早見和真
作品のページ No.2



11.問題。 


【作家歴】、ひゃくはち、スリーピング・ブッダ、砂上のファンファーレ、東京ドーン、6(シックス)、イノセント・デイズ、小説王、店長がバカすぎて、新!店長がバカすぎて、アルプス席の母

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11.

「問題。−以下の文章を読んで、家族の幸せの形を応えなさい− ★★   




2025年03月
朝日新聞出版

(1600円+税)



2025/04/13



amazon.co.jp

題名を見て、これはかなり特異な構成をもっての作品かなと、その特異性に期待したのですが、全くの勘違い。
王道の、中学受験&家族の物語、でした。

主人公である
長谷川十和は小学六年生。小四の時、唐突に母親から塾通いを指示されて当惑したのですが、塾で仲の良い友達もできて結果オーライ。
家族は両親に3才下の妹と、ごく一般的な家庭。しかし、母親の言動には何かと反発して、いつも対立しがち。一方、父親については、一緒にいると息が詰まりそうに感じている。

家族からどうにかして離れたい。
一人で大阪の祖母の元へ遊びに行った際に、大阪の名門校=星蘭女学院中学校のことを知った十和は、両親へ同校を受験したい、合格したら大阪の祖母の元から通学する、と宣言します。
父親は、家族が離れ離れになるなんてとんでもないと、猛反対。しかし最後、二つの条件を呑むことで星蘭受験を了承します。
そこから、父娘二人三脚での受験勉強が始まる・・・。

十和だけではなく、塾仲間も含めて、受験ストーリーとして十分面白く読めます。なお、かなり受験を前向きに捉えている、という前提あってのこと。
そして、ただ受験だけで終わるストーリーでないことが明らかになるのは終盤になってのこと。
始まりも終わりも、十和の家族全員に関わる受験であったのですから。

なお、<受験>とは何か? 十和に対して言う父親の言葉、また最後に登場する小説家の言葉が印象的。
そう、受験の合否がどうであろうと、それだけで人生が決まる訳ではないのですから。
最後まで、面白く読めました。 満足。

        


 

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