質問、意見等はこちらへどうぞ。[kyou4-a●ルナドットEメイルドットエヌイードットジェイピー(luna.email.ne.jp)](●を@に)天野 貴司
お待たせしました。1997年度ファルコン賞の発表です。
(集計ミスがありましたので、6〜9位の順位が変わっております 97.07.
27)
1位 「ホワイト・ジャズ」 "White Jazz" ジェイムズ・エルロイ ( James Ellroy )
2位 「不夜城」 馳 星周 ( Hase Seisyu )
3位 「友よ、戦いの果てに」 "The Mexican Tree Duck" ジェイムズ・クラムリー ( James Crumley )
3位 「喪われた故郷」 "How Town" マイケル・ナーヴァ ( Michael Nava )
5位 「敵手」 "Come to Grief" ディック・フランシス ( Dick Francis )
6位 「ぬきさしならない依頼」 "Free Fall" ロバート・クレイス ( Robert Crais )
7位 「ラスト・コヨーテ」 "The Last Coyote" マイクル・コナリー ( Michael Connelly )
7位 「私が愛したリボルバー」 "One for The Money" ジャネット・イヴァノヴィッチ ( Janet Evanovich )
9位 「憎しみの絆」 "Take a Number" ジャネット・ドーソン ( Janet Dawson )
10位 「偽りの契り」 "False Conception" スティーヴン・グリーンリーフ ( Stephen Greenleaf )
10位 「書剣恩仇録」 金 庸 ( Kin Yo )
別段ミステリというわけでないが、一応クライム系ということで。まあ、ほのぼの青春物語ですけど、割と気に入っております。
話はといえば、30歳を目前にした主人公の一世一代の賭け、それが題名通りの強盗で、しかも、これも題名通りのフィン付きのベンツで出かけるという代物。
両親と同居、そしてそろそろ髪の毛が、、ここで一発賭けにでてみようか、ってその辺りの心境というのは非常にシンプルで判りやすいし、まあ普通の人はそれでもどこかで妥協しながら生きていってしまうのだろうけが、物語とはいえ主人公の悲壮感が妙に哀しく、そして可笑しい物語。こういう物語って沢山読むと嫌になるだろうが、たま〜に読むと心が落ち着きます。
以前に郵政捜査官が主人公の作品があったが、地下鉄だけが管轄の警察があるとは。アメリカにはさまざまな法の執行官がいるものだと感心してしまう。もっとも、それだけいろいろなジャンルの専門家が必要なことも、ひとつの事実なのかもしれない。
物語はいたって簡単、ある日、何かに目覚めてしまった一人の男の物語。これが普通の勤め人だったらそれほど問題は起きなかったのかもしれないが、そこは警察というお固い商売、さまざまなトラブルが発生してゆく。
通常の警察と違い、地下鉄内だけという独特の世界は非常に興味深く読ませてくれる。
そして、生き方とまではいかなくとも、生活を、何かを変えようと思うのには以外とたいしたきっかけはいらないのかもしれないな、などとそんなことを考えさせてくれる一冊。
過去に引きずられているひとりの男。
この作品を読んだ人はおそらく某大沢氏のある作品を思い浮かべるのではないだろうか? 一種の既視感を感じてしまう。
中国から??密かに持ち込まれた翡翠を巡る事件。そしてその翡翠が引き起こす悲劇。これだけでも充分よくできているが、事件とともに徐々に明らかになってくる主人公自身の物語、この二つが非常にうまく絡み合い、それほど長い物語ではないながらも、読後にずっしりと何かを残してくれる作品。
スポーツ選手のエージェント。まあ、主人公の職業が何であっても、この手の物語にはさほど関係はないのだが、見なれていない世界というのもそれはそれで面白く読める。もっとも、そんなことよりも、物語自体が非常に良い。出てくる男達、そして女達、ひさびさにすかっとするミステリ。
普通お目にかかる物語では事件かかりっきり、ってパターンが当たり前のように描かれているが、現実の弁護士さんってこんな感じなのかしら? とこれが最初の印象。弁護の無い日は山登ったり、あれこれと自分の時間を楽しんでと。
前半は警察学校の物語。この間は級友(?)達とのいろいろな出来事と主人公の強気な性格が絡み合ってまあ、それなり悪くはない。が、後半のいざ警官になってからの部分は主人公の性格が淡白というか、前半の情熱的な感じではなく醒めた雰囲気で進んでゆくのがちょっといただけない。
それにも増して、最近は探偵役の主人公の相方として、こわもての荒事専門が出てくるのが一種の常套手段になってきている気がするが(スペンサーシリーズ以来かしら?)、本作に出てくる”ホーン・ロックウッド三世”。この人物の奇妙さ、面白さ、恐さといったところは、もう絶品である。実のところ、こちらを主人公に据えた作品というのも、いつか読んでみたいと思うのは読者のわがままであろうか。
ジョゼフ・T・クレンプナー ( Joseph T.Klempner ) ( 黒原 敏行 訳 早川ミステリ文庫 )
まあ、弁護士だって普通の人間だろうし、依頼人の事ばかり考えて生活しているわけではないだろうからこういう姿が逆にノーマルには違いないのだろう。(単に日本人が働き過ぎという説も)
ただ、そういった静な部分から後半にむけて物語が動きはじめる辺りへの展開。事件への巻き込まれかた、ってのは深夜TVのドキュメンタリーというか安物のTVドラマみたいな印象がどうも拭えない。話のふくらませかたは決して悪くないとは思うのだが、落し所が安直な気がする。
キャサリン・ルイス ( Catherine Lewis ) ( 堀内 静子 訳 早川ミステリアスプレス文庫 )
作者の経験が活かされているのだろうが、妙に現実感を感じさせるのも逆に物語としてのバランスを崩しているように思える。ある事件ではなく、あくまでも警察官という存在を描こうとしているのかもしれないが、結局何がストーリーの核なのか曖昧になってしまっている。この作家のテーマって何だろうか? 今後どういう風に作品を書いていくのだろうか? と変な興味が残ってしまった。
先月はお休みさせて頂きました。というか、通常のフライヤーにあわせてこちらも年10回発行としようか、などと。(単にさぼる口実という話もありますが)
(前回の言い訳:それと、休みを取ったくせに、本号はまだ未完であります。一週間ほどでまたメンテを致しますので、その時はお手数ですが、また覗いてみて下さい。)
一週間と書いたくせに、三週間近くもメンテをしませんで、すいませんでした。しばらくパソコンの前に座れない日々が続いたのもので。(これも言い訳ですな)
どこでも原稿が書けるようにと、念願のノートパソコンを入手しましたので、来月からは本来の月一ペースをなんとか維持しようと、思っております。
では、また次号で。