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弦楽四重奏曲第8番作品110−第4楽章・第5楽章
last updated: 2001.3.14

弦楽四重奏曲第8番概説

第4楽章 Largo 葬送 ロンド(A B A C A)
53 A 3音の叩き付けるような無気味な和音(長ニ度音程の和音が真夜中のノックを連想させる。)で始まり3音の動機がそれに続く。映画「若き親衛隊」の「英雄の死(葬送行進曲)」も同じ短三和音の分散和音で始まる。(「英雄の死」は、ワグナーの「神々の黄昏」の葬送行進曲を下敷きにしていると思われる。)テンポを速めると第3楽章で引用されたチェロ協奏曲第1番の冒頭と酷似する。

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チェロ協奏曲第一番第一楽章冒頭

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DIES IRAEが再び演奏され(53.21)、楽章の切れ目を挟んだ両側を DIES IRAE が 囲む形になる。
54 B 第一ヴァイオリンを除く下3声部が、 重苦しい聖歌風の旋律を演奏。

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57 A DIES IRAE の部分は DSCH に変わっている。
58 C 第一ヴァイオリンが革命歌「重き鎖につながれて」を歌う。 下3声部にほとんど動きがないためくっきり浮かび上がる。
革命歌「重き鎖につながれて」

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続いて革命歌「今日は自由よ」の変型をまず下3声部で(60)続いて第一ヴァイオリンで演奏する(61)。テンポが違うため、第2楽章とは異なり自由にたいする(あきらめきれない)絶望のように響く。

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転調して、チェロが高音でオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の「セリョージャ!愛しい人」の旋律を歌う(62)。
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」第4幕第9場

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63 A 最後にもういちど(一度は途切れるが)DSCHが姿をみせる。
第5楽章 Largo DSCHによるフーガ(結)
65 DSCHのフーガ。伴奏に第1楽章であらわれた動機Aに続きマクベス夫人の不眠の動機が使われる。
動機A

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ムツェンスク郡のマクベス夫人の「不眠」の動機

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一度盛り上がって(68.5)また静かになる。DSCHのフーガが全楽器弱音機つきで奏される(70)。DSCHに続き第1楽章でも引用した第1交響曲第1楽章冒頭を出だしの音形のみ引用し(71.3)、不眠の動機がまたそれに続く(71.7)。 最後のDSCH(ppからクレッシェンドして f espress)(72)と動機A(ディミヌエンド)。最後はフェルマータと morendo で終わる。

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