ワールドカップ2002

前回のワールドカップ・フランス大会に関しては、「怒りのワールドカップ1998」というページを作ったので、今回のワールドカップについても感想を書いておこうと(時間が経つと忘れてしまうので)思いました。

試合が終わったところで書き足すようにしていったら、なんだかんだとかなりの分量になってしまって(ワードで書いていて10ページ)、そして読み返すと、正直なところ公開するにはかなり躊躇するような代物になってました。迷った挙句に一応アップロードすることにします。

私の目から見たワールドカップ2002、ということで一般の論調とは結構違います。「怒りのワールドカップ1998」や「敢えて言いたい!!コンフェデ杯決勝進出」などを読めば分かりますが、もてはやされている特定の選手の強いファンになっている方は読まない方がよいです。

以下いろいろ書いてますが、四半世紀以上も前に抱いた夢のまた夢がかなったのです。基本的には十分満足しています。(2002/06/29)

ワールドカップ2002

ワールドカップが始まった。いろいろと思ったことを書き記していきたい。

● 代表選手について

 代表選手の発表があって、中村俊輔がもれ、中山・秋田が入ったことなどが取りざたされた。中村俊輔のことは、単純に言えば、トルシエは嫌いなのだろう。技術的にどうのうとかいうことではなくて単にそれだけだと思う。それはそれで致し方ないことだとは思うが、個人的には代表入りさせておきたいと思う。劣勢になった後半の後半とかには彼を入れておいて、フリーキックのチャンスを狙うということだけでも価値は高いと思う。フリーキックの精度は一番だろう。

 中山が代表になったのは良かったと思う。ガッツがある数少ない選手であり、俗に言う「ベテラン」は必要である。秋田については、直前のゲームでの守備の破綻が原因だろう。確かに今の守備陣は1対1で競り合って勝てない(少なくともワールドクラスでは)。まあでも、それでも何とかしようというチーム作りをやってきたわけだから今更秋田をいれてもしょうがないと思う。使うチャンスが来るようなら、それはボロボロになった時だ。何かのTV番組で、秋田は、「ワールドカップもひとつの試合であり、特に意識することなくその一つ一つの試合をきちんとやっていくことが大切だ」というようなことを言っていた。私は、だからだめなんだと思う。それでは、せいぜい100%の力しか出せないではないか。そういうのはいわゆるトップスターやトップチームが言うことであって、日本の実力で高々100%しか出せないのでは勝てないのは明白なのに。それこそ命を懸けて試合に臨んで、120%でも130%でも良いから普段以上の力を出す必要があるのだ。ほとんどの外国チームは皆そんな気概で試合をやっているのが分からないのだろうかとガックリくる。という訳で、私はそのような精神構造の人は代表にしたくない。その点では、中田も同類である。中田はもっとひどくて、コンフェデ杯をサボったように自覚のない人間だから、残念だがこの大会も従来どおり活躍できないと思う。柳沢も同類に近いようだが、彼の場合は技術的にもまだまだ(少なくともまじの国際試合では通用しない)なので、それ以前かもしれない。中田はもし使うのならトップが良い。ボール扱いはうまいのだからトップでポスト役をやれば得点チャンスはぐっとふえると思う。

 という訳で不満なところはあるが、それはそれで、全体的にはまあまあ納得できる結果でもある。前回大会での岡田の狂ったやり方と比較するまでも無いが、はるかに良い。トルシエが会見に顔を見せなかったのも大した問題ではない。批判するマスコミがくだらないだけである。

 あと最後にひとつ、前回のことがあったので気持ちとすればお情け半分でも良いからカズを入れてあげたかったと思う。

● フランス・セネガル戦

 ほとんどの方と同じくフランスの勝ちを予想していた。ジダンがいないとはいっても、そこはフランスだからと思ったわけだが…。私がなんだこれはと思ったのは、前半まもなくのトレセゲのポストに当たったシュートの時である。あの直後、トレゼゲはニッコリと笑っていた。なんだこいつはと思った。前回1998年のワールドカップで、中田や城が試合中にニヤニヤ笑っているのを見てショックを受けた(過去30年間ワールドカップを見続けてきて試合中に笑っているやつを見たのはそれが始めてだった。)が、今度はフランスチームにもいた。こりゃーフランスもだめかな〜、なんて思ってみているとなんだかその通りになってしまった。試合途中からは明らかにセネガル頑張れと応援していた。後半のフランスチームの形相がこっけいに見えてきたものである。(ジダンの顔が徐々にこわばっていくのはかわいそうだったけど。)

 「フランスの驕り」、というところでしょうか。こういうのはなかなか修正がきかないもので、今回の大会は一次突破も怪しいものだ。

● NHKの岡田解説

ヤメテクレー!!!岡田なんか見たくも聞きたくも無い!!NHKの見識のなさが露呈された。よりによって前回のワールドカップで日本チームをつぶした張本人を使うなんて!。彼の無能力はその時証明されたのが分からないのだろうか?ただ、不幸中の幸いか、彼はゲーム解説能力もなかったようで、観戦のひどい邪魔にはならなかった…。

● ドイツ・サイジアラビア戦

 一体全体サウジは何を考えていたんだろう。もともと、身長差があれだけあるのに、中盤のプレスも何もしないで自由にドイツにボールを扱わせている。やる気が無いのか!という戦いぶり。「これは1点入ったらボロボロになるぞ」、と怒りながら家族に向かってしゃべっていると、1点入りました。もうその後は、サッカー経験者と素人チームとの試合という感じだった。前半4点入って、「こりゃー7,8点は入るね。8−0ってところかね。」なんて言っていたら、案の定、ボロボロ。出てくる資格ないよ!もう帰ったほうがいいんじゃない!とか、もう怒りながら見てました。結局、予想とぴったりの8−0でした。しっかし、よくもこんなひどいゲームができたものだ。実力差の問題ではなくて、試合に臨む心構えというか、一体全体何を考えていたんだか??

 余談ですが、大昔のことですが、仕事の関係で静岡に行った時、折角サッカー県に来たんだからサッカーやらなくちゃ嘘だよっということで、職場の仲間が集まってチームを作って市のリーグへ入りました。サッカー経験者は4名程度で他のメンバーは未経験でした。ところが、敵はサッカー有名高校のサッカー部OBなどのチームが相手でした。30分ハーフでなんと10−0、一年目はこんな超ボロボロゲーム3試合を含めて他のゲームも全て完全黒星でした。そんな過去のゲームを思い出したのでした。しかし、ワールドカップで同じようなゲームを見るとは思いませんでした。そんな僕らも1,2年も経つと、そんな相手にも4−1とかで戦えるようになったし、普通のチームとならそこそこのゲームもできるようになりました(時には勝つこともあったし)。まあ草サッカーとしては良き思い出なんですが…。

 でもアジア代表がこんなゲームをやっていると、またアジア枠が少なくなってしまうよー!。

● 日本・ベルギー戦

 この試合は鈴木隆行につきる。日本のプレーヤーとして本当に久しく見ていなかった「ストライカーのシュート」を見た思いだ。試合開始直後、今日の鈴木はいい顔しているなー、とは思ったが、まさかこんな素晴らしいゴールを決めるとは…。本当によくいれたと思う。120%の力を発揮できた気合の5センチというところだろう。

 敗因は(負けてないから敗因ではないが)、この鈴木を交代させたことではないかと思う。森島を入れるというから、てっきり柳沢と交代かと思ったが、これが鈴木だった。エーッ何考えているの?という感じだった。何であのゴールを決めた鈴木を変えてしまうのだろう。柳沢や森島では脅威にならないじゃない!!

 中田に関して言えば、まあこんなもんでしょう。日本の中田礼賛主義は相変わらずなのでいつも通りに称え祭られるが、本当の活躍が無いのは相変わらずである。私は昔も今も彼に期待したことはないし、実際実になる活躍はほとんどしていない。(自分はやったという形は作っているけどね)

 日本の守備にも文句を言いたくなるが、私は所詮このくらいだと思っていたので、取り立てて責めるつもりは無い。日本の守備陣には、特に集中力でもうひと踏ん張りを期待したいところだが、ベルギーが日本の弱点をきっちりと正確に攻めてきたのであり、さすがというところだ。

 とにかく、2点ゴールしたところを評価したい。稲本も「今日はどうしたの?」というくらい、神が宿った如くのシーンであった。横で見ていた「ゆうこん」も、「こんな稲本はじめて見たね」と大喜びでした。小野はかなり不調だったが、鈴木のゴールは小野からのボールだったので、次は期待したい。鈴木・稲本・小野、ロシア戦でも期待したい。ロシアなんか叩き潰して欲しい!

● 予選リーグ

フランス・ウルグアイ戦、イングランド・アルゼンチン戦、いずれも見ごたえありました。0−0でも面白くて満足なんてめったにありません。まあ、私の予想というか希望通りというか、フランスは勝てませんでしたね。一度緩んだ箍はなかなか戻らないものです。イングランド・アルゼンチンはなんとなくイングランドを応援していました。オルテガを好きでない(嫌いかも)のが原因かもしれません。オルテガは評価が高いけど、このワールドカップを見る限りでは、ただのボール持ちすぎ男で、パスの切れもドリブルの鋭さもないし、創造性のかけらも感じられません。マラドーナが日本に入国できないのを悪態ついていたのも気に入らないし。だいたいあんたが麻薬やってたのが悪いんだよ!と言いたいです。そしたら、今度は政府筋から入国することになったとか。わたしはこういうのは嫌いです。プレーヤーとしては物凄いけど、他はね〜。

オーウェンのスピードはやっぱりすごいですね。今大会、何でこんなに興奮するゲームが多いのだろうと思いますが、アジア開催というのが大きいかもしれないなどと思うのでした。

● イタリア・クロアチア戦

これもむちゃくちゃ面白いゲームだった。イタリアが1点入れた直後は、ああこれで終わりか…という感じになってしまったが、なんとそれからすごいことに!。やはり、ネスタ→マテラッツィの交代が結果的にひびいたのかも。得点シーンを見るとマテラッツィの動きがもたもたしている。他の選手とのコンビネーションになにかずれがあったようにも見えた。

トッティのフリーキックはまさに勝利の女神に見放されてしまったというものだ。シュート前にアップになったトッティの顔は本当にいい顔をしていた。個人的にはそれほど好きという訳ではないが、あの時のトッティは別だ。完全に集中した素晴らしい表情をしていた。

● フランス・デンマーク戦(これは見ていないけど)

フランスの決勝T出場なるかという注目の一線だ。インターネットでデンマークが2−0で勝ったことを知った。

試合前の私の予想では、引き分けぐらいでフランスだめかな、と私の気持ちはフランス一次リーグ敗退の方へ傾いていた。フランスがいないのは確かにさびしいが、やはりトレゼゲの笑顔に代表されるように第一戦のセネガル戦を甘く見ていた印象は無茶苦茶わるい。フランスは多少の意地を見せることができるか?というところだったが、引き分けどころか負けてしまった。結果的には、ジダンの欠場が致命的になってしまったようだ。ジダンが出ていたら、奢った試合などできなかったようにも思えるのだが…。

● イタリア・メキシコ戦

こうなったらイタリアにも苦杯をなめてもらうのも面白いという気持ちになっている。メキシコは意外に強い。体型も走り方も格好は悪いけど、ヘコヘコと走りながらもボールさばきはうまいし、そして強い。このゲーム、クロアチア(対エクアドル)が勝つだろうというのが前提だから、イタリアは勝たなければならない。その意味では、デルピエロの素晴らしい同点があっても、イタリアの。決勝T出場は、単にエクアドルのおかげによるものであり、実質的には完全な負けゲームであった。しかし、ついている。こうなると優勝はイタリアのものかもしれない。

デルピエロが得点した時の動きは素晴らしかった。モンテーラがボールを受けた瞬間にデルピエロは走り出していた。ボールが蹴られる前に、ボールの着地点に向かって走れる。ファンタジスタといわれる所以である。

● 日本・チュニジア戦

今までの中では一番安心して見ていられたゲームだった。チュニジアは決勝T進出をあきらめていたんではないかと思わせる戦いぶりであった。チュニジアのおかげで、理想の試合運びだったとおもう。蒸し暑い30度というのが幸いしたかもしれない。日本にとっては、荒れた試合になるのは避けたいところだ。点を取ったり取られたりというような流れはどこでどう流れがチュニジアにいくとも限らない。できるだけ淡々と進むのが良い。前半は双方ともチャンスらしいチャンスは全く無い、ただの観戦者からすれば退屈な試合だったが、これでよかったのだ。森島と市川の起用はこれぞピッタリというところで、後半早々にチュニジアのクリアーミスから絶好のボールが流れてきて、これを森島がうまく決めた。このクリアーミスにつながったプレーは中田から鈴木へのスルーパスに、鈴木の予測遅れから、敵ボールになりそうなタイミングの中での鈴木の突っかかりから生まれた。鈴木、ダッシュ遅いぞ!と思った瞬間の出来事で、ある意味ラッキーだった。森島のあんなシーンはついぞ見たことが無い。やはり女神は日本に味方しているとしか思えない。日本中の応援する気持ちが、三試合連続ここぞというところで、良いプレーをさせているように思えた。

 後半早々のこの一点で、ゲームはぐっと楽になった。後半にペースを上げて行こうと思っていたかどうかは分からないが、これで、チュニジアにかなりのダメージを与えることができた。

 2点目は市川のボールが良かった。市川の得点といっても過言ではない。ディフェンスにフェイントをかけながらいい位置でボールを、それも完全なイメージ通りのボールだ。市川本人も試合後のインタビューでそのようなことを言っていた。あのボールが出た瞬間にゴールのイメージまで沸いてくる完璧なボールだった。しかし、これでやっと中田も貢献できた。そのくらいの仕事はやってくれないと。

 これで試合は決まった。この後チュニジアは結構攻めてきたが、もう遅いぜ!というところだ。真のフォワード・ストライカーがいない日本にとっては、日替わりヒーローが出てくることは最も好ましいことだ!

● 韓国・ポルトガル戦

フランス、アルゼンチン、イタリアに続いて、ポルトガルも勝利の女神に見放されたようだ。フィーゴのフリーキックに丸々のボレー。アメリカが折角負けてくれたのに…。しかし、ポルトガルの戦いぶりは、アメリカが勝つことが前提で考えなければいけない状況下にかかわらず、是が非でも勝とうという気概が感じられなかった。ハーフタイムでアメリカが負けていたのを知って、ますます勝とうという姿勢がなくなってしまったようだ。まあ、最後にあせっても遅かったというところですね。さよなら、ポルトガル!。でも、あれで(ポーランドに負けて)アメリカが決勝Tに行くのも気に入らないですね。

● 日本・トルコ戦(決勝トーナメント一回戦)

うーん、残念!とにかく残念としか言いようが無い。正直なところ放心状態である。試合自体は日本が支配していたが、攻めきれなかった。ミスから与えたコーナーキックからの一発だけだったが、これがサッカーだともいえる。しかし、日本チームは良くやったと思う。精一杯の拍手を送りたいと思う。

さて、精一杯の拍手はおくるが、それはそれとして率直な試合の分析や感想も残しておきたい。4試合目にして、とうとう日本の決定力不足が現実のものとなってしまったというのが私の感想である。(ボールは支配するけれども)点が取れない(シュートまでいけない・シュートが枠に行かない)という、ずーっと抱いていた不安がとうとう現実のものになってしまったという思いである。ただ、今日の試合、先発で西澤一人をone topで使ったのは、さすがにちょっと采配ミスかなと思う。やはりここは鈴木でいって欲しかった。実際、西澤は前半全くといってよいほど機能しなかった。ベルギー戦で、気合の同点ゴールを決めた鈴木を最初から使っていたなら、少しはしょうがないかなとあきらめもつく。サントスはコンビネーションでやや問題があったが、やはり攻撃力はある。フリーキックは本当に惜しかった。私としては後半もそのまま出しておきたかったと思う。

この試合、とうとう女神も微笑まなかった。鈴木のトラップミスは大きかった。鈴木に期待していただけに残念だ。足元に止めれば確実に1点という決定的なシーンであった。どうしてもフォワード不足は否めない。今大会を通じて、小野の調子が上がらなかったのも痛かった。盲腸のせいなのだろう。表情も暗いし、プレーも精彩を欠いている。結局、小野らしい意表をついたプレーを全くといっていいほど見ることはできなかった。

トルコチームは特にすごいことはなかったが、派手ではないけど要所を押さえているチームということがいえるかも知れない。目立たない実力チームとの感想である。

中田に関しては、やっぱり無茶苦茶不満である。TVでコメントするあらゆる人間が中田を褒め称えるが、試合を見る限りこれといった褒め称えられるほどのプレーはなかったと断言できる。タイムアップの笛がなった瞬間、彼はなぜか笑うのである(ニュースで何回も何回も出てくる)。試合終了後、グランド上で観衆への挨拶に回っている間にも、中田が柳沢になにやら話しかけると柳沢が笑顔で返していた。戸田・市川が泣いている時にである。他のメンバーも泣かないまでも表情に現れている。

さて、文句ばっかり言っていてもしょうがない。日本の守備はベルギー戦でやられて以降、本当に良かった。特に宮本は素晴らしかった。戸田のガッツあふれるプレーも素晴らしかった。日本チームを支えていたといえる。中盤のプレスもスピードがあり押しなべて良かった。こうした早いチェックと安定した守備があればどこと戦ってもいいゲームには必ずなると思う。本当に一人でよいから真のストライカーが欲しいものだ。一気に勝てるチームになるはずである。

● 韓国・イタリア戦

これはすごいゲームだった。こんなゲームはめったに見られない。韓国チームの勝利への執念はみごとだ。とにかく積極的に攻める。この攻める姿勢が日本にあったらなー、と思いながら見ていた。最初に韓国のPK失敗ということがあったが、試合経過としては前半早々にイタリアが得点して、それを追うというかたちは日本・トルコ戦と同じだった。しかし、あまりにもその中身の違うことに愕然とする思いだった。後半40分も過ぎ、韓国を応援しながらも、さすがにこのまま終わるかなー、でもここまで攻めれば見事!、賞賛に値するなどと見ていると同点・そして逆転。本当に素晴らしいゲームだった。

このゲームを見た後、明らかに私の気持ちは変化した。日本は良くやったとは本当に思うが、くすぶっていたものが噴出してきた思いだ。明らかに違うものがある。最も違うのは勝利を掴もうとする気持ちではないだろうか。ワールドカップでさえもひとつのサッカーゲームでしかない精神性の人間がいるチームの限界のように思えた。そして、それを個性の主張などとして、甘んじて許容している日本の限界のようにも感じられたのである。

● 決勝T一回戦が終わって。

実は、決勝T進出16ヶ国が決まった時、「みんなで予想しよう」とトーナメント表を家族に渡して予想しました。その時、こんなチャンスは二度とないと思いました。先ずトルコ、次はセネガルかスエーデン、決して勝てない相手ではありません。今の勢いなら…と、私も考えました(きっとみんな考えたはずだと思います)。最初は決勝Tにいければ御の字と思っていたのに、いまや…。

当然、私の予想は日本の決勝進出へのシナリオです。スエーデンのほうが組みやすしで、トルコに勝った日本はスエーデンにも勝つ。以外に強いベルギーにブラジルをやっつけてもらい、イングランドをかろうじて破ったデンマークは次のベルギー戦で力を使い果たし、決勝進出は日本になるというものです。かたや、ドイツはパラグアイの勢いにやぶれ、メキシコはアメリカを一蹴して、ここぞというところではいつも弱いスペインも脱落、韓国もさすがにイタリアには勝てずという構図で、決勝は日本対イタリア。優勝までは夢見ませんでしたが、日本決勝進出の完璧なシナリオを描いたのでした。

ところが、現実はすべて裏返しに進んで行きました。我が家では、「おとうさんダメだね〜」などとの批判にもめげず、日本が勝ちあがるための予想なんだから…と反論するしかありません。しかし、結局8試合全て外れてしまいました。日本決勝進出の完璧なシナリオは完全に否定されてしまいました。しっかし、全て逆なんて…。

● イングランド・ブラジル戦

イングランド・ブラジル戦は、残念だけど仕事で観戦できませんでした。ブラジルは相変わらずついているようですね。これで、ブラジルが優勝してしまうのじゃあ、つまらないと思うのですが…。心の中で、こけろこけろと念じているのですが。

ドイツ・アメリカ戦、正直言ってどっちにも勝って欲しくないゲームだが、このときは夕刻からの熱にうなされて観戦どころではありませんでした。うつろに見ているとドイツが勝ってました。ドイツのゲームは概ね面白くないからまあいっかなんて…もうろうとしながら思いつつ。そういえば、ドイツ・パラグアイ戦はつまらないゲームでしたね。決勝T一回戦では、最も退屈なゲームでした。チラベルトのフリーキックに期待したぐらいでしたね。ただ、ゴールキーパーのカーンはすごいですね。なんと言ってもあの顔は怖いです。ドイツチームと戦うというより、カーンと戦うという感じですね。

● トルコ・セネガル戦、スペイン・韓国戦

トルコ、見違えるほど良いサッカーしてましたね。日本戦はどうしてたんだろう?やっぱ、早々に一点入って、こんなもんかなって感じでいっちゃんたんですかね。確かに日本はボールはキープしてても、脅かすような鋭い攻撃がなかったですからね。その点、セネガルはさすがアフリカサッカーという感じです。彼らが組織プレーをするようになったらどんなに恐ろしいことかと…。

スペイン・韓国戦はPK戦で韓国に。ベスト4です。審判の問題はあるとしても、やっぱりすごいと思います。あのセンタリングは確かにラインを割っていないので、得点ですね。それにしても、今回の大会は審判の問題の多いこと、疑惑ならまだしも、明らかにミスがいくつもある。ブラジル・トルコ戦のブラジルのPK獲得、ブラジル・ベルギー戦でのベルギーのヘディングシュート、そしてこのスペイン・韓国戦。この3つは明らかに審判ミスですね。イタリア戦は疑惑判定が複数ありますが、イタリアに不利な傾向で判定されたことは確かだと思いますが、いずれもファールを取られてもいたし方ないと私は思いました。(その程度はありますって…)

審判の問題はありますが、韓国チームの戦いぶりは見事です。あのようなサッカーができると悔いは残らないですね。これは決勝進出も夢ではないし、ひょっとしたらひょっとするかもなんておもいます。今年のブラジル・ドイツなら可能性はあると思いました。

● トルシエとヒディング。   

韓国がイタリア・スペインをやぶりベスト4を勝ち取りましたが、TVのなかではトルシエとヒディングの差にふれるコメントが増えてきて、いかにもトルシエは今一であったかの如くである。おいおい、それは違うんじゃない?と言いたい。攻めるサッカーができないのはトルシエのせいで、もしヒディングが日本の監督だったら日本も韓国のように攻めのサッカーができたと思うのだろうか?私は全くそうは思わない。鈴木、柳沢、西澤がフォワードをやっているチームである。また、今Jリーグを見渡してどれだけのフォワードがいるのだろうか?今日本にはフォワードがいないのにも等しい(昔から少ないけど…)。個と個の戦いに勝てない日本にとっては、中盤の積極的なプレスと最終ラインのコントロールによる組織だった守備が必要であるとの認識は正しかったと思うし、実際それはチームとして素晴らしいものになったと思う。だからこそ、ワールドカップでここまでこれたのだと思う(プラス、神がかり的な得点も必要だったけど…)。守備力は練習であがるが、得点センスはいくら練習してもその割にはたいしてあがらない。確かな技術の上にセンス・イメージが必要であり、それが無いとワールドカップクラスでは得点を積み上げられない。そうした意味で、トルシエは得点力欠如という駒不足の中で最大限に日本のチームを作り上げたと評価したい。日本人と韓国人、サッカーにおける日本と韓国の歴史の差、トルシエはトルシエなりに、ヒディングはヒディングなりにそれぞれのチームの特色を十分に引き出したのではないだろうか。惜しむらくは危機になるような強豪チームとあたって打ち破るチャンスが無かったこと(※)と、今一歩の攻撃的精神が足りなかったことだろう。(それと、中田礼賛主義もダメにさせてる要因かもね。人間、本質は変わらないって…!スターが欲しいのは分かるけど無理やりでは…。)

(※)ランキングがそのまま実力を正確に現すわけではないけど、それなりの意味はある。比較すると以下のようである。

グループD ランク
ポルトガル
5
アメリカ
13
ポーランド
38
韓国
40

その後、韓国はイタリア 6、スペイン 8、次はドイツ 11。

グループH ランク
ベルギー
23
ロシア
27
チュニジア
30
日本
32

その後、日本はトルコ 22。

あまりにもチャンス過ぎたかもね。
(ここまで記載日の日付を入れるの忘れてた)

● 準決勝2試合:韓国・ドイツ戦、トルコ・ブラジル戦

決勝Tでは、ブラジル、ドイツが早々に敗退することを期待していたが、やっぱり強豪国というか実績のある国は強い。番狂わせ続きだった本大会も、決勝Tでは(番狂わせという意味では)韓国の頑張りが目立っただけになってしまった。

さて、韓国・ドイツ戦、やはりカーンは見事だ。それにしても、韓国チームはこの試合に関しては足が止まっていた。延長戦2試合のあとの中2日はやっぱり苦しいのか、それともドイツのあのまったりとした試合運びに調子が出ないのか、今までのスピードあふれる韓国とは全く違っていた。こうなると体格的にまさるドイツは俄然有利である。ヘッドでの競り合いもほとんど韓国のファールになってしまう。ついに後半30分折り返しが二人のディフェンダーの間を抜けて、フリーのバラックへ。一度はキーパーがはじいたが終にゴール。このシーン、韓国ディフェンダーは動けずマークが完全に外れていた。韓国決勝進出という淡い期待(ここまで韓国を応援しているなんて過去には全くなく生まれて初めてですね。振り返れば、前回1998年のワールドカップ予選最終戦で韓国が日本を応援していたのが日韓のターニングポイントだったように思います。)は無くなったが、しかし韓国は本当に良くやったと思う。

もうひとつの準決勝はトルコ・ブラジル戦である。韓国が敗退した今となっては、トルコが勝ってドイツと決勝で、なんとなくドイツが勝って優勝、というのだけは避けて欲しいと思いました。だからといってブラジルを応援する気にもなれないのが今回のチームである。リバウドはどうしても好きになれない。特に前のトルコ戦で、トルコ選手の蹴ったボールがコーナーフラッグの横にいたリバウドの腰に当たった際に、ひっくり返って顔を抑えながら足をばたばたさせた姿を見てしまってからは、およそ応援する気にはなれない。あのみっともない姿のおかげで主審もだまされてトルコの選手は退場をくらってしまったのだから(その後、リバウドは罰金を科せられたけど、一流選手がやることではないね)。ロナウジーニョも退場をくらった後の態度・表情などはいただけないですね。ロナウドは別です。彼ははるかに純朴な感じがします。ただし、彼らはうまいし、すごいプレーヤーであることは間違いない。あの3人にボールがいくと何かが起こるという感じがする。卓越した個人技対トルコという試合であったが、最後はロナウドのゴールで決まってしまった。

このロナウドのゴールは今大会のゴールの中でも特筆すべき素晴らしいゴールだと思う。まさにストライカーのゴールである。ロナウドの圧倒的なパワーとスピード以外のすごさを見た思いだ。(タイミングとボールの回転で得点できるなんて…)ビデオで繰り返し見れば見るほど真似のできないシュートだと思った。

トルコチームではなんと言ってもハサン(背番号11のツルツル頭)である。実に素晴らしいプレーヤーだ。このゲームに限って言えば背番号10のバストゥルクはつぶされていたのか機能しなかった。このハサンがボールを持つとチャンスが生まれる。中田もこのくらい活躍してくれたら…と思ってしまった。

ハサンについて少し情報を得ようとトルコチームの情報などを覗いてみてもろくにハサンのことは書いてない。今大会では木偶の坊に見えたハカン・シュキュル(9)(最後にいいシュートを放ったけど)とドイツ生まれのバストゥルクなどの記載はあるが、ハサンに関しては触れていない。こんな良い選手を事前にウォッチできてなかったなんてプロのサッカー評論も駄目だねなんて思ってしまった。

● 韓国・トルコ3位決定戦

正直、3位決定戦なんて無くても良いのだが、決勝戦まで空いてしまうから日程上、また経済上やっているようなものだが、今日のゲームはやっぱり楽しみだ。ワールドカップの3位決定戦に臨むチーム・監督・選手は実際のところどんな気持ちで試合に臨んでいるのだとうかと昔から疑問に思っていた。試合をやる以上勝ちたいのは当然だが、それまで目指してきたものと比べればモチベーションが無茶苦茶下がってしまうように思えてならない。オリンピックなら銅メダルの価値は高いが、ワールドカップの3位って何ナノかなと思ってしまう。とはいえ、ゲームがもう少しで始まるので、楽しもう。いつもと違うのは今回の3位決定戦は開催国のゲームだということです。

これもすごく良いゲームでした。開始早々韓国のミスで1点失ってしまうという思わぬ出だしでビックリ。というまに、イ・ウリョンの物凄く素晴らしいフリーキックで同点。これで多少は落ち着くかと思いきや、今度はトルコの得点。そして、さらにもう1点。どうも今日の韓国の守備は崩れていた。しかし、後半の韓国の猛攻は見事である。時間がなくなってきて、さすがに勝敗はもうこれでという時に、得点しました。なんかジーンときてしまいました。相変わらず見事な攻めの姿勢に拍手です。韓国は負けたけど、やることはやったし意地は見せたとおうところで、なんだか知らないけど結構感動してしまいました。

●ブラジル・ドイツ戦優勝決定戦

私にとっては、もっと波乱の決勝を期待していたけど、無理くり、ワールドカップで初対決ということで納得させざるを得ない。でも、ブラジル対ドイツというよりも「いわゆる3R対カーン」という感じだが、さて、どんなゲームになるか?(決勝戦って、けっこうつまんない試合だったりするので、そうならないように祈りましょう)
(20020630)

こののゲーム、ドイツが予想外に攻勢に出てきたので、結構面白いゲームになった。特に序盤に見せたドイツの低いボールでのクロスなどは、当然ヘッドに合わせてくるはずとの裏をかいた意識的な攻めで、この試合にかけるドイツの気持ちが現れているように思えた。ドイツの攻撃的なプレーのおかげで、双方ともゴールを脅かすシーンが多く見ごたえのあるゲームになった。しかし、勝負の分かれ目は、カーンのハンブルしたボールをロナウドが押し込むという、私にとっては意外というか残念なかたちで訪れた。リバウドのシュートは無回転でナックルボールのように変化し、雨にぬれてすべり安かっただろうし、ロナウドの詰めも早かったが、カーンのミスには違いない。ミスではなくて決着して欲しかったが…、こればっかりはしょうがない。カーンの心情、計り知れずというところだ。試合終了後、ゴールポストを背にしばし佇んだ後、崩れるように腰を落としてじっとしていた姿がなんとも印象的である。

この後私は、「ドイツの攻勢で1−1になって、延長戦へ、いずれかのゴールデンゴールで決着」という虫の良い展開を期待したが、ドイツが攻勢に出ようとしたところで、逆に2点目というかたちで試合は決まってしまった。

ロナウドの2点目は、完璧なトラップとカーン相手にここしかないというゴール隅への正確なシュートで、さすがロナウドである。カーンのセーブをかすめて入った。

聞きたくもない岡田の解説だが、試合後にこんなことをチラッと言った。「こうしたゲームを見るとわれわれがやっていることは何なんだろうと思う」というようなことである。つまり、何人かの卓越したプレーヤーの前には組織プレーや戦術も意味がなくなってしまうのでは監督業としてはやりきれない、という意味だ。(無能なくせによく言うよと思ったけど)確かにスーパースターがいれば勝ってしまうというだけではどうかというところはある。しかしまた、私の友人が送ってくれた観戦レポートでは、逆に「サッカーの面白さの原点を呼び覚ましてくれた」というようなことを言っていた。私もそう思う。所詮スポーツは天才の卓越したプレーを見てしびれるのである。そうできない部分を戦術や組織で補うのだとおもう。だから、スーパースターが活躍した大会やゲームが強い印象としてのこるのであり、ペレ・クライフ・マラドーナといったスーパースターが深く脳裏に刻まれるのである。前回フランス大会で、スーパースターになり損ねたロナウドは、今回の大会で半分位(7,8割か?)はスーパースターの仲間入りしたように思った。(ケガ復帰直後でまだ全力は出せなかったように思う)
(20020701)

● 改めて今大会を振り返って(書き残したことも含めて)

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