鹿島槍ヶ岳の項から続く。
キレット小屋を出た時は良い天気であり、少々小高いところから後ろを振り返ると、 昨日登った鹿島槍ヶ岳がその双耳峰を朝日に輝かせていた。
目指す五竜岳もそのズングリとした姿を遙か先に見せていたが、徐々に下から上がってくるガスに巻き込まれ、 北尾根ノ頭と呼ばれるピークに着いた頃には、ついにその姿が完全に隠れてしまっていた。
キレット小屋から五竜岳までの間で、唯一場所を表す標識があったのはこの北尾根ノ頭で、白地に赤ペンキで書かれた標識のそばに、 一対の軍手が置き忘れられていたのが印象的であった。北尾根ノ頭からは少し進んだ所で梯子を下り、やせた尾根からガレた所を登ると、小さな岩峰群があり、 そこを過ぎると黒い岩峰を巻くが、これが G5と呼ばれる所らしい。
G5から G4への道は、今日一番注意しなければならないところであるが、慎重に通れば問題はないし、 この日はほとんど人がいなかったので、つっかえることもなくスンナリ通過できた。
G4を過ぎると、鎖場や急坂が続き、所々落石しやすい箇所もあったので、他人の行動、自分の行動に十分に注意をする必要がある。何とかガスが切れる奇跡は起こらないかと願いながら登り着いた五竜岳は、残念ながら完全にガスの中で、 昨日の鹿島槍ヶ岳と同じように展望を全く得られない状態であった。
何か、ここまでアッと言う間に着いた感があるが、時計を見ると所要時間 2時間10分ほど、 地図上では 4時間と記されているからなかなか自慢しても良い所要時間だと思う (但し、私の周囲にはこんなことを自慢しても分かってくれる人はは全くいないのだが・・・)。
昨日の鹿島槍ヶ岳同様、暫くガスが晴れるのを待ったものの、 一向にその気配が見られないのであきらめて五竜山荘の方へと下山したが、悔しいことに五竜山荘との中間あたりに来るとガスが晴れ、 山頂の向こうに青空が広がっているのが見えた。
今更戻る気にもなれず、五竜山荘前からその姿を数枚写真に収めるだけで、白岳から西遠見山方面へ下ったが、 振り返ると五竜岳は再びガスに包まれており、最早全くその姿を見ることができなかった。この遠見尾根は、途中残雪や池塘などがあり目を楽しませてはくれたものの、何しろ長い尾根で、 いい加減イヤになってくるのに加え、途中で 20人ずつ位の中高年 (私もそうだが) の団体が 6組程下っており、 その間を抜かせてもらうのに大変苦労させられた。従って、あまり良い印象は残っていない。
小遠見山との分岐を左に折れ、ネマガリタケの中の道を進むと、やがてベンチがあつらえられた公園のような所に飛び出し、 とたんに観光客らしき人々の群れに出会うことになったが、この辺は地蔵ノ頭を中心とした観光地となっているらしい。
人々が集まって記念写真を撮っている地蔵ノ頭を横目に、スキーリフトの横を通ってアルプス平駅へと向かい、 テレキャビンに乗った。ここからはさすがに歩いて下山という気にはなれない。小さなゴンドラの中から空中に舞うパラグライダーなどを見ながら、 終始 霧・ガスにたたられた今回の山行を振り返ってみたが、 肝心の頂上で両山とも全く視界を得られなかったのが悔しく、何となく不完全燃焼であった。
このまま家に帰ることも考えたが、この山頂での物足りない想いと、また今回山中 2泊する計画のところを 1泊で済んだことで、 もう 1つ百名山に登って鬱憤を晴らそうと思い立ち、南小谷まで行って、 雨飾山にトライすることにした。
テレキャビンの山麓駅から小谷温泉に電話をすると、今晩泊まれるということだったので、神城駅から南小谷駅まで行き、 そこからバスで小谷温泉まで行って、翌日の雨飾山に備えた。
普段から百名山のルートを良く調べておいたので、このような時に臨機応変に対応できたのだと思う。以下、雨飾山の項に続く。
五 竜 岳 登 山 デ ー タ
上記登山のデータ 登山日:1994.7.31 天候:曇り時々晴れ 単独行 前日泊 登山路:キレット小屋(泊)−北尾根の頭−G5−G4− 五竜岳−五竜山荘−白岳−西遠見山−地蔵の頭−アルプス平駅−(テレキャビン)−山麓駅−神城 交通往路:鹿島槍ヶ岳の項参照 交通復路:神城−(大糸線)−南小谷−(バス)−小谷温泉(泊)雨飾山登山へ。 温 泉:小谷温泉 その他:7月30日はキレット小屋泊。翌31日に五竜岳登山。
31日は小谷温泉泊。その他の
五竜岳
登山黒菱−八方山−唐松岳頂上山荘−唐松岳−唐松岳頂上山荘− 五竜山荘−五竜岳−五竜山荘−白岳−西遠見山−大遠見山−中遠見山−地蔵ノ頭−アルプス平   ( 2010.8.21:快晴後曇り )
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