〜スペシャルプラグコードの作成〜


はじめに

世の中には、数多くの点火系チューニング商品が存在する。電極の形状や材質に特徴のあるプラグや、低抵抗のシリコンコード、さらにはケーブルにコンデンサ機能を持たせたというものなど、多種多様である。

プラグなどは、値段もバカみたいに高くない(ノロジーのトルクマスターは別!あれは高すぎ!)し、ためしに買ってみようかななどと思うのだが、いままで買ってみて値段に見合った効果が感じられた商品は残念ながらひとつもない

「低抵抗シリコンコード」 これも良く見かける。 確かに、ハイテンションコードが低抵抗であれば、瞬間的に流れる電流のピーク値は大きくなり、太い火花が飛ぶだろう。たとえば、スプリットファイアなどは芯線を2本にすることで低抵抗をうたっているハイテンションコードをラインナップしている。

でも、ちょっと待ってよ! 
プラグキャップにはレジスター(抵抗)が入ってなかったっけ?

そう、プラグキャップには抵抗が、それもかなりの抵抗値のものがはいっているのである。その値は、例えばNGKの赤いプラグキャプでなんと5KΩにもなる。これじゃあ幾らコード側で努力して抵抗値を減らしてもなんの意味も無いではないか?なんでレジスターなんか入れるの?といいたくなる。もちろん理由はある。

レジスターを入れる目的は、雑音(イングニッションノイズ)防止である。たしかに高電圧でバチバチ火花を散らしていたらかなり広い周波数範囲で雑音を発生することになる。そこでレジスターを入れることでハイテンションコードに流れる電流のピーク値を抑えて、雑音の発生を減らそうとしているのである。だから何の雑音対策もないままにレジスターを外してしまうと、近所のテレビにメダカ状の白いノイズをだしたり、ラジオなどに「バチバチ」といった雑音を発生させる恐れがある。

でも、点火系の性能を最優先するのなら「レジスターを外しちゃえ!」がごく自然な考え方の流れだと思う。レジスターを外しても、イングニッションノイズが出にくくなる良い方法はないだろうか・・・

いろいろ考えた結果・・・・
スパーク自体が、金属で囲まれた燃焼室内での出来事であることを考えると、雑音電波を空中に輻射しているのは、主にハイテンションコード自身であると考えられる。ハイテンションコードが言わば「送信アンテナ」になっているのである。この輻射を抑えることができれば、近所に迷惑をかけずに堂々とレジスターを外すことができると考えた。

そこで思い出したのが、モービルハム(アマチュア無線機を車載して運用すること)でハイテンションコードを編線で包んで車体(アース)に落とす方法である。短波帯ではイングニッションノイズの影響をモロに受けるために、車体全体が確実にアース電位となるように各パネル(鉄板)をボンディングワイヤーでつないだり、ディストリビュータやハイテンションコードのなどのノイズ源をシールドしたりする対策がとられることが多い。この方法を使えないだろうか・・・
・・・と、ふと良く似た構造のハイテンションコードがあることを思い出した! 

そう! NOLOGYのHOTWIRE である!

ホットワイヤーは確か、ケーブル自体にコンデンサの機能を持たせたものだと能書きには書いてあったと記憶しているが、あの構造はモービルハムの方々がつくる、ノイズ対策済みハイテンションコードの構造とそっくりなのです。ふたつの違いは、ノロジーのほうが編線が短く、シールドとしてみると不完全な構造になっている点です。

それならばシールドをできるだけ完全に近いものとしてホットワイヤーよりもノイズがでにくい構造にしたうえでプラグキャップのレジスターをキャンセルし、さらにエンジン側にアースコードをつなぐだけではなく、イングニッションコイルのアース側にもアースコード(編み線)を接続するようにして、シャーシーアースで繋がっているため今ひとつ信用できないイングニッションコイルのアース側とプラグの接地電極との間の接続状態を確実なものとするような構造のハイテンションコードを自作してみようと考えたのです。

このケーブルには、電磁シールド効果だけを考えて作っており、コンデンサ機能などを考えていないわけですが、ホットワイヤーと構造が同じなだけに、もしかしたらNOLOGYのケーブルと同じような効果があるのかもしれません。でもコンデンサって、いったいどのくらいの容量があるの?CDI効果って今ひとつピンとこないんだけどなぁ・・・実験してみたらわかるかもしれませんね。やってみるのが一番です。

では、早速効果を確認するべく作ってみることにします。


製作する

おもな材料

NGKのシリコンプラグコード
編み線・太(プラグコードにかぶせるもの)
編み線・細(引き出し用アース線)
熱収縮チューブ
ハーネステープ少々
8Φ穴の丸穴端子 2個
ダミー抵抗用のネジ 1個

以上 材料費にして2000円弱


シリコンコードに編み線をかぶせます。
編み線よりも2cmほど長めに熱収縮チューブを切ります。


引き出し用編み線をはんだ付けします。
編み線ははんだを吸いますからなるべく少ないはんだで付けるよう心がけます。


両側に引き出し用編み線をはんだ付けします。
はんだ付けしたところをハーネステープで巻きます。


熱収縮チューブを被せます。
ヒートガンがあれば最高ですが、無ければガスコンロを弱火にして、その上で炎との距離に注意しながらチューブを炙るようにするとキレイに仕上がります。

プラグキャップに入っている部品(白いのが5KΩの抵抗)

プラグが刺さるほうの穴から、プラグキャップを分解する。マイナスドライバー一本で簡単に分解することができます。
5KΩの抵抗のかわりに、同じながさの4ミリの鍋ねじをいれることにします。写真ではネジにナットがついていますが、この状態では穴に入らないことがあとで判明したのでナットはつけないで入れてください。これで「レジスターキャンセルされた」プラグキャップになるわけです。この状態でケーブルの全体の抵抗値を測定したところ約0.5Ω、レジスターが入った状態からくらべると、抵抗値は
1万分の1になります! プラグキャップにレジスターが入った状態で、ハイテンションコードの低抵抗を誇らしげに謳うことがいかに無意味なことか良くわかりますね。


つづく