質問、意見等はこちらへどうぞ。[kyou4-a●ルナドットEメイルドットエヌイードットジェイピー(luna.email.ne.jp)](●を@に)天野 貴司
恒例になってきました、関西支部でのベストの選出です。
1位 「フロスト日和」 "A Touch of Frost" R・D・ウィングフィールド ( R. D. Wingfield )Back To Top
2位 「嗤う伊右衛門」 京極 夏彦 ( Natsuhiko Kyogoku )
3位 「不屈」 "To The Hilt" ディック・フランシス ( Dick Francis )
4位 「ハリウッド・ノクターン」 "Hollywood Nocturnes" ジェイムズ・エルロイ ( James Ellroy )
「闇をつかむ男」 "Evidence of Blood" トマス・H・クック ( Thomas H. Cook )
「OUT アウト」 桐野 夏生 ( Natuso Kirino )
「脳髄震撼」 S・フラー ( Shinpo Yuichi )
8位 「ローズ」 "Rose" マーティン・クルーズ・スミス ( Martin Cruz Smith )
9位 「黒い家」 貴志 祐介 ( Yusuke Kisi )
10位 「ひまわりの祝祭」 藤原 伊織 ( Iori Fujiwara )
「猟犬クラブ」 ピーター・ラヴゼイ ( Peter Lovesey )
「脅える暗殺者」 "Menaced Assassin" ジョー・ゴアズ ( Joe Gores )
「レディ・ジョーカー」 高村 薫 ( Kaoru Takamura )
木村二郎氏経由で1998年エドガー賞のノミネート作品一覧が届きました。
受賞の発表は4月30日。木村氏も受賞パーティに参加するようで、また詳しい報告が
来ましたらフライヤーにて報告します。
BEST NOVEL:
CIMARRON ROSE by James Lee Burke (Hyperion) (Billy Bob Holland)
DREAMING OF THE BONES by Deborah Crombie (Scribner) (Dunkan Kincaid/Gemma James)
A WASTELAND OF STRANGERS by Bill Pronzini (Walker) (Non-series)
BLACK AND BLUE by Ian Rankin (St. Martin's) (Inspector John Rebus) Gold
Dagger winner
THE PURIFICATION CEREMONY by Mark T. Sullivan (?)
BEST FIRST NOVEL BY AN AMERICAN AUTHOR:
A CRIME IN THE NEIGHBORHOOD by Suzanne Berne (Algonquin Books)
LOS ALAMOS by Joseph Kenon (Boradway Books)
BIRD DOG by Philip Reed (Pocket Books)
FLOWER NET by Lisa See (HarperCollins)
23 SHADES OF BLACK By K. J . A. Wishnia (Imaginary Press)
BEST PAPERBACK:
HOME AGAIN, HOME AGAIN by Susan Rogers Cooper (Avon) (E. J. Pugh)
THE PRIORESS' TALE by Margaret Frazer (Berkley) (Sister Frevisse)
TARNISHED ICONS by Stuart M. Kaminsky (Ivy) (Porfiry Rostnikov)
CHARM CITY by Laura Lippman (Avon) (Tess Monaghan)
SUNSET AND SANTIAGO by Gloria White (Dell) (Ronnie Ventana)
BEST SHORT STORY:
"Keller On The Spot" by Lawrence Block (Playboy, November 1997)
"Ways To Kill A Cat" by Simon Brett in MALICE DOMESTIC 6 (Pocket Books)
"The Kneeling Soldier" by Jeffrey Deaver (Ellery Queen's Mystery Magazine,
March 1997)
"Find Miriam" by Stuart Kaminsky (New Mystery Magazine, Summer 1997)
"The Man Who Beat The System" by Stuart Kaminsky in FUNNY BONES (Signet)
GRAND MASTER: Barbara Mertz (aka Barbara Michaels/Elizabeth Peters)
ELLERY QUEEN AWARD: Hiroshi Hayakawa (of Hayakawa Publishing in Japan)
ROBERT L. FISH AWARD: "If Thine Eye Offend Thee" by Rosaland Roland (Murder X
13/Crown Valley Press)
RAVEN: Sylvia Burack (of The Writer, Inc)
昨年皆さんはどんな本に巡り合い、舌鼓を打ったのでしょうか。
私の1997年のベスト3です。
1.「闇をつかむ男」 "Evidence of Blood" トマス・H・クック ( Thomas H. Cook )
佐藤 和彦 訳 文藝春秋(文庫)
2.「脅迫者のブルース」 "Solo Hand" ビル・ムーディ ( Bill Moody )
古河 林幸 訳 文藝春秋(文庫)
3.「贖いの日」 "Day of Atonement" フェイ・ケラーマン ( Faye Kellerman )
高橋 恭美子 訳 東京創元社(文庫)
昨年は割と好みの作品が多かったので、2位以降の決定はなかなか悩んだところです。
惜しくもベスト3に入らなかった作品をあげておきます。
「ドッグ・イート・ドッグ」 "Dog Eat Dog" エドワード・バンカー ( Edward Bunker )
黒原 敏行 訳 早川書房(文庫)
「ガラスの独房」 "The Glass Cell" パトリシア・ハイスミス ( Patricia Highsmith )
瓜生 寿子 訳 扶桑社(文庫)
「ハリーの探偵日記」 "The Harry Chronicles" アラン・ペドラザス ( Allan Pedrazas )
三川 基好 訳 早川書房(ポケミス)
「天から降ってきた泥棒」 "Good Behavior" ドナルド・E・ウェストレイク ( Donald E. Westlake )
木村 仁良 訳 早川書房(文庫)
「二十五年目の墓標」 "Made in Detroit" ロブ・カントナー ( Rob Kantner )
大西 央士 訳 扶桑社(文庫)
フロリダの小島でひっそりと暮らす海洋学者である主人公のドク・フォード、そして彼の友人トムリンソン。この二人を中心に物語は進み、そして事件が起きてゆく。
フロリダといえばマイアミ、そしてTVや映画に毒されているのかもしれないが、連想するのは犯罪都市のイメージ。本書はそういったイメージとはかけ離れたフロリダを描いており、場所設定としてはなかなか新鮮な印象を与えてくれる。
ただ、物語全体のトーンは決して悪いとは思わないのだが、あいまいとしながら徐々に判ってくる主人公の過去、それがあまりに唐突というか出来すぎと思えてしまうあたりがしばし興醒めしてしまうところか。もっとも、四作目ということでシリーズの流れとしては本来ならば気にしてはいけない点かもしれない。わがままを言わせてもらえば、せめて主人公のバックボーンを描いているシリーズの前半をちゃんと出版して欲しいところ。
スポーツ・エージェントのボライターシリーズ二作目。
今度のネタはテニス。まあネタは変わっても前作同様ボライターのキャラクターは変わらない。相変わらずの軽快な口調で楽しませてくれる。
心にずしりとくる作品というのが当然ながら求めてやまないものではあるものの、世の中ワンパターンばかりでは食傷してしまうのが読者のわがままなところであろうか。まあそういった作品にはそうはお目にかかれはしないのだが。
もちろん、本作品のような軽快なエンターテイメントにも、そういつもいつも巡り合えるわけではなく、久々の楽しみなお気に入りのシリーズである。
そして、以前にも書いたが、やはりボライターの相棒ウィンザー・ホーン・ロックウッド三世の強烈な個性。彼が居てこそ、このシリーズの面白さが倍増していると言っても過言ではないだろう。
前作「硝煙に消える」はちょっとつめが甘いかな、と思ったが、本作はなかなか楽しませてくれた。
やはり、過去、そして友人というハードボイルド小説のおいしい題材をテーマにし、またこのテーマを上手に仕上げているところが魅力のひとつであろう。
最近の作品としては割と珍しいかもしれないが、全体に漂う暗いトーン。読んでいて強いインパクトを与えるというタイプの作品ではないので、おそらくあまり一般受けしない気もするが、読後何かずっしりと余韻を残してくれる一冊。
本作で主人公のバックボーンを描いた、さて今後の作品の展開が非常に楽しみである。
なんとなく、字の大きさのバランスが悪いせいか目がちょっと疲れる本でした。
まあ、そんなことはさておきデビュー作としてなかなか先が楽しみな作家の登場である。粗削り、というのが最初に感じた印象であるが、逆に内に秘めた何かを連想させる。
ストーリーとしてはちょっといろいろな物が錯綜して判りづらく、もう少し簡潔にまとめたほうが読者に与えるインパクトが強まるのではないかと思うのだが、主人公ハーディングとガールフレンドのアリスンを中心とした様々な登場人物達。そのいずれもがそれぞれの役所、要所要所を押さえており、また読者を惹きつけるツボとでも言おうかストーリー展開の緩急のうまさがそれを補ってあまりある良質の作品になっている。
見た目だけは盛沢山の1998年の二号です。
「今月の収穫」は一応五冊と決めていたのですが、今月はあまり取り上げる本がなかったので四冊になっております。あと、一ヶ月経ってもやはり1997年のベストは変わりませんでしたな。ひょっとしたら、と思って読み残していた「夜の片隅で」を消化したのですが、ちょっと私の肌には合いませんでした。
年の初めはあまり本が出版されないけど、ぼちぼち各社の隠し玉が出てくるかな? と本屋さんに行くのが楽しみになってきました。雪ばかり降ってるけど、流石にそろそろ暖かくなるし(って脈絡ないか)。
では、また次号で。
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