KE714 成田13:55 釜山16:20。大韓航空のカウンターが妙に混んでいる。平日の昼の便なのに。しかも、どこか変。係の女性がみんな手を膝において坐っている。向こうのほうでは役職らしい年配の男性が携帯で熱のこもった交渉中。いや〜な予感。
3年前、ロスアンジェルスから帰るとき。大韓航空のコンピュータシステムがダウンし、1時間以上待っても回復せず、手作業でのチェックインを体験したことがある。
案の定、5分ほどするとアナウンスがあった。「大韓航空をご利用のお客様にお知らせいたします。ただいまシステムがダウンしておりますので、チェックイン作業ができません。もうしばらくお待ちください」 あちゃあ。今回は友人Aが関空から、友人Bが福岡からなので金海空港での待ち合わせにしていた。私の便がいちばん最後で、予定通りでも15分ほど待たせることになるのに・・・。が、幸いなことに今回は20分程度で復旧した。
2時間30分のフライトなのに昼食が出た。スチュワーデスも客も忙しい。映画はなかったが、韓国のTVドラマのようなものを流していた。字幕は英語。若い女性が父親の車を内緒で運転していたら盗まれてしまい、罪の意識に悩みながらも隠蔽工作。最後にはごまかしきれなくなって家出するという、コメディなんだかシリアスなんだかわからないストーリー。儒教の国だけに、親に嘘をついたら地獄に落ちるよという教訓なのだろう。日本の若い子が見たら 「なんで〜?」 と理解不能だろうな。
食後の昼寝をする間もなく金海空港に着いちゃった。税関を抜けて外に出る直前に両替所がある。うっかり行き過ぎそうになったら、仕事熱心な女性職員が窓口から身を乗り出して 「両替はここですよ〜」 と叫んでくれた。両替率は100円=1046.5ウォン。円換算するときはウォンの数字からゼロをひとつとればいいだけなので、とてもわかりやすい。
まずはインフォメーションで今夜の宿を予約。最初の日くらいは日本で確保しておこうと、インターネットでみつけた慶州パーク観光ホテルという所にFAX(英文)を入れたのだが返事がなく、電話をしたら日本語も英語も通じなかった。インフォメーションで紹介されたのも同じホテル。バスターミナルの近くには、ここともうひとつ協成観光ホテルというのしかない。街の東にある普門(ボモン)団地というリゾート地にはホテルがたくさん集まっているらしいのだが、今回の旅の目的には合わない立地なので却下。「こちらにはシングルというものはありません。ダブルかツインです」 と言われた。本当か? 現地に行ってから聞いてみよう。
空港から慶州まで直行するバスの時間にはまだ40分くらいある。トイレに入ったら便座のシートにビニールがかぶせてあった。ボタンを押すと自動的に回って新しいビニールが出てくる仕掛け。ビニールが出てくるのと同時に女性の声で 「Welcome To Korea」 と聞こえてくる。さらには 「使用中」 の音を消すための小鳥のさえずりが・・・。便座に腰掛けたちょうど正面のドアのところには小さな額に入った絵が掛けてある。妙に家庭的だ。
ロビーに坐ってあたりを見回すと、こちら側にも両替所があるじゃないか。「お、韓国にもスマイルマークがあるのか!」 友人が両替所の電光掲示板を見て感動している。ほんとだ、本日のレートか何かが流れているのだが、その最後に笑顔マーク(=^^=)が出てくる。英語圏の笑顔マークは縦書きだが、韓国では日本と同じ横書きなんだ。それにしても一体どういう単語にあのマークがついているのだろう? 習いたてのハングルを試してみよう、と意気込んで電光掲示板の前に行き、あっという間に流れていってしまう文字を何度も何度も待っては読んでみた。「カ・・・ム・・・サ・・・」・・・な〜んだ、ありがとうございますって書いてあるだけだ(^^;)。
ハングルの迷宮に迷い込んでしまったような前回のソウル旅行の反省をふまえ、3か月コースの韓国語コースに通ってみたのだが、たいして進歩はないみたい。ま、8回しか受講してないんだから無理もないか。
時間になったので表に出てみた。バスは止まっているが、運転手がいない。目で探していると向こうからおじさんがニコニコしながら近づいてきた。「こんにちは」 やけに愛想がいい運転手だなと思いながらも 「こんにちは」 と返すと 「どこまで行きますか?」 と日本語で聞いてくる。「キョンジュです」 と答えると「タクシー安くしますよ」 と来た。「やだ〜客引きじゃないの〜」 と思わず声が出てしまい、笑いながらバスに乗り込んでしまった。気を悪くしたかなと思ったが、おじさんも笑ってた。こちらの風体を見て、「どうせタクシーなんて乗らないだろう」 と駄目元で声をかけてきたのだろう。
やがて運転手が現れ、ひとり9000ウォンの料金を徴収すると、ラジオを大きな音でかけながら走り出した。
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