1. A Long Expected Journey
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8月28日
安いから、というだけの理由で選んだカンタス(実際にはクォンタスなので現地での発音には注意)航空QF22便は夜8時45分発。出発当日が丸々使えるので便利だ。
シドニーまで9時間半。そこからウェリントンまでは3時間。けっこう遠い。オーストラリアが日本に近いからニュージーランドも同じ気でいたが、大きな勘違いだったのね。時差も3時間あるし。 エコノミー症候群のおかげでエコノミーでもヘッドレストがついているし、各席にTV画面も装備されている。が、私はそれよりも座席そのものを大きく、足元を広くしてほしい! なんというか、こういうベーシックな人間の生理機能に関する部分で値段の差を出すというのは間違っていると思う。基本はおさえたうえで、さらなる便宜や贅沢を提供するのがビジネスクラスやファーストクラスなんじゃないの? などと貧乏人がぶちぶち言っていても仕方がないので「X-Men 2」を見た。イアン・マッケラン様が妙に色っぽくてかっこいい。内容は意外に子供向けでびっくり。主役の男性の髪型が漫画みたい。元はコミックなのかな。 ケヴィン・スペイシー主演の「Life of David Gale」も見始めたんだけど、なんだか暗かったので途中でギブアップ。寝ておかないと着いてから辛いし。 機内食はまあまあ。ポークカレー(with れんこんとごぼうのきんぴら、巻き寿司)をチョイスしたのだが、もうひとつのほうがきじ焼き丼風でおいしそうだった。 JALとの共同運航便なので日本人クルーがたくさん乗っているし、オーストラリア女性にもひとり、ネイティブかと思うほど日本語が上手な人がいて、アナウンスもすべて英語と日本語の両方で行われるので外国の航空会社を利用しているという感覚はない。客のほとんどはオーストラリアでスポーツを楽しむつもりの若者だ。この時期なのにほぼ満席。通路側というリクエストは通ったけれど、3人掛けで3人が座っているので圧迫感が大きい。ここんとこ空いた飛行機に乗ることが多かったからなあ。多少高くてもニュージーランド航空にすればよかったかも。 8月29日 朝食はハッシュドポテト、トマト、ほうれんそう、ソーセージという英国式。アプリコット風味のブラマンジェ付き。 予定より少し早めにシドニーに着き、約2時間待って乗り換え便に。空港は以前(10年以上前)に比べて広くきれいになり、店もけっこうある。帰りが4時間待ちなので、そのときに退屈しなくてすむかも。 シドニーからの便はBAとの共同運航便。昼食にマッシュルームのクリームソースペンネ、サラダ、カラメルプリン。 空の上から見るニュージーランドの周囲には、いかにも火山で海の底が盛り上がって出来たような小さな島がいくつも連なっている。外側から中央に向かってつまみあげたように切り立っていて、とても人が住めるようには見えない。やがて近づいてきたウェリントンの街は、地図で見ていた通り、湾を抱き込むような形に広がっている。Mt.Victoria のあたりの緑色のかたまりもはっきりとわかる。 機内で書いた入国審査表がかなり細かかったので構えていたのだが、入国審査はすぐに終わった。何日いるのかとどこに泊まるのかだけ。ただし帰りの航空券を見せるように言われたので「おっと」とは思ったが。 なので、その後今まで他の国でしてきたのと同様に Nothing to Declare の台をさっさと通りすぎようとして係員に呼び止められ、脇に連れていかれたときにはびっくりしてしまった。そういえば入国審査の列には麻薬犬をつれた係員がうろうろしてて、私も手に湿った鼻を押し付けられたっけ。 それでもまだ「形だけスーツケースを開けて見せればすむでしょう」とたかをくくっていたのだが、愛想のいい係員が「中を改めさせていただきますよ」と言って薄いラテックスの手袋を両手にはめたあたりから顔が引きつってきた。別に隠しているものなんてないが、男性には見られたくないものだってある。しかし、そんなこちらの困惑は無視して係員は隅から隅までチェックしていった。それこそどんなに小さなポーチの中まで明け、薬などはひとつずつ「これは何の薬?」と聞いてくる。 質問も細かくて、何をしに来たのかはもちろん(正直に「ロード・オブ・ザ・リング」に魅せられて」と答えた)、どこに勤めているのか、どういう仕事をしているのか、飛行機やホテルの手配はいつ頃、どうやってしたのか等など。どこまでが職務上のもので、どこからが個人の興味からなのか判然としない。宿泊場所や予約したツアーの確認書を貼ったノートを見せると、1ページずつ確認し、あげくのはてにコピーまでとりにいった。もちろんハンドバッグの中も全部見られた。身体検査をされなかったのは幸運というべきなのか? そんなに私って怪しく見えるのかしらと少し不安になったが、あたりを見回すとどう見たってただの観光客にしか見えないアメリカ人の夫婦や、Tシャツ短パンのバックパッカーなど数人が同じような目にあっている。さきほど飛行機から降りた数少ない外国人旅行者のうち3分の1くらいはチェックされているみたい。なんなんだろう、一体。 やっとのことで「もういいですよ」と言われ、荷物を集めながら思わず「いつでもこんなに厳しいんですか? びっくりしました。麻薬の心配でも?」と冗談めかして聞くと、「麻薬もそうですが、外国からの植物・動物・食物など不用意に持ち込まれないように注意しているんです。ここは島国ですから」と真面目に答えられてしまった。まあ、最近はSARSだの何だのと問題が多いから神経質になるのも無理はないか。逆に滞在する分には安心できるかも。 と自らを納得させ、外に出る。シドニーとは正反対に小さくて簡素な空港。観光客用のインフォメーションもない。すぐに表に出る。検査の合間の雑談で「市内まではバスよりタクシーのほうが早いですよ。シャトルならタクシーより安い」と教えてもらっていたのだが、ちょうど目の前にシャトルが泊まっていて、最後の客の荷物を積んでいるところだった。ホテルまでの料金を聞くと12ドルだというので「ま、いいか」と乗り込んだ。まだこちらの物価がわかっていないので、12ドルが高いんだか安いんだかわからない。1NZドルが約70円なので日本の感覚で言えば安い。 市内まで約15分。車内はシーズンが始まったばかりらしいラグビーの話題で盛り上がっているようだ。「らしい」とか「ようだ」となるのは、ほとんど聞き取れないから。旅行中大丈夫なんだろうかと不安になるくらい、ニュージーランド英語は私の耳に異質だ。どこがどう違うのかわからないのだが。イギリスで言うところのコックニーとも違う気がする。慣れが必要なのだろう。 途中の信号待ちのとき、時計台のようなものがある緑に囲まれた建物の前に止まったので看板(?)を見たら Massey University だった。ROTKの12月プレミアの1週間前にヴィゴがウェリントンで写真展を開催するのだが、その会場がここだ。ヴィゴのリクエストだったらしい。なんでも古い Musium Building の建物が気に入っていたのだとか。さもありなん。 The Duxton Hotel は想像していたほど高級っぽくはなく、むしろビジネスホテルの上級ランクという雰囲気。ロビーやレセプションも簡素だ。ベルボーイもいない。団体客などがあると荷物をとりにくるようだが、個人客は自分でスーツケースを持って部屋まで行く。市内ではAクラスのはずだが、ウェリントンの規模だとこの程度なのかな。隣の West Plaza Hotel もガイドブックでは高級ホテルとなっていたと思うが、大して違わないように見えた。 ホテルをここに決めたのは、もちろん「ロード・オブ・ザ・リング」のスタッフ・キャスト御用達だったから。ヴィゴかショーンが泊まったのと同じ部屋にしてほしかったのだけれど、これは「宿泊客の情報を漏らすことはできません」と丁重だがきっぱりと断られ(当然だな。私もそんなこと漏らすホテルは利用したくない)、それでもヴィジターセンターの人が「多分このクラスだったでしょう」とメールで教えてくれたクラブスイートを予約した。オテルに直接問い合わせたのだが、シーズンオフなのでサイトに出ている正規料金よりかなり低い価格をオファーしてくれた。 部屋は701で、7階の廊下の途中の喫煙と禁煙の部屋を分ける扉を抜けた先の角部屋だった。これだけ禁煙ゾーンが決まってるってことは、この国にはまだ喫煙者のほうが多いんだろうな。アメリカだったら禁煙ルームの比率はこの逆だもの。 入口のドアを入るとエントランスになっていて、左のドアを開けて入ると寝室、そのまま前に進むと突き当たりが来客用のトイレ、左に曲がったところが客間で、ソファセット、デスク、TVが置かれている。冷蔵庫とバーは木の戸棚の中に隠れている。 客間からも寝室に通じるドアがあり、どちらの部屋にも海に面した窓がとってある。目の前には高い建物がないし、港のすぐそばなので眺めはとてもいい。道路の向かい側には古本屋やアンティークショップの入ったピンクのビル The Wellington Market と Film Center の建物。どちらもヴィゴが行ってそうだな。が、残念ながらマーケットは金・土・日と祝日のみの開店だ。明日の土曜は1日中ツアーだし、あさっては Fernside まで1泊旅行だから覗ける時間がない。右手後方には国立博物館 Te Papa のユニークな姿も見える。とても便利な場所だ。 寝室のクローゼットにはアイロンとズボンプレッサー。替えの石鹸や手付きの紙袋なども用意してある。やはりここは長期滞在のビジネスマン仕様なのだ。家具調度もスイートという名から想像するよりはずっと地味で実用本位だ。 部屋の中のチェックはここまでにして、とにかく外に出る。明日は朝から出てしまうから、今日のうちに地図や資料を手に入れなくては。 ヴィジターセンターのある Civic Square はホテルから2ブロック先。これまた近くて便利だ。まずはウェリントンの地図を買う。壁際のラックには無料の観光パンフがたくさん置かれており、これも少しもらう。出入り口にはインターネットカフェ、奥には土産物店があって、観光客には便利な一角だ。シーズンオフだから窓口の列もほとんどなく、すぐに順番が回ってくるのがありがたい。 Middle Earth Post という新聞の体裁をとった地図ポスターが売られていた。表はカラーでニュージーランド北島の地図に、撮影したロケーションの位置が撮影風景の写真で示されており、裏はモノクロでウェリントン市内と近郊の主なロケーションの説明と場所、行き方が詳しく書いてあり、写真が2枚。1枚は Mt.Victoria にある牧場でブラックライダーのために用意された馬が撮影に出かけようとしている撮影初日の風景。もう1枚は撮影後半に主だったスタッフ・キャストが撮った集合写真(ヴィゴ、カール、デヴィッド、ミランダ、ホビッツ、PJ他)。私が明日参加する The Rover Ring Tour の案内も窓口の横に書かれていた。でも「ロード・オブ・ザ・リング」に関係する案内はそのくらいで、拍子抜けするくらい少ない。日本だったらそこらじゅうで宣伝しまくって、指輪饅頭やら指輪煎餅やらが売られたりすると思うんだけど。まあ、ニューラインシネマの管理が厳しいから商品化するのは大変なのかもしれないな。 Civic Square のあたりには近代的で変わったデザインの建築物が多い。アーティスティックな装飾もそこかしこにあって、マオリの木彫をとりいれた橋も面白い。 外で写真を撮っていたらだんだんと冷えてきた。風があるせいか手がかじかんでカメラのシャッターを押すのがつらくなってきたのでいったんホテルに戻る。シャワーを浴びて着替えてから食事に行こう。 バスタブは普通のサイズだったがジャクジー付き。ガラス張りのシャワーブースが別についている。シャワーだけ浴びて食事に行くつもりだったが、思わず湯をためて入浴してしまった。長時間の飛行でこわばった体がほぐれて気持ちがいい。バスタオルはびっくりするほど大きいのはいいが重くて、日本人の女性向きではない。バスローブもゴワゴワしている。 それにしてもこの部屋の寒さは何? 冬だから寒いのは覚悟してきたが、ホテルの、しかも一応はAランクのホテルのスイートで寒い思いをするとは思わなかった。エアコンディショナーのスイッチが入っていない。温度調節表示を見ると Warmer と Cooler となっている。ふと冬の香港での経験を思い出す。Warmer に合わせてスイッチを入れて寝たら、なんと冷房で、見事に風邪を引いてしまった。あの国には暖房の観念がないのだった。まさかこれもその口で、冷房機能しかない、なんてことはあるだろうか? 暖房のほうは全館共通の調節になってるとかで。おそるおそる Warmer の最大にしてスイッチを入れてみると、吹き出し口から出てくる風は暖かくも冷たくもない。送風だけ? それでもしばらくすると少しは暖まってきたような気がしたので、とりあえずつけておくことにする。 食事のための身支度をしているとドアにノックが聞こえた。覗き窓から相手を確認しようとしたら背が届かない。ひ〜っ。仕方がないので「はい、どなた?」と聞くと「ハウスキーピングです」と女性の声がしたのでドアを開けた。にこやかな笑顔の若い女性が制服姿で立っており、手にした紙筒のようなものをさしだし、「ホテルからのコンプリメントです。何か御用はございませんか?」と聞いてきた。ベッドのターンダウンではないらしい。そういえばベッドにはターンダウンが必要なようなカヴァーはかかっていなかったっけ。 紙筒の中身は Chocolate Fish というお菓子だった。へえ、そういうものがあるのか! オーランド達が贔屓にしていた Chocolate Fish Cafe には明日のツアーで行く予定になっているのだが、思いがけない先触れにちょっとうれしくなってしまった。 出かけようとしてレストランなどの住所を書いた紙を自宅に忘れてきたことに気がついた。ほんとに間抜けだ。わざわざインターネットで検索して調べたのに。仕方がない、タクシーで行こう。帰りに万が一タクシーが使えない場合を考え、レセプションにいたスタッフに「Green Parrot ってどのへんにあるか御存知?」と聞くと、「すぐ裏ですよ」という答え。「まあ、そうなの?!」と驚いて聞き返したら、「出て右に行って、すぐの角を右に曲がった所にあります」と教えてくれた。な〜んだ、ヴィゴってばずいぶんお手軽な場所を贔屓にしていたのね。彼のことだから好みにこだわってみつけたのかと想像していたのに。そういえば、カリフォルニアで取材を受けるときはたいてい家の近所のレストランを指定してるとどこかに書いてあったけ。基本的に御近所指向なのかも。タクシー拾わなくてよかった。 さっそく教えられた方向に向かって歩く。空港で外に出たときには長袖Tシャツに薄手のカーディガン、それにナイロンのジャケットというかっこで寒いとは思わなかったのだが、夜になると冷えるかもしれないと思い、カーディガンをフリースに、ストッキングをタイツに替えたが、それほど寒いという気はしない。日本だったら3月中旬くらいの陽気かな。 Green Parrot は教えられたとおり、角を曲がってすぐのところにあった。横に長い店で、入って正面がバーカウンター、その前と左側にテーブルと椅子が並んでいる。テーブルも椅子もデパートの食堂にあるような簡素なもので、店内の装飾もごくごく普通。しいて言えばレトロな雰囲気だ。アメリカの古いダイナーのようでもある。 それにしてもなぜ店のドアが開いてるんだ?! 最初は前の人が閉め忘れたのかと思ったのだが、そういう構造でもないようで、店の人間も閉めにいかないところを見ると、ずっと開け放しておくものらしい。でも、あの、寒いんですけど? 回りの客は慣れた様子で気にもせず、店内に入るとコートを脱いでTシャツ1枚になったりしている。店員も長袖のシャツ1枚の制服だ。やれやれ、皮膚感覚が違うんだろうな。私は自衛のためコートを着たままでいることにした。 ウェイターもウェイトレスもみんな若くてきびきびしており、感じがいい。こういうところがヴィゴの気に入った点なのかも。それとこのレイドバックした雰囲気なのかな。確かに気取ったところはかけらもない。お洒落なところもかけらもないけど(^.^;)。 席に通されるときにすれ違ったウェイターの持った皿の上の量を目にしていた私は、とてもじゃないがあれは無理、と思いながらメニューをチェックした。が、ほとんどはステーキ(ラムかビーフ)の類で、魚もフライがほとんどだ。だが、ヴィゴが褒めてた生牡蠣がこの店にはあるはず。それを目当てに来たんだから。値段は時価となっていたが、他の料理がみんな NZ$12〜NZ$20 だからたいして高いわけもない。生牡蠣とポテトフライ、それにビールで十分だ、と思って注文すると、「生牡蠣は終わったの」と言われた。え〜っ、いつ? だってまだ冬じゃない? と問い詰めると「2か月前かな」というつれないお返事。思わず「それを楽しみにしてきたのに・・・」と愚痴ってしまったら、「だったらこのまま出ていっても平気よ」と的外れなフォローをされてしまった。そりゃ牡蠣だけが目的だったんならもちろん出ていくわよ。でも、撮影が終わってアメリカに帰ったあとにも詩の朗読とサイン会をしたりするほど気に入っていたという店に来たかったわけだから、彼と同じものを食べて帰らなくては。メニューを睨んでいちばん軽そうなソーセージとベーコンのグリル、それに本日のスープと地元のビール DB Draught を頼んだ。 注文を待つ間店内の客を観察。カップル、若い女性3人連れ、ひとり客、奥のテーブルには10数名の老若男女が誰かのお祝いをしている。顔立ちがモンゴル系で初め中国人かと思ったが、どうやらマオリの人たちのようだ。客層もばらばらなら、服装もカジュアルなポロシャツにジーンズもいれば、肩を出したドレスの女性もいる。およそばらばらで誰もが好き勝手にしていられるのがこの店の売りなのかも。ヴィジターセンターのサイトにあった紹介には「バックパッカーに人気の値段と量」なんて書いてあった。 まずスープがきた。ひとくち飲む。うむ。缶を開けて暖めたような味だ。好意的にみれば、乾燥マッシュポテトを水と牛乳でといて、コーンスターチでとろみをつけるというくらいの手間はかけているかもしれない。ビールはエール系でとてもおいしい。 次にメインディッシュ。恐れていた事態が出現した。ソーセージは太さ3cm、長さ15cmくらいあるものが2本もついており、ベーコンは厚さが5o以上ある巨大なもの。その横にフライドポテトがどさっとおかれ、さらにじゃがいもとにんじんのサラダ、キャベツのサラダが反対側にこんもり。見ただけであとずさりしそうになった。 味もねえ。ソーセージもベーコンもちゃんとカリっと焼いてあり、食感はいいのだけれど、素材そのものがいけない。特にソーセージはフニャフニャした歯ごたえでしまりのない味、そのくせ塩辛い。野菜の味つけもなんだかよくわからない。こちらが疲れていて食欲もないせいもあるだろうけど。悪いけどヴィゴの味覚はあまり信用できないかもしれない。 進まない皿を前にぼんやりしていると、奥のテーブルでひときわ大きな歓声が上がり、歌が始まった。それが Happy Birthday の合唱とか誰かのカラオケ風の歌ではなく、全員でのコーラス。ちゃんとそれぞれの声域ごとに分かれた混声合唱で、曲は多分マオリのものなのだろう。不思議なメロディーで、とても心地のいい音だった。普通だったらレストランで歌い出す客がいたら(しかも集団での合唱)店の人間がすぐに止めにいくものだが、ここではほったらかし。他の客も「あれ?」と振り返りはするものの、たいして気にとめていない。むしろ店専属バンドの生演奏が始まったかのように楽しんでいるふうでもある。私もとてもリラックスすることができた。そうか、こういう雰囲気が「ヴィゴ」なんだなあ。 納得して満足したので、お腹がいっぱいで動くのつらかったけどお勘定をすませホテルに帰った。明日は8時半にロビーだから早く寝なくては。 The Duxton Hotel 170 Wakefield Street, Wellington Phone 04 473 3900 Fax 04 473 3929 www.duxton.com Green Parrot 16 Taranaki Street, Wellington Phone 04 384 6080 Fax 04 384 6080 |