活用表 動詞についての留意点 助動詞の種類と機能 助詞の種類と機能 仮名遣
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過去・完了 推量 打消 自発・可能・受身・尊敬
使役・尊敬 その他(指定・比況・希求)
未然形 |
連用形 |
終止形 | 連体形 |
已然形 |
命令形 | 上にくる語の活用形 | |
る | れ | れ | る | るる | るれ | れよ | 未然(四段・ナ変・ラ変) |
思はる 知らる あらる 死なる し侍らる
その動作が話し手自身の意志とかかわりなく成立することを示す。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(古今集、藤原敏行)
外山吹く嵐の風の音きけばまだきに冬の奥ぞ知らるる(千載集、和泉式部)
春ごとに流るる川を花と見て折られぬ水に袖や濡れなむ(古今集、伊勢)
人の子の親になりてぞ我が親の思ひはいとど思ひ知らるる(康資王母集、康資王母)
枝もなく人に折らるる女郎花根をだに残せ植ゑし我がため(後撰集、平貞文)
忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな(拾遺集、右近)
語源は動詞「生(あ)る」との関連が指摘されている。奈良時代には多く「ゆ」「らゆ」が用いられ、「る」「らる」は平安時代以後に多くなる。現代口語には「れる」「られる」の形で継承されている。
未然形 |
連用形 |
終止形 | 連体形 |
已然形 |
命令形 | 上にくる語の活用形 | |
らる | られ | られ | らる | らるる | らるれ | られよ | 未然(上一・上二・下一・下二・カ変・サ変) |
着らる 寝らる 来(こ)らる 為(せ)らる あらせらる せしめらる
「る」に同じ。
ほととぎす初声聞けばあぢきなく主さだまらぬ恋せらるはた(古今集、素性法師)
つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天くだり来んものならなくに(玉葉集、和泉式部)
竹ちかく夜床寝はせじ鶯の鳴く声きけば朝寝せられず(後撰集、藤原伊衡)
うちはへていやは寝らるる宮城野の小萩が下葉色に出でしより(新古今集、読人不知)
散る花にせきとめらるる山川のふかくも春のなりにけるかな(詞花集、大中臣能宣)
花よりもはかなき身こそ朝顔の花に見らるる朝顔の花(拾玉集、慈円)
未然形 |
連用形 |
終止形 | 連体形 |
已然形 |
命令形 | 上にくる語の活用形 | |
ゆ | え | え | ゆ | ゆる | ゆれ | えよ | 未然(四段・ナ変・ラ変) |
思ほゆ 偲はゆ 泣かゆ 忘らゆ「思ほゆ」は「思はゆ」からの転訛。
働きは「る」「らる」とほぼ同じであるが、尊敬の意では用いられない。
白妙の袖別るべき日を近み心にむせび音のみし泣かゆ(万葉集、紀女郎)
目には見て手には取らえぬ月内の桂のごとき妹をいかにせむ(万葉集、湯原王)
青山を横ぎる雲のいちしろく我と笑まして人に知らゆな(万葉集、坂上郎女)
助動詞「ゆ」「らゆ」は平安時代になると「る」「らる」に取って代わられたが、「思ほゆ」などは和歌で使われ続けた。江戸時代には国学者流歌人が万葉調の歌において度々用いるようになって復活し、近代に至る。現代口語には「いわゆる」「あらゆる」などに化石的に残っている。
未然形 |
連用形 |
終止形 | 連体形 |
已然形 |
命令形 | 上にくる語の活用形 | |
らゆ | らえ | らえ | らゆ | らゆる | らゆれ | らえよ | 未然(上一・上二・下一・下二・カ変・サ変) |
着らゆ 寝らゆ 来(こ)らゆ 為(せ)らゆ
働きは「る」「らる」とほぼ同じであるが、尊敬の意では用いられない。
(作例未見)
ほととぎすいたくな鳴きそひとり居て寐の寝らえぬに聞けば苦しも(万葉集、坂上郎女)
直渡り 日の入る国に 任けらゆる 我が背の君を…(万葉集、作者未詳)
公開日:平成19年03月16日
最終更新日:平成21年09月12日