ACT21海外水道施設視察調査レポート ACT21 Research Report
作成者  BON
更新日  2001/08/20

 このページは,ACT21の第4回視察調査旅行に参加した記録を残すことを目的に作成しました。長期間の欧州旅行は初めてでしたが,今後技術屋として働く上ですばらしい経験をさせてもらいましたので,なるべくその経験を残したく,ここに記述するものです。

 地図の浄水場名をクリックすると,各浄水場のインプレッションにジャンプできます。

 旅行に帯同する目的でクルーソー搭載のラップトップパソコンを旅行直前に購入したんですが,これが想像していた以上に役に立ちました。ただ,7月26日,列車内で記述中,保存作業途中でハングりました...振動が原因のようです。よって,最初の記述分は幻の旅行録となってしまいました...今掲載されている分は旅行中,そして帰国後に合間を見て再度記述したものです。

7月21日
 出発の日,時差7時間をものともせず(?),一気にイタリアのローマまで移動。
7月22日
 日曜日。視察先が休みなので,時差調整のための観光と移動。
7月23日
 フィレンツェアンコネラ浄水場視察。
7月24日
 フィレンツェからベネツィアへ。列車に乗れずバスにて移動。
7月25日
 ベネツィアを拠点に,小規模な浄水場を2箇所,中規模1箇所を見学。
7月26日
 ベネツィアを発ってミラノ経由でドイツ,ベルリンへ。
7月27日
 ベルリンからアウトバーンでナウムブルグを視察。
7月28日
 ベルリンでの休日。
7月29日
 ベルリンからフィンランドのヘルシンキへ移動。
7月30日
 ヘルシンキの浄水場を視察。その後,スウェーデンのストックホルムへ。
7月31日
 ストックホルムロボン浄水場,午後からは小規模施設2箇所視察。
8月01日
 ストックホルムからドイツ,ハイデルベルグへ移動。
8月02日
 ハイデルベルグ市内プロミネント社と市内を視察。
8月03日
 ハイデルベルグを発ってフランクフルトから帰国。

【参考】
 8/20 地図を追加。クリッカブルマップ作るの面白いですね。


7月21日 出発の日

 いよいよ出発の日です。昨晩は時差を考慮して3時半まで夜更かししたんですが,思っていたより早く目がさめました。なにしろ初めての視察旅行,しかも欧州ですので,心のどこかでわくわくしてるようです。

 都営浅草線沿いに居住しているのでもともと空港へのアクセスは便利なんですが,この日は思いがけず,泉岳寺から成田空港への直行のエアポート快速特急に乗車できたので,ほぼ1本でした。空港へついたのが11:50ごろ,まだ旅行会社も着いてませんでした。朝ごはんを食べてなかったので,空港で軽くおそばなどを食べて集合場所に戻ってみると,皆さん続々到着されています。午後出発便というので集合は楽ですが,到着は日本時間で翌朝5時ごろの予定...これからがきついはずです。

 受付と搭乗手続きを済ませて一同VIPルームへ。ここで,日本旅行さんから旅行全体に関する説明がありました。このなかで行程の変更に関する告知があり,なんと訪問先が計10箇所になりました。うーん,まじめ...添乗員の加藤さんから今日の日程について説明。その後,三三五五搭乗口へ。

 

 集合は離陸の2時間前だったんですが,意外と時間に余裕はないもんですね。搭乗口についたらすでに搭乗が始まっていました。ビジネスシートに搭乗される方は先行搭乗です。チェックインのとき,マイレージの登録にミスがあったとかで,私を含む数名は,おのおのが空港でマイレージの登録を自分でしなければならないといわれました。

 

 さてさて離陸です。飛行機の避難案内では,ゲーム機などは使用禁止ですが,ノートパソコンはOKとか。しめしめ。(ちなみにこの記録,機内で作成しております)飛行機は時々思い出したようにがたがたゆれるのですが,おおむね新幹線よりはゆれずにすんだように思います。でも,マウスが使いにくい...どうしてもタッチパネルを使用して編集することになります。窓側の席の人が,頻繁にトイレに行くからと席を代わってくれましたんで,窓の外を見られました。

 飛行機はルフトハンザ機ですので,機内はドイツ語と日本語,英語がちゃんぽんです。スパークリングワインくれといったらスパークリングウォーターが出てきた...まあ,私が水道屋なのを見抜いて配慮してくれたんでしょうかね。(んなわけあるか)全体にお茶類の味は少しよくないようにも思います(苦味のある印象)が,その他は悪くない,ってとこですか。ただ,ベジタリアンの永井部長の食事,旅行社にあんだけ言ってたのにかかわらず,ちゃんと連絡がいってなかったようで...先がちょっと思いやられます。

 クルーソー搭載PCを購入してもってきたのは大正解だったようです。オプションバッテリなしで5時間は持ちますので,この後のフライトの間も多分持つでしょう。まあ,バッテリが切れたらそこでとりあえず今日の仕事はおしまいということで。記録,昼寝,雑誌,映画(機内),ゲームとそれなりに時間はつぶれるもんですね。

 上空からみたドイツの町なみはすごくきれいです。機材のせいか腕のせいか,きれいに撮影できないあたりが残念ですが,森と畑と街がバランスよく配置されている印象でした。バルト海には赤潮がでてましたが。

 飛行機はフランクフルトの空港に到着後,ここで乗り換えてローマに行くことになります。乗り換え待ち合わせ時間は約2時間,日本時間ではすでに午前様の時刻...結構日程的には厳しいものもあります。空港は広くて(アメリカに比べると通路が狭いそうですが)電気自動車や自転車が走り回っているのが印象的でした。飲み物を買おうとしたところ,ドイツマルクに兌換するところがない..クレジットカードは20ドイツマルク以上でないと使えないとのこと。結局,ドイツマルクを持ってた宮ノ下さんに,日本円とマルクを交換してもらいました。このほか,時間消化用にハリーポッターの初刊とエッチな雑誌を購入(ものはためし。でもたいしたことなかったのですぐ棄ててしまった...)片言の英語でも Excuse me と Thank you だけで結構なんとかなるもんです。

 ローマ行きの飛行機は定刻に離陸。2時間弱の先ほどよりずっと短いフライトなんですが,それでも食事は出るんですね。太りそ...日本からローマ行きでの乗り換え便なためか,機内アナウンスには日本語がありました。

 さて,ローマ空港について荷物を待っている様子が下の写真です。アメリカ横断ウルトラクイズみたく,先に出てきた人から順に一抜けといった様子です。ところが...

 

 恐れていた事態が発生しました。松本さんの荷物が出てきません...ほかのツアーの人にも荷物がでてこなくて途方にくれている人がいるようで,またターンテーブル上では逆に受け取り手のいない荷物が数個,ずっと回り続けております...結局,ロスト扱いでホテルへ。到着して説明が終わった時点ですでに時計は現地時間夜1:00ごろ...日本時間で朝8:00まで,長い一日でした。結構皆さんグロッキーでそのままお部屋へ。私も,コンピュータに餌付けをしてすぐに就寝しました。

【参考】


7月22日 ローマからフィレンツェへ

 昨日遅かったわりに朝は早く目がさめました。時差の影響と思われます。身支度をいろいろするための設備はなんでもそろってますが,日本とはどれもこれも微妙に仕様が違うようです」...おもしろいやらとまどうやら。朝ごはんはフルーツとパン類がメイン。重いような食べ物は一切なし。(昨日の飛行機で出されたおにぎりを持ってきている人がいましたが)ロビーの待ち合わせ場所でこの記事を書いてます。

 今日は日曜日なので,視察先がお休み。当然業務としての視察はできません。そこで,勢い,ローマ市内の水道ゆかりの施設(?!)を見学することになります。

 まずはじめに向かったのは,ローマ法王のお家のあるサンピエトロ寺院です。白亜の御殿に彫像いっぱいの建物,の総本山ですが,日本にあるそれとは明らかに異質,本物の凄みを感じました。世界中からたくさんの人がきているようで,日本人がぜんぜん目立ちません。衛視さんはスイス人にあたえられた栄誉だそうですが,観光客の好奇の視線(私もその一人ですが)にさらされておりました。

 

 外もすごいですが,中はもっとものすごいものがあります。とても素人写真では伝わりませんが...日本人が彫刻とかで建物を飾ってもどうしても違和感があるんですが,本物にはやはり調和と力を感じます。クリスチャンの人は柵の中に入ってお祈りをすることができるようですが,私はBuddhistのつもりなのでご遠慮させていただきました。

 

 さて,私たちは水道施設の視察にきた水道屋集団ですから,水関係のものがあると引き寄せられてしまいます(^o^)。これは同寺院の庭にあった水呑場(狸は関係ありませんが)です。味わってみた印象はさほど硬くなく,少しナトリウム(塩味)があるのかなといった印象でした。水が冷たいのが好印象。

 このあと,コロッセオ(ここは完全に観光地)へ立ち寄ってトレビの泉へ。嫁の来手が現れることを祈ってコイン(10円玉)を2枚投げ込みました。この程度でご利益があるなら安いもんですがね。トレビの泉も飲めるスポットがあり,ここでも味をチェックしましたが,サインピエロ寺院と同じ味がしました。ちなみに,このスポットでアイスクリームを頼んで円からリラを作ってもらいましたが,そのアイスはナカタスペシャルでした(^o^)。バニラにストロベリージャムをすこし混ぜてあります。さしずめ,中のバニラがモンゴロイド,ジャムがローマのチームカラーってとこですかね。

 

 トレビの泉でオーバーフローがどこにあるのか探したのですが,見当たりませんでした。長谷川さんの指摘によると,そこのドレーンから水を抜いて循環しているのではないかとのこと。なるほど,それならオーバーフローはいりません。

 トレビの泉からはスペイン広場を通ってバスのまちあわせ場所に移動し,バスで駅の近くまで移動して昼食です。途中にはローマ時代の水道橋の名残(これは当視察団としては要チェック)があったり,水呑場があったりしました。バルブボックスや鉄蓋らしきものもあったのでついでに激写。また,お絵描きさんが結構いて,思い思いに描いたりしてます。お袋のももりさんがみたらうらやましがりそうです...イタリアに住むとか言い出しかねない...

 昼食は,なんとかいうパスタ(ちょっとスパゲッティーっぽい色のマカロニ),豚肉とジャガイモなど素直なおいしい料理でした。イタリアなので当然ワインを呑みます。

 昼食後,駅に移動してここから列車にてフィレンツェに移動です。先日行方不明になったスーツケースについて添乗員さんが問い合わせたんですが,はやはり出てこないようです。日曜日なのも影響しているとかいないとか。列車は結構好きなので,少しの間テッチャン状態で写真とってました。そうそう,ローマ市内の車はヴィッツ・マーチクラスの小型車がほとんどで,これは市内のみならず,田舎でも道が狭いため,小型車のほうが便利なためなんだそうです。

 車窓の風景(♪「世界の車窓から」を想像してください)はなだらかな丘陵地が延々と続く感じです。山が見える風景は日本人のこころを和ませるものがあります。少し眠くなってきたんで(そりゃお昼に睡眠導入剤=エタノオル=を摂取してますから)寝ます。ちなみにここまでは列車内で記述しました。

 

 さて,列車は順調にフィレンツェに到着。ここからバスでホテルに移動します。フィレンツェの町並みはまた少しローマと異なって人がすんでいる街,といった印象が強くなります。ホテルでチェックインを済ませたあと,市内にバスで戻ってレストランで食事。イイダコの少ししょっぱい前菜とスパゲッティが前菜,主菜は鳥(だったかな,一度消えてしまったんで書き直してます)。時差の影響もあって,夕食の途中からねむくてねむくて。ホテルについた瞬間にバッタンキューでありました。

【備考】


7月23日 フィレンツェ アンコネラ浄水場見学

 今日は最初の訪問日,フィレンツェのアンコネラ浄水場の見学です。全員バスに乗り込み,ここから20分程度で到着。浄水場の入り口が見つからずバスが少し迷いましたが,職員および紹介者の方が案内に来てくれました。

 アンコネラ浄水場は市内の中心部にある浄水場で,水源は河川表流水,下流の橋のあたりで堰を設けて水位を安定させ,浄水場脇で取水口を設けて取水する方式です。写真のように原水は決してきれいではありません。イタリアでも水源水質は悪いほうで,このためいろいろな処理方法を一生懸命研究しているので有名な浄水場だそうです。

 取水口は河川内に設けられたフロート状の流芥阻止装置に守られ,また監視カメラで常時監視できるようになっています。日本では河川内に構造物を造ることが基本的に認めてもらえませんので,この方式がもっとも有効と思いながらも採用できません。うらやましい感じがします。

 

 河川から取水された水は,取水口の荒いスクリーン,堤防内にある2次スクリーンを経て場内のポンプ施設に導かれ,ここから加圧されて着水井に送り込まれます。着水井は円形で,水の落としこみ部分で凝集剤を滴下投入,ここから四方に分かれた上向流式の高速凝集沈殿池で沈殿処理を受けます...欧州では急速攪拌装置がないこのような方式が一般的なそうですが,これでは攪拌が十分ではないのではないかという指摘もありました。実際,高速凝集沈殿池からのフロックの漏出はかなりありました...普通はこんなもんなんですかね。それともイタリア人は気にしていないのかな?

 

 少し驚いたのは,歩廊部分の下がそのまま処理水の流渠になっていることです。日本ではこれはまずやりません。スペースの省略による工事費の低減という意味では有効でしょうが。

 

 ここがろ過池です。日本のそれと比べてかなりシンプルです。表洗装置は見当たりません。後で聞いた話ですが,空気洗浄を行っているんではないかとのことでした。

 さて,順不同になります(実際には沈殿池等よりも先に見学しました)が,今回の視察旅行のメインイベントのひとつ,二酸化塩素処理設備です。視察団の後ろに見えるレンガとコンクリートのおしゃまな建物の中に,2液式の二酸化塩素発生装置が格納されていて,オープンな国にもかかわらず,ここだけ鍵がかっちりかけられていたり,換気装置があったり,制御室と装置室がしっかりセパレートされています。

 

 中央監視室を通って送水ポンプ場へ。オゾン処理棟は現在建設中だったんで見学はできませんでした。円形の建物に円状にポンプが配置されていて,制御設備は中央の円筒状の中2階に配置されています。日本にはこういう余裕の大きい施設はあまり作らないんじゃないですかね。

 

 上の写真でもそうですが,この日の視察では施設を見学しながらあちこちで質問攻めが始まる状態で,予定時間を大幅に超過してしまいました。最後に資料室で質疑応答の時間をもち,ここの前で集合して記念撮影をしているのが下図です。このあと,高度処理水を試飲させてもらって浄水場を後にしました。

 

 さて,昼食会場前にはバスが入れませんので,フィレンツェの市内を少し歩いてレストランへ到着。すごく古風な洋館での昼食です。太いカップブードルみたいな麺のスパゲッティの前菜に,鳥とほうれん草のソテーの主菜,デザートはティラミスでした。おいしいっす。

 明日は朝にはフィレンツェを発ちます。よってこの日の午後(といっても,視察だけで13:30くらいまでかかってますんで,すでに午後の3時ですが)は市内の観光を少し。フィレンツェのドゥオモはローマのサンピエトロ寺院と逆に,外が豪華で中は少し穏やかな印象です。天井のだまし絵など,見せるための施設っていう感じですか。

 

 また,市内には有名な美術館や市庁舎など有名な歴史的建造物がたくさんありますが,時間の関係で駆け足で説明をいただく形の観光でした。好きな人なら楽勝で一日二日はつぶせそうですね。

 

 このあとは土産物屋で解散。夕食会場に直接行く人が数人別れ,ほかはホテルへ戻りました。ホテルでは時間が許せばプールで泳ぎたかったんですが,ネットでメールを送る予定だったんで部屋からチャレンジ,でもうまく送れませんでした。受け取りには成功したんですが...

 夕食はイタリア風中華料理でした。それなりにおいしかったし,給仕のお嬢ちゃんたちの評判は非常によかったんですが,やはり中華料理は日本や中国で食べる方がおいしいです...まあ,中華料理と考えるから感動が少ないんであって,イタリア風中華料理を食べた,すなわちイタリア人向けの中華料理と考えるべきなんでしょう。

【備考】


7月24日 フィレンツェからベネツィアへ

 今日はフィレンツェを発って水の都ベネツィアへ行きます。朝は少し遅めで9時35分集合。ホテルからバスで駅まで向かいます...が,待てど暮らせどバスがきません...仕方ないので(?)撮影したのが下の写真です。

 どうも,迎えのバスが途中でトラブルを起こし,急遽代わりのバスがこちらにむかっているんだとか。やっときたバスに急いで荷物を積み込んで全員乗車,動き出したと思ったらトランク室のドアがあいてます!あわてて閉じて,さあ発車と思ったら今度はエンスト...まるでミスタービーンみたいなやりとりでなんとかバスは動きはじめましたが,さすがにホテルを10:20に出て10:38分発の列車にのるには無理があったようで,バスはスピード違反もものともせずにとばすんですが,渋滞には勝てず,結局まにあいませんでした。

 ということで,旅行社と添乗員さんの交渉の結果,急遽バスでフィレンツェに向かうことになりました。ただ,またバスが故障したら大変だということで,バスを交換するために駅のすぐそばのバスターミナルに入りました。

 

 バスに乗り換えて陸路ベネツィアに向かいます。イタリアの高速道路は日本より少し空いている印象でした。車窓の風景は前半は山間地,後半に行くにしたがって平地が広がる印象です。ちなみに,この日の昼食は当初からランチボックスをもらって車内,という日程だったので,訪問先もレストランの予約もなく,旅程の変更が日程に与える影響は極小でした。いいのか悪いのかはわかりませんが,旅行社のお詫びとして,ベネツィア市内の案内と夕食がついたので,まあ,バスの旅もそれなりに味があってよかったということにしておきましょう。途中,サービスエリアに停車した際に,1.5Lの水とサラミソーセージを試しに購入しました。

 

 さて,前方に見えまするはベネツィアです。イタリア本土から長い橋の向こうに見えるその街は,まるで虚空に浮かぶラピュタといった様相で,神秘的な雰囲気すら漂っております。

 バスはローマ広場という車の乗り換え場所に到着,ここからはベネツィア名物水上タクシーに乗り換えてホテルを目指します。水上タクシーは,水上バスや観光ゴンドラに交じって水上を進みますが,視界の両側に広がるベネツィアの街はよそでは多分見られない特殊な情緒をかもし出しているようです。水路はホテルの前まで来ているのですが,細い水路に入ると渋滞を抜けるのに小一時間かかる恐れがあるということで,広場の船着場で水上タクシーを降りてホテルまで歩きました。

 

 ベネツィアの街は町がそれそのまま観光地であり,またショッピング街です。日本でもあちこちにあるような,いわゆるブランドショップが軒を連ねています。ホテルもアンティークな雰囲気をかもし出しております...もっとも,設備もアンティークですので電気がつながらなかったり,とかもありましたが(^o^)。

 当初予定ではこの日はフリータイムだったんですが,列車に乗れなかったお詫びということで,ガイドさんに案内してもらえました。イタリア観光は街によって撮影の制限がいろいろ異なります。ローマではOK,フィレンツェではフラッシュのみ禁止でしたが,ベネツィアは建物内の撮影はすべて不許可です。

 まずは何はともあれ,イタリア観光は大聖堂から始まります。ベネツィアングラスの本場ということで,この街の大聖堂,サン・マルコ寺院にもこれがふんだんに使われたレリーフがあちこちに施されています。ちなみに,ガイドさんがいないと行列を1時間待ちになるそうです。

 

 次に,海岸沿いを通ってドゥカーレ宮殿に移動。途中,沖に浮かぶのはサミット会場になったマッジョーレ島だそうで,水に浮かぶ宮殿といった趣です。確かに,この島なら警備は万全でしょうね。(写真正面は大聖堂です)

 ドゥカーレ宮殿の中庭は写真はOKですが,宮殿内は撮影禁止です。宮殿はすべて壁式構造で,地盤が軟弱なため,木の梁に厚さ数十センチ程度の大理石の床板を載せている構造だそうです。このため,部屋によっては少し振動します(^o^)。

 各部屋は階段も含めて豪華な装飾が施されていて,見るものを圧倒する迫力を備えています。昔の執政官の肖像がそこここに描かれていて,それぞれの肖像に街の守護聖人,聖マルコが描かれているため,頭の禿げた同じ顔のおじさんの大洪水です...というと不謹慎ですか。絵の一部はナポレオンが持ち出したものもあるそうです...イタリア中どこへいってもナポレオンの悪業がでてきますね。

 執政官や裁判の部屋から一歩離れると牢屋として使用された部屋があり,ここにはロールプレイングゲームでおなじみの中世の武器の実物が所狭しと並んでいます。変わったところでは,「鉄の処女」,すなわちとげとげの貞操帯なんかも飾っていました。ガイドさんによると使用済みだそうです。

 さて,牢屋はある時期を過ぎるといっぱいになったために運河の対岸に増設されたそうで,ここへ渡る橋が「ため息橋」と呼ばれる中をくりぬいたような石の橋です。牢屋は暗いことが戒めになる,という印象の構造ですが,広さは私の住んでいる家より広いです。ここは文化財ではないので撮影OKとか。(実物はもっと暗いですがデジカメなので補正しました。)

 さて,宮殿を出て今度はベネツィアングラスの工房です。もちろんこれはお土産を買ってもらうためのアトラクションです。頭を剃った怪しいイタリアン親父が,「不思議な日本語の駄洒落合え」を駆使していろいろ説明してくれました。怪しいけど面白いアトラクションでした。(お約束)日本語をしゃべりながら寄ってくる外国人には気をつけましょう。(^o^)

 ここで夕食まで解散です。髭剃りや歯磨き粉などがホテルに供えてなかったため,これらを探しにベネツィアの街を散策,TABACCHI=雑貨屋でこれを購入。このほか,お祭りの時に使う仮面のレプリカをひとつ購入してこれは絵のモチーフを欲しがっていた人のお土産にしましょうか。

 夕食はホテルでイタリア料理のコースでした。なかなかレストランが開きませんのでやきもきしました...

【備考】


7月25日 ベネツィアから浄水場3箇所

 今日は6時15分起床,7時15分出発です。3箇所の浄水場を回る強行日程なうえ,水上交通で移動してバス乗り場まで行かなければならないためです。朝食はホテルでとるんですが,7時15分出発なのに7時までレストランが開きません...事前の交渉むなしく,イタリア人のサボタージュに遭ってしまったようです。(連中に言わせりゃ狂気の沙汰,といった風でした)

 

 さすがに,普段は込む細い水路も朝は空いています。細いところには道路標識ならぬ水路標識があって,一方通行なんかもあるんでしょうか。信号も一部にありました。また,行きは進行方向から見えないので気がつかなかったんですが,水路沿いの工事中の古い建物のカバーの表面に工事完成後のイラストが書かれていました。下の写真がそうですが,遠景や写真では見分けがつきません。工事現場の環境対策の非常にイタリアらしい一例といえます。

 さて,ローマ広場でバスに乗って1時間強,隣のヴィツェンツァ地方,本日最初の視察地,ポレッジ浄水場です。一面のとうもろこし畑の中を幹線道路から少し入りますと,赤いレンガ造りの建物と,ひょうたん型の盛土があります。ここでは,地下水を3箇所の深井戸から取水,活性炭処理と二酸化塩素消毒をしているそうです。右が水源井です...ただ,いい写真とってないなあ...

 

 活性炭処理は特に必要ではないが安全のために取り付けているという説明でした。なかなか優れた設計思想だと素直に感動していたんですが,農薬の試験をしているなど,少し説明に不自然なところもあるようで,農薬などの問題がある可能性を名言したくなかったのではないか,という意見もありました。まあ,そうでもなければ活性炭みたいに金のかかるものを予備で設けるというのも不自然な気もしますしね。

 これは配水池です。丸池をひょうたん型に2池直列で配置し,その外側に歩廊,さらに外側をドーム状にして土を盛っています。凝った造りで,地下水起源の低い水温を維持するためにはよさそうですが,容量あたりの金はかなり喰ってそうです。

 

 さて,次に向かったのはピアゾーラ浄水場です。またバスで1時間ほど行ったところにあり,今度は本当にとうもろこし畑の真ん中です。ここも同様に地下水からの取水ということで,先ほどよりも小規模です。向かって左側にポンプ室が,右側には二酸化塩素処理設備があります。

 これは右側,ポンプ室の様子です。ポンプ騒音対策でしょう,耳栓=ウィスパー(これは帰りの飛行機ですごく役に立った)くれました。周りは見渡す限り畑ですから,こういう騒音対策もありかなとも思えます(^-^)ろ過機などは屋外にあります。

 右側には二酸化塩素処理装置が設置されています。

 

 空港で追加された訪問先だったうえに,当初想像していた以上に小さな施設なので,視察団も戸惑い気味でしたが...まあ二酸化塩素を使用している処理施設を見学できたことは事実です。途中のとうもろこし畑で道が狭すぎてバスが切り返しができず,とうもろこしを踏み倒してしまいましたが...村のおばあちゃんたちはこんな田舎に何事かといった様子で興味深々でバスを眺めてました(^o^)

 さて,昼食は,このとうもろこし畑からベニスを通り越してさらに1時間強戻った地点にあり,ホスト側に招待してもらう形で行われました。最終的に,今回の視察旅行でもっとも豪華な食事でした。

 

 通常,ツアーの設定した料理は,日本人の食べる量に合わせて少なめに設定されていましたが,この日はこういう事情から,フルコースのイタリアの食事です。まず,テーブルにつく前におつまみとして野菜のフライ(フリッカッセでしたっけ),続いて蒸したシーフードにオリーブオイルで風味付けをした前菜,貝類の前菜,クリーム風味のリゾット,平たいパスタ,オリーブオイルで風味付けしたサラダ,イカやとうもろこしペースト(正式名称は忘れました)のフライ,ほうれん草の付け合せのついた主菜の魚,デザートにコーヒーです。ざっと日本人用コースの倍は出ました。

 余禄ですが,通訳のお姉さんには記念のお皿が手渡されました。異性をあからさまに大切にする風土には見習うべきところがあるのかな?それとも?

 さて,ここから30分ほどバスで移動すると,本日3箇所目の視察場所,ベネツィアへ水を送っているカ・ソラーロ浄水場です。まず,場長室にて浄水場の概要説明。その後場内の見学です。

 

 まず,着水井へ行ってみて驚いたのが,スクリュー式の揚水ポンプです。水道用で見たのは初めてでした。農水や下水では少しあるそうで,水道用も相当昔には使用されたそうですが...制御は容易らしいですがエネルギー効率については真っ向意見が分かれました。まあ,どう見ても安くはなかんべ...流芥に強いのかと思ったら逆だそうで,スクリューと壁の間に詰まったりするので流芥は取り除かないといけないそうです。

 一行や薬注室によって(いい写真がない)から沈殿池へ。粉末活性炭を使用しているために黒いです。円形の越流堰はおおむね一律に流出していてなかなかお見事。奥に見えるのは配水池です。

 この後監視室を見学...監視パネルは設置した当時からだいぶフローが変わっているのであてにならないとか言ってました。ちなみに,この浄水場を含む近隣の複数の浄水場を統合して,一括監視できるような施設に更新する方向ですでに計画は提出されていて,その認可を待っている状態なんだそうです。

 このあと,浄水場を離れてバスでベネツィアのホテルに帰着。夕食は夜9時開始とかなり遅めで,本日のスケジュールがかなり厳しかったことの影響が出ています。本日の夕食は自由の予定だったんですが,昨日の列車に乗れなかったお詫びの形で,レストランが用意されました。ここでの夕食はイカ墨のスパゲッティと主菜,デザートです。絵描きさんらしい人が来て絵を売りにきました。何人かは購入されたようです。

 食後は少し腹ごなしのつもりで街をうろついてみることにしました...と,インターネットカフェを発見!視察旅行に出発する前,メールにて連絡する方針で準備をしていったんですが,これがうまく届かない現状では,ネットカフェにチャレンジしてみるしかありません。

 お店に入っていってつたない英語で交渉,なんとかやってみました。でもイタリア語フォントのみであるうえにメールサービスはないらしく,苦労して(ほとんど暗号を解読しながら)センター,水団連,親元などアドレスのわかる相手に片っ端から(横文字で)送ってみるもすべてエラー。(狸やその他のホームページはみられるんですけど...フォントは化け化けですが)ということで,試みは失敗に終わりました。

 夜のベネツィアはまた風情があり,寺院前の広場では楽隊が演奏したりしてました。またいずれ訪れてみたい,そんな気持ちがもっとも強く残ったのがこの街でした。

【備考】
 1回記録が消えてしまったうえ,資料も少なめでしたので,他の浄水場の記録と比べるとかなりあやふやな部分が多いですがご容赦くださいませ。


7月26日 ベネツィアからミラノ,ベルリンへ

 さて,本日はなんと朝5時15分起床の6時40分出発です。この時間では朝食はとれませんから,ランチボックスならぬブレックファーストボックスでの朝食で,チョコクロワッサンと小さな堅パン,ジュースなど質素な朝ごはんとなりました。私は列車に乗ってから食べましたが,皆さん結構集合時間中に食べてらっしゃいます。少なめです。

 例によって,ホテルからは水上タクシーで移動。今日は少し曇り気味ですか。ローマ広場からバスに乗り換えて,ベネツィアの陸側の駅まで移動,ここからユーロスターに乗車してミラノに向かいます。列車は定刻に到着,私はおばあさん(イタリア人か?)のとなりに座ってました。ところで,このおばあさん,ミラノに着くと,向かいに座っていた船橋さんにジェスチャーで指示して荷物を降ろさせ,デッキまで運ばせて下車していきました。私はとなりでこの記録を書いてたんですが...あっけにとられてしまいました。このへん,レディファーストの真髄を垣間見たような気がします。

 

 ミラノ駅はムッソリーニが建設したとかで,異様な威容を誇ります(べたべた)ここでお出迎えのバスに乗り換えて昼食のレストランへ移動。お昼は俗にいうスパゲッティミートソースとミラノ風カツレツ,フルーツポンチのデザートでした。少し軽めでしたがおいしかったです(イタリアの食事は毎度毎度おいしい)

 飛行機まで少し時間がありますんで,昼食のレストランを出てミラノ市内の主要観光地を少し。まず,ミラノのドゥォモへ。ここまでに見てきた各町の大聖堂とはまた違った柱で荷重を支える建築様式で,このために壁の耐荷重が小さく,ステンドグラスがたくさん使えるそうで,きれいです。なんでも,ナポレオンが即位式をしたのがここだそうなんですが,そのときぶっ放した祝砲でステンドグラスの一部が壊れてしまったとか。どうも(しゃれではない),かなり迷惑な男だったようですね。ナポレオンってやつは。ちなみに,このドゥォモの総重量が3,400t,これに対してガイドさんによると総面積が11,700m2...面積あたり290kgということです。思ったよりたいしたことないですね。水道施設が如何に重いかよくわかります。

 

 聖堂を抜けると広場に出ます。ここから右に折れると世界で2番目に古いアーケード商店街,ガッレリアになります。ここを抜けるとスカラ座がありますが,これはほかの派手派手な建築物に比べるとずっと地味です。

 ということで,非常に大味ではありますがミラノ市内のメイン観光地でした。このあと少しショッピング(ツアーにセットされているんで)して空港へ。少し渋滞していましたが余裕をもって到着できました。さて,ここからルフトハンザの新鋭機(かどうか知らないが)で一路ベルリンへ飛行です。こんな小さい飛行機とは思っていなかったので一同びっくり。しかし...

 ほとんどゆれもなく,また行きと比べて早いようで,快適な空の旅でした。機内ではイチゴのサラダが出されました。しかし...ベルリンの空港に到着したときにその悪夢は再来しました。今度は4人分のスーツケースが届きません...松本さんにいたっては2回目です...クレーム待ちのバスの中でこの記事を記述しています。どうも飛行機に搭載されていなかったようです。

 荷物の手続きの後,何はともあれホテルへ。夜9時過ぎという遅い夕食となりました。ホテルの食事はバイキングスタイルでドイツの一般的な料理を好きに取っていただく形式です。ドイツ料理はあんまりおいしくないとか聞いていたんですが,レバーソーセージや野菜など,非常においしくいただきました。

 夕食を終わるとすでに夜10時を回っています。長い一日でした。

【備考】


7月27日 ベルリンからナウムブルグ給水施設

 本日はベルリンから230km近く離れたナウムブルグ給水施設の訪問日です。このため朝も早めで,6時起床の7時30分集合になっています。私,この日の朝,風呂場で転倒して流血の惨事(大げさ)を引き起こし,バスルームを水浸しにしてしまいました。チップ弾んどくか...

 バスに乗ってアウトバーンを移動。バスは制限速度が100kmに制限されているそうで,速度無制限の世界は体験できませんでした。少し残念です。車窓から見えるドイツの風景はなだらかで美しく,上空から見た印象そのものでした。移動約3時間,給水施設に到着です。

 この浄水場はナウムブルグの街が一望できる丘の上にあります。丘から俯瞰する町並みはすばらしく,また地元の人がトラクターで横切ったり,鹿がいたりとのどかな上にも豊かな生活感を感じます。

 

 水源は表流水という説明ですが,川から約100mも離れているそうで,日本の感覚では浅井戸ですね。俗に言うバンクフィルトレーション,すなわち土壌ろ過の効果を得た上で活性炭処理をしているようです。

 

 私的に面白かったのは3点です。まず,結露の防止に除湿機を使用していることで,原水が冷たいにもかかわらず,ほとんど装置への結露はみられませんでした。次に,薬品タンクに防液堤がないことで,これについて質問すると,タンクが2重構造になっているとの答えでした。なるほど。写真で指差していますがわかりますかどうか。

 3つめは,施設敷地に雨水排水の設備がほとんどないことです。年間の降雨量が1,000mmに達せず,また大雨もまったくないとのことで,このような設計が成立するようです。

 視察は12:30ごろまででした。ここからはドイツで初めての昼食です。この地域一帯は赤頭巾ちゃん(Rotkapchen?)という,赤いカバーのついたスパークリングの白ワインの産地だそうで,早速これを所望してみました。これはあくまで,地元を知るという目的での行為ですよ。念のため。(^o^)ドイツ料理はおいしいです。前菜にサラダ,主菜はチキンのローストで,デザートはアイスクリーム,といったメニューでした。

 午後は,レストランの一室でドイツの水道事情に関するプレゼンをいただき,また二酸化塩素に関係するレクチャーをもらいました。水処理メーカーからおいでの皆さんにとっては常識なんでしょうが,私としてはいろいろ勉強になりました。

 さて,バスはアウトバーンをひた走り,約3時間をかけて帰ってきました。すでに午後6時30分を回っているんですが,現地はサマータイムもあって明るいです。ということで,少しバスから車窓型の簡易な観光案内をいただきました。

 これはベルリンの壁の一部です。すでに統一から10年経過していますので,意識的に記念として残されている部分ですが,落書きだらけですし,鉄筋も剥き出しになっています。おそらく開放直後に破壊されたんでしょうか。つくりは結構やわい印象でした。壁の裏側では,「テロの系譜」と題したオープンテーマ展をやっていて,ドイツの若者が多数見学されていました。この辺の取り組みの良し悪しは別として,日本との違いといえば違いと思います。

 

 その他市内を少し案内してもらいながら,7時30ころにレストランに入りました。夕食はドイツ風のサラダと肉料理にボイルポテト,ビール,ワインのほか,シュナップス(ドイツのジンのような飲み物)にチャレンジ。どれもこれもおいしいです。夕食のあとはホテルにて休みました。

【備考】


7月28日 ベルリンでの休日

 本日は土曜日,浄水場も対外的にはお休みです。しかして,日曜日は文教施設を除くすべての施設がほぼお休みになります...ということで,明日日曜日を移動日とし,本日土曜日が休日ということになります。視察旅行ですから観光は移動日の余裕時間や調整時間を使っておりますので,フルタイムの自由日はこの日だけです。今日は資料整理の日,つまり全員自由行動日の日程です。

 ということなので,洗濯などを済ませて,デブリング解消のために泳ごうと考えました。毎週泳いでいる延長で,一応水着がもってきております。そこで,昨日ガイドさんにプールの大体の場所を聞いておき,1万円ほどをドイツマルクに換え,地図を購入し,万全の体制をしきました。少し遠い場所だったんですが,運動なんで歩いていくことにしました。

 抜けるような青空で今日も暑くなりそうですが,午前中は非常に快適です。ホテルを遠景に見ながら歩きますが,ベルリンでは辻ごとに道路の名前を書いた看板が立っていて,比較的迷いにくい印象です。

 

 ホテルは旧東ドイツ側にありますので,旧共産圏的箱型建築(現地ではこういうらしい)ですし,ロシア風のテレビ塔がとなりにあります。また,市内のあちこちで工事が行われており,水道管らしい工事現場にも2つほど出会いました。左はVP-RRとおんなじ形をしていますが,水道管にしては束ね方が尋常ではないので他の用途でしょうか。右はかなり大口径の(おそらく500くらい)管で,エア弁とか近くで工事していたので水道管とみて間違いないでしょう。ここでは,弁室の付近はタイトンジョイントのダクタイル鋳鉄管,このほかプレーンエンドの直管も使用されているようです。もっと撮影したかったんですが,工事現場のごついおっちゃんが寄ってきて(ドイツ人はみなでっかいっす)何かいってきたので,Sorry を連発して逃げ出しました。おっちゃんの顔は笑ってたんですけどね。

 

 さて,途中道に迷ったり公園に立ち寄ったりしたこともあって,2時間ほどかかってプールに着きましたが,土曜日なので休み...もう一箇所近くのプールにも足を伸ばしてみたのですが,おんなじでした。何のためにガイドさんに聞いたんだか...

 

 まあ,かなりウォーキングしたのでよしとして,繁華街の方に行ってみることにしました。プールの近くでタクシーを拾って「動物園駅」までお願いしました。ちなみに,ベルリン市内,特に旧東側は,イタリアと違って英語表記がほとんどありません。タクシーの運ちゃんも英語はわかんないようでした。また,イタリア人ほど万事に愛想がよいということはないです。

 そろそろおなかがすいてきたので昼食をどこで食びべようかとうろうろしていると,インターネットカフェを発見!センターにメールを送るトライアルをすべく,少し怪しい雰囲気に戸惑いながらも店に入ってチャレンジしました。ベネツィアのよりは使いやすいマシンで日本語フォントも見られました。またほかのお客もいましたので安心できました。

 

 お昼はそこらにあったBISTROにて。バイキング形式で好きなものを適当にとってKASSEで支払う方式です。値段の読み方がわかりませんので不安でしたが,おおむね1,000円程度で大満足の昼食でした。ドイツ料理はおいしくないと聞いていたんですが,これは大うそです。はっきり言って,下手なイタリア料理よりおいしいです。

 昼食後は観光がてら,ベルリンの繁華街をうろうろしました。途中にはあちこちに噴水など水を使ったモニュメントがありました。暑かったので,現地の人たちが足をつけたりして休んでいます。水は冷たく,地下水を使用しているものと思われます。ベルリンを含め,欧州は全体に非常になだらかな傾斜地で,アルプスを水源とした地下水が非常に豊富であるそうで,水道もほとんどが地下水や伏流水を水源としている様子です。雨が降らなくても森が茂るのはこのあたりにその秘密があるそうです。

 噴水のデザインは非常に印象深いので,写真を少し並べてみます。2番目の画像は見にくいかもしれませんが, 上にアルプスのモニュメント,真ん中に都市がモチーフしてあり,これが蛇行した水路,多分川をイメージしていると思いますが,で繋がれています。下の方にある塊のような部分にはH2SO4と刻んであって,都市によって水質が汚染される状況か,酸性雨の問題を象徴しているようです。噴水のデザイナーにも社会性が求められるのがドイツ風なのか?センスは悪くないですが。

   

 さて,別に買い物にも興味がないので,地下鉄を利用して美術館の集中している地区へ移動(どうも地下鉄の乗り方に致命的なミスがあったらしいことが後でわかりました)。ペルガモン美術館など見学しました。暑かったのでここで水を所望。そろそろガス入りのミネラルウォーターにも慣れ,こちらも取り混ぜて注文するようになってきました。でも,携帯用はノンガスです。ちなみに,ビールとジュースと水の値段はまったく一緒です。

 途中工事現場などありまして,地盤改良工事らしい工事をしていました。ベルリンでは地下水水位が地下3mほどと高く,工事で出る地下水を排水するウェル工法のピンク色のパイプが架空配管でうねっている場面をいくつも見ました。

  

 さて,少しホテルで休憩したのち夕食はビアホールです。ビールはほとんどバリエーションがなかったんですが,お店で作っているビールがおいしかったのと,なんといってもアイスバイン(皮付き豚肉の煮込み)がデリシャスでした(^o^)。ザワークラフトも日本で売っているのとはぜんぜん違って非常においしいです。だれだ,ドイツ料理がまずいとかいったのは...(ガイドがそういってたような気が...)

 ちなみに外は9時くらいまで明るいです。夕食後はすぐにホテルに戻ってこのページの作成を開始...でも結構すぐ寝てしまいました。翌日の朝に記録を作成しています。

【備考】


7月29日 ベルリンからヘルシンキへ

 本日は移動日です。日曜日なので,ほとんどのお店はお休み。移動するしかない,ってことで移動日に設定されています。

 ベルリンからヘルシンキへは,ヨーロッパ最大のハブ空港であるフランクフルト空港を経由するため,すこし時間がかかります。ベルリン入りするときに到着したティーゲル空港にバスで移動,ここでルフトハンザ機にのってフランクフルトへ飛びます。ここまでに2回も荷物のロストが発生しているので少しならず不安です。添乗員さんによると,ティディーベアをトランクに入れておくとロストしないというジンクスがあるそうで...すでに2回(つまり100%)も被害に会われた松本さんはベルリンで購入されたそうです。(^o^)ここまで空港の待ち合わせ時間中に記述しています。

 フランクフルトには無事に到着しました。見覚えのあるゲートを通って,今度はヘルシンキに飛びます。飛行機の到着が少し遅れたため,乗り換え時間には不自由はないものの,空港を徘徊する時間はありませんでした。空港にはドイツの緑色の警察車両が山ほどいましたが,これから遠足にでもいくのかしらん?

 さて,ホテルに到着して後遅い夕食です。この日はバイキングスタイルと聞いていたんですが,野菜が少しとチキンの煮込みがある程度で,今回の視察旅行ではもっとも寂しい食事でした。取りあえずフィンランドのビールとアクアビット(ジャガイモで作ったスピリッツ,ズブロッカウォッカ風)で乾杯。

 ホテルにはフィンランドで唯一の国際ルール(ビットに上限がない)カジノがあるということで,少し社会勉強に参加。フロントでパスポートを提示し,申請をしますが基本的に見るだけなら無料です。まあそれも申し訳ないと考え,参加料を支払って,ブラックジャックやルーレットのルールを少し勉強,「地道に働くのが一番」であるという教訓を習得いたしました。なお,写真撮影は禁止です。アクアビットが少し強かったせいか,この日の夜はWEBチャレンジして後すぐ就寝。

【備考】


7月30日 ヘルシンキ,ピトキャコスキ浄水場からストックホルム

 本日は月曜日,今日から後半戦です。テレビはここまでで初めて(ローマも写ったかも)日本のが写ります。小泉政権率いる自民党が圧勝との報道ですが,結構辛口のコメントが流布されているようです。今日は浄水場を1箇所視察した後,飛行機でストックホルムの予定です。

 朝は8時30分の出発です。朝食は昨日の夜と基本的に同じメニューなんですが,サーモンがあったりしてこちらの方が豪華です...いろいろ聞いてみましたが,夜は軽く,これがスカンジナビアスタイルなんだそうです。集合時間を少し誤認識していて遅れ気味...迷惑をかけてしまいました。

 バスは30ほど走って本日の視察地,フィンランドはヘルシンキ,ピトキャコスキ浄水場です。北海道を思わせる白樺(風)の林のなかに静かにたたずむ清楚な建物,という印象。水道局の広報担当者の出迎えと簡単な説明ののち,化学(処理)担当の大きなお姉さんがプレゼンをしてくれました。技術説明に関する体制はこれ以上ないほどうまく,慣れを感じさせます。

 

 フィンランドの地盤は大部分が岩盤ですが,湖が多くて水源が豊富,渇水や地震,大雨などはまったくないそうです。熱源の供給は市内の3箇所のコジェネセンターから行われていて,電力と熱との同時供給なので効率が高いとのこと。もっともあまり寒いときはブースターの加熱設備を使用しなければならないそうです。運営は株式会社ですが株は政府の100%保有で,政府に配当を支払わなければなりません。10年前にフィンランドで発生したバブルの影響で皆が倹約するようになったため,料金体系を変えて(基本料金の比率を高めた)まで水使用を推奨しているそうです。職員は300人,ただし15年前は700人いたそうです。

 浄水場の処理フローは何度も改修をうけているそうで,その経緯を含めて非常に詳しく説明してくれたのはいいのですが,ややこしすぎてよくわかりませんでした。オランダのKIWAがテクニカルサポートをしているそうです。詳しいことは視察団の報告書に任せることにします。

 さて,それでは各施設を見ていくことにします。まず浄水場の原水は着水井に導かれますが,着水井は室内にあり,しかもガラスの天板があって人が手を触れたりできないデザインです。部屋はタイル張りですごくきれいで,いままで見た着水井の中では(日本のも含めて)もっともきれいな印象です。ご多分に漏れず,ここでも原水で魚を飼って水質事故のチェックを行っておりますが,飼っている魚がマスだってところがいかにも北欧です(^o^)。

 

 原水には炭酸ガスを用いてpH調整を行います。ちょうどこのとき,炭酸ガスを運んできたトラックがガスの補給をしていました。左に見える箱状の建物がガスストレージのようです。

 さて,原水は凝集剤(硫酸鉄)を投入されてのち緩速攪拌池へ...

  

 このあと2階層式の沈殿池を経てろ過池へ導かれます。躯体の色が茶色なのは塗装かと聞いたところ,凝集剤の影響で茶色になっているとのこと...鉄系凝集剤の特徴といえるでしょうか。ただ,原水の自体も森林性ではあるんでしょうが色度が高い様子です。当初想像していたよりは汚染が進んでいるのかもしれません。沈殿水はろ過池に導かれます。ほかの欧州の浄水場でもでしたが,ろ過池はいずれもシンプルな印象を受けます。どうも,表洗がなく,空気洗浄を併用しているためのようです。

 

 次に,今回の視察旅行の目玉,紫外線消毒設備の方に移動。消毒設備等のある棟はオートロックがかかるようになっていて,セキュリティに関する意識の高さがうかがえます。おかげで,入る前に閉まってしまって往生しましたが...

 

 上からみた紫外線消毒設備は,ぶっとい配管の途中を四角く加工して紫外線ランプのアタッチメント(青い部分)を取り付けたような印象です。四角い部分では,90度互い違いのフォーク状に紫外線ランプが差し込まれているそうです。この棟にはこの他に薬品注入設備や活性炭処理施設が設置されていました。

 一連の施設見学のあと,簡単な質疑の時間がありましたが,この日はこのあと飛行機で移動なのであまり余裕もありません。記念撮影の後感謝の辞も早々に分かれて昼食会場に移動しました。フィンランドに一泊,しかも観光なしというのもあまりにもったいない気もしますが...まあ視察が目的の旅行ですので...

 昼食はヘルシンキ市内のレストランで,サラダ,七面鳥の主菜,デザートでした。レストランを出ると小雨が降ってきました。急いでバスに搭乗して空港へ。

 空港での待ち時間のとき,コイン式のインターネットマシンを見つけました。10フィンランドマルカ(10FIM=200円ほど)で30分使用可と安いんですが,現地語のうえ画面のレゾリューションが合っておらず,また画面の端が切れていて非常に使いづらいです...が,これはチャンスとばかりに日本のサイトを見たり,メール送信にチャレンジしたりしました。送信のボタンにいたっては画面に出てきませんでしたが,数回タブをクリックしておそらく送信ボタンにカーソルがきた時に送信。ちゃんと届いたようです。

 飛行機は15時00分発の15時00分着です...時差が1時間あるんでこうなります(^o^)。たった一時間なのに軽食が出るのは国際便のお約束,でもスモークサーモンとハムをはさんだ堅いパンはすごくおいしかったです。飛行機は気流の影響らしくがたがたとかなりひどく,またずっとゆれていましたが,パイロットの腕はなかなかのもので,斜めになりながらもほぼスムーズにストックホルムに着陸しました。

 さてここからはストックホルムの町に向かって30分ほどバスの旅です。ストックホルムの町並みは,これまで見たどの街よりも日本と雰囲気が似ているように思いました。天気はいいですが風は強く,飛行機がゆれた理由が実感できました。バスは16時過ぎにホテルに到着,ここで手続き関係の説明を受けてこの日は夕食までフリータイムです。そこで,少しストックホルム市内をぶらぶら(運動なので少し早足で)歩いてみました。ガイドさんがいるわけではないので,解説はできませんが...

 

 ストックホルムはノーベル賞で有名な都市ですが,ベネツィアとはまた違った情緒のある水の都です。大型を含む船が多数停泊しており,島々から成る街は橋と船と歩行者天国の道路で結ばれています。買い物どおりや王宮,広場などは観光客でごった返していますが,さすが北欧,少し肌寒いくらいの気候で,いい意味でぜんぜん夏らしくありません。

 

 歩行者天国も,左の写真の旧市街と右の写真の現在の市内ではまったく雰囲気が異なります...写真では伝わりにくいかもしれませんが...お店は6時まで,デパートも7時で閉まり,そのあとは観光客相手のお土産物屋だけになるようです。営業時間を過ぎた店で店員さんがいそいそと店を閉める姿が印象的でした。

 この日の夕食はホテルにて,サラダとラム肉のロースト,デザートの夕食でした。おいしくいただいて早々に退散,自室でメール送付など事務局作業を行ってあとに休みました。

【備考】


7月31日 ストックホルム,浄水場3箇所視察

 今日から大垣先生が合流されます。大学の会議が終了してすぐ,バンコク経由の飛行機で直接ストックホルムへ,そのままホテルで朝7時に合流しました。まったくもってハードな行程で,頭の下がる思いです。

 この日の出発は8時30分,バスに搭乗して焼く30分で最初の訪問地,ロボ浄水場です。湖水を水源にした浄水場で,ヘルシンキ市の2つの大きな浄水場のうちの小さいほう(大体3:2)です。大きい方(ノースボルグ)は工事中だとかで,急遽こちらになりました。

 ついてすぐプレゼンルームに案内されました。すごく立派な部屋にOHPや映写機,各種模型,パンフレット,水飲み機(ガス入りもあります)など各種装備が備えられているほか,講師席の後ろがクローゼットになっていて,各種パネル類や電話,資料などが入っています。説明用の英語の映画(15分)まで用意されていて,英語に堪能な人であれば,ストックホルムの水道事業の概要がわかる仕組みになっています。私にはその能力はありませんが...(T_T)

 全体に訪問なれした印象も強かったんですが,こんなおしゃれなプレゼンルームを設計してみたい気持ちも強く持ちました。余談ですが,昨日のヘルシンキもあわせ,北欧はこのようなプレゼン施設が充実している傾向にあるようです。

 

 この浄水場は,石灰による軟化処理のあと,急速ろ過プロセス,緩速ろ過プロセスを直列で使用しているそうです。一時はいろいろな処理を試しており,緩速ろ過プロセスを停止していた(主にコストがかかるためだ)そうですが,現在で,この,Chemical,Mechanical,Biological,処理が最適であると考えているそうです。

 それでは個別に各施設を見学しますが,トイレに行っている間に一行が出発してしまい,迷子になってしまいました...ご迷惑をおかけしました。m(_ _)m まず,最初に軟水化処理を受けます。

 

 次に,急速ろ過プロセスに移行します。導水路の流下点で凝集剤を櫛状に添加され,そのまま縦型4槽の緩速攪拌槽に入ります。ここでは行って来いの形の二層式沈殿池に通されて沈殿処理を受けます。汚泥は以前は沈殿池を停止して取り除いていたとのことですが,現在ではスクレーパが入っているとのことでした。凝集剤はバンドのようです。思ったより原水の濁度は高く,スカムなども浮いていますから,そんなに良好な原水とは行かないようですね。

   

 沈殿処理された水は次の急速ろ過池に向かいます。急速ろ過池も室内にあります。多分北国特有の凍結などの問題対策でもあるとは思いますが,説明では日光を遮蔽することで藻類(バクテリアと言っていたけど)などの増殖を抑制するのが目的だそうです。ヘルシンキと同じく表面洗浄装置はみあたりません。さすがにトラフはちゃんとありますが(アジアあたり,フランス会社に作らせると,トラフすらないこともあるそうです)。残念ながら暗くて写真は写りませんでした。

 一歩外にでると青い空,美しい森...その面前に広がる緩速ろ過池は感動的なほど美しいものでした。一面に藻系を含む生物膜が生成しています。奥に見えるのは洗砂装置のようです。この浄水場はこのように,急速ろ過と緩速ろ過を直列で運転しているため,水処理コストは高いとのことでした。ただ,水源対策費が水道料金に上乗せになる日本とは,水道料金ベースでは比較できないところもあるように思います。洗浄後の捨水時間は8時間だそうです。

 

 さて,再び建物に戻って今度は建物の3階にある薬品貯留タンク室へと移動しました。雑多な薬品類のタンクがこの部屋に納められています。次亜の自家生成をこの部屋でやっているそうです。日本の施設を見て育った私にとってはシンプルな防液堤や巨大なボールタップ,いっぱいあるホイストなどが目を引きます。

 

 以上でロボ浄水場の視察はおおむね終了です。最後にプレゼンルームに戻って追加の質疑応答,お土産を手渡して分かれました。バスはもと来た道を戻ってストックホルム市内へ,昼食会場に向かいます。時間があまりないので約40分で昼食を済ませました...といっても日本では20分で済ませるわけですから,ぜんぜん余裕があるとも言えますが。席に着くとすでにモッツァレラチーズのサラダが出されていて,これにカレイのソテーとライス(インディカ),コーヒーといったメニューです。おいしいっす。

 さて,昼食を済ませて今度はストックホルムから1時間30分ほど離れた地方都市,エルムスタに向かいます...運転手さんはまじめな人で,昨日のうちにインターネットで行き先を調べてあったそうなんですが,現地の旅行代理店のMIKIトラベルが,左に曲がるところを右と教えていたため,道に迷ってしまいました。小一時間ほど遅れてエルムスタ浄水場に到着です。

 ところが着いてびっくり。ちっちゃいんです。こりゃわからんはずだわ。この地域の1,000人300世帯に給水しているそうですが,浄水場としての機能は停止しており,現在では送水されてきた水に紫外線で追加消毒をするための施設として使用しているとのことでした。2番目の写真がUV照射設備です。今回の視察旅行の目的としてUV消毒設備を見たいと連絡してあったため,ここを推奨してくれたようです。

 

 現地で落ち合ったひげのおじさん(赤い帽子をかぶったらまんまサンタクロース)に案内してもらって,ここからあと15分ほど離れたグリズルハムンに向かいます。この街はリゾート地であるとともに,リゾート地の島に向かうフェリーのターミナルでもあるそうです。

 やっぱりここも小さいんですが,中に入ってみてびっくり。あるわあるわ,砂ろ過,イオン交換樹脂,中間ろ過(オゾン処理用として設計されたも使用されず),UV消毒,活性炭ろ過と小さい部屋の中にぎっしりと詰まっています。

 

 紫外線消毒ランプは,大きな活性炭のタンクの横にちょこんとくっついていました。部屋には余裕が特に設備上部にはぜんぜんなく,バルブやインテイクはあるようですが,搬入路がどこかも判然としません。それこそ屋根とっぱらって上からクレーンで吊るのかなんて冗談で言ってたほどです。

 よく聞いてみると,原水は近くの溜池からとっていて,ここには雪解け水や雨水をためているとのこと。海沿いですので海塩の影響も強く受けていて,原水水質はものすごく悪い印象でした。料金は下水をあわせて1m320クローネ(約300円),無人運転で,週に2回ほど人がチェックにくるほか,アラーム時に飛んでくるシステムだそうです。

 ストックホルムのような大都市ではともかく,スウェーデン全体ではこのような小規模な集落ごとにここと同じような規模の浄水場が多数あり,その原水水質は多種多様とのことで,特にこのような水源の悪い地域の施設については,エルムスタのように,水源のよい地域から水を送ってくる方式に切り替えていく傾向にあるようです。

 ということで,サンタクロースに別れを告げて,バスはストックホルムに戻りました。到着は18:00ころ,食事は19:00から日本食です。この間にいそいそとデパートに行って,食品のお土産を少し購入...あんまり名物はない土地柄ではあるようです。

 日本食レストランでは本当に日本食で,「なんちゃって日本食」を期待していた向きには少し不満もあるようでした。日本食となると,それまで酒類が非常に安かったこともあってついつい日本酒も同じ感覚でどっさり飲んでしまう傾向がありますが,日本酒は燗酒2合徳利で2,000円近くします。単純な量換算でワインの3倍くらいですかね。これは先輩訪問団の経験で聞いていたので一応警告できました。わかっててそれでも,というんならまったくOKですが。

 さて,このホテルにもカジノがあります。スロットはありません。昨日のホテルでは撮影禁止だったんですが,ここはOKのようですので,写真をとってみました。私的には,昨日十分勉強したので,あえてチャレンジは避けましたが,パスポートの提示が不要だったり,クローナを使い切るなどの目的で,皆さんブラックジャックにチャレンジされているようです。光量の関係で画像が不鮮明ですが...

 

 また,この日はホテルのコングレスセンターからメール送信をすることができました。日本語フォントのダウンロードはできませんでしたが,狸のホームページのアドレスは直接打てますので,ここから行きたいサイトのリンクを探してメールを入れました。へんてこな英語のメールでもなんとかなるもんですね。

 また,北欧といえばサウナです。ホテルのサウナルームにも行ってみました。サウナルームはスポーツジム併設で,デブリング解消のための施設に特化しているようです。中には水の入った桶とジュージュースポット(本当はなんていうのか知りませんが)があり,このスポットに水を自分で入れて蒸気を発生させ,湿度を調整します。からっとしているとぜんぜん暑くありません。

 

 たくさんの場所を訪問し,いろいろチャレンジもしました。また,昨日までいろいろ心配ごともあったんですが,かなりの部分が解決してくれたので心理的にも楽になっています。さらに,体も旅に慣れてきたのか,一日一日が早くなってきました。明日は時間割に少し余裕があるので,旅行記の手入れにもかなり時間が割けそうです。

【備考】


8月1日 ストックホルムからハイデルベルグへ

 今日は資料整理および移動日です。よって,朝の日程もゆっくりです。実は,この日に記述したり,行間を埋めたりした部分が結構あります。実際に旅行してみると結構ハードにいろいろ見て回ったんで,記録したりメールを打ったりの作業は,通常日においては必要最小限しかできませんでした。ただ,デジカメで写真を山ほど(一日あたり100枚前後)撮ったので,これを見返しながら記録を書くと,意外にすんなりその日の出来事が浮かんでくるもんですね。

 さて,集合前にホテルでチェックをしたんですが,部屋からWEBにアクセスしたときの電話代がなんと25,000円!海外ローミングに自信がなかったのと,短時間なのとで,国際電話で日本のプロバイダにアクセスしたのがまずかったようです...業務用なんで申請はしますが通してくれるでしょうか...本日の天気のように少し不安が残ります。

 視察団全体としては無事空港に到着,ここから約2時間強でフランクフルトへ移動しました。ここまでの空港が小さかったので,フランクフルとの空港の大きさが際立ちます。日本人もたくさんいるようで,ここを拠点としたいわゆる「ロマンチック街道の旅」に向かう団体をいくつか見かけました。バレーボールの日本代表も到着していて,バス乗り場で隣でした。日本ちゃちゃちゃ。

 空港からはバスで移動,午後16時ころにはホテルに到着しました。ところで,この日部屋についてみると,トランクの取手が片方なくなっておりました...中のお土産にも少し被害(液漏れ)。スーツケースの寿命は旅行3回というのは本当ですね。私の他にも,トランクの一部がへこんだり,ローラーのところがへこんだりした人がいたようで,相当なにかひどい扱いを受けた様子です。

 ハイデルベルグは古城で有名な町で,城下町風の旧市街がそのまま観光路のようになっており,両側には土産物屋のみならず,さまざまなお店があります。ここを20分ほど歩いて抜けると,アルテブリュッケ(古い橋)とハイデルベルグ城が見えてきます。ブランド物屋だらけのベネツィアや怪しいお土産屋ばっかりのストックホルム旧市街と比べると,近代的な,生活感のある店が多い印象です。

 

 この日の夕食は,明日訪問する予定のプロミネント社の方に教えてもらったビアホールに行きました。なんでも,世界でもっとも度数の高い(33度くらい)ビールで有名な店だそうです。どうも,麦汁を加糖して高いアルコール濃度を作り,発酵を停止するためにアルコールを使っているんではないか,とのことでした。黒ビールでありながらリキュールのような甘い味わいは高い度数であることを感じさせません。非常に危険な酒であります。この日の夕食は,ホールの地ビールやこの濃いビールのほか,ソーセージ,煮込み,ポテトなどをいただきました。

 この日の夜9時からは主催者であるセンター主催で懇談会が開催されました。この場では旅行後の段取りなどについて,団長や幹事長から提案があり,これについて討議しました。この手のホテルでは持ち込みは許可されないことが多いんですが,添乗員の加藤さんの交渉のおかげで,酒1本分の持ち込み代と別室を用意してもらい,ここに各自がおつまみを持ち寄ったほか,ホテルから取ったビールやワイン,日本からもってきた日本酒や先々で購入したおつまみ類もあわせて展開,活発な討議がもたれました(^o^)。

 終わった時点で12時過ぎ,この日は着替えもせずに寝てしまいました。

【備考】


8月2日 ハイデルベルグ プロミネント社訪問

 朝食を取りながら報告の取りまとめについて協議する一行。今回の視察旅行で,各地で繰り広げられた光景です(というように書くよう要求されました(^o^))。

 今日は,ハイデルベルグに本社をおく水処理関係設備のメーカー,プロミネント社の訪問日です。プロミネント社は,定量ポンプ,計装設備,薬品注入設備などを中心に製作販売している会社です。まずプレゼンルームで会社の概要説明,次に製品と技術説明,その後工場の内の見学です。

 

 この会社では輸出に力を入れていて,インドとアメリカでポンプ,中国で計装装置,チェコでは樹脂容器類を生産しているそうですが,日本ほど拠点を持つのが難しい国はなかったとか。なんでも顧客の要求レベルが高いんだそうで,とても品質のよいものを要求されるそうです(あくまでもこれは批判ではない,といって念を押してました)。

 工場内は撮影は禁止ですが,明るく油汚れもありません。また,職員,見学者を含めて安全靴やヘルメットなどの装備はなし,タバコやジュースもOK...日本では考えられません。フレックスタイムですので,大概の職員は朝の涼しいうちに仕事を済ませて3時ごろに帰宅するそうです。また,各国にまたがってはいるものの,ほとんどの部品を内製していて,マイスター制度の伝統のもとに屋台方式(かなり大型ですが)で多品種少量生産をしているようです。私はメーカーの社員ではないのでよくはわかりませんっでしたが,わかる人の意見では,特に特殊なものを造っている印象はないそうです。ただ,ヨーロッパでは工場長は大概ドクターだそうで,ここもそうでした。

 一通り見学したあと追加の質疑とお土産の交換,記念撮影とこなしてこれで今回の視察日程は終了です。あとは明日の飛行機まで,資料整理を中心に時間を使うことになります。まずはバスで市内へ移動,昼食のレストラン「赤い牡牛亭」へ。狂牛病や口蹄疫のせいで,「赤い牡牛亭」なのに牛肉は出ませんが,サラダとおいしいチキンカレーをいただきました。この店,店内が落書きでいっぱいです。角で造ったビールジョッキなども天井からぶら下がっていて,なかなか面白い雰囲気でした。

 さて,午後は通訳さんがガイドに早替わりして市内の案内です。イタリアではこの辺何かとうるさかったんですが,ドイツではいいみたいですね。

 ハイデルベルグは大学と観光の町です。約3万人の大学関係者がいて,市内でもっとも主要は産業になっているそうです。まず,昼食会場の付近,旧市街内に点在する,大学にまつわる建物や教会など,昨日も訪問したアルテブルッケ(古橋)なども紹介していただきました。学生の町ならではといいますか,この猿は男のシンボルを切り落とされたりと,まあいろいろいたずらをされているそうです。余談になりますが,ガイドさんがいるといないでは観光の密度が3倍くらいは違いますね。仲間内でブラリが風潮ですが,ガイドさんに案内してもらったほうが絶対おもしろいです。(旅行社の回し者か?)

 

 さて,ここからはバスに乗って山の上のハイデルベルグ城に移動しました。城は山腹にあり,ここからの眺望はすばらしいものがあります。ガイドさんによると城は何回も陥落しているほか,雷によって何度も焼失しているそうです。山間に高い建物を造って避雷針なし(避雷針技術自体なかったとは思いますが)であればこれも当然,現代ならば設計ミスとして賠償させられるでしょう(^o^)。焼失したところはそのままになっていますし,事故爆発で崩れた塔や,戦争い負けて持っていかれてしまったレリーフの跡などそのまま残っているのがドイツ流の史跡保存法なんだそうです。

 

 これは城の井戸だそうで,昔は堀に水を引くために使用していたそうです。水はちょろちょろ出ていますが,井戸というより湧水ではないのかしらん?一応水道関連施設なので...

 

 さて,この城はもうひとつ,世界でもっとも大きいワイン貯蔵樽でも有名です。租税として徴収されたワインを集めるためにつくられたそうで,中身は白も赤も混じってたそうですが。光量不足で写真はだめでした...この樽のところには記念のワイン試飲コーナーがあって,グラスのみは4DM,普通の白ワインが6DM,アイスワインが8DMだそうです。ちょっとだけしかくれませんでしたが,高級(というよりは特殊に近い)で有名なアイスワインを体験できました。

 これでおおむね観光は終了です。このあとホテルに戻って少し休憩時間がありましたので,念願のホテルのプールにいって20分ほどですが思いっきり泳ぎました。これで汗を流した上でビールがおいしくのめるぞ,って感じですか。

 夕食は「金の羊亭」でミートプレート,すなわちソーセージ類の盛り合わせです。もちろんこれはおつまみで(?),主菜はビールになります(^o^)。昼間訪問したプロミネント社の技術者も合流して,心行くまでドイツビールを堪能し,同時に怪しい英語およびドイツ語を駆使して誤認識率約40%くらいの会話を楽しませていただきました。

 ホテルに帰った後,添乗員の加藤さんの元同僚の方を交えてホテルのバーで歓談。日本の食材が手に入りにくいと聞いたので,昨日の宴会の残りスナックと,日本から持ってきてもてあましていた梅干をプレゼント。喜んでもらえた以上に,梅干を棄てずに有効利用できたことがうれしかった次第であります。

 この日もバッタンキューでした。少しとはいえ,泳いだ後にビールを空き放題飲んだので,そりゃあねぇ。

【備考】


8月3日 ハイデルベルグからフランクフルト,帰国へ

 いよいよ最終日になりました。(といっても到着は4日になるんですが)帰国が視野に入ってくると,少しの望郷の念と帰ってからの仕事のことが頭の中から旅行気分を払拭し始めます...月曜日の委員会が気になりはじめました...(ということはここまで気にしていなかったのか?)

 出発は資料整理と時間調整を考慮して11:00とこれまででもっとも遅い時間になっています。といっても,旅行記を記述したりメールトライアルをしたりしていると,結構すぐに過ぎてしまいます。この日は,ホテルのビジネスセンターや部屋からWEBアクセスを試みましたがいずれも失敗しました。まあ,明日には帰国するんだからいいか,という気持ちと,ストックホルムの悪夢から,メールセンドはこの日はなしとしました。

 いつものとおりバスに乗り込んで,ハイデルベルグ市内の「獅子のビール亭」にて少し早めの昼食です。レーベンブリュー(でいいのかな)は瓶詰めの地ビールを販売していて日本でも有名なんだそうです。ビールのピルスナーグラスを記念に購入したいといったら,小さいのをプレゼントしてくれました。あつかましいやつほど得をするという事実を実感,今後はもっとあつかましく生きることにします。(もともとあつかましいが)

 昼食後,少し時間調整的な自由時間があったので,少しお土産など物色。世界一立派なマクドナルド(王室御用達の薬屋だった建物に入っている)の近くの模型屋で,戦車のダイキャスト模型など買ってしまいまいした。普段だったら絶対買わないな...(ここまでは飛行機のなかで記述しました。)

 この後フランクフルト市内でお土産タイム...でもドイツで三越なんぞ行きたくないんで,少し歩いてkaufhof,いわゆるドイツ版ダイエーへ行きました。ちょうどバカンス前,夏の大売出しで,値札から20%くらい割引で売ってくれます。お土産はあちこちで食品を中心に少しづつ購入しました。そうそう,結局,ヨーロッパ中で探して見つけた狸(多分厳密にはアライグマ)はこの一匹だけでした。現地ではあまりメジャーな動物ではないようです。

 バスの中で挨拶などがありつつ,フランクフルトの空港に到着。ここでルフトハンザ機にて日本に帰国するわけですが...なにか警察の人がたくさんいていやな予感が漂います...とか面白がっていると,実際にトラブルは発生しました。というのも,荷物や搭乗手続きの受付がぜんぜん始まらないんです。

 荷物の関係から,空港でお土産を買ったり,税金の還付を受ける予定だった人を中心にあせりが募ります。結局後で判明したところでは,空港のコンピュータがダウンしたとかで,発券が30分以上もできない事態だったそうです。(多分警察は関係ない)お土産対応を中心に予定の狂った人が数人(私も含めて)出ました。

 今回の旅行では,結局,行きと帰りの飛行機意外では牛肉は一切出てきませんでした。狂牛病と口蹄疫のせいです。普段の食生活からひとつの中心的な食材が消えてしまっている状況ってのはやはり慮るにしのびないものがあります...

 かれこれ10時間強の飛行機の旅を終え,飛行機は成田飛行場に無事到着。その後は流れ解散ということで,税金の申請がある人,スーツケースを飛行中に壊された人などはめいめいに申請に向かわれておりました。荷物がかなり重くなったのと,帰りは5階まで運び上げないといけないということで,帰りは宅配にお願いして,京急で帰宅。


 今回の旅行を総括するのは視察団が行うと思いますが,旅行中さしたる怪我や事故,病気もなく,また致命的な遅刻や事件もなかった(このへんは異論はあるかも)こと,そしてなにより活発な意見交換と情報収集が行われたことは,各参加者の意識の高さや経験の豊富さ,添乗員の加藤さんやハイレベルな現地通訳,これらをコーディネートしてくれた旅行社,そして派遣団に参加させてくださった職場や親元のおかげと思います。

 私的にも非常に勉強になった旅でした。なにより,「設計思想が日本と異なる」水道施設に直に触れたことは,今後の私の設計計画にもなんらかの影響を与えていくことになると思いますし,視察団各位の技術力や語学力に触発されるところも大でした。

 この記録を作成しているのは8月5日,日曜日です。帰りの方が時差が激しいと聞いていましたがそのとおりで,眠くなる時間帯がまったく不規則です...無理やり時間帯をあわせるため早く寝たら,こういうときに限って普段かかってこない人から夜中電話がかかってくるし(しかもべろべろ酔っ払っていて眠らせてくれない)...

 そうそう,帰国後の体重は79.5kgで出国前とかわらずでした...ふふん。(^-^)とくいげ。

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