたのでしょう。なお、葛飾区では1・4・8月に玄関などを計測して「すべて問題ない」という報告をしています。だからその頃は飯盒炊爨場も「安全」だったのです!?
 墨田区教委はできる限りの情報を集め、学校・保護者に詳しく説明すべきです。
週刊墨教組 No.1689 2012.10.29




週刊墨教組 No.1695                     2013.1.1

本年もよろしくお願いいたします。
反戦 反核 反差別 護憲
憲法に基づいた教育を!
憲法改悪反対!
フクシマを忘れない
   全原発即時廃炉!
「土曜授業」反対!


すみだ春秋40
遥かなる次の巳年や初み空
小沢昭一の俳句


 まぁ言はば騙(かた)る稼業やはるの風


 「新年は、死んだ人をしのぶためにある。」と書いたのは、中桐雅夫である。
 先月十日、稀代の怪優にして名優、小沢昭一が逝ってしまった。一九九八年に見つかった前立腺癌が脳に転移していたのだった。享年八三。
 奇しくも、一九九八年一月十六日付けの『すみだ春秋』は、「小沢昭一の俳句」について書いている。その文章は、小沢が自選した二百句ほどを採録した句集『変哲』(一九九二年刊)をもとにして書いた。
 ところで、年末になって、『俳句で綴る 変哲半生記』(岩波書店)が出版された。ここには、小沢が詠んだ句全て、およそ四千が載っている。
 小沢は、前書きで、「特に『駄句』にこそ私らしさが現れております」とつつましく述べている。
 今回は、句集『変哲』以降の一九九三年から二〇一二年までの俳句を引いて、小沢昭一の俤と存念をしのぶよすがとする。

   *

 まず、とっておきの、思わず笑っちゃう、身も蓋もない「駄句」。

 楚々たる日傘や追い抜きて落胆
 蜜豆や女子高生の白い脚
 足指でつねられていて春めく夜
 まだ尻を目で追ふ老いや荷風の忌
 浜木綿の浜に埋もれし色ショーツ
 浅草のあの踊り子はいずこ秋
 今年から立たなくなりし秋立つ日
 見たくないものの一ツや水着母
 懐も夏の雲あり穴馬券
 猛暑きてどうでもいいぜ振りチンコ

 なつかしい人名が詠みこまれた、しみじみと昭和が香る佳吟。

 泰ちゃんに逢いたい夜よ秋の山
 青き風薫るやむかし杉葉子
 腹ばいに見る小津映画秋めく夜
 小津映画流るるままに寝正月
 原節子住む町とかや春日傘
 東野逝き西村も逝き春の雪
 扇橋といふ芸人や春霞

   *

 妻と子と吾が墓洗う秋の暮

 小沢昭一は、生前、向島の牛頭山弘福寺に墓を建てていた。江戸時代より雪見の名所であり、「百花園」など風趣をたたえた向島という水土を、こよなく恋慕していたのだった。
 また、「熱烈な相撲狂」でもあったので、しぜんと「両国」という地名が頻出する。

 萩は碑にかかるがよろし百花園
 寡黙なる園丁のいて百花園
 両国に草履の音や風薫る
 両国の髷(まげ)の匂いに夏来る
 両国の髷のにほひも五月かな
 主なきあと吉良邸の寒椿
 蔵前に老いて音のみ聞く花火
 秋場所のはねて急ぐももんじ屋
 初雪のあの二の字あり向島
 玉の井に棲んでおでんの引き屋台
 取的の裾や両国春嵐
 風薫る両国橋や触太鼓
 鬢付けの匂ふ夏場所路地の風
 ぽとり落つ吉良邸跡の寒椿
 木の芽の青春謳歌百花園
   百花園にて悔(くや)し
 老櫻の吾れ亡き後もなお咲くや
 春風駘蕩ぼけも進むぜ隅田川
 
   *

 虫魚の大好きな小沢は、そのけなげないのちを、みずみずしい俳句に詠んでいる。

 育児所のごと牛乳びん蝌蝌さわぐ
 いっぱしに鎌ふりあげて子かまきり
 ごきぶりの子の一丁前の逃げる足
 手のひらをくすぐるいのち青蛙
 現世を忍び足にてかたつむり
 
 晩年に至るにしたがい、死の陰翳をふかく宿した詠みぶりに変わってくる。

 手も足も拝みて蝉の死骸かな
 落ち蝉の虚空に向けて合掌す
 空蝉や娑婆にすがりて細き足
 蚊を打って手を合わせてる俺となり
 叩くまじ蠅のいのちへ老いごころ
 いづこより来りて往くや冬の蝶

 しのびよる病苦は、残酷に身体をむしばんでいく。寂寥とした存念は、覚醒して、冴え冴えと清澄・清謐に詠まれている。

 浅草やあと幾たびの除夜詣
 手にとりてあと幾たびの柚子湯かな
 春眠のまま永眠を願いとす
 なにはさてあと幾たびの晦日蕎麦
 秋雨に生きている人逝きし人
 まだ生きている一服や春隣
 青(わか)ければ聴こえぬものよ秋の声
 何はさてガン宣告の夜のとろろ汁
 凩へ一徹の老い立ち向かふ
 人の世は短く蛍舞ふ夜空
 オサラバも近き浮世や夜光蟲

   *

 原発を拒みつづけて枯野なる
 天下国家をさておいて冷奴
 秋天や明治生まれの日章旗
 永き日やハチ公に降る非戦論
 生き馬の目ェ抜く国となりて夏
 ナイターや宰相だれになったとて
 浅草やわれも愚衆の一人なり

 最後まで、雑草のような批評精神をたぎらせて、チクリとした俳句に詠んだ。
 屈折しているが、鋭敏な洞察力に富んだ小沢昭一の批評精神は、戦争体験によって培われた。戦死した昭和の兄たちへのうしろめたさがあった。

 草むす屍わすれな草ぞ民草は
 荒鷲の飛ぶやあれから五十年
 手の皺を見つめ八月十五日
 神武綏靖(じんむすいぜい)・・・・・・暗記も薄れ建国日
 けんちんや兄のいくさに発った夜
 浜木綿や特攻艇の征きし海
 タリバンや軍国少年たりし我れ
 春の夜のもう三人の戦友会
 とちの実を慰問袋に入れし日よ
 黄昏の芒もつれて米軍機
 開戦日寡黙の祖父の口の泡
 疎開の子来てもんぺ少女の淡き恋
 風花や伯父の戦に出たあの日
 野辺送り虫も泣く虫泣かぬ虫
 ごめんなさい家族と箱根終戦日
 予科練、わかさぎ、霞ヶ浦のいのち哉
 戦災をまぬかれし露地夜なべの灯
 打水や明日出征の父無言
 雑炊に並んだなァもんぺ国民服
 着せたがる戦死の父の白絣

   *

 遥かなる次の巳年や初み空

 この句は、平成十三(二〇〇一)年に読まれた。平成二五(二〇一三)年、小沢昭一は、地上にいない。

(長谷川 政國)


週刊墨教組 No.1694                     2012.12.19

十二月十二日 「土曜授業」反対署名区教委に提出
「署名は重く受け止める」(指導室長)
区教委は「土曜授業」の拡大を意図していない!?

・・・私たちにはそう感じられた
「『土曜授業』月二回」は上限
月に一回または二回、第一・第三土曜日に授業を行うことが原則
 教育課程は最終的には学校の責任者である校長が決める
 各校が学校の実情に合わせて、よく論議することが必要
 今年度のばらつきが「区教委が強制していない」証左


墨田区教育委員会教育長 様
週休完全2日制・学校5日制を維持し、
区教委が「土曜授業」月2回を
おしつけないよう要請する職場署名

・「土曜授業」月2回に固執したり、学校に強制したりしないこと
・各学校で編成された教育課程を尊重すること
・労働条件に関わることなので、教職員の代表として、組合との交渉に応じること          以上
 十二月十二日、都教組墨田支部と墨田区教職委員組合代表七名は、区内小中学校教職員による教育長あて「土曜授業」反対署名一次分四七三筆を区教委に提出しました。区教委からは庶務課長と指導室長が出席、「署名は重く受け止める」と教育長に渡すことを約し、「土曜授業」についての意見交換の時間を設けられました。
 以下、その際の私たちの主張や区教委の意見をみなさんにお伝えしますが、残念ながら「交渉」ではありませんので、明確な文書での確認などはしていません。あくまで我々側が聞いた・話した(と思った)こと・解釈・論評…です。正確を期すためには、区教委に直接ご照会ください。

墨田の子どもは「土曜授業」が嫌い
 私たちは「『土曜授業』はいやだ!」という子どもの怨嗟の声が墨田区中の学校から上がっていること、中学校部活では土曜が使えずに試合も組めず、仕方なく日曜に試合をもっていけば休みなしの「登校」・勤務を余儀なくされている実態(それは署名されたみなさんの声でもあります)を訴えました。

保護者からの疑問
 また、「これ以上増やしてほしくない」という保護者からの意見があることも伝えました。この国の基準では学校の土曜は休みです。その休みに各家庭が家族・児童生徒のために何をするかは他人に邪魔されることのない権利です。しかし墨田区の「土曜授業」はそれを奪っています。「行事」を土曜日にもっていくことを区が推奨した※1ために、土曜日に「家庭の考え」を行使すれば、子どもたちが楽しみにしている行事に参加できなくなりました。そして「欠席」扱いになってしまいました。「土曜授業」拡大に疑問を呈する保護者はそのように考えているのです。
 区教委には「特に保護者からの要望・苦情・意見等は寄せられていない」とのことですが、このような考えはありうるし認めねばならないものだと考えます。
 「土曜授業」・給食拡大を望んでいた中和小学校児童・保護者取材(すみだ区報二〇一一年六月二一日号※2)以来であるので敢えて論じました。


※1 そもそも、「土曜に『行事』をもっていけば月から金の『授業』がスムーズにすすむだろう」という発想は理解しがたい。日・週・月・年の中に様々な学習活動が織り交ざって子どもたちの学校生活が行われているという事実がないがしろにされているようです。
※2すみだ区報二〇一一年六月二一日号
 ある小学校の「土曜授業」で保護者3人・児童4人から以下の「意見」を聞きだし「利用」した。未だに区はこれを実名入りでホームページに掲載している。
 http://www.city.sumida.lg.jp/kuhou/backnum/110621/kuhou01.html#kuhou03
土曜日に給食を食べられたら、もっといいな!3・4年生児童 はじめは、お休みの日に学校に行くのは、ちょっと嫌だなと思っていました。でも、始まってしまうと、ぜんぜん嫌ではなくなりました。もともと、学校は楽しいし、友達に会える日が増えたからです。また、お母さんや、お父さんが授業を見に来てくれたり、一緒に運動会の練習をしてくれたりするのがうれしいです。
 ただ、土曜授業は半日で終わってしまうので残念です。みんなと給食を食べられると、もっと楽しいので、授業の時間は月曜日から金曜日と同じでもいいかなと思います。
生きる力が育つといいですね
保護者 土曜日に授業を行うと聞いたときは、月に1回であっても、家族で過ごせる大切な日が減ってしまうことに少し抵抗を感じました。でも、始まってみると、土曜授業は、良いものだと思うようになりました。
 平日に行われている学校公開は、働いている方にとっては、なかなか参加しにくいですよね。この土曜授業のおかげで、お子さんの学校での姿を見られるようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、近ごろ、人と人とのつながりが薄れてきてしまっている中で、子どもたちが地域の方と触れ合える内容の授業を取り入れているところもうれしいですね。
 現代の子どもたちは、想像力や、危険なことから身を守る力が乏しいと聞いたことがあります。ぜひ、これらの力を身に付けられるような授業も取り入れてほしいです。

教員は疲れている
 そのすべてを「土曜授業」のせいにするわけではありませんが、多くの職場で心身の不調を訴える教職員が増えている実態を訴えました。区教委もそれを否定することはできませんでした。
 「ため」のない社会のあり方が貧困の重要な問題であるように、学校に余裕がなければ不測の事態に対応できません。例えば体調不良・子どものしんどい問題・家庭の問題…で職場の仲間がきつくなった時、余裕のない学校は仲間を支えられません。トンネル隔壁のように共倒れ=総崩壊を起こしてしまいます。
 週休二日制の土曜の半分が潰れることによって、疲労が蓄積し、家族の再生産に支障をきたし、社会的経験が狭まり、月曜から金土曜までの「授業」の幅も細り、学校は危機的状況に陥っています。

振休日は処理されているか
 私たちは振休日の処理がきちんとできていない実態も指摘しました。
 区教委側は「副校長に何度もきちっと行うようにいっている」と実態がそうであれば不本意なようでしたが、これは単に「副校長のサボり」ではないと私たちは捉えています。
 そもそも、四か月後の振休日など教職員も副校長も互いにリアリティーがないのです。もしこれが、「その週の月曜にするか翌週の月曜にするか」だったらどうでしょう。白熱した議論がなされるでしょう。よもや判を押し忘れたり「うっかり流してしまったり」することはないでしょう。
 稀であった「振休日前二か月後四か月」ルールを月二回にまで拡大適用するところに無理があるのです。年休消化率も低い中で、かろうじてとった休暇の名前が「振休日」にかわるだけです。だから、どうでもいいやとなってしまっているのです。つまり「土曜授業」の実質的な振休日はない状態です。※3
※3「年休をとるとらないは個人の問題」 という発言は問題です
 旧い話ですが、二〇〇七年一月奥谷禮子氏は、「社員は会社を休めたはず。過労死も自己管理の問題だ」として「休むに休めない労働現場の実態」を無視した発言をし、多くの批判を浴びました。※4 ホワイトカラーエグゼンプションが頓挫したのはこのせいとも言われている。年休は完全にとらせるよう使用者側は努力する義務があります。
 教員は派遣労働者ではないのだから…とは言えません。派遣労働者が不利なのは労働が保護されていないからであって、労働組合の組織率の低い今の学校教職員が保護された労働者であるという証拠はありません。「土曜授業」とその四か月後振休日など「労働時間規制適用免除制度」そのものと言わざるを得ません。
※4http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%A5%E8%B0%B7%E7%A6%AE%E5%AD%90
 自身が就業時間の曖昧な、実業家・経営者であるため、「格差論は甘えです」と、格差社会論そのものに否定的な人物の一人である。2006年10月24日に開催された第66回労働政策審議会労働条件分科会に使用者側の委員として参加し、過労死の問題について、「自己管理の問題。他人の責任にするのは問題(=自己責任論)」「労働組合が労働者を甘やかしている」[16][17]と発言し、さらに週刊東洋経済のインタビューで「労働基準監督署も不要」「祝日もいっさいなくすべき」と発言し論議を呼んだ。また、派遣切りについて「貯蓄をせずに自己防衛がなってない」「企業や社会が悪いなどというのは本末転倒である」などと批判した。(ウィキペディア)

組合との交渉が必要
 区教委は「副校長にちゃんと言っているからちゃんとやっているはずだ」と言いますが、区教委が組合との間で「ちゃんとやらなければ副校長にちゃんとやれと言ってもちゃんとならない」のです。三年前の校長会は「組合との交渉」をちゃんとやってくれという意見を区教委に出していました。
 私たちはまず「四か月後の振休日」すらきちんと処理されていない現状を改善させるとともに、過重労働にさせないために、「労働条件にかかわることなので、教職員の代表として、組合との交渉に応じること」を訴えました。

「土曜授業」月二回に固執しない
 私たちの意見・要望に対して区教委は、「『土曜授業』月二回」は上限。月に一回または二回、第一第三土曜に児童の振替休業日を設けないで土曜日に授業を行うことが原則だ」と答えました。これは、私たちの要請「『土曜授業』月二回に固執したり、学校に強制したりしないこと」を認めたことになると考えます。

学校の実情をふまえて
 区教委側は「『土曜授業』回数も含めて、教育課程は最終的には学校の責任者である校長が決める」という原則も再度確認しました。それは決して「責任者の寄合」である校長会に決定権があるということを意味しません。あくまで「学校の実情」をどうとらえ、何が一番教育的かを全教職員が論議することを意味します。※5
 また、各校による「土曜授業」回数・態様のばらつきについても、「それこそが区教委が『強制』せず『各校の考えを尊重』している証左だ」との認識を示しました。
※5 校長のリーダーシップ論
 区教委は1998.10.13、管理規則改正にあたって
・円滑な学校運営を進めていく上で合意形成は重要。
・校長の独断専行・権限の振り回しは許されない。
等とする「見解」を出しています。その後、管理運営規則にかかわる見解は出されていませんから、今でもこれは有効な見解です。
墨田区立学校の管理運営規則の改正について
(墨田区教委見解)
・・・学校におけるさまざまな課題に対応していくためには、校長のリーダーシップを中心として一致協力して事に当たることが必要である。
 学校運営をして行く上で、全く職員の意見を聞かず、合意も得られないでやるのでは、うまくいかない。円滑な学校運営を進めていく上で、合意形成は重要である。
 権限行使、一方的指示命令が、すなわちリーダーシップではない。合意をつくる上でのリーダーシップが重要である。独断専行・権限の振り回しは、教育の場として望ましくない。これらをリーダーシップと勘違いする校長がいれば、十分指導していく。 
職員会議 
・合意形成をつくる場として職員会議はあり、学校運営上、重要な役割・機能を持っている。
・職員会議は、学校運営の責任者としての校長がその職務を全うするための機能も持っている。したがって、校長の専横によってないがしろにされることがないよう指導していく。・・・
※全文は墨田区教職員組合ホームページ参照

各校で真摯な来年度教育課程論議を
 区教委の姿勢はほぼ明らかになりました。子どもたちの学習をどうするのか、私たちの労働をどうするのか、命ぜられるのではない私たちは真剣に論議しなくてはなりません。それは教育委員会も望んでいることです。
 私たち教職員組合は、これまで来られたのは、署名も含む各職場のみなさんの勇気と努力の賜物であることをまず感謝いたします。これからもみなさんに問題提起・情報提供してまいります。職場でのよりよい論議の糧となれば幸いです。
 さらに私たちは、振休日の問題や「土曜授業」そのものの根本的な問い直しについて区教委との交渉を始めていきたいと考えています。これからもみなさんの活動によって私たち組合の活動もあります。

週刊墨教組 No.1693                     2012.12.3


フクシマを忘れない!!
  福島原発事故後初の衆議院選挙


選挙したって意味はない?
 小熊英二氏は、「社会を変えるには」(講談社現代新書二〇一二・八)で、代表を選ぶ代議制民主主義は「われわれ」を前提にすると言います。
 「意識や文化や生活様式のまとまりがあるからこそ、『彼はいかにもわれわれ労働者(ここには貴族・州など置き換え可能)の代表らしい』という納得」のもとに成立し、「人々が『自由』になり、階級意識や地域への帰属意識といったものがなくなってくると、この『われわれ』が成立しなくなります」。「『近代民主主義の父』ともよばれるルソーは、代議制民主主義のもとで人民が自由なのは選挙期間中だけで、あとは奴隷だと書いています」。「ルソーなどは、『代表者』という考え方は(「身分を単位とした代表が集まる、身分という『われわれ』が代表される、という考え方で」)封建制の産物だ、と言い切っています」。(一九二頁)
 「代議制の自由民主主義というのは、人々が『自由』になる度合いが低くて、地域共同体や理念、あるいは身分といった『われわれ』意識がある時しか成立しない、とも言えます。つまり近代化の初期には成立しても、近代化がもっと進むと機能不全になってくることが予想されます」。「自由主義と代議制と民主主義の三つを組み合わせる、ということじたいに無理があるのです。人類史のなかでいえば、特定の社会条件のもとでなら、百年くらいはそれでやっていけた時代があった、というだけです。」(三二三頁)
現代はそういう時代のようです。
 小熊氏はこの後、「(行き詰ってきた)代議制の自由民主主義を、何とか活性化させるために、どんなことができるかという思想」を紹介し、「社会を変えるには」を提案します。それはいかにも小熊氏らしい新書にしてはやや分厚い書物にあたっていただければよいでしょう。

原発への対応こそが  「われわれ」」をつくる
 私たちが今言えることは、今の「われわれ」がいかにぼろぼろであっても、「代議制の自由民主主義」が賞味期限切れであるということをわきまえつつ、十二月一六日には、何とか「われわれ」を再構築して「代表」を選ばなければならないということです。「われわれ」がもう自動的に成立しないとすれば、何をもって「われわれ」とするか? 私たちはそれが「原発への態度である」と考えます。
 「経済成長どうするの?」「大胆な金融緩和を行う」「TPPどうするの?」・・・経済政策なんてやってみなくてはどうなるかわからないものです。やってみたってその評価は分かれます。かつて新自由主義経済で貧困率を急上昇させた人間は未だに偉そうに経済学者ですと発言しています。少なくとも、私には確たる判断はできませんから、「経済」で「われわれ」をつくることはできません。
 しかし、原発については明確に判断できます。それを「具体的に語るのは願望だ」「素人判断」「工程表は作れない」「経済をわきまえていない」「シングルイッシューだ」となじられてもかまいません。
 現実に事故がおこり、「国土=領土」を失い(「国防軍」を作りたい人はまずこの回復のために戦わねばなりません)、十万を超える人々が故郷を追われ(パレスチナは他人ごとではない)、そしてその発足の初めから言われていた廃棄物処理の不可能性が誰の目にも明らかにされたことによって、判断は可能です。
 この一年半を五四基の原発中、〇かわずか二〜三基の原発によってすごしたという事実、三日間停電した吹雪の北海道でも電気不足による死者はなかったという最近の事実からも、原発を再稼働させなければならないかどうかという判断はできるでしょう。
 広瀬隆氏は、長く精力的に反原発運動を続けてきたにもかかわらず(続けてきたからこそ?)「脱原発一千万人署名」運動の呼びかけ人になることを拒んだ理由を、「『原発がなければ電力不足がおこる』は大嘘だという事実を知らせるための書」「原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論」(集英社新書二〇一二・一〇)で、「いまだにわずかの電力量しか供給していない自然エネルギーの幻想的な普及」ではなく「原発を廃絶するための(ガスを中心とした)都会でのエネルギー革命の普及」を主張するが故としています(一二三頁・一六五頁)。聞くべき意見です。
 私たちは今、自分がわかる範囲で「われわれ」をつくらなければなりませんし、「わたし」として行動していかなければなりません。

転載
みんなの力で 学校職場を守ろう!
このままでは壊されてしまう!
不合理な「経営支援部」拡大反対!
学校事務職員「共同実施」の導入阻止! 

 私たちは、都教委の計画する「校務改善の方向性に」と学校事務の「共同実施」について、当局の不誠実で不当な対応と攻撃に歯止めをかけ、労使交渉なしで不当な勤務条件の変更がなされぬよう、当初より関係組合5者で情報を共有しながら極めて重大な課題として力を合わせて取組んできました。
 私たちは教育現場としての義務制学校の校内運営への、都の不当な介入に反対し、誠実な情報提供と真摯な協議を求めています!
合意形成抜きの不合理な「経営支援部」拡大反対!
●「校務改善の方向性 教員の多忙感解消に向けて」への取組経過   
           ・・・・あくまで話し合いをしない都教委!
 都教委は、「校務改善の方向性について」(2011・2・10)プレス発表以来、不誠実な対応をしつづけ、2011年度20校でのモデル実施検証を経て、今年度からの本格実施(「経営支援組織」全校導入)を目指しました。しかし強引な策動は破綻をきたし、1月10日、都教委はモデル校での検証結果も待たずに、経営支援組織所属の主幹または主任教諭への授業時数軽減(3hの講師措置)をえさに「経営支援組織」設置の意向調査を各地教委に下ろし、校内でまともな話し合いも不可能な年度末の1週間足らずのうちに学校から2012年度「経営支援部」設置の報告をあげさせる暴挙にでました。学校に経営支援組織の人間が必要なら教師の本業を削るのではなく、その分の人間を配置すべきではないでしょうか!
 結果として今年度の「経営支援部」導入は、学校内部運営組織への都の権限問題等を突き付けた私たちの粘り強い取組もあって、1割強(238校)の義務制学校での導入に押しとどめることができました。
 都教委は3月8日に公表した「校務改善推進プラン」について5者が提出した質問書に、7月25日に至ってようやく回答をしました。しかし都は当然勤務時間外の職務となる「教職員による施錠」と超勤4項目との問題にも明確に答えず、組合との協議についても必要に応じ情報提供はすると答えるばかりで、あいかわらず真摯に話合いをする姿勢はまったく見えません。 

 都教委は、経営支援部モデル効果ありとし、「経営支援組織」の設置拡大を目指しています。 私たちは今、経営支援組織設置校での活動実態を調査中ですが、経営支援部設置に手を上げたことすら職員が知らないといった事実や、設置したもののほとんど活動実態がなく、時数軽減を受けた以外何も変わっていないといった実態もしだいに明らかになってきています。都教委も「経営支援組織」の実態調査を7月にしていますが、私たちは「経営支援部」の本当の実態を突き付け、多忙化の原因が都当局の人事施策の破綻にあることを認めさせ、学校職場を守るために、粘り強く都教委との交渉を追及していかねばなりません。「経営支援組織」設置該当校の方は、私たちの実態調査にご協力をお願いします!

「共同実施」の導入阻止!
 「共同実施」は学校事務職員の引き上げ=非正規化だ!
●「共同実施」への取組経過
・・・・「共同実施」は義務制事務職員の非正規化!!
       1校1名を割りこむ「共同実施」の導入などありえない!
 2012年3月、都教委は、再任用化の進行、義務制希望者の減少、事務職員の欠員補充が困難なこと、学校が一人職場であり新採配置するには人材育成の場として問題があること等を理由に武蔵村山市と江東区で学校事務の「共同実施」の打診を始めました。「共同実施」は明らかに勤務条件の変更が含まれ、事務職員の猛反発にあいましたが、都は今も強引にモデル実施を進めようとしています。
 来年度本格実施として都がめざしたのは、週4日拠点校で勤務し1週間に1度しか学校に来ないという事務職員の職務スタイルです。来年度は当局の目論み通りにいかなくなってきていますが、勤務条件を大きく変更するそんな「共同実施」が労使のまともな話し合いもなしに本格実施されようとしています。そのような「共同実施」が現在の500名に及ぶ大量の欠員解消、新規採用復活の為に本当に必要でしょうか! 
 学校にいてこその事務職員!これは、学校事務職員の存在意義の根本ではないでしょうか。 事務職員の問題だけでなく、こんなものが拙速に導入されては教育現場が混乱し、困ること必定です! 都がモデルとする大分県においては共同実施導入で管理職の多忙も解消されず、学校に正規事務職員を戻してほしいとの声が上がっています。
 地区によっては、今でも事務職員が市教委と協力しながら転入者への実務研修活動に力を入れているところがあります。しかし、都教委は「共同実施」によりそうした活動もすべて無視し、壊そうとしています。
 7月に私たちは、「共同実施」に関して事務職員の基本定数や新規採用配置、校務改善との整合性などについての解明要求書を提出し、8月31日に回答がありました。しかし都教委側は総務課人事課長や学校事務人事係長が欠席で勤労課労務担当係長が回答するという不誠実な対応で、江東区と武蔵村山市での拙速なやり方についても、「来年度は今年度のモデル実施の成果検証を踏まえて対応していく。」と回答するだけで、到底納得できる回答がなく、まともな話し合いもできませんでした。「共同実施」の労使協議の場の要請についても「今このように行っている」とし、私たちの求める協議をまったく理解しない不毛な回答の場でした。
 私たちは、「共同実施」が大きな勤務条件の変更を含み、学校の混乱を招くものであることを都教委にしっかりと認識させ、学校職員や組合に対し真摯な対応と協議をするよう強く都教委に求めていかねばなりません。
<東京都公立学校教職員組合(東京教組)> <アイム‘89東京教育労働者組合>
<東京都学校事務職員労働組合(東学)>  <学校事務ユニオン東京>
<東京都公立学校事務職員組合(都校職組)><東京都教職員組合事務職員部>
<東京都庁職員労働組合都立学校支部・小中学校部>

“熱と光”すみだフェスタ2012
 今年も「“熱と光”すみだフェスタ」が開催されます。墨田地域で、差別をなくし人権が守られる社会の実現をめざして1997年より毎年開催されてきました。多くのみなさんに参加していただきたいと思います。入場は無料です。
12月14日(金) 午後6時30分より
墨田区社会福祉会館3階
講演高橋典男さん(NPO法人人権センターながの)
構成劇「山の粥」

週刊墨教組 No.1692                     2012.11.16

  許しがたい賃金削減 二〇一二年 賃金確定闘争
 月例給削減 住居手当見直しにより公民格差分引下げ
   東京圏に暮らすことを無視した住居手当実質消滅(三五歳未満賃貸以外)
 退職手当四年間で二三〇〜二九六万円削減
   退職手当の勤続年数による支給率を大幅削減
     五九・二→四五 二五二三万円→一九一八万円
   調整ポイントによる押し戻し、国並み・当初提案は斥ける 
 教諭への成績率適用拡大阻止できず! 拠出割合縮減
 五五歳超職員昇給停止を一年延ばさせる
 人事考課制度「相対評価配分率等を開示」させる
今から押し戻すための闘いが必要


月例給削減と住居手当見直し
 公民格差分引下げるために住居手当を見直すというのは、まったく理解しがたい措置です。住居手当は国家公務員のそれがなくなった時にも、東京の場合には住宅費が極めて高いことから手をふれませんでした。今回、ただ金を下げるために三五歳未満賃貸者以外の住居手当を消滅させることはおよそ考えられないことです。東京圏に暮らすことを無視した手法です。もう我々の「生活」などというものを顧慮しようともしないのです。

退職手当削減
 国基準、当初提案を大きく押し戻す
 四〇〇万円以上の削減と言われた退職手当の削減について、粘り強い交渉の結果、削減額については大きく押し戻すことが出来ました。しかし、「一体的な構造見直し」として押し出された「職責・能力・業績」のより一層の反映については、強行されてしまいました。
 調整額については、教諭(当初提案八ポイント→十ポイント)、主任教諭(当初提案四ポイント→十五ポイント)とし、「職責」による格差を薄めることとなりました。さらに、「教員特例」 についても、「平成 二十年以前の二級職期間(大卒十二年以上の期間に限る)に、十五ポイント(主任教諭相当)を付与」とし、当初提案が「八年を限度」としていたものを、「期間限定無し」としました。
また、国における経過措置が三段階であったものを、都では四段階(当初提案は三段階)とすることもできました。

成績率 若干押し戻すも拡大される
 成績率の全職員への適用拡大については、拠出割合を若干引き下げましたが、教諭も含めて拡大されることとなりました。
 わずかではあれ、私たちは本来受け取るべき賃金を強制的に取り上げられ、「うまくできたら増やしてやるぜ」と言われることになったのです。力を持つ者が人の嫌がることを継続して押し付けることを、よく「いじめ」と呼んでいます。一日も早く実質的にも形式的にも撤廃させなければなりません。

運用実態の検証
 成績率などの差別的制度が、校長の恣意や性向により偏ることは多く見聞するところです。であるとすれば、この制度が当局が目的とする「組織の活性化や職員一人ひとりのモチベーション向上」に役立っているのか、それとも逆にやる気をなくさせているのかを、当局は不断に検証しなくてはなりません。もっとも、「そのような管理職の理不尽に耐え応えることこそが『組織の活性化』だ!」というDV発想があるのではないかとも懸念されますが。
 今回の交渉で、「運用実態の検証」として、「組織の活性化や職員一人ひとりのモチベーション向上にも資するよう制度運用に配慮」「全職員適用後三年目に、その運用実態について労使で再検証」することを確認させました。労働側も入ることを確約させたわけです。
 再任用職員への適用拡大については、引き続き協議(再任用制度の中で抱含)となりました。
 また、同時に提案されていた「五五歳超職員昇給制度」については、実施時期を一年先延ばし(二〇一四年四月一日)させることができました。
人事考課制度において、
 「相対評価の配分率等の開示」を表明
 人事考課制度についても、「制度の信頼性や透明性、職員の納得性等のより一層の向上を図る観点」から、以下の三点について確認させることが出来ました。
◎毎年度の苦情相談事例について、人事制度検討会を活用し、労使で具体的に検証(必要に応じて、該当局の職制及び関係単組も参画)
 人事考課制度での校長の恣意的評価に対する世田谷大嶽さんの成績評価裁判結果(完全勝訴!)がここに反映されています。まず開示請求は不可欠です。被評価者=教職員一人ひとりの、自分に下された評価に責任をもつ必要があります。自分がどのように評価されたのか、さらには自分たちがどのように管理職により評価されているのかを知るのは責務となります。次に、その内容に納得がいかない場合には説明を求め苦情処理をすることも、この理不尽な制度を押し付けられている私たちには義務となります(大嶽裁判の勝利は、これからの開示請求が格段と増えなければ「過去の勝利」で終わってしまいます。「生かして使う」ことは私たちの義務です)。
 また「関係単組」すなわち労働組合の重要性も増しています。組合を強くしなくてはなりません。
◎相対評価の配分率等の開示
 毎年、「C評定の方が増えている」「Cをつけないと『上』に受け入れられないと校長が言っている」との苦情が絶えません。区教委に問い合わせてもそのようなモノはないと言うばかりです。この文言を見る限り「相対評価の配分率」はあったようです。
◎評定者訓練の充実
 これはあまり期待できません。

「指導教諭」二〇一三年度選考実施か
 「指導教諭」は改悪学校教育法二〇〇八年三七条に「…副校長、主幹教諭、指導教諭…を置くことができる」とあります。他のものと同じく許容です。お調子者だけが取り入れる制度です。
 急に出てきたものですから、今回の交渉でも十分な説明はありませんでした。各教科ごとに全都で五〜二十人ずつぐらい全都で三百人〜四百人…とも言われています。
 現在東京教組が解明要求を行い、十一月二二日に交渉が行われます。詳しくは次号に載せます。

高齢期雇用制度は持ち越し事項
 高齢期雇用制度については、来年度の夏季一時金交渉期までに一定の結論を得られるよう引き続き協議となりました。二〇一三年度退職者から始まる「公的年金の支給開始年齢の引き上げ」からすれば、ギリギリとなります。

闘いを続け広げよう
 賃金削減も、職階=給与の差別的ピラミッド体系化も、経済の危機に対する「解決」策の一つです。しかし私たちはそれが、一部の利益のために多くの人を不幸にする「解決」策であると考えています。例えば私たちの賃金が下がったらそれが私たちより少ない人々に回るのでしょうか? 私たちは、私たちの賃金も守りさらに多くの働く人々の賃金も上げる方策を求めます。
 おかしいことをおかしいと言うこと、たとえ愚かと思われても「王様のお召し物」を見えると言わないこと。私たちがこの三年間、多くの誤りをしつつも「土曜授業」に反対し続けてこられたのは、多くの墨田区の教職員と協働してきたからです。区でできたことが都でできないわけはありません。共に闘いましょう。





第三十七条  小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。
○2  小学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。
○3  第一項の規定にかかわらず、副校長を置くときその他特別の事情のあるときは教頭を、養護をつかさどる主幹教諭を置くときは養護教諭を、特別の事情のあるときは事務職員を、それぞれ置かないことができる。
○4  校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
○5  副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
○6  副校長は、校長に事故があるときはその職務を代理し、校長が欠けたときはその職務を行う。この場合において、副校長が二人以上あるときは、あらかじめ校長が定めた順序で、その職務を代理し、又は行う。
○7  教頭は、校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。
○8  教頭は、校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)に事故があるときは校長の職務を代理し、校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)が欠けたときは校長の職務を行う。この場合において、教頭が二人以上あるときは、あらかじめ校長が定めた順序で、校長の職務を代理し、又は行う。
○9  主幹教諭は、校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる。
○10  指導教諭は、児童の教育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して、教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。
○11  教諭は、児童の教育をつかさどる。
○12  養護教諭は、児童の養護をつかさどる。
○13  栄養教諭は、児童の栄養の指導及び管理をつかさどる。
○14  事務職員は、事務に従事する。
○15  助教諭は、教諭の職務を助ける。
○16  講師は、教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する。


到達点と課題

くわしくは、東京教組ホームページで

1.給与関係 人事委員会勧告の取り扱い
 ・月例給  住居手当て見直しにより公民格差分引下げ。
2012年12月1日から実施
  「所要の調整」は、再任用職員も含め、12月の期末手当で実施
 ・年末一時金  現行の条例、規則通りを12月10日に支給
    正規職員 期末手当1.375月+勤勉手当0.675月=2.05月
    再任用職員 手当0.8月 +勤勉手当0.325月=1.125月
2.退職手当削減について
4年間で、教諭269.2万円 主任272.5万円 主幹296.8万円削減
 退職手当の勤続年数による支給率を大幅削減
  365年以上の場合、59.2→45 試算2523万円→1918万円
 調整額増額(調整ポイント引き上げ)による押し戻し
(現行→今回改定 単位:ポイント)
   教諭:0→10(15) 主任:3→15 主幹:6→20
※教諭(15)は「教員特例」による 主任ができる前の平成24年以前の2級職(教諭)期間は15ポイントとする。
    ※試算 2級職で退職の場合
    1000円×(15p×12か月×16年間+10p×12か月×4年間)=336万円
(単位:千円)
教諭 主任教諭 主幹教諭
在職一月ポイント 0→8(14)→10(15) 3→14→15 6→20→20
現行 25,231 25,776 27,669
国並み試算 21,042 21,609 23,329
当初提案 21,675 22,223 24,617
最終提案 22,539 23,051 24,701
差額 2,692 2,725 2,968

〈経過措置〉により、4年にわたり毎年60万〜70万円ずつ削減される
  ※普通退職は3段階(@Aは同様。2014年4月〜本則)
〈教育職員の経過措置期間における職級別影響額〉
適用期間 2013年1月 2013年4月 2014年4月 2015年4月
2013年3月 2014年3月 2015年3月 以降

  現行 1段階目 2段階目 3段階目 本則

(59.2月) (55.6月) (52.0月) (48.5月) (45.0月)

教  諭 支給額 25,231 24,546 23,861 23,200 22,539
差額 ― 685 1,369 2,031 2,692
主任教諭 支給額 25,776 25,082 24,389 23,720 23,051
差額 ― 693 1,387 2,056 2,725
主幹教諭 支給額 27,669 26,908 26,148 25,424 24,701
差額 ― 760 1,.521 2,245 2,968

※段階的に支給率引き下げ(上表)と
   調整額ポイント引き上げ(下表)を実施
1段階 2段階 3段階 本則
教諭 2.5P 5P 7.5P 10P
主任 6P 9P 12P 15P
主幹 9.5P 13P 16.5P 20P


3.全職員への成績率拡大について
 成績率の適用拡大については、拠出割合について当初提案から一定押し戻すことができましたが、残念ながら教諭も含めて拡大することとなりました。
・教諭等 当初提案0.04月→0.02月
・主幹教諭 当初提案0.06月→0.04月
 ※経過措置 2013年0.02月 2014年0.04月

これに加え、「運用実態の検証」として、「組織の活性化や職員一人ひとりのモチベーション向上にも資するよう制度運用に配慮」「全職員適用後3年目に、その運用実態について労使で再検証」することを確認
「55歳超職員昇給制度」については、実施時期を1年先延ばし 2014年4 月1日実施

4.人事考課制度について
・毎年度の苦情相談事例について、人事制度検討会を活用し、労使で具体的に検証(必要に 応じて、該当局の職制及び関係単組も参画)
・相対評価の配分率等の開示
・評定者訓練の充実

5.高齢期雇用制度について
 高齢期雇用制度については、来年度の夏季一時金交渉期までに一定の結論を得られるよう引き続き協議。年金支給年の延長からすれば、ギリギリか。



退職手当における調整額
 地域手当が導入され基本給から抜かれたため、退職手当のベースとなる基本給が大幅ダウンしました。そこで、2007年度から調整額を加算することになりました。ただし、定年・勧奨・死亡・傷病退職等で、普通退職には適用されません。 

   調整額A=定額1000円B×退職前20年間分のポイントC
 


週刊墨教組 No.1691 2012.11.9

愚の骨頂 都教委「指導教諭」の導入を提案
不人気の主幹=副校長受験資格者を拡大するために
   「指導教諭」職新設を提案??
             主幹と同格なんだって…
 教員が「授業」「教材研究」が好きだからって、
 授業を餌にすれば管理職希望者が増えるってもんじゃないだろう!
  これでは「授業」「教科研究」がいよいよ委縮してしまう!
「階段」を作り、「下」の給料を下げ、
 ひたすら「階段」を登らせることによって「良い」教育をつくろう!!って…
相も変わらず貧しい発想?!
「指導教諭」の「指導」「助言」「OJT」は、
 教員相互の教え合い=学び合い=「共働」を簒奪したもの
余計なことしないで、現場に任せよ!
  こういう提案を斥けるには私たちの「共働」した反対が不可欠


 先日の都教組墨田支部新聞でも説明されていましたが、理解するにはとても難しい制度です。「馬鹿馬鹿しい」の一言だからです。一応説明しますが、理解しがたいのは私たちの責任ではありません。ついでに、これだけ現場が馬鹿にされるならば、みなさん、そろそろ現在ある組合に加入するか、あるいは新しい組合を作った方がいいだろうと提言します。

以下 11月7日 東京教組闘争速報 4より

都教委「指導教諭」の導入を提案
「納得できない」と強く抗議
 11月2日、都教委は、賃金確定闘争のさなか唐突に「指導教諭の導入について」を組合に提示し、「指導教諭の設置に係る選考の取り扱い等について(案)」を提案しました。
 東京教組は、提案を受け即座に「(この時期の唐突な提案は)納得できない」と強く抗議し、持ち帰り検討としました。

現行主幹教諭選考を4級職選考へ
 都教委は、指導教諭の導入にともない、「現行主幹教諭選考を改正し、4級職(主幹教諭・指導教諭)選考とする」とし、「平成25年度選考より実施する」と提案しています。以下、「指導教諭の導入について」の概要です。

1導入の目的及び職の位置付け
 抜群の専門性や指導力を持つ教員を「指導教諭」として任用し、教員全体の学習指導力と意欲等の向上を図り、切磋琢磨し合う体制作りの核とする。

2職務内容
(1)職責
 学校の教員として自ら授業を受け持ち、所属する学校の児童生徒等の実態等を踏まえ、他の教員に対して教育指導に関する指導・助言を行う。
(2)具体的な職務内容
 職務の級  4級職(主幹教諭と同級)
 職務
 授業のあり方や教科指導の専門性について、児童・生徒等の実態等を踏まえ、自校及び他校の教員に対して、教科等の指導技術を普及させることにより、東京都公立学校の教員全体の「授業力」を向上させていく。

具体的な職務内容
 上記の職務を果たしていくため、以下の職務を行う。
@ 校内OJT(自校において、校内OJTを実施する。)
A 模範授業(年3回程度の模範授業及び研究協議会を実施する。)
B 公開授業(他の教員に対し授業を見学させる機会を設ける。)
C 個別相談(自校において、他の教員へ学習指導に関する指導・助言を行う。)
D 授業支援(各学校の求めに応じて授業を観察し、指導・助言を行うことができる。)
E 教科指導資料開発(優れた教科指導のための教材開発を行う。)

3指導教諭の活用
○主幹教諭を中心とした校内OJT体制を強化・補完
【第1段階】指導教諭が模範授業・研究協議会等を通じて、他校の教科代表者に教科等 の指導技術を普及させる。
【第2段階】教科代表者は、所属校において模範授業等で学んだ指導技術を校内OJT等で同一教科の他の教員に広めていく。
任用教科 略
4指導教諭の導入時期
○ 都立学校:平成25年4月
○ 小学校及び中学校:都立学校の導入の検証結果等を踏まえて、平成26年4月から導入できるように、都教委は区市町村教育委員会と調整を図っていく。
5任用体系
 指導教諭は、自校・他校教員への指導・助言を行う職務であることから、主幹教諭と同等の4級職と位置付け、組織的な指導体制の中核として活用を図る。
◆主幹教諭:組織的な学校運営の中心的な役割を担い、校務に関して他の教員を指揮監督する。
◆指導教諭:教育指導の改善・充実のため、教科等指導に関して、他の教員へ指導・助言する。




脱原発をめざす女たちの会
こうやって原発を止める
11月23日
14:00開会 16:30閉会

明治大学アカデミーホール

福島第一原発事故によって多くの人々の生活と自然とが破壊されました。「原発がなければ日本の経済活動は成り立たない」と政府・電力会社によって推進されてきた原発は、この狭い地震国に廃棄物処理のめども立たないまま、17箇所54基も乱立しています。被爆国である日本で、まず反核の運動を始めたのは女性たちでした。今再び女性たちが世界に新たな価値観を示し、原発に頼らない社会を一刻も早く実現しましょう。
トーク・鼎談  香山里香・松田美由紀・瀬戸内寂聴(vtr)・崎山比早子・大河原雅子・福島みずほ・纐纈あや・武藤類子・他
参加費1000円
参加申込みは「11.23集会お申込フォーム」http://ww.nnpfem.com/contact.html#47より



「東京の朝鮮学校を  支援する都民集会」
「高校無償化制度」が発足して早くも2年半を経過しました。またこうした制度の整備を受け、9月11日に日本政府は「国際人権A規約第13条の2項(中等教育・高等教育の『漸進的無償化条項』)」についての留保を撤回しました。同規約は66年に国連総会で採択され、日本は79年に批准したものの、「中等教育・高等教育の無償教育の漸進的な導入と機会均等」に関する条項に関しては留保していました。留保は約160の締約国のうち日本とマダガスカルだけになっており、国連は01年に日本政府に撤回を勧告していました。これまで全く考慮されてこなかったこの留保を撤回したことは、旧政権下ではなしえなかったことです。
しかし、未だに朝鮮学校だけが「高校無償化制度」の適用から除外されたままになっています。さらに東京都は、これまで何の問題もなく支給してきた補助金すら止めてしまいました。東京に朝鮮学校は10校ありますが、子どもを通わせている保護者の負担は、大変厳しいものとなっています。もうこれ以上待つことはできません。この問題は、日本の民主主義と人権感覚が問われる問題です。
今回、東京の朝鮮学校支援のため、様々な団体・市民が立ち上がり、下記の通り朝鮮学校支援のための集会を開催することになりました。石原都知事や橋下大阪市長のような、人権を無視し、差別やナショナリズムをあおる政治家が跋扈する中、市民レベルでしっかりと声を上げていくことは、極めて重要です。

11月23日(金) 午後6時〜午後8時 日本教育会館 3階 一ッ橋ホール
内容 講演「朝鮮学校支援の必要性と差別の構造」 講師 田中 宏さん

(一橋大学名誉教授、外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク共同代表) 各界からの報告/アトラクション





週刊墨教組 No.1690 2012.11.5

最高支給率 現行59.2月を
14.2月引下げて
 45月へ

「退職手当の見直しについて(案)」を都側が提案
 「職責をより一層反映する構造見直しを行う 」??
訳のわからない説明
すべての都職員から退職金四百万円を詐取する手法!
断じて認められない!!
 奪うならこの提案に反対しない者だけから奪え!





東京教組闘争速報3(11月2日)より

「退職手当の見直しについて(案)」を
都側が提案
 11月1日、都労連は都側より「退職手当の見直しについて」の提案を受けました。
 提案内容は、
@普通退職及び定年等退職との支給率を一本化、最高支給率を 45月とする
A調整額を引上げ、教諭等にも新たに8ポイントを付与
B実施時期を13年1月1日とし、経過措置を実施する
というものです。
 都側は、見直しに当たって、
@最高支給率は国の見直し案の実質的な支給水準を踏まえる
A支給割合を平準化する
B調整額について、職責の重さを評価し主事等にも付与、職責差をより反映するよう拡充
C教育職員に特例措置
D国の見直しを参考に経過措置を設ける
E国同様の見直しを行った場合よりも引下げ幅を圧縮する
との説明を行っています。

都労連は断固反対!撤回を求める!
 都労連は、冒頭、退職手当の支給格差拡大となる提案に断固反対の意思を表明し、その撤回を求めました。その上で、
@最高支給率の十四・二月(普通退職は五月)引下げは不当
A調整額について、職責差の反映度合いを高めることは容認できない
B人事制度改善要求に応えないまま一方的に退職手当の提案のみ行う都側の交渉姿勢に対し厳しく抗議する
C上位職層ほど引下げ幅が小さく、下位職層の引下げ額が大きい提案は許されない
D国と同様の実施時期、経過措置は認められない
と都側提案に対する都労連の態度を明らかにし、提案の断念を改めて求めました。

支給率改悪は、退職手当における
職責・能力・業績の強化を狙うもの
 都側の提案は、普通退職と定年等退職の支給率を一本化し、最高支給率は、国との均衡を持ち出して、四五月まで大幅に引き下げる内容となっています。この内容では、現行の定年等退職の最高支給率五九・二月から十四・二月引下げ、現行の普通退職でも最高支給率は五月も引き下げられる、きわめて不当な内容です。
 また、この基本額の支給率改悪は、職責差を一層反映させる調整額の拡充を強行することを前提としており、退職手当における職責・能力・業績の強化を狙うものであることは明らかであります。
 この基本額の支給率改悪とセットで示されている調整額の拡大については、教諭等へのポイントを新たに設定するものの、職責差の反映度合いを高めることは容認できません。

高位職層に厚く、
 下位職層に薄くポイントを設定
 今回の提案では、現行の退職手当の調整額が設定されていない教諭に対して、新たに8ポイントを付与する内容となっています。しかし、主任教諭では11ポイント増、主幹教諭では14ポイント、副校長・校長・統括校長に至っては15ポイントと2倍近くものポイント増を行うものとなっており、このことは高位職層に厚く下位職層に薄くポイントを設定して、調整額による支給額格差を一層拡大するものとなっていることは明らかです。
 さらに、基本額の支給率を大幅に引下げ、一方で職責差の一層の反映として調整額を拡大する結果、都側が手当の引下げ額を圧縮したと説明しているものの、上位職層ほど引下げ幅が小さく、下位職層の引下げ額が大きくなっている提案は許す訳にはいきません。
 また、教員に関しては、主任教諭導入から日が浅いことを踏まえて以下の様に調整額に係る特例措置を設けてポイントを上積みしているものの、教諭について大卒12年以上の期間に限定しつつ、主任教諭導入以前の2級職期間について8年分だけとしており、その根拠はまったく示されていません。(以上闘争速報)

詐取されるな!
 これまで退職金が毎年毎年減らされてきたのは、基礎となる給料月額が下げられ続けたためです。今回の削減はそれとは異質なものです。すなわち、計算式を変えるのですから、得意の「後出しじゃんけん」の最たるものです。退職を射程に入れている者もいるのにルールを変えようというのです。
 それだけではありません。今年採用された人も含めてすべての職員が、期待していた退職金の24%を奪われるということを意味します。
 「特例措置」や「在職一月ポイント」、「区によりマイナス幅は小さいよ」などで誤魔化されるものではありません。

怒りを反撃の力に
 一一月九日(金)地公労都庁前総決起集会、一一月一五日(木)早朝二九分地域集会(組合事務所)を開きます。
 職場の「怒れる人々」は怒りと力を合わせるべきです。反撃しなければむしられ放題です。協同して闘うことだけが私たちの身を守ります。
 都で働く多くの仲間と連帯し、このような都の提案を斥け秋闘勝利に向けてがんばりましょう!

【特例措置】
 教育職給料表適用者については、「平成20年度以前における2級職期間(教諭については大卒12年以上の期間に限る)」を、8年分を限度として「在職1月当たり14ポイント」とする。
 ただし平成25年1月1日から平成25年9月30日までの間は「4.7ポイント」、平成25年10月1日から平成26年6月30日までの間は「9.4ポイント」とする。


退職手当見直しによる給料表別・職級別影響額

基本額 : 最高支給率45月
調整額 : 在職一月ポイント×240月×単価1,000円


○ 国と同様に見直しの場合、給料表別・職級別で、
400万円〜430万円程度のマイナスだが、
 見直し案では、300万円〜360万円程度のマイナス。




「福島住民の健康の権利守れ」 
国連人権理事会が勧告

【ジュネーブ=前川浩之】日本の人権政策について、各国が質問や勧告(提案)ができる国連人権理事会の日本審査が終わり、2日、各国による計174の勧告をまとめた報告書が採択された。福島第一原発事故について、住民の健康の権利を擁護するよう求める勧告が盛り込まれた。
朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/1103/TKY201211030340.html
普遍的定期審査(UPR)と呼ばれ、加盟国すべてに回る。日本は2008年以来2回目で、討論には79カ国が参加。
 法的拘束力はないが、日本は来年3月までに勧告を受け入れるかどうかを報告するよう求められる。
 福島事故をめぐり、オーストリアだけが「福島の住民を放射能の危険から守るためのすべての方策をとる」よう求めた。
 日本は、11月に健康の権利に関する国連の特別報告者の調査を受け入れると表明した。

 ジュネーブにおいて、日本の第2回目のUPR予備審査が終了した直後に、福島の人たちの健康に関する人権状況の調査のために国連の特別報告者の来日調査を11月15日から26日までの12日間実施する事が既に決まっています。
http://sayonaragenpatsu.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-37e3.html

 放り投げる前の8月、石原都政は、日比谷公園を無料では使わせない・集まってはならないという嫌がらせをしていきました。「人がデモをする社会」を嫌悪し、「集会の自由」を踏みにじる、いかにも暴君らしい・最も「彼」らしい行いです。
 墨田教組はそれでも11月11日、日比谷公園から国会周辺に反原発・原発即時停止・福島を救えの声をあげにまいります。13:00?19:00(予定)の長丁場です。多くの方が少しでも参加し共に声をあげられることを期待します。




週刊墨教組 No.1689                 2012.10.29

11.15(木)早朝29分統一行動
11.9(金)16:30〜都庁前総決起集会

怒りを都庁に!
自らの「生活費」=価値は自らで守る!
奪われてたまるか!!

八年連続で例月給引き下げを勧告
 すでにお知らせしたように、一〇月一二日、東京都人事委員会は、八年連続の例月給の引き下げと特別給の据え置きを勧告しました。
 今回の勧告は都で働く教職員の期待を大きく裏切るものであるばかりでなく、住居手当にまで踏み込み、公民較差(△1,336円、△0.32%)解消のためと称して、住居手当の見直し(支給対象を三五歳未満借家等に限定)と給料月額の改定で給与を引下げるよう勧告しています。三五歳以上の教職員の生活を直撃する不当な勧告であり、認めることは出来ません。

退職手当約四〇〇万円削減を検討!
 東京都は、国(すでに約四〇〇万円の削減を閣議決定済み)に合わせて私たちの退職手当についても「水準及び構造見直しを速やかに行っていく必要がある」「具体案の検討を進めており、速やかに提案し、今交渉期に結論」と主張しています。
 国と同様の削減となれば、教諭が約四〇七万円、主任教諭が四一六万円、主幹教諭が四三四万円の大きな削減となります。
 この他にも、「成績率の全職員適用」「五五歳昇給停止」等の継続協議中の都側三提案や年金と雇用の接続のための新たな高齢期雇用制度構築など、課題は山積しています。

一一月一五日に早朝二九分統一行動
 東京教組は、一〇月二五日の支部長・書記長会において統一行動批准投票の成立を確認し、一一月九日(金)地公労都庁前総決起集会、一一月一五日(木)に「早朝二九分統一行動」を配置して、都労連に連帯して闘うことを決定しました。
 私たち墨田区教職員組合も、早朝組合事務所にて二九分の地域集会を開きます。

反撃しなければ
 この間一〇年に及ぶ退職金・給与引き下げ、差別的賃金体系導入に、私たち組合が有効に抗えなかったことは事実です。「自分だけは同僚を蹴落としてでも這い上がれる」と考える方もいないわけではありません。その情けなさを生んだのもすべて「金も時間もタイトにしておいて、鼻の先に現金をぶら下げて仕事をさせる」当局の姿勢によります。今こそ、職場の「怒れる人々」は怒りと力を合わせるべきです。反撃しなければむしられ放題です。協同して闘うことだけが私たちの身を守ります。
 都で働く多くの仲間と連帯し、秋闘勝利に向けてがんばりましょう!


子どもたちまでもが「レントゲン室」に暮らさせられているのは人権蹂躙だ!

「福島の子どもたちを救え!」疎開裁判弁護団ら、スイス・ジュネーブへ

10.31国連で日本政府の福島の人権侵害が世界中から審査される日
10.30国連で福島の子どもたちの真実と正義を世界中に伝える日
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

 10月31日、国連のジュネーブ事務局(通称、国連欧州本部)で、日本政府が日本で行なっている人権侵害問題について、世界中の国から審査を受ける人権理事会のUPR(普遍的定期的審査)が行なわれます。当日は国連によりネット中継http://webtv.un.org/topics-issues/。
 その前日30日の14時から、同じ国連ジュネーブ事務局の建物内で、日本の人権NGOが主催するサイドイベントで、各国政府や世界のメディア、世界のNGO・NPOを招いて、福島からの声を伝えるために、以下の3名が日本とフランスからジュネーブに行き、スピーチをします。
・福島県双葉町の井戸川克隆町長 「フタバから遠く離れて」
・スイス・バーゼル大学医学部名誉教授ミッシェル・フェルネックスさん(※)
・子どもの安全な場所での教育を求めるふくしま集団疎開裁判弁護団柳原敏夫
 これまで、世界の人権問題を検討する国連の組織は60年の歴史を持つ「人権委員会」でした。2006年、さらにその権限を強化するために、新たに「人権理事会」が創設されました。この「人権理事会」の目玉が、UPR(Universal Periodic Review)=普遍的定期的審査です。
 これは、国連に加盟する全ての国が例外なく(米国といえどもその審査を免れない)、人類普遍の人権の原理に照らして、人権侵害をおかしていないかどうかを、世界中の国々から社会的に裁かれる(法的な強制力によってではなく、全世界からの注視・社会的名誉によって)という、現代世界の人権保障の新しいメカニズムとして注目されているものです。
 だからこそ、日本政府は、この人権保障の新しいメカニズムに対して、日本市民が注目することを恐れ、御用マスコミ、御用学者を使って、極力その存在を知らしめないようにしてきました(外務省のHPにも今月31日のUPRについて一言も書いてありません。疎開裁判の支援者も、つい最近まで殆どの人たちが知らずにいました)。
 しかし、日本が情報鎖国のままでも、世界はとっくにこの新しいメカニズムに着目しています。その端的な例が、日本がUPR審査を受けた第1回目の2008年には、日本政府の人権侵害に対して、42ヶ国から質問がありましたが、今回の第2回目(本年10月31日)には、既に約2倍の83ヶ国からの質問が予定されていることです。世界からみて、この4年間で日本の人権状況の何が変わったのか。福島原発事故以外、ありません。 国境なき最悪の人災である原発事故により、日本においてどのような人権侵害が発生しているのか、 いま、全世界が注目しています。
 このUPR(普遍的定期的審査)の大きな特徴の1つは、その国の人権侵害を審査するにあたって、市民の声を積極的に取り上げることです。具体的には、人権NGOによる事前の情報提供です。上に紹介した、UPR審査の前日、国連建物内で実施される、人権NGOによるサイドイベントもその重要な1つです。
 いま、日本の政府も国会も、福島の子どもたちの集団避難の即時実現に目もくれません。これこそ言うまでもなく、日本国がおかしている最も深刻な人権侵害です。この事実を私たちは、国連の日本の人権侵害を裁くUPR(普遍的定期的審査)の場で世界中に明らかにする積りです。

(※)ドキュメンタリー「真実はどこに?―WHOとIAEA 放射能汚染をめぐって 」(2004年)
 本年5月、自費で来日。福島原発事故により、低線量の内部被ばくによる健康障害が直接被ばくした子どもたちのみならず、その第二世代により強く現れ、第三世代にはもっとより強く現れるという深刻な遺伝的影響の問題を警鐘して回った。−>講演「福島の失われた時間」(2012年5月)


他人の褌を使っていると、情報はなかなか手に入らない
 葛飾区日光林間学園の放射線量

http://www.city.katsushika.lg.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/014/562/nikko-9.29.pdf

 不覚にもこのような資料があることに気がつきませんでした。校長や当該学年には当然周知されていたのでしょうが…。
 除染されていて今は安全なのがわかりま…いやいや、墨田の基準は50cm高での値ですからはっきり基準以下とは言い切れません。
 この資料は9月29日に作られたとされていますから、除染はそれ以前になされたのでしょう。なお、葛飾区では1・4・8月に玄関などを計測して「すべて問題ない」という報告をしています。だからその頃は飯盒炊爨場も「安全」だったのです!?
 墨田区教委はできる限りの情報を集め、学校・保護者に詳しく説明すべきです。



紹介 墨田区の子どもを放射能から守る会http://sumida-kodomo.jimdo.com/
「子どもたちを内部被曝から守り、安心、安全な子育てのできる墨田区を!」
山崎区長宛て署名集め始まる

 「東京電力福島第一原子力発電所の事故により、私たちをとりまく状況は一変しました。内部被曝への不安が払拭されない日々を過ごしています。墨田区内にも多くの「ホットスポット」が発見され、除染活動も行なわれてきました。しかし、依然として「ホットスポット」は存在し、各地で放射性物質による深刻な土壌汚染も発見されています。
 私たち「墨田区の子どもを放射能から守る会」は、子どもたちを内部被曝から守り、安心、安全な子育てのできる墨田区にするために、山崎区長に宛てた要請署名を集めています。目標は3万筆(墨田区民)です!11月下旬に山崎区長に直接手渡す予定です。みなさんの一筆が子どもたちの未来をつくります。多くの方の賛同をお待ちしています。ぜひご協力ください。
※以前にも紹介した「守る会」が署名を集めています。お知り合いの方・関心のある方にもご紹介ください。


週刊墨教組 No.1688                 2012.10.25

脱原発は必然の流れ
 切り捨てず 誤魔化されず 諦めず
私たちは大きな道をつくる


 政府は原発即時停止の多くの声をパブリックコメント・毎週金曜日に聴きながら、二〇三〇年代に原発ゼロとつぶやいたものの口ごもり、原発ゼロを閣議決定さえしないという欺瞞を行っています。
 経済団体(資本)からの反対・アメリカからの「要請」・次期政権をとるだろうと喧伝されている自民党総裁選全候補者の反対…等で、「原発継続」は既定事実のように報道され私たちはあきらめを強要されています。しかしそれは間違いです。
 原発を再稼働するだけの条件は全くできていません。私たちは、「仕方ない」「何とかなるさ」とあきらめるわけにはいきません。一年半経ったら「危険とあの日の恐れ」を忘れるわけではないからです。いま現に危険があるからです。未だ家を追われた十七万の福島の人々がいるからです。
 
一〇・一三日比谷野音集会
 六五〇〇人が集まった集会では、先号でもお知らせしたように、大江健三郎氏が「道をつくる」発言をしました。福島の森園さんは、今年は虫の声を聞かない…と前置きされて、下のように訴えました。怯えてはなりません。倦んではなりません。
 
一〇・一三札幌集会
 同日、日本各地で反原発集会が開かれました。ことに札幌では、一万二千人が集まりました(人口比から言って東京はあまりに貧弱と言わざるを得ません)。建設工事が再開されようとしている大間原発から函館は30`しか離れておらず、50`圏内には37万人(青森側の4倍強)がくらしています。雨宮処凛さん、倉本聡さんらが発言しました。

教職員は社会的発言を
 もう黙っている時ではありません。黙っていられる秋でもありません。今、緊急の課題となっていること、今後長いこと引き受けざるを得ないこと=今とこれからの放射性物質に真摯にとりくんでいこうではありませんか。



10.13日比谷集会での 森園かずえさんのお話
明かり新聞http://akari-np.net/?p=7653 より
 子どもたちにすでに出ている健康被害。無色透明無味無臭の放射性物質。今日も容赦なく私たちに降りそそぐ放射線。これは、ある小学校の線量です。除染に次ぐ除染を重ねても……。先日9月29日、5.736マイクロシーベルト/時です。こんなホットスポットが校舎の中にもまだまだ点在しています。こういうホットスポットが郡山市・福島県の中には、まだまだあります。
 そんな中で先日も郡山市ではシティマラソンが開かれました。昨年夏からマラソン大会、駅伝大会、ビール祭り、ラーメン大会、屋台や出店、そして先日、霧雨降る中で神輿を子どもたちがひいていました。放射能の雨です。その霧雨の中で、子どもたちが楽しそうに太鼓を叩きながら神輿をひいているんです。誰がやらせているんでしょう。でもほんとうに子どもたちは雨に濡れながらも楽しそうでした。企業、商工会議所、教育界、医学界までもが行政と結託して昨年早々から安全安心キャンペーンを繰り広げてまいりました。それを垂れ流し続けた讀賣朝日大手メディア。原子力事業は国策であると言い放ち、原子力村側の言うままに放送を続けたNHK。どう責任をとるんでしょう。でも私たち大人の責任でもあります。私の責任でもあります。無知で無関心で数十年生きてきました。もっともっとどこまでも貪欲でそんな人間たち。地球はわたしたち人間だけのものではありません。12月15日からIAEAが郡山で会議を開くそうです。原子力村が何をしに日本に来て居を構えるのか。原子力産業を海外に輸出し続ける東芝日立三菱の皆さん。皆さんにお聞きしたい。私たちの命と健康をどう考えているのか。この時、この瞬間も、フクイチでは原発事故の終息の作業を続けられている作業員の方達が約3000名いらっしゃいます。今年の夏は本当にうだるような暑さで、ご無事でいるかと皆祈っていました。6割が福島県民です。被害者が加害者に雇われているのです。これが現実です。家族を守るため、命を守るため、生活を続けるため、國を守るため、高線量の中で、命がけの作業です。いつまた地震が来るかも判らない。私はこうして東京に出てくるたびに、連れ合いにメールをします。だいじょうぶですか。地震は来ていないか、必ず確認をとります。何も無かったように生活をしている福島県民も、地震や余震があると、フクイチは大丈夫かと連絡を取りあいます。どんなに安全安心キャンペーンをはられても地震があると一瞬で311の頃に戻ります。原発事故後、窓という窓を閉め切り目張りをして揺れるカーテンを見て過ごした恐怖がよみがえります。今度こそ風向きを確認して逃げようと、もう2度と再び地震は起きませんか? 誰か断言出来ますか。
 フクイチは「収束」していません。ここ東京が何も変わらず安全に生活出来ているのは、フクイチで「収束」作業にあたってくださっている被曝労働作業員の方々が居るからです。そのことをぜったいに忘れないでいただきたいと思います。
 人間の手に負えない原発はもう、作っても再稼働してもいけないのです。最後に日本中の女性の皆さん、世界中の女性の皆さんに、つながって「NO NUKES 原発はいらないよ 止めようよ」と声をあげていただきたいと思います。そしてサポートしてくれる男性の皆さんも一緒になって絶対に再稼働された原発、これも止めて廃炉作業の被曝が少ない綿密な計画の元で行われるように、行動してゆく皆さんと一緒に進んでいきたいと思います。



11.11 1000000人大占拠

首都圏反原発連合呼びかけ
 2012年夏、野田政権は世論である「再稼働反対」の声を踏みにじり、安全対策も後回しのまま、「国民の生活を守る」という嘘で脅しをかけ、大飯原発3、4号機の再稼働に踏み切りました。
ところが関西電力の総出力に占める大飯原発の割合は1割にも満たず、実質的に「原発ゼロ」の状態が続いており、夏場さえほぼ「原発ゼロ」で乗り切ったのです。
この事実こそが、既に日本が原発に依存していないこと、即時停止こそが現実的な選択であることをはっきりと証明しています。

 にも関わらず、政府はパブリックコメントで「原発ゼロ」を望む声が9割以上である事を無視し、経済界やアメリカからの要請を受け「原発ゼロ」を含む「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送り、また、本来「原子力ムラからの影響排除」という趣旨で進められていた原子力規制委員会および規制庁の人事を、田中俊一氏をはじめとした原子力ムラの人間や官僚によって構成しました。
こうした法規を軽んじ、脱法的に原発を延命させようとする動きによって、全原発即時廃止の実現は雲行きが非常に怪しくなっています。
日本はこのままでは、福島第一原発事故の収束もままならず、補償等の問題も解決しないまま、永久的な原発存続への道を突き進んでしまいます。

 しかし、それでも私たちには、声をあげることにより世の中をより良く変えていく力がまだまだあります。
5月5日から56日間も続いた全国50基すべての原発の停止も、市民が首相に直接面会し要求をした事も、政府が一時的にも「原発ゼロ」に言及した事実も、すべては原発のない社会を望む一般市民が黙ることをやめ、声をあげたことから始まりました。
3.11以降全国各地で毎週続いてきたデモ、毎週金曜の首相官邸前をはじめとする全国で100を超える地域での抗議行動、パブリックコメントや署名ほか、一般市民の懸命な反原発運動は、確実に政府を揺るがしてきました。

 首都圏反原発連合は、来る11月11日、首相官邸前、国会議事堂周辺をはじめとする永田町・霞が関一帯で、未だかつてない大規模な抗議行動を呼びかけます。
政府に「原発ゼロ」の英断をさせ、再稼働を許さず、全原発即時廃止を実現するために、100万人規模の強大な声をたたきつけましょう!
首都圏にお住まいの方はもちろん、全国からの皆さんのご参集をお願いします。
止めるぞ!オスプレイの沖縄配備 
許すな!低空飛行訓練 11・4全国集会
11月4日(日) 14:00〜15:00
 *集会終了にデモ行進
芝公園23号地 東京タワー北東200m主催:平和フォーラムと市民団体で作る実行委員会
 沖縄県民や山口県民をはじめとした全国の市民の反対の声にもかかわらず、さる10月1日から6日にかけて、米国政府はオスプレイ12機の普天間基地配備を強行しました。
 沖縄県ではオスプレイの普天間基地配備に反対して、県議団を中心とした9・9県民大会実行委員会などによる座り込みが実施されています。また、9月30日には平和運動センターと市民団体が中心となり普天間基地の全てのゲートを封鎖する行動が展開されています。山口県岩国市でも市民団体と山口県平和運動センターなどによる集会が開催され、1200人がオスプレイ反対の声を上げました。さらに、全国の低空飛行訓練ルート下の自治体で、首長や議会がオスプレイの配備と低空飛行訓練に反対する意思を表明しています。
 米国では、国民の反対によってオスプレイ飛行訓練のための「環境影響調査」ですら中止しています。しかし、日本では自治体や住民が反対の声をあげても配備が強行されました。米国によるオスプレイ配備の暴挙は、日本国民の命を軽んじているものであり、断じて容認できるものではありません。







週刊墨教組 No.1687                 2012.10.15

二〇一二 秋季賃金確定闘争勝利! 
 ふざけきった都人事委員会勧告
   給与一三三六円(〇・三二%)引き下げ
   国人勧を超える例月給削減反対!
   住居手当「抜本見直し」削減反対!
   三五歳以上・自宅は支給対象外
     支給金額大幅削減
 八年連続引き下げを許すな! 


 十月十二日、東京都人事委員会は、例月給を引き下げ、特別給は据え置きとする勧告を行いました。
 この間、都労連、東京地公労は、人事委員会に対して精力的に要請を繰り返してきました。しかし、今回の勧告は都で働く職員の期待を大きく裏切る、国をも上回る大幅なマイナス勧告であり、このような理不尽な勧告は断じて認められません。

官民格差
 国人勧では官民格差は三二四円と微少であるために月例給・特別給ともに据え置かれました。ところが都人勧は、都における官民格差を一三三六円であるとし、「是正」しようとしています※1。算定規準・方法に問題があります。労働基本権の制約によって公務員労働者の生活を守るべき第三者機関としてある人事委員会の職務を自ら放棄した勧告と言わざるを得ません。旧自公政府の「総人件費削減」政策を実現することを目的としているといわざるを得ません※2。

便乗福利厚生切捨て
 例月給を一三三六円引き下げるために、都人勧は「住居手当の見直し」を初めに行います。本来住居手当は生活給に類する部分でありその削減は「福利的要素の削減」となります。明らかに「便乗」切捨てです。
 具体的には、「支給対象者を若年層(当該年度末において三五歳未満)の借家・借間に居住する世帯主等(公舎等に居住する職員を除く。)に限定」し「自宅に居住する職員については、支給対象外」とします。三五歳以上の人間は家を持たなくていいとでもいうのでしょうか。「借家・借間」以外の住居には、ローンも管理費も積立金も修繕費も…かからないと思っているのでしょうか。
 支給金額についても、「一五〇〇〇円に改定」されます。支給対象者がより少なくなることから、住居手当は平均四三〇二円の引下げ(行政職給料表一適用者)」となります。
 東京・首都圏に住むためにはどれほどの住宅費が必要なのかわかっていません。バブル期にステップ償還と言う甘言に乗せられてしまった高年齢層が「フラット化」により給料を下げ続けられていても「住居費負担が給与水準に比して相対的に過重となっている」と言えないのでしょうか。まったくふざけきった認識です。

便乗能力給拡大
 一三三六円の格差を埋めるために住居手当を四三〇二円下げる…。計算が合いません。なんと「住居手当の見直しにより生じた四三〇二円の一部を用いて公民較差を解消し、残る二九六六円を原資として、職責・能力・業績の給与への反映を一層徹底する観点から有効に活用するため、給料(はね返りを含む。)に再配分する」と言うのです。まさに詐欺・便乗。人の財布から金を奪って「恣意的に分配」するものです。

闘わなければ どんどん悪くなる
 もはや政府・当局の賃下げ機関となりはてた人事院、人事委員会勧告です。
 今後、組合は十一月初旬を山場に、「労使交渉による決定」を基本に、都で働く多くの仲間と共に秋闘勝利に向けて闘う体制を確立し、都当局と交渉を強化していきます。
 「退職金削減」攻撃も極めて危険な状況です。例月給・住居手当の大幅切り下げ反対、人事考課制度の抜本的改善、高齢者雇用制度改善等の要求実現に向けて、共に闘いましょう。闘わなければ、さらなる改悪が強行されることになります。
 組合員のみなさん、先号より事態は悪くなっています。今行われている批准を圧倒的に成功させ、闘う体制を確立しましょう。
 組合員でない方は、労働基本権回復を目前とした今、労働者の権利と社会的責任を果たすために、組合に加入してください。
 若い方、一〇年先、二〇年先を想像し、自分の生活を切り拓くために、共に闘いましょう。


資料 都人勧

都人事委員会勧告のポイント
○例月給は8年連続の引下げ、特別給は据置き
・公民較差(△1,336円、△0.32%)解消のため、住居手当の見直しと給料 月額の改定で給与を引下げ
・特別給(賞与)は、民間の支給割合と均衡しており、改定なし
○給与構造・制度の改革
・「職責・能力・業績の給与への反映の一層の徹底」と「生活関連手当の見直し」の二つを柱に、管理職の給与制度の大幅見直しなどを実施
・部長の職の給料月額を職責・役割に応じて定額化(昇給制度を廃止)特別給における勤勉手当の割合を拡大。併せて扶養手当を不支給
・住居手当の抜本的な見直し(対象者を若年層の賃借者に限定し、自宅に係る支給を廃止。併せて額を改定)
都人勧についてはhttp://www.saiyou.metro.tokyo.jp/ninnkyuu/24kankoku/24honbun/24_00_gaiyou.pdf

※1 公民給与の比較
民間従業員 職員 公民較差
409,819 円 411,155 円 △1,336 円(△0.32%)

※2 これまでの取組
 これまでも本委員会は、中立的な人事行政の専門機関として、給与勧告制度を通じて、民間給与の状況を踏まえ、給与水準の適正な反映に努めてきた。その結果、近年は、民間給与の厳しい状況を反映して都職員の給与についてはマイナス改定が続いており、ここ10年の都職員の給与水準の変化を見ると、概ね80万円の年収減となっている。
 また、給与水準の適正化のみならず、給与制度の改革にも取り組んできた。最近では、平成17年から平成22年にかけて取り組んだ給与構造・制度の改革において、昇給カーブのフラット化や、職責差を考慮した改定による給料表構造の改革を実施してきた。
 ※あまりに誇らしげな人事委員会の総括です

※3 2 生活関連手当の見直し
(1) 住居手当の見直し
(制度導入時の考え方と国におけるその後の見直し)
 住居手当については、昭和45年の報告により、住宅難、地価・建築費等の著しい高騰、民間家賃の上昇、民間における同様の手当の普及率、国における対応等を踏まえ、新設された。都と国とでは、住宅事情や公舎の整備状況、勤務地の状況が異なることなどから、当初からそれぞれ別の趣旨に基づく制度としていた。その後、国においては、平成21年に自宅に係る住居手当について廃止勧告を行ったが、当初から異なる考え方により制度を設計していたこともあり、国における見直しを一つの契機としつつも、都としての問題意識を踏まえ、この間、都の実情を踏まえた住居手当制度のあり方について検討を重ねてきた。
(見直しの考え方)
 制度導入当初と現状では、大きく社会情勢は変化している。また、現行制度では世帯主等を支給要件としていることから、結果として、高年齢層、上位職層ほど、受給割合が高い実態にある。
 こうした状況も踏まえ、住居手当の見直しにおいては、改めて給与原資の適正配分という観点から、本手当の趣旨に立ち返り、手当の必要度合いを厳格に考慮するとともに、有為な人材を確保するという採用政策上の観点、都民の理解と納得を得るという観点なども踏まえ、支給対象職員について抜本的に見直し、制度を再構築することが必要である。
(支給対象者)
 本手当が生活給的な配慮の観点から支給するものであることから、住居費負担があるだけでなく、その負担が給与水準に比して相対的に過重となっている職員に限定する。具体的には、相対的に給与水準の低い若年層のうち、借家・借間に居住する世帯主等については住居費負担が過大となることから、若年層の賃借者に限定して支給対象とする。自宅に居住する職員については、対象外とする。
 対象年齢としては、都における採用状況、昇任状況、支給されている給与水準等を総合的に勘案し、当該年度末において35歳未満の賃借者を対象とする。ただし、管理職については、既に一定の給与水準にあること、生活給的な要素を縮小して職責、業績反映の一層の徹底を図る必要があることなどから、年齢を問わず不支給とする。
(支給金額)
 支給金額については、改めて制度を構築することから、制度の趣旨を踏まえ再設定する。具体的には、これまでの支給水準、首都圏における家賃事情、民間における支給状況、支給上限年齢における給与水準・昇給額等を総合的に勘案し、15,000円(単身赴任手当が支給される職員は7,500円)とする。


10・13さようなら原発集会
    大江健三郎さんの発言から
 魯迅は「希望はもともと有るものとも無いものとも言えない。それはまさに地上の道のようなものだ。本来、地上に道は無く、歩く人が増えれば、そこが道になるのである」といいました。それは、今現在のぼくたちに魯迅から送られてきた通信のような言葉じゃないですか。今ここにいる皆さんがデモをはじめます。もし我々が荒野の中をいくとすれば、そこにはもともと道は無いけれども、私たちが歩いたところが道になるのです。この地上の道のようなものとして、希望があるんだと魯迅は言います。私たちが集まって歩くことに希望が生じると、魯迅は言っているのです。 (詳細次号)



週刊墨教組 No.1686                 2012.10.5


二〇一二 秋季賃金確定闘争勝利! 
    減らし続けた賃金・一時金を引き上げよ!
    五五歳代への敵視=昇給・昇格抑制を許すな!
  秋闘を闘い抜こう!

給与勧告のポイント
月例給・ボーナスともに改定なし
@月例給の格差について、給与改定・臨時特例法に基づく給与減額支給措置による減額前の格差を算出し、併せて減額後の格差も算出
 以下の諸事情を踏まえ、減額前の格差(マイナス〇・〇七%)に基づく月例給の改定なし
・従来、格差が小さく俸給表等の適切な改定が困難な場合には改定を見送っていること
・減額後は民間給与を七・六七%下回っていること、減額支給措置は民間準拠による改定とは別に未曾有の国難に対処するため、平成二五年度末までの間、臨時特例として行われていることを勘案
A公務の期末・勤勉手当(ボーナス)の支給月数は、民間と均衡しており、改定なし
 ・上記給与減額支給措置が行われていることを勘案

五〇歳台後半層における給与水準の上昇を抑制するため、昇給・昇格制度を見直し
@五五歳を超える職員は、標準の勤務成績では昇給停止(給与法改正)
A高位の号俸から昇格した場合の俸給月額の増加額を縮減(人事院規則改正)


不当な人事院勧告
 人事院は八月八日、内閣と国会に対して二〇一二年度の国家公務員給与について、
@月例給・一時金ともに、改定見送りとすること、
A五〇歳台後半層における給与水準の上昇を抑制するために、昇給・昇格制度の見直しを行うこと、
B国家公務員制度や高齢期の職員の雇用問題等に関する報告、
C五五歳を超える職員は通常の成績では昇給停止とする
という給与法改正勧告を行いました。
 国家公務員給与は、昨年の東日本大震災の復興財源確保を理由に今年四月から二か年にわたって「七・八%削減」が実施されており、「俸給表と一時金の改定見送り」は、極めて当然のことです。
 しかし、昇給昇格制度の見直しや五五歳を超える職員の昇給停止は、またしても高齢層職員を狙い撃ちするもので、なりふり構わず高齢層職員の給与削減を強行する、拙速かつ一方的な勧告と言わざるを得ません。

都は国に追随するな
 さらに、東京都人事委員会による勧告は十月中旬に予想され、十一月の山場にむけ非常に多くの課題を抱え、厳しい情勢の中の闘いとなることが想定されます。東京の生活実態を反映した賃金と一時金の確定、高齢者雇用制度の充実、五十歳台賃金減額反対、福祉関連要求の実現などが課題となると考えられます。

秋闘を闘い抜こう
 東京教組・墨田教組は、二〇一二年賃金確定闘争勝利にむけて全都の仲間の闘いに連帯し、山場での統一闘争を行う予定です。
 職場の多くの教職員のみなさんが、秋季賃金闘争の意義を理解され、共に決起されることを期待します。

五〇歳代後半層を敵視
 「五五歳を超える職員は、標準の勤務成績では昇給停止」は、この間、都が行ってきた給与体系改悪と同根のものです。それは、「主任―主幹―管理職」という「出世の階段」を辿らない五〇歳台を経済的に圧迫するものです。
 「退職手当の支給水準の引き下げ」(いわゆる四〇二万円削減)も同様です。若い人ならば「それならばこの業界から抜けるわ…」という選択も可能ですが、もう何十年もこの仕事をし、退職額を自明のものとしてきた五〇歳台には転身は難しいものです。まして、「今年減らすぞ!」と言われてはなすすべもありません。他の保身法を選択することが不可能な中で行われる退職金削減は、「現金強奪」以外の何ものでもありません。私たちには正当に防衛する権利が発生します。

官民格差なるもの
 そもそも「官民格差」のほとんどは、「官」が「お手盛りで私腹を肥やした」ためにおこったことではありません。それは、経営側がバブルという放漫経営の崩壊に対処するために、労働者の賃金・社会保障部分を徹底的に削ったために起こってしまったことです。労働者の賃金を下げたためにいわゆる「ワーキング・プア」と言われる層が大量に生み出され、格差が拡大しました。格差拡大は公務員給与が高いから起こったことではありません。格差解消は公務員給与を下げることによって「実現」しますが、それはすべての労働者を「平等に」低賃金で働かせる=プアにすることを結果します。これを「国内植民地化政策」という経済学者もいます。

賃金引き下げの結果
 労働者の賃金を切り下げたことによって、国内での需要が縮減してしまいました。
 金子勝氏は端的に「これだけ若い世代に非正規雇用が増えて、所得が下がれば、モノなんか買えません。」(「失われた30年 逆転への最後の提言」金子勝・神野直彦 NHK出版新書二〇一二・六 42頁)と言っています。
 社会保障・セイフティー・ネットが貧弱な所では、「頼れるのは現金ばかり」になります。むやみに消費を勧めるわけではありませんが、使われるべき金も消費には回らず、使いたい金が若い世代にはありません。物価が下がるために、それを作る労働者の賃金はさらに下げられます。売れるものは海外で生産された「激安品」だけです。

賃金闘争は社会的運動である
 私たちの賃金闘争は、単に「上げろ・上げろ」あるいは「下げるな!」と言っているだけではありません。下がることの社会的意味・上げなければならない経済的根拠も含めて闘っています。多くのみなさんがこの視点に立って共に「賃金闘争」「社会を創る運動」にとりくまれることを、切に願います。


斎藤義和の45stonsもすごい
原発事故すぐに自らのヒット曲「ずっと好きだった」の替え歌「ずっと嘘だった」(ほとんどの方はYOUTUBEなどでご存知と思います)を歌った斎藤義和が、9月、アルバム「45stons」を出しました。

ウサギとカメ

結局最後はどっちが勝ったんだっけな?
・・・・
進化するテクノロジー うまく乗りこなせない人間
戻れないんじゃなくて 戻りたくないだけ
絡み合う利権 後回しの人権 毒で作るエネルギー
今日も編集されたニュース 見えない恐怖の雨

言いたいことも言えないこの世の中
小さな声は今日も届かないまま
息を切らしてボクが辿り着く頃 札幌に椰子の木
・・・・



「土曜授業」反対署名
今週が山場
すでに到着した全員署名も!
10月17日までに、どちらかの書記局にお送りください。

新たに
女性部要求署名・私学助成署名
これまでの
JAL不当解雇撤回
子どもたちの集団疎開の即時実現
オスプレイ配備反対
「放射線副読本」撤回
「退職金400万円削減」反対
でき次第お送りください。


週刊墨教組 No.1685                 2012.10.5

墨田に働くすべての教職員の手で
「『土曜授業』月2回」を縮小・廃止させよう! -2-
   全職場での論議と行動と
    全教職員署名が鍵!


現在の問題は何か
誰も必要としていない
 まず、現場が必要だと思わなかった教育政策がどのように堕落するか、「土曜授業」は「学習状況調査」「個人学習プロフィール」と双璧をなします。※1

※1
・アンケート項目が欠落して後から追加される
・データ処理にミスがある。
・経時的変化をとることを目的としているのに昨年度と比較できない問題になった。
・昨年度と比較できなくても年次記録をするという。
・「ICT化」されたのに、ベネッセからのコンピュータ打ち出し物を見てゴム印を押させる。
・「ICT化」すると言いつつ半年経ってもわからない。etc.
 以上のような欠陥をぼろぼろと出しているのに、現場から抗議の声も上がらないのは、この個人学習プロフィールがいかに現場から無視されているかと言う証


子どもたちの生活を乱している
 週五日制を崩したことによる児童の疲労は歴然としています。極めて慎重に対応しないと「土曜授業」の翌・翌々週はけがや病気が増えてしまいます。また、生活パターンが崩れたため、土曜日の家庭や子どもたちの予定が崩れています。その余波が平日にまで及んでいます。

教職員の疲労は蓄積される
 このことは土曜に出ざるを得ない教職員も同様で、疲労が蓄積されています。
 そもそも四月の休日=労働による疲労からの回復が、四か月も後の八月に繰り越してできるわけがありません。例外的な規定を当然のように前提にすることがおかしいのです。
 「教職員がバタバタと倒れている職場がある」ことが現実です。

週休日の変更もおざなり
 さらに、本来ならば年度当初に、最低でも変更される週休日(「土曜授業」の日)より前に、振替日を指定しなくてはなりませんが、そのことが守られている職場はいくつあるでしょうか? 今年度は「教育委員会閉庁」「学校閉鎖」で後付け的に指定されたのではないでしょうか。後期分についてはおそらく提案すらされていないようです。とすれば昨年同様、白紙委任・あるいは取れないままです。週休日の目的から言って、書類上の処理で私たちの労働の健全さが保たれることはありません。区との間できちんとした労使交渉がなされず、各職場に有耶無耶の形で任されてしまったために、このようなでたらめがまかり通っています。

今なすべきこと

 今年度の「土曜授業」実施状況は別紙のとおりです。 「各学校が、週休日に教育活動を行う場合は、各校長は、教職員の意向も留意し、適切に教育課程を編成・実施する」というのはあながち嘘ではありませんでした。日時数も内容も公開の範囲も大きく散らばっています(言うまでもなく「分散」とは「散らばり具合」のことです。あらゆる統計処理の中で、分散が語られないものはありません。平均と順位の統計は統計としての意味をもちません)。

ばらつきから推測されること
 中学校では大きくばらつきがみられ、良し悪しは別にして「各学校が教育課程を決めた」ことがわかります。それに対して小学校は目を覆うものがあります。これを「神の見えざる手」と見るか「小学校校長の団結力」と見るのか「小心者の横並び」と見るのか? 意見は分かれるでしょう。これも各校によって違うことでしょう。
 しかし、昨年度と同じく現実にある「ばらつきは力」です。私たちは一四回・一三回でも教育課程は受理されていることを歴然たる事実としてとらえる必要があります。

職場での「土曜授業」の実態を見る
 私たちはまず何よりも、各職場の実態を明らかにしなくてはなりません。「土曜授業」は自然現象ではありません。人が行っているものですから人がかえることができます。 二年間行われてきた「土曜授業」の問題点をもう一度はっきりと職場で確認しましょう。そして、予定とは異なっていてもより良く変えられるところは変えていきましょう。
 この作業は、教職員だけでなく、学習の主体である児童・生徒、そして保護者の声や考えやあり方をも含めて行う必要があります。正直な子どもの声を直接に知っているのは私たちなのですから。

新たな区教委見解はない※2

※2 参考 2011年3月「解明要求に対する区教委回答」
6 児童・生徒の体力等の実態を踏まえた上で
9 校長は、土曜授業の実施を含め教育課程を編成する。その際、教職員の意向にも十分留意し、週休日における教育活動を含む教育課程を編成し実施する。各学校が、週休日に教育活動を行う場合は、各校長は、教職員の意向も留意し、適切に教育課程を編成・実施する。
14 区教委として、平成23年度は、月1回(8月を除く)、平成24年度以降は、月2回(8月を除く)という標準を各校長に対して示した。これを基に校長は、毎年の暦、学校、家庭・保護者、地域等の実状を鑑み、教育課程の編成をすることになる。


 来年度の「土曜授業」についての区教委見解は「これまでと何もかわる所はない」です。いわば平行線です。であればこそ、これまでの二年間を総括して各職場で教育課程の内容・目的から児童・教職員の実態、労働条件まですべて含んで決めなければなりません。

二年間の職場の闘いの成果をもとに
 良くも悪くも今年度の「土曜授業」がベースになるでしょう。これをどうしていくかは校長会・ブロック校長会が決めることではなく、全教職員を含む学校が決めることです。
 職場で「土曜授業」廃止・凍結・見直しの意思を共有していきましょう。校長に(校長の方が廃止・凍結を望んでいるかもしれません)この職員の意志に沿った学校運営をするよう説得しましょう。今から進めていきましょう。

「すみだに働く教職員」の実感を基に
 昨年度に続き、都教組墨田支部・教職員有志のみなさんと密接な関係と緊密な連絡を取りつつこの課題にとりくんでいきます。現実にある労働上の諸問題は交渉の対象で、間違いなく問題が生じています。
 区との交渉と職場での活動=闘いは互いを前提にし、互いを高めます。がんばります。


秋の教研集会
10月24日(水)3:30〜4:20
    すみだ女性センター会議室
まもりたい! 未来のために
鎌仲ひとみ監督作品
「内部被ばくを生き抜く」上映!参加費(上映賛同金)500円
どなたもご参加ください







週刊墨教組 No.1684                 2012.9.25

墨田に働くすべての教職員の手で
「『土曜授業』月2回」を縮小・廃止させよう!
   全職場での論議と行動が鍵!


全職場での論議と行動が鍵!
 二〇一三年度の「土曜授業」に対して、私たちは次のことを提起します。
 私たちは先ず、区教委の「教育課程編成権は各学校にある」という「建前」を「信じ」ます。そして、各職場で継続して論議し、各校校長に対して、「土曜授業」月2回は「義務」ではないこと・現状を踏まえれば非教育的・労働荷重な「土曜授業」は回数・時数を縮小するべきと要請しましょう。

区教委に対して
 〔「土曜授業」月2回に固執したり、校長に圧力をかけたりしないこと〕
〔教育課程の編成権は学校にあるのだから、届け出された教育課程を尊重し受理すること〕を引き続き確認し、
〔労働条件に関する組合との交渉に応じること〕を要求していきます。
すでに昨年度五九九筆の署名で確認されていることですが、「土曜授業」撤回まで何度でも署名を出し続けましょう。強力に交渉を進めます。

「署名は役に立つのか?」
 よくこういうふうに問題を立てる方がいます。あれだけの署名があったのに「土曜授業」は進んでいるのだから徒労だったと言えるかもしれませんし、署名があったからこそ二二回が強制されることを避けられたのだとすれば有効だったようにも思えます。社会の問題は複雑ですから、単純な「刺激→反応」図式は成り立ちません。これは「答えられない問題」です。「役に立たない」と断言されるのであれば、それに代わる有効かつ確実な行動を提起していただきたいと、心から望みます。
 官邸・国会周辺・全国各地の金曜デモについて、柄谷行人は、「デモで社会が変わるのか?」と問うて次のように答えています。
「デモで社会は変わる。なぜなら、デモをすることで『人がデモをする社会』にかわるからだ」(「人がデモをする社会」世界九月号)
 これをもじっていえば、
「署名は役に立つのか?」
「署名で職場は変わる。なぜなら、署名をすることで『教職員が署名をする職場』にかわるからだ」
 私たちが心に不満を抱きつつも、ぶつぶつと「つぶやく」だけの職場であったらどのような事態になっているか…。署名すらできない職場で私たちは教育と言う名の仕事ができるのだろうか…。むろんこれも想像にすぎません。

校長宛て署名・教育長宛て署名を
 「土曜授業」を何としてもやめさせましょう。今年よりも規模を縮小しましょう。すべて、皆さんの熱意にかかっています。
 私たちは、できる限り各職場での動き・様子をお伝えします。各職場での論議に活かしてください。
 昨年度に続き、私たちは都教組墨田支部・教職員有志のみなさん・墨田に働く全教職員のみなさんと緊密な連絡を取りつつこの課題にとりくんでいきます。


昨年度までの経過 
 二〇一〇年度


青天の霹靂
 二〇一〇年九月一七日、「墨田区における幼稚園・学校の『土曜授業』について」という事務連絡文書(事務局次長名)を出し、「土曜授業」についての考え方を提示しました。それは全く何の根拠も正当性もないものでした。
 「土曜授業」の根拠は大きくは教育委員会での「指導要領完全実施に伴う時数不足」においていましたが、これが真っ赤な嘘であることは誰しも知っていることです。未だホームページから削除・訂正されていないのはよいモニュメントです。「心の教育」が土曜でなければならない必然性も、振り替え休日をその週におかないことの理由づけもまったくありません。

口から出まかせ嘘八百
 ですから、区教委指導室の説明も、授業をやってはいけない・やったとしても年間時数にカウントしてはいけない・必ず公開せねばならない・原則一日・弁当を持ってくることに意義がある…と、口から出まかせのものでした。当時の指導室長は非婚男性教員に対する差別発言をしても恬として恥じない方でしたからともかく、言わされる指導主事のみなさんの矜持がどれはど傷つけられたか想像もつきません。

組合との交渉を拒否
 さらに区教委は、重大な労働条件の変更であるにもかかわらず、正当な職員団体との交渉に臨もうとしませんでした。かつて「土曜授業」補習教室」が始められた時に、墨田区教委はきちんと組合との間で交渉し不当な労働が強いられないようにしました。なし崩し的に「ボランティア」扱いのような区さえあった時にです。交渉なくして労働条件が保たれないことは目に見えていました。

「土曜授業」反対の狼煙
 私たちは、この状況を打開すべく、都教組墨田支部・教職員有志のみなさんとともに運動を作っていきました。「週休完全2日制・学校5日制を壊す『土曜授業』のおしつけに反対する職場署名」を墨田区の教職員の半数を超える方によって、「「土曜授業」は必要かー撤回を求める全教職員集会」を約百人の参加で行い、区教委に交渉と対応を迫っていきました。

どさくさまぎれの一年目
 区教委は、ようやく「解明要求」に文書で回答しましたが、矛盾と開き直りと説明にならない説明に終始しました。一切の労使交渉をしないまま区教委は「土曜授業」月一回に突き進んでいきました。
 区教委の卑怯な所は、区教委が責任をもって「土曜授業」を決めるのではなく、教育課程は学校が決めるのだから「土曜授業」も学校が決めることだとしたところです。これが、無責任な説明に振り回され準備の整わなかった学校を、校長同士の横にらみ・横並び・「無難」なあり方に押し流して行ったのです。

二〇一一年度
二年目の反対運動
 「二〇一二年度は月二回・年間二二回」との予定を阻止し、できれば二〇一一年度よりも縮減することをめざして私たちは引き続き闘いを進めました。職場での反対運動を形成するためにまず九月に教職員に「土曜授業」の実態・今後の希望に関するアンケートをとりました。これを背景に校長への要請を行いました。職場によっては墨田教組・都教組墨田支部以外の教職員もこの要請に参加しました。これは校長にとって大きな脅威でした。
 小学校校長会は早い段階で年一六回という「縛り」を打ち出してきたようです。そんな権限は全くないにもかかわらずです。職場の闘いの多くはこの「縛り」を突破することに費やされました。

区教委、「年間二二回」を否定
 区教委は振替え休日の処置については一定の不備は認めたものの交渉不必要との立場を変えませんでした。しかし粘り強い交渉の中で、「年間二二回と言ったことはない。少なくとも私は考えていない」と明言するようになりました。また「教育課程は学校が決める」という原則を繰り返し言明しました。区教委には五九九筆の反対署名を提出しました。
その中で二〇一二年度の「土曜授業」が決まっていったのです。
  (「現在の問題は何か」以降次号)



「土曜授業」反対署名10月17日まで
JAL不当解雇撤回
子どもたちの集団疎開の即時実現
…木曜日に届いています。
8月オスプレイ配備反対
 「放射線副読本」撤回
 「退職金400万円削減」反対
署名、でき次第お送りください。

第35回
東京都同和教育研究集会
10月6日(土)9:30〜17:00
墨田区曳舟文化センター

  2階レクレーションホール
  京成線「京成曳舟」、東武線「曳舟」
講演「橋はかかる

  〜差別のない世の中を目指して〜」
    講師:村崎太郎
教師たちの実践報告





「ひと」塾2012
《教育実践の公共的使命(パブリック・ミッション)》
10月6日(土)7日(日)
  両日とも 10時〜18時
講演会(6日14:30〜)
 「内申書裁判から教育行政へ」保坂展人
講座 
6日 「幕末・鎌倉外人殺人事件を追う」千葉保(國學院大學・社会科教育法)
「『火打ち石』の科学――力と熱の関係」平林浩(出前教師・科学)
「漢字のなりたちと意味──万葉集・おくのほそ道へつらなる古代の風習」
伊東信夫(漢字教育研究家)
7日 「折り紙で作る正五角形──108°の秘密に迫る」江藤邦彦(元・高校数学教師)
「相聞歌を詠んで百人一首をつくる」近藤真(佐世保市立江迎中学校・国語)
「怒りのエネルギーシフト──アンガー・マネージメントとアサーティブな怒りの表現」
八巻香織(TEENSPOST)
「無国籍──『私は◯◯人』ってどういう意味?」陳天璽(国立民族学博物館・無国籍ネットワーク)
「原発事故後の福島、チェルノブイリ」木村真三(獨協医科大学・放射線衛生学)

文京シビックホール会議室1・2  東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅
 都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅  JR中央・総武線水道橋駅徒歩10分

参加費  2日間=1万円 1日のみ参加=5千円
主催   ひと塾準備委員会



10.13
さようなら原発集会 in日比谷

 政府は、今後の2030年までの原発・エネルギー政策のあり方を検討するため、3つの選択肢(原発ゼロ、15%、20〜25%)を示して、国民からの意見を募集しましたが、圧倒的に出来るだけ早い時期の原発依存0%が支持されました。こうした声を背景に、脱原発への流れをより盛り上げていくための集会を、10月13日に開催します。どなたでも参加できます。
10月13日(土)13:00開場
 13:30オープニングコンサート Yae
 14:00 集会 発言:大江健三郎さん、
  落合恵子さん、鎌田慧さん、
高橋哲哉さん、ほか
 15:00 パレード出発 演奏 ナラカズヲ
   東電前〜銀座〜鍛冶橋解散
日比谷野外音楽堂
(地下鉄「霞ヶ関駅」「日比谷駅」)
※詳細は決まり次第、更新http://sayonara-nukes.org/2012/09/121013/#more-2473





週刊墨教組 No.1683           2012.9.10

人事異動要綱に「ステージ制」導入
  三地域を経巡らせる「人事異動要綱」の破綻を糊塗するためか?  現状を追認するお得意の「後出し」ルール変更??
 二ステージ経験で三地域経験とみなされる



 8月9日都教委は、「新たなステージ制の導入と活用」「公募制人事異動の明確化」 「異動要項の1本化」を柱とする改正人事異動要綱を発表しました。これまで人事異動 要綱は、小中学校・都立特別支援学校・都立高等学校に分かれていましたが、今回の改定で1本化されることになりました。
 私たちはこの変更の背景は何か・意図するものは何かを冷徹に判断するとともに、この変更をきっかけに区教委・校長が恣意的な異動を目論まないように警戒しなくてはなりません。異動は労働条件であり本人の希望を最優先させることが私たちの認識です。異動される方はもちろんすべての職場のみなさんが、異動について不正を許さない・恣意を許さない・希望を貫くことが大切です。
 これを実現するために東京教組は、疑問点の解明など事務レベルでの折衝を行うとともに、人事異動要請を行って、異動における組合員の希望実現にむけとりくみを進めています。以下、東京教組の説明を掲載します。


人事異動要綱が変わります(抄)
〜新たに「ステージ制」を導入、これまでの地域制と併用
 2ステージ経験で3地域経験とみなされることに〜

1 異動要綱改正のあらましとねらいは?
  今回の改正のもっとも大きなポイントは、新たに設定された「ステージ制の導入」です。これまでの1〜11地域と島しょに分かれていた地域の指定は変わりませんが、今までは3地域を経験していなければ認められなかった「同一地域内の異動」が「異なる2つのステージ」を経験することによって可能となります。
 都教委は今回の改正について、「広域的な人事異動、異校種間異動の促進」「区市町村教育委員会・校長の人材育成支援と人事構想の反映」の視点から行うとしています。前回の改悪では、校長権限の強化により、学校経営方針が最優先とされ、校長、地教委の裁量が大幅に認められたため、本来最優先とされるべき教職員の生活がないがしろにされる人事異動が行われる結果となっていました。東京教組は、こうした強制的な人事異動の抜本的改定を求めて、労使による「人事異動検討委員会」の設置を要求してきました。残念ながら都教委は「検討委員会」の設置を認めていません。しかし、今回の改正では、「異動の目的」「異動の方針」において、いくつかの文言が改正されている点が注目されます。
 一つ目は、「異動の目的」に「都全体の教育水準の向上をめざす」という言葉が、明記されました。さらに、「(教員の)資質能力の向上と人材育成を図ることを目的として、教員の定期異動を行う」と、今までよりも「資質能力向上」「人材育成」を強く打ち出した要綱となっています。
 二つ目に「異動の方針」では、「東京都教育委員会や区市町村教育委員会の教育施策の推進並びに、校長の学校経営や人材育成支援のため、きめ細かな人事異動を行う」と、「都教委・地教委の教育施策の推進」を、「校長の学校経営方針・人事構想」より前面に打ち出しています。
 都教委は、こうした改正点については、「運用面で特に変わるものではない」と回答していますが、今後は地教委・校長に対する交渉において、「人材育成の視点」を学校経営や人事構想に十分反映させ「あなたはいらない、異動してもらう」などといった管理職の不適切な発言を許さず、「恣意的・差別的な人事異動」や「人事異動を契機としたパワハラ」などの防止に向けて、とりくんでいくことが極めて重要となっています。
また、今回の改正では、これまで「小中学校」「高等学校」「特別支援学校」のそれぞれに分かれていた異動要綱が、一本化されました。ただし、要綱が一本化されたことで「人事異動についての日程等に変更があるのか」とういう東京教組の質問に対し、「変更はない。(小中学校の異動日程は)昨年並みを予定」と回答しています。日程の詳細は、9月7日に行われる予定の地教委対象の「人事異動説明会」で明らかになると思われますが、現在のところ、「異動検討結果の通知」(11月末)「異動内示」(2月末)については、昨年並みの日程となる見込みです。また、高等学校への異校種異動について、「高等学校の人事配置の状況をふまえて対応する」と回答しており、状況が大きく変わることはありません。ただし、高等学校には、異動希望先に「区市町村立学校、都立特別支援学校」が、新たなステージとして加えられました。今後、中学校と高等学校との間での「異校種間異動」がどの程度の規模で行われることになるのか、注目していく必要があります。
 これまで、西多摩地区や島しょ地区、特別支援学校への期限付き異動など、異動要綱の規定にない異動が「公募制」によって行われてきました。今回、要綱第5「異動の方法」の4に「公募の取り扱い」という項目が新たに起され、「公募に係る異動については、本要綱の定めにより行う。詳細については別途定める」とされました。すでに、島しょ地区と西多摩地区については6月6日付で、特別支援学校への期限付き異動については7月6日付で、各区市町村教育委員会に募集要項が下りています。 
2 ステージ制とはどのようなものか?
 今回、新たに導入されることになったステージ制について、説明します。
まず、各区市町村が12地域に分かれ、「5校経験するまでに、3地域を経験する。3地域を経験した者は同一地域内での異動ができる。」という原則は、これまで通りです。そのうえで、今回新たにA・B・Cの3つのステージが設けられることになりました。ステージの分け方は次の通りです。

ステージ 地区等・学校の区分
Aステージ 区立の小中学校
Bステージ 市立の小中学校
Cステージ (島しょ地区を含む)町村立小中学校
  児童自立支援施設に在籍する児童生徒が通う小中学校
  区市町村立学校特別支援学級(区立特別支援学校を含む)
  都立学校等
 このステージのうち、「異なる2ステージを経験したものは、異なる3地域を経験したものとみなされる」ということになりました。ということは、ステージをまたいで異動した場合、異動してから3年勤務すると「3地域を経験した」ことになるので、次の異動から「同一地域での異動」ができることになります。ただし、ステージが異なっていても同一地域内での異動では、2ステージを経験したものとはみなされません。

3 3地域のみなしが認められる場合、
認められない場合とは?
 具体的な例を挙げて解説します。

Aさんのケース: 江戸川区立の平井小学校(通常学級)に新規採用され、5年目に町田市立の小山小学校(通常学級)に異動しました。
Aさんの場合、江戸川区は第6地域で、町田市は第7地域です。また、平井小学校はAステージ(区立の小中学校)、小山小学校はBステージ(市立の小中学校)となっているので、Aさんは、異動後3年勤務すると「異なる2ステージ」を経験したことになります。すると、まだ2校しか経験していませんが「異なる3地域を経験したものとみなされる」ので、次の異動では、「町田市内での異動」が認められることになります。

Bさんのケース: 日野市の通常学級に4年勤務した後、青梅市の特別支援学級に異動しました。
この場合は、8地域から11地域への異動となり、かつ、BステージからCステージ(特別支援学級)への異動となるので、Aさんと同様、3年勤務すると「2ステージ経験」となり、「3地域経験とみなされる」ことになります。

Cさんのケース: 世田谷区の中学校(通常学級)に5年勤務した後、新島の中学校に異動しました。
この場合第3地域から島しょへの異動であり、さらにAステージからCステージへの異動になります。そこで、Aさんたちと同じく、3年勤務すると異なる2つのステージを経験したことになります。

Dさんのケース ☆2ステージ経験にならない場合
大田区の特別支援学級で3年勤務してから目黒区の通常学級へ異動しました。
この場合、ステージはCからAへの異動ですが、大田区と目黒区が第2地域で同じ地域となっているため、「2ステージ経験」とはなりません。ただし、大田区での特別支援学級での経験は「任意の1地域としてカウント」されます。
このように「2ステージ経験とみなされる」ための条件をまとめると
「同じ学校・地区・地域内ではない、異なる2つのステージを経験すること」となります。

4 特例が認められる場合は?
 今説明したように、2つのステージ経験が認められるのは、「同じ学校・地区・地域内のステージ経験ではない」ことがポイントでした。しかし、特例として、同一地域内の経験であっても、また異なるステージでなくても「2ステージ経験」が認められる場合があります。

@特別支援教育にかかわる期限付き異動で、3年後に現任地区に戻る場合:  例えば、世田谷区立小学校に勤務し、「特別支援教育にかかわる期限付き異動」で都立特別支援学校に異動。3年に世田谷区内の小学校に戻った場合
 ステージはAとCになりますが、同一地域内の異動なので通常では「2ステージ経験」にはなりません。しかし、特例により「2ステージ経験」となります。ただし、あくまで特別支援教育にかかわる期限付き異動で、3年後に現任地区に戻る場合に限られます。

A異種学校間異動で「2ステージ」とみなされる場合
  三鷹市の中学校(美術4年)から調布市の小学校(図工専科)へ異動した場合
  このケースでは、地域は第9から第10ですが、どちらも市立の中学校ですから、ステージはBからBなので、2ステージになっていません。しかし、異種学校間の異動(中→小)なので、2ステージ経験が認められます。これに関して都教委は「Cステージの都立学校等の『等』の中に中学校と小学校との間での異動(異校種間異動)が含まれる」と回答しています。つまり、この場合はステージが「BからB」ではなく「BからC」に変わったとみなされるのです。

5 これまでの異動や地区経験の扱い
→期限を設けず遡及される! これまでの異動もステージ経験になる

Eさんのケース: 世田谷区の通常学級で4年、杉並区の通常学級で8年、武蔵野市の通常学級で勤務し3年目を迎えました。
地域を見ると、第3→第3→第9地域と異動してきたことがわかります。
 これまでの要綱では、地域の経験が2つしかありませんから、第3地域と第9地域以外の地域を経験しないと「同一地域内での異動」は認められません。しかし、杉並区から武蔵野市へ異動したときステージはAからBに変わっていますので、「2ステージ経験」が認められることになり、「3地域を経験したものとみなす」ので次の異動では「同一地域」=武蔵野市内異動が認められることになります。

 都教委は、東京教組の質問に対し「(ステージ制と3地域経験のみなしは)期限を設けず遡及させていく」と回答しました。異動にあたっては、これまでの異動でどのステージを経験したことになるのかきちんと把握しておくこと、ステージ経験について管理職とも「共通理解を図る」ことが重要となります。
                          
6 「自己申告書(異動について)」の教職歴に「ステージ経験の記入欄」が新設
 これまで説明したように、異動にあたって自分のステージ経験を把握しておくことは、極めて重要になってきます。また、「異動要綱の改正、ステージ制の導入に伴って自己申告書(異動について)はどのように変わるのか」という東京教組の質問に対し、都教委は「教職歴のところに新たにステージ経験を書いていただく欄を設ける予定」と回答しました。9月後半にははじまると予想される中間面接に向けて、異動地域経験とステージ経験を把握し正確に記入できるようにしておきましょう。

原子力空母母港化4周年抗議集会
9月25日(火) 18:30〜
横須賀市ヴェルニー公園

 京浜急行汐入駅・JR横須賀駅徒歩3分
集会。現地からの情勢報告

各地からの連帯挨拶
デモ





第1682号 2012.9.3
引き続き放射性物質を警戒しよう!
官邸・国会前から
東部・墨田へ
直ちに脱原発を実現しよう!!

         本文は先号に

※1 アイナメの基準超 1匹は380倍
NHK 8月21日 21時14分
 福島県の沿岸で東京電力が行った魚介類の調査で、アイナメから食品の基準の380倍と、これまでの調査で最大となる放射性セシウムが検出されました。
 東京電力は、ことし3月から福島第一原子力発電所から20キロ圏内の海域で魚介類への放射性物質の影響を調べています。
 先月18日と23日、それに今月1日に行った調査では、合わせて5つのポイントで20種類の魚介類を採取し、放射性セシウムの濃度を測定しました。その結果、今月1日に南相馬市原町区の太田川の沖合1キロで採取したアイナメ2匹分の検体から食品の基準の258倍の1キログラム当たり2万5800ベクレルが検出されました。高い値が出たことから、1匹ずつ詳しく調べたところ、1匹からは基準の380倍の3万8000ベクレル、もう一方から基準の93倍の9300ベクレルが検出されました。
 東京電力が同じ海域で行った調査で検出された放射性セシウムの値は、これまで国の基準の18.8倍が最大でした。
 今回の調査では、これ以外にもクロソイやコモンカスベなど9種類の魚介類で1キログラム当たり最大で490ベクレルなど、国の基準を上回る放射性セシウムが検出されました。
 福島県沖では、原発事故のあと漁が自粛されていましたが、ことし6月から原発から北東へ50キロ以上離れた相馬市の沖で、放射性物質がほとんど検出されていない「ミズダコ」と「ヤナギダコ」、それにツブ貝の一種の「シライトマキバイ」に限り、試験的な漁が行われていて、アイナメなど今回、放射性物質が検出された魚介類は漁が行われていません。
 東京電力は、「これまで海底の土から検出された1キログラム当たり25ベクレル前後と比較すると高いので、いわゆるホットスポットにいた餌を食べたと考えられる。来週から9月末まで、毎週、今回と同じ沖合1キロを中心に2キロ四方でアイナメと、餌になるエビやゴカイ、それに海底土を採取して原因を調べたい」と話しています。




※2 
東京湾の放射能汚染は心配するレベルではない! 東京海洋大学海洋科学部・石丸隆教授が明言
財団法人「日本釣振興会」(麻生太郎名誉会長)
http://60813806.at.webry.info/201202/article_9.html
原子炉を冷却するために注入された海水および淡水が放射性物質を直接海にもたらした……という説明から巷間でキーワードになっている「ベクトル」(ママ以下同じ)(1秒間に崩壊する原子の個数=放射性物質の量を示す)の解説、そして3・11以降、太平洋沿岸に拡散した放射性物質の追跡データなどをスライドで表示しながら分かり易く教えてくれた。…「@海に入った放射性物質はプランクトンから食物連鎖を通じて大型魚に移行Aプランクトンの死骸や糞として沈降した放射性物質は底生生物に取り込まれ、底魚に移行B放射性物質は海底の生態系内で循環するため、汚染レベルは低下しないC浮魚の汚染レベルは低下したが、底魚ではその兆しはまだ見られないD堆積物、底生生物、底魚の放射性物質のモニタリングを広い範囲で継続して行う必要がある」の5項目になる。・・・特に“Nスペ”で取り上げられた“東京湾の放射能汚染”については、釣りに携わるすべての人が気を揉んでいる。荒川河口(東京・葛西)や江戸川放水路河口(千葉・行徳)がホットスポットと報道され、東京湾での釣魚が成り立たないようなムードが広がっていた。
この点について石丸先生は「放射性物質は時間とともに海水で希薄になるし、現在のレベルでは全く問題ないでしょう。釣った魚を食べる事はもちろん、手で触っても被ばくするなんて事はありません。富津や木更津の潮干狩り? 問題ないでしょう」と太鼓判を押した。…主食となる農産物に比べ魚類を含む水産物の検査まで手が回らないのが現状でしょう。それに本当はもっと発表できる情報があるような気がします」と語り、原発の安全神話を継続させたい関係者に釘を刺した。
4月から食品に含まれる放射性物質の暫定基準値(1s当たり500ベクトル)が100ベクトルに下がるが、先生は「あまり感心できませんね。今まで以上に食べられない物が増えて“混乱”するかもしれません。魚は米と違って毎日500gも食べる人はいないでしょう。とにかく、それほど神経質になる必要はありません」とも話していた。
 ※とても不安な「有向線分」です(引用者)



子どもたちのいのちと未来のために学ぼう
放射能の危険と人権
 福島県教職員組合
    放射線教育対策委員会
  科学技術問題研究会編著
明石書店2012年7月25日
800円(墨田教組扱いで600円)
 ご連絡ください


子どもたちに「生きるための学び」を!
    〜福島県教職員組合の取り組み
 福島県教職員組合は、7月「子どもたちのいのちと未来のために学ぼう 放射能の危険と人権」(明石書店 800円+税)を発刊した。ここには、未だに県内の多くが放射線管理区域内以上の空間線量下で学校生活を送らざるをえない子どもたちに対して、教職員はどう関わっていけばいいのかの指針、人権教育としての「生きるための学び」の視点が提案されている。以下、本書を発刊した福島県教組の取り組みの簡単なレポートである。
福島県教組は昨年組織内に「放射線教育対策委員会」を立ち上げ、まずは福島の現実を全国に訴える取り組みを始めた。今年1月に開催された日教組全国教研集会では、全分科会に福島県教組の各支部の代表が参加し福島の現状を報告した。
そして今年は、10月に予定されている福島県教組教研集会に向けて、「福島の子どもたちに問われる教育は何か」を明らかにする取り組み、さらには文科省の放射線教育副読本の誤りを乗り越えていく独自の放射線教育の副読本の作成に向けた準備が行われている。 8月2日、3日、郡山市磐梯熱海で秋の県教研集会に向けた「第2回教育課程編成検討・推進委員会」(写真)が開催され、県内各支部から代表が参加した。
「推進委員会」では、まず各地の学校の状況が交流された。その中で最も大きな問題として指摘されたのは「プール」実施である。いくつかの市町村では、「強行実施」はしないという確認が組合と行政間で取られているものの、中には教職員の意向を全く無視して「強行」している学校があるという。マスコミではプール実施が子どもたちの満面の笑顔で報道されているが、現場では教職員が悩み、苦しみながら行われているのが現実だ。
そして子どもたちがどう福島を生きていくのか、そのための教職員の持つべき視点は何かについて議論が行われた。そのための素材提供をしたのが教育評論家の長谷川孝氏だ。
長谷川氏は、「福島の子どもたちは、この1年半ものすごく多くのものを学んだ。そこから問題点を整理し、自分の生きる『知識』にしていくのは教師の助けなくしてはできない」と指摘した。この視点は「共通学力テスト」で競争原理を押し付けられ、悩み苦しんでいる全国の子どもたちにも必要な人権教育の内容である。福島県教組が目指している「生きるための学び」は、全国の学校教育に求められる中身でもあるのだ。(湯本雅典)

9.9県民大会と同時アクション「国会包囲」
〜オスプレイ配備を中止に追い込もう!〜
2012年9月9日(日) 11時〜12時半
憲政記念館 11時集合
主催 9.9沖縄県民大会と同時アクション実行委員会 フォーラム平和・人権・環境、ピースボート
 沖縄一坪反戦地主会関東ブロック他
 憲政記念館から
      国会包囲行動を行います。





週刊墨教組 No.1681           2012.8.26

引き続き放射性物質を警戒しよう!
官邸・国会前から 東部・墨田へ
直ちに脱原発を実現しよう!!


フクシマを忘れない
 私たちは、福島第一原発事故で大量の放射性物質がまき散らされたという事実、放射性物質は人体に悪い影響を与える(特に成長期の子ども・胎児においては著しく)という知見、事故による被害は未だ補償されていないし安心を与えていないという判断から、破滅的な事故と経常的な被曝労働の必然性を持つ原発は直ちに停止・廃炉すべきという意思をもち、子どもたちが判断できる正しい情報を学習の素材として提供する責務があると考えています。
 九月、子どもたちがまた学校に戻ってきます。今、墨田区・各校の放射性物質はどうなっているのでしょうか。

天水尊の汚染
 区環境保全課では、五月に学校・園の測定・七月にプール測定をしました。その結果は区ホームページに掲載されています。五月の測定は学校が希望する地点をくわしく調査しましたがほとんど基準を超える場所はありませんでした。
 今、区では五月調査でいくつかの学校で線量が確認された天水尊の測定をしているそうです。天水尊の汚染は底にたまった土砂にくっついている放射性物質によります。その地点(屋上など)にどれほどの放射性物質を含む雨が降ったのか・どれほど広い面積の水(それとともに放射性物質)を集めているか・この一年半で天水尊からどれだけの放射性物質が汚泥や水といっしょに出されたかによって天水尊内の濃度とその周辺・水をまいた花壇などの濃度が決まります。それによって区内の天水尊や雨水循環システムによる放射性物質の動きが予測できます。
 区での調査結果はいずれまとまったらホームページに載せられるようです。

「黒い土」も触らず取り除く
 初め南相馬市で「発見」され、その後東日本全体、葛飾・江東・江戸川でも確認されている「黒い土」は、二四万Bq/kgを超える「風雨の作用で地表のセシウムが寄せ集められた土」です。藻類による集積とも言われています。
 墨田区では不思議なことに、この「黒い土」の報告はなされていないとのことです。しかし、東京東部のあちこちで見られるものが墨田区でだけないことは考えられません。また当然この「黒い土」は、生成―移動―「消滅(姿をくらましてしまう!)」するものです。私たちは今後「黒い土」がないかどうか、注意深く学校・地域を観察していかなくてはなりません。
 そして、線量が高いところがあったら、子どもたちをそのそばに寄らせない措置をとらなくてはなりません。外部被曝だけではなく、乾燥して移動がたやすい状態の放射性物質をかきまわしたり吸い込んだりして体の内部に取り込まない(内部被曝させない)ためです。そして、せっかく濃縮されて存在するのですから、天水尊同様これを「発見」して「捕捉」し「その場から排除(=除染=移染)」することが可能ですし、それがよりたやすい状態にあるという「チャンス」でもあります。放射能の害は未だ不確定です。三・十一以前の状態に戻す」というのは、墨田にあってもフクシマにあっても大前提です。できる限り減らす努力をすべきです。

東京湾と霞ヶ浦
 天水尊と同じです。関東平野は日本一広い集水面積を持っています。各所に降った放射性物質は土・コンクリート・生物に付着したもの以外は水に流されてきます。水に溶け込んでいる放射性物質が多くないことは、各地の水域やプール・天水尊の水の線量調査で明らかです。
 川の場合、流れの緩くなったところで土砂とともに放射性物質は堆積します。東京湾の水質と海底土の放射能量がそれが二〇一二年一月と三月に公表されました※1。水の放射線量は低いし水の遮蔽効果があります※2から、川のそばによっても外部被曝を受けることは少ないでしょう。しかし、NHKスペシャル「知られざる放射能汚染〜海からの緊急報告」では、「河口から八kmの地点・・・に大量のセシウムが溜まっている」と言われています※3。葛西臨海公園を江戸川・荒川河口とすれば八km地点は妙典-東篠崎水辺のスポーツガーデン・都営新宿線船堀―東大島あたりです。河川やお台場の波打ち際・川岸で砂・土に触るのは避けた方がよいでしょう。
 「世界八月号」に、霞ヶ浦のセシウム汚染が報告されています(まさのあつこ「首都圏の水瓶が危ない!」)。国も県も水質汚濁法に則ったおざなりの調査しかしない中、二〇一二年三月、霞ヶ浦の水質浄化・環境回復をめざすNPO法人「アサザ基金」(「トンボ救出作戦」・ビオトープ作製で墨田にも関係が深い)は、「調査や要望などの活動は、流入河川に溜まっている放射性物質が霞が関に流れ込まないようにするためのもので、将来にわたり湖を放射能汚染から守るため」として湖底の線量計測を始め、生物への移染・環境への影響を調査しています。例えば小河川の場合は、少ない流域面積のため汚染物質が河川に移動しやすいが、流量が少ないために河川内にとどまりやすい。逆に大河川では、流量は大きく川に入った放射性物質は速やかに霞が関に流れて来るが、流域面積は広く山林も多いので河川に運ばれるまでの速度は遅い。「そうであるならば、放射性セシウムは長期にわたって霞ヶ浦に流れ込んでくるのではないか」。東京湾・東京の河川もまったく同じことが言えましょう。
以下 次号に続く

魚の汚染
 南相馬沖一kmでとれた二匹のアイナメを調べてみたら二五〇〇〇Bq/kgという恐ろしい値が出たので一匹ずつ測ったら三八〇〇〇Bq/kgだったそうです。何匹かの偶然のサンプリング調査でこんなものを引き当てるのですから、汚染の確率はかなり高いでしょう。この周辺海域の海底土は「二五Bq/kg」! 潮の流れ・水深・形状・・・などが東京湾・霞ケ浦とは違うとはいえ、大量の放射性物質が水とともに排出され・排出されつつある地域とは思えない数値です。東電の言う「いわゆるホットスポット」とはいかなるものでしょうか、またどれほど広く拡散しているのでしょうか。
 霞ヶ浦では基準値一〇〇Bq/kgを超えたアメリカナマズの他、基準値に接近するウナギ・ギンブナなどいくつかの魚を出荷制限しています。東京湾での魚は今のところ基準値越えは正式に報告されていませんし、「財団法人日本釣振興会」(麻生太郎名誉会長)は「問題ない」との見解を表しています。しかし、陸上と同じ警戒をしていかなくてはなりません。

内部被曝を避ける
 墨田で線量を測るのは、外部被曝を恐れるからよりも、たとえわずかではあっても高濃度の放射性物質があるならばそれが体内に取り込まれてしまうのではないかという危惧によります。
 砂場で体内に取り込まれるのは〇・二であるとの数式があります。しかし、あちらこちらにホットスポットがあって、それをつぶすたびに呼吸から体内に入るとすれば、それは〇・二にとどまらないでしょう。

「六〇禁放射線量」
 私たちは子どもたちの内部被曝を最小にするために、汚染物質が大量にある地域からの退避・除染とともに、食物からの汚染も警戒しなくてはなりません。
 区でも給食の放射線量を計測していますが、未だ検出されていません(区の基準値は四〇Bq/kg 検出限界三〜八Bq/kg)。
 国の安全基準は、一〇〇Bq/kgです。一〇〇Bq/kgのものを一回摂ることは禁じられますが九九Bq/kgの「安全」な物を一〇〇回食べることもできるのです。これはかなり危険な「規制」です。
 八月十二日「下町労働者集会」で講師の京大小出氏は持論である「六〇禁食物」を展開されています。なかなか批判されることも多い論ですが、少なくとも子どもや妊娠している方には、放射性物質の入っていないものを食べさせるべきでしょう。

福島県教組郡山支部前書記長鈴木さんの話
 東京教組東部地区夏季教研八月二三日午後は、郡山から鈴木さんを講師としてお迎えして「福島の現状と郡山の取り組み」をうかがいました。
 二〇一一年三月、何も情報がなく(隠されているように思えたそうです)しかもわずかな情報も疑わしい中、郡山支部は自分たちで調べ現場=各学校にその情報をファックスで流し続けます。日に三通送ったこともあるそうです。各校の各所で測り、市内を測り、県の各地を測っていきます。今では常識となっていることですが、線量の高さはフク一からの距離に反比例しないまだら状であること・地表面の状態により放射性物質の付着が異なること・「除染」はほとんど役に立たないことなどを、いち早くとらえます。『ミスター100ミリシーベルト』山下俊一氏や「今まで通り」にやらせようとする教委・行政の在り方に対して、事故以来い線量や生活の変化のために苦吟している子どもたちや教職員に寄り添って、より危険を回避する道をとってきました。
 この夏、福島県教組は「子どもたちのいのちと未来のために学ぼう 放射能の危険と人権」を出版し、さらに教育現場で使える学習指導資料を作成しています。 「フクシマを忘れない」私たちは福島と共に進んでいきます。

原発廃炉
 私たちは、「すべての核の廃絶」を実現し、子どもたちの未来に少しでも不安を減らしたいと願っています。それが市民として・教職員という職業として・労働組合としての使命であろうと考えています。
 署名・カンパ・毎週金曜夜の官邸と国会前での抗議集会・放射線量測定・子どもたちが不安に思う放射線についての学習・・・できることは何でもやります。心ある方は、共に脱原発に向けて歩を進めていきましょう。



※1 海底土の放射能量(Bq/kg)
東京湾
 荒川河口:440 環境省調査
 浦安沖:115 文科省調査
 両国橋:580 環境省3/30

霞ヶ浦(2011.9→2012.2環境省調査)
 湖心:140→540
 北東部:200→700
 北浦釜谷沖:90→610
 土浦市備前川:9000(アサザ基金調べ3月)

※2 ミニホットスポット簡易検出法と対処法ver. 2012.5.9新田伸也(筑波技術大学)他
・遮蔽物で囲う
現在の主要なガンマ線源であるセシウム同位体から放たれる程度のエネルギーのガンマ線であれば、水によっても効果的な遮蔽が可能です。20Lの石油用ポリタンクの厚みにあたる20cmの水の層はガンマ線を約54%遮蔽できます。ポリタンクを2重にして40cmの厚みにすると約79%、3重にすると約90%遮蔽できます。除去した土壌をポリタンクに収納し、周囲を水で満たしたポリタンクで囲む事で、相当のガンマ線の遮蔽が期待できます。

※3
NHKスペシャル「知られざる放射能汚染〜海からの緊急報告」2012年1月15日(日) シリーズ原発危機

 「『当初、上流では水の動きにあわせて粒子とともに移動していると思います。川の中だと、水の流れで動いていくんですが、それが河口に行くと凝集し始めて沈むと。で、いったん沈んでしまうと流量が増えない限り、そんなには動かないという状況だと思います』。鯉渕さんは、2ヶ月かけて江戸川の川底のセシウムの量を調べました。その結果、セシウムがもっとも溜まっている場所が分かりました。河口から8kmの地点。検出されたのは、1623ベクレル。河口付近(872ベクレル)の2倍の濃度でした。この場所に大量のセシウムが溜まっているのです。東京湾に流れ込むすべての川で、セシウムが蓄積され、大雨が降るたびに、少しずつ移動しているとみられます。」



意見表明を恐れない

 八月二六日朝日新聞に情けない記事が出ていました。国会議員が朝日新聞社のアンケートにどのように答えようと(自民党所属議員は三人以外、〇%を支持しない)、「答えない」と返答し無視しようと個人の自由です。「原発一〇〇%」と言っても激しく反論されることはあっても「情けない」などとは言われません。
 情けないのは、議員の少なくない部分が「実名は出さないで」としたことです。「言論の府」などというのは死語になったのでしょう。己の意見表明においてその職に就いている者がとるべき態度ではありません。「いじめをみたらだめだよと言おう」なんてこの人たちが口にできることではありません。私たち教育に携わる者も怯懦に陥ることなきよう他山の石とすべきです。

国会議員「原発ゼロ」支持42% 朝日新聞アンケート
http://www.asahi.com/politics/update/0825/TKY201208250470.html
2030年時点の原発割合など新しいエネルギー政策について、朝日新聞社は全国会議員を対象にアンケートを実施した。原発割合「0%」を支持する意見が全体の42%。民主党でも40%を占め、「脱原発」の志向が強まっていることがわかった。ただ、自民党はわずか4%にとどまった。
 7月下旬から衆参両院の721人に書面で質問し、25日までに記者会見などでの取材を含め計434人(60%)から回答を得た。



脱原発8・12労働者集会が大成功―労働組合は闘いの中核を担おう
http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/473.html
http://www.labornetjp.org/news/2012/812koide
レイバーネットで紹介されています。
ユーストリームではほぼすべて動画化されています。
http://www.ustream.tv/recorded/24651187など
その中でhttp://www.ustream.tv/recorded/2465063819分40秒当たりから
姫野洋三「若狭の海」1994年作品がよかった。最後に「フクシマ」の歌詞を加えて歌われました。

 若狭の海  
       姫野洋三
若狭の海に 雪が舞う
あやしげな光りにつつまれ
行き交う船に カもなく
重くのしかかる 原発銀座
※夜をあんなに明るくしといて
 夏をあんなに寒くしといて
 まだまだ 足りないなんて
足で扉を開けて
足を使わず 階段昇る
電気でお湯を沸かして
電気で野菜をつくる
  (※ Ref.)
味も香りもない放射能
毎日せっせと作りつづけて
孫の孫の……代まで
汚れた世界だけを残すという
  (※ Ref.)
若狭の海に立てば
暗闇の静けさの中
生命の叫びを聞く
生命の叫びを聞く
  (※ Ref.)

フクシマの海に立てば
暗闇の静けさの中
生命の叫びを聞く
生命の叫びを聞く
 あれだけ毒を
    まき散らしておいて
 愛しき大地を汚しておいて
 遥かな海を汚しておいて
 まだまだ止めないなんて
 まだまだ動かすなんて


子どもたちのいのちと未来のために学ぼう
放射能の危険と人権
 
福島県教職員組合
    放射線教育対策委員会
  科学技術問題研究会編著
明石書店2012年7月25日
800円(墨田教組扱いで600円)
 ご連絡ください





週刊墨教組 No.1680 2012.8.6

断じて認められない!!
退職手当削減 四百二万六千円   反対!
理不尽な扱いは闘いによって斥ける
まず全教職員署名によって反対の意志表示を!


今年度から削減か!?
 人事院は退職給付金調査(二〇一一年一〇月〜十一月)結果から、公務員の退職給付金は民間を四〇二・六万円上回るとし、格差を埋める・経過措置を講じる・早期退職者に対するインセンティブを付与する措置が必要との見解を出しました。
 これを受けて、「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」(座長森田朗学習院大学法学部教授)は、今年七月五日報告書を政府に提出しました。
 そこでは、人事院十二月見解を追認し、四〇二・六万円削減を前提とし、その経過措置については、必要・不必要の両論を併記するという無責任極まりないものでした。※1
 原発再開・消費税増税・オスプレイ配備強行でまったく支持を失った野田政権は、人気回復の手は公務員叩きしかないとばかりに、二〇一二年度中に一気に四〇二・六万円削減しようと目論んでいます。私たち公務員は、野田氏のかなわぬ人気取りの犠牲にされてはなりません。

不透明な調査
 調査報告は、公務員退職給付金額は簡単に追計算できますが民間のそれは非常にわかりにくくなっています。勤続二〇年以上で定年退職者というものは現在の公務員ではほとんど例外的ですが民間ではまれではありません。それで比較していいものでしょうか。また「自己都合退職」の扱いもはっきりしません。
 比べるべき民間の事業所規模を相変わらず「五〇人以上」としています※2。私たちの「企業規模」(「事業所規模」ではありません)は五〇〜一〇〇人でしょうか? 
 人事院調査参考資料十三ページには企業規模別平均退職給付額の表が出されています(「企業規模別・勤続年数別、退職事由別退職者数及び平均退職給付額」)。この表によると、勤続三八年の定年退職者の退職給付総額は、従業員一〇〇〇名以上の企業では二八七八・一万円となっています。国家公務員の退職給付金は大企業とほぼ同程度になります。
 面白いことに従業員五〇人以上一〇〇人未満の事業所では一八七六・四万円です。「会社都合退職(勧奨退職など)」の割り増し分を入れてもそう簡単には二五四七・七四万円にはなりません。が、単純に一三六%だとすると、先の一〇〇〇名以上の企業では三九〇七万円になってしまいます。
 
退職金の意味
 退職金は、退職後の生活設計に重大な影響を及ぼします。ローン返済が現職中にできなくなる可能性もあります。退職が目前にはない若い人々にとっても金銭的にも精神的にも大きく影響します。
 給料月額からの計算式で決められている退職金を賃金と同じように民間との比較で決めてよいものではありません。賃金はまた回復させる可能性がありますが退職金に回復はあり得ません。その一回きりのものです。
 賃金は「私の今」の労働に支払われますが、退職金は「長年の労働」を対象として支払われます。「賃金の後払い」と呼ばれるゆえんです。
 社会保障制度の不備な日本社会では、退職金は退職後の生活の基盤となるものです。今年度定年退職者は、いったい来年の三月退職金の金額はいくらなのかはっきりしないという不安定の中に投げ込まれてしまいました。人の人生を馬鹿にしてはいけません。退職後を考えるには最低でも五年の余裕は必要です。
 「報告」にもあるように、「公務員も労働者であるから、退職手当の引下げが与えるインパクトの大きさを考えれば、今回の法的措置を講ずるに当たって、職員に十分に説明すること・・・や職員団体と合意すべき」ことが重要です。

労働者連帯の課題として
 「格差はより大きい」との説もあります。そうかもしれません。「厚生労働省就業条件総合調査」には、この十年間の退職金の推移が掲げられています。勤続二〇年以上かつ四五歳以上の大卒定年退職者の退職給付額は一〇年で、二八六八万円(一九九七年)から二〇二六万円(二〇〇七年)に落ちています。目を覆う悲惨さです。これが「戦後最長の『好景気』」下に行われたことです。
 「格差を縮める」ためには急激に落とされた民間を引き上げるべきです。ここには出てこない非正規労働者にきちんとした給料と退職金を支払うべきです。あるいはベイシックインカムを含む「セイフティ―ネット・社会保障の充実」の方向に進むべきです。
 公務員は「安定した職業」と言われ、バブル期にも浮かれることはありませんでした。だからこそ私たち公務員は踏みとどまるべきです。対立させられて互いの足を引っ張り合う「負のスパイラル」に陥ってはなりません。労働者連帯の立場で踏みとどまるべきです。
 
共に行動を
 今、退職手当に関しては対象者全員による要請署名をお願いしています。これから秋にかけて、極めて熾烈な闘いが予想されます。みなさんが私たちとともに降りかかる火の粉を払うとともにすべての働く人々のより良い労働を実現することに尽力されることを訴えます。私たち墨田教組は闘います。



※1 有識者会議 報告書
「人事院の見解にあるような段階的引下げ措置については、今回の引下げ幅(▲約14.9%)が大きいことを踏まえ、次の事項等に鑑みれば、段階的引下げ措置を講ずることが適切との意見が多数であった。
@ 民間企業で大きな引下げを行う場合には段階的に行うのが一般的であること
A 就業規則の不利益変更に係る判例法理(不利益変更の内容や方法などを総合考慮した合理性が必要)や労働契約法がそのまま適用されるものではないが、その考え方を踏まえる必要はあり、官民比較に基づく水準調整とはいえ、これを一時に行うことは、民間企業であれば労働条件の重大な不利益変更として訴訟リスクを抱える可能性が高いレベルであると考えられること
B 退職手当は、長期の勤続に対するものであり、退職後の生活保障の性格もあることから、基本的に制度の安定性が求められ、また、退職間近の職員は、既に現行水準による退職手当を見込んだ生活設計を行っていると考えられるとともに、引下げを一時に行った場合には、将来も急激な変化が突然起こりかねないとの不安から、中堅・若手層の職員の士気にも影響し得ること
C 国家公務員の労働基本権が制約されている下で一方的に不利益を課すには手続的にも慎重であるべきこと」
「また、段階的引下げ措置を講ずるとしても、現下の財政状況の下で国民の理解と納得を得るためには引下げに長期を要するのは適当でなく、その1回当たりの引下げ幅については、これまでの段階的引下げ措置よりも厳しいものとせざるを得ないとの意見があった。
さらに、段階的引下げ措置をした方がよいという意見も十分に理解できるものの、現在の税収の落ち込み等の状況下で国民的な理解を得ることを考えれば、今回は過去のような段階的引下げ措置を講じないこととしてもやむを得ず、よって、較差の調整を一時に行うべきであるとの意見もあった。」
 「なお、公務員も労働者であるから、退職手当の引下げが与えるインパクトの大きさを考えれば、今回の法的措置を講ずるに当たって、職員に十分に説明することが重要との意見や職員団体と合意すべきとの意見もあった。」

※2 「本院が毎年実施している「職種別民間給与実態調査」と同様に、企業規模50人以上の企業を対象とした。具体的には、企業規模50人以上の全国の民間企業約35,700社(母集団企業)から企業規模及び産業分類別に層化無作為抽出法によって抽出した6,314社を対象に、昨年10月から11月にかけて調査を実施した。調査内容は、平成22年度における各民間企業の退職給付制度と平成22年度中に勤続20年以上で退職した常勤従業員(大卒及び高卒)の退職給付の支給額とした」




夏季休業中にもかかわらず、カンパ・署名、精力的にとりくんでいただいて、ありがとうございます。
全教職員を対象とした「地方公務員の退職手当など退職給付にかかわる要請事項」署名と合わせて引き続きお願いいたします。



週刊墨教組 No.1679      2012.7.23


四〇年前の悔みを繰り返すまい
 この夏が分岐点
原発廃止と安全の方へ
〈私=あなた〉の営みで未来を決めよう


無かったことにはできない
 私たち墨田区教職員組合執行委員会は、毎週金曜日、官邸前・国会へ出向き抗議の輪の中にいます。心から案じる人たちが集まっています。子どももいれば高校生もいます。何人もの知り合い(教職員であったり墨田区の人であったり)にも会えます。「無かったこと」にしていたマスコミもようやく取り上げ始めました。


四〇年前の悔み
 私たちはその誕生の時から原発が危険なものだということを知っていました。その時に多くの若者は反対し、そして反対しきれませんでした。あの時、もっと徹底して反対して原発など作らせなければフクシマの悲劇はなかったのだ…。激しく悔やまれます。しかし、反対が足りなくて今のようになってしまった「責任」を「無かったこと」にはできません。
 生まれた時にすでに原発があった人の手は汚れていない、今ここにある原発から考えを進めればいいのです。

行動は止められない
 今、再稼働・原発「新設」をももくろむ「揺り戻し」が始まっています。
 私たちは、四〇年前の轍を踏むことなく、反対であるとの立場を押し通します。たとえ、この週刊墨教組」が「写真ばかりで無内容」「原発話題ばかり」と言われても。
 また、私たちは金曜日に永田町に行くことを止めません。「原発が稼働すれば諦めるさ」「反対って言ったって、規制を厳しくすれば来なくなるさ」と「官・原発推進者」にせせら笑われるのがたまらなく悔しいのです(7月27日は行わないと主催者は言っています)。

ぼろぼろ
 電気供給量が不足するからと原発を再稼働したとたんにそれを超える火力発電所を停止させました。公聴会では電力会社社員が「フクシマ事故で死んだ人はいない」と公言しています。鉛の板で積算線量を増やさないように東電下請け会社(役員)は工夫しました。断層の評価は怪しげだけど動いている大飯は止めません…。
 今、原発を進める側の行動は滅茶苦茶です。反原発運動を活性化させるためにやっているのではないかと疑ってしまう時もあります。それでも「ロンドン五輪」で人々の心は原発から離れるだろう・「フクシマを忘れ」るだろうと読んでいるのでしょう。悔しいではありませんか。

分岐の夏
 「アウシュビッツの後で詩を書くのは野蛮である」(ドイツの哲学者テオドール・アドルノ)を踏まえて7月16日17万人の集会で「福島のあとに黙っているのは野蛮だ」と坂本龍一氏は訴えました。その坂本氏に対し、ある新聞社は悪罵を投げつけています。※1
 沈黙するのか行動するのか・「無かったこと」にするのか現実を直視するのか・東京新聞か産経新聞か、私たちは立ち位置をはっきりさせなければなりません。未来は今にかかっています。
 
みなさんに訴えます
・7/29国会大包囲に参加しましょう
・パブコメに意見を集中しましょう。8/12締切りです。
・学習しましょう。8/12・8/23…それ以外にもたくさんの機会があります。
・職場で子どもたちを守りましょう。東京東部・学校の放射線の現状を把握し、内部被曝も含めて子どもたちの安全をはかりましょう。そして、「どこにでもある放射線」(副読本の立場)ではなく、原発事故による放射線から自分自身を守る子どもたちの学習を進めましょう。





※1 【産経抄】7月21日
 いまどきのおしゃれな文化人になるためにはどうすればいいのだろうか。若いときに電気をふんだんに使ったコンサートをやって人気者になり、ニューヨークの高級マンションに住む。もちろん税金は大好きな米国に払って日本には払わない。
 ▼菜食主義を一度は試し、電気自動車のコマーシャルに出る。還暦を過ぎれば流行の「反原発デモ」の先頭に立って、アジ演説をぶって拍手喝采される。目立ちたいのは文化人の業だが、もう少し本業に専念しては、と望むのは古くからのファンのないものねだりだ。
 ▼いままで書いてきたのは架空の人物の話。ただ、ミュージシャンの坂本龍一さん(60)が、16日に17万人集まったと称する(実際は7万5千人程度だったが)反原発集会での演説は、おしゃれな文化人そのものだった。
 ▼彼は、「たかが電気のために、この美しい日本の未来である子供の命を危険にさらすべきではない」とのたまった。確かに、たかが電気である。命には代えられない、と思わずうなずきたくなる甘いささやきではあるが、「たかが電気」がどれだけ多くの命を救ってきたことか。
 ▼東日本大震災でも17年前の阪神大震災でも真っ暗だった被災地に明かりが蘇(よみがえ)ったとき、どれだけの人々が感涙にむせんだことか。大震災直後の昨年春、たかが数時間の計画停電で、病院に影響が及び、どれだけの病人が困ったかを坂本教授は知らないのだろう。
 ▼昨日の首相官邸周辺でのデモには鳩山由紀夫元首相も参加した。原発への恐怖心を利用して騒ぎを大きくしようと画策する左翼団体や金持ち文化人、それに選挙目当ての政治屋どもに踊らされていることに参加者はそろそろ気付かれた方がいい。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120721/trd12072103130001-n1.htm
 ここまでえげつないのは追い詰められている証拠か。




参考 パブコメで未来を変えよう 「『エネルギー・環境に関する選択肢』についてのガイドブック」より
http://publiccomment.files.wordpress.com/2012/07/e981b8e68a9ee882a2e382ace382a4e38389e38396e38383e382af_4.pdf
 eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)e-shift.org
 このガイドブックでは、まずは政府の示した選択肢の問題点を明らかにし、この先、どんな社会を選んでいったらいいのかを考えるための視点を提起したいと思っています。
 そもそもこれは、昨年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、これまでの原発推進体制を見直し、日本のエネルギー政策を白紙に戻して、「脱原発依存」に向けて検討することからはじまったものです。
 福島原発の事故は、いまだ収束せず、放射能の放出は続いており、危険な状況が続いています。そして、この事故により、今も多くの人が苦しんでいます。こうした状況をふまえて、私たちが近い将来にどんな社会に生き、どんな未来を築いていきたいのか、どんなエネルギーを選びたいのか、政府に直接意見を届けるチャンスです。 意見を言わないことにははじまりません。ぜひこのガイドを読み、政府へパブコメを提出していきましょう!
 3つのシナリオは、原発については選択肢が大きくわかれているので、選びやすいとも言えます。しかし、どれも将来の社会の描かれ方が不十分ですし、持続可能な社会を選択できるものでもありません。ゼロシナリオを選ぶにしても、パブコメではやはり問題点をしっかり指摘しておきたいものです。いろいろ問題はありますが、ここでは8つ問題をあげておきたいと思います。

パブリックコメント自体についてはてhttp://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf
 意見提出はそこにあるhttps://form.cao.go.jp/aec/opinion-0027.htmlから、あるいはファックス・郵送でも行えます。



「放射線副読本」撤回を求める署名

 各校に配られている「放射線副読本」が「放射線はどこにでもあるから安心」神話・「フクシマなんか忘れていい」を弘めるためのものであることは以前に指摘しました。各校でもしかるべき扱いをされていることと思います。
 今回「副読本」の全面撤回と子どもたちの被曝を減らし健康と学習権を守ることを求める署名が来ました。
 何次にわたっても結構ですから、でき次第、組合事務所までお送りください。




2012年都同教夏の学習会
 墨田で開かれる ふるってご参加を

 墨田区に荒川と中川と仲居堀に三方を囲まれた木下川地域があります。木下川はピッグスキン(豚革)の代表的産地で、現在も全国の7〜8割の生産を誇っています。
 さて、今年の都同教夏の学習会は、この地域の運動とのつながりを強めたいと考え、この地で開くことにしました。全同教大会には、毎年のように木下川から報告が出され、また都同教としても何度となくフィールドワークをしてきた経過があります。今ここで、同和教育の内実を地域の運動と連動しながら高めていきたいと考えました。
 皮革関連産業は、不況に直撃されながらも、技術を活かし再生の道を歩もうとしています。私たちは、東京の皮革産業の町”木下川”で、ここで運動を進める人たちとの交流を深めながら、明日を展望する同和教育を自分たちのものにしようと思います。多くの人の参加を期待します。
 日時 2012年8月7日(火) 9時30分
  〜8月8日(水) 17時00分(一日だけの参加も可能です)
 会場 旧木下川小学校及びすみだ社会福祉会館
 主催/東京都同和教育研究協議会



週刊墨教組 No.1678 2012.7.17

7月13日(金)首相官邸前抗議集会

抗議する人々を歩道に閉じ込めても
 原発の危険と反対の声を消すことはできない!
〈私=あなた〉の参加が この動きを一歩進める


7月16日(月・祝日)代々木公園10万人集会
代々木公園をうめつくす17万人
署名も毎金曜官邸前抗議も
原発を止めるまで続く



http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf
「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集(パブリックコメント)について
 現在、政府現在、政府は、東日本大震災及びは、東日本大震災及び東京電力福島第一原子発電所の事故を踏まえ、エネ発電所の事故を踏まえ、エネルギー・環境戦略の見直しを行っています。
 6月29日に、政府の「エネルギー・環境会議」(長:古川国家戦略担当大臣)は、2030年のエネルギー・環境に関する3つ選択肢(原発依存度を基準、@ゼロシナリオA15シナリオ、B20〜25シナリオ)を取りまとめました。
 今後、3つの選択肢に関する国民的議論を礎として、8月にエネルギー・環境の大きな方向を定める革新的エネルギー・環境戦略決し、政府として責任ある選択を行います。
 つきましては、平成24年7月2日から7月2日から8月12日までの間、「エネルギー・環境に関する選択肢」に対す御意見を募集いたします。
○御意見募集対象 「エネルギー・環境に関する選択肢」

 無視すべきだとの論もありますが、執行委員会では、0%を主張すると共に、福島原発事故の原因究明・被災者支援・復旧のめども立たないままに大飯原発再稼働したことの非人間性を訴えます。どうか多くのみなさんがこのパブリックコメントにご意見を寄せられることを願います。



週刊墨教組 No.1677                    2012.7.9

夏期休暇を確実に
 そして「研修」を
「教育委員会閉庁」は夏季休業中に
 「無意味に学校にいる」ことを否定する


東電から「原子の電気」が来ない夏
 先にお知らせしたように、区教委は夏の一時期、区教委主催の研修会など行事を入れない「教委閉鎖」(流布されたこのネーミングが誤解のもと)をします。この時期に「土曜授業」の振休日を置きやすくする・電気消費量を減らす…など様々のねらいがあるようです。
 昨年は、「各校が独自に考案した『学校閉鎖』(行わないことも含めて)」を「独自の形態」で行いました。今年は区教委の「閉鎖」が加わるだけで、昨年の「学校閉鎖」と同じように、各校がどのようにするかは各校の判断になります。区教委としては教職員の夏季休業中の勤務・休暇・研修のあり方をこれまでと特に変えた所はありません。
 私たちも、きちんと休暇をとり、研修を行い、原発再稼働の口実である「電気が足りない」キャンペーンに抗するために、「節電」(無駄な電気を使わない・使わせない)にとりくみましょう。
 
自宅勤務の可能性
 区教委・「学校閉鎖」の考えは、一週間以上教員が学校に来なくても構わないと言っています。極端な場合には全員が来なくてもです。
 「夏休み」とはかつてそんなものでした。だから管理職だけでは大変だろうと、わざわざ「日直」などというものをおいたのです。「児童・生徒の教育をつかさどる」教員にとって本務ではありませんから、あくまで「サービス」としてです。
 「教員叩き」の中で、取れるはずのない休憩時間を勤務時間内に入れさせたり(それまでは四時ごろ帰っていた)、海外研修・自宅研修を「原則」禁じたり、「自主研修」には研修願・届を出させる嫌がらせをしたりしました。結果、長時間労働になったり意味もなく夏季休業中に学校で勤務することになりました。
 個人情報保護の観点から、児童・生徒の成績処理などは学校でやらなくてはならないでしょう。しかし、教材研究・資料作成などは個人情報ではありません。
 教員は「授業に支障のない限り、本属長(通常は校長)の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」とされています。学校という、大人数が学習するための施設に、ほんの一握りの大人だけがいることは極めて効率の悪いことです。「できるだけ学校に来なくてもよい方策」を採るべきです。

自主的研修を
 自主的な研修に意欲的にとりくめるのも夏季休業期間です。「研修の取り扱い」が改悪されて十年以上になります。組合は、自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみをすすめています。民間の教育団体が主催する研究会への参加も、個々の教員の自主的自発的な研修も、当然保障されるべきです。区教委が研修内容・方法に介入することはありません。私たちは、「自宅研修」も含めて、あくまでも自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみを、粘り強くすすめていく必要があります。

面倒でも「承認研修」
 研修の機会の保障は、一人ひとりの教員が必要とする研修を承認させるところにあります。
 「承認願い」「承認研修報告書」が面倒だからと、「承認研修」を敬遠することは、結局、「教員の自主的自発的研修は不振=不要」との根拠を与えてしまいます。
 もちろん、十年前の通知は、教員の自主的自発的研修を制限し廃止させるための文書です。腹立たしい規定ではあります。しかし、承認研修になりうる私たちの営みは山のようにあります。「承認研修」をとるためによくよく読みこんでください。
 また、「図書館等」となっている「等」は、他に、「博物館」「浄水場」・・・などが考えられます。そして、例外として「自宅」も否定されてはいません。
 自宅でしかできない研修は、自宅でしか研修できないのです。そのような研修は改悪後も連綿と着実に行われています。
 「節電」実現のために教員に学校に来てほしくないなら、自宅研修・承認研修をより広く・緩く認めるべきでしょう。ごく自然なやり方です。今年の夏は「勤務場所を離れて行う」ということが格別重要なのです。

年休・夏季休は指定されない
 年次休暇・夏季休暇は教職員側から事前に「期日及び期間の届け出」によって発生します。ですから、使用者側から「0月0日に年休をとってくれ」と言うのは誤りです。使用者側にできることは、学校運営に支障があると認めた場合に時季を変更することだけです。校長に指定する権限はありません。もし学校で、このような文書・計画表が出ていたら組合まで送ってください。明確な法律違反です。
 また「土曜授業」の振休日を指定するのは管理職の責務です。それをしないために、昨年度多くの不法労働が強いられています。一歩前進ですが、これも一方的なものではありません。指定された日に研修や勤務が必要ならば変更させるべきです。
 校長がどうしても教員を学校に来させたくなかったら、自宅での勤務・自宅研修を命じることができます。

動き出した原発は唯一つ
 原発・核に怯えない社会を創るために
大飯原発再稼働を覆し
脱原発への途を歩もう!

 雨の7月6日(金)も
  官邸への六車線の道は
人で埋め尽くされた!

13日(金)16日(月・祝日)
二つの集会は極めて重要
歴史の転轍機を動かすには

多くの〈私=あなた〉の声と力が必要だ



すみだ教育研究所≧
ベネッセコーポレーション

「学習状況調査」の目に余る惨状

そのひどさ・不手際に
学校現場から一つの怒りも出ない
という「存在感のなさ」において

そろそろ無意味さに気付くべきだ
詳細次号





週刊墨教組 No.1676             2012.7.2

私〈たち〉の行為が
 歴史を動かす歯車の一つになるかもしれない
      稀有の時

届けようとしたのは 音ではなく声だ
子どもたちが原発・核に怯えない社会を創ろうと

 たとえ動いてもいつでも止められる
 私たちはいつでも止めさせられる
   再稼働を覆し、脱原発への途を歩もう!
  六・二九官邸への六車線の道は
人で埋め尽くされた!





抗議する人々
 この日、六時前から人々は陸続と集まりました。先週は北行する車線の一部だけが「安全のために」抗議する人々に開かれましたが、この日、規制は次々と後退し、七時の時点で六車線全部を抗議する人々が埋めました。それだけ再稼働に反対する人々は多いのです。心痛むのは、多くの子どもたちがこの抗議行動に参加していることです。私たちは何をやっている(た)んだろうと思わされます。

侮辱
 野田氏にはこの人々の声を「大きな音」としか認識しえなかったようです。多くの福島の人々の悲痛な声に、耳を閉ざす方々の姿がダブります。近くはNHKETV特集「飯館村一年〜人間と放射能の記録〜」で、なぜ20mSv/yの所に子どもと共に還ることができるのかとの問い、避難をするということは生活が奪われるということだ…とのつぶやきに、国は耳を傾けようとはしません。「声」を「音」と表現されたことに、そこに居て抗議の声をあげていた私たちは大きな屈辱と感じます。福島の人々が強いられているであろう屈辱につながるものです。

回復?
 侮辱されたくなければ首相官邸前に行かなければいいのです。たまに取材するようになった公共放送の抗議風景を観ながら「こんなことしても役に立たない…」と冷笑していればいいのです。ただし、永遠に近い不安を抱いて。
 三月の風は東京には「ラッキー」だったかもしれません。きっと「次」も大丈夫でしょう。大飯原発は事故など起こさないかもしれません。F1二号炉で100万Sv/hが計測されたのは計器の故障でしょう。廃棄物も何とかなるでしょう…フクシマを忘れ、15か月前の安全神話・安心神話に戻ればいいでしょう。時々「悪夢」として恐怖は現れますが。

未来に恥じない行動を
 原発を止めましょう。すべて廃炉にしましょう。できること・やらなくてはならないことは山のようにあります。今さしあたり、墨田教組がみなさんに呼びかけることは再稼働抗議・原発反対の集会への参加です。四百人から始まった金曜日の官邸抗議集会は二か月足らずで十万を数えました。さらに増え続けていけば、どんな鈍感な人間にも大きな「声」と認識されるでしょう。

東京東部の放射線量
 墨田区ではかろうじて線量を計測し「除染」されていますが、近隣区ではそうでないところもあります。水俣病と同じで、被害は「行政界」を知りません。七月八日には錦糸公園で、「放射能を考える下町ネットワーク」主催の集会があります。こちらにもぜひご参加ください。 

7月6日(金)6時
 首相官邸前抗議集会
7月8日(日)2時
 錦糸公園 下町集会・デモ
7月16日(月・祝日) 1時
 代々木公園 10万人集会





週刊墨教組 No.1675 2012.6.27

想いは表明されて意志となる
  再稼働決定を覆し、脱原発への途を歩もう!
 六月二十九日(金)
首相官邸前抗議集会へ!


 消費税論議も大切です。なぜ今急に「政治生命をかけて」ゴリ押しするのかわかりませんが。「私の責任で」と「政治生命をかけて」はどちらが重いのでしょうか? ゼネコンや東電関連企業に落ちていく「除染」費用等ではない、本当に困っている福島の人々や「原発がなければ食っていけない」人々の生活を支えるためならば私たちの多くは無条件で「義捐金」を送るでしょう。
 オーム真理教容疑者たちの逮捕も大事かもしれません。監視カメラ社会の是非も大切です。もちろん、民主党が割れるかどうかも大いに関心がある…
 明日の授業も「土曜授業」も…私たちの暮らしにかかわるものすべてが大切です。
 しかし、今、それらの「日常」を意味あるものとして実現するために、あるいは反対するために、私たちと子どもたちのくらし・未来は「放射性物質」から「自由」でなくてはなりません。
 人により行動選択の軽重はまざまです。首相官邸前に来るというのは極めて低い選択かもしれません、日常の中においては。
 「第四の産業革命」とも言われる「核」の問題に「NO」を突き付ける文明史的役割を持っているのは今歴史に存在する私たちだけです。私たちは何を考えているのでしょうか、何を願っているのでしょうか? おそらくそれを実現するのは二十九日の抗議行動への参加であろうと私たちは考えます。

6.29(金)18:00-
首相官邸前大アクション
緊急!大飯原発再稼動決定を撤回せよ!
 場所:首相官邸前 
6.24広瀬隆氏緊急メッセージ
≪国民の手で、政策を変える時代だ。われわれ国民が変化を待っていてはいけない。自宅のテレビに向かって罵詈雑言を投げつけても効果はない。さあ、家から外に出て、行動する時が来た。この怒りの群衆の数を、見せてやろうじゃないか。≫
≪打倒・野田の声は、巷でますます大きくふくれあがっている。動きは驚くほど加速度的だ。次は大きくアクセルを踏むぞ。6月29日には爆発状態になるだろう。≫
 広瀬氏は、6月22日の5万人デモを一切報道しなかったNHK(N=何も、H=放送しない、K=公共放送)にかわり、29日には自分たちでヘリコプターをチャーターして上空からライブ配信すると言っている。
「野田総理の息の根を止める」
「野田一派などの原発推進派を落選させましょう」
≪野田の政治生命を断とう!それを首都圏のすべての人に呼びかけます!あらゆる運動を結集しましょう。訴訟も、署名も、申し入れも、株主運動も必要である。だが今は、一点に全員の力を集中しましょう。原発が動き出したら元も子もないのだから。打倒・野田≠フ行動に立ち上がりましょう。国民的な緊急行動を呼びかけてください。






資料

大飯原発再稼働/「福島」を忘れ去るつもりか
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/06/20120617s01.htm
2012年06月17日 河北新報社説


 これでは「喉元過ぎれば…」ではないか。
 関西電力大飯原発(福井県)の再稼働が、きのう決まった。経過をたどると、まるで福島第1原発事故がなかったかのような錯覚にとらわれる。
 原発事故で故郷や仕事を失ったままの人たちや、放射性物質の危険にさらされて暮らす人たちの視点は、どこにもうかがえない。地元のおおい町から福井県、そして国へと何事もなかったかのように淡々と手続きが進められた。
 再稼働をめぐる一連の動きのポイントになったのは8日の野田佳彦首相の記者会見だった。だが、その内容は「福島のような事故は起きない」と意味もなく繰り返したにすぎない。
 事故への何の反省も示さないまま、この期に及んでなお「安全神話」を振りまく。原発事故の影響は生易しいものではないし、一体いつまで続くのかも分からない。一国のリーダーとして、その重大性をどこまで理解しているのか甚だ疑問だった。
 今、国民の前で原子力を語るのであれば、事故の原因と教訓、国策として取り組んだ原子力開発への評価、さらに将来の選択肢などについて丹念に説明すべきだった。その上で、再稼働の是非に言及すればいい。
 そうした理念が欠落しているばかりか、具体的な根拠も示さないまま「原発を止めてしまっては社会は立ち行かない」「東日本大震災のような地震と津波が来ても事故は防止できる」などと言ったところで、まったく説得力がない。
 福島第1原発が立地している福島県双葉町の井戸川克隆町長は「何十年も安全と言われ続けてきた。今回も同じような判断でしかないのかと、非常に残念に思う」と話したが、まさしくその通りだ。
 多くの原発事故被災者も同様に感じたのではないだろうか。それほど、被災地の人たちの心情と懸け離れている。
 福井県の同意によって、原発事故後初めて再稼働に向けて動き始めることになるが、関西地方の夏場の電力需要に備えた緊急避難と位置付けるべきだ。
 夏さえ乗り切れば当面、電力は足りるはずであり、安全性の追求を犠牲にしてまで急ぐ理由は見当たらない。そして全国のほかの原発については、福島第1原発事故の検証と原子力政策全体の見直しを踏まえ、あらためて考えた方がいい。
 原発事故には依然、未解明の部分が多すぎる。どの原子炉がどんな損傷を受け、どれほどの量の放射性物質を放出したのかという、基本的なことすらよく分かっていない。
 大量の放射性物質が放出された原因と経過を究明し、住民を被ばくから守る避難対策に反映させなければ、あの事故から教訓をくみ取ったとは言えない。
 原発事故は決して福島県だけの問題ではない。事故で放射性物質がまき散らされたら、どこまで広がるか予想もつかない。その教訓を置き去りにした原子力政策はあり得ない。


大飯再稼働撤回求める 官邸前で「4万人」抗議
http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY201206220491.html
2012年6月22日21時11分 朝日新聞

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働撤回を求める市民らが22日夜、首相官邸前で抗議集会を開いた。主催者発表で約4万人、警視庁調べで約1万人が参加。プラカードや横断幕を手に、「再稼働決定は許せない」と参加者が次々に声を上げた。
 俳優の山本太郎さんは「この声が聞こえないなら、(首相は)即刻退場すべきだ」。この抗議集会に初めて参加したという作家の落合恵子さんは「私たちは一歩も後ろに引かない。これほど市民を裏切る人々を許さない」と野田政権を批判した。
 官邸前では大飯原発再稼働への抗議活動が週末ごとに続き、16日の再稼働決定で反発が一段と強まっている。22日は市民団体有志がツイッターで呼びかけ、仕事帰りの若者や女性らの参加者が車道にあふれた。




週刊墨教組 No.1674 2012.6.20

「福島を忘れない」私たちは
 大飯原発再稼働を認めない!
 六月二十二日(金)十八時から
首相官邸前抗議集会に参加しよう!
 再稼働決定を覆し、脱原発への途を歩もう!


 六月十八日、東京教組さよなら原発学習会「フクシマの声を聞く」今、福島の子どもたちは・・・に参加し、福島県教職員組合書記長角田政志さんのお話をうかがいました。

実効性のない除染
 すでに神戸大山内氏やテレビ朝日の報道で紹介されているように、福島市(渡利地区)の高線量と「除染」の困難性は明らかです。政府ですら「除染」が効果がないのでは・・・と言い始めています。福島の子どもたちは未だ高い線量の中に暮らしています。ある家では、一階0.23・二階0.46・屋根0.6・庭1m高で1.05・0m高では1.98μSv/hという高線量です。子どもたちが持たされているガラスバッチは、一番高い被曝の時期を除いているにもかかわらず年換算すれば1mSv/yを超えていると言います。除染するならば徹底しなくてはなりません。それは福島も墨田も同じことです。

組合として国・県・県教委に要求する
 1mSv/yは大人の一般市民(放射線事業に従事しない大人)の制限値であって、それを子どもたちに適用することはできない。
 四月に文科省が示した20mSv/yの「暫定基準」に、福島県教組はいち早く反対を表明しました。多数の保護者・住民・全国の署名によって、文科省は「年間1mSv/yを目標とする」と言い換えざるをえませんでした。文科省が本気で子どもたちの被曝線量を下げようと考えたのでもないようですが(その例として、「子どもたちが学校で被曝する量は1mSv/y以下」という言い方に表れています)、少なくとも20mSv/yが居座ったわけではありません。
 県教組は学校での被曝量低減だけではだめだ、通学路の除染も必要だ、各住居の線量低下も行政の責任において行わなければだめだという立場で交渉を重ねてきました。さらに、子どもたちに無用な被曝をさせないために、ホットスポットを見つけて放射線マップを作り、子どもたちをそこに近づけないようにと運動を進めてきました。

学習・生活の安全を確保する
 県・県教委が被曝とその危険に心痛めている福島の子どもたち・その保護者達に寄り添おうとしていないことを激しく角田さんは糾弾しました。県・県教委は、子どもたちの「安全」のために「制限」だけを押し付けてきました。いわく、窓を開けるな・校庭で運動するな・校外学習はするな・・・。これに対して、積極的な線量低減を図る・エアコン扇風機の設置要求を対置してこられました。それとても、自治体が現場の切実な要求を先行して実現したものを県がしぶしぶ追認するという形だったといいます。組合は行政とは別の価値観・価値基準で行動します。

まるで原発事故など無かったかのような
 それだけでなく、この異常な事態・非常事態の中で、県教委は二〇一一年三月十一日以前の基準で教育を再開させようとしていると言います。「制限」だけしたために過剰におこった児童生徒・教職員の反発を利用して、まだ校庭や外部の線量は高いのに安全を顧慮することなく活動を再開させる動きが四月から加速化されています。角田さんは「学校現場から『安全』を発信してしまっている」と痛苦の言葉を発しました。人が苦境を苦境としてとらえ立ち向かい続けることは難しいのです。だからこそハードルを高く、より安全をめざさなければなりません。
 県教委は子どもたちの学習も整備せず心のケアも不十分な中、全国学力テストに参加し、「学力向上」のための独自のテストや諸施策を考え二〇一三年度の学力テストの成績を向上させようとしていると言います。事実の認識・目差す方向が全く違っていると言わざるを得ません。

福島の悲劇・福島の子どもたちを
忘れてはならない
 学校に社会に「日常」が戻り、福島の人々でさえ事故など無かったかのようにふるまうことを強要されている時に、墨田の私たちが福島を忘れることは難しいことではありません。しかしそれは決して許されることではありません。福島を忘れることは墨田区の子どもたちの未来を扼殺することだからです。
 私たちは墨田区の地で徹底した放射性物質の「処分・管理」を目指します。
 放射線は水仙も出している…だから安全などという新しい「安心神話」を「布教」したりはしません。この立場を徹底的に批判し、原子力発電所事故による被害と私たちの生き方いう「現在を学ぶ」学習を作っていきます。
 福島の悲劇をほんの頭の隅にでも置いていればできるはずもない原子力発電所再稼働に徹底して反対していきます。
 かつて墨田教組は実行委員会の一員として、チェルノブイリの子どもたちを日本に招き、つかの間の休息と医療支援をしたことがあります。いくつかの学校で交流会を持ったこともあります。今の墨田はそれほど心許せる線量ではありませんから、その時のままというわけにはいかないかもしれませんが、福島の子どもたちがより線量の低い所である期間暮らすことを援助することは可能です。

あきらめてはならない
 そうであれば、私たちはあきらめてはならないでしょう。大飯原発再稼働を決めたのは、あまり正当性のない政府の一部の人間です。口ごもりつつ胸を張って「全責任を取る」と言われても信頼感の一片もいだくことができるような人間ではありません。

今こそ動く時です
 曲がりなりにも私たちは首都に働く教職員です。先号で紹介したように、六月一五日には一万を超える人々が首相官邸前に抗議のために集まりました。世界中から日本政府の決定は非難を浴びています。いま動かないことは、世界から「卑劣漢」と非難されている日本政府と同じ位置に身を置くことになります。
 今週金曜日、六月二十二日十八時から、大阪関西電力への抗議と同時に、首相官邸前での抗議の集会が予定されています。心ある方々がともにこの場に赴かれることを心より訴えます。
 そして、七月十六日、十万人という未曽有の集会を成功させましょう。




脱原発デモ 6.22
原発再稼動に断固反対!関電本社前&首相官邸前抗議!
 日時:6月22日(金) 時間:18:00-

 場所:首相官邸前       ・関電本社前(大阪)
【今週金曜!緊急大拡散!】#大飯原発再稼働決定をただちに撤回せよ!原発再稼働反対の超大規模抗議行動!10万人規模で集まりましょう!


 6月16日、野田政権は、大飯原発3、4号基の再稼動をついに正式に決定してしまいました。
 野田首相、枝野経産相、細野原発担当相、藤村官房長官らによる、閣僚会合での中長期の安全対策をすべて後回しにした、「暫定的な安全基準」による「安全」との政府判断。おおい町議会の、再稼動に慎重な多くの住民の意見を無視する形での再稼動容認。福井県の原子力安全専門委員会による、「安全」との政府判断の追認。野田首相の再稼働の必要性を訴える記者会見の「儀式」。責任を負いたくないばかりに、この「儀式」を受けてようやく再稼動に同意した、西川知事や時岡町長。
 こうした出鱈目で拙速なプロセスにより、今回の大飯原発再稼動は進もうとしています。

 首都圏反原発連合が3月29日から毎週行ってきた東京・首相官邸前での抗議行動では、当初300名程度だった参加者が、1000人→2700人→4000人→前回11000人と、回を追うごとに劇的に増加してきました。
 関西電力本社前でも、4月から当初わずか5人で開始した抗議行動が、100人、300人、6/1には1000人を超え、6/8、6/15には悪天候にもかかわらず500名ほどの人々が再稼働反対の声を上げに集まりました。
 福島第一原発事故の収束もままならないまま、そこから何の教訓を得る事もなく、再稼動ありきで物事を進めていった野田政権に対しての怒りがいよいよ噴出する形で、この抗議行動の規模は拡大を続けています。
野田政権は、世論の大半を占める再稼動に慎重な市民の声を無視し、今回の決断を下しました。
 したがって、私たちもまた、今回の決定を黙って受け容れる必要は一切ありません。
前回をはるかに凌ぐ、全国10万人規模の抗議行動で、大飯原発再稼動決定をただちに撤回すること、私たちが一切諦めていないことを、野田政権に対して突きつけましょう。
日本が地震リスクに常にさらされている中、いったん暴走し始めたらコントロールできなくなる原発と核燃料・使用済み核燃料をそのままにすることは、第二の福島事故をやらかす危険性を温存することを意味し、結果として、市民の生命・財産を危機にさらすことです。
 一刻も早く核燃料を抜いて使用済み核燃料とともにできるだけ安全な場所に移し、原発を廃炉に向かわせねばなりません。ましてや、原発の再稼働など言語道断です。




(レイバーネット日本)http://www.labornetjp.org/news/2012/0617shasin
「再稼動こんな政治はもはや討て」
〜福井の再稼働反対全国集会に2200人

 
15日の野田政権による再稼動決定への怒りが収まらないなか、6月17日福井現地で大飯再稼働反対の大集会・デモが行われた。県庁脇の福井市中央公園は、旗や人並みで埋まった(写真)。関西圏の市民団体・個人が多かったが、九州・伊方・山口からも来ている。たんぽぽ舎・テントひろばが呼びかけた東京組は、バス 6台を連ね新幹線組と併せて約300人が参加した。集会全体は、再稼動決定への怒りにあふれ、「ここであきらめない。まだまだやるぞ」という強い意思に満ちてものになった。17日の行動後、東京組のバス一台・約40人はそのまま残り、大飯原発現地に足を延ばしてテント激励行動などを行う予定。今回のツアーに参加した乱鬼龍さんが現地で吐いた一句は、「再稼動こんな政治はもはや討て」だった。



http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-06-16/2012061601_01_1.html
「しんぶん赤旗」 2012年6月16日(土)
 大飯再稼働許すな
     官邸1万人包囲


 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐって、野田佳彦首相は16日に西川一誠福井県知事を交え、関係閣僚会合を開き、最終決定しようとしています。こうした緊迫した情勢のなか、15日、東京・永田町の首相官邸前や大阪、福井など各地で「再稼働を許すな」「首相は国民の声を聞け」と、思い思いのゼッケンやプラカードなどを持ち寄った人たちが抗議と怒りの声を上げました。
 首相官邸前には市民約1万1000人が集まりました。首都圏反原発連合の有志が呼びかけたもの。
 午後6時からの予定でしたが、開始1時間前から、地下鉄の地上出口から途切れることなく続々と集まり始めます。人の列は、官邸前から200メートルほどとなり、車道にコーンを並べ、臨時の歩道をつくるほど。「再稼働反対!」のシュプレヒコールがあちこちで、自主的におこりました。
 都内に住む15歳の少年がハンドマイクを握り「僕はまだ選挙権がないから政治に参加できません。でも、原発の負の遺産を将来背負うのは僕たちです。人の命と経済どちらが大切なんですか」と訴えます。「子どもを守ろう」「地球を守ろう」「再稼働反対」と声をあげると、ほかの参加者たちも続き、大きなコールとなりました。
 フリスビーに「原発いらぬ!」と書いて掲げる男性(23)=東京都大田区=は「首相は自分の責任で(再稼働を)やるなんていってたけど、政治家一人でとれる責任なんかじゃない。福島の事故の責任さえまだ誰もとっていない。絶対に阻止します」と話しました。
 初めて参加したという女性(20)=埼玉県ふじみ野市=は「心の中では再稼働に反対していても、なんとなくニュースを見ているだけでした。でも今日は、いても立ってもいられず参加しました。再稼働に絶対反対です」と話しました。




週刊墨教組 No.1673         2012.6.17


「利便」を口実に命を危険にさらす
政府・諸自治体・電力会社による
大飯原発再稼働「決定」に
  あくまで反対する
 脱原発・反原発が多数意見だ

 政府は四閣僚で再稼働することを決めました。福島の事故も被害も「解決」しない中で、よくも「安全」だなどと言えたものです。
 六月六日集会の意義・「さよなら原発署名」は、全く旧くなっていません。いよいよ重要になります。
 十五日夜には、国会前に一万を超える人々がほぼ自然発生的に集まり、抗議行動をしました。子どもたちが未来を創るその手助けを生業としている私たちが、手をこまねいていてはなりません。
 職場・街頭・あらゆる所で、「生きられる条件」を増やしていこうではありませんか。

6/6集会宣言

許さない!大飯原発再稼働
原子力政策を転換させよう!

 昨年5月からスタートした「さようなら1000万人署名」は、本日7,222,297筆(6月5日現在)が集まりました。そしていまも続々と署名が届いています。この署名は全国各地から、そして世界40カ国を超える国々から集まりました。人口の5%を超える人々が直接自らの名前を書き込み、原子力政策の転換を求める意志を表しました。この数は決して軽いものではありません。
 署名は原発現地をはじめ、原発のない離島や地域からも数多くの声が届いています。沖縄の竹富島では、島の人口340人のうち150人の署名が送られてきました。また、老若男女、学生、主婦、お寺、教会、生協、農協、漁協、幼稚園・保育園、労働組合、病院、NGO・市民団体など実に様々な人々が、福島原発事故を契機に、脱原発に向けて大きく動き出しました。この720万筆を超える声の後ろには、もっと多くの脱原発の声があるはずです。いま政府や推進側は、その声に真聾に向き合うべきです。
 福島原発事故から1年余りを経過した今日、事故の収束は見えず、故郷を奪われた人々は、いまだ苦しい避難生活を余儀なくさせられています。遅々として進まぬ補償や健康不安が高まるなかで、いまも暮らしています。
 いま、日本の原発は全て停止したままです。にもかかわらず電気は十分に足りています。しかし、関西電力をはじめ原発推進派は、やみくもに夏の電力危機を叫び、原発の再稼働にやっきとなっています。「命」よりも「経済」と原子力ムラの「生き残り」を優先させようとしています。原発事故の原因究明と対策でさえまともにできず、再稼働の国民的議論も合意もないまま大飯原発の再稼働を強行しようとしています。私たちはこのような動きに強く反対します。
 再び第二、第三のフクシマを繰り返さないためにも、生命にかかわる原発を再稼働させてはなりません。周辺住民の合意もないまま、数人の首長が密室で再稼働を決め、首相が責任を取るなどの無責任は許せません。
 私たちは、大飯や伊方など、政府が準備する原発の再稼働を認めません。原発廃止の声がこの720万署名の声と日本の核施設の稼働にこれ以上の巨額な資金を投入するよりも、被災者への支援や補償、健康維持に全力をあげるべきです。そのためにも原子力政策からの抜本的な転換を強く求めます。
  2012年6月6日
 許さない!大飯原発再稼働
さようなら原発1000万人署名第一次集約集会
参加者一同


資料

 前号での佐高さんの話で、水俣病での労働組合の在り方やビートたけし氏のことを出しましたが、もう少し詳しく知りたい、何を言っているのかわからないというご意見が寄せられました。可能な限り分かるように資料を添えます。


「週刊金曜日」2011年4月15日号 
東京電力に群がった原発文化人  佐高信
 お笑いタレントとは言え、震災による原発爆発後のいま読むと笑えないのがたけしの発言。『新潮45』の二〇一〇年六月号で、原子力委員会委員長の近藤駿介(東京大名誉教授)と対談してトンデモ暴言を連発している。
 「おいらは大学も工学部ですから、原子力関係の話は大好きなんですよ。今日は新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の中を見学させてもらったのだけど、面白くて仕方がなかった」こう切り出したたけしは、こんなことを言う。
 「原子力発電を批判するような人たちは、すぐに『もし地震が起きて原子炉が壊れたらどうなるんだ』とか言うじやないですか。ということは、逆に原子力発電所としては、地震が起きても大丈夫なように、他の施設以上に気を使っているはず。
 だから、地震が起きたら、本当はここへ逃げるのが一番安全だったりする(笑)。でも、新しい技術に対しては『危険だ』と叫ぶ、オオカミ少年のほうがマスコミ的にはウケがいい」
 本当にその方が「ウケがいい」かどうか、たけしも一度試してみればよかった。原子力発電所に逃げるのが一番安全なら、たけしはいまこそ、福島の原発に逃げ込んだらいいだろう。専門家であるはずの近藤の応答もひどいが、たけしの暴走には歯止めがない。次の発言にも絶句するばかりである。

 「相変わらず原子力発電に反対する人もいるけど、交通事故の年間の死者の数を考えて、自動車に乗るのを止めましょうとは言わない。やっぱり使ったほうが便利だからね。どうも原子力発電というとリスクばかり言う傾向があるけれど、実際、おいらたちはもっとリスクのある社会に生きている。変質者に刺される確率のほうがよほど高いって(笑い)」


労働組合の告発行動に救われた企業
問題解決の芽は少数意見の反映から
 佐高信 経済評論家 メディア批評 2003年1月
 新社会党が発行する週刊新聞『新社会』熊本学園大教授の原田正純が「いのちの告発」と題したコラムを連載している。『水俣病』(岩波新書)の著者の原田は、十一月二六日号では「労働組合の恥宣言」について、次のように書く。
 水俣病を惹き起こしたチッソでは、一時、四〇〇〇人以上の人が働いていた。彼らは工場において日常的に化学物質を浴び、帰ってはメチル水銀に汚染されていた魚を食べていたにもかかわらず、水俣病を他人事として、水俣病を問題にしようとする患者や漁民、そして市民と対立した。
 しかし、それが長期的に見た場合、企業のためになるのか?一九六二年の大争議を経て、そうではないと考えたチッソの労働組合は、翌年夏、工場内で行われていた水俣病に関する秘密ネコ実験の公表を会社に迫り、一九七〇年春には、「水俣病を自らの問題として取り組んでこなかったことを恥とする」という恥宣言を出して、加害企業の労働組合としては初めての八時間の公害ストを決行した。
 この労働組合はまもなくなくなってしまったが、「しかし、このチッソ労働者の行為はわが国の労働史上に長く残るであろう」と原田は書いている。
 ただ、残念ながら、この組合の「恥宣言」的考えは、主流とはなっていない。不況下で、連合はまったく逆の方向に歩き出しているように見える。
 続く十二月三日号では、原田は「企業内内部告発」と題して、大鵬薬品という会社のわずか七人の小さな組合の話を紹介する。…略…八〈もし、そのまま販売を続けていたならば、企業にとっても大変なことになった。この小さな組合は企業の危機を救った。彼らは企業に大きな貢献をし、薬害から多くの人を守ったのだ。しかし彼らに勲章はない〉原田はこう結んでいる。
 雪印や東京電力等、いま、頻発している企業の問題を根本的に解決するための原田の重要な指摘だが、いわゆるマスコミで、こうした発言に触れる機会は少ない。「マス」のための「コミ」でしかなくなっているからかもしれないが、問題解決の芽は「マス」ではない人たちの声をきちんとくみとるところからしか育ってこない。
 この間、NHK教育テレビの「真剣一〇代しゃべり場」という番組で、一〇代の少年少女と話す機会があったが、自分が雪印の社員だったら、やはり黙っている、と言われた。正直な感想だとしても、彼にそう言わせたことにマスコミは無関係なのだろうか。



「裏切った民主議員に報いを」
 東電労組トップが不満
 「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」。東京電力労働組合の新井行夫・中央執行委員長は29日、愛知県犬山市であった中部電力労働組合の大会に来賓として出席し、そうあいさつした。
 「脱原発」をかかげる民主党政権のエネルギー政策などに、支持団体トップが不満を示した発言。中部電労組の出席組合員約360人からは、どよめきが上がった。
 新井氏は東電の福島第一原発の事故について「(東電に)不法行為はない。国の認可をきちっと受け、現場の組合員はこれを守っていれば安全と思ってやってきた」と述べた。事故後の政権の対応を踏まえ、「支援してくれるだろうと思って投票した方々が、必ずしも期待にこたえていない」とも語った。
 関西電力労働組合が「原子力発電所の再稼働は不可欠」などと書いた文書を民主党議員らに送っていた。民主党には労働組合の支援を得て当選した議員もおり、労組から原発再稼働に向けて前向きなメッセージが書かれた文書を送ることにより議員らに圧力をかける目的がある可能性も考えられる。

今冬の「節電のご協力」に対する御礼
平成24年3月26日 関西電力労働組合
 拝啓 貴組織におかれましては、益々のご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は私どもの諸活動に対しましてご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて今冬、関西電力株式会社は、昨年12年19日から3月23日まで、関西電力供給区域の皆様に「節電のご協力」をお願いしておりましたが、皆さま方の多大なるご協力により、何とか大事に至ることなく電力供給の責任を果たすことができました。改めて、労働組合の立場からも感謝申し上げます。
 関西電力株式会社は、今春につきましても、数値目標は掲げませんが、ご無理のない範囲で、引き続き節電、省エネのお願いを致しており、皆さまにご不便とご迷惑をお掛けすることを当該労組としても重く受け止めております。
 私どもは電気事業に携わる労働組合として、電力の安全・安定供給に向け、精一杯取り組んで参りますが、電力がご家庭や企業活動など国民生活へ大きな影響を及ぼすことを鑑みれば、安全が確認された原子力発電所の再稼働は不可欠であると考えております。そのために、より一層、皆さまにご安心いただける対策の遂行に最大限の対応を行ってまいります。
 今後とも皆さまのご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。     敬具




6月教育研究集会
6月20日(水)3:30?
組合事務所(法恩寺裏)
文章表現指導を大切にする
講師 榎本豊さん綴方理論研究会会員

 榎本さんは、長く墨田区の教員として、また墨田区教職員組合の執行委員として、活躍されてきました。週刊墨教組に連載された「はじける芽」(当日もテキストとして使われます)は200号ちかくになります。
 その主張は、教科書の「想像作文」「与えられた作文」では、子どもの生活・認識を深めていけない。生活の中から題材を選び、出来事をきちんと書くことが重要であると、一貫しています。その考え方と方法を細かくお話していただきます。組合員以外の方もどうぞ遠慮なくご参加ください。







週刊墨教組 No.1672 2012.6.10

六月六日 日比谷野音で
 「さようなら原発一〇〇〇万人署名」
第一次集約集会開かれる
 七二二万二二九七筆(六月五日現在)
あなたの一筆も史上類をみない大署名に入っています


史上最大規模の署名
 演壇にはダンボール箱約百個が積み上げられていました。七二二万二二九七筆の一部だそうです。確かめたわけではありませんが、七〇〇万の署名というのは史上類がないそうです。私たちはともに喜びたいと思います。
 「保育園で父母、小さな子どもを含め 八万七二二七人分の署名を集めた」とキリスト教関係者が静かに語られました。新潟の平和運動センターの方は、前回の集会で「まだ届かなかった」と報告した目標「県民の一〇%、二四万五七〇〇人を集めた」とおっしゃっていました。東京電力の電気を作っている地元の方々の一割が反対しているのです。
 「沖縄の竹富島では、島の人口三四〇人のうち約半数の一五〇人の署名が集まった」「病院に置いた用紙に次々と署名してもらった」「街頭で五〇〇人の署名を集めた」など各地の署名の取り組みが報告されました。署名は14日以降に首相官邸に提出し、再稼動反対を強く迫っていくことになります。
 私たちも多くの職場・地域・家族親戚のみなさんに署名していただいたこと、壇上の署名箱にきっと入っているだろうことを誇りに思います。   
モラルの問題
 主催者あいさつで大江健三郎氏は、「三・一一は日本人に大きなモラルを与えた。それは原子力は根本的に間違っているということだ。原子力エネルギーは小さい目では成功に見えても大きい目で見れば誤りだと、日本人全体が考えるようになった。モラルとは決して譲ることができないことを守ることだ。野田首相は『自分が全責任を負う』などと言っているが、全責任など担えるものではない。もっともモラルがないのは野田氏だ」と訴えました。「署名は本当のモラルであり、三・一一以降の生き方をつくる根本的な力になる。続けよう」と力強く語られました。
 私たちもそのモラルをかけて、引き続き署名を集めていきます。。

金か命か
 鎌田慧氏は「これだけ反対しても推進するのは独裁。民主主義ではない。経済のために人が死んでもいいという論理だ」と批判し「一〇〇〇万署名を集めきり、歴史に巨大な一歩を築こう」と訴えました。まったく原子力発電所が稼働していないのに、二年前と同じように街には電気が回っています。停電してもかまわないではないですか。世界にはけっこう停電が頻繁に起こっている地域があります。が、人はそこで恐れて生きているわけではありません。何十年か前の日本だって、台風が来れば停電するものと決まっていました。多くの人々の反対を踏みにじる再稼働への途は許せません。

あきらめない=忘れない
 落合恵子氏は、「野田首相は『私の責任で最終決断する』と言うが、あの方に命を預けた覚えは一度もない」「悲しみや怒り、失望感があるかもしれないが、もう一度、『私たちはけっしてあきらめない』と約束をしよう。自分にも、次ぎの世代にも」と呼びかけました。
 私たちがこの一年間、どのように心を痛め心配してきたのか、福島の人々が引き裂かれる思いで生活しているのか、「将来」が見えない多くの方を生み出しているのか・・・。原発さえなければという思いは大多数の考えです。

労働組合の責任
 賛同者の一人、佐高信氏は、ビートたけし氏が事故前の対談で「地震が起きたら原発へ逃げるのが一番安全」などと発言していることに触れ、「それならば『今、原発に行け』と言いたい」と彼や彼をとりまくマスコミの「忘れっぽさ」を皮肉りました。
 そして、「福島事故で東電の経営者だけでなく、組合の責任も問われている」と、電力総連が「裏切った民主党議員には報いをこうむってもらう」と発言したことを批判しました。さらに、「水俣病問題では会社側に立って患者に敵対していたチッソの労組(第一組合)が『労働組合として反省する』と『恥宣言』※1を出して企業批判に転じた」ことに言及し「電力総連もまともな神経を持っているのなら、今、『大恥宣言』を出すべきだ」と痛切に批判しました。
 私たちの小さい組合も、これまであまり大声で言ってきたことはありませんが、東京教組―日教組とたどれば、この電力総連と同じ労働組合のナショナル・センター(中央労働団体)である連合(日本労働組合総連合会)に加盟しています。連合も原発推進派です。恥ずかしいことです。私たちは微力ながらも、連合に「大恥宣言」を出させるよう、そして、モラルに反しない生き方を多くの教職員ができるよう努力していきます。

七月十六日集会へ
 大飯原発は再稼働させてはなりません。福島や東日本の土地も、全国の食糧も不安定な状態で原発再開などあり得ません。
 引き続き署名を集めましょう。可能なすべての行動をしましょう。そして七月十六日に代々木公園に集まり、私たちの意志を表しましょう。


中国新聞 6月7日
「脱原発」署名が722万超す -
作家の大江健三郎さんたち著名文化人が呼び掛ける「さようなら原発署名」の集約集会が6日、東京・日比谷公園であった。5日までに722万2297筆を集めたことが報告された。12日にも政府や国会に提出し、原発の計画的廃炉など「脱原発」の実行を迫る。
 署名は、▽原発の新規建設の中止 ▽高速増殖炉原型炉や核燃料再処理工場の廃止 ▽自然エネルギー中心の政策への転換―を求める内容。大江さんたち9人の「市民の会」が昨年6月に始めた。
 集会には約2300人(主催者発表)が参加。大江さんはあいさつで、福島第1原発の事故後、日本人に「原子力エネルギーは根本的に間違っている」との「モラル」が生まれたと指摘。「署名運動は根本的なモラルの力を持つ」と強調した。
 やはり呼び掛け人のルポライター鎌田慧さんは「もう一度事故が起きる前に原発を止めよう」と主張。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に反対するアピールを採択した。
 大江さんたちは来月16日に都内で10万人規模の集会を計画。署名も目標の1千万人へ呼び掛けを続ける。

朝日新聞 2012年6月7日より
脱原発署名「ずっと続く」 大江さん、大飯再稼働に反対
・・・ 署名は作家の大江健三郎さんや作曲家の坂本龍一さんらが呼びかけ、昨年5月から募ってきた。署名の一部は海外からも寄せられているという。
 この日の集会には約2300人が参加。壇上に立った大江さんは「再稼働に対し、自分たちのやり方で抵抗するしかないが、署名運動は根本的な力を持ち、ずっと続いていく。『3・11』の後の私たちの生き方をしっかりとつくっていく」と呼びかけた。 集会後は参加者たちが銀座などを


※1 水俣公害 
京都大学・原子炉実験所 小出裕章
 水俣は窒素の企業城下町で、行政すら丸ごとチッソの味方をして患者を差別して、敵対しました。チッソの労働者も、当初は会社を守るという立場から被害者に敵対しました。しかし、会社の合理化の攻撃を受けた労働者は、やがて、患者に対する攻撃と労働者に対する攻撃が同一のものであることに気づくようになり、1968 年の組合大会で「恥宣言」と呼ばれる以下の決議を採択しました。
 水俣病に対して私たちは何を闘ってきたのか? 私たちは何も闘いえなかった。
 安賃闘争から今日まで6年有余、私たちは労働者に対する会社の攻撃には不屈の闘いを組んできた。(中略)
 その私たちが何故水俣病と闘いえなかったのか?
 闘いとは何かを身体で知った私たちが、今まで水俣病と闘いえなかったことは、正に人間として、労働者として恥ずかしいことであり、心から反省しなければならない。
 会社の労働者に対する仕打ちは、水俣病に対する仕打ちそのものであり、水俣病に対する闘いは同時に私たちの闘いなのである。
 水俣病にその生涯を捧げて取り組んできた原田正純氏は大佛次郎賞を受賞した「水俣が映す世界」で次のように書きました。
 「水俣病の原因のうち、有機水銀は小なる原因であり、チッソが流したということは中なる原因であるが、大なる原因ではない。大なる原因は“人を人と思わない状況”いいかえれば人間疎外、人間無視、差別といった言葉でいいあらわされる状況の存在である。」
 足尾鉱毒で始まり、四大公害を経、そして今なお発生する公害を貫いているものは、国を豊かにするという思想、そのもとで企業を保護し、住民は切り捨てるという構図です。しかし、そうしてできた国は豊かと言えるのかどうか、今、私たちが問われています。
京都工芸繊維大学、物質開発倫理学D 2007年12月26日



週刊墨教組 No.1671 2012.6.4

夏季一時金 一・九月分 六月二九日に支給
期末手当一・二二五月分・勤勉手当〇・六七五月分
 再任用職員は〇・九七五月分
期末手当〇・六五月分・勤勉手当〇・三二五月分
 夏季一時金への成績率拡大を阻止!
闘いの山場は秋に


 五月三〇日十七時半より、都労連と都側による団体交渉が行われ、都側より回答がありました。
 都側は例年同様、現下の厳しい状況を十分に考慮し、都民の理解と納得が得られる視点から慎重に検討したと述べました。私たちは、一時金の『支給対象・割合・加算制度』※1を改善するよう要求していますが、全く顧慮されていません。十年も連続して下げられているのですから、「現行の条例・規則通り」は労働側に厳しい結果です。
 昨年から強引に提案してきた「成績率の拡大」=【協力「共働」の教職員仲間同士に金の奪い合いをさせる制度】について、都側は「制度適用の是非を論ずる段階ではない」などと強硬姿勢を強めました。※2 しかし、春に続き、闘いによりこの提案実施強行を断念させました。しかし、都側の姿勢は変わらず、諸改悪について「もはや待ったなしの状況、遅くとも今秋の給与改定交渉期までがぎりぎりの期限」としています。
 何が何でも職場を破壊しようとする執念は恐るべきです。私たちの団結だけがこれを突破します。闘いの山場は秋です。
※1 全額期末手当での支給を要求 給与そのものに人事考課制度が影響している今日、せめて一時金の支給は、勤務実績があればその勤務日数に応じて、基準日主義を廃して、全額期末手当として支給すべきであるとする主張。
※2 都側は、人事給与制度を職責・能力・業績に応じたものとするための不断の見直しをすすめるとし、とりわけ、特別給への業績の反映度合いが不十分であるとの認識を強調しています。「特別給の勤勉手当の比率を一層推進する必要がある」と成績主義を強化する意志を強く打ち出しています。



大飯原発再稼働を許すことは
 フクシマの苦しみに目をふさぐこと


五月測定の結果

 五月末、区は全校・全園の「植込み、建物の雨樋・竪樋付近、側溝、雨水桝等」を測定しました。結果はホームページに載せられています。
 線量限度を超えたところは次の4施設でした。
・二つの幼稚園の雨水タンク付近
・一つの保育園の砂場(→砂の除去)
・一つの小学校の雨水タンク付近と校庭芝生
 この小学校では運動会直前に会場になる校庭芝生部分を「除染後に覆土」しました。危ういところでした。また、保育園砂場は「上下入替え」でなかったようでこれもほっとしました。
 しかし、幼稚園の一つの雨水タンク付近では「洗浄」を行ったとあります。「0.27μSv/hが0.21μSv/時になった」としていますが、これはひどい処置です。洗浄は放射性物質を拡散させるだけです(洗浄水を集めない限り)。また直後の計測では、「水の遮蔽効果」により見かけの線量が下がっただけかもしれません。かわいた状態の時に再計測すべきです。

区としての「解釈」が必要
 今回の結果をどう見たらいいのでしょうか? いわゆるミニホットスポットは今回は少なく見えます。放射性物質は水とともに東京湾に流されていったのでしょうか? 新聞等でも報道されているように※3荒川河口・東京湾の底泥の放射線濃度は高くなっています。相変わらず「直ちに健康に影響がある状態」ではないそうですが。そして、「水が流れ行く先」は下水処理場=川だけではありません。両国国技館をはじめとする雨水再利用施設からの数値が出てこないのも心配です。区は、今区の放射性物質の態様を推測して説明すべきです。
 測定箇所は緻密になったとはいえまだ限られています。区の施設以外「民有地等」は「1m高で毎時1μSv/h以上」を「除染等の対応」する「基準」としています。子どもたちが土いじりをしたりしゃがみこんだりしても守ってくれるわけではない「町」になっているのです。
 より稠密な計測の継続・計測基準の厳密化・内部被曝の可能性を限りなく小さくする努力・放置する「除染」ではなく行政がきちんと管理する「除染」を、私たちはこれからも区に求めていきます。

「福島の子どもたちを守る」
 私たちは墨田区における被曝を心配しています。これからも子どもたちの健康を守るためにできる限りのことをしていきます。ともに職場から声を上げていきましょう。
 私たちが、福島の子どもたちに思いをはせ、悲しむことは多くあります。しかし福島の子どもたちを直接「守る」ことは難しいことです。私たちが墨田区で行っていることは単に墨田区の子どもたちだけでなく福島の子どもたちを守ることにもつながると思っています。
 同時に私たちは、大飯原発再稼働に反対し、原発を即時廃炉にする運動にも加わっています。これなくして「福島への同情」も「墨田の子どもたちを守る」もあり得ないと思っています。
 大飯原発立地地の人々が再開を切望するのは、原発以外に収入の道がないからだとも言われています。これを認めてしまえば、私たちは「金と引き換えに原発を引き込んだのだから仕方ないだろう」論に呑み込まれてしまいます。福島の人々を切り捨てることになります。
 署名・集会・学習会などが頻繁に行われています。あの時もっと行動していれば・・・と、四十年前に歯噛みする愚を繰り返してはなりません。共に危機に立ち向かおうではありませんか。



※3 東京湾の海底土のセシウム、7か月で13倍に
読売新聞(2012.5.14)
 東京湾の海底土に含まれる放射性セシウムが、昨年8月から約7か月間で1・5〜13倍に増えたことが、近畿大の調査で分かった。 東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出されたセシウムが、河川から東京湾に流れ込んだとみている。
 同大の山崎秀夫教授(環境解析学)は今年4月2日、荒川の河口付近など東京湾内の3か所で海底土を採取し、分析した。深さ1メートルまでの土に含まれるセシウムの量は1平方メートルあたり7305〜2万7213ベクレルで、昨年8月20日の調査結果(同578〜1万8242ベクレル)を3か所とも上回った。
 海底面から深さ6センチまでのセシウム濃度(1キロ・グラムあたり)は321〜397ベクレルで、やはり8月20日の調査結果(75〜320ベクレル)を上回った。河川の泥にたまったセシウムが少しずつ東京湾に流れ込んでいるためとみられる。

※ 山崎秀夫教授は、昨年亀戸中央公園で三千Bq/kgを測定し、江東・墨田区などの問い合わせに「全く問題のない数値」と答えた方。そのため多くの学校でプールのヤゴ採りをしたが、その時実際に子どもたちが何Bq/kgの水に足をつけていたかは、今となっては確かめようもない。


シンポジウムと映画の集い
在日外国人の教育を受ける権利の今
 6月10日(日)16時から
 枝川朝鮮学校講堂
江東区枝川1-11-26
有楽町線豊洲駅4番出口徒歩10分
シンポジウム
 元百合子さん(大阪女学院大学教員)
 師岡康子さん(枝川朝鮮学校裁判弁護団)
映画とトーク
 ブラジル人学校ドキュメンタリー「iエスコーラ!」
 「東日本大震災」東北朝鮮学校の記録2011.3.11〜3.15
シンポジウムと映画の集い
在日外国人の教育を受ける権利の今
 6月10日(日)16時から
 枝川朝鮮学校講堂
江東区枝川1-11-26
有楽町線豊洲駅4番出口徒歩10分
シンポジウム
 元百合子さん(大阪女学院大学教員)
 師岡康子さん(枝川朝鮮学校裁判弁護団)
映画とトーク
 ブラジル人学校ドキュメンタリー「iエスコーラ!」
 「東日本大震災」東北朝鮮学校の記録2011.3.11〜3.15
狭山事件の再審を求める墨田集会
 6月15日(金)18時半から
 墨田区社会福祉会館3階

映画「みえない手錠をはずすまで」予告編
 ゲスト:石川一雄さん・早智子さん
講演:河村健夫弁護士(狭山弁護団)
トークリレー:「みんなで動かすぞ!狭山」
東京教組 さよなら原発学習会
「フクシマの声を聞く」    
  今、福島の子どもたちは…
 6月18日(月)午後6時〜8時30分
 日本教育会館703会議室
 講師 角田政志さん(福島県教組書記長)

 今年3月11日、「さよなら原発3.11福島県民集会」(郡山)には、多くの東京教組組合員が参加しました。そこで、福島の教職員、保護者、子どもたちの思いを受け止めることができました。
 この学習会では、福島県教職員組合書記長角田政志さんに、「いま、福島の子どもたちの現状は…」「私たちにできることは…」をお話しいただく予定です。
 組合員でない方もどうぞご参加ください。




7月16日(月・祝)13時より
 さようなら原発10万人集会 
代々木公園
 東京電力福島第1原発事故以降、脱原発を求める国民の声は7割を超え、現在日本の全原発は停止しています。電力会社など推進側は、夏の電力危機キャンペーンを繰り返し、電力不足を煽ることで、大飯原発を突破口として原発を再稼動させようとしています。また、政府のエネルギー環境会議は、将来の日本のエネルギー政策を白紙から見直し、国民的議論を経て、8月には2030年に向けた戦略を打ち出すこととしています。
 このような状況に対し、「さようなら原発1000万人アクション」は、@推進側の電力危機キャンペーンに対抗する、A脱原発に向けた国民的な世論を一層高め、政府に政策転換を促すためには、本集会の成功が重要であると位置づけています。
日教組や平和フォーラム・原水禁国民会議のめざす「持続可能で平和な社会(脱原発社会)」を実現させるためにも、集会を成功させなければなりません。

 全ての組合員・教職員のみなさんの参加を訴えます。みなさんの最大限の努力によって、7・16集会を成功させましょう。


週刊墨教組 No.1670            2012.5.204

子どもたちが長時間座る
シートをひいた観覧席の校庭

50 cm高での計測でいいのか?
学校は責任をもって 
 行事参加者の安全を守るべし



今年のプールは安全?
 四月二六・二七日の両日、区環境保全課は「プールの清掃前に、区内の小学校、中学校37ヶ所のプールの水について、放射性物質の測定を実施しました」。その結果はホームページによるとすべて「不検出」(検出下限値0.7〜2.0Bq/kg)。昨年七月一・二日、八月末(※1)の測定結果と同じです。昨年は七月は「10Bq/Kg未満を不検出」としていましたから、今回の精度はより高いと言えます。

ヤゴ採り状態のプールは
 しかし、本来行うべきは、ヤゴ採りができるのかどうかです(昨年私たちもこのことを環境保全課にたずねました)。ヤゴ採りのプールの状態は、かなり底の汚れや土・藻類が集まった状態です。その部分の線量を測らなければなりません。※2

天水尊の扱いは未だ定まらず
 かねて指摘しておいた雨水タンク「天水尊」についてはその時には測らなかったようです。プールのようにどこからも水が入ってこない=放射性物質が水によって集められない所と、天水尊のように水を集めることを目的としたものと、どちらが放射線量が高いかは自明です。

全園・全校の線量計測始められる
 今になってみれば恥ずかしいことですが、昨年の運動会では、まだ、放射線による汚染など私たちの頭の隅にもありませんでした。すでに金町浄水場の放射線量が当時の高い限度値を超えていたにもかかわらずです。いかに私たちが原発・原発事故に対して無知であったかの証左です。しかし、残念なことに、この一年間で私たちは多くのことを知りました。知らされてしまいました。
 昨年七月〜十月まで墨田区環境保全課は例えば校庭ではその真ん中だけで測っていました。七月講演会「放射線を正しく理解しよう」で測ってほしいという参加者の意見にその必要はない・そのようには決められていないとしていました。しかし、やがて、校庭の周囲や雨水枡・雨樋下などの放射性物質が集まりそうな場所でも計測するようになりました。先週から始められた全園・全校の計測もまた、「砂場5p高・公共施設50 cm高で0.25μSv/時以上」を対処の対象にするというものです。

運動会に対応できるか
 私たちはこれまで、子どもたちのいる所はすべて5p高で計測することを主張してきました。子どもたちは、校庭に座り転がり土いたずらをするものなのです。
 多くの学校で運動会があります。例えば50 cm高では0.25μSv/h以下だが5p高ではそれを超える所はたくさんあります。これまで「除染」した施設には必ずありますし、測定値が限度以下だったところでも少なくないでしょう。そのような中で、子どもたちの「臓器」が30〜40 cm高(椅子の高さ)の所に6時間近く置かれていいのでしょうか? シートを敷いて観客席を作る所もあります。0p高です。弟や妹・赤ちゃんがお腹にいる方も観客です。

学校は行事参加者の安全を守る
 私たちは再度(そして実現されるまで何度も)、「5p高で計測し、放射性物質を捕捉し除染(子どもたちの活動する所から移して保管)する」ことを、声を大にして区環境保全課・区教委・校長・教職員に訴えます。区・学校は責任をもって行事参加者の安全を守らなければなりません。できる限りの知恵と努力によってです。
 区はまたしても杓子定規に50 cm高を墨守するのでしょうか。

子どもも安全をめざす
 また、すでに各校で行われていると思いますが、福島第一原発事故とその被害、東京東部・墨田・自分たちの学校の放射性物質の態様を子どもたちにわかりやすく説明しなくてはなりません。
 こうした事実を理解することによって、指をしゃぶらないこと・むやみに土を触らないこと・うがい手洗いをていねいに行うこと・より安全を求めて牛乳を飲まない友達の考え…などの根拠・理由が明らかにされます。
 これは、これから長くつらい放射線との闘いを強いられた子どもたちが、自分を守るために自分たちでできることを考えてもらう機会でもあります。


※1
 この時の計測は「9月の授業開始前に、より安心していただく為に区内の小学校、中学校35ヶ所のプールの水について、放射性物質の測定を実施しました」としていますが、いったい何だったのかよく意味がわかりませんでした。第1回計測の7月から放射性物質が飛来したり流れ込んだりした形跡はありません。

※2
 試しに行った線量調査では、プール水面5p0.05μSv/時でしたが、底の部分をバケツにとって同じように測ると0.11μSv/hありました。
 同じようなことを宮城県の瓦礫広域処理の時に横浜市でやっていましたがもちろん測定法としては間違っています。これはあくまで目安です。
 また、今の時期に東京東部でヤゴ採りをやることがいいのか悪いのか、これはまた別のことです。



あまりにひどい区「学習状況調査」アンケート
 「学級力」アンケートは学級の破壊
直ちに廃棄すべきだ

 私たちはこれまでも、「学習状況調査」は誤った学力観に立っていることを指摘し、その中止を求めてきました。
 そもそも、年一回のペーパーテストをもってその子の「学力」とし、「個人学習プロフィール」として八年間にわたって「活用」しようなど、現場の教員には到底想像できないことです。いったいどうしてこういう発想になるんだろう…? 唯一考えられることは、これを推進したりありがたがったりしている人たちは何か「受験テスト」と混同しているのではないかということです。そう考えると何が何でも相対評価がいいとしていることも理解できます。ただ、この手法は「テスト」と聞くとパワーみなぎる…という性癖の人たち・「過去問」をやって一点でも高い点をとるのがいい学習だと思い込んでいる人たちだけに有効です。
 「調査」を子どもたちにやらせる時間も、「プロフィール」を転記する時間も、全く無駄だとは思いつつ、まあいいかと付き合ってきたのが現場です。

「学級力」アンケート
質問文が不適当 ※1
※1
 他地域で同種のテストをやるから内容はしばらくは伏せるように言われているので具体的な文例は出しません。
 が、子どもにはよく意味の分からない言葉・あいまいな定義・不正確な言葉(「時刻」を「時間」と表記など)・ベネッセでは使っているだろうけれどそれがどうしたというもの(「算数の宿題でお話を作ったことが〜」など)が多い。

 そもそも質問文が何を言いたいのか不分明です。
 「すなおに『〜A〜』と言って、〜B〜ができる学級ですか」は、二つのことを同時に質問をしている「ダブルバーレル」の好例(悪例)です。「すなおに」も入れればトリプルでしょうか。かりに「〜B〜」ができても『〜A〜』と言わなかったり、「すなお」でなかったら「いいえ」を選ばなければなりません。
 「〜C〜・〜D〜・〜E〜・〜F〜などで、〜G〜ができる学級ですか」 〜C〜ではできてるけど〜D〜ではあんまりやったことないなあ…という場合、どう答えたらいいのでしょう。大人なら「ハァ〜ッ」と語尾を上げます。

 調査法で、よい質問文はひっくり返しても回答が同じになると言われています。肯定形文(あなたは、〜E〜しますか)でのYes回答が30%だったとしたら、否定形文(あなたは、〜E〜しませんか)のNo回答が30%になるのが良いのです。もちろん完全には一致しませんが、あまりにかけ離れたり反対になったりしたらそれは「誤解を生む質問文」と言われます。
 「〜F〜を守っている学級ですか」の否定回答は「〜F〜を守っていない学級ですか」の肯定回答と大きくかけ離れるでしょう。アンケートはこのような質問文に満ちています。

集団を主語とする質問
 そもそも子どもたちに
「あなたの学級は、〜G〜している学級ですか」と「一般的に」聞くことに無理があるのでしょう。「学級」は一人ひとりの子どもがそこに内在するものであって、距離をおいて対象的に観る(観ることのできる)ものではないでしょう。
 集団を主語にするアンケートは大人にとっても難しいのです。「墨田区は、〜G〜している区ですか」「日本は、〜G〜している社会ですか」の「〜G〜」に任意の価値文を入れてみればわかります。そうである部分もそうでない部分もある…厳しく見ればまだまだ足りないが甘く見ればまあいいんじゃない…。
 ほとんどの質問文が社会調査の質問文の要件を満たしていませんし、その結果が何かを物語る資格を持っていません。

アンケートは有害
 私たち教職員は一人ひとりの子どもが生き生きと暮らしそのよきところを伸ばすように努力している。学級がより良いということは子どもたちを生かし伸ばすための手段であり一つの目的でもある場です。
 私たちは学級を大切にしています。苦闘しています。だからこそ、この「学級力」アンケートに激しい憤りを持ちます。「あくまで『新学期時点でどのように自分の学級を見ているのか』ということを知るための調査」などという「軽い気持ち」でやっていただきたくない。私たちも調査が必要であれば必要な時にやりますし、その内容は学級の実態に合ったものとなるでしょう。
 新学年が始まって一か月、様々な学級があります。様々な子どもたちがいます。子どもも教職員も手探りで進んでいます。前の日より少しでもうまくいくことがなにか一つでもあればうれしいのです。学級の大人と子どもがわずかでも共有した「うれしい」ということを少しずつでも広げていきたい…。
 「あなたのクラスはちゃんとしたクラス? 新しく学年始まったからとりあえず答えて」と雑多な「クラス徳目」とでもいうものを尋ねるなど、日々の私たちの地を這うような営みをぶち壊すものです。
 私たちは、二度とこのようなアンケートを行わないことと、今回のアンケート結果を直ちに廃棄することを要求します。
 
すみだ教育研究所長、
「学級力」アンケートについての私たちの意見を
     ベネッセに伝えることを確約

 私たち墨田教組執行委員は、「学習状況調査」に先立つ五月十四日(月)、すみだ教育研究所を訪れ、今年度のアンケート質問内容改定について話し合いを行いました。所長から変更内容や趣旨の説明を受け、私たちは質問項目が不適切であり私たちの日々の営為をこわすものだとの意見を述べ、実施主体である墨田区教育研究所が再検討することを望みました。
 すみだ教育研究所長は、ベネッセコーポレーションに、このアンケートに異を唱える教員の声を伝えることを確約されました。


週刊墨教組 No.1669             2012.5.8

憲法改悪阻止
   二〇一二年度運動方針、予算を決定
  墨田教組 第六七回定期総会
  あくまで「土曜授業」に反対する!
放射線から命を守る闘いに邁進する!
墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続ける

 
第六七回定期総会が、四月二五日、曳舟文化センターで開催されました。一年前の原発事故からほとんど「解決」の道を歩まない絶望的な状況、「違憲教育基本法」の下、「教育の国家統制」「教職員の管理強化」を主とした「教育改革」、その「墨田区的形態」としての「土曜授業」拡大が進められているなか、墨田区に在る教職員組合の責務として、闘い続ける意志を確認しました。
 総会は三時五分に副委員長の開会宣言、議長を選出してすすめられました。役員紹介の後、執行部を代表して委員長が挨拶。

組合活動の本源的な地点から
 「今や墨田区の学校は放射線からの子どもたちの被曝を避けるという面で絶望的な状況である」委員長はこう語り始めました。
 「未曾有・前代未聞・想定外」の原発事故に、私たちは警鐘を鳴らし、線量測定をしてきました。墨田区もそれに合わせたのか細やかな測定をするようになりました。しかし、根本的な所で区は間違っています。「砂場の上下入替え」などは「誤魔化し」としか言いようがありません。とりあえず外部線量だけを0.25μSv/h以下にしておけばいいという、その場限りの「安心策」のように思えます。砂場は掘り返します。「下に押し込めた」放射線量の高い砂が露出してしまいます。私たちは継続的な(悲しいけれども百年の単位でこれを言います)計測を必要としています。
 「土曜授業」について、表がでています。15回が多いですね。小学校も中学校も正規分布しています。平均値も中央値もほとんど同じ。でも、分散を見てください。中学校が「台地状」で小学校は「東京タワー状」。これをどう解釈するか。「15日と申し合わせていたが14日になると組合になめられる。」と、15回以下の学校の足をひっぱる校長がいた」なんて「風聞」はこの解釈の手掛かりになります。餅音区教委はこれに「関知しません」。
 各職場で振休をとらないまま年度を越した・退職したという人が大量にいます。どう区教委に対応を求めるか今考え中です。区小研にいかない人はとる。などきちんととる。
 今こそ、一人ひとりの力と知恵をだし、それを結集した闘いを組んでいこうではありませんか。職場の問題や課題を一つひとつとらえて、それを解決していこうとすること。解決への「唯一の正しい方法」が与えられるのではないが、私たち一人ひとりが、ああではないかこうではないかと試行錯誤していく。そのようなプリミティブな形での組合運動が始められるときです。

墨田の地で機能と責任を果たす
 私たちは、墨田のことは墨田で解決することを一つの重要な存在意義としています。執行委員会は区教委と交渉して諸課題を解決することに最大限の力を入れていきます。それぞれの職場での闘いと、墨田に根をはっている組合員のもつネットワークを使った情報の交換・共有がこの交渉を支えます。変動の時代には、ネットワークが貴重です。墨田の地で、教職員労働組合としての機能と責任を果たし続けるために、これまでやってきたこと、地道で原則的で愚直な教育労働組合運動を、私たちは一人ひとりが毎日行っていこうではありませんか。

運動方針案をめぐって
 議事に入り、書記長の二〇一二年度運動方針案を提案をうけて、各職場からの発言が続きました。
免許更新制について。
教育研究所の学力調査アンケートについて
校長のパワハラについて

 どの発言も執行部に対する要望も含め、方針案を補強する立場からのものでした。共に考え、知恵を出しあい、情報を共有しあって闘いを大きく広げようと呼びかけるものでした。
 四時二〇分に討論打ち切り、運動方針案に対する挙手採決が行われ、圧倒的多数の賛成で可決・決定されました。その後、決算・監査報告が承認され、続いて予算案について審議がなされ、採決で可決・決定されました。次に「東京教組大会代議員選挙」が行われ、代議員が決定され議事は終了しました。 

五月五日 全原発停止なる!

全原発の再稼働を許さず
福島原発事故のもたらしたあらゆる害悪に
    全力で対しよう!

美しい五月という月に 小さな青空を穿った

子どもたちの未来を閉ざす
雲(クラウド)の憂いを吹き飛ばそう

風よ吹いておくれ もっと激しく吹け
  青空の彼方へ 我等を連れゆけ

歌え 自由の歌を 届け 空の彼方へ
  美しい五月を永遠にするために
 人は生きてゆく


「美しい5月のパリ」他 より   



週刊墨教組 No.1668           2012.5.1

子ども達の暮らす場から放射性物質を排除すべきだ
  区の基本方針:「放射性物質は原則その場で処理する」
   =その場に置いておく=園・学校・公園に置いておく
放射性物質の危険性と不可知性を知り・存在を捕捉し・
いかなる被曝もしないように その場から取り除いて強固に管理をする社会を!


墨田労組連での対区交渉
 区内の諸労働組合の連合である墨田労組連に私たち墨田教組も参加しています。昨秋行った区長への要請とその回答をめぐって、四月十八日、関係各課・部署からの説明とそれに対する交渉が行われました。

計測し続けることの意味
 先号でお知らせした雨水利用関係の調査は、五月ごろに行う予定だとのことです。また、一二月に行われた各校の「きめ細かな調査」も引き続き、年二回ほど行うそうです。
 区が、打ち切るのではなく引き続き各所の計測を細かく行うと言っている意味はどういうことでしょうか。それは、0.25μSv/hを超える場所がこれからも新しく生じる可能性があるという認識に立っているということです。それは、これまでに福島原発事故により降下した放射性物質が移動するということを意味します。あるいはこれからも新たに福島第一原発から放射性物質がやってくる可能性を否定していないのかもしれません(次回確かめます)。
 私たちは、もっと早く、きめ細かく測定するべきだと考えています。しかし、私たち墨田区教職員組合を含め、多くの心ある人々が計測を自主的に行っています。区民への線量計貸し出しも始められます。※1 この自主的計測の流れは一層強くなるでしょう。これは、「官」が計測=情報を独占するよりもいっそう望ましいことです。
 後は、報告を受けた区、報告すべき施設管理者(学校では校長)が、事の重要さを理解して、「子どもたちを守る」ためにこの計測値を生かすことです。未だ、「自分の管轄内で高い放射線量があることは自分のマイナスである」と勘違いしている管理職がいます。政府・原発会社に自己を同一化しています。あなたが、原発推進者であったり安全神話流布者でなければ、また故意か過失かにかかわらずわざと放射性物質を集めていないのであれば、誰も非難しません。

「天地返し」を超えた「上下入替え」
 しかし、交渉で、恐るべきことが語られました。それは、三吾小・外手小・中和小・向島中の砂場で行われた「砂の上下入替え」です。
 すでにマスコミでも流布されているように、中心となる(計測可能な)放射性物質セシウムのほとんどは、通常は地表五p・砂場などでは二〇pほどの深さに滞留しています。一年前、郡山市では何とか校庭の線量を下げるために「天地返し」をしました。それは掘った表土を処理する場所がないための苦肉の策でした。決してすすめられるものではありません。※2
 一年以上過ぎてしかも比較的に全体線量が高いわけではない墨田で「天地返し」とは・・・! 砂場は幅跳びの度にクワを入れられないでしょうか? 生活科で砂山を作るために深く掘られないでしょうか? 「砂の上下入替え」はおよそ現実離れした危険な処置です。
 
学校で見つかった放射性物質は
     原則として学校に置く!?
 交渉の中で区環境保全課は「放射性物質は原則その場で処理する」と驚くべきことを語りました。これは私たちにとって初めての情報でした。これまで、八広・緑・一寺などの砂をどこかにやり(どこに処理しているのかは常に問いただしてきましたが明確な回答はありません。これも問題の一つです)・新しい砂を入れていたからです。これは例外的であったというのです。
 放射性物質はみだりに移送してはいけないからというのがその根拠のようです。まったく都合の良い論理です。そうであるならば、瓦礫ゴミを広域焼却してその地に埋めたりしてはいけません。ゴルフ場に降った放射性物質は無主物だからゴルフ場が処理すべしの論と同じです。昨年3月、「放射性物質を大量にかつ突発的に『移送』した」東京電力の責任をこそ問うべきです。移送禁止の原則ならばすべての放射性物質はフクシマF1に戻すべきです。

子どもたちを
放射性物質から遠ざける
 これもすでに常識となっていることですが、細胞分裂が活発な子どもへの放射線の影響は大人の三〜五倍(平均です)と言われています。また、小出助教の言うごとく、子どもは原発を選択することも拒否することもできなかったという意味でこの事故に対して何の責任もない存在です。「子どもを守る」は全ての人の共通認識であると考えます。にもかかわらず、区は、妙な原則を適用して、現実には処理する場を持たないからという「現実的」な理由で、子どもを危険にさらしています。
 墨田における線量計測の目的は「外部被曝による積算被曝線量を危険値以下にする」だけではありません。むしろ、放射性物質の存在を捕捉して、その場から取り除くことにあります。「除染」=その場から取り除かなければ、環境内で移動して新たな高線量スポットを作ったり、口・鼻・粘膜・傷口などから体内に入り長期にわたる内部被曝を引き起こす元凶になります。

選択の時
 内部被曝のことはよくわからないのだからとりあえず外部線量を下げるだけの対応でいいとするのか、放射性物質の危険性と不可知性を知り・存在を捕捉し・いかなる被曝もしないようにその場から取り除いて強固に管理をするのが良いのか、私たちは責任をもった選択を迫られているのです。
 区は未だ二〇一一年七月一六日講演会報告をホームページの冒頭部分にもってきています。講師の話は、基本的に「放射線は心配ありません」でしたし、草むらや側溝なども測ってほしいという参加者の切実な発言に環境保全課は「そのつもりはない」とそっけない回答でした。現実に区はその半年後にはきめ細かな計測を始めました。しかし、区の姿勢が本当に長期にわたる子どもたちの被曝を防ぐものなのか、安心「感」を与えるためのその場しのぎのものなのかよくわかりません。
 私たちの明確な選択がこれに決着をつけるでしょう。

ちっとも「江戸時代」なんかになってない
 大飯原発再開を急いでいます。原発を止めろというのは江戸時代に戻るということだ!と恫喝した手前、今全原発が停止したら江戸時代を作らなければならないからです。まだ刀とちょん髷が用意されていない…のでしょうか。
 しかし、その心配=恫喝は無理がありました。何しろ、今だって五四基中の五三基が停止しているのですから。時間で言えば一九〇〇年ぐらいにあたるのでしょうか? 地域的には北海道以外はすでに無原発の江戸時代になっていなくてはなりません(東電管内は柏崎羽刈原発6号炉が2012年3月26日定検停止して全原発停止です)。原発を停止させることの方が、江戸時代を作るよりももっと簡単なことです。
 「江戸時代に戻る」は「冗談」でも、現代が未だ大量浪費社会であるのは間違いありません。夜間電力は余っているんだから夜が煌々と明るくてもいいんだと、反原発論者を馬鹿にする暇があったら、夜間電力を蓄電して昼間ピーク時に備える方策を考えるべきです。

放射線をPRする冊子に怒り
 パート 山口 恵美子(さいたま市西区 42)
 先頃、小学4年の長女が帰宅後、学校で配られたと言って冊子を見せた。それを読んで、内容に身震いした。「放射線について考えてみよう」という題名の副読本だが、私たちが最も知りたい原発事故の危険性について教えることを目的にしたものではない。むしろ放射線がいかに身近に存在し、有効に使われてきたかを強調する内容だった。
 特に「身近にある放射線を測ってみよう」と、計測器の写真がずらり並べられたページには怒りが抑えられなかった。福島の子どもたちが計測器を首に下げて外出せざるをえないことを考えたことがあるのか問いたい。全体的にも子どもたちの原発に対する意識を好意的な方向に導くため作成されたとしか思えない。
 文科省は、億単位の税金を使って放射線に関する冊子をつくり、全国の小中学校に配布したという。福島第一原発の事故が起きてわずか1年しかたたず、汚染地域の復旧のめどすら立たない中で、このようなプロパガンダを載せた冊子は即刻回収すべきだ。
 長女の担任の先生は残念ながら、中身をあまり検討せずに配布したようだ。もっと高い意識を持ってもらいたい。
朝日新聞「声」2012.4.23

BBCドキュメンタリー「津波の子供たち」
_Japan's children of the tsunami _ 3_11

東日本大震災の被災者である子供たちの証言を通して3.11の津波と原発事故のその後を紹介するBBCドキュメンタリー。2012年3月1日放映。

 イギリスBBC制作のドキュメント「津波の子供たち」。取材は高台に避難した小学校と、校庭に避難し、74人の児童を亡くした小川小学校の子供たち。子供の目は大人より正確に、しっかり見つめている。感想はいろいろあると思う。しかし、見るべきドキュメンタリーの一つだと思うのですが……。
 著作権侵害の申し立てによって削除され続けている
http://asuma-ken.blogspot.jp/2012/03/bbcjapans-children-of-tsunami.html



https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/FGF/FukushimaUniv_RadiationText_PDF.pdf
放射線と被ばくの問題を
考えるための副読本 〜“減思力”を防ぎ,  判断力・批判力を育はぐくむために〜
  福島大学 放射線副読本研究会

「放射線と被ばく」副読本を作成
  後藤忍さんに聞く
原発事故の教訓は”減思力″を防ぐこと
 週刊「金曜日」2012年4月20日八九二号


 福島大学共生システム理工学類の研究者、後藤さんを中心とした福島大学の研究グループ17人が作成・公開した『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』が話題になっています。これまで「安全神話」を洗脳する道具として学校で使用されてきた副読本は昨年三月の原発事故後に回収され、文部科学省は同年一〇月に新たに小・中・高校生向け副読本を作成しました。当然、新副読本は事故や事実をきちんと受け止めていなければおかしいですね。

 その通りです。しかし、新副読本は今回の事故や事実を十分反映したものとはなっていません。問題点は大きく三つ。
 第一に事故についての記述がほとんどないこと、
 第二に放射線が身近であることの説明に紙幅の多くが割かれていること、
 第三に被曝による健康影響をわざわざ過小に見せていることです。
 たとえば、福島第一原発事故の話が出てくるのは、副読本全体で「はじめに」の八行のみで、爆発で壊れた原発や除染作業の写真、原発事故を苦にして自殺した人のことなどは一切出てきません。小学生用の副読本では「汚染」の文字すら一度も登場せず、「放射線管理区域」さえも小中高いずれの副読本でも扱われていないのです。

 そこで、ご自身も被曝された後藤さんらが、欺瞞と偏向の記述をいわば除染″し、今回の副読本を作成したわけですね。

 先ほどの三つの問題点を改善するとともに、洗脳されないためのヒントを含めた副読本を作成しました。三点への対応として、第一に事故の事実と教訓をきちんと取り上げ、第二に人工の放射性物質は身近にあるべきではない (だからこそ追加の被曝線量限度や放射線管理区域が設定されている)ことを説明し、第三に低線量被曝による健康影響は未解明であることを述べました。また、洗脳されないためのヒントとして、原子力に関する国の副読本やコンクールなど、洗脳の手の内を理解するための情報を載せました。マスクなどの対策について、文科省の新副読本では「時間がたてば(中略)マスクをしなくてもよくなります」などと書かれていますが、私たちの副読本では、政府が事故収束宣言を出した後でも定時降下物に含まれる放射性セシウムの濃度が急上昇したデータとともに「半減期の長い放射性物質が集まる可能性がある場所に近づく場合や除染作業をする場合などは、対策を継続しなければならない」と記載しています。また、風向きや放射性物質の集まりやすい場所(ホットスポット)、放射性物質を取り込みやすい食品などへの注意を喚起しています。そして「放射線よりもタバコや自動車事故の方が危険」「心配しすぎる方が、健康によくない」といった、「楽観派」「原発推進派」の見解を取り上げ、そのような見解が「加害者の責任を見えにくくし、被害者へ転嫁する」ことになるといった問題点も指摘しています。

 どんな反応がありましたか?

 全国の多くの方々からご賛同の声をいただきました。福島県教職員組合の機関紙でも紹介していただけることになりました。今後、学校数育現場の先生方との連携も進めていきたいと考えています。

 最後に、こうした国の欺瞞的な教育による最大の被害者は、未来に生きる子どもたちです。教育者・研究者として呼びかけたいことは?

 今回の原発事故で教訓とすべき点の一つは、公正な判断力を低下させるような、いわば減思力”を防ぎ、判断力・批判力を育むこと。その一助になるものとして、この副読本が多くの方々に活用されることを願っています。文科省の新副読本を見ることがあれば、ぜひ私たちの副読本と見比べてみてください。どちらが事故の教訓を踏まえているか、公平性に配慮しているか、お分かりいただけるのではないかと思います。

聞き手・まとめ/片岡伸行(編集部)



すでに校長から伝えられていると思いますが…
  二年目も決着はつかなかった
 「土曜授業」各校の日数と時数


 先日の校長会で区教委資料「『土曜授業』実施一覧」が配られ、各校では、校長から今年度の他校の「土曜授業」年間日時数が知らされていると思います。
 日数は十三日から十八日の範囲で散らばり、時数は三五時間〜六五時間の範囲です。大きな幅があります。
 「土曜授業」をめぐる二年目の闘いも、誰も勝利はしなかったと言わざるを得ません。
 私たち教職員の多くは、不要有害な「土曜授業」拡大阻止・基本的には反対であると、署名を集め職場で校長に申し入れ、また、職員会議等で主張してきました。しかし、増やされてしまいました。私たちの願いが実を結んだとは言えません。
 一部の校長(校長会?)は「土曜授業」十五回で足並みをそろえようと画策しました。しかし、総時数も弁当・給食ももちろん、日数すら縛りきれませんでした。「十五日より少なければ組合になめられる」と言った校長がいるとか・・・。この発想に立てば「校長会は負けた」のでしょう。それよりもこんな発想がまだ生きていることに驚きを(ほんの少しの懐かしさとともに)禁じえません。
 区教委は、「月二日 原則第一・三週」「教育課程は各校が決める」という原則的建前を崩しませんでした。しかし、校長会はその趣旨に反して各校の教育課程を縛ろうとし、教職員は「土曜授業」の意義を認めず反対の立場で動きました。結果、月二回も第一・三週も大きく逸脱してしまいました。
 
 二年目の闘いで唯一獲得されたのは、すでに二〇一一年十月時点で誰にも分かっていたこと、二〇一一年九月区教委通知「二〇一二年度は年二二回とする」は敗北したということだけでした。今これを確認しているだけです。つまり、だれも「『土曜授業』をめぐる闘い」に勝利を収めた者はいないということです。

 「土曜授業」三年目の闘いが重要なのはこの流動化しだれも勝利しなかった闘いに、そろそろ決着をつけなければならないからです。
 我々は、ひたすら「校長会の縛り」(現実にあったのかなかったのか知りませんが)を重視した校長を糾弾し軽蔑します。己の頭で考えられない者が頼るべきものは「強いもの」であるのが普通なのに、理も利もないすでに廃棄されたことがはっきりしていた二〇一〇年九月の仁王室長時代の論「二〇一二年度は年二二回とする」に忠義立てしてしまったからです。



八月六日〜一四日 閉庁とは何か

 この期間に区教委主催の研修会など行事を入れないということです。区役所が閉じたり区教委が閉鎖されるわけではありません。
 その趣旨は、この時期に「土曜授業」の振替休日を置きやすくする・電気消費量を減らす…など様々あるようです。昨年の「学校閉鎖」と同じように、各校での法に則った選択になります。いずれ文書で出て来るでしょう。
 仮に「学校閉鎖」となってもこの時期に夏季休暇・年休を「とらなければならない」ものでは決してありません。それらは使用者が指定することはできません。
 もちろん「学校閉鎖」をしなければならないものでもありません。どうしても学校に来させたくなかったら、校長は、自宅勤務・自宅研修を命じることができます。




週刊墨教組 No.1667 2012.4.16

墨田の誇り「雨水利用」の危機
  優れた水循環システムが「放射性物質の循環」システムに?!
 「雨水利用」は原発と相容れない!


雨水利用タンクの汚泥
 三月末、横浜の複数の学校で、トイレなどに使う水を集めてある地下沈砂槽の汚泥から高濃度の放射性物質が見つかったというニュースが流れました※1。私たちの墨田ではどうでしょうか、多くの方が心配しています。
 既に区ホームページでいくつかの園・学校の雨水タンク「天水尊」周辺で高い線量が報告されていました。※2
 「土の除去」「土で被覆」で線量を下げていますが本当にこれでいいのでしょうか?

「天水尊」を測ってみる
 私たちは、まず、天水尊からも地表からも50 cmの地点で調べてみました。0.47μSv/h。基準を超えています。次に、天水尊に沿わせて測りました。0.5・0.6・0.9・・・ぐんぐん数値が上がります。1.2μSv/hで止まりました。
 水にはガンマ線の遮蔽効果がありますから、「天水尊」には膨大な量の放射性物質が集まっているということです。当然、水にではなく汚泥にだろうと推測されます。この「天水尊」の集水面積はそれほど広くありませんがそれでも一年間でこれほどたまったのでしょう。
 この天水尊はほとんど使われていないようです。使っているとしたら、花壇などに撒き散らされていることにもなります。本当はたくさん「雨水利用」しなっくてはならないのですが、不幸中の幸いと言えましょう。
早急な「排除」を
 園・学校での線量計測が地表50 cmである根拠は「子どもの臓器の高さ」だそうです(子どもはきっとしゃがんだり寝転んだりしないのでしょう)。「天水尊」は花壇など高い所に置いていることが多いですから、「子どもの臓器」に近接しています。危険です。年一回と勧められている「泥抜き」も絶対にしてはいけません。
 区環境保全課・区教委は直ちにこの二点を学校・園に命じ、測定し、新しい「天水尊」に交換すべきです。
 また、いくつかの学校・区施設・国技館などの大規模な雨水利用システムの検証を行わなければなりません。

放射線は雨水利用を破壊した
 私たちは子どもたちに雨水利用システムがいかに優れているか・いかに無駄がなく自然の在り方に合致しているか・自然に負荷をかけない理にかなったシステムであるかを、教えてきました。
 ところがこの墨田の雨水利用策※3は、すべてひっくり返されてしまいました。使わなくて良かったと先ほど言ってしまいました。「雨水利用システム」は「危険」をため拡散させる可能性を秘めてしまったのです。雨水利用がいけなかったのでしょうか、雨水がいけなかったのでしょうか。

原発即廃炉を主張しよう
 人の手によってつくられた放射線は、墨田の雨水循環システムを破壊しただけで済んだのではありません。日本の、世界の循環システムの中に入り込み、大きな被害を生んでいるのです。
 ここまで、区の優れたシステムが愚弄されたら、私たちは循環システムの価値を逆転させた唯一の原因、原発事故による「放射性物質の地球環境循環システムへの参入」を激しく憎まなくてはなりません。とりあえず「復旧」<=福島原発への放射性物質の返還・さらには原発建設以前への「復旧」>を図るしかありません。そして二度とこのような悲劇と破壊が起きないように、全原子炉の運転停止と廃炉を主張しなくてはなりません。


※1 2012年3月30日 東京新聞

 学校雨水施設で基準超 横浜の小中18校 セシウムを検出
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012033002000047.html
 横浜市教育委員会は29日、市立小中学校18校で、雨水をトイレの洗浄水として利用する浄化の過程で沈殿した堆積物から、国が飛散防止措置を求める1キログラム当たり8000ベクレルを超える放射性セシウムを検出したと発表した。18校のうち、末吉小学校(鶴見区)の堆積物から最も高濃度の同16800ベクレルを検出。18校のトイレの洗浄水からは放射性物質は検出されず、放射線量は1センチの距離で、最大毎時0.12マイクロシーベルトだった。市教委は「児童への健康被害はない」としている。
 市教委によると、雨水を再利用する際、屋上に堆積していた放射性物質を含んだ土などが一緒に流れ込んだとみられる。堆積物は、児童が近づけない学校地下のコンクリート製の「沈砂槽」にあるが、処分場所がないことから、今後もこの槽で保管する。横浜市では市立学校44校で、トイレの洗浄水として雨水を再利用しているが、今後は水道水に切り替える。
 昨年12月26日に判明後、市教委は約三カ月間、この問題を公表しなかった。井上秀教育施設課長は「混乱しないよう、堆積物の保管方法などの対応が固まってから、公表した方がいいと判断した」と説明した。


※2 墨田区ホームページより
1月19日 本所中 雨水タンク付近 0.40
→除染作業を準備中
1月27日 第三寺島小 雨水タンク付近 0.50
→2月22日土の除去 →0.18
1月23日 柳島幼稚園 雨水タンク付近 0.28
→2月27日土で被覆 →0.23

※3 雨水利用って何?
 雨水利用とは、建物の屋根などに降った雨を貯留槽(タンク)に貯め、貯めた雨水を樹木への散水、トイレの洗浄水などの雑用水として利用することです。
 大規模な震災などによる災害時には、水道管の破裂などによって水道が使えなくなることがあります。そのような時に、貯めた雨水は貴重な生活用水としても活用できます。
 また、降った雨を浸透させれば、地域の水循環が甦ります。
 東京では、水源のほとんどを150キロメートルも離れた上流のダムに頼っています。しかし、ダムの水も元をたどれば水源地に降った雨水です。
 足元に降った雨も貴重な水資源です。有効に活用しましょう。・・・
(3)雨水タンク設置後の注意点
・ゴミを受けるフィルターなどは定期的に清掃しましょう。
・1年に1度はタンクの底に沈殿した泥を抜きましょう。(泥抜きコックが付いていると掃除が楽です)
・定期的に貯めた雨水の水質(色やにごりなど)をチェックしましょう。




「『スカイツリー見学』は学校行事ではない」
  教員へのいかなる強制もあり得ない


 突然五月連休中に「児童・生徒の見学」が決まり、すでに作業がはじまっています。私たち墨田区教職員組合は、このような日の置き方も教員の関わり方についても、全く誤ったものであると認識し教委に抗議しています。
 まず第一に、学校単位でものを計画するのならば、きちんと教育課程の中に位置づけるべきです。平日に見学枠を設定し、各学校の希望(実施するかしないかも含めて)をとるべきです。オーケストラ教室や観劇のようにです。それが「教育条件の整備」というものです。
 付き添いが「一学級三人」で「教員の協力を」とされているのも非常にあいまいです。休日です。勤務ではありません。教育上不可欠のものであれば、教員に勤務を命じ振替休日を指定しなくてはなりません。しかし区教委は「PTAと教育委員会事務局共催(「学校との共催」ではない所に注目)」だから「学校行事ではない」、「勤務は命じられないから振替え休日もあり得ない」という立場をとります。「協力」とは勤務時間外に行われるPTA行事への教員の関わりと同じだと言いますが、各校で行われていることと全区的に行うことを同一に考えるのは無理があります。
 「普段のPTAへの参加」とは「協力するかしないかは全く自由だ」ということです。が、もののよくわからない管理職(「学校に教育課程編成権があるとあれほど言われているのに『土曜授業』は一五回やるんだ」と思い込んでいた校長もいないわけではありませんから)の中には、「普段から強制しているもん」という方がいるかもしれません。これは普段からして問題です。パワハラです。
 教育委員会橋爪指導室長は、「参加しなかったからといって業績評価の学校運営に低い評価をつけることなどあり得ない」と言明しています。各校で、もしこれに違背するがごとき言動があったら、直ちにご連絡ください。



「放射線について考えみよう」を配布させてはならない

 かねてより「わくわく原子力ランド」=「原発安全神話」よりもひどい、「放射線安全神話」をばらまくものと問題が指摘されている文科省副読本です。
 私たちも子どもたちも「放射線ってなあに?」なんて思っていません。まして「水仙からも放射線が出ているんだ」と感心したくもありません。
 「福島原発事故で放出された放射性物質は私たちの健康に害をなさないか?どのようにしたら放射線・被曝の害を少なくできるか?」と心配しているのです。
 問題の所在をはぐらかし、不正確な知識を与えるのは、これまでの愚を繰り返し、被曝者を切り捨て、「安全神話」の布教者になることを意味します。絶対にしてはなりません。
 比較的簡単に手に入る批判のための資料を紹介します。どれも組合事務所にもありますので、気軽に見に来てください。


『原発に反対しながら研究をつづける
    小出裕章さんのおはなし』
小出裕章 野村保子 クレヨンハウス 1,260円
 小出裕章さんの考えを小学校中高学年からでも読めるようにまとめた本です。


http://www.youtube.com/watch?v=DO2tO7Im4OU&feature=related
フクシマの真実と内部被曝−
 20120329くわみず病院勉強会

 福島第2で働いた経験もある小野医師によるわかりやすい講演。。幅広い見-地から現在のフクシマの状況を分析しておられる。

イラストブック
放射線になんか、まけないぞ!
木村真三監修 坂内智之文 柚木ミサト絵 2011年12月 太郎次郎社 1200円 

 私たちは、何に、どう気をつけて、生活していけばいいの?──子ども自身が学べる日々の注意点と、放射線の基礎知識。大人も迷う除染の進め方や「数値」とのつきあい方。子どもと大人が一緒に学べる、みんなで考えるための本。坂内さんは福島の小学校教員。
https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/FGF/FukushimaUniv_RadiationText_PDF.pdf
放射線と被ばくの問題を
考えるための副読本
 〜“減思力”を防ぎ,
  判断力・批判力を育はぐくむために〜
  福島大学 放射線副読本研究会
 文科省の誤魔化し・「安心神話を直截に批判している。



不当な「55歳昇給停止・期末手当への全教職員への成績率導入・係長試験廃止」
四月からの実施は阻止

しかし、都当局は、半年後の実施をもくろんでいる。組合へ力を結集して、断じて許さない闘いを組もう。



ジュリー=沢田研二
3月11日発売アルバム
「三月八日の雲  〜イノチカガヤケ」は 
すごい!

太陽と放射能 冷たいね/死の街は死なない/こんなにしたのは誰だ/BYE BYE F.A.P.P /BYE BYE 原発/収束してない福島
※F.A.P.Pはフクシマ アトミック パワー プラント



週刊墨教組 No.1666 2012.3.20

誤った路線はただされなければならない!
 墨田教組予算・制度要求への区教委回答なされる(1)


 二〇一二年度予算編成にあたって、私たち教職員の切実な要求を反映させるために、私たちは予算・制度要求を毎年行っています。
 今年度、議会での決定が遅れたためにようやく回答文書が三月十四日発で送られてきました。今後、詳しい説明を求めていく予定です。
 以下、私たちの要求(ゴチック体)とそれへの区からの回答(←以下)、私たちの若干のコメントを掲載します。みなさんのご意見もお寄せいただけたら幸いです。
 
「学びの扉」が間違いだった
2.「学校ICT化」は、その本来の主旨に沿うように行うこと。教育活動に支障や無理が生じないように、各学校の意向と実態を尊重して行うこと。
@「ICT化」の主旨に反して、仕事が増えてしまっている。アンケート結果を早急に公開するとともに、それに基づいて早急に「実務担当者会議」を開き、不具合を解消し、実効ある「ICT化」を図ること。
←@ システムの不具合についてはヘルプデスクを設置している。また要望についてもヘルプデスクを通じて集約しており、問題点を検証し、必要に応じて対応可能なものから順次対応していく。
AICT支援員を増やし、各学校に常駐できるように予算を措置すること。それが不可能ならば、支援員の常駐に代わる支援の方法を速やかに提示すること。
←A 学校への常駐は困難である。引き続きICT巡回員を月2回程度派遣する。
B「学びの扉」の不具合を直すこと。データベースがエクセル書式にリンクできない点、入力したデータが電子的に利用できない点など、基本的な欠陥を直すこと。
←B 不具合についてはヘルプデスク等を通じ適宜対応している。
C「学びの扉」通知表を抜本的に変更すること。
←C 現状においては要望に添い難い。

 「不具合」を「ヘルプデスク」で解消できる程度のものと考え続けているところが、「ICT化」の貧困を露呈しています。「学びの扉」の根本的不具合とは、「入力したデータが自由に使えない」ところです。それが理解できないから絶望的なのです。
 定型業務をこなすだけ…例えば、要録を作るだけ・出席簿を作るだけなら今の「学びの扉」でいいかもしれません。しかし、私たちの仕事はそれにとどまりません。様々な加工が必要です。
 担当者はよく「みなさんの言うことを全部聞いていたら膨大なものになってしまいます」と言います。そんなことを要求していません。ただ自分が入力したデータが自由な形で使えるようにしてほしいという、パソコンに対してはごく当たり前の、非常に謙虚な要望をしているだけです。
 「各校が書式を作りそれをPDF化する」のが普通の使い方ですが、この「学びの扉」は「業者がPDFで各校に対応した書式を作る」ために、不具合だらけの「間抜けの扉」になるのです。
 小学校校長会でも昨秋、「学びの扉」通知表についてのアンケートをとり要望を出したと仄聞しています。まるで「評価委員長」のようです。また、二校以外が唯々諾々と「学びの扉」通知表を使ってから問題点をごたごた出して要望するなんて、手を拭いてから洗うがごときです。中には、「今年からパソコンで通知表を作るように区で決まりました」などと二重の嘘を平気でつく学校もあったそうです。さらに、その要望のほとんどは我々も含め多くの教職員が三年前から指摘していることだったようですが…。何はともあれとにもかくにも校長会は偉い! きっと何か変わるだろうと密かに期待していました。しかし、この回答Cで見る限り、だめだったようです。

無理な野外体験活動
4 小・中野外体験活動、中学校「移動教室」実施にあたっては、各学校が当初の趣旨にそった内容での実施が可能になるよう、さらに予算を増額すること。
@希望する小学校には、区で責任をもって施設を確保し、斡旋すること(他区・他県の施設を利用しなければならず、時期などで悪条件の中で実施せざるをえない)。
 また、放射線量が高いことから、栃木県以外の行先を確保すること。
←@ 行き先、活動内容については、学校ごとの経営方針により、独自に決定するものである。また、民間宿泊施設の利用を視野に入れた、予算化を図っている。
 なお、放射線量については日光方面を環境省が調査を実施したが基準値内であり、実施については放射線の影響はないと公表しているため、変更の予定はない。

 日光市による10月放射線マップ※1では、日光市街から中禅寺湖にかけてほとんどが0.2μSv/h以上で、その半分ほどは0.3〜0.4μSv/hです。他区の施設を「使わせてもらっている」ために生じる「不具合」も起こっています。胸を張って「日光に行こう」とは言えません。各校は知恵を出すべきです。
 あわの自然学園も、七月に中庭・駐車場を二回ずつ測った結果は区ホームページに出ています。栃木県の調査によれば、上粕尾は0.3μSv/hを超えるところも多いようです※2。より細やかな測定はしていないのでしょうか。
 また、この間主張している清掃工場や最終処分場への社会科見学についても「わざわざ危険と思われるところに子どもを連れて行かない」という原則から慎重に検討すべきです。  (次号に続く)

※1 地表から50 cmの高さ 路上や歩道などアスファルト舗装上 2011年10月測定http://www.city.nikko.lg.jp/kankyou/gyousei/jishin/documents/rdmap.pdf
※2 西北部における空間放射線量調査測定結果(H23.11.17〜22) http://www.city.kanuma.tochigi.jp/resources/content/17201/sehokubu-sokuteiti.pdf



<2011年>東京都教育管理職選考
 A選考と主幹級職選考は制度破綻!
パワー・トゥ・ザ・ピープル!!今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、
民主主義を守るためのHP
http://wind.ap.teacup.com/people/6055.htmlより


 『都政新報』に、今年の教育管理職選考結果の記事が載った(2011/12/2)<下記参照>。しかし、「選考結果一覧表」が無く、見出しも機械的な数字だけで、例年になく素っ気ない。そこで、独自に経年変化の表を作り、ここ10年ほどの数字の推移を見ると、ビックリするほど悲惨な実態が浮き彫りになってくる。


 【教育管理職】

◆経年変化 【教育管理職】

受験者数

A選考

B選考

C選考

合格者数

倍率

2000

1917

833

1084

 

347

5.52

2006

1073

168

861

44

490

2.19

2007

875

114

733

28

474

1.85

2008

750

115

584

51

520

1.44

2009

603

118

452

33

411

1.47

2010

532

86

425

21

408

1.30

2011

483

25

382

29

393

1.23

2011年からA選考に推薦区分(一次試験免除)、合格者は計55

◆経年変化 【主幹職】

受験者数

A選考

B選考

合格者数

倍率

資格

2002

2258

 

 

1732

1.30

38

2006

577

407

170

532

1.08

36

2007

641

453

188

606

1.06

34

2008

653

201

452

614

1.06

 

2009

934

241

693

876

1.07

 

2010

1104

182

922

1085

1.02

 

2011

699

 

 

675

1.04

 

◆経年変化 【校長職】

受験者数

合格者数

倍率

2000

1482

173

8.57

2006

1309

400

3.27

2007

1088

327

3.33

2008

969

257

3.77

2009

952

262

3.63

2010

977

309

3.16

2011

953

278

3.43


 受験者数・合格者数・倍率とも過去最低の数字。特に「A選考」の数字を見て欲しい。制度発足当時は800人以上もいた受験者が、10年経ってみたらたった25人(33分の1)。たまらず推薦区分(一次試験免除)を導入して合格者55人を確保したようだが、ここまでそっぽを向かれて、制度を維持する意味はとっくに消失している。これからどうするつもりなのか。
 《教育管理職選考》
 A選考(若手登用)行政管理職又は学校管理職の候補者を選考
 B選考(中堅登用)原則として学校管理職の候補者を選考
 C選考(ベテラン登用)即任用する学校管理職を選考

 選考合格後管理職として任用されるまで、A選考は五年間、B選考は二年間ジョブ・ローテーションや管理職候補研修を行う。合格者数のAとBの比率は概ね1:3で、Aを一定数確保し、Bで必要数を調整する。 〔教育管理職任用制度の改正について(1999/6/10)〕

 【主幹級職】
 区分A(申込制)・区分B(推薦制)が消えた。
 自発的に主幹になろうとする者(区分A)が年々減少して、校長の推薦(区分B)で不足分を補ってきて、08年からはその数が逆転していた。不人気校の入試並みの、定員割れ・二次募集は08年から続いている。
 完成予定年度は、小中学校が07年、高校が09年とされていたが、合格者数が採用予定数(02年〜06年は1,000人、07年以降は900人)を上回ったのは最初だけで、充足率は6割〜7割にとどまり、その後慢性的な未充足状態が続いている。
 受験対象年齢を下げたり、小中の必置主幹数を減らしたり、二次募集をかけたり、校長推薦制を導入したり、あの手この手のテコ入れも、根本的な不人気状態には焼け石に水でしかない。
 東京都の制度設計の誤りは、10年経って益々顕著になってきている。他府県は、この実態からよく学ぶべきである。

 【校長職】
 08年以降受験者が1,000人割れ、低倍率の傾向は変わらない。特に昨年度から1倍台に低下した中学校では、再任用校長を100人規模で補っている状態のようである(公式の数字不明)。

 【都が考えるこれからの10年?】
 賃金確定闘争中に、都側から『これからの人事制度の基本的方向』(平成23年11月)という文書が公開された。管理職のなり手不足はオール都庁に共通の課題のようで、その対策らしきものも盛り込まれている。
 どうするつもりかと思ったら、受験者を上司が推薦ないし任命する(係長職の本人申込制の廃止の検討)上意下達の強化とか、上に厚く下に薄い賃金体系での利益誘導の強化(職責にふさわしい処遇)とかである。
 目を疑うだろう。これまでの失敗したやり方をより一層強化することしか考えていない。これでは逆効果でますます深みにはまっていくのは目に見えている。これまでの失敗から何も学んでいないのである。この見誤った方向を、これからさらに10年続けるのだという・・・

 【現場のモチベーション回復こそ真の解決】
 では、どうすればいいのか。
 現場のモチベーションの低下は、上意下達や利益誘導では解決しない。逆にそのことが、モチベーション低下の根本原因になっているのだから、それを止めることこそ唯一の正しい解決の道なのである。
 すなわち、生徒の利益とは無関係に、教員統制管理のためだけに導入された、「人事評価=業績評価制度(Cを2〜3割)」や「主任制度・主幹制度」などを直ちに廃止する。同じく教員の自由を制約することだけをねらいとした「10・23通達」や「職員会議挙手採決禁止通知」を撤回する。
 その方向以外に、現場のモチベーションを回復する手立てはない。上からではなく、下からの教員集団の協働活動を生かすことによってこそ、能力・資質の向上や学校組織の活性化は、実現される。
 教員に「給与」や「昇進」はインセンティブにならない(中略)

 【人事担当部門の責任】
 上を見れば教育管理職の受験者激減、下を見れば教員採用試験の不人気(二次募集、他県の不合格者の繰り上げ採用)、中では病休者の急増(その7割が精神疾患)や定年退職者数を上回る早期退職者数。
 民間企業でこれだけ上から下まで人事面の停滞が長期にわたって続いたら、責任者の管理能力が問われないでは済まないだろう。そして未だその反省すら正しく出来ていないのである。


民主的な公務員制度改革と
労働基本権の確立を求める3.21中央集会
3月21日(水) 18時30分〜

日比谷大音楽堂
主催 公務公共サービス労働組合協議会


さようなら原発1000万署名集約集会
3月24日(土)13:30開会 
日比谷公園野外音楽堂

13:00コンサート 山本コータロー
呼びかけ人あいさつ
 鎌田慧さん、辛淑玉さん
 福島現地報告、署名集約報告 他

1665ss.pdf へのリンク


週刊墨教組 No.1665 2012.3.17

3.11 郡山16000人の大集会
希望はここにある
福島は原発と闘っている!


 これだけの人が集まり、デモをしたことは歴史が始まって以来だと、福島の方は言っていた。内野席はたちまち満席になった。
 「地震は止められないが、原発は人が作ったものだ、人間の力で止められる、止めなくてはならない!」 「放射線のためにまだ生きていただろう人を助けられなかった。」「戻すだけでなく安心して生活ができる新しい村を建設するという住民の意向をくむべきだ」
    私たちは、福島の悲痛な叫びを聞いた。

 大江健三郎さんは「できるだけ早くすべての学校で、教員があるいは子どもが、原発はすべて止まった、私たちの命の危険は去ったと喜びを報告する集会を実現させましょう」と語った。福島県は「原発に依存しない社会の実現」を議決している。それが福島県民の一致した共通の叫びだ。
 私たちはそれを出発点にして、墨田で闘う。

加藤登紀子さんは、「今どこにいますか」「Power to the People」「100万本のバラ」「All You Need Is Love」「命結〜ぬちゆい」を熱唱した。ビートルズがうたっていた頃、私たちは原発を始めさせてはいけなかったのだ。

 郡山は原発から50km。公園にはソーラーパネルを電源にした線量計が設置されていた。0.48μSv/h@。しかし、ポケットに入れた線量計は0.6〜1.1μSv/h。町全体が放射線でおおわれているA。
 会場の野球場がある広大な開成山公園も除染の真っ最中だ。「2.67μSv/hだったので3月7日に除染したら0.25μSv/hになった」と立札があったB。しかし、測ると1.46μSv/hあったC。「誤差」では説明できない値だ。
 「復興の掛け声は高いが、足元の除染すらできていない」「一見、日常が回復し平穏な毎日が戻っているようだが、街に子どもの姿がない」主催者の言葉は本当だった。
 まずできることは全原発の停止・廃炉だ。
 
 この日は「福魂祭」を全県で行っていたD。縁日・気晴らしならともかく「日々汚染されているのに魂を鎮められる状況ではない」。夜は市民団体の呼びかけによる「海老根和紙で作った灯ろう」が飾られていたE。人と原発は共存しえないの思いを強くした。






週刊墨教組 No.1664          2012.2.28

墨田区教委二〇一二年度予算案における主要事業


平成24年度 予算概要 各部の主要事業より
    (計数未整理のため金額等は変動ある見込み)
(教育委員会事務局) 単位:千円
事 項 本年度 前年度 増減
1 トイレの改修(ドライ化) 115,303 3,500 111,803
 改修工事:小梅小学校・錦糸小学校
 実施設計:第三寺島小学校
2 太陽光発電照明灯整備【新規】 62,500 0 62,500
 避難所に指定されている学校等に3ヵ年で整備
 24年度 小学校25校
3 区立学校適正配置の推進 1,865,282 1,010,237 855,045
 (仮称)桜堤中学校(統合新校)の整備 建築工事、
 校庭整備等25年4月統合予定
 吾嬬第一中学校・立花中学校の統合準備 校舎改修設計等
4 緑幼稚園の移築【新規】 45,000 0 45,000
基本・実施設計等(旧平和荘跡地)
 25〜26年度 建設工事等
5 幼小中一貫教育の推進【拡充】 26,565 17,624 8,941
すみだ幼小中一貫教育推進計画の実施
6 学力向上「新すみだプラン」の推進 53,812 49,822 3,990
 放課後学習クラブ事業の拡充
7 文化財情報のデータベース化【新規】 6,500 0 6,500
8 第68回国民体育大会開催に伴う準備事務 20,074 2,000 18,074
 リハーサル大会の実施等
9 陸上競技場等の整備【新規】 5,000 0 5,000
基本計画策定(鐘淵中学校跡地)
10 統合新図書館の開館【新規】 1,161,295 0 1,161,295
 あずま・寺島図書館を統合
 内装工事、開館準備等
 京島一丁目35番の一部、36番街区
 京成曳舟駅前東第二南地区第一種市街地再開発事業の
    施設建築物内(2〜5階部分)延べ面積 約3,400 u
 25年3月末開館予定
http://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/zaisei/yosan_gaiyou/ta10300020.html

 墨田区の二〇一二年度予算案における教育委員会の主要事業に関し、区教委から説明を受け、その後若干の意見交換を行いました。主要事業に関するプレス発表部分は資料の通りです。

目玉はない
 中学校統廃合と統合新図書館建設という「箱」が大きな比重を占めています。その他にはこれといったものがありません。

余計なものも少ない
 区はその「墨田区基本計画」で、「施策472 確かな学力の向上を図る ◎すみだ総合教育研究所(仮称)」などというものを出しています。「教育センターのようなものだ」と言いますが、今の「すみだ教育研究所」のやってきたことを考えれば、げんなりするところです。ネーミングの問題かもしれませんが、内実は不明です。とりあえず、来年度予算で具体化されなかったのは歓迎すべきところです。
 何の根拠もメリットもなく疲労と学校への悪感情を増やすだけの「土曜授業」も、区長が「一方で、学力向上の施策としましては、小中学校の土曜授業を月2回に拡充する」と施政方針演説で強調するわりには出てきません。金をかけないでできるとほくそえんでいるだけかもしれませんが…。

「ICT化」は低水準で固定か
 二年前に鉦や太鼓でにぎやかにはじまた「ICT化」ですが、予算の表からはすっかり姿を消してしまいました。これではせっかく区教委情報担当者が行ったアンケート結果も、校長会が行った二年遅れの通知表に関する要望も、実を結ばないことになるでしょう。まあ、NECのいいカモにされた…というところでしょうか。
 本当に「使えるICT化」を目指すなら、無能な「学びの扉」のデータを、どれだけ汎用アプリで利用できるようにするかにかかっているでしょう。

放射線量調査
 食材測定計器の購入と運用、区民への貸出計器が予算化されています。せっかくの良い意志ですから一層の拡充を望みます。

 私たちは、現場に働く教職員として、今後、監視と是正を求めていきます。


平成24年度墨田区予算案発表資料(平成24年2月10日)

2−4−4 放射性物質の測定・監視 27,767千円
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を受け、放射性物質の身体への影響が懸念されている。このことから、墨田区では、放射線に対する区民の不安を少しでも解消するため、公園や保育園等の公共施設の空間放射線の測定やプール水の測定を行い、区の除染基準を超えた箇所については除染作業を実施してきた。また、給食等の食材(牛乳含む)については平成24年2月から月1回の放射性物質の測定を実施することを決定したところである。平成24年度についても引き続き、放射線の測定及びプール水や食材等の放射性物質の測定を実施する。
放射性物質の測定・監視【拡充】
公園・児童遊園、保育園・幼稚園、小中学校等での測定
小中学校のプール測定、貸し出し用測定器の購入
給食食材の測定器の購入(保健所)
給食食材の定期測定(各小中学校、保育園等)
2−4−5 学力向上「新すみだプラン」の推進
53,812千円
墨田区の子どもたちに「確かな学力」を身に付けてもらうため、区では「開発的学力向上プロジェクト」を立ち上げ、学校・家庭・地域の総合的な教育力を向上させるための取組み「学力向上『新すみだプラン』」を策定し、様々な施策を展開してきた。
平成24年度は、基礎学力の定着が十分でない子どもの学力の向上を一層図るため、「放課後学習クラブ事業」の拡充をはじめ、平成23年度に開始した、地域の教育支援人材養成のための「すみだSST(School-Support-Teacher)」養成講座」を引き続き実施する等、学校だけでなく家庭や地域との連携を深め、取組みの充実を図っていく。

政策470  豊かな人間性をもった子どもたちが健やかに育つしくみをつくる

施策471 子どもの健康な心とからだを育む
・学校保健・学校給食事業
・教育相談推進事業
・特別支援教育推進事業

施策472 確かな学力の向上を図る
◎すみだ総合教育研究所(仮称)・区民施設等整備事業
★「学力向上・新すみだプラン」推進事業
・幼小中一貫教育推進事業
・土曜授業推進事業

施策473 魅力ある学校環境をつくる
◎学校校舎屋内運動場等改築・改修事業
★区立学校適正配置事業
・学校ICT化推進事業

施策474 地域と家庭の教育力の向上を支援する
★放課後子ども教室推進事業
・子育て学習支援事業
・地域体験活動支援事業



その「頑張りに応え、職責・能力・業績を一層きめ細かく給与に反映させ」られた=「仲間」からの奪い合いを行う管理職は、教員として生き生きしているか!?


 これまで組合の反対で拡大を抑え続けてきた「勤勉手当への成績率導入」を都当局は全職員への拡大として提案してきました。
 「狼の喰らい合い」と言ったら狼に失礼な制度です。「ご褒美」(まっとうな給料以外にそんなものをほしいとも思いませんが)などというものはプラスして与えられるものであって、仲間内から奪い合うものではありません。すでに導入されている管理職が、一向にこれを話題(ex.私の頑張りにより頑張らないあいつの金を得られて誇らしい・君たちも奪い合って活力を持とう!)にしないのは、どうしてでしょうか?
 口で友愛と協力を説きながら一方で恥ずべき奪い合いを行う…。いじましくも無残な成績率を全職員に導入させることは、教育から人としての誇りを完全に奪うことです。 

2011年度 行政系職員(課長補佐・係長級)の成績率

段階(A) 対象者(B) 成績率(C) 拠出(D) 増減額(E) ※拠出分を
引くと(F)
最上位 適用対象者の10%程度 支給の都度
    決定
勤勉手当0.02月分※
+扶養手当分
(平均1.8万円)
6.6万円 4.8万円
上位 適用対象者の40%程度から最上位を除く(30%程度) 3.3万円 1.5万円
中位 最上位・上位・下位以外 0.6550月 0 −1.8万円
下位 全ての総合評価(一時・相対)で最下位 0.6157月 上記+6% −1.9万円 −3.7万円

「支給の都度決定」とは、下位が多くなればなるほど支給率が上がるということ。蹴落とせっ!
12月当局提案では「成績率の原資」を「勤勉手当0.06月(年間)、扶養手当 及び下位からの減額分6%」
としていますから、拠出分は5万円になると考えられます。
勤勉手当の算出 (給料月額+扶養手当+給料及び扶養手当に対する地域手当+職務段階別加算額)×支給月数×期間率
成績率での勤勉手当の算出 (給料月額+給料に対する地域手当+職務段階別加算額)×成績率×期間率






週刊墨教組 No.1663           2012.2.26

墨田で、福島で
私たちは放射線による被害と闘わなければならない
 数十年にわたって
3・11はその第一歩 
郡山へ


忘れてはならない
 アエラ臨時増刊「原発と日本人 100人の証言」二〇一一年四月二七日に、南相馬市で被災した方の声が載っています。
「焦って何かしてくれなくていいから、被災者を忘れないでほしい。いま一〇〇万円を送ってくれるなら、1万円を一〇〇か月続けて送ってほしい」
 忘れてはなりません。1年前に地震があり津波が襲ったことを。そして福島第一原発で事故があったことを。・・・まさか、わすれてはいない・・・?

「誤った」記憶 
 「原発はメルトダウンなどしていない」「原子炉は冷温停止の安定状態を達成し、事故は収束に至った」・「放射線はどこにでもある安全なものだ」・「一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません」・「除染が始まったから戻れる」・・・。
 土曜日の新聞に「福島県の全面広告」が掲載されました。「豊かな自然、歴史の香り。そして人の絆。その多くは震災前と変わらず いまも魅力に満ちあふれています」・・・大震災前と変わらないかもしれませんが、原発事故の前と後では大きく変わってしまっているのです。福島県はそれを忘れようとしています。
 福島が忘れてならないのは、原発が東京から押し付けられ、それが事故を起こし、福島は破局に陥り、今再び、忘れられ切り捨てられようとしていることです。

私たちに「記憶」があるのか
 左の表を見ると暗澹たる気持ちにさせられます。二〇一二年になって急に線量の高い所が増えています。新たな放射性物質が降ったのでしょうか? 三月末にはここにはなかったというのでしょうか? そもそも私たちは「忘れる」ほどのものを持っていなかった、あまりに知らな過ぎたと言わざるを得ません。

墨田は墨田のことをする
 関東のホットスポット柏では国と市の間での汚染土壌の押し付け合いが起こっています。墨田でも行き場がないようです。
 しかし、放射性物質は子どもたちから遠ざけられなければなりません。墨田でできないものが、福島でできるわけがありません。墨田の子どもを守れなければ福島の子どもたちを助けることなど不可能です。だからこそ私たちは、墨田でできるだけのことをするのです。

悔やまれてならないこと
 ヤゴ採りの時に、プールサイドと水の線量を調べた人はいます。「安全」でした。しかし、プールの底の汚泥は調べていません。今、東京湾にそそぐ河川の底に放射性物質が堆積していることが問題になっています。あの時何ベクレルの汚泥の中で子どもたちを活動させたのか、今となってはもう調べようがありません。
 中央防波堤外側処分場は現在、以前のようにバスの外に出ることなく車内からだけの見学です。私たちは考えるべきです。それだけのリスクを払って行くべき価値があるのかと。
 私たちもまた、「今まで通り」にはやっていけなくなってしまったのです。

測定日 測定地 測定値 μSv/時 除染
施設名 (住所) 測定箇所 箇所数 5cm 50cm 1m 除染日 結果 除染方法 計画
2012年2月10日 大横川親水公園 (吾妻橋三丁目、業平一丁目、東駒形四丁目、横川一丁目、本所四丁目、太平一丁目、石原四丁目、錦糸一丁目、亀沢四丁目、江東橋一丁目、緑四丁目) 植込み 12 0.10〜0.41 2012年2月13日 0.23 土の除去
2012年2月10日 竪川親水公園 (江東橋一丁目・二丁目・四丁目・五丁目地先) 雨樋下 6 0.21〜0.30 2012年2月14日 0.23 土、苔の除去
2012年2月3日 吾嬬第二中学校 (八広四丁目4番4号) 砂場 1 2.2 除染作業を準備中
2012年2月3日 第三吾嬬小学校 (八広二丁目36番3号) 砂場 1 0.35 除染作業を準備中
2012年2月3日 第三吾嬬小学校 (八広二丁目36番3号) 雨水桝・側溝 2 0.14〜0.29 除染作業を準備中
2012年1月31日 興望館保育園 (京島一丁目11番6号) 雨樋下 1 0.26 2012年1月31日 0.16 土の除去
2012年1月27日 すずかけ児童遊園 (東向島六丁目19番12号) 植込み 3 0.12〜0.30 2012年1月30日 0.23 土の除去
2012年1月27日 第三寺島小学校 (向島五丁目40番14号) 雨水タンク付近 1 0.5 除染作業中
2012年1月27日 第三寺島小学校 (向島五丁目40番14号) 砂場 1 1.19 除染作業中
2012年1月26日 向島中学校 (東向島四丁目18番9号) 砂場 2 0.16〜0.33 除染作業を準備中
2012年1月23日 柳島幼稚園 (横川五丁目2番30号) 雨水タンク 1 0.28 除染作業を準備中
2012年1月19日 外手小学校 (本所ニ丁目1番16号) 砂場 3 0.09〜0.83 除染作業中
2012年1月19日 本所中学校 (東駒形三丁目1番10号) 砂場 1 0.33 除染作業を準備中
2012年1月19日 本所中学校 (東駒形三丁目1番10号) 雨水タンク付近 1 0.4 除染作業を準備中
2012年1月18日 二葉小学校 (石原二丁目1番5号) 植込み 2 0.11〜0.41 2012年1月19日 0.18 土で被覆
2012年1月18日 二葉小学校 (石原二丁目1番5号) 雨水桝・側溝 4 0.13〜0.27 2012年1月19日 0.18 洗浄
2012年1月12日 中和小学校 (菊川一丁目18番10号) 砂場 4 0.08〜0.75 除染作業中
2012年1月11日 緑二丁目こども広場 (緑二丁目7番7号) 植込み 5 0.13〜0.46 2012年1月17日 0.08〜0.15 安全確保措置の実施
2011年12月27日 第一寺島小学校 (東向島一丁目16番2号) 雨水桝・側溝 2 0.25〜0.33 2012年1月19日 0.19 洗浄
2011年12月27日 第一寺島小学校 (東向島一丁目16番2号) 砂場 4 0.29〜1.29 除染は完了し、現在復旧作業中
2011年11月29日 柳島小学校 (横川五丁目2番30号) 体育館屋根の樋 1 0.28 1月5日・6日 0.13 洗浄
2011年11月29日 柳島小学校 (横川五丁目2番30号) 雨樋下 2 0.13〜0.31 除染作業中
2011年11月29日 緑小学校 (緑二丁目12番12号) 砂場と校庭の境目 1 0.55 除染は完了し、現在復旧作業中
2011年11月21日 荒川四ツ木橋緑地 (墨田四丁目、五丁目地先) 雨水桝・側溝(5) 0.14〜0.30 ※荒川四ツ木橋緑地部は、国土交通省と調整の必要な部分があるため協議中です。また、除染の必要な部分にはカラーコーンを設置し、立入禁止措置をとっています。
2011年11月21日 荒川四ツ木橋緑地 (八広六丁目) 雨水桝・側溝(1) 0.26 2012年11月28日 0.18 土の入替え
2011年11月17日 隅田小学校 (墨田四丁目6番5号) 雨樋下(2) 0.19〜0.27 2012年11月17日 0.14〜0.18 土の除去
2011年11月16日 中川保育園 (東墨田二丁目1番15号) 雨樋下(2) 0.34〜0.39 2012年11月16日 0.19 土の除去
2011年11月16日 白髭公園 (墨田一丁目4番42号) 雨水桝・側溝 26 0.12〜0.28 2012年11月17日 0.18〜0.19 土の除去
2011年11月9日 平井橋第一公園 (立花六丁目8番55) 雨水桝・側溝(2) 0.16〜0.28 2012年11月17日 0.15 土の除去

※砂場は測定高さ5p・それ以外は50cmに繰り入れます。十分な校正を行っていないので、必ず区ホームページでご確認ください





「人事考課制度」に抗する
   デタラメな「評価」、差別昇給を許さない!
   開示を求めるのは私たちの権利・闘いの義務
  開示申請期間 は三月一日(木)〜七日(水)


 都教委は、「平成二三年度東京都区市町村立学校教育職員定期評価本人開示の実施について」を区教委を通じて校長に配布し、「開示」について、教職員に周知徹底することを指示しています。「人事考課制度は人材育成、能力開発が目的」と都は再三説明してきましたが、この制度に対する職員の不満は強く、職員のモラールダウンを招く結果になっていることが指摘されてきました。人事考課制度は、私たちの労働条件である昇任・昇格・昇給・異動等にリンクしています。組合は人事考課制度を「交渉事項」として、その改善を強く要求してきました。その結果、「第一次評価」だけは開示されているものの、「特別昇給」に直接関係する第二次評価(相対評価)は、今年度も不当にも非開示です。不満ですが、人事考課制度を暴走させないためにも、業績評価の開示を要求し、説明を校長に求め、不当な評価、昇給を是正させましょう。
 とくに今年は、世田谷業績評価裁判控訴審が二〇一一年十月二六日、東京高裁においても完全勝訴しました。@不当評価と昇給延伸を容認した東京都人事委員会の判定の取り消しと、A違法不当な評価による損害賠償(昇給延伸による損害と慰謝料)の両方を命じた二〇一〇年五月の東京地裁判決を不服とする東京都と世田谷区の控訴は棄却されたのです。

人事考課制度の問題点は明白になっています。さらにこの制度を葬り去るために、開示を進めましょう。

「開示申請書」も全員に配布 
 「開示申請書」と「定期評価本人開示の実施について」を開示の希望有無に係わらず全教育職員に配布することを校長は指示されています。さすがに以前のように「握りつぶす」管理職はいないようです。
 しかし、文書は配れても心までは配れない校長は少なくないようです。「開示申請書」を机上に置いておくだけで何ら説明をしない、「校長を信用できないのか」と言わんばかりの態度で接する、開示申請をしたときにきっと不愉快そうな顔をするだろうと想像させる・・・。
 よほど「開示」をしたくないのでしょう。評価に自信がないのかもしれません。後ろ暗いことがあるからかもしれません。こういう校長にこそ、開示を強力に進めていかなくてはなりません。

開示の目的
 自分に関する情報は自分で管理する
 都教委は「本人開示は、教育職員の人材育成、能力開発に資することを、目的とする」と述べています。また、「開示の際には、評価者である校長と被評価者である教育職員とが、面接を通して十分な意見交換を行い、共通理解を深めるようにする」とも述べています。開示申請がなくても、評価者である校長には、「人材育成・能力開発」の視点から、評価結果を当人に説明する義務があります。
 私たちにとっては、私たちにかかわる情報を私が知らないままでいていいわけがないという点からも必要なことです。

開示によって開かれた勝利判決
 世田谷業績評価裁判での勝利判決の第一歩は「開示申請」です。
 大嶽さんは、業績評価の権限を握った管理職による、特に若い教員へのパワハラの横行を弾劾しています。そして、業績評価裁判の勝利にとどまることなく、教育行政による管理統制の根幹をなす業績評価制度を撤廃させ、学校に自由を取り戻すために、勝利判決を活かした職場の闘いを呼びかけています。人事考課制度の問題点は明白になっています。さらにこの制度を葬り去るために、開示を進めましょう。
 都教委は、開示申請者数が減ったのは制度が成熟したからだというようなことを言っているようですが、それはまったく違います。開示が第一次評価(校長)だけであること、「苦情相談」をする四月にはもう評定が下されてしまうという点、世田谷のように裁判にまで行かなければ、非違があっても校長への「指導」にとどまるだけだという制度上の欠陥があるからです。しかし厭うていてはなりません。当然の権利として、自分のことは自分で知らなくてはならないという義務として、開示申請を行いましょう。

「デタラメ評価」を許さない
 校長は職員に対し、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示さなければなりません。その基準に照らし、校長は指導助言を各職員にすることになっています。少なくとも、中間面接(一〇月)ではそのことがなされていなければなりません。しかし、昨年度、ある学校では、評価基準を提示せず、しかも中間面接では指導助言の類は一言も発言していないにもかかわらず、総合評価には不当にも「C」をつけた校長がいます(世田谷業績評価裁判の校長もそうでした)。
 今年度も、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示していない校長がいます。「デタラメな評価」がなされている可能性が大です。校長は、二月末のヒアリングに際し、「勤務成績に基づく昇給における昇給者の推薦名簿」(特昇名簿)を区教委に提出します。「人事考課制度」に抗するためにも、「公平な推薦」、「開示」・「説明」を求めていきましょう。
 この制度を葬り去るためにも、開示を進めましょう。


週刊墨教組 No.1662         2012.2.15

何を勘違いしているのか!?
  「土曜授業」拡大は、誰にとっても、あらゆる意味でも、恥辱!
 まっとうな「墨田の学校」をつくろう!



 何重にもチェックされる「次年度教育課程届出・相談・予備調査…」の真っ最中です。みなさんの職場ではどうでしょうか? そのチェックの回数ほどまっとうな論議がなされているでしょうか?

区教委は
 回数を「明示し=命じ」ていない
 昨年度、区教委(仁王室長)は「次年度十一回・H二四年度二十二回」とその回数を明示していましたが、今年度そんなことはありません。「月二回(第一・第三土曜)を標準とする」だけです。昨年のように、「区教委が十五回にしろと言っている」などと言えません(言っている校長もさすがにいないようです)。教育課程の編成はあくまで学校の責任です。

校長会に
  学校の教育課程編成権はない
 誰もが知っていることです。誰もが言っていることです。当たり前のことです。否定する方はいません。ところが現実には、あたかも校長会(ブロック校長会)に学校の教育課程編成権があるかのごとき発言が跋扈しています。
 「二十二回は多すぎるので〇〇回に決めた」「校長会もみなさんの大変さがわかるので減らす努力をしたのだ」「他の校長を〇〇回で説得したからそれより低くするわけにはいかない」・・・
 
校長は「二度目の喜劇」から脱せよ
 努力は認めます。いや、感謝してもいい…。たとえカレンダーで赤くない第一・第三土曜日を数えたら十五個しかなかったというだけでも…。
 しかし、何か前提が違っていませんか? 
 学校評価で「土曜授業」は評価され支持されたのですか? 
 「十一回は多すぎるから八回にしよう!」と一年前の今、言っていたら喝采します。しかし、今年「二十二回」は命じられていません。その中での中途半端な「減らし」は、「今年度以上の拡大」を強制するものです。
 一年遅れの誤った状況判断で「自主的に」「横並びの」誤り=「土曜授業」拡大を選択してはなりません。昨年度の区教委(仁王室長)を「二度目の喜劇」としてなぞってはなりません。私たちは敬愛する校長たちをそのような恥ずべき位置に据えっぱなしにしたくはありません。

学校の来年を考えれば
 例えば、五月二二日は墨田区起死回生の大事業「スカイツリー開業の日」です。その前の週休日=十九日(土)・二十日(日)にはいったいどんなイベントがあるのでしょう? スカイツリー近隣校ではパレードに参加するとか踊るんだとかいう話が出ているのですが、指導室長は「まだ観光課からそのあたりの話は来ていません」と言います。そんなものなのでしょうか? よくわかりませんが、教育委員会で何があろうと、学校で何を考えようと、墨田区の「大事業」ですから、地域・住民を挙げてのイベントになるでしょう。その中で、学校が第三土曜だから…と無意味に子どもを学校に集めていいものでしょうか。いや、もっと正確に言えば、ゴールデンウイーク・運動会に加えて「スカイツリー開業イベント」の喧噪の中で、子どもたちから土曜日を取り上げ、休み一日でその週やっていけるのでしょうか?ということです。学校が自信があればやればいいことですが。
 夏休みが明けない九月一日の登校、一月から三月まで一週おきに押し寄せる「週六日制」・・・。無意味な無理はすべきではありません。

とにかく減らして出そう
 ほとんどの学校で今出ている回数に何の教育的根拠もなければ、教職員の合意が得られているとは言えません。今からでも遅くはありません。「減らしてもいい?」って聞いてみることです。そのための相談です。「『土曜授業』増やさなかったら子どもたちが点取り競争がんばるって」とでも言ってみることです。「詐欺」は去年のお返しです。
 子どもたちの生活と学習と、何よりも「教育」を考えるなら、及び腰でもいい、今よりも回数を減らすことを提言させましょう。

自分を守ることも必要
 私たちの仕事は、子どもたちとの信頼関係の上に成り立っています。二〇一一年五月墨田区報に登場した子どもたちは「『土曜授業』給食拡大」を望んでいましたが、それは実現したでしょうか? 二十二回土曜日に給食が実現したら「ありがとう、〇〇」と、より友好な信頼関係ができるでしょう。でも、そうでなかったとしたら…。区報担当者は追跡取材するべきです。
 区報に載らなかった私たちの知る多くの子どもたちはどうでしょう? 「どうして増やしたの?」と私たちをなじるでしょう。合意も納得も得られなかった「土曜授業」拡大で、私たちは子どもたちの信頼関係を崩す必要はないと考えます。
 そのようなことをしなくて済むように、何としてでも「土曜授業」拡大阻止・低減の最後の努力をしましょう。

あきらめない
あきらめたら
来年は
もっとひどくなります


第31回 再び許すな東京大空襲
 追悼碑巡り 江東・墨田
とき 3月10日(土)午前10時〜
 集合 午前10時 清澄白河駅(大江戸線・半蔵門線)B1出口
追悼碑巡り順
●白川戦災地蔵尊
白河町戦災死者700余名の追悼のため建立
●東深川橋脇の慰霊碑
白河地蔵尊建立の李さんの帰国に際し建立
●八百霊地蔵尊
森下五丁目の戦災犠牲者800余名の追悼のため建立
●菊川橋夢違地蔵尊
菊川橋周辺約3000名と言われる殉難者追悼のため建立
●榎稲荷の立川地蔵尊
立川四丁目犠牲者4515名の追悼のため建立

よびかけ
再び許すな東京大空襲!反戦平和の集い実行委員会

 1945年3月10日、東京下町を火の海と化し、10万人以上の生命を奪った東京大空襲から、今年で67年が経過しようとしています。そして昨年3月11日私たちは、恐るべき地震・津波と原発事故に見舞われました。東日本大震災は、人災の側面が多数あります。21世紀、文明の進歩にもかかわらず、何にもまして優先されなければならない人の生命が、どんどん軽視されつつあります。
 第2次世界大戦が終結し、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争が終わり、東西冷戦体制が終わったとき、私たちは地球に平和が訪れるとの期待を持ちました。しかしその希いに反し、地球上では至る所で戦争のきな臭さが漂い、核兵器がどんどん拡がり、沖縄をはじめ軍事基地が増強され続けています。
 私たちは、地球上から、戦争とあらゆる武器が無くなる日まで、東京大空襲の真相を明らかにし、告発し続ける取り組みを継続しなければならないと、決意せざるをえません。先日67年ぶりに、3月10日以前にもB29が東京を無差別爆撃していたことを示す貴重な写真が多数発見されました。その写真を伝えたNHKニュースには大きな反響があり、今後、東京大空襲・戦災資料センターで公開されると思われます。未だ、安心して眠るわけにはいかない犠牲者の思いが、このように新たな事実を明るみに出し続けているようです。

 2011年12月7日、大阪空襲訴訟に対する大阪地裁の判決は、東京地裁同様に原告団の「請求」を棄却しました。
 判決文は、一見原告の憲法の各条項違反するという主張に理解を示しているように見えながら、結論では憲法上の具体的権利を認めることは困難である、国会の立法不作為に明らかに不合理な差異は認められない、軍人軍属に援護法を摘要したことによって生じた差異が明らかに不合理であるとまではいえない、とされています。しかし、東京地裁と同じく、従来の判例にある「受忍(我慢)すべき」という言葉は書かれず、立法を促す「国会の広い裁量に基づいて判断されるべきものといえる」と書かれていました。
 私たちの悲願である「戦時災害援護法(仮称)」の制定にむけて、一歩ずつではありますが着実に前進しています。昨年6月15日には「空襲被害者等援護法(仮称)を実現する議員連盟」が、超党派の国会議員によって設立されました。
 沖縄をはじめ、全国の戦争・空襲被害者が、同じ思いで集まり始めています。2月には、戦災資料センターを中心に、東京大空襲被災者らが無差別爆撃で2万5千人が犠牲となった独・ドレスデンを訪問し、追悼行事にも参加します。「ドイツには補償があるのに、なぜ日本にはないのか」を問いかける世論の拡がりが大きく問われています。
 私たち「再び許すな東京大空襲!反戦平和の集い実行委員会」は、1982年浅草国際劇場5000人集会を第1回として、以来四半世紀以上にわたり、市民運動として東京大空襲を告発し続けてきました。
 私たちの取り組みにより、全国各地で、自らの地域の空襲被災を取り上げ、戦争の恐ろしさ・平和の尊さを地域で伝えていく活動として波及していきました。また、1990年には、東京都議会で「平和の日条例」が採択され、3月10日が「東京都平和の日」として定められました。
 私たちは、今年も恒例の「追悼碑巡り」を3月10日(土)に実施します。午前10時に清澄白河駅に集まり、今も残る空襲の爪痕を歩きます。また同日には亀戸カメリアホールで「東京大空襲・戦災資料センター 東京大空襲を語り継ぐつどい」が開催されます。他にも下町や都内各所で様々な平和を希う集いや行動が行われます。私たちは多くの皆様の取り組みと連携し、ともに東京大空襲を告発し続けます。そして、次の世代を担う子どもたちに「空襲と戦争の恐ろしさ・平和の尊さ」を伝えます。戦災傷害者・アジアの人々に補償を行い、不戦の誓いを拡げ、平和憲法を守るために、行動します。今後とも皆さまのご支援・ご賛同をよろしくお願いします。



週刊墨教組 No.1661         2012.2.12


3.11 あなたはなぜ福島(郡山)に行かないのか!?
  2・11さようなら原発一千万人アクションに一万二千人が参加

「原発をやめること、それは人間のいかなる価値を
超えて一番大事な倫理なのです」 大江健三郎


私たち福島県民は、
  儚い一艘の小舟です

  増子理香さん(つながろう!放射  能から避難したママネット@東京)

 わたくしは福島県三春町から5月に娘と東京に避難してきた者です。自主的避難者の立場として、一人の母親として、わたくしメッセージで恐縮ですが、ささやかな思いを御拝聴いただければ嬉しいです。
 わたくしは、黒毛和牛と、田んぼと畑を立てる農家に嫁ぎまして、自分なりの農業をするために有機農業JASの認定を受けながら、インターネットで全国宅配をしたり、近隣のお宅にお野菜を配達していました。手には鍬の豆を作り、土と肥しにまみれたとても充実した日々を福島で送ってまいりました。
 しかし、あの日を境に、私たちの福島は一変しました。
 国や県から施行される安全宣言とは裏腹に驚くような数値を示すガイガーカウンターの表示自主的な非難を決断しなければならず、同居家族の軋轢を抱えたまま、夫を福島に残し、小学生の娘と二人で身を寄せ合って暮らしています。
 4月、小学校に入学した神々しい顔の娘の顔には、白く大きなマスクがありました。文科省から配布された「年間20ミリシーベルト以下は安全だ」という、保護者への便り。地産地消の学校給食。その時、娘の学校の校庭は、毎時2.2マイクロシーベルトでした。
 水道水への不安から娘に持たせた水筒は、一滴も娘の喉を潤すこと無く持ち帰られました。「学校の水道水は安全だから水筒を持って来てはダメ」と担任の先生から言われたのです。
 「ママが水道のお水は危ないからっていうから、私一滴も飲まなかったよ」「のどが渇いたけど我慢したよ」誇らしげに報告する娘がいました。
 学校と行政、大人の間で翻弄される、この幼いわが子は自分で自分の命の選択をしたのです。
 5月、被災の証明がないという事で、都営住宅やURには受け入れを拒絶され、現在は善意の一般の方から住宅を提供して頂き、娘と避難をする事が出来ました。
 偶然にもおととい、家主さんが夕食にご招待して下さり、こう、おっしゃりました。「あなたも東京都民になったのだから、子どもさんの新学期の前に都営住宅にでも移られたらどうですか」
 避難を相談した時の落胆した夫の顔。見送りにも出てこなかった義理の父。荷物をまとめて東京に来た時の事が、走馬灯のようにゆっくり脳裡を流れました。
 私たちはまた、あの日に戻ってしまったのでしょうか。
 「また、転校だね」ぽつりと言う娘。幼いわが子は大人たちの中で繰り返される会話を聞き、咀嚼し、そして、子どもなりの理解をしたのです。
 ひと月先の寝どこさえもままならぬ事を。
 学期途中で転校し、やっとの思いで溶け込んだ学校や友達。定住出来ないからと、何件も受けてやっと決まった職場。あれから一年もたたないうちに小さな娘に押し付けられる人生の選択は、あまりにも厳しい試練のように思えてなりません。
 私たち福島県民は、儚い一艘の小舟です。さざ波の上をくるくると流れていく、枯れ葉の小舟です。この手にしっかりと携えていたはずのオールは何処かに流され、今握りしめているものは、幼いわが子の小さな、小さな手だけです。
 「この子だけでも守りたい」
 「この子に夢と希望のある未来を見せてあげたい」
 私たちの願いは人の親であれば誰でも思うささやかなものです。
 これ以上福島の子どもに悲しみを負わせないでほしい。
 もう、これ以上生きる希望や夢を奪わないでほしい。
 福島に残してきた自分と、ここにいる自分が、いつも心の中で叫んでいます。
 引き裂かれた二つの自分が、いつか一つになれることを夢見て。
 どうか、福島から学び、同じ過ちを繰り返さぬよう、私達が出来ることの限りを尽くしたいと思います。皆さまと繋がって、力を蓄えたい。私たち避難者にもできる事はあります。
 避難者が立ち上げた「繋がろう放射能から避難したママネット@東京」は、福島の子どもを守るため、避難した子どもを守るため、ささやかではありますが、目に見える活動を進めています。皆さま、どうぞ一緒に繋がって下さい。今日はありがとうございました。
「みんな楽しくHappy?がいい♪」http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1512.htmlより



反戦平和のとりくみを
    東京大空襲を知り、つたえよう


 今年もまた三月一〇日がやってきます。一九四五年三月一〇日、墨田・江東を中心とした東京下町は、米軍のB29による無差別絨毯爆撃で火の海と化し、一夜にして十一万五千人の尊い命が焼土に埋もれたのでした。東京大空襲は、広島・長崎の原爆とともに、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材と言えるでしょう。下町の街かどに安置されたお地蔵さんや追悼碑に、花を供える方々も年々高齢化し、空襲の傷跡もほとんど無くなりました。しかし、私たちはあの「地獄の炎」を決して忘れません。
 「教育基本法」が改悪され憲法すらも改悪されようとしています。敗戦から六七年、「戦争」とその反省が歴史のかなたに追いやられようとしている今日、「東京大空襲」を自ら学び、子どもたちへ語り継ぐことは、私たち教員の課題と責務です

過去を忘れてはならない
  過去を知らなくてはならない
 私たちにほんの少しの想像力があれが、六七年前、この墨田の夜が炎上し、その中で多くの「ヒト」がもがきながら死んでいったことを理解できるでしょう。私が毎朝通勤する通りにも六七年前の熱さとおびただしい死が幻視されます。それは極めて近い過去なのです。怖れていては何もなりません。彼らを遠ざけるだけです。そして私たちは振り返らない過去を繰り返すことになります。そうならないために、私たちはその夥しい無念の死者と、そして過酷な生を生きる生き残った人々と「つながる」必要があります。その生と死を「継ぐ」必要があります。

基地の廃棄
 日米安保に基づいて、沖縄に驚くほどの軍隊と施設が置かれています。かつてここからはベトナムに多くの兵員や兵器を送り込まれ、また「共産圏」との最前線と位置づけられてきました。冷戦構造が終わったとはいえ、新たな戦争をアジアで繰り広げるアメリカは、沖縄という「安価な」軍事基地を手放そうとはせず、日本を巻き込んで再編強化をしようとしています。普天間基地移転はに民主党政権はまったく無責任な対応を繰り返しています。沖縄の人々は拒否しています。

教え子を再び戦場に送らない
 いかなる口実があろうとも「殺す」という行為を私たちは否定します。「○○国の脅威」「領土問題」「テロとの戦い」など、どのような理由をつけようとも、それは戦争の言い訳にもなりません。日本のアジア侵略もアメリカのイラク「制裁(という名のテロリズム)」も「正義の戦争」でした。「殺す」ことを肯定したときにあらゆる口実が湧き出てくるからです。
 なによりも、まず、平和を。子どもは「お国のため」にあるのではありません。
 私たちの先達は、戦後、日教組を結成しました。そして、平和を希求して、「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンが生まれました。これからも政治状況がどう変わろうとも、その精神を受け継がなければなりません。自分たちの職場で、『二度と戦争をさせない』とりくみを進めなければなりません。

原発事故は「戦争」状態
 核分裂の災禍を三度も四度も受けながら、とうとう日本は破局的な原発事故を起こしてしまいました。これまで原発労働者を含む主に緩慢な死傷が、密かに進行してきました。広島型原発37個分の放射性物質を放出した事故により、今、東日本を中心に大量の死傷の可能性が現実のものとして厳と存在します。人のもたらした大量の死傷という意味で、これはまさに「戦争」です。そして「安全・大丈夫・勝っている」というデマゴギーも、また多くの人々が、「言いたいことを言えない」状態もまた「戦争」と同じです。
 今、各地で文科省「放射線の話」で「放射線安心教育」を展開しようとしています。私たちは、「わくわく原発ランド」を使わなかったように、「このような冊子を使わないでしょう。しかし、それだけでは不十分です。その実態をとらえ子どもたちが自分の頭で考え選択できるような学習を積極的に用意しなければなりません。

組織的な平和教育のとりくみ
 墨田教組は、反戦平和教育の重要な課題として位置づけ組織的にとりくみを進めてきました。一九八八年からは、特に「三月十日」をひとつの節目に設定し、墨田の全学校で反戦平和教育の実践が行われることをめざし、墨田教組として統一的にとりくみを進めてきました。三月十日の前後には、特設授業や全校児童集会等々様々な形で、平和教育のとりくみが各学校で実践されています。このとりくみは、東京大空襲で壊滅的被害を受けた墨田におけるという意味で、地域に根ざした教育の一環でもあります。
 私たちは、これらの立場に立って、今年も三月十日を節目とした平和教育特設授業のとりくみを進めます。




週刊墨教組 No.1660 2012.2.6

「土曜授業」拡大阻止!

それは私たちが望むものではない
土曜授業を良しとする学校評価はない
学校評価をふまえるならば、1日たりと拡大はありえない
16回も15回も提案されている 
 ならば、10回だって11回だってありうる
  区教委も校長会は回数を決めていない
   決める権限を持たない 

自らの意思を捻じ曲げてはならない
15回は、教職員・学校の意思であるのか?
教育課程は学校だけが決められる
何の役にも立たず、むしろ疲労とやる気を削ぐ「土曜授業」、1年間やって十分にわかっている教職員・学校が、15回やりたいんだ…などと自ら「届け出」ることはできない
そのような屈辱を
    自ら求めることを拒否する


脱原発!! 原発即時停止・廃棄!!
福島に課せられた
  「ソフィーの選択」を償うものはこれしかない
2・11 代々木公園へ
一〇〇〇万人署名実現


「ソフィーの選択」
 大沼安史さんは、「世界が見た福島原発災害」(二〇一一年十一月緑風出版)で、バート・スコロウ氏の「私たちはいま文明化した社会が大規模な『ソフィーの選択』に直面している姿を目の当たりにしている」を引いている。※1

 まさに福島は、除染することも避難することも難しく、被曝か放浪かの選択を強いられています。どれを選んでも、「それは誤りだ」と直ちに反論がなされる選択です。「子どもを守れ」と国会で満身の怒りを表明した東京大学児玉龍彦氏は、南相馬市での「除染」と学校再開をめぐって、「子どもたちの被曝を進める者」と非難されています。京都大学小出裕章氏ですら、福島の農業を壊滅させないためには・・・との提言で評価が分かれています。
 私たちもまた、除染よりも避難を優先すべきだという考えをもちますが、まさにそれは「ソフィーの選択」でしかありません。
 不可知論に陥るわけではないし、政府・東電のやり方を認めるものでもありませんが、福島の問題がそう簡単なことではないこと・唯一の正解などはない「ソフィーの選択」であることを前提にしなくてはなりません。

我々がしなければならない脱原発 「ソフィーの選択」の解は、不可能な選択を強いるものの否定しかありません。酔っぱらった軍医の思い付き(選択の強要)はナチスのユダヤ人抹殺体制とその権力構造が保障しています。福島の選択は原発が生みました。私たちはこれを廃棄しない限り、福島に・日本各地に・そして後世の子どもたちに「ソフィーの選択」を強いることになります。
 それができるのは、今のところ、2・11、3・11と続く「さよなら原発」集会への参加と一〇〇〇万人署名の実現です。

選択の幅の拡大
 福島で被害を受けた人々は、無条件の選択を保障されなくてはなりません。医療は福島に住んでいようといまいと無償でなければなりません。いかなる居住の選択も自由であり、そこから生じる不利益をできる限り解消する施策が必要です。町ごと移住するならば国は町を作らなくてはなりません。そして汚染地区に留まる場合には「自己責任」ではなく国の責任で線量を1mSv/yにしなければなりません。たとえ、国が潰れてでもです。

墨田の選択は?
 東京も十分に汚染されている・何を平気な顔をして日常生活を送っているのか!という意見もあります。自分のことはわからないのかもしれません。しかし、私たちは墨田はまだ「ソフィーの選択」ではないと考えています。つまり、「より良い解」はあると考えているのです。それは計測・除染・保管です。

計測
 計測の度に高線量の所が新たに見つかっています。※2

※2 1月23日柳島幼稚園雨水タンク 0.28μSv/h 除染作業を準備中
 1月19日外手小学校砂場3か所 0.83μSv/h除染作業を準備中
 1月18日二葉小学校植込み0.41μSv/h
  1月19日土で被覆し0.18μSv/hになる

 これほどに多いのかと驚きます。と同時に、その場所の放射性物質を除去できること・高線量の理由を分析することによって他の高線量箇所の予測できるだろうとも思えます。いずれ、時間的推移も明らかになるでしょう。何しろ三〇年でようやく半減するセシウム137です。これは重要です。
 しかし、この目的のためには、今の区の計測はあまりにも無力です。すべての場所で、5p・50 cm・1mの高さで計測すべきです。また、「民有地等では、1m高で毎時1μSv」というのはとんでもない基準です。これは年間5mSvであり、一般人の許容線量を超え放射線管理区域に迫るものです。そもそも、墨田区は「公有地」だけでなく墨田区全体に責任をもつべきです。
 「雨水タンク」とは「天水尊」のことでしょう。どのような距離で計測したか詳らかではありませんが、あまり使っていない天水尊では底の部分にたまった土砂の線量は高いようです。また、一月からの計測では小学校の砂場で多く線量が高かったのに幼稚園・保育園では許容値を超えるところは今のところありません。普段から使って撹拌しているからでしょうか。使用状況を調べるべきです。

「除染」は「移染」
 いくつかの学校で、「雨水桝・側溝・体育館屋根の樋」を「洗浄」して線量を下げたと報告されています。これははたしてきちんとした除染技術者によって安全に行われたのでしょうか? 疑問です。「汚れがそこからなくなればいいんだ」といった「ゴミ」を流す程度の発想で放射性物質を扱ってはならないのです。除染者にも環境にも危険です。

保管は保存と管理 
 「土で被覆」は、除染ですらありません。確かに線量を下げる効果はあります。がそれだけです。放射性物質がそこからなくなったわけではありません。そして、放射性物質は自由に動きます。
 今の学校は十年もすれば教職員ががらりと入れ替わってしまいます。校内で管理などできようはずがありません。

子どもは「ニンビー」の例外
 私たちは、子どもの暮らす所には「ゴミ」=放射性物質を置いておくべきではないと主張してきました。これを「NIMBYだ」と批判する声があります。ニンビーとは、Not In My Back Yard(自分の裏庭にはあって欲しくない)で、環境派のエゴイズムを批判・揶揄する言葉です。この問題の解決策は、おたがいに「ゴミをよそにもっていこう」と考えないことだと言われています。その意味からも、三陸の放射性物質を含む瓦礫を、東京にもってきて焼却処理することに反対です。しかしそれでも、「除染」された放射性物質が「学校の裏庭にあってよい」とは考えません。学校の裏庭から区内のどこかに集積するという「苦痛・一時的不利益の甘受」を区民に求めなければなりません。そのためにも「原発事故の重大さと放射性物質の危険を認識し区民に知らせること」が必要です。むろん、子どもの暮らす学校・園の「裏庭」に「平等に」放射性物質を置くのがいいかどうかは住民が決めることです。
 
中防・日光・粟野
 社会科見学・移動教室は大丈夫か
 日光・粟野など、栃木県の山沿いは昨年三月末に大量の放射性物質が降下しました。それは文科省のマップでも公表された測定値(粟野・日光でも0.3〜0.5μSv/h)でも明らかです。
 下水処理場や清掃工場では焼却により確実に濃縮され八千Bq/kg以下の高濃度放射性物質が中央防波堤埋立処分場に集積されています。「例年通り」やっていればよい時ではありません。リスクをおかす必要はあるのか、より安全な代替策はあるのか真摯に考える時です。

※1
 「米プリンストン大学のロバート・スコロウ氏が核問題の専門誌「核科学者報」に、「フクシマを思う」というエッセイを書いていた。そこにこうあった。
 「私たちはいま文明化した社会が大規模な「ソフィーの選択」に直面している姿を目の当たりにしている。」と書いている。・・・

 小出さんに何を教えてもらったか? それは「フクシマ」(あるいは原子力)というものが、私たちに「不可能な選択」を強いるものである、ということである。 
 選びようのない選択を強い、人間の存在を切り裂くもの……それが「フクシマ」だと。
講演の終わり近くで小出さんは、スクリーンに「チェルノブイリ」事故の際、撮影された一枚の写真を映写した。避難のバスに向かう女性の写真である。泣きながら、猫を抱えて歩く女性の写真。もう自分の家に戻ることはできないと、心のどこかで思っているから、一番大切な猫を抱いて、避難のバスに乗り込もうとしている……。
 写真を映写しながら、小出さんはこう語った。「被曝はさせたくない。かと言って、追い出したらその人たちの生活が崩壊する。どっちも選択できない」 逃げれば生活は破壊され、逃げなければ生命の危機に曝される。選択不能な選択を突きつけたられた「チェルノブイリ」の人たち。
 小出さんはこう思ったそうだ。「どっちも選択できない。どうやったらそういう選択をしないで済むか、と考えたときに私は原子力を止めるしかないんだ、と思いました」・・・そして今、私たちがその選択を迫られている…… 避難すれば、それまでの生活が、人生が無に帰す。自分が育ち、自分が育てて来たものが、消える。だからあの飯舘村に戻る人が出ているのだ。被曝の恐怖を知らないわけではない。知っていながら、飯舘を自分の居場所だと、もうひとつの不可能な選択をした人たち。命がけの選択――身を斬られる思いとは、「フクシマ」の避難民の方々が日々、感じていることだろう。 どっちとも選択できないもののどちらかを選択せよ、と迫られているわけだから。

2月11日を中心に「全国一斉!さようなら原発1000万人アクション」
 東日本大震災・福島第一原発事故の発生から1年の3月11日。その一ヶ月前にあたる2月11日前後に全国の主要都市、原発立地県で一斉アクションが呼びかけられています。現在、以下のアクションが各地で予定されています。各地で多くの方の参加を呼びかけています。 
2月11日「全国一斉!さようなら原発1000万人署名アクション」(東京)
 日時:2月11日(土・休)13:30〜
 場所:東京・代々木公園イベント広場B地区、ケヤキ広場
    (JR「原宿駅」地下鉄「代々木公園駅」)
 内容:13:00〜コンサート:the JUMPS
    13:30〜集会
        呼びかけ人スピーチ:大江健三郎さん、落合恵子さん
        発言:藤波心さん(タレント)、山本太郎さん(俳優)
        福島からの報告:永山信義さん(福島県平和フォーラム)
    14:30〜パレード行進(2〜3コースを予定)

週刊墨教組 No.1659    2012.1.22 

これはオオゴトである…と認識
汚染物質の行き場がない
 それでも子どもから放射性物質を遠ざけなければならない


放射線量測定が再開される
 放射線から子どもを守る会・伊藤さん・教育を考える墨田ネットワーク・墨田労組連など、区民・市民団体、区労働団体が、相次いで区や区教委に対して、墨田区の放射線対策を求めています。
 区はようやく重い腰を上げ一月十日から、小中学校・保育園・幼稚園・公園など二五六か所の詳細な測定を始めました。また、停滞していたホームページでの公表も急速に進みました(しかし、公開日時を入れないものですから非常にわかりにくいものになっています)。※1
 これによると、一か月前に「未確認情報」として私たちがあげていたものも入っており、私たちの情報が誤りでなかったと安堵する(こういう時期、結果論的にでも「デマ」を流布してはならないのです。「直ちに健康に影響はない」「安定して冷温停止」なども同じ)とともに、なぜ公表しなかったのか疑念は増します。また、まだ基本的な情報も出されていないものもあるようです。私たちはより正確な情報の速やかな公表を求めます。
 
どのような処理をするのか
 七月、線量が高かった八広幼稚園では砂場の砂を業者が入れ替えました。今回、線量の高い二つの小学校の砂場の砂・砂場の枠を、業者は、引き取らないと言っているようです。区はこれをどこにも持っていくことはできないから、「学校の隅にシートをかぶせて一時保管」するしかないと考えているようです。
 五月、福島・郡山で自主的に剥がした校庭表土は校庭の隅にブルーシートをかぶせて置かれていました。私たちはそれを、「校庭20mSv/yまで安全」と同じようにひどいことだと憤慨していました。それが今、半年遅れで墨田で行われようとしています。「除染後の放射性物質の処理」においても福島と同じになってしまいました。
 七月に汚染された砂を業者がどう処理したのか、私たちは知りません。除去されて良かったとだけ思っていました。が、これは間違いだったでしょう。私たちは置き場の問題までふくめて、考えなければならなかったのです。※3週刊墨教組 No.1646 2011.10.12
 あの時に墨田が我がこととして福島の課題を考え解決の道を探っていたら、同じ愚=悲惨を繰り返さないですんだかもしれません。福島を教訓とすることができたのです。

除染が必要
 私たちは、「墨田は福島と同じだ」という視点で放射線からの防御・反原発を考えてきました。そこに放射線による外部被曝・食品や空気による内部被曝…の恐怖は、福島も墨田も同じです。福島は「かわいそう」で墨田は「へっちゃら」なわけではありません。ただ量的な違いがあるだけです。そこに、福島への共感も福島との共同行動も可能であると考えてきました。
 福島でも墨田でも、子どもたちを放射性物質のそばにいさせてはいけません。除染が効果を上げないところでは、避難の権利が保障されなければなりません。しかし、まだ墨田では、除染が有効だろうと考えます。
 高汚染された物を、校庭の隅に置くことも、覆土することも、地中に埋めることも、水で流すことも、私たちは反対です。子どものそばから遠ざけること・行政が管理することが不可欠の要件です。

継続した測定は不可欠
 七月・八月の測定で許容値以下であった※2ものが、今回、許容値を超えたのはどうしてでしょうか。どうして線量が上がったのでしょうか。
 一つは計測方法の問題が考えられます。前回は「30秒ごとに5回の測定を行い、その数値を平均」しました。砂場の一か所ですからおそらく中央でしょう。それに対して今回は四か所です。例えば今回、中和小学校で0.08μSv/hの一か所だけを測定していれば「問題なし」とされたでしょう。継続したきめ細かな測定が不可欠です。
 もう一つ考えられるのは、水の流れで放射性物質が移動・集積した可能性です。区として、どのような地形・水の流れであれば集積しそうなのか、早急に分析し、予防的に見つけることです。そうすれば細かい計測と汚染物質の特定・除去・管理が可能です。
 
コトの重大性を共有しよう
 区がなさなければならないのは、原発事故とそれによる放射線禍の隠蔽や過小視ではありません。原発事故の重大さと放射性物質の危険を認識し区民に知らせることです。これは大変なことになっているんだという事実を共有することです。それなくしては、より安全を実現する「過剰な施策」(私たちはそれを切に望んでいます)も、区民に求める「苦痛・一時的不利益の甘受」も得ることはできません。

※1 区立小学校・中学校での測定結果 他
http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen/houshasen_kekka/gakkou3.html
11月16日 白髭公園(墨田一丁目4番42号)
雨水桝・側溝 26か所 0.12〜0.28
11月17日土の除去 ⇒0.18〜0.19
1月12日 中和小学校(菊川一丁目18番10号)
砂場 4か所 0.08〜0.75 除染作業を準備中
11月29日 緑小学校(緑二丁目12番12号)
砂場と校庭の境目 1 0.55 除染作業を準備中
12月27日 第一寺島小学校(東向島一丁目16番2号)
砂場4か所 0.29〜1.29 除染作業を準備中
雨水桝・側溝2か所 0.25〜0.33 除染作業完了★
11月29日 柳島小学校(横川五丁目2番30号)
雨樋下 2か所 0.13〜0.31 除染作業完了★
体育館屋根の樋1か所 0.28 除染作業を準備中

★印のものは、いつ、どのような作業をしたのか、その結果どうなったのかは載せられていません。
 伝聞によれば、除染作業完了したという雨樋下は、 1月4日に窪みに土がかぶせられた(削ることなく)だけのようです。そのために、若干線量は低減したようですが、許容値の0.25μSv/h50cmを超え0.39μSv/h(参考値)、5cmでは1μSv/h(参考値)のようです。

※2 区立小学校・中学校での測定結果(8月下旬実施)
http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen/houshasen_kekka/gakkou8gatu.html
区立小学校・中学校等での測定結果http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen/houshasen_kekka/gakkou.html
 数値は7月は地表面から5・50・100p 8月は5p
中和小学校 砂場
8月24日 0.10
7月1日 0.06 0.08 0.11
緑小学校 砂場
8月26日 0.23
7月8日 0.14 0.13 0.16
第一寺島小学校 砂場
8月26日 0.11
7月6日 0.10 0.12 0.12


政治の世界で原発を止める
 一千万人署名と
原発住民投票

 福島との大きな違いは、東京は豊かな電気生活を、何の危険も身近で感じずに享受してきたという点にあります。今、その住居から追い立てられ流浪を強いられている七万を超える人々は東京都民ではないというところです。しかもそれは単なる偶然の賜物とでもいうべきものでした。少しの想像力を持つのならば、私たちには原発を止めさせなければならない責務があることが理解されるでしょう。脱原発の一千万人署名を集めましょう。
 原発住民投票は様々な意見があります。が始まったら後には引けません。東京都民だけであるとか、区ごとの受任者によって集められなければならないなど、手続き上面倒なこともあります。しかし、「署名の数は、関心の強さをはかる物差し」です。墨田教組は受任者を紹介します。あるいは簡単な手続きで受任者となれます。墨田区・東京都在住の方はぜひご賛同ください。

朝日新聞 2012年1月22日(日)付
原発住民投票―都民の関心、示すとき
 原発に、イエスかノーか。
・・・東京では期間2カ月の3分の2が過ぎても、まだ必要な21万余の半分に届かない。この少なさは、どうしたことなのか。
 署名の趣旨は「原発反対」でも「推進」でもない。原発の是非を自分たちで決めるために、住民投票をしようというのだ。つまり署名の数は、関心の強さをはかる物差しになる。首都圏の電力は原発事故前、3割近くが原子力で賄われていた。その消費者の都民が、わずか2%の関心すら示せなかったら、福島県をはじめ原発の地元住民はどう思うだろう。
 一方では、関心はあるのに、どこで署名できるのかがわからないという人も多いようだ。  東京の有権者は1千万人を超える。新宿駅前などに常設の署名場所があるが、隅々までは行き届かない。しかも、署名集めを担う「受任者」は、自分の住む市区町村の有権者からしか署名を集められない。こんな地方自治法の規定も、活動の壁になっているのは確かだ。・・・
これに対して、東京の石原慎太郎都知事は「エネルギーをどうやって補給するかの設計図もない時点で、センチメンタルともヒステリックとも思える」と突き放すだけだ。  だが、住民投票こそが、この「設計図」を市民がみずからの問題としてとらえ、考えていくきっかけになるはずだ。
 原発の行く末をみんなで考える。そのための住民投票をするには、もっと署名が要る。  大震災を機に、エネルギー政策が根幹から問い直されているいまこそ、都民は消費者としてもの申そう。そのために、首都で住民投票を実現させよう。

常設の署名場所
渋谷駅 モヤイ像前またはハチ公前
1/16〜2/9 毎日12:00〜19:00
新宿駅 西口小田急ハルク前
1/16〜2/9 毎日15:00〜19:00

●「受任者」とは
「受任者」とは、「署名収集受任者」といい、直接請求をするために必要な署名を集める人のことです。その今回の活動では東京都、大阪市の議員及び首長の選挙権を持っている人、選挙人名簿に登録されている人が受任者になれます。性別はもちろん所属団体や党派なども問われません。
署名は「受任者」でないと集めることができません。「受任者」以外が集めた署名はすべて無効となってしまいます。
 受任者が集める署名は何人分でもかまいません、何百人分でも1人分でも。ですからご家族、ご友人などに署名をしてもらえる人が1人でもいる方はぜひ「受任者」にご登録ください。
署名は「受任者」でないと集めることができないので、署名を多く集めるには、できるだけ多くの方に「受任者」になっていただく必要があります。どうぞよろしくお願いします。
ご注意!!:受任者が集めることができる署名は、ご自分と同じ市区町村の有権者の署名だけです・・・くれぐれもご注意下さい。


週刊墨教組 No.1658         2012.1.16

「昨年度と大きく変わった点はない」
   一月十二日教育課程届出説明会
   私たちの正しさは確認された
教育課程は学校が決める!

「土曜授業」拡大阻止!


 一月十二日木曜日、来年度教育課程届出説明会が開かれました。
 昨年度と違って、ややきちんとした文書※1も出され、質問に対しても一部を除き「はぐらかす」ことなく誠実に答えたようです(伝聞)。何よりも喜ばしかったのは、おそらく、説明にあたった担当指導主事ではないかと忖度します。あの「でたらめ」を説明しなくてはならない昨年度の「痛み」「屈辱」は生涯忘れられないでしょう…。
 来年度の教育課程を決定し届け出る重要な内容です。すべての学校で、その翌日には周知されたと思いますが、重要な部分について再度確認しておきます。

我々に対する回答がない!
 昨十二月、五九九筆の署名を提出しました。これは直ちに教育委員会内に回されました。教育委員会としてその存在は無視しえないものです。これに対する回答がこの文書の中にないのは、墨田区の教職員の過半数を優に超える署名者に対して、不誠実な態度と言わざるを得ません。また、説明会で出た質問のすべてに答えたわけでもないようです。この点については、きちんとした見解を出していただきたいものです。

外国語授業年50回以上
○外国語活動の実施時数は、今年度も50〜70時間で設定すると示している。ただし、本区の施策を踏まえ、可能なかぎり昨年度以上の実施を検討していただきたい。
 可能な限りということは…。「土曜授業」が今の半分、五日ぐらいになれば、そこに外国語活動をおくことも考えられましょう。が、「新指導要領本格実施により『土曜授業』をしなくてはならないくらい授業時数が不足しそう(二〇一〇年三月墨田区教育委員会)」ならばそれも「可能」ではないでしょう。
 「本区の施策」とは、「すみだ教育指針」等※2「墨田区基本計画」平成23年12月※3と思われます。 そこには、 「確かな学力の向上」に「小学校5・6年生の英語によるコミュニケーション能力の素地を養うために、区独自のテキストを活用しながら、年50時間以上の授業を実施します」と述べられています。それだけです。
 なお言わずもがなのことですが、「昨年度以上」「年50時間以上」の「以上」とは、「未満」でないものを言います。

「土曜授業」での教科時数はカウントする
○・・・土曜授業の時数は、指導の重点や特色として、標準時数+αの「α」としてカウントすることは可能である。
 よくわからない説明ですが、おそらく昨年度の「『土曜授業』で教科をやっても授業時数としてカウントしない」という世迷い事の亡霊でしょう。「『土曜授業』での教科のカウント」については二〇一一年度中に現実場面で「解決」されています。

「回数を定めない」ことの意味
 1年間の土曜授業実施回数の基準はいくつか。墨田区立小中学校の管理運営規則は、教育糧を編成する際、基準とするものを三つあげている。それは、法、学習指導要領、教育委員会が別に定める基準である。墨田区教育委員会は平成24年度土曜授業の実施回数の基準を何回と決めるのか。
○月2回(第1、第3土曜日)を標準とする。
 説明会ではとうとう来年度「土曜授業」の回数は語られませんでした。「それは聞かないでくれ」というのも一つの回答でした。昨年十二月、みなさんの土曜授業反対署名を提出した時の指導室長の発言「私は22回と言ったことはない」にも合致します。22回という「実施回数」(二〇一一年九月通知には明記されていました)は完全に葬られました。これは二年間にわたる私たち墨田区の教職員・心ある保護者・地域のみなさんの合力の賜物です。
 教育界では長いこと、「標準とは最低だ」という誤りが跋扈していました、「標準」は語の本来的意味での「標準」=「上もあれば下もある」です。

「月2回」ではない
 「月2回を標準とする」であれば標準回数は年22回に決まっています。しかし、そうはならなかったのは「(第1、第3土曜日)を標準とする」からです。4月の第1土曜日に「土曜授業」を行うのは難しいでしょう。ならばその分を第2土曜日に置く、これは「『標準』ではない」ということになります。第2・第3土曜日と二週続けて学校六日制になることは考えられません。それでは第2・第4土曜日にすれば…、ずいぶんと「標準」からかけ離れてしまいました。
 
「昨年度と同じ」を強調
 統体性を持たせるには、行政は「昨年度と大きく変わった点はない」と言わざるを得ません。「一日が原則だ」「弁当こそ食育」などという「枝葉末節」はともかく、「根幹」は「昨年度と変わらない」のです。「根幹」とは、「教委は標準を出すだけで各学校の教育課程を決めるものではない」です。
 昨年度と違うのは、管理職も含む私たち学校の教職員が、「土曜授業」を経験し、その無意味さ・反教育性を実感しているということだけです。その中で、「昨年同様」の気楽さで出した「月2回(第1、第3土曜日)を標準とする」が今年各校で何の論議もなく通るでしょうか? 「年22回をめざす」ことを前提にいくつかの学校で校長から出されている数、14回だとか15回…が認められるでしょうか? 三十校・六百筆を超える、校長に対する「土曜授業」拡大に反対する要請署名者は反対しないでしょうか?
 私たちは、区の打ち出した「標準」を横目で眺めつつ、それぞれの学校でどのような教育課程が子どもたちの「人格形成」に寄与するのか、真摯に考えなくてはなりません。それが今、私たちに期待されていることです。
防止国際医師会議)が菅直人首相宛てに出した公開書簡の公式日本語版を掲載します。「原子力の安全性に責任を負う政府機関が公衆の健康より政治的・経済的利益を優先してきたのではないかとの疑問」を呈し、4月に日本政府が20mSVに引き上げた避難基準に対し「依然として深く懸念」を表明し、「国際的に最善といえる水準の放射線防護策を実施するには、いっそうの避難が必要」と勧告しています。

※1 平成24年度教育課程編成に関しての質問事項への回答 抜粋
○外国語活動の実施時数は、今年度も50〜70時間で設定すると示している。ただし、本区の施策を踏まえ、可能なかぎり昨年度以上の実施を検討していただきたい。
○・・・土曜授業の時数は、指導の重点や特色として、標準時数+αの「α」としてカウントすることは可能である。
4 1年間の土曜授業実施回数の基準はいくつか。墨田区立小中学校の管理運営規則は、教育糧を編成する際、基準とするものを3つあげている。それは、法、学習指導要領、教育委員会が別に定める基準である。墨田区教育委員会は平成24年度土曜授業の実施回数の基準を何回と決めるのか。
○月2回(第1、第3土曜日)を標準とする。
※2 すみだ教育指針
 小学校段階から外国の言葉や文化に親しませ、外国語を含むコミュニケーション能力を育成することにより、多様な文化圏の人々に対し、すみだの伝統・文化の良さを発信しながら、互いの文化の良さを理解し合おうとする国際感覚のある人材を育てます。
 これがどうして
「英語学習の活用 ALT(外国語指導助手)との英語活動の機会を活用し、」になるのか不明だが

教育委員会の点検・評価結果報告書(平成22 年度対象)
平成23 年9月 墨田区教育委員会
平成23 年度以降の取組み
・小学校英語活動については、引き続きNTによる指導を小学校全校5学年・6学年において年間25 時間実施する。
・校長会、副校長会、学校訪問等で小学校英語活動の推進に向けた指導・助言を実施する。
※3「墨田区基本計画」平成23年12月 抄
政策 470 豊かな人間性をもった子どもたちが健やかに育つしくみをつくる-確かな学力の向上を図る
教職員研修事業
幼小中一貫教育推進事業
 「すみだ幼小中一貫教育推進計画」を策定し、一人ひとりの子どもに応じて幼児から義務教育修了までの11 年間を見通した一貫性・連続性のある教育を推進します。
「学力向上・新すみだプラン」推進事業
 児童・生徒の学力向上を図るため、「学校の教育力の向上」「家庭の教育力の向上」「地域の教育力の向上」の3つを柱に、学力向上にかかわる各施策を横断的・重層的に展開します。
土曜授業推進事業【新規】
 学習指導要領の趣旨および「すみだ やさしいまち宣言」等の本区のコンセプトを踏まえ、「心の教育の充実」の観点から、学校・家庭・地域が連携し、開かれた学校づくりのための教育活動を実施します。
小学校英語活動推進事業
 小学校5・6年生の英語によるコミュニケーション能力の素地を養うために、区独自のテキストを活用しながら、年50 時間以上の授業を実施します。
すみだ総合教育研究所(仮称)・区民施設等整備事業【新規】
 「教育研修・研究」「学校活動支援」「教育相談」等の機能をもつ教育施設をはじめとした複合施設を、統合後の向島中学校跡地に整備します。



2月11日 13:30〜 全国一斉!
さようなら原発1000万人署名アクション
東京・代々木公園B地区ケヤキ広場

イエローケーキ クリーンなエネルギーという嘘
2012年1月28日渋谷アップリンクで公開



週刊墨教組 No.1657         2012.1.4

北風の中に春を呼ぼう

    
反核 反戦 反差別 護憲

原発即時廃炉!
憲法に基づいた教育を!
憲法改悪反対!
「土曜授業」反対!

 
 すみだ春秋39

    
震災と空襲

 復興支援と称して、詩人たちが、臆面もなく安易で愚劣な詩の朗読会に興じている。
 まっとうな荒川洋治は、静かな怒りをこめて、つぎのように書いた。(『図書新聞』三〇四三号)

 「おおきな災害のあと、大量の、たれながしの詩や歌が書かれて、文学「特需」ともいうべき事態となった。この時期、誰も何も言えないのをいいことに増長。詩も歌もこの程度のものなのだと感じさせることになった。これは「詩の被災」であり、「言葉の被災」である。そのことに意識をもちたい。復興を願う気持ちでは誰も同じだが、敢えてこのことを記しておきたい。」

   *


 はたして、石巻出身の辺見庸の詩集『眼の海』(毎日新聞社)に拮抗する詩集は、あるのだろうか。


  死者にことばをあてがえ

わたしの死者ひとりびとりの肺に
ことなる それだけの歌をあてがえ
死者の唇ひとつひとつに
他とことなる それだけしかないことばを吸わせよ
類化しない 統べない かれやかのじょだけのことばを
百年かけて
海とその影から掬え
砂いっぱいの死者にどうかことばをあてがえ
水いっぱいの死者はそれまでどうか眠りにおちるな
石いっぱいの死者はそれまでどうか語れ
夜ふけの浜辺にあおむいて
わたしの死者よ
どうかひとりでうたえ
浜菊はまだ咲くな
畔唐菜はまだ悼むな
わたしの死者ひとりびとりの肺に
ことなる それだけのふさわしいことばが
あてがわれるまで

   *

 前立腺の病から、「一人の医師のホルミウムレーザーによる献身的な新手術により」、奇跡的に生還した田中清光が、最近の作品をまとめて、詩集『三千の日』(思潮社)を刊行した。
 この詩集にも、東日本大震災が色濃く影を落としている。
 たとえば、「大洪水から」という詩のなかのつぎの二連。


とはいえ 不意に大地が震えだし 横に揺れ縦に揺れ
地が割れ くずれる建物
襲来する津波の凄まじい力を目前に
現実界の作り物のすべてをぶちこわされるとき
地震学の頁をひらき
予想もしていなかったと嘆くばかり
地球が激発させる魔物のごとき水分の氾濫
大地を揺るがす破壊の拡がりに
打つ手をうしなって

大陸はそもそもマグマ・マントルを抱えつづけ 移動をくりかえし
海はぶよぶよの水分を溢れさせるものだと
億年の物差しをもつことのできない
われらの目は


 また、「地は黒い 地は赤い」という詩のなかのつぎの二連。


誰もが近づこうとしなかった禁断の地
狂いはじめるとこんなものだ
狂いはじめるとどこまでも狂いつづける
かつてパンドラの箱を最初に開けたとき
キバを生やしたけもの・病い・貧困・狂気が
ぞろぞろと飛び出したのを見たはずなのに
そんな箱を
人類はわずかな時間のあと 現代に開帳してしまった

証明し切れない 分解も完全な制御もできぬ
見えない原子力
視界の底にうごめくものを
どんな視力をもって観つづけようと
とらえきれぬそれを

   *

 震災後の瓦礫と化した土地の風景は、東京大空襲後の下町の瓦礫の廃墟を彷彿とさせる。
 宮下登喜雄は、『墨東の風物』(一九九〇年・私刊)の中で、次のように回想している。

 「昭和二十年三月九日から十日にかけての空襲では、私の家族は錦糸公園に逃げて助かった。三月九日の夜から百数十機の米軍機B による焼夷弾爆撃で文字通り火の海となった。
 夜が明け東の空から真っ赤な太陽が昇り、視界が開けて四方を見渡して愕然とした。まさに廃墟の絵巻物を見る思いがした。」
 「数日を経てから再び焼け跡を訪れた時、浅草で地下鉄を降りて隅田川を渡る橋上からの眺めは凄絶なものだった。煤煙で窓が真黒になった松屋デパート、橋の袂では川面に漂う水死体を引き上げていた。隅田公園に入ってみて再び驚ろいた。吾妻橋を渡ってお花見で馴染みの桜並木に立入ると流木でも並べたようにえんえんと死体が列をなしていた。身元が判明したものには名を記した荷札がとりつけられていた。その中には人気力士や芸人などの名があった。
 この空襲による墨田区内の死者は二万六千六百五十六人となっているが、戦時下のこと、日本の軍部が情報規制をしていたのでこの数字は信用出来るものではない。もっと多かったことは確かである。」

 『墨東の風物』には、宮下の銅版画による、昭和二十四年(一九四九年)頃の隅田川のほとりの風景が掲載されている。
 図版解説には、「戦争中、軍の命令で鉄製の手摺りまで外され、兵器の材料に使われた。川向こうに松屋デパートと地下鉄ストアが見える。」とある。
 さりげない風景は、静かに告発している。

   *

 田中清光は、東京大空襲に遭遇し、「この世が地獄に変ずるさまを十四歳のこの身で見てしまった。」
 六十七年目にして書かれた、倒れた友を悼み弔う詩は、光陰のなか、遥かに修羅の火となって、闌けつづける。


   火の渦レクイエム

東京大空襲・一九四五年三月十日を想いつつ
六十七年目にー仆れた友Kよ

火の渦がところかまわず無慙に踊りまわるなかに
立ち竦み 大地を見失い
街角から街の隅へとさまよった
その夜の空爆は ナパーム焼夷弾が油脂ガソリンを噴出しては
逃げる人びとの頭上にとめどなく降りそそぎ
意表を突かれて焼かれ 黒焦げになったまま
闇のなかで燃えていった人間の身体がのきなみ地に倒れた
こんなバカなことがあっていいのか
その屍体の列に踏み込むのは十四歳の少年 わたしには恐怖だった

熱風のなかで声も発てられず
幼な子の手を握りしめたまま燃えている母親を
誰が救えたか 空中の殺人者から
血管を流れる血も 涙も 小便まで
乾からびて
穴という穴(手掘りの防空壕もそれだ) わずかな窪みを探し
身を伏せ
これは到底 「人間の時代」のことではない

聖書のどの頁を探したって 仏典のどこにだって
こんな風景は描かれていない
人間はある時 間違いなく悪魔になる
東京だろうが 欧米だろうが 世界のどこでも
天使になろうとして豚になる*
東にも西にも 倫理も思想も役に立たず
ただ暗黒の道が地の果てまで
終らない暗い空洞を開けていた現実―
下町っ子たちもべらんめえとののしったり
時間よ燃え尽きてしまえ と叫ぶこともできずに
黙って一晩に十万人余の人びとが死んでいった
行く手 火の風の吹き荒れる通いなれていたはずの巷の道を
焼け果てるしかないままに

友よ その火のなかできみは必死で呼んでいたのだろう
父の名 母の名を
いまわのときに見たのは何だったのか
まだ少年期だったぼくら
軍国少年に仕立てられ誇らしげによく喋りあった
輝かしい戦闘談
でたらめの勝ちいくさ
だが死に向う雷雲がそこにはたえずあって
きみはぼくより先にその火花に打たれてしまった
なんとも愚かしく作り上げられた本土決戦などという幻想―

本所のきみの家も 周囲の庶民の町も一夜にして瓦礫と化し
何もかもが灰となり
あるのは隅田川に辿りつこうとして焼け死んだ塁塁の屍体の山だけだった
こんな風景を誰が見ただろう
ダンテだって実景を知るはずはない
どんな書物も 予言者も この火の河の向うに海を見せてはくれない

一晩じゅう火焔のなかを逃げてまわり
貨物線の引込場に仆れ込んで震えていた三月十日の寒い夜
隅田川の大きな川幅を越えて対岸から
燃える家の破片が宙を舞って降りそそぐ
地上の火の色に染まったB  超低空から撃ち出される機関砲の掃射のなかで身を伏せていた
射撃する若い兵士も 逃げまどう避難民も
この瞬間瞬間を 目に刻んだはずだ

野に伏せたままで夜を過ごし
訪れた早春の朝の光に 剥き出しにされたこの世の終末風景
これがぼくらの住んできた東京か!
天変地異ではない
人間によって破壊しつくされた荒地
何もかもが燃え果て 何も立つもののない焼野原がそこにあった
三月の残酷な朝風に
塵灰は死者の灰や衣裳までを捲き上げ
絶え果てた空き地の草の根までが
死者の背のなかで消え失せた

それからはオリオンの清らかな光は地上には届かなくなった
感情も感覚も空白状態となって
現実とは認められようもない物体の残骸の転がるなかに
立ち尽すばかりだった
死者のみがそこを彷徨う
人類の狂気を灼きつけた火傷を背に刻みつけて
死者きみも彷徨ったにちがいない

今も
Kはあるきつづけているままなのだ
おお その後ろから歩いてゆくのは
いまだに足がすくむ

*渡邊一夫『狂気についてなど』昭和二十四年

(長谷川政國)


週刊墨教組 No.1656         2011.12.19


十二月十六日、
墨田区教委に署名を提出
教職員多数の反対の意志、区教委も認識す
「私は年二二回と言ったことはない」
「月二回は上限」(室長発言)
各校で、適正な教育課程を編成しよう!


対区教委署名を提出
 十二月十六日、私たち墨田教組執行委員会は都教組墨田支部とともに、墨田区教委に対し、みなさんから託された五九九筆の署名を提出してきました。断固として「月二回『土曜授業』拡大を阻止」するために、各学校での教育課程編成を尊重することを求める署名です。すなわち、今以上に「土曜授業」を増やしてはいけないという署名です。
 区教委側は、橋爪指導室長・後藤庶務課長が対応しました。横山教育長が出席されなかったことは、区教委の姿勢として残念なことです。

五九九筆の意味
 昨年六〇〇筆を超える署名を提出しました。「前回の署名はほとんど役に立たなかったのではないか・無視されたのではないか」という思いもないわけではない中で、「土曜授業」月二回反対の署名が、二年目の今年もほぼ同数集まりました。今年月一回の「土曜授業」を行い、子どもたち・教職員ともに、想像以上の疲労を感じました。これ以上はもう無理だという、悲鳴に近い思いが五九九筆には込められているのです。
 墨田の教職員は「土曜授業」を強行された虚しさに絶望することはありませんでした。虚しさを受け入れることはできませんでした。「土曜授業」が拡大されようとしている今、それは認められないのです。私たちの労働・子どもたちや私たちの生活・子どもたちの学び…こういった教育に不可欠なすべてのものが崩壊させられようとしているのです。だから「土曜授業月二回」に反対できることは何でもやる、墨田の教職員はそう考えたのです。
 「署名が五九九筆集められたということは、いかにこの問題が重大で見過ごすことができない問題かという証であり、このことを重く受け止めていただきたい」
 私たちは区教委に対して訴えました。

区教委の認識
 「教職員が反対していることを認識しているか」という私たちの問いかけに、区教委は「この署名とアンケートを通してわかる」と認めました。同時に提出した「みなさんから寄せられた声」(アンケートに寄せられてみなさんの切実な声を集約した資料※1)に対して、区教委はこれも教職員の生の声として認識するという態度を示したのです。

 私たちは区教委に、「このアンケートには一つも嘘はない。もし捏造を疑うのならば無作為抽出した教職員に聞いてみればよろしい」と言いました。インチキ広報にも出ていなかった教職員の意見がこれほど赤裸々に出ているのは、このアンケートだけです。区教委はこの声を無視することはできないはずです。

各校での激しい反対行動
 多くの職場で「土曜授業」月二回反対の署名を集め、校長に対して「拡大しないでくれ」という要望を出しに行っています。その数は昨年の比ではないでしょう(そもそも昨年度は校長に教育課程の中に「土曜授業」を入れないようにという発想はあまりありませんでした)。要請しようという教職員全体の「意気」は確実に「昨年以上」でしょう。
 いくつもの職場で、多くの教職員が校長室に赴きました。ほぼ全員が要望書を出しに行った学校もあります。
 切々と校長に訴えます。「私の生活はうまくいかない」「私は私の子どと付き合える日の八分の一を奪われてしまった」。子どもたちの様子を語ります。「あなたも子どもの気持ちや様子は知っているでしょう」と。
 そう、校長は知っています。どれほど教職員が疲れ切り、子どもたちが落ち着かず、学校が疲弊しているかということを、まともな校長はみな知っています。そのまともな感覚が、果たして教育委員会に届いているのでしょうか? 
 長く組合運動にかかわっている私たちですら、こんなことは初めてのことです。このような署名や要求はこれまでもとりくんできました。が分会長、あるいは分会員だけが校長室に赴き要請するという形をとってきました。ところが、このような事態、組合員でない職場の方々が校長室に行き校長に要請をするということは初めてのことです。
 私たちだけでなく多くの校長も「初めてのことだ」との感想を述べられています。その通りです。それだけ深刻な問題なのです。
 このことは、多くの学校における「土曜授業」月二回との闘いは、校長に対する闘いではないということです。校長をふくむ学校と、区教委(それも後述するように主要には「昨年度の区教委」)との間の闘いであるということを意味します。

区教委の「翻身」?
 私たちの「年二二回は多すぎる、それは机上の空論だ…」という激しい論難を遮って、橋爪指導室長は発言しました。
 「私は年二二回と言ったことはない」と!!
 ☆・・・
 私たちには室長の発言は理解できませんでした。私たちは様々な交渉の場面・文書の記憶の中「年二二回」を探しました。それがこの記号です。区は「平成二四年度は二二回」と言っていると思っていたのですから。呆然としました。しかし、室長はそう言うのです。ですから・・・「二二回などと区教委が言ったことはない」のでしょう…と信じざるを得ません。

「月二回が上限」
 その上で、「月二回を上限とする」と説明しました。二〇一〇年一月の都教委だって、「月一回やれ・月二回やれ」と言っているわけではありません。都教委は「学校がやりたければ月二回まではやってもいいという上限を定めたに過ぎない」と建前上は「法」に抵触しないようにしています。昨年度の墨田区教委は「月二回を標準とする」などと言ってしまっているのとは大違いです。
 今年の区教委は、この都教委の立場にようやくと戻ったように解釈されます。

「年二二回」はない
 大事なのは現室長が年二二回やれと言ったことがあるかないか、あるいは前室長が言ったかどうか、文書に書いてあったかどうかではありません。大事なのは、十二月十六日に、撤回を求める署名を持って行った我々に対して橋爪指導室長が「二二回と言ったことはない」と言ったことです。
 そして、次のことも忘れてはなりません。墨田区の教職員は年二二回に反対して署名・アンケート・集会・校長交渉…などの活動をしたこと、つまり「土曜授業」に反対したことに対して、指導室長は「二二回と言ったことはない」と言明したことです。これが現状だということです。

「年二二回」前提のプランは廃棄
 そしてそういうものは「無い」のだというのですから、年二二回を前提にした論議並びに年二二回と書いてある文書とそこに記されている内容はすべて「無い」のです。これはすべて現在廃棄されているのです。あったかもしれないけれども今はないのです。
 校長会でも回数を検討しているようだと言います。いくつかの数が出ているようです。しかしだめです。これらの検討・論は未だに「二二回」を前提にして、できるだけそれに近づけたいと考えているからです。まだ、「年二二回」・「月二回が標準」に縛られているからです。
 現実の有効性・現実の効果・現実のリスクを考慮して物事を決めなければならないのです。区教委の好きな手法[PDCA]で言えば、「A」を出すための「C」は「五九九筆」に明らかであり、それは、「P」なき「D」の押し付けの結果であると。
 「教育課程は学校が決める・校長会が決めるのではない」との原則を、指導室長は「その通りです」と認めました(仁王氏ですら認めたから安心はできない)。「どうか、この原則を尊重し真の意味で実現していただきたい」と念を押しました。私たちが安心して働ける職場を作る足がかりとしていきましょう。

まっとうな職場・学校をつくろう
 墨田区ではこれまで重要な労働条件に関しては組合に提示し組合と調整しつつ決めて来ました。まったくそれを無視した昨年度の区教委の行動は極めて異例なことです。ここに根本的間違いがあったと私たちは考えています。未だに「振休日」の扱いはあいまいなままです。労働条件に関することは労働組合と合議しない限りきちんと運用できないのです。
 引き続き、組合は区教委に対して交渉を開始するよう要求しました。 署名・アンケート・集会・職場での行動=みなさんが努力したことは「大きな力」になりました。みなさんの気持ちは力です。現実を変えるのは、現実の力です。私たちは力を集めましょう・力を合わせましょう。そしてまっとうな職場・学校をつくるための論が通用するようにがんばりましょう。



ミニホットスポット簡易検出法
と対処法(抄)-2-
※この文書は表題からもわかるとおり、「対処法(除染並びに除染したものの保管法も述べられています。
 私たちは「除染は速やかに行政が責任をもってすべきだ=安易な除染はすべきではない」との立場からこの全てを紹介することはしません。しかし、有意義な情報はたくさんありますので、それを抽出して掲載します。ぜひ原文をご覧ください。http://tsukuba-invest.sakura.ne.jp/
1.1 ミニホットスポットとは
・・・ その後、日本は梅雨の季節に入りました。多雨である日本の気象の特性により、すでに地表に降下していた放射性物質の移動と再分布を生じました。その結果、雨水の移動とともに形成された高濃度の部分をミニホットスポットと呼びます。すなわち、ミニホットスポットとは、雨水の移動によって放射性物質が移動、濃縮して形成された2次的分布での高濃度部分の事です。一般にミニホットスポットは非常に小さく、数十cm 四方から数m四方の面積でしかありません。
 これらミニホットスポットは、場合によっては数万ー数十万Bq/kg もの濃度に濃縮されています。しかし、1m も離れると空間線量率は周辺とあまり変わらなくなってしまいます。このため、注意深く調査しないと見落としてしまう可能性が高いのです。しかし、これをもって危険は無いと判断してはなりません。確かに外部被曝の脅威は小さいけれども、高濃度の放射性物質が身近な環境にむき出しになっていれば、体内に取り込むことでの内部被曝の危険が大きいのです。現在の政府の方針では、汚染濃度が8,000 Bq/kg を超えると埋め立て処分ができず、管理が必要とされています。また、100,000 Bq/kg を超えると、放射線遮蔽をした上で厳重管理が求められています。このような特別な保管が必要になる程の高濃度の汚染土壌が我々の生活環境にむき出しで放置されている事実に危機感を持たなければなりません。ミニホットスポットの危険は、まさにこの内部被曝にあるのです。
 ミニホットスポットは、雨樋の下、道路側溝、舗装斜面下部、滑り台下など我々の生活圏の至る所に無数に形成されていると考えるべきです。しかも、1カ所あたりの面積は非常に小さいのです。これらの特性から、航空機等を用いた遠隔地からの測定でミニホットスポットを正確に検出する事は不可能です。・・・
 見方を変えれば、広く拡散してしまった放射性物質が雨の恵みによって局所的に濃縮されている今こそ、除染の好機であると言えるでしょう。冬を迎え乾燥し風が強くなると、濃縮された放射性土壌粒子が風によって再拡散してしまうかもしれません。今のこの機を捉え、多くの市民により迅速に除染を進めれば、内部被曝の危険を相当低減できるものと思います。  (続く) 


週刊墨教組 No.1655            2011.12.12

すべての原子力発電所の即時停止を!
危険なものは、直ちに廃棄するしかない
  一二月一〇日「原発さよなら集会」に五五〇〇人が集まる
 脱原発一〇〇〇万人署名に全力でとりくもう!


「内部被曝は難しい」
 先号でこう書きました。それは、理解することも・計測することも・安全基準値を決めることも難しいという意味です。ですから、五〇〇Bq/kgが「簡単に」決められ盤石の基準として居座るより、難しい、難しい…と、あたふたと基準値を探り、揉め、論議されていた方がいいのです。
 原発事故から九カ月たった今もこの国は「暫定」です。基準のあるものはそれ以前のものに(例えば年間被曝量1mSv/y)、なかったもの(例えば食品基準)は世界的基準をめざさなくてはなりません。

生存を脅かすものとしての原発
 ほとんど一般の人々が意識しないで済む自然放射線と、厳しく管理された人工的放射線しか、私たちは考えてこなかったのです。ところが事故によりその「秩序」がごちゃごちゃになり、今、よほど「豪儀な」人以外は放射線量に敏感にならざるを得ません。
 集会には福島からもたくさんの方が参加していました。発言もありました.1mSv/yを超える福島で暮らすことの不安、何よりも子どもたちに何がおこるかわからない(実はチェルノブイリで分かっている)中で、何と九か月を過ごしている不安を訴えていました。

私たちは行動しなくてはならない
 一〇〇0mSv/y以下ならば健康に害はないと断言する方は、九九mSv/yの所に住むべきです。二〇mSv/yが基準だと思われる方は、一九mSv/yの所に暮らせばよろしい。無関心な方はお子さんやお孫さんとともにどんなものでも食べどこにでも行くべきです。
 私たちは嫌です。
 マスコミの世論調査では、脱原発の意見は原発賛成を凌駕しています。が、「脱原発一〇〇〇万署名」は未だ二〇〇万しか集まっていません。身の回りの人々に声をかけ、後八〇〇万の署名を集めます。
 私たちは東京においても線量に敏感になるよう、行政にも同僚にも地域にも言い続けます。これから冬になり、乾燥し、雨によって集積した放射性物質が風に舞って私たちの体内に入ることを防ぎます。そしてそれは福島の線量を高いままに放置することを否定します。
 私たちは、給食を含む食品からの内部被曝を警戒します。原発の排水で赤ちゃんのミルクを溶いてもいいような「暫定基準」ではなく、限りなく零に近いものを子どもたちには食べてもらう基準と、そのための流通機構を作りたいと思っています。
 悲しいけれども、これから何十年間もやり続けなければならないことなのです。今目をつむっていれば何とかなる・・というものではないのです。誰一人として逃げられないことなのです。 

原発川柳
喉元を過ぎても要らぬ
今度こそ! (ほたる)

サリンなら死刑になるのに
セシウムは (一志)




ミニホットスポット簡易検出法と対処法(抄)
ver. 2011.11.8<著者>新田伸也(筑波技術大学・宇宙物理学)
大嶋晃敏(国立天文台・宇宙線物理学:測定者)他
概要
 3月の福島第一原子力発電所事故以来、放射能汚染について様々な情報がマスメディア・ネット等で流れています。政府等の当初の発表は福島県の一部以外の汚染は深刻なものではない、というものでしたが、千葉県・茨城県の一部に市町村程度の広がりをもつ「ホットスポット」と呼ばれる高レベル汚染地域が広がっていることが明らかになり、また住民やボランティア科学者による自主的な調査、文部科学省のサーベイにより、他都県でもホットスポットの存在が明らかになりました。
 「ホットスポット」までいたらない地域においても、雨水による濃縮を経て、驚く程高濃度に汚染された局所領域「ミニホットスポット」が多数形成されてしまっています。ミニホットスポットは、通常数十cm 四方程度の広がりしかないために、通常行われている地上高1m の線量率測定だけでは見落としてしまう事に注意してください。1m の線量率が低くても、危険が無い訳ではありません。そこに高濃度の放射性物質がむきだしになっていれば、体についた放射性物質を経口で取り込んだり、舞い上がった埃を呼吸で取り込む事で簡単に内部被曝してしまいます。ミニホットスポットを検出し、適切な対策をとらないと、全く気が付かないうちに外部被曝・内部被曝してしまう危険があるのです。
 しかし、見方を変えれば、自然の力で放射性物質が集められているのですから、集中して対策を取ることで効果的に地域全体の放射線の危険を減らすことができます。
 この資料は、地域住民、自治体がが自主的にミニホットスポットを検出し、対策するための参考となる情報を提供するためにまとめたものです。以下では、市販のハンディタイプ線量計と物差しだけでミニホットスポットを検出する効果的な方法と、除染方法、汚染土壌を一時的保管する方法を提案し、それらの根拠を解説します。

・ミニホットスポット検出法
 まず、高精度かつ高感度なハンディタイプ線量計を手に入れます。調査したい生活圏の中央部分(学校や公園の中央)で地上高1m の線量率を測定します(この値をAとする)。線量計にヒモをつけて、立った状態で手首から下げて、測定部分が地上高10cm 程度になるようにします。線量計をガンマ線を検出した時にビープ音がなる設定にします。そのまま線量計を下げた状態で、生活圏を隈無く散策します。ビープ音の時間間隔が狭まって来たら、そこが高線量の領域です(図1 参照)。目視で注意深く見回し、ミニホットスポット候補地を探します。
 ミニホットスポット候補地で、地上高5cm と1m の2つの高さで線量率を測定します(5cmでの値をB、1m での値をC とする)。この2つの高さで測ることがポイントです。A、B、Cの値を比較する事でミニホットスポットの広がりが見積もれます(図2、表1 参照)。このようにして、ミニホットスポットの広がりを確認してから除染作業をします。  (続く) 
※この文書の発想は、これまで私たちが考えてきたことと近いもので、線量測定の必要性をわかりやすく説いています(除染については考えが異なりますが)。少しずつ紹介しますが、ぜひ原文をご覧ください。http://tsukuba-invest.sakura.ne.jp/


荒川河川敷での追い出し工事に反対する
 墨田区北部の荒川河川敷で「野宿者排除」の工事が行われています。
 私たちは「野宿者」と言われる人たちは、国の無策によって生み出されたものであり、排除・抹殺により解決する問題ではないと考えています。今回の墨田区・国交省による排除は、人権の無視であり、子どもたちに「野宿者襲撃」を教唆するものとさえ言えます。私たちはこの蛮行に抗議し、工事の中止を要求します。





週刊墨教組 No.1654         2011.12.8

墨田区 除染等の対応基準を公表
 二歩前進し、三歩後退か
  より安全な判断をめざすために、
速やかな情報開示を


区ホームページの新たな記事※1
 十二月四日頃、墨田区のホームページ「放射線量等の測定結果」に、新たな項「放射線量等の測定結果」が加えられました。先々号から本紙で言っていた、「文部科学省による航空機からの放射線測量結果」で0.1μSv/hを超える地点での計測です。

「除染等の対応基準」※2
 また、区の「除染等の対応基準」というものが明らかにされました。左表です。

問題点
 各所が測定されること・数値が公開されることは、評価されるべきことです。私たちは、それをもとに、論議することができるからです。
 しかし、さしあたり私たちは言っておきます。学校・幼稚園・保育園の校庭・地面は、子どもたちが座り手で触れるのですよと。
 5cmで0.25μSv/時以上であるということは、そこに、放射性物質が確実に存在しているということです。5cmでの計測も行い、高い線量が出たら除染するよう要求します。
 また、どのような形で、誰が除染したのかも重要な情報です。来年一月一日に施行予定の「第二の電離放射線障害防止規則(電離則)」は、福島原発事故に対応した障害防止のための具体的なガイドラインです。その前にいい加減な基準で、粗雑に「除染」することはできません。

あまりに遅いホームページ情報
 電子情報の取柄は速報性です。ところが、区はこの特性を生かしていません。ここに記載したものは四週遅れです。三週間前の情報※3はまだどこにも出てきません。

放射線量が比較的高いと思われる地域の測定結果  ※1
http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen_kekka/takaiosore.html
 墨田区では、文部科学省・日本原子力開発機構が「放射線測定に関するガイドライン」を策定したのを受けて、区内で放射線量が比較的高いと思われる墨田・八広・東墨田・立花等の一部地域の各施設(保育園、小中学校、公園・児童遊園等)における放射線量の測定を実施しています。
 また、区では、除染等の対応基準を定め、基準値を超えた4箇所について土の除去、入れ替えを実施しました。
測定した施設、箇所
・保育園、小学校、中学校
 植込み、建物の雨樋・竪樋付近、側溝、雨水桝等
・公園、児童遊園
 植込み、滑り台下、側溝、雨水桝等
・荒川河川敷緑地
 ベンチ傍、植込み、側溝等
測定日 平成23年11月8日から
測定機器 TCS-172(日立アロカメディカル株式会社)
測定方法 砂場については地表から5センチメートル、
 その他の箇所は地表から50センチメートルの高さで測定しました。
区の除染等の対応基準   ※2
 下表の基準を超えた場合は、除染等の対応をしていきます。
 場所 空間放射線量の基準 測定の高さ
 砂場 0.25μSv/h以上 地上5cm
 砂場以外の公有地 0.25μSv/h以上 地上50cm
 民有地等 1μSv/h以上 地上100cm
除染したところ
隅田小学校(墨田四丁目6番5号)
 雨樋下(2) 0.19〜0.27 11月17日土の除去により0.14〜0.18に
荒川四ツ木橋緑地(墨田四丁目、五丁目地先)
 雨水桝・側溝(5) 0.14〜0.30
※荒川四ツ木橋緑地部は、国土交通省と調整の必要な部分があるため協議中です。また、除染の必要な部分にはカラーコーンを設置し、立入禁止措置をとっています。
 水溜り(1) 0.31
中川保育園(東墨田二丁目1番15号)
 雨樋下(2) 0.34〜0.39 11月16日土の除去により0.19に
平井橋第一公園(立花六丁目8番55)
雨水桝・側溝(2) 0.16〜0.28 11月17日土の除去により0.15に



※3 3週間前の情報(未確認=「怪しげな」情報)
東白髭公園関係
11/3 東白髭公園(防災団地)での住民20人による測定
  0.4μSv/h 区へ除染要請  詳細な放射線マップ
11/22? 区環境保全課による東白髭公園測定
11/24? 国基準でも区基準でも除染対象外と文書回答
(区の基準がもられている)
11/25 保育園北側を除染 子ども福祉課の要請?

学校関係
11/18 校長会で区施設課が測定・除染説明(口頭)
11/29 柳島小・緑小・梅若小で再測定




※4 学校給食牛乳の放射線データ 公表求める区教委と牛乳業界平行線
2011.11.29 17:33 MSN産経ニュースより要約
 福島第1原子力発電所事故による放射性物質の影響を心配する声が上がっている学校給食用の牛乳について、東京都内の小・中学校に牛乳を納入する牛乳メーカーで6社でつくる「東京学乳協議会」(千代田区)が検査結果の数値を開示せず、各区に混乱が広がっている。風評被害を懸念する牛乳業界と、学校現場をあずかる各区教育委員会の主張は平行線で、“落とし所”は見えてこない。
 福島第1原発事故以来、品川区には親から学校給食への不安の声が多く寄せられている。中でも毎日飲む牛乳を心配する声は大きい。そこで区は、区内の小中学校に牛乳を納入する業者に7月から約10回にわたり検査済みデータの開示を請求。しかし、その都度「非開示」とされた。このままでは区が独自検査に踏み切らざるを得ないという。
 東京学乳協議会によると、給食用牛乳の検査は各社が独自に実施したという。しかし、結果の数値については「風評被害になりかねないという上部団体の日本乳業協会の方針もあり非開示」と説明する。
 現在、市場に出回る牛乳は各都道府県が原乳段階で検査しており、国の暫定基準値である年間1キロ当たり200ベクレルを大きく下回るものだ。しかし、保護者の不安を解消しようと給食牛乳の独自検査をする区は増えており、世田谷区、千代田区などがすでに実施している。
 独自検査をしていない区も含め「保護者の不安を払(ふっ)拭(しょく)したい」と考えており、11月15日には、23区の学校給食担当課長で構成する「特別区学務課長会」が、牛乳業界にデータ開示を促すよう都教委に要望した。ただ、都教委は「出回っている牛乳は国の暫定基準値以下で安全。データ開示を求めることは考えていない」としている。
 「詳細な数字が開示されたほうが逆に保護者の安心と風評被害両方の払拭になる」(大田区)、「微量の数値が検出されても納入停止にはしない」(品川区)と考える区教委は多く、



給食40ベクレル以下、再び「目安」 文科相釈明、教育現場の混乱必至
 文部科学省が学校給食の食材に含まれる放射性セシウムを巡って示した「1キログラムあたり40ベクレル以下」の数値について、中川正春文科相は6日の閣議後の記者会見で、「食材についての法的な規制値ではないが、新しい規制値が示されるまで各自治体が判断の目安の参考にしてもらえれば有り難い」と述べた。
 同省は1日、「検査機器の選定の目安で、給食の基準ではない」と再通知したばかり。再三の修正ととられかねない釈明の連続で、教育現場の混乱は必至だ。
 中川文科相は、40ベクレル以下が機器選定と食材使用時の判断の両方の目安と説明。自治体の間に混乱が広がったことについては「運用は各自治体の判断になるが、そこが十分説明できなかったというか、受け止めに混乱があった。法的な基準値ではないとしっかり申し上げねばならなかった」と釈明した。
 一方、小宮山洋子厚生労働相は6日の閣議後の記者会見で「食品の基準は新しい基準を検討している。事前に相談があってしかるべきだった」として、文科省から事前相談がなかったことを批判。「食品の規制値のように受け取り、これ以上の食品は食べさせてはいけないと混乱しないように文科省と調整を続けたい」と話した。
 発端は11月30日に東日本の17都県教育委員会に同省が出した通知。検査機器の購入費補助の条件を示した文書で、機器の検出限界が1キログラムあたり40ベクレル以下と指定し、検査時の対応で40ベクレル超の食品は献立から外すことなどを例示していた。
 森裕子副大臣は1日の会見で、使用する食材の目安を示したと説明。しかし同省の担当課は同日夜に「給食の基準を設定したものではない」とする通知を全都道府県教委に出していた。
日経新聞12月6日


週刊墨教組 No.1653       2011.12.4

「土曜授業」月二回は荒唐無稽な「計画」
  「土曜授業」十一回完了後の検証が前提
  「すべて三時間で十四回」だったら?
 そういう問題ではない!

 指導室では「検証委員会」?(正式名称も誰も知らないような会)での話を十二月中にはまとめ、「教育課程届け出説明会」には間に合わせることを予定しているようです。
 しかし、実際の検証は、現実に行わされている各学校が日々行っています。いかに教職員や子どもたちのモチベーションが下がっているか、教職員や子どもたちの健康が損なわれているか、知っています。二〇〇通を超えるアンケートに明らかです。
 二〇一〇年九月に「机上の空論」で作られた「二〇一二年度二二回」拡大を実行すべきではありません。
 「机上の空論」を「結婚をめぐる差別的発言」とともに最後っ屁のように出して墨田区を去った前室長が今校長としている区では、来年度も今年と同じく、四〜五回程度となっているようです。さぞや小気味の良いことでしょう。
 拙速に拡大を図るべきではありません。今年行われたことを踏まえて来年の教育計画は立てられなければなりません。
 私たちは都教組墨田支部・実行委員会と、「土曜授業」拡大反対の対区署名をまとめている最中です。まだの方は声をかけてください。



区内全学校の隅々まで
 放射線量を測るべきだ


校長の責務
 私たちは、墨田の子どもたちを守るのは地域保護者はもちろん、教育委員会・校長も含む墨田区の教職員であると主張してきました。墨田区には確実に放射性物質が降り注いだのです。これは誰しも否定できないことです。また、これをもって直ちに区・区教委の責任だと難ずるものでもありません。
 これからの長い内部被曝の可能性を考えれば、子どもたちの周囲にある放射性物質が少しでも少ない方がいいに決まっています。墨田区中の学校・保育園・幼稚園では隅々まで放射線量を計測すべきです。これも誰も否定できないことだと私たちは考えます。このことが実現されないのはおかしいことだと考えます。

学務課に対する手続き
 区教委が全校の線量調査をせず、校長からの要請を前提にしている所に一つの大きな問題・勘違いがあるようです。
 つまり、「区教委は線量調査をしたくない」と誤って解釈されているようです。しかし、区にそのような意図はないようです。
 そうであるならば、学校の責任者たる校長のやることは一つです。
 今や私たちだけでなく、多くの方が信頼のおける放射線測定器をもっています。学校の責任者である校長は、保護者・地域の方・教職員・組合に線量調査を頼めばいいのです(悲しいことですが、これからの時代、ごく当たり前のことになるでしょう。が、決して恥ずかしいことではありません)。
 計測値が問題であると考えれば、学務課に「私が知る人の調査によると線量が0.25 μSv/時を超えるので区で調べてくれ」と要請すればいいのです。
 学務課は、それを受けて、環境保全課に調査依頼することでしょう。

保護者への「説明責任」
 教委的な論理で、わかりやすい例を出します。保護者に、「よその学校では今も計測しているようですが、この学校の線量は大丈夫ですか?」と聞かれた時に、どう答えるかです。
 「六月と八月に区が規定通り校庭中央・砂場・プールサイドで測り、区ホームページに載っているように大丈夫です」と答えるのか、「十二月に隅々まで環境保全課に依頼して測定しましたが高い線量の所は見つかりませんでした」と答えるのか。校長と学校教職員はどちらをよしとするのでしょうか。
 まして、高い線量の場所の存在をわかっていながら、何の対応もしていなかったりきちんと説明していなかったりであれば、「隠蔽の罪」として糾されるでしょう。

50 cm高の測定だけでは不十分
 先号でも述べましたが、区は、「50 cm高での線量が〇・二五μSv/時」を基準にしたようです。しかし、東京ではその高さだけでは放射性物質を十分に捕捉できません。計測はこれまで通り1m・50 cm・5pとし、5pでも基準値以上であれば対処すべきです。

隠蔽の罪?
 先号から「伝聞情報」として本紙に書いている十一月中の区放射線測定・除染情報は全くホームページに出てきません。三月の政府・現在の東電と同じ「情報隠し」を疑われても致し方ありません。区民や教職員の「正しい判断・意思決定」のために、早急な公開を求めます。




放射線ホットスポットに思う

組合員からの投稿
 週刊「墨教組」の、墨田区内の小学校の排水枡で1.9μSv/時(1646号)、別の小学校の雨どい出口で2.3μSv/時(1647号)… という記事を読み、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質(死の灰)が、どれだけ膨大な量であったかを再認識させられます。
 法律では、実効線量が3月(みつき)あたり1.3mSv超の場合、または放射性セシウム等の場合、40Bq/cu(=400000Bq/u)の10分の1を超えるおそれのあるとき、「放射線管理区域」を設けることになっています。区域内への無用な立ち入り、区域外へ人や物の移動も厳しく規制されるすることになっているほか、飲食・喫煙なども禁止ですので人が居住などできる環境ではありません。
 3月(みつき)あたり1.3mSvは≒1.8μSv/時ですし、今回の2カ所の小学校敷地内のホットスポットが放射性セシウムだけによるものと見なした場合、約100Bq/cuという試算(*1)になるので、「放射線管理区域」並と考えます。直ちに線量を下げる措置がなされるべきでした。目安は、法律の定める一般人の被曝限度量(我慢量)は1mSv/年(≒0.114μSv/時)です。しかし、現在食物などからによる内部被曝が避けられない状況ですから、外部線量はさらに低く抑える必要があります。
 「放射線の影響に闇値はない」が生物学の教えるところ、どんな低レベルの被曝でも遺伝子の損傷は起こり、修復不能の部分が確率論的に生じるため、さまざまな健康被害が引き起こされると考えるべきです。学生の頃、放射線遺伝学が専門だった研究室の先生が、「少しの放射線も浴びてならない」と強調されていたことを忘れません。
 いずれにせよ、今回の途方もない量の死の灰と、その危険性と生きなければならない100年は、原発政策に責任のない子どもたちと次の世代に負わすべきものではなかった未来です。賠償額を鑑みて、除染や避難を考慮している場合ではありません。最低限、法律(*2)は守られねばなりません。

(*1)「アメリカ国防総省公開資料」1Bq/cu=0.02μSv/時より
(*2)「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」
   「電離放射線障害防止規則」など。


鎌田慧さん講演「原発と差別」
 ”熱と光”すみだフェスタ2011に参加して   投稿


 鎌田さんは長年の反原発のルポルタージュの活動を踏まえて、原発・原発事故の問題は、科学の問題であると同時に、人と人との不平等の問題、すなわち差別の問題であると話されました。私たちの組合も、戦争は最大の人権侵害とこれまでも反戦の立場をとってきましたが、原発事故を線量の問題だけにしてきたのではないかと思われます(まあ、それすら大変だったのはわかりますが)。
 鎌田さんは、そもそも原発の立地からして、政治の無策により過疎化され地であること、そこに大量の金を投じて「賛成」させたこと、建設そのものが差別的であると話されました。また、運転・定期検査で確実な被曝が不可避です。最も危険な作業をする人は地元の人ではなく、遠くで集められた人です。たとえ放射線障害が起こっても訴えたり闘ったりする条件のない人です。まさに差別の累積です。
 鎌田さんは、5月、福島・宮城・岩手に入られました。三陸の海岸は、行けども行けども瓦礫の山で、ほんの少し人々がその中で不明者を探したり自宅を訪ねたりしています。それは悲惨なものだったそうです。しかし、福島の浜通りではそれすらできない、生存しているかもしれない人を探しにいけない・死者を回収しにも行けない。鎌田さんは、反原発の運動の中で、ここまでは想像できなかったと話されました。まさに原発は人・人間・人権と相容れないものです。
 墨田教組も、さらに、福島の子どもたちをダイレクトに射程に入れた活動、労働者を含むすべての被差別の側に立った活動を推進していってほしいと思います。      


「がんばろう!さようなら原発1000万人署名」12・10集会
日時  12月10日(土) 13:15オープニング・コンサート
会場  東京・日比谷野外大音楽堂

 東京メトロ「霞ヶ関駅」  都営地下鉄「内幸町駅」  JR「有楽町駅」
内容  オープニング・コンサート/PANTA(元・頭脳警察)
 内橋克人さん(呼びかけ人)  鎌田 慧さん(呼びかけ人)
 大賀あや子さん(福島から)  ほか 司会:神田香織さん(講談師)
パレード  2:10頃より 東京電力本社前→銀座→東京駅→常盤橋公園
主催  「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」
 電話 03―5289―8224(原水禁)  http://sayonara-nukes.org/
よびかけ
 9月19日、東京の明治公園には、6万人を超える人々が集まり、「さようなら原発」の声を上げました。福島からも1000人以上がバスで駆け付け、放射能に汚染された故郷で暮らさなければならない苦しみや、福島県民を見捨てた国に対する怒りを訴えました。
 しかし日本政府は、原発の停止を求める私たちの声に耳をふさいでいます。3月11日の事故から8か月以上が過ぎましたが、いまだに原発の炉心は安定せず、事故原因の調査を行うことができません。原発事故の被害を受けた人たちに対する、十分な補償も行われていません。福島から遠く離れた場所でも高いレベルの放射線量が検出されていますが、政府は何の対処も行っていません。国の政策で原子力発電を推進してきたのに、事故のツケは全て市民に背負わせているのです。
 それにもかかわらず、政府や官僚、電力会社や原発関連産業の経営者など、利権に群がる人々は、今後も原子力発電を継続しようとしています。人の命よりも、業界の利益を優先しようとする人々に対して、私たちができることは何でしょうか。
 それは、多くの市民が何度でも集まって、何度でも「さようなら原発」の声をあげて、市民の力でエネルギー政策を変えさせることです。12月10日に日比谷野外大音楽堂で集会を開催します。ぜひ、参加してください。


週刊墨教組 No.1652       2011.11.24

一歩前進! 
墨田区、新たに放射線量測定開始
側溝・雨水枡・茂み等周辺部も測定
  区内全校の調査を!
  50 cm高では、放射性物質は除去できない
さらに、「安全」のために行動しよう!
そして、 直ちに原発廃棄を!
    この事態の根源は原発事故 これ以上の危険を避けるために



六校の再測定※1


※1 以下の情報は、区教委並びに環境保全課に対する電話による照会・人々の話などによります。区からの文書があるわけではありませんので、情報も錯綜し、多分に不正確なものです。その点をお含みいただき、正確を期すためには、区に問い合わせてください。


 区は、先週、六校(隅田小・鐘ヶ淵中・中川小・東吾小・吾一中・立花中)の放射線量を計測しました。対象となったのは、文科省放射線量マップ※2で、1μSv/時以上の地域にある学校だとのことです。

周辺部も測定
 今回の再調査で特筆すべきは、これまで、かたくなに測定することを拒否してきた植え込み・雨水枡などの周辺部をも測定の対象にしたことです。
 砂場では5cm高、植え込み・雨水枡など50cm高※3で0.25μSv/h以上あるかどうかを測定したそうです。
 七月の講演会の時点でこれを決断していれば、区民の「安心」感もずいぶんと今と異なったものとなっていたことでしょう。

0.25μSv/h以上の土壌を除染
 計測した中で1か所、許容値を超える所があり、表土を30p×2m×5p削って除染したそうです(詳しくは、区のホームページに載せられるはずです)。
 再調査をしたこと、直ちに除染したこと、これまで中心部以外の測定を拒否していたことと比べれば、一歩前進です。私たちは区の行為を評価します。しかし、なお、いくつかの点で疑問を持たざるを得ません。それは次の点です。
@誰が除染作業をしたのか。
Aはがした表土はどこに持って行ったのか。
 除染作業は危険な作業です。1μSv/hは年間5mSv/yに相当します。これは放射線管理区域の値です。除染作業もかえって放射性物質をまき散らしてしまう可能性もあります。内部被曝も心配です。そもそも放射性物質の除染など、1年前には考えられなかったことです。軽々に素人考えでやっていいことではありません。
 福島でも除染した土・物質をどうするかは大きな課題になっています。低い値だから、少ない量だから…どうでもいいというわけではありません。低い値であり少ない量だからこそ、きちんとした処理をしなければなりません。でなければ、福島の巨大な放射性物質を処理することなど絶対にできません。
 区は、処理した土をどう処理したのか、これまで入れ替えた砂も含めて明らかにしなければなりません。
 せっかくの前進です。全き対応をめざしてほしいと願うゆえに指摘します。

住民の測定が区を動かした
 区が再測定をしたきっかけは、いくつか考えられます。
第一は、国が福島以外でも周辺との差が1mSv/yを超える場合は除染すると打ち出したこと。
第二は、墨田の住民が放射線量測定を開始し、高い線量の場所を「発見」したこと※4
第三は、周辺各区で、ホットスポットに行政として対応を始めたこと。
 もしそうであったら、情けない…。しかし、方向は見えてきました。住民と連帯すること、私たち自身が住民としても考えることです(少なくとも三分の一は墨田区で暮らすわけですから、二分の一ぐらいは住民です)。発言を強めましょう。

区内全校の再測定を
 私たちは、当然、前記六校に続いて区内の全校で周辺部も含む再測定が行われると考えていました。ところが、どうも、そうではなさそうです。
 自主的に区民や教職員が調べたデータがあり、校長が必要だと判断すれば、それを確認する意味でも、再測定するとしているようです。
 もし、保育園も街も公園もあるからとても手が回らないということであるならば、私たちが以前から主張するように、地域住民・自治会・ボランティアによる測定という手もありましょう。
 また、「校長の判断」が優先するとすれば、校長が「判断しやすく」しなくてはなりません。
 墨田区では独自に放射線量を測っています。文科省のマップ(ほとんどが1μSv/h以下)が自前の測定結果と異なることはわかっているはずです。にもかかわらず、文科省の空からの測定(はっきり言って大雑把ですし、目的も違います)に依拠して調査地域を限定したのは事大主義です。
 いずれにせよ、全校調査が方針化されていないことは機会均等原則からしても非常に残念なことです。
 私たちは、5p高での計測と、全校での調査を強く主張していきます。


※3 50cm高は幼児の臓器の高さだとのことですが、面的に汚染されているわけではないだろう墨田区では、この高さだけでの測定は不十分です。これまで通り、1mと5p高も計測すべきです。それで初めて、ミニホットスポットも見つかり、放射性物質を子どもたちのそばから除去することができます。


※4 区民が測定を開始した。
白髭団地の伊藤さんは、11月3日、20人ほどの方々と防災団地の放射線測定会を行われました。診療所の放射線技師もボランティアで同行されたとのことです。調査地点は30か所ほど。詳細な地図を作られ、ネットに公開されています。私たち墨田教組もコメントを寄せました。
伊藤さんのブログより
http://dohiru.seesaa.net/article/233701817.html
http://dohiru.up.seesaa.net/image/bira2-1.gif
当初予定していたのは「南池」から「北池」までにある要所10カ所だったが、予想以上に高い値に、「いろんなところを調べてみよう」と火がついた。南池の水辺や、近くに植えている樹の根元などを調べると、区が測定して平均値だった0.12μsvよりも高い、0.17 〜0.18μsvが至る所からでてきた。
近くでは子どもと一緒にお母さんたちがシャボン玉で遊んでいた。
子どもたちのすぐ側には高い放射線量が…。こんなにも側に危険が潜んでいるのか。その後も子どもたちの遊具なども集中的に調べた。
そして「北池」に到着。
北池の周りには林があって、よく子どもたちがドングリを拾って遊ぶ絶好の場所だ。池はフェンスで囲われているが、そのフェンスにそって落ち葉が堆積していた。「これは結構高いんじゃないかな〜」と足をすすめ、落ち葉が積み重なっている場所に測定器を向けた。
いままでの反応以上に数値があがっていく。0.21…0.28…0.34…「高いぞこれ!」
最終的には「0.4μsv」になった。
スコップで落ち葉を奇麗にどけたあと、土壌そのものを調べたが、それでも0.35という値になった。うちの子どもや友達もその周辺で遊んでいたけれど、いつものように落ち葉を拾ったり、ドングリを集めて遊んでいる。
これまでの生活ではあたりまえの風景だったけれど、これからは気をつけないといけない。保育園から子どもと一緒に帰る道すがら、落ち葉をひろったり、どんぐりを集めていたけれど、そんな幸せも、いまでは被曝につながる。
子どもたちを安心、安全に遊ばせたい。守りたいと思うのならば、まず目の前にある、見えない"危険"を、認識することが必要だと思う。
今回の結果をすぐ墨田区に報告して、除染してもらおうと思う。

墨田教組からのコメント
詳細な測定とマップ作りに敬意を表します。
私たちも10月6日、学習活動できるか測定に行きました。南から北へ主道路を歩きながらの雑駁なものでしたが、1m高では0.121から0.14程度でした。が、隅田川神社北側と公園管理事務所の間にある出入口側溝鉄柵上では、0.35μSv/時でした。やはり低いところは濃度が高いと思いました。区内各所には、学校も含め、高い放射線量のところがあります。子どもたちが走り回るところで、1μSv/hを超えるところすらあります。ホームページに一部載せてありますのでご参照ください。
私たちも測定と区への働きかけに努めてまいります。
Posted by 墨田区教職員組合 at 2011年11月19日




墨田区の子供を放射能から守る会
http://ameblo.jp/sumidamamanokai/
 都内ではホットスポットが次々と見つかっています。
 行政の対応を待っている間にも、子供達は日々放射能の影響にさらされています。
 区にはこれまで以上に迅速な対応を望むとともに、私たち住民側も、積極的に園や学校、ご近所に働きかけて、子供を守るネットワークをこれからも広げていきましょう。  ホームページより






週刊墨教組 No.1651 2011.11.16


都労連、労使合意で自主解決を重視
  七年連続の賃金引き下げ 人事委員会勧告通り
  例月給・特別給  三・九五月変わらず
全職員への成績率適用拡大を阻止!
「人事制度の抜本的見直し」については、都側に提案を許さず!!
十一・十四統一行動は  中止


厳しい闘い
 公務員賃金引下げ圧力が続く中で、厳しい闘いとなりました。十三日には都側の不当な交渉姿勢により事実上膠着状態になってしまいました。「労働条件は労使合意で自主解決」の立場で、内容的には極めて不満な部分を残しつつも、自主解決を図るとして、十四日午前〇時、都労連は、実力行使を中止することを決定しました。
 これを受け、東京教組は、都労連との統一行動を前提にしていることから、〇時二三分、早朝の実力行使を中止しました。

不当な都人事委員会勧告
 二〇一一賃金確定闘争は、極めて短い期間での闘いでした。国人事院勧告が二か月遅れ、都人事委員会勧告は例年より三週遅れて提出されました。
 今回の勧告はたとえ下げ幅は大きくなくても(すでに十分下げている)七年連続のマイナス勧告です。また、昨年度、「主幹教諭」への導入を断念させた、特別給への「成績率」適用について、「全職員への適用が必要」と、極めて不当な「報告」を行いました。労使が激しく対立している課題に対して、本来中立であるべき人事委員会が一方の主張に加担した不当な論と言わざるを得ません。

「人事制度改正」提案させず
 今秋闘では、都側が「人事制度改正の方向性」の説明と公表を契機に一気に強行的な姿勢を強め、「具体的な提案」を繰り返し求めてきたために、非常に緊迫した労使関係となりました。都側が「成績率の適用範囲と査定幅の拡大」、「55歳超の職員の特別給の業績反映について」、「係長級職昇任選考の本人申込制の見直し」の3点は提案したいとの不当な見解と態度に終始したため、交渉が膠着状態となったまま回答指定日を迎えましたが、都労連の粘り強い、冷静な対応により最後まで都側に「具体的提案」を許しませんでした。

「成績率の適用範囲と
査定幅の拡大」とは
 昨年度、勤勉手当の成績率適用・主幹教諭への拡大を阻止しました。都は他県に比べて勤勉手当部分が少ないことを理由に、従来から勤勉手当部分を拡大すること、より多くの職員に差別賃金体系を押し付けることを主張してきました。しかし、これを阻止し続けたのは、私たち組合です。今回も提案することを拒否しました。これからも提案させてはなりません。

「五五歳超の職員の
特別給の業績反映について」
 五五歳を超えると、昇給幅は激減します。それまで年に四単位ずつ号給が上がっていきますが、一単位だけになります。これを停止することなく、五五歳以上の職員に賃金差別による「仕事の励み」を持たせることはできません。もちろん新たな「人参」などぶら下げるつもりもありません。そうすると、「仕事しないと(いうこと聞かないと)金を減らすぞ」と脅せるところは…「特別給」しかありません。何が何でも差別賃金体系を維持し、それで「働かせよう」とする知恵が生み出した破廉恥な論です。
 今回都側に提案させませんでした。これからも提案させてはなりません。

「係長級職昇任選考の
本人申込制の見直し」
 係長になりたいと思う人は、自身の意思で選考試験を受け、合格すれば昇任します。ところが、「係長になりたいと思う人」がいない、多くの方が自分の意思で選考試験を受けない・・・のが都の実態です。そこで、「本人が申し込もうが意思がなかろうが、そんなことに関係なく、係長にしてしまえばいい・・・」というのがこの「本人申込制の見直し」です。
 当面、教育職には及ばないようですが、実態としては、主幹選考がかなりこれを先取りしています。かつては本人希望だったものが、形式化し、とうとう、本人が名前さえ書けば(否、誰かがその方の名前を書けば?)「主幹一丁出来上がり!」という制度になっています。それでも主幹充足率が目標に遠く及ばない…いったいどういう制度なんだ!?
 二〇一五年には東京の五校に一校は副校長がいない!などと日本教育新聞に書き立てられています※2。これもそれも主幹選考がまだ「狭き門」だから…。「狭さ」の根源は教育という「共働」によって成り立つ世界に差別と分断の職階制度を導入したところに由来するのですが、そんなことはお構いなしに頭数だけ集めたい…と思ったら、あっという間にこの「見直し」が教育の世界にもやってくるでしょう。
 今回、この提案はさせませんでした。これからも提案させてはなりません。

二〇一三年
労働基本権回復を見据えて
 労働基本権が回復されると、人事院・人事委員会制度もなくなります。〈労働者の賃金と労働条件は、使用者との直接交渉の中で決定する〉のです。〈低い組織率〉〈物言えぬ職場〉で、真っ当な労使交渉ができるでしょうか。私たちは、「労使の正当な交渉で自らの賃金と労働条件を悪くすることに合意する」ことにならないでしょうか。
 今回、給与・一時金共に私たちの期待から大きく離れた結果になりました。組合の力が強くならない限り、労働基本権がいくら戻ってきても、「総人件費削減」路線に基づく更なる賃金の引き下げは変えられません。「人事制度改正」も阻止することはできません。「土曜授業」月二回を阻止することもできません。
 若い方、一〇年先、二〇年先を想像し、自分の生活を切り拓くために、共に闘いましょう。

※1 パワー・ハラスメント対応 
 組合側はずっと「パワー・ハラスメントの定義を定め防止指針を作れ」と要求し続けてきました。
 昨年度は「パワハラになりやすい言動の事例研究を整理する」だけだったものがより大きく前進しました。「事例研究結果」が出されるようです。そしてそれを「現行の人事制度検討会(労使1:1)」で「意見交換を実施」するというものです。具体的に動きそうです。
 これができると、ガクッと少なくなることが期待できます。「セクシュアルハラスメント」の時がそうでした。明確な判断が誰にでもでき、処分という制裁があるからです。これができた暁には、ぜひ遡って前指導室長に適用したいものです。

※2 副校長ら志望者激減
 都内公立校、忙しすぎ敬遠
2011年10月26日8時12分 朝日新聞
 東京都内の公立学校で、副校長ら管理職のなり手不足が深刻だ。選考試験の受験者数が少なく、今年は競争率が1.1倍にまで落ち込んだ。都教育委員会は仕事の多忙化が管理職離れの一因とみて、業務の軽減に乗り出した。
 7月に始まった今年の選考は、合格予定者数450人に対して受験者数483人。学校の種類や受験者の在職年数によって12に分かれた試験区分ごとにみると、4区分で受験者数が合格予定者数を下回る「定員割れ」。競争率0.67倍のケースもある。都教委の担当者は「1倍未満でも、成績が不十分な受験者は合格としない」と話す。
 選考全体の競争率は、2002年は4.2倍だったが年々減り、07年以降は2倍を割った。
 08年に受験制度が変更され、主任教諭や主幹教諭の経験が一定年数ないと受験できなくなって、有資格者が減った。団塊世代が大量退職して欠員が増えた。都教委の担当者は、こうしたいくつかの要因を挙げる。しかし、特に重視しているのは「仕事の忙しい副校長が敬遠されているのではないか」という点だ。

到達点と課題
賃金、一時金
○人事委員会勧告通りの実施。
  例月給 △979円(△0.24%)、
  特別給(ボーナス) 改定なし(現行3.95月)
  再任用教員 期末手当0.8月+勤勉手当0.325月

島しょ公署・都外公署に勤務する新規採用職員に対する地域手当の特例措置にかかる見直し
○異動の実情等を考慮し、支給年限を延長(3年まで→最大4年)。
○実施時期:2012年4月1日以後に採用される職員から適用(ただし、実施時期の前日において、新規採用職員に対する特例措置を受ける職員についても適用)。

パワー・ハラスメント対応 ※1
<事例研究>「事例研究結果について、準備が整い次第、速やかに提示」
<意見交換>「現行の人事制度検討会を活用し、労使で意見交換を実施」

メンタルヘルスケア
○入都3年目の若手職員のみを対象としていた心の健康診断と面接指導事業を本年度より拡充し、全職員への「心の健康度チェック」の配布及び積極的な面接利用の呼びかけを行うことで、メンタルヘルス不全の未然防止を図る。

研究職給料表の廃止に伴う見直し

人事制度の抜本的見直し
○「『基本的方向』の具体化に向けて、協議すべき事項については早期に協議を開始」
○「諸要求、とりわけ要求の強い現業系職員の人事制度等に関しても、抜本見直しの中で、当局として職設置のあり方を改めて検証」

メーデー職免
 2011年12月31日で廃


第3回分会長会
11月17日木曜日 5時半から
組合会議室(法恩寺裏)
重要な会議です。
どうぞ分会から複数ご参加ください

内容 賃金闘争の結果と課題
「土曜授業」拡大阻止について
放射線量測定について



週刊墨教組 No.1650             2011.11.14


週休完全2日制・学校5日制をとりもどそう!
区教委の「土曜授業」月2回おしつけ反対!

 今(二〇一一年度)以上の「土曜授業」は危険
  墨田の教育=子どもと教職員を守るために
 各校での真摯な論議で拡大を阻止しよう!
  区教委は、組合との交渉を始めよ
 11・11集会で活発な論議と行動提起
拡大阻止!


 冷たい雨の降る中、11・11「土曜授業」反対墨田全教職員集会が開かれました。参加者数は昨年ほどではありませんでしたが、各職場の現状や抱える課題をめぐって20を超える発言、真剣な論議がなされました。
 そしてこの集会で、私たち墨田区に働く教職員が、「共通に知らなくてはならないこと」・「してはならないこと」と「しなくてはならないこと」が明らかになりました。

子どもの体の様子がおかしい
 多くの参加者から、今年度の子どもたちの体調不良、けがの増加が話されました。とくに、「土曜授業」の翌週は多い傾向があるようです。
 これについては、きちんとした統計的な検証が必要です。感染症の流行の影響をぬいた欠席者数・体調不良による保健室来室者数の平年値との比較、けが発生数の平年値との比較です。すべての月から金曜日の合計における比較、「土曜授業」翌週と平年との比較をし、今年度に有意な差があるか調べることが必要です。
 区は統計的データをもっています。直ちに計算し、各校の具体的様相と合わせて、来年度教育課程編成の資料とすべきです。それぬきに、「『土曜授業』はいい」「子どもは何とか学校に来る」と拡大することはできません。

午後はやらなくてもいいのか?
 「土曜授業」が午後にまであった翌週にことに体調不良が多いことから、「午後」について意見が交わされました。
 多くの学校で「道徳公開・学校説明会は午後」という「慣例」があるようです。しかし、子どもたちの振休日があった時に行われたことがそのまま続けられるわけではありません。また、現に、今年度、小学校の1/4が午前授業だけです。
 「給食は2〜3回分措置する」と言うのは、「学校側が給食を実施しようとしたならば」というのが前提です。「2〜3回午後までやれ」ではありません。「(各校において)1日実施日、半日実施日等の実施回数を決定し」とあるだけです。
 とにかく、様々な形が現在行われていて、行政的には何の問題もないということが現実です。62時間・弁当9回を選ぶことも各学校の選択肢の一つです。

墨田の各校の情報を共有して、
 各校で責任をもって
    拙速な拡大を阻止しよう
 集会では、教育委員を含むすべての、〈墨田の教育を心配する人々〉に子どもたちと教職員の惨状と、拙速な拡大(今年度を超える「土曜授業」の拡大)を留保することを訴えるべきだとの意見も出されました。私たちはあらゆることをします。
 各校・各職場の闘いがいよいよ重要になってきます。校長の「土曜授業」に対する態度=教育についての責任の持ちよう・教職員の構成・今年度教育計画のきまり方…などなど、各校の条件は異なります。それぞれの中で教職員のみなさん(管理職を含めて)が最善を尽くされることを確認しました。
 そして、それぞれの職場での闘いが墨田全体の闘いとリンクするよう、情報共有の必要性が強調されました。
 今年=〈2年目〉こそが最大の闘いになるでしょう。私たちは全力で闘います。  
職場署名、今週中に
 私たち教職員の意志の強さを私たち自身が確認できます。また、外部の方々にも証明できます。署名を文字通り全教職員数集めましょう! 十一月中に教育長に手渡します。



シンポジウム
 空襲資料の活用と戦災デジタルマップの世界
  霊名簿・体験記・証言映像を読み/表す
東京大空襲・戦災資料センター主催
 11月19日(土)13:30〜17:10
 明治大学駿河台校舎研究棟4階第1会議室
    お茶の水駅・新御茶ノ水駅・神保町徒歩7分
報告
西村健(墨田区立すみだ郷土文化資料館学芸員)「東京大空襲における人的被害の復元的検討ー「東京空襲被災地図」と証言記録の分析からー」
山本唯人(東京大空襲・戦災資料センター主任研究員)石橋星志(明治大学大学院博士後期課程)「東京大空襲証言の解読と戦災デジタルマップの制作ー時空間マップソフトウエア(C-LOC)を活用してー」
 東京大空襲・戦災資料センターでは、近年、東京空襲を記録する会から継承した851件の「空襲体験記」や「都内戦災殉難者霊名簿」のデータベース化、証言映像の収録などを進め、その詳しい研究から、東京大空襲時の避難や長期にわたる人々の移動の軌跡などが明らかになってきました。また、こうした研究成果を、大量の情報処理や加工のしやすいデジタルデータ上の地図に描き込み、展示や研究に役立てようとしています。
今回のシンポジウムでは、資料センターが続けてきた2つの研究会「霊名簿研究プロジェクト」と「東京大空襲証言映像プロジェクト」の活動から見えてきた成果を発表し、空襲資料の活用と、戦災デジタルマップ制作の課題について考えます。



墨田労組連 反原発学習会
 11月25日(金)6時半〜
 墨田清掃事務所業平分室
ビデオ「チェルノブイリ」(広河隆一)
「ターニャの死」(日本テレビ)
DVD「サクリファイス」…被曝労働
報告 福島原発事故の現状と影響」
    たんぽぽ舎 柳田真さん


地域・職場・子ども達を放射能から守ろう
汚染を抱える職場
 新たな警鐘と報告の集い
 11月28日(月) 午後6時半
 東京労働安全衛生センター
  4階会議室(亀戸東口下車)
東部スラッジプラント汚泥処理問題
ごみ・がれき焼却灰、最終処分場問題 
福島被曝労働者の問題 そして「除染」問題
とともに、墨田教組も「校庭汚染の安全問題」を報告します。


“熱と光”すみだフェスタ2011
原発と差別
 〜福島とつながり、共に進もう〜
12月2日(金)午後6時開場
墨田区社会福祉会館3階ホール
DVD「子どもたちを放射能から守れ
福島のたたかい」
講演 鎌田慧さん(ルポライター)
「9.19さよなら原発5万人集会」呼びかけ人でもある鎌田さんは、「労働者や子どもたち、女性の犠牲に成り立っている原発は、非モラル的な存在である」と訴えられています。

「脱原発・いのちの闘争」上映会
   ドキュメンタリー・102分
 〜西山監督を迎えて〜
佐賀県玄海原発の中止を求める市民運動の記録映画です。ラストシーン、佐賀県庁に玄海原発中止を求めるために訪れた人々が主役。俳優の山本太郎も加わり、福島から避難してきた若い母親も幼い子どもたちを抱いて参加。私たちは福島に帰りたくてももう帰れない、福島を返して。必死の行動と肉声を映画は伝える。 西山監督のお話も聞けます。
□日時 2011年12月2日(金)
開場18時30分 上映18時50分
□場所 亀有地区センター・ホール
(JR常磐線亀有駅南口イトー・ヨーカドー駅前店7階)
□参加費 1,000円(高校生以下無料)
主催:かつしか人権ネット




週刊墨教組 No.1649 2011.11.7

週休完全2日制・学校5日制をとりもどそう!
 区教委の「土曜授業」月2回おしつけ反対!
  「教育委員会は標準を決めただけ
   土曜日に授業を行うか児童生徒の振替休業をとるかは各校の判断である」
 区教委にこの「建前」を順守させよう!
11・11集会にたくさんの方の参加を!!



極めて強い反対の意志
 みなさんからいただいたアンケートは三〇〇通になろうとしています。回収率四〇%を超えるのは、この種のアンケートでは珍しいことです。しかも、まだ続々と寄せられています。アンケートの「締め切り」は、墨田区の全校で「土曜授業」がなくなった時です。それまでは、どうぞ、どちらの組合でもかまいません、お寄せください(二信・三信の方はその旨お書きください。アンケート回答数は、対区交渉の時に知らせる予定ですから)。また、こちらの打ち込み作業が進み次第、みなさんお知らせします。
 同じような声が続くばかりで読むのもばかばかしいという意見もありました(「土曜授業」月2回止むを得ないの立場の「ある方」)。しかし、これが現実です。
 私たちもみなさんの声を打ち込みながら、初めは「ある方」と同じようにうんざりとしていました(失礼!)。が、やがてふつふつと怒りがわきあがってきました。墨田の学校に働く者にこんな同じようなことを言わせているのは誰なのかと。何とばかばかしい事かと。そしてやがてはっきりとした拒否の意志がアンケートの集積の中から立ち上がってくるのを感じました。今年、私たちが妙に「楽観的」にみえる理由はこれです。多くのみなさんの「土曜授業」月2回拒否の強い意志があるからです。

職場での行動始まる
 職場集会・職場決議・署名・校長交渉・そして、一一月一一日集会・・・。
 多くの職場で行動が始まりました。昨年度のように、一体区は何を考えているんだ…?と、待ちの姿勢であれば時間が敵にまわります。しかし、今年はもう「わかっている」のです。何しろ、区教委の「標準」原案は昨年九月にすでに出ているのです。さらに、私たちには、悲しいけれども二〇一〇年度「土曜授業」月一回実施という「経験」があります。そこからはいかに「土曜授業」が無意味で無理なものかが明らかになっています。
 より早い行動は、より早い教職員の連携を実現します。情報の高みを獲得できます。
 すでにみなさんの課題は明確であり、みなさんの創意工夫と努力によって解決の方向は明らかです。

教育課程編成権は学校にある
 昨年度、「区が〜と決めた」・「校長会で決まった」・「ブロック校長会でそろえることになった」・・・、などと口にした校長が多かったようです。しかし、今年度の各校の教育課程・「土曜授業」の態様を見ればそんなふうになってはいません。こうしたい・こうありたい・こうしてくれれば楽なのに…という願望はあっても、それは無理です。行事だって、子どもの様子だって、各校違うのです。だからこそ、それぞれの学校にそれぞれの教育課程とその編成権(適切な編成の義務)があるのです。
 区教委は、昨年度、私たちの解明要求(二〇一〇年十二月二二日付)に、「各学校が、週休日に教育活動を行う場合は、各校長は、教職員の意向も留意し、適切に教育課程を編成・実施する。」と回答しています(二〇一一年三月十日)※1。回答を三月十日まで引き延ばしたところが昨年度教育委員会「土曜授業」推進派の「知恵」です。「後は野となれ山となれ」「一回目(二〇一〇年度)だけは成功させよう」という意図が見え見えです。しかし、その「ちょっとぐらい詐欺っぽくっても『土曜授業』やっちゃおう」コンビはいません。

一一・一一集会を成功させよう
 この集会は「土曜授業」月2回押し付け反対だけを目的として開かれます。私たちが願うのは次のことです。
・なるべくたくさんのみなさんがこの集会に参加されること
・情報交換によって、みなさんがこれからの行動に益する情報を得られること
・互いの意志を確認し、「土曜授業」月2回を実現させない方法を作り出すこと
 昨年の十二月二六日、「土曜授業」はいらない集会を開きました。一〇〇人に及ぶ方が参加されました。
 集会後、腹立たしい話が聞こえてきました。それは、「校長は自校から何人この集会に参加したか調べている」「参加者が多かった学校では副校長が怒られている」(さすがに参加した本人に「何で参加したんだ!」なんて言ったら法に触れることはわかっている)…という噂話です。本当でしょうか? さらに不思議な話もあります。「集会参加者数の多いと副校長が怒られた学校の土曜授業時数は少ない」というものです。これは「都市伝説」の一種でしょう。もし本当だとしたら校長に対する侮辱でもあります。しかし、集会への参加が何の役にも立たなかったということもまったくの誤りです。

反対の意志を形あるものに!
 一つ一つの行為の効果などといういものはそう簡単には測れない…というのが、浅薄な教育論以外では、どうやら人類史における現在の結論のようです。正義は実現せずむしろ正義の名において不正がまかり通る、誰もが願う安全は多数の名のもとに脅かされる・・・、それと同じさ・・・。絶望と無力感が覆っているようにみえます。しかし、もし仮に人類のただの一人も反戦運動をしなかったら、反原発を叫ぶ者が一人もいなかったら、人類/地球はどうなっていたでしょうか? 私たちは今存在しえただろうかという問いになることでしょう。
 墨田の「土曜授業」についても同じです。昨年から続けられている職場集会・職場決議・署名・校長交渉・会議での発言・呟き・集会・・・が本当に有効な手段かわかりません。しかし、私たちができるのはそれだけだったのです。だからやりました。やっています。
 今回行ったアンケートの回答がもし一〇通しかなければ、「がんばってくれ」と密かに囁く校長がいたでしょうか。仮に集会参加者が昨年と同じであったら、「土曜授業」月2回は阻止できるでしょうか。
 一〇〇人乗ってもびくともしない物置のCMがありました。二〇〇人乗ったら潰せるかもしれません。

 墨田教組秋の教研集会の講師、大森さん(学芸大学)は東京教組での学習会「免許更新制はなくせる!」で、「当事者がプライドをもって自身の力を発揮してやれば、かなりのことができるんですよね」とおっしゃっていました。
 墨田の学校に働く多くの人々が、同じようなことに呻吟し解決できないのであれば、墨田の教職員は奴隷=囚われのものです。私たちは自身の力によって解放に向かおうではありませんか。
万難を排して 一一・一一集会に参加を!

※1解明要求 区教委回答2011年3月10日から
6.教育課程として行われる授業、学校公開、授業参観、行事を週休日に行う場合は、学校5日制の原則に基づき児童・生徒の振替休業日をその週のうちに設定するものと考えるがどうか。
(回答)土曜授業を実施した場合、その他の曜日に休業日を設定しなければならないという規定はない。また、児童・生徒の体力等の実態を踏まえた上で、各学校が校内体制を確立し、保護者及び地域住民等に対して十分な理解を得て行うことが重要と考える。
9. 週休日に教育活動を行う場合は、その教育活動が教育上不可欠であることについて教職員との協議と合意が必要であり、年度当初に計画されねばならないと考えるがどうか。
(回答)校長は、土曜授業の実施を含め教育課程を編成する。その際、教職員の意向にも十分留意し、週休日における教育活動を含む教育課程を編成し実施する。各学校が、週休日に教育活動を行う場合は、各校長は、教職員の意向も留意し、適切に教育課程を編成・実施する。
14.「区教委は『土曜授業』11回やると決定した」ことはないと認識しているがどうか。
(回答)区教委として、平成23年度は、月1回(8月を除く)、平成24年度以降は、月2回(8月を除く)という標準を各校長に対して示した。これを基に校長は、毎年の暦、学校、家庭・保護者、地域等の実状を鑑み、教育課程の編成をすることになる。




ついに校長会が動いた(らしい)!
 「放射線量とその計測について」が
  校長会の話題にのせられた(らしい)
風評によれば


◎学校管理者は線量調査を推進すべきです。本来ならば校長会等で線量計を購入し測定すべきです。少なくとも私たちの調査に協力し、子どもたち・学校関係者・地域住民の安全のために区への働きかけを強めるべきです。

 私たちは先ず何よりも墨田の子どもたちの安全を確保するために、自身が計測して・・・を上げ、次に第2項として「学校管理者は…」と、右の文言を掲げました。
 とうとう、校長会は子どもたちの安全確保のために放射線量とその計測について、校長会で正式に話題にのせたらしいのです。残念ながらわが組合には校長会出席者がいないので、詳細は知ることはできませんが、「図るべきではない」という論調であろうはずはありません。
 区教委より早い校長会の対応に敬意を払います。

 これまで私たちは、校名を特定できるような広報は新聞紙上でもホームページ上でもしてきませんでした。写真も一般的なものか「知る人ぞ知る」だから大丈夫なものだけにしました。
 理由の一つは、「風評被害」と指弾されるのを恐れたからです。怯懦です。
 もう一つの理由は、区でもない、校長会でもない、一法人に過ぎない組合の集めた数値だからです。「学校管理者=最高責任者」と「区=地方行政府」が責任をもって計測した策を立てるだろう(ねばならない)と考えたからです。
 しかし、心苦しかったのは確かです。
 今、朝日新聞に「プロメテウスの罠」が連載されています。三月にだれがどのように動いたのかを細かく記したルポルタージュです。半年以上経って書くのではなくその場・その時に書くのがマスコミの役割ではないか…という批判もありますが、市井の人々の話をていねいに積み上げて「その時」を浮き彫りにしています。今の私たちはその中に出てくる人々の誰であろうか?と考えさせられます。
 高線量を知っていて住民に知らせない第二部第六・七話「車から出てこいって」の男でしょうか、それとも第一話「防護服の男」でしょうか。あるいはスピーディーの情報を知っていただけで知らせようとはしなかった文科省職員でしょうか。

一刻も早い「除染」を
 校長会がこの話題を扱ったからには、外部者計測時事前許諾励行運動で終わるわけはありません。学校管理者が守るべきは「管理権」ではなく「子どもの安全」です。そのために「「管理権の行使」があります。闘うべき相手は「計測しない怠慢がばれ管理権限を脅かされる外部計測者の進入」ではなく、「子どもたちの被曝の可能性」をもたらす「放射性物質の侵入」です。私たちより闘いにくい相手ですから心して管理権を行使していただきたいものです。私たちもまったく同じ気持ちです。

 各学校で、校長会で話された放射線量計測のことと、校長会あるいは区がマイクロホットスポットまで測定に来るのはいつか…などなど、詳しく聞いてみてください。



子どもたちが日常ふれる線量の高い所
  (数値は例示で、それ以外の所・0.25μSv/h以下の所もたくさんあります)

@校地・通学路周囲の側溝・排水枡 0.4μSv/h前後が多い。

 ほとんどに蓋がしてありますから排水枡が主たる接触場所です。消しゴムを落としたので蓋を開けて取ったという例があります。また、蓋がしてあってもセシウムのガンマ線は通してしまいますから、縁は歩かない方がいいでしょう。浅草通りと五差路になっている区役所通り南西排水枡は0.42μSv/hでした。
 条件によってはより高い線量になります。蓋の上で1.9μSv/h、排水枡の中、底から5cmで4μSv/hを記録した校庭もあります。

A弾性舗装と校庭・アスファルトなどの境い目 0.6μSv/h・1.2μSv/hの所も
 ことに鉄棒の周囲ですと、鉄棒の授業中に子どもたちが座って待つこともあります。運動会では観覧席になっていました。計測の遅さが悔やまれます。

B校庭のくぼみ 0.6μSv/h高圧洗浄機で「除染」後0.4μSv/h
 ここも子どもたちがよく遊んだり転んだりしています。

 ABは極めて狭い範囲ですが、@と比べると出口がありません。それで濃縮されてしまうのでしょう。
 1m・50pの空間線量は高くありません。しかし、子どもたちが座ったりするところですから、衣服や体につくことも考えられます。転んで擦り傷を負ったらどういうことになるのでしょう。これまでと同じ手当でよいのでしょうか? 校長は放置していてよいのでしょうか? 
 放射性物質への対処法策定が緊急の課題です。
 

資料 朝日新聞「プロメテウスの罠」
「防護服の男」第一話:
 三月一二日の浪江町 「「なんでこんな所にいるんだ! 頼む、逃げてくれ」 。 「逃げろといっても……、ここは避難所ですから」  車の2人がおりてきた。2人ともガスマスクを着けていた。 「放射性物質が拡散しているんだ」。真剣な物言いで、切迫した雰囲気だ。 家の前の道路は国道114号で、避難所に入りきれない人たちの車がびっしりと停車している。2人の男は、車から外に出た人たちにも「早く車の中に戻れ」と叫んでいた。
 2人の男は、そのまま福島市方面に走り去った。役場の支所に行くでもなく、掲示板に警告を張り出すでもなかった。
 政府は10キロ圏外は安全だと言っていた。なのになぜ、あの2人は防護服を着て、ガスマスクまでしていたのだろう。だいたいあの人たちは誰なのか。」



週刊墨教組 No.1648             2011.10.31

都人勧出される
例月給七年連続引下げ 年間一万六千円減
特別給は据置き
「成績率」導入阻止!
国人勧をふみにじる政府民主党を許さない!
 十一月十五日 早朝二九分統一行動


人事委員会勧告等のポイント
 例月給は7年連続の引下げ、特別給は据置き〔年間給与はマイナス一・六万円〕
○ 例月給
・公民較差(マイナス九七九円、〇・二四%)是正のため、給料月額を引下げ

・初任給付近は据え置き
○ 特別給(賞与)
・民間の支給割合とおおむね均衡しており、改定なし
○新たな時代にふさわしい人事制度改革
・少数精鋭体制を強化するため、採用から退職に至るまで、人事制度の全般的・抜本的な見直し


 十月二八日、東京都人事委員会は、大幅に遅れていた都職員給与に関する「勧告」を都知事に提出しました。「勧告」は例月給については公民較差(マイナス〇・二四%、マイナス九七九円)是正のため七年連続の引下げとし、特別給(ボーナス)は、民間支給割合(三・九七月)と「おおむね均衡」しているとして、改定なし(現行三・九五月)としています。
 この間、都労連、東京地公労は、人事委員会に対して精力的に要請を繰り返してきました。しかし、今回の勧告は都で働く教職員の期待を大きく裏切る七年連続のマイナス勧告であり、このような理不尽な勧告は断じて認められません。

全職員への「成績率」導入阻止!
 また、昨年「主幹教諭」への導入を断念させた特別給への「成績率」の適用について、「全職員への適用が必要」と、極めて不当な「勧告」を行いました。
 現在、学校現場においては勤勉手当に対して成績率が適用されているのは、管理職である校長と副校長等だけです。今回の提案は、この成績率の適用を全職員に拡大するという許せないものです。労使が激しく対立している課題に対して人事委員会が踏み込んで介入した不当な勧告であり断じて認められません。

高齢期雇用制度について
「適切な制度設計が必要」
 人事院が段階的な定年延長を実施するための「意見の申出」を行ったことを受け、東京都人事委員会も「人事院の『意見の申出』で提示された高齢期雇用制度の各施策について、都でも研究が必要。都の職務内容や任用実態を考慮した適切な制度設計が必要」としました。
 本来人事院は昨年中に行うことを約束していたのであり、本年となったことについては遅きに失したと言わざるを得ませんが、定年延長は当然のことであり、私たちの粘り強い取組みの成果です。今後、東京都において雇用と年金を接続する方法としてどのような制度が教職員にとって最も相応しい方法なのか、現場の声や意見を集約しながら、要求としてまとめた上で実現を図っていくことが重要です。

早朝二九分統一行動(組合事務所)で
  賃金確定闘争に勝利しよう!
 東京教組は、十月二一日には、都教委に「年末一時金について、二・二五 月分を十二月九日までに支給すること。支給にあたっては、全額期末手当とすること。一時金の『支給対象・割合・加算制度』を改善すること。以上の回答を、十一月十四日(月)までに行うこと。」とする要求書を提出しました。
 自らの権利は自らの闘いによって保持されます。東京地公労の仲間と共に秋闘勝利に向けて闘いましょう!




業績評価裁判 
世田谷区教員大嶽さん勝訴
 十月二六日 東京高裁控訴審


控訴審でも勝訴

 10月26日、業績評価裁判・控訴審の判決公判が開かれ、大嶽さん側が勝利しました。
 東京高裁は、一審東京地裁判決、昇給延伸を容認した東京都人事委員会判定(不当なC評価に基づく昇給延伸の取り消しを求めて大嶽さんが行った措置要求の棄却)の取り消しを維持し、東京都の控訴を棄却しました。東京高裁はあらためて、大嶽さんへのC評価は、根拠となる事実を欠き、公正評価義務に違反しているから、裁量権の濫用又は逸脱の違法がある。そして、吉村副園長及び日座園長には過失があるという判断をはっきりと示しました。

業績評価裁判とは
 世田谷区立小学校の教員である大嶽さんは、二〇〇四年度の業績評価におけるC評価を不当であるとして、世田谷区に苦情を申し出、東京都人事委員会に取り消しを求める措置要求を行いました。しかし、いずれもまともな対応がなされないまま、却下や棄却とされました。
 大嶽さんはやむなく二〇〇八年3月に東京地方裁判所に提訴。9回の公判を経て、本年5月13日に画期的な全面勝利といえる判決をかちとりました。裁判所はこの判決で、@不当評価と昇給延伸を容認した東京都人事委員会の判定の取り消しと、A違法不当な評価による損害賠償(昇給延伸による損害と慰謝料)の両方を命じたのです。
 この裁判を通して大嶽さんが明らかにしてきたことは、この業績評価と人事考課制度こそが、教職員を分断して協働を破壊し、学校現場の多忙化と教職員の精神性疾患や早期退職を激増させる元凶になっているということです。したがってこの裁判では、単に大嶽さん個人の評価の不当性を争うことにとどまらず、業績評価制度そのものの違法不当性を訴え、この制度は撤廃するしかないことを主張してきました。

メンツをかけた都の控訴
 これに対して、控訴審での東京都と世田谷区の主張は、次の一点に集約されます。教職員を評価する権限を有する教育行政には、専門的見地にもとづく広範な裁量が認められており、事実無根とまで言えない事実上の根拠さえあればどう評価しようと裁量の範囲内、裁判所にとやかく言われる筋合いのことではない。さらにその限りでは、行政自身が定めたルールからの多少の逸脱があったとしても大したことではないと開き直りました。そして「事実無根とまで言えない」ことを証明するために、吉村副園長、日座園長以外に新たに5人の元同僚の教職員の陳述書を提出してきたのでした。
 これに対して大嶽さん側は、元同僚職員と3人の教え子の陳述書を提出し、「事実に基づかない又は誤認した事実に基づくもの」であることをあらためて全力で立証しました。
 不当評価の根拠にされた「事実」の信憑性と、裁量権の範囲を高裁がどう判断するかがポイントでした。

評価権者に立証責任
 勝利判決のポイント@
 一審東京地裁判決は、教育公務員の任用関係において初めて、業績評価における評価権者に公正評価義務があることを認めた点において画期的でしたが、控訴審東京高裁判決は、さらにこれを一歩前に進めています。
 それは、業績評価が賃金リンクされた最初の年の二〇〇五年に、大嶽さんは3カ月の昇給延伸という不利益を受けたわけですが、高裁判決は、賃金上の不利益を伴うようになった以上は「C以下の評価をするについては、その根拠として相当な事実が存在することが必要であり、上記不利益との関係において評価の相当性が争われる場合においては、評価権者側において、その存在について主張立証責任を負うと解すべきである」と、はっきりと評価権者側に立証責任を負わせたことです。
 一般に業績評価より大きな不利益を課す場合が多い懲戒処分においては、懲戒権者に立証責任を負わせる判例はあります。しかし高裁判決は、業績評価における評価権者においても、不利益を与える場合は、同様の立証責任を負うことを非常に明確に言い切っています。
これは恣意的な評価に対する大きな歯止めになると考えられます。恣意的な不当評価に対しては、泣き寝入りせず異議申し立てをすれば必ず勝てる、高裁判決は、その大きな後ろ盾を与えてくれたといえます。

業績評価制度そのものの撤廃を求める
 上記のことの大きな意義を確認しつつも、評価権者の公正評価義務も立証責任も、しょせんは業績評価制度を前提とし、かつ公正な業績評価はあり得るということを前提にしています。
 しかし、大嶽さんの業績評価裁判は、直接的には個別評価の不当性を争うものでありながら、一貫して業績評価という制度そのものの不当性とその撤廃を訴えてきました。業績評価は本質的に恣意的なものです。求められているのは、「公正な」業績評価ではなく、業績評価は恣意的なものでしかなく、百害あって一利なし、必要のない制度であるという主張内容を強化すること、そして撤廃させるための現場の運動です。つまり今回の勝利判決は、業績評価に対する現場からの異議申し立てのテコとなることではじめて、真の意義が発揮されます。そして、業績評価のデタラメさが次々と暴き出されることによって、業績評価制度を破綻・撤廃に追いやることができます。(続く)

「岬の会」ホームページより
 http://misaki2010kai.blog58.fc2.com/



「土曜授業」月2回反対!
墨田全教職員集会2011

11・11(金) 曳舟文化センター


「土曜授業」月2回は許さない!
無茶苦茶な区の「標準」案に反対しよう
 みなさんに「土曜授業」に対するアンケートを書いていただきました。ありがとうございます。各職場や墨田の多くのみなさんのご意見です。
 現在各職場で
・「土曜授業」アンケート結果の確認
・「土曜授業」月2回に反対する校長宛て決議署名
・「土曜授業」月2回に反対する区教委宛て決議署名
・職場集会が行われつつあります。
 「土曜授業」月2回を阻止するためにご尽力ください。

 「土曜授業」月2回に反対する区教委宛て決議を持ち寄り、各職場での状況・情報交換、問題点・今後の課題の確認、区教委宛て決議提出について論議します。できるだけたくさんのみなさんの参加を呼び掛けます。


沖縄の現状から学ぶ
11.1東京東部学習集会
11月1日(火)6時半から
 亀戸カメリアプラザ9階ビジネスホール

琉球新報記者の講演とビデオ上映

沖縄の闘いに連帯する東京東部実行委員会




外国人学校の子どもたちの学習権を
子どもの権利条約の視点で問う
11月7日(月)2時から4時半
 都庁内議会棟第2会議室
お話
 荒牧重人さん(山梨学院大学)
 田中宏さん(一橋大学)
主催 外国人学校・民族学校の
 制度的保障を実現するネットワーク・東京




週刊墨教組 No.1647         2011.10.25


2.3μSv/時


区内小学校雨樋出口で
さらなる高線量!!


墨田は危険
対応しないことにおいて!?


◎私たちは、子どもたちの安全を守る教職員として、子どもたちの周りの線量を可能な限り測定します。組合員であるか否かにかかわらずです。
◎学校管理者は線量調査を推進すべきです。本来ならば校長会等で線量計を購入し測定すべきです。少なくとも私たちの調査に協力し、子どもたち・学校関係者・地域住民の安全のために区への働きかけを強めるべきです。
◎区教委・区は長考熟慮していないで少しはよその区のように計測・除染を実行すべきです。


何もしない区に抗議を
 これまで学校の雨樋はほとんど下水管に直結し、地表に出ることはないとみてきましたが、そうでない雨樋もありました。写真はある学校の体育館屋根から落ちる雨樋の出口です。かなりの水勢で土が掘られています。周りの土に苔も生えています。線量は二・三μSv/hありました。ちなみに雨樋自身は一・九μSv/hですから、さらに濃縮されていることがわかります。他の学校でも体育で走り幅跳びを今しているその砂場で一・一μSv/hを計測しました。
 区教委は報告を受けても何の対処もしませんでした。新聞によれば同じような状況の所では行政が積極的に対応しているようです。※1 
 一切計測しない荒川区よりましかと思っていましたが、線量の低いきまりきったところだけを計測し、マイクロホットスポットを無視する態度は、かえって危険です。
 各学校では、子どもたちが立ち入らないようにしたり、飛散しないように覆いをしたりしています。学校ごとに自主的に子どもたちの安全を求めて対応していますが、十分・十全とはとても思われません。

文科省ホットスポット除染の欠陥
 文科省では、ホットスポットの除染を始めようとしていますが、地表面一mでの線量で対応を決めようとしています。これは明らかに誤りです。
 放射線量は距離の二乗に反比例すると言われています。ホットスポットは面として線量が高くないのですから、その地点を離れれば急激に線量は下がります。 右の写真の場でも地表一mの線量は〇・二五μSv/h未満でした。ですから、この基準は、ホットスポットの性質からしても誤りです。
 また、地面近くで暮らす子ども・地表面で遊ぶ子どもの活動とずれているという面からも誤りです。これでは必要な除染はできなくなります。
 除染は飛散・内部被曝の危険性をはらんでいます。慎重であるべきです。また、年末までと期限を区切っているのも理解できません。しかし、区が何もしないのであればこんな機関にも頼らざるを得ません。

問題は水仙ではなく人間だ
 文科省放射線等に関する副読本
「放射線について考えてみよう」※3
 散々安全神話を植え付けてきた文科省「わくわく原子力ランド」副読本は、誤記述がある(ex.「大きな津波にも耐えられる」「放射性物質がもれないようしっかり守られている」)として四月、回収されました。かわって今月出されたのがこれ。
 原発安全・原発推進の記述はさすがになくなりました。その代り、放射線はどこにでもある、水仙からだって出ている・放射線は便利・癌になるにはいろいろな理由がある…原発・福島事故にほとんど触れることなく「放射線は平気」神話を流布させようとしています。とんでもないことです。
 「わくわく」は返送するようにとわざわざ指示されていますが、「わくわく」の方が実際的です。「過去に起きた原子力施設の事故と防災活動について見てみましょう」という節もあります。今回改訂版を出して、真摯に福島事故を総括すべきだったのです。そして、どの部分が誤っていたのか子どもたちとともに考えるべきだったのです。
 「考える」素材は現実の中にあります。福島原発事故由来の放射線が現実にあるからです。インチキ副読本は使ってはいけません。
 「わくわく」はいち早く文科省ホームページから消されましたが、まだ見ることはできます。 組合にも一部あります。


※1葛飾の市民団体 231カ所線量調査
 56地点で高濃度  東京新聞 2011年10月14日
 葛飾区の市民団体「葛飾青空の会」が区内の民間施設など231カ所で、独自に放射線量を調査した結果、56カ所で毎時1マイクロシーベルト(マイクロはミリの千分の一)以上が測定された。このうち8カ所は同3マイクロシーベルト以上だった。…区は学校の砂場などで測定や除染を進めているが、同会は「民間建物の除染も必要」とし、調査対象の拡大と、その調査結果を踏まえた除染を区に要請する。 (伊東浩一)
最も高かったのは区東部の農業施設で測定された毎時5.47マイクロシーベルト。放射線汚染区域は北東部を中心に区内全域に分布しており、特に工場やアパートなど規模の大きい建物の排水口付近で高い傾向が出た。
 同会は18日、青木克徳区長に調査結果を説明する予定。吉川方章代表は「放射性物質が付着する屋根が広い建物ほど測定結果が高く、屋根の除染が必要。われわれのは簡易測定なので、区に合同で再調査してもらいたい」と話す。
 同区の鈴木雄祐危機管理担当課長は「事実とすれば、高いという印象だ。民地も含めてくまなく測定するのは現実的に困難だが、道路など、多くの方が利用する公共施設から優先的に測定していきたい」とコメントした。

台東区ホームページ (10月20日発表)
区内小学校等の空間放射線量追加測定結果について
 都内の小学校の雨どい下で、比較的高い放射線量が計測されたことを受け、区内小学校等6施設において、雨どい下の放射線測定を行いました。今後は他の施設においても測定を行い、結果を発表していきます。

※2 文科省にホットスポット通報窓口
 24日から年末まで 2011年10月21日20時 朝日新聞
 放射線量が周りより高いホットスポットがあれば連絡を――。こんな通報窓口を設けて線量の測定や除染を支援すると、政府は21日発表した。首都圏で市民によるホットスポットの報告が相次いでいることから、市民や自治体からの発見に対応する。すでに支援の取り組みがある福島県を除く全地域を対象にする。
 文部科学省内に24日から年末まで設置する。ホットスポットの目安は、地表1メートルの高さの放射線量が周辺より毎時1マイクロシーベルト以上高い地点。東京都新宿区の場合、現在は0.056マイクロシーベルトなので、1.056マイクロシーベルト以上あれば連絡することになる。 文科省の測定のガイドラインでは、地表1メートルの高さで測定開始から30秒後に示した数値を読み取ることなどを勧めている。発見者らが側溝の泥や落ち葉の除去、樹木の枝切りなど簡単な除染をしても効果がない場合、自治体と連携して現場を検証。必要に応じて環境省や内閣府に連絡して除染を支援する。
 窓口は文科省原子力災害対策支援本部特別測定班03・5253・4111(内線4630、4631)、午前9時半〜午後6時15分。ガイドラインはウェブサイトに掲載される。

※3 文科省 放射線等に関する副読本http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/detail/1311072.htmshuppan/sonota/detail/1311072.htm
わくわく原子力ランドなどの旧副読本 http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1238741/www.enecho.meti.go.jp/genshi-az/pamphlet/index.html


異動
都教委ヒヤリング
  墨田は11月17日(木)

※各校への区教委聞き取りは校長に確かめてください。
イエローカードは

今週中に事務所まで。
※非組合員の方で、相談されたい方は組合事務所までご連絡ください。



生活綴方の理論と実践を深める 
第5回 国分一太郎「教育」と「文学」研究会・学習会のご案内


主催:国分一太郎「教育」と「文学」研究会会長田中定幸 共催:綴方理論研究会代表乙部武志
国分一太郎のふるさと山形県東根市で、第7回の国分一太郎「教育」と「文学」研究会(7/23〜24)を2日間開いてきました。地元の人々の応援をいただき、200名近くの人々が、県内外から集まりました。今年は、国分一太郎生誕100年記念の集いでした。念願の国分一太郎の教育記念碑が、全国の多くの方々から募金をいただき、長瀞公民館(国分一太郎の勤務地長瀞小学校)の敷地に建立されました。
 今年、東京で第60回の全国大会(7/29〜31)が開催されました。大会は、1000名を超すことは出来ませんでした。その中で、若い人が、実行委員に増えてきているということは、これからに期待が持てます。生前、国分一太郎は、誰にでもできる、「文章表現指導」の理論と実践を大切にしておりました。若い人が、職場に増えてきている今だからこそ、この研究会を充実させたいと考え、今年も企画しました。
1.日 時 2011年11月19日(土)  9時30分から4時30分(受付開始9時〜)
2.場 所 豊島区立池袋小学校(YAHOO!JAPAN・住所・校名で検索。)  
池袋西口(東武デパート側)より徒歩10分 豊島区池袋4−23−8 
 3.内 容   午前・実践報告    今井 成司(東京作文協議会会長)
  午後・研究報告 やはり気になる 今の「児童詩」
〜「これが児童詩?」年刊に見る変化とその理由を探る〜 久米武郎(横須賀作文の会)
  午後・特別報告  国分一太郎の学芸大学特別講義から学ぶ−1  
    ―僻地出身の人たちが、国語教育の権威者になったのはなぜだろうー 田中定幸(神奈川・綴方理論研究会)  4.会 費 1000円(資料代として登録会員は無料)会員の年会費2000円
5.その他・研究会終了後、池袋駅近くで懇親会を予定しています。懇親会にご出席の方は、事前に電話等で、連絡下さると、大変助かります。遠来の方で、宿泊される方は、各自でお取り下さい。
(連絡先)国分一太郎「教育」と「文学」研究会事務局長 榎本豊 090-4920-7113



週刊墨教組 No.1646         2011.10.12

区内小学校排水枡で高線量
1.9μSv/時
これを
放置しておけるか!?


 すでにお知らせしているように、組合では、この間、区内の小・中学校、公園等の放射線量を測定したり、多くの保護者・区民のみなさんが測定した結果を集めたりしています。また高線量の所が見つかりました。校庭の排水枡の上が0.64μSv/h(右写真)、中が1.9μSv/hでした。
 私たちは高い数値の箇所が見つかれば、逐一、学校管理者や区教委・区環境保全課に知らせています。私たちの目的が、「子どもたちや区民や私たちが高線量にさらされることなく暮らしていく」ことであり、そのための測定だからです。区民に直接責任を持つ地方行政が、ここに暮らす人々の健康と安全を守るべく、今の事態に対処することを願うからです。

東京・神奈川の汚染マップ
  一〇月六日、文科省公表 ※1
 文科省の発表した地図を見ますと、海上を南下し、鹿島灘から土浦を通り柏に大量の放射性物質を落とした放射能雲は、葛飾東部を同じように汚染させ、そこで止まっています。葛飾のほとんどが一万〜三万Bq/u、東の縁に三万〜六万Bq/uが張り付き中には十万Bq/uの所もあります。奥多摩や山北(神奈川)を汚染させたのは福島・郡山から日光などの栃木北半部を南西に向かい、群馬の大半を汚染させた放射能雲が南に回り込んだもののようです。墨田はどうかというと、一万〜三万Bq/uが東端にあるかないか(区名表示に隠れている所もあり見にくい)です。ひとまずこの結果が正しいとすれば、緊急の避難などは必要ないようです。
 ただ、今回の測定は、軌跡幅3kmという非常に粗いものです。スポット的な汚染は把握できようはずがありません。また、これほど簡単な測定を、なぜ半年以上もやらなかったのか、また、新潟・長野・山梨・静岡について未だに行わないのか、疑問です。

現時点での区内線量の傾向
 私たちの持っているデータによれば、おおよそ次のようなことがこの墨田では言えそうです。もちろんわずかなデータですから、確定的なことは言えません。みなさんが、計測・心配・要求する際の目安にしていただけたら幸いです。

・水がしみこまず、表面を流れた水が集まる排水升の線量は高い。コンクリート、雨水浸透型でない舗装、トタン屋根。集水面積が大きい所ほど高い。
 土・砂・芝生など、水がしみこむ所は、線量が高くない。
・水がしみこまない所にできたくぼみは線量が高い。そういう所はいつまでも水が残り、徐々に乾燥して、ヘドロ状のものを形成する。クラックができていることが多い。
・弾性舗装 全体に高い。はがれている所・はがれ目は特に高い。校庭と接する部分などの端はめくれ返っていることが多く、ここも同じく高い。
・排水升でも雨樋でも、ヘドロ状のものや枯葉で詰まっている所は高い。
・排水升でも雨樋でも、乾いている所(時)は高い。
 水が入っている場合と乾いている場合では計測値が大きく異なる。これはどうしてだろう? 水の遮蔽効果か?


 計測はいずれも地上5cmで行っています。現在区も線量の高い所の計測にはこれを使っています。放射線の影響は距離の2乗に反比例するので、1m高での線量は基準値以下になるでしょう。しかし、地面に接して活動する子どもたちが外部被曝しないようにするためには、また、内部被曝を避ける=放射性物質を体内に入れないためには、子どもたちの活動する場所に高濃度の放射性物質が存在することはきわめて危険です。また、放射性物質の移動を防ぐ面からも、「除染」が不可欠です。※2

未来に責任をもつ者として
 さて、私たちの活動に対して、「いたずらに不安を煽る者」と謗る方がいます。「測定がいい加減だ」「線量がそんなに高くない」「ホームページで公表している」などなど…。だから私たちは区に対して、しっかりした正確な測定で線量を測り、国の基準に照らして対処するように要求してきました。区が何らかの措置をしたら、それも含めて公表しています。区が何ら対処しようとしないから仕方なく「誰もが不安なまま」公表しているのです。不安を感じるのは私たちの公表にではなく、区の措置(しないこと)に淵源します。
 私たちを攻撃する方の最後の論理は「区が安全と言っているんだから安全以外のことを言うのは不安を煽ることだ」という「安全神話」しか考えられません。信じるのは勝手です。しかし、真っ当に心配するものを攻撃し、人々が真剣に考えようとするのを邪魔しないでいただきたい。事実を覆い隠そうとするのはもはや犯罪です。
 驚くほど「確実」に、先に書いたような所は高線量です。みなさんの職場はどうでしょうか? このような所はないでしょうか? 虫探しにしげみに入る時、校外学習に出かける時、放射線量を気にしませんか? もしそこが実際に高い線量だとしたら、あなたはどうしますか? あなたは区教委とともに頬かむりをして済ませますか? それとも、計測(を要求)しますか? 

 「放射線量が高いといっても、そこに四六時中いるわけじゃないんだから・・・」
 「放射線量が高いといっても、そこに四六時中いるわけじゃないんだから・・・」かなり前から聞くセリフです。特に区役所にいる方が異口同音に発していますから、何かレクチャーがあったのでしょうか? 事態をなるべく小さく見せるための流行=常套句になっているようです。
 こう考える方は、次のように法を改定するのがいいでしょう。「放射線管理区域(例えばレントゲン室)の許容量は5mSv/yだが、四六時中そこで暮らしてるわけではないから少しぐらい基準を超えていてもいい」と。あるいは、次のように自ら行動することです。「四六時中そこにいるわけではないから、たまにはレントゲン室にお茶でも飲みに行こう、学校にもある高線量の所で昼寝をしよう」と。
 いずれ必ずこの墨田区でも「除染」がなされるでしょう(早ければ早いほどいいのに…)。除かれた放射性物質の置き場については全国的に頭を悩ましています。が、墨田では簡単です。「平均的に放射線量が低ければ(どんなにマイクロホットスポットがあっても)大丈夫」という方の所に置けばいいのですから。
 日本では、一般の人は年間1mSv=墨田区では毎時0.25μSv以上浴びてはいけないのです※3。
 国は除染の基準を、5mSv/y以上だけでなく、1mSv/y以上も含めて費用負担するとかえました。そこからも、高い線量があることはまずいことなのだということがわかります。基準の誤った解釈・使い方で、できることをしないのは、恥ずべきことです。


放射性物質:小中学校5校で線量基準値超え 東京・大田区
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111008k0000m040132000c.html
毎日新聞 2011年10月7日 22時13分
 東京都大田区教育委員会は7日、同区立小中学校の花壇のそばにある雨どい周辺の空間放射線量を測定した結果、5校で区独自に安全の目安とする毎時0.25マイクロシーベルトの基準値を上回ったと発表した。大森第四中では、基準値の約4倍となる1.01マイクロシーベルトを検出。周辺の花壇をブルーシートで覆い、立ち入り禁止の緊急措置を取った。
 9月29日、馬込第二小の教諭が私物の簡易測定器で花壇のそばの雨どい周辺を測定したところ、基準値を超えたため、区教委に報告。今月3日の区の測定でも2カ所で最大0.64マイクロシーベルトを観測したため、6日から類似した場所の調査を開始。区立小中37校と5保育園の計197カ所が対象で、8日に終了予定。
 ほかに基準を超えたのは、羽田小1カ所(0.64マイクロシーベルト)▽雪谷中3カ所(0.40〜0.96マイクロシーベルト)▽糀谷(こうじや)中1カ所(0.32マイクロシーベルト)。いずれも、雨どいから1メートル離れた場所では基準値を下回ったという。有識者と協議し、今後の対応を検討する。【黒田阿紗子】
 

大綱小で放射線量検出、市が堆積物撤去し保管/横浜
カナロコ 9月22日(木)20時30分配信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110922-00000027-kana-l14
 横浜市は22日、同市港北区の市立大綱小学校体育館わきで、最大毎時0・92マイクロシーベルト(地上1センチ)の放射線量を検出したと発表した。市は0・59マイクロシーベルト以上は除去などが必要としており、堆積物を撤去し保管している。
 港北区内の道路側溝で高い数値の放射線量が確認されたことを受けて市は20日から、市立小中学校の児童生徒が近づきそうで汚染された可能性のある場所を緊急測定した。
 22日までに区内の8校分(計35校)の測定結果が出た。そのうち、大綱小で20日、再測定の目安とする0・59マイクロシーベルト以上の0・87マイクロシーベルトを確認。21、22日に再び測定したが0・85マイクロシーベルト、0・92マイクロシーベルトと高い数値が続いたという。堆積物を撤去後は0・19マイクロシーベルトに下がった。
 市は今後、市内全域の学校や公園、道路などでも測定、清掃作業を行う。


東京・神奈川含む汚染マップ公表 一部で1万ベクレル超
http://www.asahi.com/national/update/1006/TKY201110060625.html
2011年10月6日22時34分 朝日新聞
 東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染について、文部科学省は6日、航空機から測定した放射性セシウム134と同137の土壌の蓄積量について、東京都と神奈川県を加えた汚染マップを発表した。東京は葛飾区や奥多摩町、神奈川では山北町など一部で比較的高い汚染が確認されたが、首都圏での広がりは見られなかった。
 調査は9月14〜18日、上空から放射線量を測定。地上の数地点で実際の土壌の濃度も調べ、両者の値から積算量を算出した。
 放射性物質の量が半分になる半減期はセシウム134が2年で、137は30年。長期に影響がある137だけの土壌の蓄積量でみると、1平方メートルあたり3万〜6万ベクレルだったのは、東京都は葛飾区と奥多摩町の一部で、神奈川県ではなかった。東京では葛飾区や奥多摩町に隣接する江戸川区、足立区、檜原村などの一部で1万ベクレルを超えたが、それ以外はほとんどが1万ベクレル未満だった。神奈川では山北町、相模原市緑区、清川村の一部は1万ベクレルを超えたが、それ以外の地域は1万ベクレル未満だった。チェルノブイリ原発事故ではセシウム137が3万7千ベクレル以上が「汚染地域」とされた。ただし強制避難の基準は55万ベクレル以上。

 
大綱小で放射線量検出、市が堆積物撤去し保管/横浜
カナロコ 9月22日(木)20時30分配信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110922-00000027-kana-l14

 横浜市は22日、同市港北区の市立大綱小学校体育館わきで、最大毎時0・92マイクロシーベルト(地上1センチ)の放射線量を検出したと発表した。市は0・59マイクロシーベルト以上は除去などが必要としており、堆積物を撤去し保管している。
 港北区内の道路側溝で高い数値の放射線量が確認されたことを受けて市は20日から、市立小中学校の児童生徒が近づきそうで汚染された可能性のある場所を緊急測定した。
 22日までに区内の8校分(計35校)の測定結果が出た。そのうち、大綱小で20日、再測定の目安とする0・59マイクロシーベルト以上の0・87マイクロシーベルトを確認。21、22日に再び測定したが0・85マイクロシーベルト、0・92マイクロシーベルトと高い数値が続いたという。堆積物を撤去後は0・19マイクロシーベルトに下がった。
 市は今後、市内全域の学校や公園、道路などでも測定、清掃作業を行う。



週刊墨教組 No.1645         2011.10.4

人事院勧告(国人勧)出される
月例給を〇・二三%引き下げ
期末・勤勉手当は現行据え置き
詐欺! 給与構造改革の現給保障廃止??
 秋闘を闘い抜こう!



 人事院は九月三〇日、例年よりも約五〇日遅れて、月例給を八九九円、〇・二三%引き下げることを中心とした人事院勧告を行いました。
 一時金(現行三・九五月)については、民間の支給割合が三・九九月であったにもかかわらず、「岩手県、宮城県及び福島県について調査していない」ことを理由として、恣意的な判断に基づき不当にも改定を見送りました。

 さらに、給与構造改革の現給保障について来年度から二年間で廃止することも勧告しています。許しがたいことです。

○ 本年の給与勧告のポイント
 月例給は引下げ改定、ボーナスは改定見送り 平均年間給与は―1.5万円(−0.23%) 
@ 東日本大震災のため民間給与実態調査は2か月遅れで、岩手県、宮城県及び福島県を除く44都道府県で実施
・月例給については、地域手当の級地区分を単位とした官民比較を行っているため、東北3県の影響は限定的
・期末・勤勉手当(ボーナス)は、岩手県、宮城県及び福島県について調査していない中で、国家公務員の特別給の改定を行うべきと判断するに至らず、改定を見送り
A 国家公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(−0.23%)を解消するため、50歳台を中心に40歳台以上を念頭に置いた俸給表の引下げ改定
B給与構造改革の現給保障について来年度から2年間で廃止することも勧告
給与構造改革における経過措置額は、平成24年度は2分の1(上限1万円)を減額し、平成25年4月1日に廃止。(これにより生ずる原資を用い、若年・中堅層を中心に、給与構造改革実施のために抑制されてきた昇給を回復)


 本年五月には、政府から国家公務員給与の引下げ提案があり、公務員連絡会は真摯に政府と向き合って交渉を積み重ね、財政事情や大震災などわが国を取り巻く極めて厳しい環境の下、「日本の再生のために被災者・被災地とともに歩む」決意を持って、二〇一三年度末までの間、月例給与を五〜十%、一時金を十%それぞれ引き下げることで合意し、国会に法案が提出されました。
 この労使交渉・合意に際し、政府は「人事院勧告制度は、本来労使交渉で給与額や勤務条件を決めるという原則が制約されていることに伴う代償措置である。今回、本来の姿を先取りした形で、交渉を行っており、そのことの意味は相当重い。労使交渉により給与改定が行われた場合には、それを踏まえて対応していきたい」と約束しました。また、政府は、地方公務員の給与について、財政上の措置を含めて、国家公務員給与引下げの影響を遮断することを明確に確認しました。
 本年の取組みに当たって、公務員連絡会は、労使合意に基づく国家公務員給与の臨時特例法案が国会に提出されていることを踏まえ、人事院に対し、
@民間給与実態調査結果等に基づく給与改定勧告を行わないこと、
A超勤縮減やメンタルヘルス対策の強化など賃金以外の労働条件の改善を図ること、
B段階的定年延長の意見の申出を行うこと、
を重点要求課題に設定し、人事院交渉を強化し、公共サービスキャンペーン、公務員制度改革の取組みとも連携した闘いを進めてきました。
 人事院が、労使合意とその意義をも無視する形で、給与改定勧告を強行したことは、極めて遺憾です。人事院勧告制度を廃止し、公務の労使関係制度を抜本的に改める関連法案が国会に上程される一方、深刻な厳しい財政事情や東日本大震災及び福島第一原発事故という、わが国が未曾有の危機的状況にある中で、従来通り較差を埋める月例給与引下げを勧告しつつ、一時金については当然引上げとなる調査結果を恣意的に判断し改定を見送った人事院の姿勢は自己保身に他ならず、厳しく批判されなければなりません。

定年延長について「意見の申出」
 六〇歳超の職員の年間給与を
   六〇歳前の七〇%水準に設定
 昨年十二月に行うはずであった雇用と年金を接続するための段階的定年延長の実施に向けた「意見の申出」※2を行いました。

※2 段階的定年延長の実施に向けた「意見の申出」
○ 国家公務員制度改革基本法の規定を踏まえ、公的年金の支給開始年齢の引上げに合わせて、平成25年度から平成37年度に向けて、定年を段階的に65歳まで引き上げることが適当
○ 民間企業の高齢期雇用の実情を考慮し、60歳超の職員の年間給与を60歳前の70%水準に設定
○ 能力・実績に基づ<人事管理の徹底、当面役職定年制の導入により組織活力を維持
○ 短時間勤務制の導入や節目節目での意向聴取等を通じ、60歳超の多様な働き方を実現

 段階的な定年延長を実施するための意見の申出について、人事院は昨年中に行うことを約束していたのであり、本年となったことについては遅きに失したと言わざるを得ませんが、定年延長は当然のことであり、私たちの粘り強い取組みの成果です。本格的な高齢化社会に移行していく中で、公務員労働者がその能力を十分に発揮し、わが国が直面している困難な諸課題について国民の期待に応えられるよう取り組んで行くためには、雇用と年金を接続する方法としては定年延長が最も相応しい方法です。
 六〇歳超の勤務に対しては、給与水準が大幅引下げとなるなど公務員にとって厳しい内容が含まれ不満が残りますが、これを今回の取組みの到達点と受け止め、公務をめぐる極めて厳しい環境の下で、国、地方ともに年金の支給開始年齢の繰り延べに遅れることなく、定年延長を実現していかなければなりません。

秋闘を闘い抜こう!
 東京都人事委員会による勧告は十月下旬に予想され、十一月初旬の山場にむけ非常にタイトな闘いとなることが想定されます。東京の生活実態を反映した賃金と一時金の確定、五〇歳台賃金減額反対、現給保障の維持、福祉関連要求の実現などが課題となると考えられます。
 東京地公労は、人事院勧告を受け、十月三日に東京都人事委員会に対する委員長クラスによる人事委員会勧告に向けての要請行動から、本格的な秋闘を開始します。
 給与・労働条件確保のため、都労連に連帯し、東京地公労の仲間とともに集中した闘いを組んでいきましょう。







学術シンポジウムのご案内
教員免許更新制は廃止できる
―争点は「いつまでに」「どうやって」ー
日時●2011年10月8日(土) 

13:20開場13:50〜16:30
会場●日本教育会館 7階第703会議

(千代田区一ツ橋2-6-2 地下鉄「神保町」「竹橋」5分)

 司会●池田賢市(中央大学) 
問題提起●30分×2本
 障害者は自立支援法を廃止しつつある●一木玲子(筑波技術大学)
 教職員は更新制の廃止を求めている●大森直樹(東京学芸大学)
討論●60分
 いつまでに、どうやって、廃止のイメージをめぐって●参加者

 2009年に実施された教員免許更新制については、いま2つの動きがあります。
 1つは、更新制を「発展・進化」させて階層的な「新しい教員免許制度」につなげる動き(中教審)。
 もう1つは、「新しい教員免許制度」が今次震災下において不急の課題であることもふまえ、更新制をシンプルに凍結・廃止する動きです。
 当プロジェクトには、後者の動きを支持する署名が35818筆よせられたことを受けて、標記の集会を行います。「いつまでに、どうやって、廃止するか」。鮮明なイメージの共有が今後の鍵を握っています。ぜひご参加いただけるようお願いいたします。(参加費無料)。

主催 学術シンポジウム「教員免許更新制は廃止できる」東京都実行委員会
企画 教育者養成大学に対する現職教員の意向についての学術調査研究プロジェクト  代表  渡辺雅之(東京学芸大学)  
副代表 池田賢市(中央大学)  副代表 広瀬義徳(関西大学
連絡先  実行委員会担当・林







週刊墨教組 No.1644 2011.9.30

区内小学校 雨樋 1.8μSv/時※
                 ※組合放射線測定器による計測
見えないものを見てしまった!

 

では実際にはどうか(承前)
 ある学校での計測では、花壇0.14〜0.17μSv/時。端の方に行くと0.22μSv/時の部分があった。ここを観察する時は、あまり近寄らせない方がいいがいいだろう。側溝雨水枡 0.22・0.24・0.28・0.47…屋根雨樋1.8μSv/時! 驚くべし! これは何かの間違いか…、間違いであってほしい…。

要望書 ※1
 この数値を得て、私たちは九月二〇日、区長・環境保全課・教育委員会に要望書を提出しました。
 要点は三つ。
一、怪しげな所は測ってください
二、測りきれないなら機器を貸し出してください
三、高い所は除染してください
 実に単純で当たり前のことを言っているだけです。
 九月二七日、国は除染基準を発表しました。本来年間1mSv/Yであるべきなのに、除染を年間5mSv/yにするという違法な案(やると金がかかりすぎるから…という人命よりも経済を優先する発想で許し難いものです)ですが、その中に、「都市部の側溝など線量が局所的に高く、生活への影響がより大きい『ホットスポット』は1mSv/y以上とする」という文言があります。そこから考えれば、墨田におけるホットスポットは「国の責任で実施する放射性物質の除染」されると考えられます。
 区側は私たちの要望書に対して、「その内容はすでに区長が本会議で論及しているので、直ちに回答する必要はないと考える、継続して検討していく」という立場をとっています。私たちとしてはこれは不本意なことです。区長の発言というものが今現在、誰に対しても明確に認知されている、ということではないからです。区長答弁を正確に知らせるべきです。
 漏れ聞くところによれば、区の施設はその管理者と協議して区が責任をもって測定する、0.25μSv/時を超える場合は継続して計測ししかるべき措置をとる、というもののようです(不確実)。
 一つには国の基準が出されたこと(区はこれに縛られます)、一つには要望書に対する近々の回答がなさそうなことから、私たちは要望書を公開することにしました。どのような方法であろうと、人々に危険をもたらすかもしれない事態を知ってしまったからには、人は、それを回避すべく行動すべきです。ましてや私たちは公務員という立場にあります。区が認知しないからと言って、放置しておくことはできません。

福島とつながるもの
 量的な違いはあれ、福島原発から飛散した放射性物質をめぐる状況=放射線・セシウムのばらまかれ具合において、墨田区も福島と同質です。そして残念ながら、行政の対応も同じようです。私たちは(この場合全世界の人々とよんでもいいでしょう)六か月間の東電や政府の対応に強い憤りをもっています。それと全く同じことをこの墨田でも二度目の喜劇としてなぞっているように感じられてなりません。

区の早急な対応を促す
 区は住民・子どもたちの今と未来を守る地方行政府でありながら、素早い対応を見せません。雨樋・側溝・茂みの線量が高いのは常識です(だから保護者も要望しました)。現に高いのだと私たちは「要望書」に資料を掲げました。しかし、それを測ろうとも確かめようともしませんでした。臭いものには蓋をしておけば、今は何もしないですみます・・・。
 しかし、私たちは蓋を外してしまいました。現実を直視すべきです。もう頬かむりの道は選択できません。計測すれば1mSv/yを超えるところだらけだというのが事実だからです。
 私たちの今と未来に責任を取ろうとする心あるみなさんが、私たちとともに、区へ強く働きかけられることを切に望みます。

要望書(抄)
 区民・子どもたち・就労者の安全のために、区内各所の放射線量をよりきめ細かく計測し、基準値以上の場所では線量を基準値以下にする措置をとることを要望します
・・・わが組合に寄せられた情報によれば、区で計測していない場所から、かなり「高い線量」が放射されているとのことです。もちろんここで「高い線量」というのは、決して計測の専門家ではない学校教職員・保護者・地域の方(以下「市民」とします)が、58万円もしない機器で計測したものですから、その数値を絶対化するつもりはありません。しかし、現に区の平均的測定地点から20mも離れていない所で基準値を超える数値が出ているのです。そのような場所とは、すでに一般的に知られているように側溝・雨樋・排水枡・茂み・落ち葉の溜まる所・遊具下です。
 私たちは、高線量の場所があるということは危険な状態であると認識します。基準値以上の放射線物質は捕捉し隔離しなくてはいけません。さもなければ、また再び空を舞い風に乗り吹きだまるだけでなく、体内に入って内部被曝を生み出してしまうからです。むしろ今ここに滞留していることは除染のよい機会かもしれません。
 現在の事態は、私たちの責任でも墨田区・区教委・環境保全課の直接の失策によるものでもありません。責任は過去に対してではなく未来に対して生じています。そのことを確認したうえで、今、どのような対応が行政・教育委員会として、区民・子どもたち・就労者の安全のために最善なのかを策定する時です。 以上のような認識に立って、貴職に以下のことを要望いたします。

第1に、市民による測定で高汚染と思われた場所を直ちに区で正確に測定していただきたい。仮に、市民による測定が間違いであるとしたら、それはそれで喜ばしいことです。区の仕事を増やしてしまったというマイナスはありますが、調べたい・調べてほしい市民がいる限り、この「いい加減な測定」と区への「正確な測定」要求は続きます。実際、7月の講演会「放射線を正しく理解しよう」でも、多くの参加者がそのような場所の計測を要求しているのに、区は一蹴しています。正しい態度ではありません。
第2に、もし、区の手が足りないとするならば、上の事態の唯一の解決法は、市民が正確に放射線測定できるように区が機器を準備し測定方法を講習することだと私たちは考えます。このことを要望します。
第3に、もし、側溝・雨樋・側溝雨水枡が基準値を超える高い線量であることが事実だとしたら、区は直ちに放射線汚染物質・土壌を撤去し除染することを要望します。そのような場所は人々・子どもたちの活動の中心ではない・ほっておけば水に流れてしまうだろうという論は誤りです。私たちが今、暮らし学び働く場所は1mSv/y以下でなくてはなりません。・・・






単位換算の試み
 亀戸中央公園の三〇〇〇ベクレルは高くなかったのか?

ベクレルは嫌い
 八広幼稚園などの砂場計測では、放射線量だけでなく放射性物質測定値Bq/kgも出されています。ベクレルが苦手なのは、五月の嫌な思い出があるからです。
 五月、近畿大学山崎秀夫教授による江東区亀戸中央公園測定値が三〇〇〇ベクレルを超えたとマスコミで報道されました。私たちは一体どうしてこんなに高い値が出たのだと問題にしましたが、墨田区は広報で「健康にはまったく影響がなく、対策の必要はない」とこれを「不正確な情報に惑わされ」た妄動と決めつけました。※2
 悔しいことに当時私たちはそれに論駁するだけの知識を持っていませんでした。
 ところが、次のような記事も見かけた。
 「東京都江東区のグラウンドから1kg当たり二三〇〇ベクレルものセシウムが検出されました。これは福島県内の小学校の校庭に匹敵する汚染レベルです。またこの場所では、〇・二五μSv/時以上の放射線量も計測されています」(江東こども守る会」』代表石川綾子さん・神戸大学大学院山内知也氏)
 どうなっているんだ?

わかりやすい基準を持ちたい
 私たちは1mSv/y=〇・一九μSv/時、自然放射線量を加えて〇・二五μSv/時が制限基準であることを確認してきました。区にも明確にせよと要求してきました。福島の学校がいまだ二〇mSv/yを基準としていることを憤り、隅田公園の線量が〇・一七μSv/時と聞けば、ああ区役所の人々も毎日計測できてほっとしているだろうと思えるようになりました。
 ところがベクレルはシーベルト以上になじみが薄いのです。おまけに、ベクレルにはキログラム当たりと平方メートル当たりの二種類があり、余計ややこしくなっています。

チェルノブイリと比較するために
 チェルノブイリでは、汚染区域を五段階に分けそれぞれの段階での住民の処遇を決めています。区分に対してきつすぎる・実態に合わないなどの「批判」も現在出ています。
 当時、日本では輸入食品中の放射能濃度の暫定限度はすべて 三七〇Bq/kgと厳しくチェックしていました(六か月前までは…)。それを毎日口にする国内産の飲料水・牛乳・乳製品 二〇〇Bq/kg以外は大雑把に五〇〇Bq/kgなどとする「寛容さ」、一般人の年間被曝限度を1mSv/yを20mSv/yにぴょんと上げるなどという芸当をしていれば、チェルノブイリの基準も変えたくなるのは「理解」できます。しかし、それは、一つの歴史的な基準として確としてあります。

Bq/u
 チェルノブイリの基準値は「キュリー/?」で、これは「Bq/u」に換算されます。
 「Bq/u」は1平方メートルの地表をある深さ(2・5・15p…)削り取って、そこで1秒間に放射性核種が崩壊する個数です。
 今、区や文科省のベクレル表示は多く「Bq/kg」で、これは1kg当たりの放射能濃度です。uをkgに換算するには、削り取った深さと土壌の質量(密度)により多様です。平均して1.3、砂の場合は1.6が採られているようです。
 
Bq/kgとBq/u
 原子力安全委員会によると、Bq/kgからBq/uに換算するには、65をかけるとしています。比重1.3×50mmでしょう。
 東大早野氏はBq/kg×50=Bq/uの説。岩波「世界」九月号 北林寿信「日本を揺るがす稲わらー牛肉汚染」にも「地表線量が三〇万〜六〇万Bq/u(六〇〇〇〜一二〇〇〇Bq/kg)」とありますから、かなり一般的かもしれません。概算ですから切りのいい数が便利でしょう。
 京都大学今中哲二助教は、地表1uの土壌の重量を100cm×100cm×深さ2cm、比重1.0で換算すると20kgとなるので、20倍しています。
 表にはその三つを出してありますが、μSv/時換算では50(東大早野)を使っています。

ベクレルとシーベルト
 内閣府原子力委員会資料によると、Bq/uの数値を282,000で割れば平均的なμSv/hになるそうです。kBq/u= 282×μSv/h 「土壌汚染問題とその対応 2011.5.24 第16回原子力委員会 河田東海夫氏による資料
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo16/siryo2.pdf
 足立区などではIAEA「放射線緊急事態時の評価及び対応のための一般的手順」に従って、次のように細かく計算しています。※3
 1平方メートルにわたって深さ5センチの砂をとった場合の砂の重量に、砂1キログラムあたりの核種ごとの放射能測定値を掛けて、1平方メートルあたりの核種ごとの放射能(ベクレル)を算出し、それに核種ごとの変換係数をかけてシーベルトに変換します。
 核種ごとのベクレル測定値×1立方メートル当たりの重量×採取した砂の体積0.05(深さ5cm)×核種ごとの換算係数

※2 環境保全課 土壌放射能についてお知らせします 2011年5月26日掲載
 5月15日付朝日新聞及び5月20日付日刊ゲンダイで近畿大学山崎秀夫教授による土壌放射性セシウム濃度測定結果に関する記事が掲載されました。
 その記事で、都内4地点の測定ポイントの中、江東区亀戸で測定された値が比較的高濃度で測定されたとの報告があり、墨田区の住民からも問い合わせがありました。
 江東区に隣接する当区としても、山崎教授に直接電話で確認したところ、「亀戸で測定された土壌放射性セシウム濃度の数値は大気中の放射線量に換算すると健康にはまったく影響がなく、対策の必要はない。」とのことでした。
 福島第一原発の事故以来、各地で通常より高い放射線の値が発表されていますが、都内の大気中放射線測定ポイントである新宿区の健康安全研究センターの値は安定してきています。不正確な情報に惑わされることなく、冷静な対応をお願いします。

※3 足立区役所ホームページ「砂場の放射能測定について」
http://www.city.adachi.tokyo.jp/010/d00400045.html
「測定は単位が重さあたりのベクレルで計測されるため、IAEA「放射線緊急事態時の評価及び対応のための一般的手順」に従い単位を、人体への影響を示すシーベルトに換算し」「IAEAの手順では、地面から1mの位置で算出されます。砂場は利用者が直接砂を手に取るため、地面から5cmに変換します。換算値は、足立区の校庭や公園の測定の経験に基づき、算出値を1.41倍した数字から0.02を引いて得ております」
【計算式】
 1平方メートルにわたって深さ5センチの砂をとった場合の砂の重量に、砂1キログラムあたりの核種ごとの放射能測定値を掛けて、1平方メートルあたりの核種ごとの放射能(ベクレル)を算出し、それに核種ごとの変換係数をかけてシーベルトに変換します。
[1]砂場の上1m位置で
のシーベルト換算
核種ごとのベクレル測定値×1600(s/1立方メートル)×0.05(深さ5cm)×核種ごとの換算係数
換算係数 セシウム134 5.4×10のマイナス6乗
     セシウム137 2.1×10のマイナス6乗
土壌の放射線測定値(マイクロシーベルト/時間)=セシウム134の値+セシウム137の値

ベクレル・シーベルト換算表(墨田区教職員組合試作)

番  場所  形状 日にちなど 元のデータ・計測値 換算値 備考
Bq/kg ← Bq/u Bq/kg ← μSv/時 Bq/u ← Bq/kg Bq/u ← μSv/時 μSv/時 ← Bq/u μSv/時 ← Bq/kg
ベクレル シーベルト 原子力安全委員会 東大早野 京大今中 原子力委河田 原子力安全委員会 東大早野 京大今中 原子力委河田 原子力委河田 足立 砂場 5p
Bq/kg Bq/u μSv/時  /65  /50  /20 ×282000/50 ×65 ×50 ×20 ×282000 /282000
1 チェルノブイリ 第1強制避難区域 1480000 22769 29600 74000 - - 5.25 40キュリー/? 148万0000Bq/u 居住禁止区域 直ちに強制避難、立ち入り禁止 
2 チェルノブイリ 第2一時移住区域 555000 8538 11100 27750 - - 1.97 15キュリー/? 55万5000Bq/u 特別放射線管理区域 義務的移住区域、農地利用禁止 
3 チェルノブイリ 第3希望移住区域 185000 2846 3700 9250 - - 0.66 5キュリー/? 18万5000Bq/u 高汚染区域 移住の権利が認められる 
4 チェルノブイリ 第4放射線管理区域 37000 569 740 1850 - - 0.13 1キュリー/? 3万7000Bq/u 汚染区域 不必要な被ばくを防止するために設けられる区域 
5 年間1mSv/y 0.19+0.06 0.25 - - - 1410 70500 -    
6 年間20mSv/y 3.8+0.06 3.86 - - - 21770 1088520 -    
7 三郷市 07.17 植え込み 14140 - - - - 919100 707000 282800 - 2.51 首都圏土壌調査結果 Cs-137:6642 Cs-134::7498  
8 柏市 07.17 植え込み 52457 - - - - 3409705 2622850 1049140 - 9.30 首都圏土壌調査結果 Cs-137:6642 Cs-134::7498  
9 八広 6.04 植え込み 4254 - - - - 276510 212700 85080 - 0.75 首都圏土壌調査結果   歩道の植え込みの土を採取。前に2階建ての建物の2本の雨どい。採取場所の方向になだらかな傾斜。
10 亀戸 3201 - - - - 208065 160050 64020 - 0.57 首都圏土壌調査結果   4月10〜20日 近畿大山崎
11 巣鴨 05.14 道路脇の土砂 61713 - - - - 4011345 3085650 1234260 - 10.94 6万超Bq/kg、401万Bq/u、「居住禁止区域」レベル   
12 会津若松市 側溝汚泥 186000 - - - - 12090000 9300000 3720000 - 32.98 福島地裁会津若松支部   
13 足立区興野保育園 すべり台下砂場 7/16 619 - - - - 40235 30950 12380 - 0.11 0.24 足立区 Cs-137:329Bq/kg、Cs-134:290Bq/kg  
14 八広幼稚園 砂場7/15 2700 - - - - 175500 135000 54000 - 0.48 1.10    
15 八広幼稚園 砂場 5p 7/15  0.519 - - - 2927 146358 - 墨田区環境保全課   
16 八広幼稚園 砂場 100p 7/15  0.299 - - - 1686 84318 - 墨田区環境保全課   
17 八広小学校 砂場 8月26日 0.32 - - - 1805 90240 - 墨田区環境保全課   
18 港北区大倉山 側溝の堆積物 9.17 40200 0.91 - - - 5132 2613000 2010000 804000 256620 7.13 地上50センチの空間放射線量は毎時0.91   
19 区内小学校 雨樋汚泥 9月14日 1.8 - - - 10152 507600 -    
20 区内小学校 排水升 9月 0.4 - - - 2256 112800 -    

足立区=IAEAによる砂場の線量計算

場所 月日 セシウム線量合計 核種別セシウム線量 核種 計算式 ※1
地表1m 地表5cm※2 地表1m 地表5p※2 計測値 砂の比重 深さ 核種ごとの換算係数
μSv/時 μSv/時 μSv/時 μSv/時 Bq/kg kg/m3 5cm
八広幼稚園砂場7/15 0.80 1.10 0.56 0.77 放射性セシウム134 1300 1600 0.05 5.4 0.000001
0.24 0.31 放射性セシウム137 1400 1600 0.05 2.1 0.000001
興野保育園砂場7/16※3 0.18 0.23 0.13 0.16 放射性セシウム134 290 1600 0.05 5.4 0.000001
0.06 0.06 放射性セシウム137 329 1600 0.05 2.1 0.000001
※1 「IAEA『放射線緊急事態時の評価及び対応のための一般的手順』に従い」とありますが、以下「足立」とよびます。
放射性セシウム134 1300×1600(s/1立方メートル)×0.05(深さ5cm)×5.4×10マイナス6乗
放射性セシウム137 1400×1600(s/1立方メートル)×0.05(深さ5cm)×2.1×10マイナス6乗
※2 地表5cmの線量=地表1mの線量×1.41−0.02
※3 興野保育園は、たまたま足立区ホームページの冒頭にあったので引用しています。


14:八広幼稚園砂場のBq/kg値をシーベルト換算すると、、原子力委員会河田によれば0.48、足立方式で1.10になります。測定値5の約2倍です。
また、18:も大きくかけ離れていますので、ベクレルとシーベルトの換算はとりあえず難しいということでしょう。しかし、ベクレルだけではわからないものも見えてきます。
※ 換算表8: 強制避難地域並に汚染された柏市の実態 2011/8/5(金)
http://blogs.yahoo.co.jp/nothigcat2000/20843084.html

 柏市の高級住宅街で5万ベクレルもの異常値が検出されたと週刊現代(2011年8月6日号)は報じている。その内容とは、
・放射線計測学を専門とする神戸大学の山内知也教授は、6月下旬、福島市内4ヵ所で土壌の調査を実施した結果、各地から土1kgあたり約1万6000~4万6000ベクレルの線量を検出
・その福島市よりさらに高いレベルの数値が、なんと福島原発から200kmも離れた千葉県柏市(JR柏駅西口から約1・2km、徒歩12分ほどのところにある高級住宅街)で土1kgあたりセシウム134が2万3663ベクレル、セシウム137が2万8884ベクレル、合算すると5万2547ベクレルもの放射線量が検出
・柏市の土1kgあたり5万ベクレル超という値は、1平方メートルあたりに換算すると1平方メートル当たり約340万ベクレルというとんでもなく高い数値が算出
・セシウム137だけでも約188万ベクレルで、旧ソ連が設けた強制避難区域の基準を、軽々と超えてしまう
・福島原発から30kmほどの南相馬市で土壌の放射線量とこの柏市の土壌の汚染はそれとほぼ同じレベル
・チェルノブイリ原発から70kmほど離れた汚染土壌の浄化作業場地の汚染度は土1kgあたり2000ベクレルで柏市から出た5万ベクレルよりずっと低く、チェルノブイリなら強制避難区域になるほどの数値
・ベラルーシが独自に厳しい基準を設け、1平方メートルあたり55万5000ベクレル以上が検出された地域を「強制避難区域」として、約11万人を移住させたが、住民は被曝し多数の子どもたちに深刻な健康被害が出た
・現在、政府が定める被曝の許容基準値は、年間20ミリシーベルト。しかし、仮にこの土壌の上で生活すれば、それだけで年間で88ミリシーベルトを被曝することになる。
・汚染レベルは、実は福島県内の汚染地域と変わらず、行政はまずは細かく放射線のレベルを大気中だけではなく、土壌検査も行う必要がある(山内教授)
・市はこうした情報を黙殺しており、こうした行政の姿勢を日本科学振興財団副会長の藤井石根・明治大学名誉教授は、
「土壌が汚染されていることが判明すると、農作物の風評被害が出るからと恐れて、対応に二の足を踏んでいるというならとんでもないことです。それは隠蔽と同じ。被害者を増やしてしまうだけです」と批判
※ 換算表18: 
高濃度セシウム、横浜市でも検出!首都圏は“総汚染”か 2011.09.17 夕刊フジ
 横浜市は17日、同市港北区大倉山の住宅街にある車道側溝の堆積物から、1キログラム当たり4万200ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。地上50センチの空間放射線量は毎時0.91マイクロシーベルトだった。
 同市放射線対策部は「市が測定した中で最も高い値だが、健康に影響が出るレベルではない。どのような場所で高放射線量になるのか、把握していきたい」としている。
 市によると、側溝は雨どいの下にあり、独自に調査した市民からの連絡を受けて調べ。このほか雨水がたまりやすい港北区内の植え込みなど3カ所でも、同1万1320〜3万5千ベクレルが検出され、土砂など計13キログラムを管理施設に保管した。

※ 換算表18:を見れば(見るまでもなく?)、とんでもない数値であることがわかります。チェルノブイリ「第1強制避難区域」です。どうすると「健康に影響が出るレベルではない」と言えるのか、またそれを報道人として載せられるのか、「頬かむり」以外には合理的解釈ができません。






週刊墨教組 No.1643       2011.9.20

見えないものを見る
 放射線測定器入手!


線量計を手に入れた
 線量計を手に入れました。Mr.Gamma A2700型 クリアパルス株式会社 約十四万円のものです。
 ちょうど自民党石原伸晃氏がNHK日曜討論で、「四〜五万の線量計は数値がまちまち。市民に線量を計らせないようにしないといけない」と発言し、国民生活センターが安物の「測定器の示す値を直ちに信頼」しちゃあいけないよとご丁寧に発表したころです。※1
 「TCS-171」は区でも測定に使っているものです。さすがに高価だから測りに来る回数が少ないのか・・・? それにしても「十万円未満」と比較するのが五八万のものとはずいぶん価格に差があります。「校正済の参考品」というのはこれ以下の価格、例えば十万円台ではないのでしょうか? 何よりも、ネットなどでも線量計を手に入れたいと多くの人々が願って行動している時に、「測定器の示す値を直ちに信頼することは避け」なくても良い製品は何か、「こうした目的で購入・使用すること」に適したものをはどれか(もっとも、「食品・飲料水等が暫定規制値以下かどうかの測定」するために線量計を使うというのは本来の目的ではないと思うが)を紹介することが「国民生活センター」の務めではないでしょうか。

機器共有の申し込み開始
 左記のように、この線量計は多くの方に購入費を分担していただきたいのです。本来、行政がしなくてはならないことをするのですから、線量計購入費は余計なことです。それを敢えてするその怒りを共有していただきたいのです(よりはっきり言えば、わが組合に今これを買うだけの金がない)。二つ目には、線量計の使用も分担していただきたいのです。組合が所有してみなさんの必要に応じて計測に行くことができるのが一番いい形かもしれません。が、そんなことはできません。また、この際だから線量計の使用に慣れてみようという目的もあります。全学校で最低二回は環境保全課が計測に来ましたが、私たちは一つも計測について学習しませんでした。。自分で測ってみないとだめなのです。また、中学校では来年度からその使用が教育課程に入ると言われます。これから私たちは長いこと放射線と付き合わざるを得ないでしょう。今のところ、見えない放射線は線量計で測るしかないのです。
 
測定の実際
 さて、国民生活センターの言うことは本当でしょうか(ただ、Mr.Gammaについては何も言ってないのですが)。 私たちは、多くの地点で計測を開始しました。まずは区が八月末に計測した地点で、ほぼ同じ数値であることを確認しました。どうやら五八万円の製品に追随しているぞ。
 半年もすると、耳情報だけで、どこが高い線量なのか「わかる」ようになります。雨樋と側溝。一言で言うが、これは六か月に亘る、そしてこれからもずと続くであろう福島や各地のホットスポットでの受苦の「成果」なのです。広い面積の水が集められてしかも付着しやすいものがたまっている所。柳島幼稚園・八広幼稚園の砂場はそういうところだといいます。
 七月、墨東病院医師による講演会で、参加者から「しげみや端の方を計測してほしい」との要望を区は拒否しました(週刊墨教組先々号に掲載http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen_kekka/kouennkai-housyasenn.files/kouennkai-situgi.pdf)。あるまじきことです。
 しかし、八月に原子力災害対策本部から出された「除染に関する緊急実施基本方針※2」は、六か月以上たつのに未だ緊急時の20μSv/時を前提にした不十分なものですが、「年間1ミリシーベルト以下の地域は」(0・25μSv/時以下の地域)は「面的な除染が必要」ではないが、「側溝や雨樋など局所的に高線量を示す箇所があることから、国は、県及び市町村と連携し、住民を含めた関係者が安全かつ効率的・効果的に除染を行えるよう必要な支援を行います」としています。一か月の間に区がより住民の安全に立っていることを願っています。マイクロホットスポットの調査計測と除染こそ、今の墨田区の焦眉の課題なのです。
(続く)

放射線測定機器共有のお誘い
 8月に購入することを予告し、多くのみなさんからどのように出資し運用するのか問い合わせがありました。品薄で機器自体が入手できるか心配だったので、現金は預かりませんでしたが、とうとう、手に入りました。
 定評のあるクリアパルス社のMr.GammaA2700型です。
 1口5000円の出資金で、30口でこの機器1台を支えます。基本的に、1口で30日(1月)に1度の使用権があります。職場で10人が5000円ずつ出せば月に10日使えるのか?との質問もいただきました。そうです。ただ、順番などは組合で決めさせていただきます。
 これは、あくまで「緊急避難」的措置です。本来は行政がきちんと測定すべきです。ですから、すぐに心配な所をこの機器で測定できますが、同時に行政に要求する(区がより細やかに測定したり学校・町会等に線量計を配布したりするよう、区を突っつく)ことを忘れてはなりません。
「安全」も「安心」も事実から始まります。色も匂いもない放射線は線量計で見つけるしかありません。
 私たちと子どもたちを守るために、この機器共同購入にご参加ください。
 正しい手法でていねいに測ること・結果を私たちに知らせていただくこと・基本1日で次の方または組合執行委員に手渡しできることぐらいが条件です。組合員であるなしにかかわらず、どうぞ。
 くわしくは組合書記局にご連絡ください。


※1 国民生活センター、通販で購入できる放射線測定器9製品を調査
 テストした製品は、国内で販売されている1万円以上10万円未満で購入できる9銘柄と、校正済の参考品として選ばれた「日立アロカメディカル TCS-171」の合計10機種。
 製品の購入先は、楽天市場、Yahoo! ショッピング、Amazonマーケットプレイスなど。
 TCS-171はシンチレーションサーベイメータと呼ばれる高精度な測定器具で、希望小売価格は588,000円。
 結論として、テストした9製品には、通常環境中の放射線量や食品・飲料水等の暫定規制値以下であるかどうかの判定に利用できる性能がなかったことになる。
 国民生活センターでは、消費者へのアドバイスとして、次の2項目を警告している。
1)今回テストを実施した放射線測定器では、食品・飲料水等が暫定規制値以下かどうかの測定はできないので、こうした目的で購入・使用することは避ける。
2)環境中の放射線を測定する場合、公表されているデータ等を参考にし、測定器の示す値を直ちに信頼することは避ける。」

※2 除染に関する緊急実施基本方針
 平成23年8月26日 原子力災害対策本部
(ウ)追加被ばく線量がおおむね1ミリシーベルト以下の地域
@ おおむね年間1 ミリシーベルト以下の地域は、放射性物質の物理的減衰及び風雨などの自然要因による減衰(ウェザリング効果)などを勘案すると、基本的に市町村単位での面的な除染が必要な線量の水準ではありません。
A 他方、側溝や雨樋など局所的に高線量を示す箇所があることから、国は、県及び市町村と連携し、住民を含めた関係者が安全かつ効率的・効果的に除染を行えるよう必要な支援を行います。

内部被曝の真実 児玉龍彦 幻冬舎新書 2011・9
 今の放射能汚染はかなりの部分が、原発から放出された微粒子に付いて,土壌の粘土分に付着したセシウム137からの放射によると思われ、土壌の除去が鍵となる。(P99)
 我々(東京大学アイソトープ総合センター)が南相馬で行っている幼稚園、保育園の除染では、平均0.5μSv/時の幼稚園で、雨樋下などで5〜10μSv/時、滑り台下で2・5μSv/時など5〜10倍のミニホットスポットが見つかっている。放射能は測定しやすい特徴があるので、高い所から除染していくことにより、効果的な除染が可能である。
 放射線障害は、細胞増殖の盛んな子ども、免疫障害のある病人におきやすいことから、保育園、幼稚園、小学校、中高等学校と年齢の若い児童・生徒の接触、吸入可能性のあるところから除染が急がれる。(P99〜100)


自治体の方にお願い(速報)
 2011年09月17日21時48分  武田邦彦(中部大学)
 横浜市でマイクロスポット(小さいホットスポット)について市民から情報提供があり、市が測定したところ、横浜市の普通の場所は0.1マイクロシーベルト(毎時)ぐらい(横浜市は0.03と言っている)しかないのに、0.91もあるところが発見されました。市の発表の30倍です。L字側溝と雨樋などの組み合わせのあるところでした。
 子供などはよく道を歩くときに側溝に近づいたりします。0.91というと年間8ミリシーベルトにもなります(このような時に「いつも側溝にいるわけでもないので問題ない」ということで8760時間を乗じない自治体がほとんどですが、それは間違っています。もし側溝だけの時間で考えるなら、その子供の全時間の計算と食材からの内部被曝も計算しなければなりません。それをしないのなら8760時間で計算するのがこのような場合の計算の仕方です。)
 この表では何を撤去したのか不明ですが、撤去後は減少しています。またキログラムあたり4万を超えるベクレルもかなりの放射性物質がそこにあることを示しています。 ある地域の線量が**マイクロあるというデータも大切ですが、公園の真ん中だけ測るなどということはできるだけ止めて、マイクロスポットを積極的に測り、そこの汚染をのぞき、マップを作り、できるだけ被曝量を減らすようにしなければなリません。


6万人(主催者発表)の大集会
9・19さよなら原発 明治公園


9・19集会
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/658.html


週刊墨教組 No.1642 2011.9.12

墨田区教職員組合は主張する
 区に対して私たちは次のことを要求しています


「土曜授業」撤回・凍結
 「土曜授業」の弊害は、明らかです。プロパガンダ広報誌以外に、「土曜授業」を評価する声は聞こえてきません。たった四か月でも、教職員と子どもたちに疲労が蓄積していきました。「週休日の変更」という極めて基本的なことすら、きちんと行われていません。
 そもそも、学校週五日制というルールを破らなくてはならない理由など何もないのです。
 無責任な「墨田区立学校における土曜授業に関する意見交換会」報告をもとにつくられた二〇一〇年九月区教委プラン、「二〇一二年度は月に二回」などという「思いつき」は、絶対に実現させてはなりません。私たちは都教組墨田支部のみなさん・良識ある職場のみなさんとともに、昨年に倍する反対運動を展開します。

現在の「ICT化」には反対
 十月初旬期限の情報担当藤田さん宛てアンケートがきています。技術的なことはこれまでも「要望」を出してきましたが、「ICT化」そのものに対する全教職員に対する意見収集は初めてです。これは、私たちが、「校長にではなく現場の教職員に話を聞け」と要求していたことに合致します。
 これ以上ひどくならないようにしなくてはなりません。あのひどい通知表を「区教委が決めた」と偽って、昨年度踏みとどまっていた学校に押し付けた校長もいるのです。そしてほんのわずかの、教育の条理の分かっている校長が、「通知表は学校が決める」という線を守っているだけです。
 虚しさと無力感とめんどくささは付きまといますが、アンケートに「協力」しましょう。正直なところを書きましょう。アンケートというものは、回答者には必ず集計された結果が報告されるものだからです。

福島原発事故への対応
 墨田教組は「反核・反原発」の立場を貫きます。日本の「経済成長」・「活力」・「都市の利便性」・「冬の暖房」・・・よりも、「人の生命」と「人生の決定権」(住みたいところを追われることはない)を優先します。そもそも私たち「教育に携わるもの」は「人の再生産」を業としているのですから、命優先にならざるを得ません。「死ね」と命ずる教育の反省の上に私たちはこの仕事をやっていることを忘れてはなりません。
 ある学校では、計測の不備と区としての安全判断の欠如を理由に、水泳指導の一部を中止しました。
 ある学校では、活動の場に予定した茂みの放射線量を測るよう、区に要請しました。
 「東京ではまるで何事もなかったような時間が流れている」と言われます。それは「福島を忘れるための時間」です。しかし、各職場では福島を見据えた真摯な運動があります。
 署名・九・一九明治公園集会参加に全力を傾けてください。
 




区に対する要求から
1.職場労働環境の改善
(3)「土曜授業」は、学校五日制と教職員の完全週休二日制を崩すものであり、だれも望んでいない。ただちに撤回されたい。また、週休日の変更を確実に区教委の責任において行うこと。労働条件の変更として組合との交渉に入ること。また、児童・保護者を利用したPR、墨田区報6月21日号1面記事を撤回すること。

2.教育環境の改善 (1)区の教育施策について
A「学校ICT化」にあたって、その趣旨に反し未だ学校現場の事務時間縮減を果たしていない。
◇「ICT化」のために無駄で余計な時間が使われており、その趣旨に反する。時数計算などこれまでのやり方の方がずっと短時間で行われる。
◇NEC学びの扉は非常に不便で融通の利かないソフトである。前情報担当者ですら、エクセル一括処理という素人でもできるつまらない修了証を作らせることしかできなかったようだ。「要望一覧」で普通のパソコンなら誰でもできるようなことでも「ご意見を参考にさせていただきます」だけ。NECの対応のまずさだけでなく「ICT化」そのものの不備を証明している。現場の意見に対応できるようNECと契約を更改するか、サードパーティーを導入すべきである。
◇より多くの教職員・学校関係者が情報を入手できるよう、従来通り黒板を使ったりして、情報から疎外され教職員の間に情報格差がないように措置すべきだ。
◇ICT支援員が入力しなくなったために、児童情報は統一性を失いデータベースとして機能しがたくなっている。入力業務は、個々の判断ではなく専門的な支援員により統一した書式で行わなくてはならない。支援員の増員を図ること。
◇「ICT化」に必要なものは何か、不要なものは何かを直ちに調査し、組合と相談・協議して改善策を明確にすべきだ。

C予測される巨大地震・深刻化しつつある福島原発事故に対応して、児童・教職員の安全を図るための施策を緊急に行うこと。
・各学校が児童生徒・保護者に対応できるように、必要な機材を持ち、また必要な知識を備えること。
・各学校で継続的に放射線量を測定・調査し公開すること。
・これまでと違った災害の想定(例えば放射能雲の再来)・避難訓練の在り方など、学校での対応を具体的に決めるために、まず、区教委としての防災対策を策定すること。
・原発事故からの安全教育・脱原発教育を進めること。
・脱原発の視点から電気使用量の削減を図ること。その際、不要な行事・必要性のない土曜授業を削減すること。
・文科省暫定基準20msv/yに抗議反対すること。また、それに従った指示・文書を出さないこと。
・区としての明確な基準値やその根拠・基準値を超えた場合の対応を策定すること。



組合に入ろう
 労働者が自身を守るために労働組合が必要であり、労働組合に労働者が入らないと労働組合が弱くなる、入らないことを選んだ労働者自身がより過酷な競争に投げ込まれ消尽していくという悲しい法則があります。
 私たちの主張は、みなさんの考えとそれほどはかけ離れていないと思います。より多くのみなさんが、法に認められている労働組合に参加することによって、その主張・考えが実現します。あなたの組合参加を切望しています。



「原発にさようなら集会」
この集会は極めて重要な集会です。6月11日に3万人が新宿に集まったのは60年安保以来だという説もあります。5万人が脱原発で集まれば、明らかな世論となります。募金もやった、署名もやった…。そして来週月曜の集会です。私とあなたが、5万人のうちの一人として歴史に刻まれることを願っています。
9月19日(月)13:30 
明治公園 その後パレード
舞台に向かって右手に日教組・墨田教組の旗があります。
呼びかけ人 内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、
澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔



被災地の学校に本を送るムーミンの会活動報告


本を送った学校(40校)
 石巻市立小学校:26校  石巻市立中学校:4校
 大船渡市立小学校:5校  東松山市立小学校:5校
 東北朝鮮初中級学校

活動報告
 本を送り始めたころ、大川小など被害の大きい学校に連絡しましたが、とてもそれどころではないという大変な様子が伝わってきました。そして、内陸部の学校に声をかけるようにしました。内陸部の学校では、図書館から本が借りられない、図書予算が不明で新しい本が買えない、本屋さんも開いていないということで、喜ばれました。被害の大きかった学校に、いつか本を送ることができたら嬉しいし、被災地の学校の復興を見守りたいです。
被災地の学校からのお便り
子どもたちから
・ムーミンの会のみなさんへ 本を送ってくれてありがとうございます。たくさんよむので、おしごとがんばってください。 (石巻市立湊第二小学校2年生)
・このまえはありがとうございました。いっぱい本を読んで いっぱいべんきょうします。(石巻市立湊第二小学校2年生)
・このあいだの東日本大震災で本屋などがこわれてしまって、本が買えなかったので、学校に本を送ってくれて、うれしかったです。私の部屋の本は、津波が2階までこなかったので、ぬれないけど全部落ちてきて、少しこわれた本もありました。本を買いに行こうとしても、売っているところがないので、ありがとうございました。これからも、たくさんいろんな本を読みたいと思いました。私も大きくなったら本をとどけたいです。(石巻市立貞山小学校6年生)
・被災した僕たちは、ずっと本を読めませんでしたが、こういう支援物資の本を頂いて全校の人たちが本を読めるようになりました。ありがとうございます。1年生から6年生までの学年が楽しめる本を頂きました。すごくうれしいです。今後もいただいた本を大切にし、本を読み続けます。頂いた本は、今、休み時間に読んでいます。本当にありがとうございました。 (石巻市立貞山小学校6年生)

学校から
・矢本西小学校 先日はたくさんの本を送っていただきまして、本当にありがとうございました。東松山市からは本年度の予算がまだ示されず、親書を購入することも出来ないでいただけに、なによりの贈り物でした。早速、保護者の図書ボランティアさんに整理していただき、ムーミン文庫というコーナーを設置しました。子どもたちはとても喜んでそのコーナーの本を読んでおります。いただいた本がどれも子どもの心をひきつけるものばかりで、子どもたちの心が読書を通して癒されるのではないかと私たちも喜んでいます。・・・
・湊第二小学校 ・・校舎の被災が甚大で、母校にとどまれず、他校を転々とする不安定な日々を送ってきましたが、5月に入ってようやく学びの場を確保し教育活動を進めているところです。子どもたちの中には、家族・肉親との別れ、家屋の流失など物心両面にわたり、過酷な日々を送ってきた子もおりますが、校舎・教室に一同に会した子どもたちからは笑顔がこぼれ、笑い声が聞こえるようになりました。復興への道のりは緒に就いたばかりですが、皆様から頂戴した真心を胸に「大変だったけど乗り切ったね。負けなかったね。」と言えるその日まで1歩1歩前進してまいりたいと思います。・・・
・飯野川第二小学校 ・・この度は本校児童の学習環境改善に向けて、読み聞かせ用絵本をお送りいただき、誠にありがとうございました。低学年から高学年まで、それぞれの学年にふさわしい図書をそろえていただき、職員一同大変感激しております。早速、二学期からの読み聞かせの活動に活用させていただきます。本校は、幸いにして人的な被害や大きな校舎の損傷はありませんでした。しかしながら、壊滅的な被害を受けた沿岸部より一時避難的に転入してきた児童13名を受け入れ、心のケアに努めながら教育活動を行っているところです。・・
  以上一部を紹介しました。




週刊墨教組 No.1641         2011.8.29



健康に働くために
 8月4日に墨田区学校安全衛生委員会のメンタルヘルスセミナーが横川の研修センターで開かれました。
 こころとからだの元気プラザ 「こころの健康相談室」の松浦真澄先生の講演を聴きました。
 講演では教職員の健康調査(2006)のデータから 
■児童生徒および保護者の意識などの変化への対応 
■校務の多忙化 
■複雑化する生徒指導への対応の負担増 
■職場の支えあう風土の希薄化
など、私たちを取り巻く環境の劣悪な状況が数値データとして提示されました。
 病気休職者の推移は2000年には在職者の0.53%であったのが2009年には0.94%にまで増加。さらに病気休職者のうち63%が精神疾患による休職となっていることを確認し、改めて現在の教員を取り巻く環境の厳しさを実感しました。
 うつ病の症状、治療のために必要なこと、アルコール依存症などについての具体的な取り組み方、ストレスチェック、ストレスのマネジメントなど自分自身を客観的に観察することの意義を学びました。
 また先生オススメのリラックス呼吸法も実際にやってみることができました。
 当日は30人前後の参加者でしたが、ぜひ積極的にセミナーに参加し自分自身の健康、また職場の仲間の健康に目を向けることの大切さを多くの人に知ってもらいたいと思いました。





妙な安心と自信が危険
 計測と除染が必要


給食に疑わしい牛肉
 八月十八日、菊川小で 「放射性物質に汚染された稲わらを与えられた可能性のある牛肉の使用についてお知らせします」が区ホームページに掲載され、週刊誌などにもその記事が出ましたから、みなさん内容はご存じのことと思います。
 江戸川・千葉でも出ていたから墨田区だけが逃れることはできまい…と、思っていました。口にしてしまったみなさんはさぞ不安だと思います。
 「福島の食品を疑う者は風評被害を広げるものだ」「メルトダウンなんかしていない。事故は軽微だ」 事故発生当初の基本姿勢がこうだったから、対策は当然後手に回りました。追跡すら一カ月以上かかったのです。政府・東電が、あわよくば事態を過小評価するために実態把握すらネグレクトしたせいです。責任ある行政の採るべき姿勢ではありません。

虚偽の安全を広めてはならない
 六月三〇日の時点で、区が独自に検査していれば線量は把握できたはずですが、今それは言いません。むしろ今の在り方です。
 講演会「放射線を正しく理解しよう」※1で、「現時点では区独自の測定や規制は考えておりません。通常に摂取していただく分には安全であると考えております」※2と答えています。七月の時点で「安全です」と言ってしまったということは、「安全ですという虚偽」にのっていたということです。その時点で、虚偽を言ったことになります。軽々に「安全」を宣言せず、今どのような「安全策」が行われているのかを詳しく説明するべきです。あやふやなことに、「安全」「大丈夫」「気にしすぎ」と言ってはいけないのです。
 食品の安全基準が論議されていますが、抽出で基準値以下となっても他の個体は見逃されてしまうかもしれません。当然、小売店や消費者が調べるでしょう。その時に、やはりだめだった…と追跡調査を後付けですれば、今回と同じことが起こります。このようなことを繰り返さないために、区は、少なくとも子どもたちの食べる物については、基準値以下の、それもできるだけ少ないものを独自に検査し用意すべきです。

わかりにくい事はいけない
 つまらないことかもしれませんが、この記事は検索すれば一発で出ますが、区ホームページからはなかなかたどり着きません。トップページの囲み「区内の放射線量の測定について 」からのリンクされていません。「各課のページ→教育委員会事務局→学務課→お知らせ→放射性物質に汚染された稲わらを与えられた可能性のある牛肉の使用についてお知らせします」という深い所、「2010年12月10日掲載」記事の次にあります。行政の縦割りではなく、放射線関係は一か所から見られるようにしてほしいものです(「区内の放射線量の測定について」もやや複雑)。

望まれているのは徹底した計測
 講演会の質問で多くの方が、子どもが現実に遊ぶ場所を計測してほしいと言っています。当然のことです。
 「比較的高いといわれている側溝や植え込みの根元などで測定していただきたい」との質問(意見)に、区は、次のように答えています。
 「区の測定にあたって、測定場所等については東京都が示している基準に準じております。それは土が露出している部分であり、周りに雑草等のないところ、それから近くに大きなビルや大きな木が無いところということです。その結果として、公園等の中央付近の土部分になったということです。」※3
 それはその通りでしょう。「科学的調査方法」としてはそう決められているのでしょう。でなければデータ同士の比較もできません。しかし、質問者・参加者が言っているのはそういうことではありません。自分(たち)の子ども(たち)の安全を問題にしているのです。
 「不安に思っている方の多くは、子どもの遊ぶ・・・数値の高そうなところを狙って測定していただければ逆に安心できるのではないでしょうか」
 区「お気持ちはわかりますが、お子さんが集まる砂場の測定をしておりますし、植え込みの中に入っていくお子さんが多いかということがありますが、やはり多くのお子さんや皆さんが集まる場所を測定したということになります。」
 「気持ちはわかる」ならばやるべきでしょう。「砂場の測定をして」も「植え込みの中」の線量はわかりません。「多くのお子さんや皆さんが集まる場所」でない所に行くあなたのお子さんが悪いと言わんばかり。失礼です。

平均してしまえば「安全」
 一六三九号で紹介した「放射能防御プロジェクトによる関東一五〇か所土壌汚染調査結果マップ」に対して、「特別に高い所を測ったのだから役に立たない」という批判がありますが、一人ひとりの個人にとっては特別な所こそが問題なのです。
 いかに校庭の真ん中を含む平均値が限度量以下でも、高汚染かもしれない茂みの中にもぐりこんだら安全は保障されまされません。平均すれば「日本」というのは放射能汚染問題はないとされるでしょう。人は平均の中に生きるのではなく、個別具体の中で生きているのです。

平均ではわからない個々の放射線量
 文科省が、何やら怪しげな「学校の毎時3・8μSv/時基準廃止」を八月二六日通知しました。読売新聞※4 は「毎時1μSv/時は、年間の積算放射線量が1mSv/yを超えない目安」と、あたかも制限値年間1mSv/年が実現したように書いています。ああよかったと喜びの声がわいてくるはず…ですが、一向に聞こえてきません。先号で紹介したように、これが「謎の計算式」によるものであり、子どもたちが学校にいる時だけを保証するものだからです。読売新聞にも小さい字で「子供が学校で受ける積算線量を」と書いてあります。※5 
 だから、この怪しげな「安全」(街の線量は学校よりずっと低いと仮定しています)は、通学路の個別の現実の放射線量によって簡単に否定されてしまいます。※6

現在を知ること
 三月末に来た風に乗ってやってきた放射性物質は、ふわふわっと漂っていたり、下水道に流されていったり、ある所で固着していたりするのでしょう。この後、補給がないとは言えませんから、その心配(=今度こそ手遅れにならずよりましな対応ができる準備)をしなくてはなりません。
 下のグラフから、次のことがさしあたり言えます。
・隅田公園の値は、「B屋外」マイナス0・2μSv/時程度で推移している。だから左に線を描いていけば、三月末に0・5μSv/時を浴びただろうと考えられる(足立では1・24μSv/時を記録している)。
・半減期の短い放射線もたくさん降下したのだろう、急速に線量は下がり六月以降ほぼ一定である。
・一定ではあるが、それでも日により場所により、様々な値をとる。これは計器の誤差か、それとも移動によるものか?

継続した測定
 八月二三日から、九月に向けて全小中学校・幼・保育園で二回目の測定が始まりました。
 継続した計測でないとわからないこと・できないことがたくさんあります。 柳島幼稚園・八広幼稚園の砂場はいつから汚染されていたのかわかりません。墨田五丁目運動広場ももっと早く測定するべきでした。
 また、各地点とも七月との比較が必要です。せめて週ごとのデータがあればいろいろな傾向がわかりますが、二回だけでも地域的な特徴などはつかめるかもしれません。環境保全課での解析やデータの自由な利用が求められます。

ポイントの除染
 講演会で講師は、「平均的なところで高くない時にそれ以上の労力は使わなくて大丈夫です。平均的なところの数値が高かったら心配しましょう。」
 区が現在計測している所(平均的なところ)で0・25μSv/時に近いければ「平均的な所で数値が高い」といえるでしょう。
 今できることは、計測し、放射線量の高い所を除染するしかありません。「立ち入り禁止」だけでは放射性物質が移動して吹き溜まり・あるいは流されて新しい高汚染場所を作る可能性があります。集められた放射性物質(下水処理汚泥も含む)の処理・隔離場所の課題はありますが、直ちにはできない畑・森林以外は除染するべきでしょう。

以下資料

※1 講演会「放射線を正しく理解しよう」
区が実施した大気中の放射線量等の測定結果を踏まえ、放射線について正しく理解することにより、様々な情報に惑わされることなく区民の皆さまの不安等に冷静に対応できるよう、保育園、幼稚園、小学校、中学校の関係者を対象に講演会を開催しました。平成23年7月16日(土曜日) 10:00から12:00まですみだリバーサイドホール イベントホール
 【講 師】 都立墨東病院 診療放射線科部長 小山和行先生 【参加者】 183名
http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen_kekka/kouennkai-housyasenn.htmlに詳細な記録


※2 Q6 給食は、政府の今の暫定基準値をクリアしたものを食べ続けていても、気にしなくて大丈夫ということでしょうか。
A6(講師) 基本的にはそういう考え方で良いと思います。
Q8 汚染されている稲わらが出回っているということで、ストロンチウムのような物質も含んでいるのではないかと心配しています。牛も福島近郊だけでなく全国に出回っているようなので、給食と内部被曝について気にしています。牛乳や牛肉だけでなく、食品について気をつけることがあれば教えていただきたいと思います。また、大丈夫というお話ですがストロンチウムのような物質は排泄されずに体内に蓄積されていくと認識しているので、子どもが摂取するのはすごく心配です。区で食品の規制などを考える必要はないのでしょうか。
A8(区) 食品については国の基準等も示されているので、現時点では区独自の測定や規制は考えておりません。通常に摂取していただく分には安全であると考えております。


※3 Q9 区の放射線量測定については、結果として園庭や公園の中央付近が測定場所となったということでしたが、せっかく測定するのですから比較的高いといわれている側溝や植え込みの根元などで測定していただきたいと思います。いかがでしょうか。
A9(区) 区の測定にあたって、測定場所等については東京都が示している基準に準じております。それは土が露出している部分であり、周りに雑草等のないところ、それから近くに大きなビルや大きな木が無いところということです。その結果として、公園等の中央付近の土部分になったということです。

Q10 不安に思っている方の多くは、子どもの遊ぶところ、数値の高そうなところで測定してもらいたいと思っています。週刊誌等と区の発表数値の違いについて問題になることがよくあると思います。区でも高そうなところを狙って測定していただければ逆に安心できるのではないでしょうか。
A10(区) お気持ちはわかりますが、お子さんが集まる砂場の測定をしておりますし、植え込みの中に入っていくお子さんが多いかということがありますが、やはり多くのお子さんや皆さんが集まる場所を測定したということになります。


※4 学校の毎時3・8マイクロ・シーベルト基準廃止
2011年8月24日03時04分 読売新聞
 政府は、学校での屋外活動を制限する放射線量としてきた毎時3・8マイクロ・シーベルトの基準を廃止し、今後は同1マイクロ・シーベルトを目安に校庭などの除染を進める方針を固めた。
 基準線量が高すぎるとの批判や、福島県内外で独自に除染が進められている状況を受けたもので、事実上これまでの「安全値」を見直す形だ。文部科学省は、子供が学校で受ける積算線量を年間1ミリ・シーベルト(1000マイクロ・シーベルト)以下に抑えることを目指し、除染費用を支援する。
 毎時1マイクロ・シーベルトは、年間の積算放射線量が1ミリ・シーベルトを超えない目安と位置づけ、屋外活動を制限する新たな基準とはしない方針。年間1ミリ・シーベルトは、平常時に自然界や医療行為以外で浴びる線量の限度とされる。

※5 1mSv/y→0.19μSv/時
 →0.26μSv/時 自然放射線を0.06μSv/時として、
   5mSv/y←1μSv/時

※6 放射線で通学路見直し要請へ 8月23日 5時16分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110823/t10015075511000.html
 福島市のすべての小中学校が、先月、通学路の放射線量を調べたところ、80%の学校で、1時間当たり1マイクロシーベルト以上の通学路があったことが分かり、福島市教育委員会は、各学校に対してより放射線量の低いルートに見直すよう文書で要請することになりました。
 東京電力福島第一原発の事故の影響で福島市では、比較的高い放射線量が測定された地区があったことから、市内72のすべての小中学校は、先月、通学路の地表から50センチの高さの放射線量を調べました。その結果、80%に当たる59校で、放射線量が1時間当たり1マイクロシーベルト以上の通学路があったことが分かりました。また3マイクロシーベルト以上の通学路は9か所あり、最も高い値は8.17マイクロシーベルトだったということです。このため福島市教育委員会は、各学校に対し、放射線量の高い通学路をより線量の低いルートに見直すよう文書で要請することになりました。できるだけ早く各校に通学路の見直しを終えてもらい、新しい通学路を子どもと保護者に伝えることにしています。福島県教育委員会によりますと、原発の事故のあと、放射線量を理由に、学校に通学路の見直しを要請するのは、福島市が初めてということです。

国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)敷地内における放射線の測定結果と   隅田公園測定結果 
天候は柏市




屋外運動場での測定結果
http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen_kekka/okugaiunndoujou.html
測定日 8月18日
測定場所 墨田五丁目運動広場
(墨田五丁目16番)
天候 晴れ
測定数値(μSv/時)
5cm 50cm 100cm
裸地 0.20 0.13 0.14 芝生 0.24 0.14 0.11 墨堤通側芝生北 0.15 0.09 0.09 墨堤通側芝生南 0.41 0.15 0.14

墨田五丁目運動場広場の一部(墨堤通側芝生南)で比較的高い放射線量が計測されました。
直ちに健康に影響の出るレベルではありませんが、一部の箇所についてしばらく立入禁止の措置を取るとともに、草刈等を行い、放射線量の低減を図っていきます。

「原発にさようなら集会」にお集まりください
 3月11日の東日本大震災によって、東電福島第一原発は、1号炉から3号炉までが最悪事態の炉心溶融(メルトダウン)を引き起こしました。
 水素爆発、工場外壁の破壊などによって、高濃度の放射性物質が、海水、大気、土壌に放出され、環境を汚染するという未曾有の大事故となりました。
 2ヶ月がすぎても原子炉の暴走は収束する気配がなく、いまなお極めて不安定な状況がつづいています。これまでの放射性物質の拡散量だけでも、地域の住民と労働者ばかりか、まだ生まれていない将来の子どもたちの健康と生命にとっても、計り知れない悪影響を与えると危惧しております。
 原子力と人間の共生など、けっしてありえないことなのですが、それに気づいていながらも、私たちの批判の声と行動があまりにも弱かった、と深く悔やんでおります。
 いま原発を拒否する声はさまざまな運動となって拡がっていますが、わたしたちはこれまでの怠慢を反省し、政府や財界や電力会社などが、原発推進の巻き返しにでないためにも、さらに大きな市民の力で、原発依存の生活から脱却する道をあゆみだしたい、と念願します。
 わたしたちは、自然を収奪し、エネルギーを無限に浪費する生活を見直し、自然エネルギーを中心とする「持続可能な平和な社会」にむかうために行動します。その目標です。
1.新規原発建設計画の中止
2.浜岡からはじまる既存原発の計画的廃止。
3.もっとも危険なプルトニウムを利用する「もんじゅ」、「再処理工場」の廃棄。
 これらを実現して、わたしたちの生存と未来の子どもへの責任を果たします。
日時……2011年9月19日 13:00〜
場所……東京・明治公園 集会後、パレード



集会呼びかけ人

内橋克人 大江健三郎 落合恵子 鎌田 慧 坂本龍一 澤地久枝 瀬戸内寂聴 辻井 喬 鶴見俊輔


第2回分会長会
9月9日(金)
5:30〜
組合事務所

本所1丁目法恩寺裏
「土曜授業」反対のために
定年制度について
2011賃金闘争他
定時に始めたいと思います。タクシー等使ってお集まりください。(領収証を)


〜「朝鮮学校も無償化に!下町集会U」〜
 9月16日(金)18時開場、18時30分開始
 曳舟文化センター2階 

 金舜植弁護士による講演
「朝高生の無償化排除国倍訴訟を支援しよう」 

  東北朝鮮初・中級学校支援・視察報告

  その他 (資料代500円)
 〔主催〕 朝鮮学校も無償化に!下町集会実行委員会
問い合わせ先 chosengakko_musyouka@yahoo.co.jp




週刊墨教組 No.1640 2011.8.25


職場をより働きやすく
   子どもとかかわる=働くということ
 権利実態アンケートの結果報告



 権利実態アンケートへ調査へのご協力ありがとうございました。
みなさんから寄せられたものと東京全体のものから、結果と特徴的なことを若干お知らせします。

1.年休について
 一〇日〜二〇日が最も多かった。東京都全体から見ても二〇日間の休暇を取っている人が多かった。墨田区では、一〇日以下と言う人はほとんどいないのに対して、東京都全体では三分の一もいるという結果が出てきました。その中で年休取得が〇日いう人も数名いました。生休はとりにくいようですが、権利を存続させるため、皆さん頑張って取られていることが数字の上でわかりました。

2.勤務時間・休憩時間について
 墨田区、東京都ともに守られていないが圧倒的に多かった。土曜休日出勤をしている人の数も回答者の半数以上の人がしているという回答があり、若い教職員の増加とともに増えており、公務の多忙さが数字の上でもはっきりしてきました。

3.疲労度について
 墨田区は七五%の人が疲れを訴えています。(東京都全体では六八%)その中でで、通院されているが、半数以上おられることから、元気よく働き続けるためにも、学校安全委員会にもっと機能してもらう必要があります。

4.パワハラについて
 墨田区では、回答者の八二%(東京都では二六%)がパワハラを受けたと回答しています。今回目立つのは、副校長からのパワハラが増えているということです。そのいくつかを紹介します。
(校長)
・専科は暇だからもっと働きなさい。
・感情的な注意の仕方。聞いている方もいやな感じになる。
・退職に追い込むように仕向けるような挑発があった。
・意見を求められ、意見を言うと、それは違うと怒られた。
・無能呼ばわりされた。
・学年要望の時こちらの気持ちが全く伝わらず否定的な言葉があった。
・休みの行われる地域行事には出て当たり前という言い方。(調整なし)
・児童の実態について問題があるというと「あなたの指導が悪いから」と言う。
(副校長)
・休憩を使って出かけようとしたら、帰る時刻等しつこく聞かれた。
・細かいミスを攻め立てる。
・しょっちゅう怒鳴る。強い口調での叱責。
・暴言、無神経な対応。

 これはごく一部です。自由記述なので、少ないかなと思っていましたが、パワハラのくやしさをどこかに訴えていきたいという熱い思いが文章のすみずみから伝わってきました。
 パワハラ問題は、教職員の増え続ける病気休職者数の増加の後押しをしていることが、昨今の調査でも明確になっています。東京教組女性部としても都教委へも訴えているところです。各地では、パワハラ防止についての条例づくりにまで発展しています。
 パワハラは、黙って耐えるのではなく、声に出して訴えて、記録していくことが大事です。

5.アンケート集計を終えて
働き方が変わってきた中で
 ここ数年、正規雇用での教員の数と非常勤職員、再任用、再雇用、期限付き任用職員等非正規職員の数も増えてきており、それぞれが抱える問題もふえてきています。お互いの立場を理解して共に助け合いながら、楽しく働ける職場づくりをめざしたいものです。
 パソコンでの業務が増えて子どもと接する時間が減り、また、学力保障という名のもとに土曜授業が始まりました。子どもたちと寄り添う時間を削がれ、見える部分の所だけをきれいに飾るための仕事量が増えました。疲労の蓄積とパワハラの横行で、安全で安心して働ける職場という言葉から遠のいている実態が見えてきました。

「学校安全委員会」
 墨田区には、私たち教育労働者が安全で安心して働けるようにと「学校安全委員会」があります。
 八月四日にその委員会主催の研修会が横川小で開かれました。どういう時にストレスを受けるか? ストレスによる病気やストレスとの付き合い方などの話がありました。そのあと個別に相談会ももたれました。ちょっと元気が出る会でした。相談は年間を通して実施されていますので、不安なことがあれば相談してみるといいと思います。

子どもとかかわる仕事
 本来私たち教員の一番の本務は、子どもとかかわり、教育をつかさどることです。ところが、子どもとのかかわりは、たくさんある業務の一つになってきてしまっています。
 子どもを「規律」と名付けられた箱の中にきちんと納めておかなければ、次の業務に支障が起きる。保護者からもクレームがくるし、管理職からも指導力を問われる。そのことに専念するしかない。だから、子どもの声に耳を傾ける余裕がもてず、怒鳴ってしまう。そしてあとで、後悔する・・・。私たちの心はもうマヒしかけているのかもしれません。
 ちょっと前までは、子どもたちの元気な姿が一番に見える場所が学校という空間でした。子どもたちに寄り添い一人一人の子どもを大切にしながら、何とかしてクラスをまとめていきたいと悪戦苦闘していた時代はもう過去のことになってしまったのでしょうか。なんとか子どもたちの側にいたいとの思いから出てくる愚痴を親身に聞いてくれ、いろんなアドバイスをしてくれた先輩たちとのかかわりがあったから、一歩前に踏み出すことができた遠い記憶が蘇ってきました。何年か経ってその時の愚痴が自分の未熟さから出ていることを自覚することができたのも、組合の先輩たちのおかげでした。

組合員が多ければ
 組合は自分を裏切らない唯一のよりどころだったのです。そのよりどころが今はなくなってきています。「仲良しごっこ」では問題は解決していかないのです。
 これからの若い先生たちが、「仲良しごっこ」しかない環境の中で、心をなくしたロボット先生に流し込まれるのではないかと心配です。「八方ふさがり」「愚痴るしかない」「そこそこに」から一歩を踏み出し、解決のカギは何なのか・克服すべき相手は誰なのかを見据えて立ち向かっていかなければこの仕事はまっとうできません。組合がある時に。今ならまだ間に合う。組合員が多ければパワハラも減るはずです。勇気をもってはじめの一歩を踏み出してみませんか。墨田教組はいつでもウエルカムです。

※教育「学者」としていち早く被災地に入った大森直樹さん(東京学芸大)は「大震災でわかった学校の大問題 ― 被災地の教室からの提言」小学館101新書で、学校では何が大切にされなければならないか・子どもとかかわる仕事で大事なことは何かを、被災地と墨田の教育からていねいに説いています。ぜひご一読を。



「安全」も「安心」も
事実から始まる!
今・あなたの場所の放射線量は??
わからなくては何も始まらない
区は何故、我々に線量計を配布して
測定させないのだろうか?
区を突っついていても虚しい
私たちは
自前で放射線を測定する!!
放射線測定機購入!
一口5000円の出資金で

放射線測定機を共有し、口数に比例して使用できる形にします
趣旨ご理解の上ご協力お願いします
組合書記局にご連絡ください


〜「朝鮮学校も無償化に!下町集会U」〜
 9月16日(金)18時開場、18時30分開始
 曳舟文化センター2階 
 金舜植弁護士による講演
「朝高生の無償化排除国倍訴訟を支援しよう」 
  東北朝鮮初・中級学校支援・視察報告
  その他 (資料代500円)
 〔主催〕 朝鮮学校も無償化に!下町集会実行委員会
問い合わせ先 chosengakko_musyouka@yahoo.co.jp


人権の21世紀をつくる文化の集い 2011
差別をこえて…伝統芸猿まわしに生きる
講演と猿まわし芸:村崎太郎・次郎

 1961年、山口県光市生まれ。17歳で初代次郎とコンビを結成し、日本に途絶えた猿まわしを復活。次郎の“反省”ポーズで全国的な人気者になる。09年、自らが被差別部落民の経験を執筆した「ボロを着た王子様」を出版。ここ数年は次郎と共に、日本各地の限界集落、ハンセン病療養所、原爆被爆者の皆さんなどを訪ねる出逢いの旅を続けている。2010年6月に夫婦共著で「橋はかかる」を出版し、部落問題に関して新しい視点で言及し、話題を呼んでいる。同著は、全国学校図書館協議会の選定図書に認定されている。
9月8日(木)18:00開場18:30開演
きゅりあん小ホールJR大井町東口駅前・きゅりあん1階

後援 大田区、 品川区、 港区、 目黒区
主催 「人権の21世紀をつくる文化の集い」 実行委員会
 TEL 03-3762-7176
席自由/1000円 手話通訳あり




88周年追悼式
  関東大震災韓国・朝鮮人追悼

 1923年9月関東大震災が起きた直後より、「朝鮮人が暴動をおこす」などの流言蜚語が飛び、それを信じた人たちによって、数千名の韓国・朝鮮人が殺害されました。88年もの歳月がすぎた事件ですが、未だに犠牲者に対して、反省も謝罪もしていません。

 事件をなかったことにしょうとする力が、現在でもあります。「自警団がやった」と、軍隊や警察による事件をもみ消そうとする力もあります。だからこそ、追悼活動を続けなければならないと思うのです。 
 私たちは1982年から、毎年追悼式を開催して来ました。
追悼式を行う荒川の旧四ツ木橋周辺は、軍隊が出動して機関銃で撃ったこともあり、多くの犠牲者を出した場所の一つです。

どうぞ、韓国・朝鮮人殉難者を悼み、献花をお願いいたします。また、追悼碑にも、お立ち寄り下さい。
9月3日(土)午後3時より
荒川河川敷 木根川橋下手

        京成八広駅より徒歩3分   

上映会 「隠された爪跡」(1983年呉充功監督・58分)同日、午後1時より 墨田区立八広小学校 2階 音楽室
今年も李松子さんが「ポンソンファ=ほうせんか」他を歌って下さいます。式後に韓国・朝鮮で古くから楽しまれてきた「プンムル」の場をウリトの皆様が開いてくださいます。運営費のため、花一輪分のカンパを頂けたら、幸いです。 当日の草刈・会場設営・案内などのボランティアを募集しています。




さようなら原発全国集会
9月19日(月 休日)
1時30分から明治公園
集会後14時30分よりパレード

 1時間程度
主催 集会実行委員会 
主催者は5万人規模の集会を考えています。職場・地域・友人知人・家族親族に参加を呼びかけてください。

脱原発の声を集めるため、今からご準備ください。









週刊墨教組 No.1639 2011.8.19

危険の限度基準1mSv/yは法
 文科省の姑息な基準改竄 「正しく理解」の改訂版
 新たな「安全神話」=「福島の学校は安全」=「日本中・世界中安全」
 安全のために区は揺るがない基準と対応を明確に打ち出せ!


「安全神話」再興

 文科省は、20mSv/yを打ち出して囂々たる非難を浴び、ついには1mSv/yを目指す」と言わざるをえませんでした。しかしこの失敗・屈辱から何とか巻き返しをはかろうと躍起になっています。
 その一つは今に至るも20mSv/yを撤回しないままでいること。そしてもう一つの努力は、安全を「科学的」に根拠づけて安心を唱えることです。一見科学的に見えて実はそれがとんでもないインチキであったことは、この間の電力会社のやらせ問題・原発安全神話・七〇年代大規模公害問題において、嫌と言うほど見せつけられています。私たちにまたその轍を踏ませようとしているのです。

ひっそりと出された改訂版
 「放射能を正しく理解するために 教育現場の皆様へ 文部科学省 平成二三年六月二四日」左掲資料1という改訂版がひっそりと出されました。「気にする方が体に悪い」と言ったデマゴギーはそのままだし、メルトスルーがあったこともまったくふれてはいません。変わっているところは六頁「線量低減に向けた政府の当面の対応」(20mSv/yをめぐる右往左往)・七頁「『暫定的考え方』で屋外活動制限の目安となった『毎時3.8マイクロシーベルト』について」です。

「現実的にはあり得ない」と否定
 そもそも、「校庭に八時間」という「仮説」を立てたのは文科省であり、それを「ありえない仮説」と二か月で否定するなんて官僚にしては滅多にないことです。思わず20mSv/yを「ありえない」と否定しているのかと思ってしまいます。しかし前のものを「安全側に立った仮説」と称しています。否定した今は、「危険側」か、それとも露骨に「東電側」という意味でしょうか? よくわからない文章です。

『子どもの放射線に対する感受性を考慮』を外す
 大森直樹さん(学芸大学)の近著「大震災でわかった学校の大問題」(二〇一一年八月 小学館新書)を読むとどういうことが起こっているのかよくわかりました。
 「八時間校庭に立ち、残りの十六時間は同じ校庭の上の木造家屋で過ごす、という現実的にはあり得ない安全側に立った仮説」(文科省)という算出基準は、「被曝線量限度を大人と同じにしても問題はなく、かつ、それは『子どもの放射線に対する感受性を考慮』した措置だと文科省が考えていることがやっと読みとれる」(90頁)。大森さんはその論旨にもこの仮定で過ごす親子に対する想像力もまったくないことに対しても激しく憤っています。
 しかし、少なくとも、四月二十日版「放射能を正しく理解するために」では、「感受性の高い子どもが大人と同じでいいのか」という批判に対して、「それはものすごく安全側に立った『あり得ない』仮説でやってるから大丈夫だ」と文科省は言っていたのです(この計算式、特に家屋での低減後の率が40%で妥当かなど問題はまだありますが))。
 だから、六月二四日版が「ありえない仮説」を外すということは、「現実的な仮説」を採用したということではなく、「子どもの放射線に対する感受性を考慮」しないことに決めたということです。

数の誤魔化し
 後段は数の迷路に引きずり込んで、科学的に見せようとするための労作です。
校庭八時間→屋外六時間
屋内十六時間→屋内十八時間
 表1に見るように、文科省の数字は四月はきちっと出てきますAが、六月の分@は出てきません。この「改訂版」をひっくり返しても式におかしいところはありません。
 ところがありました。五月十二日文科省「試算について」資料2です。「推定される」「実際の」「試算」これだけでインチキ性は顕わです。校庭より町の方が線量が低い(2.32μSv/時)・学校に来るのは二百日だけ・・・など、恣意的に数値を変更しています。
 基準値でこけたら、現実的試算と称して、基準値の計算式をいじって取り戻そうというわけです。しかも説明抜きに! これで20mSv/yは3.8μSv/時から7.6μSv/時に、1mSv/yは0.19μSv/時から0.38μSv/時に「改定」され、安心安心・・・。
 どうか我が墨田区が「基準も明かさないで現状にずるずる引きずられ」ませんように。

科学が泣く
 その上、数の誤魔化しだけでは不安なのでしょう。「校庭の放射線量が高い五五校で六月六日〜六月十九日(わずか二週間!)に教職員に簡易型積算線量計を携帯させ調査したら、平均毎時0.1μSv/時=0.2mSv/y(どういう計算?)になった」とあります。これだけの治験数でよくも安全だと改訂版を出せるなあと、その「科学性」に驚いてしまいます。
 それだけではなく、二重の意味で貴重な「人体実験」をされた教職員の悔しさを想います。彼らは、自分たちの計測結果がこのように「安全が保障されている」事の証明=「政府・東電が責任を果たさなくても良い免罪証明」=「子ども放置」に使われて、さぞや喜んでいることでしょう! 

縦割り行政は子どもも縦に裂く
 「学校において受ける線量は年間1.67mSv/y」 わざわざ下線付きの赤字です。
 文科省は、「学校にいる間だけ」の線量を、いい加減な計測値と都合のいい計算で下げて、「学校にいる間だけ」の子どもたちを守ろうとしているにすぎません。文科省が「守る」というのは、「自己の責任下にある子どもを守る」ではなく、「子どもに責任を持たざるを得ない自己を守る」ことであり、そのために努力していると言わざるを得ません。文科省によって、福島の子どもたちは学校で安全に生存することを計算上保証されたが、その丸ごとの生命の保証はされていないのです。
 児玉龍彦さん(東大先端研教授)は八月十一日ネットニュースで次のように言っています。
 「例えば文科省が子どもの被曝を計算するときに、学校にいる時間の被曝を計算しているんです。だけど家に帰っても被曝する。だから意味がないじゃないですか。
 それから食品一個食べるときに、この食品を何百キロ食べたら害が出ますとかっていう言い方しますけど、全部の食品に入る可能性があるわけですよ。現実に、それがもう起こっている。それから思いもかけないところで濃縮されるってことも起こります。」※1

これから
 たとえば七月十五日八広幼稚園砂場の「セシウム134一三〇〇Bq/kg・セシウム137一四〇〇Bq/kg」というのはどのような数値なのか、四月の亀戸中央公園三〇〇〇Bq/kgは区環境保全課や測定した近畿大学山崎教授の言うように「大気中の放射線量に換算すると健康にはまったく影響がなく」「不正確な情報に惑わされ」た「冷静」さに欠ける「対応」だったのか、先号で載せた市民団体「放射能防御プロジェクト」が8日発表した首都圏150カ所の「首都圏土壌調査」はどう見るべきか、学校でどう放射線に対する対策を作っていくのか、子どもたちに今の事態をどう学ばせたらいいのか…課題は山のようにあります。
 八広幼稚園砂場はチェルノブイリでいえば「放射線管理区域」にあたるのではないかとも考えられます。亀戸中央公園もそうです。五月初めに計測に入った神戸大学大学院(放射線計測学)の山内知也教授は高いと断じています。
 「安全神話」復興・「安心です・大丈夫だ」PRに抗して、私たちは、地域・職場・子どもたちの前で、発言し行動しつつ
正確な事実と事実を判断するための基準を確実に持地、共有していかなくてはなりません。


※1 児玉龍彦(東大先端研教授)×津田大介(ジャーナリスト)対談
「福島のため、日本のためにいまするべきことは何か」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/15159
2011年08月11日(木)
現代ビジネス




週刊墨教組 No.1638 2011.8.14

墨田区・環境保全課は確固たる原発事故対策を策定せよ
  原発事故は収束などしていない
 きちんと根拠を示して広報すべきだ

八広幼稚園 砂場 地表5cm 
  7月15日、0.519μSv/時
←7月12日 0.28μSv/時
なのに何故か
  7月15日「健康に影響のない数値」
←7月12日「直ちに健康に影響の
 あるレベルではありません」
どうして???
 区ホームページに解答はない!



 五か月が過ぎるとそれが日常化し、昔からそうであったように思えてしまいます。「土曜授業」しかり、原発事故しかり。原子力発電所もそうでした。人は忘れやすいから刷り込めばいい…と原発の広報員は言っていました。
 「風説」によれば、福島の一部の学校ですら〈原発事故=放射線対応を語ることがはばかられる〉状況だそうです。忘却は「その時代の支配的イデオロギー」を支えます。すべての人々が「人々に忘れてほしくない」と願ったすべてのものを、支配的イデオロギーは忘れさせようとします。
 私たちはたとえ日常がそれにいかに「慣れ親しんで」しまっても、おかしいことはおかしい、問題であることは問題であると異を唱え続けます。
 墨田でできること(やらなくてはならないこと)はたくさんあります。

脱原発を実現する
 広島・長崎への連帯が核兵器の廃絶でなければならないように、福島への私たちの「悔悟の念」は脱原発しかないと考えます。あそこはたまたま運が悪かったんだ、他の原発は大丈夫、クリーンなエネルギーで快適な都市生活を・…という「安全神話」に乗っかった論は、故郷を追われ未だ彷徨い続ける人々を忘れない限り、口にできないでしょう。私たちは脱原発の署名・集会などに積極的にかかわっていきます。

「節電」
 墨田区は未だ節電を「地球温暖化→二酸化炭素削減」に根拠づけて提案していますが、この論はすでに「原発=二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギー」というデマゴギーに使われた根拠の薄い論です。雨水利用という先駆的なとりくみがあるのですから、都市の「砂漠化」やヒートアイランド現象の解決・都市における資源と暮らしの見直しの観点を再度明確にすべきでしょう。東京都教委が配らせようとした「節電」キャンペーンなどまさに「子供騙し」です。墨田区がそのレベルに後退しないように私たちは墨田区・環境保全課を支えます。

計測
 まず、継続した計測が必要です。比較的低い区役所前だけ毎日測っていてもだめなのです。放射線測定器を各学校や町会自治会に備え、できるだけたくさんの所を測るべきです。おそらく三月一五日から二四日に江戸川沿いに大量に降下した放射性物質が、今、墨田区には堆積・流動しているのでしょう。その行方を定めなくてはなりません。そして当然速やかな除去が必要です(八広幼稚園の砂はもう取り替えられたのでしょうか? ホームページを見る限りはわかりません)。内部被曝という「未知の危険」に子どもたちを追い込んではなりません。三〇年で半減・六〇年で1/4・・・、しかも総量は変わらないからたとえ墨田からなくなっても、たとえば下水道の汚泥の中に、東京湾に…と濃縮/拡散していきます。非常に長い間の話です。「収束」なんかそう簡単にはしません。


資料1 関東土壌汚染調査結果マップ http://doc.radiationdefense.jp/dojyou_map.pdf
資料2 セシウム蓄積量 http://eq.wide.ad.jp/files/110727release1.pdf

五か月間の事実
 いったい何がおこったのか? 何がおこっているのか…ウランは原子力建屋のどこにいるのか? 今、福島原発からは放射性物質は出ているのか?…すら明確ではありません。「わからないけれども安全」なのです。この状態はどう考えてもおかしいことです。
 これと同じことを墨田区が行い、それを私たちが見過ごせば、私たちは福島でのいい加減さ(子どもたちの高放射線量の中での生活)を認めることになります。
 計測から事実を再構成しなければなりません。近頃およそのことはわかってきました。資料3 朝日新聞
 墨田でのことは他のだれでもない、地方政府たる墨田区が責任を持って事実を再構成し解釈し広報すべきです。冒頭の無根拠な「〇・五九μSv/時 安全宣言」、尋ねると、今は夏休みだしもうすぐ砂は撤去する予定だからもう計測しない、「直ちに」と入れるとかえって不安に思うからああいう表現にした…という答え(引用は不正確)が返ってきましたが、論外です。「墨田区は事故現場ではないから基準は一mSv/年だ」と明言していても、実質はずるずると基準を緩めていることにしかなりません。せめて、「この値は将来的に健康に影響を与えるかもしれない放射線量です。十分に注意して暮らしてください。区では以下の対策をとります云々」と言う必要があります。
 竪川中砂場五cmで、七月十一日〇・二六μSv/時だったのが七月十五日〇・〇四九μSv/時に激減したのは、十一日にはかぶせてあったビニルシート上のたまり水を計測したためだったようだとの話もありました。これも直接聞かないと教えてくれない。広報というのは、自分の言いたいこと・都合の良いことを広めるのではなく、人々が知りたいこと・知らねばならないことを報ずるのです。どうしてこう閉鎖的で転倒しているのでしょう。

これからに備える
 「メルトスルーも水素爆発もしていなかった」「軽微な事故」の福島第一原発から、「健康に影響のない」放射性物質が風に乗って飛来し雨に打たれて江戸川両岸に降下した三月十五日、三月二一〜二三日、私たちは子どもたちを外に出してはいけなかったのです。雨にぬれさせてはいけなかったのです。確かに一度目は情報陰蔽と悪意により、私たちには知りえなかったことかもしれません。しかし、次に「情報陰蔽と悪意」があった時、それは「知りえなかったこと」とは言えません。二度騙されるのならば騙される方が悪いのです。
 私たちは知りうる限り、過去と現在の広範な情報を基に「これから」に備えていかなければなりません。そのためにはまず区が、情報を集めること・現在の状態ができたのはどのような経緯によってかを推測すること・はっきりと基準をもって今後の対応を打ち出すこと、がまず第一です。そしてできるだけ広く報じて、区内外の人々に知らせ問うことが必要です。子どもたちの健康を守るために、ともに要求し闘っていきましょう。



週刊墨教組 No.1637 2011.7.30



さらに高まる区内放射線量
   測定結果は正しく扱われなければならない


 原発は大丈夫・放射線はほとんど出ていない・念のために3km範囲内の避難・食品の汚染を言うのは風評被害…こうやって「衆愚」を安心させておいて対策を着々と進めていく…歴史小説にはありそうな設定です。しかし現実は、自分がついた嘘とすがった願望に裏切られるばかりです。
 原子力に安全はない。これが百年間で得た教訓です。レントゲン撮影室と原発とラドン温泉を同列に論じてはいけません。
 原発を全廃するまで、今の福島・東京・日本・世界=私と私たちと子どもたちのすべてがより安全に暮らせるように、私たちは「ヒステリックに」(自民党石原氏の言)行動しなければなりません。

変化し続ける区内放射線量と区の「評価」
 7月12日に0.28μSv/時であった八広幼稚園砂場は、7月15日、0.519μSv/時を記録しました。http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen_kekka/saisokutei.html
 下の資料にあるように、区はこれまで、評価の基準・指標値をあいまいにしたまま、その表現を変えています。今回はこれまでと質を異にする表現です。
 「測定の結果、健康に影響のない数値と考えられますが」と区は書いています。「直ちに健康に影響のあるレベルではない」=「長期的な影響があるかどうかは知らないよ」ではなく、「健康に影響のない数値」です。いわば生涯にわたって今回の事故に対する健康障害はないとの安全宣言です。この根拠と自信は一体どこから湧いてくるのでしょうか?
※ 平成23年6月24日 文部科学省 「放射能を正しく理解するために 教育現場の皆様へ」改「悪」版がこの根拠になっているのかとも推察されますが。http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/24/1305089_0624_1.pdf 次号でふれます。

説明抜きの数値は「科学性の偽装」
 今回の砂場調査では放射性物質量を測定しています(Bq/s)。ところがこれがわからないものには全く分からない。足立区と違って墨田区ホームページにもこの数値をどう解釈するのか説明してありません。
※ 農林水産省暫定基準 作付けの為の放射能残留許容値 放射性セシウム5,000Bq/kg以下 
 チェルノブイリの土壌基準(これ以上は農業禁止) 493Bq/kg日本はチェルノブイリの十倍? そもそも土壌汚染の許容値は?

きめ細かな測定と、ぶれない姿勢を
 特に福島から大量の放射性物質が供給されてはいないようなのに、わずか3日で185%の値になるのはどうしてでしょうか? また、竪川中砂場5pで19%に減少(0.26→0.049)してしまったのはどうしてでしょう。環境保全課には、あいまいで限りなく誤魔化しに近い評価文言を考えるよりも、放射性物質の動きの解析に力を注いでほしいものです。
 今直ちに言えることは、「ある地点の値が増えることはない」ということはないということです。だから一度測定したからと言ってそれ以降も「安全」「平常時の年間被曝量である1ミリシーベルトの範囲内」「直ちに健康に影響のあるレベルではありません」「健康に影響のない数値」ではないということです。放射性物質の動きを解析し、高濃度の部分予測しつつ重点的に計測することは欠かせません。
 そして基準・指標を明示すること。自らのふらふらを避けるためにも不可欠です。

6月22日「この結果については、平常時の年間被曝量である1ミリシーベルトの範囲内だと考えられます。」(※この当時1mSv/yは0.19μSv/時))

7月8日「比較的高い数値が測定された施設がありますが、直ちに健康に影響のあるレベルではありません。しかし、高い数値が測定された砂場等については使用を控えるとともに、引き続き調査を継続いたします。」

7月15日「測定の結果、健康に影響のない数値と考えられますが、念のため八広幼稚園の砂場については、砂を入れ替えます。」
 http://www.city.sumida.lg.jp/houshasen_kekka/saisokutei.html

とうとう、0.519μSv/時は「健康に影響のない数値」になってしまいました




2011年7月27日 衆議院厚生労働委員会 「放射線の健康への影響」 での
児玉龍彦参考人(東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長) 説明は、一聴の価値があります。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.html


誰も関心を持たない「個人学習プロフィール」 
わが組合のごく一部だけが「贔屓筋」??
  たとえ 規準と違った判定が出ようが(二〇一〇年度)
      実施要項が配られていなかろうが(一部の学校)
      規準が大きく変わろうが(二〇一一年度)

                ソンナノカンケエネエ! 
                ソンナノ現場にカンケエネエ! …かなり古いか…

評定に不正あり

 私たちは、「学習状況調査」・「個人学習プロフィール」は、ペーパーテスト「学力」偏重・堂々と宣言した「相対評価」は、無意味であり非教育的であると、当初よりその撤回を要求してきました。
 昨年度は、あろうことか、実施要項に謳われた基準に反する四層判定(ABCD評定)があり、内容的のみならず形式においても不正であり不備であると指摘してきました。須藤前すみだ教育研究所長は私たちの印象では問題の重要性だけでなく、問題としてすら捉えられていなかったようです。しぶしぶ「来年度の要綱で整合性を持たせる」と答えました。二〇一〇年度の不備不正は正されませんでした。ですから、「個人学習プロフィール」を大事に思い実施要項に忠実であれば、二〇一〇年度いくつかの評定が空欄あるいは送られてきたものと違う評定がされているはずです。現実にはもちろん、多くの方が左のものを右に書き写しただけでしょう。当然と言えば当然ですが、それを区教委はどう解釈されるのでしょうか。

鳴りを潜めてそっとやってくる
 重要な変更のお知らせ…は情報化時代にあっては重要です。通り一遍の通知だけではだめなのは、「外に置いたままにしたためにひどく汚染された藁」でも明らかです。ただ近頃の区は「放射線」に倣い、音もなく匂いもなく、鳴りを潜めてそっとやってくる…という手法を意図的に取り入れているようにも思えます。その一つがこれです。
 すみだ教育研究所は、さり気なく、今年度の実施要綱(7/6付)で、「B/C振り分け基準を「平均到達度」(平均点)から「中央値」とする」としました。これは、「重要な変更」というより「基幹にかかわる変更」です。何しろ相対評価をするのその基準が変わってしまったのですから。

私たちの恐れはただ一つ
 まさか前研究所長の言った「来年度の要綱で整合性を持たせる」ことがこの大変更ではないでしょう。 なんと大胆な! 私たちはせいぜい「基準値は平均到達度とする。ただし、人数比が偏る場合には調整する」ぐらいで誤魔化されるだろうと予測していたのですが。言うまでもなく「平均値」は全員の点数の総和を人数で除したものであり、「中央値」は点数順に並べて中央(偶数の場合は前後の値の中間)の値をその代表とするものです。両者がたまたま一致する場合もありますが考え方がまるで違います。使われる場所も違います。
 私たちが恐れるのは、ただ一つ。もしこれが私たちの昨年の指摘の結果であるとしたら、より「相対評価」に純化させることを促してしまったのではないかということです。君たちの指摘など歯牙にもかけないよ、自惚れるな…と言ってほしい! 「学習状況調査」・「個人学習プロフィール」・「相対評価」の、無意味性・非教育性は、現場のほぼ全員の方が共有しているところですが、別の機会に論じます。

説明を求める
 この変更によって区教委がしなくてはならない(恐れねばならない)ことはたくさんあります。あまりに杜撰な「最重要課題」だからです。
 先ず第一に、どうして昨年までの「平均到達度(平均点)」が「中央値」に変わったのでしょうか? 六月から始まった個人面談で、「お子さんの評定はBですが、これは去年の基準ではなく新しい基準『中央値』よりも上の位置にあるということで…」と「説明責任を果たした」担任が何人いたでしょうか。それとも別に言わなくてもいいどうでもいいことでしょうか?
 第二に、基準が変わったものを以前のものと比較することができるのか?という新たに生じた根本問題です。基準が変わったことは個々のプロフィールにはもられていません。たくさんの訂正依頼文にも触れられていません。。それとも別に書かなくてもいいどうでもいいことでしょうか?
第三に、例年通り区教委から送られてきた「学習状況調査」の結果の中に、「中央値」なる言葉が出てこない(私たちで何回か探しました。実にむなしい作業です)のは何故でしょうか? 相対評価の重要性を謳ったその大本の基準が変わったのですから、当然結果表にも大きく反映されていなければなりません。それとも別に大したものではないどうでもいいものなのでしょうか?
第四に、個々の子どもの「四層判定」をした一覧表でも「中央値」は出てきません。例年通り「学級平均」(ここは昨年までなら「区全体の平均点」が出ているべきです))が出ているのはなぜでしょうか。「この子がCなのは、・・・」、「学級の平均値」を見ても分からないのです。また、学校のホームページでも出されているのは例年通り「平均値」です。こんなものどうでもいいということでしょうか?

訳が分からないものは
 それだけで止めるに値する
 以上のことは、夏の間にすみだ教育研究所横山所長に詳しく説明をいただく予定です。恐れるのは、予想されるその答えです。
 そんなの墨田区の「ICT化」で通知表の書式がかえられないのを見れば明らかじゃないですか! かえてくれとNECに言うと新しくお金払わなきゃいけない。・・・「個人学習プロフィール」だって同じ。要綱の文言を「平均値」から「中央値」に変えるには金がかからないけれども、ベネッセに「中央値」を要求すると金がかかるからさ。
 まさかこのような非教育的な弥縫ではありませんように。しかし、形式的に不備なものはただそれだけで廃止するべきものであることも確かです。
 まず、問題があることを皆さんにお知らせしました。そして教育研究所・区教委には考えていただきたい。どうしてこのように訳のわからに事が巻き起こっていて、そして現場が問題にし、質問が集中しないのかと。
※要綱にはもう一つ重大な告知があります。来年度を目途に「ICT化」パソコンで処理できるようにするというのです。昨年七月、久保前教育長は組合との話し合いの中で、電子データできたものを教員が判子押しているのは「ICT化」から見てもおかしいことを言明されました。仁王前指導室長も須藤前すみだ教育研究所長も久保前教育長も去る時に「置き土産」だけはしっかり置いていくようです。有難くもない。無意味なことに労力を割くのは耐え難いことですが、労力を割かなくていいよと言われればそのものが有意味になるわけでもありません。私たちはあくまで「個人学習プロフィール」に反対します。



の催し物 ご案内

墨田・葛飾・江戸川
 コリアンフェスティバル
8月27日(土)16時30分から
東京第五学校運動場(雨天時は校舎内で)
 墨田区八広5−22-15
 京成八広駅あるいは曳舟駅 どちらからも徒歩7分
子ども広場、オモニのおいしい料理
第五学生公演・歌舞団公演・同胞公演・大抽選会



脱原発を実現し、
自然エネルギー中心の社会を求める
全国署名
 夏休み中のとりくみとなりますが、どうぞ脱原発・福島「支援」のために今私たちにできることは何か…の一つとしてご署名ください。
 みなさんの地域・友人知人・家族親族に署名を呼びかけてください。下記ホームページからも署名・できます。


さようなら原発全国集会
9月19日(月休日)
1時30分から明治公園
集会後14時30分よりパレード 1時間程度
主催 集会実行委員会 主催者は5万人規模の集会を考えています。職場・地域・友人知人・家族親族に参加を呼びかけてください。
脱原発の声を集めるため、今からご準備ください。





週刊墨教組 No.1636 2011.7.20

夏期休暇を確実に そして、「研修」を
「勤務場所をはなれる」ことは「学校の節電」にも益する


「特別な夏」だが
 「夏の『電力不足』をどう乗り切るか」がひとつの課題(隠されて本当の論は「原発の存否」)になっていますが、墨田区教育委員会では、「十五%節電要請」以外に特にこれといった見解はもっていないようです。ですから、「学校を閉じる」ことも区教委の「決定」ではなく、「各校が独自に考案したもの」でそれぞれ「独自の形態」で行われます。ですから、区教委としては教職員の夏季休業中の勤務・休暇・研修のあり方をこれまでと特に変えた所はありません。
 私たちが、この夏に向けた対応をとるとしたら、各学校・各個人で、工夫せざるをえません。

自主的研修を
 自主的な研修に意欲的にとりくめるのも夏季休業期間です。「研修の取り扱い」が改悪されて十年目になります。組合は、自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみをすすめています。民間の教育団体が主催する研究会への参加も、個々の教員の自主的自発的な研修も、当然保障されるべきです。区教委が研修内容・方法に介入することはありません。私たちは、「自宅研修」も含めて、あくまでも自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみを、粘り強くすすめていく必要があります。

面倒でも「承認研修」
 研修の機会の保障は、一人ひとりの教員が必要とする研修を承認させるところにあります。
 「承認願い」「承認研修報告書」が面倒だからと、「承認研修」を敬遠することは、結局、「教員の自主的自発的研修は不振=不要」との根拠を与えてしまいます。
 もちろん、十年前の通知は、教員の自主的自発的研修を制限し廃止させるための文書です。腹立たしい規定ではあります。しかし、承認研修になりうる私たちの営みは山のようにあります。「承認研修」をとるためによくよく読みこんでください。
 また、「図書館等」となっている「等」は、他に、「博物館」「浄水場」・・・などが考えられます。そして、例外として「自宅」も否定されてはいません。
 自宅でしかできない研修は、自宅でしか研修できないのです。そのような研修は改悪後も連綿と着実に行われています。

今夏の事情
 校長は「学校を閉じる」などという前代未聞のことまでして「節電」を実現しようとしています。教員に学校に来てほしくないなら、自宅研修・承認研修をより広く・緩く認めるべきでしょう。ごく自然なやり方です。今年の夏は「勤務場所を離れて行う」ということが格別重要なのです。




規準底抜け?! 0.29μSv/時なのに
「直ちに健康に影響のあるレベルではありません」

墨田区ホームページ 放射線測定結果より


※比較的高い数値が測定された施設がありますが、直ちに健康に影響のあるレベルではありません。しかし、高い数値が測定された砂場等については使用を控えるとともに、引き続き調査を継続いたします。
 この言葉の濫発された三月四月が思い出されます。あのころの政府・学者の言説が原発事故過小評価のための嘘だった…という苦い思いとともに。

 「直ちに健康に影響のある」とは、「短時間で嘔吐、下血、吐血、紫斑、脱毛などの急性障害」が起こることであり、それは、「100〜250mSv」と一般に了解されています(注1)。墨田区環境保全課はとうとうここまで許容することにしたのでしょうか? あわののダブルスタンダードに続いては、とうとう1mSv/y基準を外したのではないかと危惧されます。 
 これ以下の線量での影響については諸説あります。不謹慎を承知で言えば「今まさに福島・日本・世界で人体実験中」です。我々はどの説を採るべきでしょうか? そして、区にどの説を採らせるべきでしょうか?
 まだ環境保全課には問い合わせていませんが、直ちに基準の説明・公開と、このうような無責任な言辞の撤回を要求します。

注1 崎山比早子 元放射線医学総合研究所主任研究員・高木学校
 放射線被ばくの障害は、被ばくした線量によって急性障害と晩発障害に分けられます。一度に大量の放射線を浴びると、短時間で嘔吐、下血、吐血、紫斑、脱毛などの急性障害が現れますが、いちばん軽い症状はリンパ球や白血球の一時的減少です。これが出始める100〜250mSv付近が、急性障害の「しきい値」(この線量以下ならば被ばくしても急性症状がでないという値)となっています。 
 福島第一原発事故のあと、テレビで政府関係者や専門家が「ただちに健康に影響を及ぼす線量ではないから安心」と繰り返したのは、この急性障害を引き起こすような線量ではないということでしょう。
 100〜250mSv以下の低線量被ばくは、すぐに目に見える形で健康被害が出るわけではありません。だからといって安全なのではなく、被ばく後、数年〜数十年たってから、がんをはじめとしたさまざまな病気になる危険性があるのです。これを晩発障害といいます。



猫やあわれ
 知ることもなく
 訴えることもなく
 いつもの砂場に在り
 0.28μSv/時を浴びる

 今や追われることだけが幸せ







週刊墨教組 No.1635 2011.7.12

脱原発の大きな流れへ
   小さな心配や疑問が流れを作る 

柳島幼稚園砂場で基準値を超える放射線量
 関係者に情報が伝わったのは三日後
 速やかに基準値以下に


「正しい情報」
 区は六月二〇日ホームページ「福島原子力発電所の事故による放射線の影響についてお知らせします」で、「区民の皆様には、正しい情報に基づく行動をお願いいたします。根拠のないうわさや情報に惑わされることなく、冷静な対応をお願いします」と呼びかけています。私たちもこれは原理的に正しい態度であろうと考え、一つの指針としてきました。

計測開始以来区内最大の放射線量
 柳島幼稚園(柳島小と同一敷地)では、七月八日(金)、法の放射線基準値年間1mSv(文科省の努力すべき値)を超える放射線が検出されました。残念ではありますが、福島原子力発電所の事故が収束しておらず、千葉東葛・東京東部地域にホットスポットがあるという事実から、予測できないことではありませんでした。

遅れた情報
 しかし、この「正しい情報」を柳島小の教職員が知ることができたのは 十一日(月)午後、三日後です。それも、たまたまホームページを見ていた職員がこの数値を「発見した」のです。子どもたち、保護者には、四日経っても知らされていません。

一、「情報を知る者」は、
  速やかに関係者に情報を 周知させねばならない
 三日間、わかっていながらその放射線はほとんどの人に知られることもなく放置されていたのです。これでは、「冷静な」などという形容どころではありません。「対応」そのものを取りようにないのですから。文科省のパンフレットに「土や砂を口にしないこと」とありますから、日本の子どもは放っておけば「土や砂を食う」らしいのです。知らせないことは対応させないことです。知っている者の安全に対するネグレクトです。

土曜日は休業日
「土曜日は、『やさしさ』『思いやり』を学ぼう」
(すみだ区報6月21日 以下この項の引用も)
 三日目にようやく数値はホームページに掲載されました。計測したのは金曜日です。労働週五日制の中で土日閉庁で勤務がないのはわかっています。しかしです。たまたま八日土曜日には、柳島幼稚園・小学校は、「子どもたちの心を育む『土曜授業』を行っていま」した。「この土曜授業を通して、健やかに成長する子どもたちを地域で温かく見守ってくださ」ったかもしれませんが、区並びに区教委は「子どもたちの体をはぐくむ」「ことも「健やかに成長する子どもたちを温かく見守る」こともしませんでした。後から知った子どもたちは「『やさしさ』『思いやり』を学」んだと考えるでしょうか?
 情報を流さなかったのです。だから土曜日に仕事しろとは言いません。しかし、子どもたち・区民の生命健康にかかわることです。事実と対応ぐらいはきちんと教職員・児童・保護者に伝わるようにすべきでした。

二、区・区教委は行政の専門家として必要な情報提供をせよ
 数値が公表されたその時点で、区・区教委からの行動指示・提案がほとんどないことにも不安を覚えます。ホームページで「砂場の使用を控えるとともに、引き続き調査を継続いたします」とあるだけです。月曜日に来園した環境保全課員は「砂の入れ替えをする」と言っていたようです。普段は饒舌な区教委からはこの件については何も聞こえてきません。
 私たちは教育の専門家ではあるけれども、区教委指導室長同様、原子力事故=放射線被曝対策の専門家ではありません。少なくとも、国・都・区の判断例・同様事例の提供など、区・区教委としての考えが少しぐらいはあってもいいではありませんか。

三、きめ細かな調査と公表
 区の施設であるから基準値以下になるよう区が速やかに除染しなければなりません。
 これまでずっとこの線量が出し続けられていたと考えられます。もっと早い計測が必要だったのです。手遅れにならないよう、区内のあらゆる場所の放射線量計測を強化すべきです。学校・自治会ごとに放射線測定器を配備するべきです。基準値を超える地点の除染を速やかにすべきです。

情報の共有化
 何が正しいかなど明らかでないのです。政府は当初「安全だ、炉心熔融はない」とデマ(好意的に言っても希望的観測)を流し続けました。情報はできる限り多く、できる限り生の形で提供されるべきだ。あいまい情報はあいまい情報として正しく知らせる。デマはデマとして、デマもどきはデマもどきとして。
 情報の格差が「噂」や「憶測」を生みます。情報を閉ざしておいて、あるいは情報を遅らせておいて「根拠のないうわさや情報」に抗することはできません。

学校で栽培している植物
 学校で栽培している植物について、「なるべく食べないように」という説が流布しています。私たちも基本的にはそう思いますが、ではいったいどのような根拠に基づくのか? 先号で提案したように、線量測定が不可欠です。でなければ単なる「根拠のないうわさや情報」になってしまいます。


「からくり」がわかった!
  あわのの0.28μSv/時は 「健康に影響のない数値」??


 先号で、「どうして健康に影響のない数値=安全だと言えるのでしょうか。今度は何が出てくるでしょうか? ぜひそのからくりを聞かねばなりません」と書きました。その後環境保全課に電話で尋ねたところ次のような「からくり」がわかりました。
 「放射線量の基準値1mSv/yは変わりない」・・・ヨカッタ
「粟野での自然放射線量が墨田区より極端に高いわけではないから、0.25μSv/時が時間当たりの基準になる」・・・セレデハドウシテ?
「栃木の多くの自治体では0.3μSv/時を超えても『健康に影響のない数値』としている。だからそれに倣った」・・・ブットビ〜!

 「一年五組では人を叩いてはいけないのだが、一年六組では結構人を叩く子がいるので僕も叩いた」なんて「からくり」を使う子がいるとは思えない! 「からくり」の論理がダブルスタンダードだなんて、思いもよらなかった。

 せめて、「墨田区の基準値0.25μSv/時からは健康に影響のある値であるが、近隣自治体では健康に影響のない数値としている」ぐらいの注記が必要です。
 「見た人が基準値を変えたと誤解するからお話しされたことをちゃんと足立区のように載せるようにと言いましたが、未だ記載が変わっていませんから、その必要はないと考えているようです。
 おまけに、粟野は三日間だし駐車場はさっと通るだけだから・・・と受話器の向こうから聞こえてきました。いくらなんでもこれは公式見解ではないでしょう。


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資料  足立区のホームページより ※は引用者
放射線による健康影響を心配されている方へ 
※心配していない人にも知らせるのが行政
最終更新日  2011711 

 区は毎日放射線量を測定しています。福島第一原子力発電所の事故以前に比べ、放射線量の増加はみられますが、 その量は健康上心配するレベルではありません。 
※原子力時代の自治体として以前から計測していたことに敬服する。あまりに我々は原発を甘く見ていた。
 区では、区民の方に安心して頂けるよう、区内施設の空間放射線量や、砂場・屋外プールの放射性物質を測定し、情報を提供していきます。 

※以下、測定場所・測定日・方法・測定器など

◆放射線管理基準「年間1ミリシーベルト」について 
 足立区では、国際放射線防護委員会が勧告する放射線管理基準「年間1ミリシーベルト」を今後の対策における指標値とする。 

年間1ミリシーベルトの計算式は次のとおりである。 
1)条件 
 場所による低減係数を屋外は1.0、屋内は0.4とし、1日24時間の生活を屋外8時間、屋内16時間の設定では、1日の低減係数は0.6となる。事故前の空間放射線量は平成22年4月から平成23年2月までの足立区の放射線測定結果平均の0.05とする。
2)結果 
この条件で年間の放射線量を計算した場合は次のとおりである。 
【測定値が0.25マイクロシーベルト/時の場合】 
1,051.2マイクロシーベルト/年(測定値0.25−昨年までの年間平均値0.05)×24時間×365日×0.6 
【測定値が0.24マイクロシーベルト/時の場合】 
998.64マイクロシーベルト/年(測定値0.24−昨年までの年間平均値0.05)×24時間×365日×0.6 
※1ミリシーベルトは1,000マイクロシーベルト 

以上から、測定値が0.25を計測した場合は、年間1ミリシーベルトを超えるものとする。 

◆校庭や園庭等の測定値が0.25マイクロシーベルト毎時以上を計測した施設に対する区の考え方 

 校庭や園庭等の測定値が0.25マイクロシーベルト以上を計測したということは、校庭や園庭に8時間いるとして、今後1年間に新たに被ばくする空間放射線量が1ミリシーベルトを超えることを意味します。
 足立区では対策をとる目安の指標値を国際基準の1ミリシーベルトとしていますので、指標値を上回る測定値が出た施設については、専門検査機関で再度検査を依頼し、長期的に指標値を上回ることが分かれば、原因となっている土壌等への対策を検討し実施します。
 なお、一時的に測定値が区の指標値を上回ったとしても、国際基準では5年間の平均で1ミリシーベルトを上回らなければよいとされており、直ちに施設の使用禁止などの措置は必要ないと考えています。

 国際基準であり、区の指標値の年間1ミリシーベルトは、校庭や園庭、砂場などからの外部被ばくと、吸入や経口摂取からの内部被ばくの合計とすべきものです。しかし、内部被ばくの原因となる空気中にただよう塵や水道水に含まれる放射性物質、多くの食品の放射能は不検出の状態となっており、放射能が検出されているのは魚介類や一部地域の特定の農産物に限られ、内部被ばくは極めて低いことが推定されます。

 区としては、外部被ばくである年間の空間放射線量で長期的に1ミリシーベルトを超える施設への対策の実施を予定しています。 
以下略



週刊墨教組 No.1634     2011.7.7

   脱原発の大きな流れへ
      小さな心配や疑問が流れを作る 

学校で栽培している植物は安全か?
 素早い区教委の調査!

 「小学生の茶摘み体験の茶葉(板橋区内)に放射性セシウム」資料1 を受けて、先週、墨田区教育委員会も迅速に〈学校で栽培している植物〉の調査を開始しました。
・・・・板橋区の茶葉から放射性物質が検出されたのなら墨田区でも可能性がある。市場に流通している食材は検査済みで基準値以下(その基準というのがどうも高いものだが、まあ仕方ないか)だからいいとして、子どもたちが育てているミニトマトやゴーヤ、これは誰も線量をはかっていない。ひょっとしたら高い線量があるかもしれない。ただでさえ放射線にナイーブな子どもたちだ、口にでもしたら大変だ…・
 まあ普通こう考えます。前号で「区教委も見習うべし」と書いたせいではありません。新聞以前の行動ですから、大きく評価を変えなければならない…。

調査がちがう!
 それにしても、一向に線量計を持った人も学校に来ないし(きっと特に線量の高い学校で調べているんだろう)、板橋区のようにホームページにも掲載されない、なにより今調査中だからとりあえず子どもたちには食べさせないでくれ「という連絡も来ない。何だろうと思っていたら、この調査、〈学校でどんな食物を栽培しているか〉の調査だったようです。
 この調査で何がわかるのでしょうか?子どもたちの安全の確保にどうつながるのでしょうか。
 もし板橋と同じようであったらと考えたのなら、なによりもまず、ストップをかけるべきでしょう。そして生ものですから、できるだけ早く線量を量り、参考値として知らせるべきでしょう。
 情報を出すと「愚民」がパニックを起こしたり騒ぎ立てたりするから、知らせないようにした…ことが明らかになって政府の信用は失墜しています。その時期に同じようなことをやるのは、全くものがわかっていないのか・よくよく学習しているのかどちらかでしょう。
 私たちは、直ちにまともな調査をすることを要請します。

資料1 茶摘み体験事業で製茶された茶葉の放射性セシウムについて.
公開日:平成23年6月30日
 5月9日に区内の茶畑で、区立小学校の児童が茶摘み体験をし、その茶葉を加工した製茶が6月15日に出来上がりました。製茶を児童に渡すにあたり、昨今の状況を踏まえ、安全性を確認するため放射性物質の分析を行ったところ、食品衛生法の暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出されました。このため、この製茶は児童に渡さず全量廃棄処分することとしました。ー中略ー 区としてもその安全性を検証するため、板橋区の農産物等の調査を実施していくこととしました。(6月30日)
 板橋区内の農産物について、検査を実施いたしました。また、東京都が実施する検査においても、検査結果が報告されました。どちらも、放射性物質は検出されておりません。(7月6日)
※板橋区役所正門玄関付近の測定結果
  7月6日の測定結果:0.09μSv/h
 ほぼ墨田区と同じです。


「あわの」は安全?!
   どういう計算式で
   「健康に影響のない数値と考えられ」るのか?

 福島原発に近い栃木県、それも放射性物質の通路になった日光や粟野の線量が高いのは当然のことです。粟野はもともとですが静かな日光が味わえます。そこに子どもたちを連れて行くことが私たちには信じられませんが、もっと信じがたいのは前回私たちが最大限のエールを送った環境保全課のコメントです。
 前号で自然放射線量を加えるのだという説明を受けたことをお知らせしましたが、そうしても1mSv/y=1.9μSv/時を超えてしまいます。粟野辺りの自然放射線量は最大でも0.054μSv/時です。0.19μSv/時と足すと0.244μSv/時、さらにもう一つ高い0.0725μSv/時を足しても0.2625μSv/時にしかなりません(日本の自然放射線量 日本地質学会)。嘘を弘めてしまったか?! 
 どうして健康に影響のない数値=安全だと言えるのでしょうか。今度は何が出てくるでしょうか? ぜひそのからくりを聞かねばなりません。

資料2 
校外学習施設 あわの自然学園
7月2日 晴れ
地表面から 5 50 100cm
駐車場 0.27 0.28 0.28
中庭 0.21 0.22 0.17
この結果については、健康に影響のない数値と考えられます。



東京都は東京電力の大株主
 原発事故を起こして手も足も出ない東京電力を支え、原発路線を堅持する東京都が子どもたちに「節電」を説くなんて、ちゃんちゃらおかしい1
 まず己が為すべきことを為せ! 都教委文書に鏡を付けることぐらいしかできない墨田区教委も!

 都民の税金は、原発建設のために使われてきました。都は、今年の株主総会で謝罪し、路線転換すべきだったのです。3.15%の発言力を持っているのですから。しかし、総会は茶番にさせられました。私たちはいつまでフクシマを踏みにじり続けるのでしょう。子どもたちに「ガンボロウニッポン」という虚偽意識を植え付けていくのでしょう?

東京都の持ち株は
4267万6千株 3.15%
(2010.3 2011.3もほぼ同様)
2つの信託銀行
5.5%・3.81%
2つの生命保険会社
4.07%・3.9%
に次ぐ5位
以下には2つの都市銀行と
東京電力従業員持株会
1.52%

みなさん ご協力ありがとうございます
被災地の学校の図書館に絵本を送る運動をしている
ムーミンの会からの報告

 現在28校の学校に絵本をお送りました。
(石巻市)18校
 飯野川第一小学校・大川小学校・渡波小学校(2回)・万石浦小学校・
 湊小学校・湊第二小学校・関北小学校・貞山小学校・雄勝小学校・
 山下小学校・大街道小学校・住吉小学校・ゆずりは小学校・石巻小学校
 住吉中学校・河北中学校・山下中学校・雄勝中学校
(大船渡市)5校
 大船渡小学校・大船渡北小学校・蛸ノ浦小学校・赤城小学校・盛小学校
(宮城県東松島市)5校
 矢本東小学校・赤井小学校・大塩小学校・赤井南小学校・矢本西小学校

 被害甚大な湊第二小学校の2年生の子どもたちから手紙が届きました。

・本をおくってくれてありがとうございます。おしごとがんばってください。
・このまえはありがとうございました。いっぱい本を読んで、いっぱいべん
 きょうします。
・本をくれてありがとうございました。これからもだいじにみます。
・ムーミンの本をありがとうございました。みんなもよろこんでました。
・ムーミンの本をみたいです。とてもありがたいです。いつかきてください。まっています。
・ムーミンのかいのみなさん どうもありがとうございます。これからもがんばってください。たいへんたすかりました。
・ムーミンのかいのみなさん いつかあそびにきてください。まってます。
・ムーミンのかいのみなさんどうもありがとうございました。
・本をくれてありがとうございます。がんばってください!! みんな元気にしてください!!

 子どもたちからのうれしい手紙は私たちの活動の励みになりました。
 本を送る活動は、今後も続けます。被災地の学校では、今年度は図書の予算がつかない所もあるそうです。そこで、絵本だけではなく児童書にまで広げて送ることにしました。
 皆さんの大切な本の中から1冊でもいいです。被災した子供たちに本を届けましょう。
 みなさんからの1冊を待っています。
組合事務所まで届けてください。
あるいは、執行委員に声をかけてください。とりにもうかがいます。






週刊墨教組 No.1633      2011.7.3

「節電」キャンペーンに  子どもを使って(利用して)はいけない
 節電キャンペーンのために子どもたちに各家庭での節電方法を書かせたり目標を設定させたり(「自己申告」!)させたりするチラシが回っています。ふざけきったことです。
 子どもたちが原発を作ったのではありません。子どもたちが原発事故を起こしたのではありません。子どもたちが電力を過剰消費したのではありません。今の事態が惹起された責任を不明確にして、その解決方向もあいまい(何しろキャンペーン主体は原発推進者です!)にしたままのキャンペーンに子どもたちを巻き込んではなりません。利用してはなりません。
 旧教育基本法は「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」としています。これは今行われようとしている子どもの利用とは正反対のことです。そもそも、憲法・教育基本法が戦前の教育の政治利用=少国民・満蒙開拓団・教育勅語体制…の反省の上につくられたことを考えれば誰もが理解できることです。
 私たちはあるべきエネルギーとは何かを主権者として考え「節電」=過剰な電力消費に疑念を持つことをも可能性として含む教育を進めていきます。しかし、姑息なキャンペーンの手先になって子どもたちにそれを強いることはありえません。
 戦前の轍を踏んではなりません。




「『がんばろう』墨田区環境保全課!」
区教委も少しは見習うべし
墨田区各地・各校・園での測定が進む
脱原発の大きな流れへ 


前号で「名を惜しむべし 環境保全課」と書いたせいでもないでしょうが、わが墨田区環境保全課は目覚ましい活躍を見せています。二か月間「音無しの構え」であったものが毎日のようにホームページを更新しています。
 学校プールも測定するようです・・・しかし、もうプール始まっていて遅いんじゃないの・・・。でも、自身の見解を出さ(せ)ない教育委員会の無責任体質と比べれば数段上です。もちろん後に述べる「危うさ」もあります。
 私たちは、墨田区の子どもの命と暮らしを前提に教育労働という仕事をしています。この危機の時代に飲み込まれないように、さらに、注目し、職場を中心に安全を守り、危ういことには声を高くしていかなければなりません。


1ミリシーベルトの範囲内
 六月二二日、区による計測が開始され、翌日にはホームページに結果が公表されました。資料1
 その中で、極めて高く評価されねばならないのは「平常時の年間被曝量である1mSv/yの範囲内だと考えられます。」です。墨田区環境保全課は最高です。文科省の20mSv/年、あるいは10mSv/yではなく、1mSv/年を採用しています。また、「安全」という言葉を使っていません。許容基準であり、安全基準ではないことを正確に知らせています。「被曝に閾値はない」という発想に立っています。


資料1 墨田区内の放射線量の測定結果についてお知らせします 2011年6月23日掲載
 区では、区内の大気中の放射線量測定を実施しましたので、結果をお知らせします。
空間放射線量の測定結果 6月22日(水曜日)
地表から5cm、50cm、100cm
隅田公園 0.17 0.15 0.13
東向島北公園 0.12 0.11 0.1
錦糸公園 0.14 0.15 0.15
この結果については、平常時の年間被曝量である1ミリシーベルトの範囲内だと考えられます。


環境保全課の変節!?
 ところが、翌週になり、各所の測定が進められると、この記述がなくなり、「この結果については、健康に影響のない数値と考えられます」と書かれるようになりました。しかも、各学校・園の値は0.19μSv/時を超えるものが続出です。資料2
 三月事故発生以来ずっと政府が言ってきた言葉を思い出さないでしょうか? 「健康にはただちに影響しないレベル」あれです。由々しきことです。さては、20mSv/y=3.8μSv/時に乗り換えたか!?
 あるいは、「健康への影響」という言葉から、もっと悪く考えることもできます(悲惨な時代には頼りにならない楽観よりも最悪の場合を考えて備えておいた方がいい)。それは、「原子力安全委員会?」の「100mSv/年以下では健康への影響はない」とする言説です。資料3
事故が起こってから緊急時被曝線量上限値を引き上げた250mSv/yを超えてもなお「健康に影響はない」という強弁です。
 そうであるならば、直ちに抗議し撤回を要求しなくてはなりません。

資料2 
6月29日 梅若保育園
 園庭 0.10 0.09 0.10 晴れ
 砂場 0.22 0.21 0.15
錦糸公園
 6月29日 0.17 0.15 0.13 晴れ TCS-171
 6月25日 0.20 0.17 0.15 TCS-171
  0.20 0.19 0.19 DoseRAE2
 6月22日 0.14 0.15 0.15 晴れ TCS-171
東墨田公園 6月25日
0.24 0.21 0.20 TCS-171
6月29日 隅田小学校 校庭
0.19 0.17 0.17 晴れ
この結果については、健康に影響のない数値と考えられます。

資料3「原子力安全(?)委員会」
※取扱注意!
放射線防護の線量の基準の考え方
 100mSv/年以下では健康への影響はないが、原子力・放射線利用では「合理的に達成できる限り低く」を目指している。・・・
 100mSvの放射線量でわずかにがんのリスクが高まると考えられていますが、放射線量が100mSvを超えない範囲では、放射線ががんを引き起こすという科学的な証拠はないと言われています。



1mSv/yは堅持
 電話で環境保全課に問い合わせると、次のような説明でした。
 「平常時の年間被曝量の上限である1mSv/yは堅持している。これを時間に直すと1.9μSv/時である。これを超える数値があるが、それでも「健康に影響のない数値」としているのには、次のような理由がある。それは、自然放射線量の加算である。原発事故以前、葛飾区の中央医療技術専門学校での計測によれば自然放射線量はおよそ0.06μSv/時であった。これを加えて0.25μSv/時までは1mSv/y以内であるとする。」
 これは電話でのやり取りですから正確さには欠けます。自然放射線の加算の是非は今論じないが、この説明はきちんとホームページに載せていただきたいと要請しましたので、いずれ足立区のように出されるでしょう。


足立区http://www.city.adachi.tokyo.jp/010/d00400045.html
放射線による健康影響を心配されている方へ  より
◆放射線管理基準「年間1ミリシーベルト」について
 足立区では、国際放射線防護委員会が勧告する放射線管理基準「年間1ミリシーベルト」を今後の対策における指標値とする。

年間1ミリシーベルトの計算式は次のとおりである。
(1)条件
 場所による低減係数を屋外は1.0、屋内は0.4とし、1日24時間の生活を屋外8時間、屋内16時間の設定では、1日の低減係数は0.6となる。事故前の空間放射線量は平成22年4月から平成23年2月までの足立区の放射線測定結果平均の0.05とする。
(2)結果
この条件で年間の放射線量を計算した場合は次のとおりである。
【測定値が0.25マイクロシーベルト/時の場合】
1,051.2マイクロシーベルト/年(測定値0.25−昨年までの年間平均値0.05)×24時間×365日×0.6
【測定値が0.24マイクロシーベルト/時の場合】
998.64マイクロシーベルト/年(測定値0.24−昨年までの年間平均値0.05)×24時間×365日×0.6
※1ミリシーベルトは1,000マイクロシーベルト

以上から、測定値が0.25を計測した場合は、年間1ミリシーベルトを超えるものとする。

資料4 放射線医学総合研究所 
放射線被ばくに関する基礎知識 第6報 平成23年4月22日更新 ※これも取り扱い注意
Q3.東京の空間線量は低下する傾向にありますが、一方で長く続いています。東京に住んでいる人の累積の放射線量(3月14日〜4月11日の約1ヶ月間)は、およそ何mSvですか?
A ここでは成人におけるモデルケースについて、体の外から受ける放射線と放射性物質を体の中に取り込むことによって受ける放射線のそれぞれについてお答えします。計算される以下の数値は代表的な放射線量を表し、一人一人については行動や食生活などで大きく違ってきます。
 まず大気中の放射性物質によって体の外から受ける放射線量は、文部科学省が発表したデータから累積し、通常時の平均値分を除くと、3月14日以降の約1ヶ月で約16μSvと計算されます(1日8時間屋外に居たとして)。
 放射性物質を体の中に取り込むことによって受ける放射線量は水、食べ物、呼吸の3つについて考えます。水道水から受ける放射線量は、1日あたり1.65リットルの水道水を飲んだとして、東京都が発表したデータを用いると約10μSvと計算されます。
 食べ物中の放射性物質から受ける放射線量は食事の習慣や量などで個人差が大きく、さらに難しい推定となります。ここでは仮に、1キログラム当たりのヨウ素-131、セシウム-137、セシウム-134の濃度がそれぞれ20、1、1Bqの牛乳、それぞれ2、1、1Bqの魚、それぞれ150、10、10Bqの野菜を約1ヶ月間、毎日食べたとします。これによる放射線量は約69μSvと計算されます。
空気中の放射性物質を吸い込むことによる放射線量は、1日あたり22.2立方メートルの空気を吸ったとして、東京都が発表したちりの中の放射性物質のデータを用いると約21μSvと計算されます。
 これらを足しあわせると約1ヶ月間で約120μSvを受けたことになります。この放射線量は、東京−ニューヨーク間を飛行機で往復するときに浴びる放射線量の上限よりも少なく、健康に影響を与えるレベルではありません。※ただし、今後も行政機関からの発表に注意し、要請や指導があった場合にはそれに従ってください。
※常套手段 それにしてもこの計算によれば1年では1.4mSvになってしまわないか?


自然放射線量の評価
 たしかに、自然放射線量が日本では平均1.4mSv/y(世界での2.5mSv/yを使ってごまかそうとする例が多い)あり、それを「平常時の年間被曝量の上限である1mSv/y」に加えるのかどうかは定かではありません。「含まれない」として計測値からその分を抜くこともあります(墨田区の場合はそうです)。発表された放射線量の中にはすでにその分を抜いた数値もあるとのことです。これまでの基準値をめぐる論議で、22.5mSv/yまでいいのだとか、いや21.4mSv/yだとかが出されたことは寡聞にしてないと思います。
 また、自然放射線量には、内部被曝も算入されています。半分以上・5/8が内部被曝だという説もあります。「1mSv/y」が外部被曝だけを問題にしているのですから、単純に測定値から引いてはいけないことになります。 
 「日本人があびる自然放射線の内、外部からは関東で0.02程度」という説もあります。これをとれば、2.1μSv/時(0.19+0.02))以上では年間被曝量1mSv/yを超えることになります。



日本放射線影響学会
福島原子力発電所の事故に伴う放射線の人体影響に関する質問と解説 (Q&A)
平成23年3月18日開設Q11 被ばくすると人に影響を及ぼす放射線量はどのくらいですか?

A:平均的な日本の自然放射線量は、年間およそ1,400マイクロシーベルト(=1.4ミリシーベルト)です。放射線障害を防止するために取り入れられている放射線作業従事者の被ばく限度は、年間2万マイクロシーベルト(=20ミリシーベルト)です。それ以下の被ばくなら有害な人体影響をおこさないというのがこれまでの疫学調査や研究の成果を総合的に検討して導かれた結論です。最も感受性の高い健康影響は、染色体異常の誘導といわれていますがそれでも10万マイクロシーベルト以下では観測されません。しかし、この2万マイクロシーベルト(=20ミリシーベルト)と人体に影響が現れる線量との間には開きがあり、現実には、10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)程度の被ばくでも放射線の影響があるという報告はありません。
(掲載日:平成23年3月16日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂、平成23年3月29日改訂)


安全のためには
 うんざりする数字のやり取りは、それがあまり意味がないことを主張するためです。「安全です」「強いんです」「大丈夫です」「メルトダウンなんかしてないはずです」という願望も、「この数値だから大丈夫」「自然放射線量を引けば2.5μSv/時までは大丈夫」という数のマジックも、問題を過小評価してその場しのぎの「安心」を目的にするのならば誤りです。
 すでに野田市が、「独自基準」を設けて進み始めました。行政が「守る」ということはこういうことです。早速、他市から横槍が入っているようです。付き合い、顔色伺い、右へ倣え・・・では「前例のない事態」には対処できません。わが墨田区も、野田市に習って、基準を作るべきです。行動すべきです。良いことは真似しても良いのです。
 私たちは福島原発事故により、私たちの働く墨田区でこの間確実に放射線量が増えていることを知っています。先ずはそれだけで十分なのです。
 また、新宿の二倍近い放射線量が四か月も続いているのですから内部被曝が当然問題とされます。海洋も農地も汚染されています。早急な課題です。
 安全基準を緩めるのがいいのか、厳しくすることがいいのか、現実から目を背けることが「精神安定上」いいのか悪いのか、心配する人を「モン・ペア」として排除することが正しいのか悪いのか、私たちは知っています。わが墨田区教育委員会も、ともに墨田区の子どもたちのために「よくわからない事態」の中を手探りで最善を尽くそうではありませんか。


千葉・野田市が独自の基準
東日本大震災:被ばく限度、幼小中学は年1ミリシーベルト 
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110623ddm012040043000c.html
毎日新聞 2011年6月23日 東京朝刊

 千葉県野田市は22日、放射線の被ばく限度を年1ミリシーベルト、毎時0・19マイクロシーベルトとする独自の基準を定め、市内の幼稚園や小中学校などで基準を超えた場合は対策を実施すると発表した。同市など同県北西部は周辺に比べ放射線量が比較的高いが、各自治体は「国が定めた上限の年20ミリシーベルトは超えない」などと対策を見送り、保護者から異論が出ていた。国とは対照的な厳しい対応で、他の自治体にも影響を与えそうだ。【橋口正、早川健人】

 同市によると、国際放射線防護委員会(ICRP)の通常時の目安の年1ミリシーベルトを参考に決定。屋外で1日8時間活動する前提で毎時の値を算出した。今後、市内全ての保育園、幼稚園、学童保育所、子ども館、小中学校で線量を測定する。

 さらに基準を超えた施設では、施設内で詳細な測定を実施。(1)毎時0・3マイクロシーベルトを超える場所(すべり台や砂場など)への立ち入りを禁止(2)帽子着用と手洗い・うがいの励行(3)保育士に線量計を持たせ、累積線量のデータを収集−−という対策を行う。市内では県の先月末の測定で、保育所1カ所で1時間当たり0・25マイクロシーベルトを計測。この保育所では既に、これらの対策をとった。

 この問題を巡って文部科学省は4月、上限を年20ミリシーベルトとし、毎時3・8マイクロシーベルト超の場合、屋外活動を制限する基準を公表。5月になって、「不安感解消のため」として年1ミリシーベルトを新たに目標として掲げたため、保護者の間には混乱が生じていた。

 根本崇市長は「子どもには一番低い年1ミリシーベルトを取るべきだ。周辺が『ホットスポット』と言われている現況を打開するには、基準をはっきり決めることが大切だ」と説明する。

 周辺自治体には戸惑いも広がる。野田市を含む周辺6市は6月8日に対策協議会を結成し、測定方法や評価の基準を統一することにしていた。県や6市の測定によると、柏市など4市では全測定地点が野田市の基準値を超えており、柏市の秋山浩保市長は「野田には野田の事情があったのだろう」と話す。学校や幼稚園の土の入れ替えを求め1万人以上の署名を柏市に提出した大作ゆきさん(33)は「野田市民がうらやましい。行政は早く対応してほしい」と話した。



資料 文科省、またも姑息な「安全神話」を 恥の上塗り


放射能を正しく理解するために
教育現場の皆様へ
文部科学省
平成23年6月24日

「暫定的考え方」で屋外活動制限の目安となった
「毎時3.8マイクロシーベルト」について
毎時3.8マイクロシーベルトの考え方

・子供の放射線感受性を考慮し、1年間毎日、校庭に8時間、その上に建つ木造校舎に
16時間居るという現実的にはあり得ない安全側に立った仮説に基づき、年間20ミリシー
ベルトから導き出された値。
・「児童生徒が受ける線量をできるだけ低くする」ための対策をとる目安として設定したも
ので、これを超えると危険という安全基準ではありません。
児童生徒等が受ける線量について
・3月10日以前の児童生徒等の生活パターン(校舎内5時間、校庭2時間、通学1時間、
屋外3時間、屋内(木造)13時間。3月11日以降はより屋内中心の生活となっていると
想定される。)に基づき児童生徒等が受ける線量をより現実的に試算すると、毎時3.8
マイクロシーベルトの校庭の学校で年間9.99ミリシーベルト。(このうち学校において
受ける線量は年間1.67ミリシーベルト。)従って、大半の学校がこれを遙かに下回る
線量。
・教職員に簡易型積算線量計を携帯してもらい、実際受ける線量を調査したところ、平
均毎時0.1マイクロシーベルト(毎時0.03〜0.3マイクロシーベルト)となった。これ
は、年間では0.2ミリシーベルト(年間約0.05〜約0.5ミリシーベルト)に相当。

「学校において年間1ミリシーベルト」とは
? 年間1ミリシーベルトというのは、学校において受ける線量をでき
る限り減らしていくという「暫定的考え方」に基づき示した目標であ
り、1ミリシーベルトを超えてはならないという基準を示したもので
はなく、毎時3.8マイクロシーベルト以下であれば、屋外活動の制
限も必要ありません。

? 校庭における空間線量率が毎時1マイクロシーベルト程度の学校
であれば、通常の学校生活で十分達成できると考えられます。




予告「土曜授業」 
素晴らしき「広報」の世界
教育課題に教員も校長も出てこないとは。
名前と顔が一致する五家族 
そりゃ本人了解はとってるだろうけれど…。
この手はありか!?
パンドラの箱は開かれた。言いたいことは、教職員・校長・子どもたち・保護者・住民・・・、いっぱいある。広報広聴担当と「問合せ先指導室」はきちんと対応せよ。
詳細次号






週刊墨教組 No.1632      2011.6.19


墨田区も放射線量測定開始
 あまりに遅いが一歩前進 さらに注視する
私たちがしなくてはならないことは何


戦争が廊下の奥に立つてゐた

 渡邊白泉、一九二九年作品です。
 福島原発事故を「戦争」になぞらえる論があります。京大小出裕章助教は、「今は皆はどこまで深刻だと思っているか分からないが、戦争と同じような状態。その認識が足りていない。」(六月十四日MBS毎日放送「たね蒔きジャーナル」)と言っています。あえて国家主義的に言えば、確かに国土の何%かが人の住めない状態になっている(領土を奪われた!)という事態は、戦争に似ています。
 戦争が廊下の奥に立っていても気が付かなかった(気がつかないふりをした)ように、今、白日の下に原子力発電所がメルトダウン・メルトスルーしても、それは大したことではないのだ、大丈夫だという楽観論にすがりついています。見えないふりをしています。全国の原発は安全点検したから再開すべきであり、東京の放射線量は〇・〇五μSv/時(新宿十八m)だし、年間二〇mSv/y=三・八μSv/時をクリアしている、福島でもプールを行っても問題ない・・・。まず福島第一原発を正常に運転再開してから言うことです。法による安全基準は年間一mSv=試算〇・一九μSv/時です。

渡辺 白泉 1913年- 969年「馬酔木」や「句と評論」に投稿したのち、1939年より京大俳句会に参加。翌年には俳誌「天香」創刊に参画。口語・無季で反戦、社会風刺を込めた俳句を多数発表し、新興俳句の旗手となる。代表作に「戦争が廊下の奥に立つてゐた」など。1940年京大俳句事件に連座。執筆禁止命令を下される。

終戦後は静岡県にて教員として過ごし、中央俳壇と交わることはほとんどなかった。沼津市立沼津高等学校在職中の1969年、職場の机の中に自筆の句集稿本を残して急逝。三橋敏雄らの尽力もあり「渡辺白泉句集」(1975年)、「渡辺白泉全句集」(1984年)が没後に刊行されている。


放射線量測定始まる
 私たちは、墨田区の放射線対応が遅いと批判してきました。それに敏感に反応したわけではないと思いますが、区では六月二二日(水)から区内一二八か所で測定を始めると六月十七日、ホームページで公表しました(資料1)。
 放射線量を測れと要求することは「根拠のないうわさや情報に惑わされることなく、冷静な対応」であることが明白になりました。

 少なくとも一歩前進です。まず測定すること、「事実」を知ること。今回、原発がメルトダウンしているという「事実」を私たちは知らないままに、何か月かを過ごしてきたのです。危険です。ところで、なぜ、今まで測定してこなかったのでしょうか? 全く明らかではありません。それも含めて明らかにし、反省を加えるべきです。

資料1 墨田区内の放射線量の測定について お知らせします
  環境保全課  2011年6月17日掲載
 墨田区では、福島第一原子力発電所の事故を受け、区民の皆様から区として放射線量の測定を実施してほしいとの要望が出されていることから、放射線に対する区民の皆様の不安を解消するため、区内の大気中の放射線量測定を実施し、測定結果を区のホームページ等で公表します。
 測定は、区内の公園、保育園、学校等、128箇所で実施し、そのうち3箇所は定点での測定を6月22日(水曜日)から定期的に実施します。
 なお、定点測定以外の125箇所の再測定については、今回実施した測定結果を踏まえて検討します。
 放射線量測定の概要は以下のとおりです。

1.定点による測定
(1)測定場所
 ・隅田公園(向島一丁目3番)
 ・東向島北公園(東向島四丁目12番19号)
 ・錦糸公園(錦糸四丁目15番1号)
(2)測定の高さ
 地表面、50センチメートル、100センチメートルの3つの高さで測定します。
(3)測定時期  平成23年6月22日(水曜日)から
(4)測定回数
 隅田公園は毎日、時間を決めて実施します。その他の測定場所はと、週1回程度で曜日、時間を決めて実施します。なお、測定体制が整うまでの間は、測定機器を借受け、可能な範囲での測定を行います。

2.区内全域による測定
(1)測定場所
 区内全域における放射線量の分布状況を把握するため、区内を1キロメートルメッシュで17区分し、それぞれの区域内の公園における大気中の放射線量を測定します。
測定場所 つばき公園(墨田五)  原公園(京島三)
 東向島北公園(東向島四) 平井橋第一公園(立花六)
 吾嬬西公園(八広六)  横網町公園(横網二)
 堤通公園(堤通一)  若宮公園(本所二)
 ふじのき公園(東向島二)  錦糸公園(錦糸四)
 舟原公園(八広二)  両国公園(両国四)
 東墨田公園(東墨田三)  中和公園(菊川一)
 隅田公園(向島一) 錦糸堀公園(江東橋四)
 押上公園(押上一)
(2)測定の高さ
 地表面、50センチメートル、100センチメートルの3つの高さで測定します。
(3)測定時期
 測定体制が整い次第実施します。(6月下旬頃から)

3.保育園・学校等の測定について
(1)測定場所(111箇所)
・保育園、幼稚園(73園)
 区立保育園(29園)、私立保育園(15園)、認証保育園(14園)、区立幼稚園(7園)、私立幼稚園(8園)
・学校等(38校)
 小学校(25校)、中学校(12校)、あわの自然学園(1園)
(2)測定の高さ 1.に同じ
(3)測定時期  測定体制が整い次第実施します。(6月下旬頃から)

4.公表方法
 測定機種、測定方法、測定場所を明記して区ホームページで測定数値を随時公表します。

5.問い合わせ先
(1)放射線量の測定に関すること
  区民活動推進部環境担当 環境保全課
  電話:03-5608-6210
(2)放射線の健康相談に関すること
  福祉保健部保健衛生担当 
  向島保健センター 電話:03-3611-6135
  本所保健センター 電話:03-3622-9137


事実の解釈・評価が重要
 墨田区の「英断」(あまりに遅い英断!)により、私たちは生存の最低条件である「事実」を手に入れることができそうです。
 しかし、「事実」を知ることをは直ちに解決をもたらすわけではありません。
 東大では、これまで、放射線を測定してその数値(事実)を公開してきました。ことに柏キャンパスは、江戸川沿いホットスポットに位置し、高い線量を記録してきました。しかしその値は、文科省の年間二十mSv=三・八μSv/時以下であるために、「健康にはなんら問題はない」と付記されてきました。誤った事実の解釈は訂正されました。(資料2)

資料2 東大サイトの放射線情報 
「端的」過ぎる説明文訂正  2011年6月18日朝日新聞
 学内の放射線を計測して公式サイトで公表している東京大学が、測定結果に「健康にはなんら問題はない」と付記してきた一文を、全面的に削除して書き換えた。市民からの問い合わせが相次ぎ「より厳密な記述に改めた」という。学内教員有志からも「安易に断定するべきではない」と批判が寄せられていた。
 測定値は東京・本郷と駒場、千葉県柏市の各キャンパスの、3月15日以降、毎日1時間ごとの値を掲載している。柏キャンパスは現在、毎時0.25マイクロシーベルト前後だが、平時は0.05〜0.10程度。サイトでは「(原発の)事故前より少々高めの線量率であることは事実ですが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はないと考えています」とのコメントを載せていた。 (下略)


資料3 国際放射線防護委員会(ICRP)2011年3月21日勧告 「原発事故が収束した後も、原発周辺地域に汚染が残る場合でも、汚染地域の住民が移住しなくてもいいよう、限度量を1〜20mSvの範囲で設定し、長期的に1mSvの目標にすることを提案した。」


基準は基準
 私たちは「不可知論に陥ってはならない」としてきました。二十ではだめなの? では十二ならいいという根拠は? 一・二は安全? 二十一なら危険という証拠を出せ…。こういうバカなことを言わないための「基準」です。それは国際的に承認されている年間一mSvです。これを基準に私たちは対策を立てていかなくてはなりません。
 年間であるから、一年間=来年三月にならないとこれを超えているかいないかわからない、あるいは福島の子どものように線量計をつけて累積して基準値を超えたら対応するという論は無責任ですし、論理的に破綻しています。安全のための基準です。ああ、結果的に超えちゃいましたねえではだめなのです。

 国は安全の基準をコロコロ変えました。墨田区にはそのようなインチキをしてほしくはありません。区は、二二日に計測する以前に(事実を把握する以前に)はっきりと「基準」を打ち出すべきです。線量が高かったから基準値を上げる…などということはあってはなりません。
 墨田区が、二〇mSv/yを安全基準とするならば、今墨田区が「放射能汚染事故の処理過程」(小出助教の言う「戦争状態」)であることをまず宣言すべきです。その上で「一mSvをめざす」と付言すべきですし、そうでないなら、平常時の法的根拠「年間一mSv」を基準とすべきです。(資料3)

目先だけの「安心」は危険
 情けないのは、国に「未来を見通す発想」がないことです。「直ちに健康に被害を及ぼすことはない」と何回聞いたでしょうか。確かに「原爆の図」のように血を流し皮膚を垂らして彷徨う被害者はいません。被曝線量が高い方も「直ちに」死にはしません。それはよかった、一件落着。これでは無責任です。
 たくさんの原発労働者が、事故により「緩慢に急死」しています。もちろん「直ちに」死んだ方はわずかでした。最新医療はあれやこれやで、被爆者を苦しみの中に延命させます。ちょうど、交通事故死者数が、医療の「進歩」によって「減った」のと同じです。
 墨田区には「その場しのぎ=誤魔化し」ではない、未来を考慮した発想が今あるでしょうか。
 
名を惜しむべし 環境保全課
 私たちが批判しこの六月十七日に破られた「墨田区の沈黙」の中で、唯一原発事故に論及したのは、環境保全課五月二六日「土壌放射能についてお知らせします(資料4)」です。
 ひどいものです。国と同じく、無責任な「安全論」に立脚しています。
 いったいどうしてこんなに(直ちに健康に被害がなくても)高い濃度の放射性物質がここに存在するのか、それはどこからいつ来たのか、今後このようなことがありうるのだろうか…それを究めるのが環境保全課の仕事でしょう。
 少なくとも、このような発想、目先だけに自分の責任を限定する発想、あやふやな事実にもたれかかりつつ他の情報を攻撃する発想はしないでほしかった。かつて、雨水国際会議という極めて斬新なイベントを担った墨田区環境保全課が行うこと、あるいはその名において発するメッセージではありません。

できることはなんでもやる
 私たちにできることは何でしょう。目をふさがなければ暗澹たる未来に胸つぶされそうですが、個人レベルで、家族で、職場で、地域で、バタバタとできることをやっていこうではありませんか。
 私たち一人ひとりのささやかな言動が有効かどうか確信は持てませんが、座視するだけでは決して良い方向に向かわないことは極めて確実です。

資料4土壌放射能についてお知らせします
      2011年5月26日掲載  環境保全課
 5月15日付朝日新聞及び5月20日付日刊ゲンダイで近畿大学山崎秀夫教授による土壌放射性セシウム濃度測定結果に関する記事が掲載されました。
 その記事で、都内4地点の測定ポイントの中、江東区亀戸で測定された値が比較的高濃度で測定されたとの報告があり、墨田区の住民からも問い合わせがありました。
 江東区に隣接する当区としても、山崎教授に直接電話で確認したところ、「亀戸で測定された土壌放射性セシウム濃度の数値は大気中の放射線量に換算すると健康にはまったく影響がなく、対策の必要はない。」とのことでした。
 福島第一原発の事故以来、各地で通常より高い放射線の値が発表されていますが、都内の大気中放射線測定ポイントである新宿区の健康安全研究センターの値は安定してきています。不正確な情報に惑わされることなく、冷静な対応をお願いします。




週刊墨教組 No.1631      2011.6.13

二〇一一年六月十一日 「脱原発一〇〇万人アクション」
全国・全世界で大きく燃え広がる
   墨田教組も終日行動に参加
墨田でしなくてはならないことは何か

 墨田区は「地方政府」として 子ども・住民の安全を守れ!



脱原発の大きな流れ
 東日本大震災からちょうど三か月経った六月十一日、全国一〇〇か所以上で集会が持たれ、「脱原発」「原発はいらない」「福島を救おう」の声が響きました。
 海外でも、ドイツ政府の脱原発宣言をはじめとして、原発からの脱却が政府レベルで模索され始めました。私たち墨田教組も、芝公園・新宿中央公園から新宿東口アルタ前へと終日行動し、脱原発の意思を固め、「福島を救う」というのは何をすることなのか考え続けました。 

表現すること・行動すること
 デモ(パレードとも言います)の沿道には「右翼」と言われる人も来ていました。
 「原発はクリーンで安全なエネルギーなんだぞ!知らないのかバカ野郎!」
 「福島で原発事故が起こったからってガタガタするんじゃな〜い!。反対している暇があったら原発のプールで泳いでこ〜い!」
 高性能マイクががなり立てます(名誉のために、「右翼」と呼ばれる人がみなこのような発想をもっているのではないことを付言します。錦糸町駅頭では、「外国から日本人は冷静沈着できちんと並んで偉い・・などと褒められて喜んでいてはいけない。もっと・・・」と説いている方もいらしたそうです)。
 実際に行動すると、このような、そりゃないだろうという「おかしさ」にも出会えます。そしてこの「おかしさ」が墨田区で再現されていることにも気づきます(後述)。
 またこの運動を作っていったのが政党でも労働組合でも(残念ながら)なく、市民運動と個人であること、しかもネットを巧みに使ってこれだけの広がりを作ったこと。
 無駄で無意味なことを強いている区「ICT化」も、使い方によっては、改変することができるかもしれません。

あまりに遅い墨田区・墨田区教委
 他区と比較して墨田区の行政を批判することを、私たちはあまりしてきませんでした。墨田区教委はこれまで比較的まっとうに労働組合と協議してきたからです。しかしその習いを破って私たちは今主張します。「墨田区は江東・葛飾・台東程度にはまじめに区民。子どもたちのことを心配しろ!」と。
 このたびの震災・原発事故で、県・市・町村…が「地方政府」であることが顕わになりました。中央政府が何と言おうと、その市に住む人々の安全を図るためには放射線の多い土を撤去しました。悲劇的なのは、すでに課題の大きさ・職員の被害によって対応できなくなってしまった
「地方政府」もありました。
 「地方政府」である墨田区は、区民とそこに働く者が健康と安全・幸せのために頼りにしている存在です。実際はどうでしょうか。課題は大きすぎないでしょうか? 人員は存在しているでしょうか?

メルトダウンはデマ?!
 江東区・葛飾区では、すでに六月当初から独自に放射線量を計測し、公表を始めています。すべて、区民の不安にこたえ、少なくとも数値(その扱いや基準について私たちは認められない内容をもっていますが)を計測し公表しようという姿勢を示しています。
 墨田区のホームページでは、「インターネット等に流れている根拠のない情報にご注意ください」と四月十九日に保健所が保健所が掲載し、四月二七日に下記が掲載され、その後、亀戸の三千ベクレルは心配ない」と報じたきりです。
 東電・政府は四月時点で原発のメルトダウンを認めていませんでした。ですから墨田区にとっては、「うわさ」はメルトダウンです。「惑わされてはいけない情報」ということになります。
 福島原発事故の重大性・深刻さや、状況の変化に全く対応できていません。そこで、六月十一日デモの「右翼」の方の発言から思い出してしまったのです。

墨田区は「地方政府」として
 子ども・住民の安全を守れ!
 すでに大手マスコミですら、東京東部のホットスポットを語っているのに、まだ、「根拠のないうわさや情報に惑わされることなく」「安全で安心な原発神話」とその下でとられてきた測定体制だけを根拠」として、「冷静に」健康をむしばまれていくことを強いようとするがごときです。
 副校長会や校長(会?)から夏のプールに対する区教委の判断を求められて、「出すつもりはない」と言っているとか…まさか〜!「根拠のないうわさや情報」でしょ?…。
 無責任です。葛飾は「1mSv/yをめざす」という文科省の「訂正」を忘れたまま20mSv/yを安全の根拠にしていますから誤った主張です。でも、「聞くところによると」の墨田区よりはましです。まだ、自分の言葉で「安心だ」と言おうとしているからです。
 「土曜授業」で見せた、学校に任せるから…という区教委の無責任な論理は、決して許されません。
 私たちは、自分も含む墨田区・墨田区教育委員会が、きちんとした「地方政府」として機能するように、支え・叩いて行かなくてはなりません。私たちが同じ穴の貉=無能で無責任な卑怯者にならないために。

なさけない
墨田区ホームページ
広報広聴担当 福島原子力発電所の事故による放射線の影響についてお知らせします
    2011年4月27日掲載
福島原子力発電所の事故による放射線の影響についてお知らせします。
区民の皆様には、正しい情報に基づく行動をお願いいたします。
根拠のないうわさや情報に惑わされることなく、冷静な対応をお願いします。



葛飾区ホームページ
葛飾区における放射線量について(6月9日更新)
葛飾区では専門機関の協力を得て、空間放射線量を測定することにしました。測定結果は下記のとおりです。毎週月曜日と木曜日に測定結果を掲載します。
現在の測定値は健康に影響を与えるレベルではありません。
測定結果(6月9日)
水元中央公園 毎時0.24マイクロシーベルト
金町二丁目ときわ公園 毎時0.28マイクロシーベルト
金町公園 毎時0.22マイクロシーベルト
高砂北公園 毎時0.21マイクロシーベルト
測定結果(6月6日)
中道公園 西亀有 毎時0.13マイクロシーベルト
本田公園 立石 毎時0.15マイクロシーベルト
新小岩公園 毎時0.20マイクロシーベルト


江戸川区ホームページ
都内における空間放射線量の測定の拡充
更新日: 2011年6月9日
東京都では、空間放射線量を東京都健康安全研究センターで測定し、ホームページなどでお知らせしています。
このたび、その測定箇所を拡大し、都内全域で統一的な測定を実施します。
測定箇所 都内100か所程度(江戸川区内では4か所で測定予定)
測定時期 6月15日(水曜日)から1週間以内に測定予定
測定の高さ 地表及び地表から1メートルの高さ
測定者 東京都職員(健康安全研究センター)
なお、測定結果は、東京都ホームページ、区ホームページでお知らせします。


週刊墨教組 No.1630      2011.6.7

前代未聞の今、勇気をもって手探りで歩みだそう
  「20mSv/年」基準変更は認めない
  教員が「安全」政府と心中してもよいが、その犯罪に加担してはならない

 
今こそ声を上げよう 行動しよう

福島原発の絶望的な状況
「1号機建屋で湯気、周囲で毎時4000mSv
 東京電力は4日、福島第1原発1号機の原子炉建屋の1階南東の床から湯気が吹き出ているのが見つかり、周辺で最大毎時4千ミリシーベルトの高い放射線量を計測したと発表した。人が4分以上いれば、作業員の被曝限度の250ミリシーベルトを上回る値で、これまで福島第1原発で確認されている空間線量では最大という。東電によると、この場所での作業は予定されておらず、ロボットによる監視を続けるという。産経新聞 6月4日13時3分配信」
 もともと手もつけられない所だったところに、「最悪」が「見つか」ったということでしょう。
 原発などというものは、そのメカニズムも安全性も現代科学の粋を集めたものに違いない…とまあ思っていたら、想像を上回るひどさです。放水車、土嚢、決死隊…。タイムスリップです。
 現代の神話というべきです。そこでは「ご神体」である暴走ウランのスラグがどこにあるのか、どのような姿をしているのかが明らかでありません。推し量るしかない状態です。「神話世界」にふさわしいありさまです。その中で、私たちはどのようにこの状況と付き合っていったらいいのでしょうか。

福島の悲劇を繰り返さない
 「安全な原発」があるか無いか論議している時ではありません。さしあたり危険な原発を停止させることが必要です。
 都心に避難している福島の方が、きらめく都会の夜景が涙でにじむと朝日新聞声欄に書いていました。このきらめきのために福島に原発が作られ、福島に原発を維持するためにオール電化が称揚され…、そして原発周辺は今闇に包まれている。一方、東京は、なんだ、原発がなくても電力は賄えるんだと再び電化生活を楽しもうとする…。
 我々は原発という危険を福島に押し付けることによって「煌めく夜」を得てきました。その危険が現実のものとなりました。もし私たちがおこがましいかもしれないが、苦悩し傷ついていく福島の人々に共感し、その受苦を少しでも軽くしたいと念うならば、全国の原発停止を要求することは必須でしょう。地震の危険と原発事故が作った世論は浜岡原発を停止させました。福島原発事故も「自然災害」ではなく「人が止めうることであった」ことが証明されます。福島の人々が忍苦させられることなく、正当に、なぜ止めなかったのだ、なぜ推進したのだと主張することを支えられます。

安全の基準は1mSv/年
 基準は基準、安易に変えるべきではありません。事が起こった時に、より厳しくするならともかく、緩めるなどもってのほかです。そもそも「事が起こった時」のために安全基準を立てていたのですから。また、「事が起こった時」人体が急にパワーアップするわけでもありません(むしろ内部被曝も含めて、未知の危険に備えるために基準を上げるべきなので)。文科省の「20mSv/年」宣言は、安全を顧みず現実を追認する「殺人」的なものでした。
 それに対して福島の人々をはじめとして世界中から非難と批判が集中しました。1628号でふれた「文科省 学校1ミリシーベルト以下目指す 5月27日 」はその圧力に耐えられずに発せられたものです。
 そこで批判したように、20mSv/年は維持され、土壌除去も1mSv/年ではなく10mSv/年以上です。さらにそれ以外の対策には言及していません。しかし、運動をすすめたグループの中には「20mSv/年を1mSv/年に押し戻しました。これを実質化させることがこれからの課題だ」と位置づけている意見もあります。私たちの行動は、現実を動かしましたし、さらに動かしていかなくてはなりません。
 20mSv/年を拒否すること。東京が「私の所は20mSv/年以下だからまあいいだろう」とそれを認めたら、福島にもそれを押し付けることになります。20mSv/年が3.8μSv/時であるとしたら(この計算もおかしいと思うのですが、さしあたりこれで論じます)、目指すべき1mSv/年は0.19μSv/時です。これに近い所、これを超える所は墨田・墨田周辺にもたくさんあります。0.19μSv/時を基準に東京の子どもたちの安全を語り、訴え、騒ぐことは、福島の子どもたちにも同じ基準を要求することにつながります。これも今の福島の苦悩を少しでも減らすことにつながる私たちの行動です。

6月11日(土)『原発やめよう100万人アクション』

 6月11日(土)『原発やめよう100万人アクション』が全国各地で進んでいます。北海道から鹿児島まで全国で集会・デモが計画されています。これ以外にもいくつもの学習会や講演会があります。全国100カ所を超えるかもしれません。
 私たち墨田教組は、芝公園(13:00〜)に参加、新宿アルタ前(18:00〜20:00)で新宿中央公園多目的広場(14:00〜)のみなさんと大合流します。若者の多いと予想される新宿の方にはじめから行きたい方はどうぞ。長丁場です。体力にも自信がなくなってきています。部分参加も行動です。

各地で地道な努力
 各校では、ヤゴトリ・プール掃除などをめぐって、真剣な議論と対応が始まっています。また、後述の「放射能を正しく理解するために 教育現場・保護者の皆様へ  文部科学省 平成23年4月20日」に基づく文科省ビラ「保護者の皆様へ」(20mSv/年を前提にした物。これが入っている限り、他にどのようなものが入っていても「人殺し」に加担することになります)を保護者に配らせなかった学校があることも墨田の教員の見識の高さを証明しています。
 墨田でも放射線量を測定するということで、区教委も対応に大わらわのようです。しかし、対応の遅さは否めません。世の人々の「超クールビズ」スタイルに反して、ネクタイに黒スーツの異様な一団がまだいます。おかしな縛りや指示がなければ、若い教員も校長も、こんな恰好はしたくないでしょうに。今、この礼儀正しいスタイル」はかえって「勇気」がいるのではないでしょうか。どうかこの「勇気」を、別の所に発揮し(させ)てほしいものです。

「勇気」について
 三か月も経てば、学ぶことはたくさんでてきます。これも一つの「勇気」だと思います。すでにみなさんご存知とは思います、かなり古い話、福島県郡山市のT小学校のホームページです。「公表中止は学校外からの圧力のせいだ」、いや「学校の自主的判断だ」と様々な憶測や「証言」がありますが、今それは問いません。一つの学校の「行為」に胸打たれます。学ばねばなりません。

 おそらく画時代的な時を生きているだろう私たちは、不安の中で、勇気をもって自分の頭で考え、自分の足で踏みださなくてはならないのです。



福島県郡山市T小ホームページ緊急情報欄より(抜粋)

始業式、入学式は4月11日
【緊急情報】 2011-04-11 17:58 up!
放射線測定値4・11放射線測定値4・11
文部科学省から簡易放射線測定器を1ヶ月間レンタルすることができました。
簡易とはいえ測定値はほぼ正確です。昨日から学校敷地内、校舎内各所の放射線測定をしてみました。測定の高さは1mです。本日(4・11)の測定値は以下の通りです。単位はマイクロシーベルト/h
<屋内>1階教室 0.25 南昇降口 0.29 東昇降口 0.29 2階教室 0.11 2階廊下 0.10 3階教室 0.11 3階廊下 0.12
<屋外>玄関前 1.04 体育館前 1.27 中庭 2.06 校庭中央 3.63 3階屋上 0.61
 教室内はかなり低い値となりました。屋外は、地面がコンクリートか土かでかなり違っています。この結果からも、屋外、特に校庭の値は高いので、できるだけ窓を閉め、室内で過ごさせるようにしていく方針です。
 今後も定期的に測定をし、このホームページなどで公表してきます。

  <この後、毎日測定し公開しています>

【緊急情報】 2011-04-15 21:03 up!放射線測定値4・15
測定を始めて1週間。子どもたちが出入りすることで線量が増えるのではないかと危惧していましたが、大きな変化は無く、とりあえずその点はよかったと思います。
本日は校庭の数値が少し下がりました。1日も早く屋外に出られるレベルになることを祈るばかりです。土日は測定は休みます。

【緊急情報】 2011-04-19 18:50 upT小放射線測定値4.19
今日は雨の中、傘をさして測定してみました。
大きな変化はありませんでしたが、測定を始めた4月11日と比べると屋外の数値が徐々に下がってきているのが分かります。屋内はほぼ一定です。本日から4月11日の測定値と比較して表示します。左が4月11日、右が4月19日です。いずれも高さ1m
<屋内> 1階教室 0.25 , 0.17 南昇降口 0.29 , 0.31 (略)
<屋外> 玄関前 1.04 , 0.98 体育館前 1.27 , 0.92 中庭 2.06 , 1.88 校庭中央 3.37 , 2.70 3階屋上 0.61 , 0.55

【緊急情報】 2011-04-21 09:04 up!T小放射線測定値4.20&フジテレビ
ご覧になった方も多いかと思いますが、本日のフジテレビのニュース(全国版)でT小が紹介されました。あの安藤優子アナ、木村太郎氏の番組です。文部科学省から暫定基準値が発表されたことを受け、校内の様子を取材したものです。かなり長い時間放送され、びっくりでした!子どもたちのインタビューや先生の姿も画面いっぱいに放映。ローカル版でも再度放映されましたが、校長先生の名前が間違っていたのは残念。番組の中ではこの放射線測定の様子も紹介されました。「そろそろ週1回の測定に 」とも考えていたのですが、TVで紹介されたからには頑張らねばなりません。
さて、文部科学省から出された暫定基準値は3.8ミリシーベルトでした。基準値に満たない学校は問題は無いとされていますが、本校では、屋外での活動には慎重を期したいと考え、当面の間は屋外での活動を制限していく方針です。

【緊急情報】 2011-04-26 10:31 up!
T小放射線測定値報告の中断のお知らせ
先日来、本校独自で実施した校舎内及び校庭等の放射線測定値をホームページに掲載してまいりましたが、インターネット等での測定値の発表は、文部科学省や県など公的な機関が測定したものに限るとのことから、今週からホームページへの掲載は中断することとなりました。なお、学校独自の調査はこれまでどおり継続し、数値の推移等については、学校便り等で保護者の皆様にお知らせしてまいりますので、ご理解いただきますようにお願いいたします。

【緊急情報】 2011-04-28 11:50 up!
校内における放射線値のお知らせについて先日、これまで行ってきた放射線値の掲載について、中断することをお知らせしました。その理由として、まず第一に、現在、国や文部科学省から正確な数字が公表されていること。本校の数値は、あくまで教職員の手によるものであり、ご家庭に参考としてお知らせすることと考えておりました。
第二に、私たちが情報をお伝えするべき対象者は、まず、保護者が第一であります。したがって、ホームページよりも文書をもってお知らせしたほうが、各家庭に確実に伝わると考えました。
なお、測定については現在も継続しており、結果については定期的に文書をもってお知らせしてまいります。その旨、ご理解をいただきたいと思います。(文責 T小学校長)

【緊急情報】 2011-04-28 13:25 up! 放射線測定値の紹介について
校内で現在も測定しております放射線測定値は、今後は「学校便り」で保護者の皆様にお知らせいたします。また、地域の方々からのご要望もあり、ホームページにも同様のデータをPDFファイルで掲載することといたしました。学校便り、ホームページの発表は毎週月曜日を予定しております。なお、現在測定をしております機器は文部科学省から借りている放射線メーター「はかるくん2」です。測定範囲は0.001μsv/h〜9.999μsv/hとなっています。

5月23日(月)
<窓を開ける実験を行っています>
 学校では窓をほぼ閉め切っての生活が続いていますが、本校では、現在、窓を開けることによる放射線量の変化について実験を行っています。実験は、児童の生活に影響の少ない離れた特別教室を使い、窓を開ける前と開けた後(3〜8時間後)の線量の変化を記録しています。また、毎日同じ教室を使って継続して実験することにより、線量が増加していくのかどうかも調査します。今のところ窓を開けても線量の増加は見られません。来週には結果をまとめて報告します。
<暑さ対策1 扇風機を購入しました>
 先週から急に気温が上がり、窓を閉め切って生活するには大変厳しい状況になっています。そのために、協力会の積立金を活用させていただき、扇風機を16台購入させていただきました。とりあえず教室に1台ずつ設置します。少しでも涼しい環境で学習させたいと考えています。
<暑さ対策2 1年生の教室を移動します>
 扇風機を導入しても、換気などでやむを得ず窓を開ける場合もあります。ただ、1年生の教室は南校舎にあり、窓を開けると校庭からの砂ぼこりの進入が心配されます。そのため、6月初めから1年教室を校庭から離れた北校舎の1階に移動することにしました。場所は、校長室の隣から3つの教室(現 会議室等)です。北校舎の1階は本校の校舎の中でも夏一番涼しい場所でもあります。昇降口は今まで通り変わりません。詳しい移動の日時などは学年便り等でお知らせいたします。
 (現在、毎週PDFファイルで、線量が公開されています。)



「放射能を正しく理解するために
教育現場の皆様へ  文部科学省 平成23年4月20日」
 かなりひどい文書です。イラストもいかにもやっつけで作ったという感じ。様々な批判がありますが、その一つで東京新聞です。

5月21日 東京新聞記事 (こちら特報部)
こども被ばく基準で文科省冊子
ストレス強調 問題隠し

福島県のアドバイザー「安心」繰り返す
 福島県の子どもたちの年間被ばく許容量が暫定的に20ミリシーベルトとされている問題。甘い基準が強い批判を呼んでいるが、それを無視するかのように国と県が「心配無用キャンペーン」を展開している。しかし、住民不安は行政が正確な情報を発信しないためだと、逆に反発を招いている。
 先月下旬、文科省は教育現場や保護者向けに「放射能を正しく理解するために」と題した冊子を発行、配布した。 「放射能とは?」という説明で始まり、国際放射線防護委員会(ICRP)の声明を踏まえ、年20ミリシーベルトの基準の正当性を強調。そこから換算し、屋外での放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以下ならば「普通に生活して支障はありません」と書かれている。
 「数年で250ミリシーベルトとなるような弱い放射線では(健康に)影響は生じません」との記載もあった。しかし、後段では「必要のない放射線をできるだけ浴びないようにするという考え方は、大切です」と付け加えた。
 大幅にページを割いているのは、被ばくについてのストレスだ。必要以上に被ばくを心配すると「心身の不調を起こし」、防ぐには「不確かな情報に惑わされず・・・」と説明されている。 その一文に間違いはないだろうが、住民らは冊子をどう読んだのか。福島市の主婦、佐藤幸子さん(57)は猛反発した。 「国は(子どもの被ばく)基準がどう決まったのか聞いても答えない。それなのに『弱い放射線だから安全』と言い放ち、一方で『浴びるな』とも。不確かな情報を出しているのは国。地元の放射線量調査も、市民団体が先行して問題点を指摘した。住民のために作成されたとは思えない」

 国と一体となった県の対応にも不振の声が上がっている。事故後、県放射線健康リスク管理アドバイザーの長崎大学教授が県内を行脚し、ICRPの勧告を盾に、講演で「問題ない」 「安心だ」と繰り返している。

 そのICRPの勧告については国際的に疑問視する声も小さくない。 内部被ばくに詳しい琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授は「勧告は原発推進のために、設定された目安。被ばくでは必ず犠牲者がでる。勧告は合理主義の産物で『犠牲者があっても構わない』という考え方だ。福島の許容量も数字遊びにすぎず、本当に子どもを守ろうとしているのかはなはだ疑問だ」と批判した。
 実際、被ばくの影響については、人によって大きな差があるとはいえ、子どもの方が影響を受けやすいとされている。 例えば、1980年代から90年代にかけて、米国では原発周辺に住む6000人の小児の歯に含まれる放射性ストロンチウム90の含有量を調査した。それによると、原発稼働率とストロンチウム含有量には相関関係があり、ニューヨーク州サフォーク郡では、含有量と小児がんの患者数にも相関関係があった。
 これは、放射性物質が体内に取り込まれ「内部被ばく」の影響だが、ICRPの被ばく評価体系からは内部被ばくが排除されている。矢ヶ崎名誉教授は「『ICRPの勧告』『年間許容量』など数値の議論ではなく、まずは内部被ばくも含め、被ばく量を減らすために迅速に対応するのが行政の役割。それを放棄しているように映る」と忠告した。



資料
・http://space.geocities.jp/irukachan2009/file_1285.html
 「放射能を正しく理解するために」添削 Ver.3.1 ダウンロードできます
・NHK ETV特集「汚染マップ正・続」DVDあります。
 「測定して記録する。そして歴史に残す」学者はそれでいいかもしれないが、私たちは「測定して記録する。そしてバタバタと何とかする」でなくてはなりません。
・小出裕章 京都大学原子炉実験所助教 各地での講演 国会での発言(他に後藤・孫・石塚氏) YouTube Flashビデオ 
 『原発のウソ』 (なんと扶桑社新書)2011年6月1日
・「放射線被ばくから子どもを守るために」松井英介( 岐阜環境医学研究所所長)監修
 N P O 法人セイピースプロジェクト編集発行 2011年5月発行 大変わかりやすいパンフレット 
 http://www.saypeace.org/image/hibakuyobou.pdf
・http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&hl=ja&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,0&msa=0&msid=214909609623640182246.0004a222823c8883a468a&z=7
・http://www.dwd.de/wundk/spezial/Sonderbericht_loop.gif
・http://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/weather/gpv/wind/
・他、「世界」「週刊現代」など




週刊墨教組 No.1629      2011.6.3

前指導室長の発言は誤りである
 区教委は発言事実を明らかにし、
 その問題点と今後の方向性を明らかにせよ!


墨田区教育委員会教育長様
前指導室長様

 前指導室長の2011年3月1日初任者研修会における発言に対する
      抗議・要求書

 私たちは、2011年度初任研の最終回(2011年3月1日)で、指導室長(当時)が、大略「公務員は安定した仕事である。真面目な人だから結婚できるのが当然。優秀な男性教員は売約済みであり、そうじゃない三〇歳を過ぎた男性とは結婚しない方がいい。」という趣旨の発言をしたと聞いている。この発言が事実であるならば、初任者研修という公的な場で、ある層の人を特定して人権を侵害し、偏見をつくろうとする極めて悪質な行為と言わざるを得ない。
 
 子どもたちと教職員・すべての人々の人権を守るべき我々墨田区教職員組合は、前指導室長に「人権を侵害する差別的な発言をした」と抗議し、その発言の撤回と謝罪を要求する。
 また、この事実を知りつつ二か月以上放置している墨田区教育委員会の責任者である教育長に対して、速やかな事実確認と区教委としての見解を表明することを要求する。
回答は、直ちに文書でいただきたい。 以上

 2011年5月9日 
      墨田区教職員組合委員長 


 二〇一一年三月一日初任者研修会での指導室長(当時)の「結婚しない男性教員にかかわる差別偏見発言」は広く墨田区内のみならず江戸川をはじめ東京近在でつとに知られていることです。
 私たちはその発言の四日後から氏・墨田区教委に問題点を指摘し、正しい「解決(処理ではない)」を図るよう申し入れてきました。その後の経緯は後に述べますが、結論は口頭で伝えられた次の文言です。※1

※1 区教委は「土曜授業」強行辺りを境にして、官僚の常套である文書主義を改めたようです。私たちもこれに習い、下らない文書での報告など止め、すべて口頭で行うようにすべきです。文書主義を止め口頭で行えば、「言った言わない」の「子どものけんか」に持ち込むことができます(子どものみなさん、区教委と一緒にしてごめん!)。

「本件については調査を行い、
 適切な処理を行った。」

 見事に返答がなされました。可能性としては黙殺か「君たちは差別発言によって被害を受けた当事者ではないのだからそもそもこのことを明らかにせよという資格がない」という返答=門前払いを考えていたのですが、立派に返答がされました。
 しかしさて、内容がない。誰にどんな調査を行い、氏が言った内容は何であり、問題点があるとすればどんなところだったのか、今後どうするのか、そしてどんな「処理」が行われたのか…まったく不明です。氏が「処分」されたのか「称揚された」のかすら明らかではありません。そもそも「本件」っていったい何だかも語られていません。

 私たちは、直ちに、次のことを要求しました。当然でしょう(と私たちは思う)。
1 詳細な説明を望む。
2 この内容は公文書となっているのか? なっているとすれば公開請求を行うが。
3 区教委の誰の見解か?

 六月一日には教育委員会庶務課課長から超多忙にもかかわらず、次の伝言が伝えられました(口頭です。同じことは繰り返しません)。
1 職員の服務にあたることであるので、個人情報保護の観点からも非公開である。ただし、本件は厳正な調査を行い、適切な処理をしている。
2 だから詳細な内容については公開しない。
3 教育委員会事務局すなわち組織としての見解である。

 聞き間違いがないなら、調査に「厳正な」が付きました。安心していいかというとどうもそうではないようです。二の要求に対して、「服務にあたる」「調査」「処理」の文書の有無を飛ばしていますので、文書化されていない=有耶無耶に口頭で処理されている可能性が高いからです。

 私たちは氏を処分しろという、個人の問題として提起したわけではありません。差別偏見をいだき広げてはいけないという視点から話し合いをすすめてきました。今回の区教委の見解表明でこの問題に一段落をつけようと考えていましたが、それは無理でした。区教委に自浄能力がないならまた別の所を頼まねばなりません。
 私たち墨田区教職員組合はこの問題に対して次のような基本的な考えを持ち、これからも行動していきます。多くのみなさんがこの問題の重要性と課題解決の方向性を共有され、ともに、人権を守る墨田区を作っていくことを望みます。

基本的考え
 「職場内恋愛はしない方がいい」ということは個人の行動への侵害でもあり、パワハラです。「結婚していない男性教員は訳ありだ。こういう男性との結婚は考えた方がいい」は特定された方に対する偏見をつくっています。
 指導室長という「指導する立場」の者が、新規採用教員の研修の場である初任者研修会で、この発言をしたことが何より問題です。本人が異動しているから「もう追及できない」と説く者もいるが私たちは決して頬かむりさせません。後にも述べるように前指導室長との間で非公式に交わされたやり取りは「信義に満ちたもの」であったからです。
 また、教育委員会内部でも異動によってなかったことにしようとする雰囲気がうかがえます。中には、「テープで録音しているわけでも文書があるわけでもないのだから・・・」と露骨にもみ消そうとする意見も聞きました。恥ずべきことです。ほとんどの差別発言にくっついてくるこの言葉を、「人権の墨田」の教育委員会構成員が吐くなんて。今後このような差別発言・偏見作り・揉み消しの動きを許さないためにも今回のことは教育委員会全体・墨田の教職員全体に真摯に受け止める課題であると考えます。なぜこんな簡単なことが間違いだったと謝れ ネいのでしょうか。過ちは外部から糾弾される前に内部で反省を加え今後の正しい方針を出すという自浄の方が数段優れているというのに。

まず事実を明らかにせよ
 三月四日、奇しくも人尊発表会の日、私たちは室長と話をしていました。組合の情報ネットワークに入ってきた氏の発言を確かめるためにです。その場で私たちはまずなによりも、かかる疑惑を受けている室長は、
・自身の発言を正確に再現し、
・人権尊重・公務労働者の立場から反省を加え、
・内外にその是非を表明すべきである。
ことを説きました。まず、具体的にどのような発言がなされたか再現するのが第一歩だと考えるからです。
 指導室長もこれと同じ認識に立って、同席した主催者側の人々(二人の指導主事と横川研修室勤務者)にも尋ね、初任者からのレポートも参考に自身の発言を再現することを約されました。まず自分で思い出すのが筋であろう、心神喪失状態ではないのだから・・・とは思いますが、直接初任研参加者に「私はこのような話をした(しなかった)ね」とされない、あるいは「私の話がおかしいと思う者は後で話しに来い」と言わなかったのは見識のあるところです。しかし、その後に起こった東日本大震災・福島原発事故への対応による多忙などの理由で、室長の作業はなかなか進まなかったようです。

自浄
 私たちは直ちに氏の発言を糾弾・広報してきませんでした(今書いているようなことは、その後三週ほどの間に出来上がっていましたが)。これを弱腰・怠慢・怯懦・・・と呼ぶ方もいます。そうかもしれません。しかし、私たちは氏並びに区教委の名誉ある行動を保証しようと考えていたのです。笑われるかもしれませんが。我々が新聞で問題発言があったようだと書き立ててからではなく両者には対応してほしかった。自ら問題点を剔抉してほしいと考えたのです。

指導室長発言問題は
   区教委の自浄能力低下問題
 その後、自分の問題を決定することはできないから、最終的判断は次長に任せたと室長は言いました。事実は今起こしているとも言いました。しかし氏は一切の事実を語ることなく、他区に校長として転出していきました。室長が「自分のことだから最終的な指示は任せる」為に報告した次長は、3月末、組合委員長があいさつに行ったついでにこの話題を出すと、「内容は聞いていないし今聞くつもりもない、だいたいテープレコーダーに録音しているわけではないし・・・。」と話を遮りました。言った言わないに持ち込んでうやむやにしようという常套手段・・・久しぶりにこれほど露骨なものを聞きました。
 「ひとにやさしいまち」の標語は「人権の墨田」がバックボーンとしてあったのでしょう。しかし今、「ひとにやさしい」とは、差別的発言をする者・偏見を持つ者・自己の責任を全うしない者に「やさしい」ようです。
 過ちは自身が裁すべしという「紳士的な手法」を採ったつもりでしたが、すべて裏目に出たようです。文書でやりとりしなくてはならないのかと決意して、五月初め、前掲文書を出したわけです。

区教委内にかすかに残っている良心・
     過去の記憶ならびに希望
 前指導室長の評判はよくありませんでした。強引・パワハラ・公的場での個人の叱責・虚言・・・。最後に、「土曜授業」を強引に詐欺師のように推し進め、偏見を振りまく発言を新しく教員になった人々の研修の場で披瀝してから、問題点の指摘に対して解明し決着をつけると約したにも関わらず墨田区を去り二ヶ月以上を無為に過ごしました。
 墨田区教委も残念ながらまったく無力で無責任でした。かろうじて、その時(三月一日)立ち会っていた指導主事の一人が、あの話題は問題であったと言ったとか言わなかったとか・・・。かすかな希望ではありますが、否それは不満を持つ者を焙り出すために言ったのだとのうがった見方もあります。これも含めて事実は明らかにされねばなりません。
 しかし、私たちに情報を寄せてくれた初任研参加者のみなさん、また、立ち会ってしまった事態に違和感と不快感をいだいているみなさんの存在は私たちの希望です。その人権感覚はこの一年間の初任研で身につけたのでしょうか? それともまったく別のところで体得されたのでしょうか? いずれにせよ、「報酬を増やせば人は行動する」という成績主義=新自由主義的人間観とまったく違うところで人は考え動くのだということが確かめられたことは、この悲しくも悔しく腹立たしい事態の中で、うれしいことでした。

真摯な対応をあくまで望む
 四月に新指導室長に挨拶に行くと、この話は引き継いでいると言われた。しかし、本人がいないまま何も知らない新指導室長がこれを積極的に解決する方向は見出せませんでした。事態を打開し一歩でも解決に近づくために私たちは別紙「前指導室長の二〇一一年三月一日初任者研修会における発言に対する抗議・要求書」を提出しました。次長もこれなら真剣に交渉の場につけると考えたからです。でしょう。
 私たちは前室長が自身の発言を謝罪することと、墨田区教委がこの問題に無責任な態度をとったことの陳謝並びに今後このようなことのないような方策を出すことを強く要求します。言った言わないの水掛け論が好きならば、名誉毀損で訴えればいいことです。

 現在、最初に述べた状況です。今回の区教委の見解表明でこの問題に一段落をつけようと考えていましたが、それは無理でした。区教委に自浄能力がないならまた別の所を頼まねばなりません。
 私たちは、今後もこのような人権侵害・差別・偏見を煽ることがあったら、先頭に立ってこれと闘うことを約します。みなさん、共にこの課題を解決し「人権の墨田」を再興しましょう。

6月11日(土)
脱原発を求める100万人アクション

 福島原発震災から3ヵ月。今なお放射能の放出は続いています。私たちは、人や自然を傷つける電気はいりません。全国各地域の人々とともに、6月11日に脱原発を求める100万人アクションを呼びかけます。6月11日は、声をあげましょう!今こそ脱原発へ!!
東京でも、港区芝公園23号地・代々木公園ケヤキ並木・新宿アルタ前・全電通労働会館などで行動が起こされます。ぜひ参加を!

週刊墨教組 No.1628     2011.5.18

子どもたちの安全を守るために、
墨田区・区教委は始動せよ!
ただちに線量調査で実態把握を!
年間1ミリシーベルト以下になるよう知恵を集めよ


 5月25日(水)たんぽぽ舎の原田裕史さんを講師として迎えた緊急教研集会「安全な被曝などない!」は多くの方の熱心な参加で行われました。
 原田さんの講演で、私たちは、原子力発電に対する基本的な認識、それが宣伝されるほど不可欠でも、効率が良いものでも、まして安全でなどないという認識を確認しました(詳細は次号)。と同時に、直ちに私たちがとりくまなければならないことも分かってきました。それはまず私たちの仕事の場、子どもたちの暮らす場である墨田区周辺のことを徹底的に安全の面から明らかにすることです。
 2か月間も炉心溶融=メルトダウンしていたことを知ら(せ)ないで「安心だ・安全だ」と言ってきた愚を、「放射線量は基準値以下だ・安全だ」とこの東京・墨田で繰り返させてはなりません。「安全」であればこそ、それを徹底して証明する必要もあるのです。

東京東部はホットスポット?
亀戸
 「神奈川で検出された基準値を超えるセシウムは、1300万人が暮らす首都・東京への放射能汚染の懸念をより強くさせるものだ。その深刻さを計る上で近畿大学・環境解析学教授の山崎秀夫氏の研究データは興味深い。山崎氏は東京や埼玉、千葉や茨城、福島の土壌中(地下1cm)の1kg当たりのセシウム濃度を実測。東京の数値が茨城や千葉、埼玉で観測した結果より総じて高いという結果が出たのだ。
『首都圏の土壌が汚染されているというのは事実ですが、なぜ東京で比較的高い数値が出たのかは研究の段階です。 いずれも国の定める5000ベクレル以下の数値ではありますが、福島第一原発が爆発する前はどの地点でもほぼ1kg当たり10ベクレル程度の低い数値でしたので、江東区亀戸の3201という数字を見ればいかに異常な状況かが分かります。』」
(5月27日 フライデー)

葛西
 「下水汚泥、焼却灰に放射性物質 関東各地の自治体が処理に頭抱える
福島第1原子力発電所の事故を受け、関東各地の下水処理場や浄水施設の汚泥から放射性セシウムが検出されている。多くの県は汚泥を保管しているが、国は放射性物質を含む汚泥の扱いについて全国的な基準を設けておらず、どこも処理に困っている
 東京都では、2011年5月10日から12日にかけて都内12か所、全ての下水処理施設を調査。全ての汚泥と汚泥焼却灰から放射性セシウムを検出し、江戸川区の葛西水再生センターでは、焼却灰から最高1キロ当たり2万9100ベクレルを検出した。同センターは汚泥も最高値の1700ベクレルだった。」 ( 5/26 13:10 J-CAST)

東京東部
 「足立区、葛飾区、江戸川区など東部に0.18〜0.39など高線量率の地域が集中している。豊洲埋立地の高線量率も、東部の高線量率地域と連続するものと考えられる。この地域で地上0mで測定した結果、0.618という地点があった。」
(5月25日  日本共産党東京都議会議員団)
  世田谷区松原2丁目 5月20日  0.089
  大田区多摩川台公園 5月17日 0.064
  足立区東綾瀬6丁目 5月18日  0.257
 江東区亀戸8丁目 5月18日    0.186
 葛飾区水元公園3 5月18日    0.391
 江戸川区臨海6丁目 5月18日  0.181



葛飾区金町
 「高さ:1m 地面の様子:砂  計測機器「はかるくん」 CP−100
 3/26 8:20  12:10 18:10 それぞれ 0.402 0.613 0.387μSv/時
 5月10日、文科省の「調査結果」で東京(新宿区)の放射線量は0.068だった。ところが、同じ都内でも、浄水場のある葛飾区金町では0.359と「調査結果」の5倍以上の数値が計測されている。文京区本郷も0.140とやはり2倍の高い結果となっている。(「放射線・原子力教育関係者有志による全国環境放射線モニタリング」より)

市川市
 「5月24日(火)測定機器:RDS-30 天候:晴(前日:雨)
 測定地点名:菅野終末処理場(東菅野) 地表面の状況:土
測定高さ 100cm 50cm 1cm
測定結果 0.24 0.21 0.24μSv/時
 市川市の測定結果は、福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安である3.8マイクロシーベルト毎時(平成23年4月19日文部科学省)を大きく下回っております。」(市川市役所)
※文部科学省5月27日の目標値・国際放射線防護委員会の定める一般公衆の年間被曝許容限度から見るとはっきりと上回っています。 

計測の問題
 上に引用した計測値はあくまで参考値としなければならないそうです。機器の精度は低く、また、測り方もまちまちだからです。そのような機器しか用意していなかった地震=原発国家は安全からほど遠いものでした。すでに報道されているように、東京は新宿で「正式に」測っていますが、なんと地上18メートル地点です。なるほどそこにしか放射性物質がなく、子どもたちが地上18メールで活動する分にはその数値は信頼できるかもしれませんが、実際に私たちが暮らしているのは地表ですし、地表の方が「塵」は濃厚です。「安全」の新宿も参考値にすぎません。

文科省の変身?
「学校 1ミリシーベルト以下目指す 5月27日 12時25分 NHK
 福島第一原発の事故では、子どもたちが受ける放射線の被ばく量を減らそうと、文部科学省は先月、学校での屋外の活動を制限する目安の放射線量を、年間の積算で20ミリシーベルト未満とし、できるだけ減らしていくという考え方を示しています。しかし、保護者の中から目安の値が高すぎるといった不安の声が出ているほか、学校によっては、目安の放射線量を下回っても屋外活動を制限するなどの対応を取るところも出ています。こうしたことも踏まえて、文部科学省は、福島県内の学校で子どもたちが受ける放射線量を、今年度は、当面、年間1ミリシーベルト以下を目指すという目標を示しました。そのうえで、1時間当たり1マイクロシーベルトを超えた学校については、土を取り除くことで放射線量を下げる効果が見込まれるなどとして、これらの処理費用のほぼ全額を国が負担するとしています。」
 表に試算したように、誤魔化しがあります。@「年間の積算で20ミリシーベルト」→C「当面、年間1ミリシーベルト以下を目指す」→G「1時間当たり1マイクロシーベルトを超えた学校」となりますが、CとGは年間10ミリシーベルトでありCの10倍です。そして@については撤回しようともしません。これでは福島の子どもたちは相変わらず生体実験されているようなものです。「学校 1ミリシーベルト以下」を「実現」しなくてはなりません。

地方自治体が動き始めた
 「東葛広域行政連合会6市(松戸、柏、流山市、松戸、鎌ヶ谷、我孫子市)は5月17日県に要望書を提出。要望は、市民団体などが独自に行っている放射線測定で、場所によっては高い数字を示すところが相次ぎ、市民から不安の声が高まっているとして行われた。松戸市は23日以降、市内の保育所、小中学校、公園などで簡易測定器による放射線量を測定して、その結果をホームページなどで公表する、と発表した。」
 東京都も独自に調査を始めるようです。わが墨田区も、年間20mSvを「布教」するためにではなく、真に子どもたちと区民の安全を図るために、早急に調査を始めるべきです。
 私たち墨田区教職員組合は徹底してローカルな組合です。この墨田の場でやらねばならないことを最優先します。眼前の子どもたち・共に働くみなさん・地域の人々とともに、最善を尽くします。





福島市は、今週から、放射線量が毎時3.7マイクロシーベルト(μSv)を超える学校で、校庭の表面の土を除去する
郡山市はその後、国の基準より厳しい毎時1.5マイクロシーベルトを基準とした。
二本松市は、毎時1.8マイクロシーベルトを基準に、削った土を特殊なシートに包み、敷地内に埋める方法を実施した。
参考までに、チェルノブイリ事故では、当時のソ連は生涯線量として350ミリシーベルト(mSv)を採用。これは1年間に5ミリシーベルト(mSv)を70年間取り込むものとして算出された。

●現在日本での一般人の許容値は1年間で1ミリシーベルト(mSv)、一生涯で100ミリシーベルト(mSv)となっている。1年間に受ける線量1ミリシーベルト(mSv)は、365日1時間当たりでは0.14マイクロシーベルト(μSv)となる。

●100ミリシーベルト(mSv)多く放射線を浴びるごとに、がんになる確率は0.5%づつアップする。
3.8マイクロシーベルト/時は、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当する線量である。
・20ミリシーベルト/年はドイツの原発労働者に適用される最大線量に相当する。
・原発労働などによって白血病を発症した場合の労災認定基準は、5ミリシーベルト×従事年数である (注3)。実際に白血病の労災認定を受けているケースで、20ミリシーベルト/年を下回るケースもある。

今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。平成23年4月29日 内閣官房参与の辞任にあたって 内閣官房参与 小佐古敏荘


週刊墨教組 No.1627      2011.5.18

無法状態の四月土曜授業勤務
  区教委は責任をもって教職員の週休日の変更を確保せよ!

週休日の変更不備
 四月第三土曜日、墨田では朝から激しい風雨にみまわれた。天も泣いていると誰もが思った。この日、多くの教員が週休日変更をすることなく不法に就労させられ、それを命じた多くの管理職が三〇万円以下の罰金を支払うべき違法者になった。公務員、憲法を含む法・条例を遵守してその業務を行う者であるにもかかわらずである。

 その日適法に勤務されていたようである新指導室長に、この事実について把握しているか問うてみました。答えははっきりしないものでしたが、「週休日の変更を適法に行うよう再度説明する」ことを約されました。
 問題は「再度」です。すでにそのような説明はなされているのです。にもかかわらずできないでいるのです。何度言ってもだめなのでしょう。
 「土曜授業」に反対する我々は、せめて週休日の変更が適法におこなわれるように区に対して一貫して交渉するよう主張してきました。実質的に「勤務を振り替える日」(週休日の変更先)を確保するためには、労使の明確な交渉と協議・合意が必要です。が、ことごとく断られました。責任は校長だけではありません。自らの責任で行うことをネグレクトし事実を見ようとしないできた区教委にあります。

計画性のなさが露呈
 急な思い付きできちんとした論議もせずに多くの教職員の反対の中で強行された「土曜授業」です。たくさんの不備があります。「週休日の変更が適法に行われていないこと」はその最たるものです。
 「週休日の変更及び教育職員の半日勤務時間の割振り変更の手続は、必ず事前に行わなければならない」とあります。週休日は前年度末までに決まっています。それを変更するのは使用者側の「都合」ですから、変更先を提示するのは使用者側の責任です(それを受け入れるかどうかは労働者側の判断です)。しかし実際多くの学校で行われたのは、「後で書いてください」「都合の良い日を見つけてあてましょう」「今からじゃ夏の予定も立たないでしょうから」・・・。これははまだいい方で、変更簿の存在すら知らせなかった職場もあるようでした。
 「週休日の変更を適法に行うよう説明」したにもかかわらず、これが「現場のやり方」=実態でした。今の状態では「事前」には週休日の変更をできないのです。事前にできないような「土曜授業」はしてはいけないのです。
 各校では四月実施を踏まえて反省を加えています。その中で、時間の縮減なども考えられています。問題点と今後の対応策を各校はその都度その都度、準備していくべきです。

違法に加担しない
 区教委から各学校の管理職に「週休日は形通り変更日がとれるようにせよ」という「再度の」指示がいずれ出るでしょう。
 ついでにあわてて四月分の割り振り変更手続きを行おうと押印してくれという管理職がいるかもしれません。しかしこれは誤魔化しです。違法の隠蔽です。あったことはあったし、なかったことはなかったのです。
 今頃になって押印などできません。「校長は四月に週休日の変更手続きをせずに教員を勤務させた」、あるいは、「校長は、教員が週休日であるにもかかわらず児童を登校させた」という違法があったことが真実です。タイムマシンを持たない我々はさかのぼって印を押すことはできません。違法行為に加担してはなりません。
 ここで私たちが十二月に出した解明要求が意味を持ってきます。「N振替簿に教員が押印しなかった場合、学校現場にかなりの混乱が起きることは予想されるが、どうか。」にたいして「振替簿に教員が押印しないという状況は考えられない。」と区教委は答えています。残念ながら現象としては私たちの予測の方が正しかったようです。ただ、事態はちょっと滑稽でした。、私が押印を求められてそれを拒否したというならそれなりにカッコイイのですが、それすら求められなかったということですから。労使協議で十分に練らない中では、振り替え簿も機能しないということは確実なことです。

力こぶを入れて「職務命令」を
 これはまだ留保していることですが、「J週休日に教育活動を行う場合は、個々の教職員の合意に基づき実施すべきであり、個々の教職員の合意なしに週休日の変更はあり得ないと考えるがどうか」に区教委は「土曜日に授業を実施する場合、正当な理由無く勤務を拒否する教職員に対しては、校長が職務命令を下すことも考えられる。」と力みかえった回答を返しました。
 「正当な理由無く勤務を〈割り振ることを〉拒否」したのは「教職員」ではなく「校長」でした。区教委は「校長」「に対して」「職務命令を下すことも考えられる」と読み替えましょうか。
 あるいはいっそのこと要求しましょうか。「校長は白紙の振り替え簿に押印せよとの職務命令を出してみよ!」と。
 「区教委はきちんとした処理ができるように組合との交渉を始めよ」という命令がどこかから来なければ交渉をネグレクトし続けるつもりでしょうか?

学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例及び同条例施行規則の解釈及び運用について
平成14年3月29日 13教人勤第216号

第4 週休日の変更等(条例第6条及び規則第4条関係)
1 週休日の変更及び教育職員の半日勤務時間の割振り変更の手続は、必ず事前に行わなければならない。
8 週休日の変更等の手続
(2) 教育職員
ア 教育職員の週休日の変更及び半日勤務時間の割振り変更を行う場合は、規則別記第1号様式の2「週休日の変更等命令簿」により行うものとする。
イ 週休日の変更を行う場合、「勤務を振り替える日」欄については、新たに週休日とする日を記入するとともに区分欄の「全日」に○をし、「勤務を割り振る日」欄については、新たに勤務を割り振る日と割り振る時間帯を記入する。
ウ 半日勤務時間の割振り変更を行う場合、「勤務を振り替える日」欄については、・・・・
(3) 上記(1)、(2)にかかわらず、学校行事等により、学校又は学年全体で週休日の変更等を行う場合は、学校長を除き、「週休日の変更命令簿」又は「週休日の変更等命令簿」によらず、週休日の変更等を行う旨の起案を行い処理することができる。(※その週あるいは翌週に振替休日を置く場合にはこれで処理されます)
(5) 学校長が週休日の変更等を行う場合は、上記(2)の手続を経た後、・・・区市町村立学校長にあっては、区市町村教育委員会が、「週休日の変更等命令簿」により決定する。


東京教組 脱原発学習会

福島原子力発電所で何がおこったのか?
  そして今何がおこっているのか?


日 時  5月27日(金)18:30
場 所  日本教育会館 703会議室
講 師  後藤 政志 さん

<講師紹介>
 元東芝の原子炉格納容器の設計者であり、過酷事故の研究者であった後藤政志さんは、これまではペンネームで発言をしてきました。しかし、福島原発事故以降、ある意味すべてをかけて本名で登場し、この間、原子力資料情報室をはじめ様々なメディアで情報を発信し続けています。福島原発事故について、今もっともわかりやすく、そして詳しい話が聞ける講師です。

東京電力福島第一原子力発電所では、1号機から4号機で、全電源喪失事故による冷却水の水位低下によって、核燃料棒が露出し、高温状態の継続による燃料棒損傷や水素爆発等による建屋や圧力抑制室の損壊、使用済核燃料プールの水温上昇などの事故が発生し、多量の放射性物質が環境中に放出されるなど予断を許さない深刻な事態となりました。この事故はレベル7と認定され、チェルノブイリ原発事故と並ぶシビアアクシデント(過酷事故)となりました。多くの被爆者を出しながら、現地では昼夜を問わない懸命の努力が続けられていますが、今もなお大規模な放射能飛散の危機を抱えながら、収束にはほど遠い状態です。
 いったい福島原子力発電所で何が起こったのか?そして、いま、何が起こっているのか?1号炉〜4号炉の状態は?東京電力が作成した「収束計画」は? 様々な疑問について学習します。



週刊墨教組 No.1626       2011.5.16


動こう! 緊急教研集会

  
「 安全な被曝などない!」  
    「 たんぽぽ舎」原田裕史さん講演

    
 五月二五日(水)午後三時三十分より 
     すみだ女性センター第二会議室


事態は深刻
 福島原発事故は一号機のメルトダウン発表に続き、二・三号機でも「最悪の場合、一号機と同様のケースが想定できる」と説明し核燃料全体の溶融の可能性を初めて認めました。事態の深刻さは日に日に増すばかりで、対応は遅々として進みません。否、有効な積極的対応・解決策など当面ないのかもしれません。
 政府は、二〇ミリシーベルト※1を学校の制限基準としましたが、猛烈な非難を浴びています※2。安全基準の上限を引き上げることで、「事態の沈静化」をはかろうとしていますが、それで「事態が沈静化」「事態が解決」「安全が確保」されるわけではありません。危険と思わせないようにしているだけです。一号機原子炉建屋の二〇〇〇ミリシーベルト/時間を「制限基準」に設定すれば何の心配もなくなります。
 浜岡原発が停止されました。これ以上の危険の回避策ではありますが、「停止している原発はより危険である」との説もあります。解決は原発の解体処理です。何十年もかかります。
 
「素人考え」の時代
 専門家に任せておいた方がいいことはたくさんあります。しかし、私にかかわることと玄人が怪しげな時には素人であろうと真剣に考えなくてはなりません。
 原子力の専門家はすごい。放水したり紙おむつを詰めてみたり、水が三〇〇トンなくなっちゃったからどうしたのかなと思っていたら地下で見つけたり、あろうことか、水で冷やしていたと思ったら水がなくって核燃料が底に溶融していたのを二か月間知らなかった・・・(メルトダウンかと聞かれたら)そういういい方でもいいですと答えたり・・・。※3

情報と風評と情報操作
 SPEEDIが遅まきながら公開されました。東電は資料映像を公開し始めました。それより早く海外では日本で公表されていない情報をもとに放射線量予測を提供していました。インターネットテレビやユーチューブではニュース・講演会・デモの様子を流し続けています。時間になったらニュースが始まり、その後プロ野球やスポーツの話題が流れバラエティーに移っていくというテレビとは違います。情報の時代だなと実感します。※4
 当然、意図的か否かにかかわらず誤情報も交じっています。「福島の学校で、二〇ミリシーベルトの基準では心配だとホームページに書いたら文科省から削除を要求された」という情報があります。本当でしょうか。確かめるのは簡単です。その学校を探して教職員に話を聞く、自分の学校で同じ趣旨の意見を書いて文科省の動きをみる。信頼できる人と自分の実感だけがとりあえず確実さを保証します。
 風評といわれているもののほとんどは情報操作と考えたほうがよさそうです。「計画避難区域」はチェルノブイリでは立ち入り禁止になった放射線量に達している所もありますが、かつては二〇km圏外で安全な所と言われてきました。メルトダウンしているのではないかとの疑念に、不安をあおるようなことを言うなとしてきました。外国で日本は何をやっているんだというのはこのままいい加減な対応をしていればもっとひどいことになりそうだとの判断です。風評鎮静化要請で済むことでも解決することでもありません。

私たちのなすべきこと
 安全な被曝などないのですから(東電顧問加納時男氏※5のように「低線量放射線、体にいい」という方は論外として)、私たちはより慎重な対応をしなくてはなりません。臆病・考えすぎ・大げさと言われようと、です。ことに、政府や関係者・マスコミが事態をできるだけ小さく見せようとする操作をしている中ではなおさらのことです。
 そして、学習が必要です。正しい情報を見分けること・多くの意見を聞きその最大実現を図ること・危機に対応する仕方・原発事故によるすべての被害者を「救済」するためにはどうしたらいいかを考えること…「素人」がやらねばならないことはたくさんあります。
 今、壊れた原発から放出される放射性物質の汚染から子どもたちを守らなければ、私たちの未来はありません。
 節電も単に電力不足だからというのでは意味はありません。原子力発電を廃棄してもいいほどのエネルギー使用はどの程度なのか、どこまでを電気に頼るべきなのかという視点で行わねばなりません。

行動が必要です
 若者も毎週のようにデモンストレーション・東電抗議の行動を起こしています。私たちがこの東京の地で何ができるのか、私たちは何をしなければならないのか。政府も行政も課題の大きさにたじろぎ目をつむっています。私たちは思考停止に陥ることなく私たちの職場・教育現場を守り抜こうではありませんか。
 真剣に考え行動するときです。脱原発と環境破壊のない社会をめざして活動する「たんぽぽ舎」の原田さんをお迎えする緊急学習会にぜひどなたもご参加ください。


※1 原発作業員が年間5ミリシーベルトの被曝をすると厚生労働省から労働災害認定が受けられる。

※2 子ども20ミリシーベルト基準の即時撤回および被ばく量の最小化のための措置を求める緊急要請
 私たちは、福島の子ども達を放射能から守るために、日本政府に対し以下を要請します。
 4月19日に文科省が示した学校等の校舎・校庭等の「20ミリシーベルト基準」の即時撤回および現行の1ミリシーベルト基準の維持
 子どもの被ばく量を最小化するためのあらゆる措置を政府の責任で実施すること。また、自治体や市民団体、個々の市民自らが被ばく量を低減させるために実施する、除染・自主避難・疎開などの自主的な取り組みが円滑に進むよう、最大限の支援を行うこと
 内部被ばくを考慮に入れること
 屋外で3.8マイクロシーベルト/時以下になったとしても、モニタリングを継続すること
 呼びかけ団体:グリーン・アクション、グリーンピース・ジャパン、原子力資料情報室、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGOFoE Japan
 http://blog.canpan.info/foejapan/archive/19

※3 2011/5/13和光大学における後藤政志氏の講義
 http://www.ustream.tv/recorded/14666752
 原子炉の中の水位の話、中にまったく水がなかったという話を聞くと愕然とします。しかもそれがわかっていなかった。ということは今の状態もまったくノーコントロール・制御できていないということを意味しています。原子炉の中の状態わからないのですから。今までやってきた対策は全部間違っていた可能性もある。たまたま爆発しなかったのは運が良かっただけ。こういうふうに私には見える。そんな甘い考えで原子炉を扱うのは許されざることです。そういう事故に至ってしまうようなものを持つことが間違っている。
格納容器で閉じ込めているべきことができなくなったので放射能を出します。最悪の場合は直接原子炉から放射能を出します。避難してください。これが真実です。ところが、圧力容器が爆発してはいけないので、止むを得ず中の蒸気を外に出します。その時に放射性物質が少し出るかもしれませんと言っただけ。これは詭弁です。そんな甘い表現じゃない。国民を愚弄している。原子炉の状態がどうなっているのか、
事故を問題ないと過少に見せようとしている。事故関係者やほとんどの学者がそうです。最悪の爆発を起こした場合東京の1000万人が避難民になるのです。

※4 様々なネット情報の例(よいページをお知らせください)

 ★阿修羅♪>原発・フッ素11http://www.asyura2.com/11/genpatu11/
 たんぽぽ舎 http://www.tanpoposya.net/
 広瀬隆講演ビデオ http://www.youtube.com/watch?v=aOrGC0iZO90&NR=1 
 東京電力報道配布 写真・動画ダウンロード
 http://www.tepco.co.jp/tepconews/pressroom/110311/index-j.html
 レイバーネット  原発は塀の上の卵―アーサー・ビナード講演
 http://www.labornetjp.org/news/2011/1304304640198staff01
 原子力資料情報室 http://cnic.jp/



 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等による計算結果
 http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305747.htm

 福島原発放射能飛散状況 ノルウェー大気研究所[外部リンク] フランス気象庁3月12日〜3月26日

 原発はいらない!
 デモンストレーションは必要

※5 加納時男氏 1935年生まれ。元東京電力副社長(原子力担当)98年参院選比例区で日本経団連が支援する「財界候補」として当選、2010年まで2期務めた。現在は東電顧問。
  朝日新聞2011.5.5「原子力の選択肢を放棄するな」で東電の悪名をさらに高める。

2011年5月14日(土)22時34分配信 読売新聞 
 東京電力は14日の記者会見で、2、3号機の原子炉について「最悪の場合、1号機と同様のケースが想定できる」と説明し、核燃料全体の溶融(メルトダウン)の可能性を初めて認めた。
 1号機では、11日に水位計を調整した結果、炉内の水位が低く、燃料が冷却水から露出して溶けたことが確実となった。2、3号機の水位計はまだ調整していないが、1号機と同じ仕組みのうえ、もともと1号機より低い水位を示している。
 ただ、東電は炉内の温度などから、2、3号機は1号機より燃料の損傷が少ないと推定している。

汚泥の焼却灰から高濃度の放射性物質 東京
日本テレビ系(NNN) 5月13日(金)16時12分配信
 東京都の下水処理施設から出た汚泥の焼却灰から、一キロあたり17万ベクレルという高濃度の放射性物質が検出されていたことが日本テレビの取材でわかった。
 東京都によると、江東区の下水処理施設「東部スラッジプラント」で3月25日に採取した汚泥の焼却灰から、一キロあたり17万ベクレルの放射性物質が検出されていた。同じ時期に採取した別の2つの施設の焼却灰からも、一キロあたり10万ベクレル以上検出されていたという。これらの焼却灰は、すでにセメントや建築資材などに再利用されている。
 国は、12日になって福島県に対しては一キロあたり10万ベクレルを超える汚泥は県内で焼却するなどした上で、焼却灰は容器に入れて保管すべきとの指針を出したが、福島県以外に対する基準は現在もない。


週刊墨教組 No.1625             2011.4.25

憲法改悪阻止
   二〇一一年度運動方針、予算を決定
 墨田教組 第六六回定期総会
 あくまで「土曜授業」に反対する!
墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続ける


 第六六回定期総会が、四月二〇日、すみだ女性センターで開催されました。「違憲教育基本法」の下、「教育の国家統制」「教職員の管理強化」を主とした「教育改革」が進められているなか、墨田区に在る教職員組合の責務として、闘い続ける意志を確認しました。
 総会は三時五分に副委員長の開会宣言、議長を選出してすすめられました。役員紹介の後、執行部を代表して委員長が挨拶。

組合活動の本源的な地点から

 学校完全週五日制=週休二日制を壊そうとする「土曜授業」強制実施・人事考課制度の実施=成績主義による管理体制強化・偏狭な国家主義に覆われている教科書問題・「主任教諭」職などの職階制強化・管理強化と多忙化をもたらす「学校ICT化」と、矢継ぎ早に攻撃は繰り出されています。私たちは一層力を結集してこれと闘っていかねばなりません。
 たしかに私たちの組合が量的にも小さくなり、執行部に組合専従経験者がいなくなるといった困難な状況があることも事実です。しかし、私たちはいつでも、その与えられた条件の中で最善の闘いを組んでいきます。今こそ、一人ひとりの力と知恵をだし、それを結集した闘いを組んでいこうではありませんか。職場の問題や課題を一つひとつとらえて、それを解決していこうとすること。解決への「唯一の正しい方法」が与えられるのではないが、私たち一人ひとりが、ああではないかこうではないかと試行錯誤していく。そのようなプリミティブな形での組合運動が始められるときです。

墨田の地で機能と責任を果たす
 私たちは、墨田のことは墨田で解決することを一つの重要な存在意義としています。執行委員会は区教委と交渉して諸課題を解決することに最大限の力を入れていきます。それぞれの職場での闘いと、墨田に根をはっている組合員のもつネットワークを使った情報の交換・共有がこの交渉を支えます。変動の時代には、ネットワークが貴重です。墨田の地で、教職員労働組合としての機能と責任を果たし続けるために、これまでやってきたこと、地道で原則的で愚直な教育労働組合運動を、私たちは一人ひとりが毎日行っていこうではありませんか。

運動方針案をめぐって
 議事に入り、書記長の二〇一一年度運動方針案を提案をうけて、各職場からの発言が続きました。
・土曜授業のことで区からのリーフレットが配られたが、紙面には二四年度以降月2回やると書いてあった。このことについて、よく調べると回答した。総会後、リーフレットを確認したら、アリバイ的に、こそっと十部だけ配布されてあった。
・週休日の変更について、きちんと手続きを取っていない学校が多いようだ。今後、問題にしていく必要がある。
・学校ICT化について、例えば、学びの扉の学習者情報に顔写真が入れられる。「良いことに使えて便利だ」という言葉の裏には、「よくないこと」に遣おうとする本質が透けて見える。教育というものは基本的に、子どもとのダイレクトな関係で行われる。直接のかかわりの中で顔や名前を覚えていくのが教育である。名札問題と同じである。
・文化中学の紹介があった。国籍が多彩で、年齢も多様である。この中で様々な触れ合いがあり、豊かな学びの場になっていると報告された。
・前指導室長のパワハラ発言は「人権の墨田」として看過することはできないとの発言があった。
 どの発言も執行部に対する要望も含め、方針案を補強する立場からのものでした。共に考え、知恵を出しあい、情報を共有しあって闘いを大きく広げようと呼びかけるものでした。
 四時一〇分に討論打ち切り、運動方針案に対する挙手採決が行われ、圧倒的多数の賛成で可決・決定されました。その後、決算・監査報告が承認され、続いて予算案について審議がなされ、採決で可決・決定されました。次に「東京教組大会代議員選挙」が行われ、代議員が決定され議事は終了しました。 



週刊金曜日4月15日号
「あのとき」と同じフレーズ
  素直に受け入れる人が多すぎる
早乙女愛 /映像プロデューサー
 テレビでAC広告が流れはじめたとき、あのときに似てきたなと思った。あのときとは66年前の戦時下、体験してないけれど、なぜか聞いたことのある、あのフレーズ。「ぜいたくは敵だ」とか「欲しがりません、勝つまでは」とか。いつの時代もなぜこう似るのか。
 慌てて作られた広告はさらに歯が浮くかんじだ。「今、ひとつになるとき」「強く、もっと強く」、あげくのはてに「ガンバレ、ニッポン!」。国が人びとに耐乏生活を強いるときのコピーは、オリンピックの応援とほぼ同じだ、と呆れていたのに、同じフレーズが日常生活に降りてきたのは早かった。
 福島第一原発ではたらく人びとの勇気を讃えたり、何もかも失ったのに暴動も略奪も起こさない東北の被災者を「日本の誇り」だと言い出す始末。彼らのことを思えば、計画停電も水の汚染もしょうがない、ガマンしましょう、というとんでもない論理を素直に受け入れる人があまりに多すぎる。
 現場の人はただ必死に今日を生きているだけなのに、その姿は自己犠牲のパッケージにくるまれ、「美しいもの」にすり替えられて、市民に届く。間にあるのがメディアと政治だ。その共犯関係は66年たっても変わっていないということか。愕然とした。
 昔、東京の空襲で亡くなった人びとの遺体は、仮埋葬として、公園に大量に埋められた。お国のために戦う兵隊さんのために、みなさんがんばりましょうと謳いながら、一人一人の命を守る能力も、そのつもりもなかった。命は使い捨てにされ、「仮」に土葬されたまま、遺骨収集さえ間に合わなかった土地の上に今の日本が建っている。
 それが崩れた今、一人一人に未来が問われている。自分で情報を選び、受け取り、考える自由があることが救いだ。

東日本大地震で被災した学校に本を送ろう!
 東北出身の教員が故郷を訪れた時、その惨状に愕然としたそうです。とくにそのような環境の中に暮らさざるを得ない子どもたちを目の当たりにし、「絵本を学校に送ろう」と心に決めました。大量に集まった義捐金すらうまく回らない中で、物、それも重い絵本が送られるのだろうか・・・。確実に届ける方法を「被災地の学校に本を送るムーミンの会」のみなさんは考えました。まずは、絵本を下記まで集めることにご協力ください。
連絡先・本の送り先
 墨田区教職員組合新事務所へ
 詳しくは次号でお知らせします。


原発停止! 壊憲阻止!
国民投票法の撤廃を求める5.18集会


講談 神田香織「チェルノブイリの祈り」から
基調報告 「平和のうちに生存する権利をー原発・沖縄と壊憲阻止
山口正紀 ジャーナリスト
リレートーク
  原発止めよう!福島原発事故はすべて人災 柳田真(たんぽぽ舎共同代表)
教育現場の今 根津公子 他
デモ
5月18日(水)18時30分
豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)
豊島区東池袋1-19-1 池袋東口徒歩5分
資料代500円(組合で負担します)

「チェルノブイリの祈り」未来の物語 孤独な人間の声
スベトラーナ・アレクシエービッチ 松本 妙子 訳
 1986年の大惨事から十数年間、人々が黙していたことは何か。幾多の文献や映像が見落としていたチェルノブイリの事実とは何か。巨大事故に遭遇した被災者達の衝撃、悲しみ、思索の過程を鮮やかに描き出した。人間のまなざしがとらえた戦慄、人間の内面にあふれる悲哀、チェルノブイリの記憶
上演にあたり(初演時のパンフより)
 私は福島県いわき市に生まれ育ち、今も月のうち半分ぐらいは実家で過ごしております。車で一時間も走れば「原発銀座」と言われる福島第1,第2原子力発電所があり10基の原発が稼働しています。9月には一連の原発事故隠蔽の事実が発覚しましたが、これらはチェルノブイリの事故後からだそうです。「原発は安全」なのだから「事故」は隠すのが当たり前というへ理屈がまかり通っていたのです。何ということでしょう。チェルノブイリの事故は他国の過去の事故として切り離すことが出来ない現実が私のすぐ身近にあるのです。昨年3月「チェルノブイリの子供達を支援する千葉の会」に招かれましたおりに、主催者の方から頂いた一冊の本が「チェルノブイリの祈り」でした。冒頭の「孤独な人間の声」の若い夫婦に降りかかった想像を絶する体験。これが現実なのだと自分に納得させるのに何度も読み返す必要がありました。1年後に講談で語りたいと決意し、出版社に問い合わせ、翻訳者に手紙を書く。彼女が原作者にメールを書いてくださり快諾を得ることができたのは今年の5月のことでした。果たして科学の発展は人間を幸福にしているのでしょうか?科学の進歩に人間はついていけるのでしょうか?オーバーかも知れませんが、生存をかけて私は「チェルノブイリの祈り」を語ります。

http://www.ppn.co.jp/kannda/sakuhin/cheru/cheru.htmlで講談のハイライト(かなり長い)がで見られます。



週刊墨教組 No.1624             2011.4.19

第六十六回総会を成功させよう
 破局に抗しうる「自身の意志」をつくるときだ


 今週水曜日には第六六回定期総会が開催されます。忙しい時期ですが、ぜひみなさんの参加をもって、討議・論議・決定していきたいと思います。私たち自身の方針を決めるのは私たち自身です。
 今年の総会は極めて厳しい状況の中で行われます。その第一は土曜授業です。そして、東北地方太平洋沖地震/福島第一原発事故への対応です。私たちは自身の運命を誰かに委ねることはできません。たとえか細く非力ではあっても自身の腕によって切り拓いていかなければなりません。組合はそれを社会的な力にすることができます。しなければなりません。

土曜授業反対
 大きく反対運動が盛り上がった中、区教委はなりふり構わぬ強硬な姿勢で土曜授業十一回を強行してきました。
 しかし、実態は各校バラバラです。九月の「区教委案」からの逸脱や偏差は大きくあります。むろん大人も子どももモチベーションはほとんどゼロ(マイナス)! これはすべて各職場での闘いのなせるものです。
 これから、四月・五月と、土曜授業がなされていきます。私たちはその一つひとつに評価を加えていかなければなりません。そして、拡大はもちろん、現在行われていくことも縮小・廃棄していかなくてはなりません。

振替日の確実な取得を
 週休日の変更は極めて基本的な手続き=労働条件を守る手続きの一つです。
 事前に振替日は指定されているでしょうか? 「都合のいい時にとってください」などという「都合のいい誤魔化し」がなされていないでしょうか? 私たちは責任ある労働組合として、このような違法がないように区教委と交渉しきちんとした手続きを指示させようと考えましたが、未だ区教委は交渉のテーブルに着こうとはしません。違法があれば、個々の校長の問題だけではなく、区教委の責任も極めて大きいのです。

地震・津波と原発事故
 「ニッポンはツヨイ国」・・・いや、そんなことないんじゃないの? 弱い国だったから自然災害で多くの犠牲者を出し、原発事故レベル7という人災を起こしたんじゃないの・・・。
 「ニッポンの強さは団結力」・・・東京の電気を作る原発を東北電力の区域に作るのは麗しい団結力かなあ・・・。「東京に持ってきてもいいほど原発は安全だ」といっていた都知事がいた。けれどもオリンピックと違って決して東京に原発を誘致することはなかった。ライトアップした東京を作ったけれども今、そんな過去にはほうかむりして自販機を潰せと怒鳴っている・・・。
 断片的な感情やイメージ、「正しいことの連呼」ではなく過去・現在・未来を考えるべきです。
 私たち墨田教組は反原発の立場からチェルノブイリの子どもたちの医療援助・交流をおこなってきました。今、私たちの反原発運動の不徹底さが悔やまれます。

それぞれの意志を再構築する
 第一回労働安全衛生委員会で組合選出委員が、原発事故に対する方針や教職員の学習について発言しました。しかし「都・国が安全と言っている限り安全だ」(だから何もしない)というのが区の考えのようです。
 しかし、学校現場ではそれですみません。運動会の練習はどうするのか?遠足には行ってもいいのか?「国が安全だといっているから安全だ」という思考停止は危険です。それは「国策」への迎合です。
 さらには思考停止を根拠にした異論の圧伏は犯罪です。例えば保護者からの要望には可能な限りそれを認めていかなければならないでしょう。たとえそれが「科学的な根拠」がなくても(「原発安全神話」は「科学的根拠」によっていましたから)です。
 私たちは、今こそ、学習と発言・行動によって、自身の運命を切り拓いていこうではありませんか。
 
 
東京教組執行委員会声明
 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という国内観測史上最大の巨大地震であり、大津波を伴って東北、関東地方の広範囲で甚大な被害をもたらし、未だにその被害の全貌がわからない未曾有の大災害となりました。また、東京電力福島原子力発電所では、炉心溶融の可能性があるなどの緊急事態が発生し、放射性物資が漏洩するなど、国民生活に多大な影響をもたらす事態となっています。
 東京教組執行委員会は、犠牲になられた皆様とそのご遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被害にあわれた皆様とご家族の皆様、避難を余儀なくされている皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 東京教組は、困難の中にある被災された皆様の失意と無念に心を寄せ、被災県教組に連帯し、支援と復興のために全力を尽くす決意です。

 国民をあげてこの困難に立ち向かおうとするときにあって、「(津波は)やっぱり天罰だと思う」という石原慎太郎東京都知事の発言は、断じて許されるものではなく、その見識と良識を疑うものであり、けっして撤回して済む話ではありません。被災地の皆さんの怒りととともに、ここに強く抗議します。

 東京電力福島第一原子力発電所では、1号機から4号機で、全電源喪失事故による冷却水の水位低下によって、核燃料棒が露出し、高温状態の継続による燃料棒損傷や水素爆発等による建屋や圧力抑制室の損壊、使用済核燃料プールの水温上昇などの事故が発生し、多量の放射性物質が環境中に放出されるなど予断を許さない深刻な事態となりました。これは、アメリカのスリーマイル島原発事故を遥かに凌ぐ極めて深刻なシビアアクシデントです。そのため、原子力発電所から半径20km以内は避難指示、半径20〜30kmの範囲では屋内待避(自主避難)指示が出される異常事態となっています。
 放出された放射性物質は、関東近県からすでに静岡県にまで達しており、野菜や源乳をはじめとした農畜作物が汚染され、今後海水汚染による水産物への汚染が心配される状況です。東京においても、放射性ヨウ素やセシウムなどの核物質が検出され、通常の20倍の放射線数値が記録されました。また、雨の影響もあり、水道水からも暫定基準値の2倍を超えるヨウ素131が検出され、乳児の摂取制限にまで被害が広がっています。
 政府は、「ただちに、健康への被害はない。」との説明を繰り返していますが、将来における健康に影響が出ないとはけっして言えません。放射能には、これ以下は安全だという“しきいち閾値”はないのです。 放射能は、妊婦(胎児)・幼児・子どもには影響が大きく現れます。子どもたちの被曝が大変心配される事態です。諸外国からも批判されているとおり、これまでの政府・東京電力の情報提供は極めて不十分です。状況の変化や必要な情報を正確かつ迅速に提供するべきと考えます。
 多くの被曝者を出しながら、現在も原子力発電所の事故現場では、作業員、消防士、自衛隊員などにより昼夜を問わない懸命の努力が続けられています。しかし、この多大な努力にもかかわらず、現在もなお1〜4号機では原子炉水位のさらなる低下による核燃料の溶融(メルトダウン)や大規模な爆発、使用済み燃料プールからの放射能大量放出の危険性が続いています。私たちは、原子炉の冷却作業等により、これ以上の深刻な被害が回避されるよう心より祈念します。
 地震や津波と違い、原発事故は十分予測できた「人災」です。安全に対して「想定外」はありません。今回の福島第一原子力発電所の事故により、想定されている地震、津波が過小評価であること、そして地震・津波に対しては複数の故障が同時に生じ、安全性が確保されないことが明らかになりました。これまで政府や電力会社が繰り返し主張してきた「安全神話」は崩れ去りました。二度とこのような原子力発電所事故を繰り返さないために、原子力発電所の新増設の停止はもちろんのこと、既存の原子力発電所についても順次停止し、自然エネルギーへの転換を進めるべきと考えます。

 連合は、すでに被災各県に現地対策本部を立ち上げ、ボランティアの受け入れ体制を固め、その募集に入りました。日教組も、震災翌日に中村委員長を本部長とした対策本部を立ち上げ、被災した各県教組との綿密な連絡とともに、文部科学省、公立学校共済組合などへの要請をはじめ、緊急カンパの実施や現地ボランティア派遣など、被災地支援に向けて全力で動き出しています。原子力発電所の事故を含め、被災地でのとりくみは長期戦となることは避けられないでしょう。東京教組は、全国の日教組の仲間とともに全国連帯の精神を持って被災地支援に全力でとりくむことを表明します。
2011年4月2日
東京都公立学校教職員組合執行委員会



事務所移転のお知らせ
 これまで分会長会等でもお話してきましたように、これまで使っていた事務所の建物が取り壊されることになりました。今年は大丈夫、今年もまた予算がつかなかった・・.としのいできましたが、とうとう、区との契約が終わりました。
 私たちにとって事務所は、この新聞などを印刷する場であり、執行委員・分会長・組合員・その他活動に関する人々の集まる場でもあります。私たち墨田教組の活動にとってなくてはならないものであるという認識を持っています。昨年度総会でもおはかりしたように、諸々の困難や苦難を承知の上で事務所を維持する方向で動き、とうとうここに新事務所をみなさんに紹介することができます。
 事務所内はまだ十分とは言えませんが急速に整備され、お茶の一杯も出せるほどになってきています。どうぞ一度足を運んでください。


週刊墨教組 No.1624           2011.4.1 異動特集


週刊墨教組 No.1623           2011.3.30

最重要施策「個人学習プロフィール」 実施要領に反する評定
 夏に指摘したのに頬かむりのまま「不断に見直し」と答える不誠実さ
  すみだ教育研究所の言語能力を疑う
  あるいは、「その程度のもの」という認識を「我々」と共有しているのか?
「二〇一一年度予算・制度要求」回答  区教委は現場の声に耳傾けよ 2



最重要施策「個人学習プロフィール」 実施要領に反する評定
 夏に指摘したのに頬かむりのまま「不断に見直し」と答える不誠実さ
  すみだ教育研究所の言語能力を疑う
  あるいは、「その程度のもの」という認識を「我々」と共有しているのか?
「二〇一一年度予算・制度要求」回答  区教委は現場の声に耳傾けよ 2

資料1 2011年度予算・制度要求とその回答の一部
組合要求:
C「個人学習プロフィール」はただちにやめること。
  たった一度のペーパーテストでは「学力」は測れず、それを積み重ねても誤った個人データを蓄積するだけである。教職員は児童生徒をこのように一面的にではなく全体的に見て指導するべきである。
  また、今年度の評定にあらかじめ説明された基準と明らかに異なるもの、すなわち誤りがあった事実は公表されていない。このこととその理由、並びに区教委としての見解をすみやかに児童生徒・保護者・教職員に説明すること。

区教委回答:
  児童・生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導に資するため、引き続き実施していく。
  また、実施に際しては、実施要領を不断に見直し、より実態に即したものとするよう、改訂していく。


由々しき問題
 私たちは夏、墨田教育研究所長に、今年度の評定(ABCD)にあらかじめ説明された基準と明らかに異なるものがあることを指摘し、その理由を問い、事実を公表し、区教委としての見解をすみやかに児童生徒・保護者・教職員に説明することを、何度かにわたって要求してきました。所長は当初、そのような事実があることすら知らなかったように見受けられましたが、夏の終わりには事実(※1)として認めました。
※1 全教科全学年の評定五十か所中、十五か所に実施要領での規準と異なる評定がなされている。特に、二年国語言語事項では区平均到達度(平均点)八九なのに、九二・三(一問だけ間違えた)の児童はCと判定されている(しかもB判定の児童はいない)。
 詳しい数値はホームページに掲載

 研究所は、二年国語言語事項で一問だけ間違えた子がCであるのは「特別な事例だ。平均点が高すぎ、正規分布していないと起こる現象で、Bがいないのだ」と説明しました。しかし、この説明は的外れです。Bの子がいないということを問題にしているのではありません。「区の平均を超えればBであるという決まりから外れている」ことを問うているのです。説明になっていません。
 そもそも、「個人学習プロフィール」は、資料1の組合要求からしても、「指導と評価の一体化」と言われているものからしても教育の論理から外れています。教員には外注業者がとる採点規準も、子どもたちの間違いの内容も知ることができないのです。点数が返ってくるだけです。それをどれだけコンピュータでいじっても「きめ細かな指導」などできるわけがありません。 

関心の低さはなぜ?
 これがあまり問題にならないのはどうしてでしょう。
 気がつかないか、あるいは気がついてもそんなことに関わっている暇はないから無視するのか・・・。時間との関係=忙しさの問題が考えられます。
 もう一つには「学力プロフィール」に対する対し方が考えられます。気がついても大切な問題とは感じないということです。
 現場は冷めているのでしょう。どうせBをつけたってCをつけたって、やることに変わりはない。区教委が外注でやっている基準とあっていない部分があってもどうでもいい。まるで役に立たないものだから・・・。
 あるいは、現場にはもう「考える力」も「考える気力」もなくなっているからだという解釈はどうでしょう。区教委様・採点業者様=ベネッセ様の言うことならば何の疑いも持たずにへいへいとやらさせていただきます・身を委ねると言います。
 多忙感・それどころではない・無関心・事実を直視しない・笑ってごまかす・投げやり・無力感・・・いずれにしても由々しきことです。そのどれもが「学級崩壊」初期に顕著な心的態勢だからです。

区教委にとっては
 無視できないことと思うが・・・
 こんな「つまらないこと」に目くじら立ててないでもっと大事なことに力を注ぐべきだというのは、現場の大方の意見です。しかし、 「個人学習プロフィール」が墨田区教育委員会の極めて重要な教育課題であることはつとに教育委員会が言明しているところであります。現場での扱われ方とは異なって極めて熱く語られているようにみえる教育委員会においても「つまらないこと」と言えるでしょうか。「ルール違反」・規準違反を平然とやって、さらに指摘されても知らん顔をしていていいのでしょうか。無神経さを疑います。
 こういうことを組合ごときに書かれたら教育委員会として恥ずかしいだろうと思うからこれまで半年以上何らかの説明を待って来ました。が、回答のような立場をとるのであれば、その必要もないでしょう。
 「実態に即したものとするよう」「実施要領を不断に見直し、改訂していく」というのは、要領でも規準でもないただの現状追随のような気もしますが、まあ、どうでもいいでしょう。ただ次のことだけ要求します。
「個人学習プロフィール」はただちにやめること


資料2 プロフィール記入の手引き
 「評価」欄には、学習到達度調査結果のうち、児童・生徒一人ひとりの各教科な内容・領域ごとの平均到達度について、「基準値」に照らしA,B,C,Dの4段階で評価したものを記録します。評価の基準は、以下のとおりとします。
 【評価1】各教科の「評価の基準」
  ●墨田区平均到達度を「基準値」とする。
  ●評価の基準
   A:「基準値」を上回る児童・生徒のうち、10ポイント*以上上回ったもの
   B:「基準値」を上回る児童・生徒
   C:「基準値」を下回る児童・生徒
   D:「基準値」を上回る児童・生徒のうち、10ポイント*以上下回ったもの
  ●「基準値」が90%を超えるときなどは、10ポイントではなく5ポイントなどとすることもある。

2010年度個人学習プロフィールの判定
国語 算数
学年 話す聞く 説明文 文学的 言語事項 数と計算 量と測定 図形 数量関係
2 区の平均正答率(平均点) 64 61.9 89 92 91.7 85.5 82
BC間判定のおかしいもの 60:B 92.3:C 91.7:B 80:B 80:B
3 区の平均正答率(平均点) 78.1 76.6 85.2 89.7 84.4 76.3 81.2
BC間判定のおかしいもの
4 区の平均正答率(平均点) 92 60.3 73.5 75.7 82.7 74.8 65.2 80.8
BC間判定のおかしいもの
5 区の平均正答率(平均点) 91.6 65 63.6 71.9 78 73.3 72.4 66.7
BC間判定のおかしいもの 60:B 60:B
6 区の平均正答率(平均点) 78.4 61.3 67.2 67.9 65.5 52 62.2 51.3
BC間判定のおかしいもの 60:B 63.6:B 50:B 50:B


太字が実施要領の基準に反する判定。
国語2年の説明文では、平均が64点だから「C:「基準値」を下回る」という基準に反してBと判定されている。。




週刊墨教組 No.1622           2011.3.28

「二〇一一年度予算・制度要求」回答来る
極めて不満な回答 区教委は現場の声に耳傾けよ


 私たちは毎年秋、職場からの声をまとめ、次年度予算編成に反映され、適正に運営されるよう要求しています。十月提出要求に対する回答が、三月十五日、教育長名で出されました。例年、組合・区教委それぞれ複数人が回答をめぐって質疑・意見交換がありますが、今年は、東北地方太平洋沖地震/福島第一原発事故への対応で多忙のため、まずは文書のみでの回答となりました。今後のやり取りの中で明らかになるものもありますが文書で見る限り、全体的に非常に後ろ向きな回答です。これへの批判・状況が変化したことへの対応などもふくめ、少しずつみなさんに報告していきます。

資料1 2011年度予算・制度要求とその回答の一部
組合要求:
2.「学校ICT化」にあたっては、その主旨に沿うように行うこと。教育活動に支障が生じないように、各学校の意向を尊重し、十分な準備・移行期間を設けること。
区教委回答:
 「墨田区立学校 ICT化推進計画」に沿って行っていく。

@ICT化の主旨に反して、仕事が増えてしまっている現実がある。校長会は実務に関して職員を代表していない。これまでのたくさんの不具合を解消するとともに、至急「実務担当者会議」を開き、実効あるICT化を図ること。
区教委回答:
 @必要な情報は提供していく。不具合はその都度解消している。

組合要求:
E学童保育や「いきいきスクール」などは、学校の意向を無視し一方的に設置しないこと。
区教委回答:
 学校や地域との協議の上、設置していく。



ICT化」 来年度、今年の内容と変わりなし
「週案は『学びの扉』で行うようになる」
「教科だけではなく単元名も入れる」
「通知表は全校『学びの扉』で行うことになった」
「通知表の文言は三月中に入力しなくてはならない」
・・・・と、区教委が言っている・・・
 これはみんな「流言」「嘘」です。教委は一切このようなことは指示していません。そもそも、「二〇一〇年度本格実施」という立場をとっていますから、新たにやることなどあるはずがありません。
 「学校ICT化の主旨」=「教職員の校務事務負担を軽減させ、児童・生徒一人ひとりと向き合える時間を増や」すことも変わっていません。これが実現するように、私たちの仕事の仕方、墨田の教育と労働が正しく行われるにはどういう形が良いのか、検証し提案し「不具合を解消」していかなければなりません。

 区教委回答(資料1)@で、何を「不具合」と見るのかによってこの文言に対する評価は変わってきます。
 通知表の不体裁・指導要録を毎年人数分プリントアウトしては廃棄していくという資源の無駄遣いなど、私たちは「不具合」と認識していますが、「その都度解消している」と書いてあるのですから、それでいいと考えているのでしょう。各校から出された「意見」の集約と公表が不可欠です。
 また、今、「年度移行」が新たな課題となっています。例えば児童名簿。本来ならば、次年度名簿が三月中に、「学びの扉」の中にできていなくてはなりません。なぜなら、これまで、三月中にはゴム印・各自のパソコン・手書き・・・で、次年度児童名簿ができていたからです。三月四月の間は、二つの年度の名簿が並存していました。
 しかし「学びの扉」では「四月一日に切り替える」ということから、どうもそうではないかと思われます。
 ある学校では、三月中に新年度クラス替えを「学びの扉」に入力してしまい、復旧に多大な時間を費やしたそうです。
 これらも含めて解消されていない「不具合」はたくさんあります。

「いきいきスクール」も「放課後子ども教室」も
   危機対応可能な組織ではない
 三月十一日、下校途中が多かった小学校や中学校・学童保育クラブではその構成職員・教員が、児童生徒の保護・下校後の児童生徒の所在確認・保護者との連絡等など、考えられることはすべて行いました。職員の一部が引き取り手のいない児童を保護して宿泊することも想定していました。
 「非常災害等やむを得ない場合に必要な業務」として、いわゆる「超勤四項目」に該当し、時間によっては「教員特殊業務手当」が支給されたり、「勤務時間の調整」・「週休日の変更」がなされたりします。また、超勤を命ずるのは個人に対してであり、教職員個人の事情は斟酌されなくてはなりません。三月十一日に墨田区で職員を一括して拘束する管理職がいなかったことは評価すべきでしょう。
 区内の「いきいきスクール」の様子はどうだったのでしょう? きちんと独自に児童を保護し、保護者に引き渡すことができたでしょうか? 区の報告・発表を待たなければなりませんが、聞くところによると、どうもそうではなかったようです。そもそも、そのような危機に対応できる=対応することを期待される組織ではないのです(例えば、従事者に対する前記のような規定はないはずです)。
 来年度から全校に順次作られるという「放課後子ども教室」はどうでしょうか。すべての物事は状況に応じて作りかえられなければなりません。安全度の低い組織に子どもたちを集めることは今すべきではありません。


計画停電に伴って出退勤時刻・経路変更やタクシー利用・それにかかる費用の取り扱いについては、3月14日・3月18日に都教委から文書が出ています。問題もあります。詳しくは書記局まで。


週刊墨教組 No.1621           2011.3.14

解明要求二 回答を得る
 
三月十日 区教委庶務課長より
不誠実さは弱さの現れー不当性を浮き彫りに

  学校五日制・週休二日制を破壊する 「土曜授業」に反対する(12)


 三月十日、私たち墨田区教職員組合と都教組墨田支部の執行委員九人は、「土曜授業における解明要求ー2」に対する区教委久保孝之教育長からの回答を受け取りました。一問一答の回答が出されたことだけが以前よりも「進歩」したところです。
 十二月に出したものが三ヶ月後に、しかも、来年度教育課程届け出がなされているその最中にまで遅れたことには怒りを感じます。内容でも従来のものと変わりません。説明並びに質疑については後藤庶務課長が対応しましたが、その場での回答は一切得られませんでした。この不誠実さは弱さの現れです。
私たちは、以下のような異論を持つことを表明し、さらに答えるように要求しました。労働条件にかかわること、口頭で伝えられているためにさまざまな解釈で伝えられているあいまいなこと、誤って行われていることについては、今年度中に正されなければなりません。
 焼け跡の中にも草が芽吹くように、私たちは、墨田の教職員の労働条件と、墨田の子どもたちの教育に責任を持つものとして、これからも全力で区教委との交渉・交渉のための諸条件の創出を進め、この「土曜授業」の誤りを糺し廃止していきます。



実態に合わない回答(裏面の表6・9・14 )
 「各学校が、週休日に教育活動を行う場合は、各校長は、教職員の意向も留意し、適切に教育課程を編成・実施する」「児童・生徒の体力等の実態を踏まえた上で」決める。これが絵に描いた餅であることは、墨田中の教職員が知っています。「区がこう言っている」「区がこう決めた」「ブロックの他校はこうだから」ということで押し切った校長があまりに多いのです。

振替日の原則を誤魔化そうと努力(7)
 「当該の週休日の属する週において、週休日の変更を行う」ことが原則ということを何とか誤魔化そうと努力した書き方です。この原則でやれば、こと振休日に関しては問題は少なくなるのです。授業のやりくりをして、あるいはさまざまな方法でその週のうちに振替を取らせるように努力せよといわなくてはならないのです。可能です。あるいは前後2週以内にすれば、いよいよ可能性は大きくなります。それを何とか「長期休業日に持っていくのが原則だ」と思わせようとしています。警戒する必要があります。

時数説明は訂正されねばはならない(8)
 現在「標準時数を下回る時数で教育課程を行っている学校はない」のですから、いよいよ「八月二五日開催 教育委員会会議 報告」での時数説明は訂正されなければなりません。公開されている「報告」は以下のようです。(残念ながら後藤庶務課長がこれを実際に読んだかどうかすら返答されませんでした)
資料 「学習指導要領の拡大分278時間には足りませんので、月1回ではボリューム的には担保できないという話になります。中学校は、午前中の授業は50分単位なので、土曜日は3時間分しか組めませんから、月1回実施すると年間で約10回で30時間ちょっとが確保が出来る。それが3学年なので90時間となりますが、学習指導要領での時数拡大は105時間なので、単純に授業時数の増加分も賄えないことになります。」

「先行校」はなかった(16 ) 
よくよく調べてみると、どうやらそのようです。お詫びして訂正します。ただし、それらの学校のいくつかが他から「先行校」「パイロット校」と呼ばれ、自らもそう称していたことがあることも事実です。また、次の資料からは、「モデルケース」と呼んだ方がいいかもしれません。いずれにせよ、今年度土曜授業を行った各校の実態や評価を明らかにし各校はそれを参考にすべきであることに変わりありません。「モデルケース」と読み替えて再度回答されたい。。
資料 平成22年3月8日開催教育委員会会議記録 報告事項第3
「土曜授業の実施について」、資料3のとおり指導室長が説明する。
○木委員長 来年度実施する小中学校の計8校については、一種のモデルケースみたいな感じになるのですか。
○指導室長 恐らく学校現場から言えば、そういう形になると思います。

時数問題はドタバタ喜劇
 「土曜日には授業をやってはいけない」「授業をやってもいいがそれは授業時数にカウントしない」「計画段階では時数に入れてはいけないが実施した後はカウントしてもいい」・・・。何をどう言ったのか、それがはっきりしないものだからまちまちの解釈が飛び交っています。授業時数にカウント問題はドタバタ喜劇です。「絵に描いた餅」以下です。

労働条件は組合と協議せよ(10 )
 労働条件が交渉事項であることは労働基本法・憲法に明記されています。あの都教委ですら「週休日に勤務を命じることは勤務条件の変更にあたり、交渉事項である。区市町村教育委員会、学校長は誠意を持って交渉に応じる必要がある。」「問題が生じた場合は、誠意を持って協議を行う」と回答しています。
「平成 年度の都で行われた交渉」については、どの部分をそう読むのか、「必要な情報提供は行う」というのですから明らかにするように要求しました。

振休日を確実にするために(12 )
 具体的に、振休日を確実に確保するためには、校長と分会の交渉だけでは不十分です。組合員のいない職場もあります。「振休日については区教委から指示があるはずだ」と未だに託宣を待ち望んでいる管理職もいます。そんな中で「振替日は、確保する必要がある」と宣言されても誰も納得できません。組合との交渉が必要です。
 振休日を確保するためには、どのような具体的な手続きを踏むのか、どのようなことに気をつけなければならないのか等、詳しい「詰め」が必要です。何しろ、これほど多くの教員がこれほどたくさん週休日の変更をする(強いられる)ことは例がないからです。適当に誤魔化してはなりません。休日を与えなかった場合、労基法は「六個月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処す」としています。

不誠実さは弱さの現れ
 区教委の「だんまり・しかと作戦」は短期的には成功したかにみえます。内実はともかく「十一回」は「実現」したのですから。奇襲に「時」は味方します。
 しかし、これからは違います。「時」はもう味方しません。土曜授業はこれから一年は確実に、あるいは二年・・・もしかしたらもっと長く・・・。持久の日々を非論理・不誠実は耐え得るでしょうか。
 大半の教職員の怒りを込めた署名は未だ宙を舞っています。対する区教委の誤りと不誠実さは、正当な主張にいつか(おそらくこれもかなり短期的に)屈するしかないのです。私たちの労働条件をめぐる闘いは続きます。


解明要求二 回答(抜粋)

最後の二つ(5・6)は今回の解明要求で新たに出したものですが、回答を得られませんでした。
回答を要求中です。

東京高裁 君が代訴訟
勝訴!
処分は違法ー都教委の裁量権の逸脱・濫用


 判決は以下の理由で都教委による処分は裁量権の逸脱・濫用に当たり、違法であるとしました。
ア.他の懲戒処分と比べて重すぎる。
イ.控訴人らの行為は個人的利益や快楽の実現を目的としたもの、職務怠慢、破廉恥行為などでなく、生徒に対し正しい教育を行いたいなど歴史観・世界観・信条・社会生活上の信念等に基づく真摯でやむにやまれぬ行為であった。
ウ.「日の丸・君が代」について控訴人らと同様の歴史観・世界観を有する者は国民の中に少なからず存在し、控訴人らの歴史観等が独善的なものではない。
エ.控訴人らは卒業式を混乱させる意図を有しておらず、卒業式等ガ混乱した事実はない。卒業式を妨害した他の事例と比べて処分量定が均衡を欠く。
オ.控訴人らは国旗・国歌法制定時(1999年8月)の政府答弁(義務づけをしない)を曲解しているものではない。
カ.略
キ.卒・入学式は毎年あり、不起立等を繰り返すと累積加重処分となるが、それほどに重大な非違行為というのは、相当ではない。
ク.略
※10・23通達、校長の職務命令は合憲・適法とした部分は到底認めがたいものではありますが、石原−都教委の強圧的な教育政策が指弾された事は墨田教委も、充分に考慮し、反省すべきです。






週刊墨教組 No.1620           2011.2.21

「人事考課制度」に抗する
  「評価は公平・公正・客観的で納得性をえられるもの」
  デタラメな「評価」、差別昇給を許さない!
開示を求めるのは私たちの権利・闘いの義務
  開示請求期間 、墨田区は三月一日(火)〜七日(月)


 都教委は、「平成二二年度東京都区市町村立学校教育職員定期評価本人開示の実施について」を区教委を通じて校長に配布し、「開示」について、教職員に周知徹底することを指示しています。「人事考課制度は人材育成、能力開発が目的」と都は再三説明してきましたが、この制度に対する職員の不満は強く、職員のモラールダウンを招く結果になっていることが指摘されてきました。人事考課制度は、私たちの労働条件である昇任・昇格・昇給・異動等にリンクしています。組合は人事考課制度を「交渉事項」として、その改善を強く要求してきました。その結果、「第一次評価」だけは開示されているものの、「特別昇給」に直接関係する第二次評価(相対評価)は、今年度も不当にも非開示です。不満ですが、人事考課制度を暴走させないためにも、業績評価の開示を要求し、説明を校長に求め、不当な評価、昇給を是正させましょう。とくに今年は、世田谷業績評価裁判が二〇一〇年五月の東京地裁で勝利判決をかちとっています。不当にも教育委員会側が控訴していますが、人事考課制度の問題点は明白になっています。さらにこの制度を葬り去るために、開示を進めましょう。

「開示申請書」は全員に配布 
 「開示申請書」と「定期評価本人開示の実施について」を開示の希望有無に係わらず全教育職員に配布することを校長は指示されています。さすがに以前のように「握りつぶす」管理職はいないようです。手前味噌ながら、私たちの毎年の宣伝が誤魔化しを許さなくしたと考えます。
 しかし、文書は配れても心までは配れない校長は少なくないようです。「開示申請書」を机上に置いておくだけで何ら説明をしない、「校長を信用できないのか」と言わんばかりの態度で接する、開示申請をしたときにきっと不愉快そうな顔をするだろうと想像させる・・・。開示がよっぽど嫌なのでしょう。できれば知らん顔をして時の過ぎ行くのを待ちたい・・・土曜授業をめぐる区教委の対応と同じです。
 よほど「開示」をしたくないのでしょう。評価に自信がないのかもしれません。後ろ暗いことがあるからかもしれません。こういう校長にこそ、開示を強力に進めていかなくてはなりません。

開示の目的
 自分に関する情報を自分で管理する
 都教委は「本人開示は、教育職員の人材育成、能力開発に資することを、目的とする」と述べています。また、「開示の際には、評価者である校長と被評価者である教育職員とが、面接を通して十分な意見交換を行い、共通理解を深めるようにする」とも述べています。開示申請がなくても、評価者である校長には、「人材育成・能力開発」の視点から、評価結果を当人に説明する義務があります。
 私たちにとっては、私たちにかかわる情報を私が知らないままでいていいわけがないという点からも必要なことです。

開示によって開かれた勝利判決
 世田谷業績評価裁判では二〇一〇年五月に東京地裁で勝利判決をかちとりました。これの第一歩は「開示申請」です。
 不当にも教育委員会側が控訴していますが、人事考課制度の問題点は明白になっています。さらにこの制度を葬り去るために、開示を進めましょう。
 都教委は、開示申請者数が減ったのは制度が成熟したからだというようなことを言っているようですが、それはまったく違います。開示が第一次評価(校長)だけであること、「苦情相談」をする四月にはもう評定が下されてしまうという点、世田谷のように裁判にまで行かなければ、非違があっても校長への「指導」にとどまるだけだという制度上の欠陥があるからです。しかし厭うていてはなりません。当然の権利として、自分のことは自分で知らなくてはならないという義務として、開示申請を行いましょう。

「デタラメ評価」を許さない
 校長は職員に対し、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示さなければなりません。その基準に照らし、校長は指導助言を各職員にすることになっています。少なくとも、中間面接(一〇月)ではそのことがなされていなければなりません。しかし、昨年度、ある学校では、評価基準を提示せず、しかも中間面接では指導助言の類は一言も発言していないにもかかわらず、総合評価には不当にも「C」をつけた校長がいます(世田谷業績評価裁判の校長もそうでした)。
 今年度も、年度当初に評価基準(校長が求める水準)を示していない校長がいます。「デタラメな評価」がなされている可能性が大です。校長は、二月末のヒアリングに際し、「勤務成績に基づく昇給における昇給者の推薦名簿」(特昇名簿)を区教委に提出します。「人事考課制度」に抗するためにも、「公平な推薦」、「開示」・「説明」を求めていきましょう。
 この制度を葬り去るためにも、開示を進めましょう。



危機を越えて「教育社会」へ
    堤小分会 
 二〇一一年一月に水戸市で開かれた第六〇回日教組教研集会にでかけた。全体会記念講演が神野直彦さんだったからだ。
神野さんは小中学校時代の同級生でもあり、紹介した本をいつも贈呈してくれたことにお礼を込めて、傍聴をしてきた。九年前には、墨田教組の教研集会に記念講演をしていただいた。また、私の最後の社会科の授業にも講師としてきていただき、忌憚ない話をしてくれたことに感謝している。
 二時間近くのテープを起こした。やや聞きづらいところは、正確性に欠ける。また、小見出しはわかりやすくするために私がつけたものだ。文責は私と週刊墨教組編集部にある。
 彼の考えをくわしく学びたい人は、次の三つの著書を推薦する。
「人間回復の経済学」(岩波新書)
「『分かち合い』の経済学」(岩波新書)
「教育再生の条件」(岩波書店)
 彼の考えとまったく違った方向に、日本の教育がいこうとしている。彼が書いた文の一節を紹介する。
 「小泉政権は、『改革なくして成長なし』をキャッチフレーズにしていたが、その真意は『失業と飢餓の恐怖なくして成長なし』というものである。『改革なくして成長なし』とは、『貧困なくして成長なし』と言い換えても良いのである。新自由主義の傭兵たちは、「改革を止めるのか」とたちまち牙を剥く。それは「失業と飢餓の恐怖」を創り出さなければ、より豊かな富を手にすることができないと信仰しているからである。」(「『分かち合い』の経済学」岩波新書)


危機を越えて「教育社会」へ
     神野直彦(東京大学名誉教授)
 第六〇回日教組教研集会 全体会 記念講演の記録 

 茨城県水戸市二〇一一.一.二二

第一回記念講演は、大内兵衛先生
 六〇年の記念すべきこの研究集会に、私のようなものが招かれて、感謝しております。六〇年の歴史の中で、第一回の記念講演は、大内兵衛先生がなさっております。私、東京大学で「財政学」の講座を担当していました。大内兵衛先生の後を継いでおるものです。
 第二回目は、同じ経済学教授でいらっしゃった矢内原忠雄先生が講演されております。矢内原忠雄先生は、昭和十二年、「平和主義者」という理由で、教壇を追われます。その翌年大内兵衛先生をはじめ、東大の経済学部の多くの教授が治安維持法で逮捕されます。
 私も東大経済学部長を勤めておりましたが、任期は、十月からでした。大内兵衛先生が逮捕されたその年に、当時の日高経済学部長は、東大経済学部には自治能力がないと言われ、自らやめます。その後、経済学部長は、ずっと不在の時代が続きます。そして、ようやく終戦後、大内先生をはじめ多くの人たちが、大学に戻ってきました。そして、選挙をして経済学部長を決めたのが、十月でしたので、今でもそれが続いております。大内兵衛先生が教壇に復帰されたときには、多くの学生たちが、拍手を持って迎えたということです。そういう先生が第一回をされた光栄ある記念講演を引き受けたことを誇りに思っております。

時代の大転換期に来ている
 さて、私は教育の専門でもない人間が、お役に立てる講演ができるか心もとないです。最初に結論だけお話ししておきます。私も余命幾ばくもないのですが、私が歩いてきて人生の中で、「真実」だと思われることが一つだけあります。わたしたちは、時代の大転換期に来ておりますが、その時に、人間が圧倒的力を発揮しなければなりません。その時は、人間がお互いに疑いあっているときではなく、お互いが信じ合っているときであり、憎しみあっているときでなく、お互いが愛し合っているときに、大きな力となると言うことを、私の人生の中で知りえた真実です。

人間が命を存続させていく行為は、「教育」
しかしながら、現代の日本の社会は、この真理は間違いであると、私が考えている真理を否定しようとしている動きに入っている気がします。今日、お話ししようとしているテーマですが、「危機を越えて『教育社会』へ」と言うことですが、中国語では、「危機」とは危うい変化という意味です。
 英語で言いますと、プライムという意味です。プライムとは、「分かれ道」という意味です。破局か肯定的な解決かと言うことになります。
 「教育」という意味ですが、「共に生きている」と言うことではないかと考えます。私も、もうじき死にますけども、「生きる」と言うことと「死ぬ」と言うことは必然的なことです。社会の構成員は、いつでも入れ替わっているんですね。人間が命を存続させていく行為は、「教育」であると定義しています。

第一高等学校安部能成校長の心意気
 今わたしたちは、破局的な道に行くのか、肯定的道に行くのかの分かれ道に立たされています。
 最初に、私の恩師であり、世界でもっとも偉大な経済学者である宇沢弘文先生についてお話しします。風貌からして、「オサマビンラビン」と似ていて、お名前の「うざわ」からも似ているのです。
 その宇沢先生は最初医学を志していたが、社会科学の道に変えていく転機になったのが、次のようなことでした。第一高等学校に入学したときに日本は、敗戦を迎えました。占領軍が、第一高等学校(今の東京大学の教養学部)を接収しに来ます。その時に、ときの安倍能成校長は、「ここは、あらゆる学問の基礎である真理を探究する聖なる場所である。戦場という俗世界の出来事には、適さん。」と、おっしゃったそうです。そう言われると、占領軍は、そそくさと引き返していったと言うことです。それを見ていた宇沢先生は、自分は「社会の医者」になろうと決意します。
 その翌年に安倍先生は、文部大臣になります。当時マッカーサーは、日本が戦争に突入していったのは、教育の力によるものが大きかったと認識していたのです。だから、アメリカから教育使節団が乗り込んできます。安倍先生は、教育使節団に対して、歓迎のあいさつをしなければならなかったのです。
「日本が、今時の大戦で犯した最大の罪は、それぞれの国々の歴史と伝統と文化があるにも関わらず、日本の文化を押しつけた点にある。わけても、日本の教育制度を他国に押しつけたことである。あなた方は、日本が犯した誤りを、二度と犯さないでいただきたい。」
そうあいさつすると、教育使節団から、割れんばかりの拍手が起きた。団長は、感動のあまり壇上に駆け上り、安倍先生に握手を求めたと言うことです。どうしてこういう事態になったのか? この使節団は、アメリカの哲学者のジョン・デューイのお弟子さんだったり、その影響を受けた人々だったのです。「民主主義と教育」や「学校と社会」などで有名な方でした。

他者を信頼できない日本人
最初に私が提起した、「教育」というものは、「共に生きる」過程そのものなんだと言う考え方です。日本の社会は、この教育の原点を完全に忘れたと言っていいのではないか。日本では、子どもたちに「金儲けの手段を教える」と言うところとなってしまったのではないか。「教育格差」ということは、いけないことです。金儲けをする能力に格差をつけてはいけないからだということになってしまっているのです。子どもたちが、わたしたち人間の聖なる存続を構成する社会の一員であると言う意識が、まったく薄れてしまっています。
世界の統計の一つに「他者は信頼できますか?」という問いがあります。これに、「基本的に信頼できる、まあまあ信頼できる」と肯定的に回答している国の中で一番は、ノルウエイです。日本は、最低です。他者をまったく信頼してないと言うことです。
 教育というのは、そうではないと、考えられてきたのです。宇沢先生の友だちで、カンボジアでボランティアをしている人が、子どもたちに「あなたが一番大切にしているものは何ですか? それを書きなさい」と言うと、宇沢先生が言っている、社会的な共通資本である「森・家族・自然」などを書くのです。きらいなことは。「人身売買」「売春」と書くのです。

「分かち合い」とは、「共に生きる」
私がこれから言いたいことは、大転換期にあって、危機を乗り越えていくために、日本はこのままで良いのかと言うことです。
 去年、ある高校生が、私に手紙をくれました。私の書いた「『分かち合い』の経済学」(岩波新書)と言う本を読んで感動しましたと。それで、自分の高校に来て話をしてほしいと言うことでした。名古屋の高校生でした。それで、私の家まで友だちと一緒にわざわざ来てくれました。その時に、パンフレットを作ったので見てほしいと言うことでした。その中に、「分かち合い」と言うことは、「共に生きる」と言うことだと解説がついているのです。私のその本の中には、どこにも書いてなかったのですが、そう分析したのです。高校一年生ですよ。私はそれを見て、えらく感動したことを、ある新聞社の論説委員の方にこのように書けるかとお話ししました。
 スウェーデンでは、社会科という意味は、ソウシャルスタディーと言う意味なんですが、それには、福祉・医療だけではなく、教育も含まれる。元々の意味は、悲しみの分かち合いという意味なんで、「教育も悲しみの分かち合いなんですか?」と聞くと、「そうです。」という言葉が返ってくるんです。わたしたちは、悲しみを分かち合うために、生きていくのです。なぜなら、人間が幸福だと感じることは、他者にとって自己の存在が必要不可欠であるんだと言うんです。自分も自分の存在が、必要不可欠なんだということです。スウェーデン語で、オムソーリと言う言葉です。「悲しみを分かち合い」「優しさを与えあい」ながら生きているのが、スウェーデンの社会では生きています。そのことが、歴史の峠を乗り越えていくと言うキーワードになるのではないかと言うことです。

軽工業基軸の工業社会から
   重工業基軸の工業社会へ
今から八〇年以上前のことです。一九二九年の世界恐慌がありました。それ以前は、イギリス中心の軽工業基軸の工業社会から、アメリカ中心の重工業基軸の工業社会へと梶を切る出来事でした。その上に大きな福祉国家というものを備えていたのです。戦後一ドル三六〇円という固定相場の為替で出発します。それで、自由な貿易を保障していくのです。その後現在にいたって、あらたな世界恐慌は、ゆっくりと進行しています。

新自由主義者の悪魔のような顔
現在は、歴史の大転換期にさしかかっています。それは一九七三年頃から始まったと言われています。その一つは、石油ショックです。重化学工業の原料である石油が高騰して、警告を発したのです。もう一つ、固定為替が変動為替になります。一ドル三六〇円という為替が崩壊します。
 さらにもう一つの事件は、九・一一事件です。一九七三年九月十一日チリの大統領サルバドール・アジェンデが暗殺されます。彼は最後の演説を、大統領宮殿のベランダから国民に向かってするのです。
「私は、チリ人民の忠誠に従い、決して辞任しない。この歴史的な危機に際して、私は、支持してくれた人民にわが命を持って報います。我々の蒔いた種子は、数千のチリの人々の誇り高き良心に受け継がれ、決して刈り取られることはないと、私は確信しています。歴史は我々のものであり、人民がそれを作るのです。歴史は、彼らを裁くでしょう。チリ万歳!人民万歳!労働者万歳!これが、私の最後の言葉です。」
 この放送の後、アジェンデは、反乱軍の降伏勧告を拒否。自ら自動小銃を手にして、わずかな数の武装民兵とともに、激しく交戦した。炎上する大統領府の中で、午後二時頃六五才の生涯を閉じました。殺されたという説と自ら命を絶ったという説がありますが、はっきりしません。福祉国家をめざしていたものが、ここで中断させられます。
 宇沢先生は、その時のようすを、手紙に託して私に下さいました。
「私は、その時シカゴにいた。ハーバード大学のかっての同僚たちとの集まりのときだった。チリのサルバドール・アジェンデ大統領が暗殺されたというニュースが入ってきた。その時の何人かの新自由主義者のものが歓声を上げて喜んだ。私は、その時の彼らの悪魔のような顔を忘れることができない。それは市場原理主義が世界に輸出され、現在の世界的危機を生み出すことになった決定的瞬間だった。私にとって、シカゴの新自由主義者と決別する決定的な瞬間でもあった。」
 「サルバドール・アジェンデ大統領の最後の演説」は、ユーチューブで見られます。

大きく分けて、三つの流れ
 アジェンデが暗殺され、独裁者ピノチェトは、独裁政治を完遂すると、経済学者をすべて新自由主義者にしました。そして、「小さな政府」「規制緩和」「民営化」推進していきます。それを新自由主義者は、チリの奇跡とたたえるわけです。
一九七九年には、新自由主義を標榜する「鉄の女」と呼ばれたサッチャーがイギリスの政権に就き、それまでの福祉国家を完全に否定していったのです。一九八一年には、アメリカでレーガンが大統領に就任します。日本では、一九八二年新自由主義を唱える中曽根政権が誕生します。福祉国家が行き詰まった後に、次にどんな公共空間ができあがっていくのかと言うことです。一九二九年の世界恐慌前の自由主義国家にもどれという勢力と、そうではない勢力とに分かれてくるのです。
 大きく分けて、パターンは三つになります。一つは、新自由主義を狂信する。福祉国家を根底から否定する国とヨーロッパ諸国の国に分かれます。ヨーロッパ型も、二つに分かれます。フランスやドイツなどのモデル、もう一つはスカンジナビア諸国(スエーデン・デンマーク・フィンランド)などの国々をモデルです。たしかに福祉国家が行き詰まったが、福祉国家が持っていたメリットを大切にしていこうとするのと、それを根底から否定するのとに分かれてきます。

貧富の格差は広がる
社会保障の割合を見てください。小さな政府をめざす、アメリカ・日本は、ドイツやスウェーデンに比べて一割近く低いです。経済成長率は、アメリカが高い。しかし貧困率を見ると、アメリカや日本は、ドイツの二倍、スウェーデンの三倍です。新自由主義を掲げている二つの国では、貧困の格差が広がってきています。ここで言えることは、大きな政府にすると、格差は、おさえることができます。ただし、ドイツのように経済成長を抑圧してしまう場合があります。小さな政府にすると、アメリカのように、経済は成長するが、同時に貧富の格差は広がってしまうことです。しかもリーマンショック以降、財政の赤字は、ますます悪くなる一方です。日本は、二〇〇二年から、二〇〇八年まで小泉政権の経済効果が現れて、いざなぎ景気がずっと続きます。しかし、この成長は低い成長率で、労働者の賃金は低く抑えられ放しでした。景気が成長しているのに、労働者の生活は苦しくなってきています。国民の生活が豊かにならなければ、成長していても意味がないのです。

現金給付より、サービス給付
 さて、問題は、どうしてこうなってしまったかと言うことです。これは、社会保障の再分配に問題があるのです。生活保護を給付すればするほど、その国の貧困の格差はますます広がっていくと言うことです。アメリカ・イギリスは、生活保護の割合が他の国に比べ大きいと言うことです。それに対して、スウェーデンやデンマークなどの北欧の国は、その半分以下です。ドイツやフランスは、その中間です。その中で、日本は、あらゆる数字で、他の国と比較しても失敗しています。社会的給付(子ども手当や高齢者サービスや医療など)の割合も、日本・アメリカ・イギリスは、北欧の国と比べるとはるかに少ないのです。しかも、北欧の国々は、現金給付より、サービス給付の割合にシフトして切り替えていると言うことです。

ソフト産業基軸の知識社会に変化
 さて、重化学工業の発展していたわたしたちの時代は、どういう時代だったのでしょうか。それは、男性の人たちが、仕事の中心であったのです。それは、同質の筋肉労働を大量に必要としますから。男性は外へ、女性は家庭にと言う時代でした。
 一九二九年の世界恐慌が起きるまでは、男性は外に働きに行っていません。日本でも、軽工業中心でしたから、製糸業や綿織物業などの女工さんが中心でした。戦後は、重化学工業基軸の工業社会になり、男性中心の労働者になったのです。
 その後の現在は、ソフト産業基軸(サービス産業中心)の知識社会に変化してきたのです。それまでは、男性は自分の配偶者のことは「家内」と呼び、他人の配偶者は「奥様」と呼んでいたのです。「家の中」にいたのです。しかし、今は、「家内」ではなく「家外」つまり、外で働くようになってきたのです。生活を支えていた家庭の中に女性がいなくなると、サービス給付(育児や養老など)を出していかないと、産業構造の転換にうまく合わなくなってしまうのです。
 ドイツは、成長しないのか。それは、依然として、保守主義モデルです。つまり、パートの労働市場とフルタイムの労働市場に二極化してしまうのです。特に日本の労働市場は、そのように変化してきています。そこに格差が広がってきているのです。この状態で一番苦しんでいるのは、女性と若者たちです。ひとたび労働市場が拡大再生産されると、不況のときは、新たに労働市場に格差が生じてしまいます。労働市場に採用されるときに、活動保障を作り、新たに産業構造を変えていかない限り、格差と貧困があふれ出て、経済成長はしなくなる。日本が経済成長をしようとすると、お隣の中国が、一周遅れの重化学工業に走っていますから、産業構造を変えるしかないのです。

工業社会から「知識社会=教育社会」へ
 スカンジナビア諸国は、工業社会から「知識社会=教育社会」へと移行しています。
 生きている自然に働きかけて、人間に有用なものを取りだしているのが農業。それに対して、死んだ自然を原材料にして、産業が成り立っているのが工業。工業というのは、農家の副業から産まれている。
 「知識社会=教育社会」というのは、どういうものかというと、工業の周辺から産まれてきている。サービス産業にしろ、知識周辺産業にしろ、人間に働きかけることです。これからは、人間そのものが重要になってくる社会になってくる。人間の発展の歴史から、当然のことなんですね。今までは、人間の筋肉系統の能力に使っていたけれど、これからは、人間たるゆえんの神経の能力が、相手に対する思いやりを含めて大切になってくる。人間の知識に有用なものを創り出している。情報というものは、形を与えるものという意味です。心臓のペースメーカーを作るには、自然に存在する物量に対して、莫大な知識情報量を投入する。つまり、量的な変化が、質的なものへの転換。このことは、決定的です。工業生産大量消費は、続けられないのです。自然が持たないのです。私達は、自然を使うものを少なくして、なるべく知識量を多くして、やらなくてはならない時代に入ってきているのです。
 私は、夏のどんな暑いときも、ネクタイをはずしません。地球の環境破壊の時限爆弾のスイッチが押されているときに、「そうだネクタイをとろう。」などと言うばかげた政策を打つなと申し上げたい。そんなことを言うなら、冬になって、オーバー着て仕事をやればいいのかと言うことになる。

知識というのは、惜しみなく与え合う
 これから重要なのは、単に個人的な知的能力だけではありません。もう一つ重要なことは、社会資本が大切になってくる。人間の絆、共に一緒に生きていると言う感覚がなければダメだと言うことです。知識というのは、惜しみなく与え合おうと言うことなんです。工業生産の生産物は、腐りませんから、蓄積する。市場で持って、動かし売るものは、腐らないものなんです。したがって、農業に市場原理を与えるのは、適切かどうかというのは、わからない。
 知識というのは、惜しみなく与え合わない限り、発展しない。日本やアメリカでは、その方向はとらない。知識というのは、知的所有権を市場で取引をする。私などは、金をあげると言われたら、とたんにやる気を失う。金を持てると言うことは、インセンティブ(やる気を起こさせるような刺激。奨励金)になりません。ローマの奴隷制の時代のものだ。確かに、賃金を上げたりすれば、やる気が出るが、ある一定の水準に達すると、もうやる気がなくなる。
 例えば、これからは、再生可能なエネルギーで人力発電をしようと。はつかねずみのように、ベルトコンベヤーの上を人間を走らせる。どんどん走らせて、出来高によって、賃金を払う。ある程度の水準に達している人は、やる気を失ってしまうんですね。
 ところが今の日本でもって、発電機で電気を起こすと言ってやらせたら、みんな真剣にやるんです。うそだと思ったら、スポーツクラブなどジムに行ってみてください。みんな真剣にお金を払って、走りまくっていますからね。なぜやっているのか、それは、自分のやっている行為の意味がわかっているからです。なぜ自分は汗水たらして、真剣にやるのか。自分の目標があるからです。目標とは、他者が作るのでなく、自分が目標を設定したときに、人間はやる気が出てくるのです。
 量から質に転換していかなければならない。教育のミッション(任務、使命)は何かと言うこと。公務員が携わっているミッションとは何かと言うこと。ミッションの方が、はるかにやる気が出てくると言うことを自覚することだ。そういう時代に入っちゃたということです。知識を抱え込んじゃって与え合わないでいる人は、学会ではそんなにいませんよ。

知識は、社会的な共有資本
 今アメリカの製薬会社が開発しようとしている新薬の七十パーセントは、南米のアマゾンに住むシャー(王族)の人に聞き出している。彼らは、この病気になったらこの木の皮をはぐと、これが効くという情報を、五千種類くらい知っている。それを聞いて分析して、これが効いたのかと特許を取って、大もうけしている。そのことを、ブラジル政府は抗議している。ところが、アマゾンのシャーは、この知識は私達だけのものではない。すべての人々のために使えと祖先から伝わっていると言っている。こうでないと知識というのは、発展しないのです。市場で取引する所有権を誇示しない。つまり社会的な共有資本なんですね。そうしないと、うまく発展しないのですね。そうすると、福祉国家をめざす、今までの私達のやり方は、市場の取引でおっこったら、安全のネットで支えますよというやり方です。

人間の全体性を要求する教育
 新自由主義の人たちは、おっこったら死ぬぞと言われたら誰も真剣に仕事をやらないから、安全のネットで支えますと言った。しかしこれからは、安全ネットと同時に、おっこったらもう一度もとの演技にもどると言うチャンスを与えると言うことです。
 この跳ね返すチャンスが、教育なんですね。私達は、知識社会、人間そのものが発展するようにしなければならない。人間が生きていくと言うことが、教育そのものなんです。誰でも、いつでも、どこでも、ただでの原則で参加していく。単なる知的能力だけでなく、人間の全体性を要求する、教育というものは一部のものではないんですよ。金儲けをする能力だけではありません。私達の市場社会と言うところは、ものを作る生産の場・仕事をする経済システムと生活をする場・社会システムと言うのは、分担されている。これは共同体です。そして、政治システム・民主主義と三つに分かれるんです。この三つのシステムをすべて身につける、全人格的な能力を身につけるんです。これ必要がないという能力でも、身につけておかないと、どこからどうアイディアが出てきて、どういうものができるかと言うことがわからなくなる。
 多くのヨーロッパの国々では、普通に大学には行かない。日本でも、誰でもいつでもどこでも採用してくれるんですね。

民主主義をたたえる人間を育てる
 最後の問題になりますが、教育社会における学校教育というのは、学校教育と成人教育と言うのが車の両輪のようになっていて、いつでもできあがれるような生涯学習教育体系ができていなくてはならない。
 スウェーデンの文部大臣が提唱したいつでもやり直しのきく教育制度。国民が自主的にする教育が、「社会」と書いてある「学習サークル」と「国民大学」「国民高等学校」です。制度的フォーマルな教育体系が二つに分かれている。「学校教育」と「成人高等学校」義務教育が九年制で、小学校と中学校までが一緒です。後期中等教育(高校)が「普通科」と「職業科」に分かれている。その後大学と続く。そこまでの教育費は無償です。成人高等学校が「成人基礎教育」(これ義務教育)と成人後期中等教育(高校課程)そして、補完教育(職業訓練教育)となっている。いつでもやり直しがきくと言うことです。
 赤字企業と黒字企業で働く労働者の賃金は、同一労働同一賃金です。ILO条約を批准してない日本は、先進国では日本くらいでしょう。もう一回仕事を辞めて、七五パーセントの賃金をもらいながら教育を受けることができる。例えば、正教員でない人が、単位の一部をそこで取り、正規の教員資格を取ることができる。あるいは、今の職業はあわないので、いくつかの単位を取れば医者になれるという人が、もう一度やり直しがきく。
 大事なことは、いつでも学び直せるという体系を保障することです。人間が、「生きる」と言うことと「学ぶ」と言うことがイコールなんだという社会になっていく。私達は、働くことのために知識を学んでいるのではないと言うこと。人間として成長し、社会の構成員として生きていくことが大切である。民主主義をたたえる人間を育てることが大切である。仕事そのためだけではないことをやるために、教育で学んでいくのです。これは市場主義を最初に提唱した、アダム・スミスの考えです。市場社会になると、人間が仕事上要求される能力は、部分的になる。教育制度を作るという意味は、全体的な人間的能力をやるために必要なんだ。

絶対教えると言うことはしない教科書
 スウェーデンの中学二年生の教科書に載っている詩を、最後に読んでおしまいにします。スウェーデンでは、絶対教えると言うことはしません。どれが正しいかと言うことは、教師もわからないからです。考えさせるように編集されています。


子ども  ドロシー・ロー・ノルト

批判ばかりさせられた 子どもは
 非難することを おぼえる

 殴られて大きくなった 子どもは 
 力にたよることを おぼえる
 
 笑いものにされた 子どもは
 ものも言わずにいることを おぼえる
 
 皮肉にされた 子どもは
 鈍い良心の もちぬしとなる

 しかし、激励を受けた 子どもは
 自信を おぼえる

寛容にであった 子どもは
忍耐を おぼえる

賞賛をうけた 子どもは
評価することを おぼえる

フェアプレーを経験した 子どもは
公正を おぼえる

友情を知る 子どもは
親切を おぼえる

安心を経験した 子どもは
信頼を おぼえる

可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世界中の愛情を 感じとることを おぼえる


 この詩は「子どもと家族」というタイトルの中に載っています。私達は、学校、職場、余暇活動などで、さまざまなグループに属しています。しかし、私達にとってもっとも大事なグループは、それがどんなタイプであるかに関わりなく、家族です。人々は、「家族は、社会全体がその上に成り立っている基礎である」と、やや重々しく表現します。
 この詩の後に「課題」が出されています。

@ 家族の一員としてみて、家族の中で一番好きなことと嫌いなことを、それぞれ五つ挙げましょう。友だちの挙げたものと比較しましょう。
Aa、子どものいる家族への、現金援助を五つ挙げましょう。
 b、社会保険庁やコミューンの社会事務所で、規則や、現金援助が実際にいくらであるかを調べましょう。
B 各政党が、家族政策についてどんな意見を持っているか調べましょう。
C あなたは、詩「子ども」のどこに共感しますか。激励や賞賛が良くないのはどんなときですか。この詩は、大人に対して無理な要求をしていませんか。両親が要求にたいして、応えきれないのはどんなときか、例を挙げましょう。

 日本は、読み書きなどの計算能力は優れています。人間が生きていく上で、ぶつかる様々な問題点の所在を明らかにして、解決能力を身につけさせる国語の能力は、スウェーデンの方が優れている。大変雑ぱくな議論でしたが、以上で終わりにします。




週刊墨教組 No.1619              2011.2.14

反戦平和のとりくみを
 東京大空襲を知りつたえよう
特設授業と
追悼碑めぐり・再び許すな東京大空襲


 今年もまた三月一〇日がやってきます。一九四五年三月一〇日、墨田・江東を中心とした東京下町は、米軍のB29による無差別絨毯爆撃で火の海と化し、一夜にして十一万五千人の尊い命が焼土に埋もれたのでした。東京大空襲は、広島・長崎の原爆とともに、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材と言えるでしょう。下町の街かどに安置されたお地蔵さんや追悼碑に、花を供える方々も年々高齢化し、空襲の傷跡もほとんど無くなりました。しかし、私たちはあの「地獄の炎」を決して忘れません。
 「教育基本法」が改悪され憲法をも改悪されようとしています。敗戦から六六年、「戦争」とその反省が歴史のかなたに追いやられようとしている今日、「東京大空襲」を自ら学び、子どもたちへ語り継ぐことは、私たち教員の課題と責務です

過去を忘れてはならない
過去を知らなくてはならない
 私たちにほんの少しの想像力があれが、六六年前、この墨田の夜が炎上し、その中で多くの「ヒト」がもがきながら死んでいったことを理解できるでしょう。私が毎朝通勤する通りにも六六年前の熱さとおびただしい死が幻視されます。それは極めて近い過去なのです。怖れていては何もなりません。彼らを遠ざけるだけです。そして私たちは振り返らない過去を繰り返すことになります。そうならないために、私たちはその夥しい無念の死者と、そして過酷な生を生きる生き残った人々と「つながる」必要があります。その生と死を「継ぐ」必要があります。

基地の廃棄
 日米安保に基づいて、沖縄に驚くほどの軍隊と施設が置かれています。かつてここからはベトナムに多くの兵員や兵器を送り込まれ、また「共産圏」との最前線と位置づけられてきました。冷戦構造が終わったとはいえ、新たな戦争をアジアで繰り広げるアメリカは、沖縄という「安価な」軍事基地を手放そうとはせず、日本を巻き込んで再編強化をしようとしています。疲労した新政権は、辺野古に基地建設しようとしていますが、それは人を傷つけ人を殺し、殺され、傷つけられるための軍事基地であり、沖縄の人々は拒否しているものであることなのです。

教え子を再び戦場に送らない
 いかなる口実があろうとも「殺す」という行為を私たちは否定します。「○○国の脅威」「領土問題」「テロとの戦い」など、どのような理由をつけようとも、それは戦争の言い訳にもなりません。日本のアジア侵略もアメリカのイラク「制裁(という名のテロリズム)」も「正義の戦争」でした。「殺す」ことを肯定したときにあらゆる口実が湧き出てくるからです。
 なによりも、まず、平和を。子どもは「お国のため」にあるのではありません。
 私たちの先達は、戦後、日教組を結成しました。そして、平和を希求して、「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンが生まれました。これからも政治状況がどう変わろうとも、その精神を受け継がなければなりません。自分たちの職場で、『二度と戦争をさせない』とりくみを進めなければなりません。

組織的な平和教育のとりくみ
 
墨田教組は、反戦平和教育の重要な課題として位置づけ組織的にとりくみを進めてきました。一九八八年からは、特に「三月十日」をひとつの節目に設定し、墨田の全学校で反戦平和教育の実践が行われることをめざし、墨田教組として統一的にとりくみを進めてきました。三月十日の前後には、特設授業や全校児童集会等々様々な形で、平和教育のとりくみが各学校で実践されています。このとりくみは、東京大空襲で壊滅的被害を受けた墨田におけるという意味で、地域に根ざした教育の一環でもあります。
 私たちは、これらの立場に立って、今年も三月十日を節目とした平和教育特設授業のとりくみを進めます。

第30回 再び許すな東京大空襲
追悼碑巡り 江東・墨田
  三つ目通り沿い二家族それぞれの別れ
とき 3月6日(日)午前10時〜12時すぎ
 集合 午前10時 菊川駅A3A4地上交差点
追悼碑巡り順
 三之橋(橋本代志子さん家族の別れ)
 榎稲荷の立川地蔵尊・
 菊川橋夢違地蔵尊
 八百霊地蔵尊(築山実さん家族の別れ)
  老人会見守りに合流
 山内ジョージさん原画による紙芝居の披露もあります。

東京大空襲を語り継ぐつどい
東京大空襲・戦災資料センター開館9周年
3月5日(土) 6時半開演
亀戸カメリアホール  総武線亀戸駅北口徒歩2分カメリアプラザ3階
演奏 カザルス「鳥の歌」
東京大空襲を語り継ぐ
 @戦災資料センターのこの一年
 A証言映像作品上映(築山実さん他出演)
 Bセンターで学ぶ中学生「英語劇で伝える東京大空襲」
都立両国高校付属中学校
講演
 「町も家も家族みんなを奪ったあの惨禍を忘れてならじ」
  海老名香葉子さん(児童文学者「うしろの正面だあれ」)
お話「そして明日へ・・・」早乙女勝元さん(館長)

2.26 朝鮮学校への「無償化」即時適用をもとめる大集会
  2011年2月26日(土)10:30〜14:00
    10:30〜12:30 集会   13:00〜14:00 デモ行進
3.主  催  「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会
  共  催  フォーラム平和・人権・環境
4.会  場  代々木公園野外ステージ※最寄駅…JR「原宿駅」下車 徒歩10分



「全国空襲被害者連絡協議会」が昨年8月発足しました。軍人・軍属には手厚い保障を続け、国民や侵略し抑圧した他国民には何ら保障をしないという、一貫した「日本」という国のあり方に抗するものです。「戦争だからしょうがなかった」とする「受忍論」は、戦争を「自然災害」のように見る見方において、軍人とその遺族には恩給という形で補償するという不平等によって、完全に破綻しています。その時、人は、直接的加害の有無にかかわらず無残な死を迎え、あるいは非情な生を「等しく」強いられたのです。

小一の三五人学級
 非正規教員の見直し必要 
           東京学芸大学准教授 大森直樹
 
小学校一年生の「三五人学級」を実現するため、新年度政府予算案に四千人分の教職員定数の改善が盛り込まれている。この措置を具体化するため、学級編成や教員定数を定める「義務標準法」の改正が今国会で審議される見込みだ。一九五八年に制定された同法が、その時々の改正を経て教育現場に与えてきた影響を検証してきた立場から意見を述べたい。
 この予算案には「国による教育の条件整備」を前進させる側面がある。それは、同法の歴史的な経緯から明らかにしておく必要がある。
 教育の条件整備の起点としては、五二年の義務教育国庫負担法があり、教職員給与の二分の一を国が負担する仕組みができた(現在は三分の一)。しかし、それだけでは財政が行き詰まった自治体の教職員給与を保障できなかった。その制度上の問題点を内藤誉三郎・文部省初等中等教育局長らが指摘し、義務標準法が策定された。同法では、県ごとの子どもの数を基準にして、一学級の子どもの標準を三五人と定め、各都道府県で必要とされる教職員定数を算出し、その給与額を確保したのである。
 政府は同法の改正によって一学級の子どもの標準を四五人(六三年)、四〇人(八〇年)と引き下げて教員の定数を拡充、教育の条件整備をしてきた。今回の予算案は小一に限られたとはいえ、実に三一年ぶりに一学級の子どもの標準を引き下げるものだ。
 ただ、手放しでは喜べない。非正規教員の増加だ。二〇〇一年の同法改正では、常勤教員に限られていた国庫負担を非常勤に広げ、正規教員の一人分の予算を複数の非常勤教員に回すことを認めた。同時に習熟度別指導なども導入したことで、それに対応する教員を配置することになり、非正規教員の比率の増加も促した。
 非正規教員はフルタイムで働く常勤とパートタイムの非常勤がいる。朝日新聞によると、公立小中学校の非正規教員の実数は二〇〇九年に一〇万五千人になり、七人に一人を超えている。今回の予算案で教員定数が改善されても、学校では非正規教員が引き続き増加することにもなりかねない。
 そこで、今後の法改正に際しては「三五人以下学級」の実現と併せて、教員の非正規化に関わる条文を削除することを提言したい。いま非正規で働いている教員のうち、希望者を正規に切り替えていくことも進めるべきだ。少子化による義務教育費の自然縮小分を、「法再生」の原資とすることも可能だろう。
 正規教員の数が回復すれば、特定の正規教員に過重な職務が集中することも減り、多忙化も解消される。政府には歴史的な決断を強く求めたい。与野党の議員にとっても、義務標準法をその本来の姿に再生することに異論はないはずだ。
(朝日新聞二〇一一・二・四記事を大森さんの了承の下転載しています。多くの方に署名をお願いします。)


週刊墨教組 No.1618    2011.1.25

亡霊のような都教委文書
 それでも墨田区教委より「まし」だなんて!
    しっかりせよ、われらが墨田区教委
来年度予算案プレス発表は一月三十一日
学校五日制・週休二日制を破壊する「土曜授業」に反対する(11)

この頃聞かない「PDCA」
 先週、「土曜日における授業の実施について」というきれいな東京都教委作成のカラー版パンフレットが、墨田区を通じて学校に配られました。
 墨田区教委仁王室長名の「文書」には、次年度「土曜日授業をするうえで参考にされたい」旨が述べられています。
 この文書には、「@平成二二年度の学校の状況」「B平成二二年度に土曜日における授業を実施している区市町村教育委員会の例」「D土曜日における授業の実施にかかる質問及び回答」などが載せられています。
 都教委は、「土曜日の授業を実施している学校の成果等をまとめました」とはじめに書いています。本年度実施していることをそれなりに踏まえその実態を明らかにし(というほどではないが)反省を加えているということです。
 それに対して、わが区教委はどうでしょうか? 本年度実施した学校を「パイロット校」と持ち上げながら、「土曜日の授業を実施している学校の成果等をまとめ」たりするどころか、その事実さえ明らかにしません。「パイロット校」はなぜ「パイロット」というのでしょう?。「勝手にやってしまったやつら」という意味ではなかったでしょう。ひょっとして一時期上から目線の方々がさかんにおっしゃって、この頃余り聞かないPDCAのP(パイロット校って称してる学校今年、どうだったの、チェックしてさあ按配考えようや)だったのではないでしょうか?
 彼らに「パイロット」の名を冠した者は、水先案内人の航跡に学ぶべきなのです。パイロットがどう動いているの、それをどう評価し次に活かすのか、例えば座礁していたら巧みにそれを避けるようにと。・・・それが「偉大なるパイロット」の役割です。一向にその情報は伝わってきません。やはり彼らはただの「ならず者」の役割しか与えられておらず、アメリカの経営手法と言われているものは偉そうに説くことはできても日本ではとても実践できるものではないということでしょうか?

今年度年間土曜日授業回数
 「@平成22年度の学校の状況」には、「年間0日」から「月二回程度 十六〜二十日」までの五つのランクで実施学校数が書かれています(二〇一〇年四月九日調べ)。
 「学期に一回程度(授業参観日等)の一〜五日」と「月一回程度 六〜十日」の間だけが二重線で切られているのは何となく悲しくなります。また、
「学期に一回程度(授業参観日等)の一〜五日」
←一学期制のところと五学期制があるんかい!? 
「月一回程度 六〜十日」
←どう考えたって月一回に満たないでしょう!?
と突っ込みを入れたくなりますが、深入りはしません。
 それより、私の学校、墨田区の多くの学校はどこにカウントされているのでしょうか? 「〇日」でしょうか、「一〜五日」でしょうか。ある学校の場合、運動会は日曜日ですから、どう考えても土曜日授業ではありません(当たり前です)。学校公開で一日、学芸会で一日、土曜日を充てています。すると「一〜五日」か? しかし、それぞれにその週あるいは翌週の月曜日に教職員も児童も振替休業日を設けていますから、「子どもの振替休業を行わない『土曜授業』」との定義からするとこれは土曜日授業ではなく、そういう学校は「0日」に入るのかもしれない・・・。ううむ、妙に少ない・・・。

定義は都教委の方がまとも
 何の説明もなく出されると、少なくとも墨田の教員はうろたえます。それは墨田区教委の定義がまるでおかしいからです。六月段階で都教委広報室に直接照会しましたが、都の場合は簡単なことです。「土曜に授業をやれば土曜日における授業」なのであって、児童の振替休業をとろうがとるまいが「土曜日の授業」なのです。区教委が「日曜日に授業を行うことは、『土曜授業』の扱いとはならない」(「土曜授業について要望及び質問事項の回答」二〇一〇年十一月十七日)と断言するのと同じです。
 ところが区教委は「『児童・生徒の振替をとる土曜日の授業』を実施することは、現状とおり可能である。しかし、『土曜授業』の扱いではない。」と神秘的なことを語り出します。
 何が何でも振替なしで土曜日に授業をやらせたいというのが至上目的になっているからこういう神秘的な説が出てくるのです。せいぜい、「『児童・生徒の振替をとる土曜日の授業』を実施しても、『授業時数の確保』の役には立ちませんよ」ぐらいの節度ある断りを書けばいいのですが、そうはいかないのです。「授業時数は足りてるもの」とまっとうな反応がきたり、「授業時数が足りないなら都民の日や開校記念日に授業すればそれでも時数確保になるだろう」という、さまざまな知恵が出てきてしまうからです。都とも違う定義を強行することで理性的なさまざまな発想を抑圧するものです。

児童の振替休業がないことは
  「土曜日授業」の要件ではない
 「D土曜日における授業の実施にかかる質問及び回答」には、「土曜日における授業を実施した場合、児童・生徒の振替休業日は設定する必要があるのか。」と問いを立て、「設定しなければならないという規定はない」とし、「他に休業日を設けることは要件ではないが、・・・他に休業日を設ける旨の規定をおくことはさしつかえない」(初中局局長回答一九六一年十月二十日委初八十)なる実例を出しています。
 ここで都教委が言いたいのは、子どもたちに振替休業日を出さなくっちゃだめなんじゃないのというありうべき批判(私たちもそう考える)に対して、振替を出さなきゃだめってわけではない、振替なしでもいいっていう通知があるとそっと出しているのです。
 次の問六では、「振替休業日を設定しない場合、どのような配慮が必要か」と問いを立てています。「振替休業日を設定しない場合」です。この場合があれば当然「振替休業日を設定する場合」もあるわけです。
 子どもに振替をやったらもう土曜授業じゃないんだ!とわめきたてる我が区教委を何と嗜めていいものでしょうか。
 もちろん都教委も「翌日の日曜日に、児童生徒が確実に休養して心身の疲労を回復できるようにすることが必要である。」などとおざなりのことを言ってすませるのではなく、昨年一月からの通知からすべて撤回し、土曜日授業はしない=学校週五日制を守るところにもどるべきであることはいうまでもありません。しかし、子どもの暮らしに普通は二日の休養が必要であることを明確にしたという意味ではなかなか重要な文言です。
 
実施授業、教科等は限定しない
 「『確かな学力の定着をはかる授業』であれば、教科等の限定はしない」が問三の答えです。
 「墨田区教委の説明会では、『普通の授業はだめ』『行事をやればテストをやってもいい』・・・といわれた」といううわさの混乱(もともとはっきりした文書を出さない区教委に混乱の責任はあるのですが)と比べると、その是非はともかく、すっきりしています。
 
教員の勤務時間の振替等
 都教委は曲がりなりにも「まずは、同一週における週休日の変更・・・・」と打ち出しています。これに対して、「教員の勤務の振り替えについては、園長・校長が適切に定め、長期休業日等に振り替える」は法的レベルにおいても明らかな誤りを平然と述べて区教委は恥じるところがありません。

「土曜授業」は まだまだ紆余曲折
来年度予算発表は一月三十一日
 区教委からの周知をという各校からの要望に対して、「第一定例議会(平成二十三年二月)での承認後、・・・・周知活動を行い、・・・区民に広くアナウンス活動を行う予定」と回答しています。来年度のことは予算の決定を待たなければ確定できないのです。区は言えないが学校は言えるということも絶対にありえません。
 例えば、「給食回数は年間三回」との噂がありますが、どこにその予算的裏づけ・文書的根拠があるのでしょう。もし仮に年間三回給食が行われるとしても、それが、「予定した土曜日」に実現する確証はありません。この時点で、来年度予定を決めるのは無責任です。

この半年間の「紆余曲折」を想起しよう
 私たちはこれまで、「区教委は九月一七日に文書を出して以来無責任にもそれを各校に強要し・・・」と非難してきました。しかし、事態は各校・各組織での、私たち教職員のまっとうな振舞いによって、ずいぶんと「変質」してきました。一つひとつ見ていきましよう。

「一日授業を行う場合の昼食については、『弁当』持参を原則とする」
→この頃とんと聞きません。「弁当作って家庭の食育」というなかなか珍奇なキャッチフレーズも聞こえてきませんし、弁当を提案している学校は、今のところないようです。
「教員の勤務については、原則一日とするが、園・校長の判断で半日勤務も可能とする」
 →「原則一日」原則に従って十一回全部を一日勤務として提案した学校もあったようです。忠実といえば忠実です。また、「どうせ学校に来るのならその後残って仕事をしていけるように」という「暖かい配慮」も隠れているようです。どうせ暖かいならもう一息、「土曜はやっぱり週休日」までの「ご配慮」を! しかし、この提案も教職員の反対が大きく、撤回せざるを得なかったということです。
 そう、「休暇をとればいい」「土曜の午後には会議や行事は入れないから」と言っても、それは来年だけのことです。その後、どうせなら土曜の午後に〜をしようという提案がなされるに決まっています。今歯止めをかけなければずるずると権利を奪われてしまいます。たとえやせ我慢でも、土曜日は半ドンとするべきです。
 土曜日に一日働けば昔で言えば週四十八時間労働です。このような労働時間では私たちの疲労は回復しません。
 来年度、児童の振替休日を今まで通りにとらないのならば、すべて三時間授業にしようと考えている学校もあります。さまざまです。

 区教委の言う、「各幼稚園・学校は、園・学校の実情を踏まえ、年間実施回数や一日実施日、半日実施日等の実施回数を決定し、教育課程に位置付ける」作業を独自にそれぞれの学校で進めていかなくてはなりません。まちがった情報・寄らば大樹の権威主義にではなく、私たちと子どもたちのためによりよい方途を考えていきましょう。
 私たちの振舞いはこれからも事態を変質させていきます。変質させていかなくてはなりません。二十二回の土曜授業など、墨田の教職員と子どもたち、墨田の教育そのもの・生活そのものを破壊させるものでしかありません。

 九月十七日区教委計画は一旦凍結すべきです。あまりにも拙速で考えが足りなかったのです。反対の大きさを読み間違えていたのです。そもそも熱意のないところで、一部の蠢動に驚いて靡こうとしたところに無理があったのです。

2010年12月15日
『土曜授業』は本当に必要か?
  撤回を求める全教職員集会
において
会場カンパを呼びかけましたところ、
 22030円のカンパが寄せられました。
 当日の会場費資料作成費 13718円をこれでまかないました。ありがとうございます。
 さらに、残金8312円は、今後、実行委員会の行う反対運動・弁護士への相談のための費用等にあてさせていただきます。
参加されたみなさまにお礼を申し上げると共に、報告が遅くなったことを、お詫びいたします。

12・15集会実行委員会






鉦や太鼓で集めても・・・
 いよいよ泥沼「校長職・管理職・主幹」選考

 いつ出るかいつ出るかと暮れの楽しみの一つとして待っていたのに、今年度は都教委がそのホームページに載せていないようです。他から情報をとりましたので、正確さに欠けるかもしれませんが、これが今年度の東京都教育管理職選考の結果です。受験・合格した一人一人の方を揶揄したり、非難したりするつもりは毛頭ありません(一人ひとりにはそれぞれの生活も考えも、また与えられた条件もあります)が、全体としては「嗚〜呼」というものです。毎年同じリアクションですみません。

東京の管理職も人気なし
 校長職も教育管理職も、倍率・受験者数共にほぼ毎年減っていきます。十年前の半分です。まあ、ポストに欠員が出ないだけ、いいかというところでしょうか。教育管理職A選考対象者は徐々に増えているのに、こちらも全体の流れと同じです。若い人は金と地位でがんじがらめにされている・・・だけではない、はっきりとそのようなあり方(あらせられ方)を拒否しているのです。
※教育管理職A選考受験資格者=三二歳以上四三歳以下の主幹・主任教諭

身も蓋もない主幹職
 初年度を除いて受験者は年々拡大しています。合格率も高い水準を維持しています。すばらしい! 区分Aだとやはり落ちる方もいるのですが、その点区分Bはすごい。百%の合格率です。試験も面接もなく、校長か区教委がその人の名前を書くとやはり失格させる理由もなくなってしまうのでしょう。このすばらしい制度は今年から始まりました(ただこれを「選考」と呼んでいいのかどうか、国語審議会で議論しているという専らの噂だが)。そういう「汚いやり方」ではなく主幹になろうと志した方は区分Aの一八二人。全都でです。
 主幹全校定数配置は当初予定を大幅に過ぎていていったいいつ実現するのか、そして実現して今と何が変わるのかまったくわかりません。
 こんな恥ずかしいことになってしまうのならもっと反対しておけばよかったと反省しきりです。



2011年度組合行事予定  
組合総会 4月20日(水)
女性部・職場の課題 交流集会  
5月25日(水)
教研集会 6月22日(水) 
教研集会 10月26日(水)
   ※ どの会も3時開始です。

国連人種差別撤廃委員会の報告を実現!
 2月19日(土) 13:00開会 
 星陵会館ホール(地下鉄有楽町線・半蔵門線永田町駅3分)
先住民族アイヌからのメッセージ
アイヌ・朝鮮の歌舞  入場カンパ1000円


「日の丸」「君が代」反対 2・6総決起集会
2月6日(日) 13:00開会 
東京しごとセンター
  (JR・地下鉄飯田橋駅下車5分) 
講演:「教育と貧困」
佐々木賢さん(教育評論家・元都立高校教員)
発言:「君が代」処分との闘い 根津公子さん、渡辺厚子さんら/ 最高裁への上告者たち/ 各裁判闘争の現段階/ 発言:都教委の教育行政との闘い 業績評価との闘い/ 「タイムス」導入との闘い他  
主催:都教委包囲首都圏ネット


週刊墨教組 No.1617    2011.1.11

教職員「多数」の反対意思を受け止めよ!
署名は六〇〇筆を超えた!
 区教委に「土曜授業」反対署名を手渡す

 
学校五日制・週休二日制を破壊する   「土曜授業」に反対する(10)


 十二月二十二日、墨田教組と都教組墨田支部の代表が、区教育委員会に「土曜授業」反対署名を提出しました。
 みなさんにしていただいた署名は教育長宛てでしたが、受け取ったのは庶務課長でした。私たちは六〇〇筆の重みを背に、必ず教育長に渡すこと、早急に教育長との会談を設定することを要求し署名を手渡しました。

六〇〇筆の重み
 私たちはまず、十二月十五日の集会が大きな盛り上がりを見せたこと、この間の「土曜授業」をめぐる区教委のやり方・「土曜授業」そのものの不当性に起因することを説きました。さらに署名が六〇〇筆を超えたこと、この重みを考えるように話しました。庶務課長によれば小中学校にいる都費教職員は管理職も含めて九〇〇人ほどだそうです。この六〇〇通の重みはいやが上にも重いものです。いかに「土曜授業」の内容と区教委のとる方法が誤ったものか明らかです。

失礼ながら
 署名を手渡す前に、私たちは署名した人にいかなる不利益もないことを確約してほしいと念を押しました。庶務課長は明らかに不快な表情をしたように見えます。それはそうでしょう。署名を渡す相手に、あなたはこれをもって署名者に不利益を与えるようなことをするのではないか、ひょっとして各校長に貴校では何人の教職員が署名して・・・などと伝えるのではないかと言っているようなものですから。しかし、現に、誰が署名しているのか覗いたり、集会に参加することに露骨に不快感を示し妨害したりする管理職がいるということを説明し、失礼を詫びました。庶務課長はそんなことはあり得ないという顔をしていました。そのような管理職がいることは理解できなかったようです。。が、それは不明というものです。この失礼な言い草が奈辺から発せられたのかをもって寛怒されたいと思います。

「条例通り」としか言えない
 四か月後の週休日の変更については庶務課長は「条例通り行う」としか言いません。それが区教委の立場でしょう。しかし、条例があるということと、条例の最大限をやるということは違うのです。条例に「任命権者は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、職員に対し、正規の勤務時間以外の時間において勤務をすることを命ずることができるとあるからと言って、それを常態化してはいけないのです。例外措置というのは誰もが納得できるものでしかやってはいけないのです。過半数の反対署名が突きつけられるようなことではだめなのです。

教育長は知らない?
 庶務課長には何度も、教育長に直接署名を手渡すこと、教育長に直に話すことの必然性と必要性を説きましたが、「それは要望として承るし、ここで話されたことはちゃんと教育長に伝える」と答えるだけでした。それではだめなのです。八月、教育委員会での発言を、仁王指導室長はとくに問題はないと考えているようです。では、高木教育委員長とともに説明を受けているように見える久保教育長はどうであるのか? 直接聞きたいのです。区の重要施策である「個人学習プロフィール」がいかに学校現場で支持されていないか、のみならず、すみだ教育研究所がいかに実施要綱に反する評定を下してもそれがまかり通ってしまうという事実を知っているのかを直接聞きたいのです。今、責任を持たなくてはならない者が責任をとらなくてはならないのです。

「数の力」
 庶務課長は「反対署名六〇〇筆を『客観的な数』としてとらえる」と言いました。そういう発想なのか・・・と、やや得心もしましたし、絶望的にもなりました。
 私たちにとっては『客観的な論』が重要だと考えてこれまでずっとやってきたのですが、彼らにとっては、闘わすべきは論ではなくて数なのか・・・と。だから、今まで構成員わずか○○人の墨田教組が言っていることだと『客観的な数』として切り捨てていたのでしょう。いかに正当な論をめざそうと力み返っても、所詮はわずかな『客観的な数』の主張に過ぎなかったというのでしょう。軽んじられていたはずです。この発想に立てば。
 悲しいことです。『客観的な数』が少ないことがではなく、『客観的な数』に依拠し少数者を切り捨てる区教委の発想が悲しいのです。
 しかし、今回のことではっきりしたのではないでしょうか。墨田の教職員は、区教委とは違って、「客観的な数」の多寡ではなく、権力の有無でも図々しさへの阿諛追従でもなく、『客観的な論』の正当性によって物事を判断するのだということを。
 論の正当性は数の力につながりうるのだということを理解すべきです。誤った道から戻るべきです。

署名者への報告義務
 私たちは署名を始めたときから、たとえ一筆でも、区教委との交渉を委託されたということを覚悟していました。
 これまでは、「やぎさんの話」で悔しさを誤魔化してきましたが、あのような「木で鼻をくくったような」返答では、もう済まされません。私たちには署名者に対して、きちんとした交渉をし、きちんとした返答を受け、きちんとした報告をする義務があるのですから。

「土曜授業」強行は破滅の道
 墨田区の過半数を超える教職員はみな「区教委通知を理解する力がなく」、「やる気のない怠け者」であるのか、区教委の「土曜授業」の内容と方法が誤っているために過半数の理性が拒否しているのか。前者であるとすれば、どのような「良い方針」を区教委が出しても「成果」は期待できないことを知るべきです。学校現場で実施する教職員がそのような「体たらく」なのですから。
 無責任な態勢の中で、校長だけが無責任に「責任」をとろうとしています。理由も定かでないままの「自主的な」「土曜授業」の強行です。それは墨田の教職員のまっとうな理解力と日々教育に向かう意欲をぶち壊します。被動的で無力な者に落とし込むことによって、子どもたちに向き合い共に進んでいく教職員の心を萎えさせます。

区教委のなすべきこと
 区教委は直ちに校長に対して、、「土曜授業」は回数も内容も本当に学校で決めていいのだ、十一回以上でも以下でも本当にかまわないのだと文書をもって説明し、やけっぱちの「責任」を回避すべきです。
 区教委は直ちにこの「教職員の意思」と折り合いをつけるべきです。これまでのような強圧的な無視を続けるのではなく、話し合いを開始すべきです。説得すべきです。
 私たちは、区教委への働きかけを強め、また、各職場での交渉を進めていきます。

墨田区教育委員会 教育長 様
                 2010年 12月 22日
                 都教組墨田支部 支部長     
                 墨田区教職員組合 委員長     
 先日は私たちが提出しました「解明要求書」に文書でご回答いただき、ありがとうございます。
 「土曜授業に関して各質問事項等への回答について」を参考にせよということでしたので、参考にして別紙の如く貴教育委員会の見解=回答を推測してみましたが、いかがでしょうか? 
 この推測回答によって、「墨田区における幼稚園・学校の『土曜授業』について」という事務連絡文書と現在各学校で校長から提案されている「土曜授業」の案に対する、私たち教職員の不安はかなり軽減されました。が、この案が実施されれば教職員の生活と健康はさらに圧迫され、学校にいよいよゆとりもなくなり、教育の質の低下が進み、労働時間の違法的延長は労働基準法に触れるという心配はまだ払拭されてはいません。
 まだ私どもの理解不足により誤りがあるやも知れません。お手数ですが、正しいものにマルを、誤っていたり不十分なものには「正解」をお書きいただきたく存じます。
 また、「土曜授業」について、その大半を担う私たち教職員の意見が一顧だにされないこと、明らかに労働条件であるのに教職員組合との交渉がまともになされていないことも極めて異例のことであり、これまでの墨田区教育委員会の真摯さと誠実さとの隔たりに深い悲しみと憤りをいだいております。
 「土曜授業」にかかわって、以下の点につき、見解を明らかにされるよう改めて要求いたします。

解明要求書-2-

1.前回の回答は、別紙1のごとき内容であると考えるがどうか。正しいものにマルを、誤っていたり不十分なものには「正解」を記されたい。
2.前回回答中、「推測不能=回答不明」のものについては、回答をされたい。回答いただけない場合は、「然り」が回答であると解釈するが、それで良いか。
3. 「予算については、検討中」とあるが、どのような予算を計上をしているのか、明らかにされたい。
4.これまで、「土曜授業」に関して出された文書を資料として提供されたい。
5.これまで校長会等で口頭でなされた「土曜授業」に関する内容を資料として明らかにされたい。
 校長によってはその根拠を明らかにすることなく「給食は3回出る」と言明する者もおり、現場は大変に混乱している。口頭での説明を前提に決定することはできないために事実資料は必要である。
6.「八月二五日開催 教育委員会会議 報告」での時数説明は読む者に大いなる誤解をいだかせるものであり墨田区教育委員会並びに墨田の教育関係者が軽侮される怖れがある。訂正するか説明を加えるべきと考えるがどうか。


解明要求2 


※前回解明要求回答の推測「別紙1」についてはは、週刊墨教組1614号裏面 あるいはホームページを参照されたい。

子どもと女性の人権を考える東京の会
 第39回学習交流会
「あなたに在日韓国人は見えるか」
 鄭暎恵(チョン・ヨンヘ)さん
(大妻女子大学教授)
1月29日(土) 午後2時〜4時半
文京区民センター
  2階 C会議室
 この学習会交流会シリーズは、毎回とても感動的でスリリングな話をうかがえ
おすすめです。詳しく知りたければは組合まで。




週刊墨教組 No.1616    2011.1.11

謹賀新年

    墨田区教職員組合執行委員会

 憲法に基づいた教育を!
 憲法改悪反対!
 土曜授業反対!

反戦 反核 反差別 護憲




茨木のり子
   「自由」への初志


 人々の感受性をくっきりとかたどり、時代にするどく拮抗する詩集というものが、まれに存在する。
 戦後詩史のなかにあって、茨木のり子の『対話』(一九五五年)と『見えない配達夫』(一九五八年)は、まさしくそのような詩集といえよう。



   わたしが一番きれいだったとき

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達が沢山死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落してしまった

わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差だけを残し皆発っていった

わたしが一番きれいだったとき
私の頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのように
              ね



 『見えない配達夫』所収のこの詩(一九五七年二月「詩文芸」初出)について、茨木は、『はたちが敗戦』(一九七八年)というエッセイのなかで、つぎのように回想している。

 「その頃『ああ、私はいま、はたちなのね』と、しみじみ自分の年齢を意識したことがある。眼が黒々と光を放ち、青葉の照りかえしのせいか鏡の中の顔が、わりあいきれいに見えたことがあって・・・・・・。けれどその若さは誰からも一顧だに与えられず、みんな生きるか餓死するかの土壇場で、自分のことにせい一杯なのだった。十年も経てから『わたしが一番きれいだったとき』という詩を書いたのも、その時の残念さが残ったのかもしれない。
 個人的な詩として書いたのに、思いもよらず同世代の女性たちから共感を寄せられ、よく代弁してもらったと言われるとき、似たような気持ちで当時を過した人達が沢山居たことを今になって思う。」

 詩集では、「わたしが一番きれいだったとき」のあとに、「学校 あの不思議な場所」という詩が配列されている。
 戦時下、入学した帝国女子医学・薬学・理学専門学校でのドイツ語の授業の哀切きわまる情景が回想されている。


  学校 あの不思議な場所

午後の教室に夕日さし
ドイツ語の教科書に夕日さし
頁がやわらかな薔薇いろに染った
若い教師は厳しくて
笑顔はひとつもみせなかった
彼はいつ戦場に向うかもしれず
私たちに古いドイツの民謡を教えていた
時間はゆったり流れていた
時間は緊密にゆったり流れていた
青春というときに
ゆくりなく思い出されるのは 午後の教室
やわらかな薔薇いろに染った教科書の頁
なにが書かれていたのかは
今はすっかり忘れてしまった
ぼくたちよりずっと若いひと達が
 なにに妨げられることもなく
 すきな勉強をできるのはいいなァ
 ほんとにいいなァ
満天の星を眺めながら
脈絡もなくおない年の友人がふっと呟く

学校 あの不思議な場所
校門をくぐりながら蛇蝎のごとく嫌ったところ
飛びたつと
森のようになつかしいところ
今日もあまたの小さな森で
水仙のような友情が生れ匂ったりしているだろう
新しい葡萄酒のように
なにかがごちゃまぜに醗酵したりしているだろう
飛びたつ者たち
自由の小鳥になれ
自由の猛禽になれ


 くりかえされる「自由」という言葉。
 茨木のり子にとって、あまたの犠牲をはらい戦中を必死でくぐりぬけてたどりついた戦後とは、なによりもまず、「自由」の大切さの実感であった。

 エッセイ『いちど視たもの』(一九七九年)には、「自由な空気」の光景が鮮やかにしたためられている。

 「まるで映画のワンカットのように、一つの忘れられない鋭い場面が、今に至るまで私の記憶に鮮明に焼きついている。
 一九五一(昭和二十六)年四月、戦後初めての医学総会が東京で開かれた。それに参加すべく地方から上京した七十歳の義父の案内役として、私も一緒に東京大学に赴いた時のことである。戦後のこの時期は、あらゆる分野で閉ざされていた研究欲、表現欲が堰を切ったように溢れ出ようとしていた時で、医学界のそれも、学問の本道に立ち戻ろうとする医師たちの活気が漲っていた。
 あまり大勢で私たちは開会式の講堂には入れず、幾つかの教室に分かれて、アナウンスされる式次第を聴いていたのだが、思いもかけず天皇の登場と挨拶なるものがあって、『御起立ねがいます』と司会者が言い、がたがたと医師たちは立った。
 しかし、見れば、約半数は立たず坐ったままである。静かだったが、かたくなな拒否の姿勢であった。」

 「立つも立たないも本人の気持次第、立たなくても何の咎めだてもしないという自由な空気は、軍国少女として育ってきた私には、びっくりするくらい新鮮だった。」

 「現在の私はと言えば、天皇と鉢合せするような場所には絶対行きたくないが、もしそういう場所にぶつかって起立を強要されたら、断固立つまいと心に思い定めている。
 敗戦後三十二年を経過して、〈自ら思い想う〉が思想なら、私の思想の根もとには、「尊敬するものぐらいは自分で決める」という居直りがあるようなのだ。強要される尊崇は、それが何であれ、もうまっぴらごめんである。」



  こどもたち

こどもたちの視るものはいつも断片
それだけではなんの意味もなさない断片
たとえ視られても
おとなたちは安心している
なんにもわかりはしないさ あれだけじゃ

しかし
それらは一つ一つとの出会いは
すばらしく新鮮なので
こどもたちは永く記憶にとどめている
よろこびであったもの 驚いたもの
神秘なもの 醜いものなどを

青春が嵐のようにどっと襲ってくると
こどもたちはなぎ倒されながら
ふいにすべての記憶を紡ぎはじめる
かれらはかれらのゴブラン織を織りはじめる

その時に
父や母 教師や祖国などが
海蛇や毒草 こわれた甕 ゆがんだ顔の
イメージで ちいさくかたどられるとしたら
それはやはり哀しいことではないのか

おとなたちにとって
ゆめゆめ油断のならないのは
なによりもまず まわりを走るこどもたち
今はお菓子ばかりをねらいにかかっている
この栗鼠どもなのである


 『対話』所収のこの詩は、一九五五年十月「詩学」に発表されている。
 とくに注視しなければならないのは、第四連の「教師や祖国」という言葉だ。軍国主義教育によって、子どもから思春期を経て青春期に至る黄金の時間をしっちゃかめっちゃかにした当事者、「教師」と「国家」をさりげなく糾問している。
 ここにも、当時の人々の感受性がくっきりとかたどられている。



 「わたしが一番きれいだったとき」を書いたとき、ジョルジュ・ルオーは存命中だったが、翌年(一九五八年)二月十三日、パリで死去している。享年八十六。十七日、葬儀は国葬として執り行われた。
 茨木のり子は、四十九歳の時に、夫を肝臓がんで失い、「虎のように泣いた」が、「寂蓼だけが道づれ」の日々を、「自由」への初志を貫いた詩やエッセイを書きつづけた。
 二〇〇六年二月十七日、くも膜下出血のため自宅にて死去。享年七十九。
 次のような手紙が、生前に用意されていた。
 凛冽な生涯であった。

このたび私  年  月  日    にて
この世におさらばすることになりました。
これは生前に書き置くものです。
私の意志で、葬儀・お別れ会は何もいたしません。
この家も当分の間、無人となりますゆえ、弔慰の品は
お花を含め、一切お送り下さいませんように。
返送の無礼を重ねるだけと存じますので。
「あの人も逝ったか」と一瞬、たったの一瞬
思い出してくだされば、それで十分でございます。
あなたさまから頂いた長年にわたるあたたかな
おつきあいは、見えざる宝石のように、私の胸に
しまわれ、光芒を放ち、私の人生をどれほど豊かに
して下さいましたことか・・・。
深い感謝を捧げつつ、お別れの言葉に
代えさせて頂きます。

ありがとうございました。

   年  月  日



(長谷川 政國)


週刊墨教組 No.1615     2010.12.20

反対の意志は極めて固い
 撤回全教職員集会成功す!
 白紙撤回署名五百筆を超える!



学校五日制・週休二日制を破壊する 「土曜授業」に反対する(9)

反対の意志は極めて固い

 十二月十五日(水)六時すぎ、「『土曜授業』は本当に必要か?撤回を求める全教職員集会」は始まりました。初めに実行委員会からこれまでの経緯と問題点が整理されて提起されました。また、この集会と並行して各職場でとりくまれてきた署名が、この時点で五百筆を超えていることが報告され、大きな拍手が送られました。
 その後、次々に参加者からの発言が続きました。「教職員がバタバタと倒れているのに、数値目標やらにばかり熱心な管理職の問題」「ILO提訴の問題」「土曜日イベントが新たな平日への圧迫をもたらす問題」「今、土曜日の子どもたちの暮らしが培っているものを壊してしまう問題」「土曜日に授業をやれば『効果』が上がると考える人々にどう訴えるか」「これから私たちはどういうことをしていったらいいのか」・・・。教職員だけでなく、地域・他県の方からも「土曜授業」を撤回させるための考えが提示されました。
 年末の忙しい時期にもかかわらず、九十人を超える参加者で会場は熱気と撤回への意志にあふれていました。その後行動提起とアピールを採択し、予定終了時刻を二十分も延長して会は終わりました。第二段階目の始まりです。

「努力義務」とは
 前日十二月十四日には急遽「教育課程説明会」が開かれました。こちらは一か月の前倒しでした。翌日の集会成功が予想されたのでしょうか(マサカ・・・)?
 今回は説明に当たった指導主事は質問にも応じたとのことでした。少しずつ「邪路」から抜け出しつつあります。
 さて、その中に「土曜授業十一回は努力義務」との説明がありました。何人かの管理職は「それ見たことか、努力しなくちゃいけないんだ!義務なんだ!ほうらもう決まったことなんだ!」と大騒ぎで雀喜したと言います。確かにこれまでも〈インフルエンザになった教職員には年休をとらせる〉など問題文書を書き続けていますから誤解される余地はあるのですが、今回は間違いではありません。指導主事たるもの、正確な法的言葉遣いをしています。かつて文部省は「標準時数」を「最低時数」のように解釈してその「低学力」を疑われました。墨田区教委の語る「標準回数十一回」はそうではありません。上もあるし下もあるという意味です。それに照らせば「努力義務」も明白です。 『ウィキペディア』には、

努力義務とは、日本の法制上「〜するよう努めなければならない」などと規定され、違反しても罰則その他の法的制裁を受けない作為義務・不作為義務のことである。遵守されるか否かは当事者の任意の協力にのみ左右され、またその達成度も当事者の判断に委ねられる。
とあります。〈学校がその権限でその目的・内容に合わせて回数も設定する〉と言っているのです。

土曜授業反対は圧倒的だ
 反対が大きく、根拠が薄く、教員と子どもたちの休日を破壊し、思いつきで準備不足の「土曜授業」を月一回やることは無謀です。校長だけが間に挟まって悪者になろうとしていますが、その必要はありません。「遵守されるか否かは当事者の任意の協力にのみ左右され、またその達成度も当事者の判断に委ねられ」ていることなのです。これまでの教育経験と学校の把握から、「土曜授業」をやらないことも含めて学校の実態に合わせて判断するべきです。私たちはそのように校長が判断できるよう、引き続き努力を惜しみません。

まだ何も決まっていない
 「三回は給食が出る」と、区教委が言ったとか言わないとか・・・。情報が乱れています。給食の回数が決まっていますから今以上に給食を出すことはできません。出すためには予算措置をしなくてはなりません。それが出るのは二〇一一年一月下旬です。ですから、来年のことを今決めることはできないのです。あわててはいけません。
 三五人学級と同じです。どのように来年度予算に提出されるのかまだわかりません。どうなるかわからないのです。密かにそれぞれの場合に対して準備することはいいでしょうし必要なことでしょう。しかし、今の時点で本校は学級増だ何だと公言してはいけないのです。そのようなことは指示もされていないし、各校で軽率になされてもいません。
 土曜授業もまだ仮の状態なのだ、何も決めてはいけないのだということを確認しましょう。





週刊墨教組 No.1614     2010.12.12
十二月十五日(水)
 全教職員集会を成功させよう!

いじめ防止・人権尊重・児童を虐待から守る・・・みな空文句になってしまう
自らの権利を守り自らの人権侵害に抗しない者は、誰の人権も守ることはできない

学校五日制・週休二日制を破壊する「土曜授業」に反対する(8)



時間軸で見ておこう

 今回の「土曜授業」は墨田区の教育・学校に何の根も持たないものであることはこれまでも述べてきましたし、みなさんが一番よく知っていることです。再度整理のために時間を追ってふりかえっておきます。

新指導要領公示
 小中学校の新指導要領改定が公示されたのは二〇〇八年です。移行措置も同時に発表され、墨田区ではそれに従って、暫時時数を増やしたり、内容の変更をしてきました。その時に、「授業時数が足りなくなる!」「『土曜授業』をしなくてはならない」と騒いだ者はいませんでしたし、授業時数が不足した学校もこれまでなかったようです。

一年前には何もなかった
 去年の今頃、墨田区のどの学校でも「土曜授業(ここでは区教委の定義である「子どもの振替休業を行わない」土曜日に行う授業とします)」は話題にも上っていませんでした。確かに一部校長は昨秋、区教委に対して、土曜日に何回かの授業を区としてやることを決めてもらえないかと持ちかけたようですが、区教委はこれを拒否したようです。もちろん「標準回数十一回」を決めることもありませんでした。「教育課程は各学校が決める」という原則で各学校の「土曜授業」に処してきたようです。

都教委二〇一〇年一月十七日通知
 何度も言いますように、この文書は決して「土曜授業」を「命じた」ものではありません。、一部権威主義的な管理職はこの文書をそのように用いようとしていますが。
 「特に、土曜日に教育課程に位置付けられた授業の実施を求める学校が多いことから、今般、このことを行うに当たって配慮すべき基本的な考え方等をまとめました。」これが通知の前提です。もちろんその時点で、墨田区区教委・墨田区区内の学校が「土曜日に教育課程に位置付けられた授業の実施」を求めている事実はありません。つまり墨田区においてはこの通知は無効なのです。
 もちろんこの文書を出した都教委の「ココロ」は土曜授業の強要であることはまちがいありません。子どもの土曜日のすごし方にけちをつけ、マスコミに突然発表するというその出し方、五月二七日付教育庁報に公表された「土曜授業実施状況」では、「土曜日に授業を六日以上実施している学校」は校名を載せて顕彰しています。何と六日以上なのに「実施日数の半数を超えて振休を取っている学校」はわざわざ( )を付けても見せしめにしています。
 しかし、どのような姑息な手をとろうと、都教委文書は(区教委文書も)学校週五日制を正面きって崩すことはできません。

昨年度末の区教委の態度
 他の地教委がこの都教委通知の「ココロ」を読んで土曜日授業に走ったにもかかわらず、墨田区区教委は二〇一〇年三月時点で、区として「土曜授業」を決定することも「標準回数」を提示することもしませんでした。これまで都教委に対して土曜日授業ができるように申し出をしたこともなかったし、二〇一〇年度に土曜日授業墨田区で行うことを提案することもない。賢明な態度だと、当時の「週刊墨教組」は評価しています。
 区は、十月ぐらいまでに検討委員会を設けて、二〇一一年度に区として土曜日授業をどうするか検討するとしていました。何校かはこれで二〇一〇年からの土曜日授業を控えましたが、いくつかの学校がこの検討委員会を待たずに、二〇一〇年度から独自に土曜日授業に踏み出しました。「教育課程は各学校が決める」という原則にのった、しかし実に軽率な行いでした。

区教委の急転換
 二〇一〇年度になってから、区教委は「検討委員会」を組織せず「意見交換会」という極めて恣意的で軽薄なもので誤魔化しました。「弁当作って食育」などというめちゃくちゃな論理を振り回しました。
 驚くべき時数計算をして教育委員長に「全体の流れとしては新学習指導要領で年間授業時間が拡大したということが根底にありますよね。だからどうしても時間数を増やさなければいけないわけです。」と言わしめました。
 時数・「心の土曜日」・一年前にはまったく触れられなかったことが「来年度十一回・再来年度二十二回を標準とする『土曜授業』」の根拠にされているのです。「厳密に言えば触法」は「まったく問題ない」とされます。

一体何があったというのでしょう?
 この急転換はまったく脈絡がありません。私たちにはまったく理解できないのです。
 何か「外在的」なナニモノか、教育の論理とはまったく別の、あるいはココロや内面の問題も含めたナニモノか・・・が原因なのかもしれません。しかし、まったく私たちの「知」(浅知恵)では推測することもできません。とにかく、墨田区の教育や子どもたちの内在的な論理によって「土曜授業」は根拠付けられないことだけは確かです。私たちは、墨田区の教育と子どもたちに責任を持つものとして、断じてこのようなものを認めるわけにはいきません。

逆立ちした論理
都教委通知は土曜日授業を
指示していないのに・・・
◎学校や教委が土曜に授業をやりたいと言ってきた
→やる場合に留意すべき点を述べる
→留意点に気をつけて実施してもよい
という論で出てきます。ところがこれが逆転されます。
○留意点に気をつけて実施せよ
→留意すべき点は述べた
→学校や教委は土曜授業をやりたいと言え!
となるのです。まったく理不尽な論理です。

教育職員はマッチョ?!
 「週休日の変更は教員の場合特例として前二か月後四か月」も同様です。労働者保護(あなたのために)の名目で触法的労働が強制されるのは逆立ちの最たるもの・現代の錬金術とでもいうべきでしょう。
 そもそも、一般労働者が週休日の振替がその週にとれない場合に最大限四週以内にとらせなくてはならない、東京都の「教育職員以外の職員の週休日の変更については、当該週休日の前後各二か月の範囲内」であるのに、教育職員だけが四か月も先になっているのはどうしてでしょう。「決まってるさ、教員はマッチョで休みなしに働けるんだ。休憩時間だってほとんど取らないぐらい強靭なのさ・・・」 まさか!
◎教員は部活などやってもその週や二か月以内に振替もとれない
→かわいそうだ
→せめて長期休業中にとれるようにしてやろう
 これが「四か月先の振休」の理由です(他にあるか!)。やはり「情け」をかけられるのは間違いだったのです。きちんとした権利をとらなくてはならなかったのです。だから次のように逆転されるのです。
○教員は長期休業中に振休がとれる
→だからかわいそうだが(と思っているかどうか?)
→教員は月に二回、その週の内に振休などとらせずに土曜授業をやれ!
 (休憩時間だってとらないでやってるんだからとりあげたってかまわないだろう)
「〜てもいい」という許容が「ねばならない」に転換するのです。逆立ちしています。

勇気の問題
 「教育課程は各学校が決めるという原則→標準を示しただけだから決定する責任は学校にある」
 これも同様です。ただ、ここには校長の「勇気」の問題が若干絡んできます。この通り額面どおりに行っていくことも可能ですが、はたしてその「勇気」と「校長同士の連帯」があるのかどうか。
 区教委がフェアな態度をとるとすれば「標準はあくまで標準であるから、たとえそれ以上でも以下でも、たとえ〇であってもそれを区教委は認める」と言明することです。

おかしいことは実現されてはならない
 集会をやって何の意味があるのか・・・冷静な知性はそうつぶやくでしょう。私たちも思います。何か変わるのだろうか・・・・と。知に対しては誠実に知で応えるべきです。その中では「集会」は不要かもしれません。そうあるべきです。しかし、残念ながら区教委は知で応えようとはしていません。何の理も論もなく反知の立場で「土曜授業」を強要しようとしています。。
 誰もがおかしいと思っているのに止められない・・・。一人や二人が反対したってつぶされちゃうだけさ・・・と多くの「傍観者」は呟き諦めます。一つの身の処し方です。だから「いじめ」はなくならないのです。区教委は「しかと」と「無視」で私たちに臨んでいます。さしあたり、「土曜授業」推進派の校長は「パシリ」とでもいっておきましょうか。理不尽なことがまかり通っているのです。
 勇気があるのかと問われているのは、手先になりあるいは見て見ぬふりをし自分に順番が回ってくるのを恐れる子どもたちではなく、私たちなのです。
 「何の意味もない・・・」と呟いて諦めることも、「何の意味もない!」と騒ぎ回ることも可能です。もちろんそれ以外のあなたが考えるもっと効果的なことも「今ならば行うことができる」のです。

水曜日、六時
曳舟文化センターに集まろう

 なぜ「今ならば行うことができる」と言えるのか。状況です。たくさんの署名が集まっています。多くの職場で合同職場会・教職員集会・茶話会・・・(名前はなんでもよろしいのですが)が開かれています。「誰もがおかしいと思っている」ことは既に確認されているのです。
 今、「行うこと」が要請されているのです。知の成果を形として見せることが必要なのです。だから「行うことができる」状況なのです。
 集会に全教職員の五%ぐらいが参加されたら、現行消費税ほどの役割を果たすかもしれません。十%の方が参加されたら何かが変わりそうです。署名が過半数を超えたらどうなるでしょう。時に個人は歴史の中でとてつもない役割を果たします。まして、ローカルな中では・・・。
 これほど理不尽なものがすうっと通っていっていいわけはありません。
 忙しい時期ですが、せめて五分でも十分でも、誘い合わせてこの集会に参加し、異のあるところを形にし、各職場の状況や、反対の論理を交流しましょう。

十二月十五日集会に
 ぜひご参加ください。



週刊墨教組 No.1613     2010.12.7

都教組墨田支部
墨田教組  の   「土曜授業」への解明要求に
区教委からの回答文書が出される!
しかし
学校五日制・週休二日制を破壊する「土曜授業」に反対する(7)


 先号で「『解明要求』すら無視するというのは常識に欠けた行動と言わざるを得ません」と書きましたが、十一月二五日付で、区教委からの回答が届きました(資料1)。「常識に欠けた行動」などと書いたことをお詫びいたします。
 その上で、先号では校長会並びに各学校からの要求や質問に対して「無礼な回答」だと、他人事として怒っていたのですが、今回は私たちの事として怒り心頭に発しています。
 ずいぶん手を抜いたものです。白やぎさんは黒やぎさんからの手紙に青やぎさんに出した手紙を返信として出してきたのです。やぎさんの世界での常識にも欠けた行動です。まあ、食べちゃわなかっただけやぎさん以上か・・・。
 それでも、「土曜授業に関して各質問事項等への回答について」を「回答内容は同様である」というのだから、私たちとしては「黒やぎさんへの手紙」から解釈し検討しなくてはなりません。

推測される回答
 「土曜授業に関して各質問事項等への回答について」(以下「区回答」)をはじめ、「学校職員のための勤務時間等の手引き」(以下「手引き」)、「勤務時間の割振りの要件の緩和」についての教育七団体からの解明要求に対する都教委一月十六日回答(以下「都教委」)を参考にすると、回答は※1のようになると推測されます。
 この推測が正しいかどうかまた質さなくてはなりません。

整合性も説得性もない
 「区教委としては、平成十八年度に都教委と行われた交渉内容の範囲と考えている。よって、区教委として今回の事柄に関しては、関係諸団体との話し合いは行わない」
 その年の後の二〇一〇年の都教委との確認にも「教育委員会との交渉」が含まれていますから、この返答は矛盾しています。
 また、週休日の振替を「土曜授業実施に伴う教員の勤務の振替については、園長・校長が適切に定め、長期休業日等に振り替える。」とするなど、九月十七日事務連絡には明らかに法・条例に対する無理解(軽視)がうかがわれましたが、今回の回答では「校長が・・・適切に」となっています。これは前進でしょうか後退でしょうか? それともよく考えていないだけなのでしょうか。※2

墨田の教育の現実から遊離
 そして何よりも、今進行している具体的なこと・墨田の教育の実態についての回答が欠落しているということです。
 解明要求十六の「先行校」の実態解明要求は私たち組合からだけではなく、学校からも出されていたはずだが、「資料三」においても回答がされていません。
 また、校長会からのものと同様、「各学校から寄せられた土曜授業に関しての不明点や質問等」も出されていません。各校がどういう考えを持っているのか、区はそのまま掲載するべきです。
 「土曜授業」に賛成するにせよ反対するにせよ、「先行校」の現在の実態は「貴重」です。区教委がやらないのであれば、「先行校」が自主的に墨田の全学校に開示し、具体的な論議の素材を提供されることを願うものです。決め方も含めてです。

反対は続く
 私たちは「週休日に勤務を命じることは勤務条件の変更にあたり、交渉事項である。区市町村教育委員会、学校長は誠意を持って交渉に応じる必要がある」とされているようにあくまで誠意を持って交渉に応じるよう区に要求すると同時に、不明な点と新たな十九・二十番を付け加えて「解明要求二」を提出し回答を求めていきます。
 どれほど勝手に第三土曜日を授業日だと予定表に書いても、「教育課程の編成権は学校」にあります。十分な論議が必要です。
 知り合いの方に「あなたの学校ではどう?」と電話することも含めて、一人ひとりがなしうることは山のようにあり、それは全て事態をよい方へ動かします。区教委のごり押しには理も義もないからです。

資料1
事務連絡 H22.11.25
墨田区教委事務局次長 小暮眞人
解明要求書について
 平成22年11月17日付で要求のあった標記の内容については、別添の平成22年11月17日付け事務連絡、各幼稚園長各小・中学校長宛に配布した「土曜授業に関して各質問事項等への回答について」と内容が同様であるため、その回答文を参考に送付いたします。

※2 
「週休日の変更・半日勤務時間の割り振り変更の期間は、最大前2月後4月と規定しているが、同一週内での変更が原則であり、次に4週以内、それでも変更ができない場合には、前2月後4月とするものである。」
「(1)原則として、4時間勤務の土曜日の属する週において、月曜日から金曜日までの正規の勤務時間につき、勤務時間の始めか終わりに引き続く4時間の勤務を解くものとする。(2) 上記(1)が困難な場合は、4週間についての総労働時間が160時間となるような勤務時間の割り振りを行うものとする。ただし、やむを得ないと認められる場合には、4時間勤務日の前後各2か月の範囲内で勤務を解くことができる。」
 「例外の例外」というのはこういう規定があるからです。「長期休業日に振り替えすれば解決」とは言えません。極めて例外的な規定を月1回ないし2回、全教職員を対象に行おうとすることは明らかに拡大解釈です。




※1 解明要求と推測される回答

解明要求項目 推測される回答
1.公務員の週休2日制、学校5日制により、教育職員の勤務も、週40時間労働、2010年度からは週38時間45分労働となったと考えるがどうか。 「教育職員の勤務は、週38時間45分労働である。」(都教委)
2.土曜・日曜は週休日であると考えるがどうか。 「土曜・日曜は週休日である」(手引き)
3.週40時間労働、土曜・日曜は週休日であることは、労基法、都条例等で定められたものであり、「墨田区における幼稚園・学校の『土曜授業』について」並びに各校校長が土曜授業において主張することは、これを変更するものではないと考えるがどうか。 「労基法、都条例等で定められた週40時間労働、土曜・日曜は週休日であること、学校5日制及び週休2日制であることを変更しない。」(都教委)
4.「墨田区における幼稚園・学校の『土曜授業』について」並びに各校校長が土曜授業において主張することは、学校5日制及び週休2日制を何ら変更するものではないと考えるがどうか。 上に同じ
5、学校においては、2002年度に完全週休2日制が導入され、毎週の日曜日と土曜日が週休日となっている。週休日に正規の授業を実施することは原則として想定されていないと考えるがどうか。 「週休日に正規の授業を実施することは原則として想定されていない。」(手引き17)
6.教育課程として行われる授業、学校公開、授業参観、行事を週休日に行う場合は、学校5日制の原則に基づき児童・生徒の振替休業日をその週のうちに設定するものと考えるがどうか。 「『土曜授業』は、土曜日を活用し、月二回を上限に教育課程に位置づけ、趣旨に則った教育活動を実施する場合である」(区回答小13)
 「『児童生徒の振替をとる土曜日の授業』を実施することは、現状とおり可能である。しかし、『土曜授業』の扱いではない。」(区回答小11)
 「週休日に学校行事等を行う場合は、学校週5日制の趣旨を踏まえ、児童・生徒についても振替えを行い、週休日の変更を行うのが原則である。」(都回答)
7.週休日の変更は、週38時間45分の原則に従い、その週の内に変更するべきと考えるがどうか。 「教員の勤務については、校長が必要に応じて各教員に勤務を命じ、適切に振替を行います」(区回答)
8.現在、あるいは過去において、標準時数を下回る時数で教育課程を行っている学校は何校ほどあるのか、明らかにされたい。 区回答においては不明
9. 週休日に教育活動を行う場合は、その教育活動が教育上不可欠であることについて教職員との協議と合意が必要であり、年度当初に計画されねばならないと考えるがどうか。 「週休日の変更は当該職員個人のみならず、家族をも含めた生活サイクルに影響を与えることになるため、職員の意向にも十分配慮し・・・」(手引き15)
10.労基法違反、都勤務条例違反にならないよう、区教育委員会及び学校長は、「勤務時間の割振り」について区教職員組合及び分会との協議と合意のもとに実施すべきものであると考えるがどうか。 「区教委としては、平成18年度に都教委と行われた交渉内容の範囲と考えている。よって、区教委として今回の事柄に関しては、関係諸団体との話し合いは行わない。」(区回答)
「『土曜授業』は各校の教育課程に位置づけられるため、各学校が関係団体との話し合いを行うことは考えられる・・・」(区回答)
11.週休日に教育活動を行う場合は、個々の教職員の合意に基づき実施すべきであり、個々の教職員の合意なしに週休日の変更はあり得ないと考えるがどうか。 「週休日の変更は当該職員個人のみならず、家族をも含めた生活サイクルに影響を与えることになるため、職員の意向にも十分配慮し・・・」(手引き15)
12.振替日に、当該教職員が勤務を必要とする状況があってはならないと考えるがどうか。
「勤務時間が割り振られていなければ、勤務を命ずることは出来ない。」(都回答)
13.土曜授業・教職員の勤務条件について問題が生じた場合は、今後も組合と協議すべきと考えるがどうか。 10に同じ
14.「区教委は『土曜授業』11回やると決定した」ことはないと認識しているがどうか。 「墨田区としては標準を示し、」(小5)
「各学校の校長はそれを受けて校内や地域の実情を把握し、教育課程に位置づけて実施することになる」(小5)
15.振替簿に教員が押印しなかった場合、学校現場にかなりの混乱が起きることは予想されるが、どうか。 不明
16.今年度「土曜授業」を開始した学校を、区教委は「先行校」として位置づけている。当然、区教委は「先行校」の実態を調査し評価を加えていることと考えるがどうか。また、各学校は公表された「先行校」の実態や評価を参考に来年度の「土曜授業」を考えることが当然と考えるがどうか。 不明
17.校長会・各校長・各学校・教職員・保護者など、墨田区の教育に関係する各単位からの質問・意見は多数出ていると考えるがどうか。また、各学校はこれらの意見・質問への回答を参考に、来年度の「土曜授業」を考えることが当然と考えるがどうか。 不明
18.小坂指導主事が教務主任会で質問をさせなかったことは、物事を論議し進める上で誤った姿勢であると考えるがどうか。 不明

週刊墨教組 No.1612     2010.11.30

 木で鼻をくくったような「回答」 
 驚天動地の「八月二五日教育委員会会議」報告
「土曜に振替のない授業をしても、学習指導要領の授業時数増加分も賄えない!」
  事態はこれほど切迫している!
  日本中の公立小中学校を戦慄させる恐るべき事態!
しかし、
 指導要領を出した文科省が学校五日制を止めないのはどうしてだ?
 三月の墨田区教育委員会会議では出されなかった・・・
 そもそも、学習指導要領が出されたときにわかっていることではないか?
学校五日制・週休二日制を破壊する「土曜授業」に反対する(6)


木で鼻をくくったような区教委「回答」
 十一月十七日付で、区教委はこれまでに小・中学校校長会や各学校から出された要望や質問に「回答」の事務連絡文書を出しました。一瞬、とうとう区教委も誠実に教職員と話し合う姿勢に変更したか?と期待しましたが、内容を見て驚きました。居直りと傲慢。なぜその質問が出されたのかを考えようとも、何とか相手の合意を得るように説明しようともしていません。「教育内容なのに教職員の質問に答えようともせず」とこれまで書いたことは残念ながら変更することはできません。

「厳密に言えば触法」の土曜労働
 今回の「回答」で、三月教育委員会会議で語られた次の点はどうなっているのでしょうか?
 「例えばある週に六日間フルに勤務した場合は、四八時間になりますよね。それは労働基準法か何かに触れないのですか。」との委員の質問に指導室長は「 厳密に言えば触れます。ただ、既に土曜補習の場合は、半日二回で一日単位にして、長期休業中に振り替えは可能だということが現に行われていますので、教員側の勤務実態からすれば、特例的にのまざるを得ないと思います。」と答えていました。
 まずここで言われているのは、「労働基準法か何かに触れ」るということです。「現に行われてい」るのは「土曜補習の場合」です。土曜補習では極めて少人数の教員が、希望を前提にして「六日間フル勤務」を受忍しています。そのような前提の下に「長期休業中に振り替え」られているのです。「教員側の勤務実態からすれば」が何を意味するのかよく分かりませんが、「特例的にのまざるを得ない」という中には、「土曜補習」と「土曜授業」は違うのだという認識がかろうじてうかがえます(ただ「のむ」「のまない」を決めるのは我々教員であって、室長が「のまざるを得ない」と言うのは越権=人権無視)。

校長会質問はまっとうである
 校長会は、区の案を「労基法に抵触」するかもしれない重要な「勤務条件の変更=労働条件の変更」ととらえています。そして、きちんと「関係諸団体と話し合う」ことを要望していました(※1)。

都合よく忘れる区教委
 しかし、区教委回答は「区教委としては、労基法に抵触しないと考えている」だけです。
 三月の「厳密に言えば(労基法に)触れます」はどこに行ってしまったのでしょう? そういうことを聞いているのです。八月「意見交換会報告」での「子育て中の教職員への支援・体制づ<りが必要である」も覚えていません。
 「勤務条件が限定的にした中で運用することで(ママ)、教員のモチベーションが下がってしまうことが考えられる」との意見に、「勤務の負担が増えると教員のモチべーションが下がるという意見を踏まえ,検討していきたい」と「教育委員会の見解」を述べていました。こちらは忘れずに、強圧的にやれば従うだろうという力の論理が「検討結果」だったようです。
 後に述べる「八月三十日教育委員会会議 報告」でも、教員の勤務条件・「教員のモチベーション」については一言も触れられていません。

無責任な区教委
 「区教委としては、平成十八年度に都教委と行われた交渉内容の範囲と考えている。よって、区教委として今回の事柄に関しては関係諸団体との話し合いは行わない」と回答しています。「前二か月・後四か月で振替ができる」ことなど誰もが知っているのです。でも、それを「土曜授業」にも適用できるのか危ぶんでいるのです。
 「『土曜授業』は各校の教育課程に位置づけられるため、各学校が関係団体との話し合いを行うことは考えられるが、」と、危険な所は各学校に押し付けます。無責任です。
 二〇一〇年一月十八日、都教委は組合に対して、「週休日に勤務を命じることは勤務条件の変更にあたり、交渉事項である。区市町村教育委員会、学校長は誠意を持って交渉に応じる必要がある」と回答しています。「話し合い」をしなければならないのは「各学校」だけではないのです。そもそも一か月かかるほどの回答ではありません。質問者に対して失礼です
 ただ、校長会が昨年度まで区教委に対して「土曜授業」を行うように要請していたこと、八校の校長が今年度「土曜授業」を行ったこと、「墨田区立学校における土曜授業に関する意見交換会」における校長意見などが、今のような事態を引き起こす契機になったとの認識を持つと同時に責任を感じていただきたい。
 なお、十一月八日に、都教組墨田支部と墨田教組連名で出した「『土曜授業』にかんする解明要求」に対しては未だ回答がありません。「関係諸団体との話し合いは行わない」がそもそも誤っていますが、「解明要求」すら無視するというのは常識に欠けた行動と言わざるを得ません。

それでも区教委は決められない
 その他、随所に論点ずらし・無責任・傲慢が散りばめられていますが、他機関に宛てて出された「回答」ですから、これ以上論じません。ただ、それでもなお、「墨田区教委として・・・標準を示した」だけなのです。「これを基に校長は、毎年の暦、学校、家庭・保護者、地域等の実情を(ママ)鑑み、教育課程の編成をされたい」とあるように、あくまで教育課程の編成は学校にあるのです。


驚動天地の「八月二五日開催 教育委員会会議 報告」※2
 ところで、八月二五日開催の教育委員会会議は、「墨田区立学校における土曜授業に関する意見交換会報告」が報告事項でした。その中で衝撃的な事実が判明しました。
 「学習指導要領での時数拡大は」「仮に月一回半日授業実施した場合は」「単純に授業時数の増加分も賄えないことになります。」
 大変なことではありませんか。区教委は「各学校の教育課程は・・・」などと悠長なことを言っていないで、直ちに月二回の土曜授業を命ずるべきです。そして全国に警鐘を鳴らすべきです。「君たち、気がつかないのか? 土曜日に月一回ぐらいやったって授業時数が足りないぞ!」と。墨田区の教育委員会会議でそっと語っていないで・・・。

壮大な計算
 その論は壮大です。
 まず、学年毎の時数など小さいことではなく、小学校・中学校での総時数で勝負します。
「学習指導要領でいうと小学校は六年間で二七八時間、中学校は一〇五時間増になります」 「イヨッ流石区教委!」と声をかけたくなります。でも、中二の子は一体来年何時間余分にやらなくちゃならないのかなあ・・・こんな計算何か意味があるのかなあ・・・と凡人はふと思ってしまいます。
 「仮に月一回半日授業実施した場合は小学校で約四十時間増、それが六年間行われるとすれば、二四〇時間程度の生み出しが可能です。その場合、学習指導要領の拡大分二七八時間には足りませんので、月一回ではボリューム的には担保できないという話になります。中学校は、午前中の授業は五十分単位なので、土曜日は三時間分しか組めませんから、月一回実施すると年間で約十回で三十時間ちょっとが確保が出来る。それが三学年なので九十時間となりますが、学習指導要領での時数拡大は一〇五時間なので」・・・立て板に水の説明!
 区教委が提示している「標準」は「来年度は十一回、再来年度以降二二回」だったのをふと思い出しました。来年小学校に入学する子は土曜日に、小学校の六年間で四四〇時間、中学校で一八〇時間「ちょっと確保でき」てしまいます。なんと壮大なことではありませんか! ただ凡人はこれを指導要領に言う「負担過重」(※3)とみなしますが。

今年は何年だ?
 文科省の新指導要領移行措置の資料によれば、小学校の場合【現行】五三六七時間と【新課程】〔平成二三年度以降〕五六四五時間との間に二七八時間の拡大があります。「壮大な計算」のようにです。ところが、その資料には、【移行措置案】〔平成二一・二二年度〕五五七六時間と書いてあります。
 今年は何年でしたっけ? 今、墨田区の各小学校は今年度、合計五三六七時間やっているのでしょうか? それとも五五七六時間やっているのでしょうか? 
 あまりにも自信に満ちた「壮大な計算」を前に、日々行っていることに対する自信がなくなってきます。二〇一〇年度と【新課程】の来年度では、小学校では一・二年が週あたり一時間増えること、中学校ではどの学年も週あたり一時間増えることだったはずです。それだけだったはずです。墨田区に働く教員として、このような「壮大な〇〇」を見ると誰もが自信をなくしてしまいます。ぜひ解き明かしていただきたいことです。

恐るべき事態
 このような説明の下に墨田区教委の提起する「土曜授業」はあるのです。私たちの勤務・労働はこのような時数計算の下にあるのです。無残としか言いようがありません。まさに驚動天地。こんな中で黙っていることはそれこそ「恐れるべき事態」です。
 おかしいことはおかしいと言いましょう。「この計算、間違ってません?」と言うと何か不利益を受けるとしたら、それは自由のない社会です。権力を持つ者が行えばパワーハラスメントです。王様は裸で、「土曜授業」は必要ないのです。

 「十二月十五日 土曜授業は本当に必要か・・・撤回を求める全教職員集会」にご参加ください。

※1
「勤務条件が変わり、労基法に抵触すると教育委員会が発言する中、『校長だけに対応させる』のは、各校の足並みがそろわない。教育委員会が労基法について提案、また関係諸団体との話し合いをし、実施に向けての環境作りを願いたい。」(小学校校長会十月八日)

「土曜日の勤務に関してこれまでと勤務条件が変わり、労基法に抵触することもあるため、基本的なことに関しては各校の校長ではなく、教育委員会からの提示として関係諸団体と話し合いを行い、合意の中で実施できる環境作りをお願いしたい。」(中学校校長会十月二十日)


※2 平成22年8月25日開催教育委員会会議記録より

(前略)○指導室長 まず月1回程度の根拠でございますが、学校関係者、特に中学校の副校長それから校長の代表者の意見として、例えば徳に関わる教育にウエイトを置いた教育活動であるとか、地域や保護者の方々を巻き込んだ活動展開を考えた時に、いわゆる通常の学級で行われる教科の学習のような授業を土曜日の午前中に並べればいいということにはならないと思います。従前の月曜から金曜で行っていたものを土曜日に持っていったり、あるいは新たにそういったものを組み込んだ学校教育の在り方を組み立てるとすると、平成23年度については毎月1回位は土曜日にどんなメニューを並べて教育活動を展開すればいいのかといったことの整理をすれば、月1回位がやりやすいだろうという意見がありました。
  教育長がお尋ねの、月1回程度であるならば、拡大する教育活動のボリュームがクリアーになるといった趣旨の発言はありませんでした。どの程度土曜に教育活動を設定し、全体的にボリュームアップすれば事足りるのかという切り口の議論もありませんでしたが、学習指導要領でいうと小学校は6年間で278時間、中学校は105時間増になります。仮に月1回半日授業実施した場合は小学校で約40時間増、それが6年間行われるとすれば、240時間程度の生み出しが可能です。その場合、学習指導要領の拡大分278時間には足りませんので、月1回ではボリューム的には担保できないという話になります。中学校は、午前中の授業は50分単位なので、土曜日は3時間分しか組めませんから、月1回実施すると年間で約10回で30時間ちょっとが確保が出来る。それが3学年なので90時間となりますが、学習指導要領での時数拡大は105時間なので、単純に授業時数の増加分も賄えないことになります。まして、徳に関わる部分のボリュームを増やすことは、月1回程度ではおそらくカバーしきれないのではという計算上の見込みはあります。 (中略)
  あまり時間的な猶予はないと考えております。近々にまた別の機会に私どもの考え方をご説明させていただき、各委員の皆様方からのご意見を頂戴した上で、校長会あるいは関係団体への調整に入っていきたいと思っております。
○委員長 まだ今日お聞きした段階なので、はっきりしない点もあるんですが、全体の流れとしては新学習指導要領で年間授業時間が拡大したということが根底にありますよね。だからどうしても時間数を増やさなければいけないわけです。そうすると月曜から金曜まではフルにやらなければならない、たぶんそれでも足りないと思います。足りないときに土曜日に食い込む、その食い込み方が一方ではゆとり教育の余波があって、楽しんでいる時間がある。そこをどう調整するかが基本線ではないかと考えています。
  だから、その辺を指導室の方でうまくまとめていただきたい。そういう案がないと地元にもこちらが何を考えているのか示せなくなってしまうと思うんですね。特に地元の方にはせっかく自分たちが土曜補習教室や放課後学習クラブを手伝ってあげているのに、「いったい何だ」と思わせるような誤解を生まないようにやっていただきたいと思います。他に何かありますか。
○委員 前にもちょっと伺いましたが、土曜日の午後にも授業をやるというのは、例えば次年度であれば何回位の実施を想定しているんですか。
○指導室長 別途の機会でまた詳しい私どもの見解をお示しできることもあるかと思いますが、土曜日に教育活動を実施するときに、毎回の土曜日に午後を含めてということは基本的にありません。ただ、今までも例えば土曜に学校公開を行って午後に教育活動をやり、月曜日に振替を取るということをやってましたので、例えば学芸会で、あるいは学校公開で1日やるということはあると思います。ただ、大半の実施回数においては、半日が妥当なのではないかという考えはあります。
○委員長 それではこれに基づいて案を作成していただき、ここで議論したいと思います。     (改行・下線は引用者)


※3 新学習指導要領総則2  年間の授業週数(第1章第3の1)授業は, 年間35週(第1学年については34週) 以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が児童の負担過重にならないようにするものとする。




補遺
 この情報は
「http://www.city.sumida.lg.jp/kyouiku/kaigiroku/kaigiroku22-2.files/kaigiroku22.8.25.pdf」
というインターネット上のページからとっています。
 「ICT化」に「導入当初は批判的だった教員が,実際に触れることで便利さを実感してきている」(意見交換会報告)というこれもまったくの嘘ですし、「土曜授業という新しい施策に対する理解も,徐々に得られていく」(なし崩しにやられてたまるか!)と考えるのはこの方だけです。が、「ICT化」社会にいる私たちは、怪しげなページがたくさんあり、「成りすまし」のページがあるのも知っています。願わくは、ここに引用した資料がそのような「ニセ墨田区教委」のページでありますように。あるいは、議事録の要約ですから、発言者の真意が充分に伝わらないのかもしれませんし、私たちの読解力不足かもしれません。その場合には、発言者と目された方には深く陳謝いたします。
読まれた方はぜひご意見を。



熱と光≠キみだフェスタ2010

12月10日(金)午後6時半より

       墨田区社会福祉会館3階
墨田区東墨田2―7―1
T構成劇「差別をなくすためにがんばってるのが部落だよ」
〜吾嬬二中差別糾弾闘争の記録〜
「部落って何か知ってて言ってるの、差別をなくすために頑張っているのが部落なんだよ!」「綿すぃは木下川のにおいが好きだよ」−子どもたちの言葉に、青年たち・大人たちも立ち上がる。20年前に墨田で起こった吾嬬二中差別事件と闘いを、解放共闘の仲間が総力で演じます!
U講演 石川早智子さん 〜私の歩んできた道〜
 石川さんとともに再審を訴え全国を忙しくまわっている早智子さん
 徳島の田舎のことや、日常など、ざっくばらんにお話をしていただきます。
私たちは、あらゆる差別の撤廃を願う市民の交流の広場として、’97年より毎年、“熱と光”すみだフェスタを開催してきました。
「人の世に熱あれ、人間に光あれ」の願いを込めて、今年も多くのみなさんの参加をお待ちしております。
主催:部落解放墨田区民共闘会議
連絡先 361 4-1903 部落解放同盟墨田支部
3622-31 41 墨田区教職員組合



卒業証書
 保護者からの申し出があれば西暦年号記載
ー卒業生の全保護者へ周知ー

 卒業証書の生年月日や発行年月日の年号記載にあたり、「元号」で表記するか、「西暦」で表記するかに関し、墨田区・墨田区教委の基本的な方針は、次の四点です。
1.元号使用が原則
2.保護者からの申し出があれば西暦記載が可能
3.外国籍の子どもについては、生年月日、発行年月日、氏名の表記について確認し、保護者からの希望があれば、その意志を尊重する。
4.このことについて、卒業生の全保護者に周知する。

 この方針は、思想信条の自由等の人権を尊重する立場、さまざまな価値観や文化を有する多様な人々と共生する墨田を築くという立場に基づいて明らかにされたものです。

人権尊重や国際理解は、
具体的な実践が大切
 多くの小・中学校では、従来から各校ごとにお知らせや保護者会などで、当該児童・生徒や保護者に「西暦記載も可能である」ことを知らせてきました。
 区教委は、定例校長会で「卒業証書の元号使用について」墨田区・区教委の基本的な考え(上記四点)を例年明らかにしています
 人権尊重や国際理解教育は、具体的な実践こそが大切です。昨年度、保護者への周知がなされたか、疑わしい学校があります。「保護者への周知」がすべての学校でなされ、児童・生徒、保護者の意志が尊重されるとりくみを強めていきましょう。



2011年
子どもの権利条約カレンダー

 月毎に世界各国の子どもの写真
 墨田教組名入り  電話・ファックス番号入り
分会に1部ずつお届けします。
分会で活用してください。
なお、ご希望の方には一部1000円でお分けします。


週刊墨教組 No.1611 2010.11.22


勤務条件は、労働条件
  まず労働組合(分会)と交渉しなければならない
 来年度行事予定など、
   年度末反省もないまま作れるものではない
学校五日制・週休二日制を破壊する「土曜授業」に反対する(5)


校長は「提案」したか?
 区教委が九月十七日付け事務連絡文書「墨田区における幼稚園・学校の『土曜授業』について」(案)」しか、「土曜授業」について文書を出していない今の段階では、「「土曜授業」は区教委が決めた」と校長が言うことはできません。もしそのようなことを言っているとしたらそれは勘違いか嘘です。どちらにせよ区教委に確かめるよう校長に要求すべきです(校長がサボろうとすれば我々教職員がやればいいことです)。
 校長は「ブロック(校長会)で〜することになった」という言い方もします(さすがに「ブロック校長会で決まった」などと言う校長はいないようです)。校長会にもブロック校長会にも各学校の教育課程を決める権限はありません。そもそも、区教委が召集する以外の「自主」校長会が法的に認められるのかどうかも危ういものです。
 校長が「土曜授業」をやりたければ、校長が「土曜授業」の必要性・必然性・勤務に関する法的問題への対応・・・などをきちんと提案しなくてはなりません。
 一方で教育内容として教職員と論議し、もう一方で、勤務条件は労働条件ですから、労働組合(分会)と交渉しなくてはなりません。
 「提案」には理由が必要です。上に述べたように、「区教委が・・・」・「校長会では・・・」は「理由」たりえません。校長は「学校の責任者」として「各教職員に周知する」ことをきちんとしなくてはなりません。

「官僚」は文書主義
 このような重要な事項の場合(本来は全てか?)、全ての物事は「文書」で動くことになります。口頭には曖昧さや聞き間違い・解釈の違いがつきものだからです。「言ったー言わない」の水掛け論になってしまうおそれがあります。
 区教委の考えも、文書ではかるべきです。だから冒頭に述べたように単なる「(案)」「区教委は・・・と考えている」という「つぶやき」だけなのです。聞こえてくる噂などに惑わされてはなりません。文書にのらないものは全て誤まりの可能性を含むものです。「区教委がこう言っている」という場合には文書を要求しましょう。

いじましいやり口
 「「土曜授業」を入れた二〇一一年度行事予定を出させたからもう決められたとホッとしている校長がいるんですよね。」「ナ〜ニ〜?!」 実際いるのです。順序が逆です。「提案」も「論議」も「決定」もないところでどれだけ「土曜授業」を暦に書いても「土曜授業」は実現しません。

教育活動には教職員の合意が必須
 校長は今、教育委員会から大きな権限を付与されています。「各学校で決めろ」と。区教委は、今年度、区教委の制止を振り切って「土曜授業」を突出して実施した「先行校」の校長に対して、その「自主性」に大いなる敬意を抱いているのかもしれません(私たちには「軽挙妄動」としか見えませんが)。今、それと同じ行動を校長たちに求めているのかもしれません。
 学校は校長の意のままになるものではありません。子どもがいて地域があって教職員がいます。教職員の合意と協力を得ないまま強行した「土曜授業」がどのようなものになるか、恐れるべきです。「個人学習プロフィール」に対する教職員の軽蔑と軽視・「情熱のない教育活動」によるアパシー拡大・・・の比ではないでしょう。

「やらない」選択を
 「二〇一一年度、本校は『土曜授業』はやらない」 これも校長のふるいうる権限の一つです。「既に十分足りているけれども時数確保のため」「『心の教育』は土曜日にまとめて平日は止めておこう」「弁当作って家庭の食育」・・・校長自身も含めて教育現場は、これらを実に馬鹿馬鹿しいことだと認識しています。
 「邪路」に迷いこまないように、「逆立ちして歩かない」ように、区教委はかつて見事な文書を出しています(資料1)。遵守するとともに「学校」を「区の教育」、「校長」を「区教委」と置き換えた文書も作る必要があります。

資料1

  墨田区立学校の管理運営規則の改正について(墨田区教委見解)
1998.10.13

・・・ 学校におけるさまざまな課題に対応していくためには、校長のリーダーシップを中心として一致協力して事に当たることが必要である。
 学校運営をして行く上で、全く職員の意見を聞かず、合意も得られないでやるのでは、うまくいかない。円滑な学校運営を進めていく上で、合意形成は重要である。
 権限行使、一方的指示命令が、すなわちリーダーシップではない。合意をつくる上でのリーダーシップが重要である。独断専行・権限の振り回しは、教育の場として望ましくない。これらをリーダーシップと勘違いする校長がいれば、十分指導していく。
 
職員会議 
・合意形成をつくる場として職員会議はあり、学校運営上、重要な役割・機能を持っている。
・職員会議は、学校運営の責任者としての校長がその職務を全うするための機能も持っている。したがって、校長の専横によってないがしろにされることがないよう指導していく。