週刊墨教組 No.1346   2001.11.29   

労使交渉の意味を何よりも明確にした都労連妥結
   4%の給与削減措置ー管理職には継続

 今回の都労連確定交渉は、昨年度から実施されている給与の4%削減措置について、当初の「二年間限り」との約束通り今年度で終了ということで妥結しました。
 しかし、終了するのは、一般職員についてのみです。
 管理職については、4%の給与削減措置が来年度も継続されます。
 管理職でない一般職員の労働条件(給与はその最たるもの)については、都と都労連及び関係組合との交渉事項であり、両者の交渉によって決定されます。
 一方、管理職の処遇(労働条件)については、都と都労連・組合の交渉の対象にならず、したがって都側が一方的に決定できることになります。そこで、都は「厳しい社会経済情勢のもと、都財政の再建に向けた決意を表すため」として、管理職については、来年度も継続としたものです。
 管理職に対しては、お気の毒としか言いようがありません。
 同時に、このことは、組合の存在自体および組合の労働条件に関わる交渉の意味、重要性を決定的に明らかにしています。
 都労連及び関係組合の交渉と闘いなくして、今回の給与削減措置の今年度終了は、絶対に有り得ませんでした。

交渉と闘いの結果として削減措置終了
 都労連及び関係組合の交渉と闘いなくして、今回の給与削減措置の今年度終了は、絶対に有り得ませんでした。
 都側の強硬姿勢
 そのことは、まず、この間の都側の強硬姿勢をみれば明らかです。
 都側は、削減措置継続の具体案を作成し、その提案のための団交を開くことを執拗に要求し、応じないならば一方的に条例制定することもあるかの恫喝さえ加えました。
 石原都知事の策動
 また、都知事の対応、行動を見てもそのことは明らかです。
 石原都知事が自分の意志を貫徹するためにとる常套手段は、やろうとすることを、まず外部に、マスコミ等を活用して発表して、都の方針として確定したかのように思わせ、既成事実をつくり、意志を貫徹することです。
 今回も同様な手法を使おうとしました。十三日には、都区市町村協議会(都と区市町村との協議会)で、「一度取り上げたものを返すということは有り得ない」と、きわめて乱暴な言い方で「削減継続」方針を明らかにし、さらに十六日には記者会見で「削減継続」の意志を示す(翌朝、新聞各紙は「四%給与削減、来年度も」との見出しで報道)等の行動をとりました。

交渉と闘いが姿勢変えさせ、策動を破る
 こうした給与削減措置継続に向けた都および石原都知事の強硬姿勢、策謀の中での、「給与削減措置、今年度で終了」決定です。
 都労連及び関係組合の闘い、交渉がこうした結果を生み出したことは、あまりにも明らかです。

労使交渉なくして労働条件決定なし
 「労使交渉とそれを通じた双方の合意なくして労働条件の変更、向上、改廃なし」は、労働法制の大原則です。
 そして、労働組合は、その労働側の当事者、つまり交渉権と妥結権を持つものとして、その地位と機能を明確に法的にも、社会的にも保障されているのです。
 「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」(日本国憲法第 条2項)、この規定に基づき制定された法律が労働基準法です。その第1条2項には、次のように規定されています。「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」
 ここでいう、「労働関係の当事者」とは、使用者及び被使用者を組織している労働組合です。そうした位置にある労働組合の地位と機能を憲法上も明確にしたものが、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をとる権利は、これを保障する」(日本国憲法第 条)
との規定です。労働組合が使用者と対等な立場で交渉するためには、団結し、団体行動(その基本はストライキ)する権利が保障されなければなりません。憲法は、そのことを明確に保障しているわけです。

組合への結集を、心から呼びかけます!
 今回の都労連交渉の結果は、そうした労使交渉の意味、また労働組合の存在およびその活動の意義を、何よりも明確に示しました。
 労働組合に結集すること、団結することの大切さ、重要性を再確認することができたと思います。
 まだ組合に結集していない方々に、組合へ結集することを心からよびかけます。
 組合の存在意義は、今後、ますます強まらざるを得ないことを誰でも肌で感じているのですから。
 まずは、組合への結集(加入)を!
 

都労連妥結関連資料

 十一月二十日の都労連交渉妥結の内容については、二十日付の「週刊墨教組」(速報版)でお知らせしました。今号では、その補足と掲載しきれなかった資料を掲載します。
 
長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)
 年度末現在で勤続十五年目に達する人に連続二日間、二五年目に達する人に連続三日間、付与されるのがリフレッシュ休暇です。今回妥結で二五年目の人には連続四日間付与されることになりました。
 この休暇権の行使期間は、達する年度の一月一日から十二月三十一日までの一年間です。
 来年三月三十一日で勤続十五年になる人は、一九八七(昭和六二)年四月一日採用および一九八六年度の中途採用の人です。この人は、二〇〇二年一月一日から三月三十一日の間に連続二日間のリフレッシュ休暇を取る権利を有するということです。
 十五年目の人については、その十五年の間に、休職・停職・育休があっても、それを含めて計算してかまわないことになっています。
 来年三月三十一日で勤続二十五年になる人は、一九七七(昭和五二)年四月一日採用および一九七六年度の中途採用の人です。この人たちは二〇〇二年一月一日から三月三十一日の間に連続四日間のリフレッシュ休暇を取る権利を有するということになります。ただし、この勤続二五年の間に、休職・停職・育休が一日でもある場合は、次の年度に権利取得ということになります。

五五歳昇給停止の経過措置
 二〇〇二(平成十四)年三月三十一日現在の年齢に応じ、次の経過措置が設けられます。
 五五歳以上五八歳未満 五八歳
 五三歳以上五五歳未満 五八歳
 五〇歳以上五三歳未満 五七歳
 四七歳以上五〇歳未満 五六歳
 四六歳以下の人は、全て五五歳で昇給停止ということになります。なお、五五歳昇給停止とは、五五歳になる年度内は昇給可能、翌年度から昇給なしということです。
 
旧姓使用の取り扱い(別表参照)


週刊墨教組速報版 2001.11.20

四%の給与削減措置の継続を阻止!
 期末手当、〇・〇五月分削減(年間四・七五月→四・七月)
 中間管理職に成績率導入、学校教職員への導入は継続協議

十一・二十統一行動は中止

 二〇〇一年度の賃金確定交渉は、給与削減措置の延長を主張し、その具体案を都労連に提示しようとする都側と、二年前の約束(二年間の時限措置)を履行させようとする都労連側との鍔ぜり合いの中で、きわめて難航しました。
 しかし、事態打開のため、十九日夜、開かれた石原都知事、矢澤都労連委員長会談で、知事は「二年前の労使合意の重みは十分理解しており、現在実施中の給与削減措置については、今年度で終了」と、延長を断念することを表明しました。
 これを受けて、他の問題についての詰めが進められ、二十日未明に団体交渉が行われました。
 都側の最終回答骨子は次の通りです。
・四%給与削減措置は、二年前の労使合意に基づき今年度で終了とする。
・期末手当、人勧通り〇・〇五月分削減する(年間四・七五月→四・七月)。
・勤勉手当に成績率を導入する。その対象は、課長補佐級職、係長級職員とする。学校教職員については、新しい職を検討中でもあり、改めて協議する。
・「人事制度見直し」については、早急な実現をめざして引き続き協議したい。
・リフレッシュ休暇ー二十五年目に達する人に連続する四日間付与する(現行は三日間)。
・育児休業及び部分休業の期間延長ー国の法改正の動向を踏まえ、適切に対処していく。
・介護休暇の期間延長ー法改正の動向を踏まえ、制度の在り方も含め引き続き協議し、今年度中に合意を図る。
・旧姓使用を来年度から実施する(ただし、法律上戸籍名を必要とするものは除く)。
 これに対し、都労連は全体としてきわめて不満な内容ではあるが、都側が継続に固執した四%の給与削減措置を阻止したことの意味は大きいことから、現時点では、この線でまとめざるを得ないと判断、妥結することに決しました

都、給与削減措置の継続に執心
 今回の交渉がもつれた最大の要因は、給与削減措置の問題でした。都側は、十一月八日に「具体案がまとまったので十四日に団交を行い、そこで提案したい」との申し入れを行いました。これに対し、都労連は「二年前の約束を破ることを提案する団交には、応じられない」として、事実上拒否しました。
 一方、石原都知事は、十三日に行われた東京都市町村協議会の場で、「せっかくカットしたものを戻すのでは、世間に通用しない」と、給与削減措置の継続について発言、さらに、十六日の記者会見でも削減継続の姿勢を明らかにする等、労使交渉抜きに既成事実を作り上げる策動を続けました。都労連は、こうした言動に強く抗議し、知事による説明を求めました。
 さらに、都側は「このまま、都労連が固い態度を続けるならば重大な決意をせざるを得ない」と、合意無いまま条例改悪を強行することも有り得るとも取れる傲慢な姿勢まで示すにいたりました。

知事、都労連委員長会談で継続断念を表明
 そうした中で、事態打開をめざし、十八日午後二時すぎには、都労連加盟の各組合委員長の副知事への要請行動が行われ、最終的に十九日午後九時すぎから石原都知事と矢澤都労連委員長とのトップ会談が開催されたわけです。このトップ会談でのやりとりは、次のようになっています。
石原都知事
「二年前の労使合意の重みは、十分、理解しており、現在実施中の給与削減措置については、今年度で終了する。
 しかし、今後、都税収入の大幅な減は確実であり、都財政の状況いかんによって、給与削減措置等の内部努力策については、再度、相談する。その際は、協力いただきたい。
 今回は、これまで長年の懸案である成績率導入をはじめ、人事制度の見直しの実現に向けて、副知事と協議願いたい」
矢沢都労連委員長
「労使合意の重要性を知事と確認できたことは今後の都政運営にとって大きな意義があり、重く受け止める。
 今後、知事から再び相談を受けたときは、都労連としても協議に応じる。
 副知事とは、この後、真摯に協議したい」

再度、削減措置持ち出す恐れ
 このやりとりを見て明らかなように、知事が「今回の給与削減措置については終了」と、「今回の」と限定し、「状況いかんによっては、給与削減措置等について、再度相談する」としていること、またそれに対し、都労連委員長が「協議に応じる」との約束をしていること等に重大な問題点があります。
 しかし、まずは削減措置を「終了」させ、来年度は給与を元に戻させることが肝要である以上、止むを得ぬ対応とも言えます。同時に、来年度の確定交渉で、再度、削減措置提案がなされることは確実であり、大きな課題を残してしまったことも事実です。
 こうした動きを受けて、成績率等の問題の詰めが行われ、以下のような最終回答となりました。
期末手当〇・〇五月削減
 今年十月、都人事委員会は、期末手当を〇・〇五月分削減するよう勧告しました。これを受けて都側は、期末手当〇・〇五月分削減を提示したものです。この結果、期末・勤勉手当は、三年連続で、合計〇・三五月削減されることになります。この削減は、来年三月支給の期末手当(年度末手当)で行われます。

成績率導入ー中間管理職対象に再来年から
 成績率導入については、ついに許す結果になっています。
 まずは、課長補佐級・係長級(つまり、中間管理職)に導入されることになります。しかし、いったん導入されるや、必ずその対象を拡大する方向に動くことは確実であり、その面で将来に禍根を残したと言わざるを得ません。
 なお、原資については、対象者全員から一律1%の拠出分及び下位からの減額分5%(当初提案は、一律3%拠出及び下位者からの減額分)としています。また、上位の決定方法は、上位 %程度とし、下位の決定方法は、全ての総合評定が最下位の者とするとなっています。さらに、実施時期は、二〇〇三(平成十五)年六月(夏季手当)からとされています。
 今後の課題は、適用対象拡大をいかに阻止するかということになります。 

成績率ー学校教職員には当面導入せず
 ところで、学校教職員(教員・事務等)の場合、「新しい職(主幹制)を検討中」であること、また「制度導入にあたっては、区市町村との調整が必要」との理由をあげ、「改めて実施について協議する」と、当面導入しないことになりました。
 「新しい職(主幹)」制度との関連で考えていくということは、行政における中間管理職である課長補佐・係長に導入したと同様な考え方をとっていることを意味します。学校教職員については、「主幹」を成績率導入の対象とすると考えているものと思われます。
 「主幹」は、成績率導入と言う面からみても中間管理職と位置付けられているわけです。

人事制度は、基本的に継続協議
 人事制度見直しの内容として都側が提案をしたのは、任用制度見直し(複線型任用等)、級格付け廃止、定期昇給の成績主義強化、期末・勤勉手当の加算制度改悪、成績率導入等(詳しくは「週刊墨教組」一三四〇号参照)です。この内、六年間にわたり懸案協議事項であった成績率については、導入ということになったものの、他の件については、基本的に「早急な実現をめざす」ことを前提に「引き続き協議」となりました。
 いずれの問題も、成績主義強化という目的に沿うものであり、重大な問題点をふくんでいます。都労連としては、あくまでも阻止することをめざしています。

五十五歳昇給停止の経過措置
 昨年の賃金確定の際、昇給停止年齢の五十五歳への引き下げを二〇〇二(平成一四)年度から、経過措置を設けて実施することが決定しています。今回、その経過措置が提示されました。その内容は、次のようになっています。
 二〇〇一年度末年齢が、
 五三歳以上五八歳未満の人→五八歳昇給停止
 五〇歳以上五三歳未満の人→五七歳昇給停止
 四七歳以上五〇歳未満の人→五六歳昇給停止
 なお、「特に良好な成績を上げた者」について、「年齢にかかわらず(昇給停止者であっても)、特別昇給の対象」とすることが、今回新たに付け加えられました。

リフレッシュ休暇一日増
 勤続十五年目の人に連続二日、二十五年目の人に、連続三日間付与される長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)は一九九六年に制度化されました。都労連は、その日数増を要求してきました。今回、二十五年目の人については一日増(連続四日間付与)することが実現したものです。

育休の期間延長ー適切に対応
 育児休業(含む部分休業)期間を三年間に、延長することについて、国においては法改正がおこなわれています。それを受けて、都も期間延長するよう都労連は要求してきました。
 今回の交渉の中で、都は「国の法改正の動向を踏まえ、適切に対応」と回答しています。来年四月から施行できるよう条例化を急がせることになります。
 これと合わせ「子育て支援」充実策として、つぎの三点の改善策が挙げられています。
・出産支援休暇の日数増ー二日以内→三日以内
・育休取得者に対する貸付金制度の充実
・部分休業の期末・勤勉手当の除算方法ー現行一回につき四分の一日換算による除算から、八時間で一日換算による除算に変更

再任用から再雇用へー月十六日、十三日どちらかを選択
 再任用制度の発足に伴い、定年退職者が直ちに再雇用となる場合の勤務日数は、原則として月十三日となりました。また、再任用を経て再雇用者になる場合の勤務日数は月十六日となりました。都労連は、再任用から再雇用者になる場合、月十三日勤務と月十六日勤務の選択ができるよう要求してきました。今回都側はそれを呑み、十三日、十六日いずれかを選択することを認めたものです。

旧姓使用問題
 国家公務員については、すでに今年十月から旧姓使用を認める制度改善が行われました。
 都労連も、以前から旧姓使用の要求を出してきました。そして、国の動きをも追い風として、今回何としても決着をつけようと交渉を強化してきました。最終的に「法令や制度上、戸籍名を使用することが必要なものを除き、来年度から実施」となりました。
 これにより、職場における呼称はもちろん、公的文書等(学校で具体的に言えば、教職員(担任)名簿、出勤簿、保護者への通知等。戸籍名でなければならないと考えられるのは、給与関係)への記載も旧姓を使用しても良いことになります。

公益法人派遣者の処遇ー原則的に派遣元職員と均衡
 私たちには、直接的な関係はありませんが、公益法人への職員派遣について、都側は派遣された職員にとって「負担増」となる処遇上の提案を行いました。都労連はこれを強く反発、派遣元職員との均衡を図るべきだと主張、今回「派遣元職員と均衡のとれた」処遇とするよう努力することを確認させました。


週刊墨教組1345号 2001.11.15

育児休業・介護休暇期間延長の法改正成立
育児休業手当金の期間延長は盛り込まれず

 今年八月、人事院が勧告した育児休業(部分休業も含む)・介護休暇の期間延長を実現するための法改正案が、十月三十日閣議決定、直ちに国会に提出され、十一月九日に成立しました。
 その内容は、人勧通り、次のようになっています。
@育児休業・部分休業の対象となる子の年齢を三歳に引き上げる
 →休業期間を三年間に延長する
A代替要員の確保のために、現行の臨時的任用のほかに任期付任用を行うことができるようにする (以上二点は、育児休業法の改正)
B介護休暇期間を六カ月に延長する(勤務時間・休暇法の改正)
 以上について、施行日は二〇〇二年四月一日です。
 なお、課題であった育児休業手当金支給の期間延長については、今回は満一歳までのままで見送られています。
 都においても、今次対都確定闘争の中で、この法改正の趣旨を生かした条例改正を行うことを都に確認させることが課題のひとつとなります。

男女共同参画社会の実現へ向けて
 今回の法改正の趣旨は、「男女共同参画社会の実現へ向けて、職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするための環境整備として、育児や家族の介護を行う職員の負担を軽減する」ことにあると謳われています。
 同時に、この改正は「少子化対策」との側面も持っています。そこで、本来的な趣旨とは裏腹に、女性に育児や介護が一方的に押し付けられる傾向がかえって強められる恐れもあります。
 男女共同参画という本来的趣旨が生かされるよう、具体的な活用場面では、男女双方が考えていくことが大切と思われます。国会審議の中でもそのことが取り上げられ、法成立時に「改正の趣旨を踏まえ男性の育児休業取得について有効な措置を講じること」「家族的責任を有する男女労働者が、差別を受けることなく、職業上の責任と家族的責任を両立できるよう必要な措置を講じること」を政府に求める付帯決議がなされています。

育児休業期間大幅延長
 現行法では、育児休業を取ることができる期間は、「育児休業の対象となる子が一歳に達する日まで」(つまり、育児休業をとれるのは、産休明けから子どもが満一歳になる日まで)となっていました。
 今回の法改正は、それを、「対象となる子が三歳に達する日まで」に延長しました。つまり、育児休業期間が「産休明けから子どもが満三歳になる日まで」と大幅に延長されたわけです。
 部分休業(一日二時間の勤務時間短縮)についても、「子の年齢が満三歳に達する日まで」と、大幅に延長されました。

代替要員確保ー任期付採用
 また、その育休間の代替要員について、現在はその期間において「臨時的任用(一年を限度)」で行われていますが、これと併せて育児休業期間を限度とした「任期付採用」ができるよう法改正がされました。
 取得する育児休業期間を任期とした採用を可能にしたのです。産育休代替教職員にとっては、任期(採用期間)が長くなるわけで、現行より勤務が安定的になると言えます。

三歳未満の子がいて、復帰している人
   ー再度とること可能となる
 人事院は、経過措置についても勧告しましたが、そのことも法改正に盛り込まれています。
・育児休業をした後、職務復帰したが、法律改正時に子が三歳未満である人の場合ー法施行後(来年四月一日以降)、子が満三歳になるまでの間、再度育児休業をとることができます。
・法施行時に、現に育児休業中である人ー再度延長して、満三歳になるまでの期間とることができます。

介護休暇期間六か月に延長
 配偶者、父母、配偶者の父母等の親族が、負傷、疾病、老齢により介護を必要とする時、取れるのが介護休暇です。
 現在その期間は、連続する三か月となっていますが、それを六か月に延長するように法改正されました。
 なお、今まで介護休暇の対象に子どもは入っていませんでした。しかし、今回の改正で、子どもも対象になりました(都条例では、今までも子どもも対象になっている)。
 また、法施行時点で介護休暇中の人については、期間を六か月まで延長する経過措置も法に盛られています。
 今回の改正により、国家公務員については子どもも対象になったわけですが、民間企業については、子どもも対象とするよう経営者・企業に「努力する義務」があることが明記されました。

手当金支給の期間延長はならず
 現在、育児休業中の人には、その期間中、共済組合から育児休業手当金として標準報酬の日額の四〇%が支給されています(この内、三〇%は育児休業中に、一〇%は復職後六カ月後に支給)。
 この手当金を、育休期間の延長に伴い、子が三歳になるまで支給させることが課題でした。しかし、この件は、「民間の制度が動いていない」ことを理由として、今回の法改正では「育児休業に関わる子が一歳に達する日までの期間」とされ、実現していません。
 また、現在育児休業中は共済掛け金の支払いは免除されています。これも「子が一歳に達する日まで」となっています。
 以上は、「共済組合法」改正に盛り込まれています。
 介護休暇手当金についても、現行通り三カ月間となっています。
 育児休業手当、介護休暇手当の増額と支給期間延長は、今後の課題ということになります。

早期の都条例改正を要求
 都においても、都人事委員会の勧告および今回の法改正に基づき、早期に条例改正を行うことが求められています。
 都労連は、今次賃金確定闘争・交渉の中で、早期に条例改正を行うことを要求しています。


週刊墨教組1344号 2001.11.8

「給与削減は二年間の時限措置」とは、
石原知事の約束

都側、重大な約束破りを予告 (十一月五日都労連団交)
都労連、十一月二十日に二時間ストライキ配置して闘う

 都労連は、十一月五日、年末一時金要求の団体交渉を持ち、年末一時金三・〇月分を十二月十日までに支給することを要求しました。
 ところが、副知事は、この団体交渉で、一時金要求について「知事に報告したい」とした一方で、成績率の導入や人事制度の「見直し」など、労使の主張が大きく対立している問題について「是非とも実施したい」とした不当な態度をとりました。
 さらに、「給与削減措置(二〇〇〇、二〇〇一年度の二年間、給与の四%を削減)の今後の取扱い」について、「二年前の労使合意は重いものであり、そのことは十分に認識している」とする一方で、「検討が詰めの段階にきており、内容が固まり次第、皆さんに提案させていただきたい」との発言を行い、事実上「給与削減措置」の継続を提案することを予告しました。
 こうした都側の姿勢に対し、都労連は強く抗議、批判しましたが、都側は一切発言しない態度に終始しました

十一月二十日に二時間ストライキ
 都労連は直ちに、抗議声明を出すとともに、都側提案を断固阻止するため、六日、九日、十六日、十九日の四波にわたる決起集会開催、十四日から十六日にかけて庁内座り込み等の行動を行い、最終山場である十一月二十日には早朝二時間ストライキを配置して、闘いと交渉を強めていくことを決定しました。
 私たちも、こうした都労連の姿勢を支持し、都労連と連帯して闘います。

給与削減は二年間と知事が約束
 「給与削減措置」は、一九九九年十一月十六日の「労使合意」に基づくものであり、「職員の給与の特例に関する条例」にも、二〇〇一(平成十三)年四月から二〇〇二年(平成十四)年三月までの特例と、二年間の期限が書き込まれています。明確に「時限的措置」です。
 この「労使合意」の際、まず、石原知事は「当時の都政運営において将来の見通しを見誤った」として「その時点で財政危機の責任があった」と責任を明確にしました。その上で、「給与削減措置」の提案について、「臨時の財源対策として行う二〇〇〇年度から三年間の時限的措置全体を提案」しているとして、「この措置を講じてもなお生じる財源不足については、別の対応を検討していく」という約束を行いました。
 これらの確認、約束を前提として踏まえた上で、都労連は「二〇〇〇、二〇〇一年度の二年間、給与の四%、期末・勤勉手当〇・四五月削減」という「苦汁の労使合意」をしたのでした。

都側の約束破りを許してはならない
 こうした経過に明らかなように、都側にはこの「労使合意」を守る義務があります。「給与削減措置」の延長などは一切あり得ないはずです。にもかかわらず、五日の団体交渉で「労使合意の重みは十分認識している」と言いながら、その一方「労使合意」の破壊を予告したわけです。
 都側が「予告」通りに「削減措置延長」を提案するならば、それは、明確な「約束やぶり」「労使合意破壊」であり、また労使の信頼関係をも踏みにじる重大な背信行為です。断じて許してはなりません


週刊墨教組1339号 2001.10.11

声明 私たちは、報復の戦争に反対し、
「テロ対策特別措置法案」に反対します

期末手当をまたしても引き下げ
(〇・〇五月分、平均二万二千円)
 ベアもなし。三年連続の年収減
 育児休業期間を三年に、介護休暇期間延長の意見も
十月四日 都人事委員会が勧告

 十月四日、都人事委員会は今年度の勧告を行いました。
 勧告・意見の主要点は、次の四点です。
 1.給料表の改定なし。つまりベースアップなし。
 2.ボーナス(期末・勤勉手当)〇・〇五月分引き下げ
  現行の年間四・七五月分→四・七月分
 3.能力・業績主義を基軸とした人事給与制度の改革を推進
 4.@育児休業および部分休業(一日二時間)の対象となる子の年齢を
    「一歳未満」から「三歳未満」に引き上げる→育休期間の延長
   A介護休暇の取得期間の延長
 今年の勧告も、都職員の生活の維持・向上という観点から見て、きわめて不満な内容になっています。

給料表の改定なしーベースアップなし
 人事委員会は、今年度四月時点における官民較差(民間企業と都職員との給与格差)は平均〇・〇九%(四百二円)だとしています。
 そして、「この僅かな差から見ると、都職員の給与水準は民間従業員と概ね均衡していると判断できる」とし、給料表や諸手当の改定は必要ないと結論づけています。ベースアップなしということです。これで二年続きでベースアップなしということになります。

「一時金」支給もなし
 ところで、今年八月の人事院勧告では、較差を〇・〇八%(三百十三円)とし、その差の年額分三千七百五十六円を「暫定的な一時金」として三月一日を基準日として支給するよう勧告しました。
 しかし、都人事委員会は@平均給与の一〇〇〇分の一以下の僅かな差A都内の民間企業のベア実施状況、半数を割り込んでいるB厳しい雇用経済環境のもとで民間では給与抑制や雇用調整などの合理化努力が行われている等の理由を挙げ、「一時金」を「勧告する必要性は認められない」としています。
 国人勧に追随することが都合のよい時は、「均衡の原則(民間との比較だけでなく国及び他の地方自治体の状況をも考慮)」を持ち出し、都合の悪い時には、さまざまな理屈をつけて独自判断を強調するというご都合主義が、今回もあらわです。

実支給額との差は一万五千円
 今回の勧告の元になっている都人事委員会調査によれば、民間従業員の平均給与月額は四十四万八千百八十二円、都職員の平均給与額は四十四万七千七百八十円となっています。この差が四百二円としているわけです。ところで、都職員は昨年度今年度の二年間、給与が四%減額されています。その減額分(平均で一万四千七百五十八円)を引くと都職員の実支給額は平均で四十三万三千二十二円。これと民間支給額との差、つまり現実の較差は一万五千百六十円となります。
 こんなにも減額されていること、民間との差も現実にこんなにもあることを改めて確認しておきましょう。

ボーナスを〇・〇五月分削減
 今次勧告では、ボーナス(期末・勤勉手当)について、民間は平均四・七月分であるとしています。そして、これに準拠させ都職員の期末手当を〇・〇五月分減額し、支給合計を現行の四・七五月分から四・七月分にせよと勧告しています。
 一昨年は〇・三月分、昨年は〇・二月分削減されていますから、三年間で、合計〇・五五月分削減ということになります。三年連続で年収減です。

育児休業期間を三年間に延長を勧告
 今年の人事院勧告で目を引いたのは、育児休業期間の三年間への延長、介護休暇期間の六カ月延長でした(詳しいことは「週刊墨教組」一三三二号参照)。
 今回の都人勧でも、これを受けてこの二つを「意見」として出しています。ただし、介護休暇については、延長期間を明示せず「期間の拡充と子どもの看護休暇についての検討が必要」としています。
 この「意見表明」をもとに、都労連は早期実現(条例改正)を求め、賃金確定交渉の中で、つめていくことになります。

「給与制度の抜本的見直しを検討」
 都人事委員会は今回の人勧の中で、「現行の給料表構造について、抜本的な見直しの具体的検討に着手」することを明らかにし、当面の課題として次の三つを挙げています。
 特別給における勤勉手当割合の拡大
 勤勉手当への成績率導入
 昇給制度の見直し
 これを受けて都は、十月四日の都労連小委員会交渉で具体案を提示しました(次号参照)。

能力業績主義による人事制度推進
 都人勧は、「職員の意欲を向上させ、その能力を最大限発揮できる人事システムの構築に向けた改革の考え方」を、「@能力業績主義の推進A複線型人事体系の構築B柔軟で機動的な人材登用・活用の推進の3つの方向を軸」とするとし、それぞれについて「中長期的なあり方」と「当面の課題」に分けて示しています。
 この内、@については、給与制度を見直し、能力業績主義に基づく「給与制度の再構築」を図るとするとともに、評価システムの充実を挙げています。この中では「評定精度の向上努力」「評定基準のあり方検討」「評定結果の活用」等を検討課題としています。その上で、「当面の課題」として「一般職員に対する評定結果開示の早期実現」を挙げているのが注目されます。
 Aは、行政職員について「複線型の昇任・育成体系」の確立を挙げ、従来の総合性育成の任用体系と併せて特定分野における専門性を重視する任用体系も整備する必要があるとしています。
 Bについては、民間等外部から即戦力となる人材を採用するため、任期付任用を含めた多様な任用形態の導入や内部職員の能力開発を促進する仕組みの整備等を挙げています。
 
重大な問題点もつ成績主義
 公務員の給与をはじめとする人事制度への能力業績主義(成績主義)導入には重大な問題点があります。私たちは、次の観点を指摘し続けてきています。
・公務労働における成績(業績・成果)とは何か
 成績主義・競争主義、ー公務労働における競争とは何か
 (それらはつまるところ「行政の効率化、適正化」の追求であり、「福祉切り下げ、弱者切り捨て、お上意識の更なる涵養」を必然とする)
・成績をどう評価するのか(都教委が強行導入した人事考課制度を見ても評価は不可能なことは明らか)
・成績評価による処遇の公平性とのバランスはどう確保されるのか
 (評価者の資質、能力、評価観点のありようにより評価が公平性を欠くものとなることは、特昇結果をみても明らかであり、人事考課制度による評価もそうなるであろう)
・成績主義管理の持ついじましく、非人間的な管理方法で管理され、労働させられることに耐えられるか
 (そうした労働を断固拒否したいというのが人間的欲求)
 私たちは、こうした問題点・観点から成績主義の導入・強化には、断固反対です。


期末手当をまたしても引き下げ
(〇・〇五月分、平均一万六千円)
  ベアはゼロ、当分の間三七五六円の一時金を三月一日に支給
 育児休業期間を三年に、介護休暇期間を六か月に延長
八月八日 人事院勧告

 八月八日、人事院は今年度の勧告を行いました。
 勧告・意見の主要点は、次の四点です。
 1.給料表の改定なし。つまり事実上ベースアップなし。
  官民給与の格差三百十三円は、年額相当分を一時金として支給。
 2.ボーナス(期末・勤勉手当)を〇・〇五月分引き下げ
  現行の年間四・七五月分→四・七月分
 3.職業生活と家庭生活両立支援のための条件整備(意見具申)
  @育児休業および部分休業(一日二時間)の対象となる子の年齢を    「一歳未満」から「三歳未満」に引き上げる→育休期間の延長
  A介護休暇の取得期間三月を六月に延長
 今年の勧告も、公務員の生活の維持・向上という観点から見て、きわめて不満な内容になっています。
 一方、育児休業および介護休暇期間の延長は大きな意味があります。

給料表の改定なしー事実上ベアなし
 人事院は、今年度四月時点における官民格差(民間企業と国家公務員との給与格差)は平均〇・〇八%(三百十三円)だとしています。そして、この格差を給料表の改定で埋めるのは困難であるとして、給料表の改定を行いませんでした。事実上、ベースアップなしということです。これで二年続きでベースアップなしということになります。

年額三千七百五十六円の一時金支給
 勧告は、ベアは見送ったものの、「官民格差は三百十三円ある」としたわけですから、これを埋める措置を勧告しなければなりません。そこで「三月一日を基準日として、三百十三円の十二月分三千七百五十六円の一時金を支給する」ことを勧告しています。この措置は、「来年以降生じる官民格差と合わせて給料表や手当の改定などの措置をとることを前提に」「当分の間」行うとなっています。つまり、来年度以降の官民格差調査の結果を見ながら、給料表改定ができるようならするし、できないようならこの方式(一時金支給・額は変わり得る)を続けるということです。
 ところで、給料表の改定(ベア)は、期末・勤勉手当にはねかえりますが(ベア月額の十六・七月分が年間の賃上げ額となる)、この一時金方式では十二月分で計算されるという問題点もあります。少額と言えども見逃すことはできません。

ボーナスを〇・〇五月分削減
 今次勧告ではボーナス(期末・勤勉手当)について、民間は平均四・六九月分であるとし、これに準拠させ公務員のそれを現行(四・七五月分)から〇・〇五月分削減せよとしています。一昨年は〇・三月分、昨年は〇・二月分削減されていますから、三年続きで合計〇・五五月分削減ということになります。
 削減は、「民間準拠」という建前から見ると筋が通っているように見えます。しかし、私たちは以前から民間の支給額との比較方式について問題点を指摘してきました。民間企業との比較は企業毎の職種・規模・職員構成等の違いを無視し単純平均で行われています。また、民間企業の名目的なボーナスのみを対象としています。これでは、正確な比較ということはできません。これらの問題点があることを人事院も認めています。しかし、今年も比較方式の改善を行うことなく、〇・〇五月分の格差があるとして削減勧告を行いました。
 なお、〇・〇五月分の削減は、年末手当で行うこととしています。
 現行の年末手当の
期末手当分一・六月 →一・五五月
勤勉手当分      〇・五五月
合計   二・一五月→二・一月
 早速、今年の年末手当から削減することとしているわけです。 

育児休業期間を三年間に延長を勧告
 今年の人勧で目を引くのは、育児休業期間の三年間への延長、介護休暇期間の六か月への延長です。
 人事院は、その趣旨について「男女共同参画社会の実現へ向けて、職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするための環境整備として、育児や家族の介護を行う職員の負担を軽減する」と説明、法律改正に向けての意見申し出と勧告をしたものです。
 育児休業については、現在「育児休業の対象となる子の年齢一歳未満」(つまり、育児休業をとれるのは、産休明けから子どもが満一歳になる日まで)となっているものを、「子の年齢を満三歳未満」に引き上げるというものです。つまり、育児休業期間を「産休明けから子どもが満三歳になる日まで」と大幅に延長することを勧告したものです。
 なお、部分休業(一日二時間の勤務時間短縮)についても、子が三歳になるまでと期間の延長を勧告しています。

 また、その育休間の代替要員について、現在はその期間において「臨時的任用(一年を限度)」で行われていますが、これと併せて育児休業期間を限度とした「任期付採用」も行うことを勧告しています。取得する育児休業期間を任期とした採用を可能とすることです。産育休代替教員(補助教員)にとっては、任期(採用期間)が長くなるわけで、現行より勤務が安定的になると言えます。

三歳未満の子がいて、復帰している人
    ー再度とること可能となる

 この勧告が実現されるためには、育児休業法の改正が必要です。人事院は、二〇〇二(平成十四)年四月一日実施を勧告しています。
 さらに人事院は、経過措置についても勧告しています。
・育児休業をした後、職務復帰したが、法律改正時に子が三歳未満である人の場合ー法改正後、満三歳になる間、再度育児休業をとることができます。
・法改正時に、現に育児休業中である人ー再度延長して、満三歳になるまでの期間とることができます。

介護休暇期間六か月に延長
 配偶者、父母、子、配偶者の父母等の親族が、負傷、疾病、老齢により介護を必要とする時、取れるのが介護休暇です。現在その期間は、連続する三か月となっていますが、それを六か月に延長することも勧告しています。
 これについても実施日を二〇〇二年四月一日としており、その時点で介護休暇中の人について、期間を六か月まで延長する経過措置も勧告しています。

 育児休業、介護休暇についての勧告は、私たちの要求に沿うものであり、評価することができます。早期に法改正が行われ、勧告されているように来年度から実施されるようとりくみを強めていかなければなりません。
 公務員連絡会は、この改正勧告を評価しつつ、さらに育児休業の男性取得促進の具体策について人事院に検討を求めるとともに、確定闘争・交渉の課題とすることにしています。



週刊墨教組 No.1324 2001.5.31

勤評抜擢特昇反対!
「業績評価の評定を基礎として」推薦せよと都教委
五月二四日 都教委、実施案を提示


週刊墨教組 11月17日付け速報版

11.17統一行動中止

年末手当二・三カ月、十二月八日支給、削減は年間〇・二月分
「高齢者再任用制度」二〇〇二年度から導入、
      「人事制度の見直し」は継続交渉
55歳昇給停止ー経過措置設け2002年度実施

 二〇〇〇年度賃金確定交渉は、期末年末手当(ボーナス)の再削減、「(現役職員の)人事制度の見直し」と「新高齢者再任用制度」のセット論を主張する都側の頑迷なる態度によってきわめて難航しました。
 しかし、山場の十七日に向けて、事態打開のためのぎりぎりの折衝、交渉が積み重ねられました。
 都側は、十七日午前一時に開かれた団体交渉で次の最終回答を示しました。
・年末手当二・三月分(期末手当一・八五、勤勉手当〇・四五)を十二月八日に支給する。
・五五歳昇給停止については、経過措置を設け二〇〇二年度から実施する。
・「高齢者再任用制度」については、導入を決断し、来年二月都議会で条例化をはかる。
・「人事制度見直し」については、来年度の確定交渉で結論を得られるよう交渉を継続する。
・夏季休暇について、現行三日を五日以内とする。

というものでした。
 これに対し、都労連は、きわめて不満な内容ではあるが、諸々の状況、条件からみて現時点では、この線でまとめざるを得ないと判断、妥結することに決しました。

■ボーナス、年間で〇・二月分削減
 都人事委員会は、現行の期末・勤勉手当年間四・九五月分を〇・二月分削減の勧告をしました。都側は、この勧告を盾に期末勤勉手当を年間四・七五月として、これにさらに昨年度の賃金確定交渉で妥結した〇・一五月分削減を上乗せして(つまり、〇・三五月分削減)、今年度の期末勤勉手当を年間四・六月分とすることを考えていました。 
 これに対し都労連は、昨年度の交渉経過、その結果としての「苦渋の選択」、また四%の給与削減と合わせて都職員が受けている打撃の大きさを挙げて反論、昨年妥結の〇・一五月以上の削減には絶対反対の立場で交渉しました。
 その結果、都側が昨年の経過に立ち、また四%の給与削減が来年度まで続くことを考慮し、「人勧完全実施」という言い方で、今年度の削減幅を〇・二月分と回答しました。昨年妥結の年間〇・一五月分削減に、さらに〇・〇五月分上乗せすることになりますが、都側が考えていた年間〇・三五月分削減を〇・二月分削減に止め得たことで妥結することにしたものです。この〇・〇五月分の削減分は、三月の年度末手当で引き下げることになりました。
 この結果、今年度の期末勤勉手当は、年間四・七五月(夏季手当二・〇、年末手当二・三、年度末手当〇・四五)ということになります。

■五五歳昇給停止、経過措置つけて導入
 都側は、「新再任用制度」の導入にあたっては、「人事制度見直し、とりわけ五五歳昇給停止を実施しなければならない」として、この問題に特にこだわり、その来年度からの実施を強硬に主張しました。都側をその理由として、@都人勧が三年来毎年その実施を勧告しているA国家公務員については、既に昨年度から実施されているB民間企業との均衡等を挙げました。そして、最終的に「実施時期は二〇〇二(平成十四)年とする。経過措置については今後協議する」との案を示しました。
 そうした中で都労連としては、この問題を「人事制度見直し案」総体から切り離して実施することは止むを得ないと判断し、最終案で妥結することにしたものです。 

■「新高齢者再任用制度」創設
働く意欲ある高齢者全員雇用の要求実現をめざす
 「新高齢者再任用制度」の創設に当たって都労連は、「働く意欲のある職員について『全員雇用』と『生活保障』を基本的スタンスにせよ」と要求しています。
 一方、都側は「全員雇用を保障するものではない」と言明、また「定年前職員の任用・給与制度と一体をなす制度」だとして、制度化の前提として「(現役世代の)人事制度と再雇用制度の見直しが必要」としました。
 この両者の対立は、なかなか埋まりませんでしたが、最終的に都側は、「五五歳昇給停止実施を前提に導入を決断する(二〇〇二(平成十四)年度実施)」「全員雇用についての保障は困難だが、再雇用制度を併存させ、個別の問題ケースについては協議する」「再雇用制度の見直しは二〇〇二年度実施ー勤務日数は原則月十三日、再任用満了者については月十六日とする」との回答を示しました。
 「新再任用制度」は、国の制度が来年四月から実施されることとのからみもあり、また、来年度の定年退職者から年金の満額支給が六一歳からになることとの関係もあり、二月都議会で条例化することが必要な問題としてありました。
 都労連としては、まずは制度導入と全員雇用をめざしていたわけで、その点で一定の足がかりを得たとして、これで妥結することにしました。

■「人事制度見直し」は、継続交渉
 都側は「新再任用制度」の創設には「(現役職員の)人事制度見直し」が「前提条件」であるとのセット論を展開していました。「人事制度見直し」には、勤勉手当への成績率導入・定期昇給制度の成績主義的見直し(業績評価による実施の可否判定)・級格付け(給料表ワタリ)廃止等が含まれ、成績主義に基づく給与・任用制度の再編成をめざすものでありました。都労連の強い反対の中で、最終的に都側は「人事制度見直し」を切り離し、継続交渉事項とすると回答しました。撤回ではなく、継続交渉となったことは問題ですが、成績率導入をこれで五年連続阻止したことの意味は大きいと言えます。

■夏季休暇・福祉関連要求についての回答
 夏季休暇→五日以内(現行三日以内)
 妊娠初期休暇→来年度から十日以内(現行七日以内)
 介護休暇→期末手当の在職期間算定にあたって、来年度夏季手当から除算の対象からはずす(現行は、五割除算ー例えば、五〇日あれば二五日を在職期間から除いて計算)


週刊墨教組 No.1300  2000.11.14 

ボーナス再削減・五五歳昇給停止・週刊墨教組 
  成績率導入・定期昇給制度改悪等断固阻止!
意欲ある者全員雇用の「新再任用制度」の確立!
要求実現めざし、十一月十七日都労連統一行動(一時間スト)

 二〇〇〇年度の賃金確定交渉・闘争が進められています。
 都労連は、山場を十一月十七日に設定し、そこに早朝一時間ストライキを配置し、それを背景に交渉を強化していますが、交渉はきわめて難航しています。難航の理由は、明確に都側にあります。
 都側は、昨年のボーナス・給与削減をめぐる交渉経過、また都労連の「苦渋の選択」を伴った「労使合意」を無視し、さらなる削減を主張しようとしています。私たちは、今以上の犠牲を払うことはできません。
 さらに都側は、人事任用・給与制度の成績主義的再編成を完成させるため「(現役職員の)人事制度の見直し」の強行をめざし、あろうことかそれを「新高齢者再任用制度」創設の「前提条件」(つまりワンセットのもの)だとしています。
 「人事制度の見直し」は。成績主義による人事制度(任用・給与)の徹底という基本線で貫かれており、「定期昇給の見直し(成績主義導入)」「五五歳昇給停止」「勤勉手当への成績率導入」等、絶対に承服できないものが含まれています。これらを受け入れることは、私たちにはできません。
 私たちは、こうした都側の姿勢に抗議し、また要求実現をめざし、
 十七日に都労連統一行動に連帯して闘います。

期末勤勉手当の再削減、絶対反対!
 今年の都人勧は、給料表の改善なし、扶養手当と住居手当の若干の改善、期末勤勉手当(ボーナス)のさらなる削減(〇・二月分)を勧告しました。
 都側はこの勧告を盾に、期末勤勉手当のさらなる削減を図ろうとしています。都側は例年「人勧実施については慎重に検討する」と言い続けてきました。ところが今年は「勧告内容を重く受け止める必要がある」と、手のひらを返したような態度をとっています。こういうことを「ご都合主義」と言うのです。 
 都人事委員会が勧告したのは、現行の期末・勤勉手当年間四・九五月分を〇・二月分削減というものです。条例上はたしかに年間四・九五月分となっています。ところで、、昨年度の賃金確定交渉の中で、都労連は二〇〇〇年度、二〇〇一年度の二年間給与の四%カット、期末勤勉手当の〇・一五月分削減という「苦渋の選択」をしました。その結果、今年度の期末勤勉手当は、条例上とは異なり年間四・八月分として支給されているわけです。これ以上の削減には、耐えられません。再削減に断固反対します。
勤勉手当への成績率導入断固阻止!
 都は、十月二六日の交渉の際、成績率導入について次のように新たな提案を行いました。  
適用範囲 全任命権者における主任
の職以上の一般職員
段階 上位、中位、下位の三段階
原資   対象職員全体から二%拠
分及び下位からの減額分
 適用範囲を狭めているものの、差別・選別支給という性格はまったく変わりありません。導入を断固阻止しなければなりません。
 ところで、対象を「主任級以上の一般職員」とした場合、教員はどの範囲になるのでしょうか。これについて都側は明確にしていませんが、ヒントとなるのは、ボーナス(期末・勤勉手当)への加算制度です。ボーナスには、行政職の場合、主任級以上(四級給料表適用者)と係長の一部(五級給料表)に五%加算、係長の一部(六級給料表)と課長補佐の一部(六級給料表)に十%加算、それ以上については、十五%〜二十%の加算が行われています。教員の場合主任、係長、課長補佐等の職がありませんから、次のように定められています。
 経験十二年以上の教員五%加算、経験三十年以上教員十%加算(教頭十%、校長十五%、校長経験七年以上は二十%)。
 つまり、教員経験十二年以上の者を行政職の主任級と同等としているわけです。これを都の「成績率導入の適用範囲案」にあてはめて考えてみることができるわけです。経験十二年以上、つまり、年齢で言うと三四、五歳から上の人が「成績率」の適用範囲ということになります。 
 都が主任級から上のものを適用範囲としたことには明確な意図があります。主任→係長→課長補佐と昇格していく最初の階梯が主任です。そのあたりから上の職で管理職手前の者同士を競わせようということです。教員についてもその意図のもとに制度化をはかろうと考えているのでしょう。

高齢者全員雇用の「新再任用制」を!
 「新高齢者再任用制度」の創設に当たって都労連は、「働く意欲のある職員について『全員雇用』と『生活保障』を基本的スタンスにせよ」と要求しています。
 一方、都側は「全員雇用を保障するものではない」と言明、また「定年前職員の任用・給与制度と一体をなす制度」だとして、制度化の前提として「(現役世代の)人事制度見直し」が必要としているわけです。 私たちは、あくまでも「働く意欲ある希望者全員の雇用」を求めて闘います。また現行「再雇用制度」についても、一層の労働条件改善を求めていきます。

定期昇給の成績主義的見直し反対
 「人事制度の見直し」提案の中で都側があげている、「定期昇給の見直し」はきわめて重大な問題です。これについて都側は「勤務成績の厳格な判定に基づき昇給の可否が決定される制度へ」と説明しています。現行の定期昇給制度は、病気休暇、欠勤が一定日数以上あったり、懲戒処分を受けたりすると昇給が延伸されることがありますが、通常勤務をしている限り必ず一年に一度昇給します(これが定期昇給)。これを業績評価による「成績」によって昇給させるかどうか決めるという制度に代えるというわけです。成績主義の徹底という路線を定期昇給にも持ち込もうというものです。反対せざるを得ません。


週刊墨教組 No.1299  2000.11.9

許すまじ!ボーナス再削減、成績率導入
  都労連統一行動(一時間スト)は十一月十七日

 二〇〇〇年度の賃金確定交渉・闘争が進められています。
 しかし、都側が「人事制度の見直し」と「新再任用制度」をワンセットのものだとしているため、また、ボーナスの再削減を考えているため、交渉はきわめて難航しています。
 都労連は、山場を十一月十七日に設定し、そこに早朝一時間ストライキを配置して、それを背景に交渉を強化することにしました。
 都側は、あらゆる機会をとらえて人事任用・給与制度を成績主義的に再編成することをめざしてきています。今年度の賃金確定交渉でも、このことに固執し、だからこそ採用から定年後再任用までを網羅した「人事制度見直し案」(別掲)を提案、その強行実施をめざしているわけです。
 しかし、私たちは、これを受け入れることはできません

成績主義による人事制度の徹底
 別掲の「人事制度見直し案」をご覧ください。「採用から新再任用制度まで一体の制度として整備する」とし、その方向性を「ポスト重視」「能力・業績主義の一層の推進」「複線的な任用・育成コース整備(実は、すべての任用関係を「選考」で行うということ)」に置くとしています。要するに、成績主義による人事制度(任用・給与)の徹底ということです。
 具体的な内容をみるとこのことがさらにはっきりします。
「定期昇給の見直し」
 例えば「定期昇給の見直し」が挙げられています。これについて都側は「勤務成績の厳格な判定に基づき昇給の可否が決定される制度へ」と説明しています。現行の定期昇給制度は、病気休暇、欠勤が一定日数以上あったり、懲戒処分を受けたりすると昇給が延伸されることがありますが、通常勤務をしている限り必ず一年に一度昇給します(これが定期昇給)。これを業績評価による「成績」によって昇給させるかどうか決める制度に代えるというわけです。
 「五十五歳昇給停止」について、都側はその理由として「世代間の給与配分の適正化」「年功的要素の縮小」をあげています。「年功的要素」に代わるものは「成績・業績的要素」です。
 「成績率の導入」は、成績主義の最たるものです。職務成績を上、中、下の三ランクに評定し、下位者から一定額を取り上げ、上位者に配分するというのが「成績率制度」です。支給原資を変えずに成績・業績を競わせ分捕り合戦をさせるといういじましい制度です。
 「級格付の廃止」。「級格付」とは、学校現場では事務職員・栄養職員に適用されています。四級給料表から五級、五級から六級の給料表へというように給料表を「ワタル」ことです。行政職では、主任、係長と職が変わる度に(昇任する度に)給料表が変わります。ところが、学校事務職員や栄養職員には、それがありません。また、次の給料表に変わらないと今適用されている給料表では号級が短く一番上までいってしまうことがあります。そうなると定期昇給すらなくなります。さらに、昇給間差も小さく昇給額も少額になります。そこで、経験年数等によって、次の級の給料表を適用させるという制度がつくられました(長期主任級・係長職選考)。それが「級格付」です。それを廃止するというのです。
 上の給料表に上がりたかったら、上位職の「選考」を受けろというわけです。それが「長期主任級職選考の再構築」「長期係長選考の廃止」と表現されているものです。この問題も、「ポスト重視」、「成績主義」そのものです。
 
 こうした問題を持つ「人事制度の見直し」と「新高齢者再任用制度」はワンセットだと都側は主張しているわけです。
 ひとつひとつがきわめて重大な問題を含むことがらを、ろくに話し合おうともせず、「これを飲まなきゃこれもだめよ」と脅迫する態度は、全く納得できません。


週刊墨教組 No.1297  2000.10.26

成績主義により事実上の定年延長者を選別雇用
  現職者の任用・給与制度改悪とのセット論はあまりに不当!
  「新高齢者再任用制度」都当局案

 前号に国の「高齢者再任用制度」の概要・問題点を掲載しました。
 都は、国のこの制度創設に合わせて、新たな高齢者雇用制度をつくろうとしています。
 ところで、国には「再任用制度」はありませんでしたが、都には八五年に制度化された「再雇用制度=嘱託員制度」があります。そこで、都は現行「再雇用制度」の見直しを含め、新たに確立しようとする制度を「新再任用制度」といっているわけです。
 この制度確立にあたって、都労連は、「働く意欲のある職員について『全員雇用』と『生活保障』を基本的なスタンスとすべき」だとして、その立場から都側との交渉を進めてきています。
 一方、都側は、「全員雇用を保障するものではない」「定年前職員の任用・給与制度と一体をなす制度」であり、「定数や人件費の増大を招かないことが必須条件」などと、制度化の前提として「現役世代の人事制度」の見直しが必要であるとしています。つまり、新たな制度導入と現職者の人事任用・給与制度をワンセットとして、例えば五五歳昇給停止や級格付け(ワタリ)廃止、また勤勉手当への成績率導入・定期昇給制度の見直し等の成績主義による人事・給与制度改悪が前提との態度をとっています。
 これらの問題が、今年の賃金確定闘争・交渉の重大な争点、課題となります。

高齢者の雇用保障、生活水準確保が趣旨
 そもそも「高齢者再任用制度」の基本は、年金制度の見直しとの関連で「雇用と年金との連携」にあります(前号参照)。支給年齢の引き上げという年金制度の改定に合わせ、満額年金支給まで雇用を保障し、一定の生活水準を確保することが、この制度創設の目的です。  
 この目的・趣旨から言えば、働く意欲のある職員の「全員雇用」は当然であり、都労連はその点をふまえた都側の対応を求めています。

「即戦力」として再雇用
 都側が現段階で明らかにしている「新再任用制度(当局案)」では、基本的な考え方として次の諸点を挙げています。
 「少子・高齢化社会に対応するとともに、年金制度の改正に合わせ、これまで以上に退職職員の知識・経験の本格的活用が必要」とし、その活用に当たっては、「@退職職員の知識・経験を即戦力として本格的に活用することにより、都民サービスの向上等行政の効率的運営A退職職員の生活設計の選択肢の一つとして、年金制度の改正に合わせて、公務部門において雇用機会を提供することによる退職後の生活の支援」という観点で制度化を図るとしています。

制度内容、基本的に国と同じ
 その上で、「制度の内容」として、「対象者(定年退職者・それに準ずる者)、任用形態(フルタイム勤務者と短時間勤務者)、任用期間(満額年金支給年齢まで)、勤務時間(フルタイムー週四十時間、短時間勤務ー週十六〜三二時間)、休暇・共済・健康保険・公務災害(フルタイム勤務者は正規職員と同じ)、定数(フルタイムー定数内、短時間勤務者ー別途管理)については、国の制度と全く同じ内容(前号参照)を当局案としています。 

退職時の職の継続ー即戦力
 「職務内容」については、「退職職員の知識・経験を即戦力として本格的活用」という立場から、「定年前職員と同様の恒常的


週刊墨教組 No.1296  2000.10.19

給与を大幅ダウンして事実上の定年延長
国の「高齢者再任用制度」創設(二〇〇一年四月)

 昨年六月、国会で公務員の定年退職後の「再任用(雇用)」についての法律が成立し、「高齢者再任用制度」が創設されます。
 そこで、今号では国が創設した「高齢者再任用制度」とは何か、その内容、問題点等について簡単にみておきます。

満額年金支給までの雇用保障
 公的年金は、二〇〇一年度から支給開始年齢が段階的に引き上げられます(別表参照)。最終的には、一九四九(昭二四)年四月二日以降生まれの人は、六五歳になるまで満額年金が支給されないことになります。共済組合の退職共済年金部分は六〇歳から支給されますが、これは満額年金の約半分の金額(十数万円)であり、それだけで生活できる金額とはいえません。 
 そこで、公務員が定年退職あるいは、一定の勤務年数後(二五年)に勧奨退職した後も、満額年金支給時まで雇用を保障し一定の生活水準を確保するために創られた制度が「再任用制度」です。
 その内容は次のようになっています。

二つの勤務形態
 フルタイム勤務ー週四〇時間勤務  フルタイム勤務は、退職後正規職員として再採用するということです。したがって定年前の職員と同様な本格的職務に従事します。
そこで勤務時間、年次休暇日数、服務関係、健康保険、公務災害補償等は正規職員と同じです。
 異なるところは、給与が大幅ダウン(国の場合、教員で二十三万三千三百円、ボーナス年間二・五月)することです。
 また、都の現行の「再雇用制度」では定数外ですが、フルタイム勤務者は定数内ということになっています(つまり、教員の場合で言えば学級・教科担任として勤務するということになります)。
 要するに、給与を大幅にダウンをした上での定年延長と言えます。

年月生日

満額年金開始年齢

再任用期間
昭和16.4.2〜18.4.1 61歳 61歳まで
昭和18.4.2〜20.4.1 62歳 62歳まで
昭和20.4.2〜22.4.1 63歳 63歳まで
昭和22.4.2〜24.4.1 64歳 64歳まで
昭和24.4.2以降生 65歳 65歳まで

短時間勤務ー週十六時間〜三二時間
 短時間勤務は、一日の勤務時間、八時間以内。隔日や午前中のみの勤務も可能。給与はフルタイム勤務者の給与を基礎に勤務時間に応じて決定となっています。年次休暇も勤務時間に応じた日数となり、健康保険は国民健康保険に加入ということになります。

任期は、満額年金支給開始年度まで
 任期(再任用期間)は、どちらの勤務形態の場合も、満額年金支給年齢に達する年度の年度末まで(別表参照。)
 この制度の発足は、二〇〇一年四月ですから、来年度定年退職者(二〇〇二年三月三一日退職)が初めての対象者ということになります。この人たちの任期は一年間。

成績主義に基づく選考
 選考は、「従前の勤務実績等に基づく選考」となっていますが、この制度の目的のひとつに六〇歳代前半高齢者の「能力・経験を有効に活用」ということが挙げられており、成績主義に基づく選考を考えているものと思われます。
 以上が、国の再任用制度の概要です。

都、現行「再雇用制度」を見直し
 都は、この制度をにらんで現行「再雇用制度」の見直しをはかるとしているわけです。
 次号で、現在明らかになっている都の考え方、問題点を明らかにします。    


週刊墨教組 No.1295  2000.10.12

都人勧も期末手当引き下げ(〇・二月分)
 ベアは0、住居・扶養手当のみ改善
 十月五日 都人事委員会

 十月五日、東京都人事委員会は都知事及び都議会に対し、職員の給与等に関する勧告を行いました。勧告の主要点は、次の六点です。
 @給料表の改定なし。つまり事実上ベースアップなし。
 Aボーナス(期末・勤勉手当)を〇・二月分引き下げ
 B扶養手当の改善
  配偶者以外の扶養親族の内二人の手当額 五千円→五千五百円
  三人目以降の手当額          二千円→三千円
 C住居手当の改善
  扶養親族ありの世帯主 八千七百円→九千円
  扶養親族なしの世帯主 八千二百円→八千五百円
 D給与制度の見直しー能力・成績主義の徹底
 E新任用制度に関する意見(次号で詳報)
 今年の勧告も、公務員の生活の維持・向上という観点から見て、きわめて不満な内容になっています。

給料表の改定なしー事実上ベアなし
 人事委員会は、今年度四月時点における公民格差(民間企業と都公務員との給与格差)は平均〇・一三%(五百六十八円)だとしています。そして、この格差がきわめて小さいため給料表の改定で埋めるのではなく、扶養手当・住居手当の改善で埋めるとし、給料表の改定を行いませんでした。事実上、ベースアップなしということです。

ボーナス、〇・二月分削減勧告
 今次勧告ではボーナス(期末・勤勉手当)について、民間は平均四・七六月分であるとし、これに準拠させ公務員のそれを現行の四・九五月分(期末手当四・〇五、勤勉手当〇・九)から期末手当分を〇・二月分削減せよとしています(職員平均年間八万円減)。

さらなる削減は不当!
 ところで、私たちは、昨年度の賃金確定闘争・交渉の中で、給与の四%、期末手当の〇・四五月分を二年間(二〇〇〇年度と二〇〇一年度)削減するということで妥結するという苦汁の選択をしています。
 九八年度の期末・勤勉手当は年間合計五・二五月でした。九九年度は、ここから〇・三月分削減され四・九五月分、二〇〇〇年度はさらに〇・一五月分削減で四・八月分支給されるだけとなっています。今年度、条例上は四・九五月支給ですから、それと比較し、〇・一五月分減額されていることになります。
 今回の勧告は、条例上の四・九五月から〇・二月分を削減せよとしているわけですが、都側がこれを理由とし、昨年妥結を越えてさらに削減しようとする恐れがあります。九九年度の妥結内容は、期末・勤勉手当の〇・一五月分を二年間削減するということであったわけであり、さらなる削減は昨年度の交渉経緯、妥結内容からみてきわめて不当です。
 また、私たちの生活実態からみても許すことはできません。

扶養手当の改定
 人事委員会は、官民格差が〇・一三%あるとした上で、その是正を給料表で行うのではなく、扶養手当と住居手当で行うとしました。
 この内、扶養手当については、
配偶者以外の扶養親族の内
・二人目までの手当額を
 現行一人につき月額五千円
 →五千五百円
・三人目以降の手当額を
 現行一人につき月額二千円
→三千円
というものです。その他の扶養手当額の改定はありません。

住居手当の改定
 都職員に対しては、世帯主または世帯主に準ずる者に対し住居手当が支給されています。そして、扶養家族の有無によって、支給額が異なる制度になっています。今回の勧告では、次のように改定額が勧告されています。
 扶養親族あり
  現行八千七百円→九千円
 扶養親族なし
  現行八千二百円→八千五百円

給与体系の見直しー成績主義の徹底
 人事委員会はここ数年勧告の度毎に成績主義の徹底を勧告・意見表明してきています。今年もまた、この観点から、以下の人事・任用制度にかかわる諸点を「意見」という形で出しています。
・五五歳昇給停止
・勤勉手当への成績率導入
・給料表の構造、手当制度、昇給制度見直し
・評価システムの整備
・民間人材の採用とそれをも展望した給与制度の確立
・専門性を育成できる複線型の人事体系の確立
 つまり、給与制度については現行の年功序列給与体系を改め、個人の能力・成績を重視した給与体系に変えていくということです。給料表の組み立て方、定期昇給や特別昇給のあり方、手当制度等、給与制度全体の変革を成績主義を基軸として行おうとするものです。
 さらに、人事任用制度そのものを成績主義強化の観点から見直すことを求めているわけです。 

成績率導入、何としても阻止しよう
 これらの問題の内、五五歳昇給停止と成績率導入については、今年度の賃金確定闘争・交渉の重大な課題となることは確実です。しかし、何としても引き続き阻止していかなければなりません。


週刊墨教組 No.1289  2000.9.1

期末手当をまたしても引き下げ(〇・二月分、平均六万九千円)
 ベアは〇、扶養手当のみ若干の改善 八月十五日 人事院勧告

 八月十五日、人事院は今年度の勧告を内閣及び国会に行いました。
 勧告の主要点は、次の四点です。
@給料表の改定なし
つまり事実上ベースアップなし
Aボーナス(期末・勤勉手当)を
〇・二月分引き下げ
 現行の年間四・九五月分→四・七五月分
B扶養手当の改善
  子などの内二人までの手当額   五千五百円→六千円
  子などの内三人目以降の手当額  二千円→三千円
C給与制度の見直しー能力・成績主義の徹底
 今年の勧告も、公務員の生活の維持・向上という観点から見て、きわめて不満な内容になっています。

給料表の改定なしー事実上ベアなし
 人事院は、今年度四月時点における官民格差(民間企業と国家公務員との給与格差)は平均〇・一二%(四百四十七円)だとしています。そして、この格差を給料表の改定で埋めるのではなく、扶養手当の改善で埋めるとし、給料表の改定を行いませんでした。事実上、ベースアップなしということです。給料表の改定が行われなかったのは、人事院勧告制度が公務員労働者のストライキ権剥奪の代償措置として設けられた一九四九年以来、初めてのことです。

ボーナスを〇・二月分削減
 今次勧告ではボーナス(期末・勤勉手当)について、民間は平均四・七五月分であるとし、これに準拠させ公務員のそれを現行(四・九五月分)から〇・二月分削減せよとしています。昨年は〇・三月分削減されていますから、二年続きの削減ということになります。
 削減は、「民間準拠」という建前から見ると筋が通っているように見えます。しかし、私たちは以前から民間の支給額との比較方式について問題点を指摘してきました。民間企業との比較は企業毎の職種・規模・職員構成等の違いを無視し単純平均で行われています。また、民間企業の名目的なボーナスのみを対象としています。これでは、正確な比較ということはできません。これらの問題点があることを人事院も認めています。しかし、今年も比較方式の改善を行うことなく、〇・二月分の格差があるとして削減勧告を行いました。
 なお、〇・二月分の削減は、年末手当で行うとしています。
 現行の年末手当の
 期末手当分一・七五月→一・六月
 勤勉手当分〇・六月→〇・五五月  合計 二・三五月→二・一五月
 早速、今年の年末手当から削減することとしているわけです。 

扶養手当の改定
 人事院は、官民格差が〇・一二%あるとした上で、その是正を給料表で行うのではなく、扶養手当で行うとしました。これは、ここ数年来給料表の上でも行ってきている中堅層への配分重視方針を踏襲したものでもあります。
 具体的には、
 子などの内、二人目までの手当額を
  現行一人につき月額五千五百円→六千円
 子などの内、三人目以降の手当額を
  現行一人につき月額二千円→三千円
というものです。その他の扶養手当額の改定はありません。

給与体系の見直しー成績主義の徹底
 人事院はここ数年勧告の度毎に成績主義の徹底を勧告してきています。九八年度に勧告した五五歳昇給停止、勤勉手当への成績率導入は、国家公務員についてはすでに実施されています。
 今回の勧告では、さらに踏み込んで、「現行の総合給型の構造を、職員の職務、能力の伸長や経験の蓄積、すぐれた成果や実績という三要素を踏まえ、基本的に見直し(号俸構成、昇給制度〔昇給期間、特別昇給〕など)」と「俸給体系の見直し」をおこなうとの態度を明らかにしました。つまり、現行の年功序列給与体系を改め、個人の能力・成績を重視した給与体系に変えていくということです。給料表の組み立て方、定期昇給や特別昇給のあり方等、給与制度全体の変革を成績主義を基軸として行おうとするものです。具体的には、定期・特別昇給に成績主義を今まで以上に導入し、それに対応する給料表を構成するということを考えていると思われます。


週刊墨教組 No.1283  2000.6.7

勤評抜擢特昇反対!
 都教委、連抜禁止規定廃止強行!
 「ただし、連抜を奨励するものではない」と、都教委

 「週刊墨教組」一二八二号でお知らせしたように、都教委は特昇の「運用基準」から、二年以上連続して特昇を受けることを禁止する条項(連続抜擢〈連抜〉禁止条項)を削除することを含む実施案を示しました。
 この実施案をめぐって、東京教組と都教委の間で二回の交渉がもたれました(五月二九日、六月一日)。
 東京教組は、特に連抜禁止条項をはずすことに反対し、その撤回を強く求めました。

連抜禁止削除は賃金差別の強化
 都教委が連抜禁止条項を削除する本質的なねらいは、「成績主義の推進」です。また、来年度からの「業績評価に基づく抜擢特昇」の実施を見据えていることも明らかです。
 連抜禁止をはずせば、連続特昇が可能となります。毎年、特昇が措置される人と、全く措置されない人が出てきて、賃金差別が拡大することになります。特昇を使って、業績評価に物言わせ、また給与制度そのものの改悪までねらっているとも言えます。
 都教委は、東京教組の追及に対し、「都教育庁以外の部局は、連抜禁止はしていない。それと合わせるためだ」と、言い抜けつつ、連抜禁止条項削除を強行しました。

「連抜を奨励するものではない」
 交渉の中で都教委は、つぎのように答えています。 
 「連抜禁止条項を廃止したからといって、連抜を奨励するものではない。特昇を措置するということは、その効果はその年度に止まるだけではなく、次年度以降にもその効果がある重い措置である。十分に考えて具申するよう指導する」
 このやりとりは、都教委・東京教組の特昇をめぐる「一問一答」には、次のように表現されています。
質問「人事考課制度の導入を前提とした特昇制度の改悪を行わないこと。運用基準については、昨年度と同様とすること。また特定者に特昇が集中しないよう、これまでの特昇の経過を考慮して行うこと」
回答「連抜禁止規定の廃止は、成績主義の一層の推進のため、行うものであり、人事考課制度の導入のためではない。なお、このことは、特定の人に毎年連続して特昇を措置することを奨励するものではない。成績特昇の実施にあたっては、その効果が次年度以降にも及ぶことを十分に認識し、特別昇給措置者の推薦と決定が今までにも増して公正に行われるよう努めていく」

経過を踏まえ、とりくみを進めよう
 連続特昇可能という新たな状況の中で、特昇問題への具体的とりくみが始まります。
従来の経過を踏まえ、また新しい事態には都教委回答を梃子(てこ)にとりくみを進めていかなければなりません。


  九九賃金確定闘争に勝利しよう!
11・12、早朝区役所前決起集会
 決議

 本日早朝、私たちは、怒りと、ひしひしと迫る危機感を持って、この場に集まりました。

 今回の、九九賃金に関する都の具体的な提案は、
 一、期末勤勉手当 一〇.五%(〇、五五ヶ月分)カット (今年度より三年間)
  二、給与 4%カット   (来年度より三年間)
  三、勤勉手当への「成績率」導入
  四、五五歳への昇給停止年齢引き下げ
というものです。

つまり、三年間にわたり毎年、給料の一ヶ月分以上が削減されてしまうのです。

都はしきりに、「財源不足で危機的状況」を理由にしています。しかし、財政危機を招いた当局の責任を明らかにしないまま、私たち職員に責任を押しつけるのは全く不当です。
ましてや「このままでは財政再建団体に転落してしまう。」と、脅し、迫ってくる都の姿勢は言語道断です
しかも、公務員に対するストライキ権を制限する代償として「人勧制度」があるのに、都当局は、使用者としての最低限の責務をも果たそうとしていないのです。

都は、私たちを人事考課制度で管理し、「成績率」導入でおたがいに協力し、助け合う職場態勢をうばおうとしています。そしてまた一方で、「給与削減」という私たちの生活の基盤をうばおうとしているのです。

 このような都の暴挙を許すことはできません。
 そして、 団交でも、「給与削減」を前提とし、一二月都議会でおしきろうとする都の強硬な姿勢を決して許すことはできません。

 私たちは、 労働者の誇りを持ち、民主的な職場をめざし闘い続けてきました。そして今また、力を合わせ、立ち上がります。
「給与削減」提案の「白紙撤回」、人勧完全実施、「成績率」導入阻止を実現するために最後まで闘います。
右、決議します。

一九九九・一一・一二
九九賃金確定闘争勝利
一一.十二墨田区教職員組合決起集会
    



週刊墨教組1259号 1999.11.24

人勧完全実施の意味は大きいが・・・
  
ベア差額支給日は、十二月二七日(月)予定

九九賃金確定闘争の結果、今年度の人事委員会勧告の完全実施が確定しました。完全実施とは言うものの、今年の人勧は、〇・二九%(千二百六十六円)という低率です。その上、期末手当を〇・三月分削減、人事委員会の試算でも差し引き平均して十一万円の減収(前年度の平均年収マイナス今年度の平均年収)になるというものです。しかし、完全実施させない訳にはいきません。人勧は労働基本件剥奪の代償措置であり、その実施は使用者(政府・都)の義務です。私たちにはその義務を履行させる権利があります。また、人勧は私立学校教員はもちろん多くの労働者の賃金や生活保護基準・年金その他にも重大な影響をもっています。そうした人々との連帯の意味からも、人勧を完全実施させることは、私たちの義務でさえあります。都労連が人勧完全実施にこだわり、それを実現したことは、これらの点から正しいと言えます。

差額支給予定日は十二月二七日
 人勧完全実施の結果、私たちの給料表は今年四月にさかのぼって改定(ベースアップ)されます。改定給料表と、現実に支払われてきた給料との間に差額が生じたことになります。そこで、その差額の清算が行われることになるわけです。
 差額の清算は、都議会で給与条例が可決された後、行われます。都労連と都側との交渉で、年内清算を行うことが確認され、差額支給日として十二月二七日が予定されています。

差額はきわめてわずかな
 人勧による給料表の各号給の引き上げ額は二百円〜二千円。その引き上げ額とそれに対応する調整額と手当の十三・七五月分(四月〜十二月の九カ月分と夏季手当・年末手当の合計四・七五月分を合わせて十三・七五月分)が差額として支給されることになります。
 教員について言えば、差額支給額は、標準的には次の算式で算出されます。
 引き上げ額×一・〇四(教職調整額四%)×一・一二(調整手当)×十三・七五
 ただし、ここから税金(所得税・住民税)、共済組合費が引かれます。したがって、実際の差額支給額は、三千円から三万円弱程度ということになります。

今年度削減の〇・三月分は年度末手当から
 なお、人勧に基づく期末手当〇・三月削減の分は、三月支給の年度末手当で行われます。年度末手当は、現行条例では期末手当として〇・五五月分ですから、そこから〇・三月分減じられます。そこで、今年度の年度末手当は、〇・二五月分ということになります。

来年度から二年間の期末・勤勉手当は、 年間四・八月分
 来年度から二年間、期末・勤勉手当が〇・四五月分削減されることになりました。現行は、年間支給月数五・二五月です。そこから〇・四五月分削減で、来年から二年間は、年間支給月数四・八月ということになります。
 具体的には、上のようになります。( )内は現行月数です。
 なお、期末・勤勉手当算出の基礎となる給料額は、給料を四%減じるまえの額です。


育児休業者への期末勤勉手当支給
 今年の国および都人勧は、「期末勤勉手当の支給基準日に育児休業中の職員に、勤務実績に応じて期末勤勉手当を支給できる制度改善を行うべき」との勧告を出しました。今回の確定交渉の中で、都側はこの勧告を受け入れ、一二月都議会に条例改正案を提出すると回答しました。実施は、二〇〇〇年一月になります。

号数 現行支給額 改定額 引き上げ額
2 1664 1666 2
3 1748 1750 2
4 1840 1842 2
5 1951 1953 2
6 2021 2025 4
7 2095 2101 6
8 2171 2179 8
9 2251 2261 10
10 2364 2376 12
11 2483 2498 15
12 2604 2620 16
13 2733 2750 17
14 2864 2882 18
15 2998 3017 19
16 3138 3157 19
17 3277 3297 20
18 3407 3427 20
19 3509 3529 20
20 3609 3629 20
21 3709 3729 20
22 3794 3814 20
23 3878 3898 20
24 3957 3976 19
25 4029 4047 18
26 4096 4112 16
27 4155 4170 15
28 4211 4224 13
29 4264 4274 10
30 4314 4323 9
31 4364 4371 7
32 4407 4413 6
33 4450 4455 5
34 4493 4497 4
35 4530 4533 3
36 4556 4559 3
37 4582 4585 3
38 4608 4611 3
39 4634 4637 3
40 4660 4663 3
41 4686 4689 3
42 4712 4715 3
43 4738 4741 3


都労連「賃金は交渉で決定」の原則維持を重視し、
苦汁の決断

17日のストライキ中止

給与削減(給与の四%、期末手当〇・四五月分)は二年間に限定
人勧は完全実施ー(ベア〇・二九%)
「成績率導入」、「昇給停止年齢引き下げ」は、当面阻止

 九九年度賃金確定交渉は、九月三日に都が「給与削減の時限的措置」提案を行い、その実施について強硬姿勢をとり続けたため難航に難航を重ねてきました。 
 しかし、最終山場の十七日に向けて、事態打開のためのぎりぎりの折衝、交渉が積み重ねられました。最終的に、都側は石原都知事自身が「都財政危機を招いた原因は都政運営の誤りにあり、都に責任がある」と言明し、その上で事態打開を求めてきました。
 また、都側は、「給与削減」提案について
 「給与の四%を三年間削減→二年間削減(三年目については社会経済状況を踏まえて検討)
 期末手当〇・五五月分を三年間削減→〇・四五月分を二年間削減
 退職手当への反映はさせない」
との、若干の譲歩案を都労連に示してきました。
 また、「成績率導入」「昇給停止年齢引き下げ」については、当面、「交渉継続」との案を示しました。
 しかし、同時に、人勧実施(ベースアップ)については、
 「一年間凍結(二〇〇〇年四月実施)。期末手当は人勧どおり〇・三月分削減」としたため、都労連は強く反発、さらに打開を求めての折衝、交渉が続けられました。

 十六日深夜、都側は最終的回答として、
 「勧告制度と時限的措置を分けて判断することこそ労使の信頼関係に資するものであり、職員が安心して職務に専念できるものだと考える。ベアについては、一九九九年四月一日から完全実施する。」
と回答しました。
 さらに、給与削減について、先の回答にプラスして
「・給与月額の四%とする(調整額・調整手当は削減対象としない) 
・再雇用職員については、今回の措置の対象者としない
・社会情勢の変化の可能性もあるので、二〇〇〇年度、二〇〇一年度の給与改定期に再協議する。」
と回答。
 また、成績率導入について
「是非実施したいが、当面、留保する」との態度表明を行いました。
 なお、都労連が日数増を要求している長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)についても、「前向きに検討」すると回答しました。

 これを受けて都労連は、極めて不満な内容ではあるが、諸々の状況、条件から見て、この線でまとめざるを得ないと判断、この内容で妥結することに決しました。
都労連としては、賃金は都と都労連との交渉で決定するという原則、ルールを維持するため苦汁の選択をしたのでしょうが、私たちは何とも不満です。

 私たちは、また、自己の誤りと責任は認めたものの、何ら具体的な責任をとろうとせず、都職員と都民に責任を転化し、犠牲を強いる都の姿勢に大いなる怒りを持ち、強く抗議します。



妥結に至る経過
(十一月十二日〜十七日)

 九九賃金確定交渉は、都側が都労連がストライキに突入したことを理由として、一切の交渉窓口を閉鎖する等の行動に出て、きわめて難航しました。
 都労連は、都側が交渉窓口を閉鎖させたまま、一方的に「給与削減」「人勧不実施」等を強行することを警戒し、交渉再開を求めさまざまな働きかけを行いました。
 こうした中で十五日、都側は、都労連が主張してきた「先ずは財政危機の原因と責任を明らかにすること」との要求に一歩踏み込む形で、「財政危機の原因と責任についての見解を示すことにより、具体的内容の協議に向けての交渉に柔軟な対応を示すということであれば、石原知事が今日の財政危機の原因と責任について自ら直接言及する」と言明しました。これを受けて、都労連は交渉再開と、交渉項目の整理に応じることにしました。 
 整理された交渉項目は、@人勧実施問題 A給与削減 B「成績率」導入 C勤勉手当の減額率改訂 D昇給停止年齢の引き下げ E福利厚生要求 F再任用制度等多岐にわたります。これらの項目の内、都側はA〜D、特に給与削減提案の具体的内容の協議に固執し、あくまでも白紙撤回を求める都労連と鋭く対立、交渉は難航し続けました。
 一方、石原都知事は、十六日午後七時、都労連委員長との会談に応じ、その中で都財政危機の原因と責任について別掲のように発言しました。
 この発言を受けて都労連は、都知事が「@財政危機に対する都の責任を認めた A給与削減の時限的措置は三年間を限度とすることを明言した B人勧完全実施要求の社会的正当性を認めた」ことを重視し、当面、人勧完全実施に焦点を絞って交渉を詰めることを要求しました。
 十六日午後九時半から、都労連委員長と副知事交渉が行われました。この中で、副知事は次の提案を行いました。
「給与削減
・実施期間ー二〇〇〇年度と二〇〇一年度の二年間とする。二〇〇二年度の取り扱いについては、今後の社会経済状況を踏まえて検討
・削減率ー調整額を含めた給与の月額を四%削減
・期末勤勉手当ー期末手当を〇・四五月分(八・六%)削減
・退職手当への反映は行わない
・再雇用職員報酬についても四%削減
今年度年度末手当ー人勧通り〇・三月分を削減
人勧ー実施時期一年間凍結
成績率ー導入について直近の日限を区切って合意するよう決断を求める
昇給停止年齢引き下げー引き続き協議」
 これを受けて、都労連は「給与削減について、『白紙撤回』になっていないことは不満だが、当初提案よりかなり譲歩した線を都が出してきた」ことに注目したものの、「人勧凍結」は絶対承服できないとして、再度都側の決断を求めました。
 午後十一時半に再度開催された都労連委員長と副知事との交渉で、副知事は、「都知事は、今回、都労連が緊急避難的な時限的措置を受け入れることが、組織にとって苦汁の選択であることをよく理解している。こういう状況の中では、勧告制度と時限的措置を分けて判断することこそ、労使の信頼関係に資するものであり、職員が安心して職務に専念できるものだと考えている。今年度の人勧については、完全実施することを決断した」と回答しました。
 こうした経過を経て、十七日午前二時三〇分、最終団交に至りました。


最終団交回答骨子
 (十一月十七日午前二時三十分)

九月三日に職員給与の削減に関する時限的措置を提案以来、激しい議論を重ねてきた。その中で、今日の財政危機を招いた原因と責任について明らかにすることを求められ、本日(十六日)石原知事が矢沢都労連委員長と会談し、見解を表明した(知事見解は別掲)。
 ベアの取り扱いについては、厳しい財政状況を踏まえる必要がある一方、「制度を守るべきである」との都労連の主張にも真実がある中で、苦慮してきた。
 こうした経過を踏まえ、結論を申し上げる。
 職員給与の削減に関する時限的措置について。
 実施期間は、二〇〇〇(平成十二)年度から二〇〇一(平成十三)年度の二カ年間とする。実施期間中給料は四%削減する。また、期末・勤勉手当は、期末手当を月数にして〇・四五月、八・六%削減し、年間四・八月とする。
 なお、一九九九年度については、人勧通り、現行の五・二五月から〇・三減額し、年間四・九五月とする。
 ベアについて。
 未曾有の財政危機という現状を踏まえれば、ベア実施は極めて困難。しかし、知事は今回の時限的措置を受け入れることは都労連にとって苦汁の選択であり、職員の理解を得るためには、時限的措置と勧告制度をわかりやすく切り分けることこそ重要であるとし、今年度のベアは完全実施することを決断した。
 なお、二〇〇二(平成十四)年度の給与削減措置の取り扱いについては、今後の経済社会状況を踏まえながら検討・協議する。
 今年度の年末手当は、現行条例通り、期末手当二・〇五月、勤勉手当〇・四五月、合計二・五月を十二月十日に支給する。
 一般職員への成績率導入については、是非導入したいが、当面留保する。
 高齢職員の昇給制度については、引き続き協議とする
 今回の給与削減措置提案は、財政再建期間を通じて臨時の財源対策として行う三年間の時限的措置の全体を提案しているものであり、この措置を講じてもなお生じる財源不足については、別の対応を検討していく。
 なお、管理職については、管理職手当を部長級以上については十%、課長級については、五%削減することとする。 


知事発言骨子(11月16日午後7時)

バブル経済崩壊後の景気が後退する中、右肩上がりの経済に期待して歳出水準を維持し、結果として歳出の見直しが遅れるとともに、将来の財政負担が増大したことが財政危機の主な原因であります。これは顧みて、当時の都政運営において将来の見通しを見誤ったことによるものと考えており、その点で財政危機の責任がありました。

 私は、かつてない財政危機の中で、これを克服し、東京を再生していくため、計画期間中、全力を挙げて財政再建に取り組んでいきます。

 職員の皆さんには、今回の措置によって大変負担をかけますが、職員の協力が必要であり、是非私と一緒に頑張ってもらいたいと思います。

 また、今回の給与削減措置の提案は、財政再建期間を通じて、つなぎの財源対策として行う3年間の時限的措置の全体を提案しているものです。この措置を講じてもなお生じる財源不足については、別の対応を検討していくことにしています。

 なお、労働組合が都民のために精勤される職員であるとともに、特に社会的に弱い立場にある人たちを守る立場にある事が解りました。


週刊墨教組1253号 1999.10.14

平均〇・二九%(千二百六十六円)の超低額ベア勧告
ボーナス〇・三月分削減、平均十一万円の減収
 その上、さらに給与、ボーナス減額!

許せない!
 
十月六日 都人事委員会が今年度勧告

 十月六日、東京都人事委員会は都知事および都議会に対し、職員の給与を平均〇・二九%、千二百六十六円引き上げることを主要点とする勧告を行いました。国人勧の〇・二八%、千三十四円に比して、率、額ともにわずかに上回ったものの、私たちの要求と生活実感からみて、きわめて不満なものになっています。
 手当関係では、国人勧と同様ボーナス(期末・勤勉手当)の〇・三月分引き下げを勧告しています。
 こうした勧告の結果、人事委員会による試算でも、平均年収は約十一万円減収となります。年収減は、人事委員会勧告制度が始まって以来、初めてのことです。
 都当局は、さらに、期末・勤勉手当を〇・五五月分削減(九九年度から二〇〇一年度の三年間)、給与を四%削減(二〇〇〇年度から二〇〇二年度の三年間)の提案を都労連にしています。
 「冗談じゃないよ!」
 当然のことながら、都労連は、人事委員会勧告の完全実施を要求するとともに、給与削減提案の白紙撤回を強く求めています。
 なお、人事委員会は、勧告とは別に「意見」として、昇給停止年齢の引き下げ、期末手当と勤勉手当の割合是正(勤勉手当の割合を高め、期末手当の割合を低める)、一般職員の勤勉手当への成績率導入等を「図る必要がある」と強調しています。
 都人勧が出された結果、今年の賃金確定交渉・闘争が本格化します。その中で、都側は給与削減提案の具体化、「成績率」導入等を強くせまってくるものと思われます。強力な闘争態勢を組み、都の攻撃を阻止していかなければなりません。

人勧史上最低の低額勧告
 昨年の勧告は、〇・七九%、三千四百四十八円でした。今年はこれをさらに下回り、国人勧と同様に、人事院勧告制度が公務員労働者のストライキ権剥奪の代償措置として設けられた一九四九年以来、最も低い勧告になっています。
 また、部長級以上の給与改定はなし、統括課長級は引き上げ率抑制としています。このように、給与改善(ベア)について、一般職員と管理職を分断して勧告したのも、初めてです。

ボーナスを〇・三月分削減
 今次勧告の最大の問題点は、ボーナス(期末・勤勉手当)の〇・三月分の削減です(現行五・二五月分→四・九五月分)。
 これは、ベア分を加えても、平均十一万円もの減額となるものです。
 かなり大幅な給与減額になります。
 都人勧では、この〇・三月分をいつのボーナスで削減するのか、期末・勤勉手当のいずれで削減するのかについては触れていません。しかし、都側は、成績率導入ともからめ、期末手当を減額し、勤勉手当の割合を相対的に増やす方向で提案してくるものと思われます。

育児休業者へのボーナス支給要求実現
 今回の勧告で唯一の前進面は、「期末・勤勉手当支給基準日に育児休業中である職員に、勤務実績に応じて期末・勤勉手当を支給せよ」との、長年にわたる私たちの要求を人事院と同様に都人事委員会も初めて認め、制度改正を勧告したことです。
 期末・勤勉手当は、その支給基準日が定められています。基準日は、夏季手当が六月一日、年末手当が十二月一日、年度末手当は三月一日です。その基準日に無給休職、刑事休職、停職、育児休業等の場合、「基準日在職」とみなされず、基準日以前にいくら勤務実績があっても期末・勤勉手当は一切支給されません。
 例えば、十一月三〇日まで産休、十二月一日から育児休業に入った人の場合、十一月三〇日まで勤務実績があるのに期末・勤勉手当は全額支給されません。この場合、十二月二日から育児休業に入った人には、全額支給されることになります。
 私たちは、長年にわたって、育児休業中も産休中の場合と同様、期末勤勉手当も含め給与を全額支給するよう要求してきました。最低限、基準日現在育児休業中の職員に、勤務実績に応じて期末・勤勉手当を支給すべきだと要求してきました。今回の勧告は、その最低限の要求を取り入れたものです。少子化対策の一環という意味も持つものと思われますが、私たちの要求が一歩前進したと評価して良いものです。
 なお、この改善の実施時期は、来年(二〇〇〇年)一月一日からとなっています。

都の給与削減、「成績率」導入を許すな
 昨年の人事院勧告では、勤勉手当への成績率導入、五五歳昇給停止が勧告され、国家公務員については、今年度から既に二つとも実施されています。
 都の場合、私たちの闘いでこの二つの実施を阻止しています。しかし、東京都は、その来年度からの導入に執念を燃やしています。
 さらに、都は九月三日、大幅な「人件費(給与)削減」を提案しました。私たちは、これに強く反対し、都労連はその白紙撤回を求め、この問題についての交渉には、一切応じていません。
 この問題もからみ、今年度の給与確定闘争・交渉は、たいへん厳しい闘いが予想されます。山場は、十一月十五日からの週になるものと想定されます。今から強固な闘いの態勢をつくり上げていかなければなりません。


週刊墨教組1250号 1999.9.10

不当な給与削減提案を

       白紙撤回せよ!
  都労連

  「合意する意志は毛頭存在しない」と宣言

 九月三日、都は都労連に対し、「給与の削減に関する時限的措置」として、 「給与の4%程度カット、期末・勤勉手当の一〇・五%(〇・五五月分に相当)カットを三カ年実施する」等を主な内容とする「給与カット」の具体案を示しました。さらに、この給与カットを現実化する条例改正を第四回定例議会(十二月都議会。「速報版」で九月議会としたのは、重大な誤りです。お詫びします)で行いたい、それに間に合うように労使合意を図りたいとの提案を行いました。
 都労連は、これに直ちに厳しく反論し、「合意する意志は毛頭存在しない」と「白紙撤回」を強く求めました。
 この都側の給与カット提案を認めることは断じてできません。
 私たちは、都提案の白紙撤回を求め、断固として闘います。

都側、強行姿勢示す
 都労連は、九月八日、都側と小委員会交渉を行いました。この交渉で都側は、「都は未曾有の財政危機に直面している。この厳しい状況を早急に克服し、財政再建団体への転落を回避し、新たな都民ニーズに対応していける財政基盤を確立していかなければならない。そのためには、『財政再建推進プラン』に基づく財政構造改革を、着実に推進していく必要がある。今回の(給与カット)提案は、極めて深刻な財政危機を都が自ら主体的に再建していくため、再建計画期間内(二〇〇〇年〜二〇〇二年)に限り時限的に行う措置である。「給与の削減はもはや避けて通れない」として、何としても都側提案により給与カットを行う姿勢を示しました。

財政危機の責任を棚上げする非常識
 これに対し、都労連は次のように反論しました。
 都側提案は、財政危機の原因や責任を棚上げしている。経営破綻に至った民間企業では、その経営責任者や関わった管理職は、刑事責任や退職金返納など、法的・経済的制裁が問われている。都においては、民間の常識とはかけ離れ、こうした責任を棚上げしている。その一方で、何の責任もない、かつ、こうした財政危機を生み出した都政運営を批判してきた職員に犠牲を強要するなど、道理も社会的常識にも欠けるものであり、到底理解と納得はできない。

人勧制度無視の提案
 都職員の給与は、労働基本権の制約のもと、人事委員会勧告制度に縛られ「民間準拠」の名のもと、賃金水準が決められている。都職員の給与が民間に比べて高いということは絶対にあり得ない。また、人事委員会勧告制度を事実上無視していると言わざるを得ない。法制度の在り方からいっても重大な疑義がある。

生活実感からも納得できない
 大都市東京の実態から見て、現行の勧告制度による給与水準が妥当かどうか、納得していない。とりわけ、大都市における物価や教育費、住宅ローン、家賃等、いずれも厳しい負担や生活設計が強いられている。そうした都職員の生活実感からしても納得できない。

 都労連は、これらの反論を行い、その上で改めて「白紙撤回」を強く要求し、断固として闘う立場を表明しました。


週刊墨教組1249号 1999.9.1

期末手当を〇・三月分引き下げ

      (平均九万五千円もの減額!)

 ベアはわずかに平均〇・二八%(千三十四円)
 基準日に育児休業中の職員にも期末勤勉手当支給の要求は実現

 八月十一日、人事院は今年度の勧告を行いました。
 勧告の主要点は次の四点です。
@指定職、課長級以上の管理職は、給与改善(ベア)なし
A一般職員については、平均〇・二八%(千三十四円)の給与改善
Bボーナス(期末・勤勉手当)を〇・三月分引き下げ
    現行の年間五・二五月分→四・九五月分
C基準日に育児休業中の職員に、勤務実績に応じて期末・勤勉手当を支給する
 今年の勧告、公務員の生活の維持・向上という観点から見て、きわめて不満な内容になっています。

またも人勧史上一位の低額勧告
 平均〇・二八%(千三十四円)という勧告は、今まで人勧史上最低の勧告であった昨年の〇・七六%(二千七百八十五円)をさらに下回り、人事院勧告制度が公務員労働者のストライキ権剥奪の代償措置として設けられた一九四九年以来、最も低い勧告になっています。
 
行政職課長級以上はベア見送り
 人事院勧告では指定職・本省庁課長の給料表について、ベア見送りの勧告を出しています。人事院は、その理由として、@民間企業の四割が管理職給与の抑制措置をとっているA行政事務の責任を担う者として経済・雇用情勢を厳しく受け止める姿勢が必要の二点を挙げています。
 人事院が、給与改善(ベア)について一般職員と管理職を分断して勧告したのは、初めてです。

ボーナスを〇・三月分削減
 今次勧告の最大の問題点は、ボーナス(期末・勤勉手当)の〇・三月分の削減です。これは、ベア分を加えても、平均九万五千円もの減額となるものです。
 かなり大幅な給与減額になります。
 勧告では、これを期末手当を削減することで行うとしています。そして、今年度は、
 年末手当 二・五〇月分→二・二五月分
 年度末手当〇・五五月分→〇・五月分
として行い、来年度からは、
 夏季手当 二・二〇月分→二・〇五月分
 年末手当 二・五〇月分→二・三五月分
 年度末手当〇・五五月分→〇・五五月分
とするとしています。

育児休業者へのボーナス支給要求実現
 今回の勧告で唯一の前進面は、「期末・勤勉手当支給基準日に育児休業中である職員に、勤務実績に応じて期末・勤勉手当を支給せよ」との、長年にわたる私たちの要求を人事院が初めて認め、制度改正を勧告したことです。
 期末・勤勉手当は、その支給基準日が定められています。基準日は、夏季手当が六月一日、年末手当が十二月一日、年度末手当は三月一日です。。その基準日に無給休職、刑事休職、停職、育児休業等の場合、「基準日在職」とみなされず、基準日以前にいくら勤務実績があっても期末・勤勉手当は一切支給されません。
 例えば、十一月三〇日まで産休、十二月一日から育児休業に入った人の場合、十一月三〇日まで勤務実績があるのに期末・勤勉手当は全額支給されません。この場合、十二月二日から育児休業に入った人には、全額支給されることになります。
 私たちは、長年にわたって、育児休業中も産休中の場合と同様、期末勤勉手当も含め給与を全額支給するよう要求してきました。最低限、基準日現在育児休業中の職員に、勤務実績に応じて期末・勤勉手当を支給すべきだと要求してきました。今回の勧告は、その最低限の要求を取り入れたものです。少子化対策の一環という意味も持つものと思われますが、私たちの要求が一歩前進したと評価して良いものです。
 なお、この改善の実施時期は、来年(二〇〇〇年)一月一日からとなっています。これから、育休をとることを考えている人は、この改善を考慮に入れ産休期間等を考えることが大切です。具体的なことには、組合が相談に応じます。相談してください。

都の給与削減、「成績率」導入を許すな
 昨年の人事院勧告では、勤勉手当への成績率導入、五五歳昇給停止が勧告され、国家公務員については、今年度から既に二つとも実施されています。
 都の場合、私たちの闘いでこの二つの実施を阻止しています。しかし、東京都は、その来年度からの導入に執念を燃やしています。
 さらに、都は「財政再建推進プラン」の中で、「人件費(給与)削減を実施せざるを得ない」と明言しています。
 都の人事委員会勧告は、十月に出されます。都人勧後、今年度の給与確定闘争・交渉が本格化します。厳しい闘いが予想されます。今から闘いの態勢を作り上げていかなければなりません。