
GOING TO BELGIUM
8月3日の(1)
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8時に目が覚めた。疲れていても神経はたかぶったままなので、目覚めはふだんに比べたら格段にいい。食堂で朝食をとり、残りでサンドイッチを作って、持参したファスナー付きポリ袋に入れて持ち帰った。
荷造りをする前によろず屋に行き、新聞を買う。たくさんあってわからないので、すっかり顔なじみになったおばさんに「フェスティバルが載ってるのはどれ?」と聞くと、すぐに「これよ」と教えてくれた。 ホテルに戻ろうと思ってふと気がついた。そういえばバス停はどこだろう? 来たときにはバス停ではない所で降ろしてもらったので、知らないのだ。まだ時間は充分にあるので、そのあたりを歩いてみたら、すぐに見つかった。これで安心。 部屋にもどって開くと、ほとんど一面を使って記事が出ていた。写真もかなり大きく載っている。記事はフラマン語(だと思っていたが、あとでジェローンにコピーを送って聞いたらドイツ語だった)なので読めないが、どうやらとても誉めてあるらしい。
しかし、残念だなあ。あと1日ここにいられたら、明日の新聞も買うことができて、そっちには THUNDER の記事がこうして載ってるだろうに。かといって新聞1紙のために滞在を伸ばすわけにはいかない。あとでエドガーにコピーを送ってもらえないかどうか手紙を出してみよう。 新聞を大事に鞄の底に入れ、荷造りをすませた。やはり行きよりさらに重くなっている。不要になったビニールや電池、歯磨きなど捨てられるものは全部捨てたんだけど。 肩にめりこむような荷物を下げ、階下に降り、チェックアウトをする。チェックインの記帳がなかったわりには、請求書はちゃんとコンピューターでプリントアウトされて出てきた。こういうふうに、機械化で余計な手間は省き、美しい自然や伝統的な建物といった部分は大切に守っていく。山道にまで自動販売機を置き、田舎道の途中にコンビニを建てて「便利になった。文明化された」と思ってる日本って、ちょっと勘違いしてるんじゃないかと思えてきた。 最初に入ってきたときにもカウンターにいた常連客の男性に挨拶をしてホテルを出る。もう二度と来ることはないだろう。バス停に向かって歩いていくと、途中のカフェに相変わらずメタルっぽい若者がたむろしている。きょうまで休みをとってゆっくりしてるのかなあ。みんなキャンプしていて着替えなどないから、全身乾いた泥がくっついているが、誰も気にしていない。理由もわかっているし、お互いさまだからね。 バス停に着き、ベンチに荷物を置いてバスを待つ。向かい側の家の前では中学生くらいの男の子が弟らしい幼児を遊ばせている。ふたりとも私が気になって仕方がないようだったが、とうとう意を決して話しかけてきた。フラマン語だが「バスを待ってるの?」とか聞いているらしい。こっちは英語で「そうなの。 VERVIERS 行きはこっちでいいのよね?」と聞くと、うなずいてくれた。 やがてバスが来た。兄弟に手を振り、今度は終点までだから心配することなく「 VERIVIERS まで」と言ってお金を払い、乗り込む。客はおじいさんひとりで、運転席の隣りに座って、降りるまで運転手と話をしていた。そのあと乗ってきたのもおばあさんが2人とおじいさんが1人。これで採算とれるのだろうか。
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