エディンバラ城
エディンバラで何がいちばん印象的だったかというと、このお城です。なにしろ街の中心の小高い丘の上にど〜んと建っていて、絵に描いたような中世のお城然としているんですから。高い近代的な建物がほとんどないということもあって、街歩きをしていてふと見上げるとそこにある、という感じ。当時の人にしてみたらいつも見守られている(支配されている)という存在だったんだろうなあ。
なので、当然ながら観光の目玉はお城です。ガイドブックを読むとかなり広くて見るところが多いようだったので半日をあてましたが正解でした。入り口でオーディオガイドをレンタルして、各スポットでその説明を全部聞きながら回ったら、おそらく1日必要なんじゃないでしょうか。
このオーディオガイド、日本語もちゃんと選べて、おおむねまともな日本語なのですが、一段深い階層(「**についてより深くお知りになりたい方は**を押してください」と言われて進んだ先)に入るとかなり怪しくなってきます。限りなく機械翻訳に近い日本語。歴史に出てくる特殊な名詞を無理やり日本語にしていることも多いので、こういう場合は英語の説明のほうがわかりやすいかもしれないと思いました。
エディンバラ城は写真からおわかりのように城砦で、何百年にも渡って攻防が繰り広げられてきたところですから、侵入を防ぐための工夫が各所にされています。上の写真は城の背後から撮ったものですが侵入されないよう絶壁になっています。また、通路も人ひとりがやっと通れるほどの幅になっているところもあります。
少しずつ建て増しされているので建築様式もいろいろ入り混じっているようですが、私はそのへん詳しくないのでよくわかりません。ただただ石作りの(小さな街といってもいいような)建物群を迷子になりながら歩き回りました。ほんとに石、石、石。
なにしろ街いちばんの観光名所ですのでツーリストの数もすごいもので、人が入らないように写真を撮るのは至難の業です。
その代わりツーリスト向けのイヴェントもいろいろ企画されていて、武器や武具が飾ってある大広間ではキルトを着た男性ふたりが本物(といっても当時のものなので鋭利ではありません)の剣で当時の戦いを再現してみせてました。チャリンチャリンと打ち合う音が映画と同じ(?)でちょっと感激。
パフォーマンスが終わると観客からの質問に答えてくれてました。当時の武器についてはかなりのエキスパートらしく、何を聞かれても即座に詳しい答えが返ってきて感心。広間に飾ってある剣は長さが50センチ程度の短いものから私の背くらいある長いものまでさまざまなんですが、どう使い分けるのかという説明もしていました。記憶がすでに曖昧なのですが、日本の刀のように鋭利な刃で斬るのではなく殴ったり刺したりすることがメインだったので、馬に乗っているときに使うもの、地上戦で使うものなどがあったみたい。で、短いタイプは「ブレイヴハート」で、長いものは「ロブ・ロイ」で使われていたと言っていました。
入り口付近にあるショップでお城のDVDを買って帰ったのですが、これがなかなか面白かったです。最初に市長さんと思われる女性が出てきて挨拶し、あとはお城の各所をくまなく撮ったビデオに男性のナレーションがつきます。ふたりとも生粋のスコットランド英語なのですが、一般の人にもわかりやすいように話してくれているので理解可能。特に男性のほうは本当にクセのある英語なのに、どうしてわかるんだろうと不思議になってしまうほどです。
そういえば今回の旅行で英語がわからなくて困るということはあまりありませんでした。昔、ロンドンのコヴェントガーデンで知らないお爺さんに話しかけられ、ひとこともわからなかったので「フランスの方ですか?」と聞いたら、怒ったように「私はスコットランド人だ」と言われた苦い記憶があって、スコットランド英語には苦手意識があったのですが、どうやら地域差があるみたい。
現地で会った人2〜3人(うちひとりはグラスゴー出身)から聞いた話ですが、グラスゴーの英語がとにかくわかりにくくて同じイギリス人でも理解不能なことがあるんだそうです。そういえばビリー・ボイドの英語ってわかりにくかったなあ。彼なんて俳優だし、インタビューのときなんかは意識して標準語で喋ってるんでしょうが、それでもわかりにくい。
それはともかく、DVDには「へえ」というような情報がたくさん含まれていました。あまりの奇抜なデザインに「どうしてエディンバラにこんな」と思った議事堂の建物が実はエディンバラ城の大広間を模してデザインされている(上の写真の左が大広間、右が議事堂)とか、骨董品かと思っていた大砲が今でも毎日1時に発砲されている(私が行ったとき迷彩服を着た兵士が大砲のそばで何やらやっていたのですがどうやら準備をしていたようです。
また、有名なミリタリー・タットゥーは私たちは見なかったのですが、その様子も収められていて様子が覗けたような気分になれました。最後の花火は私が行ったときにも毎晩上げられていたのですが、どうもタイミングが合わず(映画で遅くなったとき一瞬だけ見られましたが、それ以外は泊まっているところからは遠かったり、近かったのにちょうどそのときお風呂に入ってたりで)見られなかったのでせめてもの慰め。
いちばん面白かったのはお城の展示物の中でも目玉である「運命の石」がイギリスから返還されてきたときのパレードの様子を映したフィルムでした。あまりの大騒ぎに石が恥ずかしがってるように見えました。
エディンバラ国際映画祭
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