質問、意見等はこちらへどうぞ。[kyou4-a●ルナドットEメイルドットエヌイードットジェイピー(luna.email.ne.jp)](●を@に)天野 貴司
関西支部が選んだ1997年度の映画ベスト10です。
1位 「フェイク」(監督 マイク・ニューウェル) 2位 「ファーゴ」(監督 ジョエル・コーエン) 3位 「バウンド」(監督 アンディ・ウォチャウスキー ラリー・ウォチャウスキー) 4位 「コン・エアー」(監督 スコット・ローゼンバーグ) 5位 「フィフス・エレメント」(監督 リュック・ベンソン) 6位 「誘拐」(監督 大河原 孝夫) 「傷だらけの天使」(監督 坂本 順治) 8位 「ピース・メーカー」(監督 ミミ・レダー) 「ロング・キス・グッドナイト」(監督 レニー・ハーリン)
主演男優賞:アル・パチーノ「フェイク」
主演女優賞:ミラ・ジョヴォヴィッチ「フィフス・エレメント」
助演男優賞:ジョニー・デップ「フェイク」
助演女優賞:フランシス・マクドーマンド「ファーゴ」
非常に懐かしい雰囲気を持った作品。
主人公である私立探偵ポール・ウェイランの立ち振舞いが、ロバート・ミッチャム演じる「さらば愛しき女よ」のマーロウを髣髴させるせいかもしれないが、物語の進み方を非常に視覚的に感じる。
主人公の私立探偵の性格、物語の設定などは非常にステロ・タイプなのかもしれないが、それだけの作品で終わっていないところに一種の驚きを感じたりもする。
銃も持たず、さりとて腕っぷしが強いわけでもない、それどころかいつもいつも殴られっぱなしの主人公。だが、逆にそうだからこそ内に秘めた何かを強く感じさせてくれるのかもしれない。表にはあまり現れてこない主人公の胸の内、そこにハードボイルドをを強く感じた一冊。
相変わらずのうまさとしかいいようがない。
読んでいるこちらはやや暑すぎるくらいの妙な天候続きにもかかわらず、ページをめくっている間、部屋の外では物語の舞台であるシカゴの吹雪が吹き荒れているような錯覚におちいってくる。
警察小説の場合、通常は主人公が二人という事情もあるのだろうが、この二人の行動を別々に描く。つまり複数の事件が錯綜しながらひとつの物語を形作るケースというのが割と多いように思える。本作もそのパターンであるが、この複数のエピソードの絶妙な絡み合い、これがともすれば単調になりがちなメインストーリーに奥深さを与え、胸にしみいるなにかを漂わせている。
ちょっと外してしまったかな、という一冊。「パルプ・ノワール」という謳い文句に簡単に引っかかってしまった私が悪いのだが、、、、。
あまり都会ではない場所。そこに育ち、地道に生活をしていた女性が、ひょんなことから事件に巻込まれ、犯罪者になっていくという設定なのだが、物語の中で描かれている主人公を取り巻く家庭環境などなど、展開のさせかたには充分な題材があるように思えるのだが、どうもいまひとつ活かされていないように感じてしまうのは私個人の偏った見方なのだろうか。
軽いノリの展開というのもひとつの描き方には違いないのだが、どうも主人公に悲壮感というかせっぱ詰まったものが無く単に軽いだけで終わっている。人物の内部にくすぶる暗さみたいなものがあってこそ軽いテンポが逆にきわだってみえるのではないかと思うのだが。
悪徳警官といえばどうも最近は暑い場所というのが定番のようである。さて本作はカルフォルニア州サンディエゴを舞台とした警察小説。もっとも、主人公は別に悪徳警官ではないのだが、相棒のおかげで迷惑を被って事件に巻込まれていくというおきまりというか使い古されたパターン。
ただ、ちょっと私にはどうもピンとくるものがなかった作品。主人公がどうも煮えきらない性格なのにしばしいらついたせいかもしれない。小道具は十分なのにちょっともったいないという印象ばかり受けてしまった。
読みはじめた最初は、ちょっと最近手をひかえぎみのサイコ物かと思ったのだが、読み進めていくうちにその懸念が晴れてほっとする。物語自体は大きな起伏があるわけでなく、比較的淡々としたペースで進んでいくのだが、そのペースとはうらはらに主人公の心情が激しく揺れ動いているのが読み進むに連れひしひしと伝わってくる。
私自身は今までそう意識はしていなかったのだが、解説で作者は「親子の絆」をずっとテーマとして物語を描いていると書いてある。たしかに言われてみれば、本作は物語の中心である事件そのものよりも主人公とその子供にスポットが強くあたっており、事件そのものはそれほど重点を置かれてはいない。この辺りをどう感じるかが、好みの分かれかもしれない。私はまあ、そう嫌いではないが。
なんとか10号までたどりつきました。
今回は関西支部の映画ベストを掲載しました。自分でもやってみようかと思ってはいるのですが、昨年はあまり映画を見ることが出来なかったのでベストを選ぶまでいたりませんでした。まあ、最近は香港映画ばかり観てばかりですが、、、、。
では、また次号で。
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