第81話 ミレニアムに向けて
紀元 2000年がやってくる。まだまだ先かと思っていたらいつの間にか師走なのだ。小渕内閣は2000円札の発行とかはしゃいでいますが、ママの周りでY2K対策を講じてる人はほとんどいない、「ノストラダムスの大予言と同じような言い伝え」と思ってる人もいるようです。
もう数週間しかないこの頃になって「ソニー」や「日立」などのメーカーが、自社製品への対応が必要な場合があると警告広告を出し始めた。今更ユーザーへの対応は間に合わないでしょう。取りあえず、メーカーの責任回避の言い訳用に出したとしか思えない。それでも一応は情報を開示した姿勢は評価できる。
東京電力や銀行などは、Y2K問題は対処済みや問題ないと大々的にPRしています。でも、ママは昔プログラムを作っていた経験から散々デバッグやテストを行い、これで完璧だ、と思っていても考え抜けや漏れが絶対にある、ということを知っています。現場のプログラマやシステムエンジニア、メーカが大丈夫だというのを信じてはいけないのだ。
連日の報道でも2000年問題について心配ないと繰り返しいっていますが、これだけコンピュータに依存した世の中です。何が起きても不思議は無い。ロシアや北朝鮮の原子炉やミサイルも心配だ。もちろん日本の原子炉も心配だ。東海村の臨界事故で明らかになったように、現場では何をやっているかわからない。でも、それらは心配しても始まらないので、取りあえず個人でできる対策をとることにした。
ライフラインと呼ばれている電気や水、ガスなどはもし止まったとしても早めに復旧するだろうと思う。でも、心配なのは風説によるパニックだ。こればかりはどうなるか予測できない。過去にトイレットペーパーが無くなる事件や米不足パニックもあった。2000年の元旦に問題が発生しなくても、今の日本、ちょっと流通が滞るだけで品不足になる恐れもある。
普段何気なく使っている品物やサービスは、実はとても繊細なバランスの上に成り立っているのかもしれない。ちょっと前に自動車の部品工場の火災でトヨタの生産が滞ったし、台湾大地震でポケモン金銀の販売数が減った。2000年問題でどこかの企業1社でトラブルがおきただけでも、どこに影響がでるか知れない。そのニュースから人々が買い占めに走ったら、あっという間にパニックだ。
我が家は子供達も小さいので、じわじわと食品・生活雑貨が品薄になる可能性を考えて、普段食べたり、使うものを多少備蓄をする事にした。杞憂かもしれないが、その時は普段の生活に使えば良い。
- 備蓄品
- 食品
・米、みそ、醤油、サラダ油、調味料、砂糖、塩、香辛料、ケチャップ、マヨネーズ、ソースなど
・乾物(日持ちする食品:乾麺、パスタ)
・レトルト食品、インスタント食品
・缶詰(魚、シーチキン、コンビーフ、コーン、トマトなど)
・野菜(タマネギ、ジャガイモ、ネギ、ニンジンなど保存できるもの)
・冷凍食品や冷蔵庫の食べ物は溜めすぎない
・今年の暮れは多めにお節料理を用意する
- 水分(2〜3日分程度)
・飲料水(ペットボトル、ポリタンク)
・酒、ビール、ウィスキー、ワイン
・ウーロン茶、緑茶(ペットボトル)
- 日用雑貨
・トイレットペーパー(たくさん)
・ティッシュ
・洗剤
- 薬
・風邪薬や胃腸薬の普段使っている物(生産ラインの不調で品不足や成分の不備も心配)
- 停電・停ガス対策
・蛍光管式の懐中電灯(前から必要と思っていたのでこれを機会に購入)
・ラジオ(防災用に準備している物)
・電池(懐中電灯、ラジオ用を2〜3日分程度)
・携帯ガスコンロ(ガスボンベ2〜3日分程度)
- その他
・新聞紙(取りあえず12月分は捨てない)
→燃料、食器拭き(水がないとき)、その他多目的に使える
- 年末にやること
・車のガソリンを満タンにする(毎年やってますが)
・灯油をポリタンクに買っておく(これも同上)
・風呂桶に水をためる(12/31)
・銀行通帳の記帳(右のようなパンフを配っているけど心配)
・現金を多めに持つ
- パソコンの対応
パソコンに関しては75話に書いたように、Windows98 SECOND EDITIONにしたので大丈夫だと思う。あと自衛手段で出来ることは、越年で電源を入れておかないことぐらいかな?「Y2Kウィルス」も恐いので元旦はニュースを見て(電気もテレビも止まる?)夕方になってからパソコンは使おう。マックの方は何も対策は講じてないが、使えなくなっても取りあえずは日々困らないので話の種に何もしないことにした。
最近、日本が世界に誇った技術が次々に失態を繰り返している。東海村の臨界事故、新幹線のトンネル崩落事故、国産H2ロケットの失敗。いづれも現場のモラル低下が問題とされている。事故の原因究明を内部の人間で行っているがこれでは絶対に根本問題は解決できない。警察官の不正も繰り返し指摘されているが、これも内部の監査委員では自浄効果は期待できない。
ファインマンさん最後の冒険 ラルフ・レイントン著
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米国で1986年にスペースシャトル・チャレンジャーが爆発炎上した事故ではNASAは外部に調査委員会を作り、ノーベル賞物理学者リチャード・ファインマン氏をリーダに原因を調査した。その結果が「低温によるOリングのゴムの劣化」という思いもかけない原因だった。この話は「困ります、ファインマンさん」(岩波書店)に詳しい。ファインマンさん関係の本を何冊か読みましたが、何にでも興味を持ちアクティブに活動する様子がみえて、とても面白いものでした。
内部に人間だけでは見過ごす問題点も門外漢がかえって指摘出来ることが多い。今、企業は採算の合わない業務はどんどん外注化してリストラを図ってる。アウトソーシングの時代なのだ。総ての作業を企業は抱え込まなくても外部に依頼した方が問題を解決出来る。現に日産のゴーン氏の働きぶりを見ればわかる。
ママはこの国の国会議員もよその国から連れてきた方が上手く日本の改革を進められると思う。選挙でいくら改革を叫んでも既存制度の中では新しい風は吹かない。各地方自治体が各国のそれぞと思う政治家を連れてくれば面白い。
家事もアウトソーシングして掃除はダスキンに、料理は出前に、洗濯はクリーニング屋さんに委託出来たら楽で良いなと師走の主婦は夢想するのでした。
今年も残り少なくなり、次回は1999年を振り返った総括を書きます。
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M.Nakamura Dec. 11,'99