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公開鍵暗号(1)暗号とは

暗号はネットワーク時代のキーワードの一つなのに、私はなんとなくしか理解していません。使う度にちょっと不安な気分になります。

自衛のためにも、暗号の基本的なこと、特に暗号史上最大の発明とされる公開鍵暗号の仕組みを知りたくて、このページを書いています。
暗号史上、画期的なできごとが1970年代に2つありました。一つは米商務省によるDES(データ暗号規格)の発表、もう一つは公開鍵暗号の発明です。

このページで用語をまとめ、以下のページでDESと公開鍵暗号に触れます。最後にRSA暗号の仕組みを数値例で確認します。
【参考文献】
・数理科学1986.8 サイエンス社
・暗号理論入門 岡本栄司著 共立出版株式会社 ISBN4-320-02633-0
・符号と暗号の数理 藤原良・神保雅一著 共立出版株式会社 ISBN4-320-02661-6

用語

情報通信において、万一第三者に通信文が漏れても、第三者にはその意味がわからないよう情報を変換する技術が、暗号(cryptography)です。第三者が、暗号化された通信文から意味を見い出すのが、(暗号)解読(cryptanalysis)です。
元の情報(テキストだけでなく音声や画像であってもよい)平文(plaintext)、変換された情報を暗号文(ciphertext)と呼びます。平文を暗号文に変換するのが暗号化(encryption)で、暗号文を元の平文に変換するのが復合化(decryption)です。暗号化と複合化の全過程を暗号系(cryptosystem)と呼びます。
CRYPTO CHART
暗号化と複合化の手順を暗号アルゴリズム(encryption algorithm)、そのパラメータを暗号鍵(cryptographic key)と呼びます。

暗号化と複合化の過程で使用するパラメータが異なるとき、それぞれのパラメータを暗号化鍵(encryption key)及び復号化鍵(decryption key)と呼んで区別します。暗号化鍵と復号化鍵のいずれか一方から他方が容易に計算できる暗号系が、対称暗号系(symmetric cryptosystem)、暗号化鍵と復号化鍵のいずれか一方から他方が容易には計算できない暗号系が、非対称暗号系(asymmetric cryptosystem)です。
暗号化と複合化でまったく同じ鍵を使用する場合は、特に共通鍵暗号と呼びます。公開鍵暗号のアイデアが生まれる以前の暗号は、DESをはじめとしてほとんどが共通鍵暗号でした。

暗号化鍵から復号化鍵が容易には計算できないとき、暗号化鍵は公開できることになります。これが公開鍵暗号系(public key cryptosystem)です。このとき暗号化鍵を公開鍵、復号化鍵を秘密鍵とも呼びます。
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