Running Edinburgh
( エディンバラばたばた )



エディンバラの宿


Bed & Breakfast
最初の3泊はB&Bでした。夏のフェスティバル・シーズンだけ観光客にB&Bを紹介する半分ボランティアみたいな組織が紹介してくれたところで、そこの主催者が自分で街を歩いてはよさそうな家に交渉して部屋を提供してもらっているとのことでした。

行ってみてわかったのですが、通りの名前にある Crescent というのはまさに crescent(三日月)で、写真のように緑地に面して家が三日月形に建っているのです。どうしてこうなっているのかはわかりません。日照条件とかが変わるのかしら? 建てるほうからすると面倒じゃないかという気がするのですが。

エジンバラのたいていの家と同様、このあたりの家にもみんな地下室があります。地下室といっても半地下みたいな感じで、表の道路から窓の中が見えるようになっていて、逆に言えばその窓から外の光が入るようになっています。家は2階プラス屋根裏ですが、この地下室があるから実質3.5階あるわけです。

玄関を入るとまずは広い玄関ホール。テーブルやちょっとした椅子が置いてあり、昔は訪れた客がここで主人へ取りつがれるのを待ったのでしょうね。私が泊まった家では2階から上を貸しているようで、ホール突き当たりの右側が家主の家へと続くトビラ、左側が上に住む人のためのトビラになっていました。なので、鍵は表のトビラと内側のトビラの2つ渡されます。

この鍵が大変でした。もともと私は鍵の扱いがすごく苦手で、ホテルでも1度や2度ではうまく開けられないことが多いのですが、この家の場合は古くて建て付けがずれてきていますからよけいに大変でした。最初の夜なんて、映画を見て帰ったのが夜中。いざ入ろうとしたら開かなくて、かといって家主さんを起こすわけにもいかず、なるべく音がしないように何度もやり直して5分くらい格闘してしまいました。どうしても開かないときは玄関ホールの椅子で寝るしかないかなあ、なんて思ったりもして。結果的にはなんとか入れましたが。

トビラを開けて入ると右側が家主さんの居間、突き当たりのトビラを入って目の前が私専用のバスルーム。バスタブにまでステンシルで模様がつけてあり、絵がたくさん飾ってあって、クッションとタイルと壁紙の模様がおそろいになってたりして、とっても可愛い。石鹸やシャンプーなどのアメニティも下手なホテルよりずっと充実していました。たったひとつの難点はシャワーカーテンではなくてガラスの衝立だったこと。天井までないので、かなり気をつけてシャワーヘッドを持たないとバスタブの外をびしょ濡れにしてしまいます。髪を洗うときには苦労しました。

バスルームの左隣が客室。ここも事前にメールで送ってもらった写真よりずっと素敵でした。家具も古いもので、丁寧に使いこまれています。鏡台の後ろの窓からは大きな木のある庭が見えました。この庭って何軒かで共通のスペースなのかな?

ホテルじゃないから機能的な備品はないけど、電気でわかすやかんやティーセット、ショートビスケット、ミネラルウォーター、ドライヤーなど基本的なものはちゃんと用意してくれてます。きれいなガラスの蓋付き容器に化粧用コットンまで入れてあったのには感激。女性好みの雑誌や本もたくさん置いてあって、余裕があったら1日ゆっくりこの部屋で過ごしてもよかったくらい。

バスルームと客室の間の壁には家主さんの趣味と思われるアンティークバッグのコレクションが飾ってありました。よく骨董市で見かけて、「こんな古いの買って使うのかしら」と思っていたのですが、こういうふうに飾ったりするんですね。

客室の先は階段になっていて、それを降りていくと食堂とキッチンに出ます。ここが例の半地下なわけ。朝ごはんをこの食堂でいただいたのですが、キッチンは東向きになっているのかとても明るくて気持ちのいい雰囲気でした。食堂はこれまたアンティークの皿やクリスタルで飾られていて重厚な雰囲気。私ひとりしかいないのに、むいた果物(キーウィ、プラム、ぶどう)、シリアル3種、ヨーグルト、クリスプブレッド2種などが用意されていて、これにトースト(ミントジャム、ブルーベリージャム、はちみつ添え)とフレッシュジュース、紅茶を出してくれました。コンチネンタルでも十分です。

家主さんは小柄でほっそりした50代後半の女性で、知的で感じのいい方でした。朝の食事のときには色々お話もしましたが、それ以外のときにはまったく姿を見せないよう気をつかってくれていたようです。夜帰って翌日の朝食の時間など何かリクエストがあるときはメッセージが残せるように居間の前のテーブルにメモと鉛筆を用意してくれていましたので、ホテルのように部屋に電話がなくてもコミュニケーションをとることができました。というわけで大満足のB&Bだったのでした。

エコノミー・ホテル
2つ目に泊まったのは旧市街の中心グラスマーケットにある安ホテルでした。

ここはフェスティバル・シーズンで料金が高騰しているホテルの中では破格に安く(といっても1泊69ポンドですから日本円にすれば1万4千円くらいですが)、ホテル紹介サイトの評価を見ると「部屋はボロいけどスタッフはフレンドリー」とか「壁紙は剥がれてたりするけど清潔」と書いてあるし、写真がほんとにボロっちかったのでかなり不安でした。

で、実際に泊まった感想はまさに上記のとおり。壁紙にはシミがあるし、バスルームの扉(これがなんと引き戸です。日本で言う襖サイズの木の扉が2枚あって、片方を引いて開ける。最初わからなくて引っ張ったら外れそうになってあせりました)の建て付けが悪かったりはしましたが、掃除はきちんとされていて寝具もタオル類も清潔。

スタッフは本当にフレンドリーで、チェックインのときから軽いジョークで迎えてくれてリラックスできました。部屋もけっこう広く(ダブルベッド)、バスルームは6畳くらいありました。蛇口が外れそうになっていたのはちょっと困りましたが。タオルウォーマーがあったのもうれしかった。これがあると洗濯物を乾かすのに便利なんだもん。

電話、TV、お茶セットなど必要最低限の設備もあり、これだったら最終日までここでもよかったなあと思いました。

場所的にも主な観光名所に近く、目の前にエディンバラ城を見上げる位置にあります。17〜18世紀には処刑場として使われていた広場なんだそうで、今でも処刑台跡が残っています。現在ではパブやレストランがたくさん集まった人気のスポットになっているので夜遅くなっても食べるものが調達できるのは便利なのですが、夜中まで人通りが絶えず、酔っ払いが声高に騒ぐ声が通りから聞こえてきますので、神経質な人は駄目かも。私も最初は「眠れない!」と思ったのですが、窓が開いているのに気づき、それを閉めたらあまり気にならなくなってOKでした。もっとも私はふだん、大きなトラックが夜中にガンガン通る道路に面した部屋で寝ているので、かなり鍛えられているのかも。

Grassmarket Hotel
94-96 Grassmarket, Edinburgh
EH1 2JR
0131-220-2299

ブティック・ホテル
3つ目は新市街の外れにあるブティック・ホテルです。外れとは言っても街でいちばんのショッピング街 Prinses Street から徒歩10分くらい。泊まった日にバレエを見に行く予定の The Edinburgh Playhouse からは徒歩5分だったので便利でした。新市街は盆地の底にある旧市街とは逆に丘の上みたいな位置にあります。それでいて3階建て以上の高い建物はほとんどないので、坂になっている道路の向こうをずっと見通すことができ、その先には海が見えたりしてとても気持ちがいいです。この街に住むなら旧市街より新市街のほうがいいなあ。

新市街は18世紀末に、英国では珍しく都市計画に基づいて作られたのだそうで、道路は京都みたいに碁盤の目になっており、家々も同じ高さ、同じ形でとてもすっきりしています。ツーリストの目から見るとちょっと退屈ですが、道に迷わなくてすむのが利点。

さて、話は戻って、ブティック・ホテルというのには初めて泊まったのですが、いろいろ驚くことがありました。

まずチェックインからして違う。ホテルは住宅地の中にあり、普通の家(といっても高級なタイプの)と同じ作りなのでいわゆるレセプション(フロント)のようなものはありません。入ってすぐ左方の小部屋が事務所らしいのですが、扉は閉まっています。じゃあチェックインはどうするのかというと、こちらがあらかじめ連絡してあった時間に着くと、そこにきちんとホテルマンらしいスーツを着たマネージャーが出迎えてくれるんですよね。

で、ラウンジや飲み物のサービス(コーヒー、紅茶は1日中、ワインは夕食前の1時間くらい無料でサービスされる。部屋にもお茶のセットはありますが、自分で淹れるのが面倒な人はここですぐに淹れられる)のことなど実際に連れていって説明してくれます。モーニング・コールと新聞のリクエストを聞かれ、朝食と玄関の鍵の説明を受けると部屋まで案内してくれて、最後にマネージャーからの挨拶の入った封筒を渡されて終了。その間終始ものすごく慇懃に(でも堅苦しくはありません)対応してくれ、1泊95ポンド(約2万円)でここまでしてもらっていいのかなあ、なんて思うほど。

作りがふつうの住宅なせいか鍵はかなり厳重で、夜11時を過ぎると表のドアは閉められてしまいます。なので部屋の鍵以外にそれ用の電子ロック解除キーもくっついてました。しかもいちばん外の木の扉のほかにもう1枚ガラスのドアもあって、それにも電子ロックがかかっています。まあ安心と言えば安心ですが、逆に「このあたりってそれほど危険なのかしら?」とちょっと心配になりました。むか〜し泊まったメキシコの三ツ星ホテルで、部屋の中に「侵入者を防ぐためにドアの前には椅子などの家具を置いておくことをお薦めします」という注意書きが置いてあったのを思い出しました。でも、もちろんそんな物騒なことは何もなく、夜遅く帰ってもまったく危険は感じませんでしたけど。

部屋はかなり狭かった。インテリアはさすがに凝っていてお洒落でしたし、タオルやアメニティ類もきれいでしたが、なんとバスタブがなかった! 失敗したなあ。 en suite と書いてあったし、高級ホテルだからてっきりバスタブ付きかと思っていたのですが、考えてみたら住宅を改造したホテルなのですからスペースはないんですよね。当然、バスタブのある部屋とない部屋があるわけで、だから安かったのかも、と思いました。私は基本的にお風呂には入らない人で(シャワーは浴びますのでご安心を)、ふだんはなくても平気なんですが、旅行の終わり頃になると疲れがたまってくるので、やっぱりお風呂につかりたいと思ってしまう日本人。

それと窓が道路に面していて、人が通ると話し声がくっきり聞こえるし、こちらからは歩いている人の靴(部屋が半地下なので)までよく見えるんですよね。ってことは向こうからも丸見え?と思うとカーテンを開けておくのもはばかられて、昼間なのにカーテンを引いたままにしておきました。翌日、表の道路を歩いてみたら、窓の位置は足元になるので中はほとんど見えず安心しましたが。

うれしかったのは無料のインターネットサービス。ラウンジにPCが置いてあり、いつでも使い放題です。他の宿泊客はまったく使っていなかったので2晩続けて1時間以上もPCの前で過ごしてしまいました。インターネット・カフェもいいけど、荷物に気をつけながら時間を気にしてアクセスするのって落ち着かないじゃないですか。その点、ここならすっごく気楽。帰ってシャワーを浴びたあとでちょっとアクセスなんてこともできるしね。

The Albany Boutique Hotel
39 Albany Street, Edinburgh
EH1 3QY
0131-556-0397

ダブリンとエディンバラで食べたもの