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パラドックス集 |
日ごろ読書、テレビ、ラジオで見聴きしたなかで、気にいったパラドックスを過去 17年間集めたものです。
グリーンウッド氏が提唱した「炭酸ガス排 出量削減策のパラドックス」はこちらです。
シリアル番号 | 表題 | メモ | 日付 |
---|---|---|---|
001 | エピメデスのパラドックス | ●クレタ人エピメデスがのたまわった「クレタ人はみなウソつきだ」
●クルト・ゲーデルの不完全性定理の原形 ーホッフスタッター著「メ
タマジック・ゲーム」より 自己言及の構造で無限循環に陥る。 |
95/7/14 |
002 | プロタゴラス対ユーアトルスの再帰的ジレンマ | 以下哲学者ハワード・デロングの名著「論理学の素描」にでてくる話。
プロタゴラスは、弁護士を目指すユーアトルスに修辞学を教えることになった。ただし、ユーアトルスは巨額の授業料の半額だけを最初に支 払い 、残りの半額はユーアトルスが最初の訴訟事件に勝ったら支払うという契約であった。ところがユーアトルスはいっこうに実地の訴訟事件をとりあげる様子がな い。お金がほしいプロタゴラスはとうとう訴訟に踏み切った。 ●裁判所でプロタゴラスはつぎのように弁論した。 ●出来の良い弟子のユーアトルスはプロタゴラス論法の逆手をとってつぎのように自らを弁護した。 ーホッフスタッター著「メ タマジック・ゲーム」より 回答は母 |
95/7/14 |
003 | 思考を支配する暗黙の前提 | 野球場へ向かう途中、父と子の乗ったクルマが線路に嵌まって動かなくなってしまった。脱出できないでいるうちにとうとう突進してきた
列車にはねられてしまった。救急車が彼らを病院に運んだが父親は途中で息絶えた。息子はまだ生きていたが、危篤状態にあり、緊急手術が必要であった。息子
は病院に着くやいなや、手術室に運びこまれた。場数を踏んだ外科医が、準備を終えて入って来た。しかし、少年の顔をみるやいなや真青になり、「手術は無理
です。これは、私の息子です・・・」とつぶやいた
ーホッフスタッター著 「メ タマジック・ゲーム」より |
95/7/14 |
004 | 囚人のジレンマ | フォン・ノイマンが創始したゲームの理論を発展させる過程でランド研究所のフラッドとメルビン・フッレッシャーが1950年に非協調
的な非ゼロサム二人のゲームで必ずしもナッ
シュ均衡にならない実験をした、後にダ
グラス・ホッフスターが解りやすい形に一般化したのが「囚人のジレンマ」である。
理解しやすい例では警察が悪人一味のメンバーに、一番最初に密告した者には、報酬に加え、罪を免除しようと申し出るとき悪人一味が陥る ジレンマ。 「囚人のジレンマ」をテーマにした最初の人がトマス・ホッブスのリバイヤサン。 オペラのトスカでスカルピアがトスカに仕掛けるのも「囚人のジレンマ」である。かくしてカラバンドッシ辞世の歌「星は光りぬ」のアリア に集約されてゆく。 「囚人のジレンマ」に解はない。 囚人のジレンマは別の言い方では各主体がそれぞれの最適化を独自に追求していったとき、それは一般的には全体の最適化にはつながらない ともいう。これをナッシュ均衡の非最適性と言う。各主体を日本の政策当局と置き換えれば日本の問題がわかるはず。・・・伊藤元重東大教授 ーゲーム理論に関してはパウンドストーン著「囚人のジレンマ」にくわしい。 |
95/7/14 |
005 | 現代思想 | ●1980年代にブームとなったフランスのフーコー、デリダ、ドゥルーズなどが提示した思想で、認識や主体の問題を謎めいたパラドッ
クスとして提示した。
●ヘーゲル、ハイデッカー思想に代表されるヨーロッパ近代の克服を目的としている。 ●現代思想の衒学的傾向が避けられない。 ●これは英国のニューサイエンスとも影響しあっているようだ。 ●ヘーゲル、ハイデッカー思想とは ーホッフスタッター著「ゲー デル・エッシャー・バッハ」や 「メ タマジック・ゲーム」はこの論調に近い |
95/6/11 |
006 | プラトンの問題 | ●言語学者ノーム・チョムスキーが「有限で不完全なデータ(文)からどのようにして無限の言語表現を学ぶのか」という問題をプラトン
の対話篇「メノン」の挿話にちなみ「プラトンの問題」とよんだ。
●「プラトンの問題」は「刺激の貧困」(poverty of stimulus)とも呼ばれる。 ●このプラトンの問題に関して1960年代、チョムスキーはその生成文法理論(generative grammer)で人間は「普遍文法」(universal grammer)を生まれながらにしてもっているという理論を提唱した。しかし彼はダーウィンの進化論を否定し、隠れ創造論者のようにふるまった。 ●手話もクレオール言 語も普遍文法に従う自然言語である。脳科学か らも裏付けられている。 ●ブローカー野、ウェルニッケ野、各回・縁上回という3つ の言語野に「普遍文法」があるのではないかと研究されてきた。 ●事例関連:fMRIや光 トポグラフィ測定によれば、ブローカー野のブロードマン44野とブロードマン4野の狭い領域が文法処理時、活動することがわかってきた。 ●1960年代の人工知能研究もこの「生成文法」を計算機上の規則の形に置き換えて研究してきたがうまくいっていない。 ●1980年代以降の言語学は文法規則をつかうことをやめ、どの言語にも共通する普遍的で、小数の「原理」や「制約」から、人間の言語 獲得の過程を説明する方向に向かっている。 ●コンピュータによる「機械翻訳」も「用例翻訳」にむかっている。 ●人間の知能の働きのなかでも、似ているものを発見する能力は基本的な能力である。新しい表現に出会ったとき、記憶の中から似ている例 を探し出し、その類推から意味を解釈し、表現する。この「類似の検出」を機械に応用する。 ●大陸合理論--理論が先--「生成文法論」--学校の英語教育 ●イギリス経験論--経験が先--類推論--町の英語学校 |
94/6/18 |
007 | 環境問題を一言で言い表すと | ●米国の高名なコメディアンのジョーク"We found an enemy. It is
us." でいみじくもいい宛てている
●米国の戦後マンガのヒーローだったウォルト・ケリーWalt Kellyの1950年代の作品「ポ ゴ」のなかで主人公のポゴが言ったせりふ。 「ポゴ」は、多くの同時代の有名政治家をポゴのオーキフェノーキー湿地(ジョージア州とフロリダ州の州境にある広大な泥炭地)に住む動 物たちとして戯画化し、大胆にもジョセフ・マッカーシーを題材にした。マッカーシーはシンプル・J・マラーキーという名の牡猫として戯画化され、バード ウォッチング・クラブを乗っ取り、好ましくない人物を残さず追い出そうとする誇大妄想狂として描かれた。 |
92/8/6 |
008 | クイズ | ●シーザーが死ぬときに吐いた息に含まれていた分子を今、あなたが吸い込んだ可能性はどれくらいか。 ●アボガドロ数=1モルの分子数=6.02x1023のマジック ●地球は厚さ8000メートルの大気をもつ。 大気の体積は4.2 x 1021リットル=1.87x1020モル=1044分子 ●人の人呼吸は400cc=400/22,400*アボガドロ数=1022分子 ●従って1分子と1呼吸中の分子数の比は、1呼吸中の分子数と地球大気の総分子数の比と同じとなる。 1分子/1呼吸中の分子数=1/1022 ●シーザーの死後大気は完全混合していると考えられるから、呼吸のたびにシーザーが死ぬときに吐いた息に含まれていた多数の分子のう ち、少なくとも1分子は含まれていることになる。 ●以上なにもパラドックスではなく事実である。 |
90/6/30 |
009 | クイズ | 2台の列車が毎時 x マイルで正面衝突方向に走っている、この間を鳥が毎時 yマイルで往復している。列車がZマイルの点から出発したとするとき、正面衝突で鳥が列車にはさまれるまでに鳥は何マイル飛ぶことになるか。 | 92/2/15 |
010 | 木下の法則24 |
トラブル対策上の基本的問題
トラブル対策の責任を持つ人は、虫(バグ)を修正する技術を持たない。虫を修正する技術を持っている人は、トラブル対策の責任を持たな
い。 <中年の組織> 問題解決の技術を持っている人は、問題解決の責任を持たされていない <瀕死の組織> |
96/1/13 |
011 | 労働の一括固定論の誤謬 | ●世の中には限られた数量の職しかなく、生産性が上がると職の数は減少するという誤った考え方・・・経済学の用語
ーポール・クルーグマン著、「グローバル経済を動かす愚かな人々」 |
99/1/28 |
012 | 貯蓄のパラドックス、倹約のパラドックス | ●貯蓄率が上がると景気停滞をもたらし、所得を減らし、そして投資需要をも減らす。・・ケインズの初期モデルから導かれる。-「合成
の誤謬」ともよばれる
●このパラドックスからのがれるには金利を操作してケインズの初期モデルからのがれることである ーポール・クルーグマン著、「グローバル経済を動かす愚かな人々」 ●ポール・クルーグマン著、「End This Depression Now」(さっさと不況を終わらせろ)では更に展開されて「負債圧縮のパラドックス」と「柔軟性のパラドック ス」が導かれている。 |
99/1/28 |
013 | 寡婦のつぼ理論 | ●賃金を上げれば労働需要を減らすことになるとおもわれるが、実は雇用と生産を増やす。・・ケインズの初期モデルから導かれる。
ーポール・クルーグマン著、 「グローバル経済を動かす愚かな人々」 |
99/1/28 |
014 | 合成の誤謬 | ●論理学の合成の誤謬とは 一部分について真であることが、そうであることだけの理由ゆえに全体についても真であるとみなされる誤謬 -ポール・A・サミュエルソン「経済学」 ●ケインズが発見した合成の誤謬とは「個人を富ます貯蓄は経済全体を貧しくする」 ●アローの不合理(ジレンマ)=個人は合理的であっても(推移律を満たしても)全体は合理的でない(循環律になる) ●3人の人間と3つの政党が互いに投票すると循環律が成立し、デモクラシーは機能しない ー小室直樹著「数学嫌いな 人のための数学」 ●最近の例では中曽根政権下の1985年のプラザ合意後の円高局面で、当時の大蔵省が財政再建に固執し、日銀に低金利政策を強いてバブ ルを生じさせたこと、不良債権の情報を共有できず、統一した政策を打ち出せなかったのも、縦割りの行政のそそれぞれがその仕切りのなかで合理性を求めた結 果、全体ではマイナスに働く「合成の誤謬」。 ー朝日「経済漂流」2002/5/26 ●価格の粘着性や情報の非対称性があると「合成の誤謬」が発生し、自由市場は実現できない。価格の粘着性とはニューケインジアンが言い 出したことで価格の 改定が遅れがちになること。 ー朝日、小林慶一郎のディベート経済2007/2/26 |
99/2/13 |
015 | イノベーションのジレンマ | 「成功した人はその成功が原因となって失敗する」または「優良企業が全てを正しく行うが故に失敗をする」
ークレイトン・クリステンセン著翔泳社刊「イノベーションのジレンマ」 「カスティーリアはスペインを創った。だが同時に、カスティーリアはスペインを滅ぼした」というオルテガ・イ・ガセットのオーストリア
王家のスペインの墓碑銘も同じ文脈 |
2001/4/17 |
016 | ゼノンのパラドックス | ランナーはゴールに到達できない。
ランナーがゴールにつくためには、一定の距離を通過しなければならないが、しかし、この距離を通過するためには、まずその半分の距離を 通過しなければならず、この半分の距離を通過するためには、そのまた半分の距離を通過しなければならない。 この空間的距離の2等分は無限につづくから、距離がどれほど短くても、そして速度がどれほど速くても、ランナーは有限な時間で一定の距 離を通過できないことになる。この論証は、運動というものが論理的に不可能であることを証明しようとしたものである。 ランナーが一定の速度dx/dtで走るとしよう。x が1/2であればt も1/2となる。したがって距離がゼロに向かって収斂しても時間もゼロに向かって収斂するので有限の時間で一定の距離を通過できないとは証明できない。 ゼノンのパラドックスは「のそのそ這うカメをアキレスは決して追い越せない」とも表現される。現代では無限級数列の和は有限値になるの でアキレスもカメに追いつけることを知っている。 ゼノン(エレアの)は前5世紀(BC494-435) 古代ギリシアのエレア学派の哲学者。南イタリアのエレアで生まれ、エレア学派の 創設者パルメニデスの高弟となった。40歳ごろ 、師にしたがってアテネに移り住み、エレア学派の形而上学体系をつくりながら、アテネで数年間哲学を教えた。前5世紀に活躍したアテネの政治家ペリクレス とカリアスは彼のもとでまなんでいる。弁証法の創始者はゼノンだとアリストテレスは言っているという。 |
2001/6/21 |
017 | ギャンブラーの誤謬 | 偶然には記憶が無いという事実を評価し損なうこと
ーダニエル・C・デネット著「ダーウィンの危険な思想」 |
2002/03/07 |
018 | 使い捨ての誤謬 | 使い捨て文化は日本に根付いている。産業界でも構造調整といえば設備廃棄すると同義語となっている」。しかし個人生活では倹約は美徳
とされている。環境問題からもリサイクルは美徳である。経済学では消費喚起のため使い捨てが好ましいのではと考えられている。
しかし使い捨てが消費を萎縮させるメカニズムも存在する。これを「使い捨ての誤謬」という。 企業資産の二次市場が小さく、非効率なために、資産の市場価格が速く減価する。その結果、国民経済計算における(家計が所有する)正味 資産の減価が速くなる。消費者は資産の目減りが速いために、将来に備えようと、消費を抑制し 、貯蓄をふやす。こうして経済全体で消費が萎縮する。 ー日経、経済教室2002/7/18 小林慶一郎 経済産業研究所研究員 |
2002/04/07 |
019 | 教会のジレンマ | 教会に近づけば近づくほど、神からは遠ざかる (The nearer to church, the father from
God.)
ーシビル・マーシャルという人の編んだUnder the Hawthorn (J.M. Dent & Sons, 1981)という箴言集にある。 |
2002/07/23 |
020 | ポポ族のジレンマ | アフリカにあるダオメー(現在のベナン)のポポ族に伝わる昔話
男が妻と母親をともなって、川を渡っている。対岸にキリンが姿を現す。男が銃をとってキリンに狙いをつけると、キリンは「お前が撃てば 母親が死ぬ。撃たなければ妻が死ぬ」という。どうすればよい。 答えはないのだ。 ーウィリアム・パウンドストーン著「囚人のジレンマ」 |
2002/10/24 |
021 | 万能脳のパラドックス | 脳がチューリング・マシン並みに万能であるならば、言語の処理もやすやすとできてしまうのだろうか。もしできるならば、サルの脳は基
本的な構造が人間の脳と同じなので、言語処理能力があるはずである。しかしサルは言語を使えない。発声器官の構造に原因があるとの説もある。しかしもしそ
うなら、なぜサルは人のように手話をつかわないのだろうか? 答え:「多芸は無芸」と同じ原理で人間の脳の言語野では大脳皮質一般の機能が制限されて言語しか処理できないように特殊化している。抑制性の遺伝子(他の 遺伝子の発現を制御する遺伝子)が進化の過程で新たに付け加わったためと考えられる。チューリング・マシン並みの能力を持っていた大脳皮質の機 能の一部が突然変異で抑制されて、文脈依存文法能力が発現したと考えられる。 ー酒井邦嘉著「言語の脳
科学」 |
2002/10/26 |
022 | 情報社会のパラドックス | ノルバルト・ボルツ(Norbert
Bolz)がその著書「世界コミュニケーション」で提唱した情報社会のパラドックスは「私の知識は増えるが、私の無知の増え方はもっと早い」というもの。
対処法は「一番重要な知識は、何が知らないでいいかを、知ること」すなわち無知社会の迷路から抜け出す鍵は情報よりも批判的思考力にあ る。 ー朝日、書評 |
2003/02/23 |
023 | thriftのパラドックス | A Paradox of Thrift or Keynes's Misrepresentation of Saving
in the Classical Theory of Growth
ー貯蓄のパラドックスと同じものか?クルーグマンが引用 |
2003/03/03 |
024 | 戦後金融のパラドックス | 最も安全と思われた不動産担保融資が最大の不良資産となり、最も危険と考えられた消費者金融が高収益をあげた。
ポートフォリオ理論によるリスク分散とリスク/リターン分析からみれば不動産担保融資の失敗はたった一つの金融商品にリスクを集中させ
た失敗であり、消費者金融の成功は分散によるリスク軽減効果があったためである。 ー朝日 経済気象台 |
2003/03/14 |
025 | ダランベールのパラドックス | 静止している完全流体(粘性のない流体)の中を等速直線運動する物体には抵抗が働かないという定理。実在流体には必ず粘性があるた
め、物体表面には境界層が生じて抵抗があらわれる。
なお完全流体中でも加速度運動すれば仮想質量に相当する抵抗が生じる。 |
2003/04/08 |
026 | 暗い太陽のパラドックス | 太陽の光度は時と共に単調増加している。ということは過去に遡ると太陽は暗くなる。ところが地球の地表温度はほぼ一定にたもたれてい
る。これは炭酸ガスの大気とマントルでの循環量が地表温度を一定にするように自然バランスするからである。太陽光度が
増すと大気中の炭酸ガスが岩石に取り込まれる。 (光合成で?)
ー松井孝典監修者「地球 生命35億年物語」あとがき |
2003/07/12 |
027 | 投票のパラドックス(Paradox of Voting) または コンドルセのパラドックス |
「(政
治過程を通じて)集団的に為される意思決定は決して合理的ではありえない」または「投票者主権の原則は集団的合理性の原則と両
立しない」このパラドックスは18世紀の哲学者マルキーズ・ド・コンドルセMarie Jean Antoine Nicolas de
Caritat, marquis de
Condorcet)が発見し、コンドルセのパラドックスとよばれた。19世紀の数学者チャールズ・ドジソン(ペンネームはルイス・キャロ
ル)が研究し 、新古典派経済学を批判したケネス・アローは「不可能性定理(impossibility
theorem)」と呼んだ。
投票のパラドックスを回避する方法は2つしかない。 ーマリル・ハート・マッカーティー著「現代経済思想」 相対多数投票では二大政党になる。そしてゴアがネーダーと共倒れになったように多数派が少数派に負ける。 比例代表制では多数政党の林立となる。 民主主義は投票に還元できないのだ。 |
2003/07/27 |
028 | 双子のパラドックス | アインシュタインの相対性原理に基き、光速に近い速度での時間遅れにより未来への片道旅行のこと。
運動の相対性によれば、旅をしている人と同じ場所に留まる人に差はないはずなのに、旅をしている人がゆっくり年をとる、すなわち対象性 がないのがパラドックスとされた。 しかし旅をする人は加速度を感じるので対象性が崩れるため実際にはパラドックスではない。 ーロバート・アーリック著「ト ンデモ科学の見破りかた」 |
2004/05/31 |
029 | 祖父殺しのパラドックス | アインシュタインの相対性原理に基き、未来と現在の双方向旅行、あるいは過去への時間旅行などが可能とすると、過去に行って祖母と出
会う前の祖父を殺害するというパラドックスが生じる。
このパラドックスは成立しない。なぜなら現在のあたたは過去に遡って祖父をころすことはできない。もしそのようなことが可能ならばあな たは存在しないはずであるから。 ただ量子論による多世界解釈によればこのパラドックスは成立する。宇宙は時間とともに絶えず枝分かれを繰り返していて、分裂し続けるい くつもの平行宇宙は起こりうるさまざまな物時のそれぞれに対応している。ただ枝分かれした別の宇宙にゆくことはできない。 ーロバート・アーリック著「ト ンデモ科学の見破りかた」 |
2004/05/31 |
030 | 自然主義の誤謬 | 自然のやることは一番よいのだと決めてかかる態度
より具体的にいうと感染症にかかったとき空調することも、抗生物質を飲むのは良くないと考えること。 ージェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリュー著「DNA」 |
2004/07/19 |
031 | 青砥藤綱のパラドックス | 鎌倉幕府の引付衆だった青砥藤綱の十二所(じゅうにそ)近くの滑川(なめりがわ)の青砥橋の故事。
太平記ニ拠レバ 藤綱ハ北條時宗 貞時ノ二代ニ仕ヘテ引付衆ニ列リシ人ナルガ 嘗テ夜ニ入リ出仕ノ際誤ッテ銭十文ヲ滑川ニ堕シ 五十文ノ續松ヲ購ヒ 水中ヲ照ラシテ銭ヲ捜シ竟ニ之ヲ得タリ 時ニ人々 小利大損哉ト之ヲ嘲ル 藤綱ハ「十文ハ小ナリト雖 之ヲ失ヘバ天下ノ貨ヲ損ゼン 五十文ハ我ニ損ナリト雖 亦人ニ益ス」旨ヲ訓セシトイフ 司馬遼太郎著「三浦半島記」 が太平記、大日本史より引用 青砥藤綱はマクロ経済を正しく理解していたことになる。 |
2004/09/16 |
032 | セキュリティ・ジレンマ | 国際社会は常に戦争の危機を孕んでいるので、対立する二国の間では、一方が自国の安全を増大させようとすると、他方は不安を増大さ せ、悪循環を生みやすい 状況が生じる。この状況を説明する国際政治学用語。横手慎二「日露戦争史」 | 2005/06/26 |
033 | 抽象を具体とおき違える錯誤 | the fallacy of mis-placed concretenessの訳 ホワイトヘッドは近代ヨーロッパにおいて生まれた機械論的自然観の問題性を浮き彫りにし、それが「抽象を具体とおき違える錯誤」にもとづくことを指摘して いる。彼は17世紀の哲学から現代哲学が引き継いだ機械論的自然観を分析し、それに代わるものとして、有機体論的自然観を提唱した。この着想は『過程と実 在』の「有機体の哲学」として体系的な形で示されることとなる。有機体の哲学は、近代の自然科学の勃興によって廃れてしまった形而上学の構図を現代の先端 的な科学の領域を媒介することによって復活させようとする試みであった。 |
2005/06/30 |
034 | フクヤマのパラドックス | フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」で提出した仮説。 マイケル・ドイルの法則を 適用して「もし民主主義が至るところで勝利するのなら、軍事大国としてのアメリカ合衆国は世界にとって無用なものとなり、他の民主主義国家にすぎないとい う事態に甘んじなければならなくなる」というもの。 ーエマニュエル・トッド「帝 国以降」 |
2006/12/02 |
035 | ジェボンズのパラドックス | エネルギー消費効率の高い車なり冷蔵庫が開発されても、人々は消費を拡大させるだけという社会現象を「ジェボンズのパラドックス」と
いう。ソニア・シャ
ー「「石油の呪縛」と人類」 |
2007/03/12 |
036 | シュレーディンガーの猫 | 「シュレディンガーの猫」は粒子のようなミクロな系の重ね合わせが、猫のようなマクロの系の重ね合わせを導きうる事を指摘したパラ
ドックスである。蓋のあ
る箱を用意し、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質のラジウム、粒子検出器、青酸ガスの発生装置を入れておく。もし箱の中にあるラジ
ウムがアルファ粒子を出すと、これを検出器が感知し、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、猫は死ぬ。しかし、アルファ粒子が出なければ検出器は作
動せず、猫は生き残る。 この実験において、ある時間内にラジウムがアルファ粒子を出すかどうかは完全に確率の問題であり、量子力学により、人間が観測するまではアルファ粒子が出 ている状態と出ていない状態の重ね合わせ状態で存在する。 仮に1時間でアルファ粒子が出る確率が50%だとすれば、人間が観測するまではアルファ粒子が出ている状態と出ていない状態が丁度1:1で重なりあってい る。 猫の生死はアルファ粒子が出たかどうかによって決まるのだから、この箱の蓋を閉めて1時間放置したら、人間が観測するまでは猫が生きている状態と死んでい る状態が1:1で重なりあっているはずである。 これは明らかにおかしい。 アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックス(EPRパラドックス)がまずあった。 |
2008/10/23 |
037 | メノンのパラドックス | プラトンがメノンで提起したパラドックスで「人が何かを新たに発見するとは、どういうことか。それは端的に矛盾しているのではない
か。というのも、その何
たるかをあらかじめ知らないなら、知らないもの(こと)をどうして知り得るだろうか。あるいは『これが探していたものだ』とどうしてわかるのか。また逆に
あらかじめ知っているならば、今さら再発見する必要があろうか。それは『新』発見ではないのではないか」 ー下條信輔の「サブリミナル・インパクト」 |
2009/02/20 |
038 | ブライスのパラドックス | 当サイトの読者の一人、横井さんから教わったパラドックス。 独ルール大学の数学者ブライス(Dietrich Braess)が1960年代に提唱した考えで「ネットワーク中ですべての移動体が最も効率的なルートを合理的に探し求めている場合,ネットワークの容量 を増やすと実際には全体的な効率が低下しうる」というもの。 そのもとになったのは1920年代の経済理論。自動車向けの空間を制限することで,人々の移動効率が上がるかもしれない。直観に反するこのアプローチのカ ギは,すべての運転者が本来持っている利己主義を利他主義に変えることにある。 サンタフェ研究所のコンピューター科学者ガストナー(Michael Gastner)がPhysical Review Letters誌に発表した「輸送ネットワークにおける無秩序の代価」という論文で,ドライバーたちが指定の目的地への最短ルートを探し求めると最終的に 「ナッシュ均衡」に行き着くことを,仮想と現実の道路網を用いた実験によって示した。ナッシュ均衡はこの場合,どのドライバーも自分の戦略を一方的に変え るだけでは,それ以上によいルートを得られなくなることを意味する。運転者が利他的に行動した場合に到達する均衡に比べ,このナッシュ均衡が効率の悪いも のになる。ドライバーがグループ全体の利益を考えて行動するほうが効率がよくなる。 「道が混んでいるからと言って追加の道を造ると、なおさら混むことがある」、「道路を減らし信号機を除去すると都市交通がスムーズになる」とも言われる。 ところが無秩序にするとスループットが増えることもあるのでややこしい。「シェアド・ストリート(共有道路)」という直観に反する交通設計だ。信号機や道 路標識,車道と歩道の境を取り払うことで,運転者の“勝手”が利くようにする。シェアド・ストリートが一般的な北欧での研究から,安全性と交通の流れが高 まることが示された。 |
2009/05/14 |
039 | 民主主義のパラドックス | 「民主主義に依存すればするほど、愚かな政策が選択され、ますます満足が低下していく」
ーブライアン・カプラン「選挙の経済学ー投票者はなぜ愚策を選ぶのか」 |
2010/06/29 |
040 | ミルの誤り | ジェームズ・ミルは立憲君主制は明らかに最高の政治形態であると結論つけた。人はいつも、自分がよく知っているものの中から最適なも
のを選び出そうとする
危険性を持っている。これをミルの誤りという。 ースチュアート・カウフマン「自己組織化と進 化の論理」b442 |
2010/06/29 |
041 | アレのパラドックス |
モーリス・アレが1953年にニューヨークで行われた会議に連続する2回のくじに関する質問を、たくさんの参加者に問いかけた。 2回目のくじ ほとんどの場合、参加者は1回目のくじではAを選択し、2回目のくじではBを選択する。1回目のくじにおいては、個人は期待利得の低い 方を選択し、2回目 のくじにおいては、期待利得が大きい方を選択した。この実験は何度も繰り返されたが、全て同じ結果になった。 -ウイリアム・パウンドストーン「プライスレス 必ず得する行動経済学の法則」ノーベル経済学賞を受賞 したダニエル・カーネマンのプロスペクト理論 |
2010/09/03 |
042 | 竜馬の妥協誤謬 | NHKの坂本竜馬が終わったとき鳥木晃氏が「竜馬の妥協誤謬」ということを言い出した「徳川ががんばれば薩長が内乱を起こし被害が大
きくなるが、竜馬が体
制奉還などという妥協をしなければ革命が起こってかえってすっきりするはずでした」という意味のようだ。 そこで調べてみると 慶応3年5月に越前福井藩の前藩主で幕府顧問の松平春嶽に赤松小三郎が提出した「御改正之一二端奉申上候口上書(以下、御改正口上書)」が、坂本龍馬の 「船中八策」よりも早い、日本で最初の、選挙による民主的議会政治の建白書であり、もっと評価されるべきであることを論じている上田出身の関良基(せきよしき)氏のブログを見つける。 赤松直筆の原本は失われているが、全文が松平春嶽の政治記録書である『続再夢紀事』に転載されているので、この文書の存在は確かのものである。 関良基氏の推測では、この「御改正口上書」が、おそらくは福井藩士の手を経由して京都に潜伏中の坂本龍馬に見せられ、「船中八策」および「新政府綱領八 策」となった。また、「五箇条の御誓文」の起草した由利公正も、福井藩士であるから、当然、赤松の「口上書」を読んでいたものと思われる。由利公正が御誓 文の原案を考える際にも、赤松の文書が影響を与えたのであろう。 しかし、「御改正口上書」に比べると、「船中八策」、「五箇条の御誓文」とも、はるかに内容的に曖昧で、後退したものとなっている。 坂本龍馬の構想は、内容的に赤松小三郎の「御改正口上書」と重複するが、その子細は赤松案よりも後退してしまっている。おそらく龍馬の意見は、もっと小三 郎に近かったのかも知れないが、薩長や土佐の勤皇派の人々でも受け入れ可能なように、天皇の権限を強化し、新政権の民主的性格を損なう方向に、内容的に妥 協させてしまっているのだ。 龍馬は、赤松の論を継承して実現のために奔走することは自分の生命を危険にさらすことも当然承知していただろう。「船中八策」の段階では小三郎はまだ存命 であったが、龍馬が慶応3年11月、福井藩で由利公正らと議論した後にまとめた「新政府綱領八策」の段階では、既に小三郎は薩摩藩によって暗殺されてい た。 龍馬は当然、内容的に薩長でも納得可能なように妥協させることはやむを得ないと判断したのだろう。しかし薩摩にとっては、小三郎に比べて内容的に後退し ている龍馬の「船中八策」であっても、同様に許せる内容のものではなかったのである。 赤松小三郎は、天皇家と幕府と諸藩の融合を説いている。もっとも、「天朝の権を増し」と主張しているのを見ても明らかなように、公武合体の末に天皇の権力 を増し、幕府に関しては自然消滅を考えていた。この点で、「天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ」という坂本龍馬の大政奉還論と同様の内容である。 しかし、小三郎らしいのは、勤皇派の志士たちの考えとは違い、天皇に対して神聖な絶対的権威を認めていない点である。天皇に「権の帰する」は、天皇が「徳 を備え」「道理にかない」「公平の命令を下す」という三条件を満たさねばならない。そして、誰が見ても道理にかない、「公平に国事を議す」ために、天皇は 「少しも背く事能はざるの局」を新たに設置せねばならない。この「局」とは、後に述べられるような二院制議会なのである。これをして「国中の人民は承服」 するのであって、それなしに無条件に天皇の絶対的権威を認めているわけではないのである。 龍馬の「船中八策」では、天皇の権威が何に由来するのかに関しては何も論じられていない。朝廷の権威は、無条件に与えられることになっていた。小三郎に あっては、あくまでも天皇の権威は、人民の信託に基づいて発生するものであった。この点、龍馬の論が小三郎に比べ後退している。 |
2010/12/03 |
043 | 越前松平家のパラドック | 042で紹介したように開明的であった松平春嶽の子孫の松平永芳氏は靖国神社の宮司と なり、A級戦犯を合祀してしまった。これは天皇家を困惑させ、歴代首相が参拝できない事態 を作り出した張本人となった。これは「越前松平家のパラドック」とでもいえるものであろうか? | 2010/12/03 |
044 | 戦争のパラドックス | 日露戦争に始まったとされる政府が軍に吸収されたような形の当時の日本政府最高意思決定機関である大本営政府連絡会議 (Imperial General Headquarters)のメンバー全員は日米戦争に勝ち目はないと判断していた。にもかかわらず陸軍も海軍も縦割りの思考により、会議で戦争回避への 正式提言を行わず、首相の近衛は指導力を発揮せず、妥協の産物としてどうとでも読める曖昧で抽象的な方針を発令した。陸、海の下部機構はこれを自分の都合 の良いように読み、陸は北に海は南に勝手に侵攻を始めた。これを見て態度を硬化させた米国は最終的にハル・ノートを出すことになる。それでも全面撤退とい う判断もありえたが、すでに発生している20万人という犠牲から撤退という選択は出来ないと判断し、真珠湾へと向かい、結局300万人という犠牲者を出す ハメになった。「日本だけが例外ではなく、どの国の指導者も『死者への負債は政府指導者に重くのしかかり、引き返す勇気ある決断を躊躇させ、更に深い傷を 負わせる』。ベトナム、アフガニスタン、イラクなどがこれに相当する。戦争にいたる道は権力者の個の強さではなく、弱さ、男性的なマチョ性ではなく、個を 隠す女性的な仲良しクラブ的なメンタリティーだと気がつく。これはまさに戦争は男がなせるワザとする常識に反する「戦争のパラドックス」とでも言ってよ い。別の表現の仕方をすればジンギスカンのような遊牧民のリーダーのもつ個としての判断を失い、定着農耕民の和を重んずる文化こそ、戦争の原因とする「和 のパラドックス」とも言える。 戦争ではないが、すでに使ってしまった国費の負い目で先の見通しもないのにダラダラ続けていた原子力船ムツ開発、そして現在進行中の使用済み核燃料再処 理、高速増殖炉開発、核融合炉開発 、不知火埋め立て、ダム建設、地方空港建設などは同じシンドロームといえよう。 | 2011/03/07 |
045 |
博物館のパラドックス | 資料を収集している段階では何を残すべきか分からない。重要でないからと記録されなかったような些
細なこ
とが後日輝くこともある。 全て記録できるデジタル技術の発達でこのパラドックスは解消された。 |
2012/01/04 |
046 |
オルパースのパラドックス | 1823年にドイツの天文学者オルパースが提示した疑問:宇宙が
無限に
広がっており、その中に星が均一に分布しているとする。光の強さは遠くに行け行くほど弱くなる。しかし遠くにゆけば行くほど星の数は増える。両者が相殺す
るなら夜空は明るいはず。ではなぜ暗いのか。 答え:宇宙は膨張しているから。宇宙は約140億年前にビッグバンで始まった。仮に、140億光年より遠くまで宇宙が広がっていたとしても、そこからの光 はまだ地球には届かず(ここを「宇宙の地平線」と呼ぶ)、地球に届く光量は有限となる。1929年エドウィン・ハッブルが銀河の赤方偏移を発見。 野本陽代「ベテルギウスの超新星爆発」 |
2012/06/07 |
047 |
サンク・コスト・ファラシー | 埋没費用の誤謬 Sunk cost fallacy 切符買って入った映画館館でつまらん映画だと分かったのちに未練がましく金が惜しいと最後まで我慢してみること。 例は沢山ある。動かない原子力船むつをだらだらと廃船にしなかったこと、動かない高速増殖炉・六ヶ所村の再処理装置を折角税金を投入したのだから無駄にす るのは申し訳ないと追い金をつぎ込むこと。電力会社が原発に投資した金がもったいないと 廃炉にせずに運転再開して事故の再発を待ち受けること。 結局小金をケチって大金を失う愚。 ドイツのロルフ・ドーベリ著Die Kunst des klaren Denkensに紹介されている。 |
2012/07/17 |
048 |
決断の錯覚 | 米デューク大のダン・アリエリ教授が行動経済学をもとに人間の不
合理さ
の一つとして挙げた錯覚。 我々の多くは「自分が下す決断も自分が進む人生の進路を最終的に自分でコントロールしている」と考える傾向がある。そう感じるのは「現実というより願望ー 自分をどんな人間だと思いたいかーによるところが大きい」と指摘する。つまり、目の錯覚とおなじように「決断の錯覚」によって「自分がなんの力で動かされ ているかほとんど分かっていない」とダン・アリエリ教授はいう。 アリエリ著「予想どおりに不合理」 |
2012/08/08 |
049 |
劇場のパラドックス | 最近の若い市議会議員はサラリーマン化し、自分のウエブサイトに
記事を
書くために質問するだけで支持者の要望を実現することに興味を持っていない。したがって市の役人は質問さえうまく受け流せば怠けていてもいいということに
なり、物事が前に進まない。 鎌倉プロバスクラブでの木村貞夫氏の卓話「地 方政治のパラドックス」 |
2012/08/09 |
050 |
左翼政権のパラドックス | 共産党が権力を握ると、役人の給与レベルがあがり、市民の負担が
増加す
る。 鎌倉プロバスクラブでの木村貞夫氏の卓話「地 方政治のパラドックス」 |
2012/08/09 |
051 |
住民運動のパラドック | 鎌倉プロバスクラブでの木村貞夫氏の卓話「地方政治のパラドックス」 | 2012/08/09 |
052 |
カルシウム・パラドックス | カルシウムが不足すると、血中カルシウム濃度を維持するために副甲状腺
ホルモンの働きにより骨からカルシウムが溶出さる。そうすると細胞内や軟部組織にカルシウムを入れる働きがあり、カルシウムが沈着する現象をカルシウム・
パラドックスという。その結果、高血圧、痴呆、動脈硬化、糖尿病などの原因になる。 NHK-TV |
2012/08/09 |
053 |
フレンチ・パラドックス | 赤ワインがフランス人の死亡率を低くしているという疫学調査結果
をい
う。 これをもじってイタリアン・パラドックスはオリーブ油の効用をさす。 朝日 |
2012/08/09 |
054 |
ホーキング・パラドックス |
ブラックホール情報パラドックス(Black hole
information paradox)とも呼ばれる。 量子力学と一般相対性理論の組合せに起因するパラドックスである。 |
2013/12/27 |
055 |
モラベックのパラドックス |
モラベックのパラドックスとは人工知能 (AI)
やロボット工学の研究者らが発見したパラドックスで、伝統的な前提に反して、高度な推論よりも感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要するというものであ
る。1980年代にハンス・モラベック、ロドニー・ブルックス、マービン・ミンスキーが明確化した。モラベックは「コンピュータに知能テストを受けさせた
りチェッカーをプレイさせたりするよりも、1歳児レベルの知覚と運動のスキルを与える方が遥かに難しいか、あるいは不可能である」と記している。このパラ
ドックスについて考えられる説明は進化に基づいているというもの。 |
2016/05/25 |
056![]() |
フェルミのパラドックス |
物理学者エンリコ・フェルミが最初に指摘した、地球外文明の存在
の可能
性の高さと、そのような文明との接触の証拠が皆無である事実の間にある矛盾のことである。この疑問解決のため1973年から1978年にかけて行った恒星間を航行する原子力推進宇宙船研究ダイダロス計画 (Project Daedalus) があった。電子ビーム照射で重水素/ヘリウム3ペレットのレーザー核融合を採用。現在では地球から送り出す強い光線ビームの圧力を推進力にするソーラーセイルを使うことが考案されている。 |
2016/07/28 |
Rev. July 29, 2016