2016年6月9日追記:以下の試聴結果に沿って、DP-720を導入しました。その調整記はこちら。
SACD/CDプレーヤ試聴
新しいDAコンバータは、エソテリックD-02xになりましたが、引き続きの改造計画として、「CDはORACLE CDドライブ、SACDはマランツSA-11S3+Benchmark ADC-1(ADコンバータ)、ハイレゾファイルはNuprime uDSD (DDコンバータ)」と、複雑になってしまったデジタル入力体系を、整理したいと考えました。少なくとも、CDとSACDは兼用機材にしたい。
デジタルイコライザを入れるためのSACDのPCM化再生、「アナログ出力+ADコンバータ方式」を引き継ぐためには、アナログ出力があるSACD/CDプレーヤを買わねばならないので、D-02xとペアが常識のエソテリックP-02xが選択肢になりません。
マランツSA-11S3は、決して音が悪いと思っていませんが(むしろすごくいいのですが)、CDドライブとしてORACLEに代わるとなると、D-02xと並べだときのの重量感であまりにバランスが悪いなあ、と思ってしまって。なぜかドライブ部分だけ使っても音もちょっとORACLEと傾向が違うし。
そこで、いつものお店で試聴させていただいたのは、
@マランツSA-11S3(レファレンスとして。現行機なので試聴も可能)
Aエソテリック P-02x+D-02x (これもリファレンスとして念のため)
Bラックスマン D-08a (試聴前はこれが本命)
Cエソテリック K-03x(K-01xはP-02xとの間と想像できるので略)
Dアキュフェーズ DP-720 (MDSD方式のSACD再生が魅力)
試聴ソースは、今回はSACDのみ。その他システムは、今回もアンプはアキュフェーズ、スピーカはB&W 802-D3。DAコンバータの試聴の時と同じです。
マランツ SA-11S3
●処理アルゴリズム特徴
PCMとCD |
DACチップDSD1782に直結 |
SACDとDSD |
DACチップDSD1782に直結 |
→SA-11S3は、一番普通のDACチップの使い方です。
まさしくうちのSA-11S3の音でした。(うちはJBLながら、デジタルイコライザで調整されているので、B&Wと聞き比べてもあまり違わないです。)
やはりSA-11S3は、もっとも中庸な音だと思います。30万円台で売られていることも考えると、超お買い得な機種です。入替えを考えてはいますが、いまも気に入っています。
エソテリック K-03xとP-02x+D-02x
●処理アルゴリズム特徴
PCMとCD |
DACチップAK4490の多数並列で32ビットを超える拡張処理
(P-02xは36ビット、K-01xは35ビット、K-03xは34ビット) |
SACDとDSD |
DACチップAK4490に直結 |
→私の場合、CDはデジタル出力から取り出すので、K-01xやK-03xの特長である34 or 35ビット変換システムはバイパスして、D-02xの36ビット処理に入るわけで、なんかもったいないなあ。
K-03xは、SA-11S3より低域が軽めで、「エソテリックでは安い方のモデル感」がちょっと出ているかも。高域の音色はSA-11S3よりさらに鮮明です。 D-02xにADコンバータ経由で入れたら、高域の「エソテリック・トーン」が「二乗」になってまずいかも。低域はイコライザで何とかできそうですが、高域の音色調整は、経験上、意外と難しい。 もうちょっとおとなしめのSACDプレーヤがよさそうに思いました。中庸なSA-11S3が実は絶妙なマッチングだったと知りました。
それにエソテリック自慢の35ビットor34ビット処理機能を捨てるのは、やはり無駄すぎるような気がします。
エソテリックは、価格順に低域を少しずつ減らしているのがはっきりわかります。そんなわけで、K-03xとSA-11S3を比べると、高域はとにかくも、低域はSA-11S3が確実に重厚です。SA-11S3はマランツ最高級なので、ヒエラルキーへの遠慮がない全力投球ですから。
一方、P-02x+D-02xなら、もちろん全帯域でこれが上。イコライザのせいでP-02xを買えないのが残念です。
ラックスマン D-08a
●処理アルゴリズム特徴
PCMとCD |
32ビット384kHz (48kHz系)または352kHz(44kHz系)にアップサンプリング処理(解除不可)後、DSD1792Aへ。 |
SACDとDSD |
SA-11S3と同じDACチップDSD1792Aに直結。 |
→CDのデジタル出力は、アップサンプリングの手前から出力されるので、この自慢のアップサンプリング系を、私は使わないことになります。もったいないなあ。
外観と内部配線の美しさ、それとCDドライブの滑らかな動きは素晴らしい。
SA-11S3と同じDACチップだから音も似ているだろうと思っていましたが、それは大間違い。好みは人それぞれでしょうが、SA-11S3やエソテリックの各機とは、音が全然違います。これがラックスマントーンなのですね。
好きな人は大好きなのだと思いますが、これは、私の希望する音からは一番遠い音でした。外観や動作で気に入っても、かならず試聴はせよ、と言うことですね。あきらめました。
アキュフェーズ DP-720
●処理アルゴリズム特徴
PCMとCD |
DACチップのES9018へ直結 |
SACDとDSD |
時間遅れ分散したDSD信号を多数のDACに入れて、DAC出力を加算平均合成するMDSD方式という絶妙な仕組み。 |
→SACDのアナログ出力を使う私も、そのままMDSD処理の恩恵にあずかれるという点で、投資に無駄がでないのが魅力。
CDはドライブのデジタル出力をD-02xへ入れ、エソテリック特許の36ビット処理で聴き、SACDはアキュフェーズ特許のMDSD処理で聴く。こう考えると、DP-720が技術的にはもっとも無駄がない。それにアキュフェーズなら音が悪いはずはない
・・・とわかっているけど、
「DAコンバータがエソテリック D-02xで、SACDプレーヤがアキュフェーズDP-720? 馬鹿じゃねーの、あり得んでしょ!」
・・・っていう声が聞こえそう。
しかしねえ、このSACDの音を聴いてしまうと、これしか選択肢がないかも。
SA-11S3同様の中庸の中に、プラスアルファで輝きや低域の凄みを入れてくるのです。
もちろん、単純にSACDの音として聞くなら、エソテリックのP0-2x+D-02xの音もほとんど対等に良いです。K-01xも同様に良いでしょう。
ただ、私のシステムでは、高域の切れ味がよいエソテリックトーンが「二乗」になって切れすぎる恐れを感じます。
CDではD-02xを導入した私ですが、SACDでは、アキュフェーズの誇るMDSDの音に軍配を上げたいと思いました。
DP-720は、そのSACDの音を聴く前は、いろいろな意味で「あり得ない選択」と思っていましたが、間違っていました。よく考えてみれば、当然の結果という気もします。 やはり、試聴は重要ですね。
2016年5月
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