Running Edinburgh
( エディンバラばたばた )



ポートレイト・ギャラリー


ネオゴシック式のかなり装飾的な建物は1980年代にスコットランドの過去から現在に至る(良くも悪くも)歴史に残る人々の肖像画を展示するために作られたものなので、建物の外側も内側も徹底してその趣旨が貫かれていて、過去の偉人たちの彫像やステンドグラスがこれでもか、というほど飾られています。吹き抜けになったホールの2階バルコニーの4面には歴史上の逸話が壁画として描かれていて、その中には映画「ブレイヴハート」にも出てくるウォレスのスターリン橋での戦いの場面も。

そういえば8月23日はウォレスが処刑された日だというので、エディンバラ市内では記念のイヴェントが行われたり、新聞でも大々的にキャンペーンを張ったりしていました。スコットランド最強の「郷土の英雄」であるようです。ツアーや観光地でのキャッチコピーでも「ハイランダー」や「ロブ・ロイ」より「ブレイブハート」と「ウィリアム・ウォレス」が圧倒的に多かったです。

それはともかく、ポートレイト・ギャラリーの話。行く前までは「知らない人の肖像画を見てもなあ」という気持ちがあり、ざっと眺めて終わりにしようと思っていたのですが、見始めるとこれがすごく面白い。絵画鑑賞の面白さもあるのですが、それよりも西洋史を面白おかしく解説してもらっているような楽しさなんです。

それぞれの絵には題名と作者のクレジットの下に、描かれた人がどういうことをしたのかという簡単な解説が書かれているのですが、それを読んでいると本当に断片的にではあるけれどスコットランドの歴史が少し見えてくるんですよね。前日にハイランド・ツアーに行って、そのときにガイドの女性がとても上手にかいつまんでスコットランド史を話してくれたんですが、それを思い出しながら「今でもスコットランドでは嫌われているという裏切者のキャンベル(グレン・コーの大虐殺)というのはこの人かあ。やっぱりこすからそうな顔してるなあ」なんて納得したりして。

今の時代に生きるスコットランド人の肖像画もあるのですが、残念ながらショーン・コネリーとロバート・カーライルは展示されていませんでした。写真はショップで買ったポストカードをスキャンしたものです。ショップの人に「この絵は展示してなかったみたいですけど」と聞いたら「これ(コネリー)はあるはずだよ。こっち(カーライル)はあったかどうか記憶にないなあ」と言われました。見逃したのかもしれないと翌日(この日はもう閉館時間だったので)もう一度行ってみたのですが、残念ながら新しい時代のものが置いてある階は閉鎖されていました。ひょっとしたら展示内容を変えている最中だったのかもしれません。そのうちビリー・ボイドやユアン・マクレガーも仲間入りするかなあ。

フェスティバルの一環で「The Healing Touch」という展覧会が開催されており、医療に貢献した人々の絵や写真、ビデオなどが展示されていたのですが、右の絵の真ん中の人、デヴィッド・ウェンハムに似ていませんか?

そう言えばたくさんのストリート・パフォーマンスで1日じゅうお祭り状態のロイヤル・マイルを歩いていたとき、ピエロの格好をしたパフォーマーを見て友人が「あの人、デヴィッドに似てる」と言ったので撮った写真もありました。そのときはそれほど似てないと思ったんですが、こうして見ると似てるかも。



フェルメール