
ホテルの食堂で朝食。
朝食に出るパンは、ロールパンとクロワッサンの2種類くらいなのだが、このクロワッサンが必ず甘い! 中にジャムやチョコレートが入っていたり、上に砂糖がかかっていたり。最初は朝からこんな甘いものなんて、と言っていたが、なんでも珍しいものは食べずにはいられない私たち。そのうち、これが楽しみになってしまった。う、体重が・・・。
ホテルの屋上に出てみると、なかなか眺めがよい。ゆうべのなごりのシャンパンのびんがころがっていて、「残念。混ぜてもらえばよかったわね」と悔やしがる。
9時過ぎにチェックアウト。タオルミナにもう1泊するYと別れ、タクシーで駅へ。きょうもエトナ山からは白煙が流れている。予定より早く(というより、前の列車が遅れてきて)電車に乗れて、カターニャに向かった。
カターニャはマフィアの巣窟と聞いていたので、通過するだけにしようと思っていた。ところが、カターニャに着いて、駅前の人相の悪い白タクをふりきりつつ、やっとのことでSAIS(長距離バスの会社)のバスターミナルにたどり着いてみると、新年でダイヤが変わっていて、エンナ行きのバスはすでに出てしまったあと。次は20:00までない。
「シチリアでは電車の本数が少なく、不便なので、小さな街に行くときはバスが便利」というガイドブックの記述をうのみにしていた私たちが馬鹿だった。年末年始だから、危ないなとは思っていた。だから、機会があるごとにバス会社の人をつかまえては、ダイヤの変更はないのか聞いてきたのだけれど・・・もちろん、皆「平気、平気」と言ってたのだが・・・。
泣いてたってしかたないので、駅に戻り、荷物を預けて、列車の時間までカターニャ見物をすることにした。ところが、これが怖かった。
なにしろ新年の朝だ。人通りがほとんどない。建物はかつて繁栄した街らしく、石造りの立派なものだが、煤で真っ黒に汚れ、壊れた壁などもいっさい修理というものをしないらしく、まさに「荒廃」の一語。
とにかくドゥオーモのあるほうへ行こうと、少しでも人のいる道を探しては足早に歩く。たまににぎわっている所があると思えば、新年用のお菓子を売ってる店なのだが、みんな車で乗りつけて、買い終わるとさっさと走り去ってしまう。たまに街角に立っているのは、新年だというのに暗〜い雰囲気の男達ばかり。女性や子どもの姿のない街というのは、ほんとうに不気味だ。
途中でとあるホテルからぞろぞろと人が出てくるので、やれうれしやと近づいていったら、日本人の団体客だった。考えてみれば、新年の朝から観光に出かけるのは日本人くらいね。「それにしても、こんな日程のツアーもあるのねえ」と、感心してしまった。
ドゥオーモはバロック風の建物だが、それほど感動するものでもない。ただ、ちょうど新年のミサが終って、老若男女がぞろぞろと出てきたのに勇気づけられた。少し安心して、中心の通りのほうに歩いていく。どの店もしまっていたので、ほとんど見るものはなかったのだが。
さて、ここまで来て、ハタと考えた。さきほどの怖い道を戻るのはもういやだ。バスで駅まで行きたい。ところがイタリーでは、バスの切符は車内では売っていない。看板にTのマークがあるバールやタバッキで買うしかないのだが、これが全部しまってる。げえ〜ん。人気のない街をTの字を見つけては走り寄り、落胆する私たち。
しかし、神はまだ私たちを身捨てなかった。なんとバスターミナルが目の前に忽然と現れたのだ(というよりも私たちがようやく気づいたというほうが正確か)。で、そこの案内所で切符を買うことができた。心底ホッとした。