相平衡



<相律>

 F=C−P+2

 Pは固体,液体,気体のような相の数である。ただし,混じり合わないものは別とみなす。
 Cは成分の数である。成分とは,砂糖水における砂糖と水に相当する。
 Fはその性質が決定できる状態の数(自由度)である。

 −証明−

 ある相の状態変数は,
 
 温度 1
 圧力 1
 成分の割合 C−1

 したがって,P個の相では,P(C+1)個ある。

 平衡になると,温度・圧力・各成分の自由エネルギーがつりあうの で,

 T(相1)=T(相2)=…=T(相P)
 P(相1)=T(相2)=…=P(相P)
 G1(相1)=G1(相2)=…=G1(相P)
 …
 GC(相1)=GC(相2)=…=GC(相P)

 (C+2)(P−1)個の束縛条件により,状態変数の自由度Fが減る。

 F=P(C+1)−(C+2)(P−1)
  =PC+P−(PC−C+2P−2)
  =C−P+2
 
 証明終わり。

 例1 − 水の場合(C=1)

 液体の水(P=1)  → F=2。温度と圧力で決められる。
 水と水蒸気(P=2) → F=1。温度もしくは圧力のみで決められる。
                  蒸気圧曲線を思い出そう。
 三重点(P=3)   → F=0。温度も圧力も固定される。

 例2 − 砂糖水(C=2)の冷却の場合

 @砂糖が多いと,

 砂糖水(P=1) → 砂糖が析出(P=2) → 砂糖水が薄くなる(P=2)

 さらに冷やすと,

 砂糖と水が凍る!(P=3)
 このとき,F=1となるので,圧力一定の下では,性質が「決まって」しまう。
 すなわち,砂糖と氷の割合は一定となる

 A水が多いと,

 砂糖水(P=1) → 水が凍る(P=2) → 砂糖水が濃くなる(P=2)

 さらに冷やすと,

 水と砂糖が凍る!(P=3)
 このとき,F=1となるので,圧力一定の下では,性質が「決まって」しまう。
 すなわち,砂糖と氷の割合は@と同じとなる

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