週刊墨教組 No.1335 2001.9.25

二〇〇二年度定期異動について
       当面の状況ととりくみ
 予備調査始まる(十月初め締め切り)
 八年目、九年目の人の異動について、警戒が必要

 二〇〇二年度定期異動作業が始まります。内示日を例年の三月十日前後より若干早める(三月六日頃)こととの関係で、一週間程度日程が例年より早まっています。
 「異動要綱」に変更はなく、具体的な中味は基本的に昨年と同じです。
 ただし、三校以上勤務経験がある現任校八、九年目の人の扱いについては、昨年までと異なる解釈を都教委が示していますので、この点については警戒ととりくみが必要です。
 現在、予備調査が行われています。異動作業に関する日程上の関係で、校長に対する異動説明会より先に予備調査が行われる形になっています。
 異動に関しては、改めて詳しく扱います。
 今号では、現在進行中の「予備調査」に関連して、当面必要と思われることについてお知らせします。

予備調査はあくまで予備調査
 予備調査を行う目的は、必(強制)異動者、希望異動者に対し、希望地区名を「自己申告書」に書く際の参考に供するためです。したがって、予備調査を出したからといって、必ず「自己申告書」の「異動を希望する」欄に○をつけなければならないということではありません。
 例えば、異動を希望したいと考え、予備調査を出した人が、予備調査結果を見て、「異動するの止(や)めた!」と「自己申告書」の「異動を希望しない」欄に○を付けても何ら問題ありません。
 また「予備調査」を出さなかった人が、「自己申告書」で「異動を希望」することも何ら問題ありません。
 なお、予備調査は無記名です。

八、九年目の人で異動を希望しない人
 ー校長に「異動申告書」出させない
過去に三校以上(三校には現任校も含まれる)の勤務経験があり、現任校八年目、九年目の人は、「異動申告書」が提出されなければ異動対象とはならず、十年目まで現任校勤務が可能です。この基本線は、今回も変わっていません。
 ところで、都教委は、今年六月突如として「八年目以降については、本人の意向を参考とした上で、校長の具申に基づいて異動を行う」と「通知」を出しました。そして、二〇〇二年度異動は、これに基づき「作業を進める」としています。
 要するに、本人が異動を「希望しない」場合にも、校長が「異動申告書」を提出すれば「異動対象とする」ということです。
 二〇〇〇年度異動までは、本人が「異動調査書」を提出しない限り、また二〇〇一年度異動については本人が「自己申告書」で「異動を希望する」としない限り、異動対象者にはなりませんでした。
 しかし、二〇〇二年度異動からは、本人の意向(異動を希望するか否か)は、「校長が判断する際の参考」であり、異動の必要性の有無は「校長が判断」するという強硬な姿勢を示したものです。つまり、校長の「具申権」を強調、その強権的行使を認め、それに基づいて異動作業を行うとしたわけです。
 しかし、裏返して言えば、校長が「異動申告書」を提出しなければ、「異動対象とはしない」ということになります。したがって、八、九年目の人が異動を「希望しない」場合、校長に「異動申告書」を提出させないとりくみが必要ということになります。

 本人意向を無視して 「異動申告書」出さない確認を!
 墨田の校長には、本人が異動を希望しないにもかかわらず、その意向を無視して勝手に「異動申告書」を出す非常識かつ非人間的とも言える校長はいないと信じますが・・・・・職場毎にその念押しが必要です。その念押しを「予備調査」についての話があった時等に、必ず行いましょう。
 なお、都教委も「本人の意向を確かめ、相談することなく無断で、一方的に『異動申告書』を出すことはない」との趣旨の回答を組合に対して行い、また地教委に対してもその趣旨で指導しています。

八、九年目で異動「希望しない」人ー予備調査出さないこと
 八、九年目の人で異動を「希望しない」人は、「予備調査を出さない」ことから始めましょう。出さない事自体には何ら問題がありませんし、この段階で「希望しない」意志を明確にしておくことが大切です。

「自己申告書」裏面の記入は、「予備調査」発表後に
 「予備調査」結果は、十月十日前後に発表されるものと思われます。必(強制)異動者および希望異動者は、「予備調査」結果を見、それを参考にして「自己申告書」裏面を記入することが必要です。
 「自己申告書」の「中間申告」(裏面の記入)の基準日は、十月一日になっていますが、これはあくまでも基準日です。「中間申告」「異動申告書」の区教委、都教委提出期限との関係では、「予備調査」発表後に記入するということで、時間的には十分間に合います。


週刊墨教組 No.1328 2001.7.5

都教委の違背行為を許すな
 八、九年目の人の異動

本人意向は単なる「参考」と

 都教委は、六月十四日「自己申告書の提出について」なる文書を区市町村教委あてに「事務連絡」として出しました。
 その内容は、自己申告書の提出の有無にかかわらず、現任校八年・九年の人も「本人の意向を参考とした上で校長の具申に基づいて異動を行う」というものです。
 これは、組合との確認事項を一方的に変更したものであり、組合はこれに強く抗議し、撤回を求めています。

組合との確認を一方的に改変
 「定期異動要綱」では、「第3異動の対象」の項で「現任校における勤務が一定期間を越える者」は異動対象とするとし、その期間について次のように定めています。「(1)現任校に引き続き八年以上勤務する者。ただし、新規採用以来三校以上の経験者については、現任校に八年から十年以上勤務する者」
 この規定の解釈について、組合は都教委と「八年目、九年目の人については異動を希望して異動調査書を提出した人のみ必異動者として扱う」と確認してきました。つまり、異動調査書を提出しなければ異動対象者とはしないということです。今回の「事務連絡」は、この確認を、明確に改変するものです。

交渉要求も拒否
 実は、都教委は六月一日に、「この趣旨の文書を出す」ことを組合に通告し、「質問があったら寄せろ」と連絡してきていました。
 そこで各組合は、「要綱の解釈・運用の変更であり、組合との交渉確認事項の改変である。一方的に行うことは労使の信頼関係を損ねる」と強く抗議し、改めて交渉を要求しました。
 しかし、都教委は、それを受け入れず、一方的に、しかも「自己申告書の提出について」と題する「連絡文書」という形で異動要綱の解釈・運用を変更するという暴挙を行いました。
 各組合は、これに強く抗議し、その撤回を要求しています。

本人の意向は「参考」に過ぎない?
 今回「文書」の中心点は、三校以上経験のある八、九年目の人の異動について「本人の意向を参考にした上で、校長の具申に基づいて異動を行う」という部分です。今までは、本人が異動を希望しなければ、「異動調査書」(一昨年まで)や「異動申告書」(自己申告書裏面と校長所見・昨年度から)は作成されず、したがって異動はあり得ませんでした。それを、「自己申告書」の「異動について」欄で例え「異動を希望しない」としても、それはあくまでも校長・都教委が参考とするための「本人意向」であるに過ぎず、異動させるか否かは、まず校長が判断するということです。校長の具申権の強化です。さて、その上でさらに都教委が、判断するということなのでしょうか。
 明確に、労使確認事項の重大な変更です。
  
不提出者は異動を一任とみなす
 なお、都教委は昨年、「自己申告書」不提出者については、「異動を一任したものと見なす」と恫喝し、一部で事実としてそうした異動を強行しました。今回の「通知」にも「現任校八年目、九年目の者が当初申告を提出しない場合は、原則として異動を『一任』したもの」とするとの文言が入れられています。
 「不提出者は異動を一任」との解釈は、都教委がそれまで「不提出者については繰り返し提出するよう説得する」としてきたものを、一方的に変更したものでした。
 何でも強権的に行う都教委、そのつけは、いつか都教委に返されるでしょう。
 


週刊墨教組 No.1293  2000.9.26

都教委、自己申告書による異動作業を強行
  個々の教員の希望実現に向けてとりくみを強めよう

 二〇〇一年度定期異動の作業が始まりました
 都教委は、この異動は、従来の「異動調査書」を「自己申告書裏面」を活用する「異動申告書」に変えることを除き、基本的に「改定異動要綱」に基づき行うとしています。
 私たちは、この九六年度に改定された「異動要綱」は強制異動体制をさらに強化するものであるとして、強く反対してきました。
 しかし、都教委は、今年も「改定要綱」に基づき、具体的な異動作業を開始することを、九月十八日地教委に指示しました。
 しかも、今年は人事考課制度の「自己申告書」を活用という形をとって、異動と自己申告をからませ、「自己申告書」提出を強制し人事考課制度の貫徹を図るという悪質な策謀をともなったものとして実施されます。 私たちは、あくまでも強制異動と人事考課制度強行に反対する立場を堅持します。
 同時に、具体的な異動作業が進行させられる中で、個々の教員の希望実現に向けてのとりくみを強化していきます。

「異動調査書」を「異動申告書」に変更
  表面ー異動についての校長所見
  裏面ー「自己申告書裏面」

 都教委は、九六年度に改定された「異動要綱」による異動基準は変更しないとしつつも、従来の「異動調査書」は、「自己申告書」に変更するとし、「要綱」の該当部分の改訂を行いました。
 従来の「異動調査書」にあたるものは、「異動申告書」とし、表面が校長記入の「異動についての校長所見」(従来「異動調査書」裏面にあった校長所見にあたるもの)、裏面は「自己申告書裏面」をコピーしたものとするとしています。
 「自己申告書」の裏面は、「異動及び能力開発・活用」となっており、異動関係の記載欄(「異動希望の有無」記入欄、「異動希望先」記載欄、「自己の異動についての意見」欄)が設けられています。この部分を含む、「自己申告書裏面」を「異動申告書ー異動についての校長所見」と題する用紙の裏面にコピーし「異動申告書」とするというわけです。
 その際、裏面にある「自由意見欄」は、マスキングして(隠して)コピーすることとなっています。そして、異種学校間異動希望(盲・聾・養護学校、都立高校異動の二種類)の場合は、この「自由意見欄」が削除された部分に「異種学校間異動希望用紙」を貼り、そこに記入することとなっています。
 なお、異教科異動希望(例えば、小→中、全科→専科、全科→心障)については、自己申告書にある「自己の異動についての意見」欄に記入することになります。
 
「異動申告書」に「能力活用と育成」欄
 「異動申告書」の表面となる「異動についての校長所見」には、「氏名・性別・年齢」、「勤務の状況(病欠、遅刻・早退、事故欠等の日数と理由)」、「産休・育休・休職・予防の期間」、「能力活用と育成」、「(異動対象)教諭についての校長の所見」「異種間異動の場合の記入枠」の欄が設けられています。
 この内、「能力活用と育成」欄は、従来の「異動調査書(裏面の校長所見欄)」にはなかったものです。この欄は、「活用できる能力や経験」「更に伸ばしたい資質等」の二つに分けられており、それぞれについて校長が記入するものとなっています。
 人事考課制度の目的を「能力育成」とし、人事異動にも活用するとした都教委としては、どうしても設けなければならなかった欄なのでしょう。しかし、両欄とも校長記入となると、校長の主観的判断によるものとしかなりません。それによって異動が左右されるとなると、たまらない気がします。また、記入する校長にとっても頭が痛いものでしょう(最低限、頭をかかえ、悩む校長が多きことを私たちは望みますが・・・)。
 
異動作業、当面の日程は
 当面の異動作業日程は次のようになっています。
 九月二六日 校長会
 異動要綱改訂点、具体的な異動作業の流れ及び内容が説明され、異動作業を始めることが指示されます。
 九月二六日以降 校長による説明
 二六日以降、各校校長が予備調査のこと、異動作業のながれ、「自己申告書」記入について説明します。あわせて都教委作成の「定期異動に関する『教育職員自己申告書裏面』記入上の注意」との文書が全員に配布されます。
 十月 五日頃 予備調査、
  区教委締め切り(都教委締め切り六日)
 予備調査は、無記名、第一希望地区名のみを記載して校長に提出。校長はこの日までに寄せられた予備調査を区教委に報告します。都教委が全地区の状況をまとめて一覧表にし、「自己申告書」に異動希望地区名を記載する時の参考資料として供するものです。なお、予備調査に応じなくとも、異動希望は出せます(その逆も真です)。 
 十月 十日頃 予備調査結果発表
 十月〜十一月初旬
「自己申告書」中間申告(表面の「追加/変更」欄および裏面記入)
校長・教頭による「面接」。
 この「面接」の際、異動についての校長による聞き取りを行うことになっています。強制、希望を問わず異動対象者は、校長に異動に関する個々の事情、希望をきちんと伝えることが必要です。異動と「自己申告書」を連動させることの問題点はここにもあります。異動対象者については、自己申告と面接を強制することになるわけです。
 なお、「自己申告書・中間申告」の基準日は、十月一日になっています。これは、あくまでも基準日であり、それまでに出せということではありません。特に異動対象者は予備調査結果が十月十日ごろ発表されるので、それをみて書くことで何ら問題はありません。
 十一月中  区教委ヒヤリング
 校長が「組織表」(来年度の学級数見込み、それに基づき必要とされる教員組織、教職員数、異動希望状況等を記載するもの)と、「異動申告書」を持参して提出。また区教委に状況や個々人の事情・希望を説明、校長の意見・要望を出す(具申する)場です。学校毎に日時が指定されます。 
 十二月 六日  都教委ヒヤリング

 三月 九日頃  内示

定期異動の当面の流れ 人事考課「自己申告書」中間申告

9月26日 

9月26日以降

10月5日 

10月6日 

10月10日頃

校長会

校長による説明

予備調査区〆切

予備調査都〆切

予備調査都発表

校長『異動申告書』作成

都「説明文」配布

 「自己申告書」中間申告作成

 面接(中間面接+異動面接)

 『中間申告』提出

11月   

区教委ヒアリング 『自己申告書』コピー、区教委提出

12月6日 

都教委ヒアリング

質問・相談はまず組合へ
 異動は「改定異動要綱」によって実施されます。「異動要綱」は、なかなか複雑です。
 十年・八年・四年の「必異動者」にせよ、過員異動者にせよ、希望異動者にせよ、異動を具体的に考えてみるとさまざまな問題点や疑問にぶつかると思われます。職場で出されたさまざまな疑問や質問はすぐ組合に連絡してください。すぐに調べたり、交渉して答えるとともに、具体的な相談に応じる態勢をとります。
 質問や相談には、組合別や組合員か否かにとらわれず、いつ、誰にでも、誠実に対応します。

過員問題への対応
 例年、職場で複雑な問題が生じることが多いのは過員問題がからむ時です。来年度の学級数等により、過員が生じることが明らかな時、どの教科が過員になるのか、誰が異動するのかということがまず問題になります。
 この問題は基本的には、校内の話し合いで解決すべき問題です。職場の個々の教員の経歴(現任校に何年勤務しているか等)や事情、校内態勢(小学校の場合で言えば専科態勢をどうするか、中学校の場合で言えば過員教科を何にするか、また小中を問わずその学校毎の具体的教育課題等)等を勘案しつつ、校内ではオープンに話し合う中で解決することが原則ということになります。
 そのためには、当面、来年度の自校の学級数見込み等について明らかにさせ、全教職員がその点について共通理解を持つことが大切です。
 過員問題が生じることが明らかな場合、組合と連絡を密にとってください。 

「必要があれば異動してもよい」に
  ○をつけるのは危険

 「自己申告書(裏面)の「 異動について」欄には、まず「異動について@必要があれば異動してもよいA希望しないB希望する」のいずれかに○をつけるようになっています。
 @に付けた場合、これは異動を一任したことになり、危険です。
 Aに付けた人は、この欄以降にある「異動対象」「異動希望先」「地域経験数」「自己の異動についての意見」の欄は一切記入しません。「異動申告書」が作成・提出されることはあり得ません。
 Bに付けた人は、「異動対象」欄以下の欄に記入します。この人の「異動申告書」が作成・提出されることになります。

新採四年以上の強制異動者は
 「異動要綱」に規定されている「経過措置」はそのほとんどが終了し、「本則」適用になります。その結果、特に問題になるのは、新規採用後四年以上の人のケースです。つまり、一九九六(平成八)年度以前の採用者は、「新規採用以来最初に異動する者は、D地域等に異動するものとする」という規定が適用されませんでした。しかし、一九九七年度の採用者は、今年が四年以上ということになり、強制異動対象になります。そして、先の規定が適用されることになるわけです。D地域とは「大島管内、三宅管内、八丈管内、小笠原管内」です。つまり島嶼部です。そこへの強制異動ということになるわけです。しかし、先の規定をみると「D地域等」と「等」がついています。そこにも注目してのとりくみが必要です。

希望実現に向けて
 ー本人事情記載欄への明確な記載

 九六年の「異動要綱」改訂の際、都教委はそれまであった「運用細目」を廃止し、「(異動の具体的な運用は)校長の具申、地教委の内申に基づき都教委が判断する」としました。
 「運用細目」は、都教委の強制異動作業に当たって歯止めとなっていたものです。そうした性格を持つ「細目」廃止のねらいは、校長・区教委、そして何より都教委の人事権限強化と女性特に子育ち中の女性や弱者に対するリストラねらいの二点です。こうした組合からの批判に対し、都教委は「『異動調査書』に本人の事情記載欄を設ける」と回答し、その欄(「自己の異動についての意見」欄)が設けられました。この欄は、「自己申告書裏面」にも残されています。
 そうした問題、経緯がある中で、異動希望の実現を図るために、当面必要なことは二つです。
 一つは、個々人の事情、それに基づく希望を「自己申告書」裏面に、「自己の異動についての意見」欄に明確に記入することです。

希望実現に向けて
 ー校長に具申させるとりくみ
 
二つ目は、校長に具申させることです。
 都教委は、「校長の具申、地教委の内申に基づき、都教委が判断」としているのですから、判断材料としている校長「具申」へのとりくみはきわめて重要です。
 校長「具申」の具体的な方法は、「異動申告書」の「校長所見」欄にその事情と校長としての要望・意見を書くこと、区教委のヒヤリングの際にその事情・要望を出すことです。そこへ向けてのとりくみが大切になります。

 なお、この二つ(本人記載欄への記載、校長へのとりくみ)にかかわる具体的なとりくみにあたっても組合と相談しながら進めることが必要です。
 いつ、誰からの相談にも組合は誠実に対応します。

希望実現に向けて
 ー都区教委へのとりくみ進める
 組合は、各学校や個々人の事情・希望を把握し、その実現をめざして都区教委に対するとりくみ・交渉を強化していきます。そのためにも、具体的、綿密に組合と相談すると共に、「異動カード」(イエローカード)を組合に提出してください。それらにより、事情・希望を把握し、その希望実現に向けて、組合としてのとりくみを強力に進めます。


週刊墨教組1254号 1999.10.19

二〇〇〇年度定期異動作業始まる

  個々の教員の希望実現に向けて

とりくみを強めよう

 九六年度に改定された「異動要綱」に基づく二〇〇〇年度定期異動作業が始まりました。
 私たちは、この「改定異動要綱」は強制異動体制をさらに強化するものであるとして、強く反対してきました。しかし、都教委は、今年も「改定要綱」に基づき、具体的な異動作業を開始することを、十月八日地教委に指示しました。
 私たちは、あくまでも強制異動に反対する立場を堅持します。
 同時に、具体的な異動作業が進行させられる中で、個々の教員の希望実現に向けてのとりくみを強化していきます。

異動作業、当面の日程は
 当面の異動作業日程は次のようになっています。
 十月 十三日 校長会
 「異動要綱」の説明と異動作業を始めることが指示されました。
 十月二十六日 予備調査、区教委締め切り
 予備調査は、無記名、第一希望地区名のみを記載して校長に提出。校長はこの日までに、寄せられた予備調査を区教委に報告します。都教委が全地区の状況をまとめて一覧表にし、「異動調査書」の希望地区名を記載する時の参考資料として供するものです。なお、予備調査に応じなくとも、異動希望は出せます(その逆も真です)。
 十一月十日前後 予備調査結果発表
 十一月五日〜十一月二六日
        区教委ヒヤリング
 校長が「組織表」(来年度の学級数見込み、それに基づき必要とされる教員組織、教職員数、異動希望状況等を記載するもの)と、「異動調査書」を持参して提出、また区教委に状況や個々人の事情・希望を説明、校長の意見・要望を出す(具申する)場です。学校毎に日時が指定されています。
 
 常識的には、予備調査発表時点から、その学校の校長に指定されたヒヤリング日の一〜三日程度前が「異動調査書」提出の校内締め切りということになります。

質問・相談はまず組合へ
 今回の異動も「改定異動要綱」によって実施されます。「改定要綱」は変更点も多く、なかなか複雑です。
 十年・八年の「必異動者」や過員異動者にせよ、希望異動者にせよ、異動を具体的に考えてみるとさまざまな問題点や疑問にぶつかると思われます。職場で出されたさまざまな疑問や質問はすぐ組合に連絡してください。すぐに調べたり、交渉して答えるとともに、具体的な相談に応じる態勢をとります。この質問や相談には、組合別や組合員か否かにとらわれず、いつ、誰にでも誠実に対応します。

過員問題への対応
 例年、職場で複雑な問題が生じることが多いのは過員問題がからむ時です。来年度の学級数等により、過員が生じることが明らかな時、どの教科が過員になるのか、誰が異動するのかということがまず問題になります。この問題は基本的には、校内の話し合いで解決すべき問題です。職場の個々の教員の経歴(現任校に何年勤務しているか等)や事情、校内態勢(小学校の場合で言えば専科態勢をどうするか、中学校の場合で言えば過員教科を何にするか、また小中を問わずその学校毎の具体的教育課題等)等を勘案しつつ、校内ではオープンに話し合う中で解決することが原則ということになります。
 そのためには、当面、来年度の自校の学級数見込み等について明らかにさせ、全教職員がその点について共通理解を持つことが大事になります。
 過員問題が生じることが明らかな場合、組合と連絡を密にとってください。 

希望実現に向けて
 ー本人事情記載欄への明確な記載
 「改定異動要綱」の重大な変更点の一つは、従来あった「運用細目」を廃止し、「(具体的な運用は)校長の具申、地教委の内申に基づき都教委が判断する」としたことです。「運用細目」は、都教委の強制異動作業に当たって歯止めとなっていたものです。そうした性格を持つ「細目」廃止のねらいは、校長・区教委、そして何より都教委の人事権限強化と女性特に子育ち中の女性や弱者に対するリストラねらいの二点です。こうした組合からの批判に対し、都教委は「『異動調査書』に本人の事情記載欄を設ける」と回答し、その欄(「自己の異動についての意見」欄)が設けられています(欄が狭いことは問題ですが)。 
 そうした問題、経緯がある中で、異動希望の実現を図るために、当面必要なことは二つです。
 一つは、個々人の事情、それに基づく希望を、「異動調査書」に記載する本人が明確に調査書の「自己の異動についての意見」欄に記入することです。

希望実現に向けて
 ー校長に具申させるとりくみ

 二つ目は、校長に具申させることです。 校長「具申」の具体的な方法は、「調査書」の裏書き(「校長所見」欄)にその事情と校長としての要望・意見を書くこと、区教委のヒヤリングの際にその事情・要望を出すことです。そこへ向けてのとりくみが大切になります。

 なお、この二つ(本人記載欄への記載、校長へのとりくみ)にかかわる具体的なとりくみにあたっても組合と相談しながら進めることが必要です。いつ、誰からの相談にも組合は誠実に対応します。

希望実現に向けて
 ー都区教委へのとりくみ進める

 組合は、各学校や個々人の事情・希望を把握し、その実現をめざして都区教委に対するとりくみ・交渉を強化していきます。そのためにも、具体的、綿密に組合と相談すると共に、「異動カード」を組合に提出してください。それらにより、事情・希望を把握し、その希望実現に向けて、組合としてのとりくみを強力に進めます。