Running Edinburgh
( エディンバラばたばた )



カールトンの丘


Princes Street をお城とは反対の突き当たりまで行った先の左手上方にギリシャ神殿のような建物がそびえる丘が見えます。その両脇には丸いドームの建物とほっそりした塔もあって、妙に心惹かれるたたずまいです。

で、The Majestic Tour という1時間ほどのバスツアーに乗ったとき、途中で降りてこの丘に向かって行きました。降りるときにバスの運転手さんにどう行けばいいのか教えてもらったんですが、いざ降りちゃうとまったくわからない。地図と首っぴきでおそらくこっちだろうと思われる方角に進んでいきました。

平日の昼間のし〜んとした住宅街を通り抜け、小さな教会を眺めながら歩いていくと、いかにもそれふうの坂道が出現。これが写真で見るよりもっと急坂でしかも長い。「え、これを行くの?」とかなり引きました。が、どう考えても登っていかなきゃ丘の上にはたどり着けません。覚悟を決めて歩き始めました。

きつかった〜。前を行くジョッガーが普通の道路を歩くかのようなペースでどんどん離れていくのを見ながら日頃の運動不足を思い知りました。でも、いまさら後戻りもできないのでなるべく先を見ないで自分の足元だけをみつめ、呼吸をそろえることだけに集中して黙々と足を動かします。なんて書くとどんな大変な山登りかと思いますが、実際にはちょっとした坂道なのよねえ、これが、ああ、情けない。

そろそろかなと思って顔を上げると、おお!道の先には空と雲だけ。変わりやすい天気のエディンバラでしたが、このときはすっかり晴れ渡っていたので真っ青な空に綿菓子のような雲が浮かんで、まるで絵に描いたような光景が待っていてくれました。疲れも一気に吹き飛ぶとはこのことです。

丘はほとんど人の手が入ってる様子はなく、草がぼうぼう生えてるだけですが、街の人たちの散歩コース、ピクニックコースになっているようで、若い人も年配の人もそれぞれにゆったりと歩いたり、犬を散歩させたり、草むらに寝転んだりしています。

ギリシャ神殿みたいなのは戦没者記念堂なのですが予算が途中でなくなって未完成。だからよけいに遺跡みたいに見える。近くで見るとコンクリートっぽくてどちらかというと東ベルリンの建物のようにも見えましたが。丸いドームは天文台、塔はネルソンという人のモニュメントでした。

丘の上からは街の様子も一望にできますし、湾のほうも眺め渡すことができて、本当に気持ちがいいです。家の近所の歩いていける距離にこんな場所があったらいいなあ。でもきっとそうなると行かないかもね。写真の向こうに見える魚の背びれみたいな万里の長城みたいなものがアーサーズ・シート。人造のものではなく自然に土地が隆起して出来た形なんだそうです。その手前の白いハリネズミみたいな建物が議事堂です。

帰りは別の道を降りていきましたが(秘密の花園への入口のようなドアのある家を通り越してライオンの手すりがある階段を降りきると Regent Road へと出る)、どうやらこっちの道のほうが普通にアクセスするルートだったみたい。ちゃんと「カールトンの丘」って道の入りぎわに書いてありました。なにもバスを途中で降りなくてもよかったのね。でも、あっちの道は苦労は多かったけど登りきったときが最高だったからラッキーだったと思おう。

下の写真はバスツアーでバスの2階から見た風景です。ガイドは生とテープとあるみたいで、最初に乗った The Edinburgh Tour は生(私たちは1階にいたので見えませんでしたが2階にガイドさんがいてマイクに向かって説明していたようです)、2つ目の The Majestic Tour はテープでした。生のほうは客からの質問にも答えてくれるし冗談も言ってくれるから面白いのでしょうが、英語が聞き取りにくいのが難。テープのほうはさすがにわかりやすかったです。一長一短ですね。生でも目の前で喋ってくれてるとまた違うのかもしれません。



ナショナル・トラスト