推定相続人の廃除

河原崎法律事務所 (ホーム) > 弁護士による遺言、相続法律相談 > 推定相続人の廃除
2015.7.8mf
弁護士河原崎弘

相談

私は28歳の主婦です。今は主人と息子との3人暮らしですが、実家の両親(父は、元教員)は、将来は、今住んでいる一戸建て(土地と建物は父名義)を2世帯住宅にして、私たちと一緒に住みたいと言ってます。
実家には、現在、89歳の祖父、両親、そして27歳の妹がいます。問題は27歳の妹です。
妹は20歳で大学を中退して以来、まともな職に就いたことがなく、預金もありません。両親の話では、妹はバンドをやっている男性に貢いでいるようです。今は一緒にバンドをやりながらフリーターをして、小遣い銭が足りないときには両親の年金をあてにしている状態です。妹は、父の家をもらおうと考えているようです。
私としては、妹が、両親と一緒に住むことはかまわないのですが、妹がサラ金等に手を出したとき、家を自分名義にして、売却してしまうのではないかと心配してます。
相続のときに妹が取得できる財産は一切ないようにするには、どうしたらよいでしょうか。
相談者は、区役所の法律相談所で、弁護士に相談しました。

お答え

家の名義変更

家の名義は、名義人の意思が必要ですし、手続きとしても、実印、印鑑証明が必要ですので、簡単にはできません。さらに、お父さんの生前の名義変更には高い贈与税が課せられます。ご心配なら、あなたから、事前に、ご両親によく注意をしておくとよいでしょう。
さらに、法的には、お父さんとあなたの間で、家について、死因贈与契約 を締結し、仮登記をすれば、さらに安全です。

推定相続人の廃除

民法には、相続人の廃除の手続きがあります(民法 892 条)が、要件(廃除事由)は、「被相続人(この場合は両親)に対する虐待、重大な侮辱、著しい非行」です。下の審判例を参考にしてください。
相続人の廃除は両親(被相続人が)が生きている間に家庭裁判所に対して手続をします。遺言でも、できます(民法 893 条)。遺言で廃除する場合は、被相続人が死亡後、遺言執行者が家庭裁判所に対し廃除の請求をします。 廃除された者は、相続人になれません。
しかし、妹の場合、これ(廃除事由)には当たらないでしょう。

遺言

次に、両親に「財産を全部あなたに相続させる」旨の 遺言 を書いてもらうことです。
それでも、妹には、遺留分 の権利がありますので、(法定相続人が、両親の片方, あなたと妹の場合)、妹は、遺産の8分の1の権利(遺留分)は取得できます。
妹の遺留分を減らすには、あなたの夫、子どもがあなたの両親の養子になることです。2人とも養子になった場合(法定相続人が、両親の片方、 あなた、妹、養子2人の場合)、妹の遺留分は減少して、16分の1になります。

遺留分放棄

両親の 生前に相続放棄 はできませんが、遺留分放棄はできます。その場合は、妹に一定の財産を与え、妹に遺留分放棄をさせるのです。しかし、妹が自己の意思で放棄しないとできません。さらに、遺留分放棄には、家庭裁判所 の許可が必要です(民法 1043 条)。

妹の同居

妹が両親と同居していると、両親がなくなった後の遺産分割協議は、もめるでしょう。
妹は、寄与分とか、「家の立退料をくれなければ、立ち退かないなど」の主張をするおそれがあるのです

判決


東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301 河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 電話 03-3431-7161