Running Edinburgh
( エディンバラばたばた )



J・K・ローリングのカフェ


エディンバラに行くと決めたとき、頭に浮かんだのはローリングのこと。離婚して赤ん坊をかかえ、生活保護を受けながら彼女が暮らしていたのがエディンバラで、この街のニコルソンというカフェで1日中座ってハリー・ポッターを書いていたのは有名な話です。図書館で借りたガイドブックに地図付きで紹介されていて、今は中華料理店になっていると記されていました。

地図だけコピーして持参したのですが、これが甘かった。友人と「きょうのお昼はそこにしよう」と言って出かけたのはいいが、まったくみつからない。近くに Forbidden Planet があったので「ここの店員さんなら知ってるんじゃない?」ということで聞いてみたけど、「え、そうなの? 素敵! でも知らないわ」と言われてしまいました。そこにいた近所の人らしい客にも聞いてくれたけど、その人も知らず。逆に店員さんがその人に「J・K・ローリングがハリー・ポッターを書いたカフェなんですって」と教える始末。仕方がなくその場はあきらめて別の店に入りました。

で、翌々日だったかな。インフォメーションの近くを通りがかったので入って聞いてみました。が、ここのお姉さんも「え、そんなこと知らなかったわ」状態。それでもインターネットに接続して調べてくれました。現在では Buffet King という店になっていることと、その店の住所を教えてもらいました。先日探していたときに確かにその店の看板は見かけたのですが、あまりにも安っぽい構えだったので「まさか、あれじゃないわよね」と思っていたところでした。

さてさて実際に中に入ってみると表の看板とは裏腹に落ち着いたエントランス。古い木の階段を登っていくと左側が入り口です。右側の壁にローリングがらみで紹介された新聞記事がふたつほど貼ってありました。それによると店主(写真で見る限り30代前半くらいの中国人)も売主(元のカフェの持ち主)も契約の段階ではローリングのことは知らず、契約が成立したとき間に入ったエージェントが「お客が呼べますよ」と言って話をしてくれたのだとか。でも後でどこかで読んだ話ではカフェの持ち主はローリングの義理の兄弟だそうなのでこれは話を面白くするための作り話ですね。

現在の店主は喜んでばかりでもないみたい。というのもハリー・ポッターのファンが来てくれるのはいいけれど食事もせずに写真だけ撮って帰る人が多いらしい。中には観光バスで乗り付けた団体がお目当ての席のところにずらっと並び、順番に写真を撮って帰るなんてこともあるらしい。食事をしている他の客にしてみればいい迷惑ですよね。おそらくそんな人たちへのけん制の意味もあってここに記事を貼ってあると見ました。

なにはともあれ私たちは食事をするつもりできたので大威張りで入っていきます。ビュッフェ形式の店で、ランチだったら5.49ポンド払えば好きなだけ食べることができます。小食の日本人にはちょっと不利なんだけど、あちらの人にはお得なんじゃないかな。

店内はとてもすっきりしたお洒落なインテリアで、料理が並んでなかったら中華料理の店とは思えません。ガイドブックによると内装はカフェ時代とあまり変えてないらしい。

まだ開けたてだったので客は誰もいなくて席は選び放題。ローリングの定席は隅の窓のそばと聞いていたのでそれらしきあたりの近くに座る。すいてるうちにと写真を1枚。店内はかなり広くて、カフェだった頃には隅に座ってしまえばそれこそコーヒー1杯で何時間座っていても目立たなかったと思う。

中華のお味のほうはまあまあでした。やっぱり西洋人向けの感じ。甘めの味付けが多くてある程度食べるとどれもみんな似たようで飽きてきます。たくさん食べさせないための手かな? 時間とともにだんだんと混んできましたが、わりと普通に食事のために来てる人が多く、ローリングがらみと思われる客は1、2組しか見かけませんでした。地元の人が知らないくらいだから、まだまだ知られていないんですね。さっきの新聞記事には近いうちにローリングのことを謳った看板を出す予定と書いてあったので、そうなったらまた大混雑になるのかもしれません。

エディンバラ城