福岡,宮古島上水道企業団訪問
作成者  BON
更新日  2003/07/13

 土木学会環境工学委員会のワークショップで訪問しました,宮古島の水道施設の訪問記録です。当日お世話になりました関係各位に感謝申し上げます。m(_ _)m

 併せて,前日には福岡時代の仲間に会いに行きまして,旧交を暖めさせていただきましたので,併せて御礼申し上げます。

【宮古島上水道企業団】
 自然研究所の公式ホームページ。
福岡訪問(山笠)
 7月10日訪問。山笠のはじまりの時期でした。
宮古島上水道企業団訪問
 7月11日から12日にかけて訪問。ああすばらしい南の空と海と人と...

【参考】
 水道に関連する場所の訪問記録についてはどんどん行っていきたいと思っております。もし取材させていただけるところがありましたら是非ご紹介ください。公的私的を問いません。基本的には,手弁当で行きます(^o^)が,その場合は休日の訪問となります。


福岡訪問記録

 当日は,家の仕事などいろいろ片づけてから12時遅めの飛行機で福岡へ。福岡空港から博多駅までは地下鉄,駅前の飾り山を見学,歩いてホテルに移動してチェックインしたのが15時頃,ここからキャナルの飾り山を経由して中州の一番山笠,流れ舁きを見物します。16時少し前から,町内各地で待機していた博多っ子たちが,老いも若きもかけ声も勇ましく,舁き山の前に続々と集まってきます。全員が集まったところで水で清め(冷やし?),除に男たちが担ぎ上げます。

 

 水道が伝統有る山笠を盛り上げるのに一役買ってると思うと,水道屋の端くれとしてはなんとなく誇らしい気分です。

 このあと,近くにあった飾り山をいくつかぶらぶらと見学して歩き,五番の土居流が担ぎ上げるところで退却して事務所へ。以前福岡事務所に居たこともありますので,旧知のみなさんがいらっしゃいます。事務所で歓談していると,すぐ下に来ましたので上のアングルから一枚。

 この後,就業時間が終わったところで大挙して中州へ。久々に会う面々と,最後のラーメンまで,楽しい一夜を過ごさせていただきました。

【備考】


宮古島上水道企業団訪問

 2時頃まで呑んでたこともあり少し心配ではありましたが,なんとか翌日は予定通りに起床。8時50分の飛行機で宮古に向かいます。空は快晴,遠くに見える島の美しいこと美しいこと。雲が水面に映っているところなど,この世のものとは思えない光景です。

 実は空港でトラブルがありました(T_T)。那覇空港で乗り換えることになっていたのですが,飛行機の乗り換え時間不足+JALの遅れで,乗る予定の飛行機が既に出てしまったとのこと。空港側の話では,乗り換えには20分以上間が空いてないと認められないとのことでした。なんとか航空会社側で振り替えてくれたのですが,とりあえず旅行会社にはクレーム。この時点で携帯電話の電池がなくなっちゃいました...

 さて,宮古までは1時間かからないくらいの時間で到着します。ここの空港でみなさんと集合し,チャーターしたバスで宮古水道企業団を訪ねました。実は,私沖縄ルックと称して半ズボンに帽子といったイデタチだったのですが,みなさんがちゃんとした服装をされているのを見て,あわてて長ズボンに着替えました。(ちなみに,アロハシャツは正装です。念のため)程なく企業団に到着。安和支庁長を始め,企業団の嘉島次長,座喜味参事,さらに沖縄の水道界のリーダーである金城先生のご挨拶をいただきました。訪問団側も代表の山本先生からの御挨拶。服着替えておいてよかった...

 

 まず,企業団の会議室でお茶とお菓子(ピーナッツに黒糖を絡めたお菓子。非常に美味しかったのでお土産にしました。)をいただきながら,宮古島と企業局の概要についてご説明をいただき,質疑応答。続いてバスに分乗して現場施設の見学に向かいます。

 最初の訪問地は白川田水源地(11,250m3/日)です。赤い屋根の施設はポンプ場で,水源種別は湧水です。

 縦長の写真のとおり,崖の途中からわき出して来る湧水を地下に設けた渠で導いています。右の写真は渠の蓋をとって見せてもらったところで,蕩々とわき出す水が観察できます。ここのところ雨が少なく水量は少し心もとないとのことで,もっと多いときにはたくさん出るそうですが。

 

 初沈と緩速ろ過池らしき施設も見えましたが,今は使っていないようです。

 続いて,少しバスで移動しまして,白川田貯水池に向かいました。PC作り半地下(地下部分6mとか)で,40,000m3の貯水能力があります。PCの場合ドーム型の屋根が多いのですが,ここは柱を設けて支えているそうです。訪問時は満々と透明な水を湛えておりまして,水深6mなのに底がはっきりと見えました。まるで浄水のようでした。

 次の施設へ向かう移動途中,水源涵養事業のお話をいただきました。全国にも先駆けて水源保護条例を策定しているところで,もともと公有地だったところに植林をやったそうです。言われて見れば,木が整然と並んで立っているのがわかりますね。

 さて,次は今回の訪問の目玉,袖山浄水場の硬度低減化施設です。

 

 ここの処理方式はペレット式です。タネペレットを投入してpHを上げ,タネペレットに水中の硬度成分を成長させて除去し,最後にpHを戻す方式です。詳しくは硬度のページを参照としてください。ペレットの投入前,成長後の比較写真をごらんいただければイメージがわくのではないかと思います。できあがったペレットは純度が高く,堅牢です。なにか商売に使いたい人,安値で入手できますのでオファーされてみては?

  

 左の縦の写真がペレットリアクターで,これが数基あります。その次がペレットの洗浄機で,タネペレットを粉砕して再利用する前に,粉塵状のペレットを除去する装置です。

 

 出来あがったペレットのストレージ内も見せてもらいました。この処理方式は原水水質によっては商品価値のあるペレットが回収できるのがメリットの一つですが,販売予定先がまだ操業していないため,とりあえずストックされているそうで,この辺が当面の課題とか。

 なにげに車がいますが,これは電気自動車です。企業局では環境負荷低減の取り組みの一環として,電気自動車の試験的運用実験に参加しています。

 さて,硬度処理施設のある山の麓から山のてっぺんに少し移動すると,緩速ろ過方式の袖山浄水場です。社内から撮影したので少し画像が青いですがご容赦ください。配水池は浄水場から見える位置にあり,新旧2池がセットになっているようです。この浄水場は飛行機の空路の下にあり,上空を頻繁に飛行機が通ります。

   

 さて,続いてはもう一つの目玉,地下ダム施設の見学であります。地下ダムの現場には資料館があり,地下ダム事業の概要が原理,工法などをわかりやすく展示されています。地下ダムの概念はハワイのJ.F.ミンク技師の手による基礎調査がそのバックボーンになっているとのことで,調査の経緯等に関する資料を尋ねたところ,わざわざ人数分用意して翌日の講演会の際に配布してくださいました。まことにありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。

 左の写真は地下ダムの設置位置で,現在は上部をカラー舗装の道路にしてあり,資料館から一望できるようになっています。右側は資料館の麓にある水位検査所で,目に見えない地下ダムでは,越流部をこのように掘り下げ,越流堰でダム内の水の状態を把握するのだそうです。

 翌日バスガイドの方に聞いた話でも,地下ダムが出来たおかげで干魃の被害が大きく軽減されたとのことで,島民のみなさんの評判も上々のようでした。概念はおもしろいですし,おもしろそうなので,死ぬまでに一度,どっかで提案してみたい技術ですね。

   

 さて,この日の視察はここで終了。時刻はおおよそ17:30でした。ホテルに戻って身支度をしたあと,懇親会です。

 沖縄島嶼部の習慣としては「おとおり」が有名ですが,この日は水の高度利用技術の一種として(^o^),この「おとおり」の技術を学ぶことになりました。講師は座喜味参事様です。

 まず泡盛を用意します。この日の泡盛は宮古島の名品,「菊の露」であります。

 次に,これを蓋付きピッチャーに入れまして,氷と水で3倍程度に薄めます。ただし,ここで使う道具やお酒はメンバーの状況に合わせるそうでして,ホントに気の置けない仲間同士であれば,そのままストレートということもあるそうな。

 

 準備ができました。準備をする人を「親」といいます。親は「ここでコップを一つ用意し,除に口上を述べます。ここで用意するコップの中には,座りが悪く飲み干すまで置けないものや,穴が空いていて指で塞がないともれてしまうものなど,いろいろあるそうで,場合によってはそういうものを使うこともあるそうですが,基本はその場にあるものを使うことだそうです。口上の内容は,会の成功祈願とか,世界平和とか,なんでもよろしいそうですが,必ずなにか言わなければならないので,宮古の男たちは自己紹介などの腕に長けているとのことでした。

 次に,先ず親が一つ呑みほし,続いて全員に同じコップを使って,親が全員に順番に注ぎます。注がれた人は,これを飲み干さなければなりません。一周したら最後の人が親にもう一度ご返杯をして1クルーが終了になります。親は次の親を指名し,これが延々続くことになります。

 企業団のみなさまには,当日の案内に加え,宮古島の伝統芸能の伝授まで行っていただき,さらに様々ご歓待いただきました。深く御礼申し上げます。(なんど御礼申し上げても言い尽くせないです。実際。)

 その後,各個夜の町に...


 さて,翌日(12日土曜日)です。あれだけ呑んだ割には,頭が痛いとかいうことはありませんで,これは意外でした。もっとも体は正直で,朝は息が泡盛の臭いでしたし,日中はずっとダメージがありましたが...

 翌日は金城先生より,沖縄の水事情について,日本全国のデータと照らしながら詳しく解説していただきました。セミナーの内容で,レジュメに掲載されていない話のうち,特に印象に残った点をいくつか挙げると...

 このほかにも様々に興味深いお話,そして有効な資料を多数いただきました。重ね重ね感謝申し上げます。なお,この日のセミナーは宮古島の地方新聞で取材されていたとか...新聞のったんでしょうか。


 さて,ここからはオプショナルツアーです。宮古島まで来て,まっすぐ帰れとかいう人はいませんよね。(第一わたしゃ自腹ですし)

 ということで,宮古の名所を少し廻ることになります。

 最初に訪問したのは砂山ビーチです。名前のとおり,砂山を歩いて登ると,その先には紺碧の海...言葉は要りませんが,写真でも伝わりませんので,死ぬ前に一度は,ここにある,「天国のモチーフ」を見学されることをお勧めします。

 

 この砂山ビーチでは泳ぐこともできます。そして,遊泳を支えるのが無料のトイレとシャワー施設。リゾートを影から支える水道の面目躍如といったら言いすぎですか。

 さて,バスは一路北へ。島の最北端,池間大橋を渡って池間島へと向かいます。端は遠浅のさんご礁を横切るように設けられており,途中の部分が背高になっていて,さんご礁が掘られていて航路が作られています。真っ青な海とさんご礁の黄色っぽい色とのミックスで,エメラルドグリーンの帯が沖に伸びています。

 

右の写真は池間大橋の構造でして,はじめからライフラインを通す目的で中空の二十構造になっており,電線や送水管が入っています。右の写真は,橋の下に入り込んで撮影したライフラインの部分。でも手前はコルゲート管っぽいので,水道管ではなく電線管でしょう。残念。

   

 橋の袂には売店がいくつか。そのうちのひとつにて,サザエのつぼ焼きとドラゴンフルーツのジュースを賞味。サザエのつぼ焼きは150円で(実は二つ食べた)かつ非常に新鮮ですから多分地元産でしょう。いまどきの観光地では輸入物が多いですからこれは貴重ですよ。ドラゴンフルーツは実においしいイチジク,といった食感でありまして,ジョッキいっぱい400円のところをコップいっぱいで100円に負けてもらいました。ただし,次に頼んでた人は200円とられてましたからいい加減なもんです。

 対岸の西平安名崎には風力発電設備が実験稼動中。近くばよって目にも見よ,ということで接近して取材。実は,風力発電機は音がすごいと聞いていたので,音が聞きたかったのでした。かなり離れているにもかかわらずひゅんひゅんといった音が聞こえますが,想像していたほどはうるさくないかな,という印象です。右の写真は工学10倍ズームデジカメの威力を見よ!という写真です(^o^)。

 

 最後にみやこパラダイスでお昼ご飯を食べました。ここではじゅうしー(だったっけ)という名の宮古風雑炊をいただきました。これが,おとおりで疲れた胃袋にぴったりフィット。あまりメジャーな食べ物ではないですが,これはおいしいですよ。

 さて,昼食後は空港にて解散となりました。ここで荷物と貴重品(デジカメ含む)をコインロッカーに預け,18時すぎの飛行機まで自由時間。ということで,迷わず海へ...トライアスロンのスタート地点として有名な(と後で知った)舞浜ビーチまでタクシーで行きまして,ここでリゾートの海を満喫いたしました。写真はありませんが,思い出は決して消えないことでしょう(^-^)。

 夕方,後ろ髪を引かれる思いで島を後にし,那覇経由で羽田へ。帰宅したのは夜も23時半を回ってました...


 日曜日になって,写真の整理と旅行記の記述をしております。参加者の誰もが,もっと居たいと言ったり,もう一度家族と来たいと口にしたり,「またお父さんだけ」と家族に言われることを恐れたり,といった調子でした。私も同感であります。

 何度も繰り返しますが,関係各位の多大なるご厚意のもと,技術的にもリフレッシュとしても最高の体験ができました。この場を借りて(いや,この場のオーナーは私なので借りるというのは不適切ですが)重ねて御礼申し上げたいと思います。

 ちなみに体調ですが...一回り黒くなり,体重は2キロほど増えました...これは後でフォローしなければなりません...

【備考】


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